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国務大臣(愛知揆一君)
海洋開発の問題は、先ほど来御論議がございますように、いわば宇宙
開発と並んで当面の国際的な大きな問題であり、また非常に新しい問題であると思いますから、
政府といたしましても、
海洋開発については、先ほどお話もありましたが、おくれていることも認めつつ、あらためて積極的に対処しなければならない、こういうふうな姿勢でおるわけでございますが、同時にただいまお触れになりました問題は、国連等におきましても、法律的な観点と申しましょうか、そういうような観点からも非常な真剣な論議が行なわれているわけでございます。で、当面といいますか、従来ともとっておりましたわがほうの態度といいますものは、先ほ
ども農林大臣からもお話がございましたが、
領海の問題等につきましては、いずれにしても、ある国が一方的に主張だけをしてみても、これは効果のある問題ではございませんし、それからやはり考え方の基本としては、
海洋自由の原則というものも一方においては大いに考えていかなければならない問題であると、こういうことからいたしましても、国際的に少なくとも大多数の国が合意をして、そして条約的にこの
領海というものをきめなければほんとうの成果は発揮することはできない。同時にそういう主張に基づいて、従来いろいろの漁業交渉その他に、わがほうとしてはその
立場から二国間あるいは多数国間の話し合いに向かっておったわけであります。
そういう点からいいますと、大陸だな条約につきましてもいろいろの御論議がございますが、先ほ
ども申し上げましたように、鉱物
資源については、大陸だな条約に入っていようがいまいが、わがほうとしての主権的権利は
確保されておる。これは国際的にも定着した通念であると思いますから、これはもう問題ないと思います。しかし、カニその他については、条約上の不明確な文言に基づいて、たとえば
アメリカ、たとえばソ連などは、大陸だな
資源であるという主張をしている。それはこちらとしては、わがほうとしては、それはけしからぬ主張である、大陸だな条約の文言からいってもその主張は当たらないというのが、わがほうとしての堅持してきた態度であって、それに基づいて交渉をやって、そしておそらくは日ソ間のカニの話し合いにいたしましても、ここ一週間か十日のうちには、わがほうの主張が相当に認められた妥結が期待されている。いまモスクワでその交渉の最後の段階にきておるわけでございます。そういう関係でございますから、ただ単に現存しておる大陸だな条約というものに対しましても、その内容がもっと明確になり、わがほうとしても納得できるようなものになれば、これは改善されて、そうなれば、これに積極的に
参加するということも考えられると思いますが、そういう点も含めまして、たとえば国連におきましても、
日本としても、その
方面の専門的な権威者も随時派遣いたしまして、わがほうとしての主張は十分にこの上ともしていくつもりでございます。
そして
海洋の分割というようなお話が、ただいまの御質疑にもございましたが、こういったようないろいろの
動きに対しましても、わがほうとしては公正な
立場で、しかもわがほうの主張というものが十分に
確保できるような、そういう
立場でもってこれから十分の努力を積み、かつ成果をあげなければならない、こういうふうに考えておりますのが現在の
政府の態度であり姿勢であると、かように申し上げておきたいと思います。