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1970-05-08 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月八日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 松本 忠助君    理事 和田 春生君       長谷川 峻君    井野 正揮君       金丸 徳重君    斉藤 正男君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       田中 昭二君    宮井 泰良君       渡辺 武三君    田代 文久君       關谷 勝利君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    平川 幸藏君         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   竹岡 勝美君         日本国有鉄道常         務理事     一條 幸夫君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 五月六日  東急地下鉄新玉川線駒沢設置に関する請願  (大野市郎紹介)(第六七〇六号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第六八四〇号)  同(遠藤三郎紹介)(第六八四一号)  同(岡崎英城紹介)(第七〇一一号)  同(菅野和太郎紹介)(第七〇一二号)  同(金丸信紹介)(第七〇一三号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第七〇一四号)  同(佐々木秀世紹介)(第七〇一五号)  同(佐藤守良紹介)(第七〇一六号)  同(澁谷直藏紹介)(第七〇一七号)  同(田中龍夫紹介)(第七〇一八号)  同(田中六助紹介)(第七〇一九号)  同(中垣國男紹介)(第七〇二〇号)  同(中山正暉紹介)(第七〇二一号)  同(南條徳男紹介)(第七〇二二号)  同(早川崇紹介)(第七〇二三号)  同(松野頼三君紹介)(第七〇二四号)  同(武藤嘉文紹介)(第七〇二五号)  同(村山達雄紹介)(第七〇二六号)  同(毛利松平紹介)(第七〇二七号)  同(山手滿男紹介)(第七〇二八号)  東京外郭環状線等鉄道建設促進に関する請願  (葉梨信行紹介)(第六七〇七号) 同月七日  東急地下鉄新玉川線駒沢設置に関する請願  (伊能繁次郎紹介)(第七四四二号)  同(石井一紹介)(第七四四三号)  同(小川半次紹介)(第七四四四号)  同(大平正芳紹介)(第七四四五号)  同(岡崎英城紹介)(第七四四六号)  同(亀岡高夫君紹介)(第七四四七号)  同(菊池義郎紹介)(第七四四八号)  同(久野忠治紹介)(第七四四九号)  同(小宮山重四郎紹介)(第七四五〇号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第七四五一号)  同(塩崎潤紹介)(第七四五二号)  同(進藤一馬紹介)(第七四五三号)  同(砂原格紹介)(第七四五四号)  同(瀬戸山三男紹介)(第七四五五号)  同(田中伊三次君紹介)(第七四五六号)  同(田中榮一紹介)(第七四五七号)  同(高橋清一郎紹介)(第七四五八号)  同(千葉三郎紹介)(第七四五九号)  同(坪川信三紹介)(第七四六〇号)  同(床次徳二紹介)(第七四六一号)  同(中村寅太紹介)(第七四六二号)  同(永山忠則紹介)(第七四六三号)  同(丹羽久章紹介)(第七四六四号)  同(野呂恭一紹介)(第七四六五号)  同(長谷川峻紹介)(第七四六六号)  同(原健三郎紹介)(第七四六七号)  同(福井勇紹介)(第七四六八号)  同(福永健司紹介)(第七四六九号)  同(古川丈吉紹介)(第七四七〇号)  同(古屋亨紹介)(第七四七一号)  同(増田甲子七君紹介)(第七四七二号)  同(松山千惠子紹介)(第七四七三号)  同(三池信紹介)(第七四七四号)  同(三木武夫紹介)(第七四七五号)  同(箕輪登紹介)(第七四七六号)  同(森喜朗紹介)(第七四七七号)  同(山田久就君紹介)(第七四七八号)  同(渡辺肇紹介)(第七四七九号)  同(地崎宇三郎紹介)(第七六六四号)  同(八田貞義紹介)(第七六六五号)  同(前田正男紹介)(第七六六六号)  東京外郭環状線等鉄道建設促進に関する請願  (小宮山重四郎紹介)(第七四八〇号)  身体障害者国鉄運賃割引に関する請願(森山  欽司君紹介)(第七四八一号)  総野線国鉄予定線編入に関する請願丹羽喬  四郎紹介)(第七四八二号)  信南交通株式会社路線バス事業の一部休止等許  可に関する請願伊能繁次郎紹介)(第七四八  三号)  東北新幹線鉄道の始発駅に関する請願松本忠  助君紹介)(第七四八四号)  気象業務整備拡充等に関する請願大出俊君  紹介)(第七六六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(自動車行政等に関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(国鉄合理化  等に関する問題)      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  陸運日本国有鉄道経営及び気象に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井野正揮君
  3. 井野正揮

    井野委員 実は自動車局長お尋ねをしたいと思うのでありますが、この国会成立した法案で、タクシー営業近代化法案が通ったのでありますが、六人の参考人をお呼びしてまる一日かけて、この法案のもたらす影響やあるいは業界協力等についてお尋ねしたことは、まだ私どもの記憶にはっきりと残っておる。この国会がまだ閉会をしておらないさなかに、実は昨夜のテレビが解説をし報道したところによりますと、東京センター負担金は今日業者が納めないために、結局有名無実であり、いつこれが効果を発揮するかわからないという旨の報道がなされたわけであります。私はこのことにつけても思いますのは、特に協会の代表者である川鍋氏のここで行なわれた参考人としての発言であります。非常に御多忙の中においでくださったことに対して委員長の名をもって御礼を申し上げ、かつ協力要請した次第でありますが、しかしながら、この結果は、われわれの期待要請にもかかわら、ず、また法律の制定にもかかわらず、業界が全く協力をしない、負担金を納めない、こういうことが堂堂とテレビ報道されておる実情の中で、私どもこの国会で担当した運輸委員としては黙過しがたいものがあり、質問しようという気持ちになった次第であります。  まず、現在、東京タクシー事業者の中で、この負担金を納めるべき順序に従って納めた者と納めない者を統計的に具体的な資料をお出し願いたいわけでありますが、ただいまの現状について御説明願いたいと思います。
  4. 黒住忠行

    黒住政府委員 現在でき上がっておりますものは任意の公益法人でございまして、これは昨年十二月に東京におきまして設立をされたわけでございます。今回の法案については、本日参議院の本会議で御審議が行なわれる予定と承っておりますけれども法律成立いたしますと、所定通知をいたしまして、地域を指定し、この法律によりまして負担金の徴収を義務づける、こういう順序に相なるわけでございます。現在ありますのは、もちろんその法律に基づくものではないわけでございまして、われわれといたしましては、この法律に基づかないものを事前につくりまして、それが円滑に移行できることを期待してまいったわけであります。そういう意味におきまして、負担金も当初予定いたしましたようなものを一応徴収したいということで、通知その他をしたわけでございますけれども、現在のところはまだそれは納入されておりません。  それで、今後の対策といたしましては、法律成立いたしますと、所定通知をいたしまして、負担金を課していくようにいたしたいと思っておりますが、この前も、この席で参考人からお話がありましたが、当初運賃改定の場合におきましては、二二・五%の改定期待したわけでございます。その中で、約一%弱のものを負担金の額として計算をしたわけでございますけれども期待どおりの実収は得られていないということでありまして、できればこの負担金の額を減額してもらいたいというような話があったように聞いております。それに対しまして、われわれは、運賃改定というものが直ちに期待どおり数字が得られるかどうかということは、従来の経験からしても困難でございまして、当分の間の実績を見て、どの程度のものが実際にあがるかというふうなことを検討しなければならぬわけでございまして、それらの検討をするということと、事業計画につきましては、今後そのセンターでもって適正化事業についての計画をつくりまして、運輸大臣等認可申請が参りますので、それらを勘案いたしまして、すみやかに所定の処置をしていきたい。したがいまして、現在ありますものにつきましてはまだ納入されておらないのでありまして、われわれといたしましては、この法律実施以前におきましては、スムーズに移行するように期待しておったわけでありますが、ただいま申し上げました事情で、若干その問題が残っておりますので、法律成立によりまして、すみやかに所定手続を進めていきたい、かように存じておる次第であります。
  5. 井野正揮

