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1970-05-12 第63回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十二日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 宇田 國榮君 理事 大村 襄治君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 田中 龍夫君    理事 床次 徳二君 理事 箕輪  登君    理事 川崎 寛治君 理事 中川 嘉美君    理事 永末 英一君       山田 久就君    豊  永光君       大久保直彦君    林  百郎君  出席政府委員         沖繩北方対策         庁長官     山野 幸吉君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     林  百郎君 同月十二日  辞任         補欠選任   林  百郎君     不破 哲三君 同日  理事宇田國榮君同日理事辞任につき、その補欠  として田中龍夫君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  閉会中審査に関する件  沖繩及び北方問題に関する件  請 願  一 北方領土問題対策協会法南樺太適用等    に関する請願篠田弘作紹介)(第三七    号)  二 北方領土復帰促進に関する請願池田清    志君紹介)(第三八一〇号)      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事宇田國榮君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事田中龍夫君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 池田清志

    池田委員長 これより請願審査に入ります。  今国会、本委員会に付託されました請願は二件であります。  請願日程に掲載されておりまする二件を一括議題といたします。  審査の方法についておはかりいたします。  各請願内容については、すでに文書表で御承知のことと存じますし、また先ほどの理事会で御検討を願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員からの説明聴取は省略し、直ちに採決を行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  請願日程中、第二の請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、日程第一の請願は、理事会協議の結果、今後ともなお慎重に検討することとなりましたので、御了承をお願い申し上げます。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  9. 池田清志

    池田委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書はお手元に配付してありまする十件であります。この際御報告いたします。      ————◇—————
  10. 池田清志

    池田委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。川崎寛治君。
  11. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ただいま琉球立法院の代表から、今日当面しておる財政硬直化実情について説明があったわけでありますが、これは予測されなかった事態ではないと思います。当初から予測されていた事態がここに噴出してきたという形で現在琉球政府はたいへん苦悩におちいっておるわけであります。これについてはいまの岸本氏の話にもありましたように、援助方式自体に一番根本の問題があるわけです。そこで戦後四分の一世紀の間こういう異常な状態に置かれておる沖繩実情というものを十分に考えて、本土政府としての責任を果たしていく、そのために国会としてもここで抜本的な対策を立てなければならないという立場に立たざるを得ないわけです。返還がきまった。返還をされるのが七二年だということになりますとやはり七二年までの間に一番問題が出てくるし、特に今回のアメリカ側援助削減というところにも一つのポイントがあるわけであります。そうしますと、アメリカの七二年までの責任のとり方、それに対する本土政府対応のしかたというところが問題ではないかと思います。  そこで、限られた時間でありますから少し詰めてまいりたいと思いますけれども、戦後七〇年までの琉球政府予算総額は何ほか。そして、その中に占めておるアメリカ援助費総額は何ぼか。六二年から始まった日本本土政府援助総額は何ぼか。その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  12. 山野幸吉

    山野政府委員 実は、戦後七〇年までに至る琉球政府予算総額は何ぼで、それに対する米側援助日本側援助、それが幾らかという数字は、遺憾ながら、突然の御質問で、いま計数として持っておりません。いずれ、すぐ調べましてお答えしたいと思います。  いずれにしましても、琉球政府が実は政府として発足したのが昭和二十七年でございますから、それまでは群島政府その他でございます。それから、米側正式援助というものも当時はなかったわけでございますが、非常にあいまいな時代が続いておりましたので、ここ数年のことを申し上げますと、琉球政府は逐年予算規模を非常に大きくしてまいりまして、一九七〇年の琉球政府予算規模は一億六千万ドル内外になっておる。そして、日本政府援助が、円で恐縮でございますが、二百二十七億円でございます。それから米側援助が千八百万ドルと相なっております。米国援助費はこの四、五年前から、プライス法が改定になりまして、千二百万ドルでございましたが、一九七〇年におきましては、千七百五十万ドルというプライス法の改正があって、その他を含めて千八百万ドルになっておるわけでございます。日本政府援助費は、これは川崎先生よく御承知のとおりでございますが、佐藤総理が訪沖をされてから五十八億円内外になりまして、それから百三億円、百五十三億円、二百二十七億円、明年度が米の資金を除きまして三百三十億円、こういうぐあいに画期的にふえてまいっておるわけでございます。
  13. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 琉球政府発足から七〇年までということになると十八年ということになりますが、これは、いま見えております琉球政府与党議員の諸君が調べた資料というものによりますと、米ドルで総額が九億四千九百五万ドル、アメリカ政府援助が一億一千七百九十四万ドル、パーセントにして一二・四%、それから日本本土政府が六二年からで一億三千六百十二万ドル、一四・四%、こういうことになります。そうすると、この十八年間をとってみても、あるいは、日本政府援助が始まったときからとってみてもいいわけですが、そこからとらないとちょっと議論はしにくいわけです。そこをとってみますと、本土地方財政実態比較してみる場合、いかに日米援助費が低いかということが出てくるわけです。  それでは、日本政府援助を始めた六二年以降でいいですから、その中で国家事務経費は何ぼか、その点をまず明らかにしてもらいたいと思います。
  14. 山野幸吉

    山野政府委員 実は、これは御案内のことと思いますが、琉球政府国家事務県事務とを分離するという作業を具体的に始めましたのは、ここ二年くらい前からのことでございます。したがいまして、国家事務費について日本政府が六二年以降幾ら投入しているかという数字は、現在持っておりません。そこで、ほぼこうであろうという資料に基づいて一九七〇年度財政計画を見てみますと、概数で申し上げますが、国政事務費は百七十五億円、県政事務費は四百三億円と見積もられるわけでございます。国政事務費は、私どもの分け方といたしましては、市町村交付税が六十五億、事業費が五十八億、国政機関運営費が五十二億でございます。県政事務費として四百三億円をあげていますのは、運営費が百十九億、事業費が二百八十四億ということでございます。  これに対しまして、どういう割合になっておるかと申しますと、財源区分といたしまして、国政事務費としましては、百七十五億に対して、日本政府援助が四十八億、琉球政府が百二十四億、米国援助が三億、こういうことになっております。それから県政事務費としましては、運営費の百十九億は琉球政府が持つ。事業費については、二百八十四億のうち、日本政府が百三億、米政府が五十七億、琉球政府が五十六億。単独事業は、琉球政府が六十七億。その他二十四億ばかり市町村事務費等がございますが、これは日米琉で持っております。  歳入の面から見ますと、これは川崎先生十分御承知のとおり、租税印紙収入が三百三億円ございますが、このほとんどは国税相当の税でございまして、県税はごくわずかでございます。そこで、もしかりに、推計しまして、類似県で国税県税合わせたものを、国税分県税分とを分けてみますと、国税分は二百五十億程度であろう。それから県税分は五十三、四億程度であろうというぐあいに考えられるわけでございます。そういう歳入実態でございますが、私ども琉球政府財政運営予算編成の仕組みを考えまして、従来から日米琉で話し合いながら、国政事務費についても援助費を出し、県政事務費に対しても援助費を出すということで、大体こういう割合になって援助がなされてきておるわけでございます。
  15. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いま一九七〇年で説明されたのですが、そうしますと、六二年以降の琉球政府予算の中で見ますと、これは先ほど言った資料に基づくと、二億一千七百七十五万ドルで、パーセントにすると二二・九%、いまの一九七〇年で国家事務経費百七十五億、日本政府援助がその中で四十八億ということですね。そうすると、百七十五億に対する四十八億ということになると何%になりますか、主割弱ですね。そうすると、米国側国家事務経費援助は三億だ、ほんとうにとるに足らないものですね。あと琉球政府沖繩県民負担で、とにかく国家事務をやってきておるという実態ですね。なぜこれは本土側が全部持てないのですか。だからいまの援助方式に問題があるわけですよ。いまの援助方式をずっと変えなければいかぬ。精神は変わった変わったといいながらも、アメリカが立てた項目に対して日本政府側援助していくという方式は変わってない。だから沖繩現地側からも、この援助方式を改めてほしいという要望が繰り返しきておるわけですね。なぜ本土政府責任において国家事務経費を見られないか、これは日米がどういう交渉になるわけですか。
  16. 山野幸吉

    山野政府委員 これは琉球政府自体が、御承知のように、国家事務県政事務、一部市町村事務も合わせて実施しておるという非常に異例な体制になっておるわけですね。それから歳入面は、いま申しましたように、本土でいえばほとんど国の歳入となるべき税によって成り立っておる。  そこで私は、いまこういうぐあいに分類しまして、百七十五億の国政事務を全部本土政府が持って、そうして県政事務はこの琉球政府でやらすということも全く不可能ではないわけでございます。しかしそういう考え方では、沖繩本土に返りましたときに私どもが重点を置こうとするのは、結局沖繩県をどうつくっていくかという問題でございますので、国政事務は、これは当然国家がそのまま持ちますから、そこでむしろ県政というものに相当力を入れて、そこを充実していきたいという考え方を従来から持ってきたわけでございます。従前はアメリカ側がしさいに提示しまして、そして日本援助がつけられてまいりましたけれども、最近はもうほとんど、日本政府あるいは非公式に琉球政府の意見を聞きながら、日本政府指導権を持って編成しております。したがいまして、いま御指摘のような御心配はないわけでございますが、いずれにいたしましても、一九七〇年で、琉球政府歳入の三百三億のうち二百五十億が国税に当たるものでありまして、これに対応する沖繩国政事務は百七十五億でございます。したがいまして、八十億前後のものはその国税相当分琉球政府県事業歳入に充てられておる、こういうぐあいに考えていいわけでございます。したがいまして、いま申しました沖繩県設置に対する体制づくりという問題もありますし、それから国の歳入国家がやるべき琉球政府の支出との比較から申しましても、あえて特に国政事務は全部持つべきだという考え方は、私どもは必ずしもそうは考えていないわけでございます。
  17. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 しかしいずれにしても国家事務は税金の大半もそちらに入れるわけなんですから、本来本土の府県であるならばそれがないわけでしょう。だからやっぱり国家事務経費というのは国が見るというたてまえを貫くべきですよ。だからいまも要請がありましたけれども国政的事務事業費全額を国庫で負担してほしいという繰り返しきておる要望というものに対してどうこたえるつもりなのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  18. 山野幸吉

