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1969-07-01 第61回国会 参議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月一日(火曜日)    午前十一時十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         八田 一朗君     理 事                 石原幹市郎君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委 員                 内田 芳郎君                 源田  実君                 佐藤  隆君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 山本茂一郎君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  床次 徳二君    政府委員        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   並木 四郎君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        大蔵省理財局次        長        谷川 寛三君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        外務省アメリカ        局安全保障課長  松原  進君        運輸省航空局監        理部長      川上 親人君        運輸省航空局飛        行場部長     丸居 幹一君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     今井 栄文君        新東京国際空港        公団理事     米川 健夫君        新東京国際空港        公団理事     高橋 淳二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○宮内庁法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  宮内庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 山崎昇

    山崎昇君 それでは宮内庁法に関連して少しお尋ねをしたいと思うのですが、実は皇室の問題というのは、国民は知りたいことの一つでありますけれども、なかなか知る機会がない。国会でも遠慮するのかどうかわかりませんが、あまり突っ込んだ議論をされたというふうには聞いていない。したがって知りたいという欲望はありながらも、なかなか国民にとっては皇室という存在はわからない存在になっているのじゃないか、こう私は思うのです。そこでまず私がお聞きをしたいのは、昭和二十年に日本が戦争に負けて、かつての天皇制というものを、人間天皇ということで、国民と同じとは申し上げませんが、従来の天皇制というものをある意味では否定したような存在になっていると私は思っているわけです。  そこで私がお聞きをしたいのは、皇室民主化というか、あるいは国民との間が何かスムーズに行くという意味で申し上げておるわけですが、どうも天皇自身人間天皇宣言をされた、そして多少は何か国民の中に入ってきているような気もしますけれども、やられていることは依然として従来のいろんな行事その他から判断しますというと、そう変わっていないのではないだろうかと私思います。そういう意味皇室というのは一体変わったのか変わらないのか、あるいは少しは民主化されたのかどうか、そういう点について、昭和二十年を境にしてひとつ従来の天皇制というものと戦後の天皇制というものがどういうふうに変わったのか、まずお聞きをしたいと思います。
  4. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 戦前と戦後では皇室のいろいろのあり方、なさり方は相当変わっていると思います。私は戦前から宮内庁にいた者ではありませんから詳しい戦前のことは知りませんが、いろいろ聞きましたところによりますと、変わっていると思います。憲法上のいわゆる天皇大権とかいうものの変化、これは法理的なものですから、これはおわかりですから、その点は省きますが、実際の日常のなさり方というものも、戦前とはだいぶ変わってきていると思います。で、いろいろの行事宮中で行なわれます。その行事の行なわれます基本のやり方は、戦前からやってきている伝統というのを一応基礎にしまして、それを現代に合わせるようにくふうをしながら進めてきているわけでありまして、したがって、たとえば園遊会などのやり方でも、戦前ですと、どちらかといいますと、位階勲等とか、そういう点に重きを置いて招かれておりましたけれども、戦後においてはそうでなくして、一般各界功績者ということで招かれる方の数が多いわけであります。もちろん、閣僚とかあるいは国会議員だとか、そういう方はまた別ですが、各界功績者という方が相当多くなってきています。したがって、その功績者の中には、いわゆる社会的にいいますと、いわゆるまあ俸給等の多くない方も加わってきておられるようであります。  また、陛下あるいは皇族方がいろいろの大会お出かけになる、そういうような点も、戦前から見まするといろいろの会合に出ておられます。戦前ですと、たとえば地方のいわゆる行幸というのは、大体大演習の際にお出かけになるというのが主で、そのほかあまりなかったわけでありまするが、戦後は、春は植樹祭にお出になって、ついでにその付近をごらんになる。また秋は、陛下お出かけとして、国民体育大会にはいつもお出かけになって、ついでにその付近をお回りになる。そのほか機会を見て以外にもお出かけになっております。  なお、警衛の関係も、戦前から見るとずっと改善されていると思います。戦前は相当な、きちっとし過ぎておりまして、親しみがあまり持てないような、少し厳重な状況だったように聞いておりますが、戦後はそういう点も、内容に親しみが深まるように留意をしてまいっております。これは警察のほうのやり方で、あるいは批判をされる方から見ると、もう少し考えたらどうかという点もあると思います。これもわれわれも警察の人と会いまする際に、もう少しく緩和をしたらどうかというようなことも言っておりまするが、警察もその点は非常に留意しております。しかし、事故が起きてもいけないという点も、警察の任務としてございますものですから、事故が起きないように、しかも皇室国民との親愛の関係が深まるようにという両点を考えながらやってもらっております。そういう点も戦前とはだいぶ違っておると思います。なお、宮内庁内部事務をやっているやり方ですけれども、私は戦前からおったわけじゃありませんが、戦前からいた人は、平生あそこで勤務しているときも、モーニングコート通常服というような点で、だいぶかしこまっていましたが、いまはモーニングコートは礼服ということで、平生は普通のときと同じようにせびろでやっております。  それから陛下自身も、戦前はどちらかと言いますと、いろいろな場合に大元帥陛下というので軍服でおられたわけですけれども、いまはそうじゃなくて、普通のせびろでおられまするし、なお、その他もっと軽快な服装でいろいろ生物の採集とか、あるいは植物の採集というのもなさっております。そういうところは民主化が進んでいるというふうに考えられます。いろいろ言えばございますが、相当変わってはきていると思います。
  5. 山崎昇

    山崎昇君 私は、外面的には国民との接し方なり、あるいはいま御説明になったような点は確かに変わったと思う。ところが、こういう皇室制度とか王室制度なんというのは、ある意味で言うと、半面神秘性もなければなかなか維持できないというように私は思う。そういう意味で言うと、どうも天皇陛下自身はかなり国民の中に入ってまいりたいという意識をお持ちで、あるいはつとめてそうされているようにも見受けますが、ところが、なかなかまわりにおられる方は、いまお話しにありましたように、警備がむずかしい、あるいは事故があってはいかぬということのほうが先に立って、どうも何と言いますか、陛下国民との間にまだまだ私は断層があるのではないかという気がしてなりません。  さらに、私は皇室で行なわれるいろいろな行事を見てみますと、いま国民全体が考えているようなこととまるっきり離れたような行事が多いのではないかと思う。一々は申し上げません。しかし、それも伝統あるいはしきたりであると言えばそうかもしれませんが、せっかく人間天皇というものを宣言をされて、そうして国民総意に基づいて天皇制というものが存在するならば、私は、いろいろな伝統にしても、行事的なものについてはかなり変えていく必要があるのじゃないか、こう思うのです。何と言いますか、かなりいろいろ個々の行事を見ますと、どうも私どもが納得できないようないろいろな行事がある。  さらに、私が心配するのは、いまだに神道と言いますか、何か神ながらの道と言いますか、かつてのそういうものとの結ぶつきというのはまだまだかなり私は強いのではないかと思う。もしも天皇国事行為その他で神道、その他宗教的なものが伴うとすれば、これは憲法上の問題も私はかなり出てくるのではないかという気もします。ここでは申し上げませんが、そういう意味で、私は皇室民主化というのはもっともっとなさるべきだし、ある意味で言うならば、思い切って過去のそういうものを断ち切る必要があるのではないか。新しい様式によってつくり上げていく努力が私は必要なのではないかという気がします。  それと関連をして、どうも宮内庁というのは、そういう伝統の中に生きておるから、なるべくそういうものは守りたいという気持ちも、私は全部だめだとは申し上げませんが、むしろ宮内庁民主化についても相当これは考えてみなければならぬ点もあるのではないかと考えておるわけです。たとえて言うならば、私は宮内庁に生まれて初めてこの間入ってみましたら、これはあなた方はせびろでなるほど勤務しているけれども、勤務している職員の方は金モールズボンをはいて、そういうものをつけて日常から勤務しているじゃないですか。ああいうのは、私は極端に言うならば、やはり変えてもいいのじゃないか。ああいう職員もせびろ、あるいは普通の服で勤務してもいいのではないでしょうかと、私はこの間感じて帰ってまいりました。そういう点を考えると、この皇室民主化宮内庁民主化というのは、どうも私は不徹底なのではないか、もう少し考え、改める必要があるのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  6. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまのおっしゃいます点は、ごもっともな点もありますが、中にはむずかしい点も一面ございます。と言いますのは、いろいろ伝統がありまして、その伝統を全然無視をしてしまうということも、これは感心しないと思います。やはり天皇日本国象徴として、国民統合象徴とされておりまする点は、長い皇室の歴史に基づいておられる点が非常に大きいと思うので、そういう点は大統領なんかの場合とは違うものがあると思います。したがって、一般国民感情から見て、ずっと古くから続いておられるという天皇に対する一つのあこがれがありまするから、それの無視はできないと思います。しかしながら、また新しい時代に適応するように、この点を改めるべき点は改めていくというように、伝統と新しい時代との調和点というものを常に考えていくというところが、私たちのつとめの根本だと思って、いつも考えながらやっておるのであります。  何か行事がある際に、以前はこうだった、だから必ずしもそれをそのままやろうという形ではなくて、これでいいかということで、いつも検討しながらやっている、それが私たちのつとめでございます。で、そういう点で、まあいまおっしゃいましたようなその精神は、常に忘れないように今後も努力したいとは思っております。  なお、ちょっと神道の点にお触れになりましたが、神道の点は、これは皇室の方の一つ信仰の点でございまして、まあ信仰の自由というものがあるわけで、そういう意味賢所、皇霊殿、神殿に参られて、そこで行事がありますが、その行事も、これは国家的な公的なものではなくて、皇室の私的なプライベートな行事というふうに扱っています。したがって、そこに勤務している掌典なんかは国家公務員ではなくて、内廷費で使っておられるプライベートの職員になっておるわけです。これはやはり信仰の自由というものはだれにでもございますからして、神道を信じておられるという点を、これは長い伝統もございまするので、あまり特に誹謗するのもどうかなという点がございまして、われわれとしても、そういう点を尊重しながら、そういう点はときにはお手伝いをいたしております。  なお、また服装の点で、われわれせびろを着ておりますが、先生のおいでのときに係の者が金モールのようなものがついたものを着ていたということは、たぶん天皇誕生日とか、そういう儀式的な行事の際だと思います。そういう場合に、儀式的な行事の際には、やはりそれに当たる係員服装も、従来の伝統基礎にしながら、普通のせびろでないものを職服として着ております。これはいろいろな意見がございます。人によりますと、これは以前の明治時代から見ますと、問題のあの服装もだいぶ簡単になっておるわけであります。以前はもっと金ぴかのついたり、色がついたりしたものを着ておったのを、だいぶ簡単にしておりますから、ずっと昔からのことを知っておる人は、だいぶさびしくなったな、まあ宮中に来たときには宮中に来たという気分の出るようなもっと服装をしたらどうかというようなことを言われたりする面もございまして、その調和点考えながら、そういう儀式の場合には、日本だけではなくて、外国の王室の場合においても、そういうときの服装は特別のものだとされておりまするので、まあ宮中らしくという点を、新しい時代に即応してある程度調和させたところで考えて、ああいう服装考えておるわけであります。新しい宮殿ができました機会に、その宮殿係員の着る服装行事の場合に着る服装も、これも宮殿造営とともに新しいものに変わりまして、これも先ほど申しましたように、以前から見ますると、金の幅がずっと狭くなって、目立たなくなっておるとか、あるいは特別に玄関で、はでな赤いズボンに、肩にも飾りのついたようなものが以前は出ましたけれども、そういうのじゃなくして、もう少しさっぱりした儀式服で出るというように、だいぶそういう点は考えてはおりますが、しかし、なおこれで完全だとは私たち考えておりませんので、今後とも一般国民の方がなるほどといわれるような点がどういう点にあるのかということを考えながら研究を進めたいと思っております。
  7. 山崎昇

