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1969-06-13 第61回国会 参議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十三日(金曜日)    午前十時四分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十八号   昭和四十四年六月十三日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(外務大臣の   訪米報告)  第二 簡易生命保険法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第三 石炭対策特別会計法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、鉄道建設審議会委員選挙  一、日程第一より第三まで  一、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一   部を改正する法律案衆議院提出)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  上田哲君から海外旅行のため来たる十六日から十二日間請暇の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、欠員中の鉄道建設審議会委員一名の選挙を行ないます。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 鉄道建設審議会委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  7. 船田譲

    船田譲君 私は、小柳君の動議に賛成いたします。
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 小柳君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、鉄道建設審議会委員林虎雄君を指名いたします。(拍手)      ——————————
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣報告に関する件(外務大臣訪米報告)。  外務大臣から発言を求められております。発言を許します。愛知外務大臣。    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  11. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は、五月三十一日から一週間にわたり米国を訪問してまいりました。  今回の訪米は、わが国外務大臣としてニクソン大統領就任以来初めての訪米でありました。その意味におきまして、私はニクソン政権アジア太平洋地域に対する基本的な考え方を明らかにすることにつとめました。ワシントン滞在中、私はまずニクソン大統領を訪問いたしましたが、大統領は、アジア太平洋地域に対しきわめて深い関心を示し、この地域におけるわが国の地位を重要視し、日米両国が相協力してこの地域の平和と繁栄に貢献したいとの誠意を披瀝しました。このような気持ちは、私が相次いで会談したロジャーズ国務長官レアード国防長官ケネディー財務長官スタンズ商務長官等において、共通に感得されるところでありました。  自由と民主主義を国是とするわが国外交において、対米関係はその重要な柱の一つであります。戦争直後の時代からとかく米国に依存しがちであった考え方をやめ、イデオロギー的な観念論に基づく米国批判にとらわれることなく、米国アジア太平洋地域に対する政策を正しく評価することが、わが国が自主的に外交を推進するためにきわめて必要なことと存じます。日米安保体制は、わが国及びわが国周辺の安全に寄与し、もってわが国の平和と繁栄を確保するという大目的に発するところであります。私は、今回の訪米を通じて、わが国が国力にふさわしい自主的、積極的な姿勢をもってこの正しい政策の遂行に誤りなきを期するとの覚悟を新たにいたした次第であります。  申すまでもなく、今回の訪米の主たる目的は、沖繩問題についての日本政府基本的立場米国政府に十分説明し、米側首脳との隔意なき意見交換を通じて、今秋に予定されている佐藤総理大臣訪米に備え、その解決を進めることにありました。  私は、ニクソン大統領訪問に続き、ロジャーズ国務長官とは三回にわたり会談したほか、レアード国防長官とも会談し、沖繩返還に対する沖繩県民を含むわが国国民願望を十分に説明いたしました。すなわち、沖繩早期返還は、沖繩県民を含むわが国国民の一致した民族的願望であり、おそくも一九七二年中には沖繩施政権わが国返還されるべきこと、また、施政権返還後の沖繩に残される米国基地については、日米安保条約及びその関連取りきめが本土の場合と同様にそのまま適用されるべきであるとの立場を主張いたしました。特に核兵器の問題については、唯一の被爆国としてわが国には特殊の強い感情のあることをあらためて説きました。これらに対し、米側は、深い理解をもってこれを傾聴し、鋭意検討を進めることを確約いたしました。  沖繩にある米軍基地は、戦争抑止力としてわが国及びわが国を含む極東の安全にとり、きわめて重要な役割りを果たしております。わが国の安全のためには、そのような基地の機能をそこなわないための十分な配慮が必要であります。この点は米側首脳も一致して指摘していたところでありますが、わが国としてもそのような観点から自主的な立場に立って対処することは、すなわち、わが国の国益に合致するゆえんであります。  今回の訪米は、沖繩返還交渉の第一ラウントであります。今後日米双方問題解決という目標に向かってそれぞれの立場をもととしつつ、具体的な手段、方法について折衝を重ねることになるわけであります。これを要するに、沖繩返還という問題は、日米両国が相対峙する立場に立って相争うという性質の問題ではなく、対等の立場に立って沖繩県民を含むわが国国民願望を達成すべく、日米双方友好裏に話し合って解決を見出すという性質の問題であります。私は日米両国政府の率直な協議を通じて、必ずや沖繩県民を含むわが国国民の期待に沿う解決に到達し得ると確信いたしております。  私は沖繩返還交渉を開始するという重大な使命を果たして帰国いたしましたが、今後の交渉については、なお幾多の困難が予想されます。政府としては、全力を傾注してこの交渉に当たる覚悟でありますので、今後とも政府努力に対する一そうの御理解と御支援をお願いする次第であります。  なお、今回は、外務大臣としてニクソン大統領就任以来初めての訪米でもあり、沖繩問題のほかにも日米間の諸問題について広く米国政府首脳意見交換することが必要と考え、私はスタンズ商務長官ケネディー財務長官等日米間の経済問題を中心に、主として貿易及び資本の自由化等について意見交換を行ないましたが、これらの問題については七月の日米貿易経済合同委員会においてさらに話し合うことといたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。羽生三七君    〔羽生三七君登壇拍手
  13. 羽生三七

    羽生三七君 私は、ただいまの愛知外相訪米報告及びこれに関連する諸問題について、日本社会党を代表して質問を行ないます。  まず最初に、外相アメリカで意思表示された安保自動継続という問題から始めますが、この問題は、今日まで国会でしばしば取り上げられた問題であることは言うまでもございません。また、質問のつど、「政府としては安保取り扱いは未定である」と答弁してきたことも周知のとおりでございます。しかるに、今回、外相アメリカで、すなわち外国でです、政府としては初めての公式見解を明らかにしたことは、国民不在外交として強く抗議しなければならぬ問題でございます。(拍手)また、それとともに、わが国家、民族の将来に重大な関係を持つ安全保障あり方、すなわち日米安保はこれを解消するか、あるいはこれを継続するかという重大な選択については、沖繩返還問題とともに、その判断選択国民の審判にゆだねるべき性質の問題であると確信をするものでございます。また、その時期は総理訪米前であるべきと存じますが、この点について総理見解を伺います。  次は、沖繩返還交渉に関連してお尋ねいたしますが、その第一は、この交渉に臨んだ政府基本的姿勢についてであります。  これは、沖繩における日本の主権の回復という当然の、かつ決定的な要求として主張すべき性質の問題であって、そのときの情勢に左右されたり、あるいはわが国がひざを屈して懇願する筋合いの問題ではないということでございます。これは交渉に臨む場合の基本的な前提条件であると信じます。外相交渉に際してどういう方針を持ち、日本としてどういう具体案を持って折衝されたのか、単にアメリカ側の感触を探るというような外交姿勢で完全に目的を果たせるはずはないと思いますが、この点を明確にしていただきたいのでございます。(拍手)  第二は、返還の時期を一九七二年とした根拠は何なのか。アメリカ側からではなく、日本みずからその時期を設定したとすれば、その理由は何なのか。なぜすみやかなる返還を求めなかったのか、説明を求めます。これは外相からお願いをいたします。  第三は、核抜きは決定的なのかどうかということでございます。昨日の衆議院での答弁では、非核三原則は本土沖繩も区別なく適用ということでございました。しかし、これは日本願望という意味なのか、あるいはこの線で交渉は必ず妥結という意味なのか、明確にしていただきたいのであります。また、もしこの日本の主張が貫徹できなかった場合はどうされますか。その場合の態度を聞きたいのであります。これは明確にしてください。またポラリス原潜の寄港もあり得ぬと解していいかどうか。さらに、核は一応撤去されても、事前協議の中で今後絶対に核が対象とされることはないと断言できるかどうか、この点もこの際、明確にされたいのであります。これは総理からお願いをいたします。  なお、交渉にあたって、現に沖繩にどのような核兵器が配置されているのか。その実態不明では話し合いができるはずはないと思います。これはアメリカに何らかの制約の法律があるそうでありますが、それは別として、交渉する以上、その実態を明らかにしなければ交渉できるはずはございませんから、この機会に明らかにされたいのであります。これは外務大臣。  第五は、極東情勢認識についてであります。この点については、報道機関を通じて一応は承知をいたしておりますが、しかし、日米間にどのような相違があったのか。あったとすれば、それはどのような点なのか。これは外相説明とあわせて、総理の今日の極東情勢の見方について、この機会に伺っておきたいと存じます。  アメリカは、朝鮮半島の動きや中国の核について、その脅威を主張したとのことですが、このことはわれわれがすでに予測したところでありまして、ベトナム戦争が片づいても、アメリカは、ベトナムの次には朝鮮、次には中国と、次々に新しい緊張要因を持ち出すのではないかと、再三にわたって総理の注意を求めたことは、総理も御記憶のことと存じます。総理沖繩返還の三条件一つ国際情勢変化をあげておりますが、それと七二年返還とは具体的にどういう関連性があるのか、御説明をいただきたいと存じます。  次に、事前協議弾力的運用といわれる問題についてお尋ねをいたします。これは極東情勢認識とも関連する問題でありますが、報道によれば、外相アメリカで、「プエブロ号事件や、EC米偵察機撃墜事件のような場合、実際にノーと言えるかどうかむずかしい問題」と語ったと承知しております。これは新聞報道です。一部には、安保五条と六条のボーダーライン説というのもあるようでありますが、それは、いま述べた愛知外相発言のような場合を意味すると思います。すなわち、万一朝鮮半島紛争が起こり、米軍日本基地戦闘作戦行動に使いたいという場合、これを認めれば相手国がこれを脅威と感ずるのは当然であって、その結果紛争は一そうエスカレートしていきます。もしそういう事態に発展していくと、今度は第六条の解釈だけではなく、第五条にいう「共通の危険に対処するよう行動することを宣言する。」という事態に発展していくことは明らかであります。この場合、共通というのは日米共通のことであります。このような事態に発展していくことが、これが実は安保危険性が集中的に、また象徴的にあらわれている点でございます。そこで、問題は極東のいずれかの国とアメリカとの間に紛争が起こっても、その国は日本に対しては攻撃したり侵略する意図は毛頭ないと判断される場合、アメリカ日本基地戦闘作戦行動使用することを求めても、絶対にノーという態度を貫くかどうか。この問題はケース・バイ・ケースとか、イエスもあればノーもあるという答弁で許される性質の問題ではございません。これは事前協議核心をなす重要な問題でありますから、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)  次に、いま触れた事前協議の問題について、外相は「事前協議の場合の諾否をきめる基準限界をどこに置くかどうかが問題」と語っているようでありますが、安保の最も重要な問題点で、しかも実質的な改定につながるような基準を、特別の取りきめなしにどうして設定できるのか説明してください。