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1969-02-22 第61回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十二日(土曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員の異動  二月二十二日     辞任         補欠選任      内藤誉三郎君     山崎 竜男君      多田 省吾君     三木 忠雄君      鬼丸 勝之君     玉置 猛夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         塩見 俊二君     理 事                 内田 芳郎君                 江藤  智君                 栗原 祐幸君                 小林  章君                 米田 正文君                 秋山 長造君                 山本伊三郎君                 二宮 文造君                 片山 武夫君     委 員                 大谷藤之助君                 梶原 茂嘉君                 川上 為治君                 小枝 一雄君                 小山邦太郎君                 郡  祐一君                 佐藤 一郎君                 柴田  栄君                 白井  勇君                 新谷寅三郎君                 杉原 荒太君                 田村 賢作君                 玉置 猛夫君                 中村喜四郎君                 西田 信一君                 西村 尚治君                 増原 恵吉君                 山崎 竜男君                 吉武 恵市君                 川村 清一君                 木村美智男君                 竹田 現照君                 中村 波男君                 野上  元君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 松永 忠二君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 鈴木 一弘君                 三木 忠雄君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  西郷吉之助君        外 務 大 臣  愛知 揆一君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  坂田 道太君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        農 林 大 臣  長谷川四郎君        通商産業大臣   大平 正芳君        運 輸 大 臣  原田  憲君        郵 政 大 臣  河本 敏夫君        労 働 大 臣  原 健三郎君        建 設 大 臣  坪川 信三君        自 治 大 臣  野田 武夫君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君        国 務 大 臣  有田 喜一君        国 務 大 臣  菅野和太郎君        国 務 大 臣  木内 四郎君        国 務 大 臣  床次 徳二君        国 務 大 臣  保利  茂君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制次長   吉國 一郎君        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        内閣総理大臣官        房        陸上交通安全調        査室長      宮崎 清文君        総理府恩給局長        事務代理     平川 幸蔵君        公正取引委員会        委員長      山田 精一君        警察庁警備局長  川島 広守君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       麻生  茂君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁総務        部長       鐘江 士郎君        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        経済企画庁調整        局長       赤澤 璋一君        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 義夫君        科学技術庁原子        力局長      梅澤 邦臣君        法務省刑事局長  川井 英良君        公安調査庁長官  吉橋 敏雄君        公安調査庁次長  内田 達夫君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        外務省経済局長  鶴見 清彦君        外務省条約局長  佐藤 正二君        大蔵省主計局長  鳩山威一郎君        大蔵省主税局長  吉國 二郎君        国税庁長官    亀徳 正之君        文部省大学学術        局長       村山 松雄君        厚生省公衆衛生        局長       村中 俊明君        厚生省環境衛生        局長       金光 克己君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省年金局長  伊部 英男君        農林大臣官房長  大和田啓気君        農林省農林経済        局長       亀長 友義君        農林省畜産局長  太田 康二君        農林省蚕糸園芸        局長       小暮 光美君        食糧庁長官    檜垣徳太郎君        水産庁長官    森本  修君        通商産業政務次        官        植木 光教君        通商産業省通商        局長       宮沢 鉄蔵君        通商産業省企業        局長       大慈彌嘉久君        通商産業省重工        業局長      吉光  久君        通商産業省繊維        雑貨局長     高橋 淑郎君        通商産業省公益        事業局長     本田 早苗君        運輸省船舶局長  佐藤美津雄君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省航空局長  手塚 良成君        海上保安庁長官  河毛 一郎君        郵政政務次官   木村 睦男君        労働大臣官房長  岡部 實夫君        労働省労政局長  松永 正男君        労働省労働基準        局長       和田 勝美君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        建設省計画局長  川島  博君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省税務局長  松島 五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十三年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出、衆議院送付) ○昭和四十三年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十三年度一般会計補正予算昭和四十三年度特別会計補正予算、両案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き質疑を行ないます。木村美智男君。
  3. 木村美智男

    木村美智男君 物価問題の質問に冒頭から入ろうと思ったのですが、実はきのうの野上委員質問に対する高辻法制局長官答弁でありますが、どうもけさ新聞やら、あるいは速記を見まして、政府交戦権を認めたような答弁をされたように私受け取っております。これはきわめて重大である。憲法の第九条には国の交戦権は認めない、明確にこれは規定をしてあるわけでありますから。また、従来の政府答弁から考えてみても、これは拡大解釈ではないかというふうに考えられるので、この点明らかにしていただきたい。
  4. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) お答え申し上げます。  昨日、ただいまのお話のような御質疑がありまして、私、詳細に速記録を調べておるわけでございませんが、私の記憶と、それから新聞に載っております詳報をまあ見て申し上げたいと思うのでありますけれども、昨日も申し上げましたように、憲法の九条二項が交戦権を否認しておる。これは第一項において国権の発動たる戦争放棄していることに見合うものである。したがって、交戦権放棄は、これは戦争放棄と相伴ってあるものであるから、そのほかの戦争と違う武力行使、つまり自衛権行使としての武力行動、それを現実具体的に行なっていくについて国際法上適法と認められる根拠、これをさがし求めるとすれば、それは交戦権と違う、いわば自衛行動権というようなものであって、交戦権ではないと思うということを実は申し上げた、二度にわたって申し上げたつもりでございます。しかし、この御質疑も、それが趣旨であったのではないとは思いますが、自衛の範囲を出なければ交戦権もあるというふうに考えてよろしいかというようなお尋ねがありまして、その私がいま言った自衛行動権というものの実体が同じであるなら、そういうお考えを持っていただいてもそれはいいだろう。中身さえ違わなければと申しましたけれども、これは私の言う実は本旨ではございませんで、あくまでも憲法の第九条二項が否認をしている交戦権、これは絶対に持てない。しかし、自衛権行使に伴って生ずる自衛行動、これを有効適切に行なわれるそれぞれの現実具体的な根拠としての自衛行動権、これは交戦権と違って認められないわけではなかろうということを申し上げた趣旨でございますので、不明な点がありましたら、そのように御了解を願いたいと思います。
  5. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 関連。そういう説明書きを言うからいろいろ混乱を起こすのですが、いままで政府交戦権というものは認めていないという態度を一貫してとってきたのですね。したがって、自衛行動権交戦権というものは明らかに概念的に分けてもらいたい。交戦権国際法上あるとかないとか、そういうまぎらわしいことを言うと問題になります。したがって、政府態度を表明するために、ひとつ総理からその点を明らかにしてもらって議事を進めたいと思いますので、交戦権はないということを明らかにしてもらいたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 憲法戦争放棄、また、交戦権は認めておりません。これははっきりしております。自衛権はこれを認めておりますから、そこでいまのようなまぎらわしい、交戦権がいかにも認められたのではないか、かような議論が出るのだと思います。いわゆる国際法上の交戦権は認めていないと、はっきりいたしております。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ。それはそれで一応いいのですが、けさの毎日新聞を見ますと、きのう羽生委員総理に対して質問されました、この秋以降訪米して、ニクソンとの会合がもし日本にとっては問題があるような場合には、幾らでも執拗に交渉するという総理答弁があったと思います。官房長官けさ新聞を見ると、一回限りの勝負だ、こういうような印象を与える新聞記事が載っているのですがどちらが、ほんとうですか。
  8. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 新聞記者団との会見で申し上げたことに誤解を持たれたようでございまして、総理のおっしゃっていることがほんとうでございまして、総理のおっしゃっている、なるべくならば一ぺんで勝負がつくように十分準備をしなければならぬ、こういう気持ちでございます。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 いまの点は了承いたしますが、従来の例を見ておりますと、しばしばこういうことがあるのですね。国会総理大臣が明確に言明されたことが、どうもその意味のふえんなり、あるいは補足なりという形で官房長官との記者会見が行なわれるんでしょうが、しかし、報道されるところは、あたかも総理大臣国会の場での言明を否定したり、あるいは取り消したりというような意味で報道されていることがしばしばあるのです。だから、そういう点については今後厳にひとつ注意していただきたいと思うのです。二度とそういうことがあってはならぬと思うのですが、官房長官いかがですか。あなたが一番記者会見をよくやられるのですから。
  10. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私の職務柄、黙否権を使っているわけにいかぬものですから、できるだけ政府の考えていることを間違いなしに報道していただきたいということでやっております。もちろん昨日のことも総理大臣の御答弁前提としてのことでございますから、総理大臣答弁を訂正するというような、そういうふうな越権行為は断じてございません。しかし、御注意は御注意といたしまして、十分謹慎して慎しんでやるようにいたします。
  11. 秋山長造

    秋山長造君 きょうも国会討論会があるらしいんですが、あなたよく気をつけてやってください。
  12. 木村美智男

    木村美智男君 ただいまの総理答弁で、一応、本論の質問のほうに入りたいと思う。  菅野経済企画庁長官に伺いたいんですが、消費者物価の五%は、昨日私の質問に対して、これは一体、努力目標なのか、それとも希望的観測なのかということについては、まあ努力目標らしき答え方はされましたが、これはたいへんなことだと、こう言ってきわめて自信のない答弁をされているんですが、もう一回ひとつこの五%問題について政府の決意を伺いたい。
  13. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 昨日、本会議で申し上げましたとおり、五%という数字を出すについては、これは個々の価格の積み重ねばかりではないのでありまして、また従来からの物価の趨勢も考慮し、あわせてその上に政治的な努力も加えて五%を実現したいということをやっておるのでありまして、しかし、これは五%でとどめるということは容易なことではありません。これは政府が一致してやらなきゃならぬということで、しばしば総理からも申し上げておりますとおり、もう政府は一致してこの五%の実現ということに努力するということを言明されておりますし、また同時に、国民もともにひとつこの点について御協力を願いたいと、こう考えている次第であります。
  14. 木村美智男

    木村美智男君 国民も一緒に努力してくれと言うけれども、じゃ、郵政大臣にちょっと伺いたいんですが、大体ここ、去年、おととしあたり郵便貯金がどういうふうになっているか聞かしていただきたい。
  15. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昨年からことしにかけまして、郵便貯金はきわめて順調に伸びております。
  16. 木村美智男

    木村美智男君 順調に伸びていると言うけれども、大体概数でけっこうですから、何千何百億で、おととしはこう、去年はこうと答えてください。
  17. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 四十三年度は約一兆円になろうかと思います。四十四年度の目標も約一兆円でございます。
  18. 木村美智男

    木村美智男君 四十二年は。
  19. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 四十三年と四十四年です。
  20. 木村美智男

    木村美智男君 実はこの点で大蔵大臣に伺いたいんですが、財投計画を組む際、郵便貯金の千五百億を予定をしたやつがそのまますっきりなりましたか、大臣、御苦労をされたんじゃないですか。財投計画の中に占める郵便貯金ですね、これが千五百億ぐらい予定をしたのが、なかなか調達がむずかしいという事情がおありになったんじゃないですか。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 財投計画を策定する直前、つまり十一月前後にちょっと郵便貯金が不振になったんです。これは財投計画、なかなかむずかしい事態になったなあと心配しておったんですが、十二月から盛り返しまして、さらに一月と非常に好調に動いておるわけであります。財投計画は順調に作成されたわけであります。
  22. 木村美智男

    木村美智男君 そういう意味で言えば、企画庁長官が言われておるように、たいへん国民協力していることになると思うんです。問題は五%という数字は大体銀行の定期の利息にほぼ近いものであって、常識的に考えれば、いまごろ郵便貯金をするのは実際あほらしいということに、この物価の値上がりから考えると、なるわけです。そういうような状態にしておくということは、国民協力を求めるといっても、実際うまくないんじゃないかということが一つと、それから長官に、四十二年と四十三年度では一体国民実質的な消費というものは向上したのか、低下したのか、これをひとつ伺いたい。
  23. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 郵便貯金の利子が五%以内であるということによって郵便貯金の額が増加しないんじゃないかという御懸念だと思いますが、大体、郵便貯金というものの利率一般銀行利率より安いのでありまして、それは単なる利殖という考え方よりも、まず政府へ預けておけば安全だということ、それが第一だと思います。したがって、郵便貯金利率銀行よりも安いというのが、これがまあ常則になっておるのでありまして、したがいまして、私は五%以内であれば郵便貯金には影響はないと思っておりまするし、事実上最近の情勢を見ても、郵便貯金の増加はふえておりますから、その点は御心配ないと考えております。  それから、もう一つ何かお尋ねがあったようですが、——木村さん、ただいまお尋ねの件わかりました。実質所得ということは、実質成長率のことじゃないかと思うのでありますが、実質成長率はいままでもたびたび申し上げましたとおり、四十三年度は一二・六%という大体計算をいたしております。それから来年度は九・八%ということで大体予定いたしておる次第であります。
  24. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、違うんです。私の伺ったのは、「四十三年経済回顧」というのを経済企画庁として出しておって、その中では実質的な国民消費物価高によって低下しているという内容がこの企画庁の発表した「四十三年経済回顧」の中に載っておるんだから、そのことを実は聞いたわけなんです。
  25. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 物価高のために実質消費が減っておるということですか——その数字的のことはちょっと私もはっきり記憶いたしておりませんから、政府委員から答弁させます。
  26. 八塚陽介

    政府委員八塚陽介君) 御答弁申し上げます。  消費水準につきましては、昭和四十年を一〇〇にいたしまして、昭和四十一年が一〇三・九、あるいは昭和四十二年が一〇九・六ということでございます。なお実質の問題でございますが、これはちょっと統計が違いますけれども、実質賃金指数、これはそれぞれ対前年比で申し上げますと、昭和四十一年は一〇五・四でございます。それから四十二年は一〇七・八ということで、もちろん物価上昇がございますが、一方では賃金上昇がやはり一年に約一〇%程度ございますので、やはり実質賃金指数上昇いたしております。
  27. 木村美智男

    木村美智男君 いま何かどっから持ってきた数字かわからぬが、ぼくが聞いているのは、「昭和四十三年経済回顧」という経済企画庁発行のこの中で、昨年の一月から九月までの消費支出に対して、前年同期の比率で一一・一%の伸びが一昨年の同期に比べて一〇%だ、しかし、物価上昇分があるので一昨年は六・四%伸びておったが昨年は五・二%だということで低下をしていると、こういう数字が出ているんだけれども、どうなのかと聞いているわけです。
  28. 八塚陽介

    政府委員八塚陽介君) いま御引用の資料を手元に持っておりませんけれども、御指摘のように、実質伸びの鈍化は、お話しのとおりでございます。
  29. 木村美智男

    木村美智男君 まあ、そういうことで、結局、実質的に生活が下がってきている。で、企画庁長官、きわめてどうもわれわれとしては理解に苦しむのは、あなたが五%程度はそういうことだからいいと言うけれども、銀行へ持っていくほどの金がないから郵便貯金という関係に実はなっておる一面ということもよく考えてもらわぬと、郵便貯金がふえているんだから物価は五%程度でよろしいんだという、そういう考え方じゃ困る、これは。総理、この点どう考えますか。
  30. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 私は決して五%でよいということは申し上げておりません。いままでの、今日までの物価上昇勢いからすれば、おそらく物価は五・七あるいは八になるんじゃないか、そうなってくれば銀行預金以上になりますからして、これはゆゆしい問題をいろいろ起こしてくる、国民生活が不安定になるということでいまの物価上昇のこの勢いを何とかして押えて、そして五%で押えたいと、こう考えております。理想としては消費者物価を五%以内、四%あるいは三%にしたいというのがわれわれの目標でありますけれども、目下の情勢では五・七あるいは八、あるいは悪くすれば六%になりやせぬかということを心配しておる次第であります。
  31. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、五%がどうもあぶなくなってきているという答弁なんですが、まず私は、公共料金というものがきわめて物価上昇の中で大きなウエートを持っているので、総理にお伺いしたいんですが、両米価を据え置くということはどういうことを意味しているのか、ひとつ。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 生産者米価並びに消費者米価、これを据え置くという方針でおるのでございます。私が申し上げるまでもなく、木村君も御理解だと思いますが、消費者米価を据え置く、これは政府だけでできることであります。しかし、生産者米価米価審議会の議を経て、これを尊重して政府がきめることになっておりますから、まだその手続は残っておるわけでございます。最終的な決定ではない。しかし、ただいま政府は両者を据え置く方針、これを堅持してあらゆる努力をするということ、このことを実は申しているわけであります。政府のできる事柄である消費者米価は、その意味において、これはもうはっきり据え置く、生産者米価も所要の手続は経なきゃならないが、十分説得してこの方針を貫いていく、かような態度でございます。
  33. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、政府のできる消費者米価を捉え置くということは、末端消費者の買う価格をそのまま据え置くと、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) おそらく結果においては同じになるだろうと思いますが、正確に申せば、政府が民間に売り渡す価格、この価格を現在のとおりに据え置くと、こういうことであります。
  35. 木村美智男

    木村美智男君 それは総理、ごまかし。それは据え置くことにならぬ。
  36. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 消費者米価を据え置くということは、末端消費者米価の据え置きを前提といたして政府売り渡し価格をきめるということでございます。
  37. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、食管ルートからはずす自主流通米価格はどういうことになりますか。
  38. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 自主流通米につきましては、これは最近の需給事情にかんがみまして、利用者の動向を考えまして、消費者の選考に応じて選択購買をする米が流通し得るようにくふうをしたいという考え方でございますが、そういうことでございますので、これは政府の経費負担ということを伴いません。したがいまして、現在の政府管理米の配給価格に比べればどうしてもコストが上がるということは避けがたいと思います。ただ、これにつきましても、大部分の消費者家庭における消費米は政府の管理米による配給によるわけでございますので、この価格の据え置きによって事実上自主流通米価格も規制を受けるということだけは確かだと思っております。
  39. 木村美智男

    木村美智男君 自主流通米というのは配給からはずすということである、つまり食管ルートからはずすということであって、価格の統制をはずすということじゃないのじゃないですか。
  40. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 自主流通米につきましては、政府を通さないで、現在の食管の集荷配給のルートを通じて実需者もしくは消費者にその好む品質の米の提供ができるようにしたいということでございます。したがいまして、自主流通米価格の形成は、需要の動向に応じて形成されるというところに一種の自由の長所を取り入れたいということでございますので、したがいまして、これは現在の物価統制令による最高販売価格の制度というものにはなじまないものであるというふうに考えられますので、価格統制はいたさないという考えております。
  41. 木村美智男

    木村美智男君 価格統制令をこれははずすということになりますと、じゃあ自主流通米はこれをはずすということでは、これはやっぱり末端消費者価格というものは上がっていくのですから、これはやっぱり総理答弁はペテンになると思うのですね。
  42. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 政府管理米の配給に関しましては、これは末端消費者価格について何らかの価格措置をとる必要があるというふうに考えております。どういうような価格措置をとるかはなお政府部内で検討を要しますが、少なくとも私どもかりに物統令による最高販売価格制度の適用をしないということにいたしましても、食糧管理の立場からする行政上の支持価格は、たとえば据え置きということであれば、現状の価格水準を支持をする、それによって安定的な価格での米の購入を求める消費階層に対しましては、安定的な価格で十分な量が供給できるように保証をしたいというふうに考えておるのでございます。
  43. 木村美智男

    木村美智男君 どうもよくわからぬので、配給米は、じゃ一体、物価統制令からはずすのかどうか、いかがですか。
  44. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 現段階におきます需給の事情等を考えますと、私どもといたしましては、もはや物価統制令の最高販売価格を設けるという必要性はきわめて薄くなっておるというふうに考えておりますので、端的に申し上げれば、物価統制令による最高販売価格の適用は、これは廃止の方向で検討いたしたいというふうに思っております。
  45. 木村美智男

    木村美智男君 これはきわめて大事なことを答えられたのだが、総理にちょっと伺いますが、配給米すら物価統制令からはずすということになれば、一体、食管法の根幹というものを維持するという政府答弁とは食い違ってくるのですか、方針としては。どうなんですか、総理から。
  46. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) その前に私から農林省の考え方を一応申し上げましてお聞き取りを願いたいと思います。  政府の管理米の配給につきましても、私どもとしては最終末端価格——消費価格について適正な価格で供給せられるような措置はいずれにしてもとる必要はあるというふうに考えておりますが、物価統制令による最高販売価格を適用するか、あるいは現在の小売り、卸売りを含めまして、米穀の販売業者は政府による登録の配給組織でございますから、したがって、政府が責任を持って政府管理米については消費者に一定の価格で供給できるような行政上の支持価格というものは私は少なくとも置く必要があるということを申し上げたのでございます。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど私がお答えしたのは、政府の管理米、いわゆる政府が買い取ってそれを今度民間に払い下げる自主流通米は除いた考え方で、政府にはその価格を変える考えはございません、かように実は申したのであります。その前に、いまの物統令、これを維持するかどうか、その問題でありますが、いま、事務当局から答えましたように、政府管理米についての価格は、これは厳に小売り商にも守らすと、かように申しておりますから、私は、いわゆる物統令と別な方向でこれは自由に野放しになるということは考えておりません。また、もし事務当局がさような点を考えるなら私のほうでそれをひとつ直さして、いまの政府が管理しておるその米についての価格、これを現状と変わらないように維持するようにしたい、かように思っております。
  48. 木村美智男

    木村美智男君 末端の価格は現状と変わらないようにするという総理の答えでありますけれども、具体的にどういう方法でそういうことを規制していくか、これを伺います。
  49. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 自主流通米につきましては、先ほど申し上げましたように、需給の動向において価格形成がされることになるということでございますから、特別の規制にはなじまないということを申し上げたのでございますが、政府の管理米の配給価格につきましては、何度も申し上げますように、大体、方法としては三つあるわけでございます。一つは、物価統制令による最高販売価格制を適用するかどうか、それからいま一つは食糧管理法十条による価格に関する命令を発動するかどうかということでございますが、そのほかに、先ほども申し上げましたように、現在の配給経路は自由な販売業者ではございませんで、政府の完全な指導下にある登録販売業者でございますから、政府が末端価格について一定の価格水準を指示をする、基準価格を設けて指示をするということによって、私は末端の価格の適正ということは保持できるというふうに考えておるのでございますが、最終的な結論はなお政府部内で十分検討いたしたいというふうに考えております。
  50. 木村美智男

    木村美智男君 時間がありませんから論争抜きにしまして、次に運賃の問題ですが、国鉄運賃を除いてあとはこの際引き上げを極力押える、こういっているわけですが、そうなると電話料金体系の合理化といったような問題はこれはどういうことになりますか、郵政大臣
  51. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 電話料金は四十四年度は据え置くことに決定をいたしております。ただ、料金体系に若干不合理な点がございますので、この点を調整することにいたしております。
  52. 木村美智男

    木村美智男君 据え置くことによって実質的に下がるのか上がるのか、料金体系合理化によってどうなるのか、具体的に。
  53. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御承知のように、現在の基本料金は十数年前にきまりまして、十以上の段階がございます。これを五つの段階に整理をする予定でございます。この面で若干上がろうかと思いますが、しかし、一方におきまして近距離の市外通話を下げますので、プラスマイナスはゼロでございます。
  54. 木村美智男

    木村美智男君 ゼロであるということを確認をしまして、運輸大臣に、私鉄なり地下鉄についてすでに申請が出ておりますし、けさのタクシーの問題で、大体、運輸省は二〇%前後値上げを認める方針だ、こういうふうに出ておりますが、これはどうしますか。
  55. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) お答えいたします。  木村さんに本会議でもお答えを申し上げましたが、運賃に関しましては、総理が施政方針でその方針を述べておられるように、国鉄運賃を除いては極力抑制につとめる、したがいまして、国鉄運賃以外の私どもの運賃関係の改定につきましては、その事業内容、あるいは物価に及ぼす影響等を総合的に勘案して慎重に対処するということを申し上げておるわけでございます。きょうのあさのタクシーの問題はどうなるかということでございますが、これは名古屋の陸運局から私どものほうへあがってきておりますけれども、これはまだ審査も始めておりません。私のところへもまだ聞いておりませんので、やはり慎重に対処したい、このように考えております。
  56. 木村美智男

    木村美智男君 ことしじゅうは少なくとも慎重に対処すれば上げない見通しかどうかということを聞かしていただきたい。
  57. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) ことしじゅうはというお話でございましたが、私が申し上げておりますように、慎重に対処いたしておりますので、いわば現在は白紙の状況でございます。
  58. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと関連。これは笑いごとではないと思うんですよ。物価問題は、政府のほうがもうこれは最大の内閣の政治生命をかけてやるということまで言明されておる問題でしょう。しかも、本会議でも、総理大臣も、企画庁長官にしても、鉄道運賃だけはしかたがないけれども、それ以外は上げぬということを言明してきておって、一方、直接の運輸大臣のほうはああいうようなことを言っておられる。一体イエスかノーかということをはっきりしてくださいよ。私は国民としては、これはいまのような慎重に対処するとか、白紙とか、へちまとか、そういうことを何回聞いても、国民は耳にタコができておるのですよ。そういうことよりも、上げるのか上げぬのか、端的に答弁していただきたいと思います。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはよく本会議、またその他の席上でも同じような問題が出るのであります。そうしていま秋山君の言うように、イエスかノーか、どっちかその一つを言えと、こういうことですが、これはいわゆる国が経営している、あるいは公社というようなものなら、これはもうはっきり言えます。しかしながら、私企業であって、それを認可すると、こういうような場合ですね、どうしてもその私企業が立ち行かない、こういう場合になってくると、これは私ども考えてやらなければならないと思うのです。でありますから、いま慎重な態度でこの問題と取り組んでおる運輸省が安易な気持ちでこれについての結論を出しておらないという、その点はやはり了としてやっていただきたいと思います。だから、必ず上げるとか、上げないとか、その二つのうちの一つだと、かように言われましても、これは個々の場合に、それぞれの場合に考えなきゃならない問題だと、かように私は思っております。でありますから、いま申しました運輸大臣の気持ちも、私どもの気持ちも、また企画庁長官の気持ちも、それははっきり同じような歩調でいま取り組んでおるわけであります。で、問題は、政府がいわゆる認可する料金でありますから、物価の問題を政府が主導的な立場で上げるという、そういう形のものはどうもとりたくないんだ、しかし、その私企業をその一点でつぶしてしまう、これはまた経営者にとっても気の毒だし、また他に方法がないかどうか、そこらは十分考える。これは金融で済む問題なのか、あるいはまた合理化がもっと徹底してやれるのではないかとか、いろいろ私はあると思うのであります。そういう点が認可をする場合の官庁のとるべき態度でありますから、そう性急に結論を急がないように御審議いただいて、むしろ政府の慎重な態度、それにあやまちなきを期せと、かように申してくださるように、お声のかかることを期待いたします。
  60. 秋山長造

    秋山長造君 私は政府方針を聞いているのですよ。どうも運輸出身のためかどうか知りませんけれども、いまの佐藤総理のような方針——方針と言えるのかどうか知りませんが、方針がないかもしれませんけれども、そういう態度でいかれるなら、これはタクシー料金に限らず、私鉄運賃その他もずっと軒並み出ているのでしょう、全部これ鉄道運賃に右へならえすることに私は結果的になるのじゃないかということを、われわれだけじゃありません、これはおそらく全国民がおそれていると思うのですね。だから、そういうことになるから、国鉄運賃の値上げということに私どもが反対しているのですよ。それをあなたのほうは、国鉄運賃だけはしようがないけれども、あとは認めぬというかのごとき方針を、態度をもって今日までやってきておられるわけです。この間の本会議での木村質問に対する御答弁にしても同じことを言っておられるし、そういう了解をわれわれにさせておることは間違いないですよ。これは企画庁長官の御答弁にしてもそうです。いまのような態度ですね、総理大臣のようなお考え、さらに先ほど運輸大臣のおっしゃったようなことは、これはただこの場で値上げを認めるとおっしゃらぬだけであって、事実上もう値上げをすでにやむを得ず認めておるという感じが濃厚に出ていると思うのですね。これでは物価問題と政治生命をかけて取り組むというようなことは、これは公約看板は全くうそっぱちだということに私は断定されてもしようがないと思うんですよ。もう少ししっかりした態度方針を打ち出してくださいよ、こういう席で。これは総理大臣、さらに経済企画庁長官もひとつ明確に言明してくださいよ。  それからもう一つ、運輸大臣は白紙だとおっしゃる、慎重に検討するとおっしゃるけれども、それは火のないところに煙は立ちませんよ。これは新聞記事一つ一つどうこうするわけではないけれども、あの新聞記事を読んでみても、これはもう明らかに、ただ運輸大臣が判こをつかれておらぬだけであって、もう事務当局としては事実上認めざるを得ない、認めるという方向で作業を進めておるとしか思えね。だから、そういう既成事実がだんだんできながら、つくりながら、白々しくこの席ではこの物価の安定だとか、引き上げは押えるとかいうようなことは、これは私は全くその場のがれの無責任きわまる発言だと思うのですがね。もう少し国民を納得させるだけの明確な責任ある答弁をしてくださいよ。
  61. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま私申しましたのは、別に私の出身が運輸省だからというわけでもございません。しかし、私が例にとって申し上げましたように、公共料金、これが国民生活に及ぼす影響は甚大だという、これはもうそのとおりだと思います。また、諸物価一つの基準にもなる、こういう意味で、賃金と同様に公共料金の扱い方は慎重でなければならない、かように私は思っております。しかし、民間企業についてはやっぱり私は同時に民間企業を育成強化するその責任はあると思うのです。これが運賃値上げ以外に方法がないという場合に、おまえたちそれで死んでいいのだと、そういうような形ではいけないと思う。それは同じように公共企業、サービスを提供しているものが、その事業の成り立つようにやっぱり考えてやらなければならない、これが政府の行き方だと思います。私どもこの公共料金、やっぱり企業を残していく、その意味においても認可というような手続を必要としているのです。自由自在に気ままに扱わさないのだ、しかし、それだけの存在意義のある企業でございますから、これについては十分ひとつ慎重にそのめんどうを見ようじゃありませんか。公共料金だから何でもみんな物価に影響し、消費者に影響があるので、おまえたちは採算とれなくてもやっていけ、さような無理は政府は言えない、これが先ほど来の私の説明であります。でありますから、これがさらに自分の企業のいろいろのくふうによってやっていけるか、あるいはまた燃料がだんだん変わることによってもやっていけるか、あるいはもう一つは、ただ単に金融だけの操作でこの急場は越せるのか、いろいろくふうしてやろうじゃないかというのがいまの官庁、政府態度であります。しかし、このことは私はやっぱりそれだけの理解があってほしいと思います。公共料金だから採算がとれなくてもおまえやれということ、それはできないから、それならその仕事をやめろということ、やめれば公共のサービスはそれだけ低下する、困るのはお互いじゃないでしょうか。私はその辺はいまのような秋山君の説には賛成しない。ことに御理解のある、働く者に特に理解のある社会党としては、珍しくその片っ方だけのことをごらんになることは、これは私はどうしても納得がいかない、私どもの態度はいま申し上げるような態度であります。そうしてまた、私はその考え方でありますから、最初から上げる気持ちでこれと取り組んでおるとか、あるいはこれを押えるつもりで取り組んでおるとか、こういった公共料金を簡単な態度できめるわけにはいかない。私はいままで信頼する運輸大臣なり、また経済企画庁長官なりがこれと取り組んでおるのは、片一方でそういう民間企業も維持しなければならぬけれども、物価は何といってもいま重大な政治課題である、そういう意味消費者の納得のいくような方法で処置したい。私はおそらく利用者自身がいつまでも非常に困難な状況にたえておるということがわかれば、おそらくそういうものの上げ方についても利用者も了解してくださるだろうと思う。それをただ安易な形で、しかし、運賃の値上げをやれというわけではありません。またそれは非常に厳格に考えなければならぬ、かように私は思います。以上で私どもの考え方を申し上げたわけであります。
  62. 松永忠二

