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1970-04-13 第63回国会 衆議院 運輸委員会内閣委員会地方行政委員会法務委員会外務委員会連合審査会 第1号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十三日(月曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 内藤 良平君 理事 松本 忠助君    理事 和田 春生君       河野 洋平君    中馬 辰猪君       増田甲子七君    井野 正揮君       久保 三郎君    斉藤 正男君       田中 昭二君    宮井 泰良君       田代 文久君    關谷 勝利君   内閣委員会    理事 伊能繁次郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君       笠岡  喬君    鯨岡 兵輔君       葉梨 信行君    山口 敏夫君       木原  実君    佐藤 観樹君       高田 富之君    鬼木 勝利君       受田 新吉君   地方行政委員会    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 斎藤  実君    理事 岡沢 完治君       阪上安太郎君    細谷 治嘉君       青柳 盛雄君   法務委員会    理事 小澤 太郎君 理事 鍛冶 良作君    理事 細田 吉藏君 理事 畑   和君    理事 沖本 泰幸君       赤松  勇君    中谷 鉄也君       岡沢 完治君    松本 善明君   外務委員会    委員長 田中 榮一君    理事 青木 正久君 理事 山田 久就君    理事 戸叶 里子君 理事 大久保直彦君    理事 曽祢  益君       石井  一君    鯨岡 兵輔君       山口 敏夫君    松本 七郎君       中川 嘉美君    不破 哲三君  出席国務大臣         法 務 大 臣 小林 武治君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  出席政府委員         警察庁警備局長 川島 広守君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         公安調査庁次長 内田 達夫君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         運輸省航空局長 手塚 良成君  委員外出席者         法務省刑事局総         務課長     安田 道夫君         参  考  人         (日本航空株式         会社専務取締         役)      斎藤  進君         参  考  人         (日本航空株式         会社運航基準部         長)      長野 英麿君         参  考  人         (日本赤十字社         外事部長)   木内利三郎君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君         法務委員会調査         室長      福山 忠義君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空に関する件(日航機乗っ取りに関する問題)      ————◇—————   〔福井運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 これより運輸委員会内閣委員会地方行政委員会法務委員会外務委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  航空に関する件、日航機乗っ取りに関する問題について調査を進めます。  本日は、参考人として、日本航空株式会社専務取締役航務本部長斎藤進君、日本航空株式会社運航基準部長長野英磨君、日本赤十字社外事部長木内利三郎君、以上三名の方々が御出席されております。  参考人各位には、本日、御多用中にもかかわらず御出席を賜わり、まことにありがとうございます。本問題について、それぞれの立場から忌憚のない御意見を承りたいと存ずる次第であります。  なお、議事の都合上、御意見質疑応答の形でお述べ願いたいと存じますので、御了承願います。  この際、各委員に申し上げます。  関係委員長及び理事で協議いたしましたとおり、質疑時間は、自由民主党六十分、日本社会党九十分、公明党四十五分、民社党三十分、日本共産党十五分とし、質疑の順位は、自由民主党日本社会党公明党民社党及び日本共産党の順により質疑を行ないますので、あらかじめ各位の御協力をお願い申し上げておきます。  また、関連質疑につきましては、各会派の割り当て時間の範囲内においてこれを許すことといたしますので、この点もあらかじめ御了承を願っておきます。  なお、この際、政府当局並びに参考人に申し上げますが、質疑時間の関係上、答弁は簡潔にお願いいたしたいと存じます。  それでは質疑入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石井一君。
  3. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 私は、自民党を代表いたしまして、特に外務委員会の所属といたしまして質問を申し上げるわけでございますが、与党の第一番目でもございますし、総括的に、参考人も含めて、今回のよど号乗っ取り事件についての御意見をお伺いいたしたいと思います。  今回の事件が、特別な政治的な意図がない不慮のできごとであった、しかしながら各界各層、そうして国境を越えた人道主義にのっとった善意と努力解決、終末を迎えた。私は、最初に、運輸大臣をはじめ本日御出席関係各位に、心から敬意を表したいと思います。  現在、国民大衆の中で最も関心を集めておりますのは、このような空のテロというものを今後どうして防止するのだろうか、それからまた、この犯人北鮮のほうへもう入ってしまっておるわけでございますけれども、これに対してどういう措置をするのかということに集中しておるのじゃないかと私は思うのでございますが、まず最初に、私は、この事件の総括的な責任を果たされました運輸大臣にお伺いしたいと思うのでございますけれども、情報化社会の、高度管理社会のこの現代の社会で、こういうアキレス腱をねらう新しい戦術というものが横行し始めておる。そうして、片やジャンボ時代が到来し、新幹線が走り、あらゆる面でこの二つの調和あるいはこの二つの断絶というものをどのように解決するかということで、今後運輸行政だけでこの問題が解決できるわけではございませんけれども、行政統一化、一元化、そういうことを考えていかなくちゃいかぬのだと思いますが、今回の問題を契機に、さらに今後の防止について基本的にどういうお考えを持っておられるか、お伺いしてみたいと思います。
  4. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 石井一さんの質問に対しては、あるいは国家公安委員長なりその他の方々のほうが適当と思いまするが、事件の発端が運輸行政の面にありますので、私からその一部を申し上げてお答えといたしたいと思います。  第一に、この事件は、御承知のように近代社会における新しい犯罪であります。ことに、民主国家においてはかなり各人の自由といいますか、さような点があり、また犯罪捜査の上においても人権問題等関係があって、なかなか困難があるように考えます。しかし、現実の問題として、いわゆる新しい輸送機関として飛行機が相当多量のものを輸送しておる。日本においては、大体一〇%のお客飛行機によって国内におきましても動かしておる。アメリカ等はもっとそれが多いようであります。かような意味において、多数の乗客を動かす飛行機というものに対して、しかしながらいろいろ犯罪防止の上においては困難があります。今回の事件は、その近代的な輸送機関の上にあらわれた、いまおっしゃるようないわゆる虚をつかれた、こういうことになるわけであります。  そこで、いまお話がありましたように、こういう問題を運輸行政の上でどういう形で防止策、あるいは現実に起きた場合にこれをどう解決するかという問題があるわけでありまするが、ただ世界の情勢から考えますと、人間の生命を担保とした犯罪、しかも密室において行なわれる、第三者、外部からしてこれが取り扱いに非常な困難がある、こういう場合に処して、欧米諸国では一種のルールができているようでありますけれども、はたしてこれを日本の国内的な問題として、また国際的な関係が今回のように起きましても、どれをどういう形でやっていくかは、慎重に考えなければなりませんけれども、まず第一には、飛行場というものが非常に多数の人間、たとえば羽田飛行場大阪飛行場板付等——羽田飛行場に至っては十数万の人間、いわゆる一種の複雑な地域社会、こういうものを形成しておる。はたして現在の機構がこれにマッチしているかどうか、これはわれわれは慎重に反省して考えなければならぬ点であると、かように考えております。
  5. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 今後の防止に対する行政が一元化され、そうして空港警備に関しても、そういう一つの統制のもとになされることを希望する次第でございます。  私、次に、せっかく参考人がお見えいただいておるわけでございますから、そちらのほうにお伺いをしたいわけでございますが、今回の事件が政治的あるいは軍事的な背景によって誘導されたという点で、まだ世間で多少の疑問を持っている向きがあると思うのでございますが、次の二点について、これまで論じられておる問題でございますけれども、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず第一点は、富士山の山頂で犯人行動が始まって、その時点で私は北鮮へ行けという命令がなされたと思うのでございますが、昨年十二月、日航オペレーションズマニュアルによると、こういう不法行為が起こった場合には、できるだけ小細工を弄せずに、その犯人希望に従うことという指示日航側で与えておられる。それにもかかわらず、北鮮へ行かずに板付に着陸したという点、またいろいろ調べておりますと、ガソリンも少しは残っておって、かろうじて北鮮にも行けたようでございますけれども、この点について、日航側が何らかの指示をお与えになったのか、あるいはその間の事情について、何か政治的あるいは軍事的な配慮というふうなものが考えられるような節があったのかどうかという点。  第二点は、朝鮮側入りましてから二回のUターンをいたしておりますが、第一回目は、海上から朝鮮の内陸に入ったときに大きなカーブをしております。それからその次に、三十八度線の付近から南下しておりますが、これらに対しても、日航側は何らかの指示をお与えになったかどうかという点、よく論じられております問題でございますが、ひとつ簡潔に、この際あらためてお伺いをしたいと思います。
  6. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 斎藤でございます。  第一点の、富士山上犯人日本刀を掲げまして、それで乗員をおどかしたときには、ちょうど私、事務所におりましたものですから、第一報を聞きまして、これは初めのときには、何といいますか、飛行機からの通信が非常にとぎれとぎれで、何が起こったのか、若干われわれも不安に思っていたわけです。ところが、ハイジャッキングということがわかりましたので、それで急遽たいへんだ、これをどうかしなければいけないということで、ガソリンその他を調べたわけです。ガソリンは、これは御承知と思いますけれども、東京福岡を飛ぶ場合には、オールタネート、いわゆるもし福岡に着陸できない場合に、そのときにまた安全な飛行を続けるためのガソリンが必要なわけでございます。それで、あの飛行機は、御承知のとおりに国内線だけ飛ぶ飛行機なものですから、それでやはりあれを北鮮に持っていくということは、お客全部の安全からいって非常に不安定があると感じましたので、それで機長と交信いたしまして、それで福岡に着陸するようにと、ガソリンの問題があるからということを指示したわけです。よろしゅうございますか。
  7. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 第二点に関して……。
  8. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 ただいまの飛行機行動に関して御説明申し上げます。  最初飛行機板付から北鮮飛行いたしたいという機長希望に対しまして、日本航空といたしましては、直ちに板付から北鮮への飛行計画を二案ほど計画いたしました。  御承知のように、韓国領をまっすぐに突っ切ることは当然問題がございますので、迂回コース指示いたしました。実は一番先に、韓国側のフライト・インフォーメーション・レジョンと申します通報空域を外回りをする計画を立てましたが、これは遠過ぎまして、727の性能上少し無理である。だから犯人にその旨を伝えて、迂回コースは無理だから、北鮮行きを断念しろということを一応サゼスチョンいたしました。これに対しまして機長側から、板付を出ましてまっすぐに北上して、朝鮮の東海岸を見ながら三十八度線を越え、越えたところで北鮮側入り、そのまま平壌に変針いたしたい、こういうような連絡がございました。その連絡後、直ちにそのコースを飛ぶに必要な燃料を用意いたさせまして、で、われわれとしましては、最初の三十八度線を越えて、これはUターンではございませんが、三百五十五度、ほぼ北に向かって飛んだ後に、三十八度線を越えて約二分間飛んだ後に、飛行機は三百度へ変針しております。これはその地点から平壌に向かう直線のコースでございます。それが最初ターンでございます。それからその後のターンは、実は私どももどういうコースを図上にかいたらいいかはっきりわかりませんが、NHKの発表されましたコースは、たしかある特定の時間を二分ごとの、あるいは二分か三分ごとレーダーによるプロットの追跡であったと存じます。機長の話では、北鮮へ向かった後に、ピョンヤンのアプローチと申します波長で飛行機が誘導されまして、徐々に向きを変えまして、最終的に滑走路の延長線、そのときに、滑走路はランウェー14といわれておりますが、これは百四十度でございまして、大体南東の向き滑走路へ着陸するわけでございます。この滑走路へ着陸するためにレーダーで誘導されまして、最終的に南を向いたときも、機長のほうは何ら疑問を感ぜずにその指示に従って南へ旋回しております。  以上でございます。
  9. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 それでは、両参考人の御意見をまとめますと、いわゆる純人道的な立場からそのような指示機長に命じたということであって、その間には何ら政治的、軍事的指示というものはなかったと、かように認識してよろしゅうございますか。
  10. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 そのとおりでございます。
  11. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 それでは次に、日赤からの参考人にお伺いをいたしたいと思うのでございますけれども、今回いろいろの北鮮側に対する努力がなされたわけでございますけれども、一応オフィシャルチャンネルとでも申しますか、公認された一つのルートとして御尽力をいただいたわけでございますけれども、こういう問題が起こったのを機会に、北鮮の帰還問題というものをも促進するために、謝意を込めて北鮮を訪問される、こういうお考えなり計画があるかどうか、お伺いしてみたいと思います。
  12. 木内参考人(木内利三郎)

    木内参考人 お答え申し上げます。  今回の北朝鮮側のはからい、たいへん人道的な立場ではからいをしてくれたと感謝をいたしております。  在日朝鮮人の帰還問題につきましては、この問題の起こります前から、解決のためにいろいろ検討いたし、努力してまいったわけでございますが、今回のはからいについて、取引のようにこの機会を利用するということでなく、朝鮮側態度は、帰還問題の解決にも非常に明るい雰囲気をつくってくれたというふうに感じまして、なお帰還問題については検討を進めまして処置いたしたい、そういうふうに考えております。特に、すぐに代表を送るとかそういうことは、まだ結論を得ておりません。研究をいたしております。
  13. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 それでは次に、国家公安委員長に、こまかい問題でございますが、四、五点お伺いしたいと思います。あるいは担当の局長お答えをいただいてもけっこうでございます。  まず最初に、赤軍派に関しまして、彼らの今回のような大きなこの計画というものは、単なる国外に対する逃亡策であったというふうに治安当局はきめつけられておるようでございますけれども、その後の経過はいかがであったか、そこにはほかに政治的な要素とかそういうふうなものがあったかどうかという点。  それから、その資金源でございますけれども、これはやはりこの実態を究明する捜査の上でも非常に重要な問題だと思います。この点が、調査の結果どのような判明がなされたか、お伺いしたいと思います。
  14. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申します。  赤軍派国外逃亡の企てがあるという以外に、どういう意図を持っておったかということは判明いたしません。  赤軍派資金源につきましては、なかなかつかみにくうございますが、その財政実態については彼らも極秘にしているため、全貌は明らかでございませんが、主たる財源としては、赤軍派構成員支持者からの個人カンパ機関紙売り上げ金政治集会などの入場料等があげられます。活動家の中には、カンパ割り当てを消化するため、アルバイトをしたり、親の金を持ち出す者もあるようであります。今後とも、資金源の解明に努力いたす所存であります。
  15. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 ただいまの問題に関連いたしまして、引き続き国家公安委員長お尋ねをしたいわけでございますけれども、現在赤軍派塩見議長などがとらわれておるというふうな状態でございまして、赤軍派の幹部がかなり逮捕されておるという状態でございますけれども、非公式に流れております情報では、政府要人誘拐してそれと引きかえっこにするというふうな話もなされておるわけでございますし、また、現在万博なども開かれておるわけでございますけれども、万博を攻撃するというふうなことも、漏れ聞いたところでは、彼らはそういうふうな計画も持っておったようでございますけれども、これに対する調査並びにその対策というものはどういうふうにお立てになっておるか。特に、要人誘拐などというふうな問題は、最近日本の総領事のああいうこともございましたし、非常に重要な問題であろう、かように考えるわけでございます。  それと、もう一点関連いたしまして、今度の問題が起こったときに、代々木派あたりは非常に冷ややかな態度を示したけれども、中核派であるとかその他の一部の過激分子というのは、これは非常にいい戦術だ、今後も場合によってはわれわれもやらなければいかぬというふうなことまで、公言かどうかわかりませんけれども、マスコミの報ずるところでは伝えておるようなことでございます。私は、こういうことを考えますときに、現在の治安体制が、今後このような問題が起こらないためにどのように新しく検討され、確立されたか、またどういう御見解になっておられるか、関連してお答えをいただきたいと思います。
  16. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申します。  要人等誘拐計画等について申し上げます。現在までのところ、要人誘拐に関しての具体的情報は把握しておりません。しかし、すでに御承知のとおり、突如として日航機乗っ取りの事件が発生し、あるいはグアテマラにおいて西独大使誘拐の後殺害されるという事件も発生しているところから、警視庁をはじめ関係道府県警察に必要な注意を喚起し、関係都道府県警察において、この種事案に備えて警戒、警備の上に遺憾のないように措置をいたしております。要人の身辺の安全を期することを目的として、事故発生しないように措置しておりますが、具体的な内容については、事柄の性質上差し控えいたと存じます。  また、今後この乗っ取り事件等が起きないようにどうするかというお尋ねでございますが、いわゆるハイジャック対策につきましては、官民一体の統合的な対策を講ずることが必要と思われますが、とりあえず警察の課題としては、次の三点が重要であると考えられますので、警察庁においても、去る四月一日、次長通達をもって全国都道府県警察に示達したところであります。  すなわち、その一つは、事案処理基本方針は、乗客などの安全救出を第一義とし、あわせて被疑者早期検挙をはかること。二つには、空港事務所、税関、各航空会社などの関係機関と十分に連携をとり、人権上の配意を加えながら、一般乗客協力を得て、凶器危険物の機内への持ち込みをさせないように、的確な警備措置をとること。その三つは、航空機乗っ取りを企図するおそれのある者などに対する積極的情報活動を強化して、事案未然防止につとめるということであります。
  17. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 もう一点、国家公安委員長お尋ねをしたいわけでございます。非常に小さい質問のようでございますけれども、私は何らかの意味意味があると考えるわけでありますけれども、たとえば、彼らが持っておった爆弾が、その後警察庁で実験をされたところによると、爆発しなかったとか、あるいは振り回した短刀というものが擬装のおもちゃのものであったというふうなことが伝えられております。ピストルは押収されておらないようでございますけれども、山村次官の直観では、これがおもちゃのようなものであるというふうなことも言われておったわけでございますけれども、もしそれがそうであったとすれば、これはほんとうにたいへんな茶番劇であったということも言えるのではないかと思うのでございますが、この点について、それらの押収品をお調べになって、その結果がどうであったか、お尋ねしたいと思います。
  18. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申し上げます。  現在までによど号捜索検証によって押収しました凶器類は、鉄パイプ爆弾一本、短刀、白さや入りの全長三十三・七センチ一本、試験管十一本、うち濃硫酸入り二本でございます。  鉄パイプ爆弾につきましては、昨年の十月二十一日、東京薬科大学事件や、十一月五日、大菩薩峠事件の際押収しました鉄パイプ爆弾と同じもので、パイプの中にはオーシャンドル火薬、つまり塩素酸カリ黄血塩及び蔗糖の混合物でございますが、このオーシャンドル火薬が入っておりまして、濃硫酸入り試験管をセットして投てきすれば爆発し、数十メートル以内は殺傷の危険がある状態のものであります。また、短刀は玩具の短刀のやいばをグラインダーで研磨してあり、人を殺傷することができるようになっております。  このほか、乗客乗務員からの供述を総合した結果によりますと、以上のほかに拳銃——本物かどうか不明でありますが、拳銃一、二丁、日本刀、これは本物と思われます。日本刀三、四本、登山ナイフ九本、爆弾九本を携行したことがほぼ明らかとなっております。  先般、読売新聞に、この爆弾はたいしたものじゃないというふうな意味の報道がなされましたが、それは濃硫酸を合わせて投てきするということでなしに実験しました結果がたいしたことはないのでありまして、濃硫酸を加えますると、先刻申し上げましたように、相当の威力を発揮するということがはっきりいたしております。
  19. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 次に、法務当局にお伺いしたいと思うのでございますが、東京条約が批准されようとしておる。そうして国際会議で、近くハイジャック防止条約というふうなものも討議されようとしておりますし、本日の新聞あたりでは、乗っ取り防止法というふうなものも国会に提出されよう、こういうふうなことでございますけれども、ただ、これでもなかなかハイジャック防止することがむずかしいということを私、直観するわけでございます。それは、こういう国際法の場合に、たとえばわが国と国交のない国、これらが参加してないということになりますと、結局、政治的犯人だとかあるいは亡命者というふうなものは、そういう国への逃亡というものを計画する場合に、犯人がアメリカに逃げるというふうなことはあまり考えられないわけでございますから、実質的には法律で規制ということが非常にむずかしいのではないでしょうか。この点についてお伺いしたいと思います。
  20. 安田説明員(安田道夫)

    ○安田説明員 ただいま申されました各種の国際条約などに対応しまして、国内法の整備ということにつきましては、御指摘のようにただいま作業を進めておる状態でございます。  国内法で整備いたしましても、その犯人が未承認国などへ逃亡した場合に、はたして法的な規制が十分に実効をあげ得るかどうかという点につきましては、確かに問題が全然ないわけではございません。しかし、未承認国でございましても、一応国際的に確立された慣行と申しますか、慣習というものは、それに従ってやはり適切な措置をそれぞれの未承認国においてとるであろうということが一般に期待されるわけでございます。  それからまた、たとえばわが国の刑事裁判権を実現するために、犯人の引き渡しを求めるというような点につきましても、私どもといたしましては、すみやかにその犯人がわが国の刑事裁判権の適用される地域内に戻されてくることを期待いたしますけれども、また逃亡した先の国において、その国の法制に従ってそれなりの措置がとられるということもございますので、それらの措置がどのようにとられるかというような状況などを勘案し、また相手国が未承認国である場合には、それなりに外交的なしかるべき措置を講ずることによって目的を達したいというふうに考えております。
  21. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 時間の制約がございますので、ただいまの御回答の中の、それではその未承認国との間で慣例というものが成り立つのかというふうなこと、これは今後非常に大きな課題だと思います。たとえばジェノサイド条約というふうなものもございますけれども、こういう国際的な条約をさらに検討しなければいけない時期じゃないか、私こういうことを御提案申し上げる次第でございます。  ただいまお話しのありました犯人の引き渡しでございますけれども、一体この担当の役所はどこになるのか、またそういう措置、引き渡しに対する要求をなされる御意図があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  22. 安田説明員(安田道夫)

    ○安田説明員 引き渡しを求めるかどうかの必要性の判断につきましては、捜査当局が担当いたしますが、引き渡しを求める手続きにつきましては、外務省が担当して行ないます。
  23. 石井(一)委員(石井一)

    石井(一)委員 与えられた時間がまいりましたので、私、非常に総括的でございましたけれども、私の質問を終わりたいと思います。  私は、このような事件が今後起こらないように国内的な万全の措置が必要であるという点、それからまた国際的にも、総理の答弁もございますように、外交方針を百八十度転換することはできない、これは私は非常によく理解いたしますが、しかし、それと同時に、自民党の若手といたしまして、今後アジア外交を積極的に推し進めていくべきだ、今回も一つのそういう教訓をわれわれに与えてくれているのではないか、こういうことを感じ、そういう点、外務当局をはじめ関係当局に御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  24. 福井委員長(福井勇)