また、時の政府判断だけで事前協議が弾力的に運用されれば、実質上基地自由使用につながり、また、本土沖繩化という状態をつくり出すことになるのは当然でございます。外相の言う基準限界等をつくるとすれば、それはどういう条約あるいは協定上の措置を伴うのか。条約協定等に触れないとすれば、つまり、昨日衆議院では特別の取りきめをしないと言いましたが、それならば時の政府の主観的な判断にゆだねることを考えているのか、この点は明確にされたいのであります。  また、基地使用事前協議弾力的運用日本政府が保証しても、何らの取りきめなしでアメリカが了解するかどうかという点が問題とされておりますが、しかし、私に言わしむるならば、問題はむしろ逆で、アメリカが了解するかどうかということよりも、そのような重大かつ危険な問題についてイエスノーかの判断が、かってな解釈で生まれるような危険性に道を開く日本側姿勢そのものが問わるべきであることを、この際、強く指摘したいのであります。(拍手)  次は、少し具体的な問題に触れますが、その第一は、話し合いがまとまった場合、それは単なる共同声明だけなのか、もし、情勢変化等に藉口して返還の時期をずらすような問題が提起された場合、声明だけでは国際法上は何らの拘束力を持たぬことは明瞭であります。その辺はどう措置されるのか。これは総理にお伺いをいたします。  第二は、返還条件、態様がきまった場合、その時点、すなわち政府の言う七二年までにきめられた案件は、すべて解決して返還されるのか、あるいは返還後まで処理される案件が持ち越されることもあるのかどうか。これは外相から御答弁を願います。  第三は、沖繩における現在のアメリカの陸海空の兵力、基地施設等については、どういう処理を想定しているのか。また、そのことと返還後の沖繩における防衛の第一義的義務日本が負うという政府方針との関係はどういうことになるのか、具体的に説明を求めます。これは防衛庁長官お願いをいたします。  結論をいたしますが、われわれもまた、日本の平和と安全をどのようにして築くかを明らかにしなければなりません。今日、朝鮮半島緊張がしきりと取り上げられておりますが、それにはどう対処したらよいのでしょうか。日本のとるべき道は、軍事的対決方向を阻止するとともに、韓国とだけ結ぶのではなく、北鮮とも国交を持ち、ともに平和の方向を探究し、その実現のために十分話し合いを行なうことであります。  さらにまた、中国の核の脅威が云々されておりますが、中国核開発をそのままにしているような状態をつくり出しているのは、ほかならぬアメリカ等の対中国対策の結果とも言えるのではありませんか。なぜなら、はっきりしましよう。中国は今日国連への加盟を拒否されております。したがって、中国核開発は、いわば国際秩序のワクの外で行なわれているのであります。もし中国の核を脅威とするならば、どうすれば中国の核を、国際社会の中で、他の核保有国のそれとともに規制できるか、という方法を探究すべきでありましょう。そのためには、中国国連加盟を促進することであり、さらにまた、国連加盟の前の時点で言うならば、すみやかに世界軍縮首脳会議を開催して、中国参加を呼びかけるべきでありましょう。もしそれを言い出す国がなければ、日本がそのイニシアチブをとるべきであると思います。(拍手)  さらにまた、わが国は近く十八カ国軍縮委員会参加が決定したわけでありますが、これはモンゴルとともに日本合わせて二十カ国になりますが、これに参加して、わが国は何を、そしてどのような貢献をしようというのでありましょうか。その道は、日本国憲法の精神を生かして、核兵器全面禁止及び通常兵器を含む完全軍縮を達成するため創造的な提案を行ない、その実現のため全力を傾注することであると思います。これら諸問題についての政府見解を聞きたいのであります。  日本及び極東の平和と安全は、かかる平和的努力の集積によってもたらされるものであって、安保を継続し、アメリカ極東戦略協力することによって達成されるものではありません。昨日衆議院では、力の均衡をしきりと説かれておりましたが、力の均衡政策は、結局は際限のない力の拡大政策に発展をし、絶対に平和の保障にはなり得ないと存じます。アメリカベトナム戦争の教訓をほんとうにくみ取るつもりでございましょうか。世界最大軍事力経済力を持つアメリカが、小さい国家民族政治的意思をついに変えることのできなかった事実、これをアメリカとともに日本もまた学ばなければなりません。七〇年代は、おそらく世界のあらゆる分野にわたって変革時代であるであろうといわれております。安全保障あり方もまた、軍事力中心の古い体制から脱却する変革があってよいであろうと思います。  沖繩労働者行動を支援する沖繩野党委員長に銃剣を突きつけて威嚇するような、統治者と被統治者という古い植民地支配者的感覚の中から、アジアの新しい秩序は絶対に生まれません。政府は、日本極東の真の平和と安全のために、その第一歩としてアメリカ沖繩を無条件ですみやかに返還することを要求すべきでありましょう。政府がしばしば言う日米親善友好というものは、このようなものではないかと思います。また、ここに沖繩返還の対米交渉基本、その核心があることを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 羽生君にお答えいたします。  まず最初に、日米安全保障条約について、期限がきたら一体どうするのかというお尋ねには、他の席上においてしばしばお答えしたのでありますが、政府はこれを堅持するということを申してまいりました。もちろん、この日米安全保障条約制定の際にも、社会党が反対されたことはよく承知しております。したがいまして、十年たてば、その後どうなるか、そういう点で、これがもう一度議論が起こること、これはもちろん私は当然のことだと思います。しかし、堅持するというたてまえからいかにその方法があるべきか、その形があるべきか、こういうことについては、いままでのところ、まだきめていないということではっきり申しました。それにつきまして、今回の外務大臣訪米にあたっては、自然延長と申しますか、あるいは自動延長と申しますか、そういうことばが使われている。これは一体大事な事柄について発言が軽卒ではないかというただいまおしかりを受けたのであります。この日米安全保障条約を堅持するとして、その形がいかにあるべきかということ、これは私の党はもちろんのこと、各界、各方面におきまして、その議論がいろいろと述べられておることはすでに御承知のとおりであります。したがいまして、外務大臣からもお話があると思いますが、この点については、大体の傾向、意向自動延長方向にあるのだと、こういう点に触れたのでありまして、いわゆる自動延長自然延長にきまったと、かようなことを申したものではございません。また、私も責任者として、このいかにあるべきかということはまだきめておりません。しかし、この点につきましては、いずれ、安全保障条約体制を堅持すると、かように申しておりますので、訪米前には、この点をはっきり明確にするつもりでございます。  ところで、この日米安全保障条約問題は、私は、ただいまの日本国民にとりましても、また同時にアメリカにとりましても、これはたいへんな重大事だと思います。御承知のように、大学問題につきましては、各党と、各党首間の話し合いもいたしました。私は、国家的な重大問題について各党首間で話し合うということは、よし意見が一致しないにいたしましても、有益なことだとかように思います。したがいまして、この問題がいかにあるべきかということについては、私の訪米前に野党党首ともお目にかかって建設的な御意見を伺いたい希望は持っておりますが、外交そのものは、私が申すまでもなく政府責任で行なうべきものでありますが、しかし何と申しましても、国民を代表する各党協力が得られることが何よりも大事だとかように考えておりますので、この点については、私が最終的決定をいたします前に十分の努力をするつもりであります。何とぞ御協力のほどお願いしておきます。  次に、外務大臣に対するお尋ねでございましたから、これは外務大臣に譲るといたしまして、私に特に名ざしのありました点についてお答えをしたいと思います。  私は、先ほどの外務大臣報告にもありましたように、今回の外務大臣交渉はまず第一ラウンドとでも申しますか、交渉の始まりだと、しかし、それもただゼスチュアだ、あるいはポーズだと、こういうことではなしに、考えておることを真剣に、また率直に披瀝し、訴えてまいったのであります。今日この段階ではまだまだ全部が煮詰まってはおらない、したがって、そういう点で、皆さん方からどうも不十分だとか、中身がないじゃないかというようなお話もありますが、しかし、この日米沖繩返還問題についての政府基本的態度は、私ども、率直にまた真剣にその取り組み方について説明ができたと、かように私は思っております。このことは申すまでもなく、国民世論を背景にして、米国政府並びに米国民理解を求めるということが基本的な態度であります。これらの点について、あるいはどうも本来の権利であるから堂々と主張したらいいんじゃないか、アメリカのことは考えなくともいいんじゃないかというような御意見のあることも伺っております。しかし、私はさような問題ではない。この沖繩問題解決するには両国友好関係、そのもとにおいて相互理解の上に立ってこの問題を解決すべきだ、かような考え方でありますので、この点は、もしも考え方が違うならば、それは党の考え方として、またいずれの機会かに私にも、政府にもその点をはっきり伝えていただきたいと思います。  その次に、沖繩における核についてのいろいろのお尋ねがありました。  現在、沖繩核兵器が配備されておることは、これは周知の事実ではありますが、しからば、その核がどんな種類のものであり、どういう能力のあるものかというようなことになりますと、これは米軍軍事機密上の問題でありますので、それらのことについては私どもまだ公式な話がなされておりません。今度の外務大臣訪米におきまして、沖繩返還の際の核の取り扱いについて、日本政府意向は、核に対する国民感情とともに十分米国政府に伝えたのであります。この点では日本考え方について十分の理解を持ったと思います。また、返還後、沖繩本土と同じようになるようにするのが政府基本的態度でありますから、核を持ち込むなどのことはございません。本土に持込ちまない限り、これは沖繩だけに特別な措置があるということはないのであります。その点誤解のないようにお願いしておきます。  次に、最近の極東情勢について、私の認識についてのお尋ねでありましたのでお答えをいたします。  まず、アジア情勢全般について申し上げますと、明るいほうの面では、ベトナム問題が曲折を経ながらもとにかく終息の方向に向かって、ただいまいろいろ協議が進められておるということであります。また、暗いほうの面は、中ソ国境のたび重なる衝突事件であります。さらに朝鮮半島におきましては、米軍偵察機撃墜事件に見られるように、北朝鮮は武力により南北統一をはかろうとしているため、ときとしては過激な手段に出ることがあり、それが極端に緊張をもたらす大きな原因となっております。このような全般的なアジア情勢が、沖繩返還交渉に大なり小なり影響を持つことはしかたがありませんが、と申しましても、羽生君が御指摘のように、返還の時期や基地の態様に直接響くことはないものと私は考えております。インドシナ半島の情勢が幾分鎮静化し、解決方向へ向いたことによりまして、沖繩問題は大きく促進されたと見てよいと思います。とにかく、この問題、全然関係ないとは申しませんが、ただいまのような見方をしております。この点では、日本国民全部が沖繩の早期復帰を心から願っておりますので、あらゆる面におきまして、私はすべてを都合よく考えるわけではありませんが、ぜひ、ただいま申し上げるように、この問題が大きく沖繩の復帰に影響しないように心から願っておる次第であります。  また、日本が直接攻撃されたのでなければ、アジアの近隣地域でどんなことが起こっても一切米軍協力するなと、これが羽生君の御意見でありますが、それはそのときの情勢によりまして、わが国が自主的に判断すべきだと思います。米国は、もちろん日米安全保障条約によりましてわが国を防衛する責任を持っていると同時に、アジアの平和につきまして重大な役割りを果たしております。事前協議条項を正しく解釈し、国益を第一に考え、自主的な判断のもとに、ときにはノーと言うこともあり、ときにはイエスと言うこともあるのは当然であります。前もってケース・バイ・ケース、そういうような返事では困ると言われましたが、この事柄は、どこまでも具体的に、その時期において四囲の環境から判断すべきものでありまして、御意見のようにケース・バイ・ケースできめるんだと、かように私は答えざるを得ない問題だと、かように思いますが、この点も御了承いただきたいと思います。  次に、安保条約並びにその関連する各種の取りきめ云々については、これは外務大臣からお答えさすことにいたします。  次に、沖繩返還がきまった場合に、どういう形で処理されるかと、こういうお尋ねでありますが、沖繩返還問題の交渉は、私が十一月に訪米をして、ニクソン大統領と直接会談して決着をつけたいと考えていますが、まあ、それまでにいろいろの機会がありますし、また、段階的な交渉もどんどん進めるのでありますから……。