○久保委員 限られた短い時間でありますから、さしあたり二つほど、
お尋ねというか、意見を入れて申し上げたいのでありますが、今回の問題について、いま
井野君からもいろいろお話がありましたが、やはり
機長の
判断というか、そういうものが優先されたかどうかという問題だと思います。これは今後のものの
考え方や対策の上においてたいへん大事だと思います。そこで、私
どもは、いまいろいろな
政府側の皆さんのお話やら、あるいは新聞等を通じての
情報、こういうものを総合して、
機長の
判断が最後まで通ったとは
考えていないのであります。
機長の
判断が通ったのは、まず途中でハイジャックにあった、そこで
福岡に着陸しなければいかぬというのは、これは
機長の
判断だと思います。それから
福岡を飛び立つときには、きのうの本
会議での防衛庁長官等の
答弁を含めて
考えると、これまた
機長の
判断で
北朝鮮に向けて飛んだと思うのであります。しかし、金浦に着陸することは
機長の
判断というか、意思ではなかった。意思に反した着陸であった。それからもう
一つ、
平壌に飛び立つことは
機長の大体の意思でもあったかと思うのでありますが、その飛び立つ時期ははたして
機長の
判断であったかどうか、たいへん疑問があります。飛び立つ時期、そういうものは
機長の
判断であったかどうか。そこで、私が言いたいのは、いまも話に出ましたいわゆるJALが持っているハイジャックに対する
措置、
機長のとるべき
措置、
運航基準ですね。この
運航基準を中心にして、
事件が発生したならば
機長の
判断を誤りなからしめるように
関係機関は協力をするというのがまず第一だと思う。そういうためには、
機長の
判断というのがオーソライズされなければいけない。
運輸大臣はこのJALの
運航基準を
承認されているのでありますから、当然これを中心に
考えなければならぬものを、残念ながら、きのうの防衛庁長官の話は別として、
警察当局が
福岡で何かタイヤをパンクさせようと思ったとか、空気を抜こうとした、あるいはこれは新聞
情報でありますが、飛び立つ寸前に油送管のコックを締めようとしかかって振り落とされた
事件、そのままよど号は飛んでいったという。こういうのは
機長の
判断とは相反することだと思う。いわゆる
機長の
判断ということでオーソライズさせていない。だから、今後の対策としては、ハイジャックにあった場合は、この
運航基準に基づくところの
機長の
判断をそれぞれオーソライズできる体制を築くことがまず先決だと私は思う。そういうふうに
考える。だから、これをやらないで、政治的やいろいろな
犯罪捜査やその他の面から
機長の
判断を狂わせるようなことであっては大
事件になると思う。だから、それをやはり貫き通して体制を築いてもらわなければならぬだろうというふうに
一つは
考えます。
それからもう
一つは、オーソライズすると同時に、この
機長の
判断に誤りなからしめるための
情報の提供、手段
方法を尽くすというようなこと。
機長の
判断から
関係機関の協力が求められるような、これまた逆な体制が必要だと思うのですね。これがはたして今回の
事件ではなされたかというと、あまりなされていないですね。幸い皆さんの御尽力によって無事戻ったといえば戻ってまいりましたから、事なきを得たということでありますが、私はそういうふうに思う。だから、
運航基準を中心にした
機長の
判断、権限、こういうものを中心にして、ハイジャックにあった場合の対策は確立されるべきだ、こういうふうに
一つは思うのですが、いかがでしょう。
時間がありませんから、続げて申し上げます。
それからもう
一つ、きのうの本
会議での
答弁でも、
運輸大臣は、ボデーガードというか、
航空保安官というか、こういうものを乗せたらどうかということでありますが、私はあまり効果がないと思うのです。それから
航空機上におけるところの
犯罪に関する条約、これはあとから申し上げますが、あるいはこれもそうですが、乗員室と客室の間のロックの問題でありますが、これもかかる場合においてはあまりきき目がないと思う。しかし、これは当然一般の者が出入りが自由であってはならぬと思うのであります。当然のことでありまして、別にハイジャックがあるからとかなんとかいうことじゃなくて、これは一般的な
運航基準とかそういうものにあるべきだと思う。私は再度申し上げますが、
航空保安官を機内に乗り込ませることについては、一考をわずらわしたいと思う。かえってこれはためにならぬ場合がある。むしろこの際、条約等の
関係もございましょうから、
機長並びに乗員に対して司法警察官あるいは警察吏の職務を行なわせるという権限を持たせる必要がある。これはぜひやらなければならぬ、こう思う。そういうことのほうがむしろ法体系としては正しいのではなかろうか、こういうふうに思う。
それからもう
一つ、これは
お尋ねになりますが、この東京条約に対しての批准がおくれている原因は何だろうということ、これは
航空法を中心にした
国内法の整備がうまくいっていないということでありますが、問題は、これはハイジャックにあまり適用にならない。
犯人を
飛行機からおろす、あるいは外国の官憲に引き渡す、あるいは引き取らなければいかぬというようなことだけであって、ハイジャックにあったときの、その他今回やったような、外国へ行った場合に、乗員と機材と
乗客、そういうものとの
関係は、何も条約には出ていない。だから、やろうとすれば、これはこれからの
国際的な条的、
国際間のいわゆる交渉上において、最近におけるハイジャックの実態をさらに詳細に
調査して、これは
日本国としても提案をすべき時期ではないだろうか。そうすることが、たとえば今回のような未
承認国というか、
国交を回復していない国々との間に対しても、何らかの
方法がもっと簡便にとれはしないか、こういうふうに思うわけです。
あらためて
質問の要点は申し上げませんけれ
ども、先ほど申し上げたように、いわゆるハイジャックにあった場合には、JALの
運航基準、それによる
機長の
判断、こういうものが最高の基準である、それに対して何ものもこれに制肘を加えてはいかぬ、こういうようにオーソライズされることが
一つ。それから
機長の
判断を誤らしめないための
情報提供、手段、そういう協力体制をもっととっておく、こういうのが必要だということを申し上げておく。それから二番目には、保安官の乗務よりは、司法警察官その他の職務を
機長はじめ乗員に与えることが考究さるべきではないか。それから三番目には、東京条約については、先ほど申し上げたように、今回のハイジャックそのものにはあまり効用がないようだけれ
ども、さらに広げていくとするならば、この東京条約批准にあわせて外交上において交渉をさせろ、こういうことであります。以上です。