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1970-04-01 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月一日(水曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 村山 達雄君    理事 内藤 良平君 理事 宮井 泰良君    理事 和田 春生君       佐藤 孝行君    菅波  茂君       砂田 重民君    西村 英一君       古屋  亨君    増田甲子七君       井野 正揮君    金丸 徳重君       久保 三郎君    斉藤 正男君       渡辺 武三君    田代 文久君       關谷 勝利君  出席国務大臣         運輸大臣臨時代         理       井出一太郎君  出席政府委員         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         海上保安庁長官 河毛 一郎君  委員外出席者         運輸省船舶局首         席船舶検査官  高田  健君         運輸省航空局監         理部長     川上 親人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号)  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第九七号)  航空に関する件(日航機乗っ取りに関する問題  )      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  海上運送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑通告がありますので、これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 日航機乗っ取り問題が起こりまして、運輸省大臣政務次官あるいはお役人の皆さん方、夜を徹してこの乗客無事救出ということに対し御努力していただいておることに対し、冒頭に深く感謝の意を表するとともに、今後なお万全の処置をとっていただきますようにお願いいたしまして、私、海上運送法の一部を改正する法律案質疑をいたしたい、こう思うわけでございます。  今回の改正法案内容というものをいろいろ調査してみたわけでございますが、これは二つの大きなポイントがある。一つは、安全を確保するという問題等からきたところの免許基準という問題、もう一つは、純粋の安全措置を講じていくという内容問題ではないか、このように思うわけでございます。ただ、われわれは一日も早くこういった改正案が出、乗客あるいは自動車というものが安心して航行できるような法的措置を講じなくてはならないということを要望しておったわけでございますが、この要望がある面では実現できたということで賛意を表しております。賛意を表しておりますが、二、三気になる点をお伺いしておきたい、こう思うわけでございます。  今回改正の議が強く起こりましたのは、たしか昨年五月の淡路島での事故等から考えフェリーについてのマニュアルがないということ等から、当局において中心指導していただいたということのように思っておるわけでございます。そこで、そういうマニュアルだけかと思っておりましたところに、免許基準追加といいますか、改正といいますか、こういう問題が出てきたわけでございます。  まず、免許基準追加といいますか、改正といいますかに二つ問題が大きく出てきたと思うのです。一つは、運航管理体制輸送施設管理運営方法等事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること。」ということを免許基準追加するわけですね。それからもう一つは、単に港湾内のみならず、港湾外海上においても、船舶交通の安全に支障を生ずるおそれのないものであることについても免許基準内容とすること、こういうことのようでございます。  最初のほうの「輸送の安全を確保するため適切なものである」ということについてはわかるわけでありますけれども、局長、たとえばこういう場合はどうなるのですか。離島では、今日完全ないろいろな施設ができてない、いわゆる船取りというか、沖取りというか、こういう方法が行なわれております。その場合に、今日ほとんど離島というものが——これはあとからの運航管理規程作成とか運航管理者選任、そういった問題のときにも関連してくるわけですが、新しく免許を申請してきた、それは離島である、そういう施設はできてないという場合に、この新しい免許基準改正の中にどう取り扱うかということ。それからあとの場合は、管理規程作成してくる、運輸大臣がこれに対し改廃、修正その他を命ずることができるということになっておりますが、現在の会社に対する問題と新しい免許の場合に対する問題、これを離島という問題についてどのように今回の改正との関連をお考えになっておるかということについて、まず承りたいと思います。
  4. 澤雄次

    澤政府委員 ただいまの御質問は、今回の安全規定と、離島その他港の整備していない地域との関連であると思いますが、現在でも離島、式根島、御蔵島あるいは鹿児島の十島村、三島村、こういったところでは、港が整備しておりませんので、御指摘のようにはしけ取りをいたしております。しかし、これらにつきましても、そのはしけ取り管理が十分に船会社が把握し、また責任体制がはっきりしているという場合で、運輸省から見ましてこれは安全であるという場合には、これを現在と同じように許可をしてまいりたい。これは利用者の利便との結局相対的関係問題であると思いますが、はしけ取りでも管理を十分にやれるという見込みが立った場合には、これを許可してまいりたい、こう思っております。  それから管理規程でございますが、管理規程は、これは会社がつくるものでございまして、それが一定基準に達しておれば、運輸省としてはそれは認めるというものでございますので、その航路航路の実情に即して運用をしてまいりたい、このように考えております。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 その場合に、局長さん、今回のこの改正というのは、私一番最初に申し上げましたように、フェリーの中におる自動車が十分にとびらがおりないうちに飛び出すとか、あるいは歯どめを自分ではずして出るとかいう問題で、淡路島でああいう問題、いわゆる死亡事故等を含む問題等まで出てきたから、改正せられた。私たちは、いまはしけ取りというか、沖取りで非常にこわい、あぶないおり方を見たり経験したりしておるわけです。もしこのときに死者が出るとか重傷者が出るというようなケースが起こった場合——起こっては困ることですよ。起こっては困ることですが、起きた場合でも、いまおっしゃいました考え方というものはそのまま持って、今後の運営指導をしていかれるというように確認してもよろしいですか、どうですか。
  6. 澤雄次

    澤政府委員 離島にはどうしても交通船が行かないとどうにもしようがないわけでございまして、運輸省としては、港湾整備を大いにやるべきではございますが、それができるまでの間、やはりどうしてもはしけでないと旅客乗降ができないという場合には、これはやむを得ないものではないかと思います。ただ、その乗降方法はしけ管理その他については厳重に監督をしながら、これを続けるということはやむを得ないのではないか、このように考えます。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 わかりました。私たちが心配しておりますのは、ややもすると離島航路というものは赤字である、やめたいという空気がたくさん出てきておる。そういう場合に、これではできない、安全の確保責任も持てないということになってきますと、さあどうするかという問題で、将来起こってきた場合の問題——もちろんこの改正の主たるねらいというものは、いろいろ法律に書いてあるとおりでありますけれども、私は、フェリー安全確保という問題と、フェリーのその他のいわゆる離島でないものの免許基準というように解釈しております。離島問題についてのいろいろな問題はありますが、単に免許問題とか運航管理規程だけの問題じゃないと思います。ひとつ、いまおっしゃいましたような趣旨と港湾局長も御指摘のようでございますが、港湾局ともよく相談していただいて、離島住民の足の確保、これは内地におけるところの鉄道とか国道と同じものに匹敵するのがこの離島航路である。この法改正をすることによって、少し危惧の念を離島住民等が持つようになった場合のことを考えて、念を押したわけでございます。  その次に、免許基準の二番目といたしまして、港湾内のみならず、港湾外海上においても、船舶交通の安全に支障を生ずるおそれのないものであることについても免許基準内容とするが、これの判断海運局がするのでしょうか、海上保安庁がするのでしょうかというのが一点。  その次は、私は、これはおそらく狭水道とか船舶のふくそうしておる地帯をさして言われておるのではないかと思うわけでございますけれども、いままで、この免許基準の中に、いまの内容というのは少しは加味しておったのではないかと思うのですけれども、これを法定化しただけなのか、それとも新しいねらいと目的があるのかということでございます。
  8. 澤雄次

    澤政府委員 ただいま先生指摘のように、従来は、海上保安庁の意向を聞いて実施いたしておりましたわけでございますが、これを法律に明定することによりまして、必ず海上保安庁意見を聞く、こういうふうにいたしたいということでございます。判断責任者運輸大臣あるいは海運局長でございますが、その判断をする前に海上保安庁その他関係者意見を聞くということでございます。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 その場合、私は、その免許基準というのは非常にあいまいであると思うのです。こういう状態を表現されておりますね。「港湾外海上においても船舶交通の安全に支障を生ずるおそれのないものであることについても」いわゆる運輸大臣情勢判断の分析のしかたで、たとえば一定の水域に一時間何隻以上の船が通るし、その場合でも、漁船を含み大型船舶等いろいろな状況がありますね。海上保安庁立場判定のしかたというものと、海運局判定のしかたというものは、いろいろ違うと思うのです。ましてや、こういう海上交通がふくそうするような地帯であればあるほど、そういう申請というものはたくさん出てくると思うわけです。いま申し上げた離島とか、もうからぬところは、だれだってやりたくない。ところが、そんなにふくそうする地帯というのは、人口も稠密で、産業もあるし、いろいろな問題等があるので、たくさん出てくる。こういう問題に対する判断のしかたが非常にあいまいになるのではないかと思う。したがって、これに対するよりきびしい精密な解釈のしかたというものはないのでしょうか。支障を生ずるおそれがないとはこういう程度のものであるとか——これは一般常識社会通念で片づけるのだというのでは、少なくとも免許基準改正するものとしてはあいまいだと思うわけですが、それに対してはどうなんですか。
  10. 澤雄次

    澤政府委員 海上の場合には、具体的な基準をつくりまして、たとえば先生指摘のような、一時間に何隻以上の船が通る場合はいけないとか、そういう具体的基準はなかなか定めにくいのではないかと思います。これは航空機その他の場合には国が管制をやっておりますので、この基準以上の場合には飛行機を飛ばさないということができるわけでございますが、海上の場合は何ぶん海域も広うございますし、具体的な基準はなかなかむずかしいのではないか。やはり海上保安庁、また地元の海上保安本部責任者判断を一番参考にして運輸大臣が具体的にきめるべきではないだろうか、このように考えます。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 いま局長さんがおっしゃいましたが、海上保安庁出先海運局出先判断だけというところに、いわゆる権力を持つ人に対して、国民というか、そういう人は非常な危惧の念を持ってくるわけなんです。いわゆる個人の主観が入ってくるということが一番懸念されるわけです。政府免許許可事業は、私の考え方としては、なるべく細目にわたって法定化しておくほうがいいのではないか、それが行政としては明朗になるという立場なんです。行政官であるから公正無私な判断でいくから心配ないということなら、国家公務員全員完全無欠な人であるというのと同じことになるわけでございますが、ときどきそうでもないケース等——これは海運局ではないんですよ。週刊誌新聞等をにぎわすこと等が出てくるわけでございますので、私の持論というのは、なるべくそういうものに対する一定基準を設ける場合には、明確にし、細分化し、それを法定化しておくということで、同時に為政者や行政官の恣意が入らないということにするほうがいいのではないかということです。あとからこの運航管理関係についてもその意見を申し上げてみたいと思いますが、そういうところに問題があるわけでございます。  そこで、もう一度繰り返して申し上げますが、この船舶交通安全体制という問題については、ほんとうにこれはむずかしいと思うのです。大型船や大きいタンカーが一日に一回でも二回でも入ってきたりしたら、一定の時期になりましたらたくさんの漁船が漁に入り、いろいろな漁業海域というものがあるわけでありますから、その間を縫ってやるということもむずかしいわけでございますので、この問題については、変な乱用がされないようにくれぐれもよろしくお願いいたしておきます。  それから次の運航管理規程作成運航管理者選任ということは、これで大体いいと思います。ぜひ一日も早くこういうことをやって、国民が安心して乗れる船会社にしてもらいたい。こういう点についてはいいと思いますが、ただ、ここで私一点だけ承っておきたいのは、一般旅客等に対して、旅客の安全を害するおそれのある行為禁止規定を加えるわけですね。特に頭にきておるのは、最初に申し上げた日航機の乗っ取り事件等が起きたことですが、船内の秩序維持問題については、船員法とかいろいろな問題がありまして、船長権限というものが明確にされておるわけでございますけれども、まず「旅客の安全を害するおそれのある行為」というのは、どういうようにお考えですか。どういう行為とどういう行為というようにお考えになっておられるのですか。
  12. 澤雄次