しかし、いずれにいたしましても、最終的なことは、ニクソン大統領と会談しないと、このようなことはきまるものではありません。したがって、ただいまいろいろお尋ねがありましたが、この点について、ただいまお答えすることはできない状態であります。御了承を得たいと思います。  次に、北朝鮮問題並びに中共の問題を一緒にされまして、極東の平和安全についていろいろお話がございました。しかし、北朝鮮と国交を持てと言われますのは、これはもう羽生君のかねての主張であります。私は、韓国との国交関係にかんがみまして、北朝鮮と新たな国交を開くことはただいま考えておらない、また、おりませんこの点をはっきり申し上げておきます。また、北鮮が武力によりまして南北の統一をはかろうとしていることはきわめて遺憾であり、そのような政策は改めることを強く希望する次第であります。また、中共に対しての考え方も、しばしば羽生君の主張は他の委員会等の席上におきまして伺ってお勢りす。今日もまた重ねての御意見でございました。この御意見を私はよく伺っておくことにいたしまして、今日この席で別に議論はいたしません。お許しを得たいと思います。  それから十八九国のいわゆる軍縮会議日本加盟することになった、その後の日本の活動は一体どうだという点でございますが、私も、羽生君の御意見のとおり、核兵器全面禁止完全軍縮の達成に最大の努力を傾けるべきだと思います。他国の内政に干渉せず、国際間の紛争は、武力によらず、話し合い解決するというわが国基本的態度は、必ずや国際的な理解を得られるものと確信いたします。また、今日の軍縮は科学技術と密接な関連を有しており、特に検証問題が審議の中心となっております。幸いわが国は、地震学等、軍縮の分野で貢献できる科学者、専門家を多数擁しておりますので、これら学者、専門家の知識を十分生かして、国をあげて検証問題の解決に貢献していきたいと考えております。この点では羽生君から激励を受けましてたいへんありがたく思いました。どうか国家的観点に立ちまして、私どもの沖繩問題と取り組む、あるいはまた、日米安全保障体制と取り組んでおる姿勢につきましても御理解のほどをお願いし、この上の御協力お願いいたします。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  15. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 第一は、安保条約の期間の継続の問題のお尋ねでございますが、私は、あるいは内閣は、安保条約の堅持ということを基本国策にいたしておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、来年の六月以降、いかなる態度をとるかということについては、ただいま総理が言われましたように、内閣としての正式の考え方はまだきめておりませんが、安保条約の堅持を国策とすべきであると考えておる方々の多数の人たちは、いわゆる自動継続ということがいいのではなかろうかと、こう考えておりますこと、あるいはそういう主張がありますことは客観的事実でございますから、この事実に触れたわけでございますが、アメリカ側といたしましても、そのことをもって日本側の正式提案とは受け取っておりません。その事実をごらんいただきましても、日本政府として自動継続を正式の決定として提案をしたわけではございませんから、さような次第を御了承いただきたいと思います。この問題は、先ほどからお話がございますように、十一月を予定しております総理訪米の際に、正式に、いかなる方法によることが適当であるかということをきめるべきものである、私はかように考えております。  第二は、一九七二年とはいかなる根拠であるか、一九七二年の根拠のお尋ねでございましたから、それをお答えいたします。これは御承知のように、早期に、本土並みに、核抜きにと、これがいわゆるコンセンサスというか、きわめて最近まで、またこれからもおそらく国民のコンセンサスとして主張されているところであると思います。早期返還、これがすなわち一九七二年でございます。と申しますのは、いわゆるショックなしに、円滑に、沖繩の百万の方々が本土並みの生活を享受し得るような万全の準備をし、また、アメリカ側とも周到な打ち合わせをし、かつ具体的な措置をいたしまして、円滑な復帰をいたしますためには一九七二年におそくもというのが、私は最も正確な意味の早期復帰であろうと思います。これが一九七二年の根拠でございます。  それから次は、安保条約の一連の取りきめと、これに関連する本土並みあるいは核抜きの問題の御質問でございますが、安保条約条約そのもの、交換公文、了解事項、共同声明といったような一連のこの法体系が本土並みに沖繩に適用される、これが施政権返還後におけるきわめて自然の姿でもあります。また論理的な帰結でもございます。また同時に、国民感情あるいは沖繩県民感情の、いわゆる差別なき処遇ということにも合致するゆえんでございますから、この方式をとることが最も望ましい方法である、かように考え、それを主張しておるわけでございます。何ぶんにも、まだ第一ラウントでございますから、そして、あとで申し上げますように、これから本件につきましては非常に精力的な、また、困難な交渉や仕事を続けてまいらなければならない。最終的な取りきめには、まだ相当の日数がかかりますから、いま、にわかに最終的な、こういうふうな帰結になるということが申し上げられないのが、私は当然であると思いますが、現在考えておりますことは、ただいま申しましたように、本土と全く同じな適用のしかたをしたい。したがって、それによって、沖繩の人たちが期待しているような状況になる、かように私は考えております。  さようにしたいものである、かように考えておるわけでございますが、ただ一点、ただいまお尋ねの中の御趣旨にもあると私は想像しますけれども、安保条約というものをお認めにならない立場から、いろいろとこれらの点について疑念をお持ちになったり、あるいは懸念をお持ちになっておるとすれば、これは基本的にわれわれと考え方が違うわけでございます。私は、まず第一に、安保条約というものは、日本側から見れば、第一義的にこれは日本のためにあるものである、私はかように考えております。お尋ねの中には、日米安保条約というものが、アメリカ帝国主義の世界戦略体系の一環として、日本国民戦争にかり立てるものだという、こういう御発想があるとすれば、これは、私どもの絶対にとらざるところでございます。日本国民が安全でなければならない、沖繩の方々も安全でなければならない、これは、国家基本的な私は絶対的要件であると思います。その要件が充足されるようにして、しかも、この安保条約の体系の中で、本土と同じように事を処理するということが、一番むずかしい、これからやらなければならない仕事でございますが、私は、これを二律背反としては扱わない。必ずや、これはアメリカ話し合いの中で完全に煮詰まって、皆さまの御期待に沿うような結果になる、かような確信を持っているということを、私はあえて申し上げたいと思います。そういう立場に立ちますから、ただいま、総理大臣から言われましたように、事前協議の扱い方にいたしましても、従来からそのとおりなんでありますが、主権国の立場において国益を守る、自主的判断によって事前協議に対応する、こういうことに相なるわけでございます。私は、そのやり方でもって、いま申しましたような、いろいろの立場からの要請というものが充足され、そうして日本の安全というものが十分に確保される、かようになると考えるわけでございます。(「十年前の答弁だ」と呼ぶ者あり)いまでも、これからももちろんそうなんです。それが、われわれの基本的な考え方であります。(拍手)  次に、今度の問題の処理については、共同声明でやるのか、あるいはそのほかの特別の取りきめを予想するのかというお尋ねでございますが、ことしは一九六九年であります。そうして、その十一月に、総理大臣がニクソン大統領との間に大綱においての話し合いをつける。そのときに返還の時期の決定もおそらくできることに相なると思います。そうして、実際施政権が具体的に返還されるのは、実行されるのは、一九七二年のの何月というような形になるでございましょう。一九六九年十一月における時点において、いかなる形の話し合いが公表されるか、あるいは一九七二年のときに、いかなる形でもって返還が行なわれるか、これは、これからの検討の結果でございまして、いま直ちに、いかなる形において両国の話し合いがまとまるかということは、ただいま申し上げられないのが、私は、どなたがおやりになっても当然のことであると思います。  最後に、日本がENDCに加盟することができましたのは、まことに御同慶の至りに存じます。かねがね、このENDCに参加をいたしまして、日本としては、ただ単にそこに席を持つだけではなくて、かねがねこの軍縮、ことに核軍縮ということについては至大な関心と非常な期待を持っており、かつ相当の研究も持っておりますところのわが国としては、具体的に、たとえば地下の核実験の全面禁止、あるいは細菌戦略の禁止というようなことについても、堂々とした国際的に主張というものを持って提案をするただいまいろいろの準備をいたしておりますが、そういう方向を具体的に持ち出すことができることになりましたのは、御同慶の至りと思うのであります。私は、終局的には、こうした大きな大局から見て、核が兵力として使われない、人類の殺戮に用いられないというような状態を一面において意欲的に日本としてはつくり上げながら、一方、現実のこの世界情勢の中において、現実のまだそこまで国際の緊張が緩和されていないこの現状においては、私は、安保体制というものによって日本国民の安全を期するということが、これが責任のある、国政を担当する者の最も賢明な政策であろう、かように私は考えている次第であります。(拍手)    〔国務大臣有田喜一君登壇拍手
  16. 有田喜一

    国務大臣(有田喜一君) 返還後の沖繩に駐留する米軍基地の整備、またその兵力の削減の問題、また返還後の沖繩の防衛責任は第一義的に日本が負うこととなるということについてのお尋ねでございまするが、御承知のとおり、現在の沖繩に在留する米軍の兵力の機能は、沖繩自体を守る、すなわち沖繩の直接防衛をやるという機能のほかに、極東の安全と平和を守るための総合的な戦争抑止力、その抑止力の中核たる攻撃的作戦機能とか、あるいは極東における友好国である自由諸国に対する防衛作戦を支援する機能と、こういうものがございますが、私どもが、返還わが国沖繩で整備しようとするその防衛力は、最初申しましたこの機能のうちの沖繩自身を直接守るというその機能の分のみであります。で、私どもが、施政権返還された後は、わが国土としての沖繩の防衛責任は第一義的にわが国が負うということとなると言っておりますのは、このような意味での沖繩防衛のことであるのでありまして、沖繩におけるわが防衛力の整備、こういう意味の整備をやりますと、それだけ米軍の兵力が縮小されると、こういうわけになるんでございまするが、何ぶんこれらのことは今後の折衝によって具体的にきめられるわけであります。現段階では、具体的にかくかくかように減っていってこうなるということは申し上げることができないことをひとつ御了承願いたいと思います。(拍手
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 内閣総理大臣から答弁の補足があります。佐藤内閣総理大臣。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 羽生君に申し上げます。たいへん答弁漏れがあって申しわけございません。核兵器核抜き等について日本の主張がアメリカにいれられなかった場合、政府はどうするか、こういうお尋ねがあったにかかわらず、別に故意で落としたわけではありませんけれども。  核兵器、このことは、唯一の被爆国である日本、その立場から、たいへんこの核を憎むわが国民の持っている特殊感情とでも申しますか、その点を詳細に外務大臣から、大統領はじめワシントンの諸公に話を伝えたのであります。したがいまして私は、この点では十分理解を得ていると、かように考えておりますので、この段階で万一日本の主張がいれられなかったらどうするか、そういう点は、お尋ねがありましたが、私どもはそういう点については、それを考える必要はない、かようにいま考えておる次第であります。  お答えいたします。(拍手)     —————————————
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 長谷川仁君。    〔長谷川仁君登壇拍手〕    〔議長退席、副議長着席〕
  20. 長谷川仁