    井野委員 実はこの法案審議の過程の中で、私どもとしては、すでにこのセンターの既成事実があり、そういう制度法律に先行しておって、これに法律を制定し、国家財政からの援助を支出するがごとき慣例は、決して好ましくないという考え方を持っておったわけです。しかしながら、今日の東京大阪等におきますいろいろな社会矛盾の露呈というものがひどくなり、社会秩序の保持の上からも、そういうことが法律に先がけて行なわれたとしても、これはまあ譲るべきだろうという考え方で、諸般の意見を述べた後に賛成をしておるといういきさつがあるわけです。したがって、参議院法案審議の途中にあるといいながら、むしろ進んで協力して、新たなこの秩序に対する業界協力というものこそ、私は正しい事業の運営のしかただと思うのです。ところが、法案審議にさからうかのごとき態度、しかも一そう協力が悪くなり、最近の業界新聞等では、運賃改定にすら——強い不満をお述べになることはけっこうだけれども、国民あげての善意ある法案成立期待協力しようとする姿勢が見えない。こういうことになりますと、私は、これらのタクシー事業の免許その他についても再考せざるを得ない問題が出てくるのじゃないか、こういう気もするわけであります。まあ局長は、法案成立実施に入ったら所定手続を経てという、ことばは何か強制的にというような印象もないわけではございませんけれども、それはまあ別として、制度が確立すればやむを得ないということで、あきらめて協力するという意味だとすれば、過般ここで行なわれた川鍋証言というものは、取り消されはしましたけれども、きわめて不穏当なものがあったと思うのです。—————————————————————法律ができたって犯罪はなくなりません、私ども協力しないのですと言わんばかりの発言であったように、私はいまになって思うのです。あれはことばのはずみだと思って理解をしましたが、いまとなってみれば、これでは業界に対して疑いを持たざるを得ない。この点について、まだ法律成立していない現在ではございますから、期待をしたいと思いますけれども、十分自粛あってしかるべきだし、進んで協力姿勢がないとすると、昨年八月以来懇談を続けてこられたという運輸当局お話も、私、何だかまゆつばのような気がしてまいる。非常に短い時間で審議を急がされた現状もあり、私どもとしてはきわめて了解しにくいマスコミの報道だと思うのであります。まあこれから十二月の第六十四国会が召集されるまで、おそらく今度は、こういう成果があがりましたという報告が得られることとは思いますが、そうすると、現状では、あの報道のとおり負担金については納められていない。納めている者もあれば、納めていない者もある。納める率が面いというのではなくて、現状は納めていない、こう理解してよろしいですか。
  6. 黒住忠行

    黒住政府委員 東京に関しましては、現在まだ納めておりません。
  7. 井野正揮

    井野委員 わかりました。納めていないのじゃ議論のしょうがありませんので、まあここ数日中に参議院のほうも通過することだろうと思いますが、あまりにも業界指導機関との間の認識の隔たりといいますか、協力関係の隔絶といいますか、遺憾なことだと思いますが、これ以上お願いしてもしかたがありませんので、この問題は法律成立後の効果期待をいたしまして、この問題は終わりたいと思います。  次に、国鉄のほうへお尋ねをしていきますが、実は私、国鉄は乗せてもらうだけで、関係のない立場のものでございますので、実は運輸委員になって以来、いろいろ国鉄当局の各般の問題についての御説明をお聞きした中で、特に再建計画合理化案についての御説明を聞いて、ひどく私の神経を刺激したものがある。と申しますのは、赤字の原因は人件費合理化は首切りという印象が、きわめて強く客観的に聞いている私のほうに響くのです。一体何だろうと、こういう気がしておったわけでありますが、いままでこの委員会でもたびたびそういう発言をいたしました。しかし、私、このゴールデンウイークの間に地元に帰りまして、私が呼び出されたところは、全部この合理化計画関連をしていて、一日の休みもなく現場を拝見いたしました。その中で、これは私の知らなかった問題、突如起こった問題に、室蘭港湾埋め立て関連をして、陣屋駅の廃止の問題が二日の日に室蘭市議会に突然出ました。これはもう室蘭市民をびっくりさせたし、いろいろ質疑の中で、市当局は五カ月前から国鉄相談を受けていながら、実施の来るまで黙っておったという問題もありましたから、一がいに国鉄だけの責任だとは私は言いません。しかしながら、この陣屋駅の廃止という問題は、これから一番国鉄がもうかるであろう港湾引き込み線の積み取り駅として、貨物を優先して人間を投げてしまうという計画になるわけであります。  で、港町の特徴として、必ず湾曲が山岳部に入り込んでくるというかっこうになっておりますから、あの町も御同様に山、谷、坂という町であります。したがって、一つの駅から次の駅に行く前に必ずみさきを通り越さなければならないという不便があり、出口は小さいけれども背面には沢地があるという形になっておりますが、陣屋の駅は、御承知のように伊達侯が上陸をされて陣を張ったので陣屋という名前がついているわけでありますが、これも奥地はずっとなだらかに続いておりまして、新しい室蘭港町建設のために白鳥台ニュータウンというものをつくられているところであります。したがって、土地の売買その他についても、駅まで何分、一日に何往復鉄道の便利がありますといって売ったのに、この駅がなくなるわけでありますから、これは詐欺みたいなことになるわけでありまして、国鉄と市が組んで詐欺をやって土地を売ったということになれば、まことにいただけない問題である、こう思うわけであります。  で、電話で調べてみましたところでは、やはりバス定期ですと一月三千百五十円、国鉄はたいへん安くて二千四百円でお世話になれるというのでありますが、ただいま一日の利用者は百人程度のものでございますが、いま室蘭市の財政を危うくするような投資をしてあそこにニュータウンをつくって、でき上がったときには駅がない。しかもそのことを知ってか知らぬでか、市長市民に知らせなかった。市議会がてんやわんやになって、どうしてもやるということなら、市民がすわり込みをやって鉄道をとめても阻止しなければならぬということを言っておるのであります。そういうふうになることは国鉄のためにも望ましくないし、そうしてその理由は、今度新しくできた防波堤と埋め立てによってできた背面敷地等利用のために引き込み線をつくる、そのためにこの駅を廃止する、こういうことであります。合理化の最たるもので、国鉄の収益あって市民なしと、こう言われてもしかたがない問題であると思うのでありますが、これはそのとおりお進めになる気なのか。それとも、住民の言うことを十分聞いて、そこの貨物でもうけた分で市民の足の奉仕に協力をする、あるいは三年か五年後に二万四千戸のニュータウンの駅として発展をさせるというのか。現状だけに目をとられて、将来のことも考えずに——そういうふうにして土地を売った人の広告宣伝の中にも陣屋駅というものが入っておるので、拡張こそしなければならないのに、廃止する理由はないと思うのであります。この点、現地からの報告をどのように受けとめて、おられるのか、ひとつお伺いいたしたい。
  8. 原岡幸吉

    原岡説明員 陣屋町かいわいの状況につきましては、いま先生お話しのとおりでございまして、そういう環境の中で、この環境に即した輸送サービスを提供していこう、対処していこう、こういうのが基本的な考え方でございます。陣屋町駅自身の旅客人員でございますが、これは現地からの連絡によりますと、三十五年度では三百六十人あったのが、四十四年度では九十六人と、きわめて減っております。しかも定期客が七十人、普通客が二十六人、そういう状況でございまして、列車の回数も非常に多い。それから国道三十七号線でございますか、そこには非常にバスの運行も盛んである。そして陣屋町駅との連絡のために、むしろ国道交通が阻害されるという事態も間々発生しておるというような輸送環境でございます。一方、室蘭市が計画しております、いま先生お話しになりました引き込み線の関係でございますが、これは当然そういう要請にこたえていかなければならない筋合いじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。したがいまして、簡単に合理化だとか、お客さんに不便をかけてもいいという考え方じゃなくて、そういう情勢の変化に応じまして考えていく一つの方向として、現地でもって室蘭市並びに関係利用の方々に御理解と御協力を得べく、目下話をしておるわけでありまして、その御理解、御協力を得てやっていきたい、かように考えておるわけであります。
  9. 井野正揮

    井野委員 確かに私の持っておる数字と同じですから、認識は違っていないと思うのです。ただ一つ違いますのは、陣屋の駅の使い方というのが、非常に盛り土した高いところにあるので、不便なわけです。しかし、もう一つ国鉄にも泣きどころがありますよ。いまあの線は改良する場所で、しかもあそこに住んでいる部落の人たち土地を譲り受けなければならない場所なんですから、もしそういうことで一方的に国鉄の駅をやったならば、私は、あの線を複線に改良するときにものすごい抵抗を今度は受けると思います。だから、目先のことにとらわれないで、長い目で見て判断をしろというのは、むしろ陣屋町駅が今日利用者が少ないのは、駅施設その他に問題があると思うのです。しかも先ほど申し上げましたように、室蘭市が造成をして売っているニュータウン宣伝の中に、駅何分とちゃんと書いてあるんですから、この駅を廃止するということをあなたは協力者や市に相談をした、こうおっしゃるけれども、なぜ市が一体議会に相談できなかったかというと、片方ではニュータウン敷地を売るのに駅を宣伝の要素に入れておいて、片方では国鉄要請に基づいて合理化してなくするというのですから、これは詐欺じゃないですか。公共詐欺になりますよ。こういうことはできないから、実は市長も黙って隠しておったという罪はあるから、あながち国鉄を責めるわけにはいかないがということを前提にしておるのですから、この点、後段にあなたがおっしゃった、理解協力を得る努力をして、その結果に基づいて進めるというお考えをことばどおりに受け取っていいものなら、私は了解します。それは理解を得られないですよ。協力を得られないですよ。それのみならず、これから国鉄がやろうとする線の改善、これに重大な支障を来たすだろうということを私は予言をしておきたいと思います。したがって、この際は急ぐことなく、将来の国鉄採算経営というものを考えて、再検討するという御答弁をいただけるかどうか、ひとつ私もまた納得した上に協力したいと思いますが、いかがですか。
  10. 原岡幸吉

