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1970-04-07 第63回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十五年四月七日(火曜日) 午前十時三十四分
開議
出席委員
委員長
池田
清志君
理事
宇田
國榮
君
理事
大村
襄治
君
理事
鯨岡 兵輔君
理事
床次 徳二君
理事
箕輪 登君
理事
川崎
寛治
君
理事
中川 嘉美君 本名 武君 山田
久就君
豊 永光君 中谷 鉄也君 美濃 政市君
大久保直彦
君 小平 忠君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
総理府総務長
官)
山中
貞則
君
出席政府委員
総理府特別地域
連絡局長
山野 幸吉君
総理府特別地域
連絡局参事官
加藤
泰守
君
委員外
の
出席者
沖繩及び北方問
題に関する
特別
委員会調査室長
綿貫 敏行君 —
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した案件
沖繩
・
北方対策庁設置法案
(
内閣提出
第六四 号)
——
——
◇—
——
——
池田清志
1
○
池田委員長
これより
会議
を開きます。
沖繩
・
北方対策庁設置法案
について審査を進めます。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
川崎寛治
君。
川崎寛治
2
○
川崎
(寛)
委員
三月末に
総務長官
たいへん
努力
していただいて、
沖繩
の
軍労働者
の
退職金
の問題について適切な
処置
をしていただくことに対して、その
努力
に敬意を払いたいと思います。ちょうど私は当時
池田委員長
を団長とします
現地調査団
の一員として参っておりましたので、
現地
の表情につきましては、直接はだに触れて見てまいりました。それだけに今後の問題のあり方というものについてもいろいろと考えさせられましたわけです。なお、あの
発表
の二、三日前でしたか
ランパート高等弁務官
とも会いまして、直接いろいろの問題について彼に
質問
もいたしました。そういう点をまず
沖繩
・
北方対策庁
の
法案
に入ります前に二、三お尋ねしておきたい、こういうふうに思います。 そこで、まず第一に明らかにしておきたいと思いますが、三月三十一日までの分について今回は
処置
をする、こういうことになるわけです。
アメリカ
の
会計年度
の六月までの間にどういう
事態
になるか、それはいまのところわからぬわけですけれ
ども
、そのことを
一つ
と、それから新しい
アメリカ
の
会計年度
以降の問題、この
退職金
の
本土
との
差額
の問題についてどういう考え方で対処していこうとしておられるのか、伺いたいと思います。
山中貞則
3
○
山中国務大臣
先般とりました全
軍労
の
既解雇者
の問題につきましての
本土並み差額
の一億九千六百万円につきまして、党派を越えた激励をいただきましてありがとうございます。少しでも
本土政府
の
努力
の積み重ねが
現地側
で
本土政府
の誠意のあらわれとして受け取っていただければ、私は望外の喜びでございますが、そこでただいま御
質問
の現
会計年度
、すなわち
本土
の
会計年度
との食い違いの
残り
三カ月の
期間
における
措置
はどうするのか。これは
記者会見
の要旨にもその件は触れたのでありますけれ
ども
、大体予定されております数字が二百十三名ということに表に出ておりますので、これらの人々にはこちらの四十五新
会計年度
になりましても同じ
措置
をとるということをほぼ
財政当局
とも打ち合わせ、
政府
の
姿勢
としてその
用意
のある旨
発表
いたしております。またその
措置
をとるつもりでございますが、その
措置
といたしましては
年度予算
のすべり出した当初でございますので、
一般会計
の千百億の
予備費
からわずかな金をというわけにもまいりますまい。そこでやはり
財源
としては現在の
調整費
の十億というものの
積算
の
基礎
は一応あるわけですけれ
ども
、新しい
要素
が発生しましたので、これをさしあたり
財源
として使うほかはなかろう。これはいま私の判断で、
財政当局
とそこまで詰めてはおりませんが、
予算
の運用の
姿勢
として
年度
当初から
一般会計
の
予備費
にわずかな
金額
で手をつけることも無理であろうから
調整費
で先に食っていきたい、そういうふうに考えておるのでございます。 それから第二点の一九七一
会計年度
の
雇用者
たる
米軍側
との
話し合い
というものの結果をどうするか、どう見るかでありますけれ
ども
、これは現在精力的に全
軍労
と
雇用者側
との
話し合い
が行なわれておるようでありまして、しかもたいへんありがたいことにいろいろと
内容
の
条件
について
話し合い
がムードは別として具体的に進みつつある。したがってこの折衝が順調に進みまして、私
ども
の願いますのは、
本土政府
がこのような無理をして、
支出義務
を負っていない
立場
にありながら
支出
をしたわけですから、やはり
大国アメリカ——
最近経済的に苦しいといえ
ども
沖繩
の特殊な事情はよく了解してくれていると思いますので、その
団交
の結果として生まれてくるものに一九七一
会計年度
の
解雇予告期間
の
本土並み
、これも
予算
を伴いますし、
退職金
の
本土
との
差額分
等々のものが円満に解決されることを希望し、
期待
をいたしますし、また
雇用形態等
につきましても、
現地
の
準備委員会
並びに
日米協議委員会
の正式の会合もしくはそれに付随するルートを通じましての
交渉
を相伴って促進することにより、その
団交等
の中で
雇用形態等
にも
前進
が見られる
可能性
があるかもしれないという、これは
期待
でありますが、このことは
本土政府
が一義的には
努力
してあげなければ、とても
雇用者
間では解決できない問題でありますけれ
ども
、そういう
話し合い
もできるような
雰囲気
が生まれつつあることを情報の一端からうかがい知ることができますので、相なるべくは、先ほど申しました希望と
期待
に沿った
米軍
の正当なる処理をまず
期待
いたします。 しかしそれが不可能であるあるいはまた部分的にある程度
条件
が
前進
をしたけれ
ども
、なお
本土
に足らないというような場合等における
措置
は、あらためて別個のケースとして、まず
米側
と
軍労側
とでどのような
話し合い
の
妥結点
が見出せるか、
そこら
のところを見守ってから具体的な
検討
に入りたいといまのところは思っております。
川崎寛治
4
○
川崎
(寛)
委員
四月から六月の
アメリカ会計年度
とのギャップの問題ですね。いまそういうふうに
答弁
になられたわけですが、これは過
ぐる本院
の
予算委員会
において
大蔵大臣等
ともいささか触れた基本的な点が
関係
するのだろうと思うのですが、つまり
大蔵大臣
は、要するに新しい
雇用制度
ができなければ見れないというのが
財政当局
の
責任者
としての
答弁
だったわけです。 そうしますと、いま
調整費
だということになると、十億の
調整費
のほうで見よう。ところがあの
調整費
については
予算編成
の
過程
あるいは決定の
過程
ではそういうものには使わないのだ、ちょっと
そこら
が少しいろいろなものをふさぎ過ぎていると思うのです。いま
米軍
が
撤退作戦
をとっている、といって一方では基地の
機能
は確保していこう、いま
沖繩
はこういう相矛盾した
姿勢
にあるわけです。それは
ランパート
氏と会ったときにもいろいろ痛感しました。そうしますと何が出てくるかわからぬ、いろいろな
要件
があるのです。
要件
というか予測し得ない
変化
がある、そういう中で、あの
予算編成
の
過程
の中においてもこれはだめなんだというふうなふさぎ方をした
政府側
の
姿勢
というものは、いまから振り返っていささか適切ではなかった、私はこう思います。 だから、それは
退職金
の問題にしても
間接雇用制度
の問題にしても、
軍労働者
の問題は
日本政府側
の関与すべき問題ではないのだ、当初十二月は出したわけです、それはまだあなたが
長官
として十分な
体制
に入る前のことですから、いまは責められないと思います。しかし
政府
全体としてそういう
姿勢
であったということ、このことはひとつ反省をしていただいて、適切な
措置
でありましたけれ
ども
、それだけにやはり問題が出てから追われ追われて
処置
をしていくというのではなくして、私は極端な言い方をすると、七〇年、七一年というのは、現在の
総務長官
はたいへん熱心に全精力を傾けて取り組もうとしておる。しかし、かわるのかかわらないのか先のことは知りませんけれ
ども
、いずれにしても七〇年、七一年についての
本土政府
の
姿勢
というものは、
総務長官
がかわろうがかわるまいが
本土政府
として明確であるというかっちりした
姿勢
がほしいわけです。そういう点からいくと、あの
調整費
の
問題等
についても、これはいまからとやかく言いませんが、これからの問題としてひとつぜひ明確にしていただきたい、かっちりとしておいていただきたい。そうして不安が起きないように、無
責任
の谷間に落とし込まれないようにするようなことをひとつお願いしておきたいと思います。 そこで、次に
雇用制度
の切りかえの問題ですが、いまも
長官
は少し触れられました。
ランパート
氏と会いましたときに、二月十三日の
日米協議委員会
でこの新しい
制度
の
検討
をするということを話し合ったというわけですね。
当方
としては、つまり
アメリカ側
としては
検討
しておる、
資金
の面、
制度
の面、法的な面、やっておる。しかし問題は、
日本政府側
が
提案
をしたら
——提案
がないということは話の間でわかる、
提案
をしたらということで
検討
する、こういうことになっておるわけです。そこでこれは、前々からこの
委員会
でもいろいろと
質疑
をいたしてまいっておりますから、作業は、
関係連絡会議
の間で、
地位協定適用部会
ですかで
事務当局
としては
検討
しておると承知をしておるわけでありますけれ
ども
、この
間接雇用制度
