○
高林政府委員 船員法の
適用がございます場合に、
船員保険法によりまして、当然
船員法上の
船員が
船員保険法上の被保険者になるわけでございます。確かにいま先生御指摘のように、現在、
船員法非
適用の二十トン
未満の者につきましては労災保険だけが強制されておりまして、健保あるいは厚生年金というようなものについては強制されておりません。したがって、労災保険のみに加入しておると仮定いたしますと、千分の三十四という労災保険に対しまして、
船員保険が千分の百四十四
——多少こまかい計数はいろいろ違いはありますが、そういうふうに増大するわけでございます。ただ、おそらく実際問題といたしまして、健康保険にも加入していないというようなことは
比較的少ないというふうにも
考えられますので、通常の場合におきましては、労災保険のほかに健康保険、厚生年金というものに加入しておろかと思います。そういたしますと、その
保険料率は千分の百でございます。そして、それに対して
船員保険は労災面においてかなり厚いものでございますから、千分の百四十四になるというその上がり方は逆に少なくなるというようにも
考えられるわけです。ただ、先生御指摘のとおり、この問題につきましては、二十トン
未満の
漁船船員及びその経営者というものの経営実態を見ますと、非常に零細企業が多うございます。やはり保険の面から見まして、かなり経営というものに対する圧迫という
可能性があるわけでございます。この点について、本問題について
船員中央労働
委員会で審議いたしましたときも、先ほど
加藤先生の御質問にもお答えしたときに若干触れましたが、
船員保険の負担という問題が実は一番問題だったわけでございます。そこで、そういうような負担というものを一挙にかぶせることは非常に問題がある。しかしながら他面、やはりこれらの非
適用船員が社会保障の面におきましていわば一種の谷間になっておるというようなことも実態でございます。そこで、やはり社会保障の観点、あるいはまた
漁船におきましては最近
労働力が不足しておりますけれども、
労働力確保というような観点からも、多少の負担増大はありましても、方向としてはやはり
適用していくべきではないか。しかし、一挙にこれを
適用いたしますといろいろ摩擦が多うございますので、まず相当の年数をかけて、そして事前に相当のPRをして準備をしていただく、そしてまた漁協等ともいろいろ連絡をとるというふうにして、
実施までに相当期間も置き、さらにまた
実施過程に入りましても、段階的にこれを
適用していく、そして他方、いろいろ
漁業民に関するところの振興策がそれぞれ講ぜられておりますけれども、そういうようなものと相まって、こういうような社会保障充実という観点から段階的に
適用していこうということで、その辺の調和をはかっておるものでございます。ただ、御指摘のように、負担がふえるということは確かに事実でございます。