    原岡説明員 先ほど申し上げましたように、この計画につきましては、地元とだいぶ前から話し合っておるわけでございまして、ある面でかなり理解をし、協力も得られているというふうに思うわけでございます。もちろん、御指摘のように、短見的にいますぐどうだこうだというだけでもって判断しておるわけではございませんので、先行きの問題、長い目で見た国鉄輸送関係、こういうものの見通しの上、先ほど申し上げた線でもって実行していくように私はいたしたい、こう思います。
  11. 井野正揮

    井野委員 繰り返してくどいようですが、あなたのほうでは協力理解を得ておった、こういう話をしておられる。ところが、実は市長だけの腹の中で、市議会が了解しないような結果になってしまって、大騒ぎになっている。市長不信任にまでいきそうになっている。これで国鉄が市の了解を得たといってどうしても実施されるなら、国鉄じゃないですよ、市民が線路にすわり込んで汽車をとめるぞとまで言っておる。そうでないと、市長は別として、室蘭市として詐欺を働いたことになるということを非常に心配をしております。それはそうだと思います。二万四千戸を収容するニュータウン土地を売るのですから、相当宣伝されているのですよ。駅まで何キロ——これは私も恥ずかしいけれども実情をそのまま申し上げておる。重大なことに発展します。したがって、市民関係者協力というのは市長だけではないということを再認識を願って、市議会等が十分納得する——それは一人や二人あって、採決するということになるかもしれませんが、そのことは別として、市議会の大半が納得する、あるいは関係の地主その他の付近の人が納得するということは、国鉄としては今後のためにも絶対やらなければならぬことだと思いますので、その点は再度確認をしたいと思います。  それから、次の問題を申し上げますが、(「選挙区のことばかりやるな」「いいよ、やれ」と呼ぶ者あり)実は同じように、合理化人減らしの中で万字線の無人駅の問題がございます。私もここは近いところではございますけれども、事情あってあまり行かしてもらえない場所になっておったのですが、このたび、運輸委員でもあり、現状を見るために全部入りました。その中で、国鉄というのは全くひどいというふうに私は感じました。私、地元ではそんなことは言ってきませんが、そう感じました。(「速記録に残るぞ」と呼ぶ者あり)速記録に残したいのです。  その一つの例を言いますと、まず上志文駅、ここは平常は百人から百二、三十人だそうです。助役さんが一人おられましたが、助役さんと駅長さんとで交代勤務で、休暇のときには岩見沢駅から助役さんが来て、国鉄組合員はおりません。ここは冬、スキーの時期には札幌から特別列車が入って、千人以上のスキー客が来る。特に子供だそうであります。この駅のお客さんはほとんど通学の子供であります。ここは雪も二メートル以上降るところであって、もしホームの管理、駅舎の管理が悪かったら、必ず人命事故が起こることは間違いない。これは地元の人の意向であります。町の様相も、ここは純農村と観光地でありますから、これから栄えても減るところではございません。胆振縦貫鉄道のような人なしのところとは違います。ここの駅の人をなくしようというのでありますが、ここで一人でも子供列車とホームの間に落ちて死んだら、国鉄は責任をとるのですか。私はこういうような通学駅ともいわれるようなところを無人化しようとする国鉄の意図がわかりません。まさに企業優先であって、国鉄の公共性は失われつつある、こういうことが言えると思います。  その次は、万字炭駅と万字駅であります。この間は確かに一キロしかありません。地理的には一キロですけれども、ものすごい渓谷とつり橋があります。そして万字駅へ入るためにはどうしても線路をまたがなければならないので、ここにはさくを設けて人が通れないようにするのだそうであります。ここは七名の駅員がおります。駅長、助役組合員は口をきかないくらい仲が険悪になっております。毎日のように国鉄から行って説得工作が行なわれておりますが、ここの新聞屋さんはこういうことを言いました。もし無人駅になったら、私はここへ新聞を届ける仕事をやめざるを得ない、なぜならば、定刊のものは時間どおり来るからいいそうですが、不定期のものについては、ホームに投げられたら、新聞は紙であるからぬれて使えなくなってしまう、これでは営業は成り立たない、こういうことであります。お寺の坊さんはこう言いました。私は国鉄が駅をつけるときに、昔の話だが、国鉄要請に基づいてここに布教に来たものだ、ここに五十年国鉄と一緒にやってきて、ここで国鉄が駅をなくすことは、この部落の五十戸をなくすことに通ずる、したがって、国鉄の駅が無人化されるならば、私もお寺をたたまなければならぬということを言っていました。雑貨屋さん、とうふ屋さん、すべての人が言っておったのですが、ここで私は過般の磯崎総裁のことばを思い出しました。配置転換等のためには、時間をかけ、職業訓練等をやってやるけれども、そこを動きたくないという人はやめてもらわざるを得ない。この七人の中に二人おります。おじいさんも鉄道敷設のときに人夫に採用されておる。おとうさんも鉄道だ。したがって子供さんも鉄道だ。ここを去れということは鉄道をやめろということに通じます。確かにそうだろうと思います。そういう結果になるだろうと思います。そしてこの五十戸の部落が栗沢町から消えることだ。こういうので写真をとりましたけれども、その写真はまだ間に合いませんが、少なくとも万字炭の駅まで行くと、新たに道路をつけて山を越えていかなければならぬことになるわけであります。距離から見れば、なるほど一キロくらい行ったらいいじゃないかということになろうと思います。無人駅にするので、これは停留場にするからいいのだということでありますが、国鉄では、線路上の事故が起こったら困るから、川を渡って、つり橋を渡って、この線路を越えて駅に来る、駅はがけの上でありますから、三十五段階段を上がって、切符を買って乗るというような、きわめて楽しい健康な駅のようです。ここへさくをやって万字炭まで行かなければならないようにしてしまう。これが国鉄の公共性だろうかという気がするのですが、ここは七名全員廃止だそうであります。しかしながら、私は、そうだからといって、全部の駅を無人化するには賛成をしませんけれども、必要でないところの、たとえば美流渡、北星炭鉱の閉山に伴って、あそこの構内操車の人たちや機関車を回す装置をなくするということは当然だと思います。しかし、三十七名の減員は必ずしも適正でない。もっと国鉄の持っておる公共性というものを考えるならば、この人員整理だって検討すべきだし、もっと地元住民や従業員の声に耳をかしていいのではないか。何でも反対するのだからだめなんだ、何でもやるのだという姿勢、これは私は岩見沢市長、栗沢町長の話を聞いて、いずれも自民党支持の方々でございますけれども、このことだけは賛成できないということで、政治信条や政党政派にかかわらず、国鉄の横暴ぶりを憤っておりました。この点、御所見を伺いたいと思います。
  12. 原岡幸吉

    原岡説明員 新しい体制に対するものの考え方もいま先生おっしゃられるとおりでありますし、それからまた、具体的な場所に微に入り細をうがって、私よりもよく説明されるので、私十分知らない面もあろうと思いますけれども、知っている範囲で申し上げますが、一般的に申しまして、いわゆる停留場化といって普通の場合に駅員を置かないということは、ある場合にはやっていかなければならないと私は考えております。しかし、いまお話しのように、冬のスキー客や何かで一ぱいのお客さんも来る、あるいは列車もたくさん入るというような場合には、あぶなくないように、それに合うように人を特別に配置するとかあるいは派遣する、こういう体制で対処していく。したがって、安全というものが脅かされるという心配は絶対にない。機動的に時宜に適して対処していく、こういうかまえでございます。ただ、二六時中一般的にただ漫然と用事のないのに駅員を配置しておくということを改めて、停留場のような体制にする、こういう意味合いでございます。上志文につきましても万字についても、そういう考え方でございます。
  13. 井野正揮

    井野委員 あなたのお話ならたいへん話わかりがいいのですが、現状は決して原岡常務の言うような状態には進んでおりません。それで、札鉄から今度説明に来たらうちの中に入れないようにしようとか、きわめて不穏な言動がございます。  もう一つ関連をして言いたいことは、印象的に言いますと、今日のなだれ閉山の状態でありますから、万字線というと、もう私どもすら、不規則発言で選挙区のことだと言っておるけれども、選挙区の私でさえ、ほんとうに無人化して部落に人がいなくなって、要らなくなった鉄道ではないかという印象を持っておりますけれども、行ってみたら、北星炭鉱というのが一つなくなっただけで、その他の石炭山は全部粘結炭、工業用炭で、ますますこれから発展しなければならぬ駅であり、たとえ山がなくなっても、岩見沢周辺に一万円くらいで炭住が払い下げられておる。今度は取りこわさなくてもいいようになったわけです。全部通勤しようかということになっておる。そういう実情を無視して、札鉄局に割り当てられた首切りの定数を満足させるためにやるのじゃないか、こういう疑いを現地人たちは持っております。そして国鉄がこの無人化をやるのは、続いて今度は鉄道線路の撤去に通ずるのだということを考えておる。いち早くこれを読み取った中央バスは、バス路線の運行回数の削減を提案してきておる。そのあとどうなると思いますか。鉄道はなくなる。バスはなくなる。歩かれないですから、一般的にきめられた料金のほかに特別の協力を申し出ざるを得ないということになって、部落の雪はねはどうします、道路はどう直します、公共団体のなすべき仕事について、地元住民が自分たちの足を守るために協力しなければならぬというような、そういう交通が独占化したために今度は逆に奪われようとする圧迫が有形無形に加えられておる事実を、国鉄は一体どう考えるのか、こういうことをさせないために公共の名で国鉄があるのじゃないですか。この国鉄が独占を促進させ、無事の国民に被害を与えるような方向に、今度はまるで何か隠密のように入ってきて、部落の中を撹乱して、そしてお互いに疑い合うようになっている。そんなことを言っても、国鉄の労働組合は賃金と引き合わせにしてのんだというじゃないか、今度は国鉄の労働組合と地元住民の間で、お前反対なんだと言っても、国鉄の人なんだからいずれいいところに行くんだろう、われわれは国鉄の開くときから三代にわたって協力してきたけれども、いまは労使双方から切り捨てられるんだという声を私は聞きました。これはほんとうです。そういうことになったならば、国鉄の使命といいますか、国鉄の存在意義といいますか、あの合理化計画に書かれた、国鉄の使命に撤して国民奉仕の国鉄にするというあれはうそだということになる。私は、国民の協力を得られない国鉄というものは全く悲劇だと思う。そういう方向へ向かってはおられないと思う。しかし、何でもあまり強く——現地の事情ということばは美しいのですけれども、質問するときにはいいと思いますが、しかし、現地では上からの事情でやみくもにやろうとしておる。これはどう思いますか。そういうことはないと考えられますか。はったりでなくて、ほんとうだと思いますか。この辺、ひとつ認識のほどを聞かしてください。
  14. 原岡幸吉