    松永忠二君 関連。今度の財政の性格からいっても、高度な経済の成長をはかると一緒に物価の安定を柱として財政が組まれておる。しかも、公共料金というのはいまお話があったように、極力国鉄の運賃値上げを除いて抑制するという、そういう方針を立てておる。したがって、公共的な企業で、どうしても合理化ができないとか、あるいはどうしても手当をしなければできないという問題については、この予算を編成する段階で私は一応検討しておると思う。そういう検討があるからこそ公共料金は国鉄の運賃を除いて極力抑制する、こういっておると思う。したがって、いま出てきているタクシー料金の問題については、少なくもそういうような要素がたくさんあるというならば、財政の編成の際にもそういうことを考えておかなければできないし、そういうような点からいうならば、公共料金は極力抑制するという方針からいうならば、白紙であるとか、慎重に検討するということではなくて、そういう方針に基づいて検討していくということばがあってしかるべきではないかと思う。だから、おそらく木村君からもお話があると思うのでありますが、運輸大臣のいまの答弁は取り消さなければいけないと思う。また、総理大臣答弁は、当初はそういうようなことを考えて慎重にやると、こういったのに、繰り返して答弁をしていったらば、いや、企業の中で経営の苦しいものについては私企業である以上はそれを押えることができないという言い方になっておる。そうなれば、私鉄だって私企業であるからこれを押えることはむずかしい、こういうふうに変わってきてしまう。これを拡大していけば、いわゆる認可する関係の公共料金、あるいは事業の問題にしてもどんどん拡大されていくんではないか、こういう点を秋山委員も心配されて言われておることだし、あなたの施政の方針からいっても、あるいは大蔵大臣の財政演説の趣旨からいっても、いま、あとの答弁されたような総理大臣答弁のしかたでは非常に施政方針の方向と違っているのではないかと私たちは強く感ずるわけです。少なくも運輸大臣は白紙だとか、慎重に検討するとかではなくて、公共料金を抑制とするという、そういう立場から慎重に検討するんだと、こう言うならまだわかるのに、白紙でございます、慎重に検討いたします。慎重に検討しないうちに白紙でございますなんというようなことを言われたりしてきたんでは、これではどんどん拡大していく、歯どめがなくなってしまうと思う。だから、したがって、そういうような意味で運輸大臣答弁のやり直しをしてもらいたい。また、総理大臣の最後の答弁趣旨は、実はそういうところにあったんだと言うならばそれを明確にしてもらいたい。そういう点をひとつ明確にしてもらいたいと思う。
  63. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) 私は最初の答弁をいたしました際に、公共料金については極力抑制につとめるという総理答弁方針のとおりということを申し上げておるのでございまして、ただいまの御質問の中にありましたように、抑制ということについて十分配慮しながら慎重に検討するという気持ちであることは間違いございません。イエスかノーかという答えを求められましたので白紙であると申し上げましたので、改めてお答えを申し上げますが、公共料金というものの中で運賃というものも確かに物価に影響をいたす部面がございますので、そのことについても考慮を払って慎重に検討いたす、こういうことを申し上げたのでございます。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 松永君にお答えします。  私、もちろん施政方針演説どおりのことをいまふえんして申し上げておるわけでございます。お話しのように国鉄旅客運賃以外は極力これを押える、こういうことが方針でございます。また、先ほど第一回に申し上げましたのもその趣旨のふえんを申し上げたのであります。そうして二度目に申したことはたいへん極端な例を申したので、それ以外に非常な飛躍がある、かような御指摘で誤解を招いたと思いますが、私はそういう意味ではございません。これはどこまでも抑制すべき筋のものと、かように私は考えておる次第であります。
  65. 木村美智男

    木村美智男君 総理、この運賃というもののやはり物価上昇の中に占める位置というのが実はきわめて重要だという意味で、ただ単に私は押えるのか押えないのかと、こういうことだけを聞いておるわけではない。押えるというからにはやはりそれなりの裏づけとして、多少の注文はつくかもしれぬけれども、財政措置だってとらなければならぬだろう。最近のように過疎地帯ではどんどん交通機関は赤字になっておる、過密地帯では輸送力増強をやるために資金が必要だ、こういう関係にあるんだから、物価を押えるんだという基本方針に立てば相当思い切って財政的な措置をとるという、それがなければ、これは口先だけで押えるということだけであって、ほんとうの押えるということにはならぬじゃないか、こういう点にもう少し佐藤内閣は物価対策を重要視しているんだから積極的な対策をとりなさい、こう言っているわけです。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お説はよくわかります。また、今回の予算編成にあたってはそういう点もくふうして、在来、僻地などは車両の購入費等について政府が補助していた。今度はさらに利用の非常に低いものについてもある程度負担する、こういうような補助もしております。積極的に、運賃の値上げは抑制するというか、大事なサービス機関の存続を続けていけるように、そういうような措置もとっておる。これはよく中身をお調べいただけば、今回の予算編成にあたりましてそういう措置もとられていることをおわかり願えると思います。
  67. 木村美智男

    木村美智男君 いまの、総理、中身については承知をした上で聞いておるわけです。で、たいへん財政措置をとったように総理は言われておるけれども、私どもが見る限り、これは物価値上がりを押える、運賃の値上げをできるだけ押えるという、そういう立場にふさわしいような予算措置には今日なっていない。きわめて微々たるものだ。だからもう少し積極的にやるべきじゃないか、こう言っているわけなんです。  それで、時間がもったいないですから端的にその他の問題で伺いたいのですが、自治大臣は、地方自治体の経営のもとにある上水道なりバスなり、地下鉄、この問題は一体どういうふうに扱おうとしているのか、これ一言お聞きしたい。
  68. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) 地方の公営企業、なかなか経営困難ということは御承知のとおりでございます。これもしかし、その経営の実態からしていろんな施策を講ずる必要がある。しかし、ただいたずらに公共料金を上げるということは、いまお話しありましたとおり物価に影響すると、これは私どももきわめて大事なことでございますから、そこで、できるだけやはり財政措置その他によって公共料金が上がらないようにしたいというので、非常に内容について検討し、またその対策についても考慮いたしております。
  69. 木村美智男

    木村美智男君 きわめて不十分ですが、建設費が地下鉄の場合一キロ六十億円もかかるのですから、いまのような起債ワクを拡大をするといった程度では、これはとうてい物価抑制的な観点を持っておるとは思えない。そういう意味で、これは自治大臣だけではありませんが、佐藤内閣全体として、もう少し公共料金というものをきちっとやはり押えていくという立場をとるならとるようにちゃんと財政の裏づけをして、そうしてほんとうに年間、国鉄だけならだけということが国民に約束できるような、そういう態勢をとらなければ、これはいかぬのじゃないかと、この点総理どういうふうにお考えになっておりますか。
  70. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなか物価の問題は、いろいろのこまかなくふう等によって、これを維持することもできますし、またいろいろ協力も必要でございます。そういう意味で、あまりこまかな話でなくて、私どもは基本的な大筋をひとつつかまえて、その大筋に合うように個々のケース・バイ・ケースに合わしていこうと、これが望ましい形じゃなかろうか、かように思っております。でありますから、いま言われるように公共料金についてもあるいは一時ストップしてみたらどうだと、こういう説がしばしば提案されますが、それも一つの方法でしょうが、おそらく期間が経過した後により以上の、まあ前より以上の混乱を来たすだろうと、私はそれも心配します。したがいまして、やはりその大筋に沿ってのきめこまかな政治、行政が着々と行なわれることが好ましい方向であり、またそれが国民協力を得る方法じゃないだろうかと、いまは考えておる次第であります。
  71. 木村美智男

    木村美智男君 総理、大筋の話をされましたが、私まあ時間の関係で個別な問題に入ったんですけれども、それは佐藤内閣の従来からの物価対策の中心は、構造的なところにその値上がりの要因を置いて、生産性の低い部門の近代化なり、あるいは流通の部門だけを重視しているような感じがあったんで、それだけじゃいかぬじゃないかと、やはり公共料金を押える、あるいは独占価格、管理価格を押える、そういうことのためには、全般的な財政金融政策をこの物価的な観点からやって、場合によっては総需要というものもある程度規制する必要もあるだろうし、資金投入をやらなけりゃならぬ点もあるだろう。あるいは需要に見合った生産計画というものも、特に生鮮食料品なんかの場合はやっていかなきゃいかぬだろう。その他、物価安定推進会議がいろいろ有効な提言をしているのだから、そういうものを具体化するというようなことを総合的な対策としてとられてないんじゃないかと、こういうふうに私考えるものですから、これは総理なり長官、どういうふうにお考えになりますか。
  72. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま言われたことについては全く私も同感であります。これはもう物価の問題は総合的な施策によってはじめて片づくように思います。したがって、また各官庁がそういう意味では歩調をそろえないと、この問題はうまくいくものではないと、かように思っております。そういう意味でいろいろ指導をしている。まあいままで大体くふうされておるようですが、適正な競争、そのもとにおいて物価が安定していくと、かように考えますので、その点も十分くふうしていく。また能率をあげるという意味においてはやはり体制づくりも必要だろうと思いまするが、いずれにいたしましても、物価を安定さすというその目標に、どうすればこたえ得るか、そういう総合施策を遂行していくこと、これが必要でございます。木村君のいま御指摘のとおりだと考えます。
  73. 木村美智男

    木村美智男君 そこで適正な競争を維持して、価格の安定をはかっていくという立場から、この際、公取委員長見えておられますから伺いたいのでありますが、いよいよ資本自由化の段階になってまいりまして、きわめて私は独占禁止法、独禁政策というもの、これは重要な役割りを持ってきていると思うのです。この点ひとつ公取の委員長の御見解を伺いたい。
  74. 山田精一

    政府委員(山田精一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり資本自由化に伴いまして、競争原理を維持促進いたしてまいるという、独占禁止政策の重要性は次第に増していくものと、かように心得ております。
  75. 木村美智男

    木村美智男君 公取委員長、一問一答的にこちらへちょっとおいでいただいて、たいへん恐縮ですが、独禁法の第十五条に「国内の会社は、」ということが一番先にあるのですが、要するに資本の自由化によって入ってくる外資を含む会社は、一体この中へ入るのか入らないのか。
  76. 山田精一

    政府委員(山田精一君) お答え申し上げます。  国内に入ってまいりますれば、これは国内の事業者でございます。
  77. 木村美智男

    木村美智男君 そうしますと、これからメーカー段階よりも、大体流通段階の外資が入ってまいりまして、たとえばスーパーであるとか、あるいは自動車というようなものは、相当独禁政策としては重要な対象になってきますね。
  78. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 十分慎重に法律を運用してまいりたいと、かように考えます。
  79. 木村美智男

    木村美智男君 そこで現在紙のほうはどうやら片づいたようですが、鉄鋼の大型合併、これは公取委員会でいよいよ最終的な段階にきているようですが、私は新聞程度しか拝見できませんのでお伺いするのですが、どうも公正取引委員会としては、いろいろ私、政党なり業界からどのような圧力がかかってくるかわからぬけれども、どうも物価委員会で委員長とやり合っていろいろと了解をしてきた筋からいうと、どうも筋がだんだん曲がってきているような気がするのですが、もし新聞がいっているように、あれは認めていくんだというようなことになるとすれば、どうしても私はこの十五条に照らして見て、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」となっているのですが、予測する尺度というものが、いわゆる客観的な基準というものがなければならぬと思うのですが、これはどういうことになりますか。
  80. 山田精一

    政府委員(山田精一君) ただいま当面いたしております問題は、現在慎重に検討中でございますので、まだそれにつきまして意見を申し上げることはできないのでございます。また新聞の報道等は、大体において観測記事でございまして、その証拠には、紙面によって、新聞紙によりまして、内容が全く反対のこともあるわけでございます。  独占禁止法第十五条につきまして御指摘がございましたが、これは私どもの立場といたしましては、法律の条文に従いまして、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」、これを厳正に適用いたしてまいりたい、かような考えでございます。
  81. 木村美智男

    木村美智男君 その場合、やはり問題になるのは、市場シェアの問題が重要だし、それから事業能力の格差という問題がこれはたいへん重要になってくると思うのです。したがって、横田元委員長は、この独禁法の改正の際に、警戒ラインは三〇%だ、こういうことを言われましたが、この考え方というものは大体いまでも踏襲されておるのかどうかということと、今度のように人為的に第一位、二位が合併して世界二位のというような関係になってくると、これはそこの霞ケ関ビルのように、粗鋼生産三五・七というと、ちょうど三十六階だから、あの霞ケ関ビルと同じように、あの上に乗ったら全然あたりに何もないと同じような決定的な支配力を持つことは間違いないですね。ここら辺はどういうふうに公取では考えておりますか。
  82. 山田精一

    政府委員(山田精一君) シェアの話がございましたが、これは第十五条を運用いたしてまいります上における一つの徴表といたしまして、しんしゃくいたすことはもとより当然のことでございます。  それから、横田元委員長が三〇%という数字を言われましたのは、一応の警戒ラインとしてという表現がありましたように私は心得えておるのでございます。一応の警戒ラインとして三〇%というものをめどに置くということは、現在においても変わっておりませんけれども、これを単に機械的、算術的に適用いたしてまいるという気持ちは持っておらないのでございます。前にも申し上げましたが、他の競争者の牽制力、それから代替品の関係、あるいは海外からの輸入の関係等、各般の要素を総合勘案いたしまして、一定の取り引き分野における競争が実質的に制限されることとなるかいなか、それを判断してまいるつもりでおります。
  83. 木村美智男

    木村美智男君 たいへん恐縮ですが、先ほど冒頭にお伺いしたように、どんどんこれから外資が入ってくる。そうすると、国内の民族資本については非常に寛大にして、外資についてはきびしくするというような器用なことは、やはり独禁法の運用としてはなかなかできないのだろうと思う。そこでやはりこの第一条に明らかに言われているように、事業支配力の過度の集中を防止して、公正かつ自由な競争を促進をして、経済の民主的な発展と一般消費者の利益を守るというこの基本原則だけは、これはぜひ公取委員長、腹に入れていただいて、新聞は観測記事だ、こういうふうに言われますから、ぜひこの判断をされた際には、客観的にだれにでも、考慮をもってこれは是非を判断したのだという基準を明らかにして、この問題に誤りのないようにしていただきたい。この点についてどうお考えでしょうか。
  84. 山田精一

    政府委員(山田精一君) ただいま御指摘のございました第一条の法の目的に従いまして、第十五条の規定を厳正に適用いたしてまいりたい、かように考えております。
  85. 木村美智男

    木村美智男君 いまの答弁に大いに期待をいたしておりますので、公取委員長情勢はかなりきびしいようでありますが、ぜひがんばっていただきたい。  大体先ほどもちょっと申し上げましたが、物価対策の中で、生鮮食料品等については生産計画というものがやはり需要に見合ったものを思い切って金を投入するということがきわめて大事だ。これは、農林予算の中ではきわめてこの点は私不足をしていると思うのでありますけれども、この点、一体いま一番高くなっている牛肉の価格を押えるために、農林省はどういう具体的な対策をとっておられるか、伺いたい。
  86. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 牛肉は、国内産をつとめて今日まで奨励をしてまいっておりますし、不足の分は、と申しましょうか、価格が少し高目になるだろうというような様相のときには、外国輸入をもってこれを補うようにいたして、そうして安定を期している次第でございます。
  87. 木村美智男

    木村美智男君 外国からの輸入をやって価格上昇を押えている、こういうふうに言われているが、牛肉についてはちっとも価格上昇を押えることになっていない。もしそうなっていないということについて反論があるならば、生産と輸入の四十二年度どうなっていたのか、ひとつ聞かしていただきたい。
  88. 太田康二

    政府委員(太田康二君) お答え申し上げます。  牛肉につきましては、ただいま大臣がおっしゃいましたように、国内における生産対策を講じまして、何と申しましても、需給の均衡をはかることを通じまして価格の安定をはかるということを基本にいたしているのでございますが、先生も御承知のとおり、わが国の肉牛におきましては、大体平均的には三年二産というようなことでございまして、なかなか急激にはふえないということがあります。そこで需給の均衡をはかるために、不足分につきましては、ただいま大臣答弁いたしましたように輸入をいたしているのでございまして、本年度におきましても、上期におきまして一万二千トンの外貨割り当てをいたしたのでございますが、さらに下期におきましても大体二万トンということをめどに外貨割り当てをいたしまして、需給の均衡をはかりまして、価格の引き下げに処してまいりたい。  ただ、ここで申し上げたいことは、実はわが国のいわゆる松阪牛のような上等の肉につきましては、外国肉を入れましても、必ずしも引き下げの効果がないというのが実は実態でございまして、われわれが現在その生産を進めております乳用牡犢の価格なりあるいは乳廃牛の価格等につきましては、これの引き下げ効果が出ておりまして、現にそういったものの価格につきましては、近年従来のような値上がりはいたしておらない、こういう実情にあるのでございます。
  89. 木村美智男

    木村美智男君 牛肉は、やはり最近の消費水準の向上に従って絶対量が不足しているというところに原因があると思う。したがって、輸入政策をとって価格の安定をはかるというのは、推進会議のこれは提言にもあるのですが、いまたまたま中国との覚え書き貿易協定の交渉の段階にあって、実は中国肉輸入問題について船上加工という問題がいわれているのですが、これについて聞きたい。  一つは、一体船上加工方式で話し合いがつくのかどうかという、そこからひとつお伺いしたい。
  90. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 前回の委員会におきましても木村さんからのお話がございまして、前向きになま肉を輸入したらどうかというようなことをいろいろ検討いたしましたけれども、御承知のように口蹄疫の問題が解消をしたということがはっきりしておらない、こういう点について、それでは他の方法はないか。それには他の方法として考えられるのは、なま肉で買ってきたものを船上加工をして、洋上加工をしたならば、そういう口蹄疫がもしあるとするなら、不利益を防ぐことができるであろう、こういうような関係をもちまして、もって洋上加工をやることにしたらどうか、そういう点についてただいまいろいろ折衝をしているところでございます。
  91. 木村美智男

    木村美智男君 洋上加工でやるやらぬという問題は、輸入をするしないということが相手方と話がついたあとでの話だろうと思うのです。その意味では私は、やはり政治三原則という問題を離れてなかなかこの問題は前進しないんじゃないか、こういうふうに思うのですが、この中国敵視政策をとらない、二つの中国の陰謀に加担をしない、日中両国の国交正常化を妨げない、こういう筋は一体認めるという前提に立っていまの貿易覚え書き交渉については進めていくことを了解をしているのかどうか。
  92. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 申し上げますが、中国肉の輸入という点につきましては、もう御熱心な木村さんのお話を承りまして、前向きでこれだけは懸命に努力いたしますという、そういうようなことを申し上げたとおり、今回の問題につきましては、政治的意図というものは何にもない、これだけは御了承願いたいと思うのでございます。であるからこそ、肉を洋上加工までして何とか買う方法をしようではないか、それまで努力をしておるわけでございますから、何ら政治的意図はないということだけは、ぜひ御承了のほど願いたいと思います。
  93. 木村美智男

    木村美智男君 いや、必ずしも政治三原則の問題は、私もう前からとらわれていないんだが、あなたが、口蹄疫を前提とした話だから、たいへんこれはむずかしいんじゃないかと、こう思っているので、向こうは七年前になくなったといっている。にもかかわらず、日本政府は三回も調査団を派遣して、日本の最高権威者まで含めて現地を調査をしてきて、なおかつ口蹄疫があるからということを前提にしての話では、ちょっと話がつかぬのじゃないかという心配を持っているものだから、この点どうかと、こう聞いている。
  94. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 家畜衛生上の問題という点は別といたしまして、ぜひそういう方向をもって取引をしてもらいたい、こういうことで、ただいませっかく民間から派遣をいたしまして、お願いをしているところでございます。
  95. 木村美智男

    木村美智男君 民間ベースの交渉を私は成功をぜひさせてほしいと思うから、政府がもう少し、この問題についてはあまり口蹄疫、口蹄疫というようなことを——実際にあるのかないのか。もうとにかく向こう側は、相手方は、一九六二年以来ないといっているのだから、だからそこら辺のところがいわゆる中国敵視政策だとか何とかいって、痛くもない腹を探られるということにも通じているから、政府はこの際、これは総理、ひとつこの問題については、従来の農林省の、テープレコーダーをここ十年来同じものをかけているのと同じことを言っているのですね。これはひとつ総理がこれこそ白紙の立場で考えてもらいたい。  それから船上加工方式というのは、非常に工賃が高くついて、マーケットプライスでは売れない、こういうことが言われている、この点はどうなのか。もしそうならば、中国でつくっているかん詰めを直接入れたほうが経済的じゃないか。  それから三つ目には、いま日本で牛肉の問題を要望している筋は何かといったら、それは店先に飾られているなま肉なんです。煮沸肉や、あるいはかん詰めやハムやソーセージにして持ってこいということを言っているんじゃないわけだ。ここのところを一体どう考えているのか。
  96. 太田康二

    政府委員(太田康二君) お答え申し上げます。  実は確かに先生のおっしゃいますように、なま肉の輸入ということが、生先のおっしゃるような消費者物価の引き下げという点におきましては、一番望ましいということはわかるのでございます。御承知のとおり、現在の牛肉につきましては、外貨割り当てをいたしまして、国内の需給を見合わせまして、不足分を輸入するというたてまえになっておりますので、この制度に乗るわけでございますが、今回の場合には、先生にしばしば石頭と言われるわけでございますが、やはり口蹄疫の心配があるわけでございますので、一応考えられました方式といたしましては、中国からはなま肉で買って、それを洋上加工をするという方式でございます。そこで、はたして何を、どういった製品をつくるかという点につきましては、実は具体的にそれぞれのメーカー、すなわち食肉かん詰めの加工業者あるいはハム・ソーセージのメーカー等が現地に行きまして、具体的に物を見て、品質、規格、価格等に見合って、はたして何をつくるかということが決定するのではないかということでございまして、現在の段階におきましてかん詰め幾ら、ハム・ソー幾ら、あるいは煮沸肉どうだというようなことを申し上げる段階にないことを御了承いただきたいと思うのでございます。
  97. 木村美智男

    木村美智男君 加工方式でもって入れる過程でだいじょうぶだということになれば、あるいはなま肉輸入の問題も将来は検討する、こういうふうにも聞き取れるのですが、ここはひとつ答えてもらいたい。  それから総理に、この際、やっぱり物価対策の観点から考えれば、大体松阪肉百グラムと中国なま肉をこちらへ持ってきて売る一キロの値段とが大体とんとんぐらいの試算がされておるわけなんです。ここは物価対策からひとつ考えてほしい。  もう一つは、その多少の差益を見て、畜産事業の振興のために、その助成に金を使ったらどうかということを政府はひとつ考えてみたらどうか。  それから肥料業界、機械業界等を含めた日中貿易の拡大という問題、これが一つ。そうしてソ連と同じように、そういう段階を経て中国との間の友好平和条約まで実は持っていけたらという、そういう展望を踏まえてひとつ総理考えてほしいと思うが、いかがでしょう。
  98. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) お説の肉でございますが、ただいま洋上加工がまとまりまして、このような点も一つ基礎づけられますし、あとは学術的に不利益がないのだというような点が確立するならば、いつでも私どもは輸入する用意があることをはっきりと申し上げておきます。
  99. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中国大陸から肉を輸入するということ、これはもういま言われた口蹄疫、これがただ心配だけなんです。それ以外の何ものでもございません。これを政治問題化する必要はない、もうそれだけの問題であります。それさえ解決すれば問題ないわけであります。  また、日中貿易は拡大の方向にぜひいきたいと、かように思いまするので、私も古井君が出かける前に古井君と会って、どうか長期的な契約とか取りきめができるように努力してほしい、こういう話をし、また両国間にいろいろ誤解もあるようだが、そういうような問題もぜひ解決するようにしてもらいたい。何よりもこちらで望ましいのは、ただいま十三人の邦人がどういうようなふうになっておるか、これがわからない。こういうこともひとつ早く帰していただけるように交渉もしてほしい、こういうような話もいろいろいたしております。これは私がいろいろ敵視政策をとっておると国内でも一部で言われておりますが、もっと北京でははっきりそういう言い方をしておるようですが、私は敵視政策をとっておるものではございません。ただいまのような貿易が拡大されることが望ましい。また、肉自身の問題は、重ねて申しますが、口蹄疫が心配なだけであります。それ以外の何ものでもございません。
  100. 木村美智男

    木村美智男君 総理のだいぶ前向きな印象の御答弁をいただいておりますから、あとはまた機会を見てこの問題は総理にじっくり実は伺いたい。  そこで、消費者保護の問題ですが、基本法が成立をした際に、総理も、生産過保護の情勢に堕しておったから、今度はひとつ消費者保護の関係は相当重要視してやりたい、こう言われたのですが、きのうお配りをいただいておりますけれども、附帯決議の中で、今日もう非常な不良商品やあるいは悪質な食品等についても問題だから、いろいろ法令改正をして取り締まっていかなければならぬということについて、実はその実施状況をもらったのですが、農林物資規格法を除いてはみな検討とか調査とかということなんです。十カ月たってまだ検討とか調査とか、ちょっと私は、これはなまぬるいじゃないか、もっと促進をしてもらう意思があるかどうか、総理に伺いたい。
  101. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私もただいま言われるように、検討だとか、あるいは調査中だとか、こういうようなことでは申しわけないと思っております。もっと行政当局を指導して督励したいと、かように考えております。
  102. 木村美智男

    木村美智男君 そこで総理、見せかけの——実はきょう消費者保護の問題として、一つの例にジュースのことを持ってきたのですが、これは総理、これは一〇〇%天然果汁、これは全部一〇%の果汁が入っておるのですが、問題は、この表示が実際はJASできめられておるけれども、これは王冠の端に、とにかく拡大鏡でながめなけば見えないわけです。何と書いてあるかというと、これにはJASのマークが端っこのほうにちょっぴり載ておって、それで一〇%果汁入り、こういうように書いてある。これは全部そうですから、あとで見ていただけばいいのですが、とにかくこのJASの表示が小さい。果汁含有率がせっかく書いてあるが、目に見えない。それからファンタ、これはジュースというふうには書いてないけれども、清涼飲料水という文字が小さくてわからない。これが比較的良心的であって、これには一〇%の天然果汁にビタミンP、Cが入っておるので、ジュースという表示をこれはやってない、乳化剤も入っていない。こういう意味じゃこのプラッシーというのが一番良心的です。こっちからこう並べた。こういう状態なので、この際外国並みに、やっぱり一〇〇%天然果汁の入っておるものをジュースということにして、こっちのほうは果汁入り飲料水とか、あるいは清涼飲料水とか、そうしてその割合をきちっと表示させる、こういうことをちゃんとやるようにしなければいかぬのじゃないか。こういう点、総理、実はこういうものを持ってくるとよくわかるから、ひとつ見ていただこうと思ってこれは出した。どうでしょう。
  103. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 特にジュースばかりじゃなくて、規格の問題につきましては、本年からは特に意を用いまして、この点についてははっきりしなければならぬというような方法をもって、法案を提案する考えでございますが、ただいまお話しのように、ジュースにつきましては、果実飲料のJAS規格では、果汁の含量において品名を区別して、天然果汁という名称は果汁一〇〇%のものに限っており、その他のものについては果汁含有を表示させるというようなことでございまして、農林省としても、これらに対しましては御指摘の点がございますので、公取と協力いたしまして、公正な競争の規約のもとに、そしてそれを締結し、積極的に業界に推進したい、こういうようなことをただいま考えていろいろ協議をしておるものでございます。
  104. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまの私、老眼鏡をかけてわからない、拡大鏡で初めてわかる、こういう程度では、とにかくとんでもないことだと思います。もっと業者にそういう点がはっきりわかるように指導する必要があると、かように考えます。
  105. 木村美智男

    木村美智男君 農林大臣のいまの答弁で大体いいのですが、事務当局必ずしもそうでもなくて、もう少し話がわからぬようですから、いまの大臣答弁で了解をしておきます。  次に、これは厚生大臣になると思いますが、サイクラミン酸ナトリウム、通称チクロというこれですね。ズルチンについては毒性が出されて、これは禁止になりましたけれども、これについてはまだ日本では無制限に許可をされています。それから園田厚生大臣の際に私申し上げて、中性洗剤のABSについて毒性のこの調査の約束になっているのですが、これはその後研究の結果どうなったか。  この二つを伺いたい。
  106. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 中性洗剤につきましては、ただいま衛生試験所と、それから大学でそれぞれ試験研究をされております。昨年度もやっておりますが、まだ十分な毒性、劇性の判定が出てまいりません。本年も引き続いて数百億円をかけて調査をされております。  それからチクロの問題は、アメリカでチクロには毒性があるということを言った学者がありますので、非常に注目をいたし、わが国におきましてもいま研究をいたしておりますが、アメリカにおきましても、国連の関係機関で検討をいたした結果は、毒性がないということに発表がありました。昨年の十二月アメリカの関係当局におきましても、国連の権威ある機関の報告に従って、アメリカとしてはただいま禁止措置を講じないということを昨年の十二月に発表いたしております。しかしながら、そう一学者の見解も無視するわけにはまいりませんので、日本でも引き続いていま検討いたしております。
  107. 木村美智男

