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1969-07-10 第61回国会 参議院 農林水産委員会 第31号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十四年七月十日(木曜日) 午前十時三十六分開会
—————————————
委員
の
異動
七月九日 辞任
補欠選任
山本敬三郎
君
亀井
善彰
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
任田
新治
君 理 事
高橋雄
之助君 宮崎 正雄君
達田
龍彦君 矢山 有作君 藤原 房雄君 委 員
亀井
善彰
君 河口 陽一君
久次米健太郎
君 小枝
一雄
君 櫻井 志郎君 園田
清充
君
田口長治郎
君 森 八三一君 和田 鶴一君 杉原
一雄
君 武内 五郎君
鶴園
哲夫君 中村
波男
君 沢田 実君 河田 賢治君
国務大臣
農 林 大 臣
長谷川四郎
君
政府委員
農林大臣官房長
大和田啓気
君
農林省農政局長
池田 俊也君
農林省農地局長
中野
和仁
君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
農地法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、衆
議院送付
) ○
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
(第五 十八回
国会内閣提出
、第六十一回
国会
衆議院送 付)
—————————————
任田新治
1
○
委員長
(
任田新治
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について報告いたします。 去る八日、
川村清一
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
足鹿覺
君が選任されました。 昨九日、
山本敬三郎
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
亀井善彰
君が選任されました。
—————————————
任田新治
2
○
委員長
(
任田新治
君)
農地法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 まず
政府
から
趣旨説明
を聴取いたします。
長谷川農林大臣
。
長谷川四郎
3
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君)
農地法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及び主要な
内容
を御
説明
申し上げます。 戦後の
農地改革
により広範に
自作農
が創設され、これによって
わが国
の
農業生産力
は画期的な発展を遂げ、
農業者
の
経済的社会的地位
の
向上
をもたらしたのみならず、戦後における
日本経済
の復興と繁栄に大きく寄与したことはあらためて申し上げるまでもありません。
現行農地法
は、このような
農地改革
の
成果
を維持するという大きな
使命
をになっているものであります。 ひるがえって、
わが国
の
農業
の現状を見ますと、
国民経済
の
高度成長
が
農業就業人口
の急速な減少と
兼業化
をもたらし、その過程を通じて
農業生産
の
選択的拡大
と
農業機械化
が進んだものの、
経営規模
はなお零細であり、このため、
生産性
の
向上
をはかるにもおのずから限界があることを否定し得ない
実情
にあります。 したがいまして、
農業
の
生産性
を高め、
国民食糧
の安定的な供給と
農業従事者
の所得の増大をはかるという
農政
の
基本目標
を実現するためには、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって効率的に
利用
されるようにその
流動化
を促進し、
農業構造
の改善をはかることが肝要であります。
政府
といたしましては、このような観点から
農地法
の
改正
をいたすこととした次第であります。 なお、この
法律案
は、第五十八回
国会
に提出し、
審議未了
となったものとほぼ同一の
内容
でありまして、本
国会
に再度提出したものであります。 次にこの
法律案
の主要な
内容
について御
説明
申し上げます。 第一は、
農地法
の
目的
についての
改正
であります。これは、以上述べました
趣旨
に基づき、
土地
の
農業
上の効率的な
利用
をはかるためその
利用関係
を調整することを
現行農地法
の
目的
に追加するものであります。 第二は、
農地等
の
権利移動
の
制限
についての
改正
であります。 まず、近年における
農業技術
の
進歩等
にかんがみて、本人またはその家族がみずから
農作業
を行なうのであれば
上限面積
の
制限
や
雇用労働力
の
制限
を設けないこととするとともに、
兼業化
の
進行
に照応して
下限面積制限
を五十アールに引き上げることとし、また、国が
売り渡し
た
農地
につきましては、その
売り渡し
後十年を経過したものはこれを貸し付けることができることとし、さらに
農業経営
の
規模
の
拡大
、
農地
の
集団化等
をはかるため
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
が
農地等
の
権利
を
取得
することができることとして、
農地
が
農業
に専念する
農家
により効率的に
利用
されるよう配慮したのであります。 第三は、
集団的生産組織
の
育成
と
土地
の
効率的利用
に資するため、
農業生産法人
の
要件
を
実情
に即して
緩和
することとし、その
法人
の役員の
過半
が
農地
の
提供者
であり、かつ、
農作業
に常時従事するものでなければならない旨の
要件
を課して、従来の
借入地面積
の
制限
、
雇用労働力
の
制限等
は廃止することといたしております。また、
農業協同組合
が
組合員
から
農業経営
の
委託
を受ける場合には、
農地
の
権利
の
取得
を認めることといたしております。 第四は、
小作地
の
所有制限
についてでありますが、さきに述べました
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
または
農業生産法人
に貸し付けられている
小作地
及び
農業協同組合
に対し
農業経営
の
委託
がされている
小作地
につきましては、
小作地
の
所有制限
をしないことといたしますほか、
農業
をやめて
住所
を他へ移した場合に、従来住んでいた
市町村
の
区域
内に
所有
していた
農地
につきましても在村の場合と同じ
面積
まで
小作地
の
所有
を認めることといたしております。これらは、いわゆる旧
地主制
の
復活
を意味するものではなく、他
産業
に従事しようとする
農家
の
所有
する
農地
が効率的に
利用
されるよう配慮したものであります。 第五は、
農地等
の
賃貸借
の
解約
、
更新拒絶等
についての
規制
を
緩和
することとし、
賃貸借
について
合意
により
解約
する場合及び十年以上の
期間
の
定め
のある
賃貸借
または
水田裏作
の
賃貸借
についてその
更新
をしない場合には、
許可
を要しないことといたしております。 第六は、
小作料
の
最高額統制制度
を廃止することといたしております。これは、
農業者
の
経済的社会的地位
が
向上
し、また
雇用
の
機会
の増大した現在では、
当事者
の自由な
契約
にゆだねても
戦前
のような高額の
小作料
が発生する
余地
は、一般的にはないものと判断されるからであります。しかし、現に存する
小作地
につきましては、
小作農
の
経営
に急激な
変化
を与えることを避けるため、なお十年をこえない
範囲
内において
政令
で
定め
る日までは
小作料
の
統制
を続けることといたしております。 以上の
賃貸借
に関する
規制
の
緩和
により、他
産業
に従事する者がその
所有
する
農地
を
農業
に専念する
農業者
に貸しやすくなり、
土地
の
効率的利用
に資することとなると考えるのであります。 第七は、
草地利用権設定制度
の新設であります。 これは、
畜産物
の
需要
の
増加
に対応して
飼料
の
生産基盤
の
拡大強化
をはかるため、未
利用
の
里山等
につきまして、
市町村
または
農業協同組合
が
共同利用施設
として
草地造成
をする必要がある場合に、それが
国土資源
の
利用
という
総合的見地
から妥当とされるときは、
一定
の手続のもとに
草地利用権
を
設定
することにつき
所有者等
に
協議
を求め、これがととのわないときには
都道府県知事
の裁定を受けることができる
制度
であります。 以上が、本
法案
の
提案
の
理由
及びその主要な
内容
であります。 何とぞ、慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
任田新治
4
○
委員長
(
任田新治
君) 次に、
補足説明
及び
関係資料
の
説明
を聴取いたします。
中野農地局長
。
中野和仁
5
○
政府委員
(
中野和仁
君)
農地法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由
を補足して御説明申し上げます。 本法案を提出いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由説明
において申し述べましたので、以下その
内容
の概略を御説明申し上げます。 まず第一に、
農地法
の
目的
に関する第一条の
改正
について御説明申し上げます。
現行
の
農地法
は、
農地改革
の成果を維持し、いわゆる旧
地主制
に逆行することを防止するという
使命
をもって制定されたものでありますが、制定後今日までの十数年間にその
使命
を十分に果たしてきたものと評価されるのであります。しかしながら、最近における
農業技術
の進歩や
社会経済事情
の
変化等
から見ますと、さらに新しい時代の
農業
の要請にこたえ、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって効率的に
利用
されるようにすることが必要となっておりますので、
農地法
の
目的
に「
土地
の
農業
上の効率的な
利用
を図るためその
利用関係
を調整すること」を追加することといたしております。 第二に、
農業生産法人
の
要件緩和
に関する第二条の
改正
について御説明申し上げます。
現行
の
農業生産法人
の
要件
のうち、その
法人
の
構成員
以外の者からの
借入地面積
がその
経営
総
面積
の二分の一未満であること、その
法人
の常時
従事者
たる
構成員
が
議決権
の過半数を保有していること、その
法人
の
必要労働力
のうち
雇用労働力
の
割合
が
一定率
以下であること及び
出資配当率
が
一定
の
割合
をこえないことという
要件
を廃止いたしまして、これらの
要件
にかえて、その
法人
の
理事等業務
の執行に当たる者の過半がその
法人
への
農地等
の
提供者
であり、かつ、その
法人
の
農業経営
に必要な
農作業
に常時従事する
構成員
でなければならないことといたしております。この
改正
は、
集団的生産組織
の育成と
土地
の
効率的利用
に資するためのものであります。 第三に、
農地等
の
権利移動
の
制限
に関する第三条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。 その一は、
農地等
の
権利
を
取得
する場合の上限及び下限の
面積制限
の
改正
であります。これは、近年における
農業技術
の進歩、
兼業化
の
進行等
の情勢の
変化
に対応して、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって
利用
されるように配慮したものであります。 まず、
現行法
では、
農地等
の
権利取得
の結果、
農地
についていえば、
北海道
では十二ヘクタール、
都府県
では平均三ヘクタールをこえることとなる場合には、
権利取得者
またはその
世帯員
が主として
自家労働力
により効率的に
農業
を行なうことができると認められるときでなければ
許可
できないこととしているのを改め、
農地等
を
取得
しようとする者またはその
世帯員
がその
取得
後において
農業
の用に供すべき
農地等
のすべてについてみずから
農業
を行ない、かつ、その
農業
に必要な作業に常時従事すると認められる場合には、
面積
及び
雇用労働力
についての
制限
をせずに
許可
できることといたしております。 次に、いわゆる
下限面積制限
については、
現行制度
では
農地等
の
取得
前における
農地
または
採草放牧地
の
面積
のいずれかが三十アール以上なければならないことになっておりますのを、その
取得
後五十アール以上の
規模
になれば、
取得
前の
面積いかん
にかかわらず、
農地等
の
取得
を
許可
できることといたしております。なお、地域の
実情
に応じて、
都道府県
の
区域
を分けてこの
面積
の特例を
定め
ることができる旨の
現行
の
規定
は、存続させることにしております。 その二は、国から
売り渡し
を受けた
農地等
については、
現行制度
では永久に貸し付けることが禁止されておりますが、
売り渡し
後
相当
の年数がたちますと事情も変わりますので、これを改め、
売り渡し
後十年を経たものについては、その
効率的利用
がはかられるよう貸し付けができることといたしております。 その三は、
農地等
の
取得者
に対して、その
土地
を効率的に
利用
すべき旨の要請を強めることとし、
通作距離等
から見て
農地等
の
取得
後においてそれを効率的に
利用
して
農業
を行なうことができると認められない場合には、
許可
しないことといたしております。 その四は、
農業協同組合法
の一部
改正法案
において
農業協同組合
が
委託
を受けて
農業経営
を行なうことができることとしていることに対応して、この場合に
農業協同組合
が
農地等
の
権利
の
取得
をすることができることといたしたのであります。なお、
農業経営
の
委託
に伴う
農地等
の
権利
の
取得
は、
農業協同組合
が
委託
を受ける場合に限り認めることとし、それ以外の場八州にはこれを認めない旨の
規定
を設けることといたしております。 その五は、
農業経営
の
規模
の
拡大
、
農地
の
集団化等
をはかるため
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
が
農地等
の
権利
を
取得
する場合には
許可
できることといたすとともに、その
法人
が
農地保有合理化促進事業
のために
農地等
を転貸する場合にも
許可
できることといたしております。 なお、以上のほか、
農地等
の
権利移動
の
制限
に関しましては、
現行制度
では
小作地等
はその
土地
の
小作農等
以外の者に譲渡できないことになっているのを改め、
小作農等
の同意がある場合にはその
土地
が
農地等
の買い受け資格を有する第三者に譲渡されることを認め、差し押えまたは仮差し押えを受けた
自作地等
については、その後それが貸し付けられて
小作地等
となっても
強制執行等
によりその
小作農等
以外の者へ
所有権
が移転されることを認めることといたしております。 また、
農地等
の
権利移動
についての
許可権限
につきましては、
実情
に即して整備することとし、
農地等
の
権利
を
取得
しようとする個人がその
住所
のある
市町村
内の
農地等
について
権利
を
取得
しようとする場合には
農業委員会
を
許可権者
とし、その他の場合、すなわち他
市町村
内の
農地等
の
権利
を
取得
する場合とか、
権利
を
取得
する者が
法人
である場合等においては、
都道府県知事
を
許可権者
といたしております。 第四に、
小作地等
の
所有制限
の例外を
定め
ております第七条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。 その一は、
一定
の
要件
のもとに、
住所
のある
市町村
の
区域
の外にある
小作地
の
所有
を認めることといたしておることであります。すなわち、
現行制度
では
住所
のある
市町村
の
区域
の外にある
小作地
につきましては、その
所有
を認めていないのでありますが、
農地
の
所有者
及びその
世帯員
が
耕作
の
事業
に供すべき
農地
のすべてについて
耕作
の
事業
をやめ、他の
市町村
へ
住所
を移した場合に、それらの者が
農業
をやめたときに
住所
を有していた
市町村
内にある
小作地
で
農業
をやめる前それらの
者等
が
一定
の期間
所有
していた
農地
については、
北海道
では四ヘクタール、
都府県
では平均一ヘクタールまでは不在村者として
小作地
を
所有
できることといたしております。また、その
農業
をやめたときのその
小作地
の
所有者
からその
小作地
を承継した
一般承継人
についてもその
小作地
の
所有
を認めることといたしております。これはいわゆる旧
地主制
の復活を意味するものではなく、他
産業
に従事しようとする
農家
が他
市町村
へ
住所
を移しやすくし、
農地
が効率的に
利用
されるよう配慮したものであります。 その二は、従来
農業生産法人
が
耕作
の用に供している
小作地
につきましては、
農業生産法人
の常時
従事者
である
構成員
が
所有
する
農地
であってその者の
住所
のある
市町村
内にあるものをその
法人
に貸し付ける場合に
限り小作地
の
所有制限
をしないこととしておりますのを、
農業生産法人
の
構成員
であれば、その
法人
に貸し付けている
農地
については、その所在地がその
構成員
の
住所
のある
市町村
の
区域
内にあるものであっても、またその
区域外
にあるものであっても、
小作地
の
所有制限
をせずその
所有
を認めることとして、
農地
の効率的な
利用
に資することといたしております。 その三は、
農業協同組合
が
農業経営
の
委託
を受けて
耕作
の
事業
に供している
小作地
及び
農業協同組合
の
共同利用施設
の用に供している
小作地
については、それぞれその
所有者
に対し、その
小作地
の
所有制限
をせずその
所有
を認めることといたしております。 その四は、
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
に貸し付けられている
小作地
につきましては、その
所有者
に対し
小作地
の
所有制限
をせずにその
所有
を認めることといたしまして、この
法人
が
農地
を借りやすくし、
農地保有
の
合理化
に資することといたしております。 その五は、
都市計画法
による
市街化区域
内の
小作地
につきましては、あらかじめ転用のため
届け出
をして
取得
したものは
所有制限
をしないこととなっておりますが、
市街化区域
の性格にかんがみまして
届け出
の有無にかかわらず
所有制限
をしないことといたしております。 その六は、近年
農業経営
における
採草放牧地
のになう
役割り
が
変化
してきたことにかんがみて、
小作採草放牧地
につきましては、その
所有制限
を廃止することといたしております。 第五に、
農地等
の
賃貸借
の
解約等
の
制限
を
定め
ております第二十条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。
現行制度
では、
農地等
の
賃貸借
の解除、
解約
または
更新
の拒絶をしようとするときは、
民事調停法
による
農事調停
によって
合意解約
が行なわれる場合及び
信託事業
にかかる
信託財産
につき
解約
の
申し入れ等
が行なわれる場合のほかは、
当事者
は
都道府県知事
の
許可
を受けなければならないこととされておりますが、この
規制
を緩和いたしまして、
農地等
の
所有者
が
農地等
を貸しやすくするため、次の場合には
許可
を要しないことといたしております。 その一は、
農地等
の
賃貸借
につきその
農地等
を引き渡すこととなる期限前六カ月以内に成立した
合意
で、その旨が書面において明らかであるものに基づいて
賃貸借
の
解約
をしようとする場合であります。 その二は、十年以上の期間の
定め
のある
賃貸借
につきその
期間満了
の一年前から六カ月前までの間にその
更新
をしない旨の通知をする場合であります。 その三は、
水田裏作
を
目的
とする
賃貸借
につきその
更新
をしない旨の通知をする場合であります。 第六に、
小作料
の
規制
を
定め
ております第二十一条から第二十四条までの
規定
の
改正
について御説明申し上げます。
農業者
の
経済的社会的地位
が向上し、また
雇用
の機会が増大した現在では、
当事者
の自由な
契約
にゆだねても戦前のような高額の
小作料
が発生する余地は一般的にはないものと判断されること、最近において
農業生産
、
農業経営
が多様化してきたこと等の
理由
により、これらの
規定
を
改正
して、従来のような画一的な
農地
一筆
ごと
の
小作料
の
最高額統制制度
を廃止することとし、これに関連して
小作料
の
規制
に関する所要の
規定
を整備することといたしたのであります。 その一は、
農業委員会
が
農地
一筆
ごと
の
小作料
の
最高額
を
定め
る旨を
規定
した第二十一条を廃止するとともに、この
統制額
に違反する
契約
についてはその
統制額
を
小作料
の額と
定め
たものとみなすこととされている第二十二条を廃止し、これらの
規定
にかえて、
小作料
は
定額金納
で
契約
すべき旨及びこれに違反する
定め
はその効力を生じない旨の
規定
を設けることといたしております。 その二は、
小作料
の
増額
または
減額
の
請求権
の
規定
を設けることとしたことであります。これは、
小作料
の額が農産物の
価格
や
生産費
の上昇もしくは低下その他の
経済事情
の変動により不
相当
となったとき、または
近傍類似
の
農地
の
小作料
の額に比較して不
相当
となったときは、
当事者
は
小作料
の額の増減を請求することができることとし、