    澤政府委員 現在考えておりますことは、類似鉄道営業法その他にもございますが、他の類似法令等参考にいたしまして、海運特殊性を加味して考えておりますが、一つは、みだりに船舶内の立ち入り禁止場所に立ち入らないこと、たとえば船長指揮をとっているブリッジに入らないこと、それからカーフェリーなどは可燃性のガソリンを自動車に積んでおりますので、禁煙の場所において喫煙をすることは最も危険でございますので、それを禁止したい、それから平常時に非常口、非常用の警報装置その他のものを最近いたずらする旅客が残念ながら多くなっておりますので、これを禁止したい、それから乗下船、特に自動車の乗下船については、会社側あるいは船長指揮に従う、それから石、ガラスびん、金属その他のものを船舶に向かって投げたり、発射したりしてはいけない、大体以上のようなことを考えております。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 管理部長が準備できたらしゅうございますので、私これで質問を終わりますが、先ほど申し上げましたような点につきまして、くれぐれもよろしくお願いいたします。  ただ、省令で定めるものに対しては、正式に委員会にかける必要はないのですが、われわれの意見等も、今後各委員からも活発な質疑等も出てくると思いますが、そういうものも十分参考にせられまして、ひとつ安心して国民が乗れる運航確保できるように、よろしく御指導を賜わるようお願いいたしまして、私の質問を終わります。     —————————————
  14. 福井勇

    福井委員長 この際、委員長から委員各位に御報告いたしておきます。  橋本運輸大臣日航機乗っ取り事件について本日韓国に行かれることになりましたので、井出郵政大臣運輸大臣臨時代理として指定されましたので、御報告いたしておきます。      ————◇—————
  15. 福井勇

    福井委員長 この際、航空に関する件について調査を進めます。  日航機乗っ取りに関する問題について質疑通告がありますので、これを許します。宮井泰良君。
  16. 宮井泰良

    宮井委員 昨日、当委員会におきましても、日航機乗っ取り事件につきまして、真剣な善後策に関する質疑が行なわれたわけでございますが、その後情勢が悪化してまいりまして、私の知る範囲では、現在北鮮へ出発のめどがまだついていないという時点で、私は質問をするわけでございますが、わが党といたしましても、緊急に昨日の時点におきまして議員を派遣いたしまして、空港においていろいろと空港長とも話し合い善後策を講じてまいりましたが、二度、三度とこのような事故が起きないように、そういった面も含めて、現時点問題と、そして今後このような事故が起きたときに対する対策という面を特にお尋ねしたいと思います。  ただいま委員長からの報告もございましたとおり、運輸大臣韓国に派遣される、これは私も、韓国におきましては大統領が率先してこの問題に取り組んでおります点から見ましても、当然であろうと思います。そういった点で、運輸大臣に私が要望したいことは、昨日の時点におきまして、空港において三者の会談が行なわれたわけでございまして、空港長あるいは日本航空関係者、それから警察関係者話し合いが行なわれて、あるいはそのときに出ました意見は、飛行機車輪空気を抜くとか、あるいは飛行機外部から操作をさせて発進のときに注意の赤ランプをつけるとか、あるいは機体の一部に発火させるとか、いろんな意見が出ましたが、結局それは全部実行されなかったわけでございます。それは私は、これは私の意見でございますが、その三者の意見が固まっていなかったのじゃないか、このように見るわけでございまして、今回運輸大臣が行かれましての韓国における交渉におきましては、もちろんそれだけの対応策を持って行かれると思いますが、今度は三国の交渉になってくる。日本韓国北鮮、この三国間におきまして、そういった検討を真剣に、手抜かりのない話し合いができるかどうか、やっていただきたい要望と、そしてその点を十分勘案して出発されるか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  17. 川上親人

    川上説明員 日航機乗っ取り事件につきまして、金浦空港に着きまして以来のその後の経緯につきまして、ごく簡単にまず御報告申し上げたいと思います。  昨三月三十一日の十五時十八分に、金浦空港日航機よど号が着陸いたしたわけでございます。乗員は、もうすでに御承知のとおりに、乗客乗員を含めまして百十五名でございます。今朝八時現在までの時点におきまして、一名も救出されておりません。  なお、この飛行機は、テレビその他で御承知のとおり、この金浦空港滑走路南東端に、車輪滑走路をはずれた状態でとまったままでございます。  で、その後の救出についての折衝模様でございますが、韓国当局は非常に全力をあげて協力をしておられるわけでございます。夜を徹しての乗員並びに乗客救出説得につとめておられたわけでございます。たとえば乗っ取り犯人に対して、乗客を無事に降機させてくれるならば、犯人に行動の自由を保障するということまで言って、折衝をしておるわけでございますけれども、奏功しておりません。また、金山大使、それから日本大使館もその説得に鋭意つとめてきたわけでございます。  航空機気密状態でございますので、酸素の補給その他を随時行なわなければなりませんので、酸素、食料、飲料水等を補給いたしまして、今朝までの段階におきまして、疲労度はそれぞれかなりはなはだしいと思われるのでございますけれども、健康状態につきましては、乗客健康状態についても一応異状がないというような状況でございます。  このような緊急事態に対処いたしまして、昨日政務次官を長といたしまして、航空局から技術部長総務課長外務省からアジア局参事官、それから北東アジア課の課員、警察庁から警備局参事官、公安二課長、七名をもって構成いたしましたグループを日航特別機をもって韓国に派遣いたしたわけでございます。この特別機は二十三時三十八分に羽田を出まして、板付を経由いたしまして、今朝三時二分に金浦空港に到着をいたしております。その後、金山大使とも協議をいたし、また現場におきまして、タワーを通じて、航空機に対するいろいろな説得につとめておられるというようなことの報告を受けておる次第でございます。  これが今朝までの経過でございますが、これにつきまして、先ほど先生からもお話がございましたように、大臣直接韓国に行かれるということが決定されました。  大臣の一行のメンバーといたしましては、運輸省官房長外務省アジア局長運輸省航空局審議官を含めました六名の方々でありまして、航空局にございますYS11JA8720号機をもって、十一時三十分に韓国へ向けて出発されるということがいまきまっておるわけでございます。救出のために大臣直接おいでになられて万全を尽くされると思うわけでございます。また、韓国政府のいままでの全面的な協力に対する日本政府としての感謝の意をもあわせて表明されるというふうに、私伺っておるわけでございます。  この事件に対する防止対策といたしまして、一応当面の問題として四つの点が提案されておるわけでございます。  第一は、空港の内外における警備強化ということでございます。これにつきましては、警察庁におきまして実行可能な限り早急にその体制に入るという返事を私どもちょうだいしているわけでございますが、なお、手荷物の検査の強化操縦室と客室との間を隔離する、この問題につきましては、航空事業者に指示をいたしまして、それぞれの対策をとらせることにいたしておるような次第でございます。  きわめて簡単ですが、これで終わります。
  18. 宮井泰良

    宮井委員 現在までの場合は、いろいろ世界におきましても事故が起きておりますが、犯人目的地に着けば大体釈放しておるわけでございます。そういった点で、北鮮に行くということが、機内の人命を守るという意味におきまして、北鮮への交渉が現段階においては可能なのかどうか。発砲その他の危険等もございますが、日赤あるいはソ連を通じて交渉をしておるということでございますけれども、その点の判断をお聞きしたいと思います。
  19. 川上親人

    川上説明員 ただいまの御質問について、直接私どもが御答弁申し上げる立場ではあるいはないかと存じます。昨日来、外務省中心となりまして、日赤、それからNHK、その他またソビエトを通じて、北鮮に対するいろいろなアプローチをされているように聞いておりますけれども、それに対する北鮮側の回答は、いまだ必ずしも明確でないように伺っております。
  20. 宮井泰良

    宮井委員 それでは、そういった問題に対しましては質問が無理かと思いますので、私は、二度、三度起きないようにここでただしておきたいことは、こういった事件が起きた場合の緊急事態、墜落でありますとか、火災でありますとか、そういった場合には、保安条例処理規定というものがあるわけでございますが、このような乗っ取り事件等もこの保安条例処理規定の中に入れるべきである、このように考えるわけでありますが、この点はいかがですか。
  21. 川上親人

    川上説明員 今後の問題につきましては、現在鋭意検討中でございます。実施可能なものから逐次さっそくにも手をつけてまいりたいと考えております。各般にわたりまして対策をいま検討しているところでございます。
  22. 宮井泰良

    宮井委員 それではもう一点。昨日の時点におきましては、飛行機の故障を外部から与えるというような権限運輸省当局においてはないと私は聞いております。航空会社に対して損害を与える発言力がない、そのような点が今後の問題になると思うわけでございますが、そういった点も勘案していただきたい。このようなことは、現時点で答えられるだけでけっこうでございますが、お聞きいたします。
  23. 川上親人

    川上説明員 ただいまの先生の御質問の御趣旨、ちょっとはっきりしなかったのでございますが……。
  24. 宮井泰良

    宮井委員 航空機に、たとえば発火をさして、故障であるという印象を犯人に与える。航空会社にその場合は損害を与えるわけなんです、機体とか車輪に。そういった場合に、運輸省として、関係当局としてそれだけの権限が与えられているのかどうかということです。
  25. 川上親人

    川上説明員 ただいまの御質問の点につきましては、実際のアクションをとることにおきまして、権限以前の問題といいますか、むしろ現時点としては最善の対策であるという場合にとるべき一つの手段であるならば、そのようなことを行政指導として行なうことは考えられると思うのでございます。権限という問題と直接われわれかかわらない問題として処理できるとも考えております。
  26. 宮井泰良

    宮井委員 それじゃ、時間がありませんので、最後に、質問といいますか、あるいは要望を申し上げまして、私の緊急質問を終わります。  きのうの時点におきまして、いろいろな警察あるいは空港長等の今後の善後策というものが、全部テレビニュースによりまして報道されておったわけでございまして、それは犯人にも全部筒抜けになっておるということでございまして、その点ある程度規制できないものかどうか。誘拐犯人にいろんな捜査の方法を教えていくような事態になる。そういった点も勘案していただきたい。  あるいは南米等におきましては、航空機の中に柔道師というような柔道の練達者を乗せておる、そうしてそういった犯人に対して対処できるようにしておるということを聞いております。まあ列車等におきましては公安官を常時乗車さしておるというような観点からしましても、今後航空機内にそのような保安的な警備員を乗せるという方向でひとつ検討を強力に進めていただきたい、この点を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  27. 福井勇