    木村美智男君 いまの厚生省の答弁によると、これは私初耳なんで、これは問題として保留をいたしておきます。サイクラミン酸ナトリウムの問題ですね。あと食品添加物の関係で、たいへん、きょうはもう時間がないですから詳しくは言いませんが、タール糸の着色料と、それから漂白剤、いわゆる過酸化水素の問題ですね。こういう慢性毒性の研究というものは、非常に日本では総理おくれているのです。こういうようなことについて基本法がせっかくできても、実際の行政面に乗っていかないという、ここのところを総理これは督励をしてもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
  108. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たしか基本法ができました際に、いまのような毒性、特に着色したものにそういうものが多い、そういうことが具体的に指摘されたと思うのです。そういう意味で、私も木村君と同じような気持ちで関係の行政当局を督励することにします。
  109. 木村美智男

    木村美智男君 それから、いろいろ物価安定推進会議をはじめ、たくさんの、国民生活審議会とかありまして、有効な提言が出ています。しかし、これがさっぱり国民の目に見えるような実行に移されてないということで、どうも推進会議でも、何というのですか、いよいよ実行点検に立ち上がるということがきのうの新聞にも出ていますが、これは、この点どうしても、総理、そこのところだけは、やはり着実にくみ上げて、受けとめて、そして実行に移すという、こういう姿勢をひとつ政府として明らかにしていただきたい。いかがでしょう。
  110. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 物価推進会議などで答申された事項につきましては、極力実施いたしておるのでありまして、すでに実施した問題については、先般の本会議でお答えしたとおりであります。なお、われわれといたしましては、せっかく多くの人々の英知を集めて、また貴重な時間をさいてつくっていただいた答申でありますからして、その答申をほんとうに実行するようにしたいという固い決意で臨みたいと、こう考えております。
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 委員長、ちょっと関連。  経企長官に参考までに聞きますが、木村氏の物価問題の質問終わるようですが、四十四年度の消費者物価上昇率を五%程度と言われておりますが、それは科学的な測定基礎によるものか、政治判断によるものか。もし科学的な基礎によるのならば、そのよってくるところのものをひとつ説明願いたい。
  112. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) この問題につきましては、木村さんにもお答えをしたとおりでありまして、個々の商品の単独価格についての積み上げばかりではありません。いままでの物価の趨勢も考慮し、あわせて政治目標も定めて、五%ということにいたした次第であります。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことが、経済企画庁から出されておる資料も実は読んでおるのですが、きょうはそのことを言うと時間かかりますので言いませんが、いわゆるどうも政治的判断で五%というものを出されているように思うのです。先ほどずっと見ましたが、自由流通米の要素も、国鉄の運賃の引き上げも、関連する運賃の引き上げについても入ってないような感じを受けましたので、あなたは個々の積み上げとは言われますけれども、そういうものが入ってないと私は判断しておるのですが、そういうものをすべて要素に入れて五%程度と言われておるかどうか、これを伺います。
  114. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) お答えします。それはもちろん考慮しての結果であります。
  115. 木村美智男

    木村美智男君 総理にもう一つあとで伺いたいのですが、直接的には国税庁ですが、安い酒騒動というものが新聞に載りましたけれども、これは基本法の際には、消費者運動の育成ということは非常に重要な問題として取り上げられたんですが、一体これは今後どういうことに扱っていくのか、国税庁に伺いたい。
  116. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) お答えいたします。  おそらく御質問は、横浜方式ということで最近紙上をにぎわした問題ではないかと思っております。ただ、この実情を申しますと、消費者が直接に、相当この場合は遠方にある酒屋さんでございますが、ここに注文をされまして、そして酒屋さんがそれを取りまとめて消費者に届けるということでございまして、まあ価格も確かに安うございますが、酒税をやっと徴収できるぎりぎりのところで売っておるということでございまして、生産者が、酒屋さんが直接消費者に売ることは禁じておりませんので、その意味では酒税法違反というわけにはまいらないものでございますけれども、非常に極端なケースでございまして、これが一般化するような基盤を持っているものではないと、かように考えております。また、これが一般化いたしますようなことでありますと、御存じのように、酒屋さん、酒造家、また卸、小売り、なかなか中小メーカーが数多くございまして、非常に乱売を誘発し、ひいては酒税の確保——御存じのように五千六百七十億の酒税を本年度予算では見込んでおりますが、この酒税の確保にも影響あるのではなかろうか。したがいまして、これは一般化する基盤は持っておりませんし、ましてこういう方式でと一般に広めるというような話ではない、かように考えております。
  117. 木村美智男

    木村美智男君 酒税確保と言うけれども、代金引きかえに現品を渡しているんですから、酒税の確保は十分やられると思う。問題は、その酒税確保を理由にして消費者運動というものを押えつけているところが基本法に照らしてちょっとうまくない、こういうふうに言っているので、この点もう一回。徴税官吏としてはたいへんまじめな姿勢かもしらぬけれども、これは物価対策、消費者保護の立場からいえばうまくない、こう言っているわけです。総理どうでしょう。
  118. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 国税庁といたしましても、やはり消費者の側のことを考えないというようなばかなことは決して考えておりませんで、やはりいまありますリベートとかそういう悪い風習を極力なくす、またメーカーの方々ももっぱら合理化につとめられまして、弱小メーカーをかかえた業界でございますが、やはり極力価格を下げるという方向に努力をいたしてまいっておるわけでございます。しかし、そのための方法といたしましては、一般化してもいいような方法でやはり消費価格を下げる努力をすべきでございまして、いま卸、小売りという流通段階というものを、近代のこれだけ数多い消費者に必要な品を差し向けるという場合に、卸、小売りを全く無視した姿、それを省略していくということは、決して一般化できる仕組みではない。私は酒税確保の面から申し上げましたが、同時に、いまある経済の流通過程の自然な姿を見ましても、これは無理な方法ではないか、かように考えておる次第でございます。
  119. 木村美智男

  120. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 決してそれを抑圧するとかそういうような考えは持っておるわけでないんですけれども、メーカーである酒造業者の間に過当競争が起こる、これはもう必至だと思うんです。そういうようなことになりますと、これは大混乱を起こすわけでありますから、その点を心配しながら指導をいたしていきたい、かような考えでございます。
  121. 木村美智男

    木村美智男君 時間が終わりになってきましたので、総理に最後に一つ。  いままでいろいろと個別的に伺ってまいりましたが、先ほども申し上げましたように、物価問題は、国の財政金融政策から始まって、やはり公共料金の抑制なり、あるいは生産の計画的な樹立とか、輸入対策とか、いろいろ申し上げたわけですが、もう少しやっぱり、この物価対策というか、物価を扱うセンターをひとつ充実をするという意味で、企画庁物価庁的な役割りを私は持たすべきだと。で、そのためには、いまのような各省から出向している人ばっかり多いんじゃだめだと。ひとつこの管理としての障害を、企画庁の仕事に打ち込もうという、そういう体制をぜひとってもらって、そうしてそういう形の中でひとつ本格的な物価対策をとっていただきたい。これ最後に首相の考え方を伺いまして、私質問を終わらしていただきたいと思います。
  122. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 最後のお尋ねは、本会議における質問でもあったかと思います。私が答えた後に、総理から発言のあった最後のは趣旨が違うと、こう言われたことが耳に残っております。しかし、いま言われますように、物価問題は総合的にやらなければ十分の効果があがらないと、しかもそれを政府として各省の協力を得てやると、そういう意味からは、それぞれ専門部門から出ていって、そうしてその有能な才能を働かすと、そういうことが必要だろうと思います。したがって、ただいま経済企画庁はそういう意味から各省の協力を得ておると、かように考えております。  私はもう一つ、その御提案の中にもありましたように、政府物価問題に真剣に取り組みますが、やはり消費者の側においても商品選択——消費者の場においていいものと悪いものを区別すると、こういうことがぜひとも必要だと思うんですね。いろいろ物価安定推進会議など開いてみますると、熱心な主婦の方は、そういう意味で、ただ値段だけ高かろう、そのほうがいい、よかろうというのじゃなく、安かろう悪かろうじゃなくて、適正な価格がついているかついていないか、そういう意味の非常に目のきいた烱眼な買い方があるのですね。そういう点は、よく消費者の協力を得ない限りは物価問題は実を結ぶとは思わない。これは政府の責任をのがれる意味で私は申し上げるわけじゃございません。政府政府として十分指導もしなければならない。先ほどのお話にもありました、そういう意味では、基本法の定むるところをよく守って、有毒なものは排除することはもちろんであります。その品質等を表示するなども明確にする、これが必要だと思いますが、同時にまた、買い手、消費者も、品物のよしあしを自己の選択によってきめ得る、これの知識が必要じゃないか。政府はそれを助けるような意味において、表示をもっと徹底させること、これが何より大事だと思います。しばしば私は消費者の御協力を願っておりますが、そういう意味ではなおさら私は必要なように思っております。物価安定推進会議などは、私はできるごとに、できるだけの時間をさいて出かけてまいります。ここではたいへん率直な意見がかわされますし、委員の方々も、ほんとうに推進会議の目的を果たそうという、そういう意味の発言がありますので、他の場所ではなかなか聞けないようなお話がそのまま聞けるものでありますから、ただいま申すような点もそういうところから出ております。やっぱり政府政府、また国民の皆さま方も協力して、そうして物価の安定に寄与する、こういうことで成果を十分にあげてまいりたいと存じます。
  123. 木村美智男

