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政府委員(
村山松雄君)
大学設置基準でありますが、これは国・公・
私立を通じまして、
大学をつくりこれを維持させる場合の最低の基準という性格で、現在は昭和三十一年度に制定、公布されました
文部省令という形になっております。そこで
内容は、
学部、学科、講座、教員組織等の基準、それから教員の資格要件、それから
授業科目、これが一般教育科目、専門教育科目、外国語、保健体育、基礎教育等に分かれて、どういう系列でどういうものが基本的に取り上げられるというようなことが書いてございます。それから所要単位、単位の計算
方法、たとえば一単位は講義によるものは毎週一時間十五週の講義をもって一単位とするというような単位の計算
方法がきめてございます。それからたとえば
授業、三十五週にわたって二百十日を
授業するのが原則であるというようなことが書いてございます。それから教育課程の編成の
方法、教育課程は必修、選択に分け、各年度に分けて編成するというような基準が書いてございます。それから卒業の要件といたしまして、
大学を卒業するには四年間に一般教育、専門教育等を含めまして百二十四単位をとるというようなことが書いてございます。それから校地、校舎等、物的
施設設備の基準、それから付属
施設のこと、それから図書等の基準、それから事務組織、それから外国人教育の場合の特例というようなことが、要するに
大学をつくり、これを維持する場合の最低基準というかっこうになっております。
沿革を申し上げますと、三十一年に
文部省令になる前は、御
質問のありました
大学設置審議会の審査基準、審議会がみずからきめる審査基準という形をとっておりました。
さらにそれの制定当時のいきさつまでさかのぼりますと、現在の
学校制度は、昭和二十二年の
学校教育法によってきまったわけであります。
学校教育法の制定によりまして、小
学校から
大学までのいわゆる新制度への編成がえが行なわれたわけであります。下から順次、なるべく早くということで、
大学につきましては昭和二十二、二十三年の二年間に準備をやったわけであります。当時は占領行政なんかの関係もありまして、
大学の基準であるとかそういうものは、なるべく
大学人の自主的な
意見を尊重するということで、民間団体といたしまして
大学基準協会というのが、率直に言えば司令部の肝いり、
大学人の
話し合いによってできました。これは現在では財団法人になりまして現に存在しております。その
大学基準協会において、新制
大学というのはいかにあるべきか、その基準をどうするかということを議論いたしまして、そこで
大学基準の案をつくりました。それで実際に、
学校教育法で公立
大学は
文部大臣の認可制度になりましたし、認可をするに
あたりましては、
大学設置審議会に諮問をしなければならないという規定が定められましたので、民間団体であるところの
大学基準協会とは別に、
文部大臣の諮問機関といたしまして
大学設置審議会が昭和二十三年に発足いたしました。
大学設置審議会の構成といたしまして、民間団体である
大学基準協会やその他の
大学団体との関連を考慮いたしまして、発足当初は
大学設置審議会のメンバーは総員四十五人でありまして、その半数を基準協会、その他を、これも漸次変遷がございますが、今日の組織で申し上げますと、
国立大学協会でありますとか公立
大学協会、
私立大学、いま三つに分れまして連盟、協会、
懇談会となっておりますが、発足当初は私学団体は一本でございました。そういう私学団体、それから関係行政庁の職員、学識
経験者というような構成で四十五名のメンバーから成る
大学設置審議会ができまして、そこで、
大学設置審議会では、
大学を審査すべき基準として、
大学基準協会がつくりました
大学基準の案をみずからの審査内規として若干の修正を加えまして、ほぼそのまま採択して、これをものさしとして
大学の審査に当たったわけであります。
そこで、法的に申しますと、公
私立の
大学を
文部大臣が認可をする場合には、
大学設置審議会に諮問しなければならないということになっておりますので、公
私立大学の認可につきましては、設置審議会の審査というのは法律上の必要要件になります。
国立大学につきましてはそのような規定が
学校教育法にはございませんので、
文部大臣としてはみずから
大学の基準にあてはめて設置をして、
国立学校設置法をもって審議を経れば法律上の所要手続としては足りるわけでありますが、昭和二十三、四年の当時の関係者の
話し合いもありまして、
内容的な実質的な基準については、公
私立大学と同等に扱うのが適当であるという判断のもとに、公
私立大学同様、
大学設置審議会に
意見を聞き、その
意見をもとにいたしまして所要の予算的、法律的な
措置を講ずることにいたしました。それらの諸手続は、大体、実際問題としては並行的に行なわれます。以後ずっとそのような形でやっております。設置審議会の構成とか、
大学基準の性格等につきましては、先ほど来申し上げますように、若干の変遷がございましたけれ
ども、大筋はずっとそのような方向でやっております。
したがいまして、手続を申し上げますと、毎年、翌年度に
大学を設置しようとするものは、九月の末日までに
文部大臣に設置認可の申請をいたします。
文部大臣は九月末日に締め切りました
大学設置認可の申請書を
大学設置審議会に諮問いたします。これと並行いたしまして、
国立大学につきましては、七、八月に
大学の
意見を聞いて大蔵省に予算の概算要求をいたすわけでありますが、概算要求で
学部、学科の設置を一応
文部省として
考えましたものにつきましては、公
私立大学の設置認可申請の期限であるところの九月末日までに同じように
大学設置審議会に対しまして必要書類を整えまして設置の可否につきまして
意見を伺います。その後の手続といたしましては、公
私立大学は法律上の必要要件でありますし、予算、法律という関係がございませんので、これを先に設置審議会は審査いたします。おおむね公
私立大学につきましては年度内に翌年度設置の可否を判断して
文部大臣に
答申し、
答申に基づきまして
文部大臣から認可書を設置者に交付するという手続をとっております。なお、
私立大学につきましては、
大学設置審議会において
大学設置基準に照らして教育上の組織としての可否を判断するほかに、
私立大学審議会に諮問いたしまして、
学校法人としての可否、経営能力といったようなものを別途審査いたします。
文部大臣としては私学の
学部等につきましては、
大学設置審議会の
答申と、それから
私立大学審議会の
学校法人の面からの
答申とあわせまして、設置認可の手続をいたします。
国立大学につきましては、予算が見込みがなければその可否を論じても実質上
意味がございませんので、予算の
政府原案がまとまりました
段階で設置審議会では実質的な審査を始めます。そうしまして、大体年度内には可否を決します。したがいまして、
国立学校設置法の御審査を願っておる間に設置審議会の
意見も固まるわけであります。現にお願いいたしておりますところの三重
大学につきましては、もちろん設置審議会のほうもよかろうという御
意見をいただいておるわけであります。そこで、予算が成立し、
国立学校設置法も成立いたしますと、この三つの、行政的、予算的、法的手続が完了して初めて発足、こういう順序になるわけであります。