    山野政府委員 私どもとしては、まず沖繩日本へ復帰しますれば、国政事務は国が持つ、これは当然あたりまえでございますから、したがって、まず琉球政府の行財政国政事務県政事務ほんとうに間違いなくはっきり分別する。現在それが正確にはとらえられていないわけでございます。これは機構の面から、職員の面から、事務の面から全部を国政事務県政事務、そして市町村事務市町村におろす、こういう姿を私どもとしては早く描いてしまいたい。そういう見地に立ちまして、そして沖繩県をどうつくっていくか、あくまで百万住民の福祉を第一次的に守ってくれるのは将来できるであろう沖繩県でございますから、きちっとした沖繩県の創設のための土台をしっかりつくりたいというのが、目下の私どもの最も関心事であります。  しかしいま御指摘になりました点は、おそらく沖繩財政が非常に困難であるということに対して、この財政の逼迫に対してどういう考え方をとるかという点について申し上げますと、私どもはいま申しましたように、国税相当分の過半をもって琉球政府国政に充てておるわけでございますが、逆にいいますと、本土としては国税をいただいていないという形になっていますけれども、しかし沖繩財政が非常に困難であるという実態承知をしておりましたので、したがってこの国政運営費につきまして、予算で御説明申し上げましたように、本年から特に二十億の行政運営費を見た、これがまず第一点でございます。  それから第二番目には、やはりいまお話にもありましたが、対応費が非常に多い、こういう御指摘でございます。しかしこの点につきましては、少なくとも七一会計年度におきましては、相当ども補助率等を改定いたしまして、復帰記念事業はもちろんそうですが、たとえば飛行場の建設の問題あるいは高校の建設問題、そういう問題に全額負担をする、それから補助率等につきましても、一々例示してもよいと思いますけれども相当奄美振興補助率以上のものをつくっておるのであります。したがいましてことしと明年度比較しましては、おそらくこういう事業費では千五百万ドルくらい、約五十億くらいはふえております。しかし現実の沖繩負担額は、教員給与の二分の一負担の分を合わせましても二百万ドルくらいしかふえてないわけでございまして、私は前年度と今年度比較としては必ずしも対応費はそうふえていないというぐあいに考えておるわけであります。それから市町村交付税等もふやしております。そういう配慮をしてこの三百三十億の予算相当前向きにつくったつもりでありますが、いまお話がありましたような米側の教職員の給与費の六百万ドルの減、それから一番問題は六九年度決算相当の、千四百万ドル内外赤字が出ておるわけであります。これが赤字債として借り入れ金でまかなわれておる。そういう状態のもとに明年度予算を控えたということに問題があるのじゃないかというぐあいに考えておるわけであります。
  19. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 アメリカ援助費日本政府側予算決定後に正式に削減とこう来たわけですね。しかし、これは当然昨年日米協議委員会を開いて、そして本土政府側と、日本側でいえば四十五年度アメリカ会計年度でいえば七一年度予算編成大綱というのは詰めるわけでしょう。詰める中でアメリカ援助費削減というのは言ってきてなかったわけですか。決定後なんですか。そこにやはり問題がありますね。だから、山中総務長官はきょうはおられないわけだけれども山中総務長官は、今回の予算編成過程において琉球政府側における歳入のそういう欠陥の状況はわからなかったのだ、こう言っているのです。私は、そこが一つ詰めなければいかぬ問題だと思う。その総務長官がわからなかったという、しかしあなた方は従来ずっと沖繩の、特に一千四百万ドルの決算における赤字、これはもっと詰めれば、屋良政権になる前の松岡主席当時に組んだ税収見積もりにまた問題があったわけです。それは屋良政府ができたあと、その税収見積もりの問題を改めようとしたけれどもできなかったわけですね。そういう経過がずっとあるわけでしょう。そうすると、今度の場合にアメリカ側援助削減ということが日本側予算編成過程では全くファクターとしてわからなかったのかどうか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  20. 山野幸吉

    山野政府委員 予算編成当時のことでございますが、米側予算編成期日本政府と違っておりますから、したがいましてむしろことしの当初には七〇年の前年度予算の確定があったということでございます。したがいまして、七一年度についての米国政府援助がどうなるかということについては、その時点では私どもは正確な数字、大体この程度減るということはつかんでいなかったわけであります。しかし、予算教書等が出ましたし、その内容も事前に聞いておりましたので、海外援助費相当思い切って削減されるという空気にあったことは、その空気承知していました。したがいまして、沖繩援助費についてもあるいは減額されるのではなかろうかというような一般的な傾向は知っておりましたが、こういう六百万ドルにあるいは百八十万ドルをこえた、約八百万ドル近いものが落ちるということは知らなかったわけでございます。
  21. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこが問題ですよ。アメリカ予算制度財政制度年度が違うのはもうわかり切ったことなんです。しかも四十五年度の対沖繩援助費をきめるときには日米協議委員会を開いて、そして決定しているわけでしょう。決定しておいて、そのあとになってからアメリカ側海外援助費削減ということでばさっと影響を受けるわけです。それは施政権者として無責任ではないですか。だから、施政権者として無責任なんだから、その点をアメリカ側にどれだけ埋めさせるということをするのか。もしそれが、七二年返還ということがきまったのだからそれは日本政府側責任だ、こうアメリカ側が考えるならば、それは日本政府側が埋めるということでなければ、いま非常に予算編成で困難をしておる中で減税せいとかあるいはいやベースアップをするなとかそういうようなことで、全く本土側高度成長の中で——この春闘の中でもいろいろと賃金の問題もあるわけですよ。そういうものとはるかに離れた状態沖繩を置いておいてかまわぬのだということにはならないと思うのです。だから、そこはどういうふうになりますか。
  22. 山野幸吉

    山野政府委員 私ども予算編成過程に、あるいはそれ以前からも、米側に対して援助費が急激に落ちないように、施政権者としてしかるべき援助を継続していただくようには要請してきたわけでありますが、きまった結果を見ますと相当思い切って減額になっておる。そして琉球政府自体予算編成上なかなか困難に直面されておるということでございます。いま私どもは、現時点におきましては、琉球政府とされまして大体二億ドル前後の予算編成について鋭意検討中であるように聞いております。いろいろ苦心されて、借り入れ金等もつくられて、近いうちには編成作業が終わるように聞いておりますので、いまこの時点どうこうということははっきり申し上げかねるわけでございますが、いずれにしても琉球政府赤字その他の欠陥があるわけでございますから、これらに対しましては米国政府も何らかの措置をとってもらいたい、それから琉球政府自体もやはりそういう事態にふさわしい歳入歳出の健全な運営には配慮していただきたい。日本政府におきましても、できる限りのことは将来検討してみなければいかぬというぐあいに考えておるわけでございます。
  23. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 三つですね。いままずアメリカそれから琉球政府日本政府、三つ抽象的に言われたわけでしょう。その三つ言われた抽象的なこと、つまりアメリカ政府に何らかのことをしてもらわなければいかぬということですね。これは具体的にどういうふうに進めますか。
  24. 山野幸吉

    山野政府委員 いま申しましたように、琉球政府が現在非常に困難な中を鋭意予算を編成されて、近く立法院にも出されると思うのです。そういう時点で、日本政府としてはぜひそうしてもらいたいと思っていますし、そういう方向で検討されておるわけですから、この時点どうこうというのは私は適当じゃないと思うのです。したがいまして、琉球政府財政の全体の問題につきまして、米側琉球政府本土政府のほうで三者よく協議をいたしまして相互に財政の硬直した状態をどうするかということについて検討していきたいし、そしてまたこの問題は同時に、もう間もなく次の最後の会計年度予算編成にもつながるわけでございますから、そういう点も考慮しながらひとつ協議して対処していきたいと考えております。
  25. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いま言えない、いまそのことには触れにくい、つまり琉球政府がいま出そうとしておる段階だから、いまそれは言えない、出したあと、いま言う財政硬直化の問題について日米琉で話し合いたい、こういうことなんですか。しかしいま困っているのですよ。いまほんとうに非常に困っている。だから、それはいま公表できないならできないでいいですよ。しかしそれは出したあと必ずいたします、そういうことになるわけですか。
  26. 山野幸吉

    山野政府委員 実は琉球政府歳出につきましても、大きい問題を申し上げれば、たとえば人件費をどうするかとか、事業費単独事業費についてどうするかとか、そういう具体的な内容をいま固めておられるわけです。歳入の問題につきましても、減税規模をどうするとか、あるいは経済成長率に見合う税の自然増をどう見込むとか、そういう問題について、いま琉球政府予算編成の具体的な作業をなさっておるわけであります。その段階日本政府琉球政府に対して、一体こういうことを望みたいというようなことを言うことは、これは適切ではないと思うわけでございます。したがいまして、日米琉三者協議して、この琉球政府財政事情を、本土復帰を目ざしてどう対処していくかを、今後予算が成立しました時点において、その後においてひとつ十分協議してまいりたいというぐあいに考えるわけでございます。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 まあなかなか言えない面もあると思いますが、そこで、しかしいずれにしてもアメリカ側にもしてもらう、アメリカ側にもその欠陥の分は責任をとってもらう——責任ということばがどうか知らぬが、とにかくアメリカ側にもやってもらう。それから日本政府としても見る。それは、予算編成の大綱をきめる段階がきますね。そういうものをつないで、先の問題については県民に苦労を与えないように、日本政府としてはやる、そういうことで理解してよろしいですね。
  28. 山野幸吉

    山野政府委員 いま申しますように、七一年度琉球政府予算立法院に近く勧告されると思います。それから立法院で出されて成立して、会計年度は始まる。それで、そういう時点で私どもはその内容をさらに十分検討いたしまして、六九年の決算、七〇年の決算等を十分分析し、そしてそういう中から、本土復帰に向けて日米琉で一体何をなすべきか、どう協力すべきか、そういうことを検討してまいりたいと思います。もちろん米国政府にも要求すべきことは要求し、琉球政府に対しても改善を求める点は改善を求める、そして日本政府としてもなすべきことをなす、こういう考え方で三者協力して、復帰までに、復帰を間近に控えた琉球政府財政運営の改善に努力してまいりたい、かように考えております。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 何か時間がないようですから、もう一つお尋ねしますが、自治省と総理府との間で話し合っておるというふうに聞いておるわけですけれども、地方交付税方式に改めていくという問題、それは来年度の問題になりますが、そのことを含めて、それはいまの検討事項ですか。
  30. 山野幸吉

    山野政府委員 その問題につきましては、山中長官がそういう構想で自治省のほうと話し合いを始められたように新聞には出ておりましたが、その後よく、大臣ともお会いしてお話を聞いたところ、まだそこまでは具体的にいっていない、しかしいずれにしてももう復帰が間近であるのだから国政県政事務を分けて交付税を適用したらどうなのかという検討を始めなければいかぬ、そういう見地から自治省にも研究してもらいたいという趣旨でお話しになっておるようであります。交付税制度がいつの時点においてとれますかは、今後私どもは十分自治省と協議をし、検討してまいらなければならない問題で、現時点ではまだはっきりしておりませんが、そういう点ももちろん復帰準備の一環としまして、含めてひとつ検討してまいりたい、かように考えます。
  31. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 最後に、いまのその問題は、大体時間的にどういうところにめどを置いて詰めていきますか。それとさつきの日米琉三者のものも含めてですね。
  32. 山野幸吉