    原岡説明員 現地においていろいろ不信の気持ちでもって迎えられておるということは、まことに不徳のいたすところで、申しわけなく思うわけであります。しかし、この考え方そのものは、輸送環境あるいは輸送の需要そのものがいろいろ変わってきておるので、それに対応してやっていくということは、当然やるべきことであって、そのために地方の人たちの便益を阻害するとか、じゃまする、そういう考え方は全くございません。むしろ積極的に前向きに、変わった環境に即していくのだ、こういう気持ちでいろいろ国鉄が自主的に知恵を出していく、こういう気持ちで地方も中央もおるわけであります。
  15. 井野正揮

    井野委員 あと四分ございますので、もう一つ申し上げておきたいと思います。  そこで、石炭がなくなったからこの鉄道は要らなくなったのだからしかたがないじゃないか、たたかれることを承知で言ってみたのです。ところが、ここへはね返ってきた返事に少々私の認識を恥ずかしく思います。井野さん、それは違う、石炭は運べば運ぶほど赤字になるんだ、なくなったほうがこの線は黒字になるんだ、旅客のほうは今度ディーゼルカーになったら一つの箱に六〇%乗っておればりっぱに黒字になる、ところが、石炭は運べば運ぶほど赤字になる、これは国の政策に国鉄協力をしておるからだ、この負担まで負わされて、さらに不便を与えられるということは納得ができない、こういう意見なんです。大会で帰ってみたら、国鉄からいただいた教宣用のパンフレット、御当局がお出しになったのを見まして、なるほどと私も理解をしました。露骨には書いておりませんが、あの指数を計算してみると、なるほど旅客は六〇%で採算取れる。それから石炭は運べば運ぶほど赤字になる。そのとおりです。したがって、皆さんのおっしゃっておられることと資料にお出しになることとは、かなりの苦悩を見受けました。これは御同情申し上げます。  そこで、重ねて私はお考えを願いたいのは、万字線の中にも確かに人員削減の要素はあります。これは認めます。しかし、勢い余って万字線だけで解決しようとして、当局が地方へおろされたノルマを試験的に万字線でやるのだという印象を強く持っております。これは誤解なら誤解でよろしいですが、誤解を解くために、実情に沿った地元協力地元の声意見というものを十分吸い上げられるように、札幌局とお話しをお願いしたいと思う。それでないと、あの地元の人は東京へやってきますよ。貧しい生活の中から自分たちで金を出し合ってやってきます。あなたがよこしたのだろう、そんなものではないのです。来ます。ひとつこの点を、あなたのことばのとおり受け取りますから、誠意をもって国鉄はきょうの委員会質疑応答を通じてもう一回照会をして、再検討しろという指令を出してほしい。これがないと、ここの質疑も全くおしゃべりだけになる。国会の存在の意義がなくなる。私もことばに責任を持ちますから、ぜひひとつそういう措置をとっていただきたい。あとちょっとしかありませんので、あと質問しませんから、そうしますとかしませんとか、聞くに値しないとか検討に値するとか、そういう答えでけっこうですから……。
  16. 原岡幸吉

    原岡説明員 従来どおりよく話して理解を深めてやっていくようにやっていきたいと思います。
  17. 井野正揮

    井野委員 従来どおりですか。従来のやり方には、私は、あなたのおっしゃっていることはたいへん違うものがあるということを指摘している。それは従来どおりでは困る。
  18. 原岡幸吉

    原岡説明員 先ほど来私が申し上げている線で従来現地においてやっておるつもりでございますので、その線でなおやっていくようにしたい、こう思います。
  19. 井野正揮

    井野委員 私の指摘していることについては検討はしないのですか。
  20. 原岡幸吉

    原岡説明員 指摘している点につきましては、そのようなことがあるかないか、あるいは疑いを持たれないように、十分地方においてその点を含めて進めるようにさせていただきたいと思います。
  21. 井野正揮

    井野委員 もうちょっと、紙一重ですから……。  私は、原岡常務のお考えを理解することにやぶさかでないと言っている。しかし、そういうようなことにはなっていないという現状を私は体験をし、見聞をしてきたので、いまただしている。したがって、やろうとする方向については、意思は全く理解し合える。そういうようなことがあるという指摘を受けるならば、そういうことにならないように十分検討するというお考えに受け取っていいですか。
  22. 原岡幸吉

    原岡説明員 そのとおりでございます。
  23. 福井勇

    福井委員長 次に渡辺武三君。
  24. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 自動車局長お尋ねをいたしますが、現在社会問題となっておりまして、しばしば取り上げられております欠陥車の問題でございます。欠陥車の問題は、これは人命にかかわります重要な問題でございますので、その責任につきましては、やはりきびしく追及がされていかなければなりません。  そこで、質問をいたすわけでございますが、御承知のように、現在、自動車には車検制度というものがございます。一体、この車検制度はどのような目的を持って行なわれておるか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  25. 黒住忠行

    黒住政府委員 国が行なっております車検は、強制的なものでございまして、そのときにおきまして、車検時におきまして保安基準に合っているかどうかということをチェックするわけでございます。それで元来、自動車は、使用者におきましてふだんから整備点検をしていくということをたてまえにしておりますけれども、二年に一度あるいは一年に一度国が強制的にチェックすることによりまして、保安を維持していく、使用者の点検整備と役所の車両検査でもって、両々相まって自車動の保安を維持確保していくというところが目的であると思います。
  26. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 端的に言えば、保安をするために、ふぐあい個所をチェックしていくのだ、こういうことでございますね。ところが、現実には、現行車検制度というものはきわめて形式的に流れておりまして、本来の目的であるふぐあい個所の事前チェックということがほんとうになされているかどうか、きわめて疑わしいというふうに思うわけでございます。自動車そのものは、まずメーカーがつくりますときには、型式認定を受け、そして十分なる性能、安全基準その他が審査をされまして、その後、乗用車は二年に一回、トラックは毎年、車検制度によってふぐあい個所がチェックされておるわけでございますけれども、しかし、現実には、やはりいま申し上げましたように、車検制度そのものがきわめて形式的に流れておるために、いわゆる早くふぐあい個所をチェックするということでは、日本の車検制度そのものは全く役に立っていないのではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、幾ら検査員を増加いたしましても、ほんとうに事前にそのふぐあい個所をチェックするという面では、何ら役に立っていないというふうに考えるわけでございます。ところが一方、ユーザーの立場に立ちますと、そのような国家の手によって一応車検制度があり、車両のふぐあい個所をチェックしておるということで、一応の安心感というものがそこに生まれております。車検を受けたばかりだ、その後若干のふぐあい個所がありましても、やはり車検を受けたという安心感によって、再度整備をするということもなく走行が続けられる、こういうことがやはりあるのではなかろうかと思います。特に昨今のように高速道路が普及をいたしてまいりました現在では、その危険性というものは非常に増しておるのではないかというふうに見なければならないと思います。したがいまして、運輸省当局といたしましては、現行の車検制度そのものを質的に変換をして、そして欠陥を事前にチェックするという制度に改革をしなければならないというふうに私は考えますが、この点につきまして運輸当局の御見解をお尋ねしたいと思います。
  27. 黒住忠行

