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政府委員(
川井英良君)
売春防止法につきましては、まず最近の
運用の
実情でございますが、私
どものほうで
警察のほうから送致を受けて
受理いたしておりますまず概況をざっと申し上げますと、
昭和三十四年ごろをピークといたしまして、その後
検察庁で
受理いたしております
件数は、漸減と申しましょうか、順次減っておる
状況でございます。たとえば、
昭和三十五年には一万六千百三十一名を
受理いたしておりましたが、その後
昭和四十三年には七千八百九十三名ということでございますので、全体といたしましては
受理件数が約半分に減っているということが明らかでございます。
それから、その中で問題は、御
承知のように、
五条違反と普通言われております
勧誘等の
事犯と、それから
五条以外の
管理売春等のいわゆる
助長事犯というのが、大きく
二つに分けて
観察が必要だと思いますが、その
数字を一応当たってみますと、
勧誘等の
五条関係の
違反は、三十五年で一万一千八百五名でございましたが、昨年四十三年は四千三百十二名ということでありまして、これは半分ではありませんで、もっと減っていることが明らかでございます。一方、
五条以外の
助長事犯と言われておりますものは、三十五年には四千三百二十六名を
受理いたしておりますが、昨年度におきましては三千五百八十一名を
受理いたしておりますので、この
助長事犯のほうももちろん多少減ってはおりますけれ
ども、わずかの
減少を見せておる、こういうことでございます。
きわめて大ざっぱな
数字でございますが、
検察庁で
受理いたしております
数字だけから一応
観察を申し上げますというと、非常に減っておるということは全体として事実でございますが、減っております
原因は、
五条違反の
関係が著しく減っておるということでございまして、
管理売春等を含む
助長事犯のほうはそう著しく減ってはいないということが言えると思うわけでございます。
それから、
実情でございますが、御
承知のとおり、この種の
事件は、
法務省ないしは
検察庁がみずから乗り出して調べる、
捜査、
摘発をするというのではございませんで、第一次の
捜査権を持っております
警察が第一線に立ってこの
種事犯の現実の
捜査、
摘発に当たりまして、その中から
検察庁に送致されてきたものについて
法務、
検察がこれにタッチをしてその処理につとめておる、こういう
実情に相なっておるわけでございますので、あるいは後にまた
警察庁のほうから、具体的な
運用の
実情なりあるいは
売春自体の
実態なりというふうなものについて御
説明があろうかと思います。私
ども、
受理をいたしております
事件を
検察官が調べまして、一応若干の取りまとめた
報告を順次求めて法の
改正の
資料にいたしておるわけでございますが、そういうふうなものから見まして、この
現行の
防止法の
精神に沿いまして
——この種の
事件は、何と申しましても、この
売春という悪を助長するものは、
売春婦であるよりも、むしろその背後にあってこれを操作し、またそれによって非常な営利を得ておる
管理売春的ないわゆる
助長事犯というふうなものを徹底的に取り締まるということが最もこの種の
犯罪の撲滅のために必要であるという
意見が、
風紀検察を担当いたしております
検察官の圧倒的な
意見でございます。したがいまして、
現行法はそういうふうなたてまえに相なっておりますので、この
実態の面から見まして、私
どもの
立場といたしましては、やはり
現行法の
精神なりあるいはこの立て方なりというふうなものはこれでいいのじゃなかろうか、問題はむしろこの
運用にあるのであって、
警察当局とも十分に
連絡をとってこの
運用に全きを期していくということでかなりこの種の
犯罪に対して対処ができるのではないかというのが、この
犯罪の
発生実態にかんがみての私
どもの現時点における考え方でございます。
なお、もうちょっとそのほかにどういう
改正点が問題になっているかということを申し上げなければこの場合の御回答にならないと思うのでございますが、
単純売春を処罰すべきであるかどうかということがやはり大きな
問題点だと思いますので、この点につきましても
検討を進めております。
第二点は、この
売春の
相手方となる者を処罰すべきものであるかどうかという点がやはり大きな
法律上の
問題点だと思いますので、この点につきましても、いろいろな
資料を集めるとともに、その当否について
検討を煮詰めております。
それから第三点といたしましては、いわゆる
ひもを放置していいのかどうか、その
ひもについては
現行法上どういうふうな
取り締まりが可能であるかどうかというようなことについてやはり
検討をいたしております。
それから第四点といたしましては、
管理売春の
処罰規定が今日ありまするし、またかなり重い刑罰を持っておるわけでございますけれ
ども、いままで法が予想しておったような
形態ではなくて、新しい
形態の
管理売春が出てきておるという
実態に即しまして、
管理売春の
処罰規定はこのままでいいかどうかというようなことについてやはり
検討を遂げております。
なお、そのほかに
関連事項といたしまして、これは
あとから
矯正局長から御
説明があろうかと思いますが、
補導処分の
期間の
延長の問題でありますとか、あるいは
厚生省の
所管になると思いますが、
婦人相談員の
設置義務の拡張とその常勤が、
予算を伴う問題でございますけれ
ども、
厚生省関係の担当されておる問題というものにつきましても、
刑事局としましても、あわせて
関係当局と
連絡をとりまして
検討いたしておる、こういう
実情でございます。