増額
について
協議
がととのわないときは、
増額
の請求を受けた
耕作者
はみずから
相当
と認める額の
小作料
を支払うことをもって足りることとし、
減額
について
協議
がととのわないときは、
減額
の請求を受けた
土地所有者
はみずから
相当
と認める額の
小作料
の支払いを請求することができることといたしております。そして、
増額
または
減額
を正当とする裁判が確定した場合には、すでに支払った
小作料
の額との過
不足額
に年一割の
割合
による利息を付して精算すればよいことといたしております。 その三は、
農業委員会
に上る
小作料
の
標準額
の
設定
及び
小作料
の
減額
の勧告の
制度
を設けることとしたことであります。まず、
農業委員会
は、その
区域
内の
農地
につきたとえば
田畑別
、上中下別等必要な区分をいたしまして、その
区分ごと
の
農地
につき
経営規模
、
経営能力等
において通常の
農業経営
が行なわれたとした場合における
生産量
、
生産物
の
価格
、
生産費等
を参酌し、
耕作者
の
経営
の安定をはかることを旨として
小作料
の
標準額
を
定め
ることができることといたしております。そして、その
小作料
の
標準額
に比較して著しく高額であると認められる
小作料
を
定め
た
契約
があるときは、
農業委員会
は
当事者
に対してその
小作料
の
減額
を勧告することができることといたしております。 その四は、以上のような
小作料
の
規制
についての
改正
を行なうにあたり、現存の
小作地
の
小作料
につきましては、その
小作農
の
経営
に急激な
変化
を与えることを避けるため、この法律の施行の日から十年をこえない範囲内において政令で
定め
る日まではなお
小作料
の
最高額統制
に関する
制度
を継続することとし、その
最高額
の基準については、
農林大臣
が毎年検討を加えて必要があるときはその変更を行なうことといたしまして、附則第八項及び第九項にこの旨の
経過規定
を設けることといたしております。 第七に、国からの
農地
または
採草放牧地
の
売り渡し
について
定め
ております第三十六条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。 これは、
現行制度
では
市町村
、
農業協同組合等
の団体に売り渡すことのできる
土地
は
共同利用
することが適当な
採草放牧地
に限定されておりますのを改め、草地としての
土地
の
利用
の
効率化
が進んでまいっておりますことを考慮いたしまして、
共同利用
することが適当な
農地
についても団体に対し売り渡すことができることといたしております。 第八に、
和解
の
仲介制度
について第二章に一節を設けることとしておりますので、この
制度
につき御説明申し上げます。 これは、
農地等
の
利用関係
の紛争が
民事調停
または裁判によらなくても簡便に解決できるように、
当事者
の双方または一方から申し立てがあったときは、
農業委員会
が
和解
の
仲介
を行なうことといたしたものであります。この
和解
の
仲介
は、
農業委員会
の
委員
のうちから
農業委員会
の会長が
事件ごと
に指名する三人の
仲介委員
により行なうこととし、
都道府県知事
の
許可
を要することとされる事項について
和解
の
仲介
を行なう場合には、
仲介委員
は
都道府県
の
小作主事
の意見を聞かなければならないものとしております。 なお、
農業委員会
が
和解
の
仲介
を行なうことが困難または不適当であると認めるときは、
都道府県知事
による
和解
の
仲介
ができることといたしております。 第九に、
開拓財産
である道路、
水路等
の譲与に関する第七十四条の二の
規定
について御説明申し上げます。
開拓財産
である道路、水路、
ため池等
につきましては、現在有償で売り渡すこととなっておりますのを改めまして、これらの財産の性格にかんがみ、その用途を廃止したときはこれを無償で国に返還することを条件として、
市町村
、
土地改良
区等に無償で譲与することができることといたしております。 第十に、
草地利用権設定制度
について第三章に一節を設けることといたしておりますので、この
制度
の概要について御説明申し上げます。 これは、
畜産物
に対する需要の増加に対応して飼料の
生産基盤
の
拡大強化
をはかるための
制度
であります。 まず、
市町村
または
農業協同組合
は、その住民または
組合員
の
共同利用
に供するため、牧草の栽培またはこれに付随して家畜の
放牧
を行なうことを
目的
とする
土地
についての
賃借権
を
取得
する必要があるときは、
都道府県知事
の承認を受けて、その
土地
の
所有者等
に対し、
草地利用権
の
設定
に関する
協議
を求めることができることといたしております。この場合に
都道府県知事
が承認できるのは、その
土地
が
自作農
の創設に供されるとするならば国による未墾地買収の対象となり得る
土地
である等
一定
の
要件
に適合するものである場合に限ることとしております。 次に、この承認を受けた
市町村
または
農業協同組合
は、
土地所有者
等と
草地利用権
の
設定
に関する
協議
をすることとなりますが、これがととのわない場合等には、
都道府県知事
の裁定を申請することができることといたしております。この場合には、
都道府県知事
は、
土地所有者
等に意見書を提出する機会を与え、その
土地
の
利用
の状況、
利用
計画等を考慮してもなお
草地利用権
の
設定
を望む
市町村
または
農業協同組合
が
共同利用
に供することのほうが
国土資源
の
利用
に関する
総合的見地
から必要かつ適当であると認めるときは、
草地利用権
を
設定
すべき旨の裁定をするものといたしております。 なお、
草地利用権
は
設定
の初めから通算して二十年をこえない範囲内で
更新
することができることといたしております。 また、
草地利用権
の存続期間が三年以上にわたるときは、その
土地
の
所有者等
は、
都道府県知事
に対し、
草地利用権
を有する者がその
土地
等を買い取るべき旨の裁定を申請することができることといたしており、
草地利用権
を有する者が正当な事由がなく引き続き二年以上
草地利用権
が
設定
されている
土地
をその
目的
に供しなかった場合には、
草地利用権
を解除することができることとしているほか、
草地利用権
の譲渡等の禁止の
規定
等を設けることといたしております。 最後に、第八十三条の二におきまして、
農地等
の無
許可
転用者または転用
許可
の条件に違反している
者等
に対し、
農林大臣
または
都道府県知事
は工事の停止命令等違反を是正するための必要な措置をとるべきことを命ずることができることといたしております。 以上をもちまして、
農地法
の一部を
改正
する
法律案
についての
補足説明
を終わります。 引き続きまして、「
農地法
改正
に関する参考統計資料」の説明を簡潔に御説明申し上げたいと思います。 目次をごらんいただきますと、
農地
制度
の
改正
に関連いたしまして、主として
農地
の
制度
、それを取り巻きます
農業
の基本的な資料というものを取りまとめてございます。まず基本統計におきましては、耕地
面積
、それから
農家
数、今度の
改正
に関連いたします離農
農家
の状況あるいは新設
農家
の状況、それから
農業就業人口
の推移、
農業
雇用
労働の
実情
というものを基本的な統計として掲げております。二番目には、
農家
の
経営
耕地
規模
の変動と
農地
移動ということで、
農家
の階層間の移動なりあるいは
経営
耕地の移動。それから三番目には、協業及びいわゆる請負
耕作
等ということによりまして、協業の主要な指標なり、それから水稲の集団栽培の問題あるいは請負
耕作
の資料を整えております。それから四番目には、最近の
農家
経済の
実情
。それから五指目には、
農地法
によります
農地
の
権利移動
統制
と国によります買収、
売り渡し
等の実績でございます。それから六番目には、
農地等
の
取得
資金、
自作農
維持資金の状況。それから七番目に
農地
転用の
実情
。八番目に
小作料
あるいは
農地
価格
、あるいは
農地法
第二十条の
改正
を考えておりますので、その二十条の現在の処理状況というものを掲げております。多くのところはごらんいただけばおわかりいただけると思いますので、その中でほんの主要な点だけを申し上げておきます。 まず、五ページをお開きいただきたいと思います。これは昭和三十年から三十五年、四十年にわたりましての耕地の
規模
別事兼業別の
農家
数の推移でございます。これをごらんいただきますと、全般的に
兼業化
が進行しております中で、特に
経営規模
の小さい三反未満あるいは五反未満の
農家
の兼業が急速にふえておるという
実情
が出ておるわけでございます。 それから七ページをお開きいただきますと、
農地改革
の結果、
自作農
創設によりまして、日本の大部分が
自作農
になったわけでございます。その状況がここに出ておりまして、現在、自作、全く自分の
土地
だけで
耕作
をいたしております
農家
が八〇%、それから自作地の多い自
小作農
家が一五%、
小作地
のほうが自作地より多い
農家
が二・八%、
小作地
だけは一・八%、こういう状況になっております。 それから一一ページをお開きいただきますと、最近の離農
農家
の状況でございますが、大体この数字でごらんいただけますように、最近では八万戸ないし九万戸が離農しております。全体の
農家
戸数に対する離農率は大体一・六%程度になっております。その下のほうをごらんいただきますと、その中でも、離農いたしますのはやはり五反未満が大体九〇%近くを占めているというのが
実情
でございます。 その次の一二ページをごらんいただきますと、その中でも離農
農家
の離農時の専兼別の構成を見ますと、やはり第一種兼業
農家
、第二種兼業
農家
で大体七制四分を占めておるというような
実情
になっておるわけでございます。 それから飛ばしまして二四ページをごらんいただきます。このあたりで耕地の移動の状況をいろいろ出しておりますが、そのページのまん中の
経営
耕地の移動をごらんいただきますと、最近一年間で差し引き増加した
農家
の実態が出ておりますが、その中でこの表のまん中より右のあたりに「主たる増加の方法別
農家
の構成比」というのがございます。これをごらんいただきますと、最近では大体、買い入れて
耕作
する
農地
をふやしていくというのが約三割、それから新たに借り入れて
耕作
したのは、大体二割五分、貸し付け地を返してもらってやったのが一三、四%、それから「開こん干拓つぶれ地復旧」というのが二三%、こういう状況になっております。 それから三一ページをごらんいただきたいと思います。この表は、
農地法
によりまして
農地
移動
統制
をやっておりますわれわれのほうの業務統計でございます。毎年の移動統計をとっておるわけでございますが、それで件数と
面積
がどうなっておるかという表でございます。昭和三十年、三十五年、それから最近の四年間の表示がしてございますが、一番多いといいますか、
農地
移動のときに問題にしなければなりませんのは、この自作地の有償委譲でございます。 この状況が、件数におきましては、最近は四十万件前後、そうして下の欄の
面積
をごらんいただきますと、全国では七万ヘクタールから七万五千ヘクタール程度という状況で、数字的には
変化
ございません。ただここには統計を出しておきませんでしたが、中を見ますと
北海道
が移動の状況が最近は頭打ちになりましたけれども、ここ数年ふえております。内地はここ五、六年は四万ヘクタール前後で同じような状況になっております。 それに関連しますこまかい資料が、次にありまして、次に四〇ページをお開きください。この表は
農地改革
以来国が
農地
を買収をいたしましたりあるいは大蔵省なり林野庁から所管がえを受けまして
農家
に
売り渡し
ました
実情
でございます。これによりますと、終戦後四十二年度末までに国が
取得
いたしました
面積
が二百五十九万ヘクタール、
売り渡し
実績が大体それに近くなっておりまして、現在
農地
として持っておりますのは四千ヘクタール。右の欄は未墾地について書いてございます。
取得
実績が百六十三万ヘクタール。
売り渡し
ましたのが百二十七万ヘクタールということになっております。 それから四十一ページは今回
農業生産法人
の
要件
を
改正
しておりますが、それに関連いたしまして、昭和三十七年の
農地法
の
改正
によりまして
農業生産法人
制度
ができまして以来、この表にございますように全国では二千二百六十六できております。その中で有限会社が千三百五十三、農協法に基づきます農事組合
法人
が八百九十ということになっております。 それから四六ページをごらんいただきますと、今回、先ほど説明申し上げましたように、
農地法
二十条の
賃貸借
の
解約
についての
改正
をいたしておりますが、それに関連いたします現在の状況でございます。これによりますと、最近では処理件数が四万一千、
許可
いたしましたのが大部分でございますが、不
許可
件数が百三十八件、その中で大部分が連署申請ということになっております。 それから最後に五〇ページをお開きいただきます。これは
農地
価格
の問題でございます。
農地
価格
につきましては日本不動産研究所、それから次のページに全国
農業
会議所の調査がございます。かなり数字は、データのとり方それから対象等も違いまして数字は違っておりますが、傾向的には似ておるかと思います。なお最近発表になりまして、四十二年に田の普通で二十三万九千円といのがございますが、これが四十三年では二十七万八千円というふうにかなりの値上がりを示しております。 非常に簡単でございますけれども、以上をもって統計資料の説明を終わりたいと思います。
—————————————
非常に簡単でございますけれども、以上をもって統計資料の説明を終わりたいと思います。法の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 まず、
提案理由
の説明を聴取いたします。
長谷川農林大臣
。
長谷川四郎
6
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君)
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
につきましてその
提案理由
を御
説明
申し上げます。
肥料価格安定等臨時措置法
は、その制定以来、肥料
価格
の安定、肥料の輸出調整等についておおむね所期の効果をあげてまいりました。 この
法律
は、昭和四十四年七月末日までに廃止することとされておりますが、最近における
わが国
農業
の
実情
及び肥料の輸出市場の状況にかんがみ、なおこの
法律
を存続する必要があると考えられます。 すなわち、
農業
の基礎資材としての肥料の重要性はいまさら言うまでもありませんが、特に総合
農政
を推進し、農産物の
価格
安定、
農業
所得の確保等をはかろうとしております現在、肥料
価格
の安定措置の継続をはかる必要性が従来にも増して高まってきていると考えられるのであります。 一方、輸出競争の激化から肥料の輸出
価格
は急激に低下しており、世界的な設備大型化の進展とも相まって国際
価格
はなおしばらくの間変動するものと考えられ、輸出の一元化と国内
需要
の安定的確保をはかる措置が引き続き必要と考えられるのであります。 このような内外の諸
事情
に対処して肥料工業の側におきましては、徹底した
合理化
をはかるため、現在設備の大型化を中心とする構造改善を推進しているところであります。 以上のような状況にかんがみまして、本年八月以降におきましても引き続き国内
需要
の確保、肥料
価格
の安定、輸出の一元化等の措置をとるものとし、この
法律
を廃止する期限を五年間延長することとした次第であります。 以上が
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
でありますが、なお
政府
といたしましては、本措置とあわせて肥料工業の
合理化
を一そう推進し、また流通の
合理化
、円滑化を指導して肥料対策に遺憾ないよう配慮してまいる所存であります。 何とぞ慎重に御
審議
くださいましてすみやかに可決されるようお願いする次第であります。
任田新治
7
○
委員長
(
任田新治
君) 次に、
補足説明
及び
関係資料
の
説明
を聴取いたします。池田
農政
局長。
池田俊也
8
○
政府委員
(池田俊也君)
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして若干補足して御
説明
申し上げます。
肥料価格安定等臨時措置法
は、臨時肥料需給安定法及び硫安工業
合理化
及び硫安輸出調整臨時措置法のいわゆる肥料二法廃止後の措置といたしまして、内需の優先確保、国内
価格
の安定及び輸出体制の一元化を骨子として
定め
られた
法律
であります。第一の内需の優先確保の措置といたしましては、国内需給上混乱が生じないよう需給見通しに基づき輸出を
規制
することとし、国内
農業者
に不安を与えないようにいたしているのであります。第二の肥料の国内
価格
の安定をはかるための措置といたしましては、肥料の生
産業
者と販売業者との間の自主的な
価格
取りきめが実施されておりますが、
政府
はこの取りきめに必要な資料を交付すること等によって
価格
取りきめが円滑に行なわれるよう措置いたしております。第三に、肥料の輸出体制の一元化をはかる措置といたしましては、日本硫安輸出株式会社に硫安の輸出を一元的に行なわせることとしているのであります。
肥料価格安定等臨時措置法
は、昭和三十九年に制定されて以来、おおむね所期の効果をあげてまいりました。 この
法律
に基づき生
産業
者と販売業者の間で取りきめられた硫安
価格
につきましては、
農業者
の強い要望と生
産業
者の
合理化
努力が反映して五カ年間に
相当
の値下げが行なわれたのであります。 一方、肥料需給につきましては、この五カ年間国内
需要
は
平均
年率三%の
増加
を示し、輸出は二〇%程度の大幅の
増加
を示してまいったのでありますが、需給見通しの適切な運用により需給上何ら問題なく推移し、国内
需要
への安定的供給と輸出の振興に寄与してきたところであります。 この
法律
は、昭和四十四年七月末日までに廃止するものとされておりますが、最近における
農業
及び肥料工業の
実情
にかんがみ、なお存続する必要があるものと考えられます。 まず
農業
側の
事情
といたしましては、総合
農政
を推進し、農産物の
価格
安定、
農業
所得の確保等をはかろうとしております現在、主要生産資材としての肥料の
価格
安定措置を継続する必要が従来にも増して高まってきていると考えられることであります。 輸出面の
事情
といたしましては、最近における国際競争の激化があげられます。すなわち、西欧の窒素肥料輸出カルテルの輸出攻勢から国際市場における輸出
価格
は急激に低下しており、
わが国
もこれに対抗するためやむなく追随しているのでありますが、国際
価格
は、世界的な設備大型化の進展と相まってしばらくの間変動するものと考えられ、
わが国
も大型設備を相次いで完成することによって輸出振興に特段の力を入れなければならない事態に直面しているのであります。このような状況のもとでは国内
価格
の安定とあわせて輸出体制の一元化をはかる措置の継続が強く望まれるのであります。 このような情勢に対処して肥料工業の側におきましては一そうの
合理化
と体制整備を進めるため、目下四十六肥料年度を目途として日産千トン基準のアンモニア大型設備の建設を中心とする構造改善の推進につとめているところであります。大型設備の建設には、多額の投資とばく大な廃棄負担が伴うのでありますが、これらの困難を克服して大型設備が完成された暁には、その
合理化
効果は国内
農業
の発展と輸出振興に大きく貢献することとなるものと考えられるのであります。 以上のような諸情勢下にあっては、まず国内
需要
と輸出の摩擦を調整して、肥料の時期的地域的需給の円滑化をはかり、さらに、国内
価格
の安定をはかることによって
農家
経済の改善と肥料工業の
合理化
を円滑に遂行し、また、輸出競争の激化に対応して輸出体制の一元化をはかる等の諸措置が引き続き必要と認められるところであります。 したがいまして、本年七月末日までに廃止するものとされております本法の廃止期限を五年間延長することとした次第であります。 以上をもちまして、
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
についての
補足説明
を終わります。 次に
関係資料
について簡単に御
説明
申し上げます。 順次御
説明
申し上げますが一ページに「アンモニア系窒素肥料需給の推移」を示しておるものでございます。おもな点について申し上げますと、尿素につきましては非常に内需が増大をしてきておるわけでございます。ア系全体の合計といたしましては
生産量
、内需、輸出量、いずれも着実に
増加
をしているわけでございます。 次に二ページに「硫安等の国内
価格
の推移」を示した表が出ているわけでございます。一番右の欄をごらんいただきますと、新法制定後五カ年の間に硫安については六十円、尿素につきましては六十九円の値下げが行なわれているわけでございます。 次に、三ページにおきましては「最近における硫安等の国内
価格
と輸出
価格
の推移」を出しているわけでございますが、若干の変動がございますが、輸出
価格
と国内
価格
との間には、日本の場合におきましては年次によって違いますが、三ドルないし十四ドルぐらいの格差がございます。しかしながら他の西欧諸国に比べますと、格差は日本の場合はやや少ないわけでございます。 次に、尿素につきましても大体同様の表を四ページに出しているわけでございます。 次に、五ページでございますが、「ガス源別アンモニア生産能力の推移」を出しているわけでございます。二十八年以降かなり状況は
変化
しておりまして、かつて
相当
大きなウエートを占めておりました電解法は現在はほとんどなくなっているわけでございます。ガス法の中では流体原料法によります
割合
が特に多いわけでございますが、その中でも石油を原料にいたしますオイルガス化法、ナフサ分解法が非常に大きいような最近は状況になっております。 それから六ページに「アンモニア工業の構造改善について」の通商
産業
省の省議決定の
内容
を出しているわけでございます。これは