    山崎昇君 いま服装の問題ですね、これは何も儀式のときに行ったわけじゃないのです。あの新宮殿造営の工事のときに私が行って、宮内庁に入ったとたんに、もう入り口におられる方々から全部いかめしいかっこうをされておる。私は何も儀式の場合には、すべていままでの伝統を一ぺんに切れなんて、こんな極端なことを言っておるつもりはない。しかし、いずれにしても、国民生活が変わって、そして国民天皇陛下を見る目が、平ったいことばでいえば、きわめて親密な目で見ておるわけです。そういうときに、何か皇室あるいは宮内庁だけが伝統伝統だということで、特殊な存在になるようなことは、私は改めるべきではないか。しかし、それにはある程度思い切ってやらなければいかぬ、こう思うのです。  ですからいま申し上げましたように、あなた方ふだんはせびろで勤務されるそうでありますが、それならば、儀式のときは多少別にいたしましても、ふだんわれわれがああいう視察に行ったときですら、何というのですか、下級職員は何か服装がきまっておって、いかめしい服装でもって出てくる。こういうことは改めるべきではないか。ふだんそういう下級職員人方だったら、むしろ平服で勤務していいのではないか、こう私ども逆考えるわけです。そういうところ辺がどうも宮内庁というのはあまり民主化されておらないのではないか。何か伝統の中に閉じこもって、そして国民の中に天皇陛下が入るのだ、入るのだといいながらも、別個の存在になっているのではないだろうか。私はこれだけが別個だという意味ではありませんが、一事をあげればそういうことになるのじゃないか、こう感ずるので、もう少し宮内庁民主化といいますか、もっと天皇陛下というものと、皇室というものと国民というものとは、もう少し密着する何ものかがあるのではないか、もっと努力すべきものではないだろうかという気がするわけです。  ですから、私は、天皇制そのものについて、それはその政党によってはいろいろな考えがあるとしても、いまの憲法でやっていく上においては、国民総意の上に立つわけですから、そういうならば、やはりある意味でいうと、国民の進歩、発展に合わせて皇室あり方というものを思い切って変えていく必要があるのじゃないか、こう考えるわけです。そういう意味で私はいま質問しているわけなんですが、いま次長から言われるように、多少儀式のときに四角ばったということについては私は理解をしていいとしても、ふだんからああいうふうにされておることに、私はどうも納得がいかない。  それからついでに言いますと、私はたばこのみませんから、よくわからないけれども、せっかく宮内庁で、視察等に行くとくれるそうですが、全くうまくないたばこだそうですね。あれは菊の御紋章ついておるそうですけれども、だからもう少しああいうことについて考えてもいいのじゃないか。何か宮内庁に行ったら菊の御紋章のついたたばこで、菊の御紋章のついたお菓子で、宮内庁だけは別ですよという、こういう考え方は改めるべきじゃないかと思うのです。そうじゃないと、何か変わったことをやっていれば宮内庁存在があるというふうにもとれますし、そういう意味で私は、皇室民主化という問題はもっともっと考えてほしいし、宮内庁も、どうも警備あるいはけががあってもいかぬということは、私もわかりますが、それにある程度集中しちゃって、国民から遊離されることのないようにしてもらいたい。  それからさらに、いま国家神道との問題がありましたが、これは憲法学者に私どもいろいろ聞いてみますというと、たとえば一九五一年六月に、皇太后がおなくなりになったけれども、この葬儀やり方についても、やっぱり憲法違反疑いがあるという学者もかなりあります。それはなぜかというと、皇室そのものには信教の自由もあるでしょうし、どういう宗教でやられてもいいと思う。しかし大喪の礼だとか、あるいは皇太后の喪と称して公務員がこれをやる、あるいは休みにする、あるいは参列をする、そういうことが国家神道と結びついてやられてくると、やはり憲法違反疑いが出てくるのじゃないかという憲法学者はかなりおります。そういう意味で、私は国家とかつての神道との結びつきというものを、私は私なりに心配をするわけであります。  そういう意味で、あなたに先ほど、神社神道皇室関係はよほど厳密にやらないと、たいへんなことになるのじゃないか。これはあとで総務長官国葬法についてもう一ぺんお尋ねするつもりでおりますが、いずれこういうことはこれから数多く出てくるのではないかと心配するわけであります。そういう意味で、もう一度国家神道との関係について宮内庁の見解を聞いておきたいと思う。
  8. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇太后さまがなくなられたときの葬儀やり方神式でありますが、これはしかも国の予算でその葬儀が行なわれる点で御疑問を残しておられるかと思いますが、それはその当時、何か法制局のほうともいろいろ打ち合わせをしたようであります。それで、やはり葬儀という場合には、そのなくなられた人のやはり信仰考えて、その方式によるのが普通である。何も全然無宗教葬儀としても、なくなった方を弔う道ではない。何かこれは国会関係のどなたかの、仏教の形式をとられて国の経費でやられたというのもあったですし、葬儀の性質上そうなるのである。  これはなお御参考までに申しますると、皇太子殿下の御結婚の儀というのが行なわれるときも問題になって、その点、法制局との間で討議いたしました。全然信仰形式をなしにするかどうかということ、その場合も、やはりお二人の結婚の誓いをされるのは、その信仰形式でされるということは、やはりそれでいいだろう、無信仰の方では無信仰でもいいのですけれども信仰を持っておられれば、その形式でやられることはいいだろうということで、やはり神式で一応賢所の前でお誓いをなさいました。これは一つの、そういうことで、信仰の自由からくる一つのことである。特に憲法には抵触するようなことではないというふうに、その当時解釈を聞いておった次第でございます。  なお、それも、公私の別を明らかにしていく必要はあります。信仰は私的なものでありますが、公私の別は今後も明らかにしていく必要はございまするが、それからいま申したように、葬儀とか何とか、中にそういうものが含まれることはやはり否定してもいけないという点もあって、そこにむずかしい一つの、法律論的には反対の意見もあるかもしれませんが、いろいろ研究された結果、差しつかえないということでやっておるわけであります。
  9. 山崎昇

    山崎昇君 総務長官が何か十二時ぐらいまでしかおられないということで、ちょっとちぐはぐになりますが、一言総務長官にお尋ねしておきたいと思います。  私は、前の田中総務長官のときにも一度問題を提起をして聞いておるわけですが、この前、もとの吉田総理国葬に端を発して、国葬法というものをやっぱり考えておく必要があるのではないかということを前の委員会提起をしたわけであります。なぜならば、内閣によって、そのつど行政権の行使として国葬なんということをきめていく私は性格のものではないのではないか、こう考えるのです。そこで総務長官はかわったわけでありますけれども、一体国葬法というものについてどうお考えになっておるのか、重ねて聞いておきたいと思います。
  10. 床次徳二

    国務大臣床次徳二君) 国葬の問題に対しまして、過般にいろいろと御意見のあったことも承っておりまするが、政府におきましてもいろいろ検討した結果、いままでのような取り扱いをいたしたのでありまして、法律によりまして今後つくるかどうかということにつきましては、その問題として考えるべきものと考えております。
  11. 山崎昇

    山崎昇君 皇室典範では、天皇陛下がなくなられたときには「大喪の礼を行う。」ということだけであって、どういうふうにやるかは何もない。しかし、これは天皇陛下のなくなられたときの話でありますから別として、ところが前の吉田茂さんのなくなられたときに、内閣の決定で国葬ということを行なっているのですね。私はそれがおかしいのではないか。そのつどそのつど行政権国葬なんということをきめてやること、そして国費を支出するわけでありますから、私はやはり基礎に、どういう形か知りませんが、国葬法のようなものをきめておいて、それを内閣が執行するというなら、そのときの条件に応じて行政権がきめることはいいと思う。しかし、国葬そのものまで、そのつど適当に内閣できめるということは、私はどうもおかしいのではないかと考える。そういう意味で、前の総務長官にも、国葬法というようなものを考える必要があるのではないか。さらに、これは死ぬときの話ばかりでぐあいが悪いのですけれども、たとえば皇族の方だって、これは近くにないとは言えぬ、あるいは遠いかもしれない。しかしその方によっては、国葬をやらなければならぬ場合も私はあると思う。それを単に内閣考え方だけで国葬するしないというやり方は、私は少し逸脱しているのじゃないかという気がする。そういう意味ではかなりむずかしい問題ではありますけれども、かつての国葬令なんというものがあって、これはいまでは失効してないわけでありますけれども、これにかわるべき国葬というようなものについての法体制というものは、私は確立をしておく必要があるのではないか、こう常々思うのですが、重ねて総務長官の見解を聞いておきたいのです。
  12. 床次徳二

    国務大臣床次徳二君) 過般の国葬つきましては、国の経費をもって行なう葬儀という考え方で、従来の国葬とは多少その意味において変わっておったと思いまするが、しかし御意見もございますので、この点は将来の問題として検討さしていただきたいと思います。
  13. 山崎昇

    山崎昇君 将来の問題として検討されるということは、あれですか、国葬法について制定する必要はあるとお考えになっているわけですか。
  14. 床次徳二

    国務大臣床次徳二君) このこと自体が私は検討すべき問題だと思うので、しかし法をもって制定すべしという御意見もございますので、それを含めて検討いたしたいと思います。
  15. 山崎昇

    山崎昇君 私は、国葬なんというのは、これは表現は別として、国をあげてそのなくなられた方の喪に服するわけですね。そういうものが、国会では何も知りません。ただ政府考えだけでやられていくということに、私はやはり問題があるのではないかと思うのです。だからそういう意味で、やはりどうしても私は国葬法というものを制定してもらいたいし、そうしなければまずいのではないかと私は考える。そういう意味で、すること自体がどうこうの前に、私は国葬というのは、やっぱり国をあげての葬儀に参列することになるわけでありますから、したがって根拠については明確にすべきだと思います。もう一ぺんあなたの意見を聞きたい。
  16. 床次徳二

