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1969-03-20 第61回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十日(木曜日)    午後一時二十三分開会     —————————————    委員異動  三月二十日     辞任         補欠選任      沢田  実君     上林繁次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         任田 新治君     理 事                 園田 清充君                 宮崎 正雄君                 中村 波男君                 矢山 有作君                 藤原 房雄君     委 員                 亀井 善彰君                 河口 陽一君                 櫻井 志郎君                 田口長治郎君                 森 八三一君                 和田 鶴一君                 足鹿  覺君                 杉原 一雄君                 達田 龍彦君                 上林繁次郎君                 向井 長年君                 河田 賢治君    政府委員        農林政務次官   玉置 和郎君        農林省農林経済        局長       亀長 友義君        農林省農政局長  池田 俊也君        食糧庁次長    田中  勉君        水産庁長官    森本  修君        海上保安庁次長  林  陽一君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       丸山 英人君        文部省体育局学        校給食課長    柳川 覚治君        食糧庁総務部長  松元 威雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和四十四年度農林省関係施策及び予算に  関する件)     —————————————
  2. 任田新治

    委員長任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、沢田実君が委員を辞任され、その補欠として上林繁次郎君が選任されました。     —————————————
  3. 任田新治

    委員長任田新治君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  昭和四十四年度農林省関係施策及び予算に関する件について調査を行ないます。  前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 亀井善彰

    亀井善彰君 農林大臣食糧庁長官、いずれも御出席ないので、たいへん残念でありますけれども、時間の関係委員会運営関係もございましょうから、二、三の問題について意見をお伺いいたしたいと思います。まず第一にお伺いいたしたいのは、四月一日から改定をされます配給制度改善の問題、自主流通米の問題、そして学校給食の問題、こういう問題点につきまして少しくお伺いをいたしたいと存じます。  配給制度改善につきましては、四月一日から従来の制度を改めて、消費者小売り間の登録を廃止して、同一市町村内であれば通帳を持参さえすれば、いずれの店舗からも購入ができる。この改善につきましては、私は長い統制経済から幾分脱却する意味においてと申しますか、あるいは進歩する意味と申しますか、この点については私は賛成をするものであります。なおまた卸と小売り登録、これも長い間、いうならばしばりつけた、こういうきらいがないでもない。そういう点からいたしますれば、今度の所要の改善は私はほぼ適当であろう、こう考えます。だがしかし、消費者小売りとの関係と、小売りと卸との関係は少しく意味が違う点がある。と申しますのは、卸と政府は直結をいたしております。したがって小売り消費者との関係とはそこに少しく違う点があるといま申しましたが、それは改正をされる点については基本的に賛成でありますけれども、私は単に登録が自由になったという感じ、したがっていつでも小売りが卸に登録がえができる、こういうような感じがきわめて強く知らされておるようであります。  そこで私は、当局に伺いたいのは、卸と小売りの場合におきましては、何か制約ということは強過ぎますけれども、たとえば売り掛け金がある場合にはこういうふうにする。あるいはまた、不公正な条件を提供して、その不公正な条件に基づいて登録がえがされる。また不公正な条件要求する。こういうようなことで登録がえがされるということは、私は卸、小売り間の混乱を来たすもとをなす。同時に、ひいては食糧管理制度の全般に私は混乱を来たす憂いがある、こういう意味からいたしまして、お伺いいたしたい点は、食糧庁として卸、小売り間の登録に際しまして、政令その他でこれを規制するということは困難でありましょうけれども、府県にあります登録協議会等を活用して、そうして指導通牒等によってそれらの点について何ぶんの規制をされるお考えがあるかどうか、この点をまず第一に承りたいと存じます。
  5. 田中勉

    政府委員田中勉君) 長官大臣にお伴いたしまして予算委員会に行っておられますので、不十分でございますが私お答えさせていただきます。  先ほどお話しございました、今回食糧庁配給改善を四月一日から実施することになりました大筋といたしましては、先ほど指摘をいただきましたように、小売り消費者の間におきましては、これは通帳を用いた場合においては、同一市町村内においてどの小売り屋からも消費者が米の配給を受けることができるということが一つの大きな柱でございますし、またそれから次の問題といたしましては、従来この運営面において非常に硬直的でございました卸と小売りの間におきましても、何らかの従来の規制を緩和する、こういう方向検討してまいりました。卸、小売りにつきましても、特別の事情のない限り小売りと卸との関係におきましても自由化する、こういう制度にいたしたわけでございます。  そこで、御指摘ございましたように、確かに配給制度を通じてまいりますると、小売り消費者段階と、それから卸、小売り関係段階、これはまあ食糧管理をいたしております食糧庁立場からいたしましても、これは何らかの形においてこれらの運用の面におきましてはやはり配慮を加える必要があろう、こういうことでございまして、卸、小売り自由化にいたしましても、かりに小売りが一たん卸を取りかえるというような場合におきましても、一年間はその卸との結びつきをそのまま存続するというような規制を設けているわけでございます。それから同時に小売りと卸の間におきましても、売り掛け金というようなものがございますが、この売り掛け金を、やはり一つ登録がえをいたします場合におきましては、売り掛け金があるというような状態においての小売り要望をそのまま受け入れることは適当でなかろう。こういうことの一つの制限的な場面を考えておるわけでございます。  なお、先ほど指摘ございましたように、何といたしましても府県段階におきまして都道府県知事配給責任を負っているわけでございます。したがいまして、その都道府県において登録販売業者の、卸売り業者また小売り業者、この間の指導もやはり府県知事責任を持っているわけでございます。この卸、小売りのいまのような規制緩和に伴いまして、その実態に応じまして特に小売り業者の行き過ぎ的な要求というようなものをたてにとった、この登録がえの要望というようなものがあるといたしまするならば、運営面におきましては、先ほど指摘ございましたように、府県の中において登録業務運営というようなことを協議するような一つの場というものを都道府県指導のもとに持って、そうしてそこにおいてやはり円満にそれらの問題の話し合いが行なわれて実現されることも望ましいわけでございますので、御指摘のような点等につきまして、通達等によりまして、なおその間の円滑な話し合いというようなことがひとつ行なわれるような指導をとってまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  6. 亀井善彰

    亀井善彰君 大体そのような方向で御指導を願いたいと思います。  ただ、私は先般の当委員会でも足鹿先生から御指摘になりましたが、一たん通帳というものが発行されて、通帳を持参すればどこの店舗からも買える。これも私ナンセンスのような気がするわけです。ナンセンスのような気がしますが、また政府考え方に同調することにやぶさかではございません。それはけっこうでございましょう。  そこで、私ひとつこの問題に関連をして、当局の御意見を伺いたいことは、末端卸——小売り消費者——小売り、こういうふうな間における制度改善はある程度今回のお考えによって私は進行すると思います。だがしかし、肝心のもとを締められる政府卸売り業者への売却制度、これが何ら改善をされないということは、私はきわめて納得できない点ではないか。最近よく聞きます消費者からの不平不満小売り業者からの不平不満、こういうような問題は、あげて卸業者責任ではなくして、私は政府の負わるべき責任ではなかろうか。政府食管法施行以来二十数年に相なりますけれども、その間、一方的に卸業者食糧庁自体の計画のもとに売却をされる。卸売り業者には何ら選択権がない。極端な言い方ではありますけれども、かりに変質米がありましても、斤量不足の米がありましても、契約によって在姿売却、こういうふうな原則がある関係からいたしまして、卸には何らの選択権がない。したがってそれから出てくる消費者不満というもの、これが新聞の種になり、週刊誌の種になる。消費者はそういう経緯をよくご存じがない。政府責任であるべきものが、小売り業者責任であるがごとく、また卸売り業者責任であるがごとくこれが知らしめられるということについては、私は納得するわけにはまいらない。  そこで、こういうふうな機会に、配給制度改善するこの機会に、政府が従来とっておられました売却制度等についても、やはり時代に即した大幅な改善を私は加えられるべきではないか。これなくして、配給制度改善は私はでき得ない。政府はその点につきまして、こういう機会政府みずからの姿勢も直す、こういうふうなお考えがあるかどうか。この点、はっきりとひとつお聞かせを願いたいと思います。
  7. 田中勉

    政府委員田中勉君) 配給制度の中におきまして、卸——小売り、また小売り——消費者の間におきまして、ある程度の従来の運営面において非常な改善を加えてまいるわけでございますが、同時にやはりこの制度を通じまして政府配給米消費者の手に流れていくわけでございます。その場合におきまして、政府の売り渡す米穀について、今後その売り渡し方なり、またそういう品質の選択性というような面から見て、ある程度これに即応した改善を加える必要があるのではないか、こういうような御意見のように拝聴いたしたわけでございますが、これについてお答え申し上げますと、政府が現在農家から買い入れております米は、食管法の規定するところに従いまして、やはり国民食糧としてこれを有効に活用するというたてまえでこれを買い入れをいたしているわけでございます。したがいまして、大局的なお話で恐縮でございまするけれども、配給するために買った米でございますので、これを極力ひとつ有効に活用するという方向をとらざるを得ないという立場にあることは御承知のとおりだと思うわけでございますが、そのこと自体と、現在この配給面における消費者の性向とか、あるいはお米屋さんと消費者要望と、それから政府から売却を受けるものとの調整、そういう点において、これだけ需給が緩和してまいりますると、非常にお米屋さんの——消費者政府の間に立ってのお米屋さんの苦労というものがあるということは、私も承知をいたしておるわけでございます。こういうような需給状況が非常に緩和した段階でございまして、たとえて申し上げますと、繰り越し米が非常に膨大になっております関係上、現在におきましても昭和四十二年産米を全国的には三五%も実は配給をいたしているわけでございますが、こういう面も大局的にはやはり基本的に配給するために買った米を有効に活用するという考え方に立っているわけでございまするけれども、しかしながら現実の事態は、先ほども申し上げましたように消費者段階、また小売り屋さんと卸売り屋さんとの関係段階等におきまして、かなりものに対する選択的な要望というのは非常に強くなってきているわけでございます。こういう面に対しましても私どもといたしましては、基本的には米を有効に活用するというそういう考え方に立ちながらも、その間においてやはり弾力的な運営をしてまいることが適当であろう、こういうぐあいに考えております。  それから御指摘ございましたように、在姿売却というようなたてまえをとってまいる中におきましては、あれだけの膨大な米でございますので、中には保管上多少変質米等あるいは斤量不足というようなものもあるわけでございますが、これらの問題につきましては、特にやはり配給の米に対する消費者要望が強く出てきている現段階におきましては、極力ひとつ変質米とか、あるいは変質のおそれのあるようなもの、あるいは斤量不足もの等につきましては、それなりの措置を講じてまいりたい。たとえて申し上げますならば、変質のおそれがあるようなものにつきましては、極力配給米に充当しないというような方向考えてまいりたいと思っておりますし、それからつき減りの問題、斤量不足というような問題につきましては、従来といえども著しい斤量不足に対しては何らかの措置をとって政府としてこれに対処しているわけでございますが、そういう面につきましても、その実態推移等を見まして、さらにもっと突っ込んだ対策を講ずる必要もあろうかという面も予想されるわけでございますので、それらの事態に対しては今後ともひとつ大いに情勢のある程度の変化ということを頭に置きながら、少なくとも配給が円滑に行なわれるような観点のもとにおける政府の売り方なり、そういう面の措置を円滑に考えてまいりたいというぐあいに考えている次第でございます。
  8. 亀井善彰

    亀井善彰君 どうも田中次長、非常に言い回しがじょうずなので、ときどき田中次長には一ぱい食わされるのですけれども、私の申し上げていることは、こういう制度改善する際に政府自体態度を変えていただきたいということなんです。政府自体は何も態度を変えずに、末端業者だけに態度を変えろ、末端消費者をかかえておりますから、非常に口うるさい。口うるさいというのは当然なんです、それは。それでこういう機会に、私は政府自体がそういう態度を変えて時代に即するような考えを持つという踏み切りをさるべきじゃないかと思う。その踏み切りをされずに、いま御答弁のありましたような形、これは大なり小なり従来も行なわれていることであります。私はそうでなくして、もっとこういう機会に根本的に変えていただきたい、変えらるべきだと、こう私は考えておるのであります。政府は少しも直さずに、業界関係者だけに態度を変えろ、そうして消費者要求に応じろ、自由競争の原理を導入する、こういうことだけであっては私はきわめて納得できない。そこでどうしてもこういう際に政府がみずから範を示すと、政府もこういうふうに態度を変えるから業界関係者も自粛してこうしろ、こういうことをさるべきではなかろうか、その点については私たいへん遺憾に思います。いまの御答弁ではどうも納得できない。いま少しく掘り下げて、そうして政府もこういうふうに変える、こういうことまで伺うことは少しく無理かと思いますけれども、いま少し親切な気持ちで、ひとつこういう問題を部内において検討をしていただきたい、かように考えますが、次長、いかがでございますか。
  9. 田中勉

