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川村清一君 この問題は、今度の
法律改正案の中では一番重大な問題ではないかと、かように
考えてもいるわけでございます。その
あとのほうの総代制度の問題もそうでございますが、したがってこれらの問題につきましては、まだまだ深く突っ込んで議論をしていかなければなりませんが、時間がございませんので、私はこの辺でやめておいて、いずれこの問題については同僚
委員からもっと突っ込んでいろいろ議論が展開されるものと思いますので、そんな程度でひとつ十分御検討をいただきたいと思うのです。
最後に総代制度の整備についてでございますが、いまも申し上げましたが、
協同組合は個々の
組合員の共同体であるという
原則からいいまして、個々の
組合員がその意思を、
組合員の持つ
考えを自由に表明して、その民主的な討議の結果打ち出された結論に基づいて運営されることによって、
協同組合が個々の
組合員の中に意識として生きて存在することになる、私はそう
考えるわけでございます。
ところが個々の
組合員の意思の表明はどこでなされるか。それは個々の
組合員の意思表明の唯一の場所は申すまでもなくこれは総会でございます。ところが総会がこの総代会というものによってかわるわけです。総会の機能というものは総代会の追認機関というものになる。総会は総代を選ぶ、そういう機能しか持たないということになる。結局、
組合員は、その
組合の管理運営に対して直接意見を述べ、直接タッチするのではなくて、いわゆる総代という代表者によってこの意思の表明がなされると、これは議会制民主主義はそうなっておりますが、これは間接民主主義だ。直接民主主義ではない。国家の国政であっても、でき得るならば、国民が全部それに参加することによって国政が行なわれる、いわゆる直接民主主義というものが最高の姿であることは、これは言うまでもないわけであります。しかしながら、現実の問題としてそんなことはできないから、それにかわる措置として代議制民主主義というものがとられておるわけです。
ところが
協同組合というものの
基本原則は、あくまでも一人一人は弱い。弱い個々のいわゆる共同体だ。それがこの総代制度をここに行なうことによって総会というものが——まあ総会があっても、これは総代を選ぶことと、それから総代で決定したことが総会によって決定される、その
組合の解散とか——そういうもの以外にないということになれば、いわゆる
協同組合本来の
趣旨から逸脱していく、いわゆるほんとうに
協同組合の円満な
発展というものを妨げることになりはしないかということと、もう
一つは
農協というものは
組合員から遊離していく。どうしてもこれはそうなっていきます。そういうことによって
組合員自体が
農協の運営というものに無関心になっていく、こういうおそれがないかどうか。将来にわたって、いまはございませんでも、こういうことがずっと行なわれていくというと、いわゆる
組合というものは自分の
組合であるという、そういう意識がだんだんなくなっていく。しまいには
農協がどう運営されていくかといったようなことに対しても無関心になる、こういう結果が招来されるならば、これは重大な問題です。そういうことによっては
農協の正常な
発展というのは、これは望み得ないと思う。
もちろんこの法案の
内容を読むというと、総代の数というものは相当な数になりますから、五分の一ですか、五百人の
組合になれば総代が百人ということです。五千人ならば干人ですね。膨大な数のものです。また技術的には何千人の
組合員が一堂に集まって、そうして総会を開くという、そういう場所もまた困難であるということは、これはわかる。しかしながら、そういう問題をやはりいろいろ解決する問題としては委任状制度なんというものを現にとられておるわけでございますから、それを、技術的に困難であるし、現状にマッチしないということで、総会をなくして総代制度というものによって総会の機能をかわらせるということは、この
農業協同組合将来の
発展のためにきわめて禍根を残すことになるのじゃないかということを
考えるわけでございますが、この点心配がないものかどうか、重大な問題でございますから、ひとつ農林
大臣からしっかりした御
見解をお聞かせいただきたい。