  25. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 最初に、荒木公安委員長並びに警察庁関係の方にお聞きいたしたいと思います。  どうも今回のハイジャック事件で、国民が納得できがたい点が二、三あるのでありますが、その中の一つの問題といたしまして、こういう大事件が起こるということにつきまして、いろいろな事前情報がたくさん出ておったのであります。これらの情報につきましては信憑性が薄い、これは私たちもそのように思いますし、また、何となく騒がしい世の中にそういう情報をもてあそんでおるというやからも相当あることも事実でございます。しかしながら、以前からこういう赤軍派の動きというものに対して、警察庁は相当きびしくこれに監視の目を向けておったことは事実であるし、その中においてつかんでおられた情報も、ある程度正確なものがあったのではなかろうかと思います。つきましては、そういう情報の中からどうしてこれを事前に手を打つことができなかったか。具体的に申しますと、ある程度可能性のある行動に対して、事前に検束の処置をもってそれを防止するとかなんとかということができなかったのであろうかどうか、これが非常に国民として納得しがたい一つの問題だと思うのであります。  そこで、私は、現在の警察官職務執行のいろいろな法律から申しまして、そういう事前検束というのがほんとうにむずかしいのであるかどうか、むずかしいとするならば、今後こういう事件を事前に予防しようとするならば、どういうふうに改正をしなければならないのであろうか、こういう点についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  26. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申します。  事前にキャッチし得なかったという点については、申しわけなく思います。警察としましては、赤軍派の飛び上がりの言動等平素から関心を寄せてはおりましたが、近来強硬な取り締まりのために地下にもぐっておりまして、情報キャッチに困難を生じたということかと思いますが、事前の情報キャッチがつづまるところ不可能であった点は、重々遺憾しごくに存じます。  そこで、御質問の警職法など現行法のもとにおいては、法定の要件がない限り、空港管理者及び航空会社協力のもとに、一般旅客や貨物託送者の方々の理解を得て行なうにとどまるものであります。すなわち、まず調査のために警察官が空港施設や航空機内へ立ち入ることについては、通常の場合はその管理者の承諾が必要であります。しかし、人の生命、身体または財産に対して危害が切迫しているような場合には、管理者の承認がなくても警察官はこれらの場所に立ち入ることができるのであります。  次に、旅客等の所持品を調査するについては、航空会社が運送約款に基づいて行なう場合や、空港管理者がその管理権に基づいて行なう場合は別として、警察としては警職法二条に基づく職務質問として行ない得る範囲においてこれをなし得るにとどまるのであります。すなわち、事前の情報その他周囲の事情から判断して、何らかの犯罪が行なわれようとしているような場合には、必要な範囲の者について質問を行ない、所持品の内容等も確かめることができます。しかし、この場合でも所持品の提示を拒む者に対して、強制力を用いてこれを開いてみることができないという不便がございます。さりとて、警職法の改正をこの際行なわねばならないとまでは思っておりません。要は、運送約款に基づいて航空会社が所持品の内容の提示を求める、それを的確に行なうことができないかどうか、それが的確に行ない得ないものならば、それを拒みますれば、業務執行妨害というかどによって警察官が介入することができます。そういうやり方を徹底することによってできないものかどうかということが、今後の検討問題かと思います。
  27. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 公安委員長のおっしゃることはよくわかりますが、しかし、毎日何万、何十万という出入りのある空港等で、いわゆる水ぎわで実際そういう者の所持品を検査して、あるいは疑惑の持たれる者を職務尋問するというようなこと、そういうことによって、私は、未然に防止できるという手段にはあまり大きい期待はかけられないように思います。それよりも、やはり何と申しましてもそういう事件を引き起こす可能性のある者は、事前にある程度把握できるのではないか、また把握してもらわなければ、治安上の問題としてこれは国民にもたいへんな問題になると私は思うのであります。したがって、そういう事態の可能性のある者に対して、何らか事前に手を打つ手段をこの際に強力なものを考えない限り、私は根本的な解決にならないと思うのでありますが、もう一度大臣のお答えをお聞きしたいのですが……。
  28. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 毎日毎日の乗降客が二万数千名を数えます。それを一々所持品の検査までもする、ピストルをふところにしのばせてはいないかということまでも調べるとならば、強制的に所持品の検査、身辺の捜査等を行なう必要があるわけでございますが、国内航空ごときは十五分前までにかけつければよろしい、運送約款、取り扱い上の慣行がそうなっております。その場合、常時そのことをなすこと、それがはなはだしく困難をきわめ、人権の問題とも関連してくる意味において、慎重に考慮すべき課題かと心得ます。仰せのごとく、事前に情報をキャッチして対処することが先決問題でありますが、それも十全を期することは困難かとも思われまするし、さりとて、情報キャッチに努力をしないというわけじゃございませんで、全力を尽くして今後事前の情報キャッチにつとめることはもちろんでございますけれども、万に一つの場合を考えますと、さっき申し上げたようなことを通じて、間接的に業務執行妨害罪につながるという筋道をたどるべきではなかろうか、こう思う次第でございます。なお検討させていただきます。
  29. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 えらいくどいようでありますけれども、私はこの点をもう一度ただしたいと思いますのは、実は大臣も御承知のように、よく泳がせ政策をやっている、こういうことをいわれます。私は、そんなばかげたことはない。これはもう私も信じておるし、そんなことがデマとしてでも、あるいはそんなことばとして出てくるということ、その中には、やはり事前に打つべき手を打たなければいかぬのではないか。したがって、何としてもこの際この事件が起こりましたことを一つの転機といたしまして、そういう危険の可能性のある暴徒、こういう者は事前にある程度検束し、あるいはこれを牽制するという手段をぜひとも私は講じていただきたい。それは先ほどの大臣の説明等から申しまして、いろいろ問題のあることは私は承知いたしておりますけれども、ひとつこれはぜひとも前向き考えていただかなければ、これを逆用して泳がせ政策であるなんというようなことが出てくる。私はこれは非常に残念であると思うので、そういう事前に対する処置、こういうものに対してきびしい一つの処置をしていただたきい、これを特にお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  それからもう一つ警察庁関係でありますけれども、私はこの真意をはっきりと一回聞いておきたいと思うのでありますが、川島警備局長さんにお聞きいたしたいのですが、この前からよく予算委員会等で質問に出ておりますところの警察庁の四項目の指示をした、しないというようなことがよくいわれております。私は、まあおそらくこんな指示はないと思うのでありますけれども、この際に、いろいろの疑惑を解くためにも、ひとつこのいきさつというものを明確に御説明しておいていただきたい。
  30. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。  本事案につきまして警察がとりました方針を御説明申し上げれば御理解がいただけるかと存じますので、その点から申し上げたいと思います。  今回の事案が起こりまして、直ちに福岡県警本部長みずから指揮をとりまして、現地に警備本部をつくったわけでございます。時間的に申しますと、八時四十五分に本部をつくったわけでございますが、その前、八時二十分に私が事案の発生の第一報を受けまして、直ちに長官及び国家公安委員長に電話で御報告をいたし、その了承を得まして、次の二点の指示を本部長に対していたしたわけでございます。それは、何よりも乗客の安全なる救出を第一義とする、そのためには、あとう限り板付からその飛行機を発進させないためにあらゆる手段を尽くせという、この二点の指示を八時二十分に実はいたしたわけでございます。  以上のようなことでございまして、中央におきましても、あるいはまた現地福岡県警におきましても、いやしくも巷間伝えられておりまするような韓国に着陸させようなどというような話は、全く警察からはいかなる機関にも要請したことはございませんし、そのようなことを方針としたことは全くございません。  ただ、いま四項目とお尋ねがございましたけれども、この問題が伝えられましたのは、実は八時五十五分ころに、現地福岡県警の担当の係官から、私のところの警備課長に対しまして、ただいま着陸態勢に入りましたというような第一報がございましたときに、両者の間でいろいろと事務連絡をいたした経緯がございまして、その中に、お尋ねのような四項目に類するような話が実は出たわけでございます。それは、申すまでもございませんが、乗客の安全なる救出を何よりとし、同時に凶悪なる犯人の検挙につとむべきである。そのためには、何と申しましても時間をかせぐことによって、その間の中で、いわゆる機内の状況を、全くかいもくわからぬ状態でございますから、その機内の状況を一刻も早く正しく把握をし、そしてまた、事後いろいろ機内の状況の変化に応じて最善と思われる方策を考えるべきであろう。そのためには、なるべく時間を引き延ばすべきである。それからまた、どうしても万が一そこを離陸しなければならないような場合には、少なくとも国内の飛行場かあるいは韓国の飛行場なんかに着陸させることができないかどうかも検討したらどうであろうかというような話を、その係官との間でいたしました。それがいわば伝えられる四項目ということでございまして、そのような考え方は、いま申しましたように、当初から採用すべきような内容では全くございませんし、これは全部事後の段階におきましては警察の方針と全くなっておりません。したがって、そのような部内の話し合いが外部に漏れたもの、かように考えておるわけでございまして、四項目の指示ということは全くないわけでございますので、そのように御理解いただければたいへんしあわせに存じます。
  31. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 時間がないので先に進みますが、ひとつ参考人斎藤さんでありますか、それと運輸大臣にお聞きいたしたいと思います。  こういう事件が起こりまして、人のうわさも七十五日、事件があったその直後におきましては非常に緊張もし、それに対する関心も持っておるのでありますが、日がたつにつれて、またこういうことの対策というものもなおざりになってしまう可能性があります。そこで、この際に運輸省は、こういう事件に対する航空会社警備あるいは自警というのでしょうか、未然防止に関して、何か具体的な指導と指示、こういうものをされたかどうか、これをまず運輸大臣にお聞きいたしたい。  それから、そのついでにでございますが、そのあとで斎藤さんにお聞きしたいのでありますが、航空会社自体としてどういう対策をとろうとしておられるのか、これをお聞きいたしたいと思います。
  32. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 この問題につきましては、二つ対策といいましょうか、措置を講じております。  一つは、外務省関係でもありまするが、東京条約という航空機の問題に関する条約を早期批准をしたい。同時にまた、それに必要な航空法の改正をこの国会で、おくれましたけれども、早期にこれを提出いたしまして、この東京条約を批准するにあたっての必要な国内法の改正を行ないたい。  第二に、この飛行場地帯の対策でありまするが、それに関しましては、この事件が起きました直後におきまして、四月六日でありますが、かなり具体的に、詳細に、各航空会社及び関係者にこれが通知をいたしております。その事前には、もちろんこれは口頭で言うておりますが、文書として具体的には四月六日付をもって直ちに出しております。その中には、一つは旅客関係、この住所、年齢等を必ず確認するように——今回、御承知のように、住所等が確認されない者が何名かあったわけであります。また受託した手荷物関係のいわゆる内容確認、疑わしいものに対しては内容確認をする。持ち込み手荷物関係、これに対しましても、開梱の必要なものに対しては開梱を求めて、そして銃器、刀剣、爆発物等の危険物を持ち込まないように努力せよ、こういうこと、及び関係法令等に認められました銃器、刀剣等について、会社が持ち込みを承諾を与える場合には、必ず関係官庁の所持証明書を確認することなど、こまかい点がたくさんあるわけであります。  ただ問題は、やはり飛行場というものは、先ほど申し上げましたように、国家公安委員長からも話もありましたが、羽田の飛行場の場合においては、おそらく一日の乗客及び見物人といいますか、そういうものが十数万あるいは二十万前後になるだろうと思います。大阪等においてもそれに近いものがあると思います。このように種々雑多な人々が各方面から集まるという特殊状態であります。そういうような特殊状態の場合に、現在のような各省ばらばらの措置でいいかどうか。緊密な連絡はとっておりますけれども、そういうような緊密なる連絡というだけで、法的根拠もなく、いわゆる総括的なものははたして実際上できるかどうかという問題があります。これは急速にまいりませんからして、運輸省として、飛行場の管理、監督あるいは航空安全、こういうものをわれわれが考える場合に、いま申しましたような警備あるいは秩序維持、捜査、荷物等の検査、こういうものに対してやはり総合的な体系をつくる必要がありはしないか。そういうことによって、特別な地域でありますから、特別な地域に対しては特別な権限をある程度与えてもいいんじゃないか。  近代社会において人権問題がやかましくいわれますけれども、人権問題の根本の目的は、その人の自由をそこなう——言論もしくは身体の自由、あるいはまた生命財産、こういうものは人権問題の中心であるべきはずであります。でありますからして、その地域なり多数の人命に対して影響のある場合、そういう観点からは、人権問題というものは優先して考えなければならぬ。これは極端に言っちゃ誤解を受けますからして、私は極端に言っているわけじゃありません。そういう多数の人間が集合し、ことに飛行機の場合は、これは一撃によって全体の百五十名、あるいはこれからジャンボが出ますと三百名、五百名、将来十年後には一千名のものが出てくる、これが運命をともにせざるを得ない、こういう特殊な状態においては、特殊な警備方法、もしくは捜査、検査に関してやはり厳重な措置のできるような法的根拠を与えなければ、事前捜査だけではなかなか困難である。その意味においては、十分にもちろんこれは世論の動向を聞きながら、そうして各方面の理解のもとにやらなければ誤解を生みますからして、私の申し上げましたことを世間の世論に訴え、かつまた関係者の理解のもとでなければできませんが、この理解ができるなれば、やはり特殊社会においては特殊なある程度の立法が必要であり、また方法等も考えられる、また考えなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  33. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 お答えいたします。  あの事件が起きた直後に、われわれのほうでは、まず、マニュアルといいますのは、ハイジャッキングのマニュアルがございますが、それを十分に徹底するように乗員に命令しております。  それからその次に、関連いたしまして、運送——運送と申しますのは、飛行場関係かおもなんですけれども、この飛行場関係には、一番としては、警察と連携を強化しまして、それで手荷物検査、これは私のほうの運送約款の三十条ですでに手荷物の検査はされることになっておりますけれども、この強化をしていただきたいということを連携的にやっております。それから、不審のお客に対しては、特に手荷物の検査については、警官と一緒に処理しようということで、これも申し合わせが済んでおります。  それから、旅客関係については、不審の旅客の発見の場合にはすみやかに警察連絡すること、それから二番目といたしまして、チェックインのとき、荷物を検査する、それから航空券のコンタクト漏れを発見した場合、これはお客の住所その他について発見をした場合には、すみやかに連絡先を聞いて、それをもう一度——これは飛行場と営業所とございますので、営業所に聞いて連絡をすみやかにするということ、それから手荷物の場合には、そのチェックインをする場合、内容についてこれをお客からただすこと、それからその問い合わせた後に、機内のいわゆるタッグ、ぶら下げるタッグでございますね、これを必ずつけること、これには名前を書いてそれを下げるということと、それからいま制限のサイズがございます。持ち込みの手荷物のサイズ、これを励行すること、長いものを持って入るということは非常にいろいろな点で問題がありますので、これを励行させること、それから次は、サイズを越えるもので不審の場合には、警察官の立ち会いのもとに、当社の約款に基づいてこれを拒否すること、そういうことをやっております。
  34. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 最近、機内への荷物の持ち込みが非常に激しい。これが数年前でございましたならば、持ち込みは非常に厳格でありました。少量のカバンぐらいにしてくれということであった。このごろはみやげ物、バック二つも三つも持って入っている。ああいうところに私はなれというか、弛緩が出ているのではないかと思う。ああいう手荷物をなぜもっと預けさせるという措置をされないのか、これが一点。  それからもう一つ、操縦室でありますが、あそこに自由に出入りできるようになっている。なるほど、それは不時の際にすぐに飛び出せるようにしてあるんだろうと思いますけれども、あれがやはり私は危険を呼び起こす一つの原因になろうと思う。そういうものに対する対策、これをひとつお答えいただきたいと思います。もう時間がありませんので、簡単にひとつお願いします。
  35. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 手荷物の持ち込みについては、先ほど申し上げましたとおり、今後厳重な処置をいたします。  それから出入り口、操縦室、コックピットといっておりますけれども、あれの出入り口については、今後厳重にかぎをかけて、必要以外はあけないということにしております。
  36. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 現在はやっておりませんね。
  37. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 現在はやっておりません。以前にやっておりましたのですけれども、若干問題がございまして、それでスチュワーデスと機長の間の食べものその他の問題で問題がありましたので、若干ゆるやかであったことは事実であります。
  38. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 最後に、一つだけ荒木公安委員長にお聞きいたしたいと思いますが、機内の警察権について、機長にある程度の権限をゆだねるというようなことを御検討されておるかどうかということを最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  39. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答えいたします。  現在でも機内の警察権は機長にあると思いますが、ハイジャックの問題等に対処するような意味合いにおいて、警察権を機長に与えるということが、実効をはたしてあげ得るかいなかにおいて疑問があると思います。いずれにしましても検討課題であろうと思います。
  40. 塩川委員(塩川正十郎)

    ○塩川委員 質問を終わります。
  41. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 関連して沖本泰幸君。
  42. 沖本委員(沖本泰幸)

    ○沖本委員 私は同僚委員の了解を得まして、時間の都合で法務大臣のみに御質問を集中したいと思います。  私は、主として在日朝鮮人の帰国問題についてお伺いしたいわけでございますが、先般も本会議場におきまして、この問題は日赤の問題にかかっており、向こう側の意見待ちになっている、こういう御答弁があったと思うわけでございますが、もう一度これを詰めてみまして振り返ってみますと、政府は、この帰国問題については、一応日本政府としての帰国に関する業務は終わった、あとは日赤のほうにのみ譲る、こういうことになって、政府は関与しない、こういう形で日赤だけで進められておるわけでございますが、そこでお伺いしたいわけですが、コロンボ会談がそのまま行き詰まりになって現在にきておるわけですが、その一番難点になっておる問題点はどこにあるわけでしょうか。
  43. 小林国務大臣(小林武治)

    ○小林国務大臣 これがコロンボ会議で問題になっておりますことは、御承知のように、いま一万数千人の帰還希望者がある。この帰還希望者の帰還が終了した後におきましても、希望者がなくなるとは考えられません。したがって、その後においてもある程度の帰還の問題が出てくる、こういうふうに思いますが、その際において、また交渉等において北鮮のいまの赤十字の係員等が打ち合わせ等に日本に来られる、その手続に関して、これをどういうふうにするかという、入国する際のこの問題が最後に懸案になっている、こういうことでございます。
  44. 沖本委員(沖本泰幸)

    ○沖本委員 コロンボ会談の内容は、朝鮮民主主義人民共和国側の赤十字の言っていらっしゃることは、一万七千余名の方を二年か三年以内に帰国させてほしい、新たな帰国希望者も同一の条件で帰国さしてほしい、それから新たな帰国者の費用は北朝鮮側で負担する、こういう提案に対して、日本側は、一九六八年の七月までに三千人だけを帰国させる、そのときまでに帰国できない人の帰国申請は無効である、新たに帰国する人は、一般外国人のように、自分で貨物船とかあるいは客船を選んで自費で帰っていく、こういうふうな内容だった、こう考えるわけでございますが、時間の都合でこれをもう少し詰めていきたいわけですけれども、すでに一万数千人の方が約三年に近い間、自分の家財道具を売って、そしてただこの道が開けるのを待って、いまは全く窮地に追い込まれている、こういうふうなのが実情である、こういうふうに聞いておるわけでございますが、大臣、そのとおりでございましょうか。
  45. 小林国務大臣(小林武治)

    ○小林国務大臣 中にはそういう方もある、こういうふうに聞いておりますが、いま申すように、われわれのほうはなるべく早くお帰りになることがよかろう、こういう考えで、その方々北鮮の配船でお帰りになるということについては、われわれも積極的に協力申し上げたい。その後、またいまでも、実は便船でお帰りになっている個々の者があるわけでございますが、その後、一万数千の者がお帰りになったあと、まだそれで打ち切りになれるとは思わない。やはり希望者が出てくる。その方々のことも、あみ程度どういうふうにやるかというようなことも北鮮側からお話が出ておって、その際の手続の問題で食い違いができておる、こういうふうなことに相なっております。これは、実はそのこと自体は厚生省の所管でおやりになっておりまして、われわれも御相談にあずかっておる、こういう事情になっております。     〔福井運輸委員長退席、菅地方行政委員長着席〕
  46. 沖本委員(沖本泰幸)

    ○沖本委員 そこで、結局今度の問題に立ち返るわけですけれども、いまのところ、日米会談の共同声明の中にも、北朝鮮は中国以上に敵視政策をとっておる、わが国のほうは。こういうことですから、今度の問題についても、何も今回のような処置をとらなくても非難される理由はないということになるわけですけれども、われわれとしては、これを非常にスムーズに喜ぶべき道を開いてくれた、こういうことになるわけでございます。五日付の朝日新聞にも出ておりますように、前途の暗雲も北朝鮮の思いやりのある決定によって一挙に吹っ飛んでしまった、これがわれわれ国民の偽らざる気持ちということになります。また官房長官は、このことに関しましては北朝鮮当局に深い謝意を表すると、こういうふうな声明もしていらっしゃるわけです。  そういうことで、今度の場合は、すべて人道主義を貫くということで一貫してこの問題の処理に当たったということはいえるわけですけれども、昨年のいろいろな問題から引き続いて、ことしの三月に、在日朝鮮人対策委員会がこの帰国の問題に対して、人道上の問題を政治的目的の犠牲にすることなく、在日朝鮮人の帰国事業をすみやかに再開してほしい、こういうことを要望していらっしゃるわけです。そうしますと、ここの段階に大きな開きがあると思うのですけれども、政府は、在日朝鮮人の帰国問題については、一応その事業が終わったから打ち切る、こういうふうな一方的なことをきめてはおるけれども、いまの段階に至ってもっと考えてみて、同じ人道的立場ということを考えて、現に困っていらっしゃる方々の帰国を進めてあげるような方法をとるべきである。先ほども日赤の方のお話でございましたが、取引条件でやるということでなくて、人道上の問題として、日本が言うように向こうも人道上の問題をおっしゃっているわけですから、そういう見地に立ってこの問題をあらためて考えて促進をしてあげる、政府が手伝ってあげる、こういうふうな形に進むようなお考えはないものでしょうか。
  47. 小林国務大臣(小林武治)

    ○小林国務大臣 これは打ち切るということでなくて、これを再開するという気持ちで臨んでおることは御承知のとおりでございます。この際の問題として、私どもも、日赤の話し合いが何とかこの際打開されることを希望しておる、そしてわれわれもお役に立つことがあればお手伝いをいたしたい、かように考えております。それで、いまお話しのように、今度の事態に対して日本政府あるいは日本国民が非常にありがたく思っているということは、いろいろの機会において総理大臣からも外務大臣からもお話しをなさっていることは御承知のとおりでございます。
  48. 沖本委員(沖本泰幸)

    ○沖本委員 ただ未承認国であるという形で扱わずに、北朝鮮との間柄というのは、この帰国問題だけが一つのつながりとなっていま残っておるわけですから、この問題をどうしてもすみやかに片づけてあげることが、やはりわれわれとしては人道的立場に立ってものを考えておる、こういうことになるわけですから、この道をもっと具体的に進めていくために、日本赤十字のほうに政府として十分な手伝いをしてやる、道を開いてあげる、あるいは話し合いを政府みずから進めてあげる、こういうふうなお考えはありませんでしょうか。
  49. 小林国務大臣(小林武治)

    ○小林国務大臣 これは外交関係がないから、いまのような両者の赤十字を通じてやる、こういうことが一番私は適当であろうと存じます。それで、御意見のほどはごもっともと存じますので、十分参考としてわれわれも考えたい、かように思います。
  50. 沖本委員(沖本泰幸)

    ○沖本委員 時間が参りましたから、これで終わります。
  51. 菅委員長(菅太郎)