    政府委員田中勉君) 御指摘の御趣旨につきましては、よく私承知いたしておるわけでございます。政府の持っている米が、全体をお米屋さんに何か押しつけて、そのためにまあ非常にどうだというようなお感じのようなお話もございましたけれども、私ども買いました米は、北海道から鹿児島に至るまでそれぞれまあできた土地等で違いまして、それぞれの持ち味を持っておる米でございます。それを買いまして、極力保管体制なり、あるいはこれを輸送して消費地に持ってまいります場合におきましても、十分その管理が行き届くような形において最善の努力はいたしておるわけでございますが、中にはやはり年月の経過とか、いろいろなことのために、配給に十分な、適正を欠くというような米もこれだけ大量のものを扱ってまいりますと出てくるわけでございます。。そういうものにつきましては、極力ひとつ臨機応変の措置を今後一そう強くとっていかなければならぬ、こういう気持ちでおるわけでございます。  この機会でございますので、御質問の中にはございませんけれども、たとえばここ一、二年来異臭米、まあいわばにおいがある米というようなものが若干各地で発生した経緯もあるわけでございますが、そういうものにつきましても、現在、政府といたしましてそういうものを配給する以上は、やはり消費者の動向というものを考えなきゃならぬわけでございますので、これらにつきましては、むしろ政府がこれを手持ちをして他の用途に振り向けるというようなことの積極的な措置を講じているような現状にあるわけでございます。ただ、何分にも政府は全国的にやっぱり食管制度のもとにおいて一律平等に政府米の買い上げを行なっておるわけでございます。北海道米を初めといたしまして、南は鹿児島に至るまで、各県の米を買っておるわけでございますが、まあ買ったものにつきましてはこれを極力配給過程にのせていくというようなことも食管制度のやはり使命ではあろうと思うわけでありますが、何分にもそういう幾多の配給上の問題等につきましては、今後臨機応変的に積極的に措置をしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  10. 亀井善彰

    亀井善彰君 いま、次長説明されたような例もなくはございません。ただしかし、中央考え方出先食糧事務所考え方とは相当に相違する点がある。出先食糧事務所は、やはり中央からのお考えとは少しく違って、事務所限りでこれを始末をしなければならない、こういうことでありますから、非常に苦労されておる点、よくわかる。いま異臭米の話が出ましたけれども、異臭米の問題で非常に多い異臭米の場合はそういうふうな操作をしていただいたということを聞いたこともございます。だがしかし、少ない異臭米のような場合に、これは極端な例かもしれませんけれども、たくさんの中に少し入れるのだから間違いない、こういうことでひとつ何とかしんぼうしてくれというような事例が決して少なくなかったのです。消費者のいわゆる生活程度が向上してきておりますというと、特に量よりも質と、こういう傾向がきわめて強い。したがって新聞紙上の報ずるように、この秋になってくると五百数十万トンも米が残る、残ってくるというようなこと、それ自体からして消費者が量よりも質のいいものをほしがる、そういうふうな際に、いままでどおりの売却制度を、これを推し進めていくということ自体が、私は間違っておられると思いますが、いま少し出先食糧事務所に権限を委譲して、そうして出先食糧事務所である程度の処置ができるような方途を講じられるべきではないか。一律に日本全部を同じ形で推し進めていこう、こういう点に大きな誤りがある。私はあくまでもこういう配給制度改善をする場合に、政府自体姿勢を直していただくということを強く要望をいたします。それは答弁要りません。  それからいまひとつ、配給制度改善に付随して政府考えていただかなければならない問題は、売却基準地域の変更であります。従来のように売却基準地域を限定されておりますというと良質の米のいくところには、四六時中、年じゅうと言えば少しオーバーかもしれませんが、良質の米がいく、悪質、悪い米が入るところは年じゅう質の悪い米が入るというので、たとえば一つの例でありますけれども、兵庫県に例をあげますと、西のほうにまいりますときわめて良質の米ができる。ところが、神戸、あの地域に参りますと、極端に言えば北海道産米が入ったり、あるいはその他の良質でない米が常時入ってくる、そうしますというと、今度登録制度改善からいたしまして、西のほうへの卸業者への登録が多くなって、そうして阪神地帯神戸地帯小売り業者が、あげてそういう方向に行って、神戸地帯卸業者というものは非常に苦境におちいる、こういう事例は全国的にながめますというと相当あると思います。したがって私は、配給制度を変えるというこの機会に、この基準地域を廃止して、そうして運賃はもちろんよけいかかるかもわかりませんが、販売業者といたしましては運賃の問題だけではなくして、よい米を消費者に差し上げる、こういう点から考えますと、この機会にやはり、その地域売却制度というものは廃止さるべきではなかろうかと思いますが、これを廃止するお考えがあるかどうか、この点について伺いたい。
  11. 田中勉

    政府委員田中勉君) 結論から申し上げますと、売却基準地域を直ちにいま廃止するという考え方をとることは、なお検討を要するのではなかろうかというぐあいに考えておる次第でございます。ただし、先ほどから御指摘ございましたように、卸、小売り段階をかなり自由化してまいります現状からいたしまして、この売却基準地域、従来のような売却基準地域で米をそこに固定したような考え方で処理することは、いろいろ今後の配給円滑化というようなことから見まするというと、問題になってくる点があろう、こういうぐあいに考える次第でございますが、それらの点をどう調整していくかということは、これから早急にやはり事態推移を見ながら検討していかなければならならぬ問題だと思います。御指摘がございましたが、売却基準地域を撤廃するということになりますると、現在、配給米について卸、小売り業者のマージンの関係の算定の中に基礎となっております引き取り運送距離というようなものも実は考えに持っていかなければならないわけでございますので、それらもよく考えながらやはり何といたしましても終局的には配給円滑化をはかるということが最終の目的だ、その観点に立っての従来からのそういうやり方につきましてはこれは弾力的に改善するということも今後の課題であろうというふうに考えておる次第でございます。
  12. 亀井善彰

    亀井善彰君 この問題についてはひとつ重ねて十分御検討を願いたいと存じますので、希望をさらに申し上げておきます。     —————————————  次に、自主流通米の問題でありますが、私は現在の米の需給関係からいたしまして、自主流通米制度を創設された、このことについては賛成をするものであります。ただしかし、自主流通米制度は創設されましても、それから以後における問題について少しく意見がございますので、その点について伺いたいと存じます。  まず自主流通米は、その集荷は従来の集荷登録業者、これはその九割五分程度農業協同組合であります。わずかにあとの残りが業者集荷でございます。ところが、先般来聞いておりますところによりますというと、農業協同組合集荷資金に対しましては、政府は相当な配慮をされるやに聞いております。これまた当然であろうと思います。せっかくできた制度、これを集荷する金の融通がつかないということであっては片ちんばになりますので、その手当てをされることは当然であると、私はかように考えます。だがしかし、一方わずかではありますけれども、業者集荷をするその関係につきましての集荷資金、これについては相当関係方面要望関係者はいたしておりますけれども、いまもって農林省においては、食糧庁においてはそれについての具体的なお考えを意思表示されない。まだ関係業界はそれについて非常に迷っているようであります。私は集荷というものはたしか昭和二十二年と記憶いたしておりますけれども、従来私も当時農協に関係しておりましたのでよく承知をいたしておりますけれども、統制によって農業協同組合、もとの農業会でありますが、これが全部を供出させておった、そういう体験からいたしまして農協がその大半を占められることは当然であります。そういう関係であったものが占領後に競争の原理を導入するというような意味合いからか、業者にも集荷をさせる道を開けということで、いわゆる二元集荷の道が開かれたのであります。二元集荷の道が開かれても大半の農家は農協に登録する、これは当然のことであります。それからまた一部の農家は業者登録をする、こういうことでその量はわずかでありますけれども、現在でも二、三十万戸の農家がその集荷業者登録をしておるわけであります。ところが、対象になる農家というのはこれは農協に登録しても業者登録しても同じである、こういうふうな観点からいたしますれば、自主流通米集荷農業協同組合集荷業者、これが行なうとすればいずれも平等にその集荷資金については手当てをされることが当然であろう。ところが、一方は集荷資金を十分に手当てをして、一方は何らこれに対してその道をつけられない、私はそういうふうな扱い方は政治の上からいっても不公平きわまる、こういう点で農協と同じようにわずかな量ではありますけれども、集荷業者にも資金の道をつけられるべきである。一体政府はその資金の道をつけるお考えがあるのかどうか、その点についてまず承りたいと思います。
  13. 田中勉

    政府委員田中勉君) 自主流通を円滑に進めるためには、やはり農家が政府に売り渡す場合と同様の時期に、その代金に相当するものが生産者の手元に届くというようなぐあいにする必要があるわけでございますし、またその場合に資金コストをできるだけ低くすることがこの自主流通米を円滑に推進するために必要だと実は思うわけでございます。そういう観点から、現在自主流通米集荷販売に関する資金につきまして、何らかの政府側においての措置が必要であろうというようなことで、目下具体策について大蔵省と折衝をいたしておる段階でございます。  そこで先ほど指摘いただきました、現在集荷につきましては農協系統、それから集荷商人系統、二元集荷制度になっていることは御指摘のとおりでございます。その歴史も相当長く、何年間かそういう形で今日まで至っておるわけでございます。まあ米集荷ということを考えた場合には、何といたしましても圧倒的な比重を占めているのが農協系でございますが、その農協系の資金というものは農家の側からすれば最も重要な生産物であるところの米の共販資金であるということからいたしまして、特にその農協糸に対しましてその対策が必要であろうと考えて目下検討いたしておるわけでございます。御指摘になりました商人系統の問題につきましては、現に商人系統においては市中金融機関に依存してやっておるという状態にありますし、それからまた自己の金融のルートを持っておるものも多いということも否定できない事実であるわけでございますが、ただ、その市中金融の性格上からいたしまして、特別な措置の対象ということはなかなかむずかしいというぐあいに実は考えておるわけでございます。しかし御指摘もございますし、流通資金の調達の円滑化ということをはかることは、自主流通米の円滑な推進ということにもつながるわけでございますので、なお今後ともそれらの点につきましては検討は加えてまいりたいと思っておりますが、何分にも農協系統とそうでないものとの間においては、その性格上なかなか特別な措置の対象にしにくいというようなぐあいに実は考えておるわけでございます。
  14. 亀井善彰

    亀井善彰君 私はその特別な措置を講じかねるという点について理解ができない。もし業者集荷団体に対しまして特別な処置が農林省において講じられない、こういうことであるならば、これは中小企業団体でありますから、中小企業庁のほうに食糧庁からそういうふうな話をつけて、そうして商工中金なり金融公庫なり、そういう方面から融資の道をつけるような配慮をされるべきではないか。先ほどの話を聞いておりますというと、商業金融によってできるであろう、これはとんでもないことなんです。初めての仕事なんですから、簡単にわずかな量でありましても商業金融によってこれができるというようなことは、これは御苦労をされない方の考えでありまして、苦労しておるものからいえば決してそうじゃない。新しい制度で、新しく出発する制度でありますから、簡単に銀行が、けっこうでございます、お貸ししましょう、こういうわけにはなかなかまいらないものでありまして、私はその点についてはいまのようなお考えでなく、いま少しく親切な気持ちでこの点について御考慮を願いたい。またそういうふうにしむけていただくことが必要ではなかろうか。特に私は、農業団体に金融の道をつけられることは当然であると思います。これについては何らの異議を申すものではありませんけれども、それと同様に大小の別なく同じ仕事をしておる関係からしてその資金の道をつける、こういうことが当然の仕事ではないか。もしそうでないならば業者関係登録業者は、この自主流通の米は集めることはできない、こういうふうにおきめになっていればそれはそれでいい。そうでないとするならば、集荷登録業者というように限定されるならば私は同様な扱いをされるべきであろう。それがそうでなくして、業者であるから——先般の長官の意向を伺っても、業者団体であるからそれは商業金融によれ、これはきわめて遺憾だと思う。一体そういうふうなことで日本の中小企業というものが育成できるかどうか。  これは余談になりますけれども、一体、農林省関係の中小企業というものは非常に恵まれておらない。全体が恵まれておらない上に、特に農林省関係の中小企業というものは、中小企業庁へ持ってまいりましてもこれは普通に扱われない。そういう点からいたしまして、私は相当にこれはハンデがあると思う。したがって、こういう問題は中小企業庁のほうにも食糧庁のほうからお呼びかけになるか、あるいはまた中小企業庁のほうから食糧庁にお呼びかけをし、農林経済局のほうとも御協議の上でこういう問題を解決するか、私はこの自主流通米集荷についての資金の問題は、系統は違いましても結果的には同じ気持ちでお扱いになることが必要だと、こういうふうに考えます。したがって、重ねて私は次長のその問題についてのお答えをいただきたいと思います。
  15. 田中勉

    政府委員田中勉君) 先ほどちょっと私の発言があるいは十分でなかったかと思うわけでございますが、申し上げたい点は、その農協系とそれから農協系以外の集荷業者、全く同一の内容についての金融措置というようなことはこれはできにくいであろうと、こういうぐあいに申し上げたわけでございます。しかし、農協系以外のものにつきましては、まあ市中金融機関というものをたてまえとしておるわけでございますから、そういう面においての先ほど指摘ございました商工中金とかあるいは中小企業公庫とか、こういうような面においてなおそういう調達の可能性があるのかないのかというようなことについては、今後検討を続けてまいりたい、こういうぐあいに考えます。
  16. 亀井善彰

    亀井善彰君 中小企業金融公庫にしても商工中金にしても、やはり食糧庁自体からそういうふうなお呼びかけをしていただくということでなければ、なかなか私は金融の道はつかないと思います。そういう点で、ひとつこの点は十分考慮をされまして、そして大は大、小は小としての立場において共通のひとつ保護を願いたい。先ほども申し上げたとおり、登録をしておる農家には差異はない。農協に登録しておる農家も業者登録しておる農家も、これはいずれも生産農家でありますから、農家自体に差異がないということを念頭に施策をしていただくことが私は必要ではなかろうか、こう考えますので、重ねてこの点はお願いを申し上げます。御回答は必要といたしません。
  17. 河口陽一