    国務大臣床次徳二君) いまお話にありました国葬ということの意義自体が、今日の考え方と、あるいは過去において使いましたものと、必ずしも観念が合致していないのじゃないかと思います。この点はひとつ十分検討する必要がある。国民をあげて喪に服するという考え方、あるいは国の経費をもって葬儀を行なう、この点、端的に申しますと、この二つの間にはかなり差があります。したがって、今後国葬というものを、どちらを主体にして考えていくかということになりますると、なかなか、御意見のように、国をあげて喪に服するということになると、やはり一つの形が考えられるわけでありまして、この点は十分ひとつ検討すべきものと考えておりますので、さよう申し上げた次第であります。
  17. 山崎昇

    山崎昇君 総務長官考え方もなるほどですが、たとえば吉田茂さんの場合には、葬儀は国において行なう、故吉田茂国葬儀とする、こうなのですね。単なる国民の、国の費用だけでやりますというものではないのです、それでいけば。だから私は、こういうことをやるなら、行政権だけできめることに私はどうしても疑問を感ずるので、やるならやはりきちっと国会で意思表示をしておく必要があるのではないか、そういう意味国葬法ということを言っているわけです。ですから、少なくともこれは早急に私は検討してもらってほしいと、こう思うのですが、どうですか。私は、単に国の費用だけでやりますなんというものではありませんよ、これは。
  18. 床次徳二

    国務大臣床次徳二君) ただいま御引用になりました吉田元総理の葬儀つきましても、国葬儀として取り扱うということになって、儀という字が入っておる。国葬そのものではないところに、その当時いろいろ検討いたしました結果、ああいう取り扱いになったと承っておるのでありまして、御意見もありますが、しかしこの点は十分検討いたしたいと思います。
  19. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると内閣ではこういう国葬儀、あなたの言う儀はあとでまたことばはどうあれ、じゃどういう基準で吉田茂さんなら国葬儀であって、それで池田勇人さんの場合は何もなかったのか、同じ内閣総理大臣をやられても。一つの基準がなければならぬと思うのです、ある意味で。それはどの人も同列に扱うことはできぬでしょう。それは業績の問題もある。しかし私はどうしても、何か行政権だけで、この人が国葬儀、この人は何もしない、こういうことを内閣の権限だけでやることに私はどうしても納得ができない。だからそういうものは一がいにきめられないとしても、ある程度の基準めいたもの、幅というものは私は国会でこれはきちっとしておく必要があるのではないか。それに基づいて個々の具体的な問題については行政権がこれをきめて行なうべきものではないかと、こう思うから、これはしつこく聞いているのです。どうですか。
  20. 床次徳二

    国務大臣床次徳二君) ただいま御引例になりました国葬の問題、その他いろいろと、まだ新しい憲法の後になりまして、漸次それが慣例ができてまいる、また国民考え方もきまってまいりまして、落ちついてまいりますると、いつか定着することになり、これが法律化するということになると思うのでありまして、今日はその過程でありますし、多少その点が具体化しておらない。法律化しておらないという結果にもなっておるのだと思います。したがいましてこれに対しましては、いろいろとまだ懸案となっておりますものが数件ございます。これは決してそれでいいというわけではない。いずれはこれは検討されなければならぬものだ。私ども先ほど申し上げましたように、この点につきましては検討すべきものである、また検討いたさなければならないと存じております。
  21. 山崎昇

    山崎昇君 宮内庁のほうにお尋ねをします。総務長官はけっこうです。  皇室典範皇室会議があるわけなんですが、それから皇室経済法を見ますというと、皇室経済に関するまた会議も持たれるわけなんですが、皇室会議の構成等について少し説明していただきたい。
  22. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇室会議は皇室典範できめられておりますが、皇室会議は皇室典範の第二十八条に「皇室会議は、議員十人でこれを組織する。議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以て、これに充てる。」、こうした十人の方でありますが、この場合の会議の議長は内閣総理大臣がされるわけでございます。  なお、これに対して予備議員の規定も第三十条にありまして、「皇室会議に、予備議員十人を置く。」、それでちょうど前のほうの十人の方と同じ数でありますが、この正議員の方の事故のある場合にかわる方もあらかじめきめられているわけであります。そういう組織でできております。
  23. 山崎昇

    山崎昇君 そこでこの皇室会議の構成を見ると、内閣総理大臣が議長役をやるようでありますが、そこに最高裁の長官でありますとか、宮内庁の長官がこの議員として入るわけなんですが、どうもこの辺は私は少し構成上でまずさがあるのではないか、こう思うんです。で、なぜならば、この皇室関係の仕事というのは、国会に基づいてやるわけでありますけれども日常的には行政権の範囲に入っているわけですね。したがって私は、行政権の範囲に入っておるものについて、国会の議決以外に、相当程度のことを議決するのにも、それ以外の構成分子で議決をしていくというやり方に多少疑問持っているわけです。また、私どもいろいろお聞きをしてみますというと、全部ではありませんが、憲法学者の中にも、この間私ある人に会って聞いてみるというと、やはりまずさがあるのではないだろうか、こういう指摘をしている人もおります。そういう意味で、この皇室会議あるいは皇室経済会議の構成について、なぜこういう構成でなけりゃならぬのか、もう少し説明を聞きたいと思います。
  24. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いままでは皇室会議の構成だけを申しました。皇室経済会議だと、これはまたちょっと幾らか変わりますが、特に内閣総理大臣が議長をつとめるというような関係でございますが、この宮内庁のほうにも——なお宮内庁皇室に関する国家事務を行なうものでありますが、それは総理大臣の管理のもとに行なうと、ですから総理大臣の管理のもとに常にあって、これは内閣の一員である内閣総理大臣のもとにあると。その内閣総理大臣が宮内庁事務を扱われる場合のその補佐として総務長官があり、直接実際に仕事をする長として宮内庁長官があるというような形でいっておりまして、重要なことについては、実際現在も内閣総理大臣には相談をして進められております。そういうように内閣総理大臣は、行政的にやはり一番の責任者という立場におられますから、そういうことで議長をやられるということは、やはり適当なんだろうと思います。  で、皇室経済会議になりますと、メンバーはこの数よりも二人減りまして八人になります。で、内閣総理大臣と衆議院と参議院の議長、副議長、それに宮内庁の長官、それから大蔵大臣が入ります、経済の関係ですから。それから会計検査院の院長が入ります。それでまあ八人と。で、皇室経済会議のほうは経済関係のことで、そういうメンバーになっておるわけでありまするが、しかし、前のほうに戻りまして、皇室会議のほうですと、ここで審議されますることは皇族の身位、身分に関することであります。最近行なわれたと言いますると、たとえば皇族結婚される場合に、この皇室会議の議を経ることになっております。それから皇太子殿下の御結婚あるいは常陸宮さまの御結婚の際に、こういう方と結婚されることについてどうでしょうということを審議をされて、それの議を経て御結婚の相手の方がきめられることがきまっておるということで、そういうような身分に関すること。皇室経済会議のほうは内廷費皇族費の一年の定額をどうするかというようなこと、あるいは皇族皇族の身分を離れられる場合に一時金が出されますが、その場合にその金額をどうするかというような経済的なことがそこできめられるわけでございます。なお、これらのところできまりまするが、なお国権の最高機関である国会において、そうした問題についていろいろ御質問を受け、これに対してまたいろいろ考えていくという道はまた別にあるのでございます。
  25. 山崎昇

    山崎昇君 いまの皇室会議のほうからいえば、これは憲法の三条からいきますと、あなたの説明のようにはならないのではないですか。それは、「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」のですね。ですから行政権としてこれはやられることになっている。あるいはまた第七条で、天皇が国事に関することをやられるについても内閣のこれは助言と承認を必要とすることになっている。いずれもこれは行政権が主体になって行なうことになる。そういうことを考えてみれば、行政権でやるならば、これは内閣が責任を持ってそういうことをおきめにならなければならぬ。しかしそうでなくて、内閣総理大臣は、なるほど議長として入りますけれども宮内庁の長官というのは認証官であるけれども、機構上からいけば一総理府の外局の長でしかない。あるいはまた最高裁の長官なんというのは、これは司法権になりますから別であります。そういうものが入って何か構成されて、そこで議決をされてきまれば、それが効力を発するようなやり方というものは、私は少し憲法上の議論からいくと、はずれてきはせぬかという気がする。この点は先ほど申し上げたように、憲法学者の中にもかなり多くの方々が、やはり憲法三条、七条に、内閣が連帯して国会に責任を負うという行政権あり方からいっておかしいのではないかという指摘がかなりされておる。そういう意味で言うと、私は皇室会議の構成についても改めるべきではないのかという気がしているのです。皇室経済会議もそうであります。たとえば第八条でいくと、「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。」、こうなるわけです。ところが、この皇室経済法で言うと、この四つについて、その事項については国会の議決をとらぬでもよろしいと書いてある。すると、だれが国会にかわって議決をしているのかというと、なるほど衆参の議長は入っておりますが、公正取引委員会委員長だとか、そういうものが入ってきている。国会議員は予備議員なんです。こういうあり方というのは、この皇室経済法そのものについて、私は構成等々について憲法に多少触れるのではないか、こう思うのです。その点はどうですか。
  26. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇室会議にかかります事項あるいは皇室経済会議にかかります事項は、天皇の国事に関する行為、国事行為ということではございませんので、この憲法第三条あるいは第七条の直接の問題ではございませんが、しかしながら広く先生おっしゃいますように行政的な面があるということ、その点はあると思います。そこで、内閣総理大臣が議長でありますが、しかし、さらにその上には内閣というものがあるわけでありまするが、たとえば皇室経済会議のほうで申し上げるとはっきりいたすと思うのですが、皇室経済会議のほうで、内閣総理大臣が議長で一応議決をいたしますと、その事項を内閣とそれから国会のほうへ報告をすることにいまなっておりまして、その場合に、その内廷費どうする、皇族費どうするという問題は、別途皇室経済法の施行法の改正ということで国会に提案をされて、それで国会で御審議いただいて、その議決によって最終的にはきまるというようなことになっておりまして、予算の関係もやはり国会の御審議を経て、そこで最終的にきまるというようなことになるようになっております。  それからなお憲法第八条の皇室の財産の譲り渡しとか譲り受けとかということは、国会の議決に基づかなければならないというこの点は、この財産の譲り渡しとか、譲り受けについて皇室経済会議で審議をするということはございません。皇室会議にかけなければいけない事項にはなっていないわけでありまして、第八条のこの関係は、この八条に基づきまして皇室経済法で、この財産の譲り渡し、この者に賜与しますというような関係の制限額が、この天皇陛下をはじめ内廷の関係のが年額六百五十万というようになっております。それから譲り受けられるのは年額二百二十万ということになっております。その範囲内においては国会の議決を経ない、それをこす場合には国会の議決が要るというふうに法律できまっております。  したがって、いままでの例を申しますと、皇太子殿下が御結婚になりまして、国民からいろいろお祝いを差し上げたいという声がありまして、お祝いをお受けになると、その制限額をこえてくることになりますから、国会に特にその御結婚に際してお祝いを受ける件という議案を提出いたしまして、国会の議決を経られた後にそのお祝いを受けられることが可能になったというようなことで、憲法のこの規定はそういうことで守られておりまして、皇室経済会議のほうとは直接の関係はないのでございます。
  27. 山崎昇