    木村美智男君 時間ですから、終わります。(拍手)
  124. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 以上をもちまして木村君の質疑は終了いたしました。  午後零時四十分に再開することといたしまして、これにて休憩をいたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後零時五十分開会
  125. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。矢追秀彦君。
  126. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 初めに、補正予算について質問いたします。政府は、補正の要因を異常な豊作による買い入れ量の増加であると、このように言われておりますが、異常な豊作というのはどういうものであるか、農林大臣から明らかにしていただきたい。
  127. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ずっと長い間の統計からまいりまして、四十二年は非常な豊作でございましたけれども、四十一年までの統計等を見まして、大体この辺になりますと、随時その統計が、私ども農林省で大体推定したとおりな数字にあらわれてきております。ところが、四十二年、また相続いて四十三年が、天候に恵まれた関係もありますので、その統計よりもはるかに、想定したよりもはるかに抜け出ておるというところで、非常な豊作と申し上げたのでございます。
  128. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 きのうと同じ答弁でありますけれども、四十二年ぐらいは四十三年は予想されたと思うのですが、いかがでしょうか。
  129. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 御案内のように、四十二年は非常な、もう想像にもつかなかったというほどの豊作でございましたので、二年続きの豊作ということがなかなか今日まで見られなかったものですから、四十二年度は別といたしまして、四十一年度までの推計から見ますると、大体これを最高と見て予算に組み入れたと、こういうことでございます。
  130. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 豊作の原因は何ですか。
  131. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) もちろん天然でございますので、天候に恵まれたということもしかりでありますけれども、今日まで農民が非常に御苦労をなすって、その結果があらわれてきたと思うのでございます。
  132. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 まず天候のことを言われましたが、四十三年度の被害に対する予想が農林省のほうでされておると思うのですが、どのようなものですか。
  133. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) まことに恐縮でございますが、いま官房長が参りましてその点について御説明申し上げますので、しばらく……。
  134. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) ただいま調査して、すぐ御報告いたします。
  135. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 調査してって——調査はできているのですけれどもね。私ちゃんといただいたのですけれども、そういう無責任では困ると思います。
  136. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 手持ちの資料にございませんで、たいへん失礼いたしましたが、農林省の統計調査部の調査による水稲の被害は、被害の面積で四百十九万四千ヘクタール、被害量は百五万八千トンということになっております。
  137. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大臣にお伺いしますけれども、こういう統計もあるわけです。しかるに、先ほどから、きのうもそうでありますが、いまも答弁でただ四十一年度まででは一番最高であるとか、四十二年は特に異常だ、それが二年続くわけない、ただそれだけの理由で、四十三年度の収穫量予想は非常に間違ったと、私はこういうやり方は非常に非科学的だと思う。ちゃんと出ているわけです、これね。というのは、この統計によりますと、四十三年度は被害面積は前年度より全体で減っているわけです。水稲も陸稲も減っておるわけです。ということは、災害は四十三年度は少ないという見込みが出ているわけです。そうすると、災害の面だけ言うと四十二年度と同程度、四十二年度は確かに災害は少なかったわけです。が、見込まれていいという一つの因子がここに出ると思うのですが、いかがでしょうか。
  138. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 見積もりというものも、まだ全然収穫もしていない前の予想でございますし、稲作の大体をどの程度であろうという、こういう上に立って立てるわけであり、特にその予想はまだ種まきをしない前の想定も入っておるのでございまして、天候には長期天候の見通しというのもございますけれども、必ずしもことしも必ず豊作だというばかりにはなかなかまいりませんものですから、いままでの四十一度までのとったうちの最高がこれであるから、この程度であろうということを申し上げたわけでございます。
  139. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その辺が私はおかしいと思うのですけれどもね。それだけじゃないわけです。作付面積はふえてきていると思いますけれども、四十二年度から四十三年度までどのようにふえているか、数字を示してください。
  140. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) お答えいたします。四十二年から四十三年にかけての水稲の作付面積の増は二万町歩でございます。
  141. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 作付面積がふえ、しかも災害も被害量も少ない、しかも技術が進歩している、こうなれば当然少なくも四十一年度八百万トンという線と同じということは私は絶対出てこない、このように思うのですが、いかがでしょうか。
  142. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 作付面積も基盤整備のほうも進歩している、であるからこそまだ種をまかない前に大体四十一年度までの統計からいった最高を見積もった、こういう意味でございます。
  143. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 農林省の計算は、それじゃ推計学なんというのはお使いにならないのですか。
  144. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 米の収獲予想をいたします場合には、当該年度におきます推計による平年反収に予想作付面積を掛けまして平年作収量というものを計算をして出すというのが通常でございます。また、それが最も穏当であろうと思っております。ところが、四十二年は、先ほども申し上げたのでございますが、作況指数で一一二、昭和三十四年から四十一年までの間はずっと生産は千二百万トン台でございます。ただ三十七年が、これが未曽有の豊作と称されまして、千三百万トンちょうどということでございまして、その間に、その最後のところに、四十二年の千四百四十五万トンという、ほんとうに農業水稲生産の歴史の上では例を見ない、断層をなすような大豊作であったわけでございます。この大豊作を推計学上どう扱うかというのが、非常に統計理論の上でも問題になりまして、四十二年、四十三年と結果的に豊作は続いたということで、農林省としても、平年収量の算定方式を新たに作況審議会の意見を徴しまして改めたような事情があるわけでございます。四十三年の生産の見込みをいたします場合に、四十二年の評価をどうするかというのが非常にむずかしい問題でございましたので、四十一年までの生産の動向、それを見まして、四十一年が当時における平年収量に戻ったということで、この数字前提にしました集荷量を予定すれば穏当であるという結論に達しまして、八百万トンという買い上げ量を予定をいたしたわけでございます。
  145. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それが私はちょっとおかしいと思うのです。というのは、四十一年度から四十二年度には、災害の場合だけを考えますと、被害面積はだいぶ減っております。被害率も減っています。作付面積はふえています。もちろんこれは豊作という、先ほど言われたのも少しはあるでしょうけれども、四十一年から四十二年への推移というものは、これはある程度の予想が立っている。しかも、四十二年から四十三年は、さっき言ったように、作付面積がふえている、被害面積も減っておる、技術の進歩と、こうなれば、当然四十三年度ぐらいの収穫予想は立つと、これはしろうとで考えても出てくると思うんですけれども、いかがですか。
  146. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 四十三年の生産の結果を見ますと、御指摘のように、被害量も減少しておる。作付面積もふえておる。これは四十三年産米の豊作の一原因であったという御指摘は、そのとおりでございますが、四十三会計年度の食管特別会計の予算を組むという時期は、申すまでもなく四十三年の一月が予算をきめる時期、最新の時期でございます。作付面積がふえたり被害が少なくなったりしましたのはその後の問題でございますから、そのことをあらかじめ予想するということは、私はほとんど不可能ではないかというふうに思うのであります。
  147. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 完全な予想は無理でしょうけれども、これだけそのいろんな学問も発達しているわけです。また気象台のほうも、かなり長期予報等もできるわけです。不可能だ不可能だと逃げられますけれども、そうでなくても、この前の予算編成の審議のときにも、かなりこれが問題になったわけです。それをほんとうに真剣に考えられて、そうしてその八百五万トンという線を、私は要するに科学的な上からあらゆるデータ等を勘案してつくられたものでは決してないと、あくまでも政策的なものだと、結局ここに総合予算主義をくずし補正予算を組まなければぱならなかった。私は意図的な面を感ぜざるを得ないわけですけれども、その点農林大臣にお伺いします。
  148. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私も、農林省に参りまして、こういう点について、いままで二年続きの、驚異的といおうか、驚くべき大豊作というものが続いた例があったかどうかというような点についていろいろ伺ってみましたけれども、なかなか二年続きの大豊作というものは今日まで見られなかったようでございます。したがいまして、こういう点について、しかし今後は農業技術というものが発展し、また気候とか天候という点についてもしかりであり、またおっしゃるような科学技術の発展に伴って今後は統計のとり方というものを考える必要はないだろうか、こういう点も十分勘案する必要があるでしょうということだけは申し上げて、今後はそのような考え方でもって進んでいくようにして指導をしておるつもりでございます。
  149. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 矢追さんの御意見はですね、結局四十三年度の食管繰り入れが意図的に過小であった、こういうことのようでありますが、それは全く逆なんです。昭和四十年代をとりましても、四十年度には千九十六億円が繰り入れてあります。それから四十一年度が千二百五十三億円、四十二年が千二百八十七億円、こういう予算が組んである。そこで、年度途中になって足らなくなりましてですね、どうなったかというと、四十年度が千九十六億円に対して千二百四十六億円になる、それから四十一年度が二千六十三億円と激増する、四十二年度は千二百八十七億円が二千四百六十七億円と、こういうふうになったわけでありますが、四十三年度はそういうことを考えて補正はなくしたい、こういうので、二千四百六十四億円ともう初めから組んだんです。これが補正なしということをねらった総合予算主義、これが端的にあらわれておる。こういうのですが、この一事をもちましても、意図的に過小に見ておるという御疑念は晴らしていただけるのじゃないか、そのように考えます。
  150. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 米の予想が八百五万トンでありますけれども、もしこれが九百万トン、まあ百万トンも少ないといいますか、結果的には百万トン少ない、そういう場合にですね、補正を組む必要はなかったんではないか。私は譲って、四十三年度、同じとはいかなくても、百万トンふやして九百万トンの場合、これは補正を組む必要があったかどうか。私はなかったのではないかと思いますが、その点。
  151. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 九百万トンの程度でありますと、ありません。
  152. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 だが、農林大臣にもう一度お伺いしますが、いまの大蔵大臣答弁からいってですね、やはり八百万トンというのは少な過ぎる、せめて九百万トンまでふえておれば補正を組まなくてもよかった、そうすれば政府方針は貫けたと、こう考えるのですが、いかがですか。
  153. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 政府方針は貫くことができますけれども、われわれとしては、経済の発展に伴って、相マッチして農業技術の発展向上、こういうものがかくまできたという、私農林省としては喜ぶべき現象であった、反面はそう思います。しかし、おっしゃるような予算の面からいったんでは、これは見積り違いがあったということについては、これはまたその反面は申し訳ない点もある問題であります。
  154. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、国内産米の売り払い状況、これを説明していただきます。
  155. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 最近の政府の米の売り払いの状態を四十年度から申し上げますと、特内地米について申し上げたほうがはっきりするかと思いますが、内地米について申し上げますと、四十年度六百十万精米トンでございます。四十一年度が六百二十三万八千トン、四十二年度が六百七十五万五千トン、四十三年度の推定が六百六十七万トンという予定でございます。
  156. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この売り払い状況の実績が非常に当初とかなりの差が毎年出ておりますけれども、その状況を説明してください。
  157. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 当初予算におきまして国内米の四十三会計年度中の売り払いの予定数量を七百九十六万八千トンと見込んでおったのでございますが、昨年の秋以来売り渡し量が伸びませんで、現在の段階までの実績と今後の見通しから実行量の売り渡し数量を推定いたしますと、七百五十六万二千トンということで約四十万トン見込みよりは減少するという見込みでございます。
  158. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 過去をさかのぼって。
  159. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 過去へ順次さかのぼりますと、四十二会計年度は予定が七百四十一万二千トンで、それに対する実績は七百四十二万四千トンということで、実績がほんの少し多いということでございます。それから四十一年は予定は六百九十八万四千トンで、それに対する実行は六百九十五万九千トンということで、この場合はごくわずかに実行が少なくなっておるのでございます。四十年度は六百九十九万一千トンの予定が、実績が六百五十五万九千トンということで、やや実績が落ちておるという年に当たります。
  160. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 もう二年度前にさかのぼっていただくとよくわかるのですけれども、三十九年までは当初予算の見込み量を上回っておったけれども、四十年度以降は、いまお示しになったように、下がってきておるわけです。したがいまして、四十三年度において当初予算を七百九十六万八千トンと踏まれたその根拠はこれは高過ぎると思うのですが、どうですか。
  161. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 政府の需給操作の対象としての米のうち、売却数量をどういうふうに見込むかということは、これは一人一人の消費量の減少ということをやはり頭に置かなければいけないわけでございますが、同時に、全体としての人口の増と、それから農家人口が都市人口に変わる、そういう人口移動を念頭に置いて算定をしなければならないものでございます。四十三年を七百九十六万八千トンと見込みましたのは、四十一年と四十二年の実績の差が約五十二万トンばかりあるわけでございます。したがいまして、四十二年の実績に約五十万トンを加えたものを国内米の売り払い数量として予定することが適当であろうということで、当初の七百九十六万八千トンを組んだわけでございます。
  162. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 関連。いまの御質問に関連してちょっと伺いしたいのですけれども、さっきの買い入れ量の場合は、四十一年の実績である八百三万七千トンから割り出して八百五万トンにした。ところが売り払いのほうは、四十一年、四十二年の差が約五十万トンある。そのことから七百九十何万トンというふうに出してきた。買い入れのほうは四十二年の実績は九百八十九万トンというふうに上がってくるわけです。そういうことから見ると、買い入れのほうだけは四十一年までのことで見込みを立てて、売り払いのほうは、四十二年までのぐあいのいい数字を持ってきて七百九十六万八千トンと、こう見たわけです。つじつまを合わせるためにやったのじゃないか。これが一つ。いま一つは、これは大蔵大臣に伺いたいのですが、今回、当初に売り払いの予定は七百九十六万八千トンが七百五十六万二千トンとなって、四十万トン減ったわけです。その歳入減というのが百四十一億ある。ところが、買い入れのときの見込みの四十一年に合わせれば約七百万トンになるわけです。買い入れの見込みを四十一年で立ててそれに合わせて売り払いのほうも四十一年に見れば七百万トンにしかならない。そうすると実際には、ここで言っておるように、補正をやりまして百四十一億売り払いは減ったと言っているけれども、さらに四十万トンくらい減って、さらに百五十億くらいは赤字がふえてくるのじゃないか、こういう疑念を持たざるを得ないのですが、この二点について答弁をお願いしたいと思います。
  163. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 七百九十万トンが五十万トンばかり減ったわけですね。これは資産が残っているのでありまして、損益には関係がないのです。あれば金利と倉敷と四、五十億円になりますか、その程度であります。
  164. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 御指摘の買い入れ数量の予想のしかたと売却のしかたが異なっておるのではないかということでございますが、これは私どもは異ならざるを得ないと思うのでございます。と申しますのは、収穫高、およそ四十二年という異常の年に考えます場合に、一体何を考えたらいいのかということは非常に迷う年でございます。というのは、昭和三十五年以来、米の生産量は三十七年に一度だけ千三百万トンちょうどというのがありますが、あとはずっと千二百万トン台を推移しておるわけであります。したがいまして、買い入れ量が急激に増大をいたしましたのは、四十二年の異常な豊作の年だけ。生産量はそういう生産量であります。  一方、売り渡しのほうは、三十五年ごろから三十八度にかけましては、一人当たりの消費量の増と人口の増と両方を結びまして年々ふえていったのでございまして、現実に三十五年は政府の売り渡し量は五百五十万トンであったものが、四十一年には六百九十八万トンというふうにふえ、四十二年は七百四十一万トンとふえたのでございます。つまり、政府の操作量というのは、そういう人口の移動、人口の増、また三十八年ごろまでの消費の増というようなことで動いておるのでございますから、したがって、そういう動きを見つつ政府の売り渡し量をきめるというのも当時の考え方としては私は間違ってはいなかった。ただ、その後実績としてそれだけの売り渡しが行なわれないということになったことは、これはある意味で私どもの測定に誤りがあったということは、これは私はいなむ気持ちはございません。
  165. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまも質問がありましたけれども、私はどうしてもその五十万の増をもう少し具体的に示していただきたい。その理由ですね。ただ人口がふえただけというようなことではいかないと思うのです。
  166. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 四十三年度当初に前年対比約五十万トンの売り渡しの増を見込みました一つは、加工原料用の米が年々五%程度ずつふえておるのでございます。大体、加工原料用が七、八十万トンでございますから、そういうことを念頭にまず置く必要がある。それから、先ほど申し上げましたように、四十二年とその前年の四十一度との売り渡し実績の差が約五十万トンあるということを考えまして、四十二年、四十三年についても、ほぼ同じ程度の幅の政府の操作量の増があるだろうというふうに考えまして七百九十六万八千トンというものを見込んだわけでございます。
  167. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私の聞いているのは、さっき言われた四十年から四十一度は約三十万トン、四十一年から四十二度は約五十万トン。だから四十三年も五十万プラスして七百九十六万トンと、こういうふうに踏んだと、四十年から四十一年、三十万トン増の理由ですね、それが五十万になった、その辺をちゃんと分析しないと、それと同じように、五十万ふやしていいという線は出てこないと思うのです。その点の理由づけはちゃんとありますか。
  168. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 四十度から四十一年に国内米の政府売り渡し実績がふえましたのは、これは実際の操作は輸入米と合わせてやるのでございまして、四十年には輸入米を九十二万五千トン操作をいたしたのでございますが、それを六十七万トンに四十一年には減しておる。したがって、約二十五万トンは輸入米の操作の減が国内米の操作の増にあらわれておる。そのあとは加工用の増というふうに見てよろしいかと思うのであります。  それから、四十二年の五十万トンの増は、同じく輸入米六十七万トン、前年操作しましたものを半減をいたしまして、三十六万八千トンということに落としましたので、それが、その部分約三十四万トンというものは、外国米の操作の減が国内米に集中をしたということに相なるわけであります。あとは加工用とそれから配給人口の増というふうに理解すべきだと思います。四十三年については、外国米の操作は実行上は二十二万四千トン程度というふうに見込んでおりまして、前年より十四万トンばかり操作を減す、そうして、他は国内米で操作をするということで、人口の増、それから農家人口の移動の状況、それから加工用の増を考えまして、あとの数量を国内米でまかなうという予想をしたのでございます。
  169. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われたので大体五十万という線は出るでしょうか。ちょっと、さっきからの考え方としますと、私のここでの計算ですから間違いかもわかりませんが、そんなに上がらぬと思いますがいかがですか。
  170. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) ここで御説明をいたしておりますのは、実は非常にまとめたお答えをいたしておりまして、厳密に言えば、この売却の見込みは米穀年度から翌米穀年度へわたる間の需給計画、月別の需給の計画を二米穀年度にわたる四−三の期間にわたって積み上げるものでございまして、私どもとしては当時の各月の趨勢を求めつつ、かなり綿密に積み上げたつもりでございますが、結果としてどうも昨年の秋からその積み上げがくずれてきたというのが事実でございまして、むしろこのくずれたこと自身がどういうことであろうかということを私ども今後よく追跡をし、また、われわれが反省すべきものがあれば、今後の需給計画樹立に際して反省をしていきたいというふうに思っております。
  171. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 経済企画庁にお伺いしますが、食生活の変化、米食だけ取り上げて、減っていると思うのですけれども、いかがですか。要するに、米を食べる量が減ってきやしないか。
  172. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) お答えします。  お説のとおり、一人当たりの米の消費量が減っております。
  173. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 全体の。
  174. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 全体の数字は私の手元にありませんが、政府委員から答えさせます。
  175. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 米の一人当たりの食糧用米の消費量の動向を申し上げますと、一人当たりに申し上げまして、年間昭和三十七年がピークでございまして、百十八・三キロ、それがだんだんに減りまして、四十一年は百五・八キロ、四十二度は百三・三キロ、そういう状態でございます。
  176. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 全人口にした場合——一人当りはわかりましたけれども——全体はどうなるのですか。
  177. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 全体の消費量のピークが昭和三十八年の千三百四十一万トン程度でございます。現在は、昭和四十一年で千二百五十万トン、昭和四十二年で千二百四十八万トン程度でございます。
  178. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまのデータからしますと、消費量が減っているわけです。人口がふえても、消費量は一人当たりも減っているし、全体でも減っておるという数字が出ているわけですから、先ほど食糧庁長官の言ったような、人口増だから売り払いがふえるという理論は当てはまらぬと思うのですが、いかがですか。
  179. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 先ほどもお答えをしたのでございますが、一人当たりの消費量は確かに減少をいたしております。明らかに減少いたしております。しかしながら、全体の人口の増は、これは全体の消費の増の原因になるわけですが、現在のところは、全体的な需給で言えば、消費の減退のほうが人口の増よりも大きい。したがって、全体の需要量は減少ぎみであるということであります。しかしながら、政府の需給操作量は、農家人口が減れば配給人口がふえてそうして農家の消費量が減ると、そういう社会人口の移動という点で政府操作量の増ということは従来も続いてきたのでございます。
  180. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 農林大臣にお伺いしますが、いままでのずっと議論してわかることは、非常にすべてがずさんである、こういう結論に達すると思います、買い入れの問題、また売り払いの問題。なぜもっときちんとできないか。そういうのが今回の予算を組む際にも大きな問題となってくるわけです。食生活の問題も大事でありますし、米の問題も非常に重要な問題でありますが、何かこういった点の操作ばかりやっているような、適当に組んでいるような感を国民に抱かせるわけであります。そういった点に対して、今後どのように国民の疑念を晴らしていくか、具体的にお答えしてください。
  181. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ただいまも申し上げたとおり、四十二年までの間には確たる間違いというようなものはなかった、四十一年までの間にはその統計の見積りにもそう相違はなかったと思うのでございますけれども、四十二年度が異常な収穫があったという点とあわせまして、二年続きの……四十三年度産米に対しては、まさにおっしゃるとおりな数字の見積り間違いがあった、こういうことでございます。しかし反面、おっしゃるように、食糧構造というものが国民全体に大きな変わり方をしてきた。要するに、高級食糧に変わってきたという点。その反面、米を食う量というものがだんだん少なくなってきた。こういう点は十分見積っておるはずでございまして、四十二年度までの食糧、人間一人当たりの消費量というものも、これらに対してはまあ大体間違いはないだろうというように見積ってはあるわけでございます。ただ、申し上げたように、四十三年度産米に対しては、おっしゃるように、見積り違いがあった。これは申し上げたように、まさに、種をまく前に今度度はどのくらいだというような点を想定するものですから、異常な天候に恵まれたということとあわせましてそのような結果があらわれたんだと、こういうわけでございます。
  182. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に自治大臣にお伺いしますが、地方交付税交付金の自治省からの貸し出しの問題ですが、例の覚え書きがきのうも議論になっておりましたが、この六百九十億の件については、将来ちゃんと返してもらえるめどが立ってお貸しになったのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  183. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) お答えいたします。先般も大蔵大臣と私と覚え書きをかわしましたが、その中にも明記してありますとおり、今回の六百九十億は四十三年度の自然増収を引き当てとしてその限度内でございまして、決してただ返ってくる目票がなくていつでもいいという感じではございません。はっきりいたしております。したがって、今度の補正が出ましたので、その中から、地方交付税として七百三十五億の金が入ってまいりますその限度内で六百九十億を特例措置いたしたわけでございますから、何らその点については不安がございません。
  184. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この六百九十億は何年度に返るのですか。
  185. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) 補正が出ませんと、これも御承知のとおり、予算編成のあとに出た金でございますから、四十五年度に繰り越して使うのでございますが、補正が出ましたから、四十四年度で使えることになります。
  186. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 四十三年度にも四百五十億を貸しておりますけれども、これはいつ返りますか。
  187. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) 四十三年度に四百五十億、これは三年間で返すということで、この四十四年から三カ年で分割して返ることになっております。
  188. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 四十四年度では幾ら返ってくる予定になっておりますか。
  189. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) いまお答えしましたように、三カ年の分配。四十四年度は百五十億返ることになります。
  190. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、三百億は残っているわけですね。それと六百九十億を加えたならば、九百九十億ということに四十四年度でなると思いますが、その点はいかがですか。
  191. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) 四十四年度には百五十億でございます。四十五年度にはなりません。四十四年度で百五十億返ってきます。それで四十五年度、またその三カ年のうち、百五十億返ってきます。
  192. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それを聞いているのじゃないのですよ。それとこの六百九十億を貸したのが四十四年度に入るのじゃないですか。そうしたら九百九十億貸したことになりませんかと聞いている、現在は。
  193. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) 現在はそうです。そのとおりです。
  194. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そのように、まあ四十四年度現在をとればふえているわけですよ。それがだんだんしわ寄せになっていっても、将来ちゃんと返してもらえるめどが立っておるのかどうか。四百五十億は三年だ。それでまた六百九十億というのがふえてきているわけですね。その点はいかがですか。
  195. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 決して交付税を減額いたしたわけではないのでありまして、まあ留保しておる。こういうことでありますから、これはもう逐次お返しいたさなければなりません。これは間違いございません。
  196. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 近いうちと言われましたね。近いうちというと、いつ。
  197. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 逐次と申し上げたのですが、四十三度の分はことし、来年、再来年と、こういうふうに三カ年に百五十億ずつに分かれるわけであります。それから、昭和四十四年度の分ですね、これは一応四十五度に交付額を増加するという形で返すことになるということにしておりますが、まあ、そのときの情勢に応じて中央、地方の財政の調整という見地から相談をいたしたいと、かように考えております。
  198. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 自治大臣にお伺いしますけれども、自治省からこういう巨額の金を、交付税の範囲内であればいいということで、貸しておられますけれども、地方財政は非常に豊かになったというのが大蔵大臣考え方のように伺っておりますけれども、それは豊かになったのではなくて、地方がやらなければならない住民福祉に関する仕事は相当あります。教育の問題、あるいは環境衛生の問題、また中小企業の金融等の問題、特に地方は国以上に住民福祉に密着した仕事はやっておるわけです。したがいまして、こういうお金をたくさん貸して、しかも、その年、そのあくる年には返してもらえない。三年もかかってしか返してもらえない。そのときに、その地方の税制の状態と勘案して返していく。こういうような状態で、ほんとうに地方の住民福祉というものが十分国民の満足のいくようにいけるかどうか。そういったことの上からこういうことを承知されたのかどうか。この点お伺いしたい。
  199. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) 矢追さんのおっしゃるとおり、地方財政は豊かとまでいってございません、まだ。しかも、行政水準を上げるには、たいへんな財政の費用が要ることも事実でございます。今後の措置につきましては、私は大蔵大臣との折衡にあたりまして、まず第一に、地方交付税の税率の問題について数年間かれこれの意見もございましたが、それは、いま御説のとおり、地方財政はどうしても今後さらに確立していかなくちゃいかんたてまえから、この交付税というのは、基本的に地方財政の固有の財産であるという考え方からいたしまして、税率にさわってもらうということは絶対同意できないというようなことで、今度の大蔵大臣との覚え書きにおきましても、当分の間一切さわらないということを明記したのでございます。  第二番目に、こういう特例措置というものは好ましくありません。御説のとおりでございます。したがって、この問題についてもいろいろ折衝いたしましたが、これは先ほどお答えいたしましたとおり、四十三年度のときの四百五十億というものは、まあ結局三カ年で返すということに話しがつきまして、四十四年度も百五十億返ってまいりますが、しかし、そういう性質の特例措置は困ると、こういうことの結果、繰り返してお答えいたしておりますとおり、四十三年度の自然増収というものが大体わかってまいりましたから、これを、この限度内ならよかろうという、この四十三年度の自然増収を目あてにしてこういう措置をいたしました。  同時に、大蔵大臣との覚え書きにおきましても、今後、特にこういう特例措置は行なわないことにするということも覚え書きの中に入れてありました。これはお説のとおり、決して、地方財政は豊かで、かってに、余るから金を貸すという態度は、私はとるものではないし、また、今後も同意できないと、こう考えております。
  200. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 まあ、今後、同意できないといっても、このままでいったって四十五年までずっと続くわけですから、三年ぐらいはそのままの状態であると、こうなると解釈してよろしいですか。いま大臣がおっしゃたのは、今後やらない。しかし、とにかく三年は残っているわけですね。それに対して、何か処置を講じられますか。
  201. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) つまり、いままでとられた特例措置に対する地方財政に入ってくる金のめどがついております。大蔵大臣もお答えいたしたとおりであります。それで、今後、こういうことをそれ以上重ねるということは、地方財政を脅かすものだという意味におきまして、一般的にそういうことを覚え書きで書いておきました。
  202. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大蔵大臣はどういうお考えですか。
  203. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 地方の主力財源は、これは申すまでもなく、交付税交付金であります。これは、性格は、私は地方の固有・財源だと、こういうふうに思うのです。ところが、これが中央の、いわゆる三税の三二%と、こういうのでありますから、中央の税収の伸びによって左右されると、こういう性格も持っておる。  そこで、それを受け入れる地方財政の立場から見まして、交付税の額というものが、好況、不況——経済の状況に応じてあまりでこぼこのある形は、私はよろしくない、こういうふうに考えておるわけでありまして、問題としては、その経済の状況に応じた三税の伸び縮みが激しい。その激しいのを受けて、交付税に激しい伸び縮みがあるということを調整する必要、つまり年度間調整、年度間調整といいますが、その必要があるのではないか。これは、ただいま自治大臣からも申しましたこの覚え書きにおいて、何とか調整の方法を検討いたしましょうと、こういうことになっておるわけであります。いずれにしても、私は、地方は地方、中央は中央という、そういう片寄った立場をとっちゃいかぬ、これはもう国の政策を行なっていく車の両輪である、苦しいときは、中央は地方を助ける、また地方は中央を助ける、お互いの苦しい場合に助け合うというたてまえを堅持していかなければならぬと、かように考えております。
  204. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま自治大臣は、今回のみである、今後やらないと言われましたが、いまの大蔵大臣考え方でいけば、今後も事態の発生いかんによってはやるべきだというふうな考えにとれますけれども、その点、いかがですか。
  205. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今度のような方式はもういたさないと、こういう考えです。ただ、地方財政の年度間の調整方式、これは検討しなければならぬ。また中央と地方との協力体制、これについても別途の角度から検討しなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけです。
  206. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 きのうもいろいろ議論になっておりましたが、この総合予算主義をまあ私たちはくずれたと主張しておるわけでありますが、政府のほうはくずれてはいない、異常の事態の発生であると、こういうふうな場合には、今後も補正を組むと大蔵大臣言われましたけれども、異常の事態というものを、やはりこの場合きちっときめなければならぬのじゃないか。さっきの米の問題は、私は異常とはとらない。見込違いである。計算の間違いである。ダブり払いの問題も、これは異常ではないのじゃないか。そういう点で、異常の範囲ですね、たとえば災害が起こったらこれぐらいのお金が要るようになったとか、その異常というもののある程度の取りきめをしないと、たとえ総合予算主義を堅持すると言われても、その点をはっきりした上でなら、これはやむを得ないかもわかりませんけれども、私としては、総合予算主義の看板ははずされたほうがいい、補正を組まれたほうがいいと前から言っておったわけです。もしどうしても政府がそのように主張されるなら、この異常の事態というものはこれこれぐらいに限定をしていくと、そうすべきではないかと思いますが、その点いかがですか。
  207. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ異常といえば、社会通念でこれは大体解釈していくほかないと思うのであります。金でいえば二、三百億程度の歳出を超過すると、そういう問題がありました際に、そのくらいのことならば、できる限りこれはワクの中で処置をしていく努力をしなければならぬと思います。しかし、それを大幅にこえてどうも財政需要が起こったような異常な事態、まあ災害——大災害でありますとか、そういう際におきましては、これは既定予算ではやりきれない、増ワクの補正をお願いしなければならぬ、かように考えます。
  208. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、減税の問題で少しお伺いしたいと思いますが、減税を補正の中でも組んだ例が三十五年にあるわけでありますけれども、非常に手続がむずかしいと思いますが、本年のような非常に増収がふえた場合、特にいま問題となっておるサラリーマンの減税には回せたのではないか。特に所得税の補正で千八十七億四千万ですか、これが出ておりますが、こうなりますと、この半分ぐらいの五百億ぐらいは減税に回せたのではないかと、このように考えておりますが、いかがでしょうか。
  209. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 年度内の減税というのは、なかなかこれは技術的にむずかしい点があります。御指摘のとおりです。  それから三十五年に何か前例があるというお話でありますが、軽微な減税をしたことがあるようであります。しかし、このときと今日は性質が、財政の状況が非常に変わっておりますのは、今日は公債を出しておるわけであります。公債を出しておる状態でないといたしますれば、非常に大きな自然増収があったという際に、さて減税かというような考え方もできないわけはございませんけれども、まあ多額の公債を出しておる現在の状況からいたしますと、まず公債の発行額を減らすと、こういうことに努力をすべきである、それが正しい政策的な考え方である、かように考えます。
  210. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま国債の問題を言われましたが、国債を減額したほうが減税をするよりもよいと、こういうお考えですが、むしろいまの物価高、あるいは重税、特にサラリーマンの方は税率が不平等であるということで問題になっておる。そういうときには、むしろ減税に回して、国債減額は徐々にやっていくと、こういうふうな方向のほうが政策としては望ましいように思うのですが、いかがでしょう。
  211. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 何をおいても一番大事なことは何かといえば、日本の経済が持続的に成長することである。これができなければ、もうサラリーマンも何もあったものじゃないのですから、そのサラリーの根源をつちかう政策に意をまず用いなければならぬ。そうなりますと、やはり財政論といたしましては、いま公債を出しておる、民間の景気がいい、この際にこそ公債を減らし、そうして長い持続的景気の成長、これを考うべきである。その上に立って初めてサラリーマンの生活が確保される、そういうふうな基本的な考え方です。しかし、いま矢追さんのおっしゃるように、いまサラリーマンの税の問題、これはきびしい問題になってきております。これはよく承知しておりまするし、よく私もその立場はわかります。わかりますので、この昭和四十三年度に二千四百億円の自然増収が出た。この事態を踏まえまして、昭和四十四年度において、この中堅所得階層以下、つまりサラリーマンがこれは主になりますが、そのためにまあかなり大幅な減税をする、こういうことになるので、この二千四百億の自然増収が四十三年度に減税となってあらわれてきておりませんけれども、四十四年度ですね、翌年につながって減税となってあらわれてきておる、かように御理解願いたいと思います。
  212. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 経済成長の問題を少し言われましたが、もともと国債発行されたのは大蔵大臣ですね、経済成長も、この間まで経済社会発展計画がありましたけれども、あの経済成長率どおりにはいかない。この国債政策というものが大きく一つの原因にもなっている。その他いろいろな財政の運用等が大きく問題になって、この経済の成長が非常に大きくなり過ぎている。そのために、いろいろの物価高とかその他のひずみ等が出てきておる。いま答弁聞いておりますと、経済成長という大きな問題だから、国債減額をまずやらなければいけない、いまになってそういうことをおっしゃいますけれどもね、大体われわれはもともと反対をしてきたわけです、国債発行には。だからもっと少な目に出してよかったわけです。じゃあ成長したからそうなったんだとこう言われるでしょうけれども、この点いままでの経済社会発展計画の破綻、あるいは今回の総合予算主義のわれわれは崩壊と主張しておるわけでありますけれども、こういう一連の経済政策というものが、発展した発展したと言われますけれども、その発展の陰にはいろいろな問題が出てきている。私は決していい発展ではないと思うわけです。表面的には、国民総生産が世界第三位という繁栄をしているかわかりませんけれども、その中に貧困がある。だから、私は、政府経済政策というものは大きな見込み違いと、間違った方向に行きつつあるのではないかと思う。全体的には、日本の経済は繁栄していると表面的に見えるかもしれません。もっともっと、経企庁長官も質、量ということをやかましくおっしゃっておりますが、そういう方向に持っていかなければならないと、こういうふうに思うわけですが、そういった点で、今後の経済の持って行き方、じゃあ国債はこの次はうんと減らすのか、将来なくしていくのか、その点をあわせてお伺いしたい。  最後に総理にも、いま申し上げた経済社会発展計画の破綻と、まあわれわれ主張している総合予算主義の崩壊、これは、私は総理にも責任があると思います。このことに関する総理の見解をお伺いしたい。
  213. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 矢追さんの御承知のとおり、昭和四十年には戦後最大の深刻な不況を迎えたわけであります。この不況は、ほうっておいたら、あるいは日本の経済が息を絶やすかもしらぬというくらいな深刻なものであったわけですが、これに対して公債政策が採用されたわけでありまして、公債政策を採用するにあたりましては、二つの点を考えたわけです。一つは景気調整ですね、財政が景気に対して一つの力を発揮するという機能を持たせたい。それからもう一つは、やはり国の財政需要というものがどんどんふえていく、それに対して税でいく、いままでの方式ならば税でいったわけですが、それでは国民の負担が重く、かつ戦争というもので焼尽した資産というものの取り戻しができない。そこで、しばらく公債という形によって、企業にもまた家庭にも蓄積の機会を与える、こういう二つの面から、公債政策ということが採用されたのですが、これを顧みてみまして、私は、とにかくこの大不況の回復には公債政策が偉大なる力を発揮したと、こういうふうに思います。そのフィスカルポリシーという機能と、こういう面からは成功しておる、こういうふうに思います。それからまあ蓄積を与えたという点、これも、もしこの三カ年間に公債発行ができなかったとしたならば、それだけの増税をいたしたわけであります。その意味におきまして、国民負担の軽減というか、蓄積の増強に大きく貢献をしておる。ただ多少残念に思いますのは、成長の高さであります。これはどうも一二%、一三%実質上がると、のみならず一七%〜八%上がる、これはいかにも高過ぎる、もう少しこれをなだらかにすることができたら、これは満点だったと、こういうふうに思いますが、今後はそういう心持ちで経済財政の運営にあたっていきたい、これが私の考えでございます。
  214. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま公債政策が過去においてわが国の経済成長に役立ったかと、これは大蔵大臣のお答えしたとおりでありますから、それにつけ加えるものはございません。いわゆる財政規模、そういうものをこのフィスカルポリシー、そういう意味でいろいろ考えると同時に、一方でまたポリシー・ミックスと申しますか、財政、金融一体としての総合運営をはかっていく、そういう意味経済成長をなだらかに持続していく、こういうことが望ましい、これはもう申すまでもないと思います。しかし、公債そのものは何といいましても借金ですから、借金をたくさんしてやるということは、これはあまりいいことじゃない、だから、機会があって余力があるときには借金を減らすという、そういう政策をとるのが私は望ましいことだと思います。ただ、その場合に、借金を減らして民間の使い得る金がふえれば、それがいわゆる物価を上げることになりゃしないかと、こういうことをいわれます。ちょうどこの点は、減税の場合も同じことがいわれるので、減税をすると、やはり国民消費需要が高まる、そういう意味から物価は上がるのではないか、こういうことがいわれると思います。そこでいまのポリシー・ミックスが必要で、十分そういう場合に経済成長を安定さしていく、そのためにはどの程度の民間資金が必要か、こういうことをよく考えて、総需要を野放しにしないように、これは野放しにいたしますと経済成長が極度になりますから、持続的な安定成長というものは非常にむずかしくなる、そこに問題があると思います。確かにお話のように、現在の経済成長も高過ぎやしないか、これは大体一〇%程度にとどめるべきじゃないか、こういうこともしばしばいわれております。しかし私は、いま経済成長して、今度はもう四年目に入っております。こういうことはほとんどないのですね。こんな長期にわたっての経済成長、これをひとつぜひことしは警戒しながらもいまの状態を続けていこう、これが政府態度であります。私は、いずれもそれぞれの立場においてそれぞれ議論されておりますが、問題は、やはり経済を適当に成長さし、同時にそれが国民生活向上に、福祉の向上に役立つようにしたいものだと、かように私は考えております。
  215. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 補正予算については、以上で終わりまして、次に、外交問題に移ります。  総理は、沖繩返還につきまして、前々から白紙の域を出るといいながら、いまだ出ておられませんが、いよいよ訪米をされるわけでありますが、その訪米前に、返還構想を国民の前に明らかにされる御用意があるかどうか。
  216. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いつまでも白紙の状態で出かけるわけにはいかぬと思います。これはもう適当なところで結論を持って、そうしてアメリカと交渉する、こういうことだろうと思います。
  217. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 六月二日には外務大臣の訪米があり、さらに続いて日米貿易経済合同委員会、あるいは国連総会、そして総理の訪米、こういった一連の外交スケジュールがもう六月の二日からスタートするわけです。また衆議院の内閣委員会でも、外務大臣は、六月初めに訪米してロジャース国務長官ら米側首脳と会談するが、それまでには沖繩の施政権の返還の時期、米軍基地のあり方などについてもおおよその方向をつけて行きたいと考えている、このように言われておりますが、六月から始まるこのアメリカとの外交交渉の前に明らかにするとすれば、もうぼつぼつはっきりしなければならない時期であると、このように考えるのですが、いかがですか。
  218. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もうそろそろぼつぼつ構想をはっきりさせなければいかぬかと思います。そういう意味で、また国民にも、ぜひとも政府態度が聞きたい、また国会の方々も、そういう意味で私の考え方をいろいろお尋ねになります。私も、結論はもうそろそろ出さなければならぬ、かように思いますが、しかし、事柄が事柄でございますから、慎重の上にも慎重に、かように思って、まだ結論を出しておらないような状態であります。
  219. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理は、いつも、沖繩返還についても世論の動向を考えるということをたえず言われておりますが、六月から始まる場合、それまでに大体の構想をまとめ、そして国民の世論にも訴える、こうするならば、もう三月か四月ぐらいには出さないといけないと思うんですが、その点いかがですか。
  220. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ三月、四月、まずできるだけ早く結論が出ればそれに越したことはありません。しかし、私、三月でなければならぬとか、四月でなければならぬ、かようには思いません。ただいまも、毎日毎日皆さん方の論議を聞きながら、また、新聞の動向などもいろいろあれやこれやと考えておるような次第です。そのうちに必ず期待に沿うような結果になろうかと思います。まあ政党政治のほうから申しまして、各党で、各党の立場でそれぞれの御議論なさいますから、必ずしも政党の方々に御満足がいくような方向はなかなかつかみ得ないかと思います。しかしながら、大局的に見まして、いま祖国復帰、沖繩の祖国復帰は一日も早いほうがいい、これはもう沖繩の県民はもちろんのこと、本土の国民もそれには異存がないと私は思います。ただ問題は、これを復帰をした後に、日本並びに極東、日本を含む極東の安全保障にどういうように対処していけるか、そういう点でいろいろそれぞれの主張があると思います。私どもは、はっきり申し上げておきますが、日米安全保障条約はこれを堅持する、かように主張しておりますし、もっとも野党の第一党である日本社会党におきましては、この安保条約にも反対だし、また、公明党は公明党さんで、安保条約について、段階的解消というようなことを言っておられますし、また民社には民社の主張がある、共産党には共産党の主張がある。さような状態でございますから、各党で一緒になって、その返ってくるということについてはだれも異存はないようですが、あとのあり方、基地のあり方については、それぞれの党でそれぞれの主張がある、かように私は思います。しかし、それをとにかく十分に洞察しながら、またいろいろ想像をも加えて、国民多数の意向はこういう方向じゃないだろうかということをつかみ出したい、これがいまの私に課せられた責任だと、かように思っております。
  221. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理は、衆議院で、世論の動向に二つある、その一つは、沖繩の米軍基地について、将来本土並みになるという保証さえあれば、当面は、何はともあれまず施政権の返還を実現するということが先決だという意見、もう一つは、返還の時期はおくれても核兵器は認めない、こういうことを言われて、世論動向を二つに分けておられますけれども、これを、世論の動向を二つに分けられたのか、私は、こうやって国民に対してどっちかを迫っておられる、こういうふうに感じるのですけれども、その点いかがですか。
  222. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この私の発言にはいろいろの批判がある。二者択一にこれを国民に迫まる、こういう意見もありますが、二者どころか、もっとまだ別な考え方があるじゃないか、こうも言われております。しかし私は、まあ大体において、こまかな議論は別として、いまの国民考え方は、ただいまの二つの方向ではないだろうか、かように私は見ております。こういう見方が正しいとか、あるいはこれは当を得ていないとか、いろいろ御批判があろうかと思います。そういう点もとくと私は伺いたいのであります。
  223. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、総理はこの二つが世論の大きな流れである……。
  224. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 方向ですね。
  225. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 方向である、だから、そうなると、この二つのどちらかを主体とした返還方法、ということは、結局大きく分けて二つの分け方と考えられると思うのですけれども、その点いかがですか。
  226. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これがいま二つの大体の大きな方向ということは申しましたが、この方向づけがそう簡単じゃなくて、相当それぞれが含みのある問題でございます。そういう点が外交的な交渉の問題になるのじゃないか、あるいはまた、国内の国民の皆さん方の了解を得る問題だったり、いろいろすると思います。けれども、私は、大体政府努力するのはそういうような方向じゃないか、かように考えております。いまはっきり言えることは、とにかく一日も早く祖国復帰、これを実現したいというこの要望は非常に強いと思います。この強い国民の願望、これは何とかかなえるような方向にしなければならぬのではないか、かように思います。同時にまた、しばしば申しましたように、沖繩が軍事的な基地として果たしておるただいまの役割り、これもまた大きなものである、これは日本の安全、同時に日本を含む極東の安全につながる、そういう意味で、これも軽々しく扱うわけにいかない、かように私は考え、そこらに問題のあることを申し上げたつもりであります。
  227. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大浜信泉氏がこの間、考え得る形、まあ返還の方式ですが、五つある。第一が現状のまま、第二が、基地はそのままにして施政権のみ返す、第三が核抜き自由使用、第四が本土並み、第五が基地全面撤去ということだが、この端と端は問題になるまい、問題になるのは中の三つだ、この三つが交渉の対象になり得るだろう、このように述べておりますが、総理はこの考えをどのように思われているか、一つ一つについて。
  228. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一つ一つについて答えろとおっしゃるが、私は大浜さんからただいまのようなお話を直接聞きました。まあしかし、大浜さんのこれは一つの見識だ、かように私、思って伺ったわけです。私が聞きたいのは、大浜さんの意見だけではございません。皆さん方の立場においても、すべての方の意見を聞くという立場でございますから、いまの批判は、私の批評はひとつ預からしていただきたい。
  229. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理は、日本の国民の世論の動向を考えるといわれておりますけれども、実際、現実問題として、返還の方式というのはほぼ、いろいろいままで議論をされてきまして、きまっているのじゃないか、どれにするか、あとは選択の問題だ、そう大きな変更は出てこない、したがって、いまの大浜さんの中の三つあたりがやはり大きな問題となるのではないかと思います。  それからもう一つ総理にお聞きしたいことは、最近非常に会議がたくさん行なわれております。アメリカにおけるサンタバーバラ、あるいは日米京都会議、あるいは日米議員懇談会等が行なわれまして、アメリカ側の考え方というものも、これはいろいろな考えがありますけれども——かなりあります。そういうアメリカ側の考え方を、総理はどのように分析をされておるかお伺いしたいと思います。
  230. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) アメリカ側のいろいろの意見を、これは確かに私も聞いております。しかし、ほんとうに自由な立場で聞いておりますが、また発言をしておるように思いますが、肝心な実は政府筋の話はまだ出ておらない、そこに問題があるように思います。
  231. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、これから交渉されるに当たって、もちろんいま政府の考えは確かに出ておりませんけれども、こういうケース、こういうケース、こういうケースがある。向こうが出してくることが考えられる。これに対してはこのケースを持っていけば——大体いま現在のところのアメリカの軍部の考え方、あるいは一般の世論、学者、それから政府筋の人、特にアメリカでは、私は、やはり軍部の意見というものと国務省と二つが大きな問題になると思うのですけれども、軍部の意見等も総理は相当お聞きになっていると思いますけれども、そういう点で、アメリカはどの辺までこちらの交渉の次第いかんでは譲歩するのではないかという線は、私はほぼおきめになって行かれたほうがいいと思うのですけれども、その点はおっしゃらないとは思いますけれども、いかがでしょう。
  232. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 相手方の考え方を探ることも大事でありますが、何よりも、日本側としてどういう考え方が一番望ましいのか、いわゆる世論も世論、またわが国の安全保障の観点に立ってどういうことが一番望ましいのか。後世、佐藤内閣においてこういう間違いをしたと言われることのないような、そういう主張をひとつしたい。その意味において皆さん方のお知恵も拝借したい。だから、安全保障条約反対の方の意見も私もちろん聞きますよと、かように申しておるのはそれなんで、とにかく沖繩交渉にあたってあやまちはなかった、最も賢明な方法をとってくれたと後世に言われたい、かように私考えて、その結論を出す、それにいまただいま専念しておるところであります。そして、したがった上で、いまもお話しになりますように、必ずその実現する場合にどんな支障があるか、これがすなおにそのまま受け入れられるかどうか、こういうようなこともいろいろ想定し、こういう話があればそれに対してどう答えるとか、どういう対策を立てるとか、こういうようなことまで考えて結論を出し、交渉に当たらなければならぬ、かように思っておるのであります。ずいぶんのんきなようなことを言っておるようにもお聞きかもしれませんが、そうじゃなくて、まず日本の総理として、沖繩が返ってくる、その場合にどんな方法が一番賢明な方法か、それを考えて私はアメリカに交渉したい、それがまだでき上がらない、そういう意味でただいま苦心しておるわけであります。これにはいろいろ非常に安易なと思えるようなアメリカの一部の学者の説もある。前大使のライシャワーさんなどの話を聞いておると、そこまでの理解をしてくれているか、アメリカは沖繩というものをそんなに考えているかというような、そんなに驚くような議論もございます。しかし、それもさることながら、大事なのは、日本のその立場においてどういう方向が一番賢明なのか、それをひとつ考えること、そういう意味でこれを考えろとおっしゃることがあれば、私は十分伺ってまいりたい、かように思っております。
  233. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 先日、日米京都会議に出席をされた方からお伺いしたのですが、アメリカ側の気にしておる一つに、基地、要するに反米運動といいますか、基地撤去闘争といいますか、そういうものを非常におそれている、このように伺いましたが、おそらく総理が訪米されても、こういった基地に対する日本の国民の反感といいますか、そういうものもかなり問題になるのではないか、このように思いますが、総理はこの基地周辺の人たちの意思というものを、また、こういう特に沖繩において先日来ありましたいろんな運動を、国民の意思のあらわれとして伝えられるのか、それとも、一部の人たちがやっていることで大勢はそうではない、こういうふうにお伝えになるのか、その点お伺いしたい。
  234. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 運動の性質から見まして、こういう反対側の意見が非常に強く出る、またやむを得ないというような考え方でのものは表面に出てこない、またさらに積極的に賛成だというものもこれまた表面に出てこない、こういうようなこともございます。しかし、私は、基本的には基地というものは地域住民の協力なくしては十分の効果をあげ得ない、これだけははっきり言えることだと、かように私は考えております。  ただいま、沖繩でいわゆるゼネストが行なわれると、こういうことが言われましたけれども、これはいろいろの対策もあったのかと思いますが、幸いにしてゼネストは行なわれなかった。さように考えますと、この一事だけで沖繩県民の意向はこうだときめてしまうのはまだ早いのじゃないか、そういうためにも、いろいろな方面から材料を取ってみないと、なかなか結論が出ないことではないかと思います。
  235. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 米軍は世界各国に多くの基地を持っておりますけれども、最近非常に各地においてこの米軍基地に対する反対の運動が盛り上がっているわけです。特にスペインにおきましては、昨年九月二十六日に基地貸与協定の期限が切れた。再交渉準備期間はこの三月に切れるわけですが、いまだに改定されないままおるわけです。そうしますと、このままほうっておきますと、米軍は撤退しなくちゃならない。そのように、国民の非常な反対が、やはりアメリカ政府をして強い態度に出さしていない。要するに基地を撤去させるということも、国民の強い意志があればかなりできる。このスペインの基地は、ヨーロッパにおける米軍基地としても非常に重要な基地の一つであると言われておりますが、こういうふうになってくると、私は、総理は訪米される場合に、かなり強い姿勢でいかれて交渉されるほうが、私は、沖繩の施政権返還、及び日本の基地あるいは沖繩の米軍基地の返還も含めて、可能なような気がするわけです。その他パキスタンの問題、あるいはトルコ、タイ、北欧諸国でいろいろなアメリカに対する反対運動のようなものが盛り上がっておる際でありますから、私は、日本の国民のそういう強い反対といいますか、特に私たちが行ないました——日本国内でありますけれども、米軍基地の総点検における住民意識調査でも、いろいろな問題がはっきり浮き彫りにされてきています。そういう点で、強い姿勢で臨まれて交渉されることが望ましいと、このように思うのですが、こういった点から考えて、いかにお考えですか。
  236. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 各地でいろいろな問題が起きておる。スペイン、あるいはパキスタン、あるいはトルコ、同時にまたぜひとも力をかりたいという西ドイツもあることも頭においていただきたいと思います。要は、いま言われた強い姿勢でというのはどういう立場かわかりませんが、私は、日米両国が相互理解協力のもとに私どもの目的を達したい、かように考えております。強い姿勢というのはどういうことなのか、私にもちょっと理解いたしかねますが、先ほど申しましたように、私の心がまえは先ほども説明いたしましたから、それより以上加えるものはございません。
  237. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 強い姿勢というのは、沖繩に限って言うならば、私は、核抜き、米軍基地の早期撤去、ただしそれまでは一時本土並みもやむを得ない、こういう辺であると思います。その点はいかがですか。
  238. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま強い姿勢という態度についての説明がございました。これは公明党のお立場として十分伺っておきます。  ありがとうございます。
  239. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 国内の米軍基地について、さきにアメリカから五十一カ所に及ぶ整理縮小案が出されましたけれども、それはその後どのように進展しておりますか。
  240. 有田喜一