というのが、つまりいまの筋からいえば七二年というのが普通の筋ですね、それを七二年以前に、つまり
提案
があれば
検討
する、こう
アメリカ側
も言っておるのですが、七二年以前に
間接雇用制度
の
移行
が可能というか、
移行
をさせるという
姿勢
で
検討
しておるのかどうか、まずそのことをひとつ伺っておきたい。
山中貞則
5
○
山中国務大臣
初めに
大蔵大臣
の
衆議院予算委員会
における
答弁
は、あなたの言われるように、確かに
雇用制度
に
変化
がありました場合には考えましょうという
答弁
だったことは間違いありません。 そこで、
日米協議委員会
においていままで
予算
だけを
形式
上議論しておりました
性格
を変えて、この種の問題も議論し合おう、
検討
し合おうということで
前進
を見たことは御報告しました。先般の一億九千六百万円を支払う際の
新聞発表
は、
日米双方同文
で
発表
いたしましたから、その
文章
の
形式
、対外的に
責任
をもって
発表
した中に、
雇用制度
について
具体的検討
に入ることになった、合意したという
文章
がついておりますから、非常に大きな
前進
でありますので、私
ども
は、
雇用制度
が新しいものになったとはいえないけれ
ども
、この
文章
として、
日米双方
が
発表
することを
前進
と受け取ってくれということで、そこのところはたいへん
財政当局
、
大蔵大臣
と何日間にもわたる苦労をいたしました。総理がたいへん好意的に助言をしてくれ、そうして
大蔵大臣
も最後は、その
日米双方
が
同文
のものを
発表
するということにおいて
雇用制度
の
前進
を見たということにも同意しようということで、理解をしてもらったわけです。しかも、
一般会計
の
残り
少ない、
義務支出
を引きますと
残り
がこの
沖繩
へ
支出
しましたために九百万円しか残らない、ぎりぎりの
金額
を出せというわけでありますから、
財政当局
も、そのような
意味
において受け取って
支出
をしてくれたということです。したがって、四十四
年度予算
においてはもちろんのこと、四十五
年度
の
予算
を編成いたします際の
調整費
の
性格
についても、全然違った
前進
の
姿勢
を
政府
がとることになったわけですから、
予算編成
の際の
調整費
というものは、
軍労関係
では、予定した
人員
をオーバーした場合に、
本土並み
の一時金と
就職促進手当
を二千名までは
調整費
の中で
措置
できるだろうという一応の
積算
の根拠がありまして、
差額
の流用については
用意
がないわけですけれ
ども
、しかし一方において、
解雇人員
が不幸にして大量になった場合の
対応措置
もやはり
予備費
で、
調整費
で準備しておかなければいけませんし、かといって、四十四
年度
にとった
姿勢
というものが、不幸にして
話し合い
がそこまで
前進
しないで
本土政府
が何かしなければならぬという結果が出ました場合には、これはいま申しました情勢の
変化
があるわけですから、そこでさしあたり
調整費
からする以外にはなかろうという観測を申し上げておるわけであります。その点で、
予算編成
当時と先般の
一般会計
の
予備費
を
支出
いたしました時点で
本土政府
の
姿勢
は明らかに変わった。その点は私も認めます。またそれは好ましきほうに変わったわけですから、それは御了解を賜わりたいと思います。
ランパート高等弁務官
と
皆さま方
御一行との会談の席における
間接雇用制度
の
日本側
からの提示があれば
検討
する
用意
があるということは、いまだ提示してないではないかという
裏返し
の表現になるわけでして、ある
意味
では正しく、ある
意味
では正しくないということになります。ということは、もうすでに先ほどの御発言でおわかりのように、
話し合い
がつくまで詰めて、
提案
をいたしましたならば同時にそれを
アメリカ側
は了承をしたという瞬間の
日米協議委員会
を持つことにおそらくなるでありましょうけれ
ども
、そういう
形式
をいえば、なるほど提示いたしておりませんが、しかし
施政権下
あるいは
裁判管轄権
、直接には布令第百十六号等々の問題をどのように踏まえて
雇用形態
というものがつくられるのか、新しい
雇用形態
が出発できるのか。あるいはたびたび申しておりますようなその
雇用
する
機関
の態様ですね、
機能
、そういうものをどのようにして
米側
と合意できるものができるか。
そこら
のところをいま詰めておるわけでございまして、その
意味
では、
米側
の
姿勢
もこの問題は
日米双方
の
政府
の問題ではないといった
姿勢
から
前進
したことは先般申し上げましたが、
日本側
としても
軍労
の
ストライキ
とかそういうものへの介入はもちろんいたしませんが、その背景というものの
重み
、九十八万に対する五万五千名という
軍雇用者
の
現地
における
重み
ですね。あるいはそれに
関連
する先般の五日間のストに対する
現地
における不幸な
事態
等々の好ましからざることも憂えまして、私
たち
はこのことを単に一
機関
の
ストライキ
であるというふうにだけとっていないということでこの
措置
をしておるわけでありまして、逆に言うと、これまた
裏返し
で言うと、
ストライキ
をやらせるとかやらせないとかやってはならないとか収拾するとかという形のことは
本土政府
のあるいはタッチできない
分野
があるので、そこまでは考えておりません。しかし、そのような
事態
を永続させることについてははなはだ好ましくないということで、私は
アメリカ側
に直接
あと残り
の二年間を、
日米友好
の
基礎
を固める二年間を持とうとするのか、それとも
日米友好
の亀裂を
沖繩
から起こそうという二年間にしてもかまわぬという
姿勢
をとるかということまでものを言っておりまして、私が
アメリカ
だったら、
日本政府
にたいへん申しわけないけれ
ども
、
雇用制度
についてはそちらでひとつめんどうを見てくれないかということを
アメリカ
から頼むのが本筋じゃないかと思うのだけれ
ども
、というような話までしておるわけです。最近はそのようなことで非常に
雰囲気
がよろしくなってまいりましたので、いま精力的に
検討
いたしておりますから、
提案
という形ができるまでしばらく
努力
をいたしまして、
提案
したら直ちに了承できるということへの
努力
であるというふうに御了解願えれば幸いだと思うのです。
川崎寛治
6
○
川崎
(寛)
委員
そうしますと、もっと詰めますと、いま
長官
の
答弁
から
機関
の問題が出たわけですけれ
ども
、
現地
の
把握
をする、
管理
をする、そういう
機関
がいずれにしてもないわけですね。そうすると、それは
予算
を伴うもので、つまり
本土
からそうした
管理
の
専門家
を渡して実態を
把握
をする、そういう
体制
をつくる、時間がかかる問題である、
予算
を伴う問題である、こうなりますね。端的にお尋ねをしますけれ
ども
、つまり新しい
制度
に移るにしても、
日本側
の四十五
年度
の
予算
の
範囲
においては考えられないと見ざるを得ないのか。そうなると
予算
やそういうものとの
関連
からいけば、七二年というものを置いてぎりぎり早いのは七一年ということなのかどうか、あるいは話が煮詰まるならば四十五
年度
中にも
可能性
があるのかどうか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
山中貞則
7
○
山中国務大臣
それはもちろん四十五
年度
中のことで、
先ほど復帰
まではだめなのかと言われた点ですけれ
ども
、少し落としたかもしれませんが、もちろん
復帰
前に
雇用制度
の改善をやるわけでして、
本土
においても占領中に
雇用制度
は先行したわけですから、特殊な
施政権下
という中であっても、これだけの大きな波紋を投げかけておる問題について
復帰
までにできないということはあり得ない。しかも四十五
年度予算
ではそういうことを見てないじゃないかということは御指摘のとおりですけれ
ども
、これは新しく人間を雇ったりなどいたしますとそうですけれ
ども
、
施設庁
の仕事もそうそういまの
事務量
で人を少しさいてもらってもやっていけないというほどいま忙しいものではありませんでしょうし、これは防衛庁のことですからわかりませんが、協力の
用意
ありと言っておりますから、そういう技術の専門的な
諸君
の出向並びにこちら側の
総理府
の現在の
特連局
、新しくできます
沖繩
・
北方対策庁
の
職員等
の
現地常駐
、あるいは事務的なものは
琉球政府
の
職員
の方々にもお手伝いを願えれば可能な
範囲
があると思いますから、そういうものでそうそう
予算
を食わないと思うのです。ただ
米側
のほうに
予算
を食う
要素
が実はあります。試算ですけれ
ども
、
米側
のほうでは、それを
日本側
が
間接雇用形態
でやってくれると、
向こう側
が
給料支払い
に要する
経費
で一人当たり四十六ドルくらいかかるだろう。それはこちらの
駐留軍労務者
に対して
アメリカ側
が持っておりますから、そういうようなことから割り出した
計算
だと思いますが、それだけむだな金が
支出
されなければならないことになるということもいっておるようです。
そこら
のことは、
雇用形態
が直接
雇用
でなくなれば、こちらも少しがめつく言わせてもらいますと、そういう
給料
の
支払い事務
はそっちでやってくれてもけっこうじゃないか、だからむだな
支出
はやめて、
支払い事務
はそっちでやってくださいよ、
雇用事務
だけこちらでやって、それに関するトラブルその他は
雇用者
としての
立場
であなた
たち
と話をする
機関
をつくろうじゃないかということも、まだそこまで
提案
しておりませんけれ
ども
、
経費節約
、
経費節約
というならば、いまやっておる
給料支払い
と同じことを
アメリカ側
がやってくれるだけでございますから、それくらいのことは
日米双方
で
話し合い
ができる
範囲
ではなかろうかと考えますと、合意に達するのはそんなに長くかからないと思いますから、四十五
年度
の
予算
の
既定経費
であっても
雇用形態
の新しい
前進
は十分
措置
できると私は判断して、自信を持っていま進めているところです。
川崎寛治
8
○