    山崎昇君 そうはならないんじゃないですか。これは憲法の八条もそうですがね、これはすべて皇室財産は国に属する、こうなるわけですね。しかし、私はすべて何でもかんでもそのつどそのつど国会でやるということを、もちろん事務的には問題があるでしょう。ところが、根本はこの憲法の八条に基づいて皇室経済法の第二条というのが一つくられておる。この文章を読みますと、「その度ごとに国会の議決を経なくても、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することができる。」、その賜与する場合は政令である程度の限度がきめられておるということで、そこで問題は、こういう第四号まである場合に、これは皇室経済会議にはかられるのだと思うのですね。私は、はかられないのか、はかるのかわかりませんが、はかるのだとする、そうだとすれば、国会で、本来ならば、そのつど議決しなければならぬけれども、この四つの問題については、儀礼的なものであったり、あるいは公共的なものだから、その手続は省略いたします。そのかわりに、その他の問題等も含めて皇室経済会議というのがつくられるとするならば、この皇室経済会議の構成は、やはり考えてみる必要があるのではないか。だから、それならば、もっと国会議員が各党から入っているとかいうならば、ところが、いまの構成を見ますとそうではない。そうじゃないでしょう。そのかわりに公正取引委員会委員長が入ってみたり、国会議員は予備議員になっておる。こういう皇室経済会議の構成そのものに、憲法とこの皇室経済法の関係からいくと、問題があるのではないですか、こう言っているのです。  ですから、この点については、全部ではありませんが、かなりの憲法学者も、やはり先ほどの皇室会議に最高裁の長官が入ってみたり、宮内庁の長官が入ったりするのは、どうもこれは思わしくないのではないかという意見がかなり強い。皇室経済会議に至っては、この皇室経済法の二条との関係からいって、この構成に疑問をかなり感じておる。ですから、そういう点について私は検討すべきときではないんですかということを申し上げておるわけです。私の言うことが誤りならば、こういう点で誤りだというふうに指摘していただけばけっこうだと思うのです。どうですか。
  28. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いま先生がおっしゃいます皇室経済法の第二条にこの四つのことが書いてありますが、これは儀礼的に受けられるような場合、また出される場合のことであります。これについては、特に皇室経済会議にかけて、そこで議決をするとか、承認を受けるとかということはやっていないわけで、その必要はないわけであります。皇室経済法によりますと、皇室経済会議にはかるべき事項というのが限定をされておりまして、内廷費とか皇族費の定額をきめたり、皇族皇族の身分を離れる場合に出される一時金の問題とか、そういうようなことが限定をされておるわけであります。したがって、この第二条との関係はないのでございます。  なお、皇室経済会議のメンバーは公正取引委員会委員長は入っておりません。会計検査院の院長が入っているわけでございます。この点でなおメンバーがこれで完全かというと、私たちでもときによると疑問に思う点も生じております。たとえて言いますと、総務長官が抜けております。総務長官はいま相当宮内庁関係については重要な関係を持っているわけですけれども、この法律ができたときに総務長官制度がなかったためだと思いますが、そのままになっておりますが、これはどうだろうかという点があったり、これで完全だとは思いませんが、なお先生の御意見もありましたので、今後とも十分研究を進めたいと思います。
  29. 山崎昇

    山崎昇君 いま総務長官との関係、あなたから提起されましたが、これは私もあとで聞きたいと思っておったのですが、やはり総理府設置法の十九条によれば、大臣をもって長に充てる外局の組織については総務長官の権限は及ばないのですね。これは排除されている。しかし、そうではない。総理府の外局については一般的に総務長官は監督権があるわけであります。そういう意味で言うと、私はここに総務長官が入ってませんが、これはこの間の北村委員の質問で、あなたのほうから皇室経済会議のほかに、また何か皇室経済懇談会というのができて、その中に総務長官が入っている、こういう答弁だったのです。これは何か前の総務長官がどうも、おれが参加できないのはぐあい悪いから考えろということで、総務長官が懇談会という名前で入ってきている。ですから、そういう点であとで聞こうと思っておりましたが、いまあなたから触れられましたので、お聞きするのですが、皇室経済会議があって、総務長官一般監督権はあるのだけれども、いまの言う法律上の不備で、懇談会というのをつくらなければ入れない。そうして、私は間違っておりましたが、会計検査院院長というのがメンバーで入っている。宮内庁の長官は、当然私は職責上、事務的に、事務局としての長としてこういう問題に参加すべきであって、こういう議員として宮内庁長官が参加することに私は疑問を持つわけです。ですから、そういう意味で言えば、この皇室経済法の第二条、第五条と皇室経済会議は直接結びつかないにしても、この憲法上の問題で、私は皇室経済会議の議員のあり方についてはどうも疑問を持っているわけです。  そういう意味で、いまここで法律があるわけですから、すぐどうこうするわけにはまいらぬと思いますが、いずれにしても、相当程度の憲法学者が、この皇室経済会議の構成についてもかなりの疑問を提起されております。皇室経済会議の議員のあり方についてもかなりの疑問を提起されております。そういう問題ですから、ぜひ私は検討願いたいと思います。特に野党側の議員の場合には、これは予備、議員が一、二名で、ほとんどこういうものに参加できない。天皇制そのものは、国民総意に基づいての存在だと言いながら、そういう財産権の問題であるとか、皇室日常の運営の問題とか、そういう問題があっても、ほとんど野党議員は存在外みたいになっている。こういうあり方は、私はやっぱり考え直すべきじゃないかと思います。ですから、ある憲法学者に言わせれば、これは何といいますか、皇室委員会というような名称にでもして、各党の議員代表が入れるような組織に改組すべきじゃないかとさえ提起しておる人もおります。そういう意味で、私は天皇制が戦後民主化されて、国民総意に基づくという存在であるならば、当然そういうことは宮内庁として配慮すべきじゃないか、こういう考えがありますんで、いま皇室経済会議あるいは皇室会議の組織、あるいは天皇をめぐっていまあなたにお尋ねしてるんですが、どうですか、そういう点。
  30. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) まあこれで完全であるとは思いませんが、しかし、一応いろいろ理由があってこうしてできておりますので、今後の問題としてなお検討を進める、研究をするということで御了承をいただきたいと思います。
  31. 山崎昇

    山崎昇君 それは検討をぜひしてもらいたいと思います。  それから次に、この間もちょっと北村委員から触れたと思うんですが、今度の改正案を見ますと、認証官に式部官長を上げたいということになってきてるんですね。そこで、一般的な認証官のあり方については、これは宮内庁にお尋ねすることでありませんから、この問題に限定してお聞きをすると、何か天皇陛下の用事をされる方と、それから式部官というのですか、私はよくわかりませんが、何か国の行事ですかね、そういうものを扱う者は認証官だが、皇太子のほうになってくると、これは認証官になってこない、たとえば東宮大夫でありますとかね。そういうふうに宮内庁はこれは区別してお考えになって、式部官長だけ今回認証官に上げようというお考えなのかどうか。何か私は宮内庁設置法の職制上からいくと、そこらのことに差別するのは少し無理があるんではないかという気もします。そういう意味で、どうして式部官長だけ認証官にされようとするのか、一言だけこれは聞いておきたい。
  32. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまの点は、特にまあ差別をするというところまでいってるわけでありませんが、行政管理庁のほうから、いろいろ各省庁の希望の意見を出せと言われた場合に、できれば式部官長を認証官にしてもらえばという意見を出しまして、それはいれられていないわけでありまするから、すぐに実現することはないと思いますが、しかし、その意見を出しました理由は、現在宮内庁では、宮内庁長官と侍従長が認証官であります。で、それに次ぐ者として式部官長、それから私の宮内庁次長というのが同格になっております。それからその下にちょっと落ちて東宮大夫があるというのが一応のランクになっておりまして、で、式部官長は外国交際のほうをおもにやられます。外国交際以外に国内の儀式その他ももちろんありまするけれども、外国の交際の点、国賓、公賓が見えた場合の接伴の長になり、また外国の東京に駐在する大使といろいろ接触も式部官長がいたします。で、その式部官長は、いまの方は日本の駐英大使を済ましてきておられる。前の人はイタリア大使を済まして入っておられるわけで、すでに大使であったころは相当のポストで認証官であった人が来られるわけで、ちょっと格下げのような形で来ておられまするから、そういう点もありまして、仕事の性質上、国賓とか外国の大使なんかと接触される機会が多いから、認証官であったほうがいいだろうということと、もう一つは、その人の格からいって、認証官であっていいのではないかというようなことで、行政管理庁にそういう希望意見を出したわけであります。しかし、これはいれられなかったので、これは予算の関係等もあって大蔵省に出してもいれられないことが多いわけです。そういう程度のことでございます。
  33. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、外務省に儀典長というのが設けられていますね。そうするとこの儀典長と式部官長なんというのは、私はある程度の密接不可分の関係にあるのではないかと思うし、式部官長のほうが今度認証官に上げられて、外務省のほうの儀典長は一級官ですね。この間ここで外務省設置法の議論のときに、私はそれは少しおかしいのではないかという意見を出したわけです。そうすると、儀典長と式部官長とのバランスといいますか、関係といいますか、そういうものは一体どういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしておきたい。
  34. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この外務省の儀典長は、代々宮内庁の式部職を併任というような形で一応おられまして、国賓とか公賓とか、その他外国交際の場合で特に大きな行事の場合には宮中に来られますから、そうするとこの式部の立場で手助けをしておられるわけです。いままでのところは式部官長よりも下の地位の人であります。過去の経歴を見ましても下の地位の人がおられたわけです。密接な関係はございます。
  35. 山崎昇

