○松本(忠)
委員 分科会のほうの
質問の
関係もございますので、最後の問題に入ります。
ドライバー
保険の問題でございますが、先ほど
加藤委員からもお話がございました、
運転者に
保険を付するという問題につきましては、四十三年から私提唱しまして、それも最初申し上げたときよりは、内容が逐次変わってきております。四十三年の四月四日には
交通安全
対策特別
委員会、四十四年の二月二十五日に当運輸
委員会、さらに五月十五日にはその内容を詳細に文書にして発表もいたしました。さらに七月二十三日に当
委員会でも述べてまいりました。先般も運輸
委員会におきまして、
大臣に、この問題について一応私どもの
考えている点も申し上げたい、こう思っておりました。そのことも申し上げておきましたし、このドライバー
保険のことについて
大臣も非常に御熱心のようでございますので、一ぺん聞いておいていただきたいと思うわけでございます。
私のほうの
考え方を申し上げる前に
一つ伺いたいことは、三月七日の新聞から受け取る私の感じ方でございますが、
自動車の増加率よりも
運転者の増加率のほうが高い、こういう観点から、
運転者が
保険をかけることによって財源が拡大する、それと同時に、
運転者の
事故防止の意識向上をねらっているというふうにございます。
大臣のお
考えがそのままその文字にあらわれているかどうかわかりませんが、いま私が申し上げましたことは新聞そのままでございます。これでは
保険の
赤字解消策の一環ではなかろうか。
保険の
赤字を埋めるために、
自動車の数よりも
運転者の数のほうが多いから負担力があるのだ、それによって財源が拡大されて
赤字の解消につながる、このようにお
考えだとしたら、私は
意味がないと思うのでございます。私が四十三年の四月から申し上げているのは、そうではなくて、時間もございませんから簡単に申し上げますと、現行の自賠責は、
死亡事故の場合、最高五百万円に増額されました。しかし、先ほども
加藤委員からお話があったように、裁判で争われております
事故の補償額は、毎月大体十万円ぐらいずつアップしている。そして一千万円という判決も出ております。また、
世界のこの種の
保険の
金額はいずれも高額でございまして、その点では
日本は最低ともいえると思うわけでございます。
そこで、私どもの言い分はこういうことでございます。死亡の場合についてのみ補償金を高めろ、これは三百万円の
保険金としたい。従来の自賠責にこれを上積みいたしますと、死亡の場合は八百万円になるということです。それ以外は全部現行の自賠責そのままで、私のほうは何ら変更しようとしているものではない。ただ単に
死亡事故が五百万円ではほんとうにお気の毒だから、それを八百万円にしろ、その財源としてドライバーの
保険を
考えているわけでございます。したがいまして、それ以外の問題は全部現行自賠責そのままで、何の変更もありません。
その
保険料の問題でございますが、車種によりまして、
免許証によって一応三千円を平均として
考えております。この
保険料の収入は
運転免許証の所持者に三千円をかけるわけでございますが、先ほど
局長の御答弁の中に、二千五百万ないし二千六百万人、このようにお伺いしました。二千六百万人とすれば七百八十億入ってくるわけでございます。
死亡事故のほうも年々ふえるでありましょうけれども、ことしかりに一万七千人台になったとしましても、三百万円ということになると、五百十億払わなければならない。そうなればペイするであろう、こう
考えるわけです。
保険料の支払いは、
免許証の切りかえ時三年にまとめてやるか、あるいは毎年やるか、これは研究を要する問題であろうと思います。われわれがいま大いに提唱している問題に、
交通安全教育に力を入れなければならぬ。地域社会の方々にもこの
交通安全教育を年一回やる。そういう際に徴収するのも
一つの
方法ではなかろうかと思うわけでございます。年額三千円ということは、一日当たりにいたしますと約八円でございます。
自動車のアクセサリーを一個買いましても二千円する時代でございますから、まことにわずかな
金額だといえるかもしれませんけれども、現実にこれを出すという段になりますと、なかなかたいへんだろうとは思います。しかし、現在の段階で、職業ドライバーの場合はほとんど事業主が負担するという形になるのではなかろうかと思います。
運転者が不足している今日の
状態からいうならば、結局は企業がそれを負担することになるだろう。企業の
負担増、これは当然
考えられるのではなかろうか。規則の上では本人が負担するという形にしても、結局は企業が負担するような形になるだろうと思う。企業側としましても、
考えてみると、現在の
死亡事故が五百万円ということでは非常に不安でございますので、非常に無理して
任意保険をかけているわけです。ところが、それが三千円程度で三百万円増額できるということになれば、企業側も反対をしない。現に私は企業側の方々に御
意見を伺ってみました。三千円程度のものならば決して負担できない問題ではない、それによって三百万加わることによって
死亡事故が八百万円になるのならば、むしろ
任意保険をかけるよりよろしい、こういう
意見でございます。さらに
自動車の大手メーカーにも、重要な位置にある人に直接会って私伺ってみましたが、
自動車メーカーのほうもこの問題を歓迎しております。
そこで、企業負担ばかりともまいりません。いろいろお金を出すのはたいへんな方もあろうと思いますので、国で半額、本人半額、このような拠出制にしたならば一そうよろしいのではなかろうかと思うわけでございます。そうすれば企業側も千五百円の負担でございますから、そのことによって
被害者救済が一歩前進する、保障力が増強する、八百万円になるということになれば、ずいぶんと安心だろうと思うわけでございます。
ところが、この
制度に関しましては、学識経験者の方々に言わせますと、
法律的ないろいろの問題があって、容易に実施できない、こういうふうに言われております。しかし、
運転者の何らかの過失によって
事故が生ずるのであれば、その
責任の一端を
被害者に対して
運転者が持つ、これは当然のことだろう。こういう面をあわせ
考えまして、そしてまた、
運転者自身が
保険料を支払うということは、一面、
保険に入っているという
責任感が
事故を未然に防ぎ、
事故の抑止力になるのではなかろうか。そして保障力が増大し、
被害者救済の実が上がるならば、たいへんいいことじゃなかろうか。
そのほか、
保険料率の問題につきましては、
メリット、デ
メリットの
制度も導入して
——こまかい点はいろいろございますけれども、きょうは時間の
関係上これは省きますが、この私
たちの
考え方、最後の、国で半分、それから本人が半分ということは、いままでの説明書等には言ってございませんで、その点に関してはきょう初めて申し上げたわけでございますが、いままでの私
たちの
考え方は、
運輸省にも大蔵省にも、また
保険審議会の諸先生方にも郵送いたしまして、御参照願っているわけでございます。ぜひともこの実現をはかりたい、こう
考えるわけでございますが、
大臣のお
考えをお伺いして、
質問を終わりたいと思います。