    国務大臣(有田喜一君) 昨年の十二月二十三日の日米協議会におきまして、約五十カ所を対象としたのですが、その際に、これが具体的処理は、日米合同委員会において精力的にすみやかに、なるべく早く片づけよう、こういうことなんです。その結果、日米合同委員会におきまして、その下部機構として施設分科会という専門委員会をつくりまして、着々進めております。去る十八日には名寄地区が、あれが返還になるという合意が得られた。かようにして今後着々とこれの解決をはかりたい、こういう状態であります。
  241. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 名寄返還の今後のスケジュールについてお伺いしたいのです、返還後どうするか。
  242. 有田喜一

    国務大臣(有田喜一君) これは日本において使う予定でございますが、その詳細は施設庁長官をして答弁させます。
  243. 山上信重

    政府委員(山上信重君) 名寄の演習場は陸上自衛隊の演習場でございますので、返還されれば当然陸上自衛隊が使用する、こういうことに考えております。
  244. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 四十四年度の予算には、基地対策費は増加されておりますけれども、この予算でどれだけの基地が整理されるのか。この五十一の基地の返還構想というものもこの中に組み込まれておるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  245. 有田喜一

    国務大臣(有田喜一君) 来年度予算におきましては、基地対策費は相当盛ったつもりであります。そこで、障害に対する——騒音防止対策とかそういう方面にずいぶん盛っておりまして、基地の返還は金は要らないのですが、移転その他に要する費用はむしろ四十五年度、これをずっといまから作業を進めていきますと、実際的に金が要るのは四十五年度から以降においてたくさん要ると思っています。しかし、今回も若干来年度予算に組んでおりますが、その具体的なことは、どっちかというと小さいものがたくさんあるのですが、そのことは施設庁長官から説明いたさせます。
  246. 山上信重

    政府委員(山上信重君) お答え申し上げます。  明年度の予算におきまして、施設関係の予算は、御案内のように、移転関係といたしまして約十七億八千万円ほどの予算を組んでおります。そのほかに、原状回復費といたしまして五千八百万円ほどの全体の予算を組んでおります。それらの中で、この施設の移転を目標といたしました移転工事関係の施設は約八施設でございます。それから原状回復だけを計上いたしておりますのが約三施設、その他小さなものを合計いたしまして十七施設でございますが、先ほどお尋ねの明年度にどれくらいといいますと、それらのうち約七施設が明年度返還可能であろうと推定しております。ただ、いまその七施設の大部分は、これはもちろん前回の協議委員会の関係のことでございまするが、大臣からお話のありましたように、移転関係のものはその多くが四十五年度ということになっておりますが、予算を要しないで返還になりますもの、たとえばただいまの名寄のように無償で、ただ返ってくるというものも相当ございます。したがいまして、この七施設のほかにさらに十数カ所は予算を要せずして明年度中に返還できるというふうにわれわれは考えております。四十五年度中に返還できる、かように考えております。
  247. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまのでよろしいでしょうか、防衛庁長官。いまの数で、来年度の返還可能なところ。
  248. 有田喜一

    国務大臣(有田喜一君) 施設庁長官答弁どおりと思います。
  249. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 今回の総理の訪米の際には、沖繩返還はさることながら、国内の米軍基地の撤去の問題については協議をされてこられるおつもりはあるかどうか。
  250. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これを特に交渉する、こういうことではございませんが、おそらくいま最も問題になっておる中心的な問題、たとえば水戸の射爆場であるとか、あるいは王子の病院であるとか、あるいは板付の問題だとか、こういうことは、これはもう当然会えば話に出てくることだと思います。とにかくこういう点についても、もちろんそれぞれの対策はあるように思いますけれども、こういうものを理解してもらうことがまず必要なことじゃないだろうか、たとえば、いま基本的に日米安全保障条約がある、そうして一方的なような形でとにかく日本の安全を確保しているのは米軍だ、そのために施設の提供をしてもらっているんだ、しかるにその施設について、あるいは基地においてしばしば問題が起こる、そういうことは非常に困ると、おそらく向こうで言いそうな気がするのであります。しかし私は、この日米安全保障条約というものが戦争抑止力としてある限りにおいては、日本がしあわせなばかりじゃない、アメリカだって戦争に巻き込まれたらたいへんなことです。戦争抑止力があってこそ戦争にならない、これはアメリカの望むところでもある。そう意味で私は日米安全保障条約が成り立つと思います。これは一方的だとしばしば言われるけれども、アメリカ自身も非常な利益を享受しておる、受けておる、その基地がただいまのように基地住民との間に問題を起こす、そういうことについては一方的ではない、これは双方がよく実情を理解して、そこにはじめて基地の問題も解決ができると思いますが、そういう意味で、私はアメリカ側に機会があったらよく話をして、誤解のないようにしたいものだと、かように思っております。
  251. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 防衛庁長官にもう一つお伺いしますが、先日本会議答弁で、沖繩返還に伴い三次防の変更があり得る、しかし具体的な説明が少なかったように思うのですが、もちろん沖繩返還のケースによって少々の変更はあると思いますが、大まかでもけっこうですから、ある程度の具体的な計画をお伺いします。
  252. 有田喜一

    国務大臣(有田喜一君) 沖繩が返遷されれば、もちろんわが自衛隊が防衛の責任に当たらなければならぬ、それは小笠原のときと同じようなことです。ところがいまから、総理が秋行かれて交渉されるのですが、いまの第三次防計画というものがありますが、それは四十二年度から四十六年度までなんですね。それまでに返還が、完全に返ってくるというなれば、それはもちろん三次防計画を修正していかなくちゃならぬと思いますけれども、その返還が——でありますから、その時期によりまして修正するかどうかということがきまるわけです。この間本会議で申したのは、もし早く返還されるなれば第三次防計画を修正しなければならぬということを答えた。ところが、いまどういうように具体的にやるのかということは、これは返還の態様によりましても変わってまいりますので、いまかくかくのことをやりますというところまでは答弁しかねる状態にあります。御了解願います。
  253. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理にお伺いしますが、沖繩基地の返還がもし本土並みでない場合は、条約あるいは交換公文等が必要になると思いますが、どういうことをお考えになっておりますか、どのような条約を結ぶのですか、そうでない場合。仮定になりますけれども。
  254. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来総理からお話もございましたような状況でございますから、そういったような具体的な点につきましてはまだ何とも考えておりません。
  255. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これはクリフォード前国防長官の発言録でありますけれども、この中のクリフォード前米国防長官のポスチャー・ステートメント中の日本に触れたくだりの仮訳のところに、こういうことばが出ておりますが、「佐藤総理は、琉球諸島に対する施政権の対日返還に関する協定を早急に固めるべき旨」と、ヒー・ウィル・プレス・フォア・アグリーメントと、こういう「協定」ということばが出てくるのですが、すでに——これは前国務長官の議会の発言かもしれませんけれども、やはりここにアグリーメントということばも出てきておりますから、用意してないというふうなわけにはいかないのじゃないか、このように思うのですが、いかがでしょう。
  256. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その点は、クリフォード長官の証言というものも私も読んでおりますけれども、やはりこれは今後の話し合い、折衝等によりまして態様等がきまるわけでございますから、それに基づいて——いまのところは仮定の問題でございますけれども、そういう話し合いの模様いかんによりましては、考え得ることかと思いますけれども、先ほど来総理からの話のように、特に基地の態様等につきましてはまだ考えがまとまっておりませんものですから、自然そういうふうな具体的な、どういう協定が、どういうふうに必要であろうか、あるいは必要がなかろうかというようなことを含めて、まだ私としては考えを固めておりません。
  257. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最初に申し上げましたように、外務大臣ももう六月二日には交渉に入られるわけです。もうあと三カ月しか期間はないわけです。もちろんいま言ったことは仮定かもしれませんけれども、もし本土並みでない要求をしてきた場合、その場合は、やはりある程度こちらとしても、こういうふうなことになるという予想といいますか、準備も大体必要ではないか、もしそうでなければ、総理の訪米が終わったあとで、そこである程度話し合いをしてそれから帰ってきて、それからゆっくり考えて、そして交渉をするというのであれば、沖繩の施政権返還というのはかなり延びると、こう考えなくちゃならない、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。
  258. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 私も六月早々にロジャース長官といろいろな話をしたいと思いますが、これは御承知のように、アメリカの新政権ができまして、ようやく落ち着きつつあるところであると思います。当方といたしましても、国会がそのころには終了するはずでございますから、そういう状況におきまして、新政権とわが方との間で、もちろん沖繩の問題が一番大きな問題でございますが、その他の問題等につきましても、やはり具体的な方法というものよりも双方の考え方というものを一般的により深く、より広く理解、信頼関係を深めることが私は大事な必要な仕事じゃないかと思いますので、そういう点を私といたしましては中心にいろいろの話し合いをいたしたいと思います。  それから、沖繩の問題という点につきましては、総理がニクソン大統領と話し合われるというところが一番大事な段階だろうと思いますから、この話し合いというものが、日本としてみれば国民の期待に沿い得るようなよい結果ができますような、そういういわば路線を敷いていくといいますか、そういうことを主として私はまず任務として切り開いてまいりたい、こういうふうな考えでおるわけでございます。
  259. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、外務大臣が今度行かれるのは、アメリカ政府の打診と考えてよろしゅうございますか。
  260. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 打診ももちろんでございますけれども、基本的に日本側の本件に対する考え方、これを基礎にいたしまして、われわれの考え方というものを十分理解を深めていくと同時に、また先方の考え方というものもできるだけ聴取するようにつとめたい、こういうふうな心がまえでおるわけであります。
  261. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうなりますと、総理がニクソン大統領に対して望まれる沖繩の返還のあり方というもの、方式というものは、やはり相当先と考えてよろしいですか。先ほどからだいぶ早くしたいとおっしゃっておりますけれども、いまの外務大臣の話だと、六月以前には出ないと、こう断定してよろしいですか。
  262. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事柄の性質上、最終的には、私が出かけて最終的にきめたいと思います。しかし、外務大臣が出かけますから、そういう際にこの話が全然ないということはございますまい。必ずこの話も出てくるに違いない。そういう場合に、いま言われますように、当方の主張を言う。また、相手方の話もいろいろ聞いてきます。これは最も正直な、実情についての率直な話である、かように思います。しかし、私も、こういうものがいままでもしばしばやられておりますので、そのつどの交渉はとにかく大事な交渉でございますから、昨年小笠原が返ってきた、その経過等を見ましても、これはもう一つ一つの交渉が積み重ねられて、そして結論が出てくるのです。そういうように考えなければならない。ただ出かけてくるのだ、それぞれひまになったからここでと、こういうものじゃない。それはもう外務大臣十分心得て出かける。しかしそれが最終的なものではない、かように思います。また外務大臣が出かけます際には、私も外務大臣とさらに打ち合わせをしておきますが、しかし、そういうものが交渉の場に当たりましてどういうような方向で進むことが一番望ましい交渉になるか、あるいはその手のうちがみな出てしまって、フリーハンドなしの外交交渉が、これが日本の国益にはたしていいかどうか、そこらもやはり理解していただきたいのであります。私は、皆さん方に考え方をどこまでも秘して、いわゆる秘密外交をするというような考え方はもちろんございません。いまの時代ですから。しかしながら、重大なる交渉にあたって、やはり責任の所在が内閣にある、そういうことを考えると、ぜひ成功させたい、こういう意味で、なかなか率直に話しかねるものもある。この辺はあらかじめ御了承置きいただきたいのであります。この問題はもうすでに始まっていると言ってもよろしいのです。と申しますのは、昨年の小笠原が復帰したそのときの共同声明をごらんになれば、両三年のうちにこの施政権返還、そういう方向の前向きで話をしようということになっているのですから、全然新しい話をぶつけるわけじゃございません。でありますが、それらの点をどんどん詰めていって、それがはたして有効になるかどうか。また皆さんが、先ほどもお話がありましたが、京都会談、これでもずいぶんはっきりした話が出ているが、しかし、だれがどう言ったということ、それだけは会議の記録にもとどめないようにしようという、こういうことでも、非常な慎重な態度のようでありますし、またずいぶん率直であるアメリカの議員団諸君、これが日本にやってきて、各党とそれぞれ交渉を持った、ずいぶん率直な連中だが、こういう問題になってくると、必ずしもそれが非常な率直で、考え方が非常にはっきりした、こういうものでもないようです。この辺のこともお考えいただいて、ただいま申しました外務大臣の積極的な話、六月に出かけるという、この六月に出かけるということは、ジョンソン国務次官、向こうに帰る際に、私どもが一応のスケジュールとして、まず外務大臣をひとつ受け入れてくれ、その次には日米閣僚合同会議、これがまあ今度は日本でやるようになっている。そのときにも、ひとつそれぞれの個別的会談で話をさらに詰めようじゃないか、さらにまた私が最終的には十一月以降にでも出かけたいのだ、そういうことを一応了承をして、そのスケジュールと言いますか、スケジュールの一つがいま向こうでも了承されている。そういう状況でありますから、むずかしい問題には違いありませんけれども、また不用意に飛び出すわけにもいかない、これも御指摘のとおりであります。そういう意味で、十分考えてまいりたい。そういうところではむしろ、ただいまは白紙でありますだけに、政府をひとつ鞭撻もいただきたいし、そういう意味ならいい知恵もかしてやる、こういうことが望ましいことでありますし、それでこそ初めて、国民もこの問題についての国会議員の方々に対する期待があるのじゃないだろうか、かように私は考えておる次第でございます。
  263. 二宮文造