    山崎昇君 この問題はその私ども異議があって言っているわけではありませんが、この間、外務省の儀典長もかなりな、外国の大使等やられた方が実は格下げみたいになったかっこうで入ってきている。そういう点からいって、いまお聞きをしますというと、何か式部関係の併任をして密接にやられるというわけでしょう。そうなれば、私はその儀典長も式部官長というものも、ある程度、過去の経歴はいろいろあるでしょうけれども、同格に見なければならぬ存在になってくるのではないかという気がするわけです。そこでいま、今度の宮内庁設置法を見ますというと、これだけがすうっと出てきて、外務省の儀典長は一級官に押えられている。こういうこの間の関係もあるものですからいま聞いたわけです。しかし、これはあと東宮大夫以下の問題は、そうするとこれは式部官長よりもあなたの説明を聞くと、格が落ちる存在なんだと、こういうふうに私ども認識していいのですかね。
  36. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その東宮大夫の格が落ちると言っては感じが悪いのでありますが、いわゆる給与などでは、一応給与法ではランクつける場合には次官よりちょっと下、外局長官のいい扱いというようなふうに現在はなっております。 なお、これにつきましては、いろいろ格づけを法律できめられる場合に、どういう人がなっているかによっても、ときによるといろいろその担当のほうでは審議されますが、たとえていいますと、東宮大夫ですと、私よりも一年後輩が来ているとか、そんなようなことがあって、過去の経歴なんかも考えながら、法律上のランクのことなどがきめられますから、東宮大夫はそうではなくて、もっと上のほうの格づけをすべきだというときがくるかもしれません。
  37. 山崎昇

    山崎昇君 この問題はしいて私どもはそれほどどうこうという問題ではありませんが、ただ職務柄を考えてみると、何か片っ方だけがえらい認証官にして、片っ方だけは、同じ国を代表して外国の方々を接待するにしても少し格が落とされておる、そうして多少の年限の違いはあるにしても、大使などやられて相当な経歴の持ち主がやっぱり外務省に配置をされている。そういう意味でいくと、私は少し片手落ちのような気がするのでお聞きをしたわけです。  さらに東宮大夫は、いま御説明があったように、私どもこういう職務というものは、どこら辺までがどんなものかわからないからまあ聞いているわけですが、しろうとから印象づけられるというと、天皇陛下のまわりにいる人が認証官で、皇太子のほうは一つ格が落ちてまあそうでないのだというような、並んでおる職制上のポストからいうと、どうもそういうふうにもとれる。そうでないと言われればそれまでなんでしょうけれども、私はそういう意味で、少し東宮大夫その他の問題については考えてみる必要があるのではないか、こういう気がしたのでいまお尋ねしたわけです。  そこで時間もかなりたってまいりましたから、もう一つお聞きしたいのは、御料牧場についてお聞きをしたい。御料牧場というのは、設置の目的ですね、内容、なぜこういうものが必要なのか。どうも私には説明資料いろいろ読んでみましたけれどもわかりませんので、いま少し具体的に御説明願いたい。
  38. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 御料牧場は明治以来の伝統もある一つの、皇室の牧場として以前はほんとうの御料の牧場でございましたが、いまは皇室の財産としての牧場でございます。現状でその必要性を申しますと、あそこで馬、牛、羊、豚、鶏などを飼っていますが、特に馬の関係は、そこで生産された馬が皇室用の乗馬になり、また皇室用の馬車などを引く輓馬になるのでありまして、皇室で特に必要のある品格のある乗馬あるいは輓馬というものを、一般の市中で求めましても、現在はほとんどいいものがないわけであります。昔ほどは一般には使っておられないのですから、特に輓馬といいますと、農耕馬等もいま使っておられませんから、したがって、そういったものの生産があまり一般にいいものができていないわけでありまして、したがって、御料牧場でそういうものを念を入れてつくるという必要が馬の点では特にございます。  なお、牛のほうは乳牛でありまして、牛乳の関係も質のいい牛乳をあそこでつくっております。それからバターなどもとります。それから羊、羊は主として食用であります。これはジンギスカンなべなどに使う羊であります。それから鶏は鶏の焼き鳥に使い、また卵を使うというようなことでありまして、こういうようなものは皇室行事、いろいろ宮中内での饗宴とか、あるいは園遊会等で相当量使われますそういう場合の材料になるわけでありますが、それがやはり質のいいものがあそこでできますので、来られましたお客さまにも満足していただける。特に外国のお客なども相当見えますが、そういう場合にも質のいいものについてのおほめをいただいたりもしております。そういうようなことでございます。なお、そのほかに、両陛下あるいは皇太子殿下などの日常の食用のほうに回る分もございます。これも特に衛生上吟味されたものということで、安心したものがそれにお回しできるというようなことがございます。  それから、なおあの牧場は、現在は毎年、年に三日間、外交団の接伴が行なわれておりまして、外交団の方が見えまして、あそこで馬に乗って牧場内を回られる人もある。馬に乗られない方は馬車に乗って牧場内を回ってもらう。それからあとあそこの牧場生産品で午さんをとってもらうというようなことをやって、これは国際親善に寄与しているかと思います。  それから、なおあそこの牧場は総合牧場で、いろんな種類のものが一応そろっておりますが、日本で総合牧場としては唯一のものだというふうに専門家から聞いております。いろいろ専門的な牧場はあるのですが、ずっとそろっているのはあそこだけだと聞いておりますので、見学者も相当ございます。年に一万数千人の人が毎年見学に見えておるわけでありまして、その見学を通じてまた一般の畜産のほうにも寄与して、畜産のほうの改善にも寄与しているのじゃないかと思います。もちろん畜産の改善に寄与する点などは農林省の仕事じゃないかと言われれば、そうかもしれませんが、そういうような点もございまして、相当やはり効果はあげております。  なお、最初に申しましたように、ずっと明治以来やっておられますこと、それをだんだん改善し、縮小して現在に至っておる。以前から見ると相当縮小されております。で、やはりそういう意味で必要だと思っております。
  39. 山崎昇

    山崎昇君 確かに戦前から見れば縮小されていると思いますね。戦前は帝室林野まであったわけですから。しかし、実際に皇室財産というのが国に属して、国の費用で皇室の経営を行なうわけですね。しかしいまお聞きした限りでは、これだけ日本の経済も進んでいる、そして技術も進んでいるのに、ここでつくったものでなければ皇室の食用にできないということに私は一つ疑問を感じます。いま開きました限りでは、馬は何か皇室用の乗馬と輓馬だというのですが、以前は、これは少し言い過ぎになるかもしれませんが、聞くところによりますれば、競馬馬も育てたという話もある。そういう点もかなり批判されて、逐次そういうものを縮小したという話も伝わっておりますが、それは別として、一体皇室用で使われる乗馬といっても、それは一年間にそんなに必要なんでしょうかね。競馬といっても、一体何をするのかということになると思う。あるいはまた牛——ほとんどこれは乳牛だというけれども、それじゃいま民間で使われておる雪印にしても明治にしても森永にしても、ここでつくられているのは何か質がよくないように受け取れる。何か牧場でつくらなければ質のよいものができないような私は錯覚になっているんじゃないかという気もします。さらに鶏は焼き鳥だという、それから一年間に三日間くらい外交団の方を呼んで、馬に乗せてぐるぐるあの中を回してそして国際親善だ——どうも私はそういう考え方がかなりおくれているんじゃないかという気がするのです。そして宮内庁法を見ると、この維持のために約九十五人くらいの職人が配置をされておる。これから栃木県でやるわけでしょう。  私はこういう御料牧場なんという存在は、いま聞いた説明だけでいえば必要ないのではないか、こんなのは民間で幾らでもできるのではないか。特別、皇室に対しては献上品なんという制度もまだある。あるいはまたその他の大手の業者に、これはこういう形のものを何とかと言えばつくられないわけでもないと思います。ことさらここでやらなければならぬということについては、私はどうも抵抗を感ずるのです。  だから、先ほど冒頭に、皇室民主化宮内庁民主化をお尋ねしたのは、こういうところに私はまだまだ宮内庁はやっぱり封建制といいますか、戦前のものの考え方が生きておるのではないか、こういうふうに思うのですよ。だから思い切って御料牧場なんというのはやめて、そして皇室がほんとうに必要なものであるならば、一般の大手の会社にお願いするなり、あるいは特別につくらせるならつくらせるなり、そういう方式に変えてもいいんではないでしょうかね、どうですか。あくまでもこういう御料牧場でこういうものを生産して、そして皇室が食べなければならぬものでしょうかね。私は何かそこら辺に疑問を感ずるわけです。そして、これはあとでもどなたかからお聞きになるでしょうけれども、どうも宮内庁職員下級の方々の待遇なんというのは、あまり具体的に私ども調べることはできませんが、いろいろ伝え聞くと、あまりよくないようですね。そういう点を私は考えますと、一般職員はきわめて、何か伝統伝統という封建制の中に閉じ込められて、勤務はきつくて、そしてあまりいい待遇ではなくて、そして全く特殊の方々のためのこういう存在というのは、私は改める時期にきているんじゃないかという気がするのですが、どうですか。
  40. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この点でございますが、この馬の関係は、どういうので必要か、ちょっとおわかりかねておられましたので申し上げますと、現在まで信任状の捧呈式などの場合に、外国の大公使で馬車で来られることを希望される方は馬車を出す。そうでなくて、自動車で来られることを希望される方は自動車を出す。大部分は、馬車につきましては、これは王室のある国ではそういう場合に馬車を使っておられる例のほうが多いものですから、日本に来た大使としての気分を十分ひとつ味わわれるというような点もございましょうが、まあ馬車をという方もございます。その馬車を出す場合には、一つの馬車の列ができるわけでございまして、その場合に前後に乗馬の者がつきます。それから馬車を引く競馬が要るわけであります。そういうことがあります。そのほかまあ国賓が見えた場合に、国によって馬車を希望される場合には馬車を出している場合もあります。  いま馬車を出しますといっても、相手国の大使館なんかから来てもらうということでは、いまの市中の交通状況が悪いものですから、実際はちょうど英国大使館の少し先のほうにある三番町の宮内庁の分室というのがございます。英国大使館から靖国神社へ向かう途中にあります。そこまで自動車で来てもらって、お堀ばたを馬車でさっと通ってきてもらう。そうすれば交通のあまり支障にもならない、そういうふうなことで行なわれており霊まあそういうようなことでやはり馬を使っておるわけでありまして、馬を使う、それをいま一般から買おうと思いましても、先ほど申しましたように、なかなかいま一般のほうであまり馬は使われないものですから、いい馬が手に入らないという事情であるので、やはりつくる必要があるというふうに思うわけであります。  なお、牛乳などについて、いま民間のほうも非常に発達していいものができているじゃないか、そういう点はございます。で、牛乳以下の点につきましては、これは絶対必要だともあるいは言えないかもしれません。しかしながら、やはりあそこでつくったものがベターであるということが言えるのでありますが、というのは、一つの例で申しますと、何年か前に三里塚の牧場の牛乳の処理場の火事があったことがあります。そのあと修理ができるまでの間、牛乳の処理ができないものですから、一般の一流の牛乳会社のほうにいいのを納めてもらうようにしました。ところが、まあその研究調査なんかいたしますと、あそこの三里塚の牛乳よりは非常に微粒の來雑物が多いのであります。これは一流の会社でも、一般の農家からずっと集めてこられまして処理されるものですから、そうなるのだろうと思います。そういうようなことも一つの例でありますけれども、まあ御料牧場のほうがベターなものができると、そうじゃなくて絶対いかぬのかと言われると、絶対にいかぬともなかなか言われませんが、ベターではあるということであります。  馬の点は、これはないと、ほんとに困ります、実際ありませんから。その他の点になれば、ベターだし、やはりベターであれば、それによっていろいろ宮中のほうに来られるお客さまに御満足いただけるということであれば、やはり意義があるかとも思われまするし、先ほど申しましたような、外交団の三日間の接伴、これはどうかという御意見もございますかもしれませんけれども、しかしまあ日本に対するいい印象を持ってもらうことが、国際親善に対してやはりいいという点は確かにあると思います。それほど大きな効果がないじゃないかと言われれば、そうかもしれませんけれども、まあそういう点で、それが結局全国民に奉仕する一つの道かとも思いますので、まあ絶対でない点もございまするけれども、まああったほうがよろしいと思っております。
  41. 山崎昇