川崎
(寛)
委員
それは
予算委員会
において
大蔵大臣
も新しい
制度
だといえば言っておるのですから当然可能だろうと思いますし、ぜひその点で四十五
年度
中にひとつ新
制度
に
移行
させるということに全力をあげていただきたい、こういうふうに思います。 そこで本上では、
本土
の
雇用者
のために
施設庁
の千百人が
管理事務
についておるわけです。そうすると
沖繩
の場合には大体どれくらいあればそれができるというふうにはじいて
検討
しておられるのですか、明らかにしていただきたいと思います。
山中貞則
9
○
山中国務大臣
そこら
のところが、
本土
のように
間接雇用形態そのもの
ということになればいいのですけれ
ども
、
本土政府
直接、
琉球政府
直接という
形態
がちょっとむずかしいものですから、どういう
形態
になったらどれくらい要るかということも含めていま
検討
中ですから、もう少しお待ち願えれば幸いだと思います。
川崎寛治
10
○
川崎
(寛)
委員
それともう
一つ
は
労働条件
の
中身
の問題ですね。これは今度
退職金
の
差額
で
本土側
に見てもらったわけですけれ
ども
、当然これは
制度
と同時に
中身
の問題も並べて考えなければいかぬと思うのです。こっちのほうはどうですか。
山中貞則
11
○
山中国務大臣
中身
と言われるのは
予告期間
の
本土並み
……。
川崎寛治
12
○
川崎
(寛)
委員
ちょっと待ってください。そうじゃなくて、
現地沖繩
の
米軍労働者
と
本土
の
米軍労働者
の間においては、
賃金
その他
労働条件
にたいへんな格差がありますね。それを引き上げさせるということ。これは当然に
アメリカ側
に
支出
をよけいさせるという、いま非常にけちっておるわけですけれ
ども
、あるいは
制度
よりもっと大きい問題になるかもわからぬ。その
労働条件
のほうを
本土並み
に引き上げさせるということについては、当然この
制度
と相
関連
をして話を進めていかなければならぬ。その点はいかがですか。
山中貞則
13
○
山中国務大臣
私一応
退職金
の
計算
のしかたと受け取って
答弁
をいたしますと、今回の一億九千六百万は、
本土
の全駐労の
退職金
の
計算
と全く同じ
計算
に置きかえてみて
現地
の現在行なわれている
計算方式
との
差額
をそのまま出したということであります。
川崎寛治
14
○
川崎
(寛)
委員
退職金
の問題じゃなくて、現在
雇用
されておる
軍雇用労働者
の
賃金
その他の、つまり
計算
の方法も違うわけですから差があるわけですね。だからそういう現在の
賃金
並びにその他の
労働条件
を
本土並み
に引き上げていく、つまり
制度
を
間接雇用制度
に変えていくと同時に、今度は現在の
賃金
なり
労働条件
を引き上げていく、そういう問題が当然あるわけです。その点はいま
日米両国
間で話に入っているのかどうか、また可能なのかどうかですね。
山中貞則
15
○
山中国務大臣
これは現在の春闘あるいはまた第三波含みということの
交渉
の中でもそのような
条件等
については話し合っているようでありますし、こちら側としても一九七二年になって返ってきたら当然そういう
計算方式
の
米側
の
支払い
は
義務
として生ずるわけですから、それらのこともこれから将来の
検討
の
内容
には当然含まれていくわけです。
川崎寛治
16
○
川崎
(寛)
委員
それじゃ次に
社会保険関係
で、これはちょっといまあるいは議論が無理かもわからぬのですけれ
ども
、新しい
制度
ということにもし
移行
すれば当然出てくる問題ですけれ
ども
、現在
本土
の全駐労の
労働者
の
諸君
は
組合管掌
の
組合
として
社会保険
については
駐留軍要員健康保険組合
というものをつくっておるわけです。だから
沖繩
で
間接雇用制度
で
本土並み
のほうに
制度
を変えていくということになった場合に、その
本土
でできておる
駐留軍
の
要員健康保険組合
に
沖繩
の
軍労働者
をつないでもらうということになると、
沖繩
における
医療制度
というのがいま
本土
と違うわけですが、とりあえず
軍労働者
についてはそうしたものを
本土
のものにならしていくということも可能なんですね。それはできると思うのです。その点はいかがですか。
山中貞則
17
○
山中国務大臣
復帰
までに
本土並み
の
体制
に持ち込んでから
復帰
しなければならぬものに教育と
社会保障
諸政策があると思うのです、代表的な例としては。その中の一環としては当然考えていきますけれ
ども
、現在の
本土
の全駐労の
制度
と
現地
の全
軍労
の
制度
とをつなぐ、たとえば
資金面等
でプールもできるようなことがあるかもしらぬと思いますが、ちょっとそこまではいまの段階では考えておりませんし、非常に困難であろうと思います。
川崎寛治
18
○
川崎
(寛)
委員
米軍
の
労働者
の問題、これで一応打ち切ります。 次に
法案
の審議の
中身
に入っていきたいと思いますけれ
ども
、
沖繩事務局
と
準備委員会
、これは今度も行ってみて、
諮問委員会
ですか、見ておると癒着しておるのですね。これはやむを得ないと思うのですけれ
ども
、今度はいろいろ経理というか給与というか、その他の面でもはっきりするそうですけれ
ども
、しなければならぬわけだけれ
ども
、
沖繩事務局
と
復帰準備委員会
というものとの
関係
、
復帰準備委員会
の
日本政府代表
と
——事務局
は
事務局長
になるわけですか、いまの所長ですね
——
との
関係
、
そこら
を明らかにしてもらいたいと思います。
山中貞則
19
○
山中国務大臣
先般閣議決定いたしました「
沖繩復帰対策
の
基本方針
」というものでその点を明確にいたしました。
米側
と
現地
において折衝する必要のある
分野
は外務省の
出先
で設置される
機関
とし、内政のいままでやっておりました
問題等
についての問題は
沖繩
の
当方
の
出先機関
において処理するということで、対米折衝という場合には外務省でやるということではっきり分けております。ただ、
アメリカ側
が資産の買い取りあるいは円切りかえ等の、これは純事務的な問題ですけれ
ども
、これらの担当を財務省ということにきめましたので、
日本側
としても窓口は一応私
ども
並びに外務省がやりますけれ
ども
、事務は大蔵省がやるということになっておりますが、その点は「
基本方針
」では別段大蔵省がこれをやるとかなんとか書いてありません。ただ
現地
においては、明確に対米折衝を要するものは外務省の
出先機関
、そのほかの内政の問題は
当方
の
出先機関
と、はっきり明示して分けました。
川崎寛治
20
○
川崎
(寛)
委員
そうすると、いまの所長は公使の称号を持っているわけだけれ
ども
、その公使の称号はもうなくなるわけですか。
山中貞則
21
○
山中国務大臣
いま話はしておるようですが、まだはっきりと……。こういう機構になったら公使なんという称号なんか要らぬのじゃないかと私は思うのですが、これはこれから
検討
します。
川崎寛治
22
○
川崎
(寛)
委員
それは渡航事務や何かまだ民
政府
との間のあれがあるわけでしょう。あまりすぽっとした場合に、それではたして
沖繩事務局
の
機能
が果たせるのかどうか、
そこら
は少し慎重でないといかぬと思うのですよ。
山中貞則
23
○
山中国務大臣
外務省は公使のままでいいと言っているそうです。言っているそうですが、そういうものが必要かどうか、私のほうでもう少し判断をしてみたいと思います。
川崎寛治
24
○
川崎
(寛)
委員
それではこまかに尋ねます。 対策庁には総務部と調整部とがあるわけですね。その総務部と調整部にはどんな課ができるのですか。
加藤泰守
25
○加藤(泰)
政府
委員
お答えいたします。 いま考えておりますのは、総務部に総務課と振興課それから北方
関係
を担当します北方課、この三課のつもりでおります。 それから調整部のほうは課制をとりませんで、参事官制にしたいと思っております。現在定員が百名とれておりますので、それを中心に調整部長の下に参事官を六名あるいは兼務者を考えることも
検討
しなければいかぬと思いますが、それも含めまして、参事官を中心に運営していきたい、こういうことであります。
川崎寛治
26
○
川崎
(寛)
委員
北方課は何人ですか。
加藤泰守
27
○加藤(泰)
政府
委員
定員の
関係
は七名でございます。
川崎寛治
28
○
川崎
(寛)
委員
これは北方課七名がついて
沖繩
・
北方対策庁
ということで北方がたいへん、同列に並んだわけだけれ
ども
、これは私はやはり異質だと思うのですよ、正直言って。しかし、まあいろいろ経過はありますよ。いままでのいろいろの経過も十分知っておりますけれ
ども
、異質だと思うのです。だから、なぜこれをひっつけなければいけないのか。北方のほうが、北方領土問題というのは解決していない日本の領土の問題として取り組まなければならないし、サンフランシスコの平和条約における処理のしかたその他等からあるたくさんの問題があるわけだし、解決をしていかなければならない民族の課題だと思うのです。しかしやはりこの七人の北方課に、しかも任務は北方協会がやるような任務だけですよ、正直言って。それをわざわざこれにひっつけるということにはたいへん政治的な意図のほうが前面に出ている。われわれとしてはやはりすなおに受け取りにくいのです、そこの点については。北方対策をないがしろにしていいということではないのですよ。ないのだけれ
ども
、この
沖繩
・
北方対策庁
という形で設置法にするしかた、機構のつくり方についてはたいへん私は釈然としないものがあります。その点北方問題に処するためにはたしてこれが適当なのかどうか、この点
長官
の考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
山中貞則
29
○
山中国務大臣
政治的な
姿勢
が前面に出過ぎるということは、そのとおりです。逆に日本の
政府
の
姿勢
として、政治的という表現もありましょうが、
日本政府
の
姿勢
として北方領土というものに対して大きなウエートを持ったものであることをはっきりさせるために今回は
沖繩
・
北方対策庁
にしたわけです。ですから、裏話になりますが、