    山野政府委員 これは交付税制度を適用するかどうかというような問題は、正式には、法的に言いましたら、国県事務をはっきり分離しませんと、交付税の基準財政需要額も収入額も出てまいりませんし、なかなか問題があると思うわけであります。もちろん琉球政府が、ひもつきでない財源という意味でいわれる交付税であれば、これは問題は別でございます。いずれにしましても、そういう問題もあわせて、明年度予算要求をするのが八月末でございますから、近く大臣に私どももお供をして沖繩へ参りまして、一週間ばかりいろいろ実情も聞くことでございますし、そういうものを踏まえまして、琉球政府の新しい会計年度になったら、即刻検討を始めなければいけない、かように考えております。
  33. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  34. 池田清志

    池田委員長 中川嘉美君。
  35. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 まず最初に、七二年沖繩施政権返還を前にいたしまして、このたび沖繩北方対策庁の新長官となられた山野長官の今後の抱負並びに御見解について質問の最初に伺いたいのですが、この点どうでしょうか。
  36. 山野幸吉

    山野政府委員 五月一日に対策庁ができまして、まず当面、調整部を中心とします沖繩の復帰準備についてひとつ早急に対策庁の体制をつくりまして、琉球政府の進めておられる復帰準備と相呼応し、それから日米協議委員会、現地の準備委員会等とも協力いたしまして、少なくとも来年中には復帰に対する諸般の国内手続が全部完了するというような目標で準備を進めることを命ぜられておるわけでありますので、そういう方向にひとつ対策庁の体制を至急整えてまいりたい、かように考えております。
  37. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これから質問に入ってまいりますが、きょうは最後の委員会でもあって、非常にたくさんお聞きしたいこともあったのですが、時間的にちょっと制限がありますので、極力しぼりまして、こちらもお伺いしますけれども、どうぞひとつ要点だけでけっこうですから……。ひとつスピードを上げてまいりたいと思います。  去る二月三日に発表されたアメリカ予算教書によりますと、七一年度沖繩に対する財政援助というのは、三百八十四万五千ドルで、一挙にいままでの四分の一になっているわけであります。七二年に返還することが決定したとはいえ、まだ施政権者として住民の福祉の向上をはかる義務のあるアメリカが、果たすべき義務を放棄したものである、このように思うのですが、この点についてどう思われるか、伺いたいと思います。
  38. 山野幸吉

    山野政府委員 ただいま御指摘になりました三百八十数万ドルは、これはプライス法関係でございまして、そのほかに一般資金が出ておるわけであります。一般資金——道路その他を琉球政府が実施していくための援助が一般資金から出ておりまして、それを合わせますと千三百四、五十万ドルになるわけでございます。したがいまして、実質的には、五百万ドルの減ということになっておるわけでございます。しかしいずれにいたしましても、私どもとしましては、米国に施政権がある以上は、ひとつ米側もできるだけこの財政援助の激減を避けてもらいたいというのが偽わらざる本土政府側の意見でございます。米側としても、米国政府全体の予算事情等もございましょうから結果的にはそのようになったわけでございまして、これもまたやむを得ないことだと考えておるわけでございます。
  39. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまそのようなお話をいただきまして、施政権が向こうにある以上はということですが、日本としてアメリカに対して、確かに返還されるまでは施政権を保持しておるわけですから沖繩に対する財政援助というものをもっと考えてくれるように増額を要請しなければならない、このように思いますけれども、たとえば山中総務長官あたりから、駐日アメリカ大使なりあるいは高等弁務官なりに、こういったことについて最近具体的な要求をされたことがありますか、どうでしょうか。
  40. 山野幸吉

    山野政府委員 佐藤・ニクソン会談によりまして、一九七二年中に日本に復帰するんだという合意ができたあとでございますし、いまの時点米側援助費を増額してもらいたいということを、そういう責任のある政治的立場から要求することは、なかなか複雑な問題があろうかと思われます。したがいまして、そのような正式な要請はありません。しかし、先ほども申しましたように、私ども事務当局の間におきましては、この前ワシントンに参りましたとき以来、そういう事務当局の考え方は十分アメリカ側に伝えてあるわけでございます。
  41. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまのお話のように、返還ということは確かにこれは間違いない。別に、増額といいましても、先ほど申し上げたように、いままでの四分の一というように非常に減っている。少なくとも従来どおりの姿にまででもひとつ交渉していくべきじゃないか、このように思うわけです。こういった点について、時間があればいろいろともう少し展開したかったのですけれども、その点について駐日大使なりあるいは高等弁務官にさらに具体的な折衝をしていただくことをここにおいて要望しておきたいと思います。  昨年十一月の日米共同声明が発表されてから、米国は七二年にどうせ返すというので、いまおっしゃったとおりですけれども施政権者として責任を果たさないで、一方日本のほうは政権は法律上はまだ米国の施政権下だ、どっちつかずのそういった状態、何といいますか、現地の沖繩が真空状態のような、そういう責任不在の状態にあるような気がするわけです。政府はいま申し上げたような対米折衝をどんどん行なって、このような不安を現地の人たちに与えないように、ひとつ重ねて努力していただくことをお願いいたしたいと思います。  こういったことと関連いたしましてぜひとも申し上げておきたいことは、先ほどこの委員会の始まります前に、いろいろ沖繩財政問題についての御説明がありました。また川崎委員から種々お話がありましたので、ここではさらに詳しくということではありませんけれども、要は沖繩政府が七二年度予算編成において大きな困難に直面しているんだというわけで、こういった財政危機というものを緊急に打開するための抜本的な対策ということを先ほどから言われているわけですけれども、そういった意味で、こういった対策を一日も早く講じて、そして政府も善処されることを、ここでさらに要望申し上げておきたいと思います。  次に租税制度について伺いたいわけでありますが、「法律時報」の四月号の中に、沖繩の租税制度というのがありまして、現行の沖繩の租税体系というものがここに出ておりますけれども、所得税等は、琉球政府政府税としての所得税等十九税目、それから地方税、市町村税が八税目で、合計しますと二十七税目、それから日本のほうの、いわゆる本土における国税ですけれども、所得税のほうが二十税目、それから地方税のほうが県民税等で二十五税目、合計で四十五税目となりまして、税目においても非常に大きな開きがあるわけです。沖繩本土復帰に伴って起こる難問の一つは、これらの税体系の整備じゃないか、このように思うわけですけれども、われわれ国民はいつも税金に追いまくられて、税金に泣かされているわけですけれども、このデータによりますと、たとえば本土の場合に、相続税であるとか、あるいは贈与税であるとか、それからこちらの地方税のほうについて見ますと、電気ガス税であるとか入湯税あるいは都市計画税、おもなものだけいまあげてみましたけれども、こういった面で拾っただけでも、いわゆる沖繩との違いを感じるわけであります。沖繩の祖国復帰が県民に、こういったことによって重税を課していくということになると、これはむしろ本土と離反になってしまうのではないか、このようにさえ思えてくるわけでありますけれども沖繩政府においても当然この税制の検討というものはなされると思いますが、しかしながら、この点どうでしょう。大蔵省等においても、こういったことについて、七二年復帰を前にして、真剣にそういった経過措置というものが検討されているかどうか。その点当然行なわれていると思うのですが、この点をもうちょっと具体的に、ひとつどういうふうに行なわれているか御説明いただきたいと思います。
  42. 山野幸吉

    山野政府委員 いま御指摘のように、沖繩本土復帰に際しまして、やはり沖繩の税体系をどうするかは非常に大きい問題であります。御指摘のように、国税県税市町村税、それぞれ本土と違った面を持っております。本土では県税に当たるものが、たとえば事業税とかそういったものが市町村税になっておりましたり、県税としての体制を現在なしておりません。したがいまして、そういう税制をどうするかということで昨年来大蔵省、自治省の協力を得まして、沖繩の税の実態調査しておるわけでありまして、将来、そういう実態調査を基礎にしまして、本土に返ったときに、一体国税県税市町村税をどういうぐあいに持っていくか、それによってもちろん住民負担の激増等を来たさないような、そういう形で税の再編成をされねばいかぬわけであります。これのためには、今年度もひとつ引き続き十分協力して調査をし、琉球政府側とも十分話し合いを進めまして、そうして沖繩県の設立が順調にまいりますように、準備を早急のうちに進めていかなければいかぬ、かように考えているわけであります。
  43. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 どうかひとつ、こういった問題についてさらに大蔵大臣のほうにも強く、そういったことに対する検討を一日も早く急いでいただくようにお願いしていただきたいと思います。  ずっといろいろとお聞きしたかったのですが、次に、数多く沖繩に現存する各種企業のうちで、民間企業として今日までかなりの実績を築いてきたたばこ製造業者について二、三質問したいと思うのですが、前にも申し上げたとおり、沖繩のたばこ製造業者も、このたびの本土復帰を目前にして一つの大きな悩みがあるんじゃないか、不安といいますか、そういったものを持っている企業の一つじゃないかと思います。現在沖繩にある業者の数はどのくらいありますか。名称とあわせて、とりあえずお答えいただきたい。
  44. 山野幸吉

    山野政府委員 現在の沖繩には、たばこの会社は三社ありまして、琉球煙草、沖繩煙草、オリエンタル煙草、この三社でございます。
  45. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまお答えいただいた各社の規模、簡単でけっこうですが、どういうふうな規模か。それから従業員の数ぐらい、ちょっと教えていただきたい。
  46. 山野幸吉

    山野政府委員 実は従業員数、資本その他手元に資料がございませんので、後刻お知らせしたいと思います。
  47. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これはやはり非常にいろいろな各種の企業がある中でも、やはり先ほど申し上げたように、非常に不安を持っている一つの企業だと思いますし、こういった面で、もう復帰を目前にしているという時点において、やはりそういった、どのくらいの規模であるか、何人ぐらいの従業員が働いているか、そういったところまでもがっちりと握っておいていただきたい、このように思います。お聞きするまでもなく、かなりの多くの方々がそういう企業で働いておられるということは言うまでもないのですが、そういった意味で、こういった人たちが終戦とともに無一文から立ち上がって、そして今日まで自分たちの力でその実績を築き上げてきた。そして、あらゆる資本を投じて施設をつくったりあるいは機械設備を設けたり、当然自分たちの会社に対する愛着というものも出てきていると思います。こういう企業が本土との一体化ということで国内法すなわち専売法にたとえば切りかわるということに対する不安が当然起きているわけで、七二年本土復帰に際して、これらの会社及び従業員のたとえば配置転換というようなことについて、政府としてどのように考えておられるか、まず具体的にお答えいただきたいと思うのです。
  48. 山野幸吉

    山野政府委員 実は、この沖繩のたばこ関係の企業でございますが、これは現在も専売公社から、たしか十億本くらいのフィルターつきのたばこを委託しておる実態でございます。本土へ返りますれば、もちろん専売でございますから、したがいまして、本土復帰後のこういう三企業の今後につきましては、専売公社と十分話し合っていかなければいかぬわけでございます。実は、ことし早々と記憶しますが、たばこ関係の業者の方も来られまして、専売公社、私どものところへお見えになったわけでございます。専売公社のほうとしましても今後のこの企業の継続につきましては十分配慮するように私どもは現在聞いておりまして、何か聞くところによりますと、企業自体としては統合しまして、そして専売公社のもとに企業を継続していくような方向になろうかと考えますが、いま御指摘のような点は、私どものほうで専売公社とも十分連絡いたしまして、今後企業が円滑に行なわれていくように配慮してまいりたいと考えております。
  49. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうすると、要するに専売公社が企業を買い取るような形もあらわれてくると考えられますか。
  50. 山野幸吉