    黒住政府委員 車検制度につきましては、諸外国の例を見ますと、アメリカあたりでは州によって区々でございまして、必ずしも同様ではございませんが、やはり車両検査を行なっているところのほうが、車両の構造によりますところの事故は少ないというふうにも聞いております。  われわれといたしましては、車両検査によって、次の車両検査までの間の保安を全部それでもって確認をするという性格のものではないのでございまして、やはり次の検査の間には、車両法で規定がありますように、その使用者がみずから点検整備を行なうということがたてまえになっております。しかしながら、強制的な車検を行なうことによりまして、そのつどチェックをされますし、それに合格いたしますためには、車検の前に整備工場に入れまして、整備をするというふうなことも行なわれ、それによって車検が合格するというふうになっておりますので、十分効果はあげておるものと思っております。しかし、そのやり方につきましては、何ぶんにも自動車数が非常にふえてまいっておりますので、役所の体制といたしましては、これをなるべく機械化する、前のような人間の勘にたよるというふうなやり方でなくして、なるべくいわゆる機械化、自動化をするということによりまして、機械によるところの車検の能率アップと正確さを期するような方向にいきたい、それが第一点でございます。  そして次は、車両数が非常にたくさんでございますし、車両検査を受けられる人の便宜から見て、各地でそれが行なわれるということが非常にいいことでございますので、それには、今度の車両法の改正によりましてコンピュターシステムを導入いたしましたので、よその土地でも受けられる。そして指定整備工場の制度で、現在継続検査の約二〇%をそれでやっておりますけれども、四十八年度までの目標といたしましては、七〇%をこの指定整備工場で検査ができるというふうな体制で、それの指定整備工場を現在ふやすように指導をいたしておるところでございます。  やはり保安の問題は非常に重要でございますので、検査のやり方につきましては、さらに正確な機械を開発して、同時にまた、能率的にスピードアップをするということも必要であると思いますし、国の検査につきましては、構造改造の検査であるとか型式指定以外の新車の検査であるとか、必ずしも民間にまかせ得ないという点につきまして重点を指向する、そうして継続検査につきましては、民間の指定整備工場の量と質をよくするというふうな方向に指導してまいりたいと考えております。
  28. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 現在のいま局長が答弁になっておるようなことを私は実は聞いたわけではないわけでありまして、いまのような方法でやっていくならば、幾ら検査員をふやしても検査場をふやしても、いわゆるふぐあい個所の事前チェックということはなされないであろう。つまり、チェックポイントをきめておいて、それを形式的にいいかどうか、適合しているかどうかだけをチェックしていくのでは、もはや追いつかなくなっていくのではないか。端的に言えば、製造過程で技術水準がどんどんと進んでいく、そういう技術水準のアップに対して、お役所の仕事がもう非常におくれをとってしまっておるのではないか。つまり、もうそれをチェックできない、そういうような状態にあるのではなかろうかということが実はおそれられるわけでございます。しかし、一般的に見れば、車がつくられて、そしてお役所によって車検が受かった。そこでユーザーの立場に立てば、非常に安心感というものが生じてまいるわけですけれども、実態というものが、なかなかそのような、ほんとうに安心感を得て走れるという状態のチェックがなされていないのではなかろうか。それが証拠には、その車検と車検の間あるいは車検直後にも、いろいろな問題点が起こっておるというケースがいろいろあるわけでございます。そういうような事例を考えるときに、ほんとうにやはり現行の車検制度というものがあまりにも形式的に流れておるのではなかろうか。本来の目的であるふぐあい個所のチェックということがほんとうに行なわれておるのかどうか、多分に疑わしいことが多々ございますので、私は、あえて現行のような検査の方法なりいろいろな問題について再検討を加え、そしてほんとうの意味のふぐあい個所のチェックができる体制ということにやはり車検制度そのものを切りかえていかなければ、むしろアメリカあたりでは車検制度がない州もあるようでございますが、それと同じような結果になってしまうのではなかろうかということでございますので、そういう点についての質的な転換ということをお考えになっておるかどうかをお尋ねしたわけでございます。
  29. 黒住忠行

    黒住政府委員 新車におきますところのメーカー側の技術の向上につきましては非常に進んでおるわけでございまして、いい車の安全なものをつくっていただくということが最も必要であると思うわけでございます。それで、新車におきますところの指定関係につきましては、御承知のように、先般来の欠陥車問題以来、審査項目をふやしまして、現在では約四百十六項目になっております。それから耐久試験は、一定以上の距離を走行したものを指定のときには調べるというふうな方法、その他いろいろ厳格にやるということで、またその体制といたしましては、今回設置法の改正によりまして研究所を独立し、審査部をそこに設けて、その場所で機械も設置して検査をするというようなことで、指定自動車におきますところの検査体制、指定の体制を充実していく。メーカーの技術アップと相まってそれらを行なっていくと、欠陥的なものは非常に少なくなるというふうに思います。それで、車両検査の場合におきまして、材質等に立ち至って検査をしていくというふうなことは非常に困難でございますし、やはり通常の、特に重要な走行の関係であるとか、現在やっておりますような点につきましてのチェックももちろん必要でございますので、その車検のときに、指定の場合と同じような、いま先生御指摘のような内容に立ち至って検査をするということになりますと、非常な手数も要するのではないかと思います。したがいまして、新車が出る場合におきましての指定の場合において厳格にやっていく、そして通常の点検整備を使用者におきまして十分やってもらう。この点検整備の内容につきましては、法律的にもはっきりしておりますので、それでやっていただく。そしてまた国といたしましては、車両査査におきまして、先ほどから申し上げますような形でやっていくということが、現実のやり方としてはやむを得ないのではないか。しかし、その車両検査のやり方につきましては、御説のように、やはり保安の問題は重要でございますし、技術の向上ということも大いに期待しなければなりませんので、それらのやり方自体につきましては、今後、時節におくれないように十分注意をしてまいりたいと思います。
  30. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 次に、ひとつユーザー義務のPRについてお尋ねしたいわけですが、局長はたびたび答弁の中で、使用者の点検の義務、整備の義務というものを道路運送車両法の中にきめられているんだということを強調なさっておるわけですが、実はユーザーそのものがそれほど法律に詳しくはございませんし、ややもすると機械というものに対する考え方が、日本人はきわめて甘いわけでございまして、絶対的なものだという信頼が——これは販売側あるいはメーカー側の宣伝も過度に行なわれているという問題もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、機械というものは絶対的なものではないんだ、つまり、九九・九%の安全度を誇りましたあのアポロでさえあのような事故が起きておる。ましてや、大衆購買力を持った安価な車に至りましては、現在の世界の工業水準においては、これは幾ら注意をいたしましても、確率的に危険度というものはあるんだということがお互いに理解されないと、これは非常にたいへんな問題になると思います。そういう意味では、道路運送車両法に書かれております維持管理の責任というものがいわゆる使用者にあるんだというPRが、やはりやや足りないのではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。こういう面は、私は、特に客観的な、また公正な立場に立つ行政官庁が行なうということが一番適当ではないかと思いますので、あえてその問題について当局のお考えをただしておきたいと思うのでございます。
  31. 黒住忠行

    黒住政府委員 使用者が常に整備点検をやるということ、そしてそれらの責任は使用者側にあるということは、法律的にも明確でございますし、自動車を使う以上は、そういうことは当然考えるべきであって、社会的な責任でございますし、また自分の身を守るという意味におきましても当然必要なことであると思います。しかしながら、現在の使用者におきましてはそれらの努力が十分でないということは否定できないところでございまして、われわれといたしましては、直接使用者にアプローチする方法といたしましては、整備事業者あるいは販売事業者におけるアフターサービスの問題、それから最近におきまして日本自動車連盟の加入者も逐次ふえておりますけれども、これらを通じまして指導に努力をするというふうに考えておる次第でございます。そしてまた、役所といたしましては、昨年の十二月に道路運送車両法の施行規則を改正いたしまして、定期点検整備記録簿の提出を車両検査におきまして義務づけることにいたしました。法律的にはそういうものの提出を求めることができるというふうになっておりますけれども、現在のような状況にかんがみまして、整備点検記録簿を必ず出してもらうということは、ユーザー側におきましてふだんから整備をやっているということが車両検査のときに十分わかるわけで、それはしなければならぬということがはっきりしてくるわけでございますから、この面におきましては、今後は相当効果があがるのではないかというふうに考えます。  欠陥車の問題につきましては、いわゆるリコール制度というものをわが国におきまして定着をするようにしていきたいということで、メーカー側の協力も得まして、最近におきましてもリコールをやっておるわけでございますけれども、新聞に対する発表、広告であるとかいうふうなこともやっておりますし、それらを整備事業者あるいはディーラーから個々のユーザーにも通知するというふうなことで、逐次リコール制度が定着しつつある状況でございます。役所といたしましては、メーカー、ディーラー、整備事業者あるいは自動車連盟等を督促いたしまして、そういう指導につとめておると同時に、車検につきましては、いまの定期点検整備記録簿の提示という場合におきまして、ユーザーに直接指導をしていきたい、かように考えております。
  32. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 定期点検が義務づけられておって、車検のときに提出しなければならないので、逐次浸透していくだろうというお答えでございますが、私は多分に疑問に思うわけであります。なぜならば、現在車を車検に出すときに、そういう定期点検を受けなくても、あたかも一カ月ごと、三カ月ごとにやったように業者そのものが書類を非常にうまくつくってくれるというのが実情のようでございます。そういうことを通じて、ほんとうにユーザーに対する認識が改められるかというと、私は決してそういうふうな状態ではないというふうに思いますので、やはりもっと別な意味でのユーザーPRというものをぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。  さらに、リコール問題についても言及がございましたが、もちろん不ぐあい個所が判明いたしました場合のリコールの問題あるいは公表の問題につきましては、当然メーカー側に責任をもってやらせなければならないと思うわけでございます。ところが、そのようなリコールに応じないユーザーも出ておるようでございまして、リコールをしてもなかなかユーザー側の協力が得られないために、その期間中に再度事故が起こったというふうな事例も実はあるようでございます。そうなりますと、ますますユーザーに対するPRが必要になってくるわけでございまして、私は、何らかの方法でユーザーの協力義務というものを法制化しなければいけないのではないだろうかと考えるわけでございますが、ユーザーがリコールに応じなかった場合に起きた事故については、一体法律的な責任はどこにあるのかということについても、あわせてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  33. 黒住忠行