    ○菅委員長 畑和君。
  52. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 私は、まず、法務大臣があと用事があるようですから、簡単に法務大臣に質問をいたしまして、それ以後国家公安委員長あるいは運輸大臣等に質問いたしたい。  先ほどの公明党の沖本君からの質問朝鮮人の北鮮への帰還の問題と関連いたしますが、帰還の問題はもちろんのことでありますけれども、さらに人権の、やはり基本的な人道問題として問題となっておりまする朝鮮人の祖国往来の問題、いわゆる里帰りの問題について、外務省と法務省とで所管をしておるわけでありましょうけれども、いままでの里帰りに対する政府のやり方というのはきわめてなまぬるい。いままでに合わせてほとんど十指に満たない程度の人しか北鮮に里帰りさしておらぬのです。人道主義の見地に基づけば、もっともっとたくさんの人たちを、そういう必要のある人を帰すべきだと私は常々主張してまいったのでありますけれども、   〔菅地方行政委員長退席、福井運輸委員長着席〕 いままでそれが実現しないで、ほんとうに少ない人だけが許可をされておったわけです。  ところで、今度のこうした事件で、北鮮がきわめて人道的な立場でまことにきれいな態度を見せてくれたという段階に立って、この里帰り問題あるいは北鮮帰還の問題等を出入国の立場で処理する法務大臣、さらにはまた人権問題の担当の責任者であられる法務大臣は、この問題について、どういう態度で今後推進していかれる考えであるか。今度の事件によって、私は、日本政府として大きく北鮮に対して精神的な借金というか、負い目を感じたことと思うのです。したがって、それに対応するような措置を、私は、今後北鮮との間に外交関係がないといっても講ずべきだ、いたずらに韓国に気がねをして退嬰的になってはいけない、かように考えるのでありますが、その問題に関して、法務大臣としてひとつ決意を承りたい。
  53. 小林国務大臣(小林武治)

