○上林繁次郎君 ただいま議題となりました
昭和四十二
年度決算につきまして、私は、公明党を代表して、佐藤
総理大臣並びに
関係大臣に対して質問を行なうものであります。
その第一は、補助金
行政についてでありますが、近年、国庫補助金の効率については
論議が繰り返されているところであり、特に、
効果の少ない零細補助金は、
政府当局の
施策としてもその整理が進められてきていることは御
承知のとおりであります。
私は、この零細補助金の整理について、一、二の例を示して
関係大臣の
答弁を求めるものであります。
一つは、日本
貿易推進本部に対する補助金一千百余万円について、またもう
一つは、日本口腔保健協会に対する補助金百余万円についてであります。両者とも、その補助金を受ける団体の実態は、いずれも
独立した人格を持たないものであります。前者については日本商工
会議所内にあり、その職員が職務を兼務しているものであり、後者においては厚生省内にあって、国家公務員たる厚生省の職員が事業の
推進を行なってきたものであります。すなわち、両者とも補助金を受けるために便宜上組織をでっち上げたと考えざるを得ないのであります。このように、形式的にはもっともらしく擬装された形の中で補助金を受けるというあり方は、ごまかしであり、
国民を愚弄するものであるといえましょう。また、このような補助金を整理すると称して、形を変えて庁費などの中に再び組み込まれているとも聞き及んでおりますが、このようなことは許されるべきでは絶対ない、このように思うわけでありますが、この点について、まず、
大蔵大臣に補助金
行政全般の効率化に対する所信をお伺いするとともに、通産、厚生両大臣からも御意見を伺いたいのであります。
第二に、資本の自由化ということに関連して、国産品愛用の点から
お尋ねしたいと思います。
四十二年七月の第一次資本自由化にあたっては、五十にのぼる業種が自由化されました。
内容的には外国企業が進出しそうなものはほとんどなく、国内産業に対する影響はあまりなかったと考 えられます。しかし今後は、第二次資本自由化など、いよいよ本格的な国際競争時代に入ると見られますが、このようなときを迎え、外国資本の強大な勢力との競争は必至であり、また、その時期に至っていると思うものであります。自由化がもたらす功罪については種々
論議が行なわれておりますが、そのマイナス作用として考えられることは、その一として、強大な資本力を背景にして独占的行動に出てくるということであります。またその二として、公正な競争秩序を乱すということ。また第三には、技術的独占を企てるなどであります。わが党においては、昨年十二月の本院
決算委員会で、具体的に外国系会社の独占販売政策を取り上げ、その典型的なものを指摘してきたのであります。もちろん公明党としましては、資本の自由、
貿易自由化ということについて、これを否定するものではありません。しかし、これはあくまでも国内産業が不当な圧迫を受けないということを
前提としているものであり、国内産業育成という観点を忘れてはならないことは申すまでもありません。その方途としては種々考えられることでありますが、その
一つとして、国産品愛用ということを
国民的な運動として盛り上げていくことが必要であると思うのであります。佐藤
総理は、昨年五月に、首相官邸の屋上から国産品愛用を
国民にアピールするための風船玉を飛ばし、その
推進に先陣を切っておられると聞き及んでおります。したがって佐藤
総理としては、当然国産品愛用という立場で、政策
推進をはかっておられると思うのでありますが、御見解をお聞きしたいのであります。また、
昭和四十二
年度決算額を見ますと、国産品愛用運動の
推進費として、二千余万円が
支出されております。この費目は、
昭和三十六
年度より連年計上されてまいりましたが、その
目的、
趣旨というものは那辺にあるのでしょうか。私は、三十六年に閣議了解事項となった外貨
改善の方途としての国産品愛用の
国民運動を強力に
推進するとの
決定事項と関連があると思うのでありますが、この費目の
支出された
趣旨、方途、
予算措置について、お伺いしたいのであります。特に、四十三
年度予算においては、この費目がなくなっているように見受けられますが、その
理由もあわせて明確にしていただきたいと思います。
第三に、現在、社会の注目を集めている厚生省の薬品認可に関する汚職事件について、
総理及び厚生大臣の所信をお聞かせ願いたいのであります。
薬品認可につきましては、これが人体に多大の影響を与え、人道的にも大きな問題をはらんでいることから、わが公明党では、認可は厳正であるべきだということをかねてより
政府当局に対して、厳重なる注意を促してきたのであります。一例をあげれば、四十一年二月の本院
決算委員会において、わが党の委員から、新薬の認可処理について、十分注意すべきことを指摘するとともに、詳細な
資料、特に試験官の名前などについて、
資料の提出を求めたことがあります。すなわち薬品認可について、業者と
関係当局とのとかくの黒いうわさを晴らさんとしたのでありますが、厚生省は言を左右して、その要求に応ぜず、一片の誠意も見ることができなかったのであります。はからずも、このたび新薬認可をめぐり、薬事専門官が汚職容疑で逮捕されるという不祥事が起きましたが、その原因を考えてみますと、厚生省自体がくさいものにふたをして、
決算委員会の要求
資料さえも満足に提出しないという、すなわち
国会軽視の態度こそ、その大きな原因であり、現在のうみになったと言えるのであります。厚生大臣は、このたびの汚職の
概要、てんまつを明らかにするとともに、今後の措置について、その所信を述べていただきたいのであります。
また、
総理は、行
政府のあるべき姿として、各種
行政について、
国会審議の上で必要な
資料の提出に誠意をもって応じない態度に対して、どうお考えになるのか。
国会において
審議することのすべては、
国民の利益保全のためであるとの基本理念に立って、明確な所信を表明していただきたいのであります。
また、昨年一年間、公務員の収賄容疑事件で、警視庁が手がけたものだけでも二十五件にのぼっていると
報告されております。この汚職の風潮は、まさに政治の危機とも言えると思うのでありますが、あわせて
総理の所見をお伺いするものであります。
以上をもって私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣佐藤榮作君
登壇、
拍手〕