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鶴園哲夫君 さっき私が申し上げましたように、昨年、四十年の
歴史を持った
蚕糸局が廃止になったということが今後の
蚕糸政策なりあるいは
蚕糸行政に重大な影響を与えるのじゃないかという心配があったわけですね。それで、局が廃止になって初めての予算がこの四十四年度の予算になっているわけです。その予算の内容を見ますと、これはやはりどうも斜陽化してしまったという印象が非常に強いですね。
蚕糸園芸局の予算は、局の説明によりますというと、
総合農政を背負って二三%ですか、二四%
程度伸びた、昨年よりも。そして、百億円台になろうとしている。まあ、
総合農政を背負ってという話、これはまくらことばだと思うのですが、いずれにしても、
総合農政を背負って二四%ぐらい昨年よりもふえた。そして百億円台に達しようとしている。こういう言い方なんですね。確かに
蚕糸園芸局の予算は九十九億七千七百万という金ですから、百億円に近づいておりますし、二四%ふえている。しかし、中身を見ますと、これはどうしても
大臣に考えてもらわなければいけないと思うのです。
蚕糸の予算によりますと、中は六項目に分かれておりますね、大きく。私の手元にきておりますやつは、第一番目は
蚕糸対策です。四ページですね。その次は園芸農産物の
対策です。それから特産農産物
対策それに砂糖類
対策、稲作転換
対策、その他という六項目に大きく分けてある。その中でこの
蚕糸対策の経費というのは去年よりも一二%ふえているわけですね。
蚕糸局全体は、先ほど申し上げましたように二四%近い。その半分ということになるのですね、伸び方は。
農林省全体の予算は御
承知のように一七・五%ですか、伸びたということですね。去年よりもそれよりもぐっと低いですね、一二%。おそろしく低いと言わなければならない。それに今度、園芸農産物
対策、これは三四%の伸びですね。第三項目にあがっている特産農産物
対策、これは二〇%ですね。あと砂糖
対策、これは二九%、約三〇%ですね。そういう点からいいますと、この
蚕糸対策の経費というのは
蚕糸園芸局の中では最も踏んだりけったりの予算になっておると言わなければならないと思うのです。一二%ですよ。しかも、少しからくりがあって、四十三年度は
日本絹業協会に対して一億二千万円出しているのですが、本年はそれを出していないわけですね。そういう点を加味して考えますと、一〇%割りますよ。
初年度の予算なんだから。
蚕糸局がなくなったら
蚕糸行政というのは斜陽化するだろうとみんな言った。そのとおりの予算になっているじゃないですか。というので、これは不満が多いと思うのですよ。しかも、今度
蚕糸行政の中の、
蚕糸局の中の大きな柱であった
糸価安定特別会計という柱を抜こうというのでしょう。一つの大黒柱みたいなものですよ。その柱を抜いちまおう。これは容易じゃないと私は思うんですがね。だから、
蚕糸のこういう問題を見まして、
蚕糸局がなくなったということから、みんなが心配したようなことになるのじゃないかと私は思うのですよ。さらに今度の予算見ても、去年
蚕糸局をなくするときに乾繭取引所ですね、それから、
生糸取引所、それをはずしちゃったでしょう。
蚕糸局から、
蚕糸園芸局からはずして農林
経済局に持っていったでしょう。
蚕糸というのは、農産物の中では特殊な
市場関係を持っておったことは御
承知のとおりなんです。全く特殊ですよ、
蚕糸というのは。私はその特殊性については異議がありますけれども、しかし、二重
価格による安定を講じてきた。
日本の農産物の中に例をみない農産物だった。その一つの重要な
生糸取引所とこの繭の取引所を
蚕糸行政からはずしちゃって、そうして、ほかの農産物と画一的に取り扱って農林
経済局の商業課に入れるという、そういう考えが私はわからないですね。逐次お考えになるのはいいですよ。
蚕糸局がなくなるときに、それもはずしてしまえというようなやり方は、私はいかにもどうにも
蚕糸というのはむしり取られるのじゃないか、
蚕糸行政というのは。そこへもってきて私はさっき言うように
糸価安定特別会計という
蚕糸行政の柱になっておったものを取りはずしてしまう。何が残るのですか、
蚕糸行政というのは。だから、そこら辺をどういうふうにお考えなのか聞きたいのですよ。局がなくなったらなくなったで、ささえるだけの行政やってもらわにゃ困る。なくなったとたんにごろごろ柱を抜かれたのじゃかなわないと私は思っておるのですがね。