    ○河口陽一君 関連。自主流通米については過般足鹿委員からの御質問、ただいま亀井委員からの御質問によって、その内容がおおよそ明らかになってまいったと思いますが、ただいま亀井委員のおっしゃられた、こういう集荷登録の規定を守ってやっていくということに相なりますれば、金融その他についても同様のお考えをもって処されなければ、私はこの自主流通米という問題の運営に大きな風穴があいて、やがては食管法堅持のその趣旨が死滅するというふうに不安を抱いておるので、この点については利子の問題、金額の問題等、差異のない取り扱いをして、そうして先般は長官から罰則の問題等お話がございましたが、そういう問題に対しても、この食管法を守っていかなければならぬという、取り扱い業者もあるいは生産者も消費者も、そういう理念に徹するような御配慮がさるべきだ。そうでなければ、片手落ちになれば、当然この食管法はくずれ去ると、こういうふうに私どもは心配をいたしておる一人でございますので、これは全力を尽くしてそういう姿勢で差異のない取り扱いを御研究、実施されるよう、私からも要望申し上げる次第であります。  さらにつけ加えて申し上げたいことは、いま農村でも自主流通米に対して非常な反対の声が高まっております。先般も新聞紙上では、新潟県で大騒動が起きたという記事も見ました。去る十八日の質疑並びに本日の質疑を通じて感ずるところは、これは自主流通米という名称が不適当だと考えるわけで、昨日も大臣に申し上げておきましたが、食管法を守って罰則まで適用するということになりますれば、これは、自主はまあつけていいと思いますが、統制米である。流通米というようなことばで表現したところに私は、農村では自由販売米であると、こういう認識に立って、異常な混乱を起こしておると思います。したがって、自主統制米という名称にすることがいいのか、自主規制米というような表現にすることがいいのか、これはまあ十分御研究願いたいが、少なくとも自主流通米という表現は、食管法堅持というたてまえから判断いたしますれば、私は全く不適当な表現である、こういうふうに考えますので、このことをひとつ真剣に、食管法堅持という立場から、この表現に対して御研究が願いたいと思います。私どもは現地におりまして、この自主流通米に対する農民感情というものは異常に激高しておる。さらにそれにつけ加えて、農産物の自由化は安保とつながるというような発言もあって、混乱混乱をきわめております。こうした問題はこの農林委員会質疑することは不適当と思いますが、しかし安保には経済協力という字句がある限り、農林省ではこれをどのように理解をし、受けとめておるか。そういうことも機会があれば御答弁願いたいが、私はこの問題に対して思いつきのような答弁や思いつきのような発表は差し控えてもらいたい。十分われわれ委員会意見を徴して、そうして研究に研究を重ねて、少なくとも農民なり消費者に不安を与えないような態度でこの問題を処理していただきたいということを御希望申し上げて、私の意見にいたしておきます。
  18. 亀井善彰

    亀井善彰君 私も、河口委員からいまお話の問題同感であります。  なお、さらに私伺いたいことは、この自主流通米制度政府が目的とされるような方向にこれが運営されるかどうかという問題は、あげて集荷をする団体と配給を担当する団体との協力体制にあると思う。この協力の体制が欠けますというと、私はこの問題は失敗すると思います。  そこでひとつそれに関連をして意見を伺いたいのは資金の問題であります。集荷をする資金はいま申したとおりでありまして、これはそれでけっこうだと思います。お手配が願えるものと私は考えております。集荷をしただけで消費者に円滑な配給ができる、こういうことは言い得ないと思いますが、そこで配給に要する資金というものこれも当然政府が私は考えられるべきものだと思う。もちろん業界自体においても、それぞれ自主的に検討をし、そうしてこれが目的を達成するような方向で努力を続けておるようでありますけれども、単にそれだけの力ではこれはまとまり得ない。同時にまた、あるいは政府考え方は、集荷をして持ってまいれば配給する段階では資金が要らない、こういうふうにお考えかもしれません。しかし決してそうではない。自主流通米というものを集荷をされたいわゆる農業団体全集連から買い受けましたものがその日送りで消費者に満足する米が配給できるということは私は望み得ない。やはりある程度の、配給業者としては、特に卸売り業者としては在庫を持たなければならない。そういうことを考えますというと、いままでの管理米とは違って自己資金というもの、これが相当に私は必要であろう、この自主流通米の成功を期するために。それらの資金の要求についてもいろいろ資料を取りまとめておるようでありますけれども、何としてもその資金がやはり必要ではなかろうか。これは具体的に言うならば、ランニングストックを持たなければ、小売り販売業者要求に応ずることができない、消費者要求に応ずることができないというようなことからして、どうしてもやはり配給に要する資金というものを、集荷をする資金と同様にひとつお考えをいただく必要がある。食糧庁においてそういうふうな資金の問題についてお考えをいただいておるかどうか、この点についてひとつ承りたいと思います。
  19. 田中勉

    政府委員田中勉君) いまこの自主流通米配給段階における流通資金の手当ての御質問でございますが、私どものいまの考え方といたしましては、原則として、先ほど指摘ございましたように、販売業者のほうでは、必要な時期に自主流通米を買い入れて小売り販売業者売却をするという段階を踏むものと見まして、特に金融上の特別の措置を講ずる必要がないようにしたいと実は考えておるわけでございますが、先ほども御指摘ございましたように、自主流通米の円滑な流通ということは、集荷団体それから配給団体の関係の、この間の売り渡し、買い入れというようなものが円滑に行なわれることがやはり必要であろうというような観点からいたしまして、まあ一応たてまえとしてはそういうような考え方で進んではまいりたいと思っておりますけれども、なお販売業者段階の流通資金の調達の円滑化ということも、これは、先ほど業者間の流通を円滑にするというようなことからいたしましても、これは考慮を払う必要があろうということで、目下食糧庁部内でもその点については検討を加えておる段階でございまして、具体的にいま申し上げる段階に至っておりませんけれども、そういうような事態先ほどもやはり予想しながら何らかの方法をひとつ見出してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  20. 亀井善彰

    亀井善彰君 どうも次長はいまそういうことを初めてお聞きになったような気持ちでありますが、やはり商売が一歩前進したのですから、商人意識というものを十分にお考えになっていただかないというと、この問題はうまく回らないと思う。で十分にこの点はお考えを願いたい。並びに流通資金と同時に、倉庫の建設資金等もこれは相当にやはり必要だと思うのです。先ほど申したとおり、在庫がなければ小売り業者の求めに応ずることができない、消費者要求に応ずることができない、そういう点を考えますというと、単に集荷をされた、そのことだけで事が足れりというようなことでなくして、みずからがやはり倉庫を持たなければならないというような点も十分考慮をして、倉庫の建設資金ということをやはり頭の中に置いてお考えをいただきたいと思います。これは御答弁は要りません。  その次に、ひとつ問題は、先般の委員会で配布されました食糧管理法施行令の改正要旨の中の一であります。この中に、「農林大臣の承認を受けた自主流通計画に従い卸売販売業者その他農林大臣の指定する者に売り渡す場合」、これは生産者の指定集荷業者の全国団体が農林大臣の承認を受けて、そうしてこれを卸売り販売業者その他農林大臣の指定した者、いわゆる自主流通の団体であると思いますが……、詳しいことはともかくとして、私は配給計画を立てるという際において集荷する団体と配給をする団体と、両者の意見を徴するということが必要ではなかろうか、これが従来の管理米であれば別でありますけれども、そうでない今度の新しい制度自主流通米は、私しいて言うならば、農林大臣配給計画を立てる場合には集荷団体と配給団体との意見を聴してその計画を立てるというような形に私は変えられるべきではないか、私は自主流通米のこの制度政府のお考えによって成功させたいから言うのです。これが成功もできずに混乱に陥ってしまえば、先ほど河口先生から御指摘がございましたように、食管制度混乱する、私はそういうような方向に持っていきたくないから、そこでそういうことを申し上げるのでありますけれども、配給計画を立てる場合に、配給関係業者意見を聞かず——配給業者の団体もお聞きになっていると思いますけれども、全糧連、全米商連両団体でございます。しかしどっちの団体も一つの団体にこれをまとめて、そうしてこの自主流通米については協力しよう、そういうような申し合わせをしているわけであります。したがってこれを一つの団体としてお考えになっても差しつかえない、しいてやるならば農業団体で受け持っておられます配給部面の問題も、これも配給部面だけは一つの団体としてお考えをいただくように、農業団体ともときおり話し合いをしておるわけでございまして、私は両者の意見を聴して配給計画を樹立する、こういうふうな方向にこの政令の改正をする場合には考え直しをしていただいたらどうか、こう考えますが、次長いかがでございますか。
  21. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) ただいまの亀井委員の御質問でございますが、おそらくはここで「指定業者がその組織する全国団体を通じて農林大臣の承認を受けた」云々とあるのでございますから、この自主流通計画をだれがどうきめるのか、それに関連してそれがいわば集荷業者だけの判断できまるのではないか、配給業者意見と無関係集荷団体だけの意見できまるのじゃなかろうかという御懸念かと存じますが、そういう意味ではないのでございます。これは要旨でありますから字句が十分練っておりませんが、集荷ということはその裏はすなわち配給であり、販売であります。したがいましていわば集荷団体は生産者のほうからいえば自主流通米として売りたいという生産者側の要求あるいは要望というものをこれに集める、しかし同時に一方的な意向ではだめでございます。これは売れないといけないわけでございまして、当然今度は需要者側の要望というものがございまして、需要者の要望もばらばらでは困りますから、御売り業者、さらに全国団体を集結をいたしまして、そこに販売側と需要側両者の意見がいわば合致をいたしまして、そこで自主流通契約というものができる、そうしてそれを農林大臣が承認をする、こういう仕組みを考えて、具体的にしからばどういうふうに仕組むかということを、実施細目の合意をいろいろ検討している段階であります。
  22. 亀井善彰

    亀井善彰君 それならよく了解いたしました。  なお一つ方向を変えまして、前回の委員会で櫻井先生から御意見のございました学校給食に米を使ったらどうかという問題幸い文部省からおいでになっておりますから、重ねてではありますけれども、私からこの問題について意見を述べて、当局の御意見を伺いたいと思います。  私はかねがね日本人である以上米を学校給食に使用するということは、これは当然のことだと思うのです。戦後のあの食糧需給のきわめて困難な時代にアメリカから救援をしてもらう、こういうときならばこれはやむを得ませんけれども、現在日本で生産される米が御承知のとおり五百数十万トンも残る、こういう時点でなお学校給食にパンを使う、これは私は少しく筋が違うのではないか。私は少しく話がそれますけれども、一昨年宮城県をずっと旅行いたしましたその際に、宮城県の米作農家でありますが、その米作農家をちょうど訪ねたときに、その家庭の子供がちょうど小学校から帰ってきまして、何か薄黒いパンを縁側に捨てて、そうしてかばんを投げて家の中に入り込んだことに出っくわした。で、それを見てつくづくづく学校給食というものは相当にむだが多いということを痛感した。これは総量で二十万か二十五万トンでありますけれども、米が余って困るというときに、国内産の米を学校給食に振り向けるということ、これは当然のことじゃないか。同時に、学校給食を米にすれば施設費がかかると、こういうことをよくいわれます。私は、施設を全部変えて学校給食を米にしろとまで極端なことは申しません。ある意味においては、家庭から米だけは弁当箱に入れて持たしてやる。これは一つの母性愛だと思う。私は、そういう点が、最近のようなああいう問題が起こる一つの原困になるのじゃないかと思う。やはり母親が丹精をしたその米を弁当箱に入れて行って、副食物だけを学校でつくればいいじゃないか。それも一つの方法だと思う。ただ米が余ったからといってこの学校給食を米に切りかえるということはちょっとむずかしい。先般櫻井先生からいろいろ全国的の統計の資料も提示されましたけれども、私はこの点は、何か文部省がこの学校給食を米に切りかえるということについては相当難色を示しておられるようでありますが、この点は文部省としても、いま米がだぶついておる現状をよく考えていただいて、そして指導方向を米に切りかえるという考え方におなりになったらどうか。これはぜひそういうふうにお願いをいたしたいと存じますけれども、文部省当局のこれに対するお考え方をひとつ承りたいと思います。
  23. 柳川覚治

    説明員(柳川覚治君) 学校給食は、たてまえといたしまして、発育期にある児童生徒の健康と体位の向上をはかるという観点に立ちまして、従来一貫いたしまして、パン、ミルク、おかずの食形態を基本といたしながら、特に農山漁村等でパンの入手困難な地域や、その他特別の事情のある地域におきましては、米を使用しても差しつかえないという旨のこれは指導を従来いたしてまいっております。御指摘のとおり、学校給食に米飯を専門的に取り入れるということにつきましてはいろいろ運営上困難な点もございますので、従来の学校給食の基本的な態勢とも関連する問題でございますから、私どもの文部省といたしましては、慎重を期したいという考え方で従来きております。しかしながら、ただいま御指摘を受けましたとおり、将来にわたって学校給食が国内産物資の利用拡大をはかるということが望ましいことはもとよりでございますので、このことにつきましては、保健体育審議会はじめ、各方面の意見を徴しまして、今後十分検討さしていただきたいというように存じておる次第でございます。
  24. 園田清充

