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1969-03-31 第61回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月三十一日(月曜日)    午前十時二分開会     —————————————   委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      多田 省吾君     峯山 昭範君      鈴木  強君     竹田 四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         小林  章君     副主査         片山 武夫君     委 員                 郡  祐一君                 塩見 俊二君                 杉原 荒太君                 山崎 竜男君                 野上  元君                 峯山 昭範君     担当委員外委員                 竹田 現照君    国務大臣        国 務 大 臣  有田 喜一君    政府委員        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       麻生  茂君        防衛庁衛生局長  浜田  彪君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛庁参事官   江藤 淳雄君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁総務        部長       鐘江 士郎君        防衛施設庁総務        部会計課長    高橋 定夫君        外務政務次官   田中 六助君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十四年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十四年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十四年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 小林章

    主査小林章君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、多田省吾君が委員を辞任され、その補欠として峯山昭範君が選任されました。     —————————————
  3. 小林章

    主査小林章君) 分科担当委員外委員竹田現照君から発言したい旨の申し出があります。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないものと認め、発言を許します。     —————————————
  5. 小林章

    主査小林章君) 昭和四十四年度総予算中、防衛庁所管を議題といたします。  一昨日の会議と同様、政府側からの説明はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  それではこれより直ちに質疑に入ります。竹田君。
  7. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) それでは、時間がありませんから、実は私、防衛産業関連してちょっとお聞きしたいと思いますが、そこまでいけるかどうかわかりませんが、それに入る前に、関連をして最初に、三次防の核心というものは、一体性格は何なのか、陸なのか海なのか、空なのか、そのいずれに計画力点を置いているのか、これを最初にお尋ねしたい。
  8. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 第三次防の防衛力整備計画は、国防の基本方針にのっとりまして、一次防計画、二次防計画整備方針に引き続いて、通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対して有効な防衛力整備することを主眼といたしております。  その具体的な重点施策としましては、陸上自衛隊では、自衛官編制定数を十八万人とすること、そして機動力向上のためにヘリコプター、装甲車を増強すること、それから防空能力強化のための防空部隊増強することであります。海上自衛隊では、海上自衛能力及び海上交通安全確保能力向上するために、護衛艦潜水艦等の各種の艦船増強とその近代化をはかりまして、また、対潜航空機、対潜飛行艇整備することであります。航空自衛隊では、防空力強化のために、新戦闘機、いわゆるF4E整備に着手いたしました。ナイキ部隊増強する。  こういうように、各三自衛隊におきましてそれぞれの重点を置いておる。こういう次第であります。
  9. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) 要約をしますと、防空体制と対潜能力向上力点があるというふうに理解してよろしいですか。これはアメリカの下院におけるシャープ証言もありますが、そういうふうに了解してよろしいですか。
  10. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 先ほど私が申したとおりでございます。
  11. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) それで、この三次防で一応本土防衛土台というものはでき上がるというふうに理解していいですか。
  12. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 三次防計画は、日米安全保障体制基調としまして、先ほども言いましたように、通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対処するのに有効な防衛力整備し、万一のための局地的侵略に対しては、おおむねわが自衛隊でこれを排除することとしておりますが、陸上自衛隊につきましては、十八万人体制が実現できれば、一応本土防衛土台ができると考えております。海上自衛隊につきましては、特に艦艇整備についてまだ相当増強の必要があると思います。航空自衛隊につきましては、先ほども言いましたように、新戦闘機、すなわちF4E整備に着手いたしましたので、これが整備を完了するのは四次防にわたりますが、その完了後は、航空警戒管制装置整備とか、ナイキホーク部隊増強と相まちまして、相当防空力が保持されることとなろうと、かように思っておりますが、しかし、全体としましては、わが国防衛力はまだ十分ではない。今後国力国情に応じて防衛力をだんだんと増強していく必要がある。かように考えております。
  13. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) いまのお答えと、総理自衛のために十分ではないという答弁と関連をして、沖繩返還後のことを考えてのことなんですか。
  14. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 総理は、御承知のようにかねてから、みずからの国はみずからが守る気概を持ってやれということを強調されておりますが、そのことをこの間の予算委員会におきまして、多分、鈴木委員だったと思いますが、鈴木委員との質疑あたりまして、昨年の観閲式における感想として率直に表明されたものと思いますが、あのことばの中には、これは沖繩返還というようなことを考えた上でのことではない、かように私はお答えを聞いて思っております。  三次防計画につきましては、先ほども申し上げましたように、わが国日米安全保障体制基調として、この上ともわが国みずからも有効な防衛力国力国情に応じて整備する努力をやっていく、かように思っております。
  15. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) そうすると、三次防と沖繩返還関連はどういうことになるか。
  16. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 沖繩返還返還の時期によって異なってきますが、この間総理の言われたのは、沖繩返還のことは別として言われた、かように私は思っております。
  17. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) これはあとに関連しますから譲りますが、そうすると、この武器援助なしの防衛計画ですね。完全国産化、自まかないということになって、三次防はそれで完成するのですか。
  18. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 三次防は御承知のように国産品でやるということを原則としておりますね。したがいまして、できる限り日本産業で、いわゆる日本における兵器装備をやっていきたい、かように思っております。
  19. 野上元

    野上元君 それに関連して、防衛庁長官MAPなしで日本防衛を完備するというのが自衛隊の、防衛庁の最終的な一つ考え方だと思うのですが、現在MAPによって得ておる米軍兵器と、それから国産兵器との比率は、大体いまどういう状態になっておりますか。同時にMAPで貸与された、あるいはもらった兵器が現在使用に耐え得る状態にあるのか、近代戦に耐え得るのであるのか。いつになったらこれを全部新しいものにかえるのか、その点のひとつ関連を聞いておきたい。
  20. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) いろいろとMAP実情は、今後も使えるものと、今後使用に耐えないものと、いろいろあると思いますが、いま国産装備とどういう比率になっておるかというようなことは、ひとつ装備局長から答弁させます。
  21. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) 四十二年度までに防衛庁が調達した装備品調達総額の中で無償援助、いわゆるMAPとおっしゃいました無償援助のもので占めている比率が二七%ございます。それから現在無償援助から有償援助に変わっている部分が大部分でございますが、現在その有償援助分の占める比率が三コンマ強でございまして、あと残りましたのは、当然国内で自前でつくる努力をやっております。
  22. 野上元

    野上元君 これは二七%と三%はまだ残っているわけですね。そうすると全体の三〇%がいわゆるMAP関係装備ということになりますと、この三〇%がだんだんなくなっていくわけでしょう、将来は、それはいつごろになるのか。
  23. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) たとえば艦艇のようにまだ使えるものもございます。今後とも、もうこれからは無償援助のものはほとんどないと思います。これは、自衛隊ができました当初のものがいま残っているということは、陸上自衛隊海上自衛隊航空、いろいろとございますけれども、それは、無償援助のものは今後ほとんどない。有償援助のものと申しますか、国産が技術的にも、あるいは資金的にも、まあいろんなものを考えまして、有償援助のほうが有利であるというものにつきましては、有償援助を利用するということで、有償援助の量は今後ともあると思います。無償援助のものはなくなっていくだけであります。もう返していって、それは国産品で代替していくというかっこうになると思います。
  24. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) そうするとあれですか、三次防で完全国産化というものは完了するんですか。
  25. 蒲谷友芳