    黒住政府委員 法律上の責任といたしましては、いわゆる民事責任と刑事責任と二つあると思います。自動車の使用によります事故の被害者に対する責任、いわゆる民事責任、賠償責任につきましては、自賠法の第三条で、民法の七百九条の特則になっておりまして、一応保有者側において責任があるということでございますので、保有者側におきまして車両の欠陥がなかったということ、あるいは被害者のほうなり第三者のほうに過失があったというふうなことを挙証しない限りにおきましては、当事者側の責任ということになっておりますから、車両の欠陥によります事故がありました場合におきましては、第一次的には対被害者の関係におきましては保有者の責任でございます。その場合におきまして、今度は保有者とメ−カー関係がどうなるかということにつきましては、いわゆる求償権が発生するかどうかという問題になってくるわけでございまして、その求償権が発生するかという場合におきまして共同不法行為の問題も起きてまいりますけれども、そのときにおきましては、いま先生が御指摘のようなことがどのように行なわれているかというふうなことが論点になるわけでございまして、その場合におきましては、保有者側、いわゆるユーザー側がどの程度メーカーに対して求償できるかという裁判上の問題に相なるかと思います。  それから次は刑事責任でございますが、刑事におきましてメーカーに責任があるかどうかということでございます。具体的なケースによりましては、事故に対して相当因果関係的なものがやはりここでも問われるわけでございまして、メーカーが使用者に対してどのように措置がとられたかということ、それから使用者がメーカーから受けた通知によってどの程度の措置を講ずることが期待できるかというふうな点等が論点になってくるかと思うわけでございまして、これらの点につきましては、やはりケース・バイ・ケースによって処理をされるものだと思います。それで、刑事責任の追及の点につきましては、われわれのほうで的確に各ケースに応じて申し上げるのもいかがかと思うわけでございまして、警察なり法務省側におきまして、そのときにおける状況に応じて刑事責任を追及するというふうなことに相なるかと思う次第でございます。
  34. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間がございませんので、次に警察庁にお尋ねをしたいと思います。  いま論議をいたしております欠陥車の問題についての関連質問でございますが、事故が起きた場合に、警察官はどちらかといえば交通管制という立場からの判断が優先をしまして、交通法規がどう守られたか守られなかったか、そういった範囲の中で処理されておるというふうに思うわけでございます。つまり、どういうことかといいますと、警察官そのものは自動車技術の知識がやはり足らないために、そういう欠陥的な不ぐあい個所による事故なのかどうかという判断がきわめて的確に行なわれないということがあろうかと思います。つまり、交通法規が守られたか守られなかったかという立場での事故処理ということが原則になっておろうかと思いますが、そのために、現場における警察官の不用意な発言——これは欠陥車問題が起きましてからいろいろな事例があるようでございますが、不用意な発言のために、あとの事故処理がたいへん長引いてしまったというような事例が起きておるわけでございまして、そういうためには、私は、警察官そのものに対する自動車技術の教育というものが必要な時代になってきておるのではないだろうかというふうに考えるわけですが、そういう面の警察庁の具体的な教育その他をやっておられるのかどうか、あるいは今後おやりになろうとしておるかどうかについて、まずお尋ねをしたいと思います。
  35. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 お答えいたします。  昨年の六月欠陥車問題が出まして、従来、そういう欠陥車の欠陥部位によって、たとえばブレーキが突然きかなくなったというようなときに事故が起こった場合に、警察が運転者側のみを責めて立検しておるような事情があるのじゃないかというような質問も当時ございました。われわれのほうも過去の事例をその当時点検したことがございます。点検しましたら、やはり第一線の警察も、運転者側が自分の技量とかあるいは自分の法令違反じゃない、突然車のブレーキがきかなくなったのだというような申し出があった場合には、すべて警察は現地陸運事務所の整備の専門家と申しますか、あるいは陸運事務所が近くになければ、民間の整備の技術を持ったテクニシャン、あるいは場合によれば警察の鑑識陣、こういうものに車両の鑑定をさしております。そういうことから見ましても、現場の警官が自動車構造の知識がかりに弱いといたしましても、警察内部の鑑識陣あるいは整備担当のテクニシャンあるいは専門家、こういった方に必ず鑑定をさしております。そういう点では私もいささか自信を得たわけでございます。しかし、さらに交通係警察官が今後もっと自動車構造に対する知識を持たなければならぬということで、昨年から、これは自衛隊の整備学校にお願いしておるのですけれども、中央へ集中いたしまして警察官の整備講習をやっております。年に数回、全国から集めてやっております。今後もこの面の整備関係の講習をもっと強化しなければならぬ、また強化すべきである、このように考えております。また、近くは、管区警察学校がそれぞれございますけれども、これを交通だけの専門の学校にいたしまして、警察自体でも整備部門というものに対する講習陣を強化いたしたい、このように考えております。
  36. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 事故の発生は、必ずしもたとえば技術者を呼んで解決をするというものばかりではなくて、複雑にラップをしておる、いわゆる判定に困難だというような複雑なものが非常に多いと思います。そういう意味では、警察官そのもののそういう技術知識というものが向上をしていないと、非常に大きな問題になろうかと思いますので、今後ともひとつよろしくお願いをしておきたいと思います。  次に、運転試験場の問題についてお尋ねをしたいわけですが、御承知のように、各県に運転試験場というものがございまして、私の聞きました新潟県の運転試験場は、特定の日を設けまして、その試験コースを一般の人々に開放をいたしておるようでございます。そういうような公的な場所が一般の人々に開放されるということそのものについて、私はとやかく言うわけではございませんが、そのような公的な場所が一般の人に開放され、そこで一般の人がいわゆる運転の技術修得のための練習をなさるわけですけれども、そこへ最近指導屋なる者が入り込みまして、そうして一般の人々を教えておる。いわば公共的な場所で第三者が商売を行なっておるという事例が新潟県の中に起こっておるようでございます。一体、そういう事実を警察庁としては把握をしておられるのかどうか、あるいはそのような公的な試験場を一般に開放する場合のいろいろな指示はどのようになされておるのか。この辺についてひとつお答えを願いたいと思うわけですが、特にこの新潟県の場合は、柿崎、長岡、新潟というような各試験場がそれぞれ公開をいたしておるようでございまして、その指導屋なる者は車を持っておりまして、そして必ずしもその指導屋はいわゆる検定試験を受けた能力のある指導員ではない。単なる普通のドライバーが、そういう状態の中で一時間千三百円の金を取って指導をしておる。ために、せっかく開放されたそのコースが、一般の人々が練習に行こうと思っても、もう練習をする余地すらなくなっておる状態である、こういうことがいわれておるわけでございますが、この辺の実情についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  37. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 警察が持っております運転免許試験場を、試験をしない日、たとえば日曜日等に、一般のこれから運転を学ぼうとする人たちに便宜的に練習場として開放するかどうかという問題が、まず最初の問題になると思いますけれども、これは各県によって非常に事情がございます。私も神奈川、大阪の交通部長をやってまいりましたけれども、一方では、試験場というものは日曜はあいておるのだから、無免許運転防止のためにも開放して練習さしてやったらどうだという要望もありますし、また他方では、試験場をそういうように開放するならば、試験に対して非常に不均衡が生ずるのではないかというような反対の御意向もあります。しかし、われわれといたしましては、できれば、試験場をそういためないとか、何かある程度の条件をつけました場合には、一般のそれこそ無免許運転防止のためにも、もし便宜的であるならば開放してもいいんじゃないかという感じを持っておりますが、これは各県の公安委員会にまかせております。その判断はそれぞれによって違うと思います。練習場がその県ではほかに多いとか、あるいはその県は全くない、練習の機会がないというような、各県の事情がございますので、各県の公安委員会にまかせております。現在、新潟を含めまして九県が試験場を日曜日には一般の練習用に開放しております。これにつきましては、私のほうは県にまかせておりまして、具体的な指導というものはしておりません。先ほど御指摘の新潟の場合、これは終戦後二十年ほどずっと開放しております。開放しました場合に、ここに一般の人が練習に参りますときに、自分の友だちやあるいは知人の運転のできる者を一緒に連れてきて、そこで一緒に乗ってもらって、友だちなんかに教えてもらうというのが普通の形だろうと思います。この場合に、そこで練習するのだけれども、じゃだれか先生にでも教えてもらいたいということで、その先生という専門屋が生まれてきたといういきさつが、新潟の場合は確かに御指摘のとおりあるようでございます。これももうすでに二十年ぐらい前から、専門的な指導員というものが、この開放された日に練習する者の要望に応じまして教えておる。教えたらその場合に教習料を取っておるという実情が、新潟ではもう二十年前からあるということを私どもも知っております。しかし、これは練習する人と指導員と申しますか、専門の指導屋との両者の契約のようなものでございますので、もしこれが非常にふぐあいな指導員であるならば、だれもそういうものをつけませんでしょうし、それこそ自分の知人やその他の運転者を連れてきて練習して、その指導員に頼むということはないだろうと思います。しかし、一方では、この指導員を便利がっておるというケースもあって、この指導員がそのまま残っておるようでございます。新潟の場合、非常に特異な例でございますが、今回そういう事実をわれわれも初めてある程度完全につかんでみたのでございますけれども、長年のそういう伝統があり、便利がられておるという実情からいいますならば、ある程度われわれの監督の範囲に入れまして、利用者の便宜と、それから一方彼らの公的な試験場を使いましての契約上の問題、こういう点については、今後できる限り指導していきたい、このように思っております。
  38. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 きわめてデリケートな御答弁でございますけれども、そのために、本来目的としては、一般の人にコースを開放しよう、こういう目的をお持ちになって、一般の人がたまたま道路等で練習することができませんから、そういう場所を使っておやりになるというのは非常にけっこうだと思います。ところが、それに便乗した指導屋なる人たちがそこをいわば占拠してしまう、一般の人が入り込む余地がないと新潟の場合いわれておるわけです。そういう状態で、いわば公的なそういうコースを特定の人が自分の商売上に使っておると言っても言い過ぎではないような状態になってしまっておる。だのに、警察庁は、それは一般の人も便宜を受けておるんだからいいじゃないかというような見解は、これは少しおかしいんじゃないか。ほんとうにその人が正しい指導をするということであればまだしも、それが普通の、何ら検定を受けていない指導員であり、その教え方そのものもきわめて不合理な教え方がなされておるように聞いておるわけでございます。そういう実情というものも御存じなのかどうか、実際に一般の人が入り込む余地がなくなってしまっておるような状況というものを御存じなのかどうか、そういう上に立っても、なおかつ警察庁としてはまあいいではないかという御見解なのかどうか、あわせてお答え願いたい。
  39. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 その点の実情はまだ十分つかんでおりません。しかし、かりに一般の人が入り込む余地がなく、完全に彼らのみで占領して、彼らのみの指導だけでその試験場が使われておる、一般の人が入り込む余地がないということでありますれば、それは正しい使い方ではありません。そういう面で、われわれも実情を調べまして、新潟県警を通じてその面の指導をしたいと思います。
  40. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公共的な場所を使って特定な人が商売、つまり営業行為を行なっておるということは、それでいいのかということもあわせてお聞きしたわけです。
  41. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 好ましいことではないと思います。
  42. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そういうことは、いろいろな黒い霧のうわさ等々を生む一番の根源になると思います。新潟県の場合もややそれに近い、疑わしい状態であろうかと思いますので、ひとつ厳重に御調査をいただきまして、正しい指導をされるように強く要望をいたしておきたいと思います。  時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
  43. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  44. 田代文久