    福井委員長 井野正揮君。
  28. 井野正揮

    ○井野委員 簡明に質問をしたいと思いますが、私は、昨日汽車に乗っておったので状況を全然知りませんで、けさ上野へ着いて新聞その他を見まして、いまこの乗っ取り事件について論議されている内容考えてみて、日本では初めて起こったことでありますが、世界ではもう数え切れないほど、一つのブームさえ呼びそうなくらい起こっておる犯罪史でございます。ところが、ここで私どもが考えてみなければならないことは、各国がいかに対処したかという先例があるわけです。その場合、どんなことがあっても確保しなければならないのは乗客の生命であります。この前には、いかにくやしかろうと、いかに体面を傷つけられようと、この旅客の生命を守るということは、一時的にはこの犯罪行為を肯定せざるを得ないということであります。これは各国がとった姿勢であります。ところが、ただいまの御質問にも出ましたけれども、小手先の細工をして、しかもそれらがもうすでにこの乗っ取りした集団にキャッチされているという事実。私は、戦争の中でも捕虜を相手国が保障するという国際的な道義が確立されております今日、赤十字社に依頼しようと、あるいは北鮮側に依頼しようと、ソビエトのあっせんを受けようと、いま政府やわれわれが腹をきめなければならないことは、一時的にこの目的を達成させた後、百名の生命を守るということだと思います。そのかまえなしに、いかなる人がソウルへ飛ぼうと、いかなる交渉をしようと、不信感はますますつのるだけであり、絶望に追い込んだ結果が、この百名の人の生命を守り得なかったときの責任は一体だれが負うのか。私は、この点にこの問題の解決の論議を集中しなければならぬと思うのであります。また、国会等においてもそういう姿勢で扱わなければ、私は悔いを残す結果が出ることをおそれるわけであります。十余名の集団者が絶望に立って心中を企てたときのことは、すでに彼らが言明をしておるところでありますから、この点、時間がたてばたつほど危機は増大する、いまの彼らの信頼を取り戻すことはできない、こういう判断に立つべきだ、こういうことを申し上げたいのであります。ここでいろいろなことを聞いて、彼らをもう一歩何らかの手を通じてこちらの行動に引き入れようとする努力は、猜疑心をますます強めるばかりではないか、こういう気がいたしますので、この機会に、あなたのお答えになることではないかもしれませんが、いやしくもこの運輸委員会はそういう意向を持って——解決のただ一つの道は、乗客の命を守る、これだけだと思います。この方向に方途ありとするならば、彼らの行動に従って北鮮側の受け入れ体制を要請する、これしかないと思います。あとの今後の問題をどうするかというようなことをいま議論することは——新聞を見ますと、政党の大きな責任者が死刑にせよなんということを言っておるそうでありますが、これはますます絶望に追い込んで、この百名の命を失わせる道だと思います。こういうことがあってはならない、こうも思いますので、国会も運輸当局政府意見を一致して、この百名の命を守ることをただ一つ問題の解決にする、こういう方向で合意すべきではないか、こう考え質問したいと思うのであります。
  29. 川上親人

    川上説明員 先生のただいま言われました御趣旨のとおりでございます。百十五人の人命の安全という点を第一に、すべてそれだけに重点を置きまして最善の対策を講ずる、こういう方針でいま進めているわけでございます。
  30. 井野正揮

    ○井野委員 その場合に、生命を救うから百人をおろせということは、これは相手は信用しませんよ。したがって、百名と十四名が一緒に目的地へ立った後でないと——そこで、国際的に赤十字法に基づいてこの生命の保障を、たとえ国交が回復していなくとも、戦争中ですらその保障をしなければならぬという国際条約があるわけでありますから——捕虜と思ってもしかたがないと思うのです。そういう立場でやるべきだということを私は強く主張いたしておきたいと思います。  終わります。      ————◇—————
  31. 福井勇

    福井委員長 引き続き海上運送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑を許します。斉藤正男君。
  32. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は、海上運送法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたす前に、本委員会の運営について、委員長に一言お伺いと要望を申し上げたい。  ただいま問題になりましたけれども、日航機乗っ取り事件につきましては、少なくも国会においては本運輸委員会がその責任を負うべき国民的な立場に立っている。そこで、私どもは、きょうの冒頭に当局から現状の説明があり、対処の具体策が提示をされ、これに対し各委員から質疑がなされるということを予想し、それが当然だと思ったわけであります。何の都合か知らぬけれども、一度海上運送法質問に入り、そして臨時大臣の任命が行なわれた時間がどうか知りませんけれども、途中で質疑に答える意味で当局の説明があったというような態度は、これは許されない。私は、どうも本委員会の運営についていままでも若干の疑惑を持っておりましたけれども、これは一体官側の態勢が整備できないためにこういう日程になったのか、あるいはどういうことで一体こんなちぐはぐな、しかも当面最重点と思われる問題について二番目、三番目に回さなければならないというような事態になったのか、この点、委員長から明確なお答えを願いたい。
  33. 福井勇

    福井委員長 理事会において皆さんの御了解の上に順序を進めてきましたので、斉藤委員のいろいろな御注意については、今後十分参考にして対処をいたしたいと思います。
  34. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 理事会の決定がまあ最高でございましょうから了とはいたしますけれども、しかし、やはり運輸委員全体がきょう冒頭この説明を求めたいという気持ちは、少なくも国の最高の機関として、私どもが国民の名においてやはり知りたかったわけなんです。こういう点につきましては、今後官側の態勢がいかんであれ、当然委員長の職権として善処をお願いをいたしたい。官側の態勢に振り回されて当委員会の運営が左右されるというようなことにつきましては、全く本末転倒であり、承服できませんので、要望をいたしておきます。  本論に入ります。  海上運送法の一部改正でございますけれども、従来からいろいろ論議をされ、本委員会にようやく提示をされてまいりました。しかし、今度の改正のうちで、特に免許基準改正にあたりまして、従来も何項目かありまして、その基準を定めておりました。今回さらにその基準にプラスをいたしまして、基準強化といいますか、拡大といいますか、適正化をはかった、こういうことでありますけれども、私がまず伺いたいことは、海上交通のふくそう化、特にフェリーボートの大型化あるいはスピード化あるいは申請許可を含めた航路線の多様化等々に関連をし、具体的に最も重要であったこの免許基準改正内容、なぜそういうことをしなければならなかったのかというようなことについて、特に第一点として、免許基準強化拡充するその理由をお伺いいたしたいと思います。
  35. 澤雄次

    澤政府委員 お答え申し上げます。  免許基準改正の第一点は、当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであるということでございます。これは現在でも免許基準の第二号によりまして、輸送施設その他係留施設船舶等が当該航路の自然的性質に合っていたかどうかという面で、安全の点を見ておったわけでございますけれども、特にそれらの運用をどうするかという会社の計画を確実に把握しようということが改正の第一点でございます。  それから第二点は、従前港の中における船舶交通の安全に支障を生ずるかどうかということだけを免許基準で調べておったわけでございますが、先生指摘のように、最近特にカーフェリーがたくさん出てまいりまして、港湾内だけでなく、その途中の航路における安全性ということも、運輸省としてよく把握しなければ危険があるということで、こういう改正をお願い申し上げておるわけでございます。
  36. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 この点は理解をするところでありまして、むしろおそきに失したというくらいに実は思っておる一人でありますけれども、免許基準のうち、輸送施設及び事業計画の安全に関する基準は、旅客の不定期航路事業許可についてもこれを準用するという項目がございまして、いわゆる不定期といったようなものが、この基準の部分的なものについては準用をされるようになっております。  そこで、私は、わが国の海上運送の中で、定期航路というものが一体どの程度あって、不定期航路というものがどのくらいあるのか。これは航路線の数でけっこうでございますけれども、まず、その定期航路と不定期航路の現状について伺いたいと思います。
  37. 澤雄次

    澤政府委員 現在、定期航路は九百九十九ございまして、不定期航路は八百二という航路数でございます。ただし、船の大きさその他は、もちろん定期のほうが断然大きいという実情でございます。
  38. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 定期航路において九百九十九航路、不定期八百二航路ということで、ほぼ定期と不定期が半々というような状態であることを伺いました。一体、これらの定期九百九十九航路、不定期八百二航路の経営者の数はどんなぐあいになっておりましょうか。
  39. 澤雄次

    澤政府委員 ただいまの九百九十九航路の経営者の数は六百九十六でございます。それから八百二の不定期航路の経営者の数は五百六十一でございます。
  40. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで、若干伺いたいと思うわけでございますけれども、この不定期五百六十一社ですか、八百二航路といったようなものの内容はどんなものでございましょうか。定期九百九十九航路、六百九十六社につきましては、私どもは常識的に判断できるし、想像できるわけでありますけれども、不定期航路の八百二航路、そして五百六十一社、一体どういう仕事をどういう時期にやっている業者であり、航路であるのか、伺いたいと思います。
  41. 澤雄次

    澤政府委員 御承知のように、定期航路は、スケジュールをきめ、それから運賃を公示いたしまして、不特定多数の旅客を搭載するものでございます。不定期航路は、これも御承知のように、スケジュールを必ずしも公示せず、また運賃も、不特定多数の場合には運賃を認可いたしますが、必ずしも運賃を公示していないということで、季節的に航路事業を行なうというものが大部分でございます。
  42. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで、定期航路にしろ不定期航路にしろ、運賃を取り、人を乗せて走る、あるいは貨物を乗せて走るというような船——貨物は別といたしましても、人を乗せて走る船というのは、トン数できまるのか、あるいは縦、横、長さできまるのか、乗せる人間の数できまるのか、その基準は一体どうなっておりますか。
  43. 澤雄次

    澤政府委員 いわゆる旅客船といっておりますのは、法律上これは海上運送法の第二条にも規定してございますが、「十三人以上の旅客定員を有する船舶」を旅客船と申しております。これは船舶安全法あるいは国際的な海上人命安全条約というものから、このような規定がなされているわけでございます。
  44. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 十三人乗せれば旅客船である、十二人乗せれば旅客船ではないという、その十三人という割り出し方というのは、外国の実情もそうだ、あるいは船舶安全法からいってもそういう規定がある。船舶安全法はやはり十三人というような国際的な慣習から受けて立っていると思うのですが、その外国の十三人以上乗せるものが旅客船だという規定は、どこから出たのでありましょうか。
  45. 澤雄次

    澤政府委員 ただいま申し上げましたように、海上人命安全条約、通称SOLAS条約と申しておりますが、これによってきめられております。
  46. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 どうも私には、十三人以上乗せれば旅客船であり、十二人までなら旅客船ではない、法の範囲から免除されるということが理解できないわけでございまして、たとえば十五人以上乗せる船だけれども、十二人しか乗ってなかったという場合は旅客船でないのか。もちろん旅客船としての規格が与えられ、法の適用を受けているから、それは一人乗っておっても旅客船だということであろうと思うのでありますが、逆に十二人以上乗っちゃいけない船に十三人乗ったという場合も、それは違法だといってきめつけるだけであって、全く十二人以下の船については、本法はもちろん、その他の取り締まりの対象にならないということなのか。私しろうとでございますけれども、教えてください。
  47. 澤雄次

    澤政府委員 ただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、十三人以上というのは、旅客定員、これは船舶安全法に基づきまして検査を受けたとき与えられた旅客定員が十三人以上あれば旅客船でございます。これは一人乗っておっても二人乗っておっても旅客船でございます。それから十三人以上の定員のない船に十五人あるいは二十人乗せた場合には、これは船舶安全法違反あるいは海上運送法違反として処罰の対象になるわけでございます。
  48. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 どうもこの辺が少し私には理解できないところでありますけれども、まあそれはそれとしてよろしゅうございます。  そこで、現実に数多くある問題として、不定期航路の申請も、許可もやはり定期航路に準じて行なわれておるわけでございますけれども、たとえば夏季のシーズンに海水浴場等々で——日常はカキやノリの養殖に使う船だ。櫓やかいももちろんある。しかし、今日ではいわゆる船外機があまねく普及をいたしております。この発動機をつけることによって、日常はカキやノリの養殖に使っている伝馬船のようなものであっても、十三人以上乗せて、季節的には不定期旅客船のような仕事をしている船が、現実には数多くあるわけであります。これを一体運輸省としてはチェックできているのかどうか。あるいはこういう業者がもぐりでなくて、正式な手続をとり遊覧とかあるいは海水浴場への渡船的な役目とかを金銭を取ってやっているというような場合のチェックの方法は、どのようになされておられるのか。旅客船とは十三人以上乗せる定期航路と不定期航路があるという規定から伺ってみたいと思うわけです。
  49. 澤雄次