予算編成
の
過程
ではいま言われたような議論が党内からもあるいは
予算
に
関連
するいろんな議論のやりとりでもございました。私はそのことも正しいと思います。しかし、たとえば
沖繩
と北方とを分離して、北方は課にして
沖繩
のほうは庁にしてもよろしいとか、あるいは
沖繩
対策庁と
北方対策庁
と二つつくれとか、あるいは
沖繩
のほうは
復帰
までという議論もありましたから、であるならば臨時対策庁でもいいじゃないかとか、いろんな意見が出まして、私の判断では、まあ総理の意向もありますが、
政府
の
姿勢
としては、やはりいまだ返らざる領土という
意味
で、その
重み
において同じ比重を持つという感触のもとに
沖繩
・
北方対策庁
というものを設置するという結論に達したわけです。したがって、その機構の
内容
も天地の開きがありますし、実際上の行政実務というものはあまりありませんが、異質のものであることも認めます。しかし、これ以外に方法をとるとなると、これまた分かれることによるいろんな意見が出ましたので、私としては国の
姿勢
を、同じ比重で対米、対ソというものに持っておる日本の姿というものが望ましいと考えて
沖繩
・
北方対策庁
というものの設置に踏み切ったいきさつがございます。
川崎寛治
30
○
川崎
(寛)
委員
率直に認めておられるわけですけれ
ども
、これは先般、前回の
委員会
で、私途中退席しておったものですから、美濃
委員
が漁業の安全操業の
問題等
でいろいろ
質問
された中で当然出ておったんじゃないかと思いますが、北方領土問題についての任務というものを分析すれば、外交
交渉
の推進というのは、これは外務省の問題ですね。それから国民に対する啓蒙宣伝活動の推進というのは、これはこの間できておる北方領土問題対策協会の問題ですね。それから漁業の安全操業は、これはもう
総理府
ではどうにもならぬ、水産庁の問題あるいは運輸省の問題です。それからあと北方地域旧漁業権者に対する援護であるとかいう問題、これは協会の問題。
総理府
はほんとうはないのですよ。だから外に対する意義というのと、国内に対する少しの見え透いた意図
——
見え透いたという表現は悪いかもしれぬけれ
ども
、見え透いた意図というものがあまりにもひっつき過ぎておるというのがわれわれの
——
沖繩
というのと北方というのをひっつけた、そこにたいへん感じざるを得ないものがある。しかし率直に認められましたのでその点はそれにしておいておきたいと思います。 次に県民の参加ですね。
沖繩
・
北方対策庁
が仕事をしていく。しかし
沖繩
県民は七〇年、七一年そして七二年とこういう経過の中で、結局復興開発ということについて直接参加をしないわけですね。国政参加ですると言われるかもしれませんが、それは直接経済の復興なり開発なり
制度
の
変化
なりというものへの参加ではないわけであります。国政全般の問題であります。次元の高いところにおるわけですね。そうすると七〇年、七一年と処理していって七二年につながっていくというその際に県民がどういう形で直接この復興開発、
復帰
、そういうものに参加していくか、そのあり方を伺いたいと思います。
山中貞則
31
○
山中国務大臣
全般的には
琉球政府
の意見を絶えず聞きながら進めるわけですが、そのようなことの以外に
沖繩
・
北方対策庁
の設置が国会で可決決定いたしましたならば、その人事配置等においても相当首脳部のクラスまで
沖繩
県民の登用と申しますか、協力ということを私は考えておりまして、その人材を目下スカウト中と申しますか、直接機構の中にも県民の人
たち
に参加してほしい。その能力のある人がおりますから、当然おられるはずでありますから、
琉球政府
の御協力も得て両者こん然一体となって進めていきたいものだと思っておりますが、たぶん実現可能であると思っております。
川崎寛治
32
○
川崎
(寛)
委員
それはお役所的な役人的な感覚になるわけですね、上からということ。戦後の審議会というものの設置、そして審議会の今日の役割りと、これはいろいろ議論のある問題でありますけれ
ども
、県民の各階層の代表者が、たとえばいろいろな審議会がありますけれ
ども
、北海道の開発庁の場合には審議会がある、あるいは奄美大島の場合も審議会があったわけです。そこで審議会をつくって、それに、
沖繩
のもろもろの矛盾がある、問題がある、そういうところの大まかな代表者を幾つかの部門から出して、そうしてその審議会に参加をして、
本土
の国民と
沖繩
県民と一体になって
復帰
への道というものに直接意見が反映させられる。役所を通して
琉球政府
を通してということでなくて、県民代表の参加のもとにできるということが必要だと思うのです。国政参加ができるのですから、そういう経済問題だとか労働問題だとかその他のいろいろな社会
問題等
で
現地
の代表者が参加できぬということは、これは施政権の変質
過程
である今日においては問題外だと思う。だから私は、審議会を設置して県民の参加というものを当然求めるべきだ、こう思います。その点いかがでありますか。
山中貞則
33
○
山中国務大臣
私の言ったのは、行政機構もこっちからの一方的な祖国の押しつけであってはならないので、その中にも、相当な高い
責任者
の地位にも現在県民の
立場
の人
たち
を抜てきしていきたい、そうして一体となってやりたいということを申し上げたので、その審議会設置はやはり
復帰
いたしましたときに国会に、どういう名前の法律になりますか、いずれにしても
特別
措置
を提出いたしますから、
予算
上あるいは税制上その他のもろもろの
特別
措置
をきめますときに、審議会設置を当然その法律の中でうたって、広く
現地
の方方の各方面の識者の意見を反映しながら、復興何カ年計画とかいうようなものを進めていかなければならぬだろうと思いますが、いまの
沖繩
・
北方対策庁
という機構をつくって、そして形は四十五
年度予算
、四十六
年度予算
という形で進めていきまする場合に、審議会がはたして必要なのかどうか。いまおっしゃったような感触でいけば、当然
日本政府
が
復帰
を予定しておる間の作業というものはもう
復帰
した後につながるその道のりなんだから、それに対して県民の意思を反映させろということでありましょうけれ
ども
、いまのところは
予算編成
というものにそれを反映させるという形しかとれませんので、審議会なり
委員会
、調査会というようなもの等については、まあ研究はしてみます。
復帰
したならばそれはつくらなければならぬだろうとは思いますが、御意見は承って研究します。
川崎寛治
34
○
川崎
(寛)
委員
法案
の四条三項に、「
沖繩
の
復帰
に関し、その準備のための施策を策定し、並びに
沖繩
の経済及び社会の開発及び発展を図るための基本的な施策を策定すること。」ということが四条三項の権限で明記されておるわけですね。 そこでこれを具体的に進めるという場合に、上から
本土政府
が
琉球政府
を通してということではいけないのじゃないか、私はこう思うのです。だから、国政参加というのが一方であるわけですから、従来
本土側
でいろんな審議会の設置法なりあるいはいろんな規約に従って審議会を設置するという議論の詰め方もあるでしょうけれ
ども
、この四条三項の基本的なものを進めていくということについて県民の参加ということを求めるのが、私は第三の琉球処分だ何だということにならない道だと思うのです。私はこの点はひとつこの
法案
が終結に至るまでの間各党の皆さんにも御相談したいと思いますけれ
ども
、
政府側
としてもそれは付属
機関
として
沖繩
問題審議会あるいは開発審議会というものを設置してしかるべきだ、こう思います。私はこれは、この
法案
審議の終局までの
過程
でこの問題についてはひとつ
総務長官
としても
検討
していただきたいと思います。いかがですか。
山中貞則
35
○
山中国務大臣
この
沖繩
・
北方対策庁
という現時点においては、私のほうは審議会設置ということは考えておりません。
川崎寛治
36
○
川崎
(寛)
委員
そこにこの対策庁というものとそれからわれわれが主張してきておる開発庁というものとの考え方の違いも出てくるわけですね。それから
総理府
の外局は、防衛庁にしても経済企画庁にしても、国務大臣を長にしておる外局はたくさんある。だからこの対策庁を一般職の
長官
ということではなくて、ほんとうに佐藤内閣が大きな問題として考え、取り組むならば、なぜ国務大臣を長にするものにできないのかという点、これは前にも議論はあったと思いますけれ
ども
、そういう点を考えますし、また、いまのこの審議会との
関連
においても、私はこの
機関
のあり方というものについて問題を感ずるわけです。なぜ大臣を長とする
機関
にできないのか、明らかにしてもらいたいと思います。
山中貞則
37
○
山中国務大臣
これは
復帰
いたしました後もおそらく議論の分かれるところだろうと思います。現に北海道開発庁で専任大臣がおるわけでありますから、私は
復帰
後はそのような
沖繩
開発担当大臣みたいなものがおってもいいと思います。これはこれからいろいろと議論の分かれるところだろうと思いますが、しかし現在は行政機構としての外局の長を次官クラスということで、
復帰
までの間はいくほうがむしろよろしいと思う。それを外局といっても私が指揮監督、連絡調整、そういうことは可能でありますし、そうすべきことでありますから、そういう
立場
におってやったほうが、別な大臣をいま設けるというのは、ちょっとそこまでは、鶏をさくに牛刀を用いるの感なきにしもあらずという気もしないではありませんので、機構の問題じゃなくて、やはり基本はもうほんとうに真剣にやるかどうかの問題だろうと思いますから、私が一生懸命やります。したがって次官クラスの対策庁の
長官
で私は当分の間はよろしいのであると思っております。
川崎寛治
38
○
川崎
(寛)
委員
いや、あなたの手からはずしてほかの大臣にというのは私もしのびがたい点がありますよ。ありますけれ
ども
、しかしこれは
山中
個人の問題じゃなくて
機関
の問題ですから。だからそれはまあこれからもあとまで続く議論ですけれ
ども
、その点は対
沖繩
の問題に対する
本土側
の
姿勢
の問題として、絶えず議論しなければならない問題だろうと思います。 次にお尋ねしますけれ
ども