    ○小林国務大臣 この問題は、もう御承知のように、韓国との外交関係というものもやはり考慮の中に入れる必要のあることは当然でありまして、私どもの政府部内におきましては、それぞれいろんな意見がございます。私どもとしてもまた法務省としての意見がありますが、結局これが外へ出る場合には政府意見としてきまる、こういうことになるために、結果的にはいまお話しのようなことになっております。  私どもも前々から、これらの問題はほんとうに人道的の立場から少しでもよいほうにいきたい、こういうふうな強い希望を持っております。したがって、政府部内の私どもとしては、やはりできるだけそういう純粋な人道的立場に立ってこの問題を処理していく、こういう考えをもってそれぞれの関係向きとも御相談を申し上げておる。従前におきましては、ことしの三月の六人、また昨年も六人と、有利にいわゆる再入国を認めておる、こういう状態でありますが、私はこれがよい形であるというふうには必ずしも思っておりません。
  54. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 いままでも人道主義立場でやってきたとおっしゃる。しかし、満足だとは思っておらぬ、こういう大臣の答弁ですが、私は、もういままでも人道的な立場でやってきたと言うからには、あまりにもいままでの人数等が少な過ぎると思うのです一そういう点でひとつぜひ前向きに、政治の壁によって人道主義が阻害をされないように、あくまで人道主義人道主義と割り切って、韓国等に遠慮なしに、独自の人道主義に基づく日本政府態度でやってもらいたい、こういうことをひとつ希望いたすだけで、大臣に対する質問は終わります。けっこうです。  時間がございませんから、次に、警察関係のことにつきまして、国家公安委員長等に質問いたしたい。  赤軍派の学生を、とうとうその事前にこれを察知したりなんかすることができずに、あのように北鮮にまで飛ばしてしまった。こういうことについては、治安をつかさどる警察庁、その一番上でいらっしゃる国家公安委員長としては、相当な責任を感じていらっしゃるだろうと思うのでありますが、ともかく私は、福岡から韓国等に飛ぶ前までの警察のやり方について、若干質問をいたしたいのです。まあいかにして彼らを飛行機に乗る前にこれを探知して行かせないようにするかということについては、いろいろ先ほどもこれからの問題として自民党の方々等からも意見がございましたけれども、しかし、とうとうとにかくこれを察知することができず乗り込ましてしまった。「週刊現代」の一月何日号かにも、そういった彼らの飛行機乗っ取りの企図というものについての予測記事みたいなものが載っておりましたが、こういう点については、国家公安委員長のほうはお気づきにならなかったかどうか、見てもたいしたことはないと警察庁では考えておったのかどうか、この点、まず承りたい。
  55. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申します。  週刊誌の記事もキャッチしておりまして、そのことも含めて警戒怠らずやっておりましたが、結果的には、事前に、具体的にその三十一日という日にその計画があることをキャッチし得ませんでした。遺憾に存じます。
  56. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 本会議におきましても、また参議院での質問等に対しても、公安委員長は、まさに抜かったというようなことばの表現で答弁をして、遺憾であった意を表明しておられますけれども、まさに抜かったと私は思うのであります。しかもその後、いよいよ飛行機が乗っ取られたということで福岡に着陸、さらに福岡からまた飛び立つという間においての警察庁指示の問題、先ほども自民党の方から四項目の問題について質問がありましたが、またこの点について、公安委員長もかつて衆議院の本会議での緊急質問に答えておられましたが、私はどうも納得ができないのでありまして、先ほどの警備局長の答弁は、この前の緊急質問における大臣の答弁とほとんど同じであります。結局まあ福岡県警とそれから本庁の警備課長との間の問答のことであって、これは指示ではない、こういうような逃げ口上を言っておられまするけれども、公にやるものと、そうした電話での連絡等において、そう差別があるはずはなかろうと思うのであります。そういう点が、まさに私は詭弁的な責任回避の態度ではなかろうかと思うのでありまして、いろんな手段を講じて、とにかく飛び立たせないようにする。警察立場からはそうかもしらぬけれども、ともかく人命が第一だということを大前提に置いておるものとしては、警察庁もそういう態度だったというけれども、しかし、それよりももっと、何とかして犯人を逮捕したいということが第一であったのではないか、こういうふうに疑われるところがあるわけであります。その点について、その四つの指示ですか、その問題について、今度は国家公安委員長の簡単な答弁が願いたい。
  57. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申します。  問題が起きまして後は、国内で起こった問題はあくまでも国内で処置する。そのためには、人命尊重を第一義として、板付空港に着陸をしましたから、あくまでも板付空港を発進させないという見解のもとに万事取り仕切ったのでありまして、韓国空港に着陸するなどということは、全然中央からの指示にはございません。先刻も警備局長からお話し申し上げましたとおり、そういうことは、万一そうであるならば、国内のどの飛行場かあるいは韓国かに着陸するということも可能性があるかどうか、その辺を確かめなければなるまいということを内部的に打ち合わせをしておったのを新聞報道でキャッチされて、それが報道されたということでありまして、いささかも逃げ口上ではございません。事実そのままを申し上げておるのであります。
  58. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 まあそこで、何とかして飛び立たせないためのいろんな工作をしたようでございます。私は、あえてこのことをかつて法務委員会質問をしたことがございますけれども、たまたま国家公安委員長がおられませんので、直接問答をかわしたことはないのでありますけれども、どんな工作をやられたか。話に聞きますると、まず、飛行機を置いて進路妨害をするということが一つ。もう一つは、飛行機のタイヤの空気を抜いて飛び立たせないようにする。それともう一つは、主翼のほうからうしろのほうの機関部のほうへ通ずるパイプ、油送管、このパイプのコックというか、弁があるそうですが、それを締めるということ、そしてこれを飛び立たせないようにする、こういうような方策もとったようであります。この点、空気を抜くことはどうもやらなかったようです。しかし、最後の問題の油を送らないような処置をするということについて、やっている間に飛び立ってしまった、こういうことがあるようであります。これは警察庁指示に基づくものか、あるいはまた警察庁の要請に従って日航がやられたものか、その点、まず国家公安委員長に聞きたい。
  59. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申します。  航空路の遮断をする、あるいは妨害をするために、自衛隊の飛行機をその進路に置くということは、警察としては関知いたしません。タイヤの空気を抜く、あるいはオイルのコックを締めるということは、警察庁として航空会社に要請をいたしました。それで航空会社では、同じく国内で解決するという共同意思のもとに、それに賛成をされましたが、空気は抜かない、それよりは的確に発進を食いとめ得る方法として、オイルのコックを締めるということが一番有効であるという認識のもとに、最後までの努力をしましたが、不幸にして失敗に帰しましたといういきさつであります。
  60. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 それこそ私は重大だと思うのであります。人命の安全、乗客の生命の安全ということをまず第一に掲げたはずであります。ところが、警察庁としては、何とか飛び立たせないで犯人たちを逮捕しよう。逮捕しようという気力は理解できないでもないですが、何としても乗客の安全ということが第一であったはずです。ところが、給油コックを締めるということは、私は重大な飛行上の大きな問題だと思う。実は、聞くところによりますると、コックを締めても、相当もう油が向こうへ送られている、したがって、それを機長が知らずに飛んだ場合には、途中まで滑走してそして失速か何かしてしまう、こういうような事態があるそうです。また、それを宙ぶらりんにとめた場合には、さらに上のほうへ飛行してから、油が続かないから途中で落っこってしまう、こういうようなことがあるように聞いております。  そのことを、はたして日航関係で十分承知をしてやられたのかどうか。幾ら警察庁関係の要請であっても、飛行機の安全ということ、航空の安全、これをはからなければ、乗客ごとみんな墜落して死んでしまう、こういうような事態にも発展すると私は思うんです。その点は、技術的にどういうことなのか。もしそうだとすれば、そういうことをあえてやることについて、なぜ警察庁に対して同意を与えたのか、その点、日航側についてお聞きしたい。そういうことがあってだいじょうぶなのかどうか。どうもそういう話を聞いておるのです。その点、ひとつ日航のほうの責任者からまず御答弁が願いたい。
  61. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 お答えします。  ただいまの件につきまして、いろいろ福岡の支店並びに福岡の県警本部長との御相談が現地で行なわれましたことは事実でございます。それに基づきまして、われわれとしましては、最初まず、犯人のほうにこれがわざとやったのではないということを示して、やむを得ず起こった状態というふうにして、そのために飛行ができない、それで、ここで乗客をおろしていただきたいということを考えよう、これは本部長、日本航空の本部長でございますが、指示がございまして、ともかくある程度犯人と乗員は北鮮へ飛ばさざるを得ないだろう、しかし、日本航空としましては、乗客をできるだけ福岡でおろすことに説得しようではないかということに重点が置かれました。  この間におきまして、最初にまず、エンジンのファイアウォーニングと申しまして、火災警報機を鳴らす方法を考えました。これは、ちょうどエンジンをスタートするときに火災の警報が鳴るようにいたします。そうしますと、これは操縦席でベルが鳴り、ライトがつきます。このために、しろうとでもこれはわかるということで、実際は火が出ておらないのですが、こういう警報装置を鳴らそうじゃないかということを計画いたしておりました。ところが、犯人が説得にある程度応じてまいりまして、婦人、子供をおろすという説得に応じてまいりました。これではむしろ婦人、子供をまずおろしたほうが安全であるという観点に立ちまして、この操作はやめにいたしました。  そしてまず第一に、エンジンをかけまして、その間のいきさつは御存じのとおりでございますが、最初に婦人、子供をおろそうといたしましたときに、犯人が気づきまして、最初の地点ではおろせずに、さらに人気のない先へ参りまして、まず婦人、子供をおろしました。この第一ステップのあとに、われわれといたしましては、東京の中央からこれをこうしろということを指示することはたいへんむずかしいので、現地におきまして状況に応じて、いわゆる乗客に危害が及ばない範囲内においてできたらそれをやっていただきたい、これは全く状況のいかんによる処置であるということを福岡の支店長に依頼いたしております。これは、福岡の支店長と県警本部のほうとの御相談によって計画が進行しております。  婦人、子供の方約二十三名をおろしましたあと、福岡といたしましては、もうできるだけこの離陸までに飛行機のエンジンをとめたいという試みがなされようとしたのでございますが、婦人、子供をおろした後に、機長はもちろんそういう意図をうまく察知しておりませんでしたので、機長飛行機を急に発進させましたので、整備員はその意図を断念いたしまして、これをあきらめました。  先ほどのお答えでございますが、かりにあのときにエンジンの一つのコックを締めたといたしますと、これは大体締めた地点から離陸する最初のスタートをするポジションまでにそのエンジンは停止いたします。それで、かりに離陸の場合に最大限にエンジンを回転いたしますと、これはもうすぐ切れてしまいまして、とても離陸滑走はできません。かりにもう一歩譲りまして、エンジンが一発とまりましても、飛行機は落ちるようなことはございません。  以上でございます。
  62. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 関連して。ただいまの御答弁をいただきましたが、私、この日航さんのキャプテンの皆さんなりパイロットの皆さんに、直接具体的に職場で聞いたんです。かんかんにおこっているんですよ、あなたはそんなことを言うけれども。きょうハイジャックが起こるかもしれない、あした起こるかもしれない、にもかかわらず、何ということをするかというので、これだけは何としてもやってくれといって、私は皆さんのほうの職場の方から頼まれた。したがって、私は具体的に聞いてみたら、あの時点で、私は教えられたんだけれども、この週刊誌の一番終わりに、ころがっている人が写真に写っている。ここに写っている。締める地点、ここへ落ちた地点、詳しい説明を聞いた。しかもここでころがっている人は、この木佐木隆盛さんというおたくの職員。もし完全にこの地点において燃料コックを締め切っておったとすると、出力を出す、機が浮上する、浮上したところで切れる、現実に聞いてみた、おたくのほうの専門家に。しかも、中途はんぱな締め方をしたら、早々の間ですから完全に締まるかどうかわからない、技術的にも、外からやるんですから。中途はんぱな締め方をした場合に、多少高度が上がってから落ちるということは十分考えられる。もし完全に締め切れなかったらたいへんなことになる。こういうことを、しかも機長に知らしていない。訓練のときに、こうこういうことをやるからということがあらかじめ指示をされて、訓練することがある。その場合には機長が百も知っている。だから応急の措置がとれる。だがしかし、知らさないでこういうことをやるということになると、人命の安全、とんでもないことになるという皆さんの意見です。たいへんな怒りようですよ、これは。  しかももう一つの点、あなたいま答弁をされましたが、そうじゃない。外部からエンジン火災の警報機を鳴らす、あなた方指示をされた。やった、できなかった。ところが、第二エンジンのケーブルを一本その間に切ってしまった、あなた方。切ってしまって、機は金浦に飛んじゃった。金浦の空港韓国側から指摘をされて、鳴らしてみろと言われた。鳴らない、第二エンジンの火災警報機は。したがって、金浦で修理している、あなた方は。何ということをおっしゃる。だから、最大限譲ってみても、福岡から金浦に行く間に第二エンジンに火災が起こった場合は、警報機が鳴らない、こういうばかな話がありますか。  あなた、しかも、運輸大臣おいでになりますけれども、ちゃんと法律がある。航空法の第一条の目的に、航行の安全を確保するためこの法律ができているというふうに書いてある。第十章には罰則まである。明らかにこれは航空法違反ではないかと現地の人は言っている。こういうことを、人命の尊重をたてまえにしてやる……。しかも、この書いてあるこれによれば、警察の特命を受けてやっている。県警本部の特命、だれが一体特命したんですか。これはとんでもないですよ。ハイジャックをやった諸君が悪い、反社会的な連中である、私も憤りを感じます。だがしかし、そのことと、そのことに当たった処理というものと次元が違う、明確に。きょうあるかもしれぬ、あすあるかもしれぬというときに、現場でやっている方々がこれだけ心配する、これだけ腹の立つようなことを、なぜあなた方やったんだ。責任を私は明確にしていただきたい。刑法に触れますよ、一つ間違うと。これは警察庁も責任者の方に、あるいはまた運輸大臣に、日航の責任者の方に御説明いただきたい。
  63. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 コックを締めることについては、航空会社意見を聞いて、航空会社にまかしたと聞いておりますが、詳しくは政府委員から御答弁させます。
  64. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 警察といたしましては、先ほどもお答え申しましたように、何よりも乗客の安全なる救出を第一といたしまして、そのために、現地で県警本部長を加えまして、空港署長、それから航空会社の責任者、三者の間で緊密なる連絡、協議を遂げました結果、発進させないという基本方針にのっとっていろいろ話をしたわけでございます。したがって、技術的な安全につきましては、警察としては全く門外漢でございまするので、それは日航の責任者におまかせしたというのが真相でございます。
  65. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 いまの点ですが、中にいたいわゆる犯人はラジオで聞いている、全部。整備員の服装をした警官が二人どこどこに行ったとラジオは放送している。それを中で聞いている。乗客の皆さんにも聞いてみた。たいへんなけんまくなんだ、中に乗っているのは。何時何分までに出発させなければ自爆するということを宣言した中だ。あなた方調べて聞いているでしょう、その後。だから、石田機長はタイムリミットを明確に置かれていた。したがって、何としても発進をしなければ乗客の安全が守れない。これは運航規程にもちゃんとある。運航規程違反ですよ。運航規程は大臣が許可している。したがって、それにのっとって、機長の判断で何としても飛ばなければならぬと思って、英語で話しまでしている。プリーズ、プリーズということばを何べんも使って、きわめて丁寧に滑走路にあるところの黄色い車、この黄色い車を何としてもどけてくれ、時間がきめられているんだから、自爆を宣言されているんだからと言って、きわめて丁寧に——江崎さんもそうだ。外に向かって通信をしている。  そうしたら、ぎりぎりになったってあなた方はそれを守ってくれない。車はありっ放し。しかたがないから腹をきめて出力を出した。その瞬間に、その寸前に、もう一台の車が反対方向から来て黄色い車とすれ違って、きわめてわずかの時間の打ち合わせをやった。あわててその黄色い車が横へどく。外から見てたら、横から見ていたら、どいたように見えてない。どく瞬間は飛行機が飛んでいる。全くどいたその空間を飛んだ。こういう状況にあった。ちゃんとここに詳しく調べてきた。一つ間違ったらこれはどういうことになるんですか。いまの話、いまの人命の安全、一体何が安全ですか。結果論として人命が守られたということであって、一つ間違ったらえらいことになる剣の刃渡りを各所にしている。  この責任は一体だれが負ってくれるんですか。やったことは悪い。そんなことはわかっている。しかし、それと事後処理、これは次元が違う。将来このパイロットの諸君は一体どう考えるか。機長方々、キャプテンの方々は……。日航にしてもそうである。あなた方はそういう無責任なことをやるべきじゃないですよ。何のために昨年十二月一日に運航規程を出したのですか。何のためにオペレーションズ・マニュアルを出したか。その中に何と書いてある。大臣は何のために認可した。あなたは補完的に命令だと運輸委員会で言っているんですよ。大臣、あなたは答弁しているんですよ。それを機長の判断で、行きたいと言って、再三プリーズ、プリーズと英語で一生懸命……。タイムリミットがあるからですよ。  さっきの滑走路の妨害については、あなた警察で関知しない。あたりまえだ。福岡空港の司令官、板付空港の司令官はアメリカの軍人だ。予備飛行場なんだ、あすこは。アメリカの軍人、その司令官の許可を得なければ何もできはしない。中曽根さんがいないから残念だけれども、T38出したって、F86Fを出したって、自衛隊の飛行機である限りは、あるいは米軍の飛行機である限りは、福岡の第五空軍の許可がなければそんなことはできはしない。何が一体人命の安全ですか。責任を明確にしてください。機長を呼んでください。機長に聞いてみれば明確にわかる。  石田機長がちゃんと言っている。全然連絡はなかったと言っている。機長を呼んでください。委員長、呼んでください。無責任きわまる。
  66. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 ただいまのお答えをします。  現在ナンバー2エンジンのファイアウォーニングにつきましては、これは先ほども申し上げましたように、婦人、子供をおろすという犯人側の応諾がございました。説得に応じました。その件がございましたので、斎藤本部長のほうから私が指令を受けまして、この件はやめてくれということを現地に言っております。そのために、これはしておらないはずでございます。そうしまして婦人、子供をおろしましたあとの件につきましては、先ほども申し上げましたように、状況に応じてこれをやっていただきたいということを、あくまでも現地の情勢判断に基づいてやっていただくことを言っております。  先ほど申し上げましたように、これはエンジンを離陸までにとめてしまうということでございまして、かりに離陸滑走中にとまります、あるいは離陸直後にとまったといたしましても、これは機長としましては十分飛行機を失速させずに離陸させることが、うちのパイロットであれは全部できます。これはなぜかと申しますと、先ほど訓練のとおっしゃいましたが、これは訓練のときにそういう訓練をするのは、実際にそういうケースが起こった場合に備えて訓練をいたしておるのでありまして、うちの機長は離陸のときに、必ず航空法の定めに従いまして、一発のニンジンの故障に対してこの飛行機を安全に離陸させるように、飛行機もその性能を持っておりますし、機長もその能力を持っております。ですから、もちろん望ましいことではございませんが、決して飛行機が危険におちいることはございません。
  67. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 いまの答弁の中で、望ましいことではないが、危険におちいることはないとあなたはおっしゃる。私の調べた限り、明確なのは、あなた自身が現職のキャプテンでしょう。現職のキャプテンで、運航基準部長をやっているんでしょう。望ましいことであるかないかのことは、あなた自身が一番よく知っているはずだ。しかも斎藤さん、あなたは三部制になっている日航の中で航務本部長でしょう。航務をつかさどるのは、部長の中ではあなたしかない。そうなると、昨年の十二月一日に出されている運航規程、このオペレーションズアニュマルを守らせるのは、あなた方二人がその責任者だ。あなた方が機長の判断にまかせる、機長の判断でなければならぬということを言わねばならぬ責任者だ。うなづいておられるが、そうでしょう。職場の諸君はそう言っている。その責任者であるあなた方が守るべきオペレーションズマニュアル機長の判断でこうだと言っている間に、それを守らせるべき人間が別なことをやる。これだけだって、あなた方同僚諸君にたいへんな責任を負わなきゃいかぬ。よしんば、警察がとめるためにそういう手を使いたいと言っても、がんとして応じないというのがお二人の立場でなきゃならぬ。いまの話は話が逆だ。望ましいことではないが、現地の判断にまかせるなんてことは、言う筋合いのものではないですよ。しかも、金浦で明確にたれ下がっていて、写真までとってある。向こうの新聞だってとっている。たれ下がっていて、向こう側が注意して、入れてみろと言われて入れたら、鳴らない。鳴らないで修繕している。知らないはずがありますか。あなた方は何をおっしゃる。あなた方の職場の諸君に聞いたのだ。同じ日航の中ですよ。だれとだれとだれに聞いたかは伏せるけれども、冗談じゃないですよ、そんなうそを言って。これ、だれか責任を取ってください。
  68. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 お答えします。  ただいまのマニュアルに書いてございます、できるだけ機長指示に従うということは事実でございます。しかしながら、これはマニュアルにはすべてのケースを記載することができませんので、原則を書いてございます。そうしまして、この原則に対しましては、おもに空中における状態において機長がとるべき処置についての心がまえを全部書いてございます。ただし、今度の場合、地上に機長がおりましたときに、機長が知り得ない情報機長に伝える、あるいは機長を助けるという意味乗客を安全にできるだけ福岡でおろしたい——不十分な情報しか私とも持ち合わせがございませんでした北鮮に飛ばせるよりも、できるだけ飛ばす前に乗客福岡でおろしたいということは、われわれ一生懸命考えました。そのためにとりました処置でございまして、先ほど繰り返して申し上げましたように、本部長からファイアウォーニングに関しましては差しとめろという指示を私が直接受けまして、私が福岡にその指令を出しております。  それから運航規程は、これは非常の場合には運航規程にはっきり書いてございます。非常の場合は、そのケースに従って、機長並びにその当事者は、運航規程から逸脱することができるという項目が入っております。これはすべての非常の場合を運航規程の中に盛ることができません。飛行機には時間的余裕がないことが非常に多いので、必ずしも運航規程にこまかく書けませんので、非常の場合は、ケースに従って機長の判断あるいはその関係者の助力によって、運航規程から逸脱することができると書いてございますので、必ずしも運航規程だけでもございません。
  69. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 ポイントは、私もいまのそんなものはちゃんと持っておる。あなたのいまおっしゃったとおり明確に書いてある。私もこれを読んでおる。読んでおるけれども、あのときの状況というのは、石田機長も江崎副操縦士も、二人とも時間をきめられて自爆すると言われて、血相変えていた異常な状態だ。乗客に聞いたってそうだ。そういう中で、何とかあれをどけてくれ、何とか行かしてくれ、三回も機長自身がこれを言っているんですよ。逸脱する機長の判断もヘチマも——機長の判断がそうである。それをあなたは聞かないでとめておいて、外で一生懸命ケーブルをいじって警報機を鳴らそうとしてみたり、タイヤの空気を抜こうとしてみたり、燃料コックをはずそうとしてみたり、締めようとしてみたり、そういうことでなくて、機長は一生懸命飛ばしてくれと言っているんだ。外の情報はラジオで聞こえているんだ、機内に。全然逆じゃないですか。それならば機長の判断になぜ従わないのです。機長の判断がそうだったんじゃないですか。もしその機長の判断が間違っているというなら、ここに呼んでください。機長を。機長を呼んでください。呼ばなければ話にならないじゃないですか。パイロットの皆さんが言っているのは、機長の判断をなぜ無視したかと言っているんだ。石田さんという人は、どてらを着て、うどんを食べながら一ぱい飲むのが好きな野人なんだそうだ。りっぱな方だ。本人の判断はちゃんとある。お呼びください、明確にするから、いまの点は。職場の中では、皆さん方が軟禁状態にしていると笑っていたそうだけれどもね。ちゃんとわかっている、そんなことは。呼んでください。機長を出さなければわからぬじゃないですか、いまの答弁では。機長を呼んでください。そんなばかな話があるか。機長を呼ばないからこういうことになる。これだけ食い違って、機長を呼ばなければわからないじゃないですか。だめですよ、そんなことは。呼んでください。
  70. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 この委員会は、皆さんのほうの理事もみな御出席を願って、そうして各党了承の上で出席をきめましたので、御了承願います。
  71. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 委員長の発言ですが、いまここの論議の焦点は何か。職場の運航する責任ある方々は、機長さんを含めて、国内線、国際線を含めて、私がたくさんの方に会って聞いた限りでは、きょうハイジャッキングが起こるかもしらぬ、あす起こるかもしらぬ、だとすると、機長の判断というものをかくのごとく無視されて安心してやれるかという問題なんだ。コックを締める、警報機は切る、こういうことをしてやれるかということです。それに対して彼の言うのは、逸脱することができるようにオペレーションズマニュアルに書いてあるんだから、逸脱することはいいんだ、いいんだと言う。機長の判断で逸脱するというなら話は別だ。あなたは当時の機長ではない。機長経験者で現職にあることは知っている、先ほども言ったとおり。ただ、あなたは石田機長ではない。石田機長や江崎さんは早く飛ばしてくれ、乗客の安全が守れないからと言って、しきりに懇願している。それをあなたは逸脱させている。機長の判断は全くないじゃないですか。そういう論議なんだから、あなたが幾ら言ったって、あなたは石田さんじゃないんだから、石田さんをここに呼んでこなければわからないじゃないですか。理事の打ち合わせは知らなくはないが、国会は言論の易なんだから、その焦点がここに出てきて、明らかにならない限りしかたがないと言うのに。理事会を再度開いて御相談いただくのが筋じゃないですか。それがだめならだめと言ってください。だめであるということを世の中に明らかにしてくれればいいんだから……。
  72. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  73. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 速記を始めて。  先ほど申し上げましたように、参考人につきましては、理事会において十分御了承の上決定しておりますので、御了承を願います。
  74. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 新たな問題が出たから呼んでくれと言っているんじゃないですか。   〔「国会審議の意味がないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  75. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 大出さん、現在きめたとおりの出席者の範囲内で、御質問の御継続をお願いします。
  76. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 私は焦点がはっきりしない。石田さんは機長でしょう。機長が一生懸命、前の妨害している黄色い車をどけてくれ、擬装してきてどうのこうのというのはやめてくれ、行かせてくれと外に頼んでいる。それを逸脱することは、この規程に書いてあるのだが、この場合には機長がやるのです。外の運航部長じゃないのです。運航部長のほうが逸脱させようたって、機長の判断と食い違うのだからしようがない。だから、新しい問題が起こったからお集まりをいただいて、御相談をいただきたいと言っている。無理なことを言っているのじゃない。進めてください。
  77. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 当面、先ほど申し上げましたように、理事会においてこのように各党各派ともきめましたし、それから、本日ただいまの時点においてはすぐ間に合いませんから、いまの参考人並びに政府委員の範囲内でひとつお願いします。
  78. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 いまの問題ですけれども、話がちょっとすれ違っているような気がするのですけれども、われわれといたしましては、飛行機福岡を飛び立つということは、他国の領土を通過したときに強制着陸させられるおそれがある。それで、違去した場合には撃墜されるおそれがあって、全員の安全は非常に問題であるということが一つ。それから、犯人北鮮のピョンヤンに行けと言っているけれども、当社としては北鮮の運航その他のあれは何にも知っておりません。航空路も飛行場も管制も全く不安だったのです。それから、機長が持っていた地図というのは、小学校の生徒が使用するような簡単な地図で、これで飛行機を飛ばせるということは非常に問題があった。こういうことも考えていただきたいと思うのです。それから、よど号は国内線用機であって、これは別に国際線ではございません。ですから、これにも非常に問題があった。と同時に、機長は国内の経験者であって、国際の経験者でないということもお含み置きを願いたい。それで、もし行くならば、北鮮の外交ルート、それから日本赤十字社によっていろいろな飛ぶ航路その他を聞いていただいて、安全に飛びたいというのがわれわれの考えでした。  以上です。
  79. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 私の質問に何にもお答えいただかぬで、これから私が質問しようということを先にお答えになった。いまあなたが言ったことに私、触れますが、準備がない、あぶなくてしょうがないということ、北朝鮮に行った場合に撃ち落とされるかもしれない。しかし、国際条約からいけば、日本は批准していないけれども、東京条約がありますよ。そんなことはあなた、いまの私の質問とは別な次元の問題です。安保体制という体制があるのだから、防衛庁長官にあとで明確にします。  いまの問題について申し上げますと、それではあなた、完全な準備をされたのですか。時間はたっぷりあった。福岡で五時間、金浦で三日間、これだけ時間があって、あなた方はそれならば一体何を準備されたのですか。平壌に行くためのコース情報飛行場情報平壌空港それ自体についての航路上の情報航空援助施設その他、何にもあなたは与えていないじゃないか。小学校じゃなくて、中学校と現場の方に聞いてみると言っておる。中学校の地図を二枚、これだけしか与えられていない。まず、一つフライトプランが必要。ウエート・アンド・バランス、これは表です。これだけ大きくはない。もっと小さい。ウエート・アンド・バランスという表が必要。乗客荷物、燃料等がどうなっておるかということ、これがないと、重心が一体どこにあるのかはっきりしない、専門家の方はこう言っておられる。しょうがない、石田さんと江崎さんがこれを飛行機の中でおつくりになったというのです。無責任な話ですよ。目的の飛行場についての知識が全くない。ランウエー、つまり滑走路の長さ、方向、絶対条件です。全然知らせてくれない。要求したのかと言うと、何べんも要求したと言うのです。長さがわからないと、逆噴射してどこでとめるかということが見当がつかぬと言うのです。  斎藤さん、あなたはしきりにこういうことが必要なんだとおっしゃるけれども、何にも与えていない。しかも、五時間と三日間あった。アエロフロートというソビエトの航空会社は、ピョンヤンに乗り入れておる航空会社です。あなた方が電話を入れて聞いたって——あなたもキャプテンをやっておられる現職だから、おわかりのとおりなんだけれども、職場の方に言わせれば、こんなことは常識だ。電話をかければ、アエロフロートのほうで飛行場の状況なり、地上施設の関係なり、援助施設なり、あるいは長さなりというものはみんなわかると言うのです。そうなると、そこらのところだって、それならばどこまであなた方は準備をされたかという問題もある。だから結果的に別なところにおりてしまった。ピョンヤンに行っていない。そこらのところが現にある。それは先の話だ。私はその前のところを聞いておった。さっきの問題は、石田さんを呼んでこなければ、そんなことを言ったってわからないじゃないか。あなたはソビエトと連絡をとっておやりになりましたか。
  80. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 北鮮なり中共の地図その他は、絶対にわれわれのところにはございません。もしお取りくださるならば、私のほうでも非常に歓迎いたします。
  81. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 あなた、人をばかにしたそういう答弁がありますか。何という答弁をあなたはするのですか。私はあなたに聞いているのですよ。お取りくださるなら歓迎します、そういう答弁がありますか。あなたは、いいですか、さっきあなたのおっしゃったのは、飛べ飛べと言ったって、これこれの資料が必要なんだとあなたは言う。それならそろえたかと聞いている。一切ございません。飛べ飛べと言ったって、資料が要るのだから飛ばされないとあなたは言う。結果的に飛んだじゃないですか。あなたは資料をそろえたのですか。あなたはないといまおっしゃった。ないものは出せないんだ。ならば、五時間と三日間あるのだから、アエロフロートだってちゃんと乗り入れておるのだから、なぜそういう努力をなさらぬのですか。あたりまえじゃないですか。小学校か中学校か知りませんけれども、地図二枚だけ。それで結果的には飛ばせたのでしょう。飛べ飛べと言ったって、そういう資料が必要だ。私もそんなことは調べておる。資料そろえてないじゃないですか。何を言っておる。
  82. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 お答えします。  先ほどのお答えのとおり、われわれといたしましては、一生懸命北鮮情報を入手すべく方々へ問い合わせを出しております。飛行機が到着いたしましてから、いわゆる片方では北鮮へ飛ぶ準備、燃料計算、フライトプラン及び資料の収集、片方は乗客をそこへおろすための説得、それと同じに、もしそれができない場合の処置、そういうことについて並行的に計画をどんどん進めておりました。そういたしまして、実はアエロフロートのほうにもお願いいたしたのでございます。しかしながら、これはソ連と北鮮のほうの協約によって、飛行場情報は外へ出さないという約束になっておる由で、われわれとしましては入手することはできませんでした。もちろん、時間的に余裕があれば私は存じません。しかし、少なくとも東京のアエロフロートの支店では、これはどうにもできないという話でございました。そうしまして、われわれとしましては、やむを得ず東京の、私の手元にございました北鮮の地図を急遽福岡に送りましたが、そのときは間に合わずに、福岡の支店にございました。ただいま私ここに持っておりますが、これが本人たちが持っていった地図そのものでございます。こういう貧弱な地図を持って飛んでおります。  それゆえに、われわれとしましては、先ほどおしかりを受けましたが、私どもとしましては、機長がすぐ飛びたいというときにも、極力犯人を説得していただいて、時間をかせいで、できるだけ情報なり、あるいは機長の役に立つような情報機長に与えたいという意味で、あくまでも機長の判断を尊重しつつ時間を延ばすように説得いたしました。  それから、先ほどの黄色い車の件でございますが、これはわれわれが指令いたしたのではございませんで、滑走路の上にたまたまそこにありました車で、これは日航の車ではございません。われわれとしましては、このことにつきましては指令をしておりませんので、実はこの件については存じません。
  83. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 ついでにもう一ぺん、長野さん、あなたとそれから斎藤さん、先ほどああいうお答えをされたから承りたいんですがね。これは皆さんの職場に行ってもやっぱり見ておったというのだけれども、実は私も見たんです。日にちを言いますが、三十一日の午後三時二十分、それから二十四、五分までやっておりましたが、これはNHKです。このときのアナウンサーをやっておられた方はNHKの村野賢哉さんという方です。この番組で、三十一日の午後の三時二十分ちょっと過ぎから二十五、六分ぐらいまでのところです。ちょうど十五分に金浦に着いたところ。このときに間違った情報が入ってきた。CIA情報、これは中央情報局の情報、これが入ってきた。いまから三十分で迎えにいく、乗客はおりている、こういう情報が入ってきた。だからNHKの村野賢哉さんは、よかったですね、よかったですね、こう言った。対策本部にあなた方はおられた。そこがすぐに画面にあらわれた。あらわれて、御感想はどうですか、よかったですねと言って、あなたにまず聞いた。覚えているでしょう。
  84. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 覚えています。
  85. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 片一方、スタジオのほうには航空専門家の関川さんたちがおられた。あなたがここで言っておられるのを私もあのときメモしたのだけれども、あなたは非常に——まあ安心するのは当然で、それはいいんですけれども、私も安心したんだからいいんだけれども、あなたは、全部私が指示したとおっしゃっている。私だけが聞いたんじゃないですよ。あなたの同僚の方も聞いている。全部私が指示した、米軍を通じて頼んだんです、あなたはマイクに向かってそう言っている。そのあとで斎藤さん、あなたはいささか胸を張った感じが私は見ていてした。しかし、よかったなあと私は思ったんだけれども、まあ大体全部予定どおりですね、というのがあなたの言い方です。そのときはもう金浦に着いて、乗客がおりている、こういう連絡がNHKに入っておる。いまから迎えにいく、三十分かかるという、韓国大使館からその情報が入って、非常に喜んだ。国内的にも私どももそうだ。そのときにあなたは、いまになれば、つい本心が出たんだと私は思うんだけれども、全部私が指示をした、米軍を通じて頼んだんです、斎藤さんは、まあ大体全部予定どおりですね、と言う。そうでしょう。
  86. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 ちょっと違うので、訂正させていただきます。  これは、私が、韓国空軍へ防衛庁のホットラインがないために、何とかして韓国空軍にうちの飛行機を撃ち落とさないでいただきたいということを、米軍に依頼したということは事実でございます。この事実に対して、それはだれが指示をしたのかということを記者団から聞かれました。これに対して、私のとっさの判断で、私がやりましたということを申しました。私は本部長の下に入っておりましたので、そのほかの件に関しては全部指示を受けてやっておりまして、そこら辺が混同されたのではないかと私は思います。
  87. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 機長をいずれにしてもお呼びいただかぬと、これはわからぬ点がたくさんある。たとえば三十八度線前後のところの問題についても、これは韓国の東亜日報にちゃんとこまかく載っている。これを見る限り、やっぱり機長においでいただかぬとわからぬ点がたくさんある。あとからひとつ順々に聞きますけれども……。  防衛庁長官がお見えになりましたから、ひとつ承りたいのですが、板付空港の司令官は米軍のはずでございます。そうすると、T38かF86Fか知りませんけれども、つまり、航路妨害、こういうふうなかっこうで飛ばせないようにする、そのことについての応諾は、やはり基地司令官が応諾を与けなければできない筋合いです。F86Fを持ってくるならば、自衛隊が手を下さなければできない筋合いです。そうなると、いままでは警察日航、こういうふうになっておりますけれども、そこにやはり米軍なり自衛隊なりという立場、ここが一つ出てこなければこの相談はできないはずです。ここのところはどうお考えになっているかという点。  それからもう一点、筋道からいって、先ほど来日航の皆さんがお答えになっているように、知らぬ他国ということになるわけだ、国交がないんだから。そこに飛んでいったら撃ち落とされるかもしらぬとおっしゃっている。外務大臣も、三十一日深夜の誤認情報が入って——中曽根さんは本会議で誤認じゃないと言うのだが、だから、そこもあわせて聞きたいのですけれども、対空砲火が五十発あったとか、ミグ戦闘機が出てきたとか、こういう状態、一体この情報はどこから入ってきたのか、まずこれを聞きたい。  それから、このあとを受けるように、深夜の愛知外務大臣の記者会見の席上で言っていることは、対空砲火を受けたり、飛行機が出てくるような状況だから、人命の安全上絶対に北朝鮮にはやれないということを、三十一日の深夜に愛知外務大臣は御発表になっている。片や人命の尊重だから、しかもオペレーションズマニュアルもあるんだから、北朝鮮に持っていくんだというようなことを言っていながら、片一方でそういうことを言っておられる。非常にこれはおかしな話です。したがって、その情報をどこから入手をされたのかということと、筋道からして行くのがあぶないのだということになるのだとするならば、これはそのことを国民にやっぱり明らかにして、いわゆる人命の尊重もさることながら、行ったほうがなおあぶないのだからやらないというようなことを、ことこまかに説明すべきなんです。ところが、当時テレビへ出てきている官房副長官の発言でも、向こう側へ飛ばせることについてはもう腹をきめていると言っている。そこらのところはさっぱりわからぬところで、一生懸命おかしな情報が入ってくる。そこらのところを、どうしてこういうことになったのか。そんなちゃちな組織になっているはずはない。自衛隊だって米第五空軍だって韓国空軍だってない。情報網だって明確になっている。そんな情報があなたのところに入って、うかつにもそれが発表されるというばかなことは、本来ならばあり得ない。そこらはほんとうのところはどうなっているのですか。
  88. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 まず、T33を滑走路に置いた件につきましては、あそこの空港長からT33及びT34を置いてくれという要望がありまして、それに基づいてあそこの司令官が置いたということを報告で聞いております。それから、飛び立つ前になって犯人と話し合いがついて、あのT33飛行機を除けば一部の病人や老人をおろす、そういう話がついたので、今度はあれをのけてくれという要望があったのでのけた、そういう報告も聞いております。これは空港長の依頼ですべて行動しておるわけであります。  第二番目に、対空砲火の件でございますが、これは日本とアメリカとの間では、日米安全保障条約に基づきまして、いろいろ情報の交換をやっております。しかし、韓国との間にはそういう直接のラインはございませんし、情報の交換もございません。そこで、米軍のほうから韓国から聞いたといって、われわれのほうへこういう情報が入っているといって、通知してきたわけです。当時新聞記者の皆さんからも、何か情報はないか、何か情報はないかと、非常にわれわれも言われまして、そこで未確認のものだけれども、参考までに申し上げるとこういうものもある、そういうことを私は申し上げたのです。これは韓国から米軍に来まして、米軍のほうが参考のためにとして、未確認情報としてわれわれに伝えてきたものであります。
  89. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 もう少し明確にしていただきたいのですけれども、まず、ADIZ防空識別圏がありますね。昨年八月四日に少しお変えになったが……。この防空識別圏があるから、日本海をこう手前に引いて、韓国にいま入っていないようになっていますね、昨年八月四日のものは。これとあわせて通達が出されたときに出ている五空の防空識別圏がありますね。韓国のもあるでしょう。こういう関係だから、日本の自衛隊の飛行機は四機発進をしておるようだけれども、その識別圏、そこのところまでしか行けないはずだと思う。そこから先は向こうの情報をもらわなければならぬことになる、あるいは依頼をしなければならぬことになる。日航の皆さんのほうは、インターセプトを食うかもしれない。だから撃つ場合に、地上砲火の場合に、空砲を使ってくれとあなたは言ったというふうに書いてあるけれども、そこらのところもあとで承りたいのですけれども……。  さて、そこで問題は、韓国のこの東亜日報によると、F5A、これを使っておるようだけれども、松前・バーンズ協定がございます。この松前・バーンズ協定によって、COC府中の第五空軍に置かれているコンバット・オペレーションズ・センター、戦闘指揮所があるわけですね。ここに自衛隊の航空総隊司令部も同居をしている。まぎれもない事実。さて、ここで問題は、その関係はどうなっておるかというと、COCにはアメリカの連絡官がいる。こちら側で起こって向こう側に影響のあるものは、すぐ伝えなければならぬ責任と義務がある。なぜならば、地位協定六条一項があるから。六条一項で、「集団安全保障の利益を」云々というところから、軍事通信というものについての整合をしなければならぬ責任が日本側にある。基礎になっている。そうすると、それに基づいて、そういう組織ができているからこそ、こちら側からは知らせなければならぬ責任がある。あと無線電話でボイスという——これは宍戸さん答えているけれども、在韓米空軍からはCOCにそういう形の情報が入ってきて、日本側に伝えられるようになっている。こういう明確な連絡網があるわけだから、あなた方防衛庁は、やろうとするならば、この組織を使うのは当然。だから、あなたのところに入ってきた情報というのはそうでなければならぬと私は思う。そこはどうなっておりますか。
  90. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 そういう仕組みになっておることは事実であります。それで、その情報も、そういう経路を通じて韓国から第五空軍にきて、第五空軍からわれわれのほうに参りました。また、あのよど号が飛び立つ前に、韓国側に対して、要撃や何かやらないように、安全航行を頼むという依頼も、第五空軍にわれわれのほうからいたしまして、第五空軍が韓国側に伝えました。それはやはり同じチャンネルであるだろうと思います。
  91. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 そうすると、確認をしておきますが、よど号板付から金浦に向かう前、どこの時点かわかりませんが、つまり防衛庁筋を通じまして、第五空軍との関係で、全部情報連絡はついている、当然在韓米軍は韓国空軍と連絡をとっている、こういう筋になるわけでございます。そうすると、金浦に向かって——結果的に金浦に向かうことになるけれども、まあ平壌に行くのだと称して板付を立った飛行機、この飛行機が金浦におりた。擬装工作等がたくさん行なわれていた。トリックプレーがたくさんあった。そこらのところは、筋が通っているところは、日本の防衛庁、第五空軍、韓国の空軍、COCというものを中心にしてADCCが五カ所あるわけだから、沖繩に一カ所、韓国にも一カ所あり、全部伝わるようになっているのだから、伝わっていなければならない。私は、この点は間違いもなく、日航方々がいろいろ依頼をしても、そこまでのことを、韓国の軍隊が動いてやるというところまで進むについては、軍の筋を通さないとできない。防衛庁からものを言わなければできない。当然あなたのほうの責任だと私は思っているのですけれども、そこのところはどうなんですか。
  92. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 われわれのほうは、安全航行を米軍を通じて依頼しただけでありまして、それ以上は全く関知いたしません。
  93. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 ここに、記者の方が行って、おたくの植村英一さん、防衛庁空幕防衛部長さんにいろいろ聞いている記事が載っている。三十八度線でのよど号Uターンは、われわれは関知しないハプニングにすぎませんと言いながらも、金浦の擬装工作については、これは外交ルートに乗せられるような高次元の問題ではない、気持ちがぴったり合い、機密を漏らすことなく、しかもすばやく二国間の意思統一をはかるには、軍と軍の話し合いしか考えられないという言い方をされている。そう書いている。  あなたは、そこのところは、やはりいま置かれている集団安全保障条約の関係があるのだから、うかつに向こう側にやれないならやれないのだ、それならそれで、その点をむしろ明らかにしたほうが——したがって、何としても向こうにやらないで、こちら側で処理をするというふうに、初めから考えたのだということを明らかにしたほうが……。対空砲火があった云々なんという情報を流しておいて、今度は外務省の筋で、愛知さんが深夜に及んで記者会見をして何と言っているか。対空砲火があったりインターセプトされたりするようなことだと、撃ち落とされるかもしれないのだから、北側にはやれないのだと言っておられる。ならば、そこらはあなたのほうで明確にしなければ、誤認情報だけ流して事が済む筋合いのものではない。はっきりしていただきたい。
  94. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 私らのほうは、ただいま申し上げましたように、安全航行を依頼した以外は全く関知いたしません。
  95. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 それでは、ここで一つ承りたいのですが、韓国の海のほうの側から海岸をながめながら進入していった石田さんを機長とする飛行機、東亜日報の四月一日付によりますと、板付を離陸したJAL機は、三十一日昼一時五十八分、福岡上空を二回旋回した後、時速四百マイルで日本自衛隊航空機の護衛を受けながら公海上空を北上——これは二時二十一分に交信しているのですよ。わが領空に進入し、大邱にある航路指示所、VORですね、ここと初めの通話を行なった、と書いてある。前から待機中のわが航空当局は、一分後F5A機を非常出動させたが、JAL機は高度二万二千フィート、時速約四百ノットで飛行していた。北上していたJAL機は、二時五十一分、江陵の東二十マイル上空で時速を半減をし、この二時五十一分に、ここから今度は機首を西に向けて北上し始めたが、このときに、江陵空軍管制塔と通話をした。この江陵空軍管制塔との通話内容がここに書いてある。  これはどこから考えましても、皆さんに明らかにしていただかなければならぬ筋合いなんですが、この江陵の空軍の管制塔とのやりとりの前、つまり、三百六十度北に向かっていたやつを三十度変更した。ここのところで、ちょうど飛行機が二機やってきて、近くまで接近をした。向こうの飛行機の機種を見た江崎副操縦士は、直ちにこれが米軍の飛行機の機種であるということを承知しておられる。これは公に言っておられる。公でないところは、私はいろいろ耳にもいたしておりますし、書いてもありますが、申しませんが、それは言っておる。そして向こうの飛行機は戦闘機であったことも確認をしている。そして向こうは、下に向けて手で指示をしている。それに通信を求めた。片方はUHFでやっていますから、だとすると、そこらはつながらないのだろうと思いますけれども、結局交信ができなかった。そしてここで、「エニー・ステーション・ノースコーリア」という呼びかけをしている。「ジス・イズ・ジャパン・エア8315」こう呼びかけている。「ゴーアヘッド8315」といって、下から応答が上がってきた。そこで機上から、「リクエスト・ピョンヤン・インフォーメーション」、「ラジャー・コンタクト・ピョンヤン・アプローチ・コントロール」ということばが上がってくる。つまりアプローチ・コントロール、これは進入管制ですね。そこで、一番最初指示が出てきたのが、一三四・一メガサイクルで交信しろということ。もうこのときには一二一・五なんですね。これはぼくも防衛をやっていますからわかりますが、韓国にだって米国空軍だって全部伝わるわけです、一二一・五ならば。UHFは二つあるのでしょうから、それはやろうと思えばいつだってできるでしょう。しかも、福岡で整備員の方々のかっこうで日航方々機長指示している、一二一・五でいけということは。そうでしょう。全部わかっている。韓国空軍にもわかっている。米空軍にもわかっている。もちろん防衛庁だってわかっている。こういう通信体制ですよ。すべてこれは英語なんですね。  そうすると、この時点で副操縦士の江崎さんは、飛行機の二機が米国の機種であることがわかっている。これはあたりまえですよ。飛行機を見たことがない人なら別だけれども、北側にある飛行機は何であるかということはだれだってわかっている。そんなことは当然です。F5なんです。ちゃんと向こうの東亜日報に詳しく書いてある。しかも、この中には航路まで明確に、どこで何分、どこで何分、交信がどうなっているか、ちゃんとここに地図が全部載っている。どこで旋回をしてどうなって、どことどういうふうに通信をしてと、全部載っている。簡略に抜き出して翻訳してみると、ここにあるとおりになる。  そうすると、ここで二百七十度真西に向かえということで、九千五百フィートまでおりろということでおりていった。ここまでいけば、これは幾らそのときの状況があるといったって、金浦であることがわからぬなんてばかなことはない、どこから考えたって。その前にちゃんと大邱と通信をとっている。飛び上がって二十五分で大邸と通信をとっている。そうなると、それをあなたは、金浦ということを全然知らずにおりたとかなんとかいったって始まらぬ。防衛庁長官お答えのように、連絡はすべてとれている、そういうシステムになっているのだから。なっていなければ、これは戦争でも始まったら、それこそ大敗する。これは三国空軍で戦闘作戦をやったんでしょうからね、妙な情報が飛び出したけれども。だから、ここでわからぬはずはない。国民の皆さんが——さっき与党の皆さんの御質問だって、いろいろなミステリーを感じておると言っておられるのですから、このあたりを明らかにする責任が、政府にも皆さんにもあるという立場で承りたいのです。答おえください。
  96. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 ただいまのにお答えいたします。私が石田機長並びに江崎副操縦士から聞いたものをお伝えいたします。私は東亜日報を読んでおりませんから。  板付を十三時五十九分に離陸いたしました飛行機は、板付の上空を旋回しておりません。まっすぐ北上しております。ヘディングは三百五十五度、高度は二万五百、VFRオントップというレポートをうちの日本航空福岡支店のカンパニー・レディオに入れております。要するに、飛行機が三百五十五度のヘディング、機首方向三百五十五度、高度二万五百フィートで北上していったわけでございます。そして三十八度線のエスティメートを十四時四十五分、平壌のエスティメートを十五時十六分と会社の航務室に通報してきております。これは機長が明らかに平壌に向かっておったというふうに私どもは受け取りました。先ほど中曽根長官のほうから、自衛隊機がうしろを追尾しておったというお話がございましたが、機長は、うしろから追尾されたと見えて、これは確認しておりません。ADIZを過ぎましてから韓国空軍が追尾しておったのも、機長は知りません。機長が知り得たのは、三十八度線を越えまして二分ほどたちまして、飛行機の機首を三百五十五度から、いまおっしゃられましたように三十度左へ振りまして、いわゆる平壌の方向へ向けたわけでございます。平壌の方向へ向けましてやや飛びましたときに、おっしゃいましたように、一機の戦闘機が右側サイド、コーパイロットサイドのすぐそばまで出てまいりました。これに対しまして、江崎コーパイロットはこれを確認しております。そのときに江崎が耳をこうやりましたときに、向こうは耳ができない。これは交信ができない。なぜならば、うちの飛行機はVHFを用意しておりまして、向こうはUHFでございます。そのために交信ができなかった。戦闘機のパイロットがこういうことをやりました。これは高度を下げろというしるしでございます。ともかく高度を下げればいいんだなということで、石田機長に伝えて、石田機長は高度を下げております。この場合、石田機長は、反対側のほうに飛行機がついておったので、飛行機を正確に確認しておりません。また江崎副操縦士は、機長にこれを十分説明することが、犯人がいるためにできなかったと言っております。  この前に、ただいまの大邸の通信所と交信しております。これは一番最初に一二九・六メガで、これは大邸の波長でございますが、これでコンタクトいたしまして、三十八度線のエスティメーションを出しております。ただいまおっしゃられましたように、三十八度線を越えましてから、江崎コーパイロットが、「エニー・ステーション・イン・ノースコリア、ジス・イズ・ジャパン・エア8315、リクエスト・ピョンヤン・フリーケンシー」こういうことを言っております。これは北鮮にあるどのステーションでもよろしい、こちらは日本航空の八一二五号機である、ピョンヤンの波長を教えてほしいということをリクエストしております。そうしたところが、大邸のレディオがこれに答えて出ております。この場合に江崎副操縦士は、自分はノースコリアのステーションを呼んでいるので、大邱を呼んでいるのではない、ディスリガードということばを使っております。これは、あなたではないのだ、こっちが呼んでいるのは北鮮なんだということの意味で、ディスリガードということばを使っております。さらに、江崎副操縦士はそのことばを繰り返し、何回かコールしております。ということば、彼は明らかに平壌に行く意図を持っておりましたので、大邱が出てもこれは韓国ですから、あなたのほうはヘルプできないのだ、自分が要求しているのは北朝鮮の波長であるということを言っております。  そうしておりましたところが、その交信の最中に、ピョンヤンのフリーケンシーは一三四・一であるという下からの応答がありまして、すぐそれに切りかえました。切りかえたところで、ピョンヤン・アプローチということを江崎君は呼んでおります。それに対して下から、日航の八三一五号機という応答がありまして、そのときに江崎のほうから、ピョンヤンの飛行場に関するインフォーメーションを要求しております。これはあとで考えますと、確かにソウルの飛行場のインフォーメーションになっておりましたが、そのときはピョンヤンのエアポートはランウェー114と32、長さ八千百フィート、幅百五十フィート、エレベーション六十二フィート、それに対してスコワクの4350ですか、いわゆる識別のアイデンティフィケーションを下から言ってきております。そういうふうにこまかいインフォーメーションが参りましたので、江崎及び石田両パイロットは、これがピョンヤンの飛行場からの呼びかけであると完全に思ったそうであります。  そうしまして、おっしゃるとおり、普通パイロットであれば、そういうふうに飛行機がだんだん西にひねられていけば、当然これはソウルではないかという疑問が起こるのではないかという御疑問なのでありますが、何ぶんにも本人が持っておりますのは、このような貧弱な地図でございます。そうして、普通パイロットは、この飛行機の位置をリラティブ・アングルと申しまして、各ステーションにADFであるとかあるいはVORであるとか、そういうラジオビームのステーションをセットいたしまして、自分の関係位置を推測しながら飛ぶわけでございます。ところが、北鮮の場合には一切のそういう地上の航空保安施設の波長がわかっておりませんために、それを入れておりません。そのために、機長は地上から来るレーダー・アプローチの、いわゆるレーダーによる指導の指示にそのまま従っております。この場合に、機長は一番最初に、三百三十度平壌のほうを向けております。戦闘機は下がれといって、飛行機が降下をした瞬間に、前を横切って飛行機から離脱しております。そのあとは、機長は一切この地上からのレーダー・アプローチの指示に従っております。その間に終始、レーダーはピョンヤン・アプローチと呼んでおりますので、機長はほとんど疑いもなく、これがピョンヤンの飛行場に誘導されているものだと考えておりました。最終的に南のほうへ機首を変更いたしましたときにも、これは滑走路が百四十度である、ランウエー14であるということから、機首をだんだんランウエーの方向に向けられつつあるのだというふうに思い込んでおりました。江崎副操縦士は、この南へ向きました時点におきまして、多少疑問を感じておったようでございます。これは江崎は、だいぶ前に京城に一回行った経験がございますし、石田のほうは経験がございません。江崎は多少疑問を感じていたのでございますが、これをキャプテンに伝える余裕がない。これは犯人がうしろに控えておりましたので、余裕がなかった、そういうふうに言っております。  以上のような状況で、本人たちは、少なくとも石田機長は、最終の飛行場へ着陸するまで、ここがソウルであるということに気がつかなかった。これが私の聞いておる話でございます。  以上でございます。
  97. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 江崎さんなどは、出てきた戦闘機を見て、その機種が米軍の機種であるということがすぐわかったと公のところで言っている。江崎さんだって石田さんだってお友だちがいるわけだから、ことのはになったのだろうとは思う。そこから先のことを聞いていたなんということになると事件になるけれども……。  そこで、いろいろ聞いてみた限りでは、気がついているわけですね。機種がそうだからというので、すべて英語だというので、江崎さんも同じく初めから思っている。だから、そこに何がしかのことが事前になければ、疑問を感ずる。すぐそれはわかる。現にわかっているのだから。にもかかわらず、そこらのところを皆さんは、先ほど来私も幾つかポイントを出しておるけれども、おっしゃらない。これはおりた結果としては、みごとに擬装工作が行なわれたことは、これは明らかだ。国民周知の事実だ。だれがやらしたかということは明確になっていない。それは軍でなければできぬだろうということを言っている防衛庁の人がいるけれども、長官は否定をする。まさに、とみなすというところぐらいまで言ってしまっていいくらいに思うけれども、どうも長官がここで知らないと言うのだから、これはあとは世間の判断に待つよりもしようがない。  そうすると、どうしても一つ残るのは、いま長野さんは石田さんに聞いたとおっしゃる。実は私がここでしゃべった、最初読み上げたほうは東亜日報の記事なんです。     〔福井運輸委員長退席、徳安運輸委員長代理着席〕 ところが、あとから私が書いてあるものを読んだのはそうじゃない。私がいろいろ関係方々から聞いた中身なんです。聞いた中身が、いまあなたがお答えになった中身とそう変わらない。たとえば、一三四・一メガなんですね。本来ならばこれは平壌のはずだった、大邸との連絡その他からすれば。ところが、そうじゃなくて、結果的にこれはソウルだったですね。そうすると、そういうふうに応答を現にしたのがある。韓国の軍の管制塔かどうか知りませんけれども、そういう応答をしている、大邸にしても。そうだとすると、疑問が解けないのは、何で一体それじゃ一三四・一メガなんだと言ったか。ところが、さて向こうへ行って、一三四・一メガなんだということで、誘導されておりていった。その間に米軍の機種の飛行機が来ている。こういう状況なんですから、そうなると、これはそれこそ私がやりましたとあなたが言っただろうと聞いたら、あなたはそれは誤解だとおっしゃるけれども、NHKのマイクをあなたに向けたときのいきさつは、私があのときに聞いていた限りでは、あなたは自信満々、よかったなという感じが一つ。だから、あなたはそんなことは百も承知でいま答えているのだと思う。  そうすると、どうしても当の操縦していた人、二人が出てきてくれなければ、そこから先は詰めようがない。やはりこれはここまでくれば、どうしても石田機長と江崎副操縦士をお呼び出しをいただいて、その席で——これだけ資料はございますけれども、あなたに聞いたって、あなたは本人じゃないのだから。ここのところはこれだけ明確になったのだから、あなたの答えも私の言っていることもそう違わない。あとは本人の石田さんがどう思っていたかということなんです。どこでコンタクトしてあって、石田さんがそれを知っていたかということなんです。一二一・五メガでやれというようなことを福岡ですでに整備員の方々が行って話をしている、伝えているという場面まである。連絡はとれるはずだ。しかも、一二一・五メガで流していれば、自衛隊だって第五空軍だって韓国軍だって、みんなわかっている、同じ波長なんだから。ここまで明らかなんですから、してみると、やはりここに欠けているものがある。つまり、お二人の方がお見えにならぬこと。何で一体お二人をお出しにならぬのですか。そうすれば、世間の疑惑が解けるじゃないですか。おいでにならぬから解けない。さっきみたいに手間ひまがかかる。時間が足りなくなる。何で日航側はお出しにならぬのですか。いかがですか。世間一般の方が世界大魔術だなんて言っている。世界大魔術の種あかしをだれがするのかという、張本人がおいでにならなければしょうがないでしょう。種あかししたら、何だ、そうだったかと国民が納得すれば、これは一番いいことだ。なぜそれを積極的におやりになる気がないのですか。いかがですか。
  98. 斎藤参考人(斎藤進)