    澤政府委員 十三人以上の定員を持っていない船、これは旅客を乗せる船というよりは、櫓、かいで運転する船あるいはカキ船、ノリ船というようなものが、先生のおっしゃった船には多いかと思いますが、これらは海上運送法上は法規制の対象になっておりませんし、国においてそういう行為を取り締まるということは、事実問題としてなかなか不可能でございます。これは海上保安庁なりあるいは地方自治体の警察にお願いして、危険防止を取り締まっていただくという以外にやむを得ないのではないだろうか、このように存じます。
  50. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 ここでもう少し現実に数ある問題でございますので、伺わなければならぬわけでありますけれども、船には、家庭用ボートというのがあるかどうか知りませんけれども、個人が使うボートは別といたしまして、カキなりノリなりの養殖に使っている船等について、船籍というものがございますね。この船籍を交付する際、使用目的あるいはトン数あるいは定員等々によって、自動車にも小型あり、中型あり、大型ありというように型があると思うのですけれども、この船籍交付の際、一体チェックできる船の能力、性能といったものは何と何でございますか。
  51. 高田健

    ○高田説明員 お答えいたします。  船籍票交付のときは、船の大きさ、長さ、幅、深さ、それからそれに基づきます積量、普通トン数と申しておりますこれ、それからエンジンつきであるかないか、その程度でございます。
  52. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで、使用目的はもちろん申請書類の中にあると思うのです。荷物の運搬とかあるいは水上作業のためとかいうようなことがあると思うのですけれども、申請の主たる目的はそうであっても、季節的にこれを不定期航路のような形で人を運ぶために運賃を取って使うということが、実例としてはたくさんあるわけなんです。そうすると、何トン以上なら何人まで乗せていいという内規か何か規定みたいなものがございますか。
  53. 高田健

    ○高田説明員 定員の与え方は、客席に充てます場合の面積、小型の船舶でございますと、特にその面積を主体として計算をいたしております。ですから、おおよそどのくらいの船にはどの程度の定員がとれるというおおよその見当がございますけれども、こまかくなりますと、一人多かったり少なかったりということで、一がいには申せませんというのが実情でございます。
  54. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は、最近二、三件発生いたしましたフェリーボートの事故等々、まことに不幸なことであり、今後こういうような法改正によってそういうものが絶滅をされていくことを期待するものでありますけれども、とかく、たとえばいま私が申し上げましたような季節的な海水浴場なり観光地のもぐりの旅客運搬といったようなことから起きた事故は、後ほど調べてみると、これが全く無届けであり、不法な運航であったというような例が多過ぎると思うのです。ほとんどそうだと言っても言い過ぎではない。その際、あれは無届けだった、不法な就航だったということだけで片づけられたのでは、これを好むと好まざるとにかかわらず利用せざるを得ない国民立場に立ちますと、何か責任の所在につき、乗せたものが悪い、あんなものに乗ったものが運が悪かったということだけで片づけられていくおそれがあると思うのです。     〔村山委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、先ほどの御答弁によれば、これは地方自治体あるいは警察のごやっかいにならなければチェックの方法がないということでございまして、運輸省としてまことに始末の悪いゲリラ部隊みたいなように聞こえますけれども、はたしてそれだけでいいのかどうか、私は疑問なのでありますが、こうした問題につきまして、局長もう一度運輸省として対処のしかたがないのか、どうなのか、明快にお答えを願いたいと思います。
  55. 澤雄次

    澤政府委員 旅客船につきましては、五トン以上については船舶安全法、それから船舶職員法、船員法等の規定が適用になりまして、その面からの国の規制が行なわれるわけでございます。五トン未満のものにつきましては、これは地方自治体が船舶の安全に関する条例その他で取り締まるたてまえになっております。たえまえと申し上げますのは、そのような条例をつくっている府県が非常に少ないということでございまして、先生のおっしゃるように、一つの盲点ではあると思います。ただ、そのような船はもう無数に全国にあるわけでございまして、国の直接の規制の対象あるいは国の行政としての把握が事実上困難である、事実上むずかしいということでございまして、先生おっしゃいますように、国がこれを何らか規制できるものであれば規制をすることも考えられると思います。現状では、こういうカキ船、ノリ船というものは全国無数にあるわけでございまして、法をもってたとえ立法いたしましてこれを許可の対象にしても、その法律の施行が完全には行なわれないのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。それで、やはり河川、湖沼におきましては警察、あるいは海上におきましては海上保安庁のそのつどの取り締まりにお願いするということ以外はやむを得ないのではないだろうかというふうに考えます。先生のおっしゃいますように、まことにこれは盲点でございます。
  56. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 いまお答えをいただきましたように、五トン未満につきましては地方自治体の条例で規制をするというたてまえでありますね。この場合、県条例によるのか、市町村条例によるのかという点は、いかがでございましょうか。
  57. 高田健

    ○高田説明員 船舶安全法によりまして、都道府県知事がその規則をつくることができるようになっております。したがって条例であります。
  58. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほど局長の答弁を伺いますと、残念ながら都道府県条例の制定もまだ十分でないというお話でございました。しかし、先ほどの十三人以上の定員がいわゆる旅客船としての範囲だというお話等も含め、私ども日本は海国日本であり、河川の日本であり、湖沼の日本であるわけなんで、どこの都道府県にも海がなければ湖がある、川があるということで、この十三人未満の船を使って、しかも金を取り人を運んでいるというのは枚挙にいとまがないと思うわけであります。しかも、事故はとかくこういう種類の船に多いということから考えますれば、やはり船舶行政の中でこの盲点は、一日も早く改められるべきものだというように考えざるを得ないわけでありますので、ぜひこの点は各都道府県に対する行政指導を本法改正を機会にさらにひとつ強めていただきたいと思うわけでありますけれども、局長の見解はいかがでありましょうか。
  59. 澤雄次

    澤政府委員 先生おっしゃいますように、各都道府県に対しまして、国が規制している以外の船について、も同じような趣旨で規制をしていくように通達をいたしたいと思います。
  60. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 続いてお尋ねをいたしますけれども、事業計画の変更の認可について免許基準を準用すべきことを明確にするということで、事業計画の変更の内容は、たとえば船が小さ過ぎるから大きくせいとか、あるいは内容の設備が悪いからこういうように改めろとか、あるいは発着の時間、これはスピード等にも関係がありますが、こういうものを法律によって指示することができるというような変更になるようであります。この点につきましては、これは当然なことで、経営者サイドで考えている効率的な旅客船のあり方というものもわかりますけれども、要するに、これは乗客本位でなければならぬ、言うならば、国民本位でなければならぬというように考えておる私といたしましては、この事業計画の変更の認可は、法に明らかにされた以上、ぴしぴし行なわれるべきだ、しかもそれは国民立場に立って行なわれるべきだと考えます。しかし、コマーシャルベースでいけば、経営者にはある程度の抵抗も当然予想されるわけでありますけれども、その辺の勘案につきましては、本法改正にあたってき然たる決意を持っておられることは当然であろうと思うわけでありますが、経営者側の考え方とのギャップはどのようにお考えでございましょうか。
  61. 澤雄次

    澤政府委員 従来とも免許に際しましては安全を第一に考えていたわけでございますが、本法改正に際しまして、一段と安全面の規制強化ということを考えてまいりたいと思います。したがいまして、この点は、会社の営利目的というものにもちろん優先するものである、このように考えております。
  62. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 ぜひそのようにしていただきたいと思うわけであります。  四点目に、運航管理規程問題について伺いたいと思うわけでありますけれども、先ほども伺いましたが、定期、不定期の別、さらに会社経営のもの、個人経営のもの等々を態様として分析をしてみますと、きわめて多い業者が乱立的に営業をしているということが実態でありまして、一口に運航管理規程と申しましても、大小、千差万別であろうというように思うわけでありますが、その内容についてはかなり懇切丁寧な指導をしなければ、ただ一がいに運航管理規程というだんびらだけでは下部が混乱をし、十分なことにはならないではないか。角をためて牛を殺すことにもなりかねないというようにも思うわけでありますけれども、この運航管理規程は一体どの程度のものを要求をし、またサンプル的な提示はどのようになさろうとしているのか、伺いたいと思うわけであります。
  63. 澤雄次

    澤政府委員 この運航管理規程は、一応こういうことを必ず書けという基準は省令で示すわけでございますが、各企業が企業の実態に応じてこの運航管理規程をつくるわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃいますように、定期航路あるいは不定期航路事業者の状態は千差万別、大小いろいろございますので、それぞれの企業がそれぞれの一番適した運航管理規程をつくっていく、それに国として最低要求すべき安全上の規定が入っていれば、それを認める、こういうことでまいりたいと思っております。
  64. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 時間がないので、あと一、二問で終わりますけれども、この運航管理規程の中に、運航管理者を定めよということが規定をされておるわけでありますけれども、特に船舶運航につきましては、船長運航管理者の守備範囲の問題権限問題等でふくそうするものがありはしないかというふうにも考えられるわけでありますけれども、その運航管理者の権能と船長の権能は全く重複しないものであるのかどうなのか、この点はいかがでございましょうか。
  65. 澤雄次

    澤政府委員 運航管理者権限あるいは責任船長権限あるいは責任は全く重複もいたしませんし、船長権限を加重あるいは軽減するものではございません。
  66. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうしますと、大別すると、船の運航上の直接の責任は、従来の船長権限と全く同じであって、縮小されたわけでもなければ拡大されたものでもない、しかし、運航管理者責任というのは、船の運航、たとえば時間帯だとか出港、入港の気象の条件だとかいうようなものを含め、さらにダイヤの組み方等々も含めて、主として陸上勤務でできるようなことと大ざっぱに見て差しつかえないかどうか。
  67. 澤雄次

    澤政府委員 主として陸上に関する安全の管理ということに相なります。先生のおっしゃるとおりでございます。
  68. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 この点は、すでに道路運送法、航空法等におきましても、運行管理者の選任あるいは車なら車、飛行機なら飛行機責任者責任というものが明確になっておるわけでございますけれども、簡単に言って、道路運送法における運行管理者と今度の場合の運航管理者責任というものは同じと見て差しつかえないかどうか。
  69. 澤雄次

    澤政府委員 これは船の場合には船長権限が確立いたしておりまして、発港前の検査義務あるいは船が出てからの判断、船内における乗り組み員あるいは乗客指揮等につきまして、船長権限が明確になっておりますので、道路運送法の運行管理者と、今度の改正でお願いいたしております運航管理者は、性格が違っております。先ほど先生のおっしゃいましたように、運航管理者は、主として陸上における安全管理について責任を持っているわけでございますから、いわゆる船の行動についての責任までは負っていない。また、船が出港するかどうかという判断船長判断でございます。運航管理者がこれを指示することはできないという意味におきまして、道路運送法の管理者とはだいぶ性格が違う、このように考えております。
  70. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで、船舶に関する運航管理者は、たとえば船舶一隻につき一人の運航管理者が要るというのか、それとも一事業体に一人の運航管理者があればよろしいというのか、出る港に必要なのか、着く港に必要なのか、その辺はいかがでございますか。
  71. 澤雄次

    澤政府委員 運航管理者をどのような組織に置くかということは、これは各企業の実態によって違います。また、企業の判断にまかせてよろしいのではないか、このように思います。したがいまして、ある企業では、航路数その他によりますが、一人の運航管理者を置いて、港ごとに副管理者を置くというような考えをとっている会社もございますし、それから港ごとに二人以上の運航管理者を置く場合には、その運航管理者間の権限の調整規定というものをはっきりさせていきたい、このように考えております。これは昨年のフェリー事故以後、実は行政指導でこのような運航管理者を各旅客船業者に実施させておるわけでございます。約一年近くの経験によりまして、この運航管理者制度というものも、摩擦なくうまく運営されているというのが実情でございます。
  72. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうしますと、業界の様態により、それぞれ適当した運航管理者を最小限一人置けばよろしい、会社の実情等によって副管理者等を置くことは差しつかえない、こういう解釈でよろしいか。
  73. 澤雄次