補足説明
等においても御
説明
を申し上げましたところでございます。 次の七ページはそのやや詳細な
内容
でございまして、大型アンモニア設備の具体的な調整要領でございます。 次に、八ページにおきましては「最近におけるアンモニア系窒素肥料の仕向地別輸出実績」を出しているわけでございます。一番下に合計欄がございますが、輸出は着実に伸びておりますが、主要なものは中共が大きなウエートを占めておりまして、あと年次によって若干違いますが、インド、韓国等がわりあいに大きなウエートを示しているわけでございます。 次に、九ページに「硫安販売業者の取扱い比率の推移」を出しているわけでございますが、あまり年次によって
変化
はございませんが、全購連が
過半
数、五割以上を占めているわけでございます。 それから次に、十ページに「最近における
農家
一戸当たり
農業
現金支出の推移」を示してございますが、その中で肥料はやはり大きなウエートを占めておりまして、最近では一戸当たり四万円程度、しかしながら
割合
としては逐次低下をしている状況でございます。 以上をもちまして、簡単でございますが、資料
説明
を終わります。
任田新治
9
○
委員長
(
任田新治
君) 本日は、両案について
趣旨説明
、
補足説明
及び
関係資料
の
説明
聴取のみにとどめておきます。
—————————————
任田新治
10
○
委員長
(
任田新治
君)
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
沢田実
11
○沢田実君 先日に引き続きまして、農協法についての質問をいたしたいと思います。 最初に、都市農協の問題でございますが、先日総合農協の
事業
強化ということについての質問に対しましては、局長はその必要がないという答弁でございましたが、一般的にはそのとおりであろうと思います。ところが、きょうは都市農協を一体どうするか、こういう点について質問をいたしたいと思います。 都市化の
進行
は東京のような大都市の周辺のみでなく地方都市にも、程度の差はございますが全国的な潮流となっております。農民が長期の見通しを立て、
農業
条件の
変化
に対応していけるかどうか非常に大きな問題があろうと思います。都市農協においては地域協同組合的
性格
にならざるを得ない、そういうような状況でございますが、そういう状況下にあってあくまで農協本来の精神を通せるかどうか、こういうこともまた問題になろうと思います。都市農協の実態に合わせて農協法の特別措置を講ずる必要はないかどうか等々が問題になるのじゃなかろうか、こういうふうに考えられます。都市農協においては総合農協から信用
事業
重点
経営
の傾向がはっきり出ております。ところが、その信用
事業
の
範囲
が狭いので金融機関としての基盤が非常に弱い、商工業関係
営利法人
への貸し出しができない。員外
利用
が
増加
をしておりますけれども、貯金については農協法の
制限
をこえる組合が出てきている。あるいはまた
事業
組合の貯金量は伸び悩みの傾向にある、また貯金の吸収源を
土地
の代金に頼る傾向にある農協が多い等々、いろいろな問題があるようでございます。以上のような状況下にある都市農協の実態に即するように法の
改正
を希望している点が多いようでございますが、その対策を一体どういうふうに考えているかお尋ねをいたしたいと思います。
池田俊也
12
○
政府委員
(池田俊也君) 都市農協につきましてはただいま御指摘ございましたような問題が確かにあるわけでございます。私どももその点は今後農協
制度
上の非常に大きな一つの問題点であろうという感じを持っておりまして、農協問題に関する検討会でもそういうような指摘をしておるわけでございます。ただ、私どもは現状におきましてこれの
制度
改正
というようなところにまで踏み切るにはまだ時期がちょっと早いのではなかろうか、やはり都市農協でございましても
相当
組合員
の中には農民がいる、それで
農業
を行なっている、こういう状況でございますから、
性格
をあまり現状において変えるというのもまだ時期としてはやや早い、こういう感じも実は持っているわけでございまして、確かに非常に問題の点でございますので、私どもも十分この状況につきましてはさらに注意をいたしまして必要な時点においてはさらに
制度
面においては何らかの考慮を加えていくというようなことも実は考えたい、こういう気持ちでございます。
沢田実
13
○沢田実君 法を
改正
する考えは現段階ではないと、こういうお考えのようでございますが、そこでこの前申し上げましたように、総合農協のいわゆる
事業
を強化するという問題が都市農協に関してだけでも考える
余地
はないかということで、
組合員
のための手形割引とかあるいは
組合員
のための国内為替取引とかあるいは住宅金融公庫、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等、金融機関の業務代理あるいは公金の取り扱い、こういうようなことをできるようにしてほしいというような希望が都市農協にはたくさんあるわけでございますが、そういうお考えはないかどうか。また、財務処理基準の例のいわゆる貸し出し基準を変えて貯金総額の何%というようにするお考えはないかどうか。あるいは員外
利用
の
範囲
を
拡大
する、あるいは余裕金運用上の
制限
を
緩和
する等々都市農協に対する何らかの対策をしなくちゃならない、こう思うわけですが、現段階ではそういうお考えはないかどうかお伺いしたいと思います。
池田俊也
14
○
政府委員
(池田俊也君) 確かに都市農協の一部にはいまお話のございましたようなことが実際問題として必要であるという声もあるわけでございますが、私どもはやはりそれについていまのような点についてもし
改正
をするといたしますと、私は農協というものの
性格
からかなり離れるのではなかろうか、いわば商工協同組合といいますか、中小企業協同組合といいますか、そういうような感じが非常に強くなってまいりますので、そこまで農協法のワクの中でやるのはいささか問題であろう。もし、そういうことがどうしても必要な情勢になれば、これはやはり多少
性格
を別のものとして考える必要があるのではないか、こういう感じを持っておるわけでございます。
沢田実
15
○沢田実君 いまのお話は都市農協がそういうように信用
事業
が非常に発展した場合には、
農業協同組合
という
範囲
を越えて別な
性格
を持った機関としてやるべきだ、農協法は
改正
するべきではない、こういうお考えと理解してよろしうございますか。
池田俊也
16
○
政府委員
(池田俊也君) その関係では農協法の
改正
は全く考えていないというふうにきめておるわけでもございませんが、まあいま御指摘のような点を全面的に取り入れていくというのはいささかむずかしいのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
沢田実
17
○沢田実君 それはさらにまた検討していただくことにいたします。 次に農事組合
法人
の問題についてお尋ねしたいと思いますが、いわゆる農事組合
法人
が
農業経営
を受託することはできないわけですけれども、農事組合
法人
には
農業経営
の受託をさしてはなぜいけないのか、その点について御
説明
いただきたいと思います。
池田俊也
18
○
政府委員
(池田俊也君) これは農事組合
法人
の
性格
からいたしますと、当然そういうことを認めてもよろしいのではないかという一つの考え方があり得るわけでございます。私どももそういう感じを若干持った時期もあったわけでございますが、これは
組合員
から
農業経営
をお預かりするという非常に重要な仕事でございますので、
組合員
に不測の損害を与えるということのないようにするためには経済的基礎が非常にしっかりした
団体
でないとやはり問題を起こす
余地
があるのではなかろうか、こういうことで農事組合
法人
にはいまの
経営
委託
というようなことは認めない、こういう結論に相なっております。
沢田実
19
○沢田実君 次は、また若干問題が違うわけですが、
農家
が
土地
を買収したりいろいろなことにお金を必要とするわけですが、そういうための基金等を創設するお考えはないか、その点についてお尋ねいたします。
池田俊也
20
○
政府委員
(池田俊也君) 現在
農地
の
取得
資金といたしましては公庫資金があるわけでございまして、これは条件としてはかなり有利な非常に低い利率の資金でございますので、私どもは
農地
というものを
取得
する資金としては、低利長期のものでなければならないのでございますから、一般にたとえば農協等に基金をつくらせるというふうなことは非常にむずかしいのではないだろうか、やはりこれは公庫資金というような特殊なものでございませんとなかなかその
目的
に合致したものをつくるということは非常にむずかしいのではないか、こういう感じを持っております。
沢田実
21
○沢田実君 さらに農協がいよいよ発展いたしますに伴い、農産物の
価格
安定
事業
というようなものも農協の大事な仕事になってくるのではないか、こういうふうに考えられますが、そういう安定のための基金を積み立てるというような行政指導といいますか、大蔵省等も税金の関係等があるかもしれませんが、農林省としての考え方を承りたいと思います。
池田俊也
22
○
政府委員
(池田俊也君) これは非常に大事なことだと私どもも実は考えておるわけでございます。現在農協におきましては、営農団地構想というのがございまして、生産、流通を通じましてある意味で市場の組織化みたいなことの考えを進めている、こういう段階でございまして、私どもはやはりその一環といたしまして、たとえば
価格
安定のための基金を創設するということは特に必要なことでございまして、望ましい方向であるというふうに考えております。
沢田実
23
○沢田実君 そういう必要だというふうにお考えになりながら、今度の
改正
には乗ってこないわけですが、最初に申し上げたように、三つの
改正
しかない。その他いろいろ御質問申し上げた中で、それも必要だと思う、これも検討だと、事項はたくさんあるわけですが、そういう問題について、あるいは今回はしないけれども早急にまた抜本的な
改正
をするお考えがあるのか、あるいはそれは必要だけれども当分できないのか、その辺についてのお考えを伺いたい。
池田俊也
24
○
政府委員
(池田俊也君) これは私どもは実は農協法の
改正
をいたさなくても、
現行法
のワクの中で基金を積みまして、そうしてそういうような
事業
の原資に充てるということは可能であるというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で特に
法律
改正
ということは実は考えていないわけでございます。
沢田実
25
○沢田実君 そうしますと、法
改正
をしなくてもできるんだ、行政指導でできる、こういうことですと、そういうことをいつごろまでに実現していこうというお考えでしょうか。
池田俊也
26
○
政府委員
(池田俊也君) これはまだそう全般として行なわれているというわけではございませんけれども、一部におきましてはそういうこともすでに行なわれているわけでございまして、たとえば野菜の
価格
安定というようなことで各県等においては一部実施をしているところもございます。私どもはやはりこういうのは非常に必要なことでございまして、まさに今後の農協がしなければならない一つのポイントであろうという感じを持っております。極力私どもの分野でできますことについてはお手伝いを申し上げたいと、こういう気持ちでございます。
沢田実
27
○沢田実君 大蔵省にお尋ねをすればよかったわけですけれども、お呼びしておりませんので。その安定基金についての積み立てについての税金関係のほうはどうなっていますか。
池田俊也
28
○
政府委員
(池田俊也君) これはいろいろ税法上の関係がございますので、まあいろいろなテクニックが要るわけでございますけれども、やり方によりましては、たとえば農協等がそういうもののために金を出します場合には、それの損金算入が
法人
税の関係で認められる、こういうような措置もございます。こういうものをうまく
利用
してやれば十分できると私どもは考えているわけでございます。
沢田実
29
○沢田実君 次に、組合民主主義の問題については、せんだってもこのことは二回ほど議論になりました問題ですが、一組合一票制の原則に対して例外をつくったという問題ですが、日本の他の
法律
にも例のないことではないかと思うわけでありますけれども、せんだっての局長の答弁では、外国にも若干例がある、ですからよろしいのじゃなかろうかというふうなお話であったように思いますが、こういう行き方がはたしていわゆる組合民主主義という方向に合致するかどうか、そういう点が若干疑問ですのでお尋ねをいたしたいと、こう思うわけです。 それで、たとえば一町歩を
耕作
している人と、あるいは五町歩を
耕作
している人と同じ一票です。それは個人の場合は当然だとおっしゃるかもしれません。あるいはまた、国家間のいろいろな機構を見ましても、小国と大国の問題で同じく一票ではないか、そこに差別を設けるところに現在の国際連合等の大国の拒否権等でいろいろな問題が起きているように、そういう考え方は民主主義に逆行するおそれがあるのじゃないか、
説明
は不十分ですが、こういうふうに考えるわけですが、この組合の場合には、大
規模
の組合には一票でなくてもいい、こういう考え方ではたしていいのかどうかという問題をお聞きをいたしたいと思います。 それで、何かこういうことをきめた経過についてですが、農林省が合併を推進してきた、農林省の指導に従って合併した組合は一票になってしまう、農林省の指導に従わないほうが結局票数が多くなるというようなことで、そういう希望に従っていまこういう
改正
案を出したやに聞きますが、そういうような希望はいま始まったことじゃないことでして、ずっと前にそういう希望があったということで、いまこういう
改正
をすることがはたして組合民主主義に反しないかどうかという問題についてお尋ねをしたいと思います。
池田俊也
30
○
政府委員
(池田俊也君) これは外国にも非常にたくさん例がございますし、それから日本の場合には消費生活協同組合がすでに実施しているわけでございます。考え方といたしまして私どもは、協同組合組織というのはやはり末端の
組合員
が中心になりましてその利益を増進するというのが終局のねらいでございます。そのための連合会であるというふうに考えているわけで、そういたしますと、やはり末端の
組合員
の数というのが
相当
のウエートを置かれてしかるべきではないか、それが単協になり連合会になりいたしました段階で、非常に大型のものも小型のものも同じ扱いというのはかえってそこに問題があるのではないか、もちろん合併等の関係の調整という意味もございますが、そういう考え方をいたしておるわけでございまして、私どもはこれは組合民主主義には決して矛盾をしない、むしろ合致をするものであるという考え方をしているわけでございます。
沢田実
31
○沢田実君 そういうお考えと、それから先ほど申し上げました逆の意見と両方あると思うのですが、あえて農林省がそういう説をおとりになった
理由
は一体どこにあるのかという点をもう少しお尋ねしたいと思います。
池田俊也
32
○
政府委員
(池田俊也君) 率直なところを申し上げますと、やはり先ほど御指摘のございました合併等の関係で非常に大型農協が一方でできてきている、一方では依然として小型のものがあるということで、いかにも連合会に対する発言権の点等で不均衡ではないかという意見がかなり出てきておるわけであります。それがまた一面では合併の促進に障害になっておるという点もございますので、そういうことも考えまして、実は今回踏み切ったと、こういう経緯でございます。
沢田実
33
○沢田実君 合併が始まったのはずっと前だと思います。そうして合併は、この間のお話では終了しておるというお話ですので、この段階でいまさらなぜそういう
改正
をしなければならないのかという点が若干不審ですのでお尋ねしたいと思います。
池田俊也
34
○
政府委員
(池田俊也君) 合併促進という見地だけから申し上げますと、まあ大部分は済んでおるのじゃないかという御指摘もあり得るのでございますが、しかしやはり組合の連合会の管理という面から見まして、どうも実際問題として非常に困るという御意見がかなり強いわけでございます。もちろん合併もまだ、完全にこれですべて終わったと、こういう事態でもございませんので、そういうようなことをいろいろ勘案いたしまして、今回の措置をとるように踏み切った次第でございます。
沢田実
35
○沢田実君 次に、せんだっても実は農協株式会社の問題について質問があり、いろいろ御答弁があったわけですが、その問題についてもう少しお尋ねをいたしたいと思いますが、現在農協のいわゆる直営工場というものの実態はどういうふうになっておるか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
池田俊也
36
○
政府委員
(池田俊也君) 農協が工場といいますか、いろいろな加工製造関係の
事業
を直営でやっております場合と、それからたとえば先般ございましたような、たとえば全購連等が餌さ関係の
事業
を第二会社でやる場合と二つのやり方があるわけでございますが、実は大部分はやはり直営でやっておるわけであります。たとえばいろいろな農産物の加工関係の
事業
でございますとかあるいは精米、精麦等の
事業
あるいは畜産関係の加工の
事業
等につきましてはほとんど直営でやっておるわけでございます。ただ一部、第二会社の関係で、たとえば全購連等は餌さ関係の
事業
につきましては、方向といたしましては第二会社でやるというような実は方向になっておるわけでございまして、もちろんその他にも、先般御提出申し上げた資料にもございますように、県の段階その他でも若干ほかのものもございますけれども、大部分は直営であるというふうにお考えいただいてよかろうと思います。
沢田実
37
○沢田実君 数字的におわかりにならなければ、あとでまた参考の資料をお尋ねをしたいと思いますが、株式会社と直営工場の長所と短所といいますか、長短についてどんなふうにお考えですか、お尋ねしたいと思います。
池田俊也
38
○
政府委員
(池田俊也君) これは
事業
の種類ないし
規模
によりまして一がいに私は申し上げられないと思うわけでございます。比較的
規模
の小さいものでございますならば、もちろん第二会社にする必要もございませんし、直営でやるのが一番よろしいと思うわけでございますが、非常に
規模
が大きくなったり、あるいは他の企業と合弁ないし技術提携というようなことでやっておりますと、これはなかなか直営でやり切れないということも実際にはどうもあるようでございます。でありますので、一がいには申し上げかねるわけでございまして、一般論を申し上げればそういうことであろうと思います。
沢田実
39
○沢田実君 直営工場を会社にする場合に、まず考えられたことは責任体制の明確化あるいは生産能率の
向上
などということがいわれるのじゃなかろうかと思いますが、先ほど局長も大体
飼料
関係——餌さ関係がこの会社になっておる、こういうお話でございますが、それで具体的にその一つの例を申し上げてお尋ねをしたいわけですが、栃木県に間々田
飼料
株式会社という会社が昭和三十九年の六月に全購連から分離をして独立をいたしたそうでございますが、三十六年から現在までいろいろな施設も
拡大
し、あるいは生産能力も月産四千トンくらいから現在では一万数千トンにまで
拡大
をするというような状況になっておるようでございます。ところが会社と全購連との関係は一体どうなっているかといいますと、きめられたマージンの
範囲
内でいかにその生産を
合理化
するかということだけで、全購連との子会社としての関係といいますか、全く関係においては前と実質的には変わりがない。独立採算制をとっておる株式会社の職員がいわゆる賃上げの闘争においては交渉の相手は自分たちの社長、いわゆる
経営
者ではなしに、親元の全購連と直接折衝しているというようなことが
実情
のようでございまして、そういう
経営
者不在の株式会社といいますか、そういうのが実態でございますが、そういう会社をなぜつくらなければならないのか、直営工場と実質的には全く同じような状態でありながら会社を設立するということについて疑問ですので
説明
をしていただきたいと思います。
池田俊也
40
○
政府委員
(池田俊也君) これはいろいろな
理由
があるようでございますが、私どもが承知しておりますやはり一番大きな
理由
といたしましては、独立採算制をとりまして損益を明らかにする、あるいは責任体制の確立をはかるというような見地がどうも中心になっているようでございます。あるいはそれに付随いたしまして労務関係の問題も若干からんではおるようでございますが、中心はそういう独立採算制を明らかにするということのようでございまして、そういう
事情
で、それならば独立採算制というのは連合会の中では全くできないかというと、それもやり方のいかんではございますけれども、経緯はそういうことのようでございます。
沢田実
41
○沢田実君 いわゆる責任体制の明確化、独立採算制、生産能率の
向上
というようなことを唱えられているわけですが、実際にいま申し上げました会社の例で申し上げますと、昭和三十九年に独立をいたしまして、それからの第一期の一年間では約十八億から十九億くらいの売り上げをしているようです。それからその次の第二期の一年間では二十五億くらいの売り上げをしておる。若干前進をいたしておりますが、第三期に入りまして、配合
飼料
の値上げの問題等、
農家
の
需要
の手控え等等がございまして、全購連が数億の赤字を出したというようなことで、第三期においては生産能力は
拡大
しているにもかかわらず結局フル運転はできない、第二期の二十五億円見当にとどめざるを得ないというようなことで、会社にしてみると結局全購連の販売能力ということに左右されて、
生産性
の
向上
といっても同じことだ。ですから、会社にしたために、設備をそれだけ増大したためにそれだけ安くできているかというと、決してそうではない。会社の利益率等は全く普通の会社では考えられないような状態で放任されておる。普通の会社であるならば、会社が始まって三年間こんな状態ならばおそらく重役交代になるだろう。それが農協の株式会社なるがゆえに全くそういうことがないということが
実情
のようでございます。そうしてみますと、いまおっしゃったような独立採算制とか、生産能率の
向上