    政府委員蒲谷友芳君) まあ三次防の基本方針国産化を推進すると、それも国情国力に応じてという前提がついております。現在装備品でも特に日本としましては非常に出おくれておりますので、完全に国産でまかなうということには、われわれとしても、今後とも努力はしてまいりますけれども、技術面等完全国産ということについては、まだ今後とも時間がかかると思います。
  26. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) そこで、先ほどお尋ねした三次防の核の一つ防空体制強化の中で、中国核武装本格化に対応するものとして、地対空ミサイルの設置などを中心として、かなり思い切った防空ミサイル地帯強化増強、こういうものが見込まれているといわれておりますけれども、その実情はどうなんですか。
  27. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) さっきもちょっと言いましたようにナイキホークですね、それは三次防で計画しておりますが、それもそれほど急に国産というわけでもないんで、三次防ではそれぞれに、ナイキホークも二個隊増強して、そうして四次防にかかってきますけれども、もうそれぞれに一隊をふやす、この先がけを三次防でやると、こういうような計画です。
  28. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) そうすると中国核武装なんというものとは関連なしの——これは関連は全然させてないということですか。
  29. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 中国の核に対しましては、われわれはアメリカ抑止力というものに期待をかけまして、わがほうはそういうものが、通常の攻撃的なものがきたときに、それを国内において撃ち落とす、こういう体制です。そういうことです。
  30. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) 次に関連してお尋ねしますが、防衛庁は四次防の検討に着手されたといいますが、これはどうですか。
  31. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 四次防は、御承知のとおり三次防の上に乗っているものでありまして、三次防は御承知のとおり来年度が第三年目ですね。予算の審議をいま願っておるわけですが、三次防はそうするとあとまだ三年間残っております。われわれが四次防計画を立てる具体的なものは、三次防の末ごろに出るのでありまして、まだ四次防の検討にかかっておるというわけではないのです。だからそこで四次防に関係があるのは沖繩の問題、これは四次防の中には最後は入ってくるけれども、一応、こういう沖繩返還問題がありますから、返還された以上、日本国土と同じように、わが自衛隊が第一義的にこれを守るだけの責任がありますから、沖繩の問題は、私は事務当局に対しまして検討を命じておりまして、四次防はまだやりなさいということは命じておりません。
  32. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) ところで防衛庁長官沖繩返還めどというのはいつだというのですか。
  33. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) それは総理がこの十一月ですか、おいでになって、そこでめどがつけられるものだと思っておりますが、ただめどがそういう段階になりますと、沖繩基地態様もほぼめどがつくのじゃないかというふうに予想しておりますが、今日の段階では、まだまだ向こう基地態様がきまっておりませんので、そこで、検討は命じておりますけれども、まだ沖繩の中における防衛構想をどうするかというようなことを、いま具体的に言える段階ではない、こういうことです。
  34. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) そうすると、総理発言がいろいろと新聞等で伝えられている、七二年返還、これと四次防が始まるのが、たまたま一致するような気がするのですけれども、そういう前提でいろいろなことを——沖繩防衛計画なり、あるいは四次防のそういう構想というものは進められているのじゃないですか。
  35. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) そこで沖繩のほうは先行するといいますが、いま私が検討せいということを事務当局に命じておりますのはそれなんですが、しかし、いまからの問題ですから、私はまだ具体的には、さっき言いましたようにセット中でございますが、おそらく総理がニクソンと会われて、そうして大綱的なめどがついたときに、やはりわれわれと、それから米側との間の、基地をどうするか、また、われわれがそれを、少なくとも沖繩自体防衛力問題について、この面をどうするかというような具体的な協議といいますか、そういうものが出てくると思いますが、それはいまの段階ではそこまで進めることもできない。結局は総理めどをつけられた、その上に立って具体的なものが進む、そういう段階になって、七二年というようなかりにそういうめどが、返還はできそうだということになれば、沖繩が大体こうなる、そのころには、七一年ですから、三次防の終わるのは。そこで七一年あたりに、これが全体の第四次防のアウトラインといいますか、大体のものはそこで出てくる。それを考え合わせて日本防衛計画が成り立つということです。
  36. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) いまのお答えですが、総理なり外務大臣がこれから出かけるわけですが、そのときに沖繩を含めて、いわゆる自主防衛計画というものを何も示さないで、沖繩返還態様が出てから日本沖繩防衛計画なり、そういうものを立てるというのでは、これは私は、日米交渉というのは進まないと考えるのが常識的だと思うのですけれどもね。それはどうなんですか、それは全然別ですか。
  37. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) いや、日本自主防衛は、やはりわが国自身がやることですから、そこでまあ沖繩はいまアメリカがやっておりますので、そこに関連は出てきますわね。けれども、本土のほうは日本自身がやるべきものでありますから、そう、われわれの防衛計画が具体的にきまらなければ、アメリカとの交渉ができぬ、そういう性質のものではない、かように思っておりますが、しかし、われわれ自身が、先ほども言いますように、日本もここまで国力が伸びてきたのだから、日本人みずからの手によって国土防衛をやらなければならぬという、その気持ちは、アメリカのいかんにかかわらず、われわれとしてそういうことを考えておりますから、それは外務大臣がこういうものを、これだけのものをつくって、こうしてこうしてこうやりますという具体的なことを示さないと交渉ができないという、そういう性格のものではないと、こう思うのですがね。
  38. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) 本土の問題でなく、沖繩の問題です。沖繩返還後の自主防衛計画なるものをどういうふうに考えているというふうなことを、何も示さないで、七二年に返してくれといったような折衝だけでは、沖繩の今日置かれているアメリカの戦略上の地位からいっても、それでは、はい、わかりました、七二年に返しますということには、私はちょっといかないのじゃないか。そうすると、沖繩防衛計画というものは、即四次防との関連というようなものに発展をして、それを含めて考えなければならぬと思うのが当然だと思うのですがね。
  39. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) これはまあ外務大臣に聞いてもらわないとわかりませんけれども、大体先ほど私言いましたように、沖繩日本返還されれば、日本自衛隊で、陸海空を通じて第一義的に、われわれがこれをやるというその基本は、これは明らかですね。しかし、これだけの部隊をこれだけ置いて、それで艦艇はこれだけつくって、飛行機はこういたしますとまでいかなくても、そういう具体的なことが、おそらく返還めどがついて、そこで日米間のいろいろな準備期間といいますか、協議をやる間がそこにあると思うのですね。だから、外務大臣が行かれるまでに、それはわれわれの考え方外務大臣も持っていくでしょうけれども、具体的に陸上自衛隊を何人を置いて、海上自衛隊艦船はこうして、航空をこうするというような、そこまでのきちんとしたものは持たなくても十分折衝ができる。また、向こう返還基地態様によりましていろいろと変わってくると思いますから、やはりその辺は非常に私は弾力的なものがあって、その間のアメリカ側日本側基地態様に対して意見が一致した段階において、具体的にこういうことになる、その間の準備期間の間に、双方の間に具体的の相談があっていく、こういう形になっていくわけです。
  40. 小林章