、この
機関
は期限がないのですね。臨時対策庁にしようかどうかという議論もあったという点もありますけれ
ども
、この対策庁に期限がないということになると、
復帰
後もずっと続く
機関
として考えておるというふうに見てよろしいですね。
山中貞則
39
○
山中国務大臣
復帰
の時点において現在のこのような機構、論議していただいております機構でいくべきか、それとも先ほどの御発言にありましたような全く独立の庁を置いて専任大臣を置くという形でいくべきものか、それらは
復帰
の時点までに煮詰めなければならぬ問題だろうと思うのです。現在のところは担当大臣を置くということは少し大げさ過ぎるという気がします。
川崎寛治
40
○
川崎
(寛)
委員
それならやはり七〇年、七一年にというか、とにかく
復帰
までのそこに全力をあげる
機関
だ、これでいけば、法律としてはこのままでもいけるのですね。そうなるとつまり自治体としての
沖繩
の自治をどう見るかという点が当然出てくるのです。しかしこの法律は期限のない恒久法である
性格
を持っておりますね。そうしますとそのことは、いまあなたは
復帰
の時点でどういうふうにすべきかを
検討
しなければならぬと思う、こう言っておっても、法律というのは制定の
過程
でどうあろうとも、制定してしまうと一人歩きするわけです。一人歩きするこの法律というのが
——
沖繩
は特に二十数年間も
本土
から引き離されて痛めつけられ、苦しんできておるわけです。それに対して
本土側
が厚い手当てをしなければならぬのは当然です。といって自治体としての自治を踏みにじっていいというわけではない。よもやあなたにそれがあるということは言いません。言いませんけれ
ども
、しかし法律としては、このままでいくならばなりかねない。だからこれは当然に期限を切ったものであるのが、すなおな、その時点で再
検討
ということになるわけです。このことを法律の上にも明確にすべきだ、こういうふうに思います。いかがですか。
山中貞則
41
○
山中国務大臣
これは
関係
行政各省が、期限がない法律だから
復帰
後も直接建設省、農林省とかそういうところが
沖繩
については仕事ができないんじゃないか、
総理府
のほうでまた引き続きやるつもりじゃないかという、そういう
意味
の逆な議論等もありました。しかし、かといって
復帰
までであるということにした場合には、私
ども
のほうが
姿勢
として
沖繩
の自治をじゅうりんするということでは決してないので、手厚くしてあげるために
特別
にそういう機構を設ける、機構を持っているということのほうが
——
特別
扱いをしてあげなければいけないのだと私も思うので、その
意味
では普通の県並みのそういうものが、何ら
特別
の開発対策所管というものがないということでは、自治省所管ではまずかろうと私は思うんで、これをこの形でずっと
復帰
後もやっていくかどうかについてはまだきめておりませんけれ
ども
、何らかの
特別
の行政機構も
沖繩
には必要である。そのことは決して自治のじゅうりんではなくて、
沖繩
の特殊な環境の尊重であるというふうに私は考えております。
池田清志
42
○
池田委員長
大久保直彦
君。
大久保直彦
43
○大久保(直)
委員
対策庁の設置の
法案
の
内容
につきましては、かなり審議も進んでおりますので、私は、その対策庁がこれから具体的な作業に入りますその基本的な
沖繩
復帰
に対する
姿勢
といいますか、今後の具体的なビジョンの問題について、二、三お伺いいたしたいと思います。 初めに、いままでも再三議論ございまして、ただいまも
川崎
委員
のほうから御
質問
ございましたのですが、このたびの
沖繩
復帰
という大きなテーマが、戦後日本の政治課題として最も大きく評価されていいんではないかと思いますし、また
復帰
の
内容
については非常に多種、多岐にわたって分かれており、複雑である。いままで
長官
からもいろいろ伺っておるわけでありますけれ
ども
、私
たち
沖繩
の
復帰
のしかたにつきましてはいろいろな議論もあるわけですが、一たん七二年
本土
復帰
ときまった以上は、与野党総力をあげてこの問題に取り組まなければならない。それが一億国民の願いでもありますし、また
沖繩
県民百万の願望でもあるので、そういったわれわれが総力をあげて取り組まなければならないこの問題、その具体的推進の
機関
としての対策庁の設置、こういった大事な仕事に携わることにつきまして、非常に不可解であると思うのは、いままでの
長官
の
沖繩
問題に対するいろいろな発言やまた熱意、いままでの御経験から推測いたしまして、なぜ
長官
自身その陣頭に立ってこの問題を処理されようとなさらないのか。この問題について私
たち
も非常に理解に苦しみます。また、過日も
沖繩
の方と二、三お目にかかって談合いたしまして、そのときも、
長官
が
沖繩
に来られまして、
沖繩
に対する建設的な意見を吐かれたにもかかわらず、具体的な対策庁の
長官
としての場所を、観念的にいろいろな問題は積極的に前向きに発言があっても、具体的にこの任務を遂行するについての
長官
が対策庁の長につかないということは、どうもふに落ちない。むしろ先ほどお話があった
本土側
の政治の問題といいますか、取り組み方の熱意の問題ではないか、こういった意見も
沖繩
県内にはあるわけでございますけれ
ども
、なぜ
長官
御自身がこの対策庁の長として陣頭指揮でいろいろな問題を解決しようとなさらないのか。くどいようでありますけれ
ども
、もう一回明確に万人が納得できるような御
答弁
をお願いしたいと思うのです。
山中貞則
44
○
山中国務大臣
専任の大臣を置く置かない問題は、先ほど議論しましたので省略しますが、外局ができまして、私の手から飛び去って無縁のものになるわけじゃございませんで、機構として外局とし、独立の事務次官クラスの長を置くということでありますから、それを私が同じように、陣頭に立ってという表現がどうか知りませんが、私の
責任
において運用していくことにおいては変わりはないわけです。むしろ機構を高い権威のものにしたという点で非常に大きな
前進
だと思うので、
沖繩
側にもし誤解があるとするならば、私の手から離れて対策庁が、役人だけのものが別に一人歩きするようにとっておられると、それは事実と違うというふうに考えます。
大久保直彦
45
○大久保(直)
委員
そういうお考えであれば私は率直に申し上げて対策庁なんかつくる必要はないと思う。現
体制
と何ら変わらない。
特連局
という名前が対策庁に新たに変わっただけであって、
長官
はどういう具体的な利点を、対策庁に昇格することによって考えておられるのか。伺いますと、
予算
も一億一千二百万ですか、正確には一億一千百九十七万余円、月に割りますと約一千万弱、これはどんなことをやるのか、あとで伺いたいと思うのですけれ
ども
、非常にわずかな
予算
、月額一千万弱のわずかな
予算
で、
人員
もさほど大幅な増加ではない、そういった点からしますと、なぜこの
特連局
を対策庁というふうに格上げをしたかということについては、一部世間では行政官庁の打開策の一環じゃないかなどという非難もあるくらいですけれ
ども
、こういった問題について、大臣から伺っている
沖繩
問題解決に対する積極的な御発言とはどうも何かしっくりしない。いままでの機構と同じような
体制
のままでは、
特連局
が対策庁と名前が変わっただけのような、そういったニュアンスでこの問題が進められていることは私も非常にまずいと思いますし、
長官
の意図するところとはまるで別な問題じゃないかと思うのです。戻りますが、
特連局
から対策庁に昇格することに対するメリットをどのように考えておられるのか。
山中貞則
46
○
山中国務大臣
念のため申し上げますと、
特連局
にしても対策庁にしても、事業はやらないわけなんですね。だから、事業
予算
は硫球
政府
に対する援助額の増額によって七二年まではまかなっていかなくちゃなりません。ですから、そのような仕事はこれからもしないわけですから、そうそうむやみと人間が必要なわけじゃありませんが、いまの
特連局
の一局の機構の中では、先ほど
川崎
委員
から機構の一部に触れられましたけれ
ども
、そのような参事官クラスを五名も構成した、部長が上に一人いてというような、一例をあげますと、そういう機構になかなかなり得ません。ことにこれから
復帰
の具体的な各
分野
、農林、経済、建設その他たくさんありますが、それらの
分野
についてそれぞれの省の専門職の
職員
に対策庁に来ていただいて、自分の仕事として積極的にやっていただくということがどうしても必要になってきました。そこで、各省からそういう人々をえり抜いて集めて、それを統轄するためには、庁への昇格がどうしても必要であるということなんです。いまのままの局では、他省からそんなに参事官クラスという人々を集めるのは機構上非常に困難でございます。
大久保直彦
47
○大久保(直)
委員
いまの御
答弁
、ひねくれて伺いますと、
特連局
をいろいろ増加するにあたって、参事官クラスをスカウトしてきてそういう
体制
を組むについては、他局とのバランスの問題で非常に困難である、ですから、対策庁に昇格させてその事務を今後やっていくんだ、こんなふうに受け取れますけれ
ども
、そういうことでございますか。
山中貞則
48
○
山中国務大臣
それはちっとも意地悪くないので、そのとおりなのです。行政事務能力というものを、
現地
の人々の意向を尊重することを前提として進めますから、専門職の
職員
が
現地
の事情を専門的に知り、
現地
の
専門家
と打ち合わせながら進めていくということになりますと、現在の
特連局
の人材では、それぞれのベテランがおりましても、行政各官庁の
専門家
というものに人手を欠きますので、そういう
意味
においては決してひねくれた解釈ではなくて、そういうものを円滑にするために庁に昇格させるということであります。
大久保直彦
49
○大久保(直)
委員
いま出た問題で、ついでに伺いますけれ
ども
、一億一千百九十七万の
予算
がついたのだと思うのですけれ
ども
、この具体的な用途についてお願いします。
加藤泰守
50
○加藤(泰)
政府
委員
お答えいたします。 一億一千万云々という数字は、昨年の
予算
と比較しましての増でございまして、全体といたしましては
