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手塚政府委員 乗客の安全を期する意味におきまして、先ほどの
海上保安庁の出動等におきましては、これはやはり最悪の最悪のときの
対策としてはやはり必要であろうと考えます。そういう意味で、皆さんのあらゆる御
協力をお願いするということになっておるわけです。
いま最後に御
質問の国際的な動きという意味では、いわゆる
東京条約というものが、一九六三年八月八日から九月十四日まで、
東京でICAOという国際民間
航空機構の主催で
航空法国際
会議が催されました際にきめられた条約がございます。これは
日本を含めて十六カ国が署名をしておる。これはただ、
航空機内の犯罪についての旗国主義を明示するとか、あるいは国際線
機長の権限について、犯人の拘禁とか、途中
飛行機をおろす、または着陸地国への引き渡しを認めるとか、不法に奪取された
航空機等を可及的すみやかに
機長に返還させることを締約国でお互いに義務づけよう、こういうことをきめました内容でございまして、これが即現在行なわれましたようないわゆる不法奪取そのものにずばり当てはまるような内容を持ったものではございませんが、それに関連した内容を一応きめております。さらにIYATAという民間
航空会社等の集まりのほうでも、最近におきますこういった大きな不法
行為の数々に対しまして、やはりそれの
対策というようなことをいろいろきめております。この内容も、たとえば乗っ取りの犯人を法に従って罰するか、被害を受けた国に引き渡すとか、あるいは乗っ取られた
乗客、
航空機の乗員が、
東京条約で具体化された原則に従って直ちに釈放されるように保証するとか、そういうようなことを国際レベルあるいは
国内レベル、企業レベルというようなところでお互いにやるように働きかけようではないかという動きとか、あるいは国連等におきましても、やはりこういった問題について国同士、国際間できめていくようにしようてはないかということで、飛行中の民間
航空機の強制行き先変更という題目で、正式議題に加えて議論を始めつつあるというようなこととか、あるいは米国、キューバの間で一番事例が多いわけですが、ここでは二国間協定などを結んで、いま申し上げたような内容等を具体的にきめておる。こういうような一連の動きが国際的にございます。
こういうようなことをごらんになりましても、なかなかこれはこうすれば絶対だというきめ手になるような
手段方法はない。非常にむずかしい。そういうことで、
日本では、
日本航空その他定期
航空会社において
運航規程というものをきめておりまして、その中に、こういったハイジャッカーに対する応対のしかた、
処置のしかたというものを規定化しております。これも先ほど来申し上げた、いままで国際機構でいろいろ議論されたところの御趣旨を一応盛り込んでおるわけでございますが、これなどは、たとえて申し上げますと、ハイジャキングされたときの大原則は、
乗客の
生命の
確保を第一とするということをまっこうに掲げまして、そのために
機長としては、ハイジャッカーに対して冷静に応対をする。ハイジャッカーは非常に神経がいら立っておるので、そういう者に対して冷静に応対して、特に言語、動作というものに注意をしなければならないとか、ハイジャッカーの応対には
機長がまとめて一人で当たるのがよろしいので、
機長がやるようにしなければならないとか、さっきの神経のいら立ちをおさめるというようなことにも関連しますが、実際に
武器を使用させないように極力話を持っていく、こういうふうにやるとか、
乗客に対してはできるだけ冷静を保つようにおだやかに
事態を知らせる、その
方法はかくかくであるとか、それから強制着陸をさせられたときには、その後の
乗客の救助などについて、客室、乗員その他は十分そのときの
対策を用意しておく必要があるとか、いろいろきめてはありますが、これをやったから絶対にこういうことは起こらない、あるいは起こって、そのハイジャッカーに対してこれならばだいじょうぶだというようなことまで具体化はされておりません。しかし、原則は、何度も申し上げますように、
乗客の安全の
確保を第一に考えて、とにかく冷静に
説得をして、そういう方向に持っていくということを第一に心がけてやりなさい、こういうことがいままで
指示してあるわけでございます。