    主査小林章君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  41. 小林章

    主査小林章君) 速記つけて。
  42. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) いずれにしても防衛庁と、外務大臣が行かれるにしても、何らかのかっこう沖繩防衛計画なるもののアウトラインぐらいは持っていかざるを得ないわけですね、具体的に陸、海、空、どういうふうにするということは別として。どうなんですか。
  43. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) われわれは、さきに言いますように、われわれが第一義的には背任を持つという、これは当然のことでしょうし、そういうところから始まっていくのじゃないでしょうか。これは外務省に……。
  44. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) それで外務大臣出席を求めたのですけれども、ちょっと都合が悪くて出られないのですけれども、それはどうなんですか、外務省に聞いてくれといっているのですが……。
  45. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 防衛庁はそういう考えでおります。いま私が言いましたように、コンクリートのものは先だ。大体われわれはこういうような考え方でいるということは、そこは非常に弾力性があると思う、ことに沖繩の問題は。
  46. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) それはあれですか、核抜き返還交渉するならするなりの防衛庁考え方というものは出されなくちゃいかぬでしょう。
  47. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) これは防衛庁考えというよりも、政府考え方でしょうね。
  48. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) もちろんそうです。
  49. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) だから、われわれは、あくまでも日本並びに極東の安全が保たれるということを基本として、いろいろな検討を進めていかなければならない、かように思っております。
  50. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) そうすると、この沖繩防衛計画というのは、当然に四次防との関連というものを考えなくちゃいかぬわけですけれども、七二年に沖繩が返るとすれば、当然四次防が発足する年ですから、それを含めて来年あたりから検討にかからなくちゃならぬ、おそくとも。そうすると、その場合の自主防衛の主軸となる兵器はどんなものになるのですか。
  51. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) まあ兵器もいろいろありますけれども、やはり日本本土だけを見ましても、陸の人間はふやしてもらわなければならぬのですけれども、やはりこれからは装備近代化高度化、こういう方向重点が置かれていくだろう。これは最近の国際情勢から見ましても、そういう方向に強く踏みだしていかなくちゃならぬと思っています。したがって、あくまでもこれはいわゆる通常兵器であって、核とか、そういうことは、日本方針としまして、そういうものには進めない、こういうわけです。
  52. 野上元

    野上元君 防衛庁長官、きのうの朝日新聞によりますと、愛知外相訪米に先立って、当然外務省から沖繩返還問題についての軍事的側面からの検討結果を問い合わしてくるものと見られる。したがって防衛庁は、将来自主防衛というものに力を入れるということになれば、この際専門的な防衛の見地から見て、沖繩基地態様はどうあるべきかということを、当然防衛庁としては考えざるを得ない段階にきた、したがって防衛庁は二十九日このことを明らかにした、こういうふうにちゃんと新聞に出ているわけですが、この前も防衛庁長官に聞いたのですが、佐藤総理本土並み核抜きということを軽々しく発言することは困るという防衛庁筋発表があった。これもまた防衛庁筋発表なんです。この防衛庁筋というのは、一体これはどこなんですか。あなた方のスポークスマンというのはだれなんですか、新聞関係スポークスマンは。これは否定されますか。
  53. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) それは防衛庁の公式的なものじゃないことは明らかです。公式的な見解は、もちろん、私の記者会見あるいは官房長というものが全体の公式の責任は持っているわけです、事務的なものはもちろん、政治的なものは。こうなってくるわけですが、その間にいろいろと報道機関はそれぞれの向きへ行っていろんな個人的な話を引き出すんじゃないかと思うのですね。それが筋とかなんとかいうことで書かれるんじゃないかと思いますので、その記事は私読んでおりませんけれども、私のほうの公式的のものではないことは事実です。
  54. 野上元

    野上元君 私はあなたが発言され、あるいは官房長があなたの命を受けて公式に発表される、これが防衛庁正式見解であるということはわかります。しかし、あなたも実際には軍事専門家じゃないわけですね。純然たる軍人ではないわけです。したがって、防衛ということになると、これはやはり専門家相当強い発言力を持つと思うのです。したがって、あなたが公式見解発表される前には、この専門家たちが集まって一つ構想をまとめて、それをあなたの口を通じて防衛庁正式見解として発表する、こういう段取りになると思うのですね。そのあなたの発表する前の段取りをいまこの新聞が書いているわけですよ。それによると、こういうふうに書いてあるんですがね。「返還後の沖繩局地防衛自衛隊が引受けることは当然だ」。第二として、「しかし米軍がこれまで沖繩で果してきた役割について、いわゆる「抑止力」を過小に見るのは誤っている」。第三として、「したがって、米軍の果している「抑止力」としての役割を十分に評価したうえで、基地態様などについての「対案」を考えるべきだ」。そしてさらにつけ加えて、沖繩基地研報告は非常に甘いということで、防衛庁としては首をかしげておるんだ。したがって、この基地研報告に基づいて沖繩態様考えるということは若干危惧がある、こういう趣旨のものが出ておるわけなんです。これを読んでいきますと大体わかりますね。要するに、防衛庁が何を考えているかということはよくわかるのですが、私はこういうことをやることは当然だと思うのですよ。こういう研究をされることはあなた方の任務だと思うのです、いい悪いは別として。それをあなた方、打ち消すからね。いや、そんなものは私は知らないと言われるからこの問題がこんがらかるんであって、愛知さんが、先ほど竹田君が質問しておるように、訪米してロジャーズ国務長官と会われて、そして沖繩の問題をやられるわけでしょう。その場合に、何らかの構想日本になければ、沖繩基地態様について向こうだって決定のしようがないですね。これはニクソンが何回も言っておるように、いまや日本は世界の大国なんだから、自主防衛についてもう少し積極的でなきゃならぬということを盛んに演説をしておるわけですが、そういう背景を見ていけば、当然外相は何らかの構想を持って行かなきゃならぬ。その構想を固めるのは私は防衛庁だと思うのです。特に自主防衛ということが強調される段階において、いままでのように、アメリカの援護のもとにということではなくして、防衛庁が正面に出るということになれば、防衛庁見解というのは、今後は非常に重要な国策決定の、防衛政策決定のウエートを持つということは当然だと思う。その防衛庁が、愛知外相の訪問までに何もしないというようなことは考えられない。そんなことは考えられない、常識で。したがって、私は何か構想があるんだろうということを言っておるんです。と同時に、この際、時間がないから聞いておきますが、これも朝日の三月二十八日の新聞によりますと、いわゆる大蔵省は防衛庁の第四次計画というものについての内容を検討して、今後第四次計画だとかいうような、五年間を区切っての防衛計画ではとてもこの国際情勢には間に合わない、あるいは科学技術進歩のテンポから見て間に合わないから、いわゆるローリング・システムでいくんだ、毎年毎年こう巻いていくんだ、そして毎年の防衛計画を時代の進展に合わしてやっていくことが望ましい、こういう申し入れを大蔵省があなたのほうにするんだ、こういうふうに言っておるわけです。したがって、一連のものが出ておるんですね、構想が。それはわれわれが新聞を通じてもわかるわけなんだから、それをあなたが、いや、何もない、何もない、そんなことは固まっておらないと言われるから、どうもぼくらとしては突っ込みたくなる。当然のことじゃないですか。その点もう少し明らかにしてもらいたい。
  55. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) その新聞の記事は、先ほど申しましたように、私のほうの公式のものではない。けれども、先ほど竹田さんにお答えしたように、沖繩の問題は私も事務当局検討を命じて検討していることは事実なんですよ。しかし、基地態様上いろいろ変化がありますから、いま具体的にこういうようにいきますと言うところまではいっていない。しかし、検討していることは事実なんです。それと、四次防はまだその段階までいっていない。四次防と沖繩とちょっと切り離してお答えしたと思うのです。そこで、大蔵省の云々の問題ですが、これは大蔵省の考え方なのでしょうが、考え方が、これも大蔵省の公式的の考え方だったら私のほうに正式に話があるべきだと思います。そういう話がない。しかし、大蔵省の一部の人があるいはそういう考え方を持っているかもしれない。これも新聞の報道であって、防衛庁としては、いままでやっているこの五カ年計画ですね、それを毎年毎年変えていくとか、そういうことが具体的に相談もまだできていない。こういうことですね。個人的なことは、それはさっきも申しましたように、新聞記者が尋ねて来たときは、それはいまの基地研報告は甘いとか、あるいはこうだ、こうだということは言うでしょう。言うことがあり得ると私は思うのですが、しかし、政府のほうも私に対する一つの助言者ですから、いわゆる政府当局の正式見解がおよそ固まろうという段階になれば、もちろん私のほうにも相談が来るべきだと思いますが、まだ相談を受けるようなことはいままでないわけですから、ただ、そういうのが一つ新聞の憶測といいますか、そういうように了解をしてほしい。また、私もそういうように考えております。
  56. 野上元