    山野政府委員 そういう点も十分考えられると思います。
  51. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 もしその買い取りが行なわれると、会社を向こうとしては手放さなければいけない。当然その売り上げ金が収入として入ってくると思うわけです。この収入に対する税金が一体どうなっていくか、どのように課税されるかが、やはり業者にとって大きな関心ではないか、不安の原因ともいえるのじゃないか、このように思います。その場合、本土における税率をそのままかけられたのでは現地ではたまらない。そして現地の人は、いま申し上げた売り上げ金をいずれにしても資本として何か商売を始めようとかそういうことになるわけですけれども、税金が多ければ方向転換をする資金が非常に乏しくなる、こんなような関係が出てくるのではないかと思うのです。これらの点について、将来どのような手を打たれるか。こういう買い取りが出てきた場合、いろんな問題が出てくると思うのですが、この点はどうでしょうか。
  52. 山野幸吉

    山野政府委員 そういう点は今後検討する問題でございまして、実はいま政府部内でその点をこうするというぐあいには意見が統一されていないわけでございます。いま御指摘になりましたような事情等もあろうかと思います。私ども今後政府部内で十分慎重に検討してまいりたいと考えています。
  53. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いろいろなテーマにわたって伺う場合に、具体的なスタートの時期といいますか、検討時期といいますか、そういったのがわりあいはっきりと明確に——それは一度には無理だと思います。しかしながら、どうもいずれ検討を開始いたしますというような雰囲気が非常に強い。いまの長官のお話だけではないわけでありますけれども、そういうわけで、県民として不安がいつまでもつきまとって、これからどういうふうにしていったらいいかわからない。そういう意味で、本土と同じような税率を課して多額な税金を巻き上げないように、この際業者の立場に立って、政府としても、沖繩現地における一企業の経営者あるいはその従業員の悩みと不安といいますか、こういったことを身に体してこれから真剣に取り組んでいただきたい、このことを要望したいと思うのです。  もうあと四、五分しかありませんので、最後に伺っておきたいのですが、五月八日付の新聞紙上で、沖繩における海洋博ですね。この前もちょっとこのテーマは出たと思いますが、この海洋博のことについて、「沖繩本土復帰を記念して、一九七三年ごろ、現地で海洋博覧会を開催する構想を、小宮山通産政務次官が七日、衆院科学技術振興対策特別委員会で明らかにした。」これは私ども公明党の近江委員がそのときに質問したわけなんですが、「七三年ごろ国際的に」という見出しで出ているわけです。沖繩の方々も国際海洋博覧会の開催には非常に期待を持っておられる。そういうことで、去る三月十九、二十日の両日、大阪でもって開催された第五回沖繩経済振興懇談会ですか、この共同声明においてもそれが出ているわけです。そういった点で、この際海洋開発のことについて二、三伺っておきたいと思うのです。  こういった三大事業の一つとして提案されているところのこの海洋博の開催についての長官の御見解はどうでしょうか、この点伺っておきたいと思います。
  54. 山野幸吉

    山野政府委員 海洋開発の問題は非常に将来の産業として有望な産業の分野であります。いま御指摘になりましたような大阪の、私も出ておりましたが、貿易振興懇談会でも取り上げておりますし、琉球政府側でも要望されております。したがいまして、将来沖繩で開催していくという方向については私どもも賛成でございます。
  55. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 本件に関してぜひとも閣議決定でもして実現することを確約できますか、どうですか。
  56. 山野幸吉

    山野政府委員 実は大阪のときにも話が出ましたが、将来ひとつ沖繩でそういう海洋博覧会をやるという方向は全く関係者賛成されたわけでございますが、海洋博覧会をやるには一体どういう規模のどういう施設をつくる必要があるか、そういう海洋博覧会を開いたときの全体のプランというものがまだはっきり出ていないわけでございますので、したがって、大阪会議のときにも時期については、これは必ずしも七二年とか七三年とかいま言うのはどうだろうということで保留になったわけでございます。したがいまして、そういう海洋博覧会を将来開くときの海洋博覧会全体の予算を含めた全体の計画のアウトラインでもできました時点でございませんと、そういう具体的な閣議決定等はできないのではないかと考えます。
  57. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ここに国際博覧会に関する条約があるわけですけれども、この条約を見ますと第五条に、第一種の一般博覧会、第二種の一般博覧会、それから特別博覧会、これについての、たとえば「特別博覧会については、開催の一年前」——この場合は特別博覧会に属すると思いますが、そういったものについては、一年前に外交上の経路を通じて、諸外国に対して招請を行なわなければならない、こういうことになっているわけですね。それから同じく第八条のほうを見ますと、「この条約の適用を受ける博覧会を開催しようとする国は、第五条に規定する招請時期の少なくとも六箇月前に、国際事務局に対し、博覧会の登録を受けるための申請を行なわなければならない。」こういうふうになっているわけですけれども、いまかりに来月国際事務局に登録の申請をするとすれば、一年半後の七一年十二月には沖繩において海洋博を開けることになるのではないか。しかしながら、さっきおっしゃったように準備もいろいろ必要でしょうから、さらに一年後くらいを見て、復帰年であるところの七二年の秋ぐらいにはりっぱに沖繩でもって海洋博を開くことができるのではないか、このようにも計算するわけですけれども、七二年に開けないというのは、先ほど申し上げた新聞記事は七三年となっているのですけれども、そういった計算上であれするのは何ですけれども、七二年に開けないというのは、現在沖繩がやはり米国の施政権下にあるので無理だとかなんとか、そういうような理由でもあるのでしょうか、その点ちょっとお答えいただきたいと思います。
  58. 山野幸吉

    山野政府委員 米国の施政権下にあるからどうのこうの、そういうことはないと思います。しかし通産省と私どものほう、あるいは琉球政府を含めまして、具体的にこの問題の開催をどういうぐあいに持っていくかということは、まだ話は詰めていない段階でございます。
  59. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間が参りましたので、最後にお聞きしたいのですが、この海洋博覧会に関連して、もう一つだけ伺っておきたいのは、昨年か一昨年だったと思うのですが、復帰の際は沖繩で国体を開きたいというような論議があったように記憶しているのですが、沖繩で国体を開催する件はその後どうなっておりますか。
  60. 山野幸吉

    山野政府委員 国体の開催につきましては、もう国内の各府県の間でもいろいろ財政負担等の問題をめぐりましてあるわけでございます。したがいまして、国体を開くとなりますと、沖繩の現在の実態をもとにしてお話し申し上げますと、施設その他財政面で、これは国がやるにしましても、琉球政府あるいは沖繩県が持つにしましても、相当大きい財政負担がかかる問題でございます。したがいまして、まだ遺憾ながら国体を沖繩で開催するという問題を現実的な課題として議論したことは、現在政府部内ではございません。
  61. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 国体がいまおっしゃったように、国と県とそれから体育協会ですか、この三者共催だというふうに聞いておりますけれども、復帰後二、三年中に沖繩で国体を開催できるようにひとつ長官のほうからも格別な御配慮をいただくよう、ぜひとも御尽力いただきたいことをお願いいたしたいと思います。  いままで御答弁をいただいた中で復帰に対するいろいろな諸準備についての具体的な御答弁はなかなかまだいただけないような感じがいたしますけれども、こういったことで、ほんとう政府が一生懸命沖繩の問題について取り組んでいる姿勢というものを、沖繩の現地の方々は刻々と耳を傾けていると思いますので、そういった点、ひとつ今後とも力強い御尽力をいただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  62. 池田清志

    池田委員長 林百郎君。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 長官も御承知のとおり沖繩財政法によりますと、四月までに琉球政府立法院に七一年度予算を提出しなければならぬわけであります。財政法上の規定があるわけですね。これはあなた御承知だと思います。ところが、いまこれが提出されておらないわけですね。七一年度予算がまだ立法院で審議されておらないという状態なんで、これは沖繩としては非常に重大な政治問題なので、目下各種団体の約百五十団体からなる財源対策協議会をつくりまして、全県的な運動を起こして、本土へも陳情に来、政府並びに国会へも要請に来ている。こういう財政的に言うと、非常な危機に瀕している状態ですね。これは長官、御承知かどうか。御承知だとすれば、どうしてそういう状態が起きているのか。四月までに財政法によって政府立法院財政計画、七一年度予算を出さなければならないのに出せない状態にいる。琉球政府はなぜそういう状態になっているとお考えになりますか。
  64. 山野幸吉

    山野政府委員 これは先ほど来お話し申し上げておりますが、琉球政府予算財政状況が逐年非常に苦しくなってきておる実態がございます。現在一九六九年の決算でも千四百万ドル前後の歳入欠陥があって、それを借り入れ金でまかなっているという実態がございます。おそらく明年度におきましても琉球政府としましては、やはり屋良主席のいろいろな予算編成に対する構想がありますので、たとえば減税の問題なり、あるいは沖繩の行政運営のあり方についてどうするか、職員費等を含めましてのそういう問題等もありましょうし、それから単独事業費につきましても、そういう困難な財政の中でも、何とかして一定の規模を保っていきたいというお考えもありましょうし、いろいろ財政歳出面から見ましても、相当積極的に編成したいという御希望があり、一方、歳入の面では、先ほど来お話がありましたように、米国政府援助相当激減した。それからまた、ある程度減税も実施していきたい、そういう実態もあり、そこで予算編成上いろいろ苦心をされている、こういうぐあいに私どもは考えておるわけであります。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 何かあなたの話を聞いていますと、困難の責任の所在は琉球政府と、アメリカ援助が減額されたところにあるんだというので、日本政府責任は一体どこにあるか一言も触れておらないわけです。御承知のとおり本年度、七一年度予算で最初琉球政府は七百十四億、こまかく言いますと二千五百九十万ですか、約七百十四億の財政援助を求めてきたわけですけれども、結局、先ほど長官の言うように三百三十億程度、二十億の調整費を入れれば三百五十億になると思いますが、三百三十億程度に査定した。屋良主席が要求された琉球政府への日本援助として、ぜひこれだけの額をと要請したものを半額に減らされた。あなたが言われるように、琉球政府には財政上の困難な事情がある。また米政府からの援助削減されるということを知っていながら、また日本政府——そういう事情を加味したからこそ、七百十四億近くの財政援助を要求したのを、それを半分以下に削減されたのは、どういう理由なんですか。それではますます琉球政府財政を困窮におとしいれることに、日本政府もまた加担しているといわざるを得ないのじゃないですか。
  66. 山野幸吉