    斎藤参考人 これは健康上の問題がからんでございます。診断書が出ておりまして、それに……。
  99. 大出委員(大出俊)

    ○大出委員 それじゃ、時間の関係がございますから……。だいぶ先ほどいろいろここでハッスルし合いましたので、時間がなくなったようでございます。また防衛庁関係その他は別の機会がございますし、運輸関係はまた運輸担当委員会もございますし、そちらのほうに譲りまして、終わらしていただきます。
  100. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 先ほどから中断をいたしておりました警察庁関係の責任の問題です。先ほど来私の質問のあと、はしなくも大出君からいろいろ質問があって、非常に重要な問題を含んだ質疑応答がなされたわけです。それから考えましても、警察庁がいかに日本航空等に対して、何とかして赤軍派たちを含めてこの飛行機を飛ばせないようにしようとして努力をしたか。いま国家公安委員長も、要請をしたということをはっきり申しておられますけれども、相当圧力的な働きかけがあったことだと私は思う。そうでなければ、航行の安全、乗客の安全ということをまず第一に考えておるのが普通であり、本来である日本航空が、それに協力をしたというか、いろいろな小細工をやっておることからも明らかだと思う。     〔徳安運輸委員長代理退席、福井運輸委員長着席〕  そこでまず、赤軍派の人たちにともかくああいった企てを遂行させないように、それに対する措置が事前に講じられなかったという責任、それからさらに、その後板付から飛び出すまでの警察庁のいろいろな努力、しかし、これは、乗客の安全という問題から非常に隔たった距離のある逆の方向の、万一のことがあったらどんなことが起こったかわからぬような危険性も相当はらんでおった。そういうことをいろいろ企図されておったわけであります。そういう点から考えましても、少なくとも国家公安委員長としては、ほかの防衛あるいは外交等の担当大臣も同じく責任を感じなければならぬけれども、特に私は、国家公安委員長は大きな責任を感じなければならぬと思う。ともかくあぶない綱渡りの結果、福岡で一部の婦人や子供がおろされ、それから金浦で三日間ねばった結果、身がわりを山村君がすることによって乗客がおろされた。そこでまた、山村君たちも含めて操縦士などが飛行機ごと北鮮のはからいですぐさまこちらに帰ったということで、百二十二時間という長い間であったけれども、ともかく結果的にはラッキーに終わったということではありますが、しかし、これは世界の耳目を聳動させた事件でもあります。こういう事件が幾らラッキーに終わったとはいいながら、それに対して政府の側で、国民に対し陳謝をするというような意味も含めて、だれかが責任を負わなければならぬことだと思う。  したがって、その点について聞きたいのだが、読売新聞などにも、「薄れ行く政治責任 よど号事件のその後」ということで記事が載っておりますけれども、そういう意味で、だれも責任を負わない。佐藤総理が一身に負うのだということかどうか知らぬけれども、だれも責任を負わないというような体制は間違いである、かように思う。その点で一番焦点になっておるのは、何と申しましても国家公安委員長だと思いますけれども、国家公安委員長はどういう責任を感じ、どういう責任をとろうとしておるか。どうもいまのところでは、一時そういう風評等もあったけれども、それがほかの閣僚にも責任が及ぶということになってはたいへんだということで、そのことも不問に付されつつあるようなふうに私は感じ取っておるわけです。その点について、どう国家公安委員長は責任を感じ、また責任をとろうとしておるか、この点を一点だけ承りたい。
  101. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 赤軍派の企てを事前にキャッチし得なかったことは、まことに遺憾であると思っております。  それから、板付空港に着陸しました、これも偶然であろうと思うのですけれども、そのあとでとりました警察措置は、万全を尽くしたと思っております。タイヤの空気を抜くとか、オイルのコックを締めるとかいうことは、日本航空と相談をしてやったことのようでありますが、これも極力国内で起きた事件は国内で解決したい——もちろん人命の尊重が第一義ではありますけれども、時間をかけるならば可能であろうという判断のもとにやったことでありまして、これは結果的に成功しませんでしたけれども、そのこと自身は、警察としてはベストを尽くした、こう考えます。
  102. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 ベストを尽くしたから責任は感じない、まあうまくはなかったけれども、ベストを尽くしたんだということだけで、それだけで済まそうというお考えかどうか、その点を一つ聞きたい。  ついでに申しますけれども、北鮮に行った彼ら赤軍の人たち、とうとうそのまま、政府のほうでも、北朝鮮の好意というものもあるので、いますぐそれを身柄要求等のことはしないと言うております。そういうことで、赤軍の連中はまんまと北鮮へ行ってしまっておる。こういう点から考えても、私は国家公安委員長の責任は重大だ、かように思いますが、いかがですか。
  103. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 赤軍派の連中、犯人が北朝鮮に抑留されたかどうか、とにかく犯人引き渡しの要求の課題は残りますけれども、デリケートな問題でございますから、外交関係の打開されるのを待って、犯人のだれであったかを突きとめる努力をしておりますが、その問題は残りますけれども、その当初の予定どおり北朝鮮入り込んでも問題は同じように残りますが、その場合の北鮮態度がどうであるかは予測はできませんけれども、問題は同じことでありまするし、先ほど申し上げましたように、事前の予測ができなかったことを遺憾と存じ、次の段階においての警察行動は妥当であったと思います。失敗はしましたけれども、そのことそれ自身はなすべき当然の措置であろうかと心得ます。
  104. 畑委員(畑和)

    ○畑委員 政治責任はどうしたんだ。私は政治責任の問題を中心としているのに、ちっともその点について返答しないんだな。国家公安委員長、私はそれを言うておるんですよ。とらないのかとるのか、どっちかなんです。政治責任をとる、すなわちやめるということでしょう、はっきり言えば。それをどちらにするのかということをちっとも答えていない。
  105. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 それは繰り返し申し上げておりますように、当初赤軍派の企てを予知できなかったこと、そのことは遺憾に存じております。
  106. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 井野君。
  107. 井野委員(井野正揮)