とかいうことはただうたい文句であって、実質的には決してそうなっていない。そういうような株式会社を一体放任しておかれる方針なのか、農林省としては今後どういう考えで会社というものに対して対処していく方針なのか、その点について基本的な考えを承りたいと思います。
池田俊也
42
○
政府委員
(池田俊也君) いま御指摘のございました間々田の
飼料
会社の詳細な
内容
は承知いたしておりませんが、私どもの理解では、これはその製造の原料面あるいは販売面——販売面といいますか、生産いたしました
飼料
の販売先、これは全購連でございます。したがいまして、全購連の第二会社でございますから、会社自体として非常な収益をあげるという運営を必ずしもいたしておらない。要するに全購連の下請的なものでございますから、もちろん非常に有利に販売するということだけを目標にいたしますならばまた他の運営方法もあるわけでございますけれども、全購連が一手に買い取る、こういうようなことで、その
価格
は当然会社として
経営
が成り立つというような観点から
価格
が取りきめられる、こういうようなこであろうというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、ただいま御指摘のございました成績だけでは一がいに判定はちょっとできないのではないか、という感じを持っておるわけでございます。
沢田実
43
○沢田実君 だからいま局長が答弁なさったように、そうであるならば会社にしなくても直営工場でいいじゃないか、全くこれは株式会社と
性格
が違うじゃないか、それを独立させて会社にするのは一体何のためかということなんです。
池田俊也
44
○
政府委員
(池田俊也君) その点につきましてはさっき申し上げましたように、要するに独立採算制で責任、損益を明らかにするというような観点で、まあ全購連の中にかかえておりましても全くできないということではないと思いますが、どうしてもその点が非常に大きな世帯の中の一部でございますから、他におぶさるというようなことで
経営
が放漫に流れるというようなこともあり得るわけで、そういうことで独立をさしたというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。
沢田実
45
○沢田実君 大臣にお尋ねしたいのですが、こういうわけで株式会社がたくさんつくられております。いま申し上げましたのは資料のうちのほんの一つの例ですが、会社のいろいろな実態等を調べてみますと、
内容
についてはいま申し上げたのと五十歩百歩です。そういうような会社がたくさんつくられて、株式会社というふうに独立して、おそらく農林省の指導監督等からは離れるんじゃないかと、こう思うわけですが、そういうような株式会社をたくさん、せんだって局長の発表でも百四十五ということですが、あるいは六百ということもいわれておりますが、その出資の高においては
相当
数の会社ができておる、こういうふうな傾向にあるわけですが、その会社の実態等を考えてみますと、このまま放置していていいのかどうか非常に心配な点があります。会社としての、いわゆる株式会社としての利益をあげておるわけではなしに、いま申し上げましたようなその会社の
目的
であるいわゆる責任体制の明確化、生産能率の
向上
といいましても、実際には責任がない。ということは、職員の賃上げですね。その責任昔はのがれていて全購連と交渉せざるを得ない。全く加工賃の下請工場だ、実質的にはそうだと、そして直営工場ではなしに会社がつくられているというような現状なわけですが、そういうふうな農協のあり方で一体いいのかどうか、大臣のお考え方を承りたいと思います。
長谷川四郎
46
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) ただいまの御指摘のあったような点についてはわれわれも大いに考えておるところでございまして、今後も話し合いを進めるつもりではございますけれども、そのように他に出資をして経済活動を行なうというような場合は、農林省のほうの認可を受けるとか、あるいはチェックするとかいうような方法をとることが最も妥当だろうというようにも考えております。たとえば銀行を見ましても、銀行の各支店はある
一定
の金額、はなはだしいのは十万円以上というようなものまでも本店に合図をしなければ貸すことができないというようなことになっております。少なくとも農協は農民の大事な金を預かっておるのですから、もし間違いがあったということになりますると、その責任を追及されるばかりではなくって、それこそ大問題が起こってくるわけでございますから、われわれは今回の今度できる、新たなる陣営を整えてできる中央会とは、こういう点についても十分の話し合いをして、今後、先ほどお話がございましたように、
法律
を出すなら
法律
を出すようにしなければならないだろうし、そうでなくっても、こういう点についての監督を農林省はもう少しやらなければならない。それとももっと強化する方向はどうしたらいいかというような点については、十分これは把握をいたしまして、そしてその方途を新たに開いてまいるつもりでございます。
沢田実
47
○沢田実君 大臣がそういうお考えだそうですので、局長もひとつ事務当局として大いに研究をしていただきたいと思います。 次に、
農業
機械の問題についてお尋ねをしたいわけですが、最近の
農業
機械は非常に機械化が進みまして、四十二年度の統計を見ましても、乗用トラクターが五万八千台、動力耕うん機が三百万台、動力刈り取り機が十五万台、動力脱穀機が三百三十万台、動力カッターが九十四万四千台等々、現在の
農家
の機械化というのはたいへんな状況でございます。さらにまた大型機械も導入されて、機械化が進んでいるわけですが、この機械の購入にあたっては、いわゆる取り扱い体制の整備強化、あるいは売買条件の有利性の確保、あるいは機械化営農指導体制の確立というようなことが必要ではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、こういう問題は農協も大いに担当する点が大きいのではないか、こういうふうに思いますが、この
農業
機械に対する農協の考え方についてお尋ねをしたいと思います。
池田俊也
48
○
政府委員
(池田俊也君) 機械化は、御指摘のように、非常に最近進んでおりますし、今後ますます推進をしなければならない方向でございます。これにつきましては
政府
も
相当
力を入れて補助等を行なっておるわけでございます。もちろん実施面で農協等も
相当
機械を扱っておりますし、そういうサービス面といいますか、そのような面についても今後さらに力を入れる必要があろうと私どもは考えておるわけでございます。特に機械の場合いろいろ現在問題もございますが、私どもといたしまして機械について今後特に考えなければならない問題といたしまして、やはり機械で作業をやりました場合にいろいろな事故が起こってまいりますので、そういう安全対策を強化していくというのが一つのポイントだと思います。 それからもう一つは、従来どうも日本は機械化というのはかなりおくれておりましたので、まあ最近いい機械も出てきておりますが、どうもその部品等が統一が十分でない、こういうようなこともございます。こういう点についても、私どもはやはり規格の統一を進めていく必要がある、こういう考え方を持っているわけでございます。 それから、これは農協の問題と直接には結びつきませんが、私どもはやはり機械化というものは十分それが稼働するような形で導入をしなければ
農家
の利益にならないわけでございまして、単に機械を売るということだけではなしに、そういう営農の中へどういうふうに機械がうまく組み込まれるかという点についても、行き届いた指導が必要である、こういう考え方を持っておる次第でございます。
沢田実
49
○沢田実君 いま三つの問題を申し上げましたが、部分的には局長の答弁の中に入っておったわけですけれども、そこでまず第一の取り扱い体制の整備強化という問題ですが、実際に農機具が農民の必要なものが安価に供給されるような体制になっていればいいわけですが、不必要なものまでセットで買わなくてはならないということが事実あるらしいのです。それからさっきちょっと話が出ましたが、年式が変わりますと部品が変わってしまう。そうすると、修理がきかない。新しい年式のものを買わなくちゃならない。そうすると農民はその
農業
機械の借金払いに追われているという現状でもあるように聞くわけですが、そういう問題でいま答弁にもございました部品の問題もあるというお話でございましたが、そういう問題について、具体的にどういう進め方をしているのかその点、もう少しお尋ねをしたいと思います。
池田俊也
50
○
政府委員
(池田俊也君) 確かに若干そういう傾向もあったようでございます。最近だいぶ
農家
も機械になれてきましたので、以前ほど機械を押しつけられるというような傾向は少なくなってきているように思いますが、この点については今後も私ども
相当
考えていかなければならない、こういうふうに思います。 なお、部品の問題につきましては、実はこれは通産省が中心になるわけでございますが、現在、例の工業標準化法という
法律
がございまして、トラクターの作業機の装着部分あるいは防除機の一部の部品等につきましては、いわゆるJISの対象になっているわけであります。ただ全般からいたしますと、まだ一部分でございますので、私どもといたしましては、実は規格化を推進したいということで関係の方にお集まりをいただいて会議を開きまして、そしてどういう点を規格化する必要があるかというようなことを選びまして、その規格化を関係のところに要望する、こういうことを実はやっておるわけでございまして、そういうような方向を私どもはさらに積極的にやってまいりたい、こういうふうに考えております。
沢田実
51
○沢田実君 第二番目は購買条件の有利性の確保問題ですが、農協は四十二年度に
農業
機械の売り上げ五百億を達成したそうですけれども、その場合占有率は三六%だ、こういうような統計が出ておりますが、はたしてこれで購買条件の有利性の確保がされているのかどうか。機械のメーカーの販売の有利性に
利用
されているのではないかというふうなことが考えられますが、その点についていかがでしょう。
池田俊也
52
○
政府委員
(池田俊也君) 先ほど申し上げましたように、最近
農家
も非常に機械にはなれてきておりますので、私どもは必ずしもやみくもに機械を押しつけて、それがあまりどうも動かないというようなことは、比較的減っているのではないか。もちろん一部ございますが、減っているのではないかというふうに考えているわけでございます。それで私どもはやはりこの問題は農協の一つの指導の問題でもございますが、農協においても普及員
制度
等とタイアップいたしまして、十分営農指導をやっていただきたい。そして営農指導との連絡の上で機械を導入していく。ただ機械を売らんがために
事業
をやる、こういうことではなしに、営農指導と結びつけたかっこうで十分やっていきたい、こういうことを御要望申し上げておりますし、また農協自体も最近の方向としてはそういう方向に逐次まいっておるものというふうに考えております。
沢田実
53
○沢田実君 第三番目にお尋ねをしようと思いましたことがいまおっしゃったことなんですが、確かに機械化営農指導の体制の確立ということがやはり大事なことであり、農協にとって最も大事な仕事ではないか、こう思うわけですが、現在そういう指導体制というものはあまり確立されていない。
農業
機械指導技師というようなものが一体どの程度配置をされ、具体的に農民に対するそういう指導をどの程度やっているのか、もう少しお尋ねをしたいと思います。
池田俊也
54
○
政府委員
(池田俊也君) まあ御存じのように、農協は営農指導員というものを一万数千人かかえまして、逐次その数もふえているわけでございまして、その中でやはり機械を中心にしてやっている方も一部あるわけでございますが、特に機械技師ということで何人ということを私どもは数字を把握しておりませんが、その営農指導員がそういう部面を担当しているわけでございます。それからこれはまあ全部ではありませんが、一部につきましては農機具のサービスステーションというようなものも農協によりましてはかなりそういうものも設置しておるところもございます。これは大小いろんな
規模
がございますけれども、最近の数字で申し上げますと、約二千組合ほどがそういうものを設置しております。
沢田実
55
○沢田実君
農業機械化
の前進に伴いまして事故もまた多くなっているようでございます。耕うん機の運転を誤って、その下敷きになって即死したというような例も最近出ております。死亡に至らないまでも、手の指を切断したとか、あるいはけがも
相当
多いようでございますが、
農業
機械による事故の統計等がございましたらお教えいただきたいと思います。
池田俊也
56
○
政府委員
(池田俊也君) これはちょっと年次は古いのでございますが、二年ほど前の数字でございますが、約一年間につきまして調査したものがございます。まあその
内容
について申し上げてみますと、いろんな原因がございますが、大体圃場の中で起こりました事故というのは大体半分ぐらいでございます。それから四割ぐらいが
道路
上の事故でございます。途中衝突したとか、そういう事故でございます。どういう原因かというような点を調べてみますと、一番多いのは、やはり運転者の技術が十分でなかったというのが第一でございまして、それが大体半分ぐらいのウエートを占めております。それから次に多い事故は、やはり機械の装備が十分でないというような事故がそれに続いていると、こういうようなことでございます。以上申し上げましたのは、大体傷害関係の事故でございますが、死亡に至りました事故といたしましては、やはり
道路
上の事故が圧倒的に多いわけでございます。これが大体六割程度を占めておるという状況に相なっております。
沢田実
57
○沢田実君 そのように
農業
機械による事故が非常に多くなっているわけですが、これに対する対策は一体どういうふうにされていらっしゃいますか。運転者の技術研修等が大事じゃなかろうかと。現在メーカーが機械を売りつけた場合に、機械を何とか動かせるだけの指導はするらしいのですが、それだけでは当然不十分ですし、それがいわゆる技術未熟による約半数の事故というものが起こっているんじゃないか、こう思いますが、そういう運転者の技術研修等もまた農協の大きな仕事ではないかというふうに思いますので、それらについてのお考えを承りたいと思います。
池田俊也
58
○
政府委員
(池田俊也君) 私どもはしばらく前からいろいろそういう
事業
を行なっているわけでございますが、一つは一般の人に対するいろいろ啓蒙といったようなことで、
農作業
の安全対策ということで、どういう点に留意してそういう事故をなくすかといういろんな指導を行なっておりますが、一方ではまた技術の
向上
ということで、県にそういう施設を置きまして
一定
期間
機械の扱い方についての研修をやる、こういうようなこともやっておるわけでございます。また一方では
農業
機械の装備の問題がございますので、安全装備基準というようなものを設ける、要するにどういうような装備をしなければならぬかというような安全装備基準というものを設けるというようなことも、いろいろそういう面でも努力をいたしておるわけでございます。なおこれは、やはり今後さらに機械化が進むわけでございますので、特に新しい機械が、いろいろ大型機械が入ってまいりますので、私どもは今後の計画としてもそういうものについては、いろんな施設に対します助成でございますとか、そういうものについては大いに力を入れてまいりたいというふうに考えております。
沢田実
59
○沢田実君 最後にもう一つ、農協の政治活動についてこれは大臣にお尋ねをしたいと思うわけですが、宮脇会長辞任を機に農協の内部にも大きな反省が起こっているそうでございますが、農協の責任体制のあり方あるいは農協
農政
の限界論あるいは農民のための農協とは一体何かというようなことがいろいろ議論されているそうでございますが、その中で政経分離と申しましょうか、農協の政治活動ということが一体是か非かという問題なんですが、農協の政治活動というのは第七十三条の九のいわゆる中央会の
事業
の一体どこに入っているのか。はたして農協の政治活動というのはこのままでいいのかどうか、そういう問題について大臣に承りたいと思います。
池田俊也
60
○
政府委員
(池田俊也君) いま中央会の
事業
の問題がございましたので、先にちょっとこの点だけ申し上げたいと思いますが、これは中央会の
事業
の中で
農政
活動をやるということははっきりそういう表現はございません。組合の
事業
に関する云云というような表現を使っているわけでございます。ただ、御存じのように農協の
事業
というのは非常に
農業
のあらゆる面にわたっておりまして、販売
事業
にしろ購買
事業
にしろいろいろ
農政
活動につながる問題が、ほとんど全部の問題がつながる問題でございます。たとえばいろいろな農産物の販売に関連して
価格
政策等々いろいろつながってくるというようなことがございますので、そういうような意味において関連する
範囲
内において
農政
活動を行なうことは私どもは中央会の
事業
の
範囲
内であると、こういうように考えているわけでございます。
沢田実
61
○沢田実君 大臣の答弁の前にもう少しお尋ねをしたいのですが、七十三条の九の中にいまおっしゃったのはおそらく「中央会の
目的
を達成するために必要な
事業
」と、こういうふうなところに含まれるというお考えだと思いますが、この中央会のいわゆる
目的
を達成するその
目的
は何かといえば、七十三条の二にありますように、「組合の健全な発達を図ることを
目的
とする。」ということが
目的
ではないか、組合の健全な発達。農協法の第一条にまた組合の
目的
が出ているわけですが、そういう点から考えて、はたして農協の政治活動というものが適当かどうかということが問題になろうと思います。いま局長おっしゃったことは、われわれの生活は政治と関係しないものはありません。一般の商工業についてみても、物を生産するにも販売するにも、すべてそれは政治につながっております。どこの会社だって政治に関係なしに
事業
ができるはずがありません。そういう点からいえば、そういうふうな解釈であればいいわけです。私はそうじゃないと思う。農協といういわゆる
目的
、第一条の
目的
、中央会の
目的
ということから考えまして、いわゆる農協という組織ではたして政治活動をやっていいのかどうかということが私は問題じゃなかろうか、これはこの前若干問題にしましたいわゆる中央会の会長が
国会
議員を兼職しているというような問題にもつながるわけですが、その根本はいわゆる農協の政治活動ということがはたして是か非かということが私は問題じゃなかろうか、こういう意味で質問をしているわけですので、その活動が、いわゆる購買、販売がみんな政治につながっているから政治活動が是だと、そんなふうには私には考えられない。もし農協がそういうふうに政治活動をするならば別個な政治活動組織でするべきじゃないか、農協という
団体
は政治活動をするためにできた
団体
ではなかろう、こういうふうに私思うわけですが、大臣どうですか。
池田俊也
62
○
政府委員
(池田俊也君) ちょっと私の申し上げ方があるいは適切でなかったので、農協が、中央会が政治活動をしていいというふうに御理解になったのかと思うわけでございますが、そういう意味で申し上げているのではございませんで、いま七十三条の二なり七十三条の九なりからいたしまして組合の
事業
にいろいろ関係をする、七十三条の九で
事業
があるわけでございます、そういうものに関連をいたしまして農協が、あるいは陳情をしたり、まあ私どもはある意味では
農政
活動ということばで言っていたわけでございますが、そういうようなことは農協中央会として許されることである。ただ、まさに政治そのものの活動をやるということはこれはできないわけでございまして、そういうものを、たとえば農協の関係者が集まりましてほかの政治
団体
をつくると、これはまた別の問題でございますけれども、農協中央会がまさにその政治活動の中に入りましてそのものずばりのことをやるということはこれは許されないことでございますが、そういう農協の
事業
に関連をいたす限りにおいていろいろな役所に陳情をしたり、そういったようなことはこれは中央会の仕事の
範囲
内であろうというふうに、そういう意味で申し上げたわけであります。
長谷川四郎
63
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) 農協の中央会、それらは政治に対しましては中立性を保つということになっておりまして、別に農協自体が政治活動をして飛び歩いておるというような話も聞いておりませんが、ただ、おっしゃるように、政治は、個個個々が持っておるそのものを自分の立場においてそのときにこれを行使するということは当然のことだと思います。 いま沢田さんがおっしゃるように、政治につながらないものは何もないと言っておりますが、そのとおりだと私は思います。思いますけれども、農協自体の姿というものは中立でなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
沢田実
64
○沢田実君 局長のおっしゃった、いわゆる全中の
農政
活動の中に米価や麦や農林予算やあるいは課税対策あるいは
畜産物
の価額対策、イモでん粉対策、肥料、年金あるいは有線放送から新
都市計画法
までいろいろな部門があって、そこで陳情したり何かしておるという
範囲
を私はいま言っているわけじゃないのです。私が申し上げておるのは、いわゆる農協として全国の農民を動員して実際に政治活動をしていると、農協の主力が自民党の
国会
議員とつながってそれが政治につながっているというような現状における農協の政治活動ははたして是か非かということを申し上げているのであって、抽象的な出題ではなしに、その現在の動きに対する批判が最初申し上げたいわゆる会長辞任という問題になっているんじゃないかというふうに私は思うわけです。そういう点でいわゆる農協がそういう政治活動をすることがはたして是か非かという問題についてひとつ大臣にお願いします。
長谷川四郎
65
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) 一部には、そういう活動がなかったということは私も申し上げません。しかしながら、農協そのもの自体の
性格
というものは申し上げたとおりでございます。しかし、今後さらにそういうような農協が中心となった活動が起こされてさらに
拡大
していくというようなことがあるならば、私たちは十分これらに対しましては注意を促しますし、そういうことのないような指導をいたしてまいりたいと考えます。
