○国立
国会図書館長(河野義克君) 便宜、機械化の問題を最後に申し述べさしていただきたいと思います。
国立
国会図書館の第二期の工事も昨年完成をいたしまして、その建築の規模あるいは図書館サービスの態様からいいまして、私
どもといたしましても、世界で指折りの図書館であると存じておりまするけれ
ども、御指摘のとおり、蔵書の量になりますると、まだまだこれから努力すべき余地がきわめて多いのでございます。四十四年一月末現在で申しますと、図書としては二百四十三万二千数百点、それから地図、レコード、マイクロフィルム、博士論文、点字書、その他いろいろ特殊の資料がございますが、そういうのは合計いたしまして二十五万四千三百三点になります。簡単に申しまして、図書が二百四十三万ということは、アメリカの議会図書館に比べましても、ソ連のレーニン図書館に比べましても、いまおっしゃいましたように、はるかに及ばないのでございます。ほかの規模ではすでにそれを凌駕したかにも見えるイギリスのブリティッシュ・ミュージアムの図書館、あるいはフランスの国立図書館、こういうものに対比いたしましても、蔵書の数ではだいぶ劣っているのが現状でございます。私
どもは鋭意この蔵書を拡充をいたしたい。今度の御審議を願っている
予算におきましても、図書購入費が三六%増しておりますが、これは図書館開設以来のことでございまして、私
どもはさらに努力をいたしまして、この蔵書の充実をはかってまいりたいと存じております。
それから、海外に駐在員その他を置いて、海外の資料をもっと集めるようにしたらどうかと、この点もまことにごもっともでございます。すでに米国の議会図書館は、世界の十数の国に海外事務所を置きまして――東京にもございますが、それぞれ当該国の中央図書館等と協定をいたしまして、その国の出版物、学術的価値のある出版物は全部購入し、これを米本土に送りましてカタログにすることをやっております。ソ連におきましても、あるいはドイツ等に――デュッセルドルフに駐在員を出したこともあるように存じます。私
どもは、そういう駐在員を出して云々ということをもとより希望いたしますが、それよりも第一の着手としては、海外に出張をいたしまして、各国の出版
事情、あるいは図書を輸入するにはどういうふうにしたらいいか、その手順、そういうことをつまびらかにいたしたい。また、普通のルートではなかなか入ってこない、国よりも下がった州とか、ランドとか、いろいろなところの資料を集めたい、そういう希望を持っておりまして、そういう欧米であり、東南アジアであり、アフリカであり、そういうところに資料の収集のために
職員を出張せしめたいという希望を強く持っておりますが、現在、海外出張につきましては、国際
会議に出席をするという以外におきましては、なかなか認められないのが実情でございまして、私
どもといたしましても、国際ドキュメンテーション連盟の
会議、あるいは国際図書館協会の
会議以外には、なかなか認めてもらえない現状であります。こういうことにつきましては、今後格段の御支援も得て、私
どもも努力をしてやっていきたい。さらには、いまおっしゃいました海外に駐在員を置いて云々というところまでいきたいものと存じております。
それからコンピューターの問題でございますが、これは世界の大きな図書館、別して米国の図書館においては、相当普遍的にもはや開発をされております。一九六六年にアメリカの図書館専門協会で調査をしたところによりますと、すでに六百三十八館の図書館がコンピューターを導入し、九百四十二の図書館が導入を計画しております。米国の国立図書館である議会図書館、医学図書館、農業図書館はもとより、各大学図書館等においてずいぶん行なわれております。ヨーロッパにおきましても、英国のロンドンにあるナショナル・セントラル・ライブラリ、あるいは大学図書館、あるいはオランダのデルフトであるとか、ドイツのボークムとか、こういうところではコンピューターの利用が大々的に開発をされております。そういう趨勢からいきましても、わが国内外の図書館からの需要に応ずるためからいいましても、特にわが図書館の規模からいって、その業務を充実し、発展さしていくためには、どうしてもコンピューターの導入を含めた機械化ということを促進しなければならない時期にきていると思います。
昭和四十年から私
どもは館内に業務機械化調査会というものをつくりまして、鋭意このことを研究し、また実験的にもいろいろなことをやってまいり、書誌の編さん等も行なってきております。これを昨年末でありましたか、本年一月でありましたか、業務機械化推進本部と改組をいたしまして、いよいよコンピューターの導入が日程にのぼったという
考え方のもとにやっております。実は本年度のいま御審議を願っている
予算におきましても、このことを要求いたしたのでございますが、種々折衝の結果、明年度においては、それに
協力をしましょう、今年度においては、さらに六百数十万、いろいろ
予算をつけるから、開発的なことをやってほしい。それで大事な国費がむだになってはいけませんから、慎重に準備をしてりっぱにやってほしい、そうしましょうというようなことでやっておるのが現状でございます。