    ○長谷川仁君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいまの外務大臣報告によって明らかにされました沖繩返還問題につきまして、幾つかの観点から、具体的に交渉の経過と今後の見通し等について、佐藤総理及び外務大臣にお伺いいたしたいと存じます。  このたびの外務大臣のワシントンにおけるニクソン大統領及びアメリカ政府首脳との折衝については、内外からその努力が高く評価され、その前途は多難であり、その壁は予期したとおり厚かったにせよ、これからの話し合いへの軌道を敷き、日本国民沖繩に対する非願がいかに切実なものであるかを彼らに訴え、日本に比べて非常に低かった沖繩問題に対する米国政界及び世論を喚起したその労は、まことに多とするものであります。  言うまでもなく、沖繩問題はただ単に日米両国間の一種の領土問題だけでは処理し得ない複雑な内容を持っております。しかも、それぞれの立場政策、国情を異にする日米両国が、極東情勢の分析や判断で相当の食い違いが出てくるのはむしろ当然でありまして、それはそれなりの理由があり、国際政治においては、最近、軍事的には二極化、政治的には多極化の傾向が強まっているのはその証左でございます。双方があらゆる見解一つにするならば、協議する必要は全然ございません。協議意見を異にするからこそ必要なのであって、そういう観点からいたしまして、外務大臣が率直に日本側考え方ニクソン大統領に披瀝したことは大いに意義があったものと言えましょう。しかし、この交渉のいわば第一ラウンドの実績をここで総括してみて、双方の感触から痛感されますことは、いま述べましたところの極東情勢の展望ばかりでなく、あらゆる面におきまして両国のイメージ・ギャップが深過ぎるということでございます。この点につきまして私はまず佐藤総理がどういうふうに受け取り、これをこれからどう打開し、調整し、かつまた合意の線に到達させるかについてお伺いしたいのでございます。と申しますのは、過去十年来のいろいろな世論調査を検討してみますと、日本人の国民意識の中に、いわば徹底した平和主義的観念、そして戦前とは全く異なった一種独特のナショナリズム、これに加えまして経済福祉の三つの主義が、国の安全保障についての国民としての判断あるいは反応、意思決定に大きな影響を及ぼしております。一例が、佐藤総理御自身の「自分の国はみずからの手で守る気概を持つべきである。」との国民の奮起を促した当然の叫びに対するその反応でもおわかりのとおりでございまして、日本安全保障にいたしましても、できるだけ日本の平和と極東の安全とは切り離したがる傾向が世論調査のパーセンテージにあらわれておるわけであります。その是非はしばらくおくとして、こうした傾向はそのまま国際問題をめぐるイメージ・ギャップ、すなわち見解の相違となっておりまして、日米相互の映像の差が、あるいはベトナム問題、あるいは朝鮮半島、ひいては沖繩問題にも広がっているように思われるのでございます。このようなイメージ・ギャップを、もし双方が何ら埋めようとする努力が行なわれないままに放置するならば、たとえ安保体制を堅持し、かつまた沖繩返還実現しようとも、両国の友好関係は目に見えない底のほうからそこなわれる懸念さえ抱かれるのでございます。もちろん最近では、戦略的にも政治的にも日米共通の基盤を見出そうとする姿勢がうかがわれますが、この問題が沖繩返還問題の出発点であり、基本路線とみなされているだけに特に取り上げた次第であります。  引き続き総理にお伺いいたしますが、来たる十一月訪米によって最終的な結論が出ることは明確になったようでございますけれども、その際、両国の合意の方式として、大体次の三つの場合が考えられると思います。  まず第一に、総理訪米の際に、一挙に返還協定と附属文書の正式調印を行なう。  第二に、とりあえず覚え書き等に仮調印し、返還時期までに多少の手直しの余地を残す。  第三に、返還取りきめの大筋については実質的に合意するが、正式の調印は後日にする。  以上の三つの方法のうち、そのいずれの方式をとろうとされておるのかを承ることができれば幸いに存じます。  総理にお伺いいたしたい第三点は、最近のニクソン大統領の、新しい国際秩序を求めて、アメリカ自身が冷静に自己批判し、戦後ゆがめられてきた諸国との友好関係を新しい原理のもとに再生させようといろ外交施策をどう受けとめておられるかということでございます。たとえばニクソン大統領は、「将来のアメリカアジア諸国との関係の根本は、アジアがイニシアチブをとり、アメリカがそれを援助する形でなければならない」と発言して、暗に日本アジアに重要な存在であることを指摘し、その後もこう述べております。「その形がどうあろうと、大切なことは、アジア諸国が将来アジアでのいかなる新しい侵略に対しても、みずからの手で最初の反撃を行なえるようにしておくことである。自由世界の国々が真に自由でありたいと願うなら、もはやアメリカの力にたよるぜいたくは許されないのである」と述べていることは、アジアのすべての国に対する自主防衛の自覚を促したものでございましょう。このような自助の原理と地域内の責任体制を強調するアメリカアジア政策は、当然日本に対しましては、自主防衛の強化とアジアの自由諸国に対する経済援助の責任分担を要請するものと見られます。もうすでにその現実的問題として、ベトナム戦争終結後の平和監視機構に、アジアの大国としての日本がぜひ参加してほしいとの要望が伝えられております。まあこれに対しまして、外務大臣は一応拒否されたようでございますが、今後こうした役割りが次々と求められる時代が到来しつつありますが、将来の日本の自主防衛のあり方や、アジアの平和と安全にどう一体寄与するかということについて、総理はどのような態度姿勢で臨まれるか、国民もひとしく期待しているところでございましょう。  いまや日本世界の国々から期待されているものは、あらゆる苦悶にあえぎますところの諸国に対して、種々の制約を理由にいたしまして、ただ単に物や金の物質的援助を提供することだけではなく、民族国家間の紛争解決には率先して調停、あっせんの労をとるという勇気と信念がこれでございまして、これあってこそ初めて、アジアはもとより、世界の国々は、これこそほんとうに平和を愛好する大国として日本を尊敬するのではないかと確信するものでございます。  総理に対する質問は、時間の都合もございますので、この程度にいたしまして、次に外務大臣に、交渉の最大の焦点と見られる「核ぬき本土並み」の中の「核」及び事前協議、そのほか数点についてお尋ねいたします。  外務大臣は、ワシントンに到着以来、ただいま総理お話の中にもございましたが、核兵器に対する日本国民感情は、その効果のあるなしや損得だけでは説明できないものがあることを粘り強く訴え、ホワイトハウスの官辺筋にかなりの心証を得られたということは、現地からつまびらかに報道されてまいっております。  従来、日本におきまして、これまで沖繩問題が論議されるとき、沖繩アメリカ極東戦略体制にとってのかなめであり、沖繩に存在する核は、このかなめにとってのかなめであるという認識が基礎になり、これが論議の基礎となってまいりました。けれども、数年来、米国内に武器搬送手段に関するテクノロジーと命令、管理及び兵站的支持活動についての技術上の進化の結果、近接地点からの核作戦の価値は減少し、これから先も減少するであろうという認識のもとに、米国極東戦略は再検討の時代に直面しているようでございます。ことばをかえて申しますならば、いまや核の抑止力は、大陸間弾道弾——ICBM、戦略爆撃機、ポラリス潜水艦等の総合的な核戦力の所産とみなされております。そこで、現在沖繩の第一線にある旧式な核兵器は、いわゆる抑止力としての価値に乏しく、大局的な政治判断としては、その撤去を求めても差しつかえないと考えますが、いかがでございましょう。そもそも核をめぐる双方の言い分は、日本側核抜き本土並みの発想は、それでも軍事基地としての沖繩の価値はそこなわれないという希望的な観測に基づいたものでございましょうが、もしアメリカ側から、それでは沖繩の価値が減殺されるときめつけられた場合に、どこにどういう反論の根拠を求められようとするかが一つの課題であろうと思われるのでございます。これは前にも触れましたように、それぞれの立場で異なる極東情勢の評価、日本側にはややもすれば、近い将来には極東に大規模な侵略は行なわれないだろうという期待を交えた予測、いわば楽観的な見通しがありますが、他方アメリカ側には、万一の場合を重く見る危機感と申しますか、脅威論が常に存在している事実でございます。このような認識の相違を克服し、交渉を円満妥結に導くには、これから幾多の紆余曲折があり、アジアの平和と安全が力の対決ではなく、新しい秩序と方式で確立できるということを主張するならば、これを米国側にいかに説得をし、納得させるかは容易ではないだけに、この際、外相のワシントンではだで感じた米国の現段階におけるお感じなり感触なりをあわせお伺いしたいわけであります。  一方、今後最も活発な論議がかわされると思われます事前協議の点について触れてみたいと思います。もともと事前協議条約上の正確な解釈に従えば、そのときそのときの事情によって日米両国政府が相談することでございまして、結果はイエスの場合もノーの場合もあると考えるのが正しいのであって、この協議が歯どめとなるのは相談をすることの結果であって、一般的にはこの点が混乱して考えられている印象が強いように見受けられます。事前協議議論議論として、施政権の全面返還の際、どのような方式でこの事前協議条項が適用されるか、もちろん、現在交渉がようやく軌道に乗った段階で結論を求めようとは存じませんけれども、米軍基地あり方については、佐藤総理は昨日の衆議院会議質問で、自由使用はあり得ないと答弁されたようでございますが、純然たる本土並み以外に考えられるものとしては、全面適用の場合でも、運用面で考えるいわゆる弾力的運用と、有事に限って事前協議を除外するという有事自由使用方法があり、これと異なって、かりに一部を除外する方式としては核だけ事前協議、あとは除外する、いうなれば核なし自由使用と、核と戦闘作戦行動事前協議を除外するところの核つき自由使用などがあるわけでございます。このうち後者の二つは、これは考慮外といたしましても、この一連の方式に対して外務大臣は、もちろん徹頭徹尾これからは核抜き本土並みで押していくことと思いますけれども、このような考え方外交交渉であります以上は当然あると見なければなりませんが、外務大臣はどのような見通しを持っておられるか、伺いたいわけでございます。  このほか、外務大臣はワシントンで繊維品の輸入規制、自動車の資本自由化の問題等についても話し合いが行なわれたと承知しております。日本側としては、これらの問題はあくまで沖繩問題と切り離して考えるとの態度で臨まれたことと思いますけれども、最近のワシントン電報を見ましても、これらの問題提起に示された米国の対日感情には微妙なものがございまして、世論も予期以上に強硬であり、沖繩交渉へのはね返りのおそれなしとしないと思いますけれども、こうした懸念は必要ないかどうかもお答え願いたいのでございます。  なお、最後に、今回開催されましたASPACの会議でも、沖繩の軍事基地と関連のある韓国及び国府の諸国が、沖繩交渉の推移には重大な関心を払っている旨の非公式の発言がございました。これらの国々が、沖繩日本復帰によって不安と動揺を来たさぬように、十分な意思の疎通をはかることが大切であり、善隣友好のたてまえからも、必要な外交措置を講じておられるかどうかという点もお伺いいたしたいわけであります。  以上、私は幾つかの見解を述べながら質問いたしましたが、今後とも多難なこの返還交渉に当たろうとしている政府に対して、国民のこの切実な願望を踏まえて、独自の主体性を持った日本米国との間に、長い将来という観点から、幅広いビジョンに立って、両国首脳の理性に基づきました政治的判断によって早期解決するように、一そうの努力を切に要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 長谷川君から、現在の国民意識について、きわめて示唆に富む御指摘がありました。長谷川君は、国際問題をめぐるイメージ・ギャップという表現を使われましたが、国際社会の現実に目を閉ざし、みずからの果たすべき責任を忘れた平和主義あるいはみずからの立場の主張に急なあまり、極端な排外主義に結びついたナショナリズムあるいは目先の利益の追求のみにきゅうきゅうとする経済至上主義の危険はあらためて申し上げるまでもありません。このような観点から、特に重要なのは、国際社会の現実、とりわけ今日の世界における国際的な相互依存関係の必然性と重要性についての認識であります。私は、この点についての正しい認識さえあれば、わが国の平和と極東の安全とが不可分の関係にあることも必ず理解願えるものと確信しております。今後ともわが国をめぐる国際情勢の真の姿を、国民各位に伝えるための努力を惜しまない考えであります。御協力願いたいと思います。  次に、長谷川君から、日米合意の方式について幾つかの具体的なお尋ねがありましたが、この点についてはまだきめておらないのであります。直接お答えすることができません。まことに申しわけございません。今後各種の外交交渉を通じて、米側とよく話し合い、最も望ましい形で日米間の取りきめを行ないたいと考えております。これまでしばしば申し述べているとおり、日米の友好と信頼の基礎の上に、歴史的な沖繩返還交渉を進めておりますが、必ずや国民各位の御賛同を得る解決に到達し得るものと確信しているものであります。  次のお尋ねといたしまして、アメリカの新しい外交政策を、いかに受けとめていくかというお尋ねであります。ニクソン大統領の就任と同時に、ベトナム問題の処理に見られるように、きわめて柔軟であり、かつ弾力的であると、その外交政策を私はとらえております。