    ○井野委員 簡単に、まず公安委員長お尋ねをしたいと思います。  ただいままでお伺いしておりますと、赤軍派を事前に予知することができなかったことは遺憾なことだった、しかし、最善を尽くしたから、政治的責任は果たしたんだ、なお今日厳重な警戒をして、再び起こらぬようにしておるというふうに私は承ったのでありますが、しかし、考えてみますと、羽田、大阪、板付、千歳等は同機種の離発着する場所であります。したがって、まずお尋ねをしたいのは、あの乗っ取り事件が起こった後に、羽田空港は、御承知のようにものものしい制服警官の警備がございますが、千歳空港へ行ってみますと、制服警官の姿を見ることはできません。私は、金曜日に北海道へ参りまして、日曜日にこちらへ帰ってきた次第であります。私も大きな洋服箱を持ってまいりましたが、その箱は何かとも聞かれませんし、また、同様百何十人乗っておるお客さんに対しては、羽田空港で行なわれるような警備体制はございません。これはお尋ねをしたいのでありますが、一体各空港に都道府県警を通じて配備をされおる警察警備体制はどうなっておるのか。特に昨日、日曜日ですが、どういうふうに配置をされたか。ほんとうにあなたは、今日の警備体制で、警察の可能の警備体制をとっておると自信を持ってお答えになられるかどうか、この点御返事を承りたいと思います。  その次に、関連質問でございますので、一ぺんに言わしていただきたいと思います。昭和四十一年に世界の航空の四大事故がございました。これに基づいて、各飛行場にはフライトレコーダーですか、これが取りつけられておるわけですね。この記録をぜひ国会に御提出を願いたいと思います。  あわせて、航空局長にひとつこの機会に、あとの審議のこともございますので、申し上げておきたいと思いますが、航空法に基づく各条項の報告事項、事故のあとの報告事項が求められておりますが、これはいまだ委員会の要求でも出されておりません。これはぜひ、いままでの御答弁はすべてこの報告の中に総括されなければならない問題であると考えますので、もうすでに文書化されておるものと思いますが、この点ひとつお願いをいたしたいと思います。  最後に、もう一つだけ。先ほど長野さんは、江崎さんは平壌へ行った経験があると言われましたが、これは間違いでしょう。金浦でしょう。(長野参考人「金浦です」と呼ぶ)そういうふうにあなたも頭が錯倒しているんです。したがって、この指令は、運輸委員会で確認をして、この主管大臣の命令を補完するものであり、命令と同一語義に扱ってよろしいという御答弁をいただいておるのでありますが、あなたの認識は、これは間違っているのですよ。これは乗務員は逸脱してもいいとありますけれども、運航部長が逸脱していいとはどこにも書いてございません。これは飛行機の中の特殊事情から、その権限を機長に預けた指令なんであって、あなたまでが機長を排除して、あなたの意思でやった行為に対しては、刑法の責任を負わなければならぬということは、あなたは知らなければいかぬです。  以上です。御答弁願います。
  108. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申します。  事件が起きました直後、警察庁長官名をもって各都道府県警察本部長に通達を出しまして、再び同じようなことが起こらないように極力警備を十分にするようにということを通達を出しております。その具体的な内容につきましては、政府委員からお答えします。
  109. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣からお答え申し上げましたような経緯でございまして、その後、運輸省航空局のほうとも詳細に打ち合わせを遂げまして、運輸省のほうは航空局長通達をお出しになったようでございます。それに基づきまして、それぞれ現地で、現地警察日航あるいはその他の航空会社の責任者の方々及び保安事務所関係方々、こういう者と十分な連絡を遂げて、配置の要領等も三者でそれぞれ相談の上でやっておる次第でございます。  羽田につきましては、先ほどもお話しございましたが、昼間は外勤二十四ないし二十八、内勤が四十名ないし四十五名、夜間は外勤が十二名ないし十四名、それから内勤が十名、大阪につきましては、昼間が二十八名、夜間が八名、以上のような体制でやっております。それ以外に、いまお尋ねのありましたような千歳の場合、あるいはその他の地方空港の場合でも、制私服をそれぞれ混入いたしまして、それぞれ必要な体制をとっておるわけでございます。  いま、先生のお尋ねにございましたように、大きな荷物でおいでになったそうでございますが、これはあくまでも現在の警職法の範囲でのことでございまして、あくまでも挙動不審の者その他の方々についてのみ職務質問ができるだけでございますので、その範囲以外のことにつきましては、先ほども御答弁ございましたが、航空会社なりあるいはその他の関係機関においてそれぞれ処置をしていただく、こういうような関係で万全を期しておる次第でございます。
  110. 井野委員(井野正揮)

    ○井野委員 お聞きのとおりですけれども、大阪と羽田についてはわかっているけれども、北海道と九州については用地三者の協議にまかせているなんて、それ自体が責任を感じていないじゃないですか。責任とりなさいよ、あなた。  また、もう一言私は言っておきたいのは、法律によっては運輸大臣の指揮にまかせられている、ゆだねられている、責任を負わされている。ところが、本会議では、佐藤総理は、総括的には私の責任だということを言われましたけれども、対策本部をつくったわけでもない。主管大臣は運輸大臣であるはずだ。そうして、航空局長は詳細にその経緯を追ってその指揮に参加しておらなければならぬはずじゃないですか。していないじゃありませんか。これは運輸大臣も同断ですよ。責任をとるべきです。この点はなお、きょうお話がございました石田機長、江崎副操縦士、また長野運航基準部長ですか、この指揮関係、そうして県警がこの法令に違反した措置をした、特に整備員二人は県警の人であったとも、日航の職員であったともいわれている。いずれなのか、氏名、職務、職務命令を出した人、これを文書をもって御提出を願いたいと思います。  以上、答弁要りません。その上でさらに追及したいと思います。
  111. 福井委員長(福井勇)

  112. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 中曽根長官のお時間がないようですので、先に質問させていただきますけれども、その前に日航当局にお尋ねいたします。  事件発生直後、石田機長より第一報が七時三十二分カンパニーラジオによって行なわれた。それから続いて、四十一分三十秒に英語で石田機長から通信がなされておる。この事実を確認させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  113. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 お答えいたします。  ただいま御質問のありました点、一番最初にコンタクトがありましたのは、私はこれはおりませんで聞いておりませんが、記録を読ませていただきます。七時……。
  114. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 その確認だけでけっこうです。第一報が三十二分で、その次のは四十一分三十秒であったかどうかだけでけっこうです。
  115. 長野参考人(長野英麿)

    長野参考人 私のほうの記録には、第一報が七時三十三分、それから第二報が七時四十分と、こういうふうな記録になっております。
  116. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 長官にお伺いいたしますが、小松からの第一次発進が五十二分、F86Fが二機発進いたしております。続いて築城から八時三分、それから新田原から八時五分に104Jが二機発進いたしておりますが、この点はこれでよろしゅうございますか。
  117. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 詳細に点検してみないとわかりませんが、たぶんそうであったと私、記憶に残っております。
  118. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 この事件発生後の事実をずっと考えてみますと、七時三十三分に機長よりオペレーションセンターに第一報があった。続いて七時四十一分に同機長より英語での発信がなされておる。そして七時四十七分、これはジャンプインからロールアウトまでの所要時間五分と計算いたしますと、五十二分に小松からF86Fが二機発進しているのであれば、七時四十七分に小松発進決定が行なわれているはずでございます。それから八時三分に築城より二機、八時五分に新田原から104J二機発進、こういう状況になっておるわけでございます。  そこで、長官にお伺いしたいわけでございますけれども、小松をはじめ築城、新田原からなぜ自衛隊機が発進をしたのか、この点がいま不明になっておりますが、ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  119. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 よどの機長からエマージェンシーコールがございまして、緊急事態であるということを佐渡並びに大滝根のレーダーサイトがキャッチしました。そこで、これは非常にたいへんなお客さんを乗せておる、重大問題であるというので、航空総隊にすぐそれが参りまして、航空総隊からすぐ連絡をやってスクランブルを命じたのでございます。これは一種の災害出動ではないかと考えております。
  120. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 そうしますと、機長からの第一報から四十七分まで、数えますとその間十五分間——これはカンパニーラジオなので、四十分にあらためて第二報がなされているわけでございますが、この間の五分三十秒、きわめて短い時間であるわけでございますが、この五分三十秒の間に小松が発進を決定したということは、あくまで小松基地の判断であったのか、それともどこかからの命令によってF86Fが二機発進をしたのか、この辺はいかがでございますか。
  121. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 それは府中にある航空総隊司令部から小松にその命令が出て、すぐ発進したわけでございます。
  122. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 関連して伺っておきますが、板付福岡駐とん部隊に狙撃手並びに不発弾処理班が待機をした、これはNHKの十時三十分のニュースで報道されている事実でございますけれども、この待機の指示、これは現地の判断であったのか、それとも防衛庁からの指令であったのか、この辺はいかがでございますか。
  123. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 狙撃手を待機さしたという事実は誤報でございます。こういう緊急事態が起きましたので、西部方面総監が一部の部隊を——部隊といっても少数でございますが、航空当局から要請があった場合に、警察の応援に出られるように待機を命じておったということはございます。しかし、不発弾処理班とかあるいは狙撃手というようなことはございません。
  124. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 これは、いま誤報であるという御答弁があったわけですけれども、NHKがきちっと報道なされて、そして自衛隊としても、こういった出動は初めてのケースではないか、まことに重大な問題であると思うのです。それで長官から、もしこれが誤報であるならば、何らかの抗議並びにNHKに対する問題が処理されていなければならないと思うわけでありますけれども、その点、何かNHKに対する接触はありましたでしょうか。
  125. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 あのころはいろいろ誤報みたいなのが乱れ飛んでおりましたが、当方としては、狙撃手というようなものを配置したことはございませんので、特にそういうことはないということをNHKのほうにあとになって言う必要もない、そういうことでそのままにしてあります。こちらがそういうことをしなければいい、そういう考えに立っておるわけであります。
  126. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 それは正式に長官からNHKに、そういう事実はないということは申し入れがなされたわけですか。
  127. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 私からはしておりません。
  128. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 どなたがNHKにそれを申し入れなさったのですか。
  129. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 自衛隊からNHKに、いまのは誤報であるというようなことを申し入れしたことはないと私は思います。
  130. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 これは時間がないので詰めませんけれども、そういった自衛隊が初めて治安出動というような名目で出たというニュースが流れたことについて、国民は大きな関心を持っているわけでございます。それが全く事実であるか誤報であるかという問題は、もっと明確に処理されるべくお願いをいたしておきます。  私は、このたびのハイジャック事件によってもたらされたいろいろな問題が多々あるわけでありますけれども、限られた時間の中でまず第一に明らかにしていただきたいのは、石田機長並びに長野部長も、先ほど御答弁の中にありましたように、米軍に直接依頼をした、こういった事実があるわけでありますが、こういった米軍に直接依頼をしたということをはばからず表明すること自体に私は問題があると思うのです。といいますのは、このたびの事件について、日韓米、いろいろな問題が推測やら諸説がございますけれども、しかし、私は、日本の空が第五空軍を頂点とする米軍に支配をされている、こういった国民の疑惑をここではっきりさせなければならないと思う。私は、よど号事件はあくまでも民間の問題であって、そしてこの民間の問題までが米軍の指揮下といいますか支配下、そういったことの体制において処理されようとしている、この問題を私たちは問題にしなければならないと思う。これは、日本が独立国として日米安保体制という状態にあるわけであります。この日米安保というのは、決して日本が従属国としての条約ではもちろんない。対等の立場に立っての条約でありますけれども、この日本の空が米軍によって支配、指揮権がゆだねられているという事実については、長官のこの点に関するお考えを伺わしていただきたいと思います。
  131. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 日本の空が米空軍によって支配されているという事実はございません。安保条約によりまして、日本とアメリカとは緊密な連絡をしておりまして、日本の本土防衛に関してはお互いが緊密に連絡をし合って、情報の交換等もやっておるわけです。それで、日本にある二十幾つかのレーダーサイトからの情報は、日本におる米軍にも、府中のセンターを通じまして通報しておりますし、米軍が得た情報もわがほうによこしております。それは情報の交換ということでございまして、指揮命令はみんな別々独立になっております。  それで、日本本土に関するレーダーのキャッチは、日本航空自衛隊が全部やっておりまして、アメリカの兵隊がやっておるわけではございません。こちらから得た情報を向こうが受け取っておるという状態にあるのであります。今度のよど号事件に関しましても、米空軍はコミュニケーションの媒体として使われた、そして向こうもそれで協力した、そういう事実はあると思っております。
  132. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 先ほどの問題に戻るわけでありますけれども、四十一分の第二報からスクランブル決定の四十七分まで五分三十秒間、この間に、先ほどよど号からの災害出動の要請があった、こういうことでございますけれども、自衛隊としては、よど号から連絡があればいつでもスクランブルを起こすような体制になっておるのでしょうか。
  133. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 自衛隊法の命ずるところに従って自衛隊がやる責任があり、またやるべきことが法律で可能であるという場合には、航空総隊司令官に私から委任が出ております。したがって、たとえば識別線以内に不明機が出てきたという場合には、直ちにスクランブルをかけて、その不明機を探索に出ていくわけでございます。それと同じようなスピードをもって、よど号にもしエマージェンシーコールがあった場合には、災害出動として、人命を守るために急遽出動するということがあるわけでございます。しかし、今度の発進を見ておりますと、非常に緊急迅速にやりまして、よくやったと思っております。
  134. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 こういった事件を通じて、いわゆる事前協議の問題でありますけれども、これは全く空文ではないかということがいま論が起きているわけでございますが、先ほどの御答弁にもありましたように、事前協議に対する判断は、自主的に日本政府が行なわなければならない。しかし、今回の事件を通じて、その状況の判断というものが、日本の持っている体制、特に情報の点などでは、非常に不備であるということが明らかになったことは、長官御自身も認めていらっしゃると思う。かつてのEC121型機の撃墜事件におきましても、厚木飛行場からそのような飛行機が飛んでいたことさえもわれわれは関知していなかった。こういったことがあるわけでありますけれども、自主的に判断をするといっても、一方的な判断ではその正確な判断はできないと思いますが、この点は長官、いかがお考えでいらっしゃいますか。
  135. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 その点は同感でございまして、今度のケースを見ましても、事前協議というものが非常に重要であり、かつ、事前協議でこちらが自主的な判断を獲得するために、自主的な情報を獲得するということがその前提である、情報がない場合には相手に引きずり回される、そういうことをやはり経験、いい勉強をさしてもらっていると思います。私は、でありますから、着任以来、自主防衛には自主情報が必要である、そういう意味で、情報機能を充実させるということを部内にも言っておるのであります。
  136. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 その情報機能の充実という問題でありますけれども、でははたして具体的にどういつた計画が練られ、またどういった作業が行なわれているか。ここで御答弁はないと思いますけれども、私どもが一番問題にしなければならないことは、第五空軍の行動がかなり防衛庁や政府の知らないままに行なわれたケースが今回の事件で多々見られるわけであります。また日本は、安保体制ではアメリカとそういった状況下にあるにもかかわらず、運命共同体になっているわけでありますが、その情報が真実かうそであるかということも判断できないままに、米国の言うことだからといって信用するということは、まことにこれは大きな誤解のもとでもあるし、また新たな事件を発生するもとである、こういう教訓を得たと思うのですけれども、私は、その事前協議の点について、これを有効ならしめるためには、第五空軍の行動日本がきちっと察知していなければならない。これは府中に連合司令隊みたいなのがあるように伺っておりますけれども、その辺の関係をアメリカに要求できるのかどうか、その点についてお願いしたいと思います。
  137. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 日米両国は安全保障条約を結びまして、非常に相互信頼の関係にあるわけであります。したがって、双方で情報を交換し合って、わが本土の周辺の情勢は両方とも万全を期しておるわけであります。私は、米空軍が日本列島の中におって、そういう点について非常によく協力しており、かつ、今度のよど号事件につきましても非常に媒体として協力してくれたことを感謝しております。  しかし、日本の本土防衛につきましては、やはり日本独自の防衛構想、防衛戦略というものを持ち、それと同時に、アメリカの戦略とも調整、吻合していくということが非常に重要であると考えております。
  138. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 事前協議の問題につきましては、大平外務大臣のときに、この提案権が日本にあるということが明確でありたわけでありますけれども、現在では日本側は事前協議の提案権がない、こういう解釈になっておるわけですが、この点についての長官の御意見伺いたいと思います。
  139. 中曽根国務大臣(中曽根康弘)

    ○中曽根国務大臣 条約の解釈は私よく知りませんので、外務大臣にお尋ねをお願いいたしたいと思います。
  140. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 約束の時間だけは守りたいと思うのですけれども、だいぶオーバーしたので、質問を——防衛庁の方どなたかいらしていますか。
  141. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 宍戸防衛局長が来ております。
  142. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 ただいまの長官の御答弁は、日本の安全を守るという意味での自衛隊の長官の答弁にしては、いささか軽率に過ぎたのではないかと私は思うわけでありますけれども、事前協議の提案権が日本にあるかないかということは防衛庁長官の関知するところではない、それは外務省に聞いてもらいたい、こういったことについて、防衛局長の御見解を伺わしていただきたいと思います。
  143. 宍戸(基)政府委員(宍戸基男)

    ○宍戸(基)政府委員 いまのお尋ねは、外務省の問題でございますので、私からは不正確なお答えになるかもしれませんので、差し控えさせていただきます。
  144. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 いま問題にしているのは、この事前協議というのは、こういった事件を通じて非常に数分を争うような問題だ。その提案権がどこにあるかということは、外務省のみが関知していて、防衛庁に全く責任がない、こういうわけでございますか。
  145. 宍戸(基)政府委員(宍戸基男)

    ○宍戸(基)政府委員 事前協議の問題は、まさに安保条約の解釈の問題でございます。先ほど大臣からもお答えいたしましたように、まさに外務大臣がお答えになることでございましょうし、さらに事務的に正確を期するためには、外務省のほうにお願いをいたしたいということを私、申し上げているわけでございます。
  146. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 時間もありませんので先にまいりますけれども、アジア局長にお伺いしたいと思います。  このたびの問題で私どもが一番遺憾に思いますことは、本来、よど号事件というのは国内問題であったはずです。それは板付で処理をするということがあくまで原則であったと思います。しかし、それが万やむを得ぬ場合、ハイジャッキングの国際的慣例によって北鮮に行くべきであった。行かしたくないということについて、先ほどいろいろと御答弁があったわけでありますけれども、その北鮮連絡をとり、北鮮に依頼をすべきであったというのが、これがオーソドックスな考え方であったと思うのです。しかし、事件を通じて、少なくとも板付の時点で、日本の意思というものは非常に不鮮明であった。日本国内で処理すべき問題が、できなければ北鮮に行かせる、そういったことが、何かその辺が非常に不鮮明のような印象を受けておりますが、これは将来こういった問題が起きることも考慮して、私たちは、日本政府として、こういったハイジャッキングの問題その他に関連しまして、もっと明確な意思表示なり意思の決定、姿勢というものを持つべきではないか、こういう考えを持つわけでありますが、アジア局長いかがでございますか。
  147. 須之部政府委員(須之部量三)

    ○須之部政府委員 お答え申し上げます。  私どもとしましては、この事件が起きまして、与えられた条件のもとでいろいろ最善を尽くしたというふうに考えておるわけでございますが、何ぶんにも今回の事件初めてでございまして、私個人としましても、事務的にどう処理すればいいのか、いささか当初はあわてたというような感じは持っております。それだけに、今後同じような問題が起きた場合どうすればいいかという点については、もちろん今回の経験を今後は生かしていきたいというふうに思っておるわけでございます。その意味では、今後とも長期的にいろいろ配慮していきたいというふうに思っております。
  148. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 ただいまのアジア局長の御答弁の中に、私は大きな問題があると思うのです。初めてのケースなのであわてたというお話しでございましたが、これは日本が世界で初めてならいざ知らず、世界的に百数十件にわたるハイジャッキングが起きているわけです。日本としては、これに対する、事前の不測の事件に対する対策なりまた姿勢が当然とられでなければならない。こういったすでに前例のある事件が、日本に起きたといってあわてなければならないその姿勢が、外務省としては非常に怠慢であった、私はこのように言わざるを得ないと思うのです。今回の事件で、よど号が金浦へ着くことは着いても、金浦へ着くことさえも知らなかった。よど号北鮮に向かって出発したはずであるにもかかわらず、金浦へ着いてしまった。金浦へ着いたら一体どうなるか、あの朝鮮の南北対立の中で、一体どういう事態になってくるかという、金浦へ着いたときの状況判断、また北鮮に依頼をした場合、北鮮からどういうアンサーがくるのか、またこういう申し入れをしたらこういう答えがくるであろう、当然その問題はケース・バイ・ケースで日本政府としてははっきりした見解を持っていなければならない。これは日本が独立国として当然のことだと思うのです。にもかかわらず、局長御自身もあわてた。また日本の外務省並びに政府の動きを見ておりましても、まことにあれよあれよというような、まるで相手の出方、よど号のおしりを追っかけて、そして日本政府がうろうろするというようなやり方、こんなことについては、まことに日本としては恥ずかしい事態ではないかと思うわけであります。  私は、この問題でこまかく詰めませんけれども、一つだけ申し上げておきたいのは、今度の事件を通じて北鮮、北側とすぐ国交を回復しろとか、また北鮮を承認しろとか、そんなことは申し上げません。ただし、その北鮮を含む未承認国に対する日本政府の姿勢として、承認しないからといってその国がないわけではない、現実に存在しているわけでありますから、その未承認国に日本がどのような対策をもって当たるのか、こういったことは従来当然なければならない問題であったし、また今後も、もしなかったのであるならば、早急にその対策がとられなければならない、そういったことを強く感ずるわけでありますけれども、その相手の出方によって一喜一憂している、その域を一歩も出ないような今回の日本政府態度、また姿というものについては、まことに残念な気がするわけであります。私は、この問題を契機に北鮮をはじめとする未承認国に対する日本政府の外交姿勢といいますか、未承認国に対する外交のあり方というものを、その相手の国の調査なり分析なり対策なりをきちっと明確にすべきではないかと思います。たまたま今回起きたところが朝鮮でありますので、アジア局長、恐縮でありますけれども、その点について御答弁を願いたいと思います。
  149. 須之部政府委員(須之部量三)

