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政府委員(中野
和仁君)
開拓者資金に係る
政府の
貸付金債権の
償還条件の緩和及び
農林漁業金融公庫への
移管等に関する
特別措置法案につきまして、
提案理由を補足して御
説明申し上げます。以下その
内容の概略を御
説明申し上げます。
まず第一に、一般の開拓者に対する
政府の貸し付け金の
償還条件の緩和等に関する
措置についてでありますが、これは第三条及び第九条に
規定しております。
開拓者の負債の現況をみますと、その大宗をなすものは
政府資金で、負債総額の約半分を占めている実情にありますので、今回の負債対策におきましては、開拓者からの申し出に基づき、
政府資金について所要の
償還条件の緩和
措置を行ない、これによって開拓者の負債全体の負担の軽減をはかることといたしたのであります。
その一は、貸し付け利率の引き下げ及び債権の金利別統合に関する
措置についてであります。
政府資金の貸し付け金利をみますと、過去二十数年間において本
制度の貸し付け条件自体、幾多の変遷を経て、現在、五分五厘、五分、四分、三分六厘五毛及び三分の多種に分かれており、しかも管理件数においてすでに三十数万件に及ぶ状況にありますので、この際、開拓者の金利負担の軽減と債権の単純化に資するため、金利が四分以上の資金については、四分に、その他の資金については三分六厘五毛に統合し、これらの金利ごとに債権の一本化を行なうことといたしております。
その二は、延滞元金並びに未納の利子及び延滞金の取り扱いについてであります。
償還条件の緩和にあたっては、その際の延滞元金につきましては、新たに貸し付けたものとしてすべて未到来残高に置きかえることといたしておりますが、この
措置にあわせて未納の利子及び延滞金についても新たに期限の利益を付与し、償還期間内の一定期間に均等に按分し、それぞれ、年賦金を納付すべき納付期限に納付すれば足りることといたしております。
その三は、償還期間及び据置期間についてであります。
一般の開拓者に対しましては、償還期間はその残存期間に相当する期間とするほか、据置期間につきましてもその残存期間がある場合には、その残存期間に相当する据置期間を置くことといたしております。なお、前に述べました債権の単純化にあたっては、償還期間及び据置期間はそれぞれの残存期間の加重平均期間によることといたしておりますが、その加重平均期間に一年に満たない端数が上するときはこれを一年に切り上げることといたしております。
このほか、納付期限につきましては、現在ほとんどの貸し付け金については十二月三十一日とされ、ごく一部のものについて三月三十一日とされているところでありますが、開拓者の
便宜と債権の
農林漁業金融公庫への移管
措置とも
関連いたしまして、一月、四月、七月または十月の
各月の末日のうち開拓者の申し出に応じて納付期限を選択できることといたしております。
また、この
措置と
関連して、その納付期限の選択の態様に応じ、償還期間、据置期間等につき所要の
調整措置を講ずることといたしております。
第二に、特定の開拓者に対する
政府の貸し付け金の
償還条件の緩和等に関する
措置についてでありますが、これは第四条及び第九条に
規定しております。
その一は、償還期間の延長
措置についてであります。
開拓者負債実態
調査の
調査結果等にかんがみ、
現行の
償還条件をもってしてはその償還が困難と認められる特定の開拓者に対しては、償還期間を二十年に延長することといたしておりますが、特にその償還が著しく困難な一部の開拓者に対しましては、償還期間を二十五年に延長することといたしております。なお、据置期間につきましては、一般の開拓者の場合と同様、その残存期間がある場合には、その残存期間に相当する期間の据置期間を置くことといたしております。
その他貸し付け利率の引き下げ及び債権の金利別統合に関する
措置、未納の利子、延滞金等に関する
措置、納付期限の
取り扱い等につきましても一般の開拓者の場合と同様の
措置を講ずることといたしております。
第三に、転貸資金にかかる
法人債務の個人分割に関する
措置についてでありますが、これは第五条に
規定しております。
政府資金の貸し付けについては、
昭和…十五年以前はすべて開拓農協を通ずる転貸方式によっていたのでありますが、
昭和三十五年の条件緩和法によりましてこれを個人分割し、以後
政府資金の貸し付けについてはすべて個人直貸の方式によることとしたのであります。その際、
組合の事情により個人分割を行なわなかったものあるいは末端の転借人が所在不明等のために個人分割できなかった債務が現在なお開拓農協に残されておるわけでありますが、これらの債務については、あらためてこの時期に個人分割を促進し、開拓農協の負債の整理と債権の健全化に資することといたしております。
なお、この場合、個人分割によって引き受けられた債務に対応する貸し付け金債権については、第三条または第四条におきまして個々の開拓者に対する貸し付け金債権とあわせて金利の単純化、償還期間の延長等、所要の