    澤政府委員 御指摘のとおりでございます。
  74. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうしますと、たとえばカーフェリー等の発着の岸壁等々の施設、設備あるいは運用等について、運航管理者なり副管理者が直接その場にいて現認し、指揮をとるというようなことはまずまずない。そこはその船長判断にまつところが多い。しかし、施設の不備あるいは故障等についての責任というのは、それを見落とした船長にあるのか、それを見落とした、あるいは放任した運航管理者にあるのかというようなことになってきますと、かなりまた船長の職権と運航管理者責任といったものの区別はややこしくなるのじゃないかというようにも思われますけれども、私どもは安全であることを願ってこういうお尋ねをするわけでございますが、運航責任者というのは、必ずしも常に船なり岸壁に出る必要はないというように、いままでの答弁からうかがえるわけでありまして、どちらかというと、事務的な責任者というように受け取れますけれども、その辺の微妙なものがあると思うのですが、いかがでございましょう。
  75. 澤雄次

    澤政府委員 運航管理者は、運航管理に関する安全の統括者でございまして、これは他の事業法規、鉱山保安法、電気事業法等にあっても同じような法体系をとっておるわけでございます。小さい船会社でありましたら、運航管理者が現場におりましょうし、大きいところでは副管理者が運航管理者にかわって現場の統制をとるというふうに現在もやっております。  それで、船長との関係でございますが、先ほど先生も御指摘になりましたように、主として陸上に関する安全施設管理、運営の責任運航管理者が持つわけでございます。たとえてみますと、カーフェリーの場合には、陸上から船に可動橋を渡るところに踏切をつくりなさいということを運航管理規程で要求をいたしております。その踏切の施設が悪かったり、あるいは運用が悪かったりしたという場合には、これは運航管理者責任でございます。船長は、主として船内あるいは発航前の検査事務、あるいは陸上のことにつきましても、綱取り等について責任を持つということで、権限の配分は非常に明確にいたせるわけでございます。また、実際上運航管理規程船長権限との重複がないように指導をしてまいりたい、このように思っております。
  76. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 大体私の質問は以上であります。  最後に資料をお願いしたいと思うのでありますけれども、先ほど十二人以下の旅客船を取り締まる条例として、都道府県にそれの制定を要請している、また法律もそうなっているということでございました。現状、どの都道府県にそういう条例があって、どういう名前で、どの都道府県にはないという資料を、ひとつ御提出をいただきたいというように思います。      ————◇—————
  77. 福井勇

    福井委員長 この際、船員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は昨日終了いたしております。  ただいま委員長の手元に、加藤六月君、内藤良平君、宮井泰良君及び和田春生君から、四派共同提出にかかる修正案が提出されております。修正案は、お手元に配布してあるとおりであります。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。加藤六月君。
  78. 加藤六月

    加藤(六)委員 まず、修正案を朗読さしていただきます。     船員法の一部を改正する法律案に対する修正案   船員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   本則中第一条第二項第三号の改正に関する部分の次に次のように加える。   第十二条を次のように改める。   (船舶に危険がある場合における処置)  第十二条 船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽さなければならない。   第百二十八条第一号を次のように改める。    一 削除   附則を次のように改める。     附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条第二項第三号の改正規定は、昭和四十六年一月一日から施行する。  2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。  趣旨を御説明申し上げます。  船員法の一部を改正する法律案に対し、この際、船舶に危険がある場合における処置等についても改正することが適当であると考えられますので、船員法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して修正の動議を提出いたします。  修正案の概要は、船員法第十二条の船舶に急迫した危険がある場合、船長の最後退船義務に関する同条の規定を改正せんとするものであります。  最近の大型船の連続海難事故の発生に際して、船長が船と運命をともにするケースが生じています。これは現行船員法第十二条の趣旨が、船長は船と運命をともにせよということではなく、したがって、最近の事例が本条の規定があるがゆえに発生したこととは考えられません。しかしながら、「去ってはならない。」という形で規定されている現行法は、本来の趣旨とは別に誤解を招くおそれもあり、また船長に有形無形に、あるいは心理的に負担をかけているとすれば問題であります。したがって、この際、船員法第十二条については、誤解を招きやすい部分を改正し、船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積み荷の救助に必要な手段を尽くさなければならないこととすることであります。  次に、同法第百二十八条第一号は、海員が船舶に急迫した危険のある場合において、船長許可なく船舶を去ったときは刑罰に処することとなっておりますが、この義務については、ほぼ同条第二号の規定をもって十分と考えられ、かつ第十二条の修正案において、船長の退船に関する規定を修正することもあわせ考えて、同法第百二十八条第一号の刑罰規定を廃止し、また、この廃止に伴う経過規定を設けようとするものであります。  以上でありますが、何とぞ本修正案に賛成されるようにお願いいたします。
  79. 福井勇

    福井委員長 以上をもって趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  80. 福井勇

    福井委員長 これより船員法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、加藤六月君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  81. 福井勇

    福井委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。
  82. 福井勇

    福井委員長 起立総員。よって、船員法の一部を改正する法律案は、加藤六月君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  83. 福井勇

    福井委員長 おはかりいたします。  ただいま修正議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  84. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  発言を許します。井出国務大臣
  85. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 船員法の一部を改正する法律案につきましては、慎重に御審議の上、ただいま御採決をいただき、まことにありがとうございました。  第十二条につきましても、本委員会において適切なる改正をいただきましたが、本法案成立の暁には、その審議の経過にかんがみまして、ともどもその趣旨の徹底をはかり、船員の保護に一そうつとめるとともに、その円滑な施行をはかってまいる所存であります。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  86. 福井勇

    福井委員長 午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時九分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  87. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  海上運送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑を許します。宮井泰良君。
  88. 宮井泰良

    宮井委員 先ほどからもたびたび出ておりますので、一部重複するかと思いますが、まず最初に、運航管理者は、離着岸時における陸上作業の責任者指揮監督、情報の収集、船長への助言、勧告等を行なう、このように理解しておるわけですが、一方、船長権限は、船員法に規定されておるとおりである。そうしますと、運航管理者権限船長権限以外と理解するわけでございますが、その点、発航後の海上での事故の場合、運航管理者責任範囲はどうなるか、あるいは陸上と海上の接点での事故はどのようになるか、さらに運航管理者権限が規定されることにより船長責任が軽減されることはないか、この点が第一間でございます。
  89. 澤雄次

    澤政府委員 船長権限及び責任船員法で明確に規定されておりまして、今度の運航管理者制度を設けることによりまして何ら左右されるものではございません。したがいまして、先生の御質問の発航後の責任は、これはすべて船長責任でございます。  それから、接点が問題になるわけでございますが、原則として、運航管理者は陸上の安全関係の統括責任者でございます。接点と申しましても、たとえば船の踏切、カーフェリー自動車が乗るところに踏切をつくります。それらは運航管理者責任でございますし、それから可動橋の施設の整備につきましても、これは運航管理者責任でございます。ただし、自動車が船内に入りますと、船内の積みつけは船長責任でございます。
  90. 宮井泰良

    宮井委員 次にお尋ねしますが、旅客事業者が着岸施設並びにシーバース等を建設する際に、これが抵当権の設定が認められていないということでございまして、その点検討されているかどうか。港湾運送事業あるいは観光事業にも設けられております抵当財団構想はどのようにお考えになっておるか。法務省との関係もあると思いますが、その点をお尋ねします。
  91. 澤雄次

    澤政府委員 御指摘のように、船または土地は抵当権の対象になりますが、可動橋あるいは陸上の諸施設が抵当権の対象になりませんので、財団抵当を実施してくれ、こういう要求が前々から非常に強くございます。私たちもこれはぜひ法制化していただきたいということで、法務省とも協議をいたしておりまして、法務省も前向きで検討いたしておりますので、最近の機会にこの財団抵当ができるような改正法案を国会にお願いしたい、このように考えております。
  92. 宮井泰良

    宮井委員 次に、航路補償の件でございますが、国または国鉄が旅客定期航路事業を営み、または国、地方公共団体もしくは日本道路公団が架橋を建設したり、埋め立てあるいは干拓を行なうことによりまして、定期航路事業者は事業の廃止、縮小をしなくてはならない。たとえば中四国連絡架橋がいま問題になっておりますが、完成いたしますと、約五十の業者が関係するといわれております。その点勘案されておるかどうか。また、こういった問題に対しましては、翌日からすぐ打ち切りということになりまして、それ以外の業者のように身売りもできないというような事情もございまして、そういった損失の補償はどうなっているか、また今後どのように検討を進められるか、その点をお聞きします。
  93. 澤雄次

    澤政府委員 他の法律で、たとえば鉄道営業法など、国鉄が線路を敷いたために、私鉄の経営が成り立たなくなった場合、あるいは国鉄バスを走らせたために、企業のバス事業ができなくなったという場合には、これを補償するという特別の法律もございますが、これはいずれも同種の営業を国または国鉄が行なった場合の規定でございます。先生指摘の、橋をかけたために旅客事業が成り立たなくなった場合にどうするかということにつきましては、それは法律的にはなかなかむずかしい問題ではないかと思います。旅客運送事業免許事業でございますが、免許という行政行為は権利能力を設定するということで、別に財産権の付与ではないわけでございます。したがいまして、橋がかかって旅客事業が成り立たなくなった場合に、法律的にどう解釈するかという問題は、いろいろ議論のあるところでございまして、われわれとしても今後検討を進めてまいりたいと思っております。現在までの実例としては、橋がかかって、それでフェリー事業ができなくなったために、実質上見舞金の形で金を出しておるという例はございます。これは法律的にどうのこうのということでなくて、事実上見舞金を出したということであるかと思います。
  94. 宮井泰良

    宮井委員 次に、これは港湾局関係になるかと思いますが、旅客事業におきまして、安全の強化のため、運航マニュアルの法定化、運航管理体制強化以外に、さらにそれを補完強化するため、大型フェリーの接岸施設及びそれに接続する道路の整備等をしなければなりません。建設省との連携もあると思いますが、その点、計画はどのようになっておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  95. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 港湾フェリーの接岸設備に関連する計画でございますが、これは個人のフェリー会社が持っておる施設がございますし、あるいは港湾管理者が敷設する場合もございます。いろいろなケースがございますが、一般的に申し上げますと、港湾管理者が提供する施設につきましては、岸壁なりあるいは可動橋なりというものは、保安の点も関係者と十分相談いたしまして整備いたしますし、なお、道路につきましては、港湾法の中で、臨港交通施設という施設がございまして、港湾事業の対象になってございますので、都市計画なりあるいは道路法の道路との関連港湾管理者は十分調整がつきましたら、それからのブランチは港湾でも整備できるというように考えております。
  96. 宮井泰良

    宮井委員 次に、カーフェリーの埠頭は、モータープールの新設並びに増設備、可動橋等、埠頭関係諸設備の整備、安全の向上に設備投資をしなければなりません。あるフェリー会社に私聞いてみたのですが、新造船が四隻で八十八億、それに必要な接岸設備が三十億、計百十八億要るということでございました。そういう観点から、民間資金だけでは期待できない、このように思うわけでございます。その場合に、財政資金の助成措置がなされなければならない、かように考えるわけでございますが、その点をお尋ねしたいと思います。
  97. 澤雄次

