○井野
委員 簡明に
質問をしたいと思いますが、私は、昨日汽車に乗っておったので
状況を全然知りませんで、けさ上野へ着いて新聞その他を見まして、いまこの乗っ取り
事件について論議されている
内容を
考えてみて、
日本では初めて起こったことでありますが、世界ではもう数え切れないほど、
一つのブームさえ呼びそうなくらい起こっておる犯罪史でございます。ところが、ここで私どもが
考えてみなければならないことは、各国がいかに対処したかという先例があるわけです。その場合、どんなことがあっても
確保しなければならないのは
乗客の生命であります。この前には、いかにくやしかろうと、いかに体面を傷つけられようと、この
旅客の生命を守るということは、一時的にはこの犯罪
行為を肯定せざるを得ないということであります。これは各国がとった姿勢であります。ところが、ただいまの御
質問にも出ましたけれども、小手先の細工をして、しかもそれらがもうすでにこの乗っ取りした集団にキャッチされているという事実。私は、戦争の中でも捕虜を相手国が保障するという国際的な道義が確立されております今日、赤十字社に依頼しようと、あるいは
北鮮側に依頼しようと、ソビエトのあっせんを受けようと、いま
政府やわれわれが腹をきめなければならないことは、一時的にこの
目的を達成させた後、百名の生命を守るということだと思います。そのかまえなしに、いかなる人がソウルへ飛ぼうと、いかなる
交渉をしようと、不信感はますますつのるだけであり、絶望に追い込んだ結果が、この百名の人の生命を守り得なかったときの
責任は一体だれが負うのか。私は、この点にこの
問題の解決の論議を集中しなければならぬと思うのであります。また、国会等においてもそういう姿勢で扱わなければ、私は悔いを残す結果が出ることをおそれるわけであります。十余名の集団者が絶望に立って心中を企てたときのことは、すでに彼らが言明をしておるところでありますから、この点、時間がたてばたつほど危機は増大する、いまの彼らの信頼を取り戻すことはできない、こういう
判断に立つべきだ、こういうことを申し上げたいのであります。ここでいろいろなことを聞いて、彼らをもう一歩何らかの手を通じてこちらの行動に引き入れようとする努力は、猜疑心をますます強めるばかりではないか、こういう気がいたしますので、この機会に、あなたのお答えになることではないかもしれませんが、いやしくもこの運輸
委員会はそういう意向を持って
——解決のただ
一つの道は、
乗客の命を守る、これだけだと思います。この方向に方途ありとするならば、彼らの行動に従って
北鮮側の受け入れ
体制を要請する、これしかないと思います。
あとの今後の
問題をどうするかというようなことをいま議論することは
——新聞を見ますと、政党の大きな
責任者が死刑にせよなんということを言っておるそうでありますが、これはますます絶望に追い込んで、この百名の命を失わせる道だと思います。こういうことがあってはならない、こうも思いますので、国会も運輸
当局も
政府も
意見を一致して、この百名の命を守ることをただ
一つの
問題の解決にする、こういう方向で合意すべきではないか、こう
考えて
質問したいと思うのであります。