就任後いち早くヨーロッパに飛んで懸案の対仏関係を調整するなど、米国の対外関係を正常化するために、あらゆる努力をしていることは御指摘のとおりであります。特にアジア問題につきましては、アジアのナショナリズムをよく理解してほしい。米国責任を果たすと同時に、アジア各国の自助の努力を助ける政策をとっていると思います。戦後、日本にも六回来日いたしました。大統領がすでにかくのごとくたびたび日本に来たということは、いままでにないことではないかと思います。したがって、私は、大統領は、日本並びにアジア状態については、間違いのない認識をはっきりと持っておると、かように思います。このことは、ニクソン大統領が、アジアにおきまして軍事力以上に経済的安定こそが平和維持の重要な要素であることをよく理解しておると思います。もとより、わが国といたしましても、今後とも国力相応に自主防衛の努力を続けなければなりませんが、同時に、アジア各国の経済発展にそれなりの寄与をすることによりまして、アジアの平和に貢献することができるものと確信いたしております。また、御指摘のように、単なる物質的援助だけでなく、国際間の紛争解決に勇気と信念をもって調停に当たることも必要でありましょう。いずれにいたしましても、米国だけでなく、世界の各国がわが国に期待しているのでありますから、この国際的な期待にこたえていかなければならないと思います。そうして私どもは、われわれの果たすべき役割り、また、みずからの進むべき方向、これを定めていきたい、かように思います。  お答えといたします。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  22. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) お答えいたします。  まず、第一の核の問題でございますが、この点につきましては、ただいま御言及にもなりましたが、私の主張には二つの点があるわけでございまして、一つは、唯一の原爆の被爆国であるという日本立場から申しまして、日本国民、もちろん沖繩を含んでの日本国民全体でございますが、特殊の国民感情、といって、私、これは正しい、とうとい感情だと思います。その環境にあるところの日本国民の主張というものを十分説いたという点が一つでございます。私は、それ相応の反響はあったように思いますけれども、しかし、先ほど申しましたように、まだ一つ一つこの問題あの問題というふうに結論づけられつつあるわけではございませんので、正確な判断はまだ申し上げられませんが、相当の反響はあったように考えるわけでございます。  いま一つは、これも御言及になりましたが、極東緊張の度合いということと関連するいわば戦略的な立場に立ってのものの見方であろうと思いますけれども、私は、日本立場から申しますれば、核の抑止力ということが大切な問題ではなかろうかと思いますが、その点から申しました場合に、沖繩というところに、特にこれはいろいろ議論をすれば、戦略核がどうだ、戦術核がどうだということもございましょうけれども、私は、総じて核というものが置かれないでも、そういった点についての心配はないのではなかろうか、こういう点にわたりまして主張をいたしたつもりでございます。先ほど申しましたように、この問題につきましても、どういうふうにこれからさらに話を詰めていくかということについて、真剣にただいまも検討をいたしているわけでございます。  次に、事前協議の問題でございますが、事前協議についての、長谷川議員の御解釈については、私は御同感でございます。要するに、そのときの状況に従って正しい運用、国益にのっとり、正しい運用をすべきものである、一口に言えばこういう御所見でございますが、御同感でございます。そうして、この事前協議という制度を、そのまますなおにこれを沖繩に適用するというのが、私は本土並みであると思います。沖繩についてだけ特別の事前協議の問題について取りきめをするというようなことは本土並みでなくなりますから、さようなことは望ましくないということで今後も折衝をいたしたいと思います。したがいまして、ただいま具体的に数点をあげてお尋ねがありましたが、私はその個々の御設問にお答えするよりも、基本的にいわゆる本土並みですなおに沖繩に適用すると、これが望ましいと、こういうことで私としてのお答えになろうかと思うわけでございます。  それから次は、経済問題でいろいろと希望が出たろうが、それは沖繩問題に関連が出てくるのではないだろうかという御懸念でございましたが、私は、結論的に見ますと、いわば、それはそれ、これはこれで、合理的な話し合いについては、聞くべき姿勢の国でもございますし、良識の国でもでありますので、たとえば先般の繊維の自主規制の問題等につきましては、わが国としては一致してこれに反対の態度をとっております。私も、この点につきましては、前々から反対の態度を堅持しておりまして、何らこれを変更しておりません。それが国益に合致すると思うからでございますが、それはそれとして、これについては向こうさんの感触は悪いということは当然でございましょうが、こちらはこちらの態度が正しいのでございますから、並列しております。しかし、これが沖繩返還問題にからんできているとは思いませんし、また、現状においてはさような心配はないと思います。  最後に、韓国あるいは国民政府態度の問題でございますが、これらにつきましては、このほどASPACの会議機会におきまして、会議の席上の問題にはもちろんなっておりませんけれども、個別的に韓国の代表あるいは国民政府の代表から、沖繩問題についての日米間の話し合いはどうなっておりましょうか、われわれとしても関心を持っております。しかし、これは日本アメリカとの二国間の話し合いの問題でありますから、あなた方の立場に対して不当な干渉めいたことをやる意思は毛頭ございませんと、両国政府ともかような態度でございました。  以上御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  23. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 渋谷邦彦君。    〔渋谷邦彦君登壇拍手
  24. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表し、沖繩返還交渉について総理並びに外務大臣に若干の質問をいたします。  初めに、今回の交渉において日本側が提示した七二年中に核抜き本土並みの返還をめぐり突っ込んだ意見がかわされたと伝えられておりますが、その経過はいかなるものであったか。先ほどもちょっと触れておったようでありますが、当然突っ込んだ意見であるとするならば、こちらの青写真もあったはずでございまして、七二年までのスケジュール、また、何に重点を置いて主張をしたのか、それに対して米国はどのような反応を示したか、これについて伺いたいのであります。  次に、新たな波紋を巻き起こそうとしております事前協議弾力的運用について私からも伺いたいのであります。  六月三日、四日の両日ソウルにおいて行なわれた米韓国防閣僚会議におきまして、米韓両国は、北朝鮮が七〇年代に行動を起こすという前提に立って、北朝鮮の戦争能力を分野別に詳細に検討したといわれております。将来朝鮮半島において起こるかもしれない非常事態についてもさまざまなケースを想定しながら、米軍沖繩を含めた日本基地から戦闘行動をとる際、事前協議によるイエスノーの決定は討論して煮詰めるという、しかも、具体的検討は日米の事務レベルの専門家の共同討議によることを明らかにいたしておりますが、いつ、どこで、どのように行なわれるのか、日本側の代表はだれになるのか、議事録は公開されるのか、国民に納得のいくようにお示しをいただきたいと思います。  さらに、六月九日、ホノルルにおいて行なわれたニクソン大統領とボーンスチール在韓米軍司令官との会談でも、北朝鮮との間で今後問題が起きた場合の対応策を話し合ったと言われております。ニクソン大統領は、プエブロ号事件や、米機撃墜のような事態が新たに発生した場合に備え緊急計画を仕上げつつあるという、おそらくこれが日米間の事務レベルの専門家会議にも米国側から持ち出される主張の基礎になるものと予想されるのであります。政府は、このような米国の準備状況をどのように把握しているのか。また、対応策は準備されているのか、お答えいただきたい。  次に、本度二月六日の衆議院予算委員会において、佐藤条約局長は、「沖繩から何らかの形で直接作戦行動が行なわれる場合、当然日・米・韓は軍事的には一緒になる」と答弁しております。事前協議弾力的運用は日・米・韓の軍事的一体化に新たな道を開くのではないかと思われますが、どうでございましょうか。何らかの形にせよ、直接作戦行動についてはノーと言う以外ないはずでありますが、政府は、あくまでもノーと貫き通す御意思があるかどうか伺いたいのであります。  一九六五年、日韓条約の臨時国会で、わが党は、日韓条約は日・米・韓の軍事的一体化を招く危険があると批判しましたが、これに対し佐藤総理をはじめ政府は、口をきわめてあらゆる機会に否定したのであります。ところが、四年後の今日、政府は、日・米・韓の軍事的一体化を平然と言明するようになったのはいかなる理由によるものでありましょうか。事前協議弾力的運用により何らかの形で米軍の直接作戦行動が行なわれるなら、日・米・韓の軍事的一体化が起こることを政府は再確認をするでありましょうか。もし、このような重大な変更を伴う政策国民に何ら相談せず推進するなら、憲法第九条のじゅうりんであり、日米安保体制の大転換を意図していることになると思うが、明らかにしていただきたい。  次に、本年三月三十一日の参議院予算委員会で、佐藤総理は、先ほどもしばしば申されておりましたように、「核がないとなると核の抑止力がなくなる、どういうものがあるかを言わないのが一番いいと思う、事前協議については、国益を考え自主的に判断する、しかし、ノーばかりが国益に合致するとは思わない、ときにはイエスがあることも頭に入れてほしい」。これは昨日の衆議院会議においても一貫して述べられております。しかし、事前協議のおもな対象の一つに、言うまでもなく、米軍の装備における重要な変更があり、それは核の持ち込みを意味するものと今日では常識化されている。そうなると、弾力的運用の中に核兵器の持ち込みについてもイエスと言う可能性が十分考えられるのでありますが、そうなれば、佐藤総理の言う非核三原則は根本的にくずれることになるのでありますが、どうか矛盾のない一貫した答弁お願いしたいと思うのであります。  次に、六月十一日、愛知外務大臣は、ASPACに出席の崔韓国外務部長官と川奈ホテルにおいて沖繩問題について話し合った際、崔長官は、「沖繩米軍基地の敏速かつ効果的な活用がそこなわれないように」と要望したことに対し、外務大臣は「韓国を含む極東安全保障については日本も十分配慮する」と回答されておりますが、十分な配慮とは具体的にどういうことなのか、お示しをいただきたいと思います。  次に、佐藤総理は、先般、沖繩返還交渉の過程においては、現に沖繩にある米軍の兵力や基地政府側で十分調べると言明されております。ところが、最近伝えられるところによれば、メースB基地などが続々強化されている様子であり、また、ベトナムから引き揚げる米軍の戦闘部隊の一部も来るのではないかと取りざたされております。いままででさえ沖繩米軍の配置は事前協議基準をはるかに上回っているわけでありますが、政府は、いつ、どのような方法で十分な調査をやるのか、それともすでに調査を始めているのか、伺いたい。さらに、調査が十分でなければ、申すまでもなく、基地の態様について具体的な主張ができにくいことになるわけであります。この調査について米国側は了解しているのかどうか、あわせてお答えいただきたいのであります。  次に、沖繩におけるB52の撤去問題は、今回の外務大臣訪米の際にも再び注意を喚起したことが伝えられております。当時、B52の撤去については六月ごろには解消されるものと、このように予測されていたわけでありますが、しかし、いまだに実現の動きもない。今後の見通しについて明確にお示しをいただきたい。  次に、ニクソン大統領沖繩返還問題について決着をつけるための判断の基礎として考えられますことは、ベトナム和平の展望、九全大会後における中国外交姿勢、あるいは朝鮮問題を中心ベトナム以後のアジア情勢の推移について綿密な分析と決断を迫られることは想像にかたくないわけでありますが、とりわけベトナム戦争解決を急ぐ米国にとってみれば、ベトナム問題を最優先とするのではないかと考えられるが、交渉の経過の上から米国側の態度をあらためてお伺いしたいのであります。極東情勢の分析では、レアード国防長官が一番きびしい見方をしていたという外務大臣の談話がございましたが、それが返還交渉の阻害条件になるものであるかどうか。そのおそれはないのか。また、いかなる問題点についてきびしい見方をされていたのか。この点についても明らかにしていただきたいわけであります。  次に、先年奄美大島が祖国復帰するとき、当時の吉田総理は、奄美を日本一の豊かな地方にしてみせると大みえを切ったことは、今日でも奄美の語りぐさになっておりますが、その後の政府の復興計画にもかかわらず、現在の奄美はおそらく日本一の貧しさに苦しんでいる状態であるといっていいのであります。