    ○園田清充君 ちょっとあなたにお尋ねしたいのでありますが、いま亀井さんから御質問になったことで、少しあなたとぼくらの見解は違うと思う。というのは、私は非常に長期的な考え方に立って実は心配をしているわけです。いまおっしゃったように、国内産のものをなるたけ使うべく努力をしたいということだけれども、いま世間では米が余っているから学校給食に押しつけるのじゃないか、こういうふうな受け取り方をしている。ところが、そうじゃなくて、これはひとつ統計をごらんになってもすぐわかるし、——私自体農林省の食糧の長期見通しについては、足鹿委員と同じように、実は与党ながら一まつの危惧を持っている。というのは、学校給食の問題は——実は私の友人がアメリカから帰ってきた。そうして、これはアメリカでも一世のうちは米を食う。二世になると一日一回くらいしか食わない。三世になると御承知のとおりほとんど米を食っていない。パンを食っている。ところが、ただいま輸入されているハード系パンの原料、これを日本でつくるということを私ども仮定をした場合、これが主食の座が米からパンに変わった場合には、日本の耕地面積の最小限五倍なければ自給ができない。それが日本の現状です。だから、政府の長期経済計画から見ても、幾ら貿易の振興だ、土地資本の開発だということでおやりになっても、国際収支というのは、この学校給食方向、いわゆる米になじんでいる国民の主食の座に占める米の位置がパンに変わった場合には、私はその努力されたことが努力にならないと思う、結果的には。たとえば卑近な例ですけれども、私もいなかの人間ですし、政務次官もいなかの人間です。それから食うものを持っている給与所得者というものは非常に強い。月給だけに依存している月給取りというものは非常に弱い。なぜ農業がわが国の基本であるかということを主張するかと言えば、やはり食うものを持っている国は自主独立国家になり得る。現在安保の問題でがたがたしているが、しかし、そういうこと以前の経済政策をもう少し長期的な考え方に立って皆さん方がお考えいただかないと、えらいことになると実は懸念するからなんです。だから、栄養だとか、あるいは体位向上だとかということをおっしゃっているが、たとえば澱粉質を取らせるにしても、麦との混入でけっこう取れる。パンと栄養を比較しても、これで適切なものが出てくると思う。そういう点から文部省自体がもう少し真剣にお取り組み願いたいと思う。これはことし当委員会で与野党あげて努力をした。たとえば栄養面の問題で学校給食が五十万石ふえた。そういうことで、小学生の体位向上に役立てるために、皆さん方、特に文部省はあすの日本をつくるということのために努力しておられるが、やはり国内食糧、経済事情、そういういろいろなものを勘案をしてひとつ善処していただきたいと思います。  だから、これはきょうここであなたに結論を出していただきたいということを申し上げても、はなはだ失礼だけれども、やっぱり課長さんには無理かもしれない。だから、事と次第によっては文部大臣出席を求めて新たにこのことについては詰めなければならぬと思う。だから、当委員会の与野党をこえた願望というものを文部大臣にあなたからよくお伝えをいただきたい。これが一つ。これについてはあなたから持ち帰って、私どもはここでいろいろまた重ねて論議をしてまいりますけれども、事と次第によっては文部大臣に決意をして出てきてもらわなければならないということを、与党からも要望したことをよくお伝えをしていただきたいと思います。  それから亀井さんの質問に関連して、田中次長がおいでになっているのであなたにちょっとお伺いしておきたいと思います。大臣の所信表明というものはこれは省議にかけるのでしょう、どうですか。省議にかけておやりになるのじゃありませんか。——そうですね。それなら、参考までに、きょう大臣がいらっしゃらないから大臣答弁は求めませんが、ひとつお尋ねしておきたいと思うことがあります。ことしの所信表明の中で、「生産者米価及び消費者米価を据え置く」という努力をしたいということが大臣の所信表明の中に書いてある。だから、この大臣の所信表明の中にある「生産者米価及び消費者米価を据え置く」ということは、所信表明の前提として、国鉄運賃を除いた公共料金を据え置くということを前提として、これを据え置くということを省議としておきめになって、これを所信表明の中にお入れになったのかどうか。こう理解してよろしいかどうか。これはおそらく食糧庁としても省議にかけられて賛否をとってなさったのだから、事務的にあなたから答弁ができればしあわせです。できなければ、ひとつこれも大臣にお伝え願って、次回でもけっこうですから答弁してください。
  25. 玉置和郎

    政府委員(玉置和郎君) 私は生れて初めてお役人になって初めて答弁するのでありますが、私はいろいろな話を聞いておりまして、私も実は答えようかと思っておったのですが、次長が専門家でございますので控えておりましたが、亀井先生の質問の中で——これはまたさかのぼりますよ。政府売却米の責任の問題、ぼくはこれは当然だと思うのです。このように自由競争の原則が食管の中にもある程度考え方が取り入れられた今日においては、政府として、自分のほうで売却をするというものについて当然責任を持つのがあたりまえで、これに対していろいろなことを言っておりましたが、私はこのあたりにおかしなところがある、やはりこれからの農政というのは、消費者行政というものをもっと尊重せねばいかぬというたてまえからいったら、私は当然つべこべ言わぬで、その辺のことを考えたらいいと思う。  それが一つと、それからいまの文部省の問題、給食の問題ですが、これも私なんか、はたで聞いておって、これはおかしい、これ、おそらく文部省が通牒を出したときには確かに米が足らぬときだったと思う。私も文教出身でございますので、そういうあたりのことは大体存じておりますが、学校給食も、いま園田先生が言われましたように、国の全体の中で考えていくという方向が私は最も正しい方向であると思います。そこで、きのうも実は、さっき園田委員が言われました小麦の問題、これを一緒に話をしておったところでありますが、日本のように、面積の少ないこの農地をかかえておる国では、一番米がふさわしいのです。それだけに、米というものの将来ということをもっと真剣に考えていって、国民全体に理解を深めていくという、そういう中から給食の問題が取り上げられていかなければならないと思う。また、栄養の問題にしましても、私はまあ栄養学者でありませんからあまり深いことは知りませんが、一つの例を見てもわかることは、昔オリンピックへ出まして、米食一本やりで来た日本のチームが強かった。今日——実際そうなんであります。そうなんです。今日、肉を食わしたり、牛乳飲ましたりして、うんと金をかけて弱い。その辺のところ、ヨーロッパの人間、アメリカの人間と日本人の体質、東洋人の体質というものは、おのずから私は研究の余地があると思う。そういうあたりからも、この米食という問題については、そういう科学的、医学的見地からひとつ検討してみる必要があるのじゃないかというふうに考えるわけであります。そうして、やはり国の根本が何と言ったって国の安全と、それから人口と、それから食糧の問題だと思う。そこで、そういったことから考えても、このパン食、粉食という問題について、このあたりから検討してみる必要がある。こういうことをやはり農林省自身が私は真剣に取り上げて考える時期に来ているのではないか。総合農政というものは私はそういうところから来ているのではないかというような気もいたします。そこで私は、幾らそんなことを言ったって、おまえらどうせあと数カ月したらやめるだろうというような気持ちでおられるならば、私は、皆さんの応援を得て、ひとつ農林省でがんばってみたい、こういうふうに思っております。これが一つと。  ところで、最後に、この米価の問題ですが、これは私が答弁せぬほうがいいと思うのですが、あとでまあ農林大臣が来ますから、農林大臣から聞かれたほうが正確を得ていると思いますので、これはやはり農林大臣からお聞きになったほうが適当だと思います。
  26. 亀井善彰

    亀井善彰君 最後に、私は、いまの学校給食に関連して園田先生からもお話しのとおり、同感です。ただ私の憂うるものは、日本で米ができるのに、学童の時代から米を食わせない習性をつけるということ、これが離農につながるのじゃないだろうか、こういう点を憂うるから言うのです。先ほどちょっと宮城県の例を言いましたけれども、おやじさんが米をつくって、むすこはパン食っている。パンを食う習性をつけてしまって、そうしておやじさんだけが残って米をつくると。少し、文部省自体も、いろいろ困難な事情はあろうけれども、学校給食についでは、一時に全部をこれを変えるということは困難かもしれませんけれども、強い考え方でそういうふうな指導方針をとっていただきたいと思う。いろいろ伺いたいことはありますけれども、それ以上掘り下げて伺うことはやめます。ただ重ねて申しますけれども、そういう方向で強い指導方針をとっていただきたい。あるいはパン協会の反対もあるでしょう、いろいろありましょうけれども、とうといドルを使って輸入することが必要か。そうでなくして、国内でできる米でこれをまかなうということが必要か。これらも考え合わせて、いままでのお考え方とは少しく変えてひとつ方向をつけていただきたいと、かように考えます。御回答は必要ございません。  以上をもって私の質問を終わります。
  27. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は質問に入る前に一言お願いをしておきたいと思いますが、先ほどから話がありまして、まあきょうは大臣出席されていない、予算委員会関係等もあって、そういうことでやむを得ない、こういうことですが、それならば、少なくとも私は、何日か前に、きょうはこういうことを聞くのだ、こういうことを通告してあります。それで事前に、私の質問に対して大臣と皆さんが話し合って、そうして、この問題についてはここまで答えられるというところまで大臣から取りつけをしてあるかどうか。そういった点をまず最初に聞いてみたいと思うのです。
  28. 玉置和郎