沢田実
66
○沢田実君 肝心のところになりますと大臣あまり答弁をしていただけないわけですが、ある農村評論家は、農協は経済
団体
をこえて政治
団体
化してしまった、しかもそれが自民党にのっ取られている、こういうふうに評しておる農村評論家もいるわけです。そういう点から、農協が現在のような政治活動をするということは、私は農協として好ましくない、好しくないだけではなしに体質改善をしていかなくちゃならぬ、こういうふうに実は考えております。どうかその点についてさらに大臣としての所信を承って私の質問を終わります。
長谷川四郎
67
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) 私も
農業
のまん中に育っておりますけれども、私は、農協自身が運動をして投票を取りまとめをしてもらった覚えもなければ何にもございません。残念ながらそういうことでございますが、いずれにしても沢田さんがおっしゃるようなことがあるとするならば十分私は注意をいたしまして、そういうことのないようにいたすようにいたしましょう。
任田新治
68
○
委員長
(
任田新治
君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 —————・————— 午後二時三分開会
任田新治
69
○
委員長
(
任田新治
君) ただいまから
農林水産委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
に対し、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
鶴園哲夫
70
○
鶴園
哲夫君 前回いろいろ質問をいたしましたときに、資料の提出も要望いたしておきましたし、その資料の提出がありましたので、その資料につきまして若干の検討を行ないました。したがってその資料についていろいろお尋ねをいたしたいわけです。 それから、なお前回の質疑の際に答弁が留保になっているものがありまして、局長が再度いろいろ御相談の上答弁をいただくことになっております。したがいまして、そういった問題につきましてお尋ねをいたしたいわけですが、まず順序といたしまして、前回やりました協同組合短期大学の問題について局長の答弁が留保になっておりましたので、これをまずひとつ答弁をいただいて、それからその問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
池田俊也
71
○
政府委員
(池田俊也君) 前回協同組合短大の通信教育部の扱いの問題についてお尋ねがございました。文部省の問題でもございますので、私ども的確なお答えができないで、その後文部省等とも連絡をしていたわけでございますが、それにつきまして簡単にお答え申し上げます。 通信教育部におきましては現在在学生が約千四百名ございます。非常に入学の回数が分かれておりまして、古いのは三十五年から入学をしておる、こういう状況でございまして、非常に入学の年次は各年にわたっているわけでございますが、現在の協同組合短大の学則では、修業年限は二年でございますけれども、在学年数については
定め
がないと、こういう状況のようでございます。したがいまして、在籍の
期間
が限定をされませんので、そういう古い人も在学をしている、こういうかっこうに相なっておるわけでございます。そういうことがございますので、現状におきましてはそういう学生が多数おりますので、これをかりに廃止するということになりますと、その在学生の扱いの問題がいろいろございまして、現状において通信教育部を廃止するということはいろいろどうも困難があるということのようでございます。いま直ちにそのままの状態で廃止をすることは非常にむずかしい、こういう状況のようでございます。そこいらが明らかでございませんでしたので、一応文部省の見解も聞きましてお答えを申し上げるわけでございます。
鶴園哲夫
72
○
鶴園
哲夫君 この問題につきまして若干お伺いする前に、先般、問題にいたしました中央協同組合学園ですね、今度新しく開設されつつある中央協同組合学園の問題と、それから短期大学を廃止するというお考えのようでありますから、その廃止するにあたっての残余
財産
ですね、非常に大きな
財産
があるわけですが、それの帰属の問題ですね、この二つについてまずお尋ねをしたいわけなんですが、中央協同組合学園の入学願書の受付が終わったことは御承知ですか。募集が六月の二十三日から六月の三十日までで募集が終わって、これから試験ということになっておるようですけれでも、御承知かどうか。
池田俊也
73
○
政府委員
(池田俊也君) 中央学園の募集の問題でございますが、これにつきましては、いまお話のございましたように、一応六月末で締め切りということで募集というようなことをやったようでございます。ただ、非常に短
期間
の間でどうも十分でないというようなことがございまして、あるいはもう少し延長すべきであるという御意見もあるようであります。もうこれで一切打ち切るということになるのかあるいはまた再延長みたいなことになるのか。そこいらはどうも私どもが承知している限りでは確定をしていないという状況のようでございます。
鶴園哲夫
74
○
鶴園
哲夫君 それらの
内容
についてはここでは省略をいたしますが、この中央協同組合学園のこの募集要領によりますと、中央協同組合学園というのは協同組合短期大学と違って各種学校である、こういうふうにしてあります。で、この点についてはこの間局長も学校
法人
ではないし、各種学校だと、こういうことを答弁になったんですが、この点間違いありませんか。
池田俊也
75
○
政府委員
(池田俊也君) まだ正式に認められたという形にはなっていないようでございますが、各種学校ということで今後やっていきたい、中央会としてはそういう意向であるというふうに承知しております。
鶴園哲夫
76
○
鶴園
哲夫君 各種学校としての
許可
は受けていないと、各種学校にしたいという申請は出ているんですか。
池田俊也
77
○
政府委員
(池田俊也君) 申請書もまだ正式には出ていないようでございます。まあ、どういうようなやり方でやるかというようなことを内々都庁と連絡をしていると、こういう状況のようでございます。
鶴園哲夫
78
○
鶴園
哲夫君 私が先ほど申し上げましたように、中央協同組合学園の募集要項によりますと、各種学校であると断定をした記載をしてあるわけです。でありますが、
許可
は出ていない。各種学校の申請もまだ出していない。ところが、募集要領には各種学校であるという断定をして、記載をして学生を募集しているというのは、一体どういうことなんですか、お尋ねをしておきます。
池田俊也
79
○
政府委員
(池田俊也君) 内部的な
事情
は私どもも詳細は存じないんでございますが、確かにまだ申請書も正式には出ておらず、認可も受けていない、こういう段階でございますから、募集ということは、これはいわばその
性格
としては正式の募集というものではなしに、募集のいわば予備行為みたいなものというふうに理解するほかはないわけです。
鶴園哲夫
80
○
鶴園
哲夫君 いや、これはあとで伺いますけれども、募集要項には各種学校というふうにりっぱに記載してある。持っておられますか、あなた持っていない、それは話にならない。ぼくはまた持っておられるのかと思った。いや、ぼくは間違って読みませんから、正確に読みますから間違って読むようなことはしません。各種学校であるというふうに記載をしてある。そして、それで全国にこれをばらまいた。そうして学生を募集した。だがしかし申請も出していないし、
許可
ももちろん出ていないということになりますと、これはどうもたぶらかすものではないかという疑念が出ますね。どういうふうにこれは
農林大臣
考えられますか。
池田俊也
81
○
政府委員
(池田俊也君) 私ちょっと事務的にお答え申し上げたいと思いますが、これは確かにいまのような状態でございますから、私どもの理解では正式な募集というものではなしに、いわば募集の予備行為みたいなものと解するほかないと思いますが、全中当局としてはこれは各種学校として認可がおりる、こういう確信のもとに逐次作業を進める必要もございますので、そういうことで予定ということを本来は書くべきものであろうと思いますけれども、そういう記載が抜けていた、こういうことで非常にその点適切な措置とは申せないわけでございますけれども、そういうようなおそらく
趣旨
であったろうと思うのであります。
鶴園哲夫
82
○
鶴園
哲夫君 いま局長は各種学校になるという確信のもとにというお話ですけれども、その確信がないんじゃないんですか。あるのかしら。ちょっとそれじゃ確信があるというふうにお話ですが、確信がないということを私は思っているんですけれども、まずこの募集要領によりますと、不十分な答弁はためておきますよ、いまの答弁は不十分ですから、ためておきますから、あと鉄砲水みたいに流さぬように。募集要領によりますと、この提出書類が六通要るんですよ、この六通の中の二通が問題なんです。所属農協または連合会長の内申書が要る、これは様式第三号となっております。それからもう一通要りましてね、それは
都道府県
の中央会長の副申書が要るんですよ、それは様式四号ですよ。だからね、この所属農協の会長の内申書が要るということと、もう一つ県の中央会の会長の、県中の会長の副申書が要るということになっていますね、これは非常に閉鎖的ですね、きわめて閉鎖的。ですから、学校教育法に基づく各種学校に一体該当するのかどうかという点があるようですね、都庁のほうに聞いてみましてもですね。ですから、いわば確信があるという、確信に基づいてというお話ですけれども、これはもう閉鎖的なんですね。これは学校教育法に基づいては、これは極端に閉鎖的ですし、公開の原則でもありませんし、教育の
機会
均等にも反している。この二つの書類が出なければ第一願書も出せないんです。そういうことになっていますね。そうしたならば都のほうに私は電話で連絡をしていろいろ伺ってみますと、困るというんですね、これは。そうすると、これは一体ここでは募集要項の中に各種学校というふうに断定をし、記載をし、局長はいま答弁の中で各種学校になる、こういう確信のもとに進めておるんだという話だけれども、筋としてはそうでないではないか、各種学校にならないではないかということなんですね。どうです。
池田俊也
83
○
政府委員
(池田俊也君) 私どもも調べてみましたらいまお話のような
事情
があるようでございます。また、中央会の副申とかあるいは所属農協等の内申というものが、学校の一般的な考え方でございます公開の原則というようなこととどうマッチするのかあるいはマッチしないのか、そこらにどうも問題があるということでございまして、いま御指摘のような事実は確かにあるようでございます。
鶴園哲夫
84
○
鶴園
哲夫君 ですから局長が答弁になりました確信に基づいてということにも非常に大きな問題がありますし、それから募集要項の中にこういうふうに各種学校であるという断定をした記載するということも非常に大きな問題があるというふうに思うんです。なお、この募集要項の資格の中にこういうふうになっているんです。必要なところを読みますと、現に農協、同連合会及び中央会に勤務しておる者並びに将来勤務することが確実と見込まれる者、この二つあるんです。ところが、将来勤務することが確実と見込まれる者という者はどういう願書を出すのかこれに載っていない。願書は先ほど申し上げましたように農協長の推薦、内申書ですね、それから県中の会長の副申書が要ることになっておる。ですからちょっと見ますと、これは将来勤務することが確実と見込まれる者ということでできるのじゃないかと見られますけれども、内申書の
内容
を見ますと、所属部課、担当業務、賃金月額、職場における本人の状況、
性格
から研究心から対人関係から何から全部書くことになっているんです。ですから勤務していなければだめだということになりますね。それから副申書を見ますと、これは県中の会長が出すわけですが、これも所属組合の
組合員
数だとか職員の数だとか
事業
の財務状況だとか販売高が幾ら、自己資本が幾らという調子なんです。だからいま現に農協に勤務していないで将来勤務することが確実な者という者はこれは願書の出しようがないでしょう。そうしますと、ここに将来勤務することが確実な者ということは書いてあるけれども、これは名目じゃないかというふうに断定せざるを得ない、局長どう解釈されますか。
池田俊也
85
○
政府委員
(池田俊也君) ちょっと私どももどういう書類を出させてどうというところまで一々タッチをしておるわけではございませんから、いまの確実と見込まれる者というのをどういうふうな方法でチェックするのか、あるいは御本人から誓約書を取るとかいうことをやるのか、あるいは他の方法をとるのか、ちょっと私どもは何ともお答えいたしかねるわけでございますけれども、まあ資格として現に勤務している者のほかに、将来農協に勤務することが確実である者も資格に加えているわけでございますから、いわば大部分はあるいは現に勤務している者かもしれませんが、そういう資格を
規定
している以上は当然それは将来農協につとめる者も入るものであるというふうに考えております。それをどういう方法でチェックするかというところまでは実は承知をしておらないわけでございます。
鶴園哲夫
86
○
鶴園
哲夫君 局長のお話のように、将来確実に勤務すると見込まれる者という点について誓約書を取るとかいうような形のものもあるでしょう。しかしそれにしても申請書が出せない、内申書が、これを見ますと。先ほど申し上げましたように所属の単協の組合長が出す、単協でもいい、県連でもいいんですけれども、そこの会長——単協の組合長が出す内申書というのは、職場における本人の状況を書くことになっているんです。
性格
がどうだ、対人関係がどうだ、研究心がどうだ、勤務状況はどうだというようなことを書くことになっておる。それが中心のようです、これを見ますと。だから出しようがないんです。あるいは非常に急場のことで十分に検討なくしてできたかもしれない。ですが、りっぱなものになっている。それでいま局長が、そこまで深く携わっていないことが何かそう無理ではないような言い方をされましたが、これは私は前から言っているんですよ。これは協同組合の短期大学に対して農林省が奨励金を出しましたでしょう、一千万円の奨励金を出した。それを今度廃止しようというんだからどういう理屈があって廃止するのか、奨励金を出してつくったものを廃止するその理屈がはっきりしないまま答弁なさっているでしょう。いままでははっきりしない。奨励金を出して奨励したものを廃止するというその理屈は何なんです。全然理屈がはっきりしない。だからその点はぼくはあとで一千万円の補助金を返してもらうというだけでは済まない問題です、これは。私はそう思っていますけれどもね。ですから、いま新しくできようとするそういう協同組合の学園に対しまして、何かよく御存じないということは私は理解に苦しむ。重要な問題じゃないですか、やめるというんだから。やめるという
理由
がはっきりしない、補助金を出して奨励して。はっきりしてもらいたいんですがね。そうすると新しくできるものについても、それは農林省としてはっきり考えておいてもらわないと私は困ると思うんですがね。そういう点についてどういう考えを持っておられるのか、
農林大臣
の意見も聞きたいと思うんですけれども、局長どうですか。
池田俊也
87
○
政府委員
(池田俊也君) いま先生のお話は、どうもこの募集要項等から見て、現に組合につとめている者だけに実際は限るということではないのか、こういうお尋ねで、非常に具体的な点までお述べになったのでございますが、私どもは現に農協に勤務している者のほかに、将来農協に勤務することが確実である者も含むという考えでおるということを実は承知してるわけでございまして、まあそれの具体的な、どういうような様式でそれをチェックするかというようなところまでは実は承知しておりませんということを申し上げたわけでございます。これは現実に中央会の扱いの問題でございますので、あるいはあまり想定で申し上げるのもいかがと思いますけれども、現につとめていない者については所属組合における成績等を書くわけにはまいりませんから、そういうものは空欄にするという扱いもあろうかと思いますし、私どもは詳細を知りませんが、こういう資格をきめている以上は、現に組合に勤務している者に限るという
趣旨
ではないというふうに私どもは考えざるを得ないわけでございます。ただ、それにいたしましても、いま御指摘のように、副申書をつけるとか内申書をつけるとかいう点からいって、どうも学校教育法の各種学校のたてまえからいってはたしていかがなものであろうかという問題はあるようでございます。これはまさに学校教育行政の問題でございまして、私ども直接関知してるわけじゃございませんが、そういうことがあるんで、この問題はやはり今後関係当局において十分検討されるべき問題であろうというふうに考えてるわけでございます。
鶴園哲夫
88
○
鶴園
哲夫君 いま局長がお話になりましたように、内申書を出すわけですし、それは結局農協長、さらに副申書として県中の会長が出す。それが出さなければ願書にならないわけですね。ですから非常に閉鎖的ですしね。ですから言うならば企業学校みたいなものだと思うんですよ。しかし各種学校という名目で記載をして募集をし、そしてまた局長お話のように、確信があるというお話ですけれども、いまお話のように非常に問題があって、これは各種学校ということにならないだろうという判断を立てても全然おかしくないという状況だと思うんです。いろいろ都庁とも話をしてみますとそのようですわ。そうなった場合にどうなるかという問題を次にまあお尋ねをしたいわけなんです。 そこで、いま先ほど局長は冒頭の答弁の中で、いま通信教育部の中に在籍している者は約千四百名だ、その中には三十五年創設したときに入った者がいる、で、学則では何年以上おってはならないという
定め
はない、したがって、いま直ちにこの通信教育部というものを廃止することには困難であるという話がありましたですね。この学則の中に、授業料を納めない者について除籍する
規定
がありますかしら。——あるんですな。その点はどういうふうに見ておられるんですか。
池田俊也
89
○
政府委員
(池田俊也君) 学則の中にそういう
規定
がございまして、所定の
期間
内に学費を納入しないときは除籍するという
規定
があるのでございますが、必ずしも従来そういうふうに励行されているわけではないようでございます。しかしながら、その
規定
がございますから、この
規定
に従いまして学費を納入しない学生が除籍をされるということもあり得るわけであります。
鶴園哲夫
90
○
鶴園
哲夫君 学則に除籍のことが書いてあるけれども、いままで九年、これは発動したことはないという話なんです。 もう一つ、この通信教育部の学生が三十人おっても四十人おっても廃止することになっていますか。学則には
定め
がないようですね。
池田俊也
91
○
政府委員
(池田俊也君) そういう
定め
はないようでございます。したがいまして、除籍もされないで
一定
の数の学生が在籍をしていると、こういう状態のもとにおいては、通信教育部を廃止するのはなかなか問題があるのではないかと、こういうふうに文部省においても考えているようでございます。
鶴園哲夫
92
○
鶴園
哲夫君 まあ理屈としましては、学則の上でも
制限
はないわけでありますから、二十名あるいは三十名という形でもこれはやらなければならない。やろうという者の意思をじゅうりんするわけにいかない。カットするわけにいかない。理屈の上では学則上は何年おって悪いという——これは働きながら学ぶ学生ですから何年というきめはない。事実、いま局長が答弁にありましたように、三十五年創設以来十年近く学生がいる。その学生も少ない数字じゃないですね。問い合わせますというと、百名程度、百名こすようです。そうしますと、理屈の上では少なくともこれは十年以上存続しなければならないということになるのですか。理屈の上ではそうなる。どうですか。
池田俊也
93
○
政府委員
(池田俊也君) これもまあ学校教育法の運用の問題でございますので、私どもまあ責任を持ってお答えできない点もございますけれども、私どもが承知しておるところを申し上げますと、先ほどございました除籍処分の
規定
もございます。したがいまして、学費の納入がない場合には除籍処分ということもあるわけでございますから、そういうようなことでかりに学生がいなくなったということがありますならば、それはその限りにおいては廃止ということはまあ問題はない。それから、あるいは現在の学則の中でも修業年限についての
定め
はございますが、何年以上いてはならないという
定め
はないわけでございますけれども、そういう
定め
をすることもこれはできると、私どもが文部省当局から伺いましたところでは、そういう学則を
定め
ることもできるというようなふうに伺っておるのでございます。
鶴園哲夫
94
○
鶴園
哲夫君 いま局長が答弁になったんですが、評議員会できめれば学則を変えることができる、あるいは理事会でやれば学則を変えることができる。しかし現在のこれでは何年以上という——しかし本来は、たてまえは、働きながら学ぶ者に対する教育の
機会
を与えるという通信教育
制度
ですから、したがって通信教育の場合においてはそういう
定め
をしてないわけですよね。何年というような
定め
をしていない。ですからそういう
趣旨
からいってもいまの答弁にはぼくは問題があるというふうに思いますね。ですが、いずれにしても、これは三千五百万円の金を短期大学に対しまして全中は出しているわけですね。四十五年度は出すのか出さないのか、はっきりしてないようですね。一千万円の金を出して奨励した農林省として、一体この成り行きはどうなるのかという点に対して重要な問題がありますから、三千五百万円の全中の金というのは四十五年度は出るのか出ないのかというを明らかにしてもらいたいのです。
池田俊也
95
○
政府委員
(池田俊也君) これは全中当局の意向をさらに確かめてみませんと的確なお答えができないわけでございますけれども、またあるいは今後の、先ほど来問題になっております事項の扱いがどうなるかということにもよるところが多いと思うわけでございますが、私どもの従来の経過から考えますと、四十五年度もやはり継続して支出をするということに相なろうかと思うわけでございます。
鶴園哲夫
96
○
鶴園
哲夫君 そういう話にぜひ指導し、なるようにやってもらいたいと思いますですね。かりにそれがない場合、かりにない場合は授業料ではやっていけぬのだろうと思うのですね。そうするというと、寄付行為の中に