    澤政府委員 船をつくるほうの財政資金の援助についてお答え申し上げますが、カーフェリーのうち、小さなカーフェリーにつきましては、船舶公団から共有という形で実質上の融資をいたしております。それから大きなカーフェリーにつきましては、日本開発銀行の地方開発のワクから融資をいたしております。
  98. 宮井泰良

    宮井委員 これは大臣あるいは政務次官にお聞きしたかったのですが、わが国の旅客事業は、年々近代化され、さらに大型化、高速化されつつあります。昭和四十三年中の旅客船と貨物フェリーによる旅客輸送量は約一億五千百万人、そのうち、一般旅客は約一億二千八百万人、航送旅客数は約二千二百九十二万人で、前年に比べまして七・五%の伸びとなっておる。特に最近、長距離フェリーが、幹線道路や幹線鉄道と同等の、それ自体独立した輸送機関になりつつあるわけでございます。運輸省では全国的なフェリー網のあり方を策定するために調査を行なったと聞いておるわけでございますが、これは瀬戸内ということも聞いておりますけれども、その構想をお聞きしたいと思います。
  99. 澤雄次

    澤政府委員 昭和四十四年度の予算におきまして、フェリーの動態調査、いわゆるOD調査でございます。OD調査の予算をいただきましたので、これで現在調査を実施いたしておりますが、この集計ができますのは、やはりこの夏ごろまでになるかと思います。  先生質問フェリー網の構想いかんという点でございますが、これは四国と本土の間あるいは青函のような短絡フェリー、橋のかわりになるようなフェリーにつきましては、現在おおむね整備をされてきております。したがいまして、今後は輸送需要の増加に対応して、船の数あるいは便数をふやしてまいったらいいのではないか、このように考えます。  それから、最近話題になっております長距離フェリー先生指摘鉄道あるいは道路と並行した長距離フェリーにつきましては、将来、鉄道、道路運送、一般の内航海運と並びまして、有力な輸送手段になると考えられます。現在、瀬戸内海、神戸から北九州に長距離フェリー運航されておりますが、すでに東京−北海道、東京−南九州あるいは裏日本の北海道−舞鶴あるいは大阪−東京というようなフェリー許可いたした次第でございます。これらの外洋フェリーが就航した後、その利用状況あるいは経営的に成り立つかどうかというふうなことを参考にして、かつ鉄道、道路網の整備状況を勘案した上、全般的な構想を練りたい、このように運輸省では考えております。
  100. 宮井泰良

    宮井委員 次に、海上保安庁にお尋ねいたしますが、大量輸送に伴いまして、船型の大型化、長距離化がなされておりますが、その性格上、船上の車両には車両数に伴いまして大量の——ガソリンのタンクローリー等は規制されておりますけれども、LPG、灯油等が積載されることが考えられます。その際、火災の危険性が十分にあるわけでございますが、その点考慮されているか、そして消火体制が十分になされなければならないと思いますが、この点どう対処されるか、お聞きします。
  101. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 フェリー輸送関連いたしまして、多くの車両がフェリーに積み込まれるということにつきましては、私どもも数年前よりフェリーの海難防止運動をやりますときに、この点、特に車両の積載状況の実態調査、あるいはそういった防火対策という面からする関係者に対する海難防止指導というものに特に重点を置いております。ことしもまた本月から春の海難防止運動が始まるわけでございますが、そういった点に特に留意するよう指示いたしますとともに、防止運動が終わりましたあと、すぐ取り締まり期間を設けます。その取り締まりにおいてもそのような点を重点に置いてまいりたい、このように考えております。
  102. 宮井泰良

    宮井委員 続きまして、これは海上運送法改正によりますと、運航管理規程は、省令の定める基準に従い、船舶運航管理に関する責任者、すなわち運航管理者選任云々とございますが、運航管理者を全事業者に置くことになるわけでございます。その場合、約四百三十三業者は小規模の業者であり、中には、主人が船長で奥さんが機関長であるという、そういったケースの個人事業者もあるわけでございまして、そういった場合に、運航管理者の適任者がいないということで非常に困る場合が出てくると考えられます。安全を守ることは当然でありますが、その点どのような見解か、これは海運局長にお尋ねをいたします。
  103. 澤雄次

    澤政府委員 非常に小さい定期旅客事業者の場合には、運航管理者を置かないでよいようにいたしたいと思っております。どの程度の規模から運航管理者を置かせるかということにつきましては、目下関係者意見を徴して検討を進めております。
  104. 宮井泰良

    宮井委員 同じく局長にお尋ねするわけですが、この問題は業者の間で意見が分かれまして、大勢としては、あまり許可を望んでいないというふうに聞いておりますが、旅客定員が十二名以下の法の適用を受けない船のことでございます。これは全国で約千七百業者、約二千三百隻といわれておりますが、これらを小型旅客運送事業として許可制とすることについての御見解をお聞きしたいと思います。
  105. 澤雄次

    澤政府委員 定員十二人以下の、旅客船ではなくて、旅客を運搬する船につきましても、許可制を敷くべきではないか、こういう意見は確かにございます。ございますが、一方、かりに法律上これを許可制にいたしましても、完全に法の励行を国が行なうことができるかどうかという点、非常な疑問がございます。もし法律をつくってそれが励行できなければ、ざる法になるわけでございます。また一つの懸念といたしまして、許可事業にしますと、これがさらに大きくなりたいということで、既存の旅客航路事業者とまた摩擦を生ずるというようなこともございますので、運輸省といたしましては、十二名に達しない旅客を運搬する船を事業法規で規制することには、どちらかと申しますと消極的な考えを持っております。
  106. 宮井泰良

    宮井委員 続きまして、カーフェリーの耐用年数のことでございますが、現行では十六年、このようになっております。聞くところによりますと、十二年に内定しておるということでございますが、さらに十年にとの意見もあるようでございます。耐用年数を短縮することにつきましてどのようなお考えか、お聞きしたいと思います。
  107. 澤雄次

    澤政府委員 耐用年数の短縮にはわれわれは賛成でございます。それで、従来十八年であったものを昨年から十六年にいたしました。さらに大蔵省と話をして、ことしから十二年にしたわけでございます。非常にもうかる航路については、さらにこれを十年にしてほしいという意見もございますが、耐用年数と運賃というものは密接な関係もございますので、ひとまずこの十二年で実施いたしまして、その模様によりまして、またあるいは十年ということについて大蔵省と話をするように相なるかもしれませんが、当分この十二年で実施をいたしてみたい、このように考えております。
  108. 宮井泰良

    宮井委員 次に、運賃の点でございますが、実態としてはどうも統一されておらないようでございまして、その基準がどのようになっておるか。また、適正な運賃の設定の際に、個人事業者などは事務の繁雑からたいへんであるということでありまして、それを簡素化する必要があるのではないか、かように考えるわけでございますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  109. 澤雄次

    澤政府委員 先生指摘のように、旅客船の運賃は、原価計算に基づきまして、経費を償った上に適正な利潤を認めるということで、運賃設定をいたしております。したがいまして、航路によって違いますし、また船によっても原価が違ってくるわけでございます。したがいまして、国鉄のようにキロ当たり幾らというような運賃設定をいたしておりません。非常なばらつきがありまして、キロ当たり運賃も最低二円一銭から最高十八円五十銭というふうにばらついております。これは原価主義をとるためにこのようなことに相なっているわけでございますが、非常に計算も複雑でございますので、地方の海運局あるいは地方の旅客船協会の支部というようなところで、零細業者には懇切な指導をするようにいたしております。しかし、このような運賃の計算方法がいいかどうかということについては、先生指摘のように問題もございますので、今後さらに検討をいたしてまいりたい、こう考えております。
  110. 宮井泰良

    宮井委員 次に、改正の中に、操舵設備をみだりに操作する等旅客の安全を害するおそれのある行為を禁止する、このようにございます。もちろん、これは安全のためにはっこうなことでございます。しかし、その内容といたしまして、何が旅客の安全を阻害するか、行き過ぎた規制にならないように、また反面に、その条項でどうしても必要な部分、そういった点が漏れないように、旅客業者とよく連携をとってやるべきである、このように思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  111. 澤雄次

    澤政府委員 先生指摘のように、旅客業者とよく、相談をいたしまして、行き過ぎのないよう、また足らないところのないよう注意をしてまいりたいと思います。
  112. 宮井泰良

    宮井委員 次に、港湾局長にお伺いいたします。  東京湾の浦賀水道は、第二海堡、第三海堡がこの水道の危険をさらに増しております。この撤去は以前から問題になっておりましたが、一日も早く撤去をすべきではないか、かように思うわけでありますが、お答えを願いたいと思います。
  113. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 東京湾の湾口の問題につきましては、御指摘のとおり、海堡が第一、第二、第三と三つございまして、特に第三海堡は航路のまん中にございますので、非常にじゃまになるといった話は前から出ておりまして、技術的にどうしたら簡単にとれるだろうかという調査もいたしてまいっているわけでございますけれども、御承知のとおり、最近東京湾にも出入りする船が非常にふえてまいりまして、第三海堡をとるだけでよいのか、あるいはむしろとる工事に大勢の作業船が入りますと、現在の船の航行を阻害しないかという心配もございまして、場合によったら別に航路を一本開さくしておいて、あととったらどうだろうか、いろいろなことをいま研究してございますし、その点につきましては、海上保安庁ともいろいろと相談してまいっている次第でございます。御指摘のように、なるべく早く結論を出しまして、湾口の改良という点に取り組みたいというふうに存じております。
  114. 宮井泰良

    宮井委員 同じく港湾局長にお尋ねするわけでございますが、港湾整備もさることながら、狭水道の整備ということでございます。カーフェリー、内航コンテナなど、内航海運の発達が将来見込まれておる現在、どうしても必要ではないか、かように思います。長期計画を策定して、この整備を検討する必要があるのではないか。特に瀬戸内海あるいは和歌山、浦賀ですか、そういった点の検討をどのようになさるか、お尋ねいたします。
  115. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 狭水道につきましては、御指摘のとおりでございまして、瀬戸内海あるいは大阪湾の入り口、先ほどの東京湾の入り口の問題、あるいは伊勢湾の入り口、あるいは関門海峡というふうに、各地にございます。瀬戸内海の備讃瀬戸というところがございまして、現在これの改良工事をやっておりますし、なお関門海峡の改良工事も進めております。それから小さなところでございますが、対馬の万関の瀬戸の改良も昨年からたしか手をつけておると思います。そういうふうに過去におきましても、そういう隘路がありましたところは数カ所改良してございます。これもやはり海上保安庁あるいは現地の各都道府県の方々の意見も聞きまして、必要に応じて進めてまいっている次第でございますが、現行の五カ年計画でも、そういう意味でかなり取り上げてございますが、さらに今後必要が増大いたしますので、積極的に全国的な調査を進めまして、必要なところから逐次進めたいという考えでございます。
  116. 宮井泰良