償還条件の緩和
措置を講ずることといたしております。
第四に、共同利用施設資金にかかる
法人債務の引き受けに関する
措置についてでありますが、これは第六条に
規定しております。
開拓農協の共同利用施設の利用の実態をみますと、施設の実質的な利用が特定の集団に限定されているものが多く、これに対応して
組合債務を実質的にこれらの集団に負担させているものが相当ある実情にかんがみ、これらの施設利用者からの申し出があるときは、償還期間の延長を認めて当該施設にかかる
組合債務をこれらの集団に引き受けさせることとし、
組合の負債の整理と債権の健全化に資することといたしたのであります。
第五に、
政府資金にかかる貸し付け金債権についての徴収停止の
措置についてでありますが、これは第八条に
規定しております。
国の債権についての徴収停止等の
措置については、国の債権の管理等に関する
法律に基づいて運用をいたしてまいりましたが、この一般原則をもってしては、開拓者の負債対策として十分な効果を期待できないと考えられますので、次のとおり、徴収停止等の
措置について、その特例を設けることといたしたのであります。
まず、生活保護法による生活扶助を受けている者その他これに準ずる無資力者、所在不明者等に対する債権については、必要に応じ、保証人を追及することなく、徴収停止の
措置を講ずることができることといたしております。
次に、
事業休止
組合等に対する債権については、
組合の理事者の責任を追及することなく、徴収停止の
措置を講ずることといたしております。
また、開拓農協に対する転貸資金にかかる貸し付け金債権で個人分割ができなかった部分の債権については、末端の転借人が無資力者、所在不明者等に該当するものにつき、徴収停止の
措置を講ずることといたしております。
以上、徴収停止の
措置がとられた債権につきましては、国として以後保全及び取り立てに関する事務を要しないものとして整理することになるわけあります。
第六に、
開拓者資金融通特別会計にかかる権利義務の
農林漁業金融公庫への移管に関する
措置についてでありますが、これは第十四条から第十八条までに
規定しております。
開拓者資金融通特別会計からの
政府資金の貸し付けにつきましては、
昭和四十四年度をもってその既定計画の貸し付けの全部を完了することとなりますが、貸し付けが終了する
昭和四十四年度末日における
政府資金の貸し付け残高は、約五百億円の多きにのぼるものと推定されるのであります。この多額な貸し付け金債権を今後二十五年間、適正に管理いたしますためにも、貸し付けの終了後できるだけ早い時期に
農林漁業金融公庫に債権の移管を行なうことといたしております。
まず、特別会計にかかる債権債務については、
昭和四十五年度以降、
償還条件の緩和等の
措置を了したものから順次
農林漁業金融公庫に移管し、
昭和四十六年度の末日をもって一切の権利義務の移管を完了し、
昭和四十七年四月一日をもつて特別会計を廃止することといたしております。なお、特別会計の負担で発行している公債の処理については、
昭和四十七年四月一日をもってこれを
一般会計の負担に帰属させるとともに、同時に同額の法定債務を公庫が一般会計に対して負うこととし、実質的な承継
措置を講ずることといたしております。
次に、特別会計にかかる権利義務の移管にあたっては、この移管
措置が公庫の
経営収支に悪影響を及ぼすことのないよう
措置するという基本原則のもとに所要の配慮をいたしております。すなわち、この移管に際して特別会計における資産の額のうち負債の額をこえることとなる部分の額が
政府から公庫に対し出資されたものとするとともに、その出資額については、公庫が承継債権について消却をする場合は、これに要する財源として必要に応じとりくずすことができることといたしております。
なお、以上の
措置と
関連して公庫における承継債権についての経理を明確にするため、公庫は、承継した権利義務の処理に関する業務にかかる経理については、他の業務にかかる経理と区分し、特別勘定を設けてこれを整理しなければならないことといたしております。
最後に、一般系統資金等にかかる固定化負債の借りかえ
措置についてでありますが、これは第十九条に
規定しております。
開拓者の負債の現状をみますと、一般系統資金等の短期資金にかかる固定化負債が相当多額にのぼっている実情にあるのであります。これら短期資金にかかる固定化負債を長期低利の資金で借りかえますことは、開拓者についても最も効果的な対策と考えられますので、この際、
政府資金についての
措置とあわせてこれらの負債について自作農維持資金による借りかえ
措置を行なうこととしたのであります。自作農維持資金の活用にあたっては、その貸し付け条件につきまして特例
措置として償還期間二十年を二十五年に、据置期間三年を五年にそれぞれ延長することといたしております。
以上をもちまして、この
法案の
提案理由の
補足説明といたします。