    山野政府委員 琉球政府から日本政府に七百数十億のそういう要求があったということは、私どもは正式には聞いていません。これは先生も御承知のように、日本政府沖繩援助費は、あくまでもたてまえは米国側から提示することになっております。したがいまして、援助費の要求にあたりましては、事前に琉球政府と、それから民政府と、私のほうとで十分話し合って、相互に十分に意見交換をして要求額をきめるわけでございます。したがいまして、そのときの私の記憶が間違いであれば訂正いたしますが、琉球政府米国政府、私のほうの総理府と話し合いが大体まとまって、大蔵省に予算要求をしたのは、当初四百億程度のものでございます。もちろんそのあと山中総務長官になりまして、復帰記念事業とか、そういうような事業費が若干追加はありましたけれども、大体そういう規模でございます。  それからもう一点申し上げたいのですが、何と申しましても、予算要求の事業費は補助事業等が中心でございますので、ただ予算のワクだけがふえましても、また若干のそれの対応費もございますので、したがって予算規模だけでは、事業別に分けた場合は別でございますが、予算規模だけでは必ずしもそれによって財政が楽になるとか苦しくなるとかいうぐあいに一がいには申し切れないと考えるわけでございます。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 対応費の問題については、後にお聞きしますが、琉球政府が最初約七百十四億の要請を日本政府に七一年度援助してもらえないか、こういう話のあったことは、あなた、知らないはずないですよ。それは屋良主席が来て、国会のわれわれだって直接聞いているのですから。それから、それが四百四十二億に削減され、さらに三百三十億から三百五十億といわれていますが、削減されてきているのです。最初はぜひひとつ七百十四億くらいという話があったことは、長官が知らないなんて、そんなばかな話はないですよ。それを全部あなたのほうで削減してみんな切っているのですから。切っているのは何かというと、琉球政府が独自の、琉球政府として戦後二十数年間、長い間占領状態にあり、独自の事業もできなかったし、また太平洋戦争によって非常な大きな被害もこうむっておるし、市町村も疲弊しているので、これは補助対応費を必要とする、補助の財政以外の、琉球政府沖繩県ですね、私たちは沖繩県と言っています。   〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕 その沖繩県が独自の立場で県の実情でやりたいという仕事、これを要求したところが、全部切られているわけなんです。そういうことを、あなた知らないのですか。なんなら私のほうで資料差し上げますよ。最初七百十四億くらいの援助をぜひ日本政府にしてもらいたい。それでアメリカのほうはどうですかといえば、われわれはもう日本へ復帰するということを前提としておりますから、財政的にはもう日本の地方自治体の一つとして、沖繩県という立場で日本政府に要請したいのです、アメリカ援助がどうなるかということは、これは二の次にしたいんだということを国会に来て私たちに言っているのに、長官がそんなことを知らないはずないでしょう。ほんとうに知らないのですか、知らないなら知らないということを、ここでわれわれは沖繩の県民に知らせなきゃならない。
  68. 山野幸吉

    山野政府委員 私は、正式にはそういう予算要求はない、こう申し上げたので、それは参考資料として企画局で各局から明年度予算に対する希望を集められまして、そうして日本政府に参考資料として出されたものにはそういう資料があると思うわけでございます。しかし正式な琉球政府からの要求、援助費の要求というものではないというぐあいに、私どもは考えておるわけでございます。で、その要求額の中、これはまたしさいに検討いたしますと、確かに相当額の差はありますけれども、逐一検討してみますと、いろいろ沖繩側の御要望と、それから私ども沖繩サイドに立って大蔵省に予算を要求するわけでございますから、そうあまり頭から冷たい目でそういう予算は大蔵省のように査定するわけではございません。しかし、そういう目で見ましても、非常に大きい規模の安謝港の工事が全く繰り越しになってしまいましたり、あるいは那覇空港の工事がいろいろな事情でできなかったり、そういう大きな事業費琉球政府の見方と私のほうの見方と違っている面が相当あるわけでございます。で、逐一いろいろそういうような事業をやってみますと、私のほうで見ましても、どうもこれは大蔵省へ出しても十分説明し切れないというような問題点が相当ございまして、最終的にはある程度琉球政府考え方が圧縮されたものになったということは、私ども予算編成過程では、これはやむを得ないことではないかと考えているわけでございます。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 相当程度圧縮した、何を圧縮したかということが問題なんですよ。そういう意味で琉球政府財政上困難に逢着している問題の一、二をあげてみますと、たとえば国家事務経費があるわけですね。裁判所だとか、あるいは郵便局だとか、これは当然、もし沖繩沖繩県とすれば、政府が見なければならない費用ですね。そうでしょう。三審の裁判所があって、三審の裁判所の費用を一つの県で見ているなんという県はないのですから、国家的な立場で沖繩県負担しているものは国家で見てやらなければならないわけですね。それから、そのほか基地ということでアメリカ側から基地の拡張、あるいは基地に通ずる道路、あるいは石油パイプをつくるとか、いろいろの本来なら国家が当然しょわなければならない仕事を実質的には沖繩県というものが琉球政府という名のもとにしょい込んでいるわけですね。そういう財政的な負担琉球政府、いわゆる沖繩県がしょい込んでいるのだから、そこをどう見てやるかということを考えなければならぬわけですね。ところが、本年度政府援助、これを見ますと、もうそういう基地と関係するとかいうような、基地に関係するような部分がほとんどであって、しかも琉球政府としてはそれを全部日本政府が、本土政府が見てくれるわけでないので、それに対する対応費あるいは付帯費ですか、これを捻出しなければならないわけですね。だから政府援助をするとは言っていますけれども、その援助に対して琉球政府としては対応費や付帯費をつけなければならないので、沖繩の独自の財政というものは、日本政府のいう援助なるものに対する対応費あるいは付帯費に全部使われているのじゃないですか。だから、援助とはいうものの全額援助ではなくて、一部本土政府援助する。そうしてこの一部はおまえのほうで独自の対応費、付帯費を見ろということで、この捻出に精一ぱいだ。しかもその本土政府援助なるものは、全部ひもがついている。これ、これ、これって全部ひもがついているわけですね。全部ひもがつけられた上に、琉球政府としては対応費あるいは付帯費を持たなければならないということになると、独自の仕事の余地というものは全然なくなるのじゃないですか。沖繩の、沖繩県琉球政府といいますか、それに独自の地方自治体としての独自の仕事、交付税交付金を本土の府県なら交付するのですけれども、そういうものをもらって、独自の仕事をしたいという、この要求にどうこたえているのですか。ほとんどひもつきの援助費で、そうしてそれには必ず対応費、付帯費がついている。対応費、付帯費を捻出するだけで沖繩財政力は一ぱいになってしまって、住民のための道路だとか、住民のための住宅だとか、住民のための医療の社会保障制度だとかということをやる余地はないじゃないですか。あるなら幾らあるか、長官、ここで説明してください。そこが財政編成上の困難ないま問題になっているわけですから、もしそういう独自の財源がこういうようにあって、それは沖繩県としては独自の事業に使うことができる財源なんだというものがあるなら、ここで説明してみてください。
  70. 山野幸吉

    山野政府委員 琉球政府は確かにその対応費相当額を占めておる、そして毎年事業費がふえて対応費がふえていくと御指摘になることは、これはある程度どもも認めたいと思いますが、目下琉球政府明年度予算を編成中でございますから、全体を私どもまだ報告を受けていないわけでございます。したがいまして、一九七〇年を例にとって申しますと、この歳入全体がまあ一億でございます。税収が八千百万でございます。これに対しまして琉球政府日本政府援助対応費、これは千七百五十八万ドルでございまして、これは二割にはならないわけでございます。ですから、税収入と印紙収入だけを合わせてみましてもまあ八千五百万ドルでございます。そのうち千七百五十八万ドルがこの対応費になっておるわけでありまして、この年に琉球政府単独事業日本円にしまして六十七億ですから、二千万ドル近く単独事業をやっておられるわけでございます。  明年度につきまして、日本政府援助費、これは四千八百四十七万ドルが七〇年度ですが、これが七千二百二十六万ドルにふえたわけでございます。二千四百万ドルくらいふえておるわけです。二千四百万ドルくらいふえまして、その中で琉球政府負担の増加したのは二百二十三万ドルでございます。したがいまして、これもやはり一割程度でございまして、事業費の増から見ますと二百二十万ドルでございます。そのうち半額は教員給与費の援助費がふえた負担でございますから、事業費としましては百万ドルしかふえていない、こういうことでございます。こういう負担がふえるという琉球政府の要請にかんがみまして剛私ども明年度は、いま御指摘がありました国際機関の行政費を日本円で二十億見ることにいたしたわけでございます。  それからこの負担割合も、これはこまかく申し上げましてもいいと思いますが、本土の奄美の補助率より相当高い補助率、全体には内地と比較するとこれはもう比較にならないほど高率な補助を相当多く採用しまして、そして事業費負担増を千五百万ドル、その千五百万ドルの事業費の増に対しまして、対応費は百万ドルしかふえていない結果になったわけでございまして、私どもとしては当時できるだけ琉球政府のそういう対応費がふえないようにということを配慮したつもりでございます。  みんなひもつきだというお話でございますが、確かに事業項目ごとに全部きまっておりますけれども、しかしその事業費目をきめる場合に、私ども琉球政府の要請を基礎に置きまして、琉球政府の企画局あるいは主席、副主席と相談しまして、その費目を採用してきておるわけでございまして、きまった結果はひもつきになっておりますけれども、これは必ずしも琉球政府の意見を無視した、日米できめたような援助費ではないわけでございます。むしろ琉球政府の意見を十分考えた上でございます。  それらのことはございますが、しかし事実、明年度予算編成等にあたりまして非常に財政の困難な事情は私ども十分わかりますし、御指摘の趣旨もわかります。さらに今後ひとつ日米琉十分協議をしまして、将来の対策を考えていきたいと考えておるわけでございます。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 長官だいぶ問題を混乱していると思うのですがね。一つは本土政府援助金、まあ援助金という制度自体が援助金ということだから、あなたも認めているようにみんなひもがついているわけですね。あなたは琉球政府側の要請に基づいて事業費を組んでひもをつけたと言うのですけれども琉球政府独自の要求は、私が知っているだけでもここで二十数項目全部ゼロにされているのですよ。だから、琉球政府の要請にこたえたとは言うけれども、それは同時に本土政府と、それからアメリカ側の基地に直接間接関係のあるような部分が圧倒的に多いわけです。それがひもつきだ。それからそれに対して対応費、付帯費が額は少ないのだと言うけれども、しかし沖繩県民財政力からいえば、これが全額の補助金でなくて、本土政府の補助金なるものについて必ずそれには対応費、付帯費がついてくるということになりますと、沖繩の乏しい財政力から対応費、付帯費を出さなければならないということはこれは重大な問題になる、こういうことを私は言っているわけです。そこで財政の編成難にいま直面しているわけです。  あなたの言うそれじゃ二十億円ですが、調整費にことしは持っていくと言いますね。これは琉球政府予算の中に入れているのですか、どこが握っておるのですか。
  72. 山野幸吉