    山崎昇君 いま外国使節団との関係は、これはしかし天皇陛下主催で皇居内で園遊会をやられる場合もありますね、それからあるいは新宿御苑でやられる場合もある。だから私はそういう意味でいうならば、何もこの牧場持って、馬に乗せなければ国際親善はかれないなんていうものの考え方が少し古いので——古いといったらおかしいんですが、あまりにも伝統にやっぱりより過ぎているのではないだろうかという気がするわけです。もっとやられるなら幾らでも親善の方法は別にもやられているわけじゃないですか。  それからいま外国の大使の話が出ましたが、三番町まで自動車で来て、あそこから馬でなければだめだと、しかし日本ではもう車でやられるというのであれば、何も向こうから馬という要望があるわけじゃないですね。だから私はそういう意味でいうと、何かこの御料牧場というのは全く特殊な存在みたいになっちゃって、多少一年間に見に行く人がおるんでしょうけれども、あまり存在価値がない。そういう意味でこういうものはもう思い切ってなくしてもいいのではないだろうか、こういうふうに常々考えるわけです。しかし、これはあなたのほうは必要だと言うし、私のほうはそういう考え方を申し上げているのですが……。  それからもう一つは、宮内庁で働く方々は、ほかの官庁で働く方々と違って、まあ労働組合つくって団体交渉なんというものがないんでしょうが、そうすると、私はよほど管理に当たられるあなた方は、そういう方々の日常の勤務なり、あるいは待遇というものは、ほかの官庁のものより気をつけなければならぬのではないかと思う。ところが、どう見ても、なかなか伝統に縛られ、それから皇室のことだということで、ほとんど下級職員はものも言えぬような状況にあるのではないだろうか。これは服装一つにしても、先ほど申し上げたように、どうも私はまだまだがんじがらめになっているのじゃないか。もう少し自由になっていいんではないかという気がします。しかし、私どもは何回も宮内庁に行ってそういうことを見るわけにもいきませんし、どうもこの皇室の問題というのは、国民に公開されたとはいいながらも、かなり神秘性を持っている存在だと思う。そういう意味で、私は宮内庁民主化と同時に、もっともっと皇室というものを国民に向かって開放する必要がある。そういう意味でけさからお尋ねをしているわけです。そうしてこの前の委員会で一言だけお尋ねしたが、こういうものをやる場合に、皇室の意思表示なり、あるいは皇族の方々の意思表示が中心かというお尋ねをしたら、そうでもないというお答えであった。そうならば、やはり宮内庁のものの考え方が、従来の伝統をきっちり守っている。私はそういう意味で、こういう皇室民主化をやるためには、宮内庁みずからの民主化がもっと進まなければ、この天皇制というものはなかなかまだまだ国民の中におりてこないのではないか。へたすれば、何か傷つけたら警備の都合上ということで、天皇制というものが国民から離れていく状況を示すのじゃないか。そういう意味で私は心配をしているわけです。ですから私は現象面だけにとらわれるようなかっこうでいまあなたにお尋ねしていますが、もう少し私は宮内庁の、全般的に皇室あり方なり、宮内庁自身あり方なり、あるいは宮内庁職員あり方なり、こういうものがほかの官庁以上に民主化されて、私は適当なところに落ちつくのじゃないかという気さえするのであります。そういう意味で、たいへん抽象的でありますけれども、私の強い希望を述べておきます。  そのほかにたくさんの問題がありますが、ちょうど午前中の時間にもなりましたようですから、この辺で私の質問を終えたいと思いますが、どうかそういう意味で、ほんとうの意味皇室というのが国民の中に入るというならば、思い切って私は宮内庁民主化するなり、従来の伝統にメスを入れてもらいたいということを重ねて強調して、私の質問を終わっておきたいと思います。
  42. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時五十八分開会
  43. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  宮内庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  44. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 宮内庁法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、二、三質問したいと思います。先般、下総の牧場並びに高根沢の牧場を視察してきたわけでありますが、下総のほうは空からであまりよくわかったわけじゃないのですけれども、資料等をいただきまして、また高根沢のほうは現実に見てまいりまして、二、三質問したいと思います。  いままでにもうすでに質問があったかもしれませんけれども、概略の説明は先日の視察のときもございましたが、下総の牧場を廃止して、そうして高根沢というところを選定することになりましたそのいきさつですね、そのいきさつについて説明をお願いしたいと思います。
  45. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは新東京国際空港建設の問題と関連しておりまするが、たしか昭和四十年の暮れごろに、新しい東京国際空港の敷地は三里塚の御料牧場のほうにかかって設けることにしたいという話が出ました。宮内庁のほうもその話を聞きまして研究を始めたのでありまするが、しかし最初は、必ずしもすぐによろしいとも言えないし、慎重にひとつ検討をいたしたいということで、検討をいたしておりました。そのうちに、たしか昭和四十一年の七月ですか、閣議の決定がありまして、新しく空港が成田にできることになりました。もちろんその間に宮内庁関係の省庁との間で寄り寄り打ち合わせをいたしましたが、宮内庁が慎重な態度をとりましたのは、空港建設に対して地元に反対の運動が相当ございますから、まず皇室用財産である牧場のほうが簡単によろしいと言いますと、そういう反対の人に対してのいろいろ刺激を与えまするし、また牧場自体としましてもあそこに多数の職員をかかえておりまするので、職員の立場から言えばそうかわりたくないということを言ってきていたこともございましたし、そういう点もいろいろ説明をするというようなこともありまして、慎重に検討いたしました。しかし、新しい空港を設ける場所としてはやはり成田のあの位置が最適当である、いろいろな条件から見てなかなかほかではむずかしいということで、それならば宮内庁としてはそれに協力はいたしましょう、協力はいたしまするが、しかし相当反対運動もありますから、率先して協力するというわけにはちょっといきかねる、地元の大勢が賛成のほうに動いてくる——大勢でありますから全部とは言いませんが、大勢が協力するように動いてくるならば宮内庁としても協力しましょうという態度になりまして、その結果閣議の決定もあったわけであります。その後、あそこの牧場を廃止しなきゃいけませんから、これを廃止するとすればやはりこれにかわるべき新しい牧場をひとつ設けてほしいということで、代替地というようなことになりますが、そこで新しい牧場の候補地をいろいろさがしました。これは東京からあまり遠くないところに位置していること、牧場に適当なところであることということですが、東京からあまり遠くないというのは、先ほどもちょっと申しましたが、外交団の接伴等もございまするので、あまり遠いと接伴がやりにくいことになります。日帰りで接伴いたしまするから、そういう関係である程度近いところ、いろいろ検討いたしまして、候補地はたしか十一カ所くらいありました。千葉県下にもありましたし、埼玉県、それから栃木県、群馬県、静岡県にもございましたが、そういうような十一カ所について選考いたしました。その結果、栃木県の高根沢と芳賀町にわたるあの地域が最も適当であるという結論を私ども得たのであります。この調査は、単に宮内庁だけではありませんで、農林省の専門家に委嘱をして、特にいろいろの条件を調べてもらって、この高根沢のあのところが最も適当であるという結論を得まして、そのことを決定して発表したのはたしか昭和四十二年の三月でございます。それから、それに伴ういろいろの準備を進めてまいりまして、予算の関係では、この新しい牧場は成田の御料牧場の代替地としてつくっていただくわけでありますので、この空港公団とその新しい牧場と成田のある部分との交換という形でいこうということで、そこでこの空港公団のほうにそういうことをやってもらうためには、予算外の債務負担行為を負担するところの議決を国会でしていただく必要がありましたので、昭和四十二年度の予算書にそれを掲げましてお願いしたわけです。四十二年度に一応議決になりましたが、実際四十二年度にはできなくて、四十三年度にもう一ぺんそのことをおはかりいたしまして、四十三年度のほうでは決定をいただきまして、それに基づいて四十三年度の終わり——実はことしの三月の末にこの空港公団との間に交換契約が結ばれたのであります。空港公団のほうでは、新しい牧場の造成を急いでやっていただきまして、この八月の下旬までには牧場として必要な部分はできる。貴賓館とか、庭園とか、道路の舗装の一部は残りますが、それは十二月末までにはできますということを聞いておる次第であります。
  46. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体のいきさつはわかりましたけれども、もう一つ基本的なことですけれども聞いておきたいのですが、御料牧場というのは現在全国に一カ所であるかどうか、それで戦前はどういう牧場があったか、そこら辺のところ詳しく御説明をいただきたい。
  47. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 戦前は、成田の下総御料牧場のほかに、北海道に新冠の御料牧場というのがございまして、二つございましたが、戦後は下総御料牧場一つだけであります。
  48. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 午前中の質問の中でもすでに質問がありましたけれども、御料牧場という、その御料牧場の意義といいますか、そのことにつきましては、午前中の質問の中に答弁がございました。大体皇室に使う畜産品とか農産品をつくる。もう一つは儀典用の馬。三つ目が大体内外のいわゆる貴賓の接伴場として使う。大体三つだったと思いますが、この三点のうち、もっと詳しく知りたいのでありますが、いわゆる御料牧場で生産されるところの畜産品、農産品というものはどういうふうなものがあるのか、そしてそういうふうなものはいわゆる一般市場で販売されているものとどういうぐあいに違うのか、この点を教えていただきたいです。
  49. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この馬の点はおわかりでございますが、その他の生産品でありますが、牛からは、乳牛でありますから、牛乳、牛乳の製品——バターですとかチーズもございます。それから豚の関係から、肉のほかに、ソーセージなんかもつくっております。ベーコンとかハムとかいうものもございます。それから鶏のほうは、鶏の肉としてのもの、それから鶏の卵、それから羊の関係は、これは肉用として使っているわけであります。そのほかキジが少しおりますが、これも肉用でございます。野菜も少しくございますが、普通の清浄野菜でございます。こうしたものは、午前中申しましたように、宮中のいろいろの接伴等の場合のほか、両陛下皇太子殿下、内廷の方々の御用にも供しております。なお、その余ったものについては、これは払い下げもいたしております。一般の市中にあるものと比較いたしまして、われわれが聞いておるところでは、質が非常にいいと聞いております。これは、そういう家畜の飼育も特に自主的に吟味をしてやっておりまするし、それから製品も一貫してここで行なうというようなことで、その質は一般の市中のものよりもすぐれているというふうに聞いております。たとえて言いますと、午前中ちょっと牛乳のことを申しましたが、羊の場合も羊の肉、ジンギスカンなんかで、園遊会なんかで使われております。この園遊会の羊の肉については、園遊会なんかの場合には少し足りませんので、市中からも買い上げておりますが、われわれ食べてみましても、市中から買入れたものとそれから三里塚の肉は、やはり三里塚のほうが味がすぐれております。そういうことで、一般的に質がすぐれているということが言えると思います。
  50. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 要するに、牧場のことについては、牧場そのものがほんとうに必要であるかどうかということについては、私もいろいろ疑問があるわけです。しかし、戦前に二、三ヵ所もあったものが一ヵ所になっている、そういう点もありますし、当然いろいろと必要ではあろうと私は思うんですけれども、必要な理由として出てきた問題は、要するにこういうようなものを生産するということになりますと、まず第一点の菌問題だけ取り上げてみても、いろいろ問題があるわけです。たとえば、牛乳の問題、肉の問題、みんなそうでありますが、こういうようなものは全部市販であるわけですね。私は実は昨日もいろいろと聞いたんですけれども、牛乳の質一つ取り上げてみても、いわゆる中に入っている乳酸菌というか、何というか、宮内庁でつくったものは非常に質がいい。質がいいのは私はいいと思うんですけれども、九九%菌というものが入ってない。ところが、市販されているものは、ある程度——いわゆる八割方あって、パーセントはだいぶ違う、だいぶ質が悪い。そうすると、われわれ人間が食べる場合、質のいい全然菌の入ってないものを食べるほうがいいのか、または多少菌が入っているやつを食べるほうがいいのか、健康上から見ても当然問題が出てくると思うんですね。だから、牛乳だけ取り上げてみてもそうですし、そのほかのものを聞いてみますと、ほんとうにひどいことになってしまう。要するに、特別上等なまっさらなすごいやつばかり食べておって、実際問題として、そこに育てられておるところの人間は、いわゆる青白い、抵抗力のない、ちょっと押せば倒れるような人間ができ上がりやしまいか、われわれ若い青年として心配なわけです。そういう点から考えてみて、そういう点にはどういうぐあいに考えていらっしゃるのか、この点まずお伺いしたいと思うんです
  51. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 菌の問題も実はありますが、それよりも食べて味がいいという点、お客にも満足していただけるという点が最も主だと思います。
  52. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 こういうふうないわゆる肉とかというようなものは、たとえば衛生管理、これは普通で言えば食品衛生法とかそれぞれあるわけですね。関係官庁もありますし、ちゃんとやっているわけですが、こういう点についてはどういうぐあいに管理をしていらっしゃるんですか。
  53. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は、一般の場合と同じように、厚生省の食肉衛生課のほうでときどき検査をしてもらっております。
  54. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、午前中の答弁の中に、畜産の改良に寄与している、そういうような話もございましたが、こういうことは農林省のそういうような関係のほうとよく連絡をとってやっていらっしゃるのかどうか、この点ちょっと聞かせてください。
  55. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は、農林省の畜産局のほうと常に密接な連絡をとってやっている次第であります。
  56. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは農林省に来ていただいておりませんが、昨日農林省の畜産局に聞きましたら、宮内庁のことは全然わからない——大体牛が何頭、何が何匹、それは頭数はわかっているけれども、その中身の詳細、管理等についてはもう宮内庁独自で全部やっていらっしゃって、実際何にもわからないということであります。実際問題、畜産の改良、そういう面に寄与しているということになると、実際はもう少し開放的になって、連絡を取り合ってやったほうが、かえっていい品種のものが生産できるのじゃないか、こういうぐあいにも思っておりますが、この点いかがですか。
  57. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 最近の係官がそういうふうにおっしゃったのかどうかわかりませんが、三里塚御料牧場の畜産の全般については、農林省の畜産局のほうに実は健康診断みたいに見てもらって、どういう点を改善すべきかということで意見書を出してもらって、その意見書も私は見ておりますが、この二、三年やらなかったかと思いますので、そういう点なお調べてみたいと思います。
  58. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実際に私はきょうは、牛乳の問題やら、肉の問題やら、いわゆる乳酸菌の問題やら、詳細調べてきましたが、これはやめますけれども、いずれにしましても非常に微妙な問題であります。きのうずいぶん突っ込んでやるつもりでありましたが、そういうことをやるとどうもおかしいと言われまして、きょうはその点はやめておきますが、いずれにしましても、こういうようなものは非常に大事な問題でありますし、特に最近は科学の進歩によりまして、それぞれ肉とかいろいろな製品も相当優秀なものが出ておりますし、それからバター、チーズにしてもいままでに見られない製品ができつつあると思います。そういうふうな点、製品の改良とかそういう点についてどういうようにしていらっしゃるのか。実際問題として、バターとかチーズとか近ごろはいい製品ができつつあると思います。そういう点は、なんぼ伝統とかなんとか言っても、それでは間に合わない。間に合わないといって、いつまでもそういうところでつくっているということは、宮内庁のためにいいのかどうか。実際問題、そういうものに長い間かじりついているということは、結局ろうそくやランプにかじりついて電気を忘れてしまったようなことになるのじゃないか。そういう点も心配なんですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  59. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) あそこの食品については、常に市中のものに負けない優秀なものをつくるように検討してもらうようには言っております。特に今度新しい高根沢の牧場に移る機会には一そうそういう点を進めるという意味で、古い機械器具類等で改善を要するものはそれを新しいいいものにかえる、この移転の機会にはそういう点も特に考えるようにいたしております。