    ○田代委員 大臣がおらないので、次官にお尋ねします。  第一は、私鉄運賃の値上げですが、国会が終わったら、また公共料金の重要な内容をなす私鉄運賃が値上げされるんじゃないか。それは現在審議会の答申を受けた上で、これが認可をするというような話も出ておるわけですが、大体政府の意向はどうかということなんです。私は、これは絶対にすべきじゃない、私鉄の運賃の値上げは。その理由は、現在大手の私鉄の十四社が百三十五億円以上の利益をすでにあげている。バス路線なんかは赤字だというようなことを説明している会社もありますけれどもバスで六十三億円、それから兼業では二百十一億円以上の純益を計上しております。そればかりではなくて、各社の内部蓄積ですね、これは資本金約一千億円に対して五百九十五億円という膨大な内部蓄積を持っておるし、また、傍系会社に対する出資金あるいは貸し付け金、債務保証というものが千五百億円近くもあるという、資本金以上のものを提供しているわけですね。こういう全く黒字の経営をやりながら、また物価高物価高といって国民が苦しんでいる中で、運賃値上げということが許可されるということは、絶対に許されないと思うのです。ですから、国会が終わって審議会の答申が出たというようなときに、政府がいろいろ理由をつけて、結局またこれをやむを得ないとかなんとかいってされるということになれば、国民の代表としてわれわれはもうこれは許されないと思うのです。政府のその点についてのお考えを率直にお伺いしたいと思います。
  45. 山村新治郎

    ○山村政府委員 先生ただいまおっしゃいました運賃値上げ、いわゆる大手の私鉄十四社、この値上げをどうするかということでございますが、実はこれは、四十三年の十二月から四十四年一月にかけまして、定期、また定期外、両運賃改定申請が行なわれて現在に至っておるというのが実情でございます。それで、運輸省といたしましては、申請がございますれば審査するのが当然の義務でございますので、慎重厳重この審査を継続いたしております。実際のところ、一年余り経過して、いままで運輸省といたしましての審査の経過では、先生いろいろ数字をおあげになりましたが、黒字であるということで、その内容につきましてこまかいことは、いま局長のほうより答弁させますが、いわゆる鉄軌道部門、鉄道の部門におきましては四十三年度八十七億円の赤字、また四十四年度におきましても大体二百二十五億円の赤字、こういうようなことになると推定されております。このようなことから、今後の輸送力増強投資、また運転保安投資、この遂行に支障を来たすおそれが強いことが事実でございますので、去る一月の十三日に運輸審議会において諮問を行ないまして、目下同審議会で鋭意審議中でございます。今後、経済企画庁との協議の成立、運輸審議会の審議、答申を待って、これに従い処理する大針でございますが、しかし、これにつきましては、やはり慎重にこれに対処していきたい、そういうぐあいに考えております。  あと先生おっしゃいました内容のこまかい経理の内容そのほかにつきましては、局長から答弁させます。
  46. 田代文久

    ○田代委員 局長、いま御答弁願いますと時間が参りますから……。大体その意図はわかっています。いまの次官の御説明でも、非常に赤字の線の出ている面を言われて、やっぱり非常に弁護されるような立場に立っておられますけれども、これはわれわれとしては納得できない。実際に私鉄外の企業、たとえば野球をやるとか、いろいろ観光地をつくるとか、そういう点で非常に利益をあげながら、いわゆる自分の私鉄の事業でもうかったものをほかの事業に回してどんどん黒字を出しておって、そして自分の基本的な企業は赤字だ赤字だ、だから値上げだ、こういうことは国民は百も知っておるわけです。ですから、そういう答弁を私はしていただいたって意味がない。ですから、基本的にははっきりそういう国民の立場に立って、このように物価が天井知らずに上がっている場合、それにブレーキをかける意味においても、絶対に上げないということをはっきり覚悟してやっていただきたい。この秋でも、また、あんなに言っておったのだけれども、結局これはやむを得なかったというようなことを答弁なさらないようにはっきり申し上げて、ここで次に私は質問を進めます。  次に、これは国鉄当局にお願いしますけれども、筑豊線に直方気動車区あるいは機関区がございます。ここの客車の清掃、ボイラー、充電、こういうものをいわゆる外部委託しておるわけですね。ここでは国鉄自身がやっておったときには二十六名であった。この清掃あるいはボイラー、充電、これが外注しておる現在、女子を含めて四十七名、二十六名でやっておったのが現在四十七名も外注では使っておる。それから直方機関区では、燃料業務を国鉄自身でやっていたときは三十八名であったのが、現在は外注で四十一名、これも三名ふやしている。そういうことでやっておるわけです。  こういう点から見ますと、外注に出しておるが、実際においては人員はふえておるということになっておるわけですね。このことは大体どういうことか。しかもこの下請会社自身というのは、会社自体としては当然利益をあげておるわけです。そうすると、こういうことをやった意味は全然ないのじゃないか。赤字の解消とかなんとか言っておるけれども、実際においては人員がふやされておるし、またそういう企業に対しては利潤を保障している。こういうような合理化計画はわれわれ国民は納得できない。  そういう現在の合理化計画の中でちょうどハイジャックの事件が起こって、そして国民の目がそれておったので、何か立ち消えになったようですけれども、私は、これは非常に重大な問題として看過できないと思っておる事件としては、三月三十日に国鉄の山陰線の小串−川棚温泉間の山口県の豊浦郡豊浦町の通称高砂踏切、ここで五人の死亡と二十七人の大けが人を出しておるのですね。これは国鉄としては全く大事故ですよ。しかもこの大事故は無人踏切だったというのです。そうすると、私はっきり考えるのに、これがもし有人踏切で、ここにちゃんと国鉄の労働者をつけておったら、こういう事故は防げたのじゃないか。全国で大体三万以上の無人踏切とかそれに類する踏切があるのに、そのうちの三分の一、一万以上の踏切というものはこういう状態であるというのです。  ですから、合理化合理化といって国鉄の労働者をとにかく減らす。減らすことが目的であるが、安全輸送とか国民のこういう安全に対してはどのように考えておるのか。とにかく実際に人を減らすということは、国民の生命あるいは財産に対して危害を与えるということになれば、全くその合理化計画というやつは形の上だけであって、許されないのじゃないか。それからまた、最近では、車両の検査をとにかく引き延ばすというような形で、人員を減らすというようなことも出ておるわけですね。  ですから、こういう外注に出すとか、あるいは無人踏切をふやすとかいうようなことは、そういう合理化は実際においては労働組合なり労働者に対する攻撃のみであって、国民の立場からいっても、その公共性あるいは安全輸送という立場から見ても、これは非常に相反しておると思うのであります。こういうことに対して、現在のこの合理化は非常に無理な合理化である。その無理な合理化の結果こういう事故が起こったりしているということを反省されるかどうか。あるいはこの高砂踏切における事故は、私が判断しておりますように、これが有人踏切であったならば、したがって国鉄の労働者をそこにつけておったならば、こういうことは防げたのじゃないかということについての見解を当局から聞かしていただきたいと思います。
  47. 一條幸夫