沖繩復帰対策
のための機構改革に必要な
経費
、これは従来のものを含めますが、三億三千三百万円でございます。機構としてはそういうことでございます。 それから、具体的にどういう仕事をやるかでございますが、
沖繩復帰対策
の推進に必要な
経費
、これは
琉球政府
との連絡あるいは協議、それから各省との協議その他の費用が入っております。また
現地
調査のために相当費用を組んでおります。それから、これは
沖繩
の
復帰
対策の推進のために必要な
経費
でございますが、それ以外に北方領土の問題につきましては四千七百五十一万八千円、これは、北方領土問題解決促進のための費用とそれから北方領土問題対策協会補助の費用、この両方が入っております。それから尖閣列島の資源調査のために必要な
経費
といたしまして三千百四十七万、そういう
経費
が入っておりますが、これ以外に、先ほど申し上げました三億三千三百十万という中には、食糧
管理
特別
会計に繰り入れる
経費
、これは去年の暮れに可決していただきました、
沖繩
における産業の振興開発等に資するための
琉球政府
に対する米穀の売渡しについての
特別
措置
に関する法律、この法律に基づきまして
本土
産米を
琉球政府
に売り渡しますので、その売り渡し額とこちらの価格の
差額
が食管の
特別
会計の損失になりますので、その損失を補てんするために必要な
経費
、こういうことでございます。合計いたしまして三億三千三百万、これ以外に、
長官
がお話しになりましたように、援助費、これは
琉球政府
に対する援助費でございますが、
琉球政府
の財政援助の充実のための必要な
経費
といたしまして二百三十九億一千二十八万二千円、これは
会計年度
のズレの
関係
がございまして、ことし、といいますか、この一月に決定しました
沖繩
援助費約三百三十億のうちの、本
年度
すなわち四十五
年度
に計上されたものと、それから昨年合意いたしました二百二十七億のうちの一部、それの一部を加えましたものが二百三十九億一千二十八万、こういう数字になります。これが
本土政府
の四十五
年度
の
琉球政府
に対する援助費でございます。 以上でございます。
大久保直彦
51
○大久保(直)
委員
その約一億一千二百万、月に割ると約一千万弱の、たいした
金額
ではありませんけれ
ども
、対策庁が新設されることについてこういった
予算
がつけられたということは、対策庁になってから何かやはり画期的なそういったプランがあるやに理解いたしておりましたけれ
ども
、いま伺いますと、従来
特連局
で行なっておった業務が自然膨張といいますか、その
経費
の自然増加に充てられるんだ、この増加分についてはですね。そういうふうな理解をしてよろしいのでしょうか。
加藤泰守
52
○加藤(泰)
政府
委員
一億一千五百万という数字は、本庁に十一名、
現地
に十四名の増員をいたしまして、その
関係
で出てまいります対策庁の拡張に伴います
経費
でございます。それを従来のものと合計しますと三億三千三百十万ということになります。一億一千万というのは、人件費の増でございます。
大久保直彦
53
○大久保(直)
委員
新しい追加分というのは人件費の増加の分だけなんですね。
——
それで、ここでもう
一つ
伺ってから初めの問題に戻りたいのですけれ
ども
、対策庁の守備
範囲
の問題でございますが、
沖繩
県内のいろいろな行政機構の改革、またその行政事務の
本土
との一体化、また社会的水準の
本土
との一体化、こういった問題だけに取り組むためにこの対策庁が設けられるのか、それとも日本という総合的な
立場
から
沖繩
をどういうようにするかというような見地から、この対策庁でいろいろな問題が討議され、それが各省庁に答申のような形で出されるのか。その対策庁自体のあり方の問題なんですけれ
ども
、あくまで
沖繩
県内の社会的水準、経済的水準、さらには行政事務の
本土
との一体化、そういった面のみを対象にこの対策庁は今後作業を進めていくのか、それとも、むしろ日本という大きな前提を踏んまえた上で、その中で
沖繩
という問題に取り組むためにこの対策庁でいろいろな問題が討議されるのか。私、実はあとでいろいろなことを伺おうと思ったのですけれ
ども
、この対策庁の内部機構の一覧表を拝見しました。この
内容
によりますと、残念ではありますけれ
ども
、前者の
沖繩
県内の問題を
本土
と一体化する、そういった作業が行なわれるためにこういう各部が設けられるというような認識をいたすわけなんですが、その点についてひとつ……。
山中貞則
54
○
山中国務大臣
それのみではありませんが、それに重点を置きませんと、二十数年も、法律
制度
のもとから始まって、一切違った居住環境に置かれているわけですから、そのための
琉球政府
との共同作業みたいなものを進めていくためには、どうしても、尖閣列島の調査とか、そういう特殊なものを除いては、これはやはり人間が最低必要なだけの確保をされて、相談が順調に進まなければならぬと思うのです。 そこで、いまのお話は、別な観点から、琉球のこれからの未来をどうとらえるかということだと思うのですが、新しい全国総合開発計画の中で、
沖繩
と北方についてわずか数行触れております。これは、その時点においてはやむを得なかった環境にありましたので、
復帰
の後ということになっておりますけれ
ども
、
復帰
がもう確定いたしましたから、それに伴って、新全総計画の上で位置する
沖繩
というものを十分に考えて、しかも新全総に引っぱられる
沖繩
ではなくて、
沖繩
が新しい日本の版図に戻ってくる、それを地球儀的な見方といいますか、マクロ的にとらえて
沖繩
の価値というものを再認識し、その再認識の上に立って新しい未来を設計し、開発していくということがこれからの方向であります。ですから、機構の問題と、今後の
沖繩
を進ませる道あるいは
沖繩
のたどる道筋というものを大きな視野に立って描くということとは、直接には
関係
ありませんが、そういう作業は当然、
琉球政府
自体も、十カ年計画とか、いろいろなものをつくっておられますから、これも琉球の立法院において議論がされておりますし、十年後には基地が全くなくなるというようなこと等もありますから、そういう琉球側の理想あるいは願望もある程度入って計画されておりまするものをいかに現実化していくか、しかもその方向をすなおに私
ども
が受け取れるような計画が樹立できるかということで苦心していかなければならぬと考えておりますが、その
意味
では
沖繩
というものを戦前の
沖繩
的なもので見るわけではなくて、ほんとうに新しい
立場
から再登場する
沖繩
、それが
沖繩
県民の人々の今後の発展、福祉につながる道であると考えております。
大久保直彦
55
○大久保(直)
委員
ただいまの
長官
の
答弁
は、私も非常に感激しておりますけれ
ども
、ただし、そういうお話は、今回の対策庁の管轄内ではないということでございますか。
山中貞則
56
○
山中国務大臣
そうではございません。対策庁の中でそのような構想を練り上げていくわけです。そのために各省のベテラン等が参加をする機構になるわけでありまして、これには当然新全総の
責任
官庁である経企庁等ともその新全総の
沖繩
復帰
後に予想される格づけ、位置づけ等も密接な連絡をとりながら、展望の大きな柱として進まなければならぬと思います。
大久保直彦
57
○大久保(直)
委員
ただいま伺った、
長官
の大きな視野に立った上での
沖繩
復帰
という問題を考えれば考えるほど、初めの問題に移るわけですけれ
ども
、なぜ
長官
みずからこの問題に取り組まないのか、そういう疑問がますます大きくなるわけです。ただ単に行政事務の一体化ということだけでなくて、日本という、またアジアという大きな観点から
沖繩
問題をとらえていかなければならない。そういったベースに立って
沖繩
問題というものを
検討
しなければならないはずなのに、この新しくできる対策庁が単なる行政事務の一体化ということだけで終わってはならない。
長官
もただいまお話があって、そういう御意図であると思いますけれ
ども
、では、なおさら
長官
が
責任
をとられて、ただいまと兼任の
立場
でもこういった問題に取り組んでいくことがやはり大きな、よりスムーズな運営の一途ではないかと私は考えるのです。そうした中で、いままで
特連局
でやってこられた山野さんがサブ的な
立場
で具体的な問題を取り上げればいいと思うのですけれ
ども
、
沖繩
復帰
については各省庁とのいろんな連携、こういったものはたいへん複雑になってくると思うのですが、その対策庁の
長官
に
長官
がおられるかおられないかでは今後の運営にいろんな支障があるのではないか、こういうことを重ねて申し上げるわけですけれ
ども
、だからといって変わった御
答弁
はいただけないと思いますので御
答弁
は要りませんが、私
ども
はそういう気持ちでおりますことをぜひ御認識いただきたいと思うわけです。 具体的な問題に入る前にもう一点伺っておきたいのですけれ
ども
、実際七二年
復帰
と、あと二年足らず、非常に短い
期間
でございますが、過日、話題になっておった
沖繩
の国政参加問題です。ただいま立ち消えになっておりますけれ
ども
、
沖繩
復帰
の円滑ということを考えれば考えるほど、一日も早く国政参加を推進して、その合同協議の上でも、また
沖繩
県民の人
たち
の具体的、直接的な意見をいろいろ反映させながらこの
復帰
という問題が考えられていかなければならない。この国政参加の問題は、いま
事務当局
で問題にいたしておりますけれ
ども
、非常に一歩後退した感がいなめない。こうした国政参加早期実現という問題について、
長官
の私見でもけっこうでございます、お聞かせいただきたいと思います。
山中貞則
58
○
山中国務大臣
私見でなく公見として申し上げます。これは実は国会にお願いしてございますので、なるべくすみやかに国会で立法していただきたい。議運ではすでに各党で
話し合い
がほぼついておられるようであります。そこで、ここらから先は私見が少し入るかもしれませんが、といっても党人としての
立場
になるわけですけれ
ども
、わが党の中で憲法論議というものがございます。違憲になる
分野