定め
てありますように、学校
財産
を処理しなきゃならぬだろうと思うのですね。それはどういうふうに考えておられるのですか。
池田俊也
97
○
政府委員
(池田俊也君) まあ仮定の話でございますので、的確にどうもお答えがしにくい問題でございますが、私どもは現に施設があり、またそれが運営されている状況のもとにおいては、その必要な金が当然支出されませんと、これは実際問題として非常に困るわけでございますから、当然そういう必要な限りにおいてば必要な金は支出をされるのではないかというふうに考えているわけでございます。
鶴園哲夫
98
○
鶴園
哲夫君 局長ね、この点はもっとはっきりさせていただきたいのは、私は繰り返し言っていますように、通信教育
制度
については農林省が一千万の金を出して奨励なさっているんですよ、また奨励するのはあたりまえでしょう。あるいはこの短期大学ができるときにも金を出して奨励しておられるんですよ。だからその成り行きについてはもっと真剣でなきゃならないと思うのですよ。だからもっときちっとやってもらわないと困るわけなんですがね。 まあしかし次に、伺いますと、短期大学なりを解散しようという考え方のようなんですね。しかしなかなか解散できない、これは。というのは、通信教育の部があるから解散できない、困難だ、しかし考え方としては短期大学を解散しようという考え方のようなんですね。そうしますと、いま約五千坪あまりの
土地
があるのですね。その
価格
は一体どの程度になるのか、人によると十億になるといい、あるいは七億だ、八億だという話もあるようですけれども、どの程度になるのかということと、その
財産
の処分をどうするのか、かりに解散する場合に。
池田俊也
99
○
政府委員
(池田俊也君) お話が私ども正確に把握しているわけじゃございませんが、常識的に考えれば十億に近いような
相当
多額なものになるのではないかというふうに思うわけでございます。なお残余
財産
の処分につきましては、これは寄付行為で
定め
ているわけでございまして、現在の短大の寄付行為では、学校
法人
その他教育
事業
を行なうもので、理事の三分の二以上の同意、それから評議員の議決ということできめる、こういうことになっているわけでございます。したがいましてその
趣旨
に従って、当然残余
財産
の処分は行なわれる、きものであるというふうに私どもは考えます。
鶴園哲夫
100
○
鶴園
哲夫君 局長のおっしゃるように、この短期大学の寄付行為の二十九条に、解散のときの、「残余
財産
は学校
法人
その他教育
事業
を行う者のうちから、」というふうになっていますね。そこで前に戻るわけなんですが、全中が学校
法人
でないことは明らかだと思うのですね。これは御質問申し上げるまでもない。全中は学校
法人
ではない。 次に、いま全中はことしから開校しようとしつつある協同組合中央学園、これは学校
法人
でないことは明らかです。そして、これは学校になるかどうかすら非常にむずかしい。特殊学校にはなれぬだろう、いまのままでは特殊学校にはなれぬだろうということすら判断されるわけなんですけれども、そうした場合に、この金は全中にはいかないし、全中がやっておりますところの中央学園にもいかないということになるというと、これは一体どういうことになるのかという点ですね。
池田俊也
101
○
政府委員
(池田俊也君) 御指摘のとおり、全中は学校
法人
ではございません。ただ私もここで断定を申し上げるつもりはございませんが、この寄付行為でうたっております「その他教育
事業
を行う者」ということに該当するかどうかという問題が別にあるわけでございます。現在の農協法の中央会の
目的
達成のための
事業
ということの中に、「組合に関する教育」という項がございます。 これはいまの中央学園が組合に関する教育ということに該当する可能性は非常にあるわけでございます。そういうことでございますならば、そちらに帰属をするということもあり得るわけでございます。
鶴園哲夫
102
○
鶴園
哲夫君 いま局長の答弁がありましたように、農協法の七十三条の九に、中央会の仕事が書いてありますね。三号に、「組合に関する教育及び情報の提供」というふうになっているのですが、これが教育
事業
を行なうということに該当するというお考えですか。これは教育、宣伝、啓蒙じゃないですか。これは教育
事業
を行なうというものに該当するのかどうか。
池田俊也
103
○
政府委員
(池田俊也君) もちろん非常に軽い意味の啓蒙に関連する
事業
も当然含まれるわけでございますが、必ずしもそうではなくて、一年とか二年というような
期間
の教育をやる場合もあり得るわけでございます。そういうものを私どもはやはり教育
事業
ということに考えてよろしいのではないかというふうに現在は考えております。
鶴園哲夫
104
○
鶴園
哲夫君 そもそもこの協同組合短期大学ができたということは、全中とは別の
法人
をつくってそうしてやろうということだったのでしょう。資格の問題もありましょうけれども、いわゆる短期大学という資格をとる面もありましょうけれども、別に別の学校
法人
をつくってそうして教育をやろうということだったろうと思うのですね。そのことはこの七十三条の三とは別なことをやっているのじゃないですか。これに該当しているのですか。これは全中がやっているわけではないでしょうね。いまやっているのは全中とは全然別個の独立の学校
法人
なんです、ただ金を出していますけれども。いまやろうとしている中央学園というやつは、これは中央会の、全中の直営と書いてあります。いまここにあるやつは、そうではないのですよ。ですから、そういうたてまえじゃなかったのですか。いまの農林省の考え方は、七億か八億か十億になる金を全中さんのほうにやりたいからいまのような話をなさっているのじゃないですか。
池田俊也
105
○
政府委員
(池田俊也君) 私どもはそういう金をぜひ全中に差し上げたいという気持ちは毛頭ないわけでございます。そういうことから申し上げているのではございませんが、まあその協同組合短大が現在できました経緯は、全中中央会としてできないからやったということではなしに、やはり学校
法人
というようなもので
相当
高度の組合に関する教育をやるほうがよろしいという一つの考え方のもとに行なわれたというふうに私どもは理解をしているわけでございます。したがいまして、考え方としては二つの考え方があり得るわけで、そういう考え方も当然あり得ますし、それからこの中央会自体としてもやりたいという考え方もあり得るわけで、その間に私どもは中央会自体が考え方が変わってきた。当初は、学校
法人
で、短大で、
相当
高度の教育をやりたいというのが、いろいろやった結果、どうも少し考え方が変わってきた、こういうことでございまして、必ずしも、中央会のこの
規定
で読めないから別に取り出してやったのだ、こういうことではなかろうと思います。
鶴園哲夫
106
○
鶴園
哲夫君 この問題はひとつ残しておきましょう。で、あらためて所管官庁である文部省の出席をいただいて詰めるということにいたしたいと思います。この七億か十億の、かりに解散するときの残余
財産
の帰属についてはそのように論議をしたいというふうに思います。 そこで重ねて
農政
局長に伺いますが、農林省は金を出して一生懸命やれと言うて奨励して今日まで来た短期大学を廃止して、そして新しい学校
法人
でもない、格の一段下がるといいますかね、そういうとおかしいのですが、格の一段と下がる、花嫁学校や料理学校と似たような、そういう各種学校をつくってやろう、しかもそれも各種学校にもなれぬだろう、いまの状況では、というようなことになぜなるのか。そんな曲がりくねった必要ありますかね。私はそこが不可解なんです。農林省はそこのところはっきりしなければいかぬのじゃないか。補助金を出しておるのですから、奨励をしたのですからね。どうもそこの点が農林省のほうはあいまいだけではなくて、私は不適切だというように思うのですよ。せっかくある短大じゃないか、しかもそういう
財産
だってりっぱにある。廃止しようとしても今後理屈の上では十年たっても廃止できない。先ほどの通信教育部がありますから十年たっても廃止できない。金は来年も三千五百万円出すのだ。何も好んで新しくつくらないで、大きな短大にするならする、短期大学にするというふうにされたら理屈がすっきりするじゃないですか。どうですね、すっきりした答弁をしてもらわないと……。お宅は金出してやったのでしょう、一生懸命。不見識もはなはだしいですよ、いまの段階になって。
池田俊也
107
○
政府委員
(池田俊也君) 補助金を支出しましたことに対する責任は当然あるわけでございますけれども、しかしこの問題は、やはり本質的には協同組合のいわば内部というと多少ことばは適切でございませんが、直接この問題に関与している方々の意見、それからあるいはそれに関連をいたしまして、学校教育といいますか、そういう教育
制度
の問題がからんでおるわけでございますが、そういう問題でございますので、非常にはっきりしないじゃないかというおしかりはあるわけでございますけれども、私どもといたしまして実はこれについて協同組合短大であくまでいくべきであるとか、あるいはそうじゃない方向でいくべきであるとかいうのはいささか私どものやっております仕事の
範囲
から見まして、多少そこまで期待をされますことはいささか困難ではなかろうかという感じを持つわけでございます。しかしまあ補助金を出したということは、確かにこういう問題が起こるということは当時としては全く想定もしていなかったことでございますから、その処理をどうするかという点につきましては、私どもといたしましても当然責任があるわけでございますから、これにつきましては今後善処いたしたい考えでございます。いまの問題について、積極的に私どもがこういう方式をとるべしということを打ち出すのはいささか困難ではないかと考えておるわけでございます。
鶴園哲夫
108
○
鶴園
哲夫君 局長、あなたそういうことをおっしゃいますけれども、もともとこの短期大学を廃止して、そして新しく協同組合中央学園をつくろうということの対策
委員
会があるでしょう。その
委員
会に農林省は入ってるでしょう。この間答弁されたでしょう。おかしいじゃないですか。それにおまけに補助金を出しおいて、奨励金出しておいて、何かこう逃げ腰みたいな話は……。農協の教育活動については非常に重要な
内容
を持ってるわけです。ですから、農林省としても一千万という金を出して奨励なさったのでしょう。それは当然だし、いいことでしょう。それについて、そういう奨励したものが何かわからぬ形で廃止になるということについては、これは責任がどうだこうだいう問題じゃないと思うのです。もう一つ、先ほど私が申し上げた、これを
審議
をしてきめる、そこにメンバーとして入っているわけでしょう。
池田俊也
109
○
政府委員
(池田俊也君) 前回も申し上げたわけでございますが、私どももそういう会合に、まあ担当課長がオブザーバー的な立場で出席をして、そういうことを傍聴していたという事実は確かにございます。しかしこれは私どもは積極的にその会議の中に入りまして、こういうふうにすべきであるということを申したことはないわけでございます。これは私どもは役所の農協との関係その他からいいましても、そこまで介入をいたしまして指導するというのはいささか私どもの仕事の
範囲
を越えるものではないか、こういうことで様子は十分関心を持って見守っておりますけれども、積極的な立場で参加をしたわけではないわけでございます。
鶴園哲夫
110
○
鶴園
哲夫君 こまかくなりますけれども、オブザーバーという話なんですね、そうではないのじゃないですか。それをはっきりしてもらいましょう。何か前回の答弁もあいまいなんです。何かいまになって逃げ腰みたいな話じゃ受け取れませんよ、これは。
池田俊也
111
○
政府委員
(池田俊也君) これはその
委員
会の
委員
とか何とかいうことでは全くございません。前回もオブザーバーということを申し上げたわけでございますが、まさにそういうことで様子を見守っていたと、こういう
性格
のものでございます。
鶴園哲夫
112
○
鶴園
哲夫君 それじゃその名簿を出してもらいましょう、そのときの
委員
会の名簿を。そういうオブザーバーだとおっしゃるなら名簿を出してもらいたい。で、前回からオブザーバーだオブザーバーだとおっしゃるけれども、その名簿を出してもらえばはっきりするわけです。なお、ぼくは何か前から農協の問題についていろんな問題を取り上げてきて口をすっぱくしているのは、こういう問題についてどうも農林省は少しだらしがないという感じをぼくは持ってるわけですよ。何かというと自主
団体
だとおっしゃるですね。しかし奨励金出してやっておるのだから、それが
理由
なくして、——はっきりした
理由
がないでしょう、
理由
なくしてやめようというようなものに対して農林省の見解が示されないというのは解せないですね。しかもその指導監督の機関ですよ。だから私の、いま
農林大臣
お帰りになったようですけれども、あなたのいない間にだいぶ論議が進んだわけです。結論をかいつまんで申し上げるというわけにもいかないのですが、ごく簡単に申しまして、どうも今回の協同組合短期大学を廃止するという点については非常に疑問が多いだけじゃなくて、何でやめるのか理屈がわからない。長年の伝統があって、これはこの間も局長は答弁いたしましたのですが、大正十五年以来の伝統があって、さらに戦後これを短期大学にして、三十五年に通信教育部を新しく追加して、いずれも農林省が補助金を出して、特に通信教育については一千万円の金を出して奨励してきたわけなんです。ところが何も
理由
なくしてこれをやめようというのですね。やめるというならわかるのです。やめちまうならわからぬわけでもない。ところがまた別につくるというのです、学校を。しかもその学校は、いまの短期大学よりもっと進んだものになるのじゃなくて、建物はそれはいいものになるかもしれませんが、しかし学校
法人
でもなければ、その学校というものに該当しないようなものなんですね。何でそんなことをするのか、大体話にならないですね。ですからぼくは
農林大臣
なり、それからいま
農政
局長答弁がありましたが、そういう経緯なんですから、この問題について、もう少し積極性を持って対処してもらいたい、理屈のはっきりしない、何も理屈のはっきりしないものについては、行政庁としての考え方を明らかにしてもらいたい。補助金も出してやっておるのですから——という考え方で対処してもらいたい。弱腰なんです、どだい農林省は。あとでもやりますけれども……。大臣は弱腰じゃないだろうと思う。
長谷川四郎
113
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) 答弁しろと言われても、私もおしかりを受けるかもしれませんけれども、ほんとうに初めて聞くことで、何ら報告もまだ今日まで受けておりませんので、農協内部の問題だと思うのですが、十分この点については、今後お話を聞いて、それからでないとはっきり御答弁申し上げられませんけれども、いずれにしても局長が十分その点については、対処するだろうと考えておりますので……。
鶴園哲夫
114
○
鶴園
哲夫君 それじゃ大臣、対処の姿勢が問題なわけなんですよ。経緯はいま申し上げたとおりなんです。農林省が補助金を出して奨励してこられた、非常に重要な仕事なんですね。それが
理由
がない。さっぱり
理由
がない。廃止するというなら、それだけならまだわかるのだけれども、要らなくなったから廃止するという理屈もあるでしょう。だけれども、また別につくろうというわけです。しかもそれを学校
法人
でもないし、特殊学校でもない、何か学校にもならぬような、そういうものにしようというわけなんですね。こういうものは、私はさっきから局長に言っているのは、従来の経緯からいって、農林省としてははっきりした考え方をもって臨むべきであるということを言っているわけです。
長谷川四郎
115
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) 私もきょうほんとうに初耳で何なんですが、いろいろ伺ってみると、なかなか農協内部にもいろいろ複雑な問題があるようでございます。 いずれにしてもそのままほうっておくという意味ではございませんので、十分対処をいたしたいと考えております。
鶴園哲夫
116
○
鶴園
哲夫君 いずれにいたしましても、全中が今回つくろうといたしておりますところの協同組合中央学園、これは非常に問題がある、設置そのものについても。これは非常に問題があって、特殊学校にもなり得ぬだろう。学校をつくる考え方そのものがどうも特殊学校に触れるというふうに思うのです。特殊学校にならぬと思うのです。 さらに、一方においては短期大学を廃止するわけにはいかない。通信教育の部が残っている限りにおいて廃止できないというような奇妙きてれつな状況をつくるということは、これは協同組合の教育活動として非常に遺憾だと思う。はなはだしく遺憾だと思う。それに対するまた農林省が見解を持たないということも無方針だというように私は思う。ただ、いま大臣のお考えですと、農協内部のいろいろな
事情
もあるようだから、いろいろ聞いた上で対処していきたいというような話なんですけれども、私はこういうような態度で臨んではならないということを繰り返し言っているわけなんです。
相当
なものですな、これは。私は義憤を感じますね。常識上これをそうですかというわけにはいかない。これは局長だってそうだと思うのですよ、すなおに考えれば。大臣だってそうだろうと思うのだ。こんなおかしなことありませんよ。もう一ぺんこの問題はやり直さなければいけないですね。 次に、問題をひとつ別に変えまして、農協の不正問題について、前回資料を四つ要望いたしましたところが、資料が出てまいったのですが、前回の論議は、農協の不正事件というのが四十一年に急速にふえた。たいへんなふえ方をしたということで、農林省としてもこの不正をなくするために、四回にわたって不正防止の通達を出された。にかかわらず、四十二年は四十一年よりもさらに一そう大きな不正事件というのが続出をする。四十一年の三倍近い金額の不正事件が起こるという異常な状態になったというところで問題を提起し、論議をしたわけですね。その中で問題は、四十一年から四十二年の五月にかけて四回の不正防止の通達を出したにかかわらず、効果ないだけではなくして、一そう不正が三倍近くにもふくれ上がったということについての私は問題提起をしているわけです。たまたま農協から発表したものの中に四回も通達を出したが、「守られない通達事項」という見出しの文が出たから、そこで一体通達はどうなっているのかということを聞きまして、その中の一つとして「守られない通達事項」と書いてあるのだけれども、念のために一体通達はどういうふうになっているのかということで一つだけ——四回目の最後の通達ですね。四回目の通達の協同組合の一斉調査ですね、それはどの程度やられたのかということの資料を提示してもらいたいということを出したわけなんですが、それについて資料をいただきましたが、私の都合もありまして、つい三十分ほど前に資料をいただいたわけです。若干
説明
もいただきましたですが、私の受け取り方ではやはりこの
農業協同組合
でお出しになったように「守られない通達事項」ということになるというふうに思うのですが、この通達——まあ、不正を防止しようというために通達を四回出される。そうして言うならば、外に与える感じとしては、農林省せい一ぱいやっている。通達を出してやっているという印象を受けるわけですけれども、ただその中は実行されてない。よく守られてない。それじゃまるで何のために通達を出すのかわからぬじゃないかという結論なんです、私は。ですから局長、いまのこの「守られない通達」の状況について、
説明
をいただけませんか。
池田俊也
117
○
政府委員
(池田俊也君) 四十二年度におきまして、私どもと中央会とが連絡をとりまして、主として農協の内部牽制組織の状態がどうなっているかというようなことで、非常にこまかい項目に分けまして、いろいろな項目について点検をしたわけでございます。点検をいたしましたのは、全国についていろいろ実はできなかったということもございまして、全部の県の集計結果ではございませんけれども、一応結果はわかったわけでございます。それによりますと、項目によっていろいろ違うわけでございますが、大体の数字で申し上げますと六割ないし八割ぐらいの
割合
で守られている事項が多いわけなんでございます。中には非常に悪くて三〇%程度しか適合をしていないというところもございますけれども、大体はそういうような状況でございます。 要するに
内容
的に見ますと、やはり組合の内部牽制体制が、比較的
規模
の大きいような組合はまだわりあいに行なわれているわけでございますが、比較的
規模
の大きくないようなところでは、いろいろな帳簿を本来照合すべきところが照合されてない、あるいは現金出納の係の人がやる
範囲
の仕事を越えた仕事をやっている。そういうことから不正事件が起きる可能性があるわけでございますが、そういうようなことについて、必ずしも十分ではないというような結果が実は出てまいっておるわけでございます。つまるところは、やはり組合の
経営
基盤が弱くかつ内部牽制組織が必ずしも十分でない、こういうような結果が実は出ているわけでございます。非常にたくさん項目がございますので、一々
内容
は申し上げませんが、概要はそういうことでございます。
鶴園哲夫
118
○
鶴園
哲夫君 時間の関係もありますからはしょって質問いたしますけれども、日本
農業
新聞で、不正防止のための埼玉県の考え方が載っていますね。これを見ますと、県と県中とがいろいろ
協議
をしまして、対策
委員
会をつくってそうしてやっているわけです。不正防止の対策
委員
会をつくっている、県と県中がですね。それで信用
事業
を中心にして部分検査を重点的に行なうパトロール検査をやる。パトロールです。まるでおまわりさん並です。パトロール検査をやる。それから情報を得たら機を逸せず即刻やはり検査をやる、これはえらい話じゃないかとぼくは思うのです。これは手を焼いているんじゃないか、協同組合の不正事件というものについては手を焼いているんじゃないか、こういう印象を強く受けるんです。農林省は五回の通達を出されたけれども、あまり守られていない。実際しかし農協ではこれは手を焼いているんじゃないかという印象を強く受ける。ついこの間の七月五日、土曜日の日本
農業