    ○一條説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えをいたします。  初めの直方地区の車両清掃その他のことを部外に委託をいたしております問題でありますが、ただいまお話しのありました点が幾つかあったと思います。その中で、国鉄が直営をいたしておりました時点と現在と、仕事に携わっている職員の数が違う、現在はふえているというようなお話がございました。いつごろの話かわかりませんのですが、そのときの仕事量がわかりませんので、判断のしようがありませんが、おそらく仕事量がふえているためだろうと考えます。  それから、部外に仕事を出しますことにつきましての安全性についても御心配をいただいておるようでございますが、部外に仕事を出します場合には、出しますものについての技術、信用のある会社というものを選んで出しております。それからその仕事のできばえにつきましても、国鉄が検修を十分いたしまして、安全性を確認をいたしております。したがいまして、安全性については、御心配になるような問題はこの場合はないと考えております。  その次に、三月の末に、山陰線の小串−川棚温泉間で発生をいたしました踏切事故は、お話しのように、私どももきわめて遺憾であったと思います。ただし、この踏切事故の原因は、先生のおっしゃったようなことではございませんでして、この踏切に対しましては私どもは警報機を設備をいたしておりまして、列車の接近を道路を通行いたします人たちに知らせるような設備はできております。その警報機を無視してダンプカーが入ってまいりまして事故になったわけでございまして、きわめて遺憾でございます。  御参考までに、昭和三十六年ころから国鉄が踏切事故の防止に対しましてどれだけの努力をしてきたかということを申し上げますと、昭和三十六年から四十三年度までに約九百三十億の金を踏切事故の防止に投じております。具体的な数字を一、二拾って申しますと……(田代委員「時間がないから簡単にしてください」と呼ぶ)  それでは、もう一点の車両の検修の合理化についてでございますが、これは車両は年々技術が進歩いたしまして、昔と違いまして、だんだんに手のかからない信頼度の高い車両になってきております。したがいまして、使用実績に基づきまして、信頼性の高い理論によりまして近代化車両の部品ごとの保安度を算定いたしまして、検査のやり方をきめているわけでございます。したがいまして、近代的に合理的な検査をするということでありまして、保安度は従来より以上に上がっていると考えております。
  48. 田代文久

    ○田代委員 いまの答弁は全く納得できません。警報機がついておったというようなことですけれども、警報機がついておったところで起きておるわけです。ですから、これは国鉄には責任ないとおっしゃるけれども、そういうわけにいかぬ。もちろん警報機がついておるのを無視したダンプカーが悪いのです。注意しなければならない。そっちにも責任がある。けれども、なおそういうことがあるのだから、それに劣らないような万全を期するというのが、これは国鉄の責任でしょう。ですから、そこに人がおればなお防げたんじゃないかということなんです。だから、事実幾らか予算がふえるのはあたりまえのことです。  それから、いまの車検の手抜きという問題も、これは私ははっきり意見を持っております。たとえば、実際すでに調べてあるけれども、あなたは非常に新しい新車型で検査の期間を長くしてもいいんじゃないかというようなお話ですけれども、実際に新車であってもむしろ事故がどんどん紀こっておる、三年以内に起こっておるというような数字が出ておるわけです。そういう点は、時間がありませんから文書で聞かしていただきたいのですが、いまの信頼の高い下請会社にとにかくやらしておるので御心配ありませんとかいうお話でありましたけれども、大体筑豊線のものは、鉄道産業株式会社あるいは九州整備株式会社というのがやっているらしいのですけれども、この株式は何ら公開も何もされておらぬ。そうして国鉄自身が外注会社にこれは指定しておるわけですね。そういう点で、私どもは内容というものがまだはっきりわかりません。ですから、国鉄とこれらの会社がどういう契約を結んでやっておるのか、そういう点は文書でいいからあとから知らしていただきたい。  それからもう一つ、いわゆるローカル線の廃止の問題ですが、八十三線、二千数百駅を廃止する、あるいは縮小するということを言っておられますけれども、実際にいろいろ当たりますと、地方自治体の代表はほとんどこの廃止に対しては反対しておられるわけですね。それというのは、そういうローカル線を敷く場合には、自分の土地を提供したり、あるいは国益だという観点で、これは無理をして地方の人はやっておるのですね。ところが、現在国鉄が一方的にこれをどんどん切るというようなことをやっておりますけれども、現在過疎、過密の問題が問題になっておるときに、このローカル線をどんどん廃止するということは、これはますます過疎を拡大することになって、いわゆる地方の鉄道の敷かれておる地帯を疲弊させるということは明らかでありますし、歴史的な意味からいっても、そういう公共的な性質を十分考えてやらなければ、単なるそろばんずくめのやり方では正しくないのじゃないかという点で十分考えていた、だきたい。  具体的に申し上げますと、長野県にある飯山線あるいは小海線、それから兵庫県の加古川線、高砂線、大阪の片町線、福岡の香月線、漆生線、日豊本線、筑豊本線、以上の九線についてのいわゆる合理化計画とその効率の目的、予定されておる効果というようなものについて、これは文書でいいですから回答していただきたい。  それから、こういうローカル線の廃止なんかやる場合、合理化計画というのでまず労働組合に提出される。それはそれとしてわかるのですけれども、これはまず地方の自治体なんかに相談して、こういうローカル線を廃止しようとしておる、実はこういう形でつくっていただきましたけれども、こうなっているんだということを地方自治体やそういう関係の経済団体などにまず第一番に十分話して、そしてこれはとにかくやっていただかなければならないというふうにしてもらわなければならないわけですけれども、そういう点が非常に不十分であるように思うわけです。その点をひとつ十分やっていただきたい。また、それをどういうふうにやっていかれるかという態度あるいは考え方を知らしていただきたい。  もう時間がないと先ほどから盛んに言っておりますから、まだ聞きたいけれども、以上で質問を終りますが、いまの点をひとつ答弁願いたいと思います。
  49. 一條幸夫

    ○一條説明員 ただいまの車両清掃の契約内容は、発表することはできないことになっております。よろしくお願いします。
  50. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま御質問のいわゆる営業新体制の問題につきましては、地元住民に与える利便の問題等いろいろございますので、当然地元住民と十分な話し合いを行なって実施いたしていく、こういう方向で国鉄としては実施しておると私ども存じております。私どももそういうことを考えておる次第でございます。ただ、組合との話、これは実は国鉄内部の問題でございますけれども、組合との話も当然することになっておりますので、組合との話と並行しながら、地元住民との折衝を行なって実施する、こういうことで行なっているというように考えております。
  51. 田代文久

    ○田代委員 質問を終わりますけれども地元といろいろ話をやっておられると言いますけれども、ほとんどはこれは反対でしょう。そうすれば、その反対の意見を実際にローカル線の廃止のときに具体的にどのように取り上げているか、たとえば百廃止しようと思っていたけれども、実際においてはそれはできないということがわかった、だからその三分の一にしようとか、二分の一にしようというような形ではあらわれてきていないわけですね。強引にとにかく計画を立てたものはやってしまうのだというふうにしか受け取れないということを、地元の自治体や経済団体なんか言われるわけですね。これは国鉄ですから、明らかに公共性と日本の全体的なあれで、これはただ黒字か赤字かというだけで済まされる問題ではないことは明らかですね。そういう点で、とにかくおざなりにやっておるということじゃ困るわけです。その点をひとつより強力にやってもらいたいということを要望しまして、質問を終わります。
  52. 福井勇

    福井委員長 関連質問で井野君。
  53. 井野正揮

    井野委員 先ほどの答弁で、契約内容は秘密だから発表できないという御発言がありましたが、それはいかなる法的根拠に基づいてそういうことをおっしゃるのか。関係条項その他、文書で提出を願いたいと思います。ちょっと黙過しがたいと思います。
  54. 福井勇

    福井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十七分散会