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国務大臣(有田喜一君)
大学院受験拒否の実態と対策につきましては、自衛隊の装備の近代化及び高度化に伴いまして、自衛隊の技術
関係の職種の中には、修士課程卒業程度以上の基礎的な知識と能力を必要とするものがだんだんふえておるのですね。これらの要員を
計画的に養成するために、自衛官等を部外の一般
大学院の
大学の学生として、
昭和三十二年以来、継続的に派遣しておるのでございます。ところが受験拒否の実態としましては、
昭和三十八年以来、数校において、それぞれの
学内事情を理由に、受験の取りやめの申し出がいままでありました。これらの数校については、受験が至難となっております。なお四十四年度は、理工学
関係で受験したものは八校ありまして、延べ二十三人であったのですが、全員が不合格となっております。過去の実績を見ますと、最高時の三十八年には修士課程及び博士課程合わせて六十九名が入校いたしております。また、その合格率を見ますと、四十一年度は六五%合格しております。また四十二年度は七三%合格しておりますね。また、四十三年度は四一%合格したわけです。こういう過去の実績から見ると、今回一人も合格しないということは、別に
試験を疑うわけじゃありませんけれども、何らかの疑点があるように私は考えられてしかたがないのですね。
そこで、
試験が曲げられているということはよもやあるまいとは信じたいのでございますが、万が一そういうようなことがあったらこれはたいへんなことでありまして、特にこういうことは私は非常に遺憾だと思いますが、なお、先日この
委員会で、一人の補欠の受験生があるということを申しましたが、あとでわかったのですが、これは二人ございました。その二人が残って、名前を言うと熊本
大学でございましたが、そこで補欠募集の受験に行ったのでございますが、この二名の者が、これまた教官から受験拒否の申し出を現場で、学校へ行ってからやられてきた、とうとう受験ができなかった。こういう実情でございます。
視野の広い科学技術要員を、防衛庁としてはこれは確保する必要がございまして、近代的自衛隊
建設のために必須の要件であるのでございますが、これがために、広く一般
大学に今後とも継続的に派遣する必要があると考えておりますが、こういうような事態が起こっておることは、まことに遺憾でありまして、今後も極力
文部当局の
協力を得て、そうして受験拒否
大学に対しては深き反省を求めたい、そうしていままで受験を許されておるような
大学においても、ひとつ厳正な
試験によって、合格者をわれわれとしては確保したい、かように考えております。
それからもう一つの
研究発表、いわゆる学会における
研究発表の拒否の実態でございますね。これは実は
昭和四十二年の十月に、日本生物環境調節
研究会、また
昭和四十三年の十月に土木学会、気象学会等が名古屋の
大学の構内で開催されたことがあるのです。ところがこれらの学会から、出席
予定者の防衛
大学の教官あるいは防衛庁の技術
研究本部の職員というものを派遣して、それで
研究発表をさせようとしたのですが、学生とのトラブルの発生が予想されるので出席を取りやめてほしい、こういう旨の申し出がありました。結局これらの学会の出席を取りやめた事態があります。しかし、これらの学会におきましては、発表を
予定しておった論文は、その後、その会誌といいますか、それに
内容を掲載してくれるということになって、そういう措置がとられておるのでありますが、防衛庁の職員が学会に直接出席をして、直接の発表ができなかったことは、非常に遺憾でございます。なお、昨年同じ名古屋
大学におきまして開催
予定されておった航空宇宙学会がありましたが、そのときは会場を
大学じゃないほかの
場所でやったのですね。そのときには、防衛庁の
研究家もその発表が許されて、出席ももちろん許されたのですね。そういうような状況から見ますと、学会自身の態度というよりも、むしろ
研究を発表する
場所、すなわち
大学における学生運動の影響によってその学会がそれをよう押えぬ。そして、学生運動に押されて、防衛
関係のそういう
研究家の発表を、出席もさせずに、発表させなかった、こういうように見受けられるのであります。これら学生運動に動かされておるところの学会の現状というものは、まことに私は遺憾であります。今後学会の良識ある措置を要望してやまないのでございます。そういうような次第でございます。一応実態と
所信だけをお答え申し上げます。