新聞の論説、社説ですね、これは御承知のとおりに農協の機関紙みたいなものです。この五日の「論説」で、「不正事件の温床をなくせ」という題名で載せていますか、お読みになりましたか——読んでない。大体なっていない。ぼくはすぐ目についた。わざわざ切り取って赤線引っぱってマルまでした。それは農協の不正について関心があるからです。あなたはないんですか。これは農協の新聞だから農協自身が農協の不正についてものを言う場合には見ていなければだめですよ。自分のことを一生懸命言っているんですから。だからそういうことからいいますと、どうも関心が薄いような気もするんだけれども、そうあってはならないんで、一生懸命やっているわけでしょうが、ここで農協の「不正事件の温床をなくせ」という題で社説を書いている。その中で言っているのは、
理由
が二つあるというんですね。というのは、農協が会社化したというのが一つだ、もう一つは農協が社用族になった。との二つをあげているんです。どうですか、局長の見解をお聞きしたいんです。農協自体が「社用族」になったとわざわざかぎカッコして書いてあります。だから会社じゃないんだから——「社用族」だと書いてある、会社化というのは化ですから、そのまま会社化ということです。それから社用化した、社用化したということはどういうことなんだ、全販連が全購連を招待しているのか、飲んでいるのか、どうしているのか。あるいは県の段階で単協を招待して飲んだりしているのか、どうなのか、よくわからないんですよ。その二つについて局長の見解を聞いておきたい。
池田俊也
119
○
政府委員
(池田俊也君) いろいろ公務に忙殺されておりまして読むいとまがありません、はなはだ残念でございますけれども、いまのお話ちょっと詳細読んでみないとどういう
趣旨
かよくわからない点がございますが、おそらく社用化したというのは、まあ組合の役員あるいは幹部職員等が組合の持っている資金をいわゆる社用族というような使い方をしているということを指しているのかという気もいたしますけれども、私どもはこの不正事件の基本につきましては、非常に平凡な言い方ではございますけれども、やはり農協の指導者においてどうも組合管理の責任という点から自覚のやや欠けている点があるのではないか、こういう感じが、実は問題が起きました事例について見ますと、そういう感じを深くするわけでございます。それがあるいは現象的には一部社用族みたいなことになっているかということかと思うわけでございますが、私どもはやはりそこが非常にひとつ基本的に問題が一部において——全部ではございません、一部において問題があるのではないか。 それからもう一つは、この農協法のたてまえと全く無縁ではございませんけれども、やはり農協というのは農民が中心になって組合を管理運営をしていくという体制でございますが、それが最近いろいろ経済が複雑化してくる。ところがそういう方が組合の管理を行なうという場合に、どうも専門的な知識が十分でないというようなことで、これは悪意ではなしに、どうも本来やるべきことを十分やってない、こういう点がやはりあるのではないか。だからそういう点を私どもはやはり常勤役員なり何なりで当然補うべきであるという感じを持っておるわけでございますが、そういうことが一つの弊である。 もう一つは、やはり組合の中に弱小組合等もございまして、内部牽制組織等の整備が不十分なところがある。大体大別いたしますとそういうようなことが基本的な原因ではないか、一部そういうことがいろいろな現象に転化してくるということはございますが、そういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
鶴園哲夫
120
○
鶴園
哲夫君 局長、この「論説」は不正事件と言ってないのです。「不正事件の温床をなくせ」と言っているのです。その不正事件の温床というのは何かといえば、会社化と社用族、しかも「「社用族」の横行であろう」と言っている。社用族が横行しておるのです。はっきりしてもらわなければ困る。農民のための農協というけれども、何が農民のための農協か。不正をなくせというのじゃない。まず「不正の温床をなくせ」という。その温床は何かといえば、会社化と社用族の横行と書いてある。横行ということばを知っていますか。問題はここだと私は思うのです。あとで質問いたします。 それからもう一つこれに書いてありますけれども、農協というものは非営利原則だ。だから余剰金を出さないことがいいのだということにすりかえられておる。むだ金を使っておると書いてある。農協の新聞が農協について論説を書いているのであります。農協は非営利原則だ。したがって、余剰金がないのがいいということにすりかえられておる。むだづかいをしていると書いてある。どうですか、局長の見解を聞きます。これだけはっきり書いてあるのです。「余剰金を出さないことにすりかえられ、経費のムダが生まれることがある。これらは監査でもあまり問題にされないようだが、」不正の温床になると、こう書いてある。どうですか。
池田俊也
121
○
政府委員
(池田俊也君) 余剰金が出るのがいいのか悪いのか、これは一がいに言えないのだと私は思います。といいますのは、余剰金が出ない、むしろ
組合員
に対するたとえば供給
価格
を引き下げるというようなことにおいて余剰金が出ないという場合もございますし、あるいは余剰金を出してそれを
利用
高配当等によって分配をしていくというやり方もございます。いろいろやり方はあるわけでございます。一がいに私は言えないわけでございますが、余剰金を出さないのが常によろしいのだとは必ずしも私は考えておらないのでございます。 なお、私どもはいろいろな不正事件を見ますときに、出てくる一つの感じといたしましては、やや昔風の考えと申しますか、たとえば役員の方はあまり給与をとってはいけない。それでほんとうにわずかな手当等で甘んじている。しかし、いろいろな関係でどうしてもある程度役員にも給与的なものを渡すというようなことがございまして、別な形でそれを渡しておる。そういうようなことが一つの不正事件と結びついておるような事例もございます。だから私はやはりそういう点は合理的にもう少し物事を考えていったほうがいいのじゃないかという気がいたします。
鶴園哲夫
122
○
鶴園
哲夫君 私がいま論議しておるのは不正事件の温床を論議しておるのです。その温床の中でいま言う農協は非営利原則だ、それが余剰金は生まれないのがいいというふうにすりかえられる、そうしてむだ使いをするということなんですね。余剰金があればそれは当然
利用
高配当によって
組合員
に還元すべき
性格
のものなんでしょう。私は農協の新聞が「論説」として「不正事件の温床をなくせ」ということを主張したということはいいことだと思う、内部からこういう論説が行なわれるということは。しかし、同時に不正の問題について責任を持っておる官庁はもっと正確にこういうものをつかんでもらわないとどうもいけない。 そこで次に、これも農林省の農協課の出したものの中にありますが、単協の監査というのは監査をする監事そのものにほとんど監査能力がない、それから監事が役員だということで
執行
部と同じような仕事をしたり考えを持ってやっておる、それでなれ合いになってしまっておるというところから単協における、総合農協における監査というのははなはだしく妙だということを書いて、農林省の協同組合課の人が協同組合課という名を打って出しておるわけです。ですからいま言ったようなことからみますと、いま私は埼玉県の例を申し上げ、それから四回、五回の通達も守られていないということを申し上げ、いま日本
農業
新聞のこういう問題を申し上げ、さらに農林省が出しておる、単協の監査というものが土台の底がくずれておるというような話が出ておる、公表されておるという点等からいいますと、これは非常に問題だ。どういうふうに対処されるつもりなのか、ただ精神論じゃだめですよ、具体論を出してもらいたい。
池田俊也
123
○
政府委員
(池田俊也君) 組合の監事の監査の問題でございますが、これは実際問題といたしましては確かになかなかむずかしいといいますか、本来の機能を発揮するのはなかなかむずかしい実態だと思います。これは会社等でも同じようなことがある面では指摘されておるようでございますが、やはり役員の中の監事でございまして、本来からいえば当然業務
執行
と監査とは画然と
区分
すべきものでございますけれども、なかなかそれがそういう形に行なわれていない。むしろ有力者が理事になりまして、ややそれに次ぐ人が監事になるというような実態も確かにございます。なかなか私どもはそこに多くを期待するのはむずかしいのではないかという感じを率直のところ持っておるのでございます。ただ、やはりそういう
制度
がありまして、またなかなか役所の検査等では気づかない面に気づくということももちろんあるわけでございますから、これは私どもは極力やはりその機能を発揮していただく必要があるわけで、そういうようなことについては全中等においても監事教育ということを極力やるということで検査といったようなことはやっておるわけでございますが、私どもはやはりそこにすべてを期待するわけにはいかないので、行政庁による監査あるいは中央会による監査を併用していく以外に方法はないのではないかというように考えておるわけでございます。
鶴園哲夫
124
○
鶴園
哲夫君 衆議院のほうでは、この協同組合法の一部
改正
の
法案
について、検査体制の整備といいますか、強化といいますか、そういう附帯決議がついておるようですが、農林省は全国連を検査され、さらに地方
農政
局が県連を監査して、さらに
都道府県
が単協を検査する、行政庁の検査はそういうシステムになっているんですが、そこで農林省の検査ですけれども、私は農林省設置法を三十七年に
改正
を行なって今日の地方
農政
局ができるときに、検査を分散することは弱体化することになるんじゃないかという主張を強くしたわけです。つまり本省から各地方
農政
局に分散してしまった、それが非常に弱体化するんじゃないかという主張をしたわけなんですね。三十七年ですが、三十四、五年ごろから急速にこの不正事件が——不正事件というのは要するに横領とか
裁判
になるやつ、刑事事件になるやつですね、そういうものが非常にふえてくる。
高度成長
よりもっと大きな成長率を遂げてくるというのは、いま言う行政庁の監査、農林省の監査、それから
都道府県
の監査という点で問題が一つあるんではないか、もう一つ全中なりそれから県中が行なう監査ですね、これのやっぱり体制が弱いんじゃないかという気がするんですがね。ですから農林省の監査、それから
都道府県
の検査についてどういう考え方を
農政
局は持っておられるか聞きたいですね。 で、農林省からいただいた資料によりますと、不正事件の発覚の端緒というのがありますね。これを見ますと行政庁の検査による発覚というのが四十年で言いますと約八割近い、金額で言うと。件数で言うと約五割というのが行政庁の検査になっておるわけです。四十二年のやつは少し率が下がりますけれども、行政庁の検査による発覚の端緒というのが出ているわけで、ですからそういう不正を増高するという問題もありまして、そういう行政庁の
法律
に基づく検査についての体制を伺いたいですね。県も非帯に重要な体制を持っておるわけですけれども、これは単協を検査するわけですから非常に大きな任務を持っているんですが、どういう
実情
にあるんですか。
池田俊也
125
○
政府委員
(池田俊也君) いま御指摘の点は実は非常にむずかしい問題でございます。どういう体制が最も能率的ないい検査ができるかという問題、非常にむずかしい問題だと思います。私も率直なところいま御指摘になりましたようなことが全くないと言う自信はないわけでございますが、しかし一面現在のような体制をとるに至った経緯もまたあるわけでございまして、要するに従来でございますと、県の連合会の検査というのは農林省がもちろんやるわけでございますが、本省においてそれが先ほど御指摘のように地方
農政
局に移管を一部いたしまして、地方
農政
局が県の連合会の検査をする、その限りにおいて若干分散型になりましたので、一時に力を集中するのは非常にむずかしいということも一部ございます。しかしまた一面それぞれのブロックにおるわけでございまして、県との連絡は非常によろしいわけでございます。したがって的確に情勢を把握できると、こういう利点もございます。まあこの利点と若干のマイナスの点をどういうふうに理解するかという問題で、私もこれに対していま結論を下すというのは若干ちゅうちょするわけでございますが、いずれにいたしましても、私は現在の点を一応基礎にして、さらに足りないところはやはり補うようなことを考えるべきではないかということを、まだこれは農林省としてきまったことでもございませんし、お話し申し上げるわけにもいきませんが、現在検討をしているわけでございます。 それから、どうなっているかという御質問で、おおむねは御存じのことであろうと思いますが、念のために申し上げますと、現在の単協の検査に当たっております県の体制といたしましては、検査関係の職員が三百五十八人いて、それから農林省の職員が二十九人でございまして、本省に四人、地方局に二十五人、こういう状況でございます。なお、中央会におきます体制といたしましては、全国中央会に十一人、それから県中に八百三十五人、こういう人数が当たっておるわけでございます。
鶴園哲夫
126
○
鶴園
哲夫君 これは一つの例ですが、非常に農協の不正が多くなりまして、行政管理庁が監察したんですね。その数字が出てるわけですよ。そうしますと、県の検査の実施率というのは非常に低いんですね。いまおっしゃったように全国で三百幾らでしょう。そうすると、農協というのは総合農協だけでも七十幾らあるわけだし、それから考えましても、これはとてもですね。ですから検査率というのは非常に低いですね。なお、県中の監査率ですね、これも非常に低いですね。これは行政——県の検査率よりもまだ低いですね、半分にもならないですね。まあ県の検査実施率というのは大体四割ぐらいのようですね。ところが中央会の監査、県中の監査となりますと二割切るんですね。五年に一回ということなんです。 まあいずれにいたしましても、私はこの国の検査の体制というものについてひとつ検討してもらうと。それから
都道府県
の——これは
都道府県
が非常に大きな権限をまかされておるわけで、これが単協その他、総合農協、専門農協ですね、これを検査することになっておるんですが、県の検査体制がいまのように弱い。で、国はこれを委任してるんだけれども、どういう援助をしてるんですか、県の検査体制について国はどういう援助をしてるのか。
池田俊也
127
○
政府委員
(池田俊也君) 現在の県の検査関係に対します補助といたしましては、検査旅費の補助をいたしておるわけでございます。もちろんその他、研修等につきましても補助をいたしておりますが、直接検査関係で申し上げるとそういうことでございます。これは、かつては職員の設置の補助もいたしておったわけでございますが、その後は現状におきましてはその補助が打ち切られまして、県の財政の中でまかなうと、そういう体制になっておるわけでございます。
鶴園哲夫
128
○
鶴園
哲夫君 会計検査院法という
法律
がありますね。あの会計検査院法によりますと、会計検査院は支所を設けることができるというふうになってますよ。それで私、何ゆえに支所を設けないのかということを院長に一ぺん聞いたことがあるんです、決算
委員
会で。そうしたら、いろいろ
説明
がありまして、支所を設けることはできる……。で、やっぱり何ですね、この検査をするということが、まあみなこうなんですな、人間をふやさないよということですね、できるだけ。だから、検査院の検査官の人間もできるだけふやさないように押えるんですね。ふやしてもいいんじゃないかと思うけれども、なかなかしない。支所を設けることはできるんだけれども、設けないですな。できるだけ検査なんてのは追い込めとこうという考え方のようですね。だから、いま農林省の考え方もそういう考え方なきにしもあらずという気がいまの県のほうのことを聞きますとある。ですから、いまこういう状態になってきているわけですから、やはり
法律
に命ずる検査体制というものを、国の場合においても、県の場合においてもはっきりさせるという必要があると思うのですよ。そして、県におる職員というのは、いまお話のように、一県に六人ぐらいなんですね。ですから、それより、いま言うように、やっぱり人件費についても補助をするとかいうような形で補助をするというような体制をとって、やはり検査の体制、行政庁の検査の体制というものをはっきりさせていくという体制を私はとる必要があるというように思いますね。その点についてひとつ
農林大臣
の話を承っておきましょうかね。
長谷川四郎
129
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) 先ほど埼玉県のお話も承りました。しかし、何としても検査体制というものはもっとしっかりしたものをつくらなければいけないというようにも考えております。この間もだれかの御質問にお答え申し上げたのですけれども、そういうような今後の不正事件を防止するためには、一応中央会の役員が、新役員ができましたらば、私はさっそくその役員と会いまして、そして今後の不正事件をいかに防止するかというような点については十分検討を加えてもらわなければならぬし、加えるべきである、そして私どもの持っている意見を率直に申し上げていきたい、こういうふうに考えております。しかし、いませっかくの
鶴園
さんのお話でございますが、その点については、十分検査をする方法というものは考えなければならぬというふうに考えております。
鶴園哲夫
130
○
鶴園
哲夫君 大臣は米価を押えたという仕事をなさったのですけれどもね、どうもいまの話を聞いているとぴんとこないですね。局長のアドバイスが悪いのじゃないですか。たいへん悪いですよ、いまの話は。私は行政庁の検査体制というのも問題があるということを言っているのです。それについて、体制をもう少しはっきり確立をしていく必要があるのではないかということを言っているわけなんです。局長もうまくアドバイスしなければだめですよ、大臣は何から何まで知っているわけではないですからね。同情いたします、これは。
長谷川四郎
131
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) ほんとうに、先ほどもちょっと私が触れたのですけれども、銀行あたりはどんな大銀行であっても、支点はある程度の金額、
一定
のきまった金額を貸し付ける場合には、必ず本店のその承認を求めた後でなければ貸し付けばいたさないのです。ところが現在の農協は、単協がかってに貸し付けられるような
制度
になっておられるというところにも、そこにも一つの欠陥があるだろうと思っている。ほんとうにずぶの金融のしろうとが、はたして人の信頼、ことばだけの信頼の上に立って行なうところにも大きな間違いがあるだろう、こういうふうにも私は考えておるのでございまして、そういうような点についても自発的にもう少しやってもらいたい。行政的な面の指導につきましては、もちろん行なわなければなりませんで、われわれの農林省としても絶対責任はございます。こういうような点については、何とかまあ農協法を通していただいておいて、ゆっくり後日に検討を加えるつもりでございます。
鶴園哲夫
132
○
鶴園
哲夫君 局長も答弁をしてもらいたい。 それからもう一つ、先ほど私が出しました「不正事件の温床をなくせ」というその「論説」の中に、農協の中央会——全中ですね、全中が近く農協の監査基準を検討するための機関となる
委員
会を設けて、そして監査の実施に積極的な態度を出すという、こういう全中、県中の行なう、つまり農協内部の監査に対して、
政府
も援助できる面があれば積極的に援助すべきではないかというふうに思いますが、その二つについて答弁を求めます。
池田俊也
133
○
政府委員
(池田俊也君) 国あるいは県におきます検査体制の問題、私は率直のところ非常にこれは大事な問題で、現状は必ずしも満足すべきものではないわけでございます。かつて
産業
組合当時におきましても、国なりあるいは県の検査のほかに、さらに自治監査法という特別な
法律
までつくりましてやった経緯もありますし、
産業
組合の
事業
の発展というのは、ひとつはやはり検査が非常にしっかりしていたという面も確かにあったと思うわけでございます。極論すれば、協同組合行政の半分は検査であるという言い方さえできるわけでございまして、そういう意味では確かにいまの事態からみますと、今後
相当
新しい観点で体制を立て直していくということが必要でございまして、実はいろいろ内部でいまそれについての討論をいたしているわけでございます。ただひとつ弁解じみますが、まあ県に対する補助というようなものが非常にむずかしい状態に最近だんだんなってきておりますので、その点で非常に実は苦慮しているわけでございます。 それから、後段の問題でございますが、これは確かにいま中央会でそういうものを検討いたしておりまして、私どもも御相談に乗っております、これは。したがいまして、できました結果につきましては、当然私どもの考え方と調整したものができると、こういうことに相なっておるわけでございます。 なお、中央会の行ないます監査計画、これは毎年度計画をきめてやっているわけでございますが、その計画を立てる場合にも、私どものほうの計画と十分突き合わせをいたしまして、うまくそれがマッチするような形で実はやっているわけでございますが、その点については、さらに私どももそういう連絡を密にしてやっていきたいと考えておるわけでございます。
鶴園哲夫
134
○
鶴園
哲夫君 行政庁の行なう検査の体制について、衆議院のほうの附帯決議がこれについてはついているわけですが、こういうときでありますから、はっきりやはり前進させるようにぜひ善処してもらいたい。 なお、これは全中なり県中が行なう単協の監査については、自己監査については問題がありますね、これは。ですから、全中なりそれから県中の行なう監査について、とにかく積極的に取り組むという姿勢になっているわけだから、国が援助できるものがあれば、積極的に援助していくという体制をとって、行政庁と協同組合がともに不正をなくしていくという点に努力をすべきだと私は思いますが、大臣にそのおつもりで善処を要望いたしておきます。 それから次は、これは全購連のサイトの問題ですね。資料をいただきました全購連のよく言われますサイト問題、それからトンネル共販、眠り口銭と言われる全販連の問題ですね。この二つについてはっきりさせておきたいわけなんです。前回、この点について局長も大臣も
相当
前進した回答をしておられるわけです。おられるわけですが、もう少し突っ込んで論議をして、さらにはっきりさせた考え方を示しておいてもらいたい。全購連の四十年のサイト、それは二十億幾らある。その中の十三億というのは奨励費として出している。実はその奨励費の
内容
は何だということで、奨励費の