    宮井委員 次に、これは海上保安庁にお尋ねいたしますが、大型タンカーの狭水道航行、これは現在申し上げたとおり問題になっておりますが、東京湾入りが予定される二十五万トンタンカーの入港に際しまして、安全対策が欠けていないかということがいわれておるわけでございます。海上保安庁も、東京湾の危険については以前から検討されておるようでございますが、浦賀水道を出入りする船は一日七百五十九隻、うち百四十九隻がタンカーである、このように私は見ておるわけですが、そのうち、航路を横断するカーフェリーが五十隻もある。その点非常に危険であると思うわけでございます。これはまた東京湾だけではなくして、瀬戸内海におきましても同様のことが言えるのではないか。大型タンカーの狭水道、港湾内通航の安全対策を早急にはかる必要があるのではないか、かように思うわけですが、どのような御見解か、お聞かせ願いたいと思います。
  117. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました浦賀水道その他の主要狭水道におきまして、非常に通過船舶が多く、またその中でも、タンカーあるいは横切りのカーフェリーというものが、この十年間ほど比べても非常に多くなっておるということは、御指摘のとおりでございます。これにつきましては、当面私どものほうは、たとえば浦賀水道で申し上げますと、推薦航路を設定いたしまして、右側通航を励行させる、あるいは必要なブイその他の航路標識を増設するというようなことをいたしますと同時に、浦賀水道で申し上げますと、常時巡視船艇を一隻浦賀水道に派遣いたしまして、パトロールをさせますと同時に、特に超大型のタンカーというようなものにつきましては、昨年から就役しております大型消防船の「ヒリュウ」というのがございます。これは非常に大きな消防能力を持っておるわけでございますが、これを派遣いたしまして、前路の誘導に当たらせるというような措置で、当面事故のないように措置いたしております。この結果、この一、二年の数字を見ますと、いわゆる衝突事故その他というものが大体横ばいの状況でございます。しかし、これで決して十分ではございませんので、今後いろいろな措置を検討いたしまして、御趣旨に沿ってまいりたい、このように考えております。
  118. 宮井泰良

    宮井委員 これは関連して最後にお聞きするわけでございます。海上保安庁にお尋ねするわけでございますが、先月の二十四日、千葉県野島崎沖でマグロ漁船が沈没いたしております。この救難にも、米軍のC30機ですか、救命いかだを発見いたしまして、救助隊の二人がパラシュートでいかだに乗り移って、水を補給するなど救助を行なっております。最近一連の海難事故に活躍しておりますのは米軍の救助隊でございます。わが国の海上保安庁の救難体制の弱体といいますか、そういった面が、言い過ぎかわかりませんが、出ておるんじゃないか。予算も少ない、船も老朽船である、救助の飛行艇の開発費もないのでは、いつになったら救難体制が確立されるのか、疑問でございます。現在、日航機乗っ取り事件が起きたわけですが、世界の国では五十何件か起きておって、日本でも起きる可能性があった。こういったことが大きく事故にならない前に手を打つ方法がまだまだ残っておったと思うのでございますが、そういった事件というものがいつ起きるかもわからないということでございますので、こういった点、救難体制をどのように今後検討されていくか、この点をお聞きしまして、私の質問を終わります。
  119. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました漁船第十二安心丸をはじめといたしまして、その前のかりふおるにあ丸等、いわゆる私ども中遠距離海難といっておりますものが非常に多く発生しておるわけでございます。しかもその際、特に米軍のハーキュリーズという救難機が非常に活躍をいたしまして、このため非常に多くの人命を救うことができまして、私どももこの点は非常に感謝しておるわけでございます。しかし、そのことはそのことといたしまして、ただいま御指摘のように、私どもの遠距離救難体制、特に船艇につきましては、私どもは一応二十四時間体制というものをとっているわけでございますが、大型の長距離航空機という点につきましては、たびたび申し上げておりますように、そのような体制をとり得る状態には現在ございません。そこで、当面の問題といたしましては、やはり海上自衛隊なりあるいは米軍の援助を得まして、当面の海難に遺憾なきを期したいと思いますが、基本的には、やはり私ども自身の航空機中心とする、あるいはまた航空機と巡視船との連携を中心とする、あるいはまた大型機種の選定その他についての体制をできるだけ早く強化したい、このように考えておる次第でございます。
  120. 福井勇

    福井委員長 次に和田春生君。
  121. 和田春生

    ○和田(春)委員 これから質問いたします内容については、海運局長あるいは船員局長両方にわたるような問題もございますので、そういう際には、それぞれ御相談の上、責任ある御答弁をお願いをしたいと思います。  今回の海上運送法の一部改正は、最近旅客船や特にフェリーボート等の急速な発展に伴いまして、安全確保の見地から、運航管理規程をつくることを強制をする、また運航管理者選任を義務づける、ここに改正の眼目があると思われますので、その点に焦点をしぼってお伺いをいたしたいと思います。同僚委員の皆さんのこれまでの御質問によりましても、特に運航管理者船長責任の範囲がたびたび質問されております。政府側の御答弁を伺いまして、どうもあいまいな点がまだたくさん残されているように思いますので、抽象的ではなく、具体的に事例をあげながら伺ってみたいと思うのです。  そこで、まず、この海上運送法にいうところの船舶運航、この「運航」ということばの中には、港を出港して。入港するまでの船舶のいわゆる運航、航海、これも概念として含んでおるのかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  122. 澤雄次

    澤政府委員 運航という概念の中には、先生指摘船舶運航ももちろん含んでおります。
  123. 和田春生

    ○和田(春)委員 そういたしますと、これらの旅客船あるいはフェリーボートにいたしましても、一定のスケジュールを立てて動いているわけでございますが、その運航のスケジュールの内容運航管理規程の中に含めて定めるべきことを省令等においておきめになるつもりでしょうか、いかがですか。
  124. 澤雄次

    澤政府委員 先生のおっしゃるスケジュールということが、営業上のそのスケジュールでありますれば、その作成にあたりましては、運航管理者は安全面からそのスケジュールの作成に関与いたします。
  125. 和田春生

    ○和田(春)委員 安全面からその作成に関与をする、こういうことでございますが、そうすると、そういうスケジュールに沿って船を航海させる、そういう中身も、「運航管理」ということばの管理する中身に含まれるわけでありますか。
  126. 澤雄次

    澤政府委員 そのスケジュールに沿って船舶を配船することは、その運航管理の中身に入ると思います。ただ、実際そのスケジュールに従って船舶を発航するかいなかという判断船長自身のものでございます。
  127. 和田春生

    ○和田(春)委員 船員法によりますと、発航の準備が整ったときには、船長は遅滞なく出港いたしまして、予定のコースに従って航海をなし遂げなくてはいけない、こういう趣旨の規定があるわけであります。スケジュールに従って航海をするということも、運航管理をするという管理業務の中身に含まれるといたしますと、その部面において、ここで任命される運航管理者責任船長責任というものが、法律の中身からは触れ合いが出てくるわけでございますが、この場合には船長が出港から入港までは責任を持つわけであって、運航管理者はそこには責任がない、こういうふうに法律解釈上明確に理解をしてよろしゅうございますか。
  128. 澤雄次

    澤政府委員 さようでございます。
  129. 和田春生

    ○和田(春)委員 そうすると、それと関連いたしまして、こういう場合には旅客や貨物を船に積み込むわけでございますが、一応積み込みが完了したというときに出港命令を出さなければなりません。それから入港して船が着岸をする、係留をする。そうすると、積み荷、あるいは船客を積んでいる場合には船客を陸に揚げてよろしいという陸揚げ開始の指令を出さなければなりません。この指令は船長が出すのですか、運航管理者が出すのですか。
  130. 澤雄次

    澤政府委員 それは船長であると考えます。
  131. 和田春生

    ○和田(春)委員 だいぶん船長権限責任運航管理者関係質問を通じて明らかになってきたわけでございますが、そういたしますと、船客を船に乗せる、あるいはカーフェリーの場合には車を船に積み込む。積み込みが終わって船が出る状態になったというときに、運航管理者船長に伝える内容は、出港してもいい状況になったからと、こういうことを具体的には伝えることになるわけですか。
  132. 澤雄次

    澤政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  133. 和田春生

    ○和田(春)委員 そうしますと、それとの関連で、たとえば桟橋係留装置あるいは架橋、道板その他の設備や機材等の運用、その管理と取り扱い、これは船と陸と両方にかかるものなんですけれども、これについての責任運航管理者側が持つものですか、船長にありますか。
  134. 澤雄次

    澤政府委員 可動橋を含めで陸上設備の維持管理運航管理者側にございます。
  135. 和田春生

    ○和田(春)委員 そういたしますと、似たような事故が起きて——そういう事故が再び起こることはあってはならないと思いますけれども、運航管理者が出帆してよろしい、そういうことを伝えたその結果、船長が船を出港させるべく動かした。そうしたら、それが手落ちか何かありまして事故が起きたという場合に、これは運航管理者責任になりますか。
  136. 澤雄次

    澤政府委員 その事故の起きた場所が、昨年起きました例のように、船が出たあとにその車が走り出して海におっこったという場合、これは運航管理者側の責任でございます。
  137. 和田春生

    ○和田(春)委員 いろいろなケースが予想されるわけですけれども、短い時間の中で具体例を並べているのはなかなか無理ですから、抽象的になりますが、一般的に船と陸との間をつないでいるそういう設備ですね。これはよろしい、こう言って船が出る場合に、十分に切り離すことができてなかったとか、そういう機材収納が不十分であったために、ひっかかったり、あるいははずれて落ちたりという事故がないとは限らないわけです。私もそういう事例を幾つか知っておりますけれども、その場合の安全の最終責任運航管理者ですか、船長ですか。
  138. 澤雄次

    澤政府委員 それが発航前の検査事務にかかるものでございましたら船長でございます。そうでなくて、陸上施設の完全な維持管理にかかわるものでございましたらそれは運航管理者であると思います。
  139. 和田春生

    ○和田(春)委員 そういたしますと、運航管理者が出帆してもよろしい——出帆しろという命令じゃ、ないわけですね。出帆してもよろしい、こう言っても、船舶の発航の準備が整ったかどうかという最終の責任は依然として船長にある。したがって、般長がそれをチェックをし、不十分であるとすれば、船長は逆に運航管理者に指令することができる。不十分な面はちゃんとしなさい、そういうふうに解釈してよろしいわけですか。
  140. 澤雄次

    澤政府委員 命令をするということはいかがかと思いますが、出港しないという職権は船長にございます。
  141. 和田春生

    ○和田(春)委員 その点の当局の解釈は、政府側の解釈は一応わかりました。  そこで、さらにお伺いをいたしたいのでございますけれども、先ほど冒頭の質問に対しまして、船をスケジュールどおりに運航をする、こういうことも運航管理ということばの中身に入るのである。そういうところからだんだん質問を発展させていったわけでございますけれども、ともかく離岸をしてから着岸をして船客、積み荷を揚げ終わるまで、船舶に関する一切の法的責任は従来どおり船長にある、こういう解釈でございますね。
  142. 澤雄次

    澤政府委員 そのとおりでございます。
  143. 和田春生

    ○和田(春)委員 ところで、従来の大型船等についてはそういう例があるわけでございまして、実は私の同僚の船員も、戦前の話でございますが、そういうことのために事故を起こしたことがあるのですけれども、どうしても雇用関係ということになりますと、会社側の役員であるとか、あるいは管理職であるとか、そういう人たちのほうが、雇用関係における権力としては、しばしば船に乗り組んでおる船長よりも強い場合があるわけです。そして強制する命令じゃないけれども、事実上命令と同じような意味合いを持ってくる。そして船長の意思に反したことを強制されるということが、いままでの大型船でも絶無ではなかった。徹夜荷役で非常に船員が疲れておるから、出帆はあしたの朝に延ばしてもらいたいというのに、スケジュールがあるから今晩ぜひ出てほしい、そういうことのために無理して出港して、船がのし上げたという例もあるわけです。そういう点について、運航管理者は少なくとも船長の意思に反して出ろということを強制したり、そういう権限はもちろんないし、そういうことは絶対させない、それは行政指導の上においても、安全の見地からその点についてはきわめてシビアにやる、そういうことがお約束願えますか。
  144. 澤雄次