    山野政府委員 私のいま申しました二十億というのは、国家機関運営費について従来琉球政府負担されていたのを、ことしから日本政府援助金で肩がわりをしてあげたのが二十億ある、こういうぐあいに申し上げたわけでございます。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 その二十億というのは対策予算として対策庁が握っているのじゃないのですか。じゃ肩がわりしたものとすればそれは琉球政府予算の中に組み込まれなければならないでしょう、組み込まれているのですか。
  74. 山野幸吉

    山野政府委員 それは先生のいま御指摘になりましたのと私の答えているのと問題が違っておりまして、私が申しましたのは、ことしから新たにこの国家行政の運営費琉球政府運営費を従来琉球政府負担していたのを、今度の三百五十億の援助の中で二十億肩がわりをしてあげて、それだけ一般財源をふやしましたところが琉球政府予算に入っておるわけでございます。  いま先生の御指摘になりましたのは、調整費というのを別項目で十億円立てておりまして、これは現在のところまだ琉球政府予算には入らないで保留をいたしております。と申しますのは、この十億円は、ことしから初めてつくった十億円でございますが、琉球政府は、沖繩は毎年災害がございます。災害対策費で急速いろいろ措置をしなければならぬ、そういう経費、あるいはまた、軍の労務者解雇問題が過去の大きい問題でございましたので、今年度においてもまたこういう問題があるだろうということを考え、さらに将来の琉球政府財政運用等の問題も考慮しまして、それらに対応するためのいわゆる予備費的なものとして十億円を計上しておるわけでございます。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと二つの問題が出てきていると思いますが、二十億ひもつきでない調整費なるものを本年度琉球政府予算の中へ組み込ましている、こういうことが一つ。なお、十億を対策庁が独自の予算として持っている、こういうわけですね。そうすると、琉球政府予算の中へ組み込まれた二十億の調整費というのは、何のために、どういう費目として使われるんですか。
  76. 山野幸吉

    山野政府委員 これは、実は先ほど来お話がございますように、琉球政府財政が非常に苦しい、そうして、一般財源的なものをぜひ付与してもらいたいという強い要請がございましたので、したがいまして、私のほうとしては、名目は国家行政の運営費として二十億円を計上しました。その分は、琉球政府が従来負担していたのですから、その分だけ財源が浮くわけでございます。その財源は琉球政府が御自由に予算編成上お使いになると考えるわけでございます。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 その二十億を琉球政府予算に組んだために、今度はアメリカ政府側の補助が二十億分削減されたということは、あなた知っていますか。   〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕 だから、全体からいえば少しもプラスになっておらないということを、あなたは知っていますか。
  78. 山野幸吉

    山野政府委員 これも先ほどの御質問にもありましたが、アメリカ側明年度援助費につきましては、私どもは、八百万ドル近いものが減額になるということは当時はさだかにわかっていなかったわけでございます。しかし、結果的には、教職員費の援助費が六百万ドル削減されましたから、したがって、見合いからいえば、二十億日本政府で見たものがアメリカ側援助費削減でほぼ対応するようになってしまったということは言い得ると思います。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、結局、本来アメリカ政府の見るべきものを本土政府が肩がわりしただけで、琉球政府財政全体からいえばちっともプラスになっておらないのですよ。  それからもう一つは、対策庁の持っている十億、これは、場合によっては予備費や何かで補充することができるんですか。たとえば、災害があると、琉球政府予算だけではまかなえないからそっちから出してやる、あるいは、不時の支出があるからそっちから出してやるという場合に、その十億のほうは予備費、補正予算、そういうものでそれを増額する道はあるのですか。
  80. 山野幸吉

    山野政府委員 いま申しましたような、そういう新たな財政需要が琉球政府に出てまいりました場合には、大蔵省等とよく協議しまして、十億円はやはり琉球政府援助費として使いたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 もう時間がありませんから、あと項目だけ質問しておきます。  その次に、琉球政府国家事務経費を負担しているということですね。先ほど私も言ったように、裁判所だとかあるいは郵政事業だとかいろいろなことがありますね。そういう経費を日本政府が肩がわかりをしていく、こういうことは考えておりますか。そうしてやらないと、沖繩は実質的な沖繩県でありながら、琉球政府として国家的な経費まで負わされている。それは当然本土政府が見てやらなければ、実質的な沖繩県にそんな国家費用を負担させることは不合理なんですから。その点はどう考えておりますか。
  82. 山野幸吉

    山野政府委員 これは考えようだと思うのです。筋から申しますと、いま御指摘のございましたように、国家機関費だから、沖繩日本に返ったら国が持つんだから、当然全額持つべきじゃないかということになります。しかし、私どもは、いま、二年後の復帰を目ざしまして、沖繩国政県政市町村政を行政面、財政面について分離をいたしまして、そうして、沖繩が返るときにりっぱな、内容のある、しっかりした沖繩県ができるように、県を中心に視点を合わせているわけでございます。それで、返ってきますならば、当然国政分野は国が引き取りますから、むしろ、私ども沖繩の復帰を目ざして準備すべきものは、沖繩県をどうつくるかということにあるわけでございます。現在、一九七〇年で、沖繩国家機関費、国政事務費、これは百七十五億円でございます。沖繩歳入は、その年度で三百三億円、その八、九割までが国税相当の税でございます。したがいまして、単純に国政機関費を、たとえば国税本土で取り、そして国政を見てやるということだけでは、問題はもう解決しないわけでございます、国税のほうが圧倒的に多いわけでございますから。したがいまして、私どもは、そういうことよりも、ここ二年間は、沖繩県を中心にしてどう援助していくか、そして、あわせて、いま御指摘になるような自由財源をどういう形で与えていくか、赤字の問題をどう解消していくか、そういうことにむしろ重点を向けていったほうがベターじゃないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 御承知のとおり、琉球電力公社、琉球水道公社、琉球開発金融公社、こういうようなアメリカ政府が握っている公社があるわけですね。ここからばく大な利潤があげられているわけなんですけれども、たとえばこれまでの剰余金だけでも、琉球電力公社が六十八億近く、琉球水道公社が十二億、琉球開発金融公社が七十九億、こういうものは本来、琉球県民から出た財源なんですから、これは当然琉球政府に還元される方法を考えなければならない。ところが、いまもって、そこからあがるばく大な利潤はアメリカ政府が握っていて、沖繩県予算には何ら余得を及ぼすような状態になっておらない。これは早急に改めなければならない状態なんですけれども、これに対しては、長官、どういう考えを持っていますか。
  84. 山野幸吉

    山野政府委員 水道公社、電力公社でございますが、これは、沖繩本土へ返りますれば、どういう形になるにしましても公営企業として運営していかなければならぬわけでございます。したがいまして、現在の公社がいま御指摘になりますような剰余金を一応出しましても、その剰余金は全部、それぞれ、電力は電力、水道は水道というぐあいに再投資に向けておるわけでございます。この形は、沖繩本土へ返りましても、たとえば水道を県営の水道にいたしまして、そして経営して剰余金があがりましても、やはり水道の再投資に注がざるを得ぬと思うわけでございます、これは水道料金によって得たものでございますから。それから電力は、どういう形になりましても、やはり電力料金から得た純益はサービスに還元しなければいかぬ。そういう公営企業として運営されるべきだというぐあいに考えております。(林(百)委員「だから、公営企業として県へ移管して、県にその管理をまかせるような方向を考えているかどうかということですよ。」と呼ぶ)そういう方向になるわけでございます。それから開発金融公社、これも形はわかりません。県立になるのか、あるいはまた日本政府の機関になるのか、まだ今後十分検討しなければいけませんが、いずれにしましても沖繩の長期投資の機関としてこれを活用していくということになろうかと考えるわけでございます。いずれにしましてもそれらの機関はみんな沖繩県を中心として運営されることは間違いないところと考えます。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 同じような性格のもので、米政府が国県有地を管理して、県民へ貸し付けて約三十二億円の利益をあげている。いままで十八年間無料で使用していた分をもし計算すれば百三十四億になる、こういう当然日本本土政府並びに沖繩県の所有に帰すべき土地をいまもってアメリカが管理して、これを県民に貸し付けて年間何十億という利益をあげている、あるいは十八年間に百三十何億のただ同然の利益をここから吸い上げている、こういうことに対してはどう処理するつもりですか。すみやかにこれを国県有地に戻してこれからの利益というものは沖繩県に帰属するようにしなければならないと思いますが、これはどうお考えになりますか。
  86. 山野幸吉

    山野政府委員 この国県有地につきましては、琉球政府が従来から琉球政府に移管してもらいたいという強い希望を持っておられまして、私どもそういう方向でいろいろ努力はしてまいったのですが、まだ現在のところ実現はしないわけでございます。この国県有地は、本土へ帰りますれば国有地になり、国有地は国が管理し、県有地は琉球政府が管理されるということになるわけでございます。従来はこれを一応民政府が管理をいたしまして、一部は琉球政府に委託して管理している。それからいま御指摘のようにこの収入もあがっておりますが、これはいずれにしましても、本土におきましても国有地につきましては林野は国有林野特別会計を持っております。それから県有地につきましても県はそれぞれ特別会計でやっておりますから、やはり管理費が相当かかるわけでございます。したがいまして将来、これは適当かどうかわかりませんが、県有地として琉球政府が今後移管してもらって、そしてそれを何か処分して財源を出すようにもしかりに——そんなことはないと思いますけれども、そういうようにお考えだと私は間違っていると思います。やはり県有地は県有地として、きちっと林野をはじめその他の県有地を公の財産として善良に管理していっていただきたい。しかし、いずれにいたしましても、もうできるだけ早い機会にひとつ琉球政府に移管してもらうことを日本政府も希望しておるわけでございます。
  87. 池田清志

    池田委員長 林百郎君に申し上げます。お互い申し合わせた時間が相当経過しましたが、この辺でおしまいにしてくださいませんか。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一、二で終わります。  国県有地からあがる賃料、あるいは国県有地を無料で使っておることからあがる利益、あるいは公社からあがる利益、これは琉球政府というものがあるのですから、当然琉球政府の所得に帰属すべきじゃないですか。これをアメリカ政府と称するものが吸い上げているというのでは、琉球政府というのは全く何の存在意義もないことになるじゃないですか。これはいまでもそういうものは琉球政府に帰属すべきだということを日本政府が交渉してしかるべきじゃないですか、その後に県有地をどう処分するかはそれは管理者である沖繩県が考えるべきことじゃないか、こういう立場で私は質問しているわけです。  それからもう一つは、やはり独自に財源がほしいということで借り入れ金ということを考えているわけですけれども、この借り入れ金も、琉球銀行あたりから借りるよりほかに道がない、金融機関としては。あったらあとから教えてもらいたいと思うのです。ところが琉球銀行というのはアメリカ資本の銀行だ、ここでやたらにそんな金を貸すわけにいかないというようにいわれる場合に、この沖繩県の七一年度予算は、この危機を切り抜けるための借り入れ金について日本政府が口をきくなり、保証するなりして、日本の金融機関から借り入れの道を考えるとか、あるいは起債相当の制度を考慮するとかなんとかして、まあ日本本土の各県ですと起債という制度があるわけですけれども、琉球沖繩県にはないわけですから、こういう起債相当の制度を何らか考慮してやるか、あるいは政府が口をきいて借り入れ金の道を講じてやるかどうかしなければならないと思うのですが、その点はどう考えるのですか。
  89. 山野幸吉