があるのではないかというような、不逮捕特権あるいは免責条項、いろいろございますが、こういうような問題、あるいは全国民を代表するものであるという定め等に対して、全国民代表といえるかどうかというようないろんな問題がありますけれ
ども
、これはなるほど議論はしておかなければならないものだと思います。議論があることがけしからんとは言いません。立法する以上は、当然違憲であるかないかの議論は立法する側においては十分に考えなければならないことでありますし、また与党でございますから、
責任
のある
立場
も一方にございますので、その議論が行なわれたこと、このことは私は異論はございませんが、しかし内閣法制局も衆参両院の法制局も、大体においてこの法律が伝えられる原案どおり国会で成立をしても、違憲には直ちにならないという見解を最終的に統一いたしましたので、わが党の議論もおおむね峠を越しまして、あとは手続を残すのみということになっておるようでありますから、その点は自民党の一員として、せっかく同意していただいた各党の合議したものが、わが党の、正しい
立場
で確かめるということではあっても、時間的に少しおくれたということについては、私もおわびを申し上げたいと思いますが、たいへん順調に進むところまできたようでございますので、あとは国会の方々にすみやかなる成立をお願いするということでございます。
大久保直彦
59
○大久保(直)
委員
この問題につきましては、
総務長官
からも重ねて強いプッシュをしていただくことをお願いしまして、次の問題に移りたいと思います。 対策庁ができましてから七二年まで、先ほど申しましたように非常に短い
期間
でございまして、そこからいろんな問題、プランニングが始まるとは思っていないわけなんです。すでにきちっとした基本的な対策なり青写真なりが着々と進められておると思いますが、私は、そういった見地から
沖繩
というものを日本の南の玄関口にするのだ、いままでそういうような御発言があったかに伺っておりますけれ
ども
、ありませんですか。そういう南の玄関口にするべきか、それとも、
沖繩
というものはただ九州ブロックの
一つ
である、そういった見方をするのか、その辺はいかがでございましょうか。
山中貞則
60
○
山中国務大臣
私は玄関口という表現を使っていないと申し上げたわけでございまして、考え方としては先ほどお答えいたしましたように、この狭くなりました第二次大戦敗戦後の日本の領土に本来の
沖繩
県が戻ってまいりますから、ここに新しい視野から、大きな視野から、その立地
条件
の有利性というものを十分に引き出した計画を立てていかなくてはならぬ。その
意味
では、ある
意味
において、日本から見た場合、東南アジア、中近東に対しては当然
沖繩
を玄関口というふうに表現してもよろしいかと思います。 御
質問
もあるのでありましょうけれ
ども
、
沖繩
の立地
条件
が占める有利さは、そこに海、空の交通の要衝としての
性格
を与えていくことも大きな視野から当然今後片づけていかなければならない、あるいは取り組まなければならない課題であると思うわけでありまして、御指摘は私も同感でございます。
大久保直彦
61
○大久保(直)
委員
最近国内を旅行しまして非常に目をみはることは、国内の道路交通、その他国鉄その他の運輸
機関
の完備といいますか、まことに著しいものがあると思います。現在すでに取りかかっております北海道と本州を結ぶ青函トンネルですとか、また話題の四国の連絡橋でございますとか、かなりの、青函トンネルは約一千億、それから四国の連絡橋は二、三千億の
予算
をかけて、大体近年実現の運びになっております。 私、ここでお伺いしたいのは、
沖繩
県内の交通の整備、道路の拡張、そういったことは当然行なわれ、また石垣、宮古島に対するいろいろな対策も当然とられるのだと思うのですけれ
ども
、
一つ
問題なのは、いまの
本土
と
沖繩
との間のいわゆる交通
機関
と申しますか、ただいまはまさかトンネルや橋をつくるわけにまいりませんので、海と空を利用することになると思うのですけれ
ども
、いま非常にこの交通の便が不便といいますか、船でも鹿児島までは約一日半ぐらい、東京港までは約二日半ぐらいかかるわけでございますけれ
ども
、飛行機代も非常に高い。こういった面からして、やはり
沖繩
と
本土
との一体化という問題を解決するためには、この辺の運輸
機関
の充実、また促進をはかっていくこと以外に、お互いに連帯意識といいますか、一体化的な感覚を強める道はないのではないか、こういう気がいたしておるわけですけれ
ども
、この点について何か
長官
の腹案がございましたら、この際お伺いしておきたいと思います。
山中貞則
62
○
山中国務大臣
確かに、
復帰
いたしますと入域許可も何も要らない全くの国内になるわけでありますから、往来がひんぱんになることは当然のことであります。しかもそのひんぱんに往来するであろう人々の量は、現在はみな空の時代だと思っておりますから見落としがちでありますけれ
ども
、実際に、ただいまおっしゃいましたように、航空機にそうみなが乗って用事があるからといって直ちに
本土
に来られるわけではございませんから、時代が相当変わっていけば別でありますけれ
ども
、やはり八割見当の人々は船を利用するであろうということを考えますと、一番近いのは鹿児島港であります。現在でも往来は一番鹿児島港との間がひんぱんでありますし、
そこら
のところに就航する船舶の、新鋭船、快速船、そういうものの建造に対する国の融資あるいは航路補助あるいは
沖繩
本島並びに先島同士の間の利用の航路補助の
制度
をどうしても考えていかなければなりません。また空の問題も、南西航空という特殊な
条件
で許可された航空会社がございますが、これは
本土
に返りました後に、全日空あるいは日本航空それから日本国内航空等のローカル社を含むそれらの会社とどういうふうにするか。現在の南西航空をただ既得権で
本土
まで乗り入れる形をとるのかどうか。そういうことや採算の問題もありましょうし、機体整備の能力等の問題もありましょうから、そういうことを十分念頭に置きながら、空と海という問題に悔いのないように計画を立てていかなければならぬと思っております。
大久保直彦
63
○大久保(直)
委員
国内におきまして、新幹線としましても、昭和六十年、一九八五、六年までに約九千キロ、約十一兆の
予算
をつけてとりかかろうとしておるわけでありますけれ
ども
、いまいろいろ前向きの御
答弁
があった中で、特に空路というのは非常に高価でもありますし、できれば海上の輸送の改善促進ということになるのではないかと思いますが、さっき
長官
高速船とおっしゃったのは、フェリーボートのことですか。
山中貞則
64
○
山中国務大臣
フェリーあるいはカーフェリーのことでしょうが、カーフェリーというものも考えなければいけませんでしょうし、まずその前に旅客船というものも、やはり新鋭船を、収容能力においても、巡航速度においても、なるべくすみやかに大ぜいの人が行き来できるように整備してあげる必要があるであろう、しなければならぬであろうと思います。 それから新幹線の問題は、先般大阪で第五回目琉経済懇談会が開かれましたが、今回は七二年
復帰
の決定後初めての日琉経済懇談会でございまして、国会のお許しがあれば、私も行ってじかに討論を
本土
の産業人、
現地
の産業人の方といたしたかったのですけれ
ども
、残念ながら行けませんでしたが、当然でありましょうが、たいへんいままでになかった現実的な問題を踏まえての真剣な議論がされました。くみ取るべき多くの提言を私の手元に届けていただきました。その
一つ
に琉球側から、
本土
復帰
の際は、われわれは船で鹿児島に直行する
——
大多数の県民ですね。そうすると、現在のところ計画では、新幹線が鹿児島まで最初の一次の計画では、どうやら入っているような入っていないようなあいまいな状態にあることは遺憾である。だからわれわれが
沖繩
から鹿児島に直行して、直ちに新幹線で東京まで快適な旅ができるように
本土
のほうの新幹線網整備について、十分
沖繩
復帰
という新しい
事態
が起こったことを念頭に置いてくれという決議を、これはもちろん
本土
の財界側も一致して決議をなされ、そのうち日本商工
会議
所自体の
会議
におきましても
沖繩
の要望を取り入れて同じ
内容
の、日商としての決議をされて、各方面に要請されたようでございます。 こういう
沖繩
側の願望ということに沿って、国鉄あるいは
政府
全体の
姿勢
が、足の便宜を
沖繩
の人々に確保するという
意味
において計画の
前進
することを私も促進し、
期待
しております。
大久保直彦
65
○大久保(直)
委員
いままでずっと日本の国としてありました北海道に対する青函連絡の投下資本が約一千億といわれておりますけれ
ども
、また四国連絡橋も二千五百億ですが、これもまことに機械的に考えますと、北海道五百万、四国四百万の国民としますと、その五分の一か四分の一の分は
沖繩
百万のために使われてしかるべきではないか。しかもそういう機械的な上に、二十数年間別々に暮らしておったというプラスアルファをつけても、
沖繩
と
本土
周の交通問題についてはより積極的な
姿勢
を要望しまして、この問題は終わりたいと思います。 次に、あまり時間もございませんけれ
ども
、文化問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。 いままでの論議はかなり事務的な冷たい
——
冷たいというと、ちょっと何でございますけれ
ども
、かなり表面的な
沖繩
復帰
の論議が多くて、
沖繩
県民がいままで抱いておりました
沖繩
民族固有の文化またはその他の工芸品等に対する
沖繩
県民独得のプライドといいますか、そういった精神的なささえ、誇りがあると思うのです。あまりこういった問題についていままで論議されておりませんので伺うわけですけれ
ども
、
沖繩
の伝統的な民族芸能、これはかなり海外でも高く評価されているわけでございますが、また民芸品、文化財等についての特に
長官
の御認識の度合いを伺いたいのですが、顕著なものでどんなものがあるか、われわれ
本土
の国民として認識しておりますが、
長官
御自身の
沖繩
の民族舞踊、芸能、または工芸といったものに対する御意見を一部でけっこうでありますからお伺いしたいと思います。
山中貞則
66
○
山中国務大臣
琉球文化は日本
本土