    野上元君 それではお聞きしておきたいのですが、あなたもこの沖繩基地の問題については、防衛の問題については検討を命じていると言われておりますが、防衛庁の中に沖繩基地問題を権討する正式の機関、そしてあなたが命じられたところは一体どこか、どういうメンバーでこの問題をやっているのか、その点はどうなんですか。
  57. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) これは御承知のとおり、いま防衛庁はシビリアン・コントロールで、ここにおる防衛局長責任を持つわけです。しかし、防衛局長もやはり制服のほうの軍事専門家の意見も聞かなくちゃならぬ、こういうことになりましょうから、おそらくこれは防衛局長が説明してしかるべきだと思いますが、防衛局を中心として制服のほうの意見も取り入れながら検討している、こういう段階だと私は思っておりますが、それはまた防衛局長が補足をしていただきたい。
  58. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) いまの長官のお答えのとおりでございますが、内局では防衛局がそういう計画は所管しております。私以下スタッフが勉強しております。シビリアンだけではもちろんございませんで、統幕議長以下の統幕のスタッフ、それから陸海空の各幕僚監部、主としてこれも陸では第三部長、海や空では防衛部長という、防衛計画を担当いたします部がございますが、その人たちが長官命によって勉強をしている。こういう段階でございます。
  59. 野上元

    野上元君 いつ結論が出るのですか。
  60. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 結論はなかなかそれはそう簡単に出ぬと思うのですよ。それはもう最後の最後は、やはり沖繩基地態様がきまって正式にアメリカ協議するというような段階が出てくると思いますが、しかし、いまの検討は、こういう場合はこうだろう、ああいう場合はああだろうということを想定しながら検討する、こういうことですね。
  61. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) いまの野上さんの基地のお話ですが、これはおとといの「毎日」では一面トップで、基本構想の意思統一が関係筋で大体なされた、「この基本方向は川島副総裁を中心とする自民党内の意見調整、駐米大使館などを通ずる対米公式接触、米政界、民間人との非公式接触、日米京都会議沖繩基地問題研究会の報告書、国民世論などを慎重に考慮して、政府首脳間で意思統一したものである」と、こう出ているわけですね。そうすると、これは肝心の防衛庁長官というのは全然これに参画していないということになる、意思統一されたとすれば。何か先ほどからの答えでは、政府筋、政府筋というのは防衛庁長官政府筋だし、自主防衛については最も重要な役割りを買っている一人でしょう。その一人が全然はずされて、こういう対米折衝基本構想というものが別の世界で練られているとはわれわれ全然感じないわけです。考えられないわけです。ですから、その点が、先ほどの質問もそうですが、これもまた全然ただ単なる新聞のあれですか。
  62. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) それは主としてまあ党のほうのあれでやっていることではないかと思いますけれども、われわれはいま、先ほど言うように検討中でありまして、いずれ政府内部では外務大臣と打ち合わせしなくちゃならぬところも出てくるだろうし、ことに総理が訪米されるときは、政府の一員として、ことに防衛庁としては、いろいろの今後のことについては、沖繩防衛については責任がありますから、それはもう当然話し合いをまとめていかなくちゃならない、かように思っておりますが、ただ、いまのところでは、いま申しましたような、いろいろな仮定をまじえての検討中でございますので、まあかくかくでございますということを皆さんに申し上げる段階ではない、この点はひとつ御了承を願いたいと思います。
  63. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) 重ねての質問のようですが、総理が渡米される前までにきめられるのか、それから、外務大臣が行かれる前までに大体きめられるのか、それはどっちなんですか。
  64. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) それはですね、いろいろとまあ構想がありましても、あれじゃないでしょうか、ラフと言ってはおかしいけれども、第一次的のこういうような考え方、それから第二次的なこういう考え方というのがだんだんと、外務大臣が行ったらすぐコンクリートになるわけじゃありませんから、そこはいろいろ折衝と申しますか、交渉段階において非常に変わってくると思うのです。だから、総理のときは大体めどをつけられるのだから、だいぶはっきりしたものが出てくるのではないか。外務大臣が行けばちゃんときまってそのとおりを総理がやられるわけのものではないのではないか。だいぶその間に、外務大臣の訪米と総理の訪米との間に時間がありますから、その辺のところは私が答えるのもどうかと思いますけれども、少しは幅があるものだと、かように思います。
  65. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) いや、もちろん外務大臣が行ってコンクリートにしてくるわけじゃないのですから。しかし、大体の基本構想というものは持って行かないと、やはりトップ会談に行く前の根回しですから、その根回しが本舞台に入る前に確固たるものを持って行くということ、それは当然でしょう。ですから、六月の初めに行かれるわけですから、おそくとも来月なり五月の中ごろまでには、外相の渡米に対する一つの第一次基本構想といいますか、そういうものだけは防衛庁を含めて考えられるでしょう。
  66. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) まあ、外務大臣とまだそういう正式のあれはやっておりませんけれども、先ほど言いますように、いまわがほうとしては検討中でございますから、外務大臣の要請によって、こういうところまではまあこうだろうというようなことが言える段階になるかもしれません。それはひとつ外務大臣のいろいろの考え方もあるし、また、われわれのいろいろな考え方もあるので、そういうことは政府部内としてそれは話し合うことがあるかもしれないということはわれわれも想像しております。
  67. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) 外務省はどうなのですか。きょうは大臣のかわりに政務次官が見えておりますが。
  68. 田中六助