    政府委員(玉置和郎君) 今日、大臣が、先ほど冒頭に申しましたように、やむを得ぬ事情でこちらに出てまいりませんが、今日、長官なり私なりがお答えを申し上げることにつきましては、大臣に了解を得ておりますので、それであらかじめ御了承いただきたいと思います。
  29. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次官のお話では了承を得ておると、こういうわけです。もう一歩突っ込んで言うならば、それじゃいつの段階でそれを、その話し合いをしたのかというふうに突っ込んでいきたいというところなんです、ほんとうから言えば。御承知のように、何となく委員会軽視みたいな風潮がだんだんだんだん強くなってきた。これじゃまずい、こう思うわけで、意地の悪いような話ですけれども、一応聞いてみておるわけです。  で、大蔵省の関係、おりますか。——私のきょうの質問はわかっていますか。大臣等とも話し合っておりますか。
  30. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) 委員部を通じまして、海上保安庁の問題について質問があるということを承っております。
  31. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 問題がどういう内容のものであるかということはわかっておりますか。そして、あなたに結論を出せない問題があると、そういう問題についてあなたが大臣といつの時点で話をして、そしてどこまで大臣から、ここまでは話をしていいという、ここまではいわゆる確約できるとかいうようなところまで話してあるのかどうか。その点。
  32. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) 質問の御詳細につきましては承っておりませんし、大臣ともそういうような話はしてまいっておりません。
  33. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ私の質問に対しては、少なくとも水産庁等は事前に話を聞きに来ておる。大蔵省は、何だかわからないけれどもきょう出ていってみればいいと、そうして、極端なことばで言うならば、お茶を濁しておけばいいと、こういう考え方ですか。こちらの質問のポイントを把握もしないでここへ出てきて、ほんとうにこまごまと国民のために政府考え方というものを発表できるというのですか。
  34. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) ただいまお答え申し上げましたように、詳細の点について承っておらないものですから、この場で承りまして、私としてこの場でお答えできることについてはお答え申し上げますし、もしお答えできないことはあらためて検討させていただきたいと、かように考えております。
  35. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まああまり突っ込んでみてもしようがないけれども、それは私は無責任だと思うのですよ。少なくとも、議員が一つ問題点、それは国民のためです、それをまじめに質問しようというその問題に対して、事前に何の話し合いもなく、一応聞きおいて、そして、私にできないものは帰って話をしておきましょうというような態度は私は無責任だと思う。大臣が出られなかったら何のためにあなた方が出ているのか。やはり責任ある、責任を持って出てくるということが当然の姿じゃないか、こう言いたいわけです。その点だけ私は話をして、時間を食いますから実際の問題点に入っていきたい、こういうふうに思います。  御承知のように、去る三月五日に銚子沖で第28山仙丸が遭難しました。九名行くえ不明、二名が死亡、こういうことになっておりますね。昨年十二月にも十四名がなくなっております。同じ地域というふうに考えられますけれども、十四名なくなっている。少し人員が違いますけれども、昭和三十四年には二十九名がなくなっている。やはり同じ場所です。こういうふうに、いうならば、利根川に入る河口、まあ、魔の河口というふうにいわれております。で、昨年の十二月に起きて今回三月、三カ月かそこらでまたまた十一名のとうとい生命が奪われておるわけであります。で、昨年の十二月事故発生以来、どのような対策をしてきたのか。また、同じ地域でなぜあそこだけそういう事故が起きてくるのか、そういう根本原因について私は伺っておきたい、こう思います。
  36. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 銚子は、御承知のとおり、利根川の河口にございまして、川の流れと、それから海流、風によります波などが非常に複雑な形でぶつかり合うところでございます。したがいまして、潮と風向によりましては三角波が立ちまして、出入港の場合に河口において航行上非常に危険な特殊な環境を形成いたしております。先生御指摘のとおり、約十年前には、先ほど指摘のありました第五幸長丸の事件をはじめといたしまして海難が続発いたしております。それから昨年になりまして、昨年の二月、十二月、それから本年の三月というふうに、またもや海難が発生しておりますわけでございます。根本的には、そのような海難続発の原因は特殊な地形に基づきます波浪の特殊な状況によるものであると考えております。で、最近の海難多発の状況にかんがみまして海上保安庁といたしましてもこれに種々の見地から対策を講ずるように検討もし、かつ実施に移しつつあります。  まず第一といたしましては、従来から銚子の海上保安部で、風浪の高い場合には銚子地方気象台の警報を接受いたしまして、これに基づきまして出入港の警報並びに注意報を出しておりましたわけでございます。この警報、注意報をより迅速に、より確実に出入港船舶に到達するようにというようなことを考えております。その具体的手段としましては、従来からも銚子の漁業無線局を通じて通信をいたしておりましたのですが、この漁業無線局の割り当て時間の冒頭に船舶に対して緊急のそういう警報を通信してもらうというようなことを考えております。それからさらに、出入港船舶の側から信号を視認、確認いたしました上で、危険信号があれば出入港を見合わせてもらうように、位置場所等においては目下検討中でございますが、早い時期に信号を設けまして、光によりまして夜間も出入港船舶に警報を発するということを具体的に検討、かつ措置を講じつつございます。  それからもう一つ、これはたいへん犠牲者に対しては申しにくいことではございますが、何十日間も漁労に従事してから漁船が帰ってきます場合に、一日も早く、一ときも早く入港して、漁獲物の鮮度の高いうちにこれを市場にさばきたい、それからさらに、一日も早く、一刻も早く家族の顔も見たいというようなところがありまして、従来、多少警報が出ておりましても、それを乗り切って入ってくるような漁船がなきにしもあらずというような感がございます。この点一そう指導を強化いたしまして、警報が出ておりますときにはこれを守っていただく。危険な港口は通行しないようにしていただくというふうにいたしております。そのほか第28山仙丸の場合には、遭難船舶の乗り組み員が救命胴衣をつけずにおりました。もし救命胴衣をつけておりましたならば、あのように多数のとうとい人命を失わずに済んだのではないかと、はなはだ残念に思われてならない次第でございます。そのような点につきましても指導を強化いたしておるつもりでございます。
  37. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ、いろいろと対策も講じてきたと、こういうわけですけれども、何となくいまの話を聞いておりますと、遭難をした側のほうが悪いみたいな感じがするわけですね。それは確かにそういう面もあるでしょう。それじゃならないと、こう思うわけで、いまお聞きしたことは、特に何回もああいう事件が起きておるわけです。その根本原因と同時に、今度の山仙丸がああいう遭難を受けた、その山仙丸自体の遭難原因、これはどういう角度からどういうふうに検討されて、こういうふうに考えられるという、そういうような原因をはっきりしていただきたい、こういうわけですね。それをひとつはっきり……。
  38. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 銚子の海上保安部で原因につきまして調査いたしましたところによりますと、五日の十六時五十分に銚子港口の一島灯台の北側におきまして非常に強いうねり——波を受けまして転覆した。非常に強い横波を受けたということが原因のようでございます。当時、北の風が八メートルでございまして、うねりは六ないし八メートルの高さでございました。その当時の横波が原因だというふうに解しております。
  39. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは地元の報告によるとそうだということですね。それで横波を受けたということはどこから……いつまでもその横波はじっとしておるわけじゃないのですから、どこからどういうふうに調査してそういった結論が出たのですか。
  40. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 銚子の保安部におきまして生存者の船員の方その他から聞いたことを基礎にいたしまして結論を出したわけでございます。そのほか本船が転覆いたしますときに、ちょうど荒天でございましたので、銚子保安部でもこれをそのとき視認いたしております。そのような状況、そのような方法でもって確認いたしましたわけでございます。
  41. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 もう新聞によりますとあの地域は、新聞によらなくても特殊地域のような形になっておりますね。山崎さんという課長さんがおいでになりますがね、あそこは。で、この方が事務所の窓から見ておった。見たところが入港してきた。非常に危険だなと、こういうふうに感じたときにひっくり返ったというのですね。そういうような事情といいますか、目撃をしておるわけです。この山仙丸に対してもっと事前に何か手が打てなかったのかどうか。この前に、いま申し上げましたように三十四年にも、また昨年の十二月にも事故を起こしているわけです。先ほどちょっと——これは余談になりますけれども、救命胴衣をつけておればもっと助かっただろう、こういうことなんです。そんなことは、三十四年にも二十九人死んでいるのです。十二月には十四名。いまごろそんなことを言っているということはおかしいと思うのですね。つけておったら——じゃ、何をいままで対策を立て、何を指導してきたか、こう言いたくなるわけです。その話はいま申し上げましたように余談ですけれども、この山仙丸に対して、入港してくる、危険だと感じたと、それはもうひっくり返るときに目撃したのだ。それまでわからなかったのだ。だから何の手の打ちようもないのだと、こういうことなのか。しかも、波は荒れておる。こういう危険の中で、保安部は全然監視していない、こういう状況の中で入ってきたのか、こういったことが疑わしくなるのですがね。その点についてお伺いいたします。
  42. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 御質問に対しまして、その当日の措置と、それからもう少し事前にとりました措置とに分けて答弁さしていただきたいと思います。  まず、先ほどの第1稲荷丸の海難がございましてから、本年の一月四日に銚子の保安部から文書をもちまして各関係者に対して、気象状況を把握して船体、救命具を整備、点検するように、安全胴衣の着用を励行するように、無理な入港は避けるようにというような項目をあげまして、海難防止につきまして注意を喚起いたしております。それから、引き続きまして本年二月六日から十五日までの問に、やはり銚子の海上保安部で海難撲滅海事関係指導強化旬間という行事をもちまして、銚子の海上保安部の陸上勤務員及び巡視船艇の乗り組み員が漁船を実際に総点検を行ないまして、海事関係法例、安全関係その他の海事法例の順守につきまして指導をいたしております。  さらに当日は、午後二時に銚子の地方気象台から風浪の注意報、警報が出まして、これを受けまして二時十分に通常のルートをもちまして銚子の漁業無線局を通じて関係船舶に対して、風波が高いから出入港は危険であるという意味の警報を出しております。で、銚子の漁業無線局は割り当て時間の午後四時半からこの警報を流しまして、第28山仙丸の割り当て時間の午後四時四十五分から山仙丸と交信いたしまして、山仙丸の通信士はこの警報を接受いたしております。ところが引き続いて割り当て時間でほかの事柄の通信がございましたので、それが終わりましてから、山仙丸の通信士が船長のところへ警報が出ている旨を報告に行こうとしたところが、本船が転覆したと、かように通信局は申しております。そのような事情であります。
  43. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 警報等によってその危険な状態を知らせたと、こういうわけですが、知らせただけですか。それとももしやのことを想定して、そこにはあらゆる救助体制、そういったものをとってあったのかどうか、この点、いかがですか。
  44. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 先ほどお話もございましたように、銚子保安部の調査におきまして、職員が転覆を視認いたしましてから、陸上の救助班を即刻現場に向かわせております。それからさらに巡視船「つくば」を緊急出動いたさせまして、現場に向かわせております。それから羽田からビーチクラフト機を飛ばして現場に向かわせ、かつ自衛隊のヘリコプターに出動を依頼しております。
  45. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまあなたの言ったことで、私の聞いているのは、事故が起きてからこうだという、それは新聞等でわかってるんです。ある程度。ぼくの言ってるのは、そういう危険な状態にあったわけですね、いつひっくり返るかわからない——しかも何回も言うようだけれども、三十四年にもひっくり返っている。十二月にもひっくり返っている。またそういう状態、そういう二の舞いを踏まないとは限らないという非常に危険な状態の中で、いわゆる銚子海上保安部は、どういう警備体制また救助体制、もしやのことを想定して、どの程度までそういった体制を整えておったのかということを私は聞きたいのです。
  46. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 巡視船は銚子の港内に待機いたしておりました。それから陸上救護班はほとんど視認——目撃と同時に出ております。したがいまして、特に現場付近で体制を整えていたということはございません。
  47. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 どうしてやらなかったのですか。現場付近でということは、あそこが一番もう、大体同じところなんです、ひっくり返るところは。どうしてそういう特殊な地域であることがわかっていながら、こちらのほうでも何も指示してない、現場の保安部のほうでも何の手も打ってない。それではこちらに落ち度があったと言われてもしかたがないじゃないですか。なぜそういう体制をつくらなかったのか、またつくれない特別な事情があるのかどうか、その点についてひとつ答えてもらいたい。
  48. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 現場そのものが非常に風波が高かったものでございますから、現場にはおれなかったわけでございます。で、内側の港内の行きやすい場所で待機しておりました。なお、陸上につきましては、距離が近いものでございますから、保安部から急行いたしましても決して時間を浪費するようなことはございません。
  49. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたね、近いからとかなんとか言うけれども、この十一人なくなっているんですよ。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 十二月には十四人なくなっているわけです。近いからなんとかと言ったって、そういうふうに、とうとい生命が失われているということは現実の問題です。そうでしょう。それをそんなのんきなことを言っておったんでは救助対策も何もへったくりもないじゃないですか。私の聞いているのは、そういう危険な状態の中で、十二月にもあったことだから当然、その後あの海域に対する救助対策、あるいはまた警備対策というものが立てられて、それにのっとってきちっとした手が打たれてあってあたりまえだ。じゃそれはどういう対策が練られてきたのか、と同時にその日は、あの危険な状態を守っていくかということで、どんな体制が行なわれておったのかということを私は言いたいわけです。と同時に前々から繰り返されていることは、近いから、近くにいるから必ず助かるということはないんだ。近くたって何だって、言うならば船に一緒に、そばにくっついててあげるというぐらいにしなければ、もしやのことがあった場合に、いままでの例から言ったってとうとい生命がたくさん失われてきているわけです。だから、今回もそうなりかねないという、非常に生命の尊重という立場から言うならば、もっともっと手が打たれてよかったのじゃないか、こう思うわけです。なるほど事故が起きてからその近辺から那珂湊方面からも巡視艇等も応援にきております。それは、あそこから来るのじゃとても間に合いませんよ。そうでしょう。ですから銚子保安部のこの現有勢力、その勢力によってはどうしようもなかったのじゃないかという感じが強いわけです。その点を私は明らかにして——これは私はあなたを責めているんじゃない。そういったことを明らかにすることによって、また大蔵省も来ているんだから、だからそちらのほうにも話をしようじゃないか、こういうことですから、どちらかというと助ける意味でいま話をしているわけですから。どうなんですか、その辺は。
  50. 林陽一