    ○二宮文造君 関連。先ほどの外務大臣答弁、またいまの総理答弁を伺っておりまして、疑問が出てまいったわけであります。総理のお話を伺いますと、外務大臣は、出て行って向こうの言い分を聞くと、またこちらの考え方も話をする、その感触によっては、総理の訪米、ただいま十一月ごろとおっしゃいましたが、その訪米も延期される可能性がありますかどうか、この点お伺いしたい。
  264. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはなかなかむずかしいですが、私はジョンソン国務次官には一連のワンセットとして実は申し込んであるのです。外務大臣がまず出かける、それから日米合同閣僚会議をやる、そうして私が十一月以降に出かける、それをワンセットとして申し入れてあるのです。したがって、第一の一番早い外務大臣の話が出ておりますから、いま特殊のことがなければ、私は出かけるようになるのじゃないか、かように思っております。
  265. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、外交交渉というものは、これは去年の本予算委員会でも主張したのでありますけれども、もちろんいま総理が言われるように、手のうち全部見せていくのは賢明ではない、これはある程度わかります。だけれども、ある程度の線は出して、私としてはここまで交渉したと、その結果ここまでこういった状態で、話し合いの結果ここまできたのだ、こうであれば、国民もある程度納得をすると思う。ところが、いまのままでいきますと、何かずるずるはっきりしないようなところで、いつかニクソン・佐藤共同コミュニケというのが出て、沖繩はこうであったと、こうなってしまったのでは、秘密外交ではないと言われましたけれども、そういうふうに言われてもやむを得ないのじゃないか。したがって、こういった線は出して、私としては行ってくると、これははっきりお述べになって行かれたほうが私はいいと思う。総理のためにいいと思いますが、いかがでしょう。
  266. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 昨日もいろいろお尋ねがありました。しかも、私が衆議院において、あるいは参議院の本会議において等々で発言したもののうちから、沖繩返還に関するものを抜粋されて、そうしてお尋ねがございました、社会党から。私は、それらの片言隻句を別に否定したわけではありませんが、それがきょうあたりも新聞にも載っておるようです。これを、いま言われますように、出かけるについてはこういう形でいってくると、こういうところまで言えるかどうか、これはひとつ交渉する者にまかしていただきたい。ただ、私昨日言われたのに非常にこだわるわけじゃございませんが、国民世論の動向を勘案してということ、そういうことだけは私も忘れておるつもりはございません。だから、いま言われるところが、いろいろな話がそれぞれの党から出ておりますけれども、そういうことは、やはり世論の背景なしに交渉はできるものではない。これは私も知っておりますから、もう少し時期を待っていただきたい、この点お願いをするものであります。
  267. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 先日衆議院で、憲法第九十五条違反の問題が出ておりましたけれども、沖繩返還について、もし沖繩基地が本土並みでなかった場合、何か安保条約に付属するような交換公文、あるいはまた別の協定等が結ばれた場合に、憲法第十四条に違反しないかどうか、その点法制局長官にお伺いいたします。
  268. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) お答え申し上げます。  先ほどからお話が出ておりますように、沖繩の基地のあり方については現在白紙だということで、それをどういうふうに条約上処理するかということは全く未定の問題としてお聞き取りを願いたいと思いますが、憲法十四条は、これは申すまでもなく、法のもとの平等の規定だと思いますが、この法のもとの平等の規定と申しますのは、国民個人に対する法律の取り扱いが平等でなければならぬことを定めた規定でありますし、また九十五条、これは法のもとの平等とも関連がいささかございますが、これも特定の地方公共団体のみに適用される法律の制定手続に関するものでありますので、ただいまのようなものがいまの御指摘の十四条と九十五条の間で問題になる筋合いのものではないと一応考えております。しかし、せっかくの御指摘でありますから、将来のあり方についてはなお十分に検討したいと思っております。
  269. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 あり方について検討したいとおっしゃいましたけれども、条約というものですね、憲法と条約という問題、これをまずどうお考えになっておりますか。
  270. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 憲法と条約の関係につきましては、これは憲法上の一論点であることは確かでございます。それで、新憲法ができました当時は、多くの学者の中に、憲法よりも条約のほうが効力においてすぐれておるという見解がだいぶ出された時期がございましたが、政府当局は、御承知のとおり、憲法というものはやはり国の最高法規であって、条約といえどもこれにまさる効力はないということを終始一貫してとってまいっております。この理由は、詳しく申し上げることもないと思いますが、憲法改正の手続と条約締結の手続を比較してみればきわめて明瞭であろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、憲法の制定の基盤となった平和条約というようなものになりますと、これは特別なものでありましょうが、一般に一国と他国とが結ぶ条約、国際法一般国際法というのは、これは一国が世界で存立している関係上規律を受けるものでありますので、憲法との間に抵触関係を生ずるものでは元来ないと思いますけれども、いまの御指摘の条約もまた、日本とアメリカあるいはその他の外国と締結した条約の効力は憲法にまさるかどうかということになりますと、これは憲法のほうが効力が上であるというふうに解しております。
  271. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま憲法のほうが上であると言われましたが、たとえばこの十四条に例をとった場合、「すべて国民は、法の下に平等であって、」、最後に、「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、この「法の下」というのは、もちろん憲法であることはもちろんでありますが、そういった条約、もちろん憲法より低位にあるものというふうにいま言われましたけれども、そういう二国間の条約あるいはその他の条約ですね、この「法の下」というこの「法」というのは、そういう条約を含めているのか、これは別なのか、どちらですか。
  272. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) いま御指摘のように、法のもとに平等であるということでございますから、法の適用、執行の上において平等であるということは言えるわけでございますが、あくまでも憲法十四条は、国民個人の立場に焦点を置いて、その平等を考えているわけでございまして、ある本土のあるいは領域の一部についてどういう取り扱いがなされるかというようなことと十四条の話とは別の話であるというふうに考えております。国民個人の地位がどうということではないと考えられるわけです。しかし、先ほども申し上げましたように、その点はなお検討をすることを怠ろうとは思っておりません。しかし、私は、ただいまの御質疑の中ですぐどう思うかといえば、十四条の問題はいま御指摘の問題に関する限りは出てまいらないというふうに考えております。
  273. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 くどいようですけれども、たとえば沖繩が返ってきた場合、本土並みでない、要するに、何らかの弾力的な事前協議の運用があるとか、何かわかりませんけれども、何かあって、協定等ができたと。そうすると、日本に住んでおる人と沖繩に住んでおる人とは、法のもとにおける政治的、経済的は、そういった、日本人はいま安保のもとにおるわけですけれども、安保とまた違った法のもとにおるわけです。それが非常にいいものであれば、これはまあいいかもわかりませんけれども、これは今度日本の場合が問題になるわけですけれども、もしそれが非常に国民にとって、そこに住んでおる人にとって不利な場合、そういうふうなケースが起きた場合にはこの十四条に抵触するかどうかと聞いているわけです。
  274. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 同じようなことを申し上げることになるかもしれませんが、法の下の平等と申す規定は、言うまでもなく、個人の尊厳というものから出てまいります。憲法の規定で言えば、たしか十三条だったと思いますが、「国民は、個人として尊重される」という個人の尊厳ということから、その尊厳を害するような差別というものを忌避するというのが十四条の本来の趣旨でございます。したがって、そういう見地からする制約というのは問題になりましょうけれども、国民個人の立場ということでなしに、一般的な条約上の国民個人の取り扱いというよりも、ある駐留米軍についての取り扱いというようなことになれば、直ちにそれが国民の法のもとの平等の問題になるとは私は考えておらないと、こういうことを申し上げておるわけです。
  275. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、抵触しないということですね。
  276. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) そうです。
  277. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 要するに、沖繩がどんなかっこうで返ってきても、別の条約が結ばれても、この十四条には違反しないと、そういうわけですね。
  278. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 一般的な政治的な問題を抜きにしまして、ぎりぎり一ぱいの法律論をいたしまするならば、個人的な関係を律しておるこの十四条の「法の下の平等」というのがただいまの問題に直接関係はないというのがただいまの私の解釈でございます。
  279. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この間からの法制局長官の安保条約の違憲性の問題についての議論も、いまの議論と非常によく似た答弁になっておるわけです。私は、その法制局長官の考え方は非常に問題のすりかえといいますか、この前衆議院でわが党の矢野書記長のときも、憲法のらち外の問題という、こういう判決を言われましたけれども、砂川判決を私読んだんですけれども、憲法のらち外ということは出てこないんですけれども、まずこの問題についてお答えいただきたい。
  280. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 私の一言一句がみんな判決のことばどおりに申しておるわけではございませんで、実は判決の趣旨から私は申し上げておるわけでございます。もともと判決を盛んに引用するわけでございますが、この日本に駐留米軍が駐留しておる、このことが戦力を保持しないという憲法の規定に違反するかどうかということが砂川事件判決で問題になったわけですが、それは憲法九条二項が言っておる戦力というものは、それに対して管理権、支配権を持つところの戦力を言うのであって、米国のものについては憲法九条二項の戦力を保持しないというものには当たらないというのが判旨であったと思います。それを申し上げておるわけで、私のことばがそのまま判決に出ておるというわけではないではないかという御指摘があれば、それは非常にそういう点があったかと思います。判決の趣旨を体してそういうことを申したわけでございますので、この判決を曲げて申し上げておるつもりはさらさらないわけでありますけれども、表現の方法がごちゃごちゃになっていたとすれば、その点はそうでない、いま私が申し上げているように御了解を願いたいと思います。
  281. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間があまりありませんので、また次の機会に譲らしていただきますけれども、この砂川判決も、要するに、この裁判所の司法審査権の範囲外のものだ、「なじまない」と言っているわけですね。そのあとが非常に大事なんです。「それは第一次的には、右条約の締結権を有する内閣およびこれに対して承認権を有する国会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民の政治的批判に委ねらるべきものであると解するを相当とする」、非常にこれは国民の世論、意思あるいは内閣、国会というものがむしろそこの問題だと、そうなるわけです。だから、したがって、その憲法のらち外だから違反でないという、この議論もちょっと当たらない。むしろ、国民がそれはあぶないと判定したならばこれは違反になるという見方も、今度逆から言えば成り立つ。十四条も、たとえば沖繩に核基地がある、沖繩の人はその恐怖におびえなくちゃならぬ——返ってきた場合ですよ、核基地がついて。そうして安保条約と違ったものがそこに結ばれた。沖繩の人はそういう核兵器の回りに、その恐怖の中で住まなくちゃならない。日本本土の人はそうではない。同じ日本国民で同じ憲法のもとにいる人が。しかも、ここに書いてあることは、政治的、経済的、社会的と、こうあるわけですから、そういった点で、私は、国民がこれをそう判断し、また、国会等でそういう意見が出た場合、やはりこれは十四条違反という線をかなり検討しなきゃならぬじゃないか。いま、関係ないという答弁で終わられたのでは、私は非常にまずいんじゃないか、こう思いますので、重ねて法制局長官と最後に総理に御意見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  282. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 砂川判決には確かに御指摘の部分がございます。これは衆議院でも実は私の言い方が足りなかったのか、しばしば御指摘を受けました。このいわゆる一見明白に違憲とは言えないというようなところから、裁判所の審査権の及ぶ範囲、いわゆる政治問題ということに関連しての判旨があったことは私もよく承知しております。私が申したのは、この戦力に当たるかどうかという点についての判旨もまたこれ明瞭に出ておるわけでございます。その点を実は申しておるわけで、いまそちらで御指摘になりました点があることは十分承知しておりますけれども、私が申しておるのは、戦力の問題についての裁判所の判断、そのこともこれは明確に出ておりますので、それを申し上げておるわけで、あとのほうがないというようなことを私は一言も申しておるわけではございません。いまの問題の点についての判旨が明瞭に出ておる——戦力に関してです——これを申し上げておるだけでございまして、あなたのおっしゃる点を否定するつもりはございません。  それから十四条の問題は、先ほど、いまどう思うかと言われますので、そう思うわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、もっと勉強することはちっともかまわないし、また勉強してみたいと思っております。
  283. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 沖繩が返還された後に沖繩の基地がどういうふうになるかというその問題については、たびたび申しましたように、私は白紙だと、まだ結論を出しておりません。これで終始しております。しかし、沖繩が返還後において日本の憲法は適用されるかと言われれば、もちろん、返還後においては日本の憲法がそのまま適用される、これだけははっきり大きい声で言えることであります。でありますから、私が返還の問題について、基地の問題について一体何を考えておるのか、どういう心配があるのか、そういう点もなかなか私申さないんですから、おわかりにくいかと思うんです。そこで、いまのような憲法の問題が出てくるわけです。しかし、私、ただいま申し上げますように、返ってくれば日本の本土と一体になってもちろん憲法は適用になる、さように御了承いただきたいと思います。
  284. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 以上をもちまして矢追君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  285. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 次に、高山恒雄君の質疑を行ないます。高山君。
  286. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 補正予算の問題でございますから、たびたび各同僚議員のほうから御質問がございましたので、私は簡単にこの問題は質問しておきたいと思うんです。  まず、今回の補正予算の提案の最大の要因としている食管特別会計の繰り入れの問題ですが、政府は四十三年度の予算提案にあたりまして、どうしても総合予算主義が正しいんで、これをとりたい。しかもまた、食管特別会計の繰り入れは、米価の改定があってもこれは補正財源を必要としないんだと。さらにまた、同僚議員が繰り返し何回となしに当時質問したことは各大臣も御承知だと思うんです。それにもかかわらず今回補正予算を出されたという点は、本会議でもいろいろ御答弁はなさっておりますけれども、私は、この種の問題が非常に政府としてあいまいな、何かその場限りの答弁に終わっておるんじゃないかという気がするのであります。したがって、この際、総合予算主義というものは正しいと思ってやってみえたんでしょうけれども、やっぱり金看板はおろすべきじゃないか、私はこう思うんですが、総理大蔵大臣、どうお考えになりますか。
  287. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 総合予算主義をとりました四十三年度予算の最大の焦点は米価にあったわけであります。米価につきましては、ただいまも御指摘がありましたが、米価の変動ですね、これが米価審議会にはかってあるかもしれない。その変動がありましても、この予算における食管会計への繰り入ればこれは行なわない。これは固くそういう考え方をとったわけであります。つまり、生産者米価の変動がありますれば消費者米価のほうで調節をとる。ところが、数量がかくも違うという見込みはしておらなかったわけであります。数量が二百万トンも違うと、こういう事態になって非常に見込み違いとなってきたわけですが、水田前大臣も私も、そうではあるけれども、何とかして補正なしでいこうというので努力努力をしたんです。まあ、六百何億違う米価に対しまして二百五十まで来た。二百五十億がどうしても財源がまかない切れない。こういうことに相なりまして、補正を組まざるを得ない。こういうことになったわけであります。とにかく、ずいぶん総合予算主義というもとで努力をした努力だけは、ひとつ認めていただきたい。また、しかし、これによって、総合予算主義という、国の財政全体を総合的にながめてバランスのとれたものにしていこうというこの大きな目標、これはおろすべきものではないし、この補正によってまたこれが崩壊をした、さような考え方はとっていないのです。
  288. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 見込み違いがあるから、同僚の議員の質問も、補正予算を組まないでいけるのかという質問になったと私は思うのです。しかも、当時同僚議員の質問のときに、これはまあ大蔵大臣は違います。水田大蔵大臣は、万一買い入れ数量がふえる事態が起こっても、特別食管の予備費一千五百億があれば補正予算の必要はないのだ、こう言い切っておられるわけです。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 そうすると、総理に聞きたいのですが、わが党で本会議で、一体政府のこうした予算の財政面における案は一貫性がないじゃないか、こういう質問をしたのですが、一貫性はあるんだと、こう言われますけれども、国民から見ますと、幾ら水田大蔵大臣から現在の大臣におかわりになっても、やはり政府ですから、政府がやっておられるには間違いないですから、そういう言い切ったものを、先ほどの大蔵大臣の説明は私も理解はできます、それはできますけれども、国民自体としては私は信頼をしないと思う。補正予算を出さないと言い切った大蔵大臣はいまおやめになった方ではあるけれども、今度の大蔵大臣は、いわば間違いは間違いとして、いまそういうふうに見込み違いだということをおっしゃっていますけれども、この点は何としても私は国民は納得しないと思う。したがって、一貫性がないということを指摘されてもしかたがないのではないかと思うのですが、総理はどう考えられますか。
  289. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなか、総合予算主義、それがくずれたものではないか、あるいはくずれておらない、この後も堅持していくと、こういう議論がこの数日国会が始まってから起きた。国民から見たら、その議論自身をどう一体見るだろうか。私は、ずいぶんおかしなおもしろい議論があると、こういうふうに実は考えるのではないだろうかと思うのです、ずいぶん乱暴な言い方のようですけれども。というのは、本来、予算というものは総合予算であるべき筋のものだ。それが、補正予算をしょっちゅう頭に置いてそして予算を組む。そういうものじゃないだろうと私は思います。やはり総合予算主義というものは、本来守っていかなければならない筋のものだ、かように私は思います。どこにもそれは書いてないかもわかりませんが、私はそうしたものだろうと思います。そうして、その問題を取り上げて、そうしてここへ補正予算を組んだからといってその看板をおろしたのか、もうこわれたじゃないか、こう言われて、予算の基本に関するような議論にまで発展している。私も、国民はなかなか理解しかねる問題ではないだろうかと思うのです。私は、先ほど来大蔵大臣が申しておりますように、それぞれの方針だとか、それぞれの主義というものに絶対というものはなかなかないのではないかと思うのです。ことにこの総合予算主義の——水田君もしばしば申しました、私もしばしば申しました。あまりいい例ではないが、非常にわかりやすいものとして、非常な災害が起きた、予備費でも、また各省の予算を節約しても融通のつかないようなそれは大きな災害が起きた、そうしたら予算を組みますよ、補正を組まざるを得ないですよ、こういうことを申し上げたと思うのです。でありますから、私は、総合予算主義というものは、そんなにどうしても例外のないものだ、こういうものじゃないと思う。もとから例外のあるということを承知の上で総合予算主義、そのたてまえで予算は運営されていくべきものなのだ。しかし、さように申したからといって、非常に安易にこの総合性がこわれる、こわして、いつでも補正予算を組むのだ、増額だろうが組みかえだろうが何でもかってだというような、そんなものでは皆さん方のせっかくの御審議をわずらわすほどのことはないだろうと思います。でありますから、私はこの御議論をされることもけっこうでございますが、もう大体政府もこの辺で実情をよく説明して、異常な事態が起きたらそのあと始末はするんです。むしろ、総合予算主義にとらわれて、異常な事態が起きたのにそのあと始末もしないと、それこそ皆さんからしかられてしかるべきだ、総合予算主義はこわれたじゃないかと、こう言われるよりも、異常な事態が起きて、その異常な事態が、よし、その見積もりの誤りだろうが、あるいは想定の狂いだろうが、とにかくできたんだ、それに対する始末はつけなければならない。その場合に、どうも総合予算主義とあれだけ言ったのに看板はもうそろそろおろせ、おろしたのか、こう言われることは、私は国民の皆さんが理解に苦しむと思います。それよりも、やっぱり政府や、皆さん方に対しましても、これは必要な事態が起きた、それについての財政的な処置をしろ、これは私は当然の国民の要望であり、それにこたえることが必要だろうと思う。で、先ほど来大蔵大臣も答えましたように、私は重ねて申しまするが、食管会計で非常な、異常な赤字が出た、その全部を今回補正予算に組んだわけじゃないんです。あらゆる面から、既配分予算のうちから節約もいたし、そうして融通できるものは融通をして、そうして最後のものをこの補正に組んであと始末をしておる、こういうことでありますから、むしろ、政府はよく努力してそこまでやったとほめていただきたいと、かように思いますが、いかがでしょう。
  290. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は総合予算が悪いと言っておるわけではないんです。大臣の姿勢が悪いと言っておるんです。前回の同僚議員の質問に対して水田大蔵大臣は、万一米の数量がふえてもと、こう言っておるわけです。むろん、今度の補正予算は米価だけの問題じゃないと私は思っておるんです。そのことは十分理解しておる。けれども、米価の問題では数量がふえても補正予算を組むようなことはないという確言をしておられる。その確言にもかかわらず、出さなくちゃならなかったということは、これは災害とは違って、米価で出しておられるんですから、そこに政府の大きな誤りがあるんじゃないですか。この質問に対して、米価も、万一、そういう場合が、豊作になったら、あるかもしれぬとおっしゃっておったら、だれも追及しませんよ。どうですか、大臣
  291. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 四十四年度からは、予想できないような大異変がありますれば補正予算を提出して御審議をお願いいたします。
  292. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 まあ、おわかりのようですから、このことはこれ以上言いませんが、私は農林大臣に聞きたいのですが、配給米はいまも古米ですか。この点はどうなんですか。
  293. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 現在は新米と古米を混合しております。
  294. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その配合の割合はどういう状態ですか。古米が七、新米が三ですか。
  295. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 新古米の配合の比率は、生産地では新米六〇%、古米四〇%、消費地につきましては、それぞれ五〇%ずつの配合率でございます。
  296. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 農林大臣に聞きたいのですが、旧米は価格も安かったわけですね。それを、すでにもう六カ月もたっておる今日でも依然として古米を国民に食べさせておるのですね。そうして消費米価を上げたということを矛盾と思いませんか。
  297. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 古米のほうは、御承知でもありましょうけれども、精白度を一%上げておりますから、その分だけは認めていただきたいと思います。
  298. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 精白度を上げれば多少減ることはわかります。しかし、やっぱり新年度の買い上げ米の価格を上げて消費米価を上げたのですから、旧米を混合して、それを消費者にその高い値段で売るということは矛盾ではありませんか。その点どうお考えになりますか。
  299. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 昨年の十月に消費者米価の改定を行ないました場合に、新米と古米の間に消費価格に差等を設けるか、したがって、政府売り渡し価格に差等を設けるかあるいは同一にするかという点については、いろいろ議論があったのでございます。また、私どももいろいろ検討もいたしたのでございますが、現実には新古米の区別というのは、末端では、外見上あるいは一定の時期までは食味についても判然とはしないというのが常識であるということでございましたので、結論としては、新古米は混合配給をする、したがって、新古の払い下げ価格についても同一価格で売り渡しをするということにいたしたのでございます。
  300. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうすると、今後もずっと続くわけですね。古米と新米を混合して配給するということは続くわけですね。
  301. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 現在のような需給事情のもとで新古米を国民食糧としてどういうふうに有効に役立てるように配給するかは私ども最も頭の痛いところでございますが、私どもとしては、新古米の配合比率については今後検討をして需要の減退を来たすことのないような配慮を加えてまいりたいが、少なくとも六月——本年のつゆ以前までは混合配給を続けたい。七月以降については、二度目のつゆ越しということに相なりますので、その時点では特別のことを考えなければいけないのではなかろうかというふうに思っております。
  302. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 同僚議員の質問にもありましたから、これもくどくお尋ねいたしませんが、古米の処理もまだ十分じゃないようです。したがって、五月ごろまでは、いまのお話ですと、今後も続けていきたいと。これは日本の国民が食生活で生きてきておる長年の歴史的なものです。幾ら漂白したからといって、古米と新米がわからぬような口を持った人は一人もないと思うのです。これはやっぱり農林省としては国民にあやまるべきだと私は思うのですが、その点はどうお考えになりますか。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  303. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) まず御理解をいただきたいと思いますのは、日本の国民食糧の基幹であります米について、これは国内需給を前提とするのだということであれば、また私はそうすべきであると思うのでございますが、そういうことであれば、前年からの繰り越し米は、ランニング・ストック相当分は必ず新米と置きかえられるということでなければ備蓄的な意味をなさないわけであります。したがって私は、将来にわたって新古米の混合配給ということは避けることはできないというふうに思うのでございます。なお、古米であるがゆえに食味が当然悪くなるということは、これは個人の嗜好によっても違いますが、ある消費者団体が先ごろ大阪で試食をいたしましたときに、最も美味であるという票が入りましたのは某県と某県の古米であったというようなこともございまして、新古をもって直ちに食味の問題が断然違うというふうには私は断定できないのではないかというふうに思います。
  304. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 非常に詭弁だと思うのです。古米と新米の味がわからぬような食生活をしておる日本人は一人もないと思います。したがって、滞貨をよけい持っておる日本として五月までも古米が配給されたという例はない。したがって、その点が責任だと私は申し上げているのですが、大臣、こういう矛盾した値上げと配給の実態というものをどうお考えになっておるか、総理からひとつお聞きいたしたい。
  305. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) いずれにいたしましても、古米にいたしましても、国民の食糧の確保のために生産をし、そして生産を奨励してまいって、また成功もしておるような状態であることは御承知のとおりでございます。したがって、古米になったから即時にこれを云々という方法もどうかと考えられますし、したがって、古米と新米というものを、精白度をたとえば申し上げたように高めるとか、両者の味の相違がないようにくふうをこらしまして、そうしてかつ消費者にこれを買い受けてもらうというような点が最も妥当な考え方であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  306. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 総理に聞きたいのですが、やはりこの問題は、農政上の——まあ豊作だという、そうして急に今度は畑作を水田にかえてみたりしているし、現在もやっておる。そういう事態の中で米はどんどん増産になった。そうして滞貨ができた。で、その五百万トンの処理も何もしてない、いまだに。きのうの質問から伺いますと、その手はずも十分でないのです。したがって、長期にわたり古米を食べなくちゃならぬということになって消費者米価を上げたということは、これは何といっても政府の責任だと私は思うのです。総理は一体こういう事態の農政上の責任をどうお考えになるか。
  307. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいままでの経過を見ていただきたい。終戦直後は食糧不足で三百万人の餓死者が出る、そうまでいわれた。私どもは非常に苦しい時代を通り越して、幸いにしてそのときには餓死者は出なくて済みました。で、食糧不足というのは、あの時代から農林省をはじめ政府の頭の中から消えない。そうして、日本人が米食のためだということで特に米づくりに精を出した。農林行政といえば、どうして米をつくるか。また、地方の知事さんにしても、殖産といえば、まず自分の県で米の増産をすることだ。そういうことで、あらゆる手を尽くして増産増産と励んできた。その結果私は成功したんだと思います。これはもういまならば不足事態は起こらないようだ。だから、そういう意味では、たいへんなうれしい悲鳴だと思う。しかし、これ、二年も続いて豊作、そうして米が残っておる。いま当面しておるもの、それからことしもまた新米はすぐは食べられないだろうと思う、持ち越し米があるから。それはひょっとするとだんだんふえていって、もう再来年になれば持ち越し米だけで新しい米はつくらなくていいような状態になるかもわからない。ここらにあるいは政府は処置の手の打ち方がおそいというおしかりを受けるかもしれませんが、そこで、総合農政というものを打ち出しておる。私は、その総合農政の打ち出し方を見ましても、いまわれわれの食生活は変わりつつある。牛乳、パン、こういうものに変わっている。あるいはめん類に変わっている。めんも日本産の麦でできるものもあるし、外麦にたよるものが非常に多い。そういうことを考えると、米だけ中心の農政をやることはもうおそいが、いま気がついて総合農政に切りかえるまず一つの手であったと思います。これはその場合に、いま米をつくれば手厚い保護がございますから——食管があるというその意味ではございません——その他の奨励方法がある。ああいうような奨励方法をその他の作物についても手を差し伸べれば、私は、転換、いわゆる総合農政というものは必ず成功するだろうと思います。また、それを成功させなきゃならないと思います。ここに一つの問題があるのだろうと思いますね。よほど肉食に変わりつつある。肉食に変わる前に、とにかく魚よりも動物のほうの食生活に変わっておりますが、その前に、やっぱり牛乳、これはもういま米同様にわれわれが必要にしておるものであるということを考えると、ただ価格だけじゃなしに、もっと基本的な奨励方法もあるんじゃないだろうか。あるいは土地改良といえば、米作だけの土地改良、それに非常に手厚い措置をとられている。それだけではなくて、やっぱり草地改良についても水田と同じような手厚い指導があれば、ここらに変わる変わり方も早いのじゃないか、かように思いますので、そういう意味でいま総合農政と取り組んでいる。いま、おそまきだ、かような意味でおしかりを受けることは、私のほうも、もう今日のこの状態になっているのですから、これはもうあやまらざるを得ない。しかしこれは、おっしゃるように、食生活に心配がない状態でありますから、農家の方々に私どもはお礼を言いながら、とにかくもうこの辺で米づくりから他のほうに転換をしてください、そうして総合的食糧、食物の確保、そういう方向でものごとを考えていただきたい、かようにお願いをするのみでありますが、私は米が余ったからといって農家の方に対するやっぱり感謝の念は必要だと思います。私は、戦後食糧不足で三百万人の餓死者が出るといったあのときのことを思い出して、これは何といってもしあわせな世の中だと、かように実は思わざるを得ない。しかし、とにかく国としては切りかえざるを得ない、こういうことで、いま急ぎながら、あやまりながらも、この方向に切りかえつつある、このように思います。
  308. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この問題は追及することもあるのですが、私は時間がないので次に移ります。  対日輸入製品の規制問題についてお尋ねいたします。  総理に伺いたいのですが、日米貿易は、昨年度の輸出は約四十一億ドルあったのですが、輸入が三十五億ドルで、合計八十億ドル近い規模となっております。しかも、米国と二国間の貿易としての世界貿易の中で重要な地位を占めておるということは御承知のとおりであります。そこで、日本もそうですが、アメリカも、相互にやっぱり構造改善をやって激しい需要の増加が起こり、基本的方向としては日米貿易はまだまだ拡大されつつあるのじゃないかというような見方をしてもいいと私は思っております。ところが、この点について、個別の業種について、多少の利害は起こってきておると思います。したがって、総合的に日米経済の関係を完全発展させようということは、これはもう大局的に見て間違いのない問題だと思いますし、当然のことであると思います。ところが、総理も御承知のように、アメリカはニクソン政権にかわった。そうして、新聞記者団との会談等において、どうも日本の繊維製品に対する規制、いわゆる自主規制という立場から今後政策を立てていきたいんだ、いわゆる自由競争の中から逆に米国としては保護貿易の政策をとりつつある。総理は、こうした経済関係においての新しい事態に備えて、アメリカとのこういう貿易の、しかもニクソン政権が主張するような自主規制というような形でこれが急速に進んできた場合には、政府はどういう姿勢でこれに臨もうとしておるのか、この点ちょっとお聞きしたい。
  309. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 総理からも御答弁があると思いますし、また内容的には通産大臣からお答えしたほうがよろしいかとも思いますが、ただいまの問題につきましての御指摘の点については、私どももたいへん心配しておるわけでございまして、一応経過だけをまず私から御説明いたしたいと思います。  御指摘のように、米国の国内では輸入品の進出を押えるために保護主義的な動きが相当活発になってきております。昨年の議会におきましても多数の輸入制限法案が提出されましたが、わが国をはじめとする各国の働きかけ、並びに当時の米国政府努力等もありまして、幸いに一件も成立  いたしませんでした。ところが、今年になりましてから、米国議会においてはすでに各種の輸入制限法案が提出されておる模様でございます。米国下院事務局の発表するところによりますと、一月七日現在ですでに五十七件にのぼる鉄鋼、繊維、食品などの輸入制限法案が提出されておる模様でございます。したがって、ただいま申しましたように、政府といたしましては、その動向に十分注意し、適切に対処していく所存でございます。  二月六日のニクソン大統領の記者会見におきましては、保護貿易主義よりも貿易自由化の方向をとることが米国及び世界の利益にかなうと信ずるということは言っておるのでありますけれども、しかし米国国内の繊維産業の一部については特別な問題があるので輸出自主規制の可能性について主要国と話し合いをしたいということが付言されておるわけでございます。この点が問題でございます。現在までのところ、アメリカ側から繊維の対米輸出自主規制について公式の申し入れは受けておりません。しかしながら、かような輸出自主規制というような問題は自由貿易の原則から見て本来望ましいものではございませんし、また特に繊維関係について、米国関係産業の現状等から見まして、日本品に対する規制の根拠というものは見当たらないように思います。かりに米側からこのような申し入れがございましても、これに応ずるつもりは政府としてはいま持っておりません。で、このような基本的なわがほうの考え方につきましては、二月十八日——ごく最近でございますが、ワシントンにおきましても駐米大使からジョンソン国務次官にも申し入れをいたしておるようなわけでございます。政府としては、申すまでもないところでございますが、従来からの自由貿易の原則のもとで世界貿易の拡大をはかるということがわが国の国益にかなうものと考えますので、その線に沿いまして今後も適切な措置をとってまいりたい。ただいまのところ、とりあえず経過を御報告申し上げておきます。
  310. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 決意のほども一時発表いたしていただいておりますから、あまり申し上げることもないと思いますけれども、私は、米国がこうした保護貿易の形に出てきておるということは、いままでの綿製品の規制ですね、すでに自主規制という立場でスタートしたわけですが、結果的には制限になってしまっているわけですね。ところが、米国の産業としては、一九六〇年以降の米国としては、非常に近代化も進んでおるわけです。したがって、生産も消費もずっと伸びております。それにもかかわらず、日本から輸入しておりますものは、いまアメリカが意図しておるその製品の中ではわずかに三・五%以下なんですね。それにもかかわらず、しかし自主規制をやろうというような形で出てきた場合は、これは強力な経済外交的な方法で、いま外務大臣もおっしゃったような考え方でやっていただきたいと思うのです。これは何といっても総理の大きな私は考え方と指導が大事だと思いますが、総理はどうお考えになりますか。
  311. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま外務大臣からお答えいたしましたとおりでございまして、これはそのとおり、自由貿易、またいわゆるケネディラウンドといわれるような、そういう形で拡大していくことが、両国のためには、これは人類のためになるのですが、どうも両国間だけの均衡論がしばしば出ますが、縮小均衡では貿易の目的を果たさない、拡大均衡ということならけっこうですけれども。さように考えますと、まだまだうんと出ていかなければならない。もう御承知のように、純綿、毛製品、化学繊維——ただいまは化学繊維が問題になっております。しかも、アメリカの消費の量からいえば、わずかに三・五%あるいは三%という程度でありますから、このわが国の化学繊維の関係業界の方も、ただいま非常にアメリカがどう出てくるかということを見守っておりますが、私どもも、貿易拡大なら賛成だが、制限することには反対だ、かような立場で、いまの外務大臣のお答えしたとおりの態度政府は一致して臨んでおるような次第であります。
  312. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 通産大臣一つお伺いしたいのですが、本年に入ってから第二次資本の自由化品としての公表をされております。またその自由化の促進にもつとめておられますが、米国及び西欧の先進国では、繊維製品、高級雑貨品に対しまして、かなりの差別が、輸入制限をしようという意図があることは、通産大臣御承知のとおりだと思います。これは何といっても通産省がこういう問題に対する外務省との連携と強力な推進をしなければ、日本は輸出で伸びているわけでありますから、こういう点に対して通産大臣としてはどういうようにお考えになりますか。
  313. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ただいま総理並びに外務大臣から表明されましたような基本的な態度で、外務省と緊密な協力のもとに、強くはね返していかなければならないものと思っております。ただ問題は、あなたの御指摘のように、先進諸国の繊維産業の近代化が非常に進んでおりまして、わが国がたいへん立ちおくれておる。その上周辺の諸国から急激な追い上げを食らっておるというような状況でございますので、私どもは、外に対して繊維産業を守りながら、内におきましては取り急いで繊維産業自体の近代化を急速に進めなければ対処できないのじゃないか。したがいまして、四十二年以来、構造改善事業をやっておりますが、本国会におきましても、染色、メリヤス等を含めますことについて御審議を願う予定にいたしておりますが、御協力を願いたいと思います。
  314. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 四十二年度以降、紡機、さらに織機、こういうものに対しては構造改善でいま着々と進みつつあります。今年の新しい法律として、染色、メリヤスも含んでいただくという法案が、説明を私も聞いておりますが、こういう点からまいりますと、海外輸出という問題を考えますときに、いま残っておりますやっぱり縫製ですね、いわゆる二次加工、こういう問題をやっぱり根本的に日本は改めていく構造改善をやる必要があると私は思うんであります。それをやらないと、どうしても日本の場合はこの輸出を対象にしなければならぬ立場にあるのでありますから、これが各国にやっぱりおくれておる。英国にしても、ドイツにしても、縫製等では、もう三百人以下の縫製工場はない。日本は三十人か四十人ですからね。こういうような問題を通産省はどうお考えになっているのか。手おくれしてはいかぬと私は思うんですが、通産大臣のひとつ見解をお聞きいたしたい。
  315. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、たいへん規模におきましても、また一人当たりの生産性を調べてみましても、私どもが予想いたしましたように、いかにも立ちおくれておる状況でございます。憂慮いたしておるんでございます。したがって、紡績、織布ばかりでなく、いま御指摘の縫製部門の近代化、非常に切迫しておると思うんでございます。繊維構造改善事業の系列ばかりでなく、私どもといたしましては、中小企業の近代化業種として特定をいたしまして、その方面から近代化を進めていくということもあわせて行ないまして、御期待の方向に施策を進めたいと考えております。
  316. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ通産大臣にお聞きしたいんですが、最近擬似百貨店、スーパーマーケット、これが大資本を中心とする分店の形で非常に進出をいま地域にいたしております。しかも問題が起こっておりますのは、松山、小倉、長崎、浜松、世田谷等にはかなり小売商店の業界との紛争が出ております。これはやっぱり、日本には百三十万軒からの小売商人がおるわけです。もうこの状態でいきますと、残るのは専門店だけです。普通のマーケットに全部押されてしまうという危険性もないではない。これらの施策は、日本では守る法律は何もない。いわゆる小売商業調整特別措置法というものがありますけれども、これにはたいしたこれの救済方法もないし、一体こういう点をどうお考えになっているかですね。
  317. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、流通界の状況はたいへん心配な状況にあると思うんです。まあ擬似百貨店、スーパーの問題、たいへん私も頭を痛めておるんでございまするが、極力、百貨店になるべきものは百貨店になってもらわにゃいかぬと思うわけでございますけれども、実態は百貨店的でございまして、しかも表向きはそうでないというものが、だんだん御指摘のようにふえてきておるんです。しかし、その実態に合わした姿にしてもらわなければいけませんので、そういう指導もいたしておりまするし、またそれに牽連していろんな紛争が各地域において起こっております。私どもの態度といたしましては、できるだけその地域地域におきまして紛争の自主的な御処理を願う、官憲が頭から介入するというようなことでなくてやりたいものだと思うておるわけでございますけれども、なかなか地方庁としても非常にやりにくい。このごろ知事さんも選挙によって出ておるようでございますから、なかなか実際に紛争の調停というようなことには苦心をされておるようでございまして、実効がなかなかあがりにくいわけでございます。しかし、といって、いまの流通界の近代化の方向に向いておる趨勢をとめてしまう、旧態を依然として保守していくという考え方も、いかがなものかと思うわけでございます。したがって、この近代化の手順というものを懸命に調整しながらやっていかにゃいかぬということで、いま流通行政の取り運び方について非常に腐心をいたしておるところでございます。また、農協等の進出も片一方にございますし、員外利用というのがあとを断ったわけでは決してないのでございまして、商店をどのように守るか、しかもそれを前向きの姿で守ってあげなければいかぬわけでございますので、御指摘のように、この問題は、それではこういう方針でいけば必ず実効があがるんだという名案がいまあるかといえば、なかなかないわけでございますので、ことしの重点施策の一つとして、十分究明もし、施策もしてみますが、お気づきの点はこの上ともひとつ御鞭撻を願いたいと思います。
  318. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 現在起こっておる紛争の調停は、これは商工会その他で調停役をつとめてもらってこれは解決つくと思うんですね。私が申し上げたいのは、やっぱり百三十万からの小売り商人をどうするか、これの救済方法は、競合でやらすのか、あるいはどういう指導をするか、これはいま手を伸ばさなければ私はたいへんだと思います。この点をひとつぜひ通産省にやっていただきたいということを最後に申し上げます。答弁はよろしいです。  時間がありませんから次に進みますが、大学問題で文部大臣にお聞きしますが、一月十日の十項の確認をめぐって、政府と与党の批判は加藤代行から坂田文相に向けられているというようなことを私はちょっと新聞なんかで見るんですが、一体実態はどうなっているんですか。
  319. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 確認書は、この委員会でも申し上げましたとおり、加藤提案なるものが出ましたのは十二月の二日でございます。それからまた十二月の二十六日に、これに対していろいろな論議が出てあいまいな点があるということで、十二月の二十八日に加藤執行部において基本的見解というものを出したわけであります。それからまたその後、七学集会において確認書が取りかわされたわけでございます。さらに一月の二十八日に、加藤代行の説明書、くわしい説明書なるものが発表されたわけでございます。  まあそういうわけでございまして、おそらく紛争解決の手段として、十二月の二日に加藤提案というものがなされて、そうして学生たちとのいろいろ話し合い、交渉、それを通じて東大当局の考え方というものを一般学生にも知らせていく、そういう中からひとつ紛争解決の手がかりを得たいという形で書かれたものだと思われるわけであります。したがいまして、学生側が読むならばこういう点がある、あるいはまた東大当局のほうはこういう線がある、そこに幅が実はあったわけでございます。そのものが、三回も説明書をつけなければわからないようなわけでございます。したがいまして、新聞にこれが報道され、各党においてもいろいろそれについて心配をされた。わが党におきましても、もちろん心配の点があった、こういうわけでございますが、今日では、一月二十八日の見解が出まして、説明が出まして、その後におきまして自分の解説書というものを読み合わせてこの提案なるものを読んでいただきたい、こういう線が一応当局としては確立をいたしておるわけでございます。でございますけれども、学生側からとるならば、いろいろ違法のこともあり得る、また不当な点もあり得るということでございましたので、実は法制局長官にお願いをいたしまして、法制局長官の見解というものを出していただいて、それを一月三十一日に私受け取りまして、さっそく向こうの方に来ていただいて、違法のことのないようにお願いをいたしますということを申し上げた。それからまた、単に違法であるばかりではなく、やはり大学というものは理性とそれから良識の府であるべきだ。現在はそうではないのだというところからいたしまして、やはり不当な点は、文部省としてはこういうふうに考えるのですがどうですかということを申し上げておるわけであります。で、いま確認書が十五項目の批准をされておりますが、その中についても実はまだ問題点が残っておる。これは今後とも東大当局と協議いたしまして、適切な指導助言をいたしたい、かように考えております。
  320. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 文部大臣は当初入学中止、休校、大学院への構想を持っておられたというお話も聞いていたのですが、そういう構想で臨まれたのですか。
  321. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 十二月の二十五日の段階におきましては、中止と決定いたしたわけでございます。これは東大当局も認めたわけでございまして、しかも、このわれわれが行政措置をとると申しますのも、三千何人の人たちが試験を受けられないということになることはたいへんなことだと考えまして、少なくとも七十四のほかの大学に増員をしてでも受けていただきたい。私立大学を受けるということもございますけれども、また選択の自由はあるわけでございますけれども、何と申しましても国立大学というのは授業料その他の点においてやはり経済的に低い方々が受けておられるわけでございますから、それらの方々に何とかひとつほかの大学をお受けになってほしい、こういうことを申し上げたのでございます。そういう行政措置をも当局は承認をしていったわけでございまして、中止という考え方は一貫しておったということを申し上げておきます。
  322. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ところが、二十九日の大臣とその加藤代行との会談で、十五日までに事態がある程度好転してくれば入試をやるのだということを大臣はお聞きになっておるでしょう。この点はどうですか。
  323. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私はその場合に、加藤代行が、そういう教育の正常化ができて、そして授業が再開されて、そして入学を実施するということも考えてはおるけれども、自分としても非常に困難であると思っておる、だから中止に私は賛成したのだと、また行政措置をおとりになることも賛成したのだ——私はあのときにあえて奇跡ということばを申しておるわけでございます。これは復活というものが非常にむずかしいということを私は感じたからでございまして、ただそのときにそういうようなお話がございましたけれども、ここで私は、そのことについてイエスだとかノーとかいうことは言えない。その十五日の段階においてもし教育が正常化された状態であるならば、そのときに承りましょう、そのときに考えましょうということになっておるわけでございます。正式文書においては、そういうふうになっておるわけであります。
  324. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこのところが非常に重大な問題だと私は思うのですが、加藤代行が十五日までに事態が好転すればやはり入試もやるのだということを、かりに大臣が了承しておられるとするならば、大学自治を認めている限りにおいては、好転したのかしないかは文部大臣よりも当事者の管理者がわかるはずです。その管理者が大学入学ができるのだと信じたのにもかかわらず、どうして政府——これは総理にも聞きますけれども、管理者が入学ができるのだと、入学試験はできるのだと言うにもかかわらず、文部大臣なり総理大臣のほうから、いわゆる政府がこれに対して中止をするということが、むしろ今日の大学の大きなトラブルになっておるのじゃないですか、その点どうですか、総理からもお聞きしたい。
  325. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 文部大臣といたしましては、全国民の方々に対しても、また入学者の方々に対しましても、それこそ九九・九%できないような事態であっても、最後まで努力するということが私に課せられた責任であるというふうに思いまして、客観的にやはりそれが認められないことになれば私としての責任が果たせない、こういうふうに考えたわけでございます。おっしゃるように、十五日に——結局は一月の二十日になったわけでございますが、その段階におきまして、加藤代行からは、不十分ながらこの条件は満たされたものであるというふうに考えるということでございましたけれども、私といたしましては、あの段階において、そのお気持ちはわかると、また主観的にそのことを主張し今日まで努力されたあなたのその努力に対しては高く評価をいたします。警察力導入をもあえてして、九十年の東大の歴史においてこういうことはいまだかってないこと、それを踏み越えて自分が全責任を負ってそこまでやられた努力に対しては、私はほんとうに敬意を表します。しかしながら、私文部大臣といたしましては、客観的に見てそういうことをどうしてもやる自信はございません。しかし、実際十二月の段階におきまして、両方が合意のもとに入学実施をする、あるいはしないと、そしてまたもう一つはととのわないという事態、この三つの方法が出たわけでございますが、その三番目に申し上げました中止は、おのおのの意見がととのわないときには中止ということは、その時点においても実はわかっておったことでございます。文書にはなっておりませんけれど、お互いは確認し合っておったことでございまして、そういうわけで、今日なお駒場におきましてまだ激闘が繰り返されておるという状況、それからその後に至りましても二回も警察官を導入しなければ教育の正常化というものができないという、この状況から判断いたしますると、私たちのとりましたこの入学中止ということは、まことにやむを得ないけれども、やはりいまとしてはそうするよりほかにはなかったのではないか、かように考えておるわけでございます。
  326. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 管理者は入試ができる、政府はこれを中止する、こういう立場におけるいわゆる新聞その他の紛争的な論争がむしろ社会を混乱させておるという一面があるわけです。そこで、私はこの点は明らかにする必要があると思ってお聞きしたのですが、時間がありませんから最後にお聞きしますが、これは総理も文部大臣もひとつ御答弁願いたいのですが、大学問題は一体もうその解決の方向を失っておるのではないか。したがって、五十数校であったのが最近は七十数校に拡大しておる。いま国民が一番心配しておることは、子を持つ親も、持たない人も、大学のこの紛争というのは一体どういう解決がつくのかという心配があると私は思うのです。一体、総理はこの重大な時期に、大学問題は管理者の自治にまかせておられるのか。まかせておくならば、やっぱり政府の指導的な、先ほど文部大臣が言われるように、指導的な問題、ある程度政府はやっぱりこれに協力をして、そうして今日の事態を解決づけてやるというのが、私は政府としての大きな責任だと思うのです。指導の立場にあると思うのです。こういう点について、この学校紛争を将来どう解決づけ、その指導をしようとお考えになっておるのか、総理、文部大臣のひとつ意見をお聞きしたい。しかも、その指導方針が、時間がありませんから私は申し上げますが、その指導方針総理と文部大臣は意見が合意しておるのか。文部大臣の意見と総理の意見が違ってはならぬと思うのです。あるいは閣僚の考え方も違ってはならぬと思うのです、こういう問題は。そういう点まで触れてこの問題の解決をどうするのか、お聞かせを願いたい。
  327. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) まず第一には、現在あちこちの大学に、東大をはじめ京都大学その他の大学、私立大学も含めまして幾つもの大学におきまして暴力が実は横行いたしております。先ほどから申し上げますように、大学というものは理性の府である。そしてまた良識の府である。そして学問研究をし、そして教育をするところなのでございます。そこに暴力が横行しておるということこれ自体が一番大きい問題であって、これはやはり大学の管理者もき然たる態度でもってこれを排除する。みずからの力で、あるいは学生の力で、あるいは管理者の説得でできない場合においては、そういう暴力というものを警察力にお願いをして、そして排除するというき然たる態度をとるということが、全教官一致して、しかもまた一般学生を含めた全学生がそういう気になるということが、私は第一の要件ではなかろうか。あくまでも私は、時間はかかろうけれども、ほんとうに大学というものが将来の新しい大学というものを築き上げていくためには、現在はかよわい大学かもしれない。われわれから見るならば、まことに管理能力を失ったようなこの現時点においても、それに対してやはり大学の学問の自由と自治というものを認めつつ、そして指導援助をしていくべきものだというふうに考えております。しかしながら、何といったって暴力というものに対しては、全教官、全学生が一致してき然たる態度で臨む、場合によっては警察力を入れてもこの学問の自由を守るのだ、そうして一般学生や研究者の真の自由というものを守るのだ、こういうことが私は必要だと考えております。
  328. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまいろいろ問題がございますが、内政上の問題で大学問題ぐらい内閣も頭を痛めておる問題はございません。おそらくこれは、ひとり佐藤内閣ばかりじゃなく、全国民がこの問題についてはたいへん心配もし、その結論がどう出るかということでいろいろ腐心しておられることだと思います。また、各政党におきましても、それぞれの政党がそれぞれの立場から解決案を出しておられます。それぞれの政党はそれぞれの主張によって、ただいま申し上げたように、解決案を一通り出しておる。政府もこの解決は急いでおりますので、かねてから御審議をいただきつつある中教審の答申を、できるだけ早くということでただいま待っております。しかし、それはそれとして、今回のこの大学紛争について政府は適当な助言と指導をする責任がありますので、そういう意味でこの問題と取り組んでおるつもりであります。ことに、いままでのところ、内閣は一致して、ただいま文部大臣が申したような点を支持しておりますし、一方また、暴力行為は一切許さない、こういう立場で国家警察その他もこれに努力しておるという実態でございます。しかし、基本的には、どこまでも学問の自由、学園の自治、これを尊重するつもりであります。したがいまして、管理者も急いで自治の立場に立っての解決案を出して、われわれの納得のいくようなものをつくってもらいたいと思いますが、同時にわれわれも、ただその管理者の責任だと、かような立場じゃなしに、積極的にこの問題と取り組んで解決をはかる、かようなつもりで、ただいませっかく努力腐心中でございます。
  329. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 終わります。
  330. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 以上をもちまして高山君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  331. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 次に、岩間正男君の質疑を行ないます。岩間君。
  332. 岩間正男