    政府委員(田中六助君) 外務省は、いま防衛庁長官が言っておりますように、それぞれの腹案は防衛庁から十分、専門的なことでございますので、聞いた上で大臣は渡米したいという腹づもりでおります。
  69. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) それでは、私がお尋ねしようとしたのは、時間がちょっとありませんので簡単に触れますが、この三次防から四次防にかけて行なわれる兵器国産化、これはまあ特に四次防は四兆五千億あるいは五兆といわれていますね。いまそれもはっきりしておらないでしょうけれども、おそらくそういうふうになるだろうということが巷間伝えられていますが、そこでこの兵器国産化に対する防衛庁、これも大蔵省も入るところは大蔵省も含めてですが、基本的な考え方というものは、三十五年の十月に出された防衛次官の「兵器国産化に対する方針」というものがありますね。あれの三点、要約すれば三つですけれども、そのいずこに重点を置かれておりますか。
  70. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 三点あったらちょっと読んでください。
  71. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) 国内に補給源を持たないと、作戦、整備、補給上将来の運用に支障を来たすもの、これが一つ。それから、既存の設備並びにすでに開発された技術を有効に活用することができ、また値段から見ても経済的に国産化できるもの。それから、将来の航空機、誘導ミサイルその他工業全般の技術水準の向上に役立つもの。これですね。
  72. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) そのいまの三点は私はつまびらかにしませんけれども、私どもの考え方としましては、第一、防衛という特質から考えまして、やはり日本国産しないと困る場合が多いのですね。いざというときに適切に補修なりをちゃんとやっておらないと、外国にばかりたよっておっては修繕をやろうというときに外国に持って行かなければやれない。そうすると適時適切な対策ができないというおそれがあって、これは防衛といいますか、軍事的の基本的なことですね。それからいろいろとふぐあいがありますね。ふぐあいのときに、日本国産化されておるとそれを直していくときにぐあいがいいと、そういう特質があることが第一点。それから、たとえば今回のファントムあるいは先般やっておるナイキとかいわゆるミサイル関係ですね、そういうのは日本の技術が非常におくれております。そこで、その高度の技術をつくることが日本航空機製造事業なら製造事業というものを非常に今後発展せしめる、進展せしめる大きな役割りを持つ。また、それに関連をするいろいろな部品、部分品的のものがありますね。私はこれはすぐれたものである。だから、日本のそういう関連事業を一そう振興せしめる役割りを持っておる。私どもは、さっきの軍事的の性格が第一。次いでは日本のそういうものを発展せしめる大事な役割りをになっておる。それから、あわせて関連的の振興をはかりたいと、こういう根本的な考え方から、多少値段が外国から入れたほうが安いという場合でも——その間に限度がありますけれども——しかし、多少高くても、日本の将来の科学技術の進展、発展という意味もあわせて、軍事的の特質から国産品でやっていこうと、こういう考えでおります。
  73. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) なぜ私が聞くかというと、これはナイキホークにしても今度のFXにしても、前の104ですか、これにしても、予算編成に際してこれが機種なりその他決定するまでには、大蔵省は、向こうのほうから買ったほうがうんと安いと、これは十億くらいだ。ところが国産にしても約二十億——二十億までしないようだけれども、そんな高いものを買う必要はない、たいへん抵抗されておったんですね。それが一変をして、国産化方向に踏み切っている。その過程にいろいろなことがうわさされる。そうなってくると、いま長官がおっしゃったように、値段云々と言っていますけれども、FXにしても十億が二十億といったらちょっとやそっとじゃないですね、倍ですから。ですから、そういうところまでいくと、さきの国産化方針の二項の、経済的云々なんというものは全く度外視されて、兵器国産化というものがますますエスカレートしていくんではないのか、そういうふうな気がしてならないわけですよ。ですから、国産化方針というものは、いま金額的には軍事産業の中に占める率が非常に少ないから、産軍結合体とかなんとかというものの心配はないとか言われておりますけれども、兵器というものはだんだんとエスカレートしていくものなんですね。いくものなんですね。ですから私は、いまのうちにこの問題というものははっきりしておかないと、これは私はいけないというような気がするものですから、このさきの三十五年の「国産化方針」というものが大きく転換をして、いろいろ理屈はつけられますけれども、兵器国産化をますますエスカレートしていく方向防衛庁は拍車をかけるように追い込まれていくんではないか。そんな気がするものですからお尋ねしているんですが。
  74. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) ちょっと竹田さんね、誤解があるんですよ。さっきのファントムについて十億が二十億、倍だという話がありましたが、これはちょっと違うんですね。ものの比較をするときは、国産化と輸入と比較するときは、条件を同じようにしなきゃならないですね、条件を。裸値段と、こっちがいろいろ装備やなんかしたのと比較されてはほんとうの比較にならない。そこで裸値段を比較して——裸だって、日本に輸送するのに輸送費も要りますね。いろんなそういうものがついてくる。そういう同じ条件にしますと、向こうが約十五億に対して、わがほうは十六億八千万円か九千万円。まあ一億九千万円ほどは国産のほうが高いのは高いけれども、倍も、十億も違うというものではない。そういう意味で高いのは高いけれども、さっき言いましたように適時に、適切にやっていくのは、これは防衛のほうの特質なんですね。私たちいつかここでも話したことなんですが、私の時計もこれ舶来ですが、ちょっとこれいたむと、外国へ持って行くとこれ五十日、二カ月くらいかかるときがあるんですね。精工舎の時計だったらすぐ修繕、直してちゃんとやれるんですね。そういうところを見ると、私どもも、適時、適切に対応していく防衛性格としては、やはり国産に向けることがどうしても必要になってくる。けれども、まだそういうのが日本の科学技術が進歩してない面があるから、これは外国から技術を入れなきゃならない。部品なんかも入れなきゃならない面もあるけれども、方向としてはそういったような行き方でいきたいというのがわれわれの考えで、何も、国産でやるからこれが非常にエスカレートするわけでもない。大蔵省は金のほうが第一ですから、それは安いほうにというふうに頭が最初向くでしょう。しかし、私たちが、いま申しましたような防衛の特質からいってかくあらねばならぬということを主張して、それに大蔵省もなるほどというところに気づかれて、今度のファントムなんかは解決を見た。こういうことでして、輸入して、何だかんだ言って、いかにもいろんなことがありそうなことをうわさされておりますけれども、ことに今回のファントムの決定は私の前のときで、私は軽い立場ですけれども、私が就任してから何かそういう忌まわしいことがあるなら、もっともっと私のところへいろいろな話があるべきだと思うのですけれども、一向にそういう話がない。それで私は、今度はそういういわゆる黒い霧に通ずるものがないと、こういうふうに確信しておるわけですがね。その点だけはひとつ了解をしていただきたい。
  75. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) それはあなたはさまったあとの長官だから、別にないでしょうけれどもね、ないと思いますがね、しかし、金の問題については、まことに一銭一厘も渋い大蔵省が、あれだけこれを決定するまでの間にいろいろなことを言われて、これは新聞その他あらゆるものに書かれていて、いま長官が言われるような、単にぼくが誤解するとかなんとか、ぼくは誤解もハッカイもないと思うのです。十億か二十億かということについてあのように伝えられていた。したがって、大蔵省と防衛庁の間に一億か一億五千万の違いであれだけ長い間いろいろいわれることはないと思うし、それからこの問題をめぐっていろいろ取材をしている新聞、雑誌の人、あるいは評論家の人たちが、この問題についてあれだけのことを書かれるのは、いま長官のお答えのような単純なことだったら、あれだけ疑惑に包まれたようなことにならぬと思うのです。しかし、それは時間がありませんから言いませんが、ただ、先ほどお話ししたように、そういういろいろなことで国産化がだんだんエスカレートしていく。あるいはまた、一つ兵器の決定というものは、それは確かに国内のいろいろな技術水準その他に関係があるわけです。大体そういう軍事技術というのが常に先行しながら発達していくもんですからね。そうなってくると、ある一つ兵器を採用するということは、防衛産業の膨張をもたらす限り歯どめのない悪循環を推し進めていくものだ。そういうふうに考えたときに、これから四次防にかけて、防衛庁兵器国産化にどこまで、何というか、防衛産業というのですか、兵器産業というのか、いろいろ育成をしていこうとするお考えがあるかないかは、これはたいへん将来に大きな問題を生む原因になりかねない、そういうふうに思っているものですから私は聞いておるわけなんです。
  76. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) その国産化を進めると歯どめがきかなくなる、これは私は受け取れないんですよ。国産化だろうが輸入だろうが、それは同じことじゃないかと思うんですけれどもね。私は、防衛産業とくされ縁なんというものはこれは断たなければならぬと思っておりますけれども、けれども、やはり国防の本質からいいまして、日本のいわゆる国産化でいくということがやはり大事なことです。先ほどからるる申しておるように、大事なことでありまして、また、日本防衛力というものも、外国ばかりに依存しているというような、それじゃほんとうの自主防衛にならないのであって、やはりみずからこれを守るという気持ちを持つと同時に、日本防衛産業もやっぱりみずからの手によって日本防衛装備をやっていくという、そこまでのやはり技術の振興もはかっていって、そうして日本全体がよくなっていくべきではないか、かように思うので、それはひとつ立場は違うかもしれぬけれども、御理解願いたいと思います。
  77. 野上元