    澤政府委員 それは役所といたしましても、厳重に関係業者には通達をいたしております。  それから、確かに先生のおっしゃいましたように、企業側の営業関係の力が非常に強く働くという事例が従来も見られたわけであります。そういう場合に、いわゆる船長の味方になって、企業側の圧力にかかわらず、安全を完全に守り通すというために、やはりこの運航管理者制度というものをつくったわけでございまして、スケジュールの作成その他についても運航管理者は必ずそれに参画する。さらにその運航管理者の職務が怠慢であると役所から見たときには、それを解任しろということを言い得るようにしたというようなことも、安全面をより重視したいと考えたからでございます。
  145. 和田春生

    ○和田(春)委員 その点、政府当局側からたいへん明確な答弁をいただきました。ぜひそういうふうにお願いしたいと思うのですが、船の航海、運航に関しては船長責任があるといいましても、陸上輸送、陸上の作業と一貫体制のもとにこういう近距離の海上輸送が行なわれます。そこで、運航管理者船長の味方になって、そういう営業方面の圧力をはねのけて安全を確保するというのはたいへんけっこうなことだと思います。  ところで、同じような運航管理者という名前を使いましても、航空法に基づく場合の運行管理者については、一定の技能検定にパスをしなければならぬという法律になっております。それから道路運送法によりますと、省令で定める一定の要件を備える者を任命しろ、その内容としては、年齢とか管理とか運転の経歴等を勘案して任命をしなさい、こういうふうに規定をされているわけであります。海上における航海については、船長責任があるとはいえ、いまお伺いしますと、船長との共同の任務遂行の上に安全を確保するこの運航管理者につきまして、今回の海上運送法改正案では資格要件が何らきまっていないわけでございますが、その点についてどういうふうにお考えでありますか。
  146. 澤雄次

    澤政府委員 資格要件は、海上運送法に基づきます省令で規定をいたすことに相なっております。省令案をお配りしてありませんので、まことに恐縮でございますが、現在考えておりますのは、やはり船長経験のある人で、でき得るならば旅客事業に職を奉じた者という方を資格要件として省令で要求したい、このように考えております。
  147. 和田春生

    ○和田(春)委員 道路運送法の場合は、省令で定める一定の要件というように根拠法規が中にあるわけであります。海上運送法は、それはございませんけれども、しかし、それは省令でつくるし、それは有効に、そういう点は業者に対して義務づけさせることができるのである、こういう解釈でございますか。
  148. 澤雄次

    澤政府委員 さようでございます。
  149. 和田春生

    ○和田(春)委員 それでは、そういう運航管理者選任につきましては、かりにもルーズなことにならないように、省令の際に十分検討していただいて、有効適切に処置されることを希望いたしたいと思います。  その点についての質問は一応その程度にいたしまして、つい今度も赤軍派による旅客機の乗っ取りがございました。やはり船に危険物を持ち込むというようなこともあるわけでありますが、そうすると、今後何らかの特定の意図を持った——意図は持っていなくても、気違いじみた行為で、そういう危険物を船に持ち込むというような場合のチェックは、第一義的に、運航管理者が、できれば運航管理者責任のもとに、船に乗り込むまでに厳重にそれは指導されることになりますか。
  150. 澤雄次

    澤政府委員 たてまえはそのように考えておりますが、いわゆる外国旅客船航路の場合にはいろいろな国の通関手続等を行ないますので、そういうチェックがほぼ完全に近くできるかと思いますが、国内の旅客船の場合は、御承知のように、船が着くとざあっと乗りますし、事実上そういうチェックを完全に実施するということは、国内旅客船の場合には非常に困難ではないかというふうに考えます。
  151. 和田春生

    ○和田(春)委員 困難であるかないかを御質問しているのではなくて、日本人の九九%は堅実な常識家ではございますけれども、とんでもないやつもハプニングで出てくる最近の世相なんです。そこで、外国船でも、通関その他のいろいろな厳重な手続があるにかかわらず、ピストルなどの密輸入が行なわれることもあるのです。けれども、いろいろな意味で、危険物、爆発物その他のもの、船内に持ち込むべからざるものを持ち込むという危険性がないとはいえない。そういうもののチェックについても、運航管理規程運航管理者のもとに、船にそれが持ち込まれる以前にチェックをさせる、そういうことをお考えになっているかどうかということをお伺いしているわけです。
  152. 澤雄次

    澤政府委員 おっしゃるとおり、運航管理規程では、危険物の積み込みその他旅客輸送の安全の確保に関して適当な措置をとるということは運航管理者責任にいたしております。さらに船に入ってしまえば、これはまた船長責任になるということは、船員法の規定上明確でございます。
  153. 和田春生

    ○和田(春)委員 それでは次に、改正の中で、第二十三条の五「(旅客の安全を害するおそれのある行為の禁止)」というのが入りました。これは今日の世相から見ますと、適切な安全保持のための法改正であろうと思うわけであります。ところが、これに違反をした場合の罰則ということになりますと、三万円以下の罰金という形になっておりまして、量刑の上でたいへん軽微に過ぎるのではないかという気がするわけであります。なぜかといいますと、御承知のように、船の場合には海上を航行いたしております。ここにあります操舵設備であるとか、あるいは旅客乗降用の可動施設の作動装置、こういうものに変にいたずらをされますと、その直後に事故が起こらなくても、二回か三回使っているうちに、それが原因になって人命を失うというような大事故に発展をする可能性があるわけでございます。そういうことをやられればたいへん不安になるわけですが、せっかくこういう条項を設けておるのに、罰金三万円という程度において、今後不心得者の規制という面において万全を期し得るとお考えでありますか、どうですか。
  154. 澤雄次

    澤政府委員 量刑の問題、実は法務省の所管に属しますものでございますから、この規程を入れますにつきましては、法務省ともいろいろ相談をしたのでございますが、海上運送法の刑罰体系の上から、法務省は三万円以下が妥当だという認定をいたしたわけであります。道路運送法その他にも同じ規定がございますが、これもやはり量刑は三万円ということになっておりますので、そのように規定した次第でございます。
  155. 和田春生

    ○和田(春)委員 この点につきましては、何も重く罰するということが目的ではございませんけれども、万が一そういうことをやった者がおるときには一罰百戒、そういう無責任な乱暴なことをやった者は、それに対してきびしい措置を受けるのであるということが、私どもは必要に思います。ただ、政府の提案されたものを、量刑をさらに重くしろというような修正案を出そうとは考えておりませんけれども、こういう点については、今後の運用において、事がなければよろしいけれども、問題があると思います。この罰則との関係で、船長責任あるいは船長の義務違反に対しては相当にきびしい罰則が船員法にきまっておりますが、この運航管理者の義務違反についての罰則規定は見当たらぬようでございます。ただ解任をしろということを命ずることができるというにとどまっておるわけでございますが、この点については、どういうお考えによってこうなったのか、お伺いしたいと思います。
  156. 澤雄次

    澤政府委員 運航管理者の義務違反は、直ちに刑法上の業務上過失致死あるいは致傷の罪に該当いたします。
  157. 和田春生

    ○和田(春)委員 そうすると、それは刑法の業務上過失という条項においてカバーできるので、あえて定めなかった、こういうことでございますね。
  158. 澤雄次

    澤政府委員 はい。
  159. 和田春生

    ○和田(春)委員 それでは最後に、お伺いをいたしたいのは、こういうふうになってまいりますと、船長権限との触れ合いというものが、かなりいろいろ問題になると思います。行政指導等で任意に行なわれているときには、それなりにやわらかい面もございますが、法律の規定に基づいてやるという形になりますと、その辺にいろいろ問題が出てくるわけであります。なお、海上運送法には、第二十五条によりまして、船舶の立ち入り検査等の規定もございます。それから、これは船員法関係してでございますが、船員法には、御承知のように、船長並びに海員ですね、船長の職務、権限、それから船内の規律、こういう規定があるわけであります。また一方、海商法によりますと、六百九十条の船長の法定内権限の行使と船舶所有者の関係、あるいは第二章の船員、第一節の船長、七百五条から七百二十一条までいろいろ関連した規定があちらこちらに飛んでおります。そして船員法は、御承知のとおり、戦後の改正によりまして、いわゆる海の労働基準法、こういう性質を持ってきたわけでございまして、むしろ労働者の労働条件を保護するという趣旨の条項が、戦前とは違って戦後の新船員法には入りました。ところが、いま申し上げましたような船長責任権限あるいは船内の規律、安全の維持、こういうものにつきましては、労働保護というものとは概念がかなり違う。それがかなり大きな部門が船員法の中に含まれている。そしてどんどん輸送の体系が変わってきて、海陸一貫輸送あるいはカーフェリーの発達、いろんなものがありますと、今後船長権限、一般的な運航管理者との触れ合い、それから船舶所有者との責任、いろんな面で触れ合いが出てくると思うわけであります。  この機会に、政府側に、船員法はいわゆる労働保護の労働基準法として、船員の労働保護という点に焦点をしぼってすっきりした体系にする、そして船長責任権限や船内規律、安全運航確保、こういうような問題に関しましては、できるだけ整理をして一つのまとまった法体系の中に盛っていく、そういう点を早急に御検討する用意があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  160. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘になりましたように、船員法の規定には、いわば規律、船長船舶権力に関するような面、それから基準法と同じような労働保護の面、この二つがあるわけでございます。しかも規律に関するものが、ある意味では海商法といろいろつながりがある面もございます。この点につきまして、かねてから船員中央労働委員会において船員法検討されておりますときに、規律法的な部分と、それから労働保護法的な部分と、これを分けて立法することのほうが妥当ではないかという御意見も相当強うございます。また、学者方の中にもそういう御意見が相当あるように私も伺っております。  そういうような点につきまして、やはり法体系といたしましては、そういう二つに分けるという考え方は十分考えられますし、また他方、船長船舶権力のあり方についてもいろいろ検討し直さなければならない面もいろいろあるかと思います。そういうような点を含めまして、今後船員法体系あるいはそれぞれの中身についていろいろ検討し、労働委員会等ともおはかりして検討を進めてまいりたいと考えております。
  161. 和田春生

    ○和田(春)委員 この点につきましてもう一つ問題は、今回の海上運送法の一部改正にもあられましたように、従来の船の運航、こういう観念では対処できないような事態が出てきておると思います。海洋を航行するオーシャンゴーイングの船の場合においては、陸から孤立をいたしまして船を運航する。その実態において昔と今と変わっていない部面もあるわけでございますけれども、急速な輸送革命は、特に近海あるいはそのごく近い港湾間におきまして、海陸の一貫輸送という形で、従来の船という概念では割り切れない、縛り切れないものも出てくると思う。そういたしますと、当然、今回すでにその柱として運航管理者というような考えが出てきましたけれども、将来においては、船長の地位とか責任というものについても、かなりの変化が生じてくるであろうということが予想されるわけでございます。  そういう点を考えますと、いままでのように船員法、それから海商法、その体系をそのままにしておいて、必要のつど、たとえば海上運送法の一部改正という形で追っかけていくだけでは、かえってその混乱も出てきますし、なかなかわかりにくい体系になるのではないか。そこで、いまここでお約束をしていただくことは無理かと思いますけれども、ひとつ政府当局において検討されて、早急にこのような法律検討、整理、整備を進められるように強く希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  162. 福井勇

    福井委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  目下建設委員会において審査中の本州四国連絡橋公団法案について、建設委員会に連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。
  163. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本連合審査会の開会日時等につきましては、建設委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十六分散会