その意味で祖国復帰後の沖繩にどのような経済政策をとるのかが最大の関心事でございます。七二年といっても——それがかりに実現されたとしても、そこまでの準備期間がございましょう。また沖繩の経済問題についても、当然一つのスケジュールとして、プログラムとして今回の交渉にも話が出たと思うのでありますが、基地経済という特異な体制から脱却を願う沖繩県民にとって、まさしくこの問題は死活問題であることは言うまでもございません。たとえば、まず第一に、日本国民としての権利義務を獲得することが先決条件ではございますが、百二十をこえる軍事基地の整理縮小による労務者を一体どうするのか。また、ドル通貨で心配されてきた基地依存経済をどう転換するのか。円への切りかえはどうするのか。また、米民政府の管理のもとに置かれております琉球電力公社、水道公社、開発公社など、移管方法はもうすでに考えられていると思いますけれども、どうなっているのか。また、地方交付税などについても当然問題になるわけでございます。こうした差し迫った問題が山積をしておりますが、政府は具体的にこれをいま現在手がけているのかどうか、お伺いしたいのであります。  次に、ロジャーズ国務長官は、「日本はウイスキーをスコットランドに、自動車をデトロイトに輸出するという容易ならぬ交渉相手であるから慎重にならざるを得ない」と——先ほども繊維製品の規制問題について話がありましたが、ただ、先ほどの大臣の御答弁では、いささか不安が残らないでもございませんので、もう一度明確に伺いたいのでございますが——沖繩問題も大切であろうが、資本の自由化も十分考えてもらわなくては困るということが、いま申し上げた話の中にはのめかされているのではないか。スタンズ商務長官ケネディー財務長官との会談内容といい、沖繩返還交渉と経済問題をからませない、いわゆる取引の手段にはしないとしながらも、何か割り切れない印象を受けるわけであります。相当アメリカの壁は厚い等々の表現をもってしても十分うなずける問題ではなかろうか。全くそうした気配はないのか、この辺の事情についてお答えをいただきたい。  次に、かつてサンフランシスコ平和条約沖繩本土から切り離すとき、政府沖繩県民の意思を踏みにじり交渉を行なったのでありますが、今回もまた県民の意思が大いに無視されようとしております。憲法に明らかなように、国民の意思と国民の主権は国会を通じて行なわるべきものであり、政府は、沖繩返還交渉の前提として、沖繩県民の国政参加すなわち国会への代表出席、表決への参加実現させるのは当然ではないかと思いますが、政府に現在その用意はないかどうかお伺いいたします。  最後に、けさの新聞報道によれば、防衛庁は、「日米安保体制を解消し自主防衛に転換する場合は核装備、徴兵制度が必要だ」との見解をまとめ、しかも、憲法上の制約や国民感情は考慮しないと断わった上、核弾頭や長距離ミサイルを自力で開発するとの言明がなされております。一方においては非核三原則をうたいながら、全く混乱した政府のこの考え方というものは、どうしたものであろう。国民としてもその判断に苦しむわけでございます。この点について政府の一貫した考え方を、やはりこの機会に明確にしていただくようにすることが望ましいと思いますので、総理大臣の明確な答弁お願いいたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 渋谷君にお答えいたします。  かねて質問要旨として伺ったこととややお話が違っておりますので、あるいは十分聞き取り得なかった点もあるかと思います。もしこれらの点がありましたら、後ほど訂正させていただきます。  沖繩返還交渉の経過等についてのお尋ねがまず第一にありましたが、この点は外務大臣から説明したとおりであります。私とニクソン大統領との会談で、返還の時期や基地の態様等について基本的な合意が得られれば、引き続き日米間で具体的なスケジュールについて話し合いが始まることになるものと御理解を願います。ただいまのところはその段階までいっておりません。  次に、事前協議にあたっての政府基本的態度でありますが、この態度は、事前協議の本旨にのっとり、具体的事例に即して、わが国の国益の見地から、自主的に判断して諾否をきめるということでありまして、このことは日・米・韓の軍事的一体化の道を開くというようなこととは全く異なることであります。誤解のないように願っておきます。  なお、政府安保条約の運用にあたって、憲法に違反するようなことは、もちろん絶対にございませんので、その点も御安心をいただきたいと思います。  次に、先週の初めにニクソン大統領がホノルルにおきまして在韓米軍司令官と会談して、朝鮮半島で予想される事態について話し合ったという報道がありましたが、御指摘のような緊急計画については、何も承知しておりません。また、御指摘のような日・米・韓の事務レベルの専門家会議なるものも存在しておりません。もっとも、わが国の安全は、わが国の周辺諸国の平和と安全なくしては保障されないのでございますから、わが国としては、この地域情勢には深い関心を持っており、自主的な立場からわが国のとるべき政策を決定していきたい、かように考えております。  次に、核についてお尋ねがございました。沖繩施政権返還後の米軍基地の態様につきましては、政府意向十分米国政府に伝えております。これは先ほど来お答えしたとおりであります。また、返還後、沖繩防衛の責任は、当然わが国が負うことになるのでありますから、今後、米側と密接な連絡をとりまして、その実態を把握することにつとめる方針であります。この点では非核原則、もちろん内地の基地と同様に沖繩にも適用される、このことをはっきり申し上げておきます。  また、沖繩の軍基地の調査の問題でありますが、これらの点については、まだ話がそこまでいっておりません。したがって、ただいまお答えのできる段階ではございません。B52に対する沖繩同胞の心情は、十分に米側に伝えております。しかしながら、米政府としては、これまでいつ沖繩からB52を撤去するかについては、一切言明しておりません。政府としては、沖繩県民の不安を除くことにつきまして、今後とも最大の努力を傾けますが、それにつけましても、一日も早く施政権そのものが返還されることを実現することが必要であることは、痛感するような次第であります。  次に、今回の愛知外務大臣訪米の結果、今秋に予定されている私とニクソン大統領との会談におきましては、日米間の懸案である沖繩施政権返還問題について、満足すべき合意に達するとの共通の目標に向かって積極的な話し合いを行なうことに合意いたしました。そうして具体的には、七月の日米会談の際のロジャーズ国務長官の来日、九月は愛知外務大臣国連総会に出席のための渡米などの機会において、愛知外務大臣ロジャーズ国務長官との会談、さらには外務大臣とマイヤー大使——駐日大使ですが、近く着任される予定であります。下田大使とロジャーズ国務長官との会談等、外交経路のあらゆるレベルにおいて、日米間の折衝が考えられます。しかしながら、それ以上に、御質問のような限られた問題について、米側との問で何ら具体的な話はまだきまっておりません。  核抜き本土並みの方針実現する自信ありやとのお尋ねでありましたが、すでに同じような質問があり、何度かお答えしたとおり、返還後の沖繩基地には、安保条約並びにその関連取りきめは本土と同様、そのまま沖繩にも適用するものであり、その線で米側と最終的な合意に達したいと念願しております。この点では御協力、御支援をお一願いしたいと思います。  次に、奄美群島が返ったときに、吉田総理日本一の豊かな島としてみせると、こう言ったが、そうなっていないじゃないかというお話であります。まあ、奄美のことは別といたしまして、復帰後における沖繩経済は、日本経済の一環として位置づけられることは当然であります。沖繩の資源、立地条件、土地利用等を生かした経済の自立性を高める方向で十分な調査研究を行なった上、開発計画を推進してまいりたいと考えます。ただいま本土との一体化をはかっておりますが、これなぞも復帰という話がきまれば、それに沿いまして、さらにこれを促進していかなければならないと思います。  それからドルの円への切りかえにつきましては、経済面に及ぼす影響がきわめて大きいので、復帰の時点で、円滑な移行が可能となるように慎重に検討する方針で、ただいまからすでに検討を始めております。  次に、電力公社、水道公社、開発公社等についてのお尋ねがありましたが、まず先に、開発金融公社につきましては、現在、日米琉諮問委員会におきまして、琉球政府への移管問題を検討中であります。近くその管理形態についての結論が得られる見通しであります。電力及び水道公社につきましては、現在、同公社が民需及び軍需双方の供給をおおむね一元的に供給しておりますが、これら公社は、米軍基地の機能、技術とも密接な関連を持っておりますので、住民生活及び経済に対する配慮を第一義的に考えて、今後のあり方を検討いたしてまいるつもりであります。  地方交付税等についてもお尋ねがありましたが、これまた、以上のような公社の移管、それにもまして県になるのでありますから、当然地方交付税等についても、われわれが今日から準備し、そしてこれに手がけておくれることのないようにしなければならない、これは当然であります。  次に、最後にお尋ねのありましたけさの新聞の話であります。緊急に質問に追加されまして、私もさような点をいろいろ事務的にもいま調べている最中であります。もちろん、私自身がすでに徴兵制度には反対でありますし、また、日本自身が核を持つというようなことは毛頭考えておりませんし、また、日米安全保障条約、これはただいま堅持する基本的な方針をとっておりますので、先ほどお話のありましたような、けさの新聞記事云々等につきましては、私、ただいま私の基本的態度をお答えをする以外には材料をもちろん持っておりません。しかし、かような記事が出たという以上、これらの点につきましては、さらにさらによく実態を調べた上で、はっきり私の態度も御説明いたしたいと思います。きょうは、在来から、私がかねて申しております基本的な態度を重ねて申し上げ、そうして、その記事についての直接の答えでないことは御了承おき願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  26. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 今年の十一月に総理訪米されまして、返還問題についての大綱がまとまりますれば、それから実際の返還の時期までに予想される事務分量を考えてみましただけでも、相当これはたいへんな仕事であろうということが予想されるわけでございまして、それらについては、まだ十一月以降のことでございますけれども、いまから相当の前向きの考え方で、日程、プログラム等も考えていかなければならない、かように存じております。なお、こういう点につきまして、米側も相当前向きの考え方をしているということは、私として、本件の前途の明るさを感じさせるものではないかと考えております。  次に、九日のロイター電報は私も承知いたしておりますが、米国、韓国の打ち合わせはあったかもしれませんが、日本を含めた三国の軍事会同あるいは緊急計画というようなことは全然ございません。念のため総理の御答弁を補足いたします。  次に、川奈で韓国政府の崔外交部長官とは長時間話し合いました。その際に崔長官から、沖繩問題に触れまして、沖繩が自分の国の安全にも関連する心配があるということを表明しておられましたので、これは心にとめておくことにいたしました。先ほど申しましたように、しかしながら、このお話は、沖繩問題日米両国間の問題であるということを前提にしておられましたし、その交渉に何か文句をつけるとか、あるいは他国のやることに干渉するとかいうことではございませんということは、崔長官のほうからも特に前提としてお話があったわけでございます。長時間にわたる話し合いは、二国間の、日韓両国間の懸案が実は相当ございますので、その処理についての話し合いで相当長時間かかったわけでございます。  それからB52につきましては、ただいま総理から御答弁がございましたが、私といたしましても、滞米中に、米国側に対しましてさらに注意を喚起し、善処方をさらに督促をしておきました。  次に、極東情勢についてのお話でございますが、やはり国防長官というような責任の重い立場にあるレアード氏にしてみれば、相当極東情勢についても、きびしい、かつ緊迫した情勢判断をしておられるように認めました。しかし、およそ情勢判断というものについては、そもそもが幅のある性格の問題でございます。また緊迫の度合い、あるいは時間的な要素等々、いろいろな要素を加えてみなければなりませんので、何もことさらに、極東情勢の分析について見解が離れているというようなほどのことでは私はなかろうと存じます。わがほうといたしましては、たとえば朝鮮半島の問題にしても、韓国政府が、日本との間の国交正常化以後、すでに三年有余でございますが、その間においても、着々といろいろの面において地歩を固め、実力を備えて、自信を持ってきつつありますことが、やはりこの極東緊張の緩和に非常に役立っている。こういう面におきまして、日本政府としては、韓国のこれからのいろいろの政策に対して、できるだけの協力をしていくということが、とりもなおさず、緊張緩和に大いに役立つことではなかろうか、私はさような意見を持っております。  それから事前協議の問題につきましては、基本的な態度は、先ほど申し上げましたように、そもそもの本旨にのっとりまして、具体的な事例に即して、わが国の国益の見地から自主的に判断してきめるべきものであると考えまするので、先ほど、韓国との関係において、日米間の軍事的一体化の道を開くように、実質的に事前協議のやり方を変えて、安保条約の実質変更になるようなことをするのではないかという御質問でございましたが、これは全然さようなことでない。したがって、憲法九条に抵触するようなことは考えているものではないということは、本日の政府側の答弁からも、よく御了解いただけることと存じます。  最後に、経済問題でございますが、経済問題についてアメリカ側が望んでいる本質は、資本の自由化であり、残存輸入の自由化の促進でございます。これらにつきましては、日本としても、自由化の大道については、やはり前向きの基本的な考え方は同じでございますから、それに異議はないのでありまするが、アメリカに比べれば、日本は、一口に言って、何といってもまだはるかにおくれている経済であります。したがって、アメリカから言えば、もどかしいかもしれないけれども、日本としては、終局的に資本並びに貿易の自由化の大道を歩みつつあるのであるから、この誠意のあるやり方についての理解を求めたつもりでございます。同時に、こういう努力わが国もしているのだから、アメリカのほうも、この大道に逆行するような保護貿易主義的な繊維の自主規制を求めるというようなことはやめてほしい、これは理屈が立ちませんよということは十分に主張し、かつ、この主張が通っている、かように御理解をいただきたいと思います。(拍手)     —————————————
