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説明員(野津聖君) 昨年来、消費者保護基本法が成立いたしました際のいろいろな御審議の中で、食品衛生法の実効——いま御
指摘いただきましたように、現在の社会情勢の変化によりまして当然この食品衛生法についての改正の問題について、さらに実効あるものという御決議もいただきましたわけでございまして、その面からいわゆる食品に関します消費者保護
行政をいかに進めていくかという面からずっと検討を続けてまいったわけでございます。また、すでに御承知と思いますけれ
ども、
厚生省の仕事といたしまして、
国民保健ということが
厚生省の仕事になっておりますものですから、
国民保健の見地からいわゆる食品につきまして表示制度を充実していくという面を重点といたしまして、食品衛生法の改正につきましていろいろ検討を続けてまいったわけでございます。しかし、いろいろな面を規制を加えてまいります際に、実際にその規制を法律で加えましても、これが実際に具体的に規制として成り立たない、あるいは
実行をしにくいというふうな問題があったのでは、これはせっかく法律をつくりましてもこれが実効のある問題とはならないというふうな問題がございます。たとえば技術的に実際にそういうふうな表示をさせた場合に、これがほんとうの表示であるか虚偽の表示であるかということが、まあある原材料などをまぜた場合に、これを現在具体的に分析することができるかどうかというふうな問題もあるわけでございますが、さらにはいろいろな規制を加えました際に、これに対します監視
体制というふうなものを十分
整備しておりませんと、空文になりまして、せっかく私
ども実効を期したいという面が
実行できない面があるんではないか、そういうふうな面がございましたもんですから、いろいろ検討を続けてまいりました。さらにほかの、先ほど
お話もございましたように、景表法の問題あるいは農林物資規格の問題、あるいはほかの制度等の問題もございます。したがいまして、この点を十分詰めていくということ、あるいは具体的にこういう問題があるからこれについては当然規制をしなければいけないと、しかもこれは法律の改正まで持っていかなければ規制できないんだと、こういうふうな問題などについていろいろ検討を続けてきたわけでございますけれ
ども、多少その辺もいわゆる
実行ができる法の施行
体制というふうなものを、技術的なりあるいは
体制的なりの問題というものをできるだけ
整備してからいきたい、こういう面がございまして、時間的な問題がございまして、今度の
国会に提出するということは非常に困難な状態になってきました。しかしながら、現在の食品衛生法、御承知のように、衛生上の危害の発生を防止するという中でも、やはり私
ども従来までやってまいりました中で多少不備もございまして、
国民の方の御要望に沿えない点もあったというふうに感じておりますものですから、その面につきまして現行法の範囲内でも、その現行法の目的を精一ぱい拡大いたしまして、その中で規制できますものにつきまして、これは政令なりあるいは省令なりの改正をとりあえず実施するということで現在鋭意検討いたしております。これはできるだけ早い機会に政、省令の改正へもっていきたい。さらに、これで食品衛生法の改正についてあきらめたわけでございませんで、やはり前向きの
姿勢でこの食品衛生法の改正の問題につきましては引き続き検討を続けておりまして、できるだけ
国民の保健というものを担当しております
厚生省の
立場という面から前向きに検討していきたい、こういうことでございます。ただ、一般に言われております食品法の場合、はたして総括的に私
ども国民保健という
立場からの規制の問題、あるいは実際に消費者の側から見ました場合に、経済的な損失を防ぐというふうな問題とあるわけでございまして、この経済的な損失を防ぐという面までも含めました形でその食品法というものを制定する場合でございますと、どうも私
どものいわゆる食品衛生という
立場からではうまくいかない問題がございます。したがいまして、これを担当し、
関係しております各省庁とも十分御相談申し上げながら、あるいはむしろ経済企画庁のほうに音頭をとっていただきまして、
国民の
立場に立った形での経済的な損失までも防止するという形での大きな意味の食品法というものは十分詰めながら検討していかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。