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国務大臣(
佐藤榮作君) 事柄の性質上、最終的には、私が出かけて最終的にきめたいと思います。しかし、外務
大臣が出かけますから、そういう際にこの話が全然ないということはございますまい。必ずこの話も出てくるに違いない。そういう場合に、いま言われますように、当方の主張を言う。また、相手方の話もいろいろ聞いてきます。これは最も正直な、実情についての率直な話である、かように思います。しかし、私も、こういうものがいままでもしばしばやられておりますので、そのつどの交渉はとにかく大事な交渉でございますから、昨年小笠原が返ってきた、その経過等を見ましても、これはもう
一つ一つの交渉が積み重ねられて、そして結論が出てくるのです。そういうように考えなければならない。ただ出かけてくるのだ、それぞれひまになったからここでと、こういうものじゃない。それはもう外務
大臣十分心得て出かける。しかしそれが最終的なものではない、かように思います。また外務
大臣が出かけます際には、私も外務
大臣とさらに打ち合わせをしておきますが、しかし、そういうものが交渉の場に当たりましてどういうような方向で進むことが一番望ましい交渉になるか、あるいはその手のうちがみな出てしまって、フリーハンドなしの外交交渉が、これが日本の国益にはたしていいかどうか、そこらもやはり
理解していただきたいのであります。私は、皆さん方に
考え方をどこまでも秘して、いわゆる秘密外交をするというような
考え方はもちろんございません。いまの時代ですから。しかしながら、重大なる交渉にあたって、やはり責任の所在が内閣にある、そういうことを考えると、ぜひ成功させたい、こういう
意味で、なかなか率直に話しかねるものもある。この辺はあらかじめ御了承置きいただきたいのであります。この問題はもうすでに始まっていると言ってもよろしいのです。と申しますのは、昨年の小笠原が復帰したそのときの共同声明をごらんになれば、両三年のうちにこの施政権返還、そういう方向の前向きで話をしようということになっているのですから、全然新しい話をぶつけるわけじゃございません。でありますが、それらの点をどんどん詰めていって、それがはたして有効になるかどうか。また皆さんが、先ほどもお話がありましたが、京都会談、これでもずいぶんはっきりした話が出ているが、しかし、だれがどう言ったということ、それだけは
会議の記録にもとどめないようにしようという、こういうことでも、非常な慎重な
態度のようでありますし、またずいぶん率直であるアメリカの議員団諸君、これが日本にやってきて、各党とそれぞれ交渉を持った、ずいぶん率直な連中だが、こういう問題になってくると、必ずしもそれが非常な率直で、
考え方が非常にはっきりした、こういうものでもないようです。この辺のこともお考えいただいて、ただいま申しました外務
大臣の積極的な話、六月に出かけるという、この六月に出かけるということは、ジョンソン国務次官、向こうに帰る際に、私どもが一応のスケジュールとして、まず外務
大臣をひとつ受け入れてくれ、その次には日米閣僚合同
会議、これがまあ今度は日本でやるようになっている。そのときにも、ひとつそれぞれの個別的会談で話をさらに詰めようじゃないか、さらにまた私が最終的には十一月以降にでも出かけたいのだ、そういうことを一応了承をして、そのスケジュールと言いますか、スケジュールの
一つがいま向こうでも了承されている。そういう状況でありますから、むずかしい問題には違いありませんけれども、また不用意に飛び出すわけにもいかない、これも御指摘のとおりであります。そういう
意味で、十分考えてまいりたい。そういうところではむしろ、ただいまは白紙でありますだけに、
政府をひとつ鞭撻もいただきたいし、そういう
意味ならいい知恵もかしてやる、こういうことが望ましいことでありますし、それでこそ初めて、
国民もこの問題についての
国会議員の方々に対する期待があるのじゃないだろうか、かように私は考えておる次第でございます。