    野上元君 防衛長官、防衛を主体にして考えた場合、その装備整備するのに、輸入であろうが国産であろうがそれは問題じゃないということは、一般論として成り立ちますね、防衛を主体にすれば。問題は、産軍複合体というようないわゆる弊害の問題が、かつてアイゼンハワーがやめられるときに、アメリカの軍並びに産業に対して警告を発せられたのですね。そうしていま問題になっていますが、そのことを考えると、国産か輸入かではたいへんな違いになってくるのです、これは。私は、竹田君もそこをついていると思うのですよ。たとえば、いまアメリカでABMを設置するのに大問題になっていますね。政治的な大問題になっている。センチネルをセーフガードに切りかえざるを得なかった。その非常に大きな国内的な反対があったわけです。ABMは必要ない、ナンセンスだ、しかしニクソンはついに産業界の圧力に屈して、センチネルはやめたけれどもセーフガードでがまんしてくれということで、いわゆる基地防衛だけにしたわけですね。ということは、やはり産業の大きな圧力なんですね。聞くところによると、アメリカ兵器産業によって七百五十万から八百万の人が生きているというんですね、問題は。したがって、最後には、産業のために軍備があるのか、防衛があるのか、防衛のために産業があるのかわからないような状態になってくる。産業がどんどん技術開発をして、こういう兵器を買ってくれ、こういう兵器を買ってくれというところにその問題が出てくる。そうすると、軍と結びつく、そこに腐敗が起きるということが、これはもうどんなりっぱな人がやっておってもこれはそうなる。これは必然の論理だというわけですね。だから、その点をよほど防衛庁のほうでも慎重にやってもらわないと、将来防衛が腐敗、堕落したら、これはたいへんなことでしょう。おそらく。かつて防衛庁の中にもそういう経験があったわけですから、貴重な人を二人失っておるわけですからね。そういう事態に発展する可能性のある産軍複合体の芽がいまあるとするならば、この際あなた方のほうとしても十分警戒をしてやってもらいたいというのが私たちの希望なんです。
  78. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) まあ私が先ほど言いましたように、いわゆる防衛産業とのくされ縁とか、そういう御心配はないように、これはもうあくまで綱紀粛正をやって、ちゃんとやっていきたい、こういう私は信念とそういう決意で、いま防衛庁の諸君にもしょっちゅう話しているんです。といって、防衛の特殊性からいって、日本国産でこれでやっていくという、その一つ方針は曲げるわけにはいかない。そこで、あくまで、悪いことといいますか、綱紀粛正といいますか、くされ縁はこれはあくまでも断っていく。そうしてわれわれの防衛の見地から日本国産を国についてこさせる。防衛産業にわれわれがひっついていくという、そんなことでなくて、われわれの防衛の必要から産業をついてこさせる、こういう方針でいきたいと思います。ひとつその点は御了承願います。
  79. 竹田現照

    担当委員外委員竹田現照君) 時間がありませんから、これはもう少し突っ込んでやりたかったんですけれども、これは防衛庁と、いま野上さんが言われたようなことばかりでなく、これは政治家が介入するわけだから、こういうことには。だから、いま防衛庁長官お答えしただけでは必ずしも——長官は一年間でやめてしまうから、そういうわけにはなかなかいかないから、これはやはり政府全体が産軍結合体というようなものが日本に起きないために、いまからやはり、みずからの国はみずからが守るんだなんて、そのことだけで、こっちのほうをおろそかにされる心配が私は必ず出てくるような気がしますから、いまちょっと触れておいたわけですけれども、いずれ機会をあらためて、きょうは時間がきましたからやめますけれども、ひとつ考えていただきたい。     —————————————
  80. 小林章

    主査小林章君) この際、分科担当委員異動について御報告いたします。  ただいま鈴木強君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。     —————————————
  81. 峯山昭範

    峯山昭範君 私、北富士演習場の問題について伺いたいと思います。北富士演習場の林産物雑産補償金の支払いですけれども、昭和三十九年以降、三十一名の補償金の受給資格者が支払いが保留されているということを聞いているんですけれども、その理由を先に説明を願いたいと思います。簡単にお願いします。
  82. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 北富士演習場関係の林野雑産物の補償につきましては、三十九年から四十一年度分につきましては昨年の三月に支払いをいたしましたが、その際、上吉田、北富士、淡谷、忍草の組合につきましてはそれぞれ一応支払いを完了いたしましたが、そのうち忍草の一部組合員が脱退したということのために、この支払いを保留いたしておるのでございますが、これにつきましては、現地におきますところの組合の円満な何といいますか、運用というような点につきまして、今後ひとつできるだけ円満にやってもらいたいという趣旨から、お支払いを保留しておるのが実情でございます。
  83. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに三十一名の人がいまの組合に復帰しなければこの補償はやれない、こういうぐあいに聞こえるわけですけれども、もともとこの補償金はどういう性格の補償金なんですかね。
  84. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 林野雑産物の補償は、先生もすでに御承知だと思いますが、入り会いの事実がございまするので、これの入り会いを政府の演習場の使用等によって行なうことができなくしておる事実がある、それに対する補償という前提で支払いをいたしておるのでございまして、したがいまして、それぞれの入り会いをいたしておりまする各人の損失に対する補償という観点で支払いをいたしております。
  85. 峯山昭範