    ○岩間正男君 まず伺いますが、佐藤総理は、午前の答弁で、交戦権は認めないということをはっきり言われたわけですが、これは当然のことながら、次のようになると思うのです。いかなる場合でも、たとえ自衛のためといえども交戦権は認めない、こういうことだと思うので、これを確認してよろしいかどうか、お伺いしたい。
  333. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたしますが、大学の問題をお聞きになるのかと思ったのですが、交戦権の問題ですね。
  334. 岩間正男

    ○岩間正男君 午前中私は関連とれなかったので、確めておく、念を押しておく。非常に重要な問題である。
  335. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 交戦権は認めない、そのとおり。
  336. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の言ったとおり。もう一回言いますか——いかなる場合でも、たとえ自衛のためといえども、交戦権は認めない。
  337. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりでございます。はっきり申します。
  338. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、次に大学問題に移りますが、これは主として総理が答えていただきたい、総理が。  まずお伺いしますが、一月十一日、東大当局と東大八学部学生代表との間に確認書の調印が行なわれ、東大問題は自主再建の方向に大きく踏み出しました。佐藤総理はこの新しい事態をどう考えられますか。
  339. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまのお話は、秩父宮ラグビー場で調印された、そのことですか。
  340. 岩間正男

    ○岩間正男君 あれは確認書をきめて、それから一月の十一日にお互いに調印したのです。よく聞いてください。東大当局と学生の間に。
  341. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) とにかく、いずれにいたしましても、ラグビー場におけるあの雰囲気のもとで、これはあとの手続を待たないと、あの雰囲気の状態では、望ましい交渉はできないと私思いまして、その後評議員会あるいは教授会等で片一方は確認し、片一方は学生が学生全体としてこれを認めた、こういうことであれば、それがその大学においてはそのとおりの結論かと、かように思います。
  342. 岩間正男

    ○岩間正男君 あの事態を承認するというのですか。——いや、ちょっと文相はいいから、総理に聞いている。
  343. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 確認書は、御承知のとおりに、あの七学部集会あとにおいて取りかわされたわけでございますが、それからまた、先ほどお答えしましたように、加藤代行みずからがこれに説明書を加えまして、そうしてわれわれの考え方はこうなんだ、そうしてそれをまあこまかくいうとあれが二十六項目かに分かれておることは御案内のとおりでございますが、その中で十五項目、つまり学生側も承認し、そうしてまあ学校側も承認をした、その部分について確認書が有効という、そういうふうに批准をされた、こういうふうにわれわれは承っておるわけでございます。
  344. 岩間正男

    ○岩間正男君 それをどうかと聞いている。そんなこと聞いているのじゃない。それをどう思うか。
  345. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) それは大学当局自体の問題でございます。私は、この十五項目についても、まだ不審な点がございますので、大学当局と協議をいたしたいと考えておりますし、また向こうのほうでも、そういうようなことがあれば伺いますと、こういうようなことを申しておるわけでございます。
  346. 岩間正男

    ○岩間正男君 佐藤総理は、自民党の会合におきまして、確認書は絶対認めない、こういうものの上に立っての解決はあり得ないということをいままで言ってこられた。そうすると、そういう基調に立つと、いまのこれを承認するかどうかということはどうなんです。新しい事態が起こった、新しい事態がね。そうでしょう、ここではもう現実に、確認書というものを基礎として、東大の多くの学部ではすでに授業が再開されている。そして建設的な努力がいま始まっている。こうした新しい事態に背を向けてどろをかける、こういうことでは絶対に問題の正しい解決はないのです。したがって、この現状における総理のお考えをお聞きしておきたい。
  347. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) まだ、これについてどうするかということについては、加藤執行部自身が何ら意思を表明していないのです。それについて、水をぶっかけるとか何とかいうお話は、岩間さんのお話であって、私はそういうことは考えておりません。それからまた、御承知だと思いますけれども、それに続きまして、東大のほんとうの、まあビジョンと申しますか、新しい東大というものはどういうふうにやるんだということについて、すでにもう一月の六日ぐらいから各委員会を設けられまして、専門別にやられまして、そして外国の資料等も取り寄せられて、それからいま全国のいろいろの大学の実態等も調べられて、そして加藤執行部自身がその委員会に諮問をされておる。しかも、それも非常に仮の調査会のようでございます。それで、検討して、新しい東大像というものを、いませっかく努力をされておるということでございます。しかし、その中間の資料等もわれわれのところに送ってきておりますから、われわれもそれについて検討を始めておる、こういう段階でございます。
  348. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理はどうなんです。これは基本的な問題ですからね。これについて総理がいまどういう心境でおられるか、総理にお聞きします。どうなんです。この新しい現実が始まっている、動いている、これは生きものですからね。これに対してひとつ答弁してください。
  349. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど文部大臣からお答えいたしましたように、なかなか——中の各項目についてそれぞれ納得のいきかねる点があるし、あるいは不明確な点がある。そういうようなもので、ただいまその落ちつき方を見守っておるというのが、その点では現状だと思っております。また、現状もですね、確認書も確認書だが、なお争議が続いておるというような状態であります。先ほども高山君にもお答えいたしましたように、私どもは、何といっても管理者——東大当局がこの事態について建設的な解決策を見出すことがまず第一だと、かように思っておりますから、そういう意味で私どももこの成り行きを見ている。もちろん、不審に思う点はこれを明確にし、また、あまり事態を紛糾させないように、そういう方向で見守っておるわけでございます。
  350. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理は、口では大学の自由を認めるとか、学問の自由を認めるとか、現にいま高山君の質問に対してそう答弁したのですが、しかし確認書が決定されたあと、一体どういうことを自民党、それから政府、そういう人たちは言ったですか。たとえば、こんな異常な雰囲気のもとでつくられたこれはだめだ。東大当局は学生の圧力に屈したから、こういうものはだめだ、これに対してあらゆる中傷と非難を加えてきたのは現実ですね。そうしてまた、トロツキスト暴力集団は、これに対してたび重なる妨害を加えてきました。こんな困難な条件の中で、東大当局と学生教職員たちは、これらの圧迫、干渉、妨害をはねのけて、民主的な討議を下から組織して、実に粘り強い努力を積み重ねて、確認書というものの調印をかちとったのです。このことが、非常に大きな、教育を新しくつくる原動力だと私は思う。ここに依存するかどうかということは、大学問題を解決する基本的な問題です。だから私は、総理は、いまのこの新しい時点の中でこれを承認する方向をとって、あなたの言われるように、ほんとうにですね、これは学問の自由を認め、大学の自由を認める、この立場に立って、一切干渉はしない。ならばはっきりこの場で言明をしてほしい、こう思うのです。どうですか。
  351. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも、この二、三の項目については、私ども納得のいかないものがあります。そういう点が十分解明されておらない。たとえば、国家の警察力というものを一体どういうように見ているのか。これはもう遠慮なしに、秩序を乱す、そういうような行為があれば、国家のこの機関をやっぱりフルに動員するぐらいの決意があってしかるべきじゃないか。いまなお、いわゆる警察アレルギーというか、そういうような考え方で見られる。ことに大学が、これだけの国民の予算、税、それを使いながらも、国家アレルギーとでも申しますか、政府が介入するとか何だとかいった、そういうのは一体どうお考えになるか。私は、それらの点において、私どもが認める自由、自治、おのずからちゃんと限度がある。いわゆる治外法権の場では決してございません。そういう点もよく考えていただいて、そうして大学の先生方が間違いのないようにしてもらいたい。
  352. 岩間正男

    ○岩間正男君 二、三の問題というのは、明らかにしてもらいたいのだけれども、二、三の問題に——まああとでそれだったらやったらいいでしょう。しかし、全体として、あすこで、ほんとうに九〇%の学生たちが努力を重ねて、そうして自分で自主的に打ち出す。ここが必要ですよ。これは教育の根幹です。これを認めるか認めないか。そうして外部の権力で支配されて、あの戦前のあのような大学をわれわれは知っておるのだ。坂田さんも知っておるでしょう。あなた成城にいたはずだ。成城卒業だろう、わしも成城なんだから。教育というものはどういうものだ、一体。一番知っているだろう。人間と人間の触れ合い、意思の交流、それで自由が尊重される、それがなければできないはずだ。だから私は、この問題でこれは言っているのですよ。だから、この点に立って考えれば、私は、このような自主的な解決というものを土台にして、そうしてそれについて不十分があれば、それはいろいろな意見を述べればいいだろうが、基本的にはそういう方向をとって、そうしてその上に立ってこれは進むかどうかということは、単にこれは東大だけの問題として私は論じているのじゃない。日本の文教政策、教育政策の根本に関する問題です。こういう点から、もう一回はっきり答弁を願いたい。
  353. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大学というものが、国家機関の別にあるものではございません。国家機関の一つとしての大学、さように考えれば、ただいまの話は自然におわかりがいくと思います。いわゆる学園の自治だと、かように申したからといって、治外法権の場では決してありません。大体、今回の大学紛争を見ていると、部外から問題が起きたのではございません。部内においてあの紛争が続いておる。その実態もよくつかまえて、よく考えられれば、管理者の責任がいかに重いか、これはおわかりだろうと思います。
  354. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は十分なんです。あなたとも今度は教育問題を論争をしたいです。時間がない。  第一に、何のために一体憲法があり、教育基本法があり、文部省設置法があり、そうして大学の自治というものが法的にはっきりなっているか。私は、この点が非常に重大な問題で、この自治を守るか守らないかということは基本的な問題です。これに対しても、どうですか。世論見てください。たとえば日本学術会議あるいは七人委員会、科学者会議、国大協、こういう人たちが、政府に対して、大学の自主的解決を見守ってほしいということを、これはしばしば声明している。総理も御存じでしょう。このことは、大学の自治、学問研究の自由を要望する広範な国民世論を代表するものだ。これを総理は尊重して、あくまで自治を守るという立場をとられますか。いかがですか。
  355. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどから申しておりますように、自治、それには限度があるのです。自分たちだけがかってができるというものではございません。これは自治の範囲を越している。だから、先ほど岩間君が、こういうことがあるじゃないかと言われたそのことば自身は、政府に向けてではなしに、大学の管理者自身に向けて、その答案を出せと、こういうことだと思います。
  356. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたね、だれが、どこの学生が治外法権と考えているか。そういう、これはまじめな学生はそんな何はありませんよ。そうしてあなたは何でも教授だけ、管理者に責任があると言っているけれども、その大もとの一体、一切の責任はどこにあるんです、どこに。だれが負うんです。
  357. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そこへ行くと国に責任がある、これは岩間君もおわかりだと思います。しかし、この範囲は自治だと、大学はなぜ管理者にまかさないのか。そして、ただいま言われるように、最後は国にある、かように言われるんでしょう。そこらに何かそぐわないものはございませんか、理論の一貫しないものが。
  358. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 岩間さんは民主的だというふうにおっしゃるけれども、その民主的な意味がわからないんです。暴には暴というようなことは、学内においては許されないわけです。これはトロッキストとおっしゃる、三派もいけない。しかし、またこれに応ずる民青の方々が同じゲバ棒をやって、そしてこれを防衛するんだというようないろんなお話がございますけれども、そういうことが大学紛争というものをエスカレートしておるのであって、ほんとうのことばの意味における民主的ということであるならば、逆に、そういうものを慎むということでなければならない。そうすることによって、三派を孤立させるならば、警察導入をしなくてもあるいはやれるかもしれない、そういうふうに私は思うんです。  それからもう一つは、あなた方のほうで、三者協議会、つまり大学を構成しておるのは学生と教官と事務職員なんだ、だから三者協議会でやるなたらば、これに対していろいろ文句を言うのはけしからぬ話なんだと。一体この世の中におきまして、東大のごときは年間一人当たり百二十六万円も国民が税金を払っておるわけです。そのことを考えて、あなたたちの民主的な大学、あるいは大衆の大学、国民のための大学とおっしゃるならば、この国民の意思を反映した大学自治というものが、教官及び学生によって考えられなければならない。私はこう思うんでございまして、そういう三者協議会だけでよろしい、おれたちがきめたことには従え、それに何かちょっと文句言えば、指導、助言をいたすならば、それは干渉なんだ、こういうものの考え方というものは、いまを去る五、六百年前ですか、もうちょっと……。ボローニャ大学のあのギルドのあの学生によって、しかも、あの当時は公権だとか市民権というものが得られないから、あのアルプスを越えてやってきたその人たちの市民権を守るためにそういうようなことが考えられたわけなんで、その辺をひとつよく成城御出身の、先生もしておられたわけですから、よくひとつ、リベラルというものはどういうものであるかということをよくひとつ、私も考えますけれども、岩間さんもお考えいただきたいと思います。
  359. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間ないのを見てやられると困るんです、長々とやっておられるけども。そんなものは反駁することはいろいろあるんだ、いままでそれはやったことですよ。私の質問に答えないで、かってにこの議場をあなた方の宣伝の場にすれば、なんぼでもできるんだ。ところが全く私たちは時間の制限の上に立たされてやっているんだ。その講義はもうほんとうに反駁することができますよ。そうでしょう。いままであのような暴力的な、そしてほんとうに学園の破壊なんだ。これに対してあくまでも学園を守るために、これを同じにあなた方は何して、そしてけんか両成敗的な議論をやって、そうしてしかも干渉的になっていく。こんなことは認められないですよ。
  360. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 岩間君、お立ち願います。
  361. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、私はそういう点に立って、この時間の何で、なんぼでもやりたい、いまのは。大体あなた方の教育論というのは、ほんとうにわかり切っている。私もいまの言いたいんですが、こんなことに議場を使っちゃまずい。そこで私は基本的に、先ほどいろいろ佐藤総理は足らないところとか、いろいろこんなことを言っておりますが、佐藤総理の大学に対する基本構想というものをここでお聞きしたい。どういうことですか、基本構想を述べてください。
  362. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大学はもちろん知育の場といいますか、そういう場でもありますが、同時に人間形成の場であります。
  363. 岩間正男

    ○岩間正男君 改革案に対して。
  364. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 改革案に対して、改革案はただいま中教審の答申を実は待っているというのが実情でございます。
  365. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理、あなたは沖繩の白紙と同じことで、何でもぐあいが悪いと中教審だ。そうして何か中教審に期待を持たせるようなことを言っていますが、この中教審というしろものは一体どういうものなんですか。非常にこれは非民主的ですよ。いままでの実績でも明らかのように、政府自民党の反動的な文教政策を合理化する機関になっている。答申の内容は、だからいまからもう予想できますよ、どういうものが出るか。  そこで、私はお聞きしますが、この答申案はいつ出されるのか。それから、これが出れば、大学の改革法案がこの国会に出されるのかどうか、あわせて御答弁願います。これはちょっとやはり総理から答えてもらいたい。
  366. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) まだ、いませっかく努力をいたしておりますので、いつということはわかりません。しかし、第二十四特別委員会の中間報告は、あるいは三月の初旬ごろまでに一部が草案として出されるというふうに私は聞いております。
  367. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ次にお聞きしますが、この自民党文教制度調査会が最近大学教育改革試案というものを発表しました。これはもう論議する余裕ないんですが、その中で特に重大だと思うのは、文部大臣の権限を非常に強化している。教官の任免権はもとより、大学の授業中止、一時閉鎖までできるようにしているんです。これは文部省設置法のいう指導助言というものをはるかにこえて、同法では禁止している監督権というものを復活するものだ、あくまでこれは設置法違反です。自民党総裁としてのあなたの見解を伺いたい。これは総裁として聞いている。
  368. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほども申しましたように、この大学問題については、各党ともそれぞれが改革案を出しておりまして、ただいままだ党議としてきまったわけではございません。自民党の一試案、党内の一試案、かように御了承願いたいと思います。
  369. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのは認めますか。監督権をもって戦前に復活するような——認めますか。
  370. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはいま一つの素案になっている。これからだんだん自民党案ができ上がると思っております。
  371. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないから次へ移ります。いま政府自民党は、トロッキスト暴力集団を泳がせて、これを道具として利用していることは、数々の証拠をあげるまでもなく、今日ではもはや天下周知のことです。政府は極力これを不認しています、いままでの討論の中で。しかし、たとえばかねて逮捕状の出ている全共闘の山本義隆なる者が週刊誌のインタビューに出席したり、あるいは公開の集会で演説をしている、こういう事実があります。  総理は、二言目には法と秩序ということを言ってきました。これでいいんですか。この間の一体経緯はどうなっているのか。総理並びに法務大臣、国家公安委員長答弁を求めます。
  372. 西郷吉之助

    国務大臣西郷吉之助君) 山本何がしの問題は警察の段階でありますから、国家公安委員長答弁が妥当であると思いますけれども、私も申し上げておきますが、去る一月十八、十九両日の安田講堂の解除の際に、中心人物の山本何がしは逃亡しておりまして、逮捕に至っておりませんが、目下警察当局では激しく追及しているので、逮捕も時間の問題であると思います。
  373. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  お話のとおり、東大の全共闘のボスである山本義隆及び日本大学の同じく共闘系の秋田何がし、二人とも、前者は先月、後者は五カ月前に逮捕状を出しまして捜索をいたしております。さらに泳がしておるなどということをまた岩間さんからおっしゃいましたが、別に泳がしておるわけじゃございません。むしろ一説によれば民青が、岩間さんの子分連中が泳がしておるという説もある。過激派学生集団による学内の暴力行動に対しましては、法律に基づいて警察権の発動によりこれを排除、検挙するのが当然の筋道でございますけれども、岩間さんの属せられる共産党をはじめ民青の諸君がしょっちゅう申しておりますように、一方においては警察力の学内導入に絶対的に反対と、シュプレヒコールのときもしょっちゅうこれを添えることを忘れないぐらいにかねて言っておられるのであります。その結果は、過激派学生、トロッキスト派をはじめといたします過激派学生の暴走に拍車をかけている形であることは周知のことであります。これは警察力を導入しないでほっておけば、過激派学生のはね上がりが一段とエスカレートして、ますます学内で孤立化すること、その場合民青系、すなわち岩間さんの子分連中は、いわゆる正当防衛権に名をかりた実力行動によってこれをたたいて、学内闘争の主導権を握ろうとしているという見方は、これまた多くの人人が指摘するところでございます。
  374. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 質疑応答はいいんですがね、岩間君の質問に対する答弁が、ことばが少しぼくは過ぎると思うんですよ。岩間君の子分とか、そういうことは、やはり神聖な国会ですからね、やはり丁寧なことばを使っていただきたい。これは希望しておきます。
  375. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまも荒木君からお答えいたしましたように逮捕状が出ている者がまだ捕縛できない、私まことに申しわけないことだと思っております。そういう意味で、またあらゆる面からも御協力願って、逮捕の実があがるようにひとついたしたいと、かように思います。
  376. 岩間正男

    ○岩間正男君 委員長、取り消しを命じろ。ああいうきたないことを言うのがまるで商売みたいにやられちゃ困るんです。あんなものは事実にそれは反する。第一考えてごらんなさい。あなたたちの出した逮捕状でしょう。その始末が、向こうからいま傍聴席から騒然として笑い声が起こったでしょう。これが世論を代表しています。泳がしている、そういう問題に対して始末をつけることもできないで、そのことはたなに上げて、そのことの説明を求めている。聞かないことをかってにこの議場を利用するというこの魂胆は何ですか。こんな閣僚が一体あっていいのか。これは総理は少し真剣に考えて、この問題どう処理されるか。あのようなきたないことを平気でやっている、そうでしょう。あんなことは許されませんよ。いやいや、答弁求めていない。総理に聞いている。
  377. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。  用語があまり上品でなかったことは私も反省をいたします。しかし、申し上げたことは事実を申し上げております。なお二人の逮捕状を出しながら、とりながら、まだそれをつかまえ得ないでおることは遺憾に存じます。ただし、昨年一年間の共闘会議派の学生を逮捕しました数は約六千名でございます。同時にその間警察関係の者が、機動隊をはじめ重軽傷を負いました人数は約七千名でございます。泳がしておるというさっきお話がございましたから申し上げたわけでありまして、補足的にいまのことを申し添えまして、泳がしておるなどという事態でないという意味合いにおいて御参考までに申し上げさせていただきます。
  378. 岩間正男

    ○岩間正男君 一昨年の羽田事件からすでに六千人逮捕された。しかし内容を検討すると、ほとんど三泊四日ぐらいでみな帰されているのですね。こういう冷厳な事実を一体どうするのですか。私はそのようなやり方の背景には相当政治的背景がある。  だから、ついでにお聞きしますが、政府はトロッキストによるこの撹乱工作を利用して、大学問題の解決を困難にし、これを利用して、一挙に大学管理法のようなものを提案し、法と秩序を求めるドゴール方式で国会解散を断行する意向があるようにこれは聞いておりますけれども、この点総理いかがですか。
  379. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 文部大臣からまだ大学管理法、そういうものを出すということを聞いておりません。おそらくそういうことはないと思っております。また、このことを理由にして解散するという、ただいま初めて私聞きました。なるほど、そういうことがあるかなと聞いたわけです。初めて聞きました。
  380. 岩間正男

    ○岩間正男君 沖繩じゃうまくないから、先にもうやってぼやかして、それで大学でやっちゃう……。
  381. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 岩間君、時間が参りました。
  382. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは管理法は出さないということを認めていいですか、いいですね、確認していいですね、今国会へ。
  383. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いままでたびたび申し上げておりますように、中教審の答申を得て考えたいと思います。
  384. 岩間正男

    ○岩間正男君 出すこともあるのだね、出すことも。
  385. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 岩間君、時間でございます。
  386. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に一問お許しを願たい。  最後にただしたいのは、入学試験のことです。いま大学の受験期を前にして幾十万の学生、父兄が悩みに悩んでいます。このままトロッキストの暴力が横行する限り、京大をはじめいま紛争中の大学、これは文相から報告してもらいたいのですが、これはあすにも入試が中止されないという保証がない。一体この深刻な事態に対して政府はどのような対策を持ち合わせているのか。これは政府の責任において、私はトロッキスト暴力集団の学外におけるこの行動をはっきり規制する、厳格にこれを規制する、そうして学内に侵入して暴れ回ることを未然に防止する措置をとる。それ以外にこのような問題にこれはこたえる方法はないと思うんですが、総理はっきりこれは答えていただきたい。この暴力トロッキスト集団に対してもっと徹底した措置を、あなたたちの汚名をこれはほんとうにそそげるようなそういうものをとる。  第二には、何といってもこれは教官、それから学生、院生、それから職員、こういう人たちがそれぞれ自分の意思を反映のできる、それぞれの立場からこれに参加することのできる民主的な運営を保障する、そのような体制を打ち立てる。  第三には、大幅な教育予算のこれは増加です。先ほど百二十六万、盛んに宣伝している。あの中身調べてごらんなさい。学生がどうして血を売ったりしているんです、どうしてアルバイトをやらなくちゃならないんですか。あれは学生にいっているのじゃないですよ。
  387. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 岩間君時間が参りました。
  388. 岩間正男

