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政府委員(長橋尚君) 石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして
規定されております再建交付金を受けました企業が、特定の場合に事業を閉山の際、石炭の生産事業をやめます場合に、金融機関に対する損失補償の面で特例扱いを許される
規定がございます。この点について御
説明申し上げます。
再建交付金を受けます企業が、将来石炭の生産事業を廃止いたしました場合には、そこで再建交付金の交付契約、
政府との間におきます交付契約は解除されまして、そうして金融機関がその
段階で抵当権を実行いたし、回収不能におちいりました損失の二分の一を国が当該金融機関に対して交付をするというのが一般原則でございます。で、それに対しまして特例
規定が設けられているわけでございまして、その考え方について御
説明申し上げたいと思います。
現在、申すまでもなく石炭企業は、非常に金融債務につきましても超過債務を全体としてかかえているというふうな
状況で、そういった
状況下におきまして、新しく石炭再建のための金融を受けようといたしましても、担保適格物件が非常に枯渇していると、こういう
状況でございます。こういった
状況に対処いたしまして、石炭生産金融、特に長期金融につきましては、石炭鉱業合理化事業団の無利子金融を来年度予算において大幅に拡充するための措置を御提案申し上げているわけでございます。同時に一般市中金融につきましても、できるだけそこから石炭再建に必要な資金を調達する
努力を企業に慫慂することが望ましいわけでございまして、こういった面の奨励措置といたしまして、再建交付金を受けました石炭企業が、当該取引金融機関と談判をいたしまして、そこで担保の解除を受けて、その解除担保を見合いに、新たに石炭再建に必要な金融を受けました場合に、その企業が
昭和四十九年の四月一日以降まで石炭の生産を続け、それ以降石炭生産事業を廃止いたしました場合には、原則的に当該金融機関に対しまして、担保を解除して新たに貸し増ししたことに伴う損を来たさないように、金融機関に対して、先般御
説明申し上げました一般原則の二分の一を上回る補償をいたすと、かような制度でございます。そこで、この制度に基づきます担保解除、そしてそれに基づきます新たな金融機関からの借り入れば、
昭和四十五年三月三十一日までに実行しなければいけないことに相なっております。こういたしました
理由は、現在非常に担保枯渇の
状況であり、しかも石炭再建のために企業
努力を最大限に発揮しなければいけない、こういった
事態においてこそ、金融機関の新たな貸し増し協力を得べき筋合いでございます。本来から申しますれば、再建交付金契約を石炭企業が
政府との間に締結いたしますまでに借り入れを実行してもらえれば一番効果があがるところでございます。それもいささか窮屈に過ぎますので、一年間の実行期限を設けた次第でございます。それから、
昭和四十九年四月一日以降石炭の生産事業をやめるのでなければ、それまでは石炭生産の事業を継続するのでなければ、このような損失補償措置の特例に均てんし得ないと、かような措置を講ずることにいたしましたゆえんは、この制度の本旨が、石炭の長期的再建に役立つような金融を奨励していくと、市中金融を奨励する、かような意味合いでございますので、少なくとも本新石炭対策の対策期間でございます五年間の間は石炭の生産事業を継続し得るような企業でなければ、この制度の適用対象にしない、かように考えるのが制度の目的に照らして妥当であろうと
判断いたしたからでございます。