  27. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 松下正寿君。    〔松下正寿君登壇拍手
  28. 松下正寿

    ○松下正寿君 私は、民主社会党を代表して、総理大臣並びに外務大臣質問いたします。  まず、総理大臣にお伺いいたします。  六月の五日、全沖繩軍労組のゲート前でのピケが行なわれましたが、これに対して米兵が銃剣を行使したという事実があります。この事件の詳細は、去る十一日、参議院沖繩北方領土特別委員会における床次総理府長官の御報告によりまして明瞭でありますが、総理大臣は、米兵の行為を、過剰防衛である、したがって不当であるということをお認めになりますか。これが私の質問の第一点であります。  次に、このような不祥事件が起きたということは、現在進行中の沖繩返還米交渉にとって非常な障害になると思いますが、このような事件を未然に防止する方法はなかったかどうか。関係者に、事件未然防止についての慎重な注意が足りなかったのではないか。  以上の二点について総理大臣の御所見をお伺いいたします。  次に、外務大臣質問いたします。  愛知外務大臣の今回の訪米は、沖繩返還問題が主であったことは明らかでありますが、米国側の要請に応じて、外務大臣は、スタンズ商務長官ケネディー財務長官にもお会いになりまして、そして、日米間の経済問題について懇談されたということを伺っております。沖繩返還問題が目下日本にとって非常に重大な問題であることは申すまでもありません。しかしながら、世界経済における日本経済のウエートが年々増大しつつある傾向にかんがみ、日米間の経済問題は今後ますます複雑化し、困難になることは必至であります。ゆえに、政府は、日米経済問題については十分な資料を用意し、国内各般の意見を聴取し、腰を落ちつけて米国交渉すべきものであると思われます。したがって、いやしくも、もう一つ重要な沖繩問題にひっかけて、または沖繩問題と関連して、日米経済について交渉したり、あるいは交渉に類似したことをすることは絶対に避けなくてはならないと思います。外務大臣は、今回の訪米に際して、日米経済問題に関し、スタンズ長官やケネディー長官とどんなお話し合いをなされましたか、その内容を明らかにしていただきたいのであります。  第三に、沖繩返還問題について、総理大臣並びに外務大臣質問いたします。  外務大臣は、沖繩返還交渉にあたって、核抜き本土並みという日本基本的立場を明らかにされました。核抜き本土並みは、わが民社党の一貫した方針であるだけではなく、日本国民の悲願でありますから、ぜひこれを実現していただきたい。しかし、国民核抜き本土並みに事前協議制や自由使用がからみ合い、核抜き本土並みが骨抜きになるか、または逆に本土沖繩並みになるのではないかという不安の念を持っており、このような不安の念が今後の沖繩返還交渉に関して不利な状況をつくるのではないかということが心配になりますが、政府はそのような国民の不安を一掃するよう一そう努力していただきたいと思う。沖繩返還問題の核心は、沖繩における施政権返還そのものではありません。施政権返還そのものについては、これはすでに日米間に暗黙の了解ができて、すでに解決済みであると思われる。沖繩返還問題の核心基地問題。そしてさらにこれを具体的に考えますというと、アジアの平和に対する日米両国責任分配ないし分担の問題であります。従来、日本政府は吉田内閣以来、日米安保条約日本外交日本防衛政策の基礎としてまいりました。日本の国力が弱かったときはこれはやむを得ません。しかしながら、今日、日本国民総生産五十一兆九百二十億、西独を抜いて自由圏において第二位になりました。外交、防衛ともに自主独往の政策をとるべきは当然であります。  ところで、日本のとるべき外交、防衛政策アメリカ世界政策と矛盾するが、枝葉末節の点はともかく、根本において矛盾するところはありません。日本から見た場合、アメリカとの友好はこれは当然でありますが、アメリカから見ても日本は貴重な存在であります。年々増大する日本経済力はもちろん、日本列島の地政学的地位はアメリカの防衛にとっても不可欠であります。ゆえに、日本としてなすべきことは、アジアの平和に対して国力に即応した責任を分担することであり、そのためには日本の劣勢、弱体を前提として成立した現行日米安保条約を改正し、日米平等の立場アジアの平和に対し平等の責任を負担すべきであります。残念ながら、佐藤内閣にはそのような意欲が認められません。愛知外相が今回の訪米に際して、日米安保条約自動延長をほのめかしたというのは、従来の対米依存の態度を少しも改めていない証拠ではありませんか。日本は、安易で安上がりな現行日米安保条約を延長し、アジアの平和はもとより、日本の防衛自体についてすら十分の責任をとらないのではないかという対日不信感がアメリカにあるのではないか。そして、そのような日本政府基本的姿勢が、核抜き本土並み沖繩返還交渉に対して大きな障害をなしているのではないか。アジアの平和に対して、日米の根本的な利害が一致している以上、沖繩百万の県民を含む日本国民の悲願である核抜き本土並み沖繩返還に関し、アメリカが、それに異論を唱えるはずはないと信じます。  以上の点に関し、総理大臣並びに外務大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 松下君のお尋ねにお答えいたします前に、先ほど渋谷君からのお尋ねに、私が答弁漏れしたものがございますから、この際に補足いたします。たいへん申しわけのないことで、いまようやく気がつき——御指摘になりまして気がついて、補足いたします。お許しを得たいと思います。  それは、沖繩県民の国政参加についてのお尋ねがあったのでありますが、私うかつにも聞き漏らしたということでございます。この問題は、日米政府間で、昨年の十月に、基本的な合意がなされております。しかし、沖繩住民の代表の国政参加は、国会の組織運営に関する事項でありますので、国会お願いすることが最も適当だと考え、先般、衆参両院議長に、これを依頼した次第であります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————  次に、松下君にお答えいたします。  最初に、六月五日のできごとについての御意見でございます。私も、これは、基地の機能の維持という目的から発したこととはいえ、米軍憲兵が、銃剣をもってピケの規制に当たり、不祥事件の発生を見たということは、まことに遺憾なことでございます。したがいまして、この旨、直ちに米側にも申し入れた次第であります。当時、その事情につきましては、いろんなことがいわれておりますし、また、その後、だんだん明確にもなってまいりました。結局、ピケが七十数カ所にしかれ、民警察官が手薄であった、そういうことが、こういう事故を引き起こした原因のようにも思います。何といいましても、かような事態が起きましたことは、まことに遺憾なことでありますので、政府からも米側に対して、この点を指摘した次第であります。米側におきましても、この不祥事件が起きたことにつきましては遺憾である旨、意思表示をしております。したがって、かかる事件が、再び起きないように措置されるものと、私はかように考えております。  また、いわゆるこの事件が起きました原因等については、いわゆる労使双方の紛争事件は、ただいま、ようやく解決を見たようであります。しかして、この種の問題が再度発生しないように、この上とも、注意するようにいたしたい。これは、米軍に気をつけていただくつもりであります。  次に、今回の愛知外務大臣訪米につきまして、米国政府首脳に対して、沖繩返還に対する、沖繩県民を含むわが国国民願望を、十分説明することができたと確信をしております。早期返還、これは、沖繩県民を含むわが国国民の一致した民族的願望ということが言えるのではないかと思います。したがいまして、おそくとも、一九七二年じゅうには沖繩施政権は、わが国返還さるべきこと、また、施政権返還後の沖繩に残される米軍基地については、日米安保条約及びその関連取りきめが、本土の場合と同様に、そのまま適用されるべきであるとの立場を主張いたしたのであります。特に核兵器の問題につきましては、世界で唯一の被爆国として、わが国国民感情、これを強く訴えてありますので、よく詳しく説明いたしましたので、これらの点については理解を深めたと思います。また、事前協議については、政府としては、あくまでも現行安保体制を維持し、そのワク内でこの問題の解決をはかりたい考えであります。  事前協議条項の弾力的運用ということがいわれておりますが、政府といたしましては、外務大臣からしばしばお答えしておりますように、弾力的運用ということではございません。事前協議の正しい運用、すなわち具体的事案についての国益を守る、その立場に立って自主的に事前協議に応ずるという態度、この基本的な態度をよく理解していただきたいと思います。そのような見地から、沖繩につきましても、本土の場合と同様に、安保条約及び関連取りきめをそのまま沖繩に適用するのが最も自然であるというのが、政府基本的な立場であり、今回この点を米側に対して十分に説明したのであります。  愛知外相の今回の訪米は、沖繩返還交渉のまあいわば第一ラウンドであり、米側ももっぱら聞き役に回ったので、いまから本交渉の今後の見通しについて見解を述べることは差し控えたいと思いますが、それにしても、今回の諸会談を通じて、米側は深い理解を持ってわがほうの立場説明を聞き、沖繩返還を通じて日米友好関係をより一そう堅固な基礎の上に置くという大局的な見地から鋭意検討を進めることを確約したのであります。今後の日米両国政府間の率直な協議を通じまして、必ずや沖繩県民を含むわが国国民の期待に沿う解決に到達し得るよう、われわれは最善の努力をする決意でございます。この点を御了承いただき、さらに国会各党の御支援、御鞭撻を心からお願いする次第であります。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  30. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まず最初に、全軍労のストにかかわります不祥事につきまして、たまたま滞米中でございました私に対しまして、レアード国防長官から、陳謝と申しますか、まことに遺憾なことであったというおわびのことばがさっそくございました。また、国務省側からも、ジョンソン次官から、同様の申し入れと申しますか、ことばがございましたことを御報告申し上げておきます。  次に、経済関係の問題でございますが、相手方は商務長官と財務長官でございます。主として貿易及び資本の自由化につきまして、当方からは、先ほども申しましたように、貿易及び資本の自由化を日本としては基本政策として進めておる、アメリカ側から見れば、あるいはそのテンポはおそいと思われるかもしれないが、せっかく日本がその努力をしておるこの態度あるいは方針に水をさすような措置は絶対に困るというのが、当方からの態度の表明でございました。米側は、民主主義国家である関係で、国内の啓発上からいっても、もう少し日本が自由化に強力に邁進してくれなければ、なかなか世論を納得させることはできないというような主張がございました。要するに、こういうふうなところが両国間の経済問題としての現在の認識の相違、あるいは意見の多少の食い違いというところではなかろうかと存じます。向こうもわれわれの言い分にもっと耳をかすべきであると思いますし、私どももまた謙虚に聞くべきところは聞く必要もあろうかと思いますが、これも先ほど申し上げましたように、幸い七月二十九日から三日間、両国の経済閣僚合同委員会がございますので、さらにその場におきまして意見交換をすることに相なっております。  次に、繊維の輸出自主規制の問題につきましては、やはりアメリカ側はスタンズ長官から、米国の議会、労働組合、これからの圧力がきわめて強い、米国政府としては、その間に立って何らかの形で日本その他の国に自主規制を求めることをあきらめられないのであるということをさらに繰り返しておりましたが、私はこの問題については、すでにスタンズ来日のときに申しましたとおり、繰り返し日本国におきましても衆議院会議では全会一致の反対の決議があり、組合も絶対反対であり、百八十万人にのぼる関係の人たちがあり、すべてが反対である。それからアメリカがこのような措置をとらなければならない根拠に乏しい。また、ヨーロッパ及びアジア諸国もアメリカのこうした態度には反対の立場をとっているので、アメリカ政府の言い分を聞くことはいかなる状況から見ても困難であるという態度で終始いたしまして、本件については平行線に終わっておる次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  31. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 春日正一君。   〔春日正一君登壇拍手
