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亀田得治君 きわめてたよりないことになりますね、そういうことになりますと。人事の停滞といったような
あとからくっつけたような行政的な基準というものが大きく支配することになるのですよ、結論的に申し上げると。十年の切りかえ時期においてその
裁判官がさらに再任を希望しているという場合には、その
裁判官が憲法七十六条に示された原則に従って忠実に仕事をしてきているという
裁判官である以上は再任しなければならないと思っているのですよ。そういう
裁判官であっても再任しないで済むという考え方を最高裁が出されるのだったら、これは非常な大問題になると私は思います。そういう良心的な忠実な
裁判官であっても、たとえば転所に応じない、行政的な理由で再任をしないということになると、これはもう憲法並びに
裁判所法の身分保障の規定は事実上吹っ飛んでしまう。皆さんは形式上、いや転所の保障は十年間だけで、こういう説明をしておられるのですが、そうじゃないんですよ。憲法ではちゃんと身分保障についての基本原則を書き、さらに
裁判所法がそれを受けて、転所をも含めたことを書いているわけですね。これを十年だけだというふうに押し込めて解釈することは、現在の司法
制度、
裁判官の現状から見て、非常なこれは間違った解釈に私はなると思います。それは、旧憲法はもちろん、一般の国家公務員以上に不利な
立場に
裁判官が置かれることになりますよ、行政上の
立場から言えば。ともかくも、最高裁の行政当局が考えるように、あっちへ行きこっちへ行きしてくれたほうがそれは都合がいいでしょう。だけれ
ども、その点を保障しているわけなんですが、そうして現状では、ぼくらこういう
制度ができたときのいきさつというものは若干聞いておりますが、行政上の理由なんということじゃないのですよ。それは現在任命される
裁判官が適当かどうかわからない、むしろそっちのほうが大きいんですよ、適、不適のほうが。一度に
裁判官を全部新たに求めるといったって、できはせぬ、事実上。最高裁の
裁判官もそれに合わしてじゃ十年に一ぺん検討しようか。これはあくまで実質的な適、不適の観点から言われている問題なんです。それをいつの間にか行政の人事の停滞とかそんなことをあなたくっつけて、これは行政当局が苦労すべき問題なんです、そんなことは。その苦労を緩和するために基本線を侵すということは、これは許されませんよ。だから、端的に言えば、
本人が希望する以上、そうして
裁判官として適任者である以上は、これは再任の義務がありますよ、現状では。そうしなければ、身分保障という趣旨にはずれてくるのです。本件に関して事務総長も、
新聞等で拝見したのだが、きわめて形式的な解釈を出しておりますがね、私は一般の
裁判官はああいう
手続は納得せぬと思うのですね。しかも、いまお聞きしますと、再任するかしないかの検討の基準ですね、これがきわめてあいまい。人事の停滞というようなことをいつの間にか
一つの大きな柱として織り込んでくる。これじゃ独立の性格を持った各
裁判官の
立場と矛盾してきます。これはどうですか。事務総長もそういう形式論一点ばりでいって差しつかえないと思っているのですか。私はこれは非常に重要な問題だと思う。