○秋山長造君 ちょっと関連して。この機会にお伺いしておきたいんですが、私は
国会図書館で、ローカル新聞のつづりがずいぶんありますが、あれをときどきめくってみて、依然としてこの種の
差別事件あるいは
差別問題を中心にしたいわゆる
刑事事件的なものがあちこちありますね。これは実際、お互いにはなはだ遺憾だし、実に悲しい気持ちがいつもするんです。いまの問題についても、先ほど
松本、
亀田両
委員からいろいろな角度からお尋ねがあったんですが、
尾崎議員の
差別的発言、なるほどこれは物理的な暴力じゃないかもしれぬけれども、しかし質からいいますと、これは
一つや二つ頭をなぐられたよりもつらいんですよ、こういう
差別的な
発言を投げつけられるというのは。これはもうお互いよく考えてみればわかることだけれども、これは物理的な暴力以上のはるかに大きい暴力ですよ、
差別的言辞を弄するということは。だから、そういう事情が前提にあってのことですから、ですから、なるほど
警察のほうでは、
刑事事件、何か暴言、乱暴なことばを吐いたというそこだけを取り上げてやられれば、それはあるいはおっしゃっておるような
暴力行為等処罰ニ関スル法律というようなものの適用になるという解釈も成り立つのかもしれぬけれども、しかし、やはりこういう
差別問題というようなものに関連して起こった
刑事事件というようなものの扱いについては、これは
警察のほうもよほど慎重にやはり配慮をされてしかるべきじゃないかという感じがするのです。だから、さっきも
松本君が
質問されましたが、これは
尾崎議員のほうからはよく
警察のほうで話を聞かれて、しかしまあこれを客観的に見れば、
尾崎議員の一方的ないわば
自分に都合のいい
発言だけを聞かれたと言われてもこれはしかたがないと思います。それで、
警察のほうが直ちに
判断をされて、それでいきなり機動隊を動員して
逮捕という荒っぽいことにすぐ出られたということは、どうもいまの話だけ聞いておって、ちょっとそこらの、さっき言ったようなこまかい心づかい、配慮というものが十分でなかったのじゃないかという感じがするのです。
亀田委員のおっしゃったとおり、やはり
尾崎議員のほうが
差別的言辞を弄しておらなければ、何もこんなことは起こることはないのですから、種をまいた当人の話だけ聞いて、それに激高して
尾崎宅へ行ってやりとりをしたという片一方の話は何も聞かないで、いきなり
暴力行為等処罰ニ関スル法律によって
逮捕というのは、ちょっと一方的でもあるし、この種の
事件の扱いとしては、私はこまかい配慮、特に
部落問題なんかが国の大きな政治上の問題として取り上げられて、総理大臣以下、いまも
西郷法務大臣再三おっしゃられたとおり、
人権問題としては一番深刻な重大問題としてお互い取り組んでいこうとしておるときですから、なおさらやはり
警察の面でもそういう配慮というものを十二分にぼくはやってもらいたいという気がするのですが、だからそれはなかなか単なる
法律論だけで片づかぬですよ。この
差別問題というのは、これだけ深刻な問題ですから、どうもこの場合にもうちょっと配慮が足りなかったのじゃないかという気がしますね。つり合いがとれぬですよ。だから、こういう問題についての扱いについて、
警察庁なり何かで地方の県警をどのように指導しておられるのかどうか、あるいはまた、
法務省のほうでも、一線の
検察庁あたりに、この種の問題の扱いに対する何か
一つの指導というものがなされておるのかどうか、そこらを聞いておきたいのです。
それから同時に、前段の中で、事前に任意出頭とかなんとかで呼んで、片一方のほうの話も十分聞いた上で、なおかつやはりこれはこの
法律をやるべきだというふうに
判断されるなら、そのときに
身柄を拘束されたらいいことじゃないかと思うので、しかも初めての問題ではないでしょう。新聞を見ると、
小松島というところは、従来何回か、
市会議員の不用意な
言動、
差別的な
言辞を弄したために大きな
差別事件を起こしてきているんですから、
警察当局にしても、
検察庁あたりにしても、そういう事情というのは当然御配慮の中にあってしかるべきだと思うんです。にもかかわらず、どう見てもつり合いのとれぬ、一方的にいきなり乱暴にぱっとやられた感じなんですね。だから、なかなかこれは納得せぬと思うんです。私ら聞いておって、どうもしっくりせぬ、いかがですか。