○河口陽一君 冒頭にも申し上げたように、いろいろむずかしい問題を
たくさん包蔵しておるわけでございますが、まあ、協同
組合の基本的な農業者という問題についても、九十日以上農業労働をせなければならぬとか、あるいは、三アールですか、以上の農地を耕作せなければ農業者でないと、こういうことにいたしておりますが、
組合の役員についてもいろいろ制限を加えておる。ところが、今日の協同
組合、まあ三千人、五千人の大型
組合になりますと、はたして
組合長なり常勤する人は九十日農業に従事しているかいないかという問題にも疑点が出てまいるわけでございまして、それが連合会の常勤役員ということになれば、これは農業に従事してないわけです。それがその
法律に基づいて役員の選任を制限しておるというような問題も、これは現実としては非常に矛盾をした運営をいたしておるので、こうした問題もやはり近い将来には検討を加えて正常な姿でこの協同
組合の運営をせなければならぬというふうに感ぜられるわけでございます。
さらに先ほ
ども触れましたが、全中の審議会でも山村などでは農業協同
組合で森林
組合あり、あるいは
漁業組合あり、そういう
組合が
たくさんできましても経済活動としては成果をあげられない。そういうことからこれらの漁業に携る者も林業に携る者も協同
組合の
組合員として活動できるように答申がなされておるわけでございます。したがって、今日の農業協同
組合は地域的な農業協同
組合活動をするんでなければ
組合員の要請にこたえられぬ。先般の農振法の参考人の方もおっしゃっておられたんですが、純農村地帯の協同
組合というものは村の経済を全く左右するだけの事業を遂行しておるので、農業協同
組合がいかに今日地域性を帯び、日本の経済発展に貢献をしておるかということはもう論をまたないわけでございます。
そういう観点からいたしましてこの生活用品の取り扱いなどについてもわれわれ
現地で非常に苦心をいたしておるわけでございますが、どうしても農業生産資材ということになれば、これはまあ全量供給ということが果たされて、メリットを生むことができますが、生活用品の供給に当たりましては、やはり農民だけを対象にしたんではメリットが出ない。まあ卑近な例ですが、呉服物にしても、あるいは生鮮食料品にしてもわずかぐらいの取り扱いでは、今日の中小企業といえ
ども経営が成り立たぬ。そこで大型な店舗なり、運営、管理に変えなければ今日の中小企業というものは成り立たぬ。大量に供給するんでなければ人件費を生み出せぬ。そういうことから今日の中小企業も農業とひとしく、老人だけの経営になって小さな商店の若い者はみな飛び出してしまって老人だけがとどまり、その老人が経営できなくなれば閉鎖するということで、農業と中小企業はその方向を一にしていると思うのでございます。そういう
関係で中小企業も近代化が要請され、農業も近代化が要請されている。その方向は私は同じであろうと思うのでございます。
そうした経済の動向に
対処するのに、単に中小企業との摩擦というようなことにとらわれて、農協活動にチェックをするというところに、私は日本経済の発展あるいは農業の近代化、中小企業の近代化に大きな疑問を持つわけでございまして、こうした点についてもっとやはり積極的に今日の農業協同
組合は
対処せなければならぬという
考え方に立つわけでございますが、それが事業制限にぶつかってそれらが足踏みをいたしておるというのが現状であろうと存じます。この際それらの改正が困難であるとはいえ、こうした改正に当たりましてそういう現状というものを十分に認識をし、近い将来に
対処するような
法律改正を御研究願いたい。
私は戦前のいわゆる産業
組合にも
関係をいたしておりましたが、むしろ今日の農村の実態は、戦前の産業
組合法が適応する体質になってきたというふうに感ずるわけでございまして、終戦後マッカーサーが指令した
農業協同組合法というものと、今日の農村の経済、日本の経済の実態は大きく変貌してまいっておる。今回の改正は、その現状に即応する部分的な改正でございますが、総括的に判断をいたしますと、体はおとなになったが、着物は子供の着物を着せて間に合わしておるという印象が深いわけでございます。どうか今日、農業協同
組合の動向を正確に把握をされ、すみやかにおとなの着物をつくってこの改正を
考えるのでなければ根本的な改正にならぬというふうに判断をいたしておるわけでございます。
私はそういう意見を加えまして、時間も相当経過をいたしましたから、今日の質疑はこの
程度で終わりたいと存じますが、どうか
農林省においては、農振法もつくられ、あるいはまた総合農政という中において、農業の構造改善なり、近代化をはかって、大型農業を進められるという意図に即応する
農業協同組合法をひとつ御研究あって、期待にこたえる新農村の
建設に寄与されんことを要望いたしておきます。