内容
が出てきましたですね。何ページでしたか、奨励費の
内容
が出まして、
事業
奨励費三億八千万円、教育研修費二億四千万、情報宣伝費二億三千万、計八億五千万——これは奨励費は十三億になっているのですよ、四十年度のあなたのほうの出されたやつには。これは八億五千万になっていますね。これはいつのやつかな。まあこれでいきましょう、この八億幾らというやつで。これはインチキじゃないでしょうな。前にいただいた資料には、奨励費として、ぼくは十三億だと思っておったのだが——十一億ですね。まあいまのこれでいきましょう。いまおたくが出されました資料の何ページですか、
事業
奨励費、教育研修費それから情報宣伝費とありますが、これについて二つお伺いします。 一つは、この
内容
、中身は一体何か。それからもう一つは、県連の段階で同じようなサイトがあって同じような奨励費を出しているというふうに思うのですね。この二つですね。というのは、前もって言っておきますが、この奨励費はあまり芳しくないうわさが高いのです。いま、御承知のとおり、内輪の話をすれば、共通役員制といったいろいろこれは問題がありまして、農協内部にあってもいろいろ問題がある。そういう中でいろいろ私どもが聞きますことは、これがいけないのです、この奨励費が。全国連の場合における奨励費、それから県連における奨励費、これがあまり芳しくない話が出る。ですから、私はそういう芳しくない話を聞くから、中身を示してください。中身を
説明
してください。まさか私の知っていることを局長が知らぬはずはない、私はそう思っているのです。われわれが知っていることを担当の局長が知らぬことはない。中身を
説明
してください、何に使っているか。
池田俊也
135
○
政府委員
(池田俊也君) どうもこの全購連の決算の関係と、前回お出し申し上げました
事業
金利との突き合わせが非常にはっきりいたしませんので、はっきりしないというのは読みにくいわけでございまして、恐縮でございますが、ちょっと私のほうから御
説明
申し上げますと、前回十一億円サイト等との関係で、買いに対する期前決済の奨励金が出ているというお話を申し上げたわけでございますが、これは実はいまおあげになりました奨励費とは関係がないわけでございます。と申しますのは、次のページ、七ページをおめくりいただきますと、そのところに「その他損益」というところがございまして、その中に「支払利息」というところがございます。その中で「
事業
支払利息」というのが十五億何がしあるわけでございますが、その中に十一億円の期前決済の奨励金が入っている。いわば利息扱いみたいなかっこうで経理をしているわけでございますが、いまおあげになりました八億五千六百万という奨励費は、それ以外の奨励費と、こういうことに御理解をいただきたいわけでございます。 それで、それならば八億五千六百万の奨励費の内訳いかん、こういうことでございますが、これはそこに書いてございますように、三項目あるわけで、
事業
奨励、教育研修、情報宣伝と、こういうことであるわけでございまして、
内容
はいろいろございますが、たとえば
事業
奨励費でございますと、たとえば具体的に申し上げますと、農機具、石油その他の施設に対する助成であるとか、あるいは試験費の助成であるとか、あるいはその他いろんな組織化の費用に対する助成でございますとか、いろいろあるわけでございます。それから教育研修費に対する助成といたしましては、これまたいろいろな項目がございまして、映画の制作費について助成をするとか、見学、表彰費に対する助成とか、いろいろございます。それから情報宣伝につきましても、まあ普及情報宣伝のための印刷物に対する助成とかいろいろそういう
内容
はあるわけでございます。
鶴園哲夫
136
○
鶴園
哲夫君 もう一つ県の段階。
池田俊也
137
○
政府委員
(池田俊也君) それから申し落としましたが、県の場合は奨励金、たとえばサイトの関係等の的確な資料がございませんので、この前お出し申し上げました資料では受取利息と支払利息の状況をお出し申し上げたわけでございまして、受取利息といたしましては全国で二十二億円ほどのものがございまして、これはやはり全購連等における奨励費の扱いにほぼ近いものが行なわれているように私どもは承知をいたしております。
鶴園哲夫
138
○
鶴園
哲夫君 これは局長ね、私は若干言いにくいことまで言ったわけなんだから、もう少し局長も腹を割って話をしてもらうと都合がいいんだけれども、そうもいかない面もあろうかと思いますが、ですが、私はこの奨励費については先ほど申し上げたように、全国連の場合のこういうサイトから出てくる奨励費については非常に問題がある。 〔
委員長
退席、理事
高橋雄
之助君着席〕 さらに県の段階におきますサイトから出てくる金の、二十数億ある金の中から出る奨励費というものについても非常に問題がある。もっとこういう点もはっきりしないと、社用族、ここにいう社用族が横行するという表現になるわけですよ。社用族が横行するということになるわけですよ。横行なんです。百鬼横行のあの横行です。ですから私はそういう意味で、この点については十分ひとつ
政府
としても注意しておいていただきたい。農協は農民のためにあるわけですから。どうも、こういうものは本来
利用
高配当によって
組合員
に還元すべき
性格
のものなんです。それがこういう奨励費という形で出されるということ自体にも問題があるし、しかもそれがいろいろ言われるようなことでは、これはもう農協の大原則を忘れているというふうに言わなきゃならないと思うんですね。ですからこの件についてはよくひとつ、これは先般、こういう余剰金の場合にあっては
利用
高配当という農協の協同組合の原則によって処理するという方向にいくべきだという発言がありましたですね、局長の。いいですか、そういうことで。
池田俊也
139
○
政府委員
(池田俊也君) いまこのサイトの関係から出てきます金を奨励金というようなかっこうで出しておるわけでございますが、考え方として非常に複雑なかっこうになっておりますので、それはむしろもっと明確にして、
利用
分量配当という形もあり得ましょうし、あるいは購入
価格
の引き下げというような方向に使う方法もありましょうし、あるいは
組合員
に
売り渡し
する
価格
を引き下げるということもございましょうし、いずれにしてももう少し明瞭にしたほうがいわばガラス張り的なことになるので、いまみたいな複雑な方法が必ずしもよいわけじゃございませんから、そういう方向でいろいろ努力をする必要があるのではないかということを実は申し上げたわけでございます。確かに私どもがいろいろ検査等で指摘をしておる事例があるわけでございますが、奨励費というのがどうも
内容
がはっきりしないというような点がございますので、やはり極力そういうものはもっとはっきりしたかっこうに整理をし、あるいはどうしてももちろん要る場合もあるわけでございますが、それはそれなりにやはり基準を明らかにするというような措置が要るのではないか、そういう方向で私どもも指導したい、こういう考えでございます。
鶴園哲夫
140
○
鶴園
哲夫君 次にいただいた資料で、米の手数料ですね、これも時間の関係があって……。この米の手数料は、早いこと言いまして、出していただきました資料の一ページにあるやつは、これはもう表題のとおりの数字だけれども、私の要望するものにはこれは全然合わない数字です。無意味の数字です。これはだから論外といたします。もっと言いたい点もありますけども、それは初めにこういう出し方の資料を出された関係があって、今回新しく資料を出される場合に、また同じような方式を採用されたんだと思います。ですからいずれにしてもこれは全然問題にならないし、役所としてこういうものを出すのは恥ずかしいというように思っていただきたい。 それから三番目の、二ページにありますところの、この中のC方式ですね、これは正しいと思うんですね、C方式。つまり米の集荷手数料ですから、その米の集荷手数料というものがどういうふうに三段階に分かれていくのかという点については、このC方式が私はいいと思うんです。A、Bともいずれもこれはいけない。いけない
理由
は
説明
しません。おわかりでしょう。C方式でやった場合に九十四人となっていますね、全販連にあっては九十四名。しかし、この中にありますように米麦一緒になっておりますね。麦も雑穀も入っていますね。ですからそうなりますと九十四名というのはもっと減るんだと思う。そうしますと一人当たり大体六百万円かそこらの手数料になるわけですね。それから経済連は、これもよくわからないんですが、これは百万円くらいの手数料。一人当たり百万円。それから単協は何人おるかわからないけれども、ただ私の言いたいのは、米の集荷というのは九九%は単協がやってるんじゃないか。そしてあと経済連、全販連という事務手続になっているのだ。九九%は単協なんだということをはっきりさして考えるべきじゃないか。食糧庁はこれは農協の問題として取り上げているわけなんですけれども、何せ百五十億という米の集荷手数料が農協に出るわけですから、その手数料のいま言ったような形の処理のし方をしないと、つまり米の手数料というものは九九%以上単協がやっておるのだという点を明らかにして、この百五十何億という金の問題を考えなければならぬのじゃないかという点を私は主張したいわけなんです。その点については、先般も局長から、そういう方向に努力をしなければいけないという答弁もあったように記憶しておるのですが、時間の関係もありますから、続いてもう一つこれと関連して伺っておきますけれども、この間もお示しいたしました家の光協会が出しております「農協五つの問題」——協同組合関係図書シリーズ、この中で眠り口銭というのが書いてある。それからトンネル共販というのが書いてある。一体眠り口銭というふうにいわれあるいはトンネル共販というふうにいわれる
内容
について、局長にひとつ
説明
をしていただきたい。
池田俊也
141
○
政府委員
(池田俊也君) 眠り口銭とトンネルマージンというのは、非常に近い概念だと思うわけでございますが、私どもの理解では、やはり眠り口銭というのは、全く
事業
面で何らの関係がなくて、単にいろいろな政策的な配慮等から、ある
一定
の口銭をそちらに与えるというのが眠り口銭である。トンネルマージンというのは、一応曲がりなりにも
事業
としてはそこのところを通りまして、ただ実質的にはあまり仕事をしていないでマージンをとる、こういうのがいわゆるトンネル・マージンで、私どもは非常に似てはおりますけれども、一応概念的には違うのじゃなかろうかということで、農協の場合にはあるいはトンネル・マージンというふうに見られるものが全くないとも言えないと思いますが、眠り口銭というものはないのではないかというふうに一応考えております。
鶴園哲夫
142
○
鶴園
哲夫君 これを見ますと、非常に詳しく書いてあるのですよ。眠り口銭、いまの局長の定義はりっぱですね。眠り口銭とこのトンネル共販は。これによりますと、総合農協中央卸売市場に出すその場合には、県連も全国連も通じない仕切り書がくる。仕切り書の中には全域連の手数料が引いてあって、経済連の手数料が引いてある。こう書いてある。全然通じないくだものとか、青果物あるいは畜産関係のいろいろなやつですね。たとえば神奈川の単協が自動車で個々の中央卸売市場に卵を持ち込む。仕切り書が出る。どこも通っていないのだが、全敗連の手数料が引かれ、経済連の手数料が引かれるというシステムですね。そういうものを私は直さなければいけないというふうに思うのです。もちろんこういう体制をとられたのは、これは全販連にしても経済連にしても、再建整備でたいへん苦労された。そのときにこういうシステムができたのだろうと思うのです。ですから、今日こういう
制度
はあくまで残しておくということはよくない。だから自然の形の手数料に直してもらいたい。これは
相当
なものですよ。ここに書いてあることは実にいいことが書いてあります。ですから、こういうのはおかしいですよ。何にも通らぬのに手数料はぱっぱ、ぱっぱと引かれているというようなシステムですね。これは改めるべきじゃないかな。というのは、最近大型農協、この間もやりました大型農協が経済連も県連も困る、直接全国連につながるということを主張し始めておる。盛んに主張しておるということは、この問題が一つ大きくあるということは御承知のとおりですよ。大きくなった農協のメリットがないじゃないか。経済連に手数料を取られてしまう。中間マージンを防ごうということじゃないですか。あるいは長野の五大協といわれる大きな協同組合が、もう直接全国連に入りたいとか、手数料は経済連に渡さないとか決議をやったでしょう。あるいはまた弘前の大型農協が
政府
に直接米を売りたい、経済連を通さない、もちろん全販連も通さない。直接
政府
に米を売りたい。
政府
はこれを拒む
理由
は何もない。こういうようなことですね。あるいは滋賀の農協も、かつては二百何十の単協があったけれども、いまや七十ぐらいの単協になってしまった。したがってこれはもう全県一つの協同組合にしたほうがいいのじゃないかという論議が行なわれていることは、こういう中間的なトンネル口銭なり手数料問題が非常に大きくあるわけですね。私は、単協というのが農民の組織としてあるのだから、それにサービスをする機関として経済連があり全販連がある。いまさか立ちしちゃって、単協が経済連にサービスをするような、全販連にサービスをするようなさか立ちの形になっているわけですね。手数料なんかに明確に示されているわけですよ。そうして裏側には、奨励金というような形によって妙な形になるというようなことになっているわけですから、ですから、いまの米の手数料の問題も大きな一つの問題である。私は
政府
が持っている金だから、
政府
が支払う金だから、その点については
政府
としてもっとしっかりした態度をとるべきだ。同時に、いま言う眠り口銭なりそれからトンネル共販といわれるようなものは是正をしていくという方向に指導し、あるいは
協議
をしていくべきだと私は思うのですね。そういう点についての局長のひとつ答弁をいただきたいのです。
池田俊也
143
○
政府委員
(池田俊也君) 確かに各
事業
をとりましたときに、御指摘のような事実があるわけでございます。これは私、やはり姿勢としては極力そういうものは正していくというのが当然あるべき方向であるというふうに考えるわけでございます。ただ一つ、これだけは、それぞれ農協の
事業
を見る場合に、そういうことを考える必要が若干あるのではないかという気がいたしますのは、やはりそれぞれの
事業
だけでその
事業
の収支が相償うという形を必ずしも現実においてはとっていない。要するに、ある
事業
におきましては、確かに一部やや取り過ぎ的なところがある。しかしまた、他の
事業
をとりますと、連合会がかなりサービスといいますか、むしろ持ち出しみたいなかっこうになっているところがある。全部を総合いたしまして、要するに単協の
事業
の、単協の利益になる、
組合員
の利益になるというところにいくのが本来の筋でございますから、やはりそういう面も一面では考える必要があるのではなかろうか。そうは言っても、しかしあまり極端にそれぞれの
事業
の面においてトンネル・マージンとか云々といわれるようなことがありますことは、これはやはり
組合員
あるいは会員の間に非常に不満を起こす原因でもありますから、方向としては極力是正をしていくべきものであるというふうに私どもは考えております。
鶴園哲夫
144
○
鶴園
哲夫君 これは局長、確かに前半に答弁があったことはこれは否定できない。そういう事実はあります。ですが、いま局長が後段にお答えになったように、これはこういう形に置いておきますと、これはやはり県連は要らぬということになってきまして、要らぬのかもしれない、どうなのかよくわからないのですが、ただ米の問題にしても先ほど私が申し上げたように、経済連は要らぬ、全販連も要らぬ、直接
政府
に売ると、こういう主張をしているわけですね。それを拒む
理由
はまた
政府
も何もないわけです。直接売ればいい。拒む
理由
は何もない。あるいは大型農協が直接全購連に入るということも、これは拒む
理由
は県中としてはないし、
法律
上何らの拒否する
理由
はない。加盟脱退の自由というのがあるのです。入っていい。ただ、農協自体のいろいろな組織上の問題もありましょうから、そういう面からの点があるだけの話であって、しかし、そういうものも手数料の問題なりやみ口銭の問題なり眠り口銭の問題というものがあって、強く出てくるわけですね、こういうものが。それだけではなくして、私は、農協というのは本来こうあってはならないというふうに思っているわけですよ。ですから、具体的にどういうふうになさるおつもりですか。米の問題を私は三回にわたって取り上げた。もう四回になりますね。米の手数料が、農協に四十二年で約百五十何億の手数料。その手数料について単協、それから県、全国という、これをどういうふうに具体的に是正するようなことに持っていきますか。それからやみ口銭あるいはトンネル共販あるいは眠り口銭といわれる、単なる、通りもしないのに手数料だけ天引きされてしまうというシステム、それを具体的に是正していく、そういう方策を聞きたいわけです。
池田俊也
145
○
政府委員
(池田俊也君) これは、単に私どもがそういうふうに考えているわけではなしに、やはり農協自体としてもかなりの
期間
をかけまして、内部的な検討をやりました結論としても、非常に抽象的な表現ではございますけれども、ほぼ私どもが申し上げたことに近いような結論が出ているわけでございます。したがいまして、あと問題は、要するにそれを実行するという問題なんで、まあいまの米の問題あるいはその他の青果物の扱いの問題等ももちろんでございますし、それから私が申し上げましたように、たとえば全購なり、なら全敗をとりまして、全体の
事業
の収支といいますか、
内容
を明らかにした上で結論を出さないと、一つの
事業
項目だけで結論を出すわけにはいかない面もございます。したがいまして、そういう点について、私どもは今後やはりそういう農協のほうと連絡を密にしながら、必要な指導を加えながらそういう方向に逐次実現を見ていくという以外に実は端的な方法というものはございませんわけで、非常に迂遠なようでございますけれども、やはり根が深い問題でございますから、逐次そういう方向に理解を深めて、農協にも努力をしてもらうということであろうと思うわけでございます。
鶴園哲夫
146
○
鶴園
哲夫君 私はもうこの問題を、サイトの問題にいたしましても手数料の問題にいたしましてもあるいは経済連の問題にいたしましても、種々いままで論議してきたわけなんですが、それは農協がさか立ちしているという点に基本を置いて私は主張しているわけなんです。農協のために農民があるような形であってはならない。全国連があるために単協があるようなそういう形であってはこれはさか立ちして困る。さらに農協に従事している者で、全国連に従事している者、県段階に従事している農協の職員、単協に従事している職員の処遇関係があまりにも格差があり過ぎる。同じ農協運動に従事しているにもかかわらず、単協の賃金というものは全くお話にならない。私に言わしむれば、全国連の下請が県連であり、県連の下請が単協である。下請よりもっとひどい賃金だ。そうじゃない、農協の根源は単協にあるわけだから。それであるのに賃金なんというものはひどいものです。それは何がゆえにそういうことになっているのかといえば、農協がさか立ちしているのじゃないか。手数料の問題を取り上げてみても、サイトの問題取り上げてみても、何を取り上げてみてもさか立ちしているのじゃないか。だからそういうものを是正しなければ農協運動というものは大地に立たないし、農民の上に立たないし、農協運動に従事としている者もこれは本来のたてまえに立たないのじゃないかという主張をしているわけですね。 最後に大臣の答弁と局長の答弁を伺いたい。まず最初に局長から答弁したほうがいいですな。そのあと
農林大臣
、ひとつお願いします。
池田俊也
147
○
政府委員
(池田俊也君) ただいまのような御指摘、確かにそういう傾向が一部にあるわけでございまして、私どもも大
規模
農協の問題がいろいろ起きてきたというようなことの背景には、当然そういうことがあるわけでございますから、もちろん連合会は連合会としてのなかなか
事業
実施上のむずかしい点はありますけれども、そういう不満が出てくるということについては、これは率直に反省をする必要があるわけでございまして、そういう方面に努力をするという機運にはなってきていると思うわけでございます。どうもそういう方面については、さらに強力に農協の指導をいたしまして、現状がそういう方向に向かって是正されるように努力をしたいと考えております。 〔理事
高橋雄
之助君退席、
委員長
着席〕
長谷川四郎
148
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) 私もなかなかむずかしくて答えられませんけれども、現在のようなあり方でいいか悪いかという点になれば、私は是正しなければならないときがまさに来ているだろう、これだけははっきり申し上げられると。したがっていまのような二段階、三段階、どちらがいいかという点については、十分検討しなければならぬ。したがってこの組織の中において、さらに検討を加えてもらうということが一番大切なことだろう。それを中心として、またわれわれも相手をいたしまして、そうして是正すべきものは十分是正していく、またしなければならないときが来ている、このように私は深く感じております。
鶴園哲夫
149
○
鶴園
哲夫君 種々農協の問題を取り上げてまいって、それについての答弁もいただいたわけですが、どういう状況に進んでいるのか、御答弁になったようなことがどういう形に進んでいるかという点について、
機会
を見て重ねてひとつ、この
委員
会で質問したり
審議
したり論争したいというふうに思っております。
長谷川四郎
150
○
国務大臣
(
長谷川四郎
君) まことに申しわけありませんけれども、
国会
が開会中は何としても毎日こう追い回されておりますので、とても会うときなんていうものは一日に一時間もあるものじゃないのでございまして、
国会
を終えてからでなければ、いろいろいままで申し上げたことについての話し合いというようなことは全然できません。したがって
国会
が一応終止符を打った後において、初めていろいろの折衝をしたい、こういうように考えております。
任田新治
151
○
委員長
(
任田新治
君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめておきます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十九分散会