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国務大臣(
坂田道太君) 私はたびたびお答えするように、
国民に対して私は非常に
責任を持っておるわけでございます。したがいまして、一日もそういう空白のないような事態を望んでおるわけなんです。したがいまして、最終的には
文部大臣が任命権者でございますから、任命しない以上はその間原さんが当然事務取扱として代行していただくということだと思います。そしてもし原さんがどうしても病気でできないという場合はどなたかかわりを選ばれるということが望ましいと私は思うんです。それで、たとえば東大の学長につきましてはきまりましたが、やはり何か病気等のことがあることを
考えて、たとえば理学部長を第一次の代理とされる、その人がまた病気というような場合は平野法学部長を代理にするというような、ちゃんとしたあたりまえのことをやっておられるわけであります。それから北大等につきましても、私
たちは同じような御
質問がございましたし、照会をいたしておるわけでございますが、ここはまた非常にすなおに、学長さんはあたりまえのこととして
東京にお出ましになりまして、あるいはそのことだけじゃなかったかもしれませんけれども、
文部省に参られまして次官といろいろ話をされました。
文部省の真意はわかったということで、お帰りになってよく評議会とも相談をしてみたい、こういうことになっておる。また今度阪大の学長さんにしましても、おいでになりまして事務次官とお話をされまして、そしてまたお帰りになっていろいろ研究をされておる。こういうことなんでございますから、私どもが申しますように、井上さんの真意を明らかにされるということがまず第一じゃなかろうかというふうに思うわけなんです。しかも私は、たびたび申し上げるように週刊誌やその他の、新聞その他の
一つの片言隻句をとらえて問題にするということはいかがかという
立場で問題を
考えておるわけでございます。したがいまして、加藤学長も就任に際しまして申しておるように、全体の中の一部を取り上げてとやかく言うこと自体が問題じゃないかという批判もしておるわけなんです。しかし私はむしろそのことを申し上げておるので、全体の中における一部というような御
説明があってしかるべきじゃないだろうか、新聞社に対してはそういうことを申し述べておられますけれども、私が任命権者として、直接の
機関を通じてそういうことを申し開き、というと非常に何というかかた苦しいことでございますけれども、出ていらっしゃって正々堂々とお述べになって何も差しつかえのないことだというふうに私は思うわけなんでございます。そういう意味合いにおいて、一日も早くそういうことを明らかにしていただきたい。そして、その上でひとつ私は
考えていきたいということなんで、あの問題それ自体を取り上げれば、これは庶民的感情から申しますとあるいは
国民的感情から申しますと、大学の仕組みとかあるいは従来のやり方とかいうことがなかなか理解ができませんので、直接その
ことば自体でもってこれははなはだ不適当である。そういう人を
一体国のいわゆる国立大学の
責任者にするということはどうなのかという議論が実は出てくる。また、現にそれを反映して各党からもこの国会においていろいろ議論がなされておるわけでございます。国会で議論がなされておるということは、同時に
国民のある部分に非常に疑惑とあるいは不安とを
感じておるという証拠であります。第一義的にはあくまでも大学自治のたてまえから大学みずからが社会に対し
責任を果たさなきゃならない、そういう
立場にあるわけです。
文部大臣といたしましては、言うなら間接的にでございますけれども、終局的にはまた私は
国民に対して
責任を負わなきゃならない。そういたしますと、そういう一部の不安や疑惑に対して、私は主権者たる
国民に対して何らかの申し開きをする
責任と義務があると私は思っておる。国会で問題になっておるということはまことにそうだと思うのです。それが任命するかしないかという問題を離れまして、いかに
国民からの疑惑あるいは不安というものがございましてもそれに対してこたえる義務があると私は思うのです。その場合に、何らの材料もなく、しかも単に一片の週刊誌やあるいは新聞記事等をもってあの方の真意はこうでございますと言ってみましても、そのことについて私は
国民としては納得をしないと思うのでございまして、その意味においてむしろ私はこういう問題は非常に公正に取り扱わなければならない。同時に、たとえこれが任命がされるとかされないとかいうことは別として、あるいはその自治の中核というものは
人事権にあるということくらい私も承知をいたしております。しかしそれで
法律に違反しないから何ごとをやってもよろしい、どういうことをしゃべってもよろしいという筋合いのものではなかろうと私は思う。特に自由社会におきましては、その
最高学府のいわゆる長として、
国民に対して直接
責任を持たなければならない人としては、その言動というものをおのずと常識の線に
考えていただかなければ、庶民感情や
国民感情ということを無視することにつながるというふうに私は思うわけでございまして、その意味合いにおいて、私は真意をただすという意味合いにおいて照会をいたしておるわけでございます。いやしくも
人事権に介入したり、あるいはまた自治を侵すというような
考え方は毛頭
考えておらないことをはっきり申し上げておきたいと思います。