    ○須之部政府委員 先ほどお答え申しましたとおり、今後の具体的な事務処理は、このような事件はもちろん起きることは望ましくないわけでございますが、万々一起きた場合どうするかという点については、十分配慮しなければならないというふうに思っております。  ただ、未承認国、ことに分裂国家の場合に対する外交姿勢のあり方というものにつきましては、今回の事件の経験、それももちろん一つの要素ではございますけれども、そのほかにも、日本の国益全体から見まして、いろいろ考慮せなければならない点もございます。私は、あまり一時の感情に流れることなく、むしろ冷静に、慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  150. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 時間もありませんので、運輸大臣にお伺いいたします。  先ほど同僚議員の質問の答弁にもございましたのですが、現在、羽田空港は年間約十四万回の発着並びに、一日にしますと大体四百機の出入りがございまして、確かなデータはございませんけれども、一日に約十万から十二万以上の人たちが出入りをしている。その業務はまことに多岐多様であるわけでございますが、たとえば警備関係警察庁、それから税関関係は大蔵省、それから検疫は厚生省、出入国関係は法務省、そして航空機並びに管制関係が運輸省、こういうふうにおもだったところをまとめても、各省にその権限が分かれておるわけでございます。このたびのような大きな事件、並びに国際空港として考えた場合にしましても、羽田なら羽田空港自体が一つ地域社会として独立をしておる。これを今回の事件、または平常においても、だれが責任を持ってこの空港を運営しておるのか。また、羽田にも空港長が現在おられますね。この空港長の権限というのはどの程度になっておるのか、またそれぞれ業務に直接タッチすることはできないわけでありますけれども、今回の事件を通じて警備体制の問題、その他いろいろなことが問題になっておりますけれども、警備体制だけの問題を検討しても、これは抜本的な解決にはならない。むしろこの際、羽田空港という一つ地域社会をどのように総括的に管理もし、また治安もし、運営をしていくのかということについて、私たちはもっと明確な責任体制を確立すべきではないか。その点について運輸大臣のお話を伺いたいと思います。
  151. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 事務的に答えますと、いわゆる飛行機の運航、輸送は、まあ運輸省といいますか、直接管轄であり、治安に関してはそこの駐在の警察署とか、かような答えをして、それでも大体うまくやっておるというような答えになってしまうのですが、それではいけないと思うのです。われわれは非常事態がなければ、それで大体やっていけるのです。たとえば、国内空港お客さんの扱いにしましても、十五分前までに来ればお客さんを乗っけるということになっています。十五分前に来たお客さんの小荷物から手荷物まで調べるのは不可能です、そんなことは。そういうことがいわゆる通常業務として、そういうようなハイジャッキングのようなことがないという前提でもって行なわれておる。同時に、いま申したような飛行場のいわゆる運航等、それに関連する扱い方が、運輸省もしくは空港、会社。治安といっても、すり、どろぼうの類だと思うのですが、そういうものは警察。こういう警備、こういうようなことでは、いわゆる平常の場合においては大体差しつかえがありませんが、そういう問題は、必ずしもこういう場合においては適用しないんじゃないか。もちろん、これは私が責任者の一端を持っておるわけでありますが、ただ私が願うところのものは、やはりソシアルコンセンサスといいますか、社会的な一般的な常識というものも、一つ考えなければならぬ。今回の事件が起きたとき、私のところに何と言ってきたか。ある人は、直ちに出さないことは運輸大臣は何をしておるんだ、またある人は、もしかしたならばおまえと刺し違えるんだ、こういう相反したものの考え方が日本では存在しておる。もちろん国際的にもそうだろうと思う。  だから、先ほど来いろいろお話がありましたが、機長の権限といいましても、御承知のように、機長はその機内において自由なる意思の発言ができない、そういう状態に置かれておる。そういう場合において、外部の助言も必要であります。しかし、その外部の助言にしても、機内の状況というものは手に取るようにはわからないのであります。私は向こうに着きましてから、いわゆる山村政務次官の勇気ある行動をきっかけにして百八十度の転換をした。しかし、私の責任は、なおかついわゆる機長を含めた四名の生命、並びに犯人についても生命は尊重しなければならぬ。こういうものを安全に北朝鮮の見知らざる飛行場に送るためにはどういう努力をすべきか。私はこれが決定いただきましたが、翌日——夜になりましたからしてこまかい点はできませんので、夜明けと同時に、その飛行機の整備及びできるだけの飛行場等の状況の入手、あるいは静養、こういうものを含めて、あの飛行機が出発するまでには十時間余の時間を要しておるのであります。われわれはもちろん当初から、私が金浦に参りましたときには、初めから、困難なる場合は全員送らざるを得ない。そのためには、自転車に乗っているのではないのであります。人間が歩道を歩いているのではないのであります。こういう精密な飛行機を動かすためには、しかも地上の知らざるところへやるためには、やはり数時間なり——私は空港長等に聞きましていろいろ調べた。この飛行機の整備は最小限度何時間を要するか、三時間要しますと言う。しかもよど号滑走路からはずれております。これをまず乗っける、そのためには一時間余の時間を要する。給油その他にも一時間半以上はかかる。かつまた飛行機の気象通報、これはもちろん日本の大阪と東京をやるわけじゃありません。何ら関係のない国の情報を知るのでありますからして、各方面の広い範囲の、いわゆる外の方面の状況を調べて、そこで最小限度ながらの資料を与えざるを得ない。皆さん新聞でごらんのように、当時は悪天候であった。こういう状況をわれわれはあそこでもって北朝鮮からとることができませんから、できるだけ他の方面からこれを得て、そうして飛行の安全を期することが当然の責任であります。そのような措置をするためには、一時間や三十分じゃできはしません。私が努力をいたしまして、人を指揮いたしまして、緊急の事態でありますから、私が総括責任としてこれが措置を行ないましたが、それにいたしましても、午前八時から始まりまして、夕方の四時過ぎでなければ出発してよろしいという条件が整わなかったのであります。でありますから、板付における状況につきましても、何か三十分か一時間で出発させることができるんだということは、人命を尊重しないやり方であります。人間が向こうへ行ってどうなってもよろしいというのであるなれば、これは別問題であります。したがって相当の時間を要することは、飛行機のことを私はよく知りませんけれども、人の意見に従って行なったのでありますが、そのような慎重を期してこそいわゆる人命尊重ができるのであります。  こういう点を考えるなれば、われわれはこういう非常事態といいますか、緊急なる状態に対しては、先ほど御質問がありましたように、私は、いろいろの点において総合的な責任体制、こういうものをつくる必要がある。法律の改正等が要るかもしれませんが、できるだけ行政措置においてもそのようにやっていかなければならぬという強い信念を私は持っております。
  152. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 時間もありませんので終わりますけれども、このたびの事件が、ただ単に民間機が乗っ取られたということだけではなくして、日米安保条約並びに日本の安全を守るという自衛隊の権限についてのいろんな問題点が内蔵されているわけでございます。私は先ほどの長官並びに局長の答弁に対して、狙撃手の配置の問題でございますが、私たちは、ただニュースを聞いたからそれだけをもとに質問をしているわけではないつもりでございますが、後ほど事実関係を明らかにして、追って内閣委員会等で問題を取り上げたいと思っておりますけれども、国民はこのNHKのニュースを聞いて、誤報であったにしても取り消しがない以上、この狙撃手並びに不発弾処理班が福岡駐とん地に配置されたということは、いまもそのとおりに認識をいたしておるわけであります。この事実関係調査して、そして正確な対処を私どもは希望いたしますけれども、その点についてあらためて防衛局長のお考えを伺わせていただきたいと思います。NHKに正式にそれを訂正するなり接触を保つ、そういった点はいかがでございますか。
  153. 宍戸(基)政府委員(宍戸基男)

    ○宍戸(基)政府委員 いまお尋ねの件につきましては、先ほど大臣が誤報と申し上げましたが、さらにふえんして申し上げますと、当時そういうことが現地で話題になったという事実はあるようでございます。ただ、先生のほうで待機を命令したかというふうなお尋ねだったように私も聞いておりましたが、そういうふうに待機命令を出したというふうなことではない。しかし、当時いろいろ緊急の場合でございますので、いろんなことが議論されたり話題になった、そういう範囲で、そういうことが話題になったという事実はあるようでございます。
  154. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 待機したことは事実なんですか。
  155. 宍戸(基)政府委員(宍戸基男)

    ○宍戸(基)政府委員 狙撃手を待機さしたというわけではございません。狙撃手を出したらどうだというようなことが、当時話題になったというのが事実でございます。
  156. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 問題にしたいのは、その待機したのは事実かどうか。それがこちらからの指示でなくても、現地判断で待機したのかもしれない、そういった問題もあるわけです。待機した事実についてはどうなんですか。調査するお気持ちはございますか。
  157. 宍戸(基)政府委員(宍戸基男)

    ○宍戸(基)政府委員 その点は私、調査をいたしました。そうしたら、待機を命じたという事実はございません。待機をしたらどうだというふうなことが議論されたというのが事実でございます。
  158. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 それでは、現地の福岡駐とん地においても待機をさせたという事実はないわけですね。それなら、なぜこういう重大な報道がそのまま放置されているのか、その点の感覚について伺いたいと思います。
  159. 宍戸(基)政府委員(宍戸基男)

    ○宍戸(基)政府委員 繰り返すようでございますが、狙撃手を待機の命令は出ておりませんが、ちょうどああいうときでございますから、待機をしたらどうだというようなことがいろいろ取りざたされた、議論されたということでございます。そういうことについてまた報道がされたというふうにわれわれは存じておるわけでございます。
  160. 大久保(直)委員(大久保直彦)

    ○大久保(直)委員 この問題を詰めても御答弁はありませんので、これで終わりたいと思いますが、いまの自衛隊のこういった狙撃手の待機の問題等は、きわめて国民の関心の高いところでもありますので、誤報を訂正するなりなんなり、適切な処置をとられることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  161. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 この際、参考人各位に一言申し上げます。  本日は、御多用中のところ、長時間にわたり御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  質疑を続行いたします。岡沢完治君。
  162. 岡沢委員(岡沢完治)

    岡沢委員 私は、この事件につきまして、政治家としてあるいは政治の立場から何を考えるべきか、また何を論ずべきかという観点に立ちますときに、やはり申すまでもなしに、こういう同種の事犯を再び起こさないということが一番の眼目だろうと思います。その再発を防止するためにはいろいろ考えられます。具体的にこの日航機乗っ取り事件の真相を究明するということも一つの方法でありましょう。しかし、私はこういう九名の犯人たちを考えました場合、日航機の石田機長も申しておりますように、いわば気違いであります。こういう気違いを防止する方法として、法律を改正し、厳罰に処するということをもってしても、これがきめ手であるとは思えないという感じがいたします。それからまた、飛行機の特殊性を考えました場合、また警備体制の不備について、先ほど運輸大臣等からも御答弁がございましたが、実際上、完全な警備のもとに飛行機に一人の犯人も乗せないということも不可能であることを考えました場合、単に警備を強化したり、あるいは犯人を厳罰に処するというだけで再発は防止できないと私自身は感ずるわけであります。  したがって、個々の事件について原因関係を究明することも一つの道ではありますけれども、それ以上に、なぜこういう犯人が生まれたかという人の問題から、こういう気違いをつくらないという問題について考えることが、最も大切な課題ではないかというふうに私は感じます。その次には、こういう気違い犯人であろうといえども、警備の強化によって、あるいは警備の十分な対策によって、飛行機に乗せないということが大事だろうと思います。その次は、乗った飛行機の上で事故を起こして墜落したり、乗客に危害を加えたりしないという機長の指揮、あるいは秩序維持についての権限の強化等も考えられるかと思います。最後に、この犯人たちをどうして厳罰に処するかということによって、いわゆる一般予防の見地から犯罪を予防するということが考えられる。また、これは最終的には国内、国際にまたがる問題でありますから、国際法、国際条約との関連が考えられるというように私、思いますので、順序に従いまして、最初に、どうしてこういう犯人が生まれたか、こういう犯人が生まれないためにはどういう方法が考えられるかということにしぼってお尋ねをしたいと思います。  この九名の乗っ取り犯の主犯と目されております田宮高麿というのは、実は私の高等学校の後輩でございまして、そういう人情論から入るわけではさらさらございませんが、彼らの年齢、背景を考えました場合、私は、こういう学生、いわゆる欠陥学生と申していいと思いますけれども、こういう欠陥学生が生まれたのは、欠陥教育があったからであるし、欠陥教師がおったからだという見方も率直にできると思います。私自身の終戦時の行動を反省いたしましても、主観的には戦争廃止に反対でございました。戦争継続のために私自身その計画をいたしまして、裁判所で、殺人予備罪と銃砲刀剣類等所持取締令違反で執行猶予の判決を受けた事実がございます。そういう観点からいたしましても、この種犯人たちを憎む気持ちにおきましては私も人後に落ちないつもりでありますけれども、しかし、幸いにして一人の死傷者もなしに終わった現段階におきましては、この事件で今後最も不幸を背負っていくのは九人の犯人であり、その家族であるという見方もまたできるわけでございまして、そういう観点からいたしますと、いわば戦後の教育の犠牲者が彼ら九名であり、またその犠牲者が日航であり、また乗客であり、あるいはまた国民全体であるという見方も私はできるかと思います。  そういう意味から、日本の戦後の教育、ことに昨年来大学紛争等を通じて見られましたように、現に大学におきましては、研究室を利用して弾薬がつくられたり、あるいは学校の構内が弾薬庫に類するような状態に置かれたり、あるいはまた大学の学長事務取扱といわれる方が、赤軍派をはじめとしていわゆる暴力学生にカンパをしたり、世間的にもまた大学の内部におきましても、いわゆる暴力を肯定するような、あるいは目的のためには手段を選ばない彼らの主張に共鳴するような世論があったということも、この事件の大きな背景ではなかったかと考えるわけでございます。  残念ながら、文部大臣の出席を要求しましたが、他の委員会との関係で御列席いただけません。国務大臣として並んでいただいております運輸大臣、そして国家公安委員長、特に国家公安委員長の場合は、前に文部大臣の御経験もございます。私は、現在お並びの運輸大臣なり国家公安委員長は、ある意味では文部大臣の責任の結果を背負わされておる被害者だと考えられないこともないという立場に立つわけでございますけれども、戦後の教育の結果として、あるいは欠陥の犠牲者としての日航機乗っ取り事件という見方が私は正しいと思いますが、そういう見方ができるのかどうか。また、そういう観点から、戦後教育につきまして、国務大臣として、内閣の一員としての御見解を聞かしていただきたい。そしてまた、文部大臣はおられませんが、大学学術局長がお見えでございますので、文部省としての見解も聞きたいと思います。
  163. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 岡沢さんのお話、基本的にはごもっともと存じます。私もこの問題に直面しまして考えましたことは、これらの学生は相当な大学に行っておるのですから、頭が悪いわけじゃないと思うのです。あるいは人並み以上に優秀かもしらぬ。ただ、これは日本だけにも限らないと思いますけれども、しかし、日本はその傾向が強い。いわゆる教育自身に偏向性がある。これは思想的な偏向性を私、言っておるのではありません。それよりは、科学文明といいますか、科学教育というものと、人間教育というものが並行しておらないということですね。私は政治学部をやったのですが、政治学部政治科とか経済をやった人は、いわゆる科学の、技術的な教育は一切行なわれてはおらない。ところがまた、医学とか理工学部のような学科をやった者は、それだけに終始して、人間教育といいますか、人間教育の材料になるものは音楽、美術、哲学、こういうものがそうだろうと思いますが、そういう教育は一貫して、いわゆる縦のカリキュラムとしてやっておらない。こういう教育の制度自身が私は一つの大きな原因であろうと思うのです。いわゆる調和のとれた人間をつくっておらなかったということ。これは日本だけじゃないかもしれません。外国映画でジキルとハイドというのがありまするが、これは私は一面このようなことを象徴的につくった映画だろうと思う。  こういう意味において考えなければならぬことは、規定としてこの人間教育をどうやっていくべきか。先ほどもちょっと触れたように、今日日本は非常に民主主義の国であって、自由の言論が行なわれているにかかわらず、暴力が行なわれる、あるいはまた一方的な見解を押しつける。私たちは、人命尊重の立場からしてあのような慎重な行動をとったのでありますが、いわゆる機械を知らぬ人がなぜ早く出さぬか、飛行機自体もわからぬ人がさっそくにも出せなんということを言っておる。また一方においては、何とかしてこれをつかまえろ、いろいろな誤ったものの見解が出てくるところに、私は、全体としては教育の問題がある、こういうことを強く感ずるものであります。
  164. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申し上げます。  お説はことごとくもっともだと存じます。大学が大学騒ぎの中にあって、暴力をふるった学生を学則に照らして処分をすることそれ自体をちゅうちょしておる。東大のごときは、一連の暴力行為そのことは刑事事件に係属しておろうとも、大学としては処分しない、一種の暴力肯定の態度を消極的ながらとっておるという大学側の態度にも問題があると思います。すでに例示されましたように、さる大学で赤軍派に資金カンパをする。赤軍派がこわいからその場のがれに募金に応じたということかもしれませんけれども、暴力に対して勇気がない。そういう大学の先生に教えられている学生は、ある意味においてはかわいそうだと思います。  そういうことでありまして、基本的には、言論は自由であろうとも、暴力行為を肯定するがごとき言動は厳に慎しむということを、学生も大学当局も持つべきであろうと思います。多くを申し上げる必要はないと思いますが、お説のとおりのことだと思います。
  165. 村山(松)政府委員(村山松雄)

    ○村山(松)政府委員 日航機乗っ取り事件の容疑者として報道されました者につきましては、報道によりまして、本人が在籍しあるいは卒業したと思われる大学にはすべて照会をいたしまして、事実を突きとめましたところが、現に大学に在籍しておると思われる者は二名でございます。その他は卒業あるいは除籍等によって中途退学をいたしております。大学に在籍する者も、一年程度以前よりほとんど大学には寄りつかない、大学ではその実態を把握しておらなかったようでございます。とはいえ、そのように大学に寄りつかないような者をも放置しておくというところに、大学の教育上の問題があろうかと思います。そういう点につきましては、文部省としては、大学に対しまして、教育管理、施設管理の面から、大学教育に適応しない者の措置につきましては、厳正に措置するように指導、助言をいたしてまいったところでありますが、その不徹底であったというそしりは免れることはできないかと思います。なお十分に留意いたしたいと思います。  なお、後段の赤軍派に対する資金カンパの件でございますが、これも指摘されました大学につきまして事実を確かめたわけでありますが、これは昨年の秋のことであったようであります。もちろん、赤軍派に対する積極的カンパというような意向は毛頭なかったようでございまして、実態は、暴力事案によりまして検挙された者の保釈金について、言うなれば、罪は憎むけれども、人は憎まず、自分の大学の学生であるからというような気持ちで資金カンパをしたという事実はあったようでございます。これもその気持ちはわからないでもございませんけれども、大学の改革を目ざすような学生運動と社会の破壊を目ざすような暴力とのけじめが、どうもつきかねるのではなかろうかというような疑問も出てまいります。そういう点につきましても、十分大学に対しまして指導、助言をいたしたいと思います。
  166. 岡沢委員(岡沢完治)

    岡沢委員 この種の犯罪者は、いわゆる刑法上の確信犯に相当いたします。違法の認識というのはほとんどないと見るのが通常だと思います。それだけに、刑罰を重くして犯人たちに犯行を思いとどまらせるという期待の可能性は非常に少ない。むしろこういう犯人をつくらないという教育こそ、こういう同種の事犯を防ぐ最大の道だというふうに考えますだけに、両国務大臣もお答えいただきましたような態度で、戦後の教育のあり方について、学校教育だけではなしに、家庭教育あるいは社会教育も含めまして、また価値観念の倒錯というような問題も含めて、ぜひ御検討いただきたい。私は、経済的に豊かになった日本が、精神面においてはむしろ戦前よりも逆行するような方向に行っておるということに深い憂慮を持ち、その犠牲者とも彼らを見ることもできると思うだけに、ぜひこの点の御留意をお願いいたしたい。ことに、いま大学学術局長お答え、真意ではないと思いますけれども、赤軍にカンパをした学長等の気持ちがわからないでもないとか——否定ということを前提にはしておられますけれども、そういういかにも同情的な、ものわかりのいいような態度が、逆に学生にとっては道を誤らしたのではないか。間違いは間違いで、目的のために手段を選ばずということは許されない。暴力はむしろ人類の敵だという、非人道的な暴力行為に対するきびしい世論の形成が必要ではないかと信ずるものであります。  次に、こういう学生が生まれてしまった場合にどうするかということと関連いたしまして、先ほど来空港警備体制の不備について運輸大臣等からも御意見がございました。荒木国家公安委員長にもぜひお聞きをいただいて、私の意見を批判していただきたいと思うのでございますけれども、板付の場合あるいは金浦の場合を考えましても、板付にとまっておるよど号警備の責任者あるいは運航の責任者はだれかということを考えました場合、ある人は機長といい、あるいは日航機の属する日航であるといい、ある人は空港長であるといい、ある人は警備の責任者でありますから警察だという。意見の食い違いがあります。金浦の場合は、そこにまた韓国という別の国家主権の問題が入ってまいります。あるいはまた私のおります大阪の場合ですと、同じ警察にいたしましても、兵庫県警と大阪府警が混淆した管轄権を持っております。いろいろな点で、私は、空港警備について一体性あるいは連絡の十分さということが、この種の犯罪を防ぐのに必要な一つの道ではないかと考えるわけであります。午前中の質問にもあったように、運輸大臣、羽田空港の場合、十万をこえる人が羽田空港で業務をとっておるというようなことを考えました場合、ことに国際線の場合は、外国の方々、特に要人も含めての往来というようなことを考えました場合、空港警備については、ほかの地域とは違った特別の措置といいますか、立法と申しますか、必要な段階に来ておるのではないか。デモ規制に関連いたしまして、国会とかあるいは外交官の所在地、大公使館、あるいは宮城等について、聖域的な立場からの特別立法の話がありました。それとこれとは性質を異にいたしまして、一般犯罪を防ぐ意味からも、空港警備については格別の地域的な特殊性に応じた警備体制が必要ではないかと私は考えるわけでございますけれども、これに対する見解を聞きます。
  167. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 私も、これは個人的な意見でありますけれども、まだ私見にすぎませんが、どうも飛行場のような特殊地帯、これは各方面の人がたくさん出てまいりますから、こういうものに対しては、特殊な警備体制あるいは秩序維持体制、これに検査とか捜査がありますから、そういう意味で総合的な機関が必要じゃなかろうか。当然これは空港長が全体の責任を負うべきでありますが、いまの制度では、いわゆる運航とか検査とかについては空港長の責任でありますけれども、警備はまた別である。こういう点については、これから関係省と十分に連絡をとりつつ、将来そのような制度が必要であるなれば、私は、当然そこまで進んでいくべきものであろう、かように考えておる次第であります。
  168. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答えします。  警察としましては、警察法、警察官職務執行法が関連してまいりますが、それに基づきまして万全の措置を講じていくならば、何とかなりはしないかと一応思います。警察官職務執行法について、不備ではないかという議論もありますが、その懸念なしとしませんけれども、いきなりそこまでいくのはいかがあろうかと現在思っております。航空会社の運送約款に基づきまして持ちものの検査ができる。これを徹底的に行なうことによって多くは防げるじゃなかろうか。ただし、ピストルや何かをふところに忍ばしておるものまではちょっと発見できないかと思います。これに対しては、何か人体に触れないでもわかるような機械装置を活用する道を検討したいと思いますが、そういうふうなことをすることによって大体防げるんじゃないかと一応考えます。ですけれども、御提案でもございますから、総合的な検討を加えまして、その要否を検討したいと思います。
  169. 岡沢委員(岡沢完治)

    岡沢委員 この問題につきましては、タカ派といわれる荒木国家公安委員長がきわめて御慎重な御態度で、運輸大臣、苦い体験で身につまされた結果かもしれませんが、非常に前向きの御答弁がございました。お二人の御答弁には若干の食い違いを感じますけれども、それはそれで私は意味があると思います。ことに、基本的人権を尊重する立場からの国家公安委員長の御発言もわからないではございません。私も、警備に名をかりて、いわゆる人権侵害的な行為が日本空港で行なわれるということになりますと、大問題だという気はいたします。しかし、空港実態、特に国際空港実態考えました場合、やはりある種の立法が必要だという感じを私自身は持つわけでございまして、この辺ぜひ御検討をいただきたいと思います。国家公安委員長、何かほかの委員会があるようでございますから、御退席をいただいてけっこうでございます。  運輸大臣お尋ねいたしたいと思うのでございますけれども、この事件と関連して、運輸大臣は記者会見で、機長に司法警察員的な職務を行なわせる資格を与える必要があるという趣旨の御発言がございました。御承知のとおり、船長にはある程度の司法警察員的な権限が与えられております。飛行機の大型化等考えました場合、また今度の事件等考えました場合、その措置は必要だと思いますけれども、それについてどの範囲をお考えになっているのか。たとえば国際線、国内線のいずれの機長にもそういう権限を与えるという御趣旨であるか、あるいはまた同じ国際線、国内線につきましても、日航日航以外の全日空あるいは国内航空その他のいわゆる純民間航空会社機長にもこれを与える御趣旨であるか、その辺の範囲についてお尋ねいたします。
  170. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 問題は二つに区別して考えたいと思います。今回のこのハイジャックのような行動に対して、はたして機長警察権を与えたから防げるかどうかという問題しかし、そういうことに対してはあまり効果は十分じゃないかもしらぬけれども、飛行機の安全航行、こういうもののためには機長にある程度の権限を与える必要があるのではないか、この二つがあると思います。  前者の場合、これは問題によります。爆弾を持っているとか機関銃を持っているとかということになりますとむずかしいでしょうけれども、ほんとうにジャック程度の、登山ナイフ程度でやられたと思われるような場合は、やはり機長にその権限があれば相当効果があると思う。ただ、広く言うなれば、飛行機内というものは一つ社会をなしております。しかも隔絶された社会である。そこで、たとえば泥酔した者が一応乗客として規定を守らないということもあり得ます。そういう場合に、機長にやはり安全航行するために、そのような泥酔者あるいは乱暴者、そういう者を取り押える権限を与えておく必要はあろうと思う。しかし、今度はこれからもっと進んで、これをそこで逮捕したり何かするような権限まで与えることが妥当かどうかということで目下検討を加えておりまするが、どの程度の権限を与えるべきかは、それらのいろんな事情等を勘案しまして、そうして妥当なる権限は機長に与えるべきである、こういうように考えて、目下関係当局とその権限の内容等については勉強中でありまして、なるべく近い機会にこれが結論を得て、そうして単独法で出すか、一部改正で出すかは別問題でありますが、そのような内容を盛ったものを至急この国会に出したい、かように考えております。
  171. 岡沢委員(岡沢完治)

