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国務大臣(
佐藤榮作君) この問題は、私もかつて科学技術庁長官をいたしました。そのときの私の願いは、このくらいのものをひとつ純国産で開発したい、日本で開発してどこにも迷惑かけないようにしよう、ここに
一つのビジョンを持とうじゃないか、こういうことで
関係者を実は督励したのでございます。その当時は米ソ両国、またその後においてフランスが打ち上げた、こういうことでありますけれ
ども、フランスの場合には
アメリカの協力を得た、かように私は理解しております。これは純然たる国産ではない。だから、まだ日本の純国産のもので開発できれば第三番の国になれる、こういうのが
一つの私の夢でもありました。その後
アメリカから、なかなか日本も成功しない、そういう
意味で、協力できるものがあればやろう、こういうことの申し入れがあり、これは私が
アメリカを訪問した際にもそういうことがありましたが、そのときに、私もだいぶがんこですから、いやそのうちに打ち上げるからしばらく日本にやらしてくれ、こういうことで実は過ごしたのであります。それが、ジョンソン大統領から昨年の正月メモが来た。もうとにかく日本で全然できないのか。御
承知のように、第三
段階まではこれはうまく推進していく、第四になるとこれができていない、こういうことで、どうも残念ながら日本の開発はおくれております。そうして、
関係の省それぞれが、打ち上げというか、推進については非常な関心を持っておる。実は、みんな花火を打ち上げることについては関心を持っているけれ
ども、そんなものでもないんじゃないか。それぞれの立場においてそれぞれの
分担があるわけです。だから、そういうような
意味合いでこの問題と取り組んでいけばうまくいくんじゃないか、こういうことも実は私
自身がいろいろ指図したわけであります。したがいまして、最初の間は大学を中心にして文部省
関係のものを一生懸命やる。そこへもってきて科学技術庁が来た。この二つに、さらにインテルサットが出てきて、そして、ただいま言われるように、今度は通信衛星としての機能が非常にあると、こういうことになってくると、今度は郵政省
関係もこれに多大の関心を寄せている。ただいま、そういうようなことで、
関係省が非常にふえてきております。そこで、先ほ
ども申したように、何らか自分たちが推進して固有の衛星を
一つ打ち上げる、そのためにはもう少し機構もやはり
考えなければならないのじゃないか。一番最初は文部省と科学技術庁の間を調整することが主でありましたが、その後の
状態等から見ると、運輸省の気象も
関係するし、主として郵政省の施設、これが重大なる関心を寄せる、こういうことになってきた。これは森中君の守備範囲でございますが、その
関係される範囲だと思いますが、そういうようになって、変わってきております。
そこで今度は、いまのような点がどうしたらいいのか、もっと早くやらないとすべてに立ちおくれやしないか。国際的な地位、それも守らなければならないし、これからの宇宙開発の利用面、これは平和の面においてもすばらしいものがある、かように
考えるがゆえに、今度は
事業団を設けてこれで開発を進めていく。その際に
アメリカの協力も得よう。しかし、もともとが本来自分のところでもやろうというくらいに
考えておるものでございますし、またいまの技術をもってすれば十分総合的な機能を発揮すればできないことはないはずだと私はいまだに
考えておりますので、そういう点でも、もちろんずいぶん金のかかる問題ですから、
アメリカも協力しようという、これはいい機会だからこういう
意味で協力を頼もうというような気持ちにもいまなっております。そういう
関係がありますので、さらにそれを軍事的に利用するという
考え方は最初からございませんし、これからはもちろんそういう心配はない方向でこれを利用するというところに徹したいと思います。ただ単に国際的に、メキシコ・オリンピックが宇宙衛星を通じてすぐ日本で見られるとか、こういうようなことばかりではございません。国内的の通信
需要から見ましても、もういままでのような有線だけではなかなかできない。また、無線にしても、おそらくこの
需要を充たすためには不十分だと思います。国内的にもこれは必らず役に立つ、かように私は
考えておりますので、そういう
意味においてこの衛星がさらにりっぱな平和的な機能を発揮し得る、こういうことも
考えます。だから、それらの点についても私は国民に約束をするもので、軍事的には利用いたしません。これも約束ができますし、またその点において機密事項というものは——商売上の問題は先ほ
ども触れましたが、特に軍事上の機密というようなものがこれにあるわけはないというのが私
どもの基本的な立場であります。したがって、その御心配のないようにしたいと思っております。むしろ積極的に、宇宙は二、三の国が人工衛星を上げており、それらの国だけに開発の権利があるわけではない、われわれも同じように宇宙開発に加入し、またその宇宙の人工衛星を利用して、そうして平和にこれを利用できるその権利を持ちたい、かように
考えて、せっかくこの問題と取り組んでいる際でございます。
そこで、
関係省が非常に多い。いまおそらく、郵政省の
関係を見れば、テレビの問題も、また無線の問題も、また国内における有線の
関係からも、こういうものが使われる。さらに、まず第一は、最近は情報産業ということが言われておる。情報産業にもこの宇宙衛星、人工衛星は必ず役立つものだ、そういう
意味でも使いたい、かように
考えておりまして、ただ単に気象
関係だけではない、その範囲が非常に拡大してまいっておりますから、その立場において、日本が十分先進工業国の仲間入りをして、また先進工業国としての科学的な恩恵に浴し得るような、そういう立場でこの問題と取り組みたいと、こういう
考え方でございます。
いまいろいろ御心配がございますようですが、軍事的な問題とは取り組まない、どこまでも平和に徹する、そういう
意味でありますし、また宇宙は国際的に世界各国とも同じようにこれが利用されるということでなければならない、かように思いますので、国際条約その他につきましてもそれぞれ日本のポジションというものを明らかにするようにこの上ともつとめていきたい。また、機密そのものは、商業上の問題は別として、それ以外には私
どもは
考えておらない、かように御理解をいただきたい。