の文化と少し発祥経過等を異にいたしまして、中間においては、ある時期においては朝鮮の影響もありましたし、あるいは中国等の大きな影響がございました。これは
沖繩
の長い苦しい歴史の中で文化的遺産として伝承されてきたものに見られる影響でございます。なお、琉球本来の持つ、そういう伝統文化というものももちろんございます。大体形に残すようなものは、あの大戦末期の戦火によって本島はほとんど失いました。守礼の門をはじめとして、たいへん遺憾なことでありますけれ
ども
、しかし琉球焼きにいたしましても、あるいは紅型にいたしましても、それを守ろうとする人と技術というものが生き
残り
ました
分野
は、たとえば紅型等につきましては、長い間だれからも評価されない製品を黙々として紅型の伝統の保持につとめてきた陰の功労者もおられます。いまは非常に盛んになりまして、これが一種の生産工程に入って商品的価値も生まれてきつつあるわけですけれ
ども
、現在
沖繩
では文化財保護法を
本土
に準じておおむねやっておりますし、文化財の個々の修理、修築等につきましては
予算
措置
等もいたしまして、
本土
と同じような、そういう文化財が失われる、あるいは滅びることを阻止しよう、あるいは復元しようという
努力
をいたしております。今後とも独特の貴重な文化的風土の継承されたものを尊重していくことにおいては全く同感でございます。
大久保直彦
67
○大久保(直)
委員
長官
御自身の気持ちよくわかるのですけれ
ども
、対策庁の各部の分科会ですね、いま御発言のような問題は、どの部のどの分科会が担当されるのでしょうか。
山中貞則
68
○
山中国務大臣
教育文化部会の分科会だと思います。
大久保直彦
69
○大久保(直)
委員
そこで
検討
されるということを大前提にお伺いするわけですけれ
ども
、きょうは文部省の方お願いしておりませんので、私のほうから申し上げますが、文化財保護法の第二条に「(文化財の定義)」というのがあるわけです。これは一項から四項までありまして、第一項は「建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、」等々。第二項は「演劇、音楽、工芸技術」、歴史的または芸術的価値の高いもの。第三項は「衣食住、……等に関する風俗慣習及びこれに用いられる衣服、器具、」等。第四項「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅」等歴史上、学術上価値の高いもの。その中に庭園、それから海岸、山岳その他名勝地があげられておりまして、それから動物、植物、地質鉱物で学術上価値の高いもの。第四項はかなり幅広いわけなんですけれ
ども
、現在
沖繩
の文化財として見られているものは、ほとんどこの四項に限られているような感じがいたすわけであります。特にこの文化財保護法の第二条にうたってあります一項から三項までの建造物、絵画、彫刻、先ほど
長官
の御
答弁
にありましたように、これはほとんどいま失なわれております。また演劇、音楽、そういったものに対する
検討
があまりなされておらないが、むしろ今後
沖繩
の文化というものをクローズアップして対策を考える上において、こういった面にもぜひ目を向けていただきたい。これが、
沖繩
県民の方々が最も誇りにしている問題だと思いますので、その点は前向きに
検討
を進めていただきたい、このように思うわけであります。こまかい問題になりますが、先ほどお話がありました紅型ですとかまたは織物、漆器等についても、
沖繩
の人
たち
の、もし
本土
に
復帰
になった場合に、これはどういうふうに取り扱われるのかという危惧の声を二、三私は聞いているわけですけれ
ども
、先ほど
長官
が
答弁
しましたような伝統的な民俗芸能、琉球舞踊等を、今後どういうふうに扱っておいきになるか、もう一度……。
山中貞則
70
○
山中国務大臣
沖繩
の持つ特殊な文化的風土と申しました中には、当然民謡それから舞踊、そういったものが入っているわけです。それに
沖繩
だけではありませんが、
沖繩
が独特のものとして保存している空手等もございます。これらのものを無形文化財、さらに国家として、尊重すべき独特のそういうものを伝承している貴重な人については、人間国宝等の指定もあり得ると思いますが、そういうような方面でもちろん保護し、保存し、そうして育成し、援助していかなければならぬ、こう思っております。
大久保直彦
71
○大久保(直)
委員
いますぐ即答は無理かと思いますけれ
ども
、この文化財保護法の適用に該当するものも、いままで見られない面で相当あるわけですが、この教育文化部会等におきまして、そういった問題を積極的に取り上げていただきたい、かように要望を申し上げておきます。 それからもう
一つ
、先日の新聞報道によりますと、西表島で世界で非常に珍しい自然林が乱伐されておる、こういったニュースが載っておったのですけれ
ども
、西表島のみならず、
沖繩
には国立公園に指定されてもいいようなところが多々あるように私は認識をいたしておりますが、こうした
沖繩
の自然保護、それから国立公園等の指定について、もし何か腹案がございましたら……。
山中貞則
72
○
山中国務大臣
西表島は、戦前はマラリアの巣くつでありまして、あまり人が立ち入らなかったために、国有林が大部分でございますけれ
ども
、貴重な亜熱帯樹林というものが茂っている島であります。したがって現在は、マラリアが退治されたということで
——
これは
米軍
の善政の
一つ
でしょうが、二千人余り人間も住んでおりますので、
財政当局
等には難色がありましたが、西表島には循環道路をやはりつけていくべきだということで、その
予算
も御審議願っております。ただ、それと同時に、自然の姿を破壊しないという
——
たとえば西表島ヤマネコ等の世界的に貴重な存在等も確認されておるわけでありますし、その他まだ未発見のものもあるような節もございますので、そういったことは、やはり国立公園等の
特別
保護地等の
措置
が当然今後
検討
されていくであろうし、また独特のサンゴリーフによる美しい海洋ということで、
現地
では海洋博等の
沖繩
における開催を要望する声等もあるくらいでありますが、厚生省あたりと相談しながら、国立海洋公園みたいなものを当然考えていかなければならない。開発し、そして
沖繩
の人々に開発のための生活の向上というものを積極的にやる反面、日本の
本土
においてすら失われつつある、そういうような天然というもの、美しい風土というものを、いたずらに無計画にスプロールしていかないという配慮は、当然国策としてしていかなければならない、そう考えます。
大久保直彦
73
○大久保(直)
委員
あと二問くらいで終わりたいと思いますけれ
ども
、現在いわゆる南部の戦争のあとが、だんだん観光地化しつつあるわけですが、私見は別としましても、
沖繩
の県民の方々は、南部の戦跡を非常に高く評価して前面に出してきているわけですが、こういった問題に対する
長官
の何か腹案なり構想がありましたら……。
山中貞則
74
○
山中国務大臣
確かに現状では、各県がそれぞれかってな形の碑を建てたりしまして、全体的なバランスがくずれまして、せっかく
沖繩
の人々の悲痛な思い出の地であるところが、今後、観光というのは語弊もありますけれ
ども
、旅する人が必ず立ち寄って、かつての悲劇に思いをはせて、未来への平和を願うという場所であることには変わりがないと思います。そこで
復帰
記念事業といたしまして、それらのものをきれいに公園化するために、戦跡記念公園というものを、
予算
化いたしまして、
復帰
までにこれをきれいな
——
いかにも日本の悲劇があった場所であるけれ
ども
、それが美しい姿で保存されている、たとえば
アメリカ
のアーリントン基地ですか、ああいうふうに墓石は並びませんけれ
ども
、やはり南国の風土にふさわしい、
復帰
記念事業としての戦跡記念公園の完成を急ぎたいと思っております。
大久保直彦
75
○大久保(直)
委員
七二年の
沖繩
復帰
が決定いたしましてから今日まで、行政事務の統一化その他の問題がいろいろ論じられておりますけれ
ども
、私は、だれが言ったのか忘れましたけれ
ども
、人はパンのみによって生きる者にあらずということばがございますけれ
ども
、
沖繩
県民の精神的な面があまり重要視されていないのではないか。無視というと語弊がございますが、そういった面について、
沖繩
の歴史、また伝統や風俗習慣といったものも、われわれは、より十分考慮した上で、文化的な財産といったものもやはり配慮していかなくては、ほんとうの
意味
での
復帰
ということは実現できないのではないか。単なる貨幣の切りかえをやるとか右側交通を左側交通に直したからといって、
沖繩
県民が喜んで
本土
復帰
ができるかというと、そうではないと思いますので、こういった点について、より一そう慎重に教育文化部会等でも論議されて、
沖繩
の方々が喜んで
本土
復帰
ができるような対策を講じられますことをお願いいたしまして、私のきょうの
質問
を終わりたいと思います。
山中貞則
76
○
山中国務大臣
私も文化的な遺産と申しますか、そういうものにたいへん興味を持っている人間の一人でもございます。でありますから、これまで
沖繩
に参りましたときも、町の一市井の篤志家で曲玉その他から、古い散逸しかかっているものをたくさん集めておられる人がありまして、そのお宅をたずねまして拝見したこともございますが、それに対しては、だれも援助も何もしていないで私費でやっておられるようでございます。こういうものは、もう得がたいものでございます九ら、やはりそういう人々の持っておられるもの等を、御協力いただくなりあるいは御援助申し上げるなり、あるいはそういうような民族の伝承しました古いものを集めて歴史美術館をつくるなり、いろいろなこともこれから考えられていくと思います。そういうことで、私といたしましては、争ういう美しい伝承された心というものを大切にしていくことが今後の一番肝要なことであろうと考えますので、御意見を十分念頭に体してまいりたいと思います。
池田清志
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○
池田委員長
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十九分散会