    政府委員(林陽一君) ただいま先生の御指摘になりました点、いろいろと反省させられる点がございます。ことに巡視船の待機体制につきましては、港外に出ることはきわめて危険でございます。しかしながら港内におきまして、もう少し現場に近いところですぐに急行できるようなところで待機させたほうがよかったのではないかというふうに、実は私ども考えておりますわけでございます。今後は警報が出ておりますようなときには、河口に近いところで待機させるというふうにいたしたいと思っております。言いわけがましくなりますが何ぶん当日はきわめて風浪が高うございまして、救助作業中に巡視艇のほうでも負傷者が出たというような、それほどの悪天候でございましたので、その現場そのものにおることはむずかしかったかと思いますが、少しでも近いところで待機させるというように今後はいたしたいと思います。
  51. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そういう話になりますと、いろいろ突っ込んでいかなきゃなりません話が出てくるわけですよ。あなたのいまの、たとえば危険であってどうにもならなかったんだというような話なんですね。そういうことはすでに想定される問題じゃありませんか。そうじゃないですか。想定される問題ですね。だから十二月からどういう——そういうこともあわせて、そうしてそういったものを想定した上で、どういった対策を練ってきたのかということをさっきから言っているわけですよ。今回の場合はしようがないんだ、近寄れなかったんだ。こんな話ではお話にならない、実際に。ですからその点はこのぐらいにしておきましょう。  じゃ、とにかく山仙丸はあそこへ来るまでは、確かにひっくり返らないできたわけですよ、そうですね。ですからひっくり返らないできたんだから、特にあそこは魔の河口で危険なところなんです。そうでしょう。ですからなるほど魔の河口のそばにいつまでも出ていって、そして待っているということができないかもしれない。しかし、少なくとも山仙丸が入ってくる、そういったことはどの辺で確認をしたのかということは言えるわけです。そして確認した時点で、その地点で巡視艇なら巡視艇が飛び出して行く。こういったことは私はできるかもしれない、山仙丸はそこまで来ているんですから。また救助に当たっては各県の巡視艇が来て作業に当たったんですから。だから巡視艇の中ではひっくり返ったのはないんですよ。けが人はいたかもしれないけれども死んだのはいない。だから結局それは可能である。飛び出していくことは可能である、こういうことが言えるわけです。結局そういったことからこの体制が不備であった、こういうふうに考えていいということですね。しょうがないでしょう。
  52. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 今後は警戒体制につきまして一そう万全を期するようにいたしたいと思います。
  53. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんなことを聞いているのじゃないのですよ。それはあたりまえのことであって、私の言っているのは、保安庁の、また現地の銃子の保安部のあの特殊な地域として体制がいわゆる不備であった。そういうところからああいう事故が起きたということも考えられるのじゃないか、その点を私は聞いているわけです。それはあなたは、いやそんなことはない、体制は十分であった、こういうふうに言いたいのかどうかということになるわけです。その点どうなんですか。さっきも言ったように、責める立場ではなくて、応援する立場で——ほんとうにあの地域で何回か事故を起こしている。現在の銚子保安部の体制では、今後また何か起こったときは無理だというふうにあなたは感ずるのかどうか、それでいまの現状維持で十分なんだ、こういうふうに考えるのか、どういうふうに考えておられますかということです。
  54. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 銚子保安部の現有体制をもっていたしましても、なおくふうの余地があったのではないかと考えられるところもございます。体制の整理につきましては、さらにまた望ましいとは思いますけれども、それを離れましても、また現有の船艇能力をもちまして、もう少し完全な警戒体制をしけるのではないか、かように考えております。
  55. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 結局は不備であったということを認めておる、そういうことだと思いますね。十分今後対策を練っていかなければならぬ、こういうことだと思いますし、また今回の責任は、いわゆるその任に当たっていかなければならぬ立場で、国の機関においても、あの事故を惹起していくところの原因がどれだけか国のほうにもあった、そういうふうに言えると思います。これに対して答えろと言うと、もうあなたには答えられない。だから私はさっきから言っているように、責任を持って出てきたのかどうか、こういうことを念を押したわけです。  そこで、一つ一つ今後の対策としましていろいろと話し合ってみたい、こう思うのです。先ほどあなたは、朝日新聞等にも発表されておりました今後の対策として、灯火式の警報装置、こういったものを設置していきたい。それから二つには、荒天候の場合に巡視艇を待機させる、こういうことですね。それからもう一つには、発電機付き投光器、これの増強、こんなようなことが言われているわけですね。そこでたとえば、警報を山仙丸にも出したのですね、と同時に通信もした、こういうことです。それを無理して乗り越えてきた、こういうことでしょう。そういうことであれば、幾らこんなものをくっつけたって、乗り越えてこようと思ったら幾らだって乗り越えてこられたんじゃないですか。そうでしょう。相手の自粛を待つ以外にない、それが守られているならば、いままでそういう事故もなかったかもしれない。守られないところに事故が起きている。のど元過ぎれば暑さ忘れるで、そのときはみんな守るかもしれないけれども、何年もたったらまた忘れられていく。そうしたらまた同じことを繰り返す。ですから、これでは抜本策にはならない。こんなことを幾ら設備してもらってもいわゆる法的な規制ができないわけですから、ですから入ってきてもこれはもうどうすることもできない。で、入ってきて、やれひっくり返った、ひっくり返ってその生命を失った。こちらが警報を出しているにもかかわらず入ってきたからひっくり返ったんだから国は知らないよと言って、ほうかぶりするわけにいかないでしょう。ですから、その辺のところが私は大事な問題点じゃないかと思うんですよ。ただ形式的にこんな設備をしていますなんて言っているけれども、それではたしていざというときに人命が守られていくのかどうかということが心配になってくるわけです。一つ一つに当たって検討をしてみたいとも思うわけですけれども、これは総合的にいえば、いま申し上げたとおりの結論になるわけですがね。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕  そこで、私はこれではだめだと思うんです。結論はもっと金をかけろ、金を。そう言いたいんです。だんだん大蔵省のほうにまいります。金をかけなきゃだめだ。金をかけないでそれでもって、すべてをうまくやろうなんというような考え方では、これはもうごていさいという以外にないんです。で、あの地域で何回も起きているあの事故を今後絶対に起こさせないために、絶対ということばはうまくないかもしれないけれども、少なくともその率を低下さしていくために金をかけて、こういう設備もああいう設備もという、もう現実的に、いざというときにものの用に立つ、そういう体制を私はつくっていかなきゃならぬ、こういうふうに思うんですね。そのためにはやはりこのほかに巡視艇というけれども、この巡視艇は私は必要だと思います。現在の「つくば」ですか、新造船百三十トンですか、この百三十トンは大いに活躍した。ところが活躍したけれども、一隻だけです。同時にほかから応援に来ておりますけれども、それは時間的なズレが生じた。そうでしょう。これは何にもならぬ。何にもならぬというと申しわけないけれども、いざというときには間に合わない。そこでやはりそういう特殊地域には何らかのもう一歩前進した対策が、そういう面でのいわゆる実力のある対策を私は打ち立てていかなきゃならぬじゃないか。そういう点であなたはどういう考え方を持っているのか。そういう点で、こんな豆電池みたいのをつけるだけでなくて、そんなものじゃいざというときに何の役にも立たないですよ。もっと実力のある体制、それをあなたはどういうふうに考えているのか。金は幾らかかったっていいじゃないですか。大蔵省が出さないなら出さないと言ったらいいじゃないですか。
  56. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 海上保安庁の巡視船艇の現有勢力を申し上げますと、巡視船が八十九隻、巡視艇が二百八隻でございます。巡視船の中には旧海軍から引き継ぎました相当船齢を超過しましたぼろ船もございます。巡視船につきましては、一応二十五年、巡視艇につきましては十五年をもちまして耐用年数といたしておりまして、それ以上は船齢超過ということになるわけでございますが、この船齢超過船がきわめて多いというのが現状でございます。ただいまの急務といたしましては、この船齢超過の巡視船艇、ことに巡視艇のほうに多いわけでございますが、代替建造をいたしまして、一隻つぶすかわりに一隻より大型で、よりスピードもあり、より性能も高い、より近代的な救難施設のあるものをつくる。そのような方向できております。銚子にはなるほど先生の御指摘のとおり不十分ではございますが、「つくば」と申しまして、銚子というきわめてむずかしい河口にある港の特殊な条件に合致したといいますか、それを海上保安庁で分析研究いたしまして、特殊の設計をいたしました新造巡視船がございます。で、もちろんこれを増強すればより地元の御要望に沿い得るのでございますが、ほかのほうは名ばかりの巡視船艇で、実は十分ものの用に立たないような船があるところが相当ございます。で、やはり予算には合理的な規模というものがあるのではないかと思いまして、実は海上保安庁の考え方といたしましては、そのような老朽巡視艇の代替建造を最優先的にいまやっておりますような状況でございます。で、それがあるところまでまいりましたら、さらに増強につきまして大蔵省にお願いするというようなことになるのではないかと思いますが、ただいままでのところ主計局でも非常に御理解のある態度で査定をしていただいております。
  57. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかります。その特殊ないわゆる巡視船をあそこに配置しておる、配置しているけれども、そういうふうに事故が起きているということは、これは事実なんですよ。そこが問題点なんです。それをあなたは、今度はぼろ船があるから、それを新しい船にかえていくんだという、それが整うまではだめなんだと、こういう言い方。じゃそれまで、もうまたあしたひっくり返るかもわからないんですよ。それをそんなのんきなことを言っていたんでは、これは責任者の言うべきことじゃない。お説教する気は毛頭ありませんけれども、もっともっと積極的に、私は予算がどうとかこうとかいうことは、あなたから聞かなくてもある程度のことはわかる。だけれども、確かにいまあなたが言ったように、予算関係がある。大蔵省にお願いして——お願いなんかしなくたって、だれのための予算だと言えば、やはりいわゆる人命を守っていくための、人間をしあわせにしていくためのいわゆる政治であり、またあらゆる対策でなければならぬわけでしょう。そういう問題が起きているのにお願いも何もないじゃないですか。ぶんどってこいと、こういうふうに私は強気で、そういう強気になってもらいたい、こういうように思うんですがね。で、あなたのような消極的な考え方ではいつまでたったって解決はしませんよ。ぼろ船がある、それが直ってからだと。もうあそこでは不安で不安でならないということなんです、そうでしょう。じゃ、あそこの生産も私はそういった原因でもって下がりますよ、そういったことも考えなければならぬ。ですから、その点をどうなんだと。そこで方向を変えて、大蔵省、どうですか、それはそういう問題が起きている、即座にやはり金を出すということがぼくは当然だと、それはどれほどかかるんだと、たいした予算じゃありませんよ。そういうことをいろいろと聞きたいから、だからぼくは事前に通告もしてある。責任ある答弁をしてくださいよ。
  58. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) 銚子の問題でございますが、海上保安庁全体で、先ほど保安庁のほうから申し上げましたように、二百八隻でございますか、巡視艇、それから八十九隻の巡視船があるわけでございまして、結局そういったものを全体として最も必要な場所にどういうふうに重点的に配置していくかという問題でなかろうかと思っておるわけでございます。したがいまして保安庁のほうにおきまして今後そういった点を十分考えて、重点的な運用をしていただきたい、かように考える次第でございます。
  59. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたは現有勢力をどうたらい回ししたらいいのかということを計画立てるような話をされましたけれども、じゃ現在の保安庁の現有勢力でもって十分足りるとあなたは考えているんですか。
  60. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) 海上における救難体制の整備ということが非常に重要なことは御指摘のどおりでございます。したがいまして予算の編成に当たりましても、その点に十分に配慮いたしておる次第でございまして、一例を申し上げますならば、四十四年度の巡視船艇の建造の予算でございますが、約十三億円でございます。隻数にいたしますと、二十一隻でございます。四十三年度が九隻でございますから、それよりも数において約十二隻ふえております。金額は横ばいでございますが、実は三年来二千トンの大型巡視船を建造してまいりまして、その巡視船は一隻八億以上かりまして非常に高価な船でございます。これが実は保安庁の巡視船艇の建造費全体をかなり圧迫してまいったわけでございますが、この建造が四十三年度で一段落いたしました。したがいまして、本来でしたならば約六億円ほどのものが四十四年度には要らなくなるわけでありますが、この六億円を中型以下の巡視船艇の代替建造に向けまして、老朽船艇の代替建造を進めまして、近代的な新しい速さの速い船につくりかえるわけでございます。そういうわけで四十四年度におきましても相当の配慮を払ったつもりでございます。
  61. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そういう全体的な話は私もわかります。その努力をしておるということを否定するものではありません。いま私が取り上げている問題は一地域的な場合であるかもしれないけれども、しかし絶えず起きている問題なんです。特殊な地域での事故に対していま私が追及してきたように体制が不備であるわけなんで、今後このままにしておけば、あしたまた起きるかもわからない。そういう問題をかかえておって、全体的にいえばこれだけふえたという、それはわかるが、いま言っているのはそういうことではないんです。地域的な問題であるけれども、こうやって頻発する地域に対してもう一歩突っ込んで、大蔵省はたとえばそんな何隻と言わないで、たとえばつくばのような船をもう一隻ならもう一隻ふやす——何もそういう警戒体制あるいはまた救助体制、そのためにそれだけを置けということではない。現地の部長の話になりましてもまだまだその体制としては足りない行き届いていないんです。そのほか密輸入だとかまた麻薬の輸入だとかいろいろと今後考えられる問題もあるんです。またその体制もつくっていかなければならない、そういういろいろな要務を持っているわけなんです。ですからそういったものをからませて考えていけば決してむだではない。それは事故は年から年じゅう起きるわけではないけれども、そういうふうに十分活用ができる、そういうことなんで、もっと大きな——場所は地域的だけれども、あそこに対する視野を広めて私は考えていくべきではないかと、こういうふうに申し上げたい。もし保安庁のほうから、あそこを特殊な地域としてもう一隻の巡視艇をほしい、こういう要請があったときに大蔵省としてはどういうふうに考えますか。
  62. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) 巡視船艇の建造の予算を私たちのほうで調整いたします際には、いま先生御質問のように、個々の地域の特殊な事情はもちろんあるわけでございますが、海上保安庁のほうといたしましては、そういった問題をいろいろの角度から考えて、いろいろの地域の情勢を考えまして、全体としてどのくらいの船をつくるという予算要求があるわけでございます。私たのほうといたしましても、それぞれの個別の地域の情勢はもちろん考えますけれども、やはり全体としましてどのくらいの船をこの際代替建造することが可能であり、また適当かということを考えてやっておりますものですから、ある特定の地域にどうするかという問題は、きめられました予算の執行の問題として保安庁のほうで実態に合うように運用していただく、かように考えている次第でございます。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 責任がだんだんと保安庁のほうにやってきたようですが、それでは保安庁に聞きたいんですが、地元のいわゆる銚子の保安部から、いままでにそういう警備体制あるいはまた救助体制あるいはそのほかのいろいろなものを含めて、現在の銚子保安部のそういう体制は、現地の人たちから、現地に見合った体制というものはこうあるべきである、だからこのくらいの予算がほしいと、予算的にもそのほかの面でも保安庁のほうに現地からはいまだかつて何の要求もなかったということですか。
  64. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 特に巡視船を増強してくれというような要求には接しておりません。
  65. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ではどういう要求があったんですか。少なくともたびたび事故が起きておる。その都度私は現地の保安部のほうからは何らかの要請があったと、このように考える。もしそれがないとするならば、そんな無責任な話はない、こう言えると思うんですね。
  66. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 海上保安庁のやり方といたしまして、現地の保安部の要求に基づきまして管区本部が動き、管区本部の要求に基づきまして本庁でそれを査定するという方法をとっておりませんのでございます。で、本庁におきまして船艇の配備計画を立て、さらに将来の建造計画を立てて、銚子をどのように補強すべきかというようなことを考える、そういうような方法になっております。したがいまして現地から特に要望がなかったと申しましても、これは現地の手落ちではないわけでございます。
  67. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。ではまるっきり保安庁の責任ですね。体制ができていないんだから、現地のほうから何もなかった、こっちで計画を立てるんだ、こういうわけですからまるっきりあなたのほうの責任である、こういうわけですね、そういうふうに考えてよろしいですね。
  68. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 巡視船艇の建造計画、配備計画は本庁の責任でございます。
  69. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとらちがあきませんね。そこで緊急にそういう問題に対して、かつては予算においても補正予算が組まれて、いま総合予算制がとられておるけれども、しかし予算費はあるはずです。そういったものをここでもって何とか使ってでもこの体制をつくっていこうという考え方は保安庁のほうにはないんですか、ありますか。
  70. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 現在の段階ではまだ四十四年度予算も国会通過成立いたしておりませんので、補正予算その他の方法によって措置を講ずることは別に考えておりません。ただし将来の船艇の配備計画それから建造計画のときに、銚子の二つの海難事故を教訓として取り入れまして、その基礎として考慮いたしていきたいと思います。
  71. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 では、また極端に言えばあした起こるかもしれないけれども、それはしようがないんだと、こういうことですね。そういうふうに地元の新聞に書いてもよろしいですね。
  72. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 船艇の配備計画は予算とは別個に行ない得るものでございますが、そのような計画を立てますときにこれを考慮に入れてできるだけ努力をいたしたいと思っております。
  73. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だからぼくが言っているのは、一応の常識として決して全国的にいって船が足りるわけじゃないんだから、だから新しくつくらなければならないだろうという、そういう前提のもとにいまものを申しておるわけで、だから大蔵省にも聞いておるわけです。もし船が余っていて、そして銚子に一隻回せると、そういう体制を至急につくっていきたい、こういう考えであるならば私は満足であります。また地元の人もほんとうに国の誠意ある、保安庁の誠意というものを喜んで認めるだろう、こういうふうに思うんですね、その点はどうなんですか。
  74. 林陽一