    ○岩間正男君 産学協同とか、そっちのほうに大幅にいっていて、そしてこの中身を文部省の予算を検討すれば、平均で全体の予算を頭割りするだけで、そんな宣伝をやることはやめなさい。みっともない。
  389. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 岩間君、時間が超過いたしました。
  390. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はその点で最後にはっきりした見解を総理にお伺いいたします。
  391. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま行なわれておる入学試験、これはぜひとも円滑に行なわれるようにと、これを心から願っております。そういう意味におきまして、国家自身、政府自身が、警察力だろうが何だろうが、学校の要請があればこれにこたえて、そして円滑に試験が遂行されるように協力していくつもりでございます。
  392. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 入学試験は大事でございますから、これは万難を排してやるつもりでございます。
  393. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 以上をもちまして岩間正男君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  394. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 次に市川房枝君の質疑を行ないます。市川房枝君。
  395. 市川房枝

    ○市川房枝君 政府当局に対してお伺いしたいことが幾つかありますけれども、それは本予算の総括質問に譲りまして、きょうは労働行政の機構改革にしぼって総理並びに関係当局からお伺いしたいと思います。  その前に、まず総理にちょっとお礼を申し上げたいことがあります。昨年の十二月の十三日であったと思いますが、各党派の婦人議員が十三名で総理にお目にかかりまして、二つのことをお願いを申し上げたのです。その一つは、地方で働いておりまする保健行政、福祉行政に参加しておる職員、おもに婦人でございますが、その人たちの人件費の国庫補助を打ち切るという御計画を大蔵省でお立てになりましたので、私どもは、それをぜひやめてほしいとお願いを申し上げました。それはそのとおりに実現をいたしまして、みんな喜んでおります。もっとも、このことについては大蔵大臣にもお礼を申し上げなければならんかもしれませんが、ただ大蔵省がこの問題についての最後の決定をなさる過程において、私どもはずいぶん遺憾だったことがございます。それは簡単に申しますれば、大蔵省といっても、これは主計局かもしれませんが、いわゆる交付税の税率を引き下げることができない場合、そのかわりに国庫補助金を打ち切って、それを地方の自治体から出させる。ただそろばん勘定だけで計算をなさる。どうしてそういう福祉行政、保健行政なんかの国庫補助ができたのか、あるいはそれをやめたらどういう影響があるかという問題なんかについては、ほとんど関心をお払いになっていないということ、これじゃ政治じゃない。それからもう一つは、この問題で大蔵省主計局から実にきびしい通告が各省にあった。そして現在働いておる人たちにずいぶん不安を与えた。またそのために陳情にわざわざ東京まで来た保育所の保母さんたちは、東京で大会を開いたりした。こういう点でずいぶん行政の能率も下がっておる。ですから、こういうふうなことは、今後ひとつ慎重にお考えを願いたい。お礼を申し上げると同時にお願いを申し上げておきます。  さて、総理にはもう一つのことをあのときお願いを申し上げました。それは現在労働行政の改革で問題となっておる地方にありまする婦人少年室を廃止をしないで、現状のまま残し、これを強化していただきたいということをお願いしましたが、これはまだ効果が出ておりません。これについては先に労働当局からお話を伺いまして、あとで総理から御意見を伺いたいと思っております。  労働大臣に伺いますが、どこまでこの問題は進展をしておりますか、伺いたいと思います。
  396. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 市川先生にお答えを申し上げます。  これは御承知のように、労働行政の機構改革の大綱につきましては、すでに去年の十一月の二十六日に労働大臣、自治大臣及び行政管理庁長官の三者の間で、申し合わせ事項として、その三者の間の覚え書きが取りかわされておるのであります。私もその前の労働大臣からそれを引き継ぎまして、行政改革の一端として労働行政の改革をやりたい、こういうふうに思っております。  それで、お尋ねの婦人少年行政でございますが、これにつきましては、これを改革してどういうふうにするのであるか、御承知のように、改革いたしまして各都道府県に労働部を新設いたします。これは日本で八都道府県にございますが、あとはございません。新たにこれを設置し、そうしてその中へ、いまありまする婦人少年室をその都道府県の労働部のもとに、課とするか室とするか、そういうふうにして置きたい。こういうふうな申し合わせ事項になっております。  それで、よくおっしゃられますがそれを置くと、婦人少年室を廃止してしまうのではないか、こういうので、廃止するのではございませんので、二十年余にわたる労働行政、いろいろ中央と地方との統一もとれていない点もありますから、この際、行政改革の線に沿うて改めたい。決して弱化するのではございませんので、強化するために、この各都道府県の労働部の中に置く婦人少年室か婦人少年課においては、第一は、労働基準法上の調査権限の確保はこれを維持します。これは非常に本質的な仕事でございます。第二は、地方自治法を改正いたしまして、そこに、これは一般的のいわゆる勤労婦人、勤労青少年だけでなくて、一般の婦人の地位の向上について、これを地方自治法の中にこの婦人少年室なり課がこれを受け持ってやるということを入れる考えでおります。  第三番目には、人事、予算等の面においても、婦人少年行政が円滑に実施されるようにやりたい。そういうふうにいたしまして、いままでよりも実質的に婦人少年の行政が円滑にいくように、また勤労婦人、勤労青少年の行政がうまくいくように、さらに皆さん方から非常に陳情いただいておりまする一般の婦人の地位の向上等についてもやれるように、単なる口先でなくて、法律の改正その他をもってしっかり御期待に沿うようにやりたい、こう思っております。
  397. 市川房枝

    ○市川房枝君 労働大臣のいまの御説明は、いままで何回も聞いております。しかし、この参議院でも予算委員会あるいは地方行政、社労で、婦人の議員の方たちが大臣質問をしておいでになりますが、みんな地方移管に賛成をしていない。あるいはまた、一般の婦人団体もそれに賛成していない。先般婦人少年局の前の三局長も、これに反対の陳情を大臣になさったはずです。そういうふうに、労働大臣がそういうふうに地方へ移管してそうして強化するのだとおっしゃっても、みんなそれに納得できないのです。それに対して労働大臣はどうお考えになりますか。
  398. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 市川先生のいまおっしゃられたとおり、私のほうへは各婦人議員の方方——これは与党もございまして、たくさん陳情いただきました。御承知のように、元婦人少年局長の方々も陳情いただきました。むろん一応は反対の意見でございますが、いま申し上げましたようなことで、私どもは労働行政を預っておる者としては、せっかく婦人少年局もあるし、いわゆる婦人少年行政もやっておるのでありますから、これを決して弱化したりするような考えはございませんので、ぜひ強化いたしたい。それには、さいぜん申し上げましたが、全国的に各都道府県に新たに労働部を新設するということは私は非常に大事なことだと思っております。それは、御承知のように、農村人口もだんだん減ってまいりまして、近い将来一億総勤労者である、こういうふうになる時代が目睫に迫っております。そういう時代に対処して、中央だけ、労働省だけが力みかえるというのではなくて、各都道府県においても労働行政を、中央の労働省の指導のもと、一貫して全国的に労働行政を推進していきたい、こういうことが私どもの切なる願いであり、そこで、御質問にはございませんが、労働基準局も入れてそれも管理する。それから婦人少年室もその労働部の中に入れてやりたい。いまは御承知のように、私も初め知りませんでしたが、これは国家公務員で、各都道府県におります婦人少年室の職員は四名から六名というような非常な少数なので、ほんとうはもう少しこれは何とか強化しなければならぬということを痛感いたしまして、これを県のほうへ入れて、もし課にでもなりますと、やはり十人あるいは十五人とふえますので、その知事の指導のもとにやる場合においては、おそらく強化になると思ってこういうことを説明いたしました。いろいろ陳情いただきました婦人の議員の諸先生並びに婦人団体の方々には鋭意ひとつ説得し、またこれからいろいろ、説得といっては申しわけございませんが、説明申し上げたい。そして御理解を得たい。まだその途中でございまして、少しひまになりましたら御懇談申し上げて御理解を得たい。
  399. 市川房枝

    ○市川房枝君 労働大臣は一人ですもうをとっていらっしゃるというか、一人合点だと私ども思うのですが、お話の中に、さっき、自治法を改正して、自治法の中で婦人問題を扱うことを法律の中に入れるということをおっしゃっておりましたけれども、自治大臣はそれは御存じですか。
  400. 野田武夫

    国務大臣(野田武夫君) 婦人少年室の委譲問題、よく知っております。それからこれが去年の十一月の申し合わせの中もよく吟味しております。結論は、婦人青少年の労働問題が非常に大きな問題でありますから、これを軽々しく扱わないようにする。それが国家機関であろうが、地方の機関になりましょうとも、基本的にはそこだと思います。そこで、いま労働大臣が申しましたように、やはりこれを国から地方に委譲する、いわゆる婦人少年室を委譲するとなりますれば、相当やはり立法措置が要ります。その間、いま労働省と自治省と打ち合わしておりますが、特に申し上げておきたいことは、婦人少年室が地方に移りました場合、自治省といたしましては、いま申し上げましたとおり、きわめて、これは婦人青少年の方々の労働問題に関係することでございますから、一部の御婦人のこの間の陳情の中に、都道府県では婦人少年室を置かないのじゃないかという御懸念があったということを私聞いておりますから申し添えますが、必ず都道府県におきまして婦人少年室を置くように強く指導したい。また、置けるものであると私自身では信じております。
  401. 市川房枝

    ○市川房枝君 自治大臣の御答弁、ちょっとはっきりしないのですが、置くように指導するとおっしゃるのだけれども、かりに、労働部というのはこれは自治法の改正でできますけれども、その中に婦人少年室または課を置くのは、これは地方の自治体の条例といいますか、規則できめるのであって、指導なさるというだけでは不安です。私ども、だいぶ当たってみているんですけれども、必ずしも地方は婦人の問題に理解があるとも言いかねる。あるいは地方には、すでに婦人児童課とか、あるいは婦人課というものがあって、そこにまた同じようなのがくるということに対して、そのまま受け入れるということは考えられないのです。時間がありませんから今日はこの程度にします。  さて労働大臣、労働省は、さっき大臣もおっしゃいましたが、婦人少年行政を担当しておられる主管省でございますね。労働大臣には婦人少年行政に対しての御抱負がおありになるはずだと思うので、それをちょっと聞かせていただきたい。
  402. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) さいぜんも申し上げましたが、機構的に申し上げましても、婦人少年室の職員は四人とか六人とかいうので貧弱でございますので、まず機構を県の中に入れて充実させたい。それから御承知のように、いま婦人労働者が多うございますが、そういう人に対しての労働基準法の適用、あるいはその労働条件の向上、生活環境をよくする、福祉施設をやる等々のことをいまやっております。そういう労働行政面から婦人の労働条件をよくすることをやることが、第一。第二におきましては、やはり一般の婦人の地位が、どういたしましても、まだ戦後二十数年でございますので、非常に男子に比べて弱く低いことは認めざるを得ません。そこでこの婦人少年室等を通じ、中央における労働省の婦人少年局を通じまして全国的に行政を指導しまして、一般の婦人の地位の向上、また勤労青少年の優遇等々、万般の施策を進めていきたい、こう思っております。
  403. 市川房枝

    ○市川房枝君 労働大臣の御抱負を伺いましたが、それは労働省婦人少年局の設置法をずっとおあげになった程度であり、今度の改革案の内容を御説明になった程度であって、私どもはもう少し高い立場、現在の婦人労働行政というものは非常に重要さを増しておる、そういう現実の認識に出発してもっとお考えがあってもいいと思いますが、きょうはこの程度にいたしておきます。  そこで、総理、まだ煮え詰まっていないように思われますが、この問題をどうお考えになりますか。私どもはいまの少年行政の重要性に見合うような機構の改革というものは必要だと思うのです。けれども、いま労働省がお考えになっておる婦人少年室を地方へ移管する機構改革案というものは、むしろ私どもからいえば、お役人の方たちがというか、あまり御婦人の問題を御存じのない方々がおきめになったのであって、私どもはじめ、さっき言いましたように、婦人たちはみんな納得をしていないわけです。だから、むしろこの際私は衆知を集めて、そうしてほんとうにいい、現在の時局に適した案を立てていただきたい、こういうふうに思いますが、総理いかがでしょうか。
  404. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 最初に二つのうち一つはお礼を言われました。一つについては、ただいまたいへんきびしい批判を受けております。その問題は、私が申し上げるまでもなく、いわゆる行政機構の改革、そのうちの一つの大きな部門でありますいわゆる地方事務官の問題、各省出先機関との問題、それをさらにわかりやすくする。やはり労働省の出先にも行かなければならぬ、また県庁にも行かなければならない、こうなりますと、国民としては手続も煩瑣なら、また同時に一貫した行政の対象にならないというようなことがありますので、この行政機構改革の場合に労働省の関係においては、ひとつ自治大臣と十分話し合って、いわゆる地方事務官制度というもののないようにくふうしてみようじゃないか、これが先ほど申しましたように、昨年の暮れに、行政管理庁長官と労働大臣と自治大臣と、この三者の覚え書き交換に実はなったのであります。そうして、これはいまのところでは四十四年ではなく、四十五年に実施しよう、こういうことであります。そして私は、この大体の考え方はそれでけっこうだと、いままた市川君からお話になりましたように、時節柄、中身はもっと強化しなきゃいけない。いままでの幾ら出先にしろ、四人か六人程度の婦人少年室では、最近の情勢から見まして事足りないと思うんですね。そういう意味で、あるいは労働部ができればその中の一課にするか、室にするかということを言っておりますが、ともかくもっと行政を充実し、強化する必要がある、かように私は思っておるのであります。そういう場合に、やはり地方と中央とその関係においてはやはり直結はする。直結はするが、出先機関が二つになるというようなことは、これはなくしたほうが行政も徹底するし、また受けるほうの国民からも、たいへんわかりやすい機構になっていく、かように実は思っておるのであります。いずれにいたしましても、四十五年からということで、ただいまその機構の内容の整備についていろいろくふうしておる最中であります。まあもともと、私ども婦人の陳情にはたいへん弱いのでございまして、その辺であまり圧力を加えられないで、ひとつ行政のいいかっこうをこの際に思い切ってやらしていただきたい、お願いしておきます。
  405. 市川房枝

    ○市川房枝君 地方の婦人少年室は、総理おっしゃるように四人、五人で、事業費も月八万円ぐらいしかないのです。それで、労働大臣に言わせると何もやっちゃいない、こうおっしゃるんですが、それだけで縁の下の仕事をやっている、私たちはじめ一般の婦人は非常に高く評価しているんですよ。だからこれを認めて、そしてこれを強化していくという方向が、いままでの長い経験もありますし、一番、行政としてはいいんではないか、こういうふうに考えるんですが、その点で総理もう一ぺんお考えをいただきたい。  それで最後に、ちょっと行政管理庁長官にお伺いしたいんです。行政管理委員会で、今度の労働行政の中で、新たに地方労働局をおつくりになるということに対して、反対の意見が出されておるそうですが、これは事実でしょうか。それに対して、行政管理庁はどういう態度をおとりになりますか。
  406. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり問題になっております。行政監理委員会におきましては御指摘の点について、賛成の方々と、それから反対の方々と二つの意見が並列的に出されております。決議したわけじゃございませんが、行政監理委員会の委員長は行政管理庁長官の私でございます。その委員長に二つの意見が並列的に出されまして、今度、行政管理庁長官の立場においてそれを十分考えなさいという形で、御意見を承っておる段階でございます。したがいまして、関係の労働省あるいは自治省等とも今後十分御相談を申し上げまして、行政監理委員会の賛否両論を参考にしながら調整してまいりたい、かように存じておるわけであります。
  407. 市川房枝

    ○市川房枝君 時間がきているようですが、ちょっと言わしてください。行政管理庁長官いまおっしゃいましたが、私が得ている資料、そのA案とB案とありまして少し違うんですが、私が言いました、地方労働局というものを新設するということについては、両案とも強い反対なんですよ。だから意見が違うわけじゃないんです、同じなんです。もう一つ、失業保険あるいは労災保険の適用についても、社会保険の一元化の上でこれは考慮すべきじゃないかということも同じことなんです。だから、これはまあ決議でないという御意見もありまするけれども、やっぱり行政管理庁としては、尊重されるべきものじゃないかと思うんですが、私の意見だけ申し上げておきます。  時間がまいりましたから、これで終わります。(拍手)
  408. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 以上で市川君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって、補正両案の質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  409. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) それではこれより両案の討論に入ります。通告がございますので順次発言を許します。発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。竹田現照君。
  410. 竹田現照

    ○竹田現照君 私は日本社会党を代表して、昭和四十三年度補正予算二案に対し、反対の意見を述べるものであります。  反対の理由を申し述べるにあたって、私はまず政府のいわゆる総合予算主義なるものが完全に破綻したという事実を指摘いたします。元来、総合予算主義ということは、財政政策の根本理念でありまして、別段こと新しいものではなかったのであります。しかるに、政府は、財政硬直化を打開するという視点のみを重視し、本来あるべき姿の財政の経済性、効率性を軽視した予算編成の姿勢そのものからして、すでに総合予算主義なる財政の根本的な理念が失われていたといってもよいと思うのであります。  本来の総合予算主義の立場から財政をみるならば、国民総生産の伸び率とか、租税負担率の面から歳出を決定すべきであるにもかかわらず、国庫バランス中心主義のみに追い回され、真に国民が要求する面の支出は二次的に考慮されているとしかいえないのであります。その結果から来たるものは、政府経済見通しは毎年毎年実績を下回ったり、はずれたり、全く当てにならないものとなっております。政府の言う総合予算主義の真のねらいは、生産者米価の据え置き、公務員給与の抑制、国鉄運賃、酒、たばこの値上げなどによる国民負担のしわ寄せによって防衛力増強、海外経済援助の肩がわり等の財源を確保する点にあったのではないかと思うのであります。私は今回の補正予算に象徴された不合理な総合予算主義の破綻とそのねらいを指摘し、政府はいまこそ正しい財政法の原則に立ち返るべきであることを強調し、以下、若干の反対理由を申し述べます。  その第一は、二千四百億円にものぼる自然増収額が計上されるということは、元来、国民に返すべき税金の返還を怠っているということであります。当初予算における六千五百七十六億円と合わせて約九千億円もの多額の自然増収があったにもかかわらず、実質減税ゼロという租税政策には絶対に賛成するわけにはまいりません。  第二に、公債の減額であります。千六百億円の公債減額といえば聞こえがよろしいが、本来ならば減税を行ない、国民に返すべきものであるにもかかわらず、それを行なっていません。これは、とりもなおさず、金融機関の資金の潤沢化となるばかりか、景気の過熱化と物価上昇に輪をかけることは明らかなことであります。  第三に、自然増収に見合う地方交付税交付金の取り扱いにおきましても、確かに四十三年度分の交付税増額分を四十五年度に繰り越すよりは、地方自治体側にとって妥当の措置と思えますが、四十四年度予算とからませての大蔵、自治両大臣の取りきめは、国の財政の基本に照らして許されざるものと思われます。  第四に、公務員給与についての人事院勧告が、財源が生まれたにもかかわらず完全に実施すべき措置がなされていないこと、生活保護費、失対賃金、公害対策、沖繩への財政援助など緊急に配慮すべきことがこの補正では全く無視されていることであります。  第五に、今回の補正の最大の要因である食管会計への繰り入れに至るまでの経過に納得すべきものが見出し得ないばかりではなく、衆議院及び本院審議の過程で、わが党委員から強く指摘したとおり、食管会計の補正が弾力条項を不当に解釈し、予算書上に出されていないなどということは、国会の審議権を軽視するもはなはだしいものと言わざるを得ません。  以上申し述べました理由から、私は今回の補正予算に対し反対をするものであります。(拍手)
  411. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 内田芳郎君。
  412. 内田芳郎

    内田芳郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十三年度一般会計予算補正外一件に対し賛成の討論を行なうものであります。  四十三年度予算は、財政の体質改善のため、総合予算主義の方針のもとに編成され、運営されてまいっております。申すまでもなく、総合予算主義は年度当初のすべての財政需要を見込んで各経費間のバランスをとり、補正要因をあとに残さない予算方式を確立するものでありまして、予算編成の本来のあるべき姿に立ち返ったものであると思うのであります。  今回、政府は、一般会計追加補正を九百八十七億円行なうこととなりましたが、補正内容を検討いたしてみますと、総合予算主義を採用していたことによる効果が十分に察知できるのであります。補正予算の歳出は、当初予算作成後の事由に基づいて、特に緊急に措置を必要とするものとして、食糧管理特別会計への繰り入れ三百七十億円、国民健康保険助成費の不足経費百七十四億円、地方交付税交付金七百三十五億円があります。  まず、食糧管理特別会計への繰り入れについて述べますと、当初、政府は四十三年産米の生産量を一千二百七十一万トン、買い入れ数量を八百五万トンと推定いたしたのでありますが、最終的には、生産量は史上空前の大豊作といわれた四十二年産米に匹敵する一千四百四十五万トン、買い入れ数量も一千万トンをこえる見通しとなったのであります。このように、当初予定の買い入れ数量を二五%も大幅に上回りますことは、まさしく異常事態といえるのであります。このため、食管会計に生ずる損益赤字を一般会計から繰り入れることは当然なる措置でありまして、これが今回の補正予算提出の最大の要因となっております。  国民健康保険助成費につきましては、昨年七月より七割給付が実施されておりますが、これに伴う医療給付費の伸びに対するその不足額を補うための制度上の義務的経費であります。  また、地方交付税交付金につきましては、本年度の経済の好況によります三税収入の増収額の三二%を計上いたすものであります。  その他既定経費の節減二百九十三億円が行なわれておりまして、以上、これら歳出の項目は、いずれも当初予算作成後の予見したがい事項を措置するものでありまして、適切なるものであると思うのであります。  歳入につきましては、本年度の経済が予想以上の伸びを示しました結果、本年度は租税及び印紙収入等の自然増収は二千六百十億円が期待されております。このうち、千六百二十三億円が国債減額に振り向けられております。この結果、一般会計に占める国債の割合は、当初の一〇・九%から八%に低下されまして、財政に対する節度が十分にうかがえ、政府の措置は時宜を得たものと思うのであります。  以上述べましたごとく、今回の補正予算は、従来の恒例的な大型補正と比較いたしてみますと、その内容、規模とも大きな前進がはかられており、しかも総合予算主義の原則は十分貫かれていると思うのであります。政府におきましては、明年度以降においても、この定着、前進に格段の配慮を願い、もって財政の体質改善と国民生活の安定向上に寄与されることを望みまして賛成討論を終わります。(拍手)
  413. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 鈴木一弘君。
  414. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております補正予算二案に対して、反対の討論を行なうものであります。  今回の補正予算は、大蔵大臣の説明によれば、国内米の政府買い入れ数量の著しい増加により組まざるを得なかったとなっているのであります。しかし、政府が四十三年度当初予算の審議にあたって言明されたのは、追加補正は考えられないということであり、また、大災害などの緊急な、不測な事態がない限り補正はあり得ないというように言っていたのであります。ところが、今回の補正の原因は予測されない緊急の事態によって補正がなされたとはどうしても思えないのであります。政府買い入れ米の数量は、すでに四十二年度の最終買い入れ実績において九百八十九万トンを示しており、当然、四十三年度はこれより少なくなると思われないのであったはずであります。ところが、四十三年当初の予定は八百五万トンであり、大きな見込み違いが出ることは十分予測されていたはずであります。また、売り渡し量においても、四十二年度は七百四十二万トンと異常にふえておりますが、四十一年度までは七百万トンを下回っております。しかるに、以上の趨勢から見ても七百万トン程度に見込むべき売り渡し量を七百九十六万トンというように、四十三年当初で大幅に売り渡し量見込みを増加させたのであり、当然、国内米売り払い量は減少して売り払い代収入も減少するに違いないと予測されたのであります。以上の点から見て、異常な買い入れ量の増加などという理由は不測の事態でなかったはずであります。このような揺れ動く財政では国民は不安を禁じられないのであり、これが反対の第一の理由であります。  第二の反対の理由は、実質減税ゼロで出発した四十三年度予算であったにかかわらず、結局は増税となった点であります。今回の追加補正の財源二千四百億円のうち所得税が千五百五十六億円、そのうち源泉分が千八十七億円となっております。ところが、これに対して実質減税ゼロへの指定が何もないことであります。本来、実質減税ゼロというからには、せめて今回追加になった源泉分千八十七億円について、その半分の五百億円でも減税に回すという補正をするべきであったはずであります。実質減税ゼロが結果として増税であったというのでは羊頭を掲げて狗肉を売るにひとしく、国民不在の財政と言わざるを得ません。  第三の反対の理由は、補正を行なうというのであれば物価対策にまず力を注ぐべきであったという点であります。物価対策費を行なわないというのであれば、少なくとも消極策ではあるけれども、景気刺激策はとらないというのでなくてはならないはずであります。大蔵大臣答弁では、国債発行額を減少させたからインフレ要因とはならない、むしろ抑制策だと、こう言っておりますが、民間の資金需要が活発でないときには国債発行額の減少はそのまま景気抑制となるでありましょう。しかし、いままでのように、資金需要が活発になってきていたときには、国債発行額を減少させれば民間金融機関の手持ち資金量は拡大し、景気刺激となり、物価上昇の原因となることは必至であります。その点、物価上昇を誘引する予算措置であると言わざるを得ないのであります。この点、今後慎重な金融政策を望むものであります。  その他交付税等の問題もありますが、時間の関係で省略いたします。  以上の理由をもって補正予算二案に対する反対の討論といたします。(拍手)
  415. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 片山武夫君。
  416. 片山武夫

    ○片山武夫君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題になっております昭和四十三年度補正二案に対し反対の意向を表明いたします。  第一の理由は、重要な国家財政に対する政府の一貫性に欠除した無計画性についてであります。すなわち、四十三年度予算編成に際しまして、財政による景気抑制の実効を期するため総合予算主義をとり、財政硬直化を打開するとともに、予算補正の慣行を排除し、財政の効率を高めるとの方針のもとに補正なし予算を主張し続けてきたのであります。しかるに、突如としてここに補正予算を提出するに至ったのであります。わが党は今日まで国の予算は長期計画性のある健全財政の確立にあることをそのつど政府に要請し、反省を求めてきたのでありますが、いまだ反省の徴候すら認められないのは非常に遺憾であります。  第二の理由は、補正予算の内容についてであります。そもそも予算編成当初より、自然増収の過小見積もりを行ない、勤労者の所得減税を押えるとともに、公務員給与の完全実施を怠ったことはまことに遺憾であります。特に所得税の千五百五十六億円増収という大幅な見込み違い、これは政府の計画性なき財政運営によって生じたものであり、国民理解のできないところであります。さらに、地方交付税交付金についても、政府は地方財政の好転を理由に、そのほとんどの借り入れを決定し、地域住民の福祉向上を軽視し、特に住民税軽減を抹殺していることは軽視することはできません。われわれが本案に反対する最大の理由はここにあります。  最後に、この補正予算提出については、十分な時間的余裕を与えなかったことであります。予算案の内容から見るならば、十二月の臨時国会に提出すべき性質のものであったと考えられるのであります。これは全く国会軽視であり、政府の意識的な判断によるものと思われます。まことに不誠意といわざるを得ません。  この際、重要な予算案を、以上述べたような態度で取り扱わんとする政府に対し、厳重に反省を求めるとともに、本補正予算案に反対いたしまして討論を終わります。(拍手)
  417. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 岩間正男君。
  418. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十三年度補正予算二案に反対します。  反対の理由の第一は、この補正予算案が反動的、反人民的な当初予算を補うものであり、当初予算と根本的には同じ性格のものだからであります。すなわち、米の買い上げ量の増加に伴う食管会計への繰り入れ三百七十億円は、昨年の消費者米価八%引き上げ、生産者米価抑制という、全く国民の要求を無視した方針に基づいて計算されたものであり、地方交付税交付金も従来の交付率で計算し、地方自治体の引き上げ要求を全く無視しているからであります。しかも政府は、七百三十五億円の交付金さえ全額地方自治体に渡さず、不当にも六百九十億円を事実上借り上げようとしています。これは三二%の交付税率さえ、事実上有名無実のものにし、地方自治体と地域住民に一そう犠牲を強要するものであります。  第二に、補正予算の主たる財源である租税収入も、自然増という名目で、実は、生活費に食い込む大衆課税をはじめ、人民からの激しい収奪によってつくり出されたものであります。しかも政府は、この財源を銀行資本の利益に奉仕するため国債の減額に最優先的に使おうとしており、わが党はかかる措置を許すことはできません。  第三に、政府は、失業保険特別会計への繰り入れ四十二億円、国民金融公庫補助金三億円など国民生活に直接関係ある既定経費を不用額と称して削減し、補正予算の財源にしようとしています。  しかし、これら削減された経費は、失業保険金の支給打ち切り、中小零細企業への融資打ち切りなどの政策によってつくり出されたものであり、認めることはできません。  さらに重要なことは、政府がこのような補正予算を組まなければならなかったこと自体、政府の総合予算主義が現実にくずれたことを示しています。しかるに、政府は来年度も総合予算主義を堅持すると称し、生産者米価抑制、公務員賃金抑制など反人民的な政策を推し進めようとしています。わが党は、これに反対するものであります。  わが党は、二千六百億円のこの財源を、当面、国民が切実に要求しているものに優先的に使用すべきであり、配給古米の値下げ、所得税の追加減税、生活保護世帯や失対労働者への臨時手当の支給、国家公務員の賃金の底上げ、ミカン暴落などに苦しむ農民への特別補助、中小零細企業への無担保、無保証融資の拡大、地方自治体の超過負担解消などを今年度内に実現するよう要求して、私の反対討論を終わります。
  419. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、両案の討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。昭和四十三年度一般会計補正予算昭和四十三年度特別会計補正予算、両案を一括して問題に供します。両案を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  420. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 起立多数と認めます。よって、両案は原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  421. 塩見俊二

    委員長塩見俊二君) 御異議ないと認めます。さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後五時二十八分散会