    峯山昭範君 自衛隊のそれは結局個人に対する補償ですね、基本的には。
  86. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 入り会いというものが入り会い組合等の団体によって慣行的に規制を受けておるという事実は私ども認めておるのでございますが、補償をいたしまする相手方としては、個人というものを一応前提にしている、こういうふうに考えております。
  87. 峯山昭範

    峯山昭範君 法人に支払わないというような何か法的根拠はあるのですか。
  88. 山上信重

    政府委員(山上信重君) これは法人に支払うというより、入り会いをしております各人から委任を受けました入り会い組合の代表者、これに支払いをしておるというふうに、こういうふうにわれわれは考えております。
  89. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに三十一名は委任を解除しているわけですね。その場合に、三十一名に対しては、当然個々に支払うか、または当然別個に支払うべきだと思うのですが、どうですか。
  90. 山上信重

    政府委員(山上信重君) この点につきましては、支払う補償の性質からいいまして、個人を対象といたしておるのでございまするが、同時にまた入り会いが入り会い組合の団体的規制によって行なわれておるということも事実でございますので、円満を期するためには、入り会いの皆さんが入り会い組合において融和された姿でひとつ補償申請をしてくるということが、今後の円満を期するためにも必要ではないかというふうに考えておりますので、われわれとしてはできるだけ一緒になってやっていってもらいたいというようなことから、この点をお願いいたしておるのが事実でございます。
  91. 峯山昭範

    峯山昭範君 三十九年以降相当日にちがたっているわけですけれども、円満を期するためといまおっしゃっていますけれども、具体的にどういうふうな手を打ったんですか。
  92. 山上信重

    政府委員(山上信重君) これは県あるいは地元の権利者協議会その他の関係の団体等がひとつ調整をとっていただくように、これらについて要請をいたしておるという姿でございます。
  93. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するにそういうふうな外部の、県のほうとか、いろいろお願いをしておるのはわかりますけれども、実質問題として、三十一名の農家の皆さんが第一組合のほうへ入らないということは、なぜ入らないのか、そこは施設庁としてどう把握しているのですか。
  94. 山上信重

    政府委員(山上信重君) この内部的なこまかい心境その他については必ずしも十分把握いたしておりませんが、その内部におきまして必ずしも統一がとれないということから出たんではないかと想像いたしております。
  95. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに今回のこの問題については、もう相当長期間にわたっておりますし、もう五年も前のことでありますし、零細な農民ということから考えてみますと、国が当然支払うべき金額が、お前たちがもともとの組合に入らないから悪いのだ、国が悪いことはないのだ、結局お前たちは分派行動するから悪いのだ、そういうふうなやり方で、結局一方的に三十一名の人たちは虐待を受けているといわれてもしかたがないと思うんです。そういう点から言うと、結局は当然個人の権利、個人の権利というか何というか、受け取れるべきものを受け取れない、行政面からいっても行政の一貫性を欠く、もっと言うと、結局弱いところにしわ寄せがくる、こういうことになっておるわけですけれども、こういうことについて、ほんとうはもう少し私は委員会で掘り下げて、別の機会にやりたいと思うんですけれども、こういうふうな第一組合に入らないから君らが全面的に悪いんだという考え方では、これはいつまでたっても解決しないと思うんです。どうですかね。
  96. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 脱退された方が必ずしも悪いというふうに私どもは考えておるわけではございませんが、北富士の問題は、今後におきますところの使用転換その他、いろいろ政府といたしましてもこの地区におきますところの諸施策をできるだけ円満にやってまいりたい、やっていっていただきたいという趣旨からさような措置をとっておるわけでございまするが、先生のおっしゃるような個人に対するそういう補償という性質もございまするので、今後これらができるだけ解決できまするように、われわれとしても前向きで検討してまいりたいというふうに考えております。
  97. 峯山昭範

    峯山昭範君 長官、こういうぐあいにして、過去五年間にわたりまして、要するに三十一世帯の人たちが組合から離れた関係で、感情的にはいろいろあったと思いますけれども、数百万円にわたるお金が、支払われないで国のほうで保管しておるということになっているわけですね。この際、実際のところ支払いの義務だけは果たすという長官のほんとうは言明があれば一番いいわけですけれども、こういう点、長官どう思いますか。
  98. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) この問題は相当その後の経過も長くなっておりまするし、そこでひとつ県及び地元との調整の上で今後支払う、こういうような方向で早く検討して進めたい、かように思っております。
  99. 峯山昭範

    峯山昭範君 しっかり頼みます。  時間がございませんので、急いで少しずついきますけれども、指揮官心得ですか、長官が、前の衆議院の予算委員会ですか、あのとき私どものほうの矢野書記長からいろいろ質問いたしました、指揮官心得を着々と検討しておる、そういうような話があったわけですが、その後いかがですか。
  100. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) この治安出動は相当慎重にやらなければいかぬと思っておりますけれども、この治安行動というものは自衛隊に課せられた一つの義務でありますので、そこで指揮官心得につきましては、いま事務当局で鋭意進めておりますが、近く成案を得て、私のところで最後の結論を得たい、こういう段階にいまなっていますから、そのうちにきまる、こういうことでございます。
  101. 峯山昭範

    峯山昭範君 ずいぶん長官、この間のときは着々でしたが、今度は近々となりましたので、ずいぶん早くできそうですけれども、ちょっとお伺いしたいのですが、自衛隊が出動する場合、どういうふうな出動があるか、ちょっと簡単に教えてもらいたいのですが。
  102. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) いろいろな場合がありますから、事務当局から申し上げます。
  103. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 出動の態様といたしましては、第一番目が防衛出動でございます。それから治安出動に二種類ございまして、命令による治安出動、それから都道府県知事の要請による治安出動、二種類ございます。それから海上における警備行動ということがございます。以上の行動はまだ一度もやったことはございません。それから、以下はたびたびやっておりますけれども、災害派遣がございます。それから領空侵犯がありましたときの対領空侵犯措置、さらに機雷等の除去、不発弾の処理といったものが自衛隊の行動でございます。
  104. 峯山昭範

    峯山昭範君 そのうち武器を持って出動するであろうと思われる出動はどういうときですか。
  105. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 防衛出動は当然武器の使用が予想されると思います。それから治安出動については、法律上武器使用は可能でございます。必ずしも、絶対に武器を使うかどうかは事態によると思いますけれども、法律上は可能でございます。
  106. 峯山昭範