  60. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの問題につきましては、あとで、職員の移転の問題とか、あるいは職員の採用の問題とか、そういう点について質問したいと思います。  もう少し生産品の問題で、先ほど答弁がありました生産品が余った場合、どういうぐあいに処理しているのか。先ほどちょっと答弁ありましたけれども職員に分配するとか、いろいろあると思うのですが、昨年一年間でもけっこうですが、大体どういうふうなことをやっていらっしゃるのか。当然やはり毎年あれだけの牧場から生産されるところの品物というものは相当なものであると思うのです。その点いかがでしょう。
  61. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 払い下げは、主として牧場の職員あるいは宮内庁職員及びその他この関係の者、一般の市中に出すほどのたくさんのものはありません。昨年の実績を申しますと、払い下げで千七百万円ぐらいが入っております。には千六百九十五万。
  62. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう少し突っ込んで聞きたいのですが、こういうふうに牛乳とか肉を牧場でつくった場合と市中から購入した場合と、経費の問題さっき出てこなかったけれども、どっちが安くつくのですかね。要するに、牧場でつくったほうがいい製品が安くできるのか、市中のりっぱな工場にいわゆるそういういい品物を特別に頼んでつくったほうが安くできるのじゃないかと、私はしろうと考えですが、そういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょう。
  63. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 市中の優秀品を必要なだけ買い込むといったほうがあるいは安いかもしれないと私は思います。しかし、あの牧場の生産品が、普通の市中品でまねできないものをつくっている点もございますし、なお、他の接伴とか、そういうような面にも使われまするので、やはりここには別の価値があると思います。
  64. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次の問題に移りますが、二番目の牧場のための理由の中に、儀典用の馬の話が出てまりました。これは最近は——戦後でけっこうでございますが、戦前はこうなっていて、戦後はこういうぐあいにしていると、それはいろいろあると思うのですけれどもね。要するに、実際に具体的に馬を使う例ですね、どういうぐあいに、どういうときに使っているのか、一年間に何べんくらい使うことがあるのか、そこら辺のところを一ぺん詳しく教えていただきたいと思います。
  65. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 一年間に何べんと正確な統計は持っておりません。一番回数が多いのは信任状の捧呈式だと思います。これは交際国が七十幾つかありますが、二年に一ぺんぐらいの交代でございますけれども、その全部じゃありませんからあれですが、やはり年に三、四十回あるのじゃないかと思っております。それからなお、国賓の場合も、これは一年に一回か二回の国賓がある場合にやはり使う場合があります。それから、その他外交団の接伴なんかのときにも、その牧場でですけれども、馬車を使うことがあります。これは年に三日間ですから、三日間だけかもしれません。その他特別の儀式、これは毎年ではありませんが、皇太子殿下の御結婚の儀のときなんかは、やはりこの馬車を使うということがございました。それから、これは皇居内で、最近はあまりありませんが、いろいろな、これはおもに馬車の関係ですが、そのほか乗馬の関係でですと、馬車を出すような場合に、前後に乗馬が使われます。そのほか、古式の馬術というのがございます。そういう場合にも使っております。以前は、園遊会のときに、皇居でやりましたときは、古式の打毬の馬術をごらんに入れたりしたこともございます。いま赤坂御苑ですからそれはいたしておりませんが、さらに皇居内で行なう場合には、そういう馬術をやって接伴にしていただくということになるかと思います。
  66. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは単純な疑問なんですがね。午前中にもちょっとだけありましたけれども、そういうぐあいにして使う馬は、現在日本では宮内庁の牧場以外にはないのですかね。要するに、そういうふうな役に立つ馬は宮内庁の牧場以外で飼育することができないのか、そこら辺のところはどうでしょう。
  67. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 最近宮内庁以外でそういう馬を利用されるのは、大体競馬馬が主になっております。競馬馬及び軽種馬——サラブレット系の、そういうのは相当やっておられますけれども、普通の乗馬——乗馬はある程度まだあります。ありますが、輓馬になりますと、あまりいま農耕馬なんか使われませんし、馬車で物を引っぱるという運搬用にも使われませんものですから、ほとんど国内では手に入れることができない状態になっております。
  68. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 馬は現在四十二頭いると聞いておりますが、これはいつごろから四十二頭で、最近はどういうぐあいにふえたり減ったりしてるんですかね。これは実際問題として、たとえば三里塚の牧場では、昨年一年間で——やはり三里塚の牧場に現在四十二頭いるんだろうと思うのですが、去年一年間でどういうぐあいに使われているのか、どういうぐあいに訓練をされているのか、その点もちょっと伺いたいと思います。
  69. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 三里塚のほうの四十二頭、その中には、当歳馬とか、二歳馬とか、一切まだ小さいのも全部含んでのことでございますが、この馬の頭数は以前に比較いたしますと減っているわけでございます。それは、以前は軽種馬もやっておりました。今度牧場移転を機会にそれはよすというので、軽種馬の飼育数が二十四頭ぐらいでございましたが、それは廃止をいたして払い下げをしてしまったからいない。あとは乗馬と輓馬でありますが、この乗馬、輓馬は、宮中での必要な場合に、その馬を牧場のほうから宮中へ持ってくるわけですけれども、年によって違います。二、三頭の場合もありますし、数頭の場合もあります。
  70. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、三番目の理由の接伴場として使用する場合ですが、これは具体的に聞かないとわかりませんので、いわゆる三里塚の牧場が昨年一年間に使用された件数は何件あるのですか、具体的にちょっと教えてもらいたいのですが。
  71. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 昨年ですと、接伴に使われたのは三日間であります。五月の新緑の候でありました。三日間でございます。
  72. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 三日間というのは、五月だけで三日間でありますか。
  73. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  74. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 というのは、一年間に一ぺんでございますね。実際のところ、非常にそういうような意味で私は、牧場のいわゆる設置されている意義のやはり三点の中の一番最後のいわゆる三番目に接伴用として使うというのが一番大事な意味があるのだろうとひいき目に見ておりましたのですが、よく考えてみると、一年にたった一ぺんだけということになりますと、実際問題存在意義というのは、やっぱりわれわれとしては考えざるを得ないように思うのですけれどもね。この点はどうかと思います。  それから、ちょっと今度は違う点から質問したいと思うのですが、非常に単純な質問で申しわけないのですけれども、大体はわからぬこともないのですけれども、牧場を何で新東京国際空港公団というのがつくるのですか。
  75. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先ほど瓜生次長から答弁ございましたように、三里塚の現御料牧場は、空港敷地の特に第一期工事のほとんど南半分を占めるという広さを持っておりまして、現在の御料牧場に御移転を願わなければ新しい空港ができないということで、これは空港の位置決定につきましての閣議決定の際にも、新しい御料牧場をつくってお移り願うということが御決定になったわけでございまして、したがって、空港公団といたしましては、新しい牧場をつくって、それから旧御料牧場に御移転を願う、そこへ空港の諸施設をつくっていくということで、私どもは新牧場の建設をいたすことになっておるのでございます。
  76. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはわかるのですけれどもね。高根沢の牧場で現在働いておる方々は、ほとんどの方が宮内庁の牧場関係の人である、こういうふうに聞いておりますのですが、これはどうでしょう。
  77. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 現在高根沢の御料牧場の建設のために現地に派遣いたしております職員の大部分は、むしろ公団の職員でございます。宮内庁の方々は設計あるいはまた実際の工事の監督というふうな観点からお見えになっていただいておりますけれども、現在私どもの公団のほうから直接職員を派遣しておる、こういう状況でございます。
  78. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、私が聞いたのと違うわけですけれどもね。それじゃもう少し詳しく、牧場をつくる場合は、飛行場をつくる人よりも牧場の専門家が私は多いのだろうと、しろうと考えにこう思うのですけれども、これは要するに、人員は何名で、どういう内訳になっておるのか、ちょっと聞かしてもらいたい。
  79. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先生がおそらくお聞きになりましたのは、すでに出張の形式宮内庁のほうから牧場関係の方々を高根沢に派遣しておられると思いますが、こういった方々がおそらく十数名程度行っておられるのではないかと、かように考えます。  高根沢の御料牧場の建設につきましては、これは公団の責任でございますので、私どもがやっておるわけでございますが、先ほど四十数名と申しましたが、御承知のように、新しい空港につきましても、農業土木といいますが、農業関係のやはり知識が相当必要でございます。敷地の中の方々は、ほとんど農民でございます。それからまた、新たに代替地に移られる方々の今後の生活設計というふうな面の御相談にも応じておるわけでございまして、現在の空港公団の構成員の中には、農林省のほうから相当の方々に来ていただいておりまして、おそらく先生も高根沢でお会いしたと思いますが、現在高根沢で総指揮をとっております空港公団の役員待遇の玉木参与は、現に農林省の水資源関係その他ダムの建設等で現場で相当の実績を持った方で、現在高根沢の牧場の総指揮をとっておるわけでございます。技術関係が何名か、事務系統が何名かということは、ここで私いますぐ手元の資料で御説明ができませんけれども、やはり土木関係職員並びに事務関係職員というものが適当に配置されておる、こういう状況でございます。
  80. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 工事の完成につきましては、先ほど少し話ございましたけれども、八月には家畜関係は移転ができるようになるそうでありますが、工事の進捗状況等はどうですか、予定どおりですか。
  81. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 開畑工事は、先生もごらんになったと思いますが、大部分完了いたしまして、すでに牧草につきましてはその収穫が始まっておるという状況でございます。それから土木工事につきましては、上水道、あるいはまた造園関係、道路、下水道というふうに逐次工事に着手いたしました。また、建築工事につきましても、すでに一部の建築物は完成を見ておるわけでございまして、その他の建築物についても、現在工事を進めておる、こういう状況でございまして、私どもは順調に進んでおるというふうに考えております。  で、全体の予算に対しまして契約率はどうかということになりますと、全工事に対しまして九九%はすでに発注を見ておるという状況でございます。若干雑工事が残っておる、こういう状況でございまして、全体の工事の進捗率としては五二%にすでに達しております。したがいまして、私どもは、貴賓館、これは宮内庁のほうでも必ずしも移転の際にできておらなくてもよいということでございまして、牧場としての機能的な施設は八月末までに完全に終わるというふうに私どもは確信いたしております。
  82. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体工事の概況はわかりましたが、建設費は二十二億円ということですが、この二十二億円の内訳と、それから二十二億円でできるのかどうかですね、この辺のところをお伺いしたいと思います。
  83. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先ほど瓜生次長からもお話がございましたように、予算としては、空港公団の予算に新牧場の建設費として二十二億円つけていただいたわけでございますが、その内訳といたしましては、用地費が七億一千万円、それから工事費が全体で一四億八千万円、若干工事費を細分いたしますと、土木費が六億、電気通信関係が七千万、それから建築関係が七億、それから設計関係が約五千万円かかりまして、大体総額で二十億円で完全にできると、先ほど申し上げましたように、すでに九九%発注済みでございますので、若干の予算を残しておるということで、二十二億円で完全にでき上がると、こういうふうに考えております。
  84. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何か下総と高根沢と比較すると、気象条件は高根沢のほうが雷とか雨が多いとかいうことを聞いているんですが、そういうふうな点に対する対策はどういうようになっているのか、一ぺん伺いたいと思います。
  85. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 高根沢のほうがいまおっしゃるような点がございますが、雨が幾らか多いといっても、それほどの差ではございません。それほど特別のことはないと思います。ただ雷の関係は多いようでありますが、それにつきましては、動物あるいは人間に被害のないように今度の二十二億円で建設していただける際に、そういう点を十分注意してもらっておるわけであります。
  86. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先日の視察に参りまして、現在、牧草地帯になっておるところは、もとは雑木林だったと、まあこういうように聞きました。それで、当然水害の対策等も立てていらっしゃる、ダムもつくっているということでございましたが、実際問題として、向こうに降る水量ですね、いわゆる牧場のところに降る水量をどの程度と計算されていらっしゃるか、そして水害に対する対策はどういうぐあいに考えていらっしゃるか、これをお聞きしたい。
  87. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 宇都宮地域の全体の降雨量というふうなもの、それによって、牧場をつくることによって排水をしなければならないというふうな面につきましては、宮内庁並びに栃木県当局とも十分御相談いたしまして、現在私どもとしては、新しい牧場に十分な排水施設をつくるということに決定して、工事を施行いたしておるわけでございます。牧場につきましては、先生がおっしゃいましたように、従来の雑木林が今度新しく農耕地になり、あるいはまたいろいろな施設が建つというふうな関係で、雨水をどう処理するか、それからまた人畜の汚水をどういうふうに処理するかというふうな問題があるわけでございますが、宿舎、それからまた畜舎というふうなところに、汚水の浄化処理施設をつくりまして、これをヒューム管暗渠によりまして、大体長さ十一キロメートルの水路をもちまして地区の南西端の貯水池——これが容量としては約二万五千立方メートルでございますが、この貯水池に導きまして、洪水時におきましての下流への放水量を調整する、あるいはまた汚水の浄化をするというふうなことをしながら、用地外の谷津川にこれを逐次排水していくと、こういうことで県の御当局のほうの御了解も得まして、御指導を得てわれわれとしてはこういう計画をつくったわけでございますから、こういうことで地元のほうも十分に御了解をいただいておる、こういう状況でございます。
  88. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 水害の問題は非常に大事な問題だと思います。現実にこの二、三日の雨でも相当水害が出ております。実際問題、あとでいつも、こんなによけい雨が降るとは思ってなかったというのが常であります。したがいまして、今回の場合も、要するにどの程度の雨までは耐えられると、どういうふうに計算されているのか、それ一ぺん聞いておきたいと思います。
  89. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 若干詳細な御答弁をいたさなければなりませんので、新牧場担当の米川理事からお答えさせていただきます。
  90. 米川健夫