    岡沢委員 時間の関係がありますので、詳しく突っ込んで聞けないのが残念でございますけれども、過日の法務委員会では、あとで質問いたしますいわゆる東京条約の批准と関連して、航空法の整備は絶対必要条件であるという御答弁がございました。いま御検討中というお気持ちもわかりますけれども、もう結論を出すべき時期に来ておるのではないか。ことに、たとえば鉄道公安官あるいは国鉄の一部の職員には司法警察員の権限を与えられることができる。ただ一方で、私鉄の場合はそれが許されてない。私の所在地の大阪から名古屋を考えました場合に、近鉄特急の場合、大体国鉄と同じような路線といいますか、態様で運行いたしておりますけれども、近鉄の場合は司法警察員的な職務はだれにも与えられない。かりに車内で犯罪行為があったり、あるいは無銭、無札で乗るような人がありましても、これはお願いをして同行してもらう道しかない。国鉄の場合だけが与えられる。国鉄と私鉄でそういう身分上の格差を与えることが妥当かどうかということについても、ぜひ御検討いただいて、今度機長に特別の権限をお与えになる場合に、いわゆる日航と他の航空会社との比較の問題、格差の問題等につきましても、ぜひ前向きで御検討いただきたいと思うわけでございます。  ここで、いわゆるハイジャック防止条約の問題につきましてお尋ねいたしますが、その前に運輸大臣に、いま法務当局で御検討になっております航空機強取等の処罰に対する法律につきまして、運輸省としては、船舶をも含めるべきだという御意見をお出しになっておる。いま政府の原案等におきましても船舶が入っているようでございますが、運輸省としては、どうしてもこの船舶を入れるという必要性をどういう観点から持っておられるのか、その辺の見解を聞きます。
  172. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 先ほど答弁の中で抜けましたが、いわゆる日航だけじゃなく、旅客機全体に機長としての必要なる最小限度の権限を与えたいという方針で検討しております。これは絶対に必要であるという考え方であります。  なお、お話しのハイジャックに関する法律でありまするが、国内の法律でありまするが、航空法上でその点が全然ありません。したがって、この点がありませんと、東京条約にわれわれが批准したり参加いたしましても無意味でありますからして、そこで、国内航空法のほうをその点に関連して改正をこの際にいたします。その改正に基づいて、いわゆる東京条約、これに参加することになるわけであります。東京条約につきましても、ハイジャックの点についてはもっと具体的に、またあるいはある程度の取り締まりを強化する、こういう目的で目下関係各国ではこの改正案等も考えられておる、それらのある程度を含めて日本の国内法の改正もいたしたい、かように考えております。
  173. 岡沢委員(岡沢完治)

    岡沢委員 船舶のことは……。
  174. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 船の問題でありますが、実は私のほうからしますれば、昨年の十一月でありましたか、船が沖繩に行くということで、途中で、これは犯人はつかまりましたけれども、かようなある意味における略奪事件にあうような危険なことがありましたので、できれば今回の機会に一緒に飛行機及び旅客船をもこれに加えたい、かように考えましたが、ただ、旅客船といいましてもいろいろあります。いわゆる沿岸航路の旅客船もあるし、あるいは琵琶湖等を走る船もある。こういうことで、内容について、わずかの期間の間にこれをきめることは非常にむずかしいので、そこで、今回はやむを得ないので、法務省当局もさように申しておりますから、飛行機に限りまして、そうして内容等を詰めた上で、次の国会でこれを加えたい、かように考えておるわけであります。
  175. 岡沢委員(岡沢完治)

    岡沢委員 時間がございませんので、最後の質問に移りたいと思いますが、外務省お越しでございますけれども、東京条約がなぜ七年間も批准をなされなかったのか。しかも今度の事件が起これば急遽批准に踏み切られる予定なのか。これはわれわれも批准に反対という立場からではございませんけれども、七年間も検討された事件が、今度の事件後急に批准に踏み切られる。そこに何ともどろなわ的なそしりといいますか、感慨を私自身も無視できないわけです。いいものであれば、もっとさきに批准すべきだったし、必要がないとか、あるいは問題があるなら、もっと検討する必要もあろうと思います。まあ国内法の整備がおくれたという御答弁もございましたけれども、それでは国内法の整備はなぜおくれたのか。外務省は、所管の国内法整備について、法務省なり運輸省なりに、そういう示唆なり要請をなさったのかどうかというような点についてお尋ねをし、そして東京条約をもしこの国会で批准するとすれば、最小限どの程度の国内法の整備が前提になるかということをお尋ねしたいと思います。
  176. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 外務省がお答えする前に、私のほうからおわびかたがた……。私が就任いたしまして、この関係を知りまして、東京条約というのは日本も提案国なのです。したがって、一刻も早く批准すべきであります。それが運輸省の主管関係である国内航空法がどうしても間に合わなかった。なぜ間に合わなかったのかといいますと、御承知のように、日本はおくれて飛行行政といいますか、こういうものができまして、非常に急激な進歩、増加を来たしておる。日航ができましてから、ことに国際線になりましてからわずかまだ十五、六年であります。かような状態でありますために、種々の問題を包蔵しておるので、これらの国内航空法の整備がおくれがちになった。この点は、運輸省のほうに一応の責任があります。この点は、皆さんに対して申しわけないと思っておりますが、決して故意に延ばしたわけではありませんでして、状態等が流動的である。日本の国内航空なり飛行状況が流動的であった。そういうことのためにおくれましたために、あるいは外務省のほうのこの問題に関する考え方にある程度制限を与えた、こういう意味で私たちのほうの責任でありまして、申しわけないと思っております。
  177. 須之部政府委員(須之部量三)

    ○須之部政府委員 東京条約に関連しまして、国内法の面につきましては、運輸大臣から御説明申し上げた次第でございますが、元来、この東京条約、実はハイジャックは主たる規定の対象ではございませんで、むしろ航空機の上で行なわれました一般犯罪の裁判管轄権がどこになるか、あるいは機長の権限をどうするかというような点が主たる内容になっておりまして、国内法の整備の問題と同時に、他方、この条約についてあまり人目を引かなかったというような面もあったわけでございます。ただ、このハイジャックが御存じのとおり一昨年ぐらいから国際的にも非常にふえてまいりまして、その結果、各国ともこの条約について関心を払い出しました。昨年十二月に、一応条約にきめておられます国の批准が、つまり数の批准がそろいまして、昨年の末に発効したわけでございます。私どもも今回の事件にかんがみまして、同時に、運輸省の国内法整備のほうの御協力も得まして、至急国会の御承認を得るよう、この国会に御提出申し上げるという用意をいたしております。
  178. 岡沢委員(岡沢完治)

    岡沢委員 まだただしたい点がありますけれども、時間が参りましたので終わります。
  179. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 次に不破哲三君。
  180. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 今回の日航機乗っ取り事件におきまして一番重要な問題の一つは、赤軍派のような反共暴力学生によるあのような反社会的な野蛮行為が二度と起こらない、こういう体制をつくることであるというふうに考えます。その観点から、荒木国家公安委員長に初めに幾つかの質問をしたいと思うのです。  今回の赤軍派事件に関していろいろ捜査の過程を伺っておりますと、幾つかの疑問が生まれてまいります。第一の疑問は、荒木公安委員長が、きょうの委員会の場でも、三月三十一日にあのような乗っ取り計画が行なわれるということについては事前に情報をキャッチし得なかった、それは遺憾であったということを答弁されました。しかし、三月三十一日にこのような計画が行なわれるということの情報はキャッチできなかったとしても、赤軍派という暴力集団が、国外脱出とかあるいは飛行機の乗っ取りとか、海外に根拠地をつくると称して、そういう国外脱出的な計画を持っている、そういうことを唱えている、そういうことについては、警察当局として状況をつかんでおられたと思うのでありますけれども、その点について、まず伺いたいと思います。
  181. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 お答え申し上げます。  週刊誌等にそのことが予報されたような意味合いの記事があることも知っております。ですけれども、最近総理訪米その他、引き続いて今年になりましても、大菩薩峠の画策なんかを契機に赤軍派の連中が大量に逮捕されたということをめぐりまして、赤軍派の連中は特に地下にもぐってしまって、不幸にして今度の事件情報をキャッチができなかったわけでございまして、これは返す返すも残念しごくに思いますが、そういうことのゆえでありまするので、今後はさらにこの連中の警備を厳重にして、地下にもぐっておりましょうとも、この上の努力を重ねまして、未然に防止したいという考えでおります。
  182. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 私が伺いましたのは、三月に行なわれたあの具体的な事件そのものですね。それについては事前に知り得なくても、赤軍派が一般にそういう計画を持っているということについては、警察当局は事前に承知をされていたのではないかということを伺ったわけであります。たとえば四月一日に参議院の予算委員会で、わが党の渡辺議員が質問をしましたところ、川島警備局長は、一月十六日の赤軍派の集会で、国際根拠地の獲得が問題になったということについては承知をしているというふうに答弁をされております。それからまた、三月の初めの読売新聞には、その種の計画が報道されたおりに、治安当局の談話として、どなたかは存じませんけれども、そういう計画については情報を受けており、厳重な体制をとりたいという談話が新聞に発表されております。そういう点では、一般的に、単に彼らがいままで行なっていたような国内での暴力騒ぎ、これをやるというだけではなしに、国外の脱出を含めた、あるいは飛行機の乗っ取りを含めた、そういう計画を持っているということについては、警察当局は承知をしていたというふうに判断するわけですが、その点いかがでしょうか。
  183. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 一般的にそういうふうな情報があることも承知しておりましたし、警戒は怠っていませんでしたけれども、先刻お話し申し上げたようなありさまで、不幸にしてキャッチし得なかったということに帰します。
  184. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 そうしますと、そういう一般的な計画については知っていた。これはその他の反共暴力学生の国内の暴力事件とは性質を異にするものでありますから、それについての特別の措置国外脱出を阻止するとか、あるいはそのための特別な対策をとるとか、そういう特別な措置を状況を知られてから講じられたかどうか、その点一点だけ伺いたいと思います。
  185. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 今度の事件が起きまして以来、即座に警察庁長官名をもって各都道府県の警察本部長に対しまして、適切な警備体制をしくようにということを通達をいたしました。
  186. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 いまの答弁ですと、今度の事件が発生するまでは一般的な情報は受けていたけれども、それに対応する措置はとられなかったというように理解せざるを得ないと思います。  時間もありませんので、次に進みますが、第二の疑問は、いわゆる協力者についての問題であります。これも参議院の予算委員会や衆議院の法務委員会での質問の中で、警察当局が赤軍派の中に協力者を持っているということが明らかにされました。ところが、この協力者の問題が以前問題になりましたのは、同じように反共暴力学生の中でも、一番凶悪な行動をとってきました背叛社という連中の事件が一昨年ありました。その事件が昨年東京地裁で裁判をされたときに、その裁判にされている被告の中に、警察当局の協力者がいたということが裁判所の席で明らかになりました。その経過から見ても、私は、この協力者という問題は非常に重大な問題であると思います。  東京地裁で明らかになったところによりますと、その警察当局の協力者というのは、背叛社という暴力集団の主犯であります。一番の大将が警察当局の協力者だったということが明らかになりました。  第二には、その協力者に警察当局から情報収集費として十数万円の資金が流れていた。このことは、その裁判所の席で警察の代表も当事者も認めたことでありますけれども、資金が流れていた。しかも、それが爆弾や火炎びんをつくる材料の購入に充てられていたということが明らかになりました。  それから第三には、その協力者を通じて、いろいろな暴力事件について、一昨年の七月から九月までの間に何べんも情報が流れていたにもかかわらず、実際にその背叛社の集団に対して捜査が行なわれたのは、十月初めに、この連中が爆弾の製造中に爆発事故を起こしたときに、初めて捜査が行なわれた。これはすべて裁判所に出席をした警察当局の関係者も認めた事実であります。  こういう点で考えてみると、私どもは、この協力者が赤軍派内にいるという問題については非常に重視し、その真相を明らかにしなければ実際の捜査の内容についても検討ができないというふうに考えるわけであります。  その観点から幾つかの質問をいたしたいと思うのでありますけれども、第一に、警察当局が認めている赤軍派の中に協力者がいるという場合、この協力者は当然赤軍派としてふだんは活動している、いろいろな反社会的な暴力活動にも参加をしている、こういう人物であろうと思いますけれども、この協力者の中に、赤軍派という集団の中の指導的な分子がいるかどうか、そのことについて、まず第一点伺いたいと思います。
  187. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

  188. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 協力者がおりますことは、お尋ねのとおりでございます。ただし、いわゆる街頭等において行ないますところの不法事案、そういうものの実行行為をしてはならないというふうに言ってございますので、そういうことはございません。
  189. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 ちょっと質問に答えてないんですけれども、協力者には、悪いことはするなというふうに伝えてあるということでありますけれども、私が質問したのは、その協力者の中に赤軍派という暴力集団の中の指導的な分子がいるかどうかという質問であります。
  190. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 お尋ねの指導的分子云々という、その指導的という中にどういうものが入るかわかりませんけれども、少なくとも今回の田宮高麿以下の者の中にはおりません。
  191. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 質問は、今回の九名の中にいるかいないかではなくて、いわば赤軍派の中でかなり指導的な役割りをしている人間がいるかどうかという質問であります。明確なお答えを願います。
  192. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 ことばをかえて申しますと、いわゆるトップクラスにはおりません。
  193. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 答弁は非常に限定されて答弁されますので、それから推測しますと、トップクラスではない、かなり指導的な部署にはいる、その答えを避けられているとしか思われないわけです。  では次に、第二点に伺いますけれども、背叛社の場合にありましたように、情報提供という名目で、警察の資金をそういう協力者に提供しているという事実があるかどうか、伺いたいと思います。
  194. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 お尋ねの背叛社の事件につきましては、お話のございましたとおりでございますけれども、あの場合にも、いわゆる協力者に対しましては学費、あるいは本人が病気をしておりましたので医療費、あるいはくにに帰りたいということで旅費、そういうようなことで出しているわけでございまして、いわゆる治安を守っております警察立場から当然御理解がいくと思いますけれども、彼らの行なう不法行為のために資金を出しておる、そういうことは全くございません。
  195. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 質問は、ともかく彼らに警察の金を渡していることがあるかどうか。学資であろうが生活費であろうが、名目はともかく、そういう連中に警察の金を渡していることがあるかどうか、その点について明確に伺っているのです。
  196. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 お答えいたします。  赤軍派に限りませんで、いろいろな団体に協力者を得ていろいろと情報を収集しておりますことは、これは御理解のとおりでございますが、少なくともいまお尋ねがございましたような意味ではそういうものばございません。
  197. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 質問を変えます。  では、赤軍派協力者にいままでに提供した警察の資金は幾らぐらいになりますか。
  198. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 協力者には当然謝礼金を払っております。しかし、これはいわゆる協力の度合いでございますとか、先ほど申しましたようないろいろ協力関係の内容によってきまるわけでございまして、実際問題としては、いわゆる実費程度の金を渡しているわけです。今回の——今回と申しますか、いまお尋ね赤軍派協力者に対しましても、実費程度の金を渡しておることは事実でございます。
  199. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 実費程度というと、日本語に訳しますと何万円ぐらいになるのでしょうか、合計を伺いたいのです。
  200. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 金額につきましては、答弁を差し控えさしていただきます。
  201. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 その答弁できないという理由をまず第一に伺いたいのです。  それから第二に、そういう資金が、協力者は別に使わないと言っても、実際にこういう破壊的な暴力行為の資金に使われていないという保証があるかどうか。前の背叛社の場合にも、悪いことには使うなよと言って渡したけれども、当の当人がこれで爆弾の材料を買ったということを法廷で証言をしているわけであります。当局が協力者に渡す場合に、これが軍資金に使われないという保証を得て渡しているのかどうか、その点伺いたいと思います。  二つの点です。
  202. 荒木国務大臣(荒木萬壽夫)

    荒木国務大臣 具体的に、だれそれにどれだけ渡したなどということは、なるべく知られないほうがよろしいと判断して、以上のようにお答え申したと思います。
  203. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 第二の点の答弁を求めます。この資金がああいう暴力行為の軍資金に使われないという保証を、政府は責任をもって言えるかどうか。
  204. 川島(広)政府委員(川島広守)

    ○川島(広)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、あくまでも実費弁償程度で渡しているわけでございますから、そのように御理解いただきたいと思います。
  205. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 政府側はこの点について何ら明確な答弁をしないわけでありますけれども、私どもはすでに背叛社の場合に一つの実例を持っておるわけであります。実費程度というもの、十数万円の金が一人の協力者に流されていて、それで爆弾がつくられているということが明らかになっている。そのことについて当局が何ら反省がないまま、情報提供という名目でああいう反社会的な暴力集団に対して、トップクラスでない指導的な部分まで含めて協力者をつくり、それに資金を提供している。しかも肝心な情報については、何らそこから得ていないということになると、しかもこの資金が警察当局の金でありながら、その軍資金に使われないという保証が何らないということになると、これはきわめて重大な問題であると思います。私どもは、いままで政府警察当局のああいう暴力学生に対するやり方について、泳がし政策という疑惑があるということを何べんも指摘してまいりましたけれども、こういうような捜査活動を続けられたのでは、私どもは今度の問題についてもやはりその疑惑を繰り返さざる得ないということを最後に申し上げて、この点に関しては質問を終わりたいと思います。  時間もありませんので、ただ最後に、橋本運輸大臣に一点だけ伺いたいのですけれども、先ほどの日航関係者の発言を通じても、今度の日航事件で金浦に着陸したという経緯、これが金浦飛行場からの擬装誘導によるものであったということはきわめて明らかになりました。政府は、これについては韓国に依頼したことはないという答弁をしております。それから日航関係者も、この点については指示をしたことはないということを答弁しております。そうしますと、この韓国の擬装誘導は、韓国側の自発的行為と考えざるを得ないと思いますけれども、政府のいままでに調査された結果に照らして、この点は韓国側の自発的行為と考えてよいのかどうか、伺いたいと思います。
  206. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 私に関する限り、かつまたこれは韓国政府との関係になれば外務省関係でありますから、関知いたしませんが、私の知っておる限り、また政府としては、一切この問題には関知しておらなかった。依頼もしておりません。  この機会に、不破さんの質問のうちではないのですが、先ほど申し上げました中で、もう少し具体的に、こういう問題はひとつ一般の人は慎重に考えてほしいという意味で申し上げたいのです。  私が金浦に参りまして、そうして二日の午後五時急転直下ああいうような方向に向かったわけです。明日、もちろんこれは十三名というふうに数は減りましたけれども、それにしてもああいう異常の状態でありますからして、機長及び犯人にいたしましても、見知らぬ飛行場に行くんですから、鎮静といいますか、休養が必要である。そこで、食事等を十分にさせまして、今夜は休養するようにということをこちらから連絡をした。具体的な交渉はあしたにしようということで、翌日になってから交渉したのであります。その中で私がしろうととしてやりましたことは、とにかくどれくらいの時間を要するだろうかということを犯人が疑います。いわゆる世間の一部でも謀略じゃないかという疑いがあると同様に、犯人はそれ以上に疑っておる。北朝鮮にはやるんだ、こうわれわれ約束しましても、彼らは疑う。でありますからして、できるだけ鎮静にして、そうして理解し得るような状態をつくりたいというので、一晩は鎮静させました。翌日、具体的な交渉に入りましたときに、まず私のほうから犯人に言いましたのは、この飛行機を出すためには相当な時間がかかる。それも具体的に言いませんとはっきりしませんから、私は、空港長あるいは日航の支店長等を呼びまして、まず、機体の整備にはどれくらいの時間を要するのだと聞いたところが、大体最小限度三時間を要する、それにはどれだけの人間が要るか、できれば十人ないし十二名要る、いやとても十名ないし十二名ということでは、機体の中にも入るわけですから、そうなりますと犯人が疑う。そこで最小限度でやってほしい、最小限度であれば五、六名だ、こういうことでありますからして、犯人に対して金山大使を通じて、少なくとも五名ないし六名の人は機体の整備に必要だ、また中に入れる必要もある、中に入れるのは何人までおまえらは許可するか、そう言ったところが、二名以上はいけない、かつまた、荷物の整理等を含めて機体整備に五名以上の人は出してもらっては困る、こういうことで、翌日の午前は、交渉が九時前後でありますから、十時から約三時間にわたって——いわゆる荷物の整理、機体の整備等に三時間かかった。それ以外に、出発までにいろいろ給油あるいは始動その他の飛行機関係もありますから、そのためにはどれくらいの時間を見ればよろしいのだと聞いたところが、給油と始動等を入れて約二時間要る、それからまず人間をおろすために、これは半分くらい一緒にできますから、人をおろすためには約二時間かかる、そうしますと、最小限度八時間を要するから、その点は犯人もよく理解してもらいたい、こういう具体的な相談を、お互いにわかるだけの通報によってこれをなしたわけであります。  したがって、私が申し上げたいことは、これだけのことをやらなければ、現在のああいう大型飛行機はちょいと出すことができないのです。したがって、三十分か一時間でもって出せ、あるいはできるのではないか、その間なぜ五時間も六時間もかかったのだという疑惑を持つことは、ものを知らない人の議論が多い。こういう意味において、私が皆さんにお願いしたいというか、国民の皆さんにも理解してもらいたいことは、こういう大事件のときには、冷静沈着に、そして人命救助をいかにして行なうか、そういうところにしぼってお考えおきを願いたい。これは不破さんに申すわけではありませんが、われわれがお互い考えなければならぬことは、このようなことがあった、こういう例を申し上げたのであります。どうかその点御了承願います。
  207. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 いまの質問にはお答えになっていないのですけれども、韓国側の自発的行為として擬装誘導が行なわれたというふうに考えざるを得ないと思いますが、どうでしょうか。
  208. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 その点は、私は現地におりましたが、韓国側の自発的行為かどうかは、これは機長及び運航部長が答えた点において御了承願いたいと思います。
  209. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 あと一点だけ。もし韓国側の自発的行為であるとすれば、ピョンヤンに行くつもりの飛行機を擬装電波を出して擬装誘導をして、ほかの飛行場に着陸させる、これは国際的な航空法の上で許される行為であるかどうか、法律論として伺いたいと思います。
  210. 橋本国務大臣(橋本登美三郎)

    橋本国務大臣 それらのいわゆる機長との関係等は、長野運航部長が調べて皆さんにお答えになっておりますからして、私にはわからないことでありますから、お答えのしようがありません。
  211. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 国際法の、航空法の問題ですよ。
  212. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 不破君、時間なんですが、よろしゅうございますか。
  213. 不破委員(不破哲三)

    ○不破委員 では以上で質問を終わります。
  214. 福井委員長(福井勇)

    福井委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後二時五十八分散会