    山野政府委員 起債の制度が琉球政府にはないわけでございますが、そのために私どもここ数年来、財政投融資計画、資金運用部資金から沖繩のほうへ援助費として長期貸し付けを行なっておるわけでございます。今年度は七十億で、昨年は五十三億でございます。ただ、琉球政府の中の市町村に対しては琉球政府責任をもって貸し付けるような制度でございますから、これは私ども現在市町村に交付税を直接援助しておりますが、それと同じような方式も将来検討していいではないか、日本政府から市町村の起債のワクを与えてやるということも考えていいのじゃないかと考えておるわけでございますが、これは今後また検討してまいりたいと思います。  それから借り入れ金の問題でございますが、私もし間違っておれば訂正いたしますが、最近の琉球政府からのお話によると、琉球銀行以外の沖繩の銀行、まあ沖繩銀行ということになりますか、あるいはほかの保険会社か知りませんが、そういうところから借り入れをしたい、この金利等につきましては本土の銀行とほぼ同じでございまして、もし地元でそういう措置ができるならそれでいいじゃないかというぐあいに考えるわけでございます。日本本土の市中銀行から直接琉球政府に貸すということは、これは銀行法その他施政権の違った地域でございますから、いま直ちにそれを実施するというわけにはまいりません。私の最近の情報では、琉球政府は何とか琉球銀行以外の銀行から借り入れを行ないたい、行なえるように話がつくというぐあいに聞いておるわけでございます。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わりにしますが、じゃ、あと三つほどまとめてお聞きします。  琉球銀行からかりに借り入れをするという場合に、金利は本土並みということですけれども、そういう場合に、日本政府はそれに対して何らかの保証なり援助なりの道を考えているのか。それは沖繩県あるいは琉球政府が借り入れるのだから、その財政の範囲内でやれと考えているのか、その道が一つ。  それから地方自治体の市町村に対する交付税交付金については日本政府も考慮していいという意味にとっていいのかどうかということです。これはそうとっていいのかどうか。要するに、琉球政府としては市町村の要求に基づくような交付税交付金を出すだけの財政的な余裕がないと私たち考えていますから、この琉球政府の管内にある各市町村の交付税交付金を充足させるためには、琉球政府だけの財政力ではまかなえないわけですから、これについて日本政府は何らか考えているかどうかということ。  それから沖繩県琉球政府自体の交付税制度、ある程度の自主性を持って琉球政府が使うことのできる交付税制度、要するに近似県あるいは類似県並みの交付税交付金の制度をほしいと言っておりますけれども、この三つの点。  一つは、銀行から借り入れする場合に日本政府は何らかの保証をするかどうか。これは沖繩の中の銀行から借りる場合に、借り入れ金がだんだん累積してきます、毎年毎年借り入れ金をしていかなければならないから。その道が一つ。それから市町村の交付税交付金相当額のものを琉球政府が出す場合に、琉球政府財政としてはそれに応じかねるからそれに対して何らかの考慮をするかどうか。それから琉球政府自体に対する、これは実質的には沖繩県ですけれども財政需要額とそれに対する財政力との差額を本土並みの交付税交付金という形で見るということを考えるべきじゃないかと思いますが、これがどうか。  最後に、こういうように私がいろいろお聞きしたのは、いま沖繩県民が逢着している財政的に非常に困難な問題のほんの一、二を——私も最近行ってきてみて、わずかの時間で知ってきたことを質問しているにすぎないのであって、実際は非常に深刻な状態にあります。あなたも対策庁の長官になられて、いま琉球政府が直面して四月までに予算計画を出さなければならないのがまだ出せない状態でいるということに対して、長官の責任においてどういう前向きの姿勢を考えているか。これだけお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  91. 山野幸吉

    山野政府委員 まず第一点の保証の問題でありますが、これは沖繩本土へ返りますまではアメリカに施政権がございます。したがいまして、これは厳密に申しましたら、むしろ保証ということはアメリカ側がなすべきだ。もしかりに保証をやるならそういう筋合いになるかと思います、法律的に申しまして。そういうむずかしいことを言わぬでも、本土に返ってくるんだから、日本政府が何らか措置をしたらどうかという御指摘であれば、その点は実は御承知のように、予算財政投融資計画が成立したばかりの現時点におきましては、いま直ちにそういう点の具体的な考え方を御答弁する段階にないのでございます。  それから第二点の琉球政府が出しておる市町村の交付税について、日本政府は積極的に援助をしていくべきだという御趣旨かと思いますが、この点につきましては、昨年は二十億円、今年度は二十八億円を琉球政府に交付税分として援助をしてきておるわけでございます。もちろんこれは明年度につきましてもさらに実態を見まして充実さしていかなければならぬと考えます。  それから三番目の、いわゆる琉球政府の自由財源というものを与える方法の一つとして、交付税制度に準じたものをとれないか。この点は私ども非常に真剣に検討しておるところでございますが、いま実は国政県政事務の分離の作業琉球政府と協力してやっている段階でございまして、歳入につきましても国税県税、それから行政の中身につきましても国政県政、こういうものをきちっと分類いたします。そうしませんと、交付税法を適用した場合の基準財政需要額とか基準財政収入額というものが出てまいりません。したがいまして、まずそういう作業を復帰準備の一環としてやっておるわけでございます。それがかりに間に合わないとしますれば、何かいまの費目別のひもつきの援助ではなくて、実質的に自由に使える財源を付与する方向、これにつきましては、私どもも十分ひとつ検討してまいりたい。今年度二十億出しましたが、こういう形式がいいか、もっとほかの——おそらく大臣はほかの考え方も構想されておると思いますが、何かひもつきでない財源をどういう形で与えるかということについてまとまった、はっきりした構想はまだありませんけれども、いろいろな考え方がありますから、そういう問題については私ども今後前向きに十分検討してまいりたいと思います。  いずれにしましても、いま御質問を通じて御指摘になりましたような琉球政府財政運営の非常に窮迫しているという実態につきましては、率直に私どもも認めております。したがいまして、これをどうやって打開していくかということにつきまして、今後琉球政府とは十分ひとつ腹を打ち割って、建設的に対処してまいりたいと考えております。
  92. 池田清志

    池田委員長 鯨岡兵輔君。
  93. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 山野長官に五つの点で、もう時間も経過しておりますから、きわめて簡単に御質問申し上げたいと思います。要領よく簡単にひとつお答えをいただきたいと存じます。  第一番目は、きょうで本国会におけるこの委員会は一応終了するわけです。これから休会中の審議ももちろんあると思いますけれども、締めくくりの意味で北方領土並びに沖繩、両方を担当する長官に対して現地住民の感覚をちょっと申し上げて、これに対してどういうふうにお考えになっているか伺いたい。  ついせんだって私、北方領土の視察に行って抑留漁民の家族、それから最近帰ってきた人たちと長い時間会っていろいろ話をしたのですが、そのとき色をなして、あなた方は沖繩沖繩ともう沖繩のことばかりやっているのじゃないか。それは領土の問題ですから、これは一がいに以下言うようなことでこれを律するわけにいかないけれども北方領土、これがかりに日本の領土であるとすれば、あの人たちは一年間に三百億というんですよ、この収入三百億——沖繩日本に返ってくると金ばかり要るじゃないか。三百億入るんですよ。それなのにどうもあなた方沖繩ばかり言っている。ものの勘定を知らないんじゃないか、こういうことを言うんですよ。それはあなたのほうもよくおわかりのように、領土の問題ですから、そんな金の勘定だけではいきませんよと答えてはおきましたが、ここのところどう思いますか。あなたそういう質問を受けたらどう答えますか。
  94. 山野幸吉

    山野政府委員 私は、北方領土から引き揚げられてきた一万六千の方々が切歯扼腕されて、非常に耐えがたきを忍んでおられることはよくわかります。しかし沖繩の場合は、現実に百万の住民が二十五年間の米国施政下におって、いろいろな歴史の背景のもとにいま返ってこようとする、そういうことに対して百万住民の期待にこたえたわが国の施政を確立することは、何といっても当面の最大の課題だと思うし、また佐藤総理も豊かな沖繩県をつくるんだ、そして沖繩百万同胞にこたえたい、こうおっしゃっておられますから、私どもまずこれが問題だと思う。北方領土の問題は、これはやはり日ソの平和な外交交渉で解決していくというためには、やはり息の長い問題としてしんぼう強くたんねんに、決して断念することなく、絶え間なく続けていかなければならぬやや長期的な問題だと考えるわけでございます。それだけにやはり北海道の人たちとしては、またそういう気持ちを持たれることも十分私どもは了解できるわけでございます。
  95. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 おっしゃるとおり、そのことも私言っておいた。百万住民の人権の問題もある、そう言ったらこう言いましたよ。われわれは魚とりに行ってつかまってしまう。それで抑留される。この間幸いにして帰ってきた、帰ったと思ったら、とたんにまたつかまりました。その家族のところへ行って、なぜそんな思いをしてまで行くんですかと言ったら、一つは海の男ですからとこう言うんです。それからもう一つは生活のためですとこう言いました。だから人権の問題もこれは私よくわかりますよ。わかるからいままで沖繩をやってきたんですからね。ですが、北方領土の問題は——北方領土に行ってそれを言うと、抑留されてハバロフスクまで連れていかれて、一番長いのは四年、いままでに十六回つかまって、七回ハバロフスクでお正月を迎えたという人に会いましたが、冗談じゃありません、私の人権どうしてくれるんですかとこういうことになる。これはやはり今度北方——いろいろいきさつありましたね。今度北方を入れたんですから、山野さんひとつ真剣にこの問題にも取り組んでいただきたいと思うのです。  二番目の問題に移りますが、通産省とか大蔵省というのは、どうも沖繩問題に対して、たとえば企業なんか行く場合に、本土の企業を少し大事にして、沖繩のために本土の企業がおかしくなるようなことは困るというような傾向があると私は思うのですが、あなた思いませんか。
  96. 山野幸吉