    政府委員(林陽一君) ただいまの手持ちの巡視船艇二百九十隻のワク内でそれを機動的に運用いたしまして警戒体制を整えていくように努力いたしたいと思います。
  75. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ、これ以上突っ込みません、そこで船一隻も買えない、ないですから、もう一回大蔵省のほうに。  大蔵省は、そういう問題というのはどこの省庁でもかかえているかもしれないけれども、少なくとも人命に関係する問題で、特にあそこはさっきから言っているように、きのうきょう始まった問題ではない。そういう問題を保安庁ではかかえているわけです。当然いままでにいろいろな計画が立てられ、そうしてその予算要求もあったと思う。いままでそういった要求に対して十分検討したと、そういう問題点地域というもの、地域的な問題であるけれども、そういう問題点を大蔵省は検討した上でその予算を削ってこられたのかどうか。しょっちゅう削っているんですからね。
  76. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) これはたいへん予算を削ってきたというあれでございますが、どうしても要求額というものは、もう全部認めておりましたのでは予算のワクを突破してしまうものですから、結果的にはこれは削ったことに相なるわけでございますが、私どもといたしましては十分に相手省の言う報告を聞きまして、よく相談いたしましてできる限りの配慮を払ったつもりでございます。
  77. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ぼくはそんなことを言っているんじゃないですよ。だから、一番最初に言っているのです。そんな逃口上ばかり言うのだったら出てくる資格がない、ここに。帰れというのだ。何にも責任ある答弁なんかできていないじゃないですか。だからさっきから言っているのです。冒頭にぼくは話をしている。子供みたいなことをあなた言わないでもらいたい。少なくともあなたが言うまでもなく、この日本の国を運営していくのに、あらゆる機関がその予算要求してきた、それを全部満たすことができない、そのとおりにはできない。あたりまえのことだ、そんなことは。そんなことはあなたに言われなくたってわかっている。だからぼくがその前に言っていることは、そういう特殊な地域があるんだということ、そういったいわゆる保安庁における、この中でいろいろと問題点があるそういった問題点を全部加味した上で、数字の上だけいじくっているのではなくして、そういう現実というものをあなたがしっかり把握した上でそれで予算というものを組んでいるのかどうかということを私は答えてもらいたいというわけなんですよ。全部握っているのかどうか。そういう実情を知らないでもし予算を組んでいるとするならば、それは机の上だけのプランで、現実にそぐわない。大体そういった点が多いわけですけれどもね、そういったことを言っているのです。これに対しては、あなたに言ったって答えは出てこないから言わないけれども、その点について政務次官はどうです、いまのようなことについてですね。
  78. 玉置和郎

    政府委員(玉置和郎君) 主計官がああいう立場でものを言うのは、これはやむを得ぬと思いますよ。しかし、先生の言われるように、われわれは、主計官の立場でものを言うことと、それからまた政務次官という国会のほうから出ていた者の立場と、おのずからやはりそれぞれ限界があると思うのです。それだけにきょう丸山主計官の言われておる立場というのは私はある程度理解ができると思います。そこで冒頭に丸山主計官が申しておりましたように、今日は上林先生のいろいろな御意見、御要望を承って、そうしてしかる後に大臣とも相談してということばがありましたから、私はそのほうは大体理解できるのじゃないかと、こう思います。
  79. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは次官が言うように、私もわからないわけではない。だから冒頭に、最近委員会軽視という風潮が強まってきている、こういう感じを受ける、だから少なくとも大臣と、こういう質問をするのだから、その質問点については、こういった点については大臣考え方はどうであるかというそういう打ち合わせをしてここに出てきてあたりまえじゃないか、それがいわゆる責任ある態度じゃないか、こう冒頭に言っているわけです。それをやらないでのほほんと出てきて、何もわかりません、帰ったら大臣に聞いてみる。——それでは取り次ぎじゃありませんか。主計官であろうが、何であろうが、そんな態度は許されませんよ。それを私は先ほどから言っている。まあ次官のただいまのお話で、今後十分こちらの意思を伝えていただきたい、こう思います。  そこで、話題を変えていきます。長くなりまして申しわけありませんけれども、もうしばらくごしんぼうを願いたい。いろいろと対策についてあるわけです。地元ではヘリコプターが一機あればという、こういう声が非常に強いのですね。で、先日もいわゆる羽田あるいは木更津、そういう方面から飛んできて、大体木更津あたりのヘリコプターが三十分ぐらいで飛んできておるわけですね。だけれども、そのときはもうすでにおそいのですよ。ロープを上からたらしたら実際につかまったのですね。つかまったものを、それを引き揚げた。引き揚げたところが、いわゆる自分の重量でもって、疲れ切っているので自分の体重を支えるだけの力がない。それで目に見えていながら、綱につかまりながらぽとんとおっこっちゃった、それでなくなっておるわけです。ですから、ヘリコプターが木更津から三十分で救助に来た。決して時間的にはおそくないかもしれませんけれども、やはり地元にあればそうならずに済むのじゃないか。ですから、危険な地域だけに、私からいわせれば暫定的な措置としてでもいい。暫定的な措置として、永久にしなさいとはいわない。なぜ暫定的というかという、これから問題点に入るわけですけれども、いわゆる銚子漁業の問題点があるわけですけれども、暫定的な措置としてそういう措置がとれないものかどうか。 ヘリコプターは、これはまた買うとか買わないとかいう、そういう問題は別として、危険である、こういうときには、旋回する、待機する、そういった体制をつくっていく考えがあるかないか、この点どうです。
  80. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 海上保安庁のヘリコプターは現在全国で九機あるのみでございます。大型ヘリコプターはございませんで、中型五機、小型が四機、計九機というような状況でございまして、これを北から申しまして函館、新潟、羽田、広島、伊勢に分散配置しております。これらの基本を中心といたしまして、遭難事故が起きたときに全国の津々浦々の海難に救助活動をするようにいたしております。この九機をもっていたしましては、はなはだ残念でございますけれども、各港湾、各漁港に配置するということはいまの段階では非常に困難でございます。したがいまして、私ども考えておりますのでは、銚子は羽田に比較的近いものでございますから、今後風波が高くて警報が出ましたときには、羽田の基地のヘリコプターを待機させまして、必要によりましては銚子に前進して警戒させる。で、そのようなまあ機動的な運用によって当座の対策といたしたいと、かように考えております。  なお、先般の事故のときにも、要請によりまして出動いたしましたのですが、海上保安庁のヘリコプターの不足を補いますために防衛庁のヘリコプターに依存しておるわけでございます。今後は銚子で出入港警報が発令になりましたときには、事故が起きなくても関係の防衛庁の基地に連絡いたしまして、防衛庁でも常に待機の姿勢をとるように頼みたいと、かように考えております。
  81. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それはわかりました。で、ぼくの言っているのは、現地に、各漁港にヘリコプターを備えろなんていうそんなことを言っておるのじゃないんです。だからよけいなことは言わなくてもいいのです。ぼくの言っておるのは、銚子のそういう特殊な事情にあるそこに、地元でもそう言っておるのだ。だから保安庁としてはヘリコプターの運用というものを、なるほど金をかけてつくるというわけにはいかないかもしれないけれども、荒天であるというときには、木更津なら木更津から持ってきて現地に来たんでは間に合わないのだから、事故が起きてから来たのでは間に合わないのだから——それはこの間の事故で証明されておるわけだ。だからそういう荒天のときにはもう事前に現地にヘリコプターを配置するというような対策を考えておるのか、それをまた実行しようという腹があるのかどうか、その点を聞いておるわけですよ。
  82. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 荒天で出入港警報が発令、こうなったときには必要に応じまして、先生のおっしゃいましたように、銚子まで海上保安庁のヘリコプターを持っていって待機しようと、かように考えております。
  83. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 出入港が停止された、その場合に必要であれば……冗談じゃないよ。必要なのはあたりまえじゃないですか。そんなのんきな考え方を持っているからいいかげんな答弁だと私は言いたいのですよ。出入港が停止されて、必要ならば持ってくる、そんなばかな話があるか。停止されたらもう最も危険な状態じゃないですか。その前にちゃんと配置をしなければならないのじゃないかということを言っておるわけであって、私は二度とこういう問題——地域的な問題であるけれどもたびたび起きるそういう事故に対して——ほんとうに気の毒なんですよ。あなたがそういう立場に立ったらどうなんです。そんなのんきなことを言っておるけれども、これを見てごらんなさいよ。家族ですよ。涙なくちゃ見られないですよ。総理も人命尊重なんていうそういう大きなことを言っておるけれども、あなた方みんなおていさいだ。私から言わせれば、いままでの答弁聞いていても誠意のあるところは何にもないじゃないか。だからでかい声も出したくなるわけです。で、そんなことはあたりまえのことで、荒天候であるというならすぐにヘリコプターを地元に用意する、こういうふうにきめていいですね。そう言ったんでしょう、回りくどいことは抜きにして。
  84. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 私の発言が不明瞭であったかもしれませんが、先ほど申し上げましたのは、出入港警報が出ましたときに、その状況を判断いたしまして、必要があれば前進して待機させたい、かように申し上げましたので、停止してというのではございませんでした。
  85. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 どうもそういうのんきなことを言っちゃだめだって言うのです。もう荒天——荒れて危険だ、そういうようになったらすぐに配置すべきだということを言っているのですよ。あなたの考え方はのんきだというのです。そんなのんきな考え方でこれからこれに対して対処すれば、結局また事故を起こすもとじゃないか。その辺の基本的な考え方を明らかにしていかなければならないからぼくは何回も同じことを追及しておるわけです。
  86. 林陽一

    政府委員(林陽一君) 荒天のときに、銚子と、それからほかの各海域のいろいろな危険な場所がございますが、全般的に総合判断いたしまして、銚子が最も危険であると判断いたしましたときには、早速羽田のヘリコプターを前進待機させる、かようにいたしたいと思います。
  87. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ今後おくれるということはないのだ、その判断には絶対誤りがないのだというようにこちらでは見ますよ。要するに今後こういう事故があったら、ぼくがこれだけ声を大にして話しておるにもかかわらず、そして到着がおくれたということで事故が起きたとしたならば、これは大きな問題ですよ。何も一機に金をかけて、大蔵省に要求して金をくれ、予算を取れ、そして新しいのをつくれと、こういうふうに言っておるのではないのですからね。そうでしょう。私はそういうふうに解釈しますよ。いいですか。  そこで、今度はちょっと論点が変わります。それでいままでヘリコプターとか巡視艇だとかいう問題をやってきました。これはいわゆる体制としては必要なことなんです。ですからやらなければならないことなんです。これはこれとしてやらなければならない。だけれども、三十四年、あるいは去年の十二月、今回の事故を通して考えられることは、たとえば昨年の十二月に起きた事故、これは今回もそうなんだけれども、現場に近寄れないというのが実情です。ですから、そうなるとヘリコプターもそれから巡視艇もどうにもならぬのですよ。そこで昨年の十二月なんか岸壁に長い間しがみついて瀕死の状態にあった人が、朝が来れば満潮になって消えてなくなっちゃうわけです。その人を五人のあまというのですか、海士といいますけれども、この人たちが決死行を行なって、そしてこれを救助した。こういういわゆる原始的な救助方法によって人命を救助したわけです。そういうことになると、これはもうほかの、現在のまあ事故防止に対する科学的な方法によってこういうふうにやれば絶対に間違いないのだという、こういうきめ手はないということが言えるわけです。  そこで、もう一歩進んだ考え方としては、御承知のように——これは水産庁になりますね、昭和三十八年から第三次計画として銚子漁港整備、この計画が立てられて進められております。これを一日も早く完成をするということが、やはりあそこの一帯の事故をなくする最大の原因になっている、こういうふうに考えられるわけです。ところがこれがなかなか進んでいない。これも大蔵省に関係あるかもしれないけれども、もっとも特三種ということで、予算の組み方もいろいろあるようですけれども、この漁港を整備完成するということが最も重要な問題だ。そうなればあの河口を通らなくても待機もできるし、上陸もできる、こういうことなんで、この漁港の問題この整備は三十八年からかかっているんだけれども、いつごろ完成するのか、そしていままでのいわゆる経過、こういったものについて伺っておきたいのです。
  88. 森本修