    峯山昭範君 その二つですね。
  107. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) はい。
  108. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうすると、当然自衛隊の皆さんが武器を持って出動する場合には、なぜ、どういう理由で武器を持って行くのだ、こういう事態のときにこうして持って行くということがはっきりきまってないと、自衛隊の皆さんも実際問題として困ると思います。そういうふうな意味でも、当然指揮官心得なんというものはきちっとしてないとほんとうに困ると思うのです。そういうふうな心得というものをつくっているそうでありますけれども、これにかわるものは現在はないのですか。
  109. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) それは、現在はいわゆる幹部が——幹部というか、部隊の幹部ですね、そういうものがよりより話し合って、大綱はよく相談いたしておりますし、それからまた、私のほうと警察のほうとの覚え書きといいますか、一つの申し合わせもありますし、いろいろあるわけなんです。しかし、さっき防衛局長が言いましたように、治安出動の場合は武器を使用できる。問題は、使用できるが、それを使うときは指揮官の命令によってやるわけですね。だから指揮官心得が必要だというので、いま着々やりおるのですが、着々がだんだん進みまして、近く成案を得るという段階になっております。
  110. 峯山昭範

    峯山昭範君 先ほど覚え書き、申し合わせ書というものがあるということですけれども、それを一ぺん資料としていただけませんか。
  111. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) けっこうです。説明してもいいです。
  112. 峯山昭範

    峯山昭範君 時間がないからあとで資料としていただきます。  それから実際問題として、たとえばそれぞれの幹部がお互いに話をして、話し合ってきめるが、そういうふうなきめ方では、実際問題としてほんとうにいろいろな問題が一ぱい起きてくると思います。個人的な考えの相違もありますし、そういう点はどういうぐあいになりますか。
  113. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) でありますから指揮官心得が必要だというので、鋭意急いでやっておるのであります。
  114. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、現在はないのですか。要するにそういうふうな申し合わせとか、こういうものしか現在はないわけですか。
  115. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) さっき申し合わせと言いましたけれども、ちょっとことばは違っておるかもしれません。警察とうちのほうの関係はほかのことばであるかもしれませんが、その詳細は政府委員から申し上げます。
  116. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 簡単にお答えしますと、武器使用のことについては法律できまっているわけです。さらにそれをふえんしまして、訓令でもってまた出ているわけです。それから治安出動した場合のことにつきましては、警察との協定があるわけでございます。したがってそれが基本になるわけでございまして、いかに指揮官心得をつくるといっても、これをさらにふえんしたもの、あるいはこれをさらに実際にやる心得というようなことであります。したがって、大綱はあるということで御承知願いたいと思います。
  117. 峯山昭範

    峯山昭範君 ちょっとあれしますけれども、先ほど自衛隊の出動、いわゆる武器を持って出動するいわゆる防衛出動、治安出動以外に、実際問題として、たとえばこの間金沢の飛行機の墜落の事故がありました。あのときにカービン銃を持って出ましたが、あれは何ですか、何によってああいうふうになったわけですか。
  118. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) あのときに、一般の警戒的な措置として、通常自衛隊員としては小銃等を持っておりますので、そのままのかっこうで出たかと思います。
  119. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに自衛隊の墜落事故で、警戒とか何とか言いましても、ほんとういえば火事で燃えているわけですから、あんなときにカービン銃なんか持って出たって何にもならないわけです。私は決してそのこと自体をとがめているのでなくて、自衛隊の皆さんもかわいそうでしょう。あんなときカービン銃持っていって、いた人に石を投げられたり、さんざんで、実際自衛隊の皆さんは泣いているわけです。だからそういう大事なときにこうあるべきだというのがございませんか。必要でしょう。
  120. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 金沢の事故のときは、私もその晩すぐ行きましたが、最初二人ほどが拳銃を持って行ったんです。それは、飛行機の墜落したのがいろいろな群衆によって動かされたりしますと、あとの事故の究明のときに困りますので、そういう意味合いでもってあそこに見張りをしておったわけですが、しかし、御指摘のように地区住民に対していろいろな感情的に無用のものが発生してはいかぬというので、私は直ちにそれはやめなさいと言ってやめさせました。最初は拳銃を持っておって、あの墜落飛行機をいろいろと群衆がきて動かされたりしては困るというので、二人ほど監視しておったという程度です。ほかの者はみんなあと片づけをやっておったんです、みんな。大きな部隊が拳銃を持ってやっていたわけではないんです。
  121. 峯山昭範

    峯山昭範君 時間があまりないそうですから。要するにあのときは長官は夜着いたんですよ。それで実際問題その現場を見ていないわけです、カービン銃の。ですから、こういうのはとにかくただ簡単に拳銃を二人持っていたとか、そんな簡単なものではない。現地の人はものすごく怒っていますよ。ですからああいう問題は当然今後の問題として、自衛隊の皆さんが武器を持って出る場合には当然こういうぐあいにすべきだというものが必要だと思う。治安出動だけではなく、そのほかの場合でも、当然こういう場合にはこういうぐあいにしろというものがなければならぬと思う。もっと言いますと、現地の指揮官にも先般聞きましたが、そのことをここでいうと問題になるくらい変なことを言っています。実際たいへんなものですよ。そういう点からいいますと、当然こういうような指揮官心得、そういうふうなものを国民の前に明らかにして、それでこういうものがあるんだということをはっきりしないと、私は今後いろいろな事件が起きるたびに問題になると思うんです。長官しっかり頼みますよ。  それからもう一つ、一問で終わりますけれども、国防白書というやつですね、二、三日前の新聞に載っておりました。それで一ぺん聞こうと思っていたんですが、国防白書は、防衛庁は膨大な予算を使っているわけでありますので、当然国民の前にこういうものをつくって明らかにすべきだと思うのですけれども、いわゆるこれは担当者が一人というのはほんとうですか。担当者が一人でつくっているというんですよ。十分な白書はできそうにないというんですよ。ほんとうですか。それから実際問題、こういう何というか、表現もむずかしいとか、いろいろなことが一ぱい書いてありますけれども、これ、長官どうなっているのか、ちょっと詳しくお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 国防白書はぜひ近くこれをつくり上げたいというので鋭意検討しておりますが、一人だけと——責任者は一人であるかもしれませんが、一人だけがかかっているものでもありませんが、その詳細は官房長から説明させます。
  123. 島田豊

    政府委員(島田豊君) ただいま長官からお答え申し上げましたように、現在国防白書の必要性につきましてはわれわれ感じておるわけでございまして、防衛のあり方、あるいは自衛隊の現状等について国民の皆さま方に広く御承知を願いたいというのが基本的な考え方でございますが、担当者につきましては、現在官房におります防衛審議官に責任者となってもらいまして、その取りまとめをやってもらっておるわけでございますが、もちろん一人で書いておるわけではございませんで、内局の各担当官、あるいはさらにはその背後には幕僚監部の資料等も十分整えまして、それを中心にして現在検討しておる、こういうのが実情でございます。
  124. 小林章

    主査小林章君) 以上をもちまして、防衛庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。  なお、これをもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費、国会、会計検査院、内閣、総理府及び外務省並びに他分科会の所管外事項に対する質疑は全部終了いたしました。  これをもって本分科会の審査を終了いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれにて散会いたします。    午前十一時二十五分散会      —————・—————