    山野政府委員 私ども沖繩の産業、経済の開発のためにできるだけの対策を講じていきたいということは、通産省も大蔵省も総理府と同じような立場があると思います。しかし、現実の、たとえば沖繩アメリカの会社が進出しようとする場合に、通産省あるいは大蔵省は外資政策なり、そういう具体的な政策の問題に表では取り組まなければいかぬわけです。総理府としては、将来の沖繩県ほんとうに産業開発ができるような体制をつくればいいわけでございますから、したがってまず沖繩を中心に考えるわけでございます。現業省は具体的な本土の産業政策をまず考えるわけでございます。したがってそのニュアンスの違いが、いま先生から御指摘になったような感じの相違になるのではないかというふうに考えます。   〔委員長退席、川崎(寛)委員長代理着席〕
  97. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 ここにこういうものがあるのです。これをちょっと読み上げますから聞いていてください。沖繩のある業者が本土へ品物を送ろうとする。そうすると、南西諸島物資の指定がないとか、原産地証明がないということでいろいろ問題が出てくる。広島の税関の支署長に中山武夫さんという人がおりまして、この人、昭和四十二年七月二十四日に通産局商工部通商課長あてに公文書を出している。これは神広支第六七三号という公文書です。これは税関の人ですから、ここに沖繩の何々という名前が書いてありますが、私のところへ何々という業者から願いが出てきた。そこで私はこのように指示をいたしました。おまえさんのこの品物はこのままだと税金を取らないわけにはいかない。そこで税金を取るのはちょっとかわいそうだから、私はこういうふうに指示した。「沖繩の生産に係る貨物であっても、「南西諸島物資」に指定されていない貨物については、輸入制度上は有利な取扱いは認められないが、原産地証明書があれば関税は免除になるから証明書を提出するよう指示を行なった。」そういう指示を行なった。私の考えは以下のとおりでありますといろいろと書いておって、こういうことが書いてある。「関税免除に関しては沖繩はもともと日本の一部で輸入による関税徴収など起らない処であるが、外国とみなした為に関税徴収の問題が生じ、これを救済すべく関税定率法附則四号並びに上記一の(4)記載の政令が出されたもので、原産地証明書がなければ関税を徴収せざるを得ません。又、証明書はあっても南西諸島物資に指定された品目でなければ輸入制度上は有利な取扱いを受けることは出来ないので、沖繩原産の確認が出来るものであれば「南西諸島物資」の品目には関係なく原産地証明書を発行して良いのではないかと考えます。」こういう考え方から、親切に業者に指示をいたしたのであります。この人、通産省からよけいなことを言うなとおこられてどこかへ左遷されてしまったという。これは私はいかぬと思うのですよ。これは親切な考えですよ。沖繩本土と同じだ、ほんとうなら税金を取らなくていいのだけれども、いまそういうわけに制度上いかない。それで原産地証明書があれば南西諸島物資云々にかかわらず税金を取らなくていいのだと私は思うと、税金を取る人がそういって通産省に言ったら、通産省では、だめだ、おまえは越権だ、よけいなことを言うやつだといって左遷されたと聞くのです。こういうような考え方日本の役所の中にあるということは、あなたのこれからの仕事に大きな支障になると思うのです。いま沖繩で、たとえばおしょうゆのような日用品ですね、沖繩におしょうゆをつくっていたところが十六軒くらいあった。ところがもう七軒くらいになってしまいました。みんなつぶれてしまった。それはそうですよ。われわれが買っておる値段よりもうんと安い値段で、洗たく石けんをつけたり一ぱいおまけをつけて——本土でもやっていますが、それのもっとものすごいやつをやっておる。とにかく復帰までに連中みんなつぶしてしまえ、そうしてゆっくり行って自分のシェアを広げようという行為がある。それを通産省は黙認している。どうですか、こういうのは。
  98. 山野幸吉

    山野政府委員 御指摘になった事実については私はよく存じておりませんけれども、確かに沖繩の復帰をめぐりまして、現在沖繩を外国として扱っておりますから、したがって本土に入ってくるものには南西諸島物資あるいは原産地証明以外のものについては関税をかけ、また沖繩側も本土から来るものに対しては物品税を課しておる、そういう事態のもとに沖繩の中小企業が成り立っているわけです。そこで、これが撤廃になって相互とも関税なり物品税が廃止される影響というのは非常に大きいと思うわけでございます。したがって、一体沖繩の復帰に備えて沖繩の中小企業をどう維持、存続していくかということについては、やはりこれは大きな沖繩復帰に伴う暫定措置の問題として、今後私どもほんとうに真剣に検討していかなければいかぬ問題だと思います。本土の企業の沖繩進出につきましても、これは総務長官から御答弁があったと思いますが、できるだけ既存企業に大きい影響を与えないような形で本土の企業進出をはかっていかなければいかぬということを御答弁されたことを私記憶しておりますが、そういう行政指導がどこまで徹底をし効力を持つかということもあわせて、沖繩のほうの産業をどう守るかということについて、今後ともにいろいろ先生方の御意見も拝聴しながら慎重に検討してまいりたいと思います。
  99. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 時間がないので遺憾なんですが、山野さん、このままでやっていきますと、沖繩の産業は全部つぶれてしまう。これから興すのではない、いまある産業がつぶれてしまう。そこであなたの仕事は大きい。これは拳闘をやるにしたって、ウェートがあるのだから、向こうはうんと軽いのだからフライ級だし、こっちはヘビーウエートですから、フライ級とヘビー級でやれば負けてしまうのはわかっている。そこでこのフライ級にどうやって目方をつけるかということがあなたに課せられた、そしてわれわれに課せられた大きな仕事である。しばらくの間ヘビー級に減食させて、沖繩に関する限りは目方を減らすということが、これまたわれわれに課せられた大きな仕事である。これは簡単に考えておってはつぶれてしまいますよ。よほど真剣に考えていかなければならないと思う。そうして、以下財政の問題にも移りますが、産業をだめにしてしまったら、税収も何もなくなってしまって、財政をおかすのはあたりまえです。人からもらうことばかり考えたってだめだ。アメリカ援助がどうだ、日本からの援助がどうだ——日本援助はまだいいですよ。アメリカ援助をそうたよりにしておることは、返還してくれという要求と矛盾してますよ。アメリカ責任は別ですけれども、気がまえとしては、そんなもの要らないというくらいでなければ……。それには産業を興さなければしようがないでしょう。これから興すのではないですよ、いまある産業がつぶれてしまいますよ。だからフライ級にどうやって肉をつけて目方をふやすか、ヘビー級にどのくらいの期間減食させればどのくらい目方が減るか。あなたこれは重大な問題ですから、ひとつよく考えておいていただきたいのです。  それから先ほど同僚議員がたいへん心配なさっておりました。私も沖繩自民党の同僚の人たちとよく話をして財政問題を非常に心配しているのです。あなたのお話にもさっきありましたが、国のやる仕事と当然県のやる仕事と分ける作業、これはそんなに簡単にできると思いません。ひとつ大急ぎでやって、財政的な問題を、以上申し上げました経済的な背景の中で、もう少し安心してやれるように持っていく努力を、いままでもう大ぜいなさいましたので、私、答弁を必要としませんが、これはぜひやってやらないと、とんでもないことになりますから、やっていただきたいと思うんです。  同時に、行政能力において相当、やはり沖繩で考えなければならぬ。これは御異論があるかもしれませんが、当初、日本援助をきめたときに、実際言うと、これでえらい助かったみたいなことだったんですよ。えらい助かったみたいに喜んじゃったんですよ。私らの前でもって喜んだ。ところが、税収が思うようにいかない。そういう見通しが私はやはり少し誤ったんじゃないかというふうに思う。そういう見通しを誤ったということになれば、やはり行政能力において、多少、いろいろ混雑していますから無理もないけれども、これからやはり沖繩対策庁長官として、あなたが、いい意味でこれはアドバイスをするとか指導するとか、そういうことをよほど汗を流して骨を折らないとうまくいかない。そういう方面の、汗を流し、骨を折りながら、しかも、日本政府として、類似県並みの行政水準に上げる。それから、しあわせな県民生活のできるように持っていく。それには、お金もかかることですから、ひとつできるだけのことを、われわれも協力しますが、やっていただきたい、こう思うのですが、簡単でいいですから、それに対してひとつ答えてください。
  100. 山野幸吉

    山野政府委員 復帰を間近に迎えまして、この沖繩の復帰体制を円滑に、しかも、将来の沖繩県をりっぱに育てていく、これはまさに大作業でございます。したがいまして、私どもは、まず、政府部内の意思統一をはかりまして、そして、沖繩との間の断層を極力沖繩サイドにおいて埋めていきたい。そういうことをやることは、これは大きい政策の問題が相当ございますから、大臣なりあるいは閣僚協議会というもので基本的な方針はきめてもらい、それから、先生方のいろいろ御指導等をいただきつつ、ひとつ全力をあげてそういう体制の確立に邁進してまいりたいと考えております。
  101. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 最後に、長い間のおつき合いですから、山野さん、あなたの言うことはたいがいは賛成なんですが、最近のあなたの話でどうもふに落ちないで困っていることが一つあるんです。それは遺骨の問題なんです、山野さん。外地へ行って、戦死して、いまだに遺骨を島に置いておく。そういう人たちの遺骨は、地の果てへでもたずねて、これを収集して、この霊を慰めるということは、どうしても必要だ。これはだれでも考えます。ですから、万難を排して、どこへでも出かけていって、あらゆる外交交渉のむずかしいところもやって、それでいま集めているわけです、遺骨収集。この間沖繩へ行ったら、何回も行ったが、初めて、海軍の基地と司令部のあったところ、あすこを見せてもらったんです。あなた、驚くべきものなんですね。地面の下ずっと掘ってあるんですね。もうあの中を見て、実に鬼気迫るものを感じたのですが、ここから先まだあるんですよ、こう言う。遺骨まだ一ぱい入っています、この穴だけで千五百とか二千とか言っている。また、この穴のあれを料金を取って見せている。あるということがわかっているんだったら、それはやらないのは、いろいろ危険もあるし、お金もかかるからだろうと思いますが、あるということがわかっていながらこれをとらないというようなこと、お金がかかるからとか、危険だ——危険だからといったって、いまあんな三十七階のビルだってできるんですよ。その地面を掘って出すぐらいのことは何が危険なことか。要するに、金の問題でしょう。私は、それをほっぽらかしておいたら、英霊がおこっちゃって、沖繩は復興できないと思うのですよ。これはそのままほっぽらかしておって、そうして何かどこか島に行くのだけ宣伝して、かっこよくやって、そうしてすぐ目の前にあるものはそれをやらないで、これは金がかかるから、危険だからといってほっぽらかしておいて沖繩の復興をやろうとしても、これは英霊がおこってじゃまします。いかがです。
  102. 山野幸吉

    山野政府委員 いま御指摘の点は豊見城にある海軍壕の話だと思います。私も、御指摘のような点を聞いておりますが、事は非常に英霊に関係する重大な問題でありますので、この問題につきまして琉球政府がどう考えておられるか、そういう点も、今度沖繩へ大臣と一緒に参りますから、よくその事情も聞きまして、政府としても十分検討してみたいと考えております。
  103. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員 終わります。      ————◇—————
  104. 川崎寛治

    川崎(寛)委員長代理 閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  沖繩及び北方問題に関する件について、議長に対し閉会中審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 川崎寛治

    川崎(寛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、委員長において議長に対し委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 川崎寛治

    川崎(寛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の員数、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 川崎寛治

    川崎(寛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時七分散会