    政府委員(森本修君) お説のように、銚子の新しい漁港の計画を一日も早く完成するということが海難防止のためにきわめて重要である、御指摘の第三次の漁港整備計画の中にそういった考え方を持ちまして、銚子に外港をつくるということで事業を進めてまいりました。もちろんそれをやりますにはいろんな調査なり、あるいは技術的な試験といったようなものもございますので、現在までの段階では必ずしも十分使えるような形にはなっておりません。外港の分は引き続き第四次整備計画、これは現在国会で御審議をいただいておるわけでございますが、その中で引き続きそれを完成させたいということで考えております。で、私どもとしては、その計画を全体を同じ速度でやってまいりますと、いま言ったような安全性という観点で問題がありますから、とりあえずいま申しましたような荒天時に船が入りまして安全な場所まで船が行けるというために必要な最小限度の工事、それを優先してやっていくという考えで、目下技術的な検討をやっております。
  89. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 第三次整備計画は、昭和三十八年から四十五年まで、そういうことなんですね。その第三次整備計画を四十三年で打ち切って、そして第四次整備計画に入っていく、四十四年から四十八年まで、これを第四次整備計画と、こういうふうに考えられている。で、第三次が三十八年から四十五年まで、それを四十三年で打ち切ってなお四十八年まで今度は第四次計画を立てた。その辺のいきさつといいますか、理由といいますか、その辺をちょっと聞かしてくれませんか。
  90. 森本修

    政府委員(森本修君) これは漁港整備計画は全体として三百数十港ということでございますから、今回四十五年までの分を途中で切り上げまして四十八年までの第四次の計画にしましたのは、全体の漁港についてきわめて事情が変わってきたということでございますので、いまのものをそのままやっていくよりは、新しい計画につくりかえたほうがいろいろな事情に合うということでやったわけでございます。銚子の漁港についても別段打ち切りではございませんで、むしろ従来の計画の残事業を整備拡充して引き続いてやっていくというような第四次の計画になっております。そういう点では決して漁港整備計画の変更が工事に遅滞を来たすとかあるいは工事量を縮小するというような考えではございませんで、むしろ充実整備をするというための計画でございます。
  91. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、完成の期間はこれがおくれるということはありませんか、当初の計画からいって。
  92. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほど言いましたように、全体の計画としては残事業をふくらましてやるわけですから、全体としては先ほどのような五年間かかるわけですが、従来の計画を引き続いてやる分ですね、特に船の安全性を確保する部分については早急に優先順位としてはやっていく、こういうことになっておりますから、先生の御指摘になっておりますようなところは、むしろ事業としては早目に完成をしたいということでやっておるわけでございます。
  93. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 何といいましても、あの河口を通らないということが一番これは問題なんですね、通らないということが大事なわけです。あの漁港を整備しますと、外港ができ上がりますと、もうあそこを通る必要がなくなるわけです。ですから非常に危険度がなくなってくるのですね。どうしてもそれは早くやらなければならない。さっきも言ったように、ヘリコプターだとか巡視艇だとかいったって、ほんとうに荒天に見舞われればそばに寄れないという状態もあるわけでしてね。ですから、そういう面を考えたときには、一日も早くその外港を完成させるということが大事な問題である、こう考えられもし、そのように言えると思います。そこで、四十四年から四十八年までの第四次計画を、これを四十八年と言わないで、ここ二年、三年の間にいわゆるあの河口を通らなくてもいいように、いわゆる外港ですね、外港をここ二年、三年の間に、四十八年を待たずしてつくる、完成させる、完成までいかないかもしれないけれども、とにかくあの河口を通らないようにできる、そして漁船の安全をはかれると、こういうようなことは技術的にいって考えられないものですか。
  94. 森本修

    政府委員(森本修君) 技術的な点ではきわめて難工事のようでございます。海底を掘るとか、あるいは安山岩といったような硬質の岩盤を掘さくするということでかなり工事としては難工事だということを聞いております。ただ私ども今回の遭難事故が起こりましてからさらにもう一段と技術的に検討を促進するという意味で、私どもの漁港部長を現地に派遣をいたしまして、十分そこらの点を精査をしております。現在の目標としては第四次計画は五年間でありますけれども、先ほど言いましたように、川をさかのぼらないで、直接海のほうから回っていくというふうな関係の工事につきまして三年ぐらいでこれを促進して完成をする、その部分は。ということでやってまいりたいと思っております。
  95. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その場合に、これは大体五十四億くらいを見込んでいるわけですか。そうしますと、これを三年くらいで大体外港を一応あそこを通らなくてもいいような体制をつくる。それに伴って外港ができ上がるということで、その場合に予算的には問題ありませんか、どのくらいかかりますか、三年間で。
  96. 森本修

    政府委員(森本修君) 第四次の整備計画の全体の進行の問題でございますが、特別にかような関係の港でありますから、いま申しましたような事業の進捗に必要な予算の個所付けは私どものほうでできるだけ確保したいというふうに思っております。
  97. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 できるだけじゃ非常に無責任なあれなんです。少なくともあなたがそれだけのことをやろうという決意があるならば、そろばんをはじいて大体これだけあればできるだろうというものが私は出てきてもいいのじゃないかと思うのですよ。そして、そうなってくるとまた大蔵省に関係してくるんですよ、予算の問題ですからね。ですからそういうもう少し確たる答弁を私はいただきたいんですよ。努力する、これはもういままでお役人さんの口ぐせのように言う努力ということはばく然としたことであって、これは責任あることばじゃない。努力しました、どのくらいやった、このくらいやった、抽象論で何も結論なんか出やしない。やはり誠意があればこれに対しては何年、三年なら三年、その場合にはこのくらいの予算がかかるのだというところくらいまでは、やはり水産庁の長官として責任ある立場として、そのくらいのところまで読んでいかなければ、質問者の私としても納得できませんね。その辺の努力するといっているだけでは——どのくらいかかるかと聞いておるのです。努力するということを聞いているのではない。
  98. 森本修

    政府委員(森本修君) 私どものほうでいま検討を早急に進めておりますが、大体いまの目算では約四十億円、その部分はもちろんこれはことしの予算の各港に対する配分、それから来年度の、あるいは再来年度の予算の編成といったようなことにかかってくるわけでございますから、私どもの表現としてはできるだけ努力をするという表現にならざるを得ないわけです。もちろん大蔵省ともよく折衝をすることは、その決意はありますけれども、将来にかかる問題でありますから、そういう表現になりますけれども、決して口先の話ではございませんから、その点は御了解を得たい。
  99. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ三年ということで、いわゆる沖繩問題ではないけれども、両三年の間にはめどがつく、こういうことですね。それに対して大蔵省はこたえていくだけの腹があるかどうか。
  100. 丸山英人

    説明員(丸山英人君) 申しわけございませんが、私漁港関係を担当いたしておりませんものですから、何ともお答えできません。
  101. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 お笑いぐさという以外にない。何も恥をかかそうというわけではございません。とにかく四十億あれば大体できるというこの見通しは立っているのですよね。で、知事あたりが、そういうふうにここ三年くらいで何とか急ぎたいと、こう言っております。また千葉県という一つ地域的な問題ということでなくて頻発するあの海難事故に対する人命尊重という立場から、私はこれはどこの地域、ここの地域ということにかかわらずこれは努力をしていく責任が、義務が国のほうにある。こういうふうに思います。で、大体——そうですね、これ以上言っても、突っ込んでみたところでどうしようもないから、その努力を私は大いに期待をしておきます。また声援も送ります。がんばっていただきたいと思います。大蔵省は、私のほうは漁港関係知らないのだということじゃなくて、ここへ出てくるからには、少しは事前に話も聞きにいらっしゃい。大きな顔をして、それで何でもわかったような顔をして、横暴という以外にないですよ。私は、少し大蔵省は真剣に、金を握っているから一番力のある立場だなんて思っていたら大きな間違いだ、だから官僚主義だなんて言われる、——こんなことを言っちゃまずいから、このくらいでとめておくけれども。  で、最後に政務次官にお尋ねをしておきたいのですがね、銚子とか、それから下関、それから八戸、塩釜、それから焼津、三崎、長崎、博多、この八漁港は現在何というのですか、特三種、こういう指定を受けているのですね。ですから補助の基準も違ってくるわけです。この八港はいわゆる地域的な漁港ではないのですね、下関にしたって、焼津にしたって、銚子にしたって、これは全国の船が入ってくる漁港です。ですからこれは一県にまかしておく問題ではない。そういう漁港を、国のほうがほうかぶりして、悪いことばで言えばほうかぶりして県にまかしておくところに、いろいろな問題もあれは、整備できる問題も整備できない、こういったところからおくれているということも私は言えるのじゃないか。そういうふうに、いわゆる国家的な立場にある、大きくいえばこれらの漁港はですね。そういう立場にあるこの八港に対しては私は当然その地域の県にまかしておくのではなくして、いわゆる国営漁港として指定し、そうしてあらゆる対策を今後とも立てていくべきである、こういうふうに思うのですがね、この点に対していままで考えたことがあるのか、あるいはまた今後こういうふうにその点については話し合が煮詰まっているというような点が明らかにできればひとつ聞かしていただきたいと思います。
  102. 森本修

    政府委員(森本修君) 漁港の事業をやっていきます際に、確かにそういった漁港の利用の範囲、性質によって事業主体を考えていくということが過去においても相当問題になりました。で、あるいは事業をやるのは国営がいいじゃないか、その他の公共的な団体がいいんじゃないかといったような議論がございましたけれども、それぞれその地方における漁港との関連性もございます、独立に存在しているわけでもございませんから。そこで現在やっておりますのは、事業は各県でやっていただきますけれども、修築の計画は国が立てる。ほかの港についてはそれぞれ各地方公共団体が計画を立てるわけですけれども、全国的な港については国がみずから計画を立てる。それから予算の補助にあたってもかなり高率の補助をする、こういうことで、実施上はそういう方法が一番現実的ではないかという結論になって現在そういう方向で実施をいたしております。
  103. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いろいろな議論はあると思いますね、あると思うけれども、あなた高率の補助を出しておると言うけれども、その点ちょっと私もわからないのですがね。たとえば特定第三種漁港と指定されたところは、基本施設については六割、そして機能施設というのですかね、これに対しては五割、特三種であった場合にはそういうふうだ。そのほかは大体両方とも五割だ、こういうふうに聞いておりますけれどもね、この点はどうでしょう。高額な補助をしておると、ばかに差があるようなことを言っておるのですけれどもね。高額ならけっこうなんです。
  104. 森本修

    政府委員(森本修君) ちょっと表現が悪いのですが、ほかの港に比べまして比較的高率の補助というふうに御理解をいただきたいと思います。
  105. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だんだんしぼんできましたね。
  106. 森本修

    政府委員(森本修君) それで御指摘がございましたように、外かく施設については六割それからけい留施設についても六割ということで、まあ一種、二種、三種の漁港の五割に対して比較的高率である、そういうふうなことがございます。
  107. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは現在のところはこれを国営という考え方はないという、こういうことでございますね。
  108. 森本修

    政府委員(森本修君) かなり過去において検討されまして、そういった現在のやり方が現実的な方法であるということに専門家でなっておりますので、当分はその方法でやってまいりたいと思います。
  109. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それならば、いわゆる現実に即したという、現状に即したというこのものの考え方ならば、その現地の意見を十分に取り入れて、そしてやっていくということはけっこうだと思うのです。ただ問題は、いずれにしても地方公共団体というものは金かない。その金かない——ああいう漁港整備でも第四次は五十四億かかる、こういうことですね、ですからこういった問題、それを全国的にいっても同じことが言えるわけですね。特三種に対する補助率というもの、この補助率というものを、あなたの言うように相当差のある補助率ですね、もう少し高額な補助率、あなたのさっき言ったのは、いわゆる地域性というものを考えた場合には向こうにまかしたほうがいいという、こういう感じの言い方なんですね。それはわかる、だけれども私は、予算という問題は別である、だからあなたから言わせれば、予算はそういうふうに特三種の場合にはほかよりも少しよけいにつけていますよと、こういうふうに言いたいでしょうけれども、私は、それを国営にした場合には全額国が——とれだけかの地元負担はあるでしょう、あるでしょうけれども、相当な額を国でまかなわなければならぬということですよ。そうだとするならば、これはいまの体制でもいいからその補助率をもう一歩高めたらどうか、こういうように言いたいわけなんですがね。その点について水産庁で答えられなかったら次官のほうで……。
  110. 森本修

    政府委員(森本修君) 実は国営という考え方は従来ございませんでした。事業の実施を国なりあるいは地方公共団体の直営でやるかどうかということが問題になったことはございますけれども、ああいった港でございますから、やはり地方的な利用のものがかなり多いし、国営という関係はございません。それから補助率の点については、私どもとしては、担当官庁としては、できるだけ補助率が高いほうが望ましいわけでございますけれども、こういった公共事業についてはそれぞれ補助率のバランスといったようなこともございます。その他のいろいろな点もありまして、従来努力してまいりましたけれども、こういうことになっております。まあ将来の問題としては十分考えさせていただきます。
  111. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いろいろとお尋ねして失礼な言辞もございましてほんとうにその点おわびを申し上げます。何と申しましても大切な人命尊重という立場から言えばこういうふうに言わざるを得なかったということで、ひとつその点は御了承をいただきたい。このように深くおわびを申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  112. 任田新治

    委員長任田新治君) 本件についての質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十分散会