  32. 春日正一

    ○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、知外相訪米報告について質問します。  愛知外相は、訪米報告の中で、日米友好を強調しながら、日本国民の要望に沿って沖繩返還交渉に当たったかのように述べております。ところで、去る五日、外相ロジャーズ国務長官との会談でアメリカ政府立場理解の念を表明したまさに同じ日に、沖繩では、ストライキ中の労働者米軍が銃剣によって弾圧するという重大な事件が起こりました。この米軍の狂暴な行為に、政府は一片の抗議もしていません。これはまきに佐藤内閣の沖繩問題に対する卑屈な姿を象徴的に示すものであります。そもそもサンフランシスコ条約第三条によるアメリカ沖繩占領は、不法不当なものであります。だから、沖繩県民をはじめ多くの国民が、沖繩の即時・無条件・全面返還を強く要求しているのであります。しかるに愛知外相は、アメリカの不法な沖繩占領を容認する立場から、沖繩基地の機能とその安定をそこなわない方式なるものを提唱し、その上、アメリカの要求にこたえて、安保条約の自動継続、自衛隊の増強、アジア地域への経済援助の増大などの構想を提示しております。これは、沖繩返還問題をてこにして日本アメリカアジア侵略政策に全面的に組み入れ、対米従属のもとで日本軍国主義の復活を新たな段階に押し進めるものと言わなければなりません。一体アメリカは、日本への沖繩の即時返還を拒否し、日本施政権返還の代償を要求するいかなる権限を持っているのですか。総理の明確な答弁を願います。  現在、沖繩は、アメリカアジア侵略の拠点として、核基地が置かれ、ベトナム侵略戦争では、出撃基地となっています。この基地の機能をそこなわないことを前提にして、安保条約を適用し、事前協議の適正な運用、すなわち弾力的運用をはかることは、米軍による沖繩への核持ち込みと自由使用を認めることにならざるを得ません。しかも、政府の言うように、本土沖繩を差別しないならば、核つき自由使用本土まで拡大されることになるではありませんか。したがって政府沖繩返還方針は、日本全土の沖繩化を目ざすものであるといっても過言ではありません。  そこで、端的に質問をしますが、第一に、総理は、現在沖繩にあるメースBはもちろん、その他一切の核兵器を、ポラリス型原潜の入港も含めて、佐藤内閣以後も、わが国基本方針として、わが国の領土、領空、領海に、絶対に持ち込ませないと公約できますか。  第二に、事前協議は、安保条約第五条による日米共同防衛の場合を除外していますが、総理は、この場合も核兵器の持ち込みを絶対に許しませんか。許さないとするなら、その保証、歯どめはどこにありますか。  第三に、アメリカの原子力法は、核兵器の所在を明らかにすることを禁止しています。またランパート高等弁務官も、つい最近、「沖繩の核装備の有無については是認も否認もしないのが、確立された米政府方針である」と言明しています。とするならば、アメリカ核兵器の持ち込みを日本に通告し、事前協議を行なうことはあり得ないではありませんか。したがって、政府の言う核抜きとは、実際には、国民を欺く核隠しでしかありません。核兵器を持ち込まさぬという政府のことばが本心ならば、少なくとも、日本の主権に基づいて、米軍基地への立ち入り調査権を確立しなければなりません。総理にその意思がおありになるかどうか、明確な答弁を求めます。  以上の簡単な指摘でも明らかなように、安保体制のワク内での沖繩施政権返還という政府方針は、日米安保条約の事実上の再改定であって、侵略的な日米軍事同盟を一そう強化するものであります。したがって、日本の真の独立と平和、中立を実現する道は、安保条約の廃棄と沖繩の即時・無条件・全面返還方向以外にないことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 春日君にお答えいたします。  春日君のお尋ねは、質問というよりはむしろ共産党の主張を一方的に述べられた、その感が深いのであります。もちろん時間もわずか五分でありますから、そういう意味でただいまのようなことになったのはやむを得なかったかと同情しながらお答えをいたしますので、お聞き取りをいただきたいと思います。その点で、共産党の方とは基本的に私どもは見解が違う。したがって、ちょっと議論がかみ合いにくいのでありますけれども、この国会を通じて国民各位が聞いておられますので、私は国民各位の御理解を得るという意味からも、大事な点等についてお答えをしてみたいと思います。  まず、米国沖繩日本返還するにあたって、特にその代償を求めておるというものはございません。この点をまずはっきりお答えしておきますから、誤解のないようにお願いしておきます。  また、政府日米安保体制のワク内で沖繩問題解決しようとしているのは、わが国の安全を確保するための当然の措置であります。これもはっきり共産党の主張とは違いますが、私どもは安保体制のワク内で問題を解決するんだということを申し上げております。  次に、政府わが国の安全のため、返還後も沖繩米軍基地が何らかの形で存続することを望んでおります。その基地本土と同様に、日米安保条約とその関連取りきめがそのまま適用されるようにしようとするものであります。その場合に、米軍の核持ち込みや米軍の自由な基地使用が行なわれないことは、本土の場合と全く変わらないのであります。しばしば言われるのでありますが、本土を沖純化するのではないかと言われますが、沖繩本土に帰るのであります。本土に復帰するのでありますから、ただいまのような本末転倒の御議論はなさらないほうがいいと思います。また、現在沖繩米国施政権下にあり、その基地日本が立ち入って検査することには問題がありますが、施政権返還後はわが国の領土となるわけでありますから、米軍政府の意思に反して核を隠して配備するようなことは絶対にあるべきはずがありません。  最後に、沖繩につきまして、安保条約以外の特別な取りきめは行なわないというのが政府基本的考えでありますから、この点も特に誤解のないようにお願いをしておきます。  いろいろ問題を提起されましたけれども、私はいま先ほど来答えた点以外のものについて申し上げたような次第であります。事前協議については何度も申し上げましたから重ねて申し上げません。また、アメリカ交渉するに際しましては、私どもは卑屈な態度ではもちろんアメリカ交渉はできないことであります。対等の立場において、われわれの主張すべきものは堂々と主張するということでございます。  以上でございます。(拍手
  34. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  35. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第二、簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長永岡光治君。    〔永岡光治君登壇拍手
  36. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいま議題となりました法律案の内容について申し上げます。  本案は、最近における社会経済事情の推移及び保険需要の動向にかんがみ、保障内容の充実をはかるため、簡易生命保険に傷害特約の制度を創設するとともに、保険金の最高制限額の引き上げ等の改正を行なおうとするものであります。  まず、傷害特約制度について申し上げますと、最近における交通事故などの増加に対処するため、養老保険などの従来の簡易生命保険契約に特約として付加するものでありまして、被保険者が不慮の事故により傷害を受けたとき、その傷害の程度に応じて保険金を支払うものであります。  次に、簡易生命保険の最高制限額の引き上げについて申し上げますと、現在保険金の最高額は百五十万円に制限されておりますが、国民の経済生活の安定を確保するため、これを二百万円に引き上げようとするものであります。  また、保険料の計算基礎及び積み立て金の計算方法について申し上げますと、現在は法律に定められておりますものを、社会経済事情の推移に即応する時宜に適した運用をはかるため、今後はこれを郵政大臣が定めることができるようにしようとするものであります。  逓信委員会におきましては、傷害特約制度創設の理由及び傷害の認定の基準、新種保険創設に伴う要員措置、運用利回りの向上策、保険業界における資本自由化への対応策等々について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録で御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終局し、別に討論もなく、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  37. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ——————————
  39. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第三、石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長丸茂重貞君。    〔丸茂重貞君登壇拍手
  40. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  本案は、昭和四十三年十二月の石炭鉱業審議会の答申に基づく対策の一環として、石炭対策特別会計の存続期限を昭和四十八年度まで三年間延長するとともに、同会計に借り入れ金の規定を設けるほか、石炭鉱業の再建整備を促進するための再建交付金を同会計の歳出の範囲に加える等、所要の規定の整備をはかろうとするものであります。  なお、本案は衆議院において、施行期日等について修正が行なわれております。  委員会におきましては、参考人として労使の意見を聴取する等、慎重に審査をいたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、共産党を代表して、渡辺委員より反対の意見が述べられました。  次いで採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、青田委員より再建交付金の交付条件をきびしくすること等の四項目を内容とする自民、社会、公明、民社四党共同の附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上報告を終わります。(拍手
  41. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  43. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) この際、日程に追加して、  国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。議院運営委員長徳永正利君。    〔徳永正利君登壇拍手
  45. 徳永正利

    ○徳永正利君 ただいま議題となりました法律案は、国会議員の秘書に対する従来の期末手当、勤勉手当の支給時期及び支給割合等を、昨年末に改正されました政府職員の例に準じて改正することをおもな内容とするものであります。  委員会におきましては、審査の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  46. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会