    参考人(米川健夫君) 宇都宮の地方気象台の昭和五年から四十一年までの記録をもとにしまして確率計算を行ないまして、五分の一確率の時間雨量を算出いたしますと、一ヘクタール当たり六十一・三ミリということになりました。これによって排水路の計画をいたしました。それからダムの洪水調節につきましては、十分の一確率、十年に一ぺんという最大の量で一日に百五十一ミリという統計数字によりまして計算をいたしたのであります。なお、それに安全を考えまして、先般御視察をいただきましたように、下流に貯留池、ため池、ダムをつくりまして、一応そこにただいま総裁の御答弁の二万五千立米の貯水ができるという施設を加えまして、絶対に安全なという万全の対策をとった次第でございます。皇室の御料牧場という性格上、一般よりも非常に慎重に考慮いたしまして、万全の対策としてそういうふうな措置をいたした次第であります。
  91. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、その点についての質問は以上で終わります。  それで、次に、先ほど次長から答弁ありましたけれども、御料牧場のいわゆる生産に携わっている人たちですね、ああいう人たちは、まあ先日からいろいろお伺いしておりますと、いわゆる親子代々、何というか、伝習された、いわゆる職人かたぎの人が、多いように私は聞くわけですけれども、そういうふうな人たちがですね、たとえば欠員ができた場合にはどういうぐあいにするのか、そこら辺の人間関係は一体どういうぐあいになっておるのか。われわれどうも何か特別の人がというような感じがするわけですけれどもね、そこら辺のところはいかがでしょうか。まあそういう人たちに対する監督、指導というのは一体どういうぐあいになっておるのか、どの範囲になっておるのか、その点お伺いします。
  92. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この牧場の従業員で、まあ親子代々というような人もごくわずかはありますけれども、大部分はそうではございません。特に幹部のほうなどは、農林省から来てもらったりして補充したりもしております。なお、下のほうの職員について欠員ができました場合、まあ三里塚でありますと、あの付近でその希望の人を入れて、まあだんだん教育しながら間に合うようにしていくというようにいたしております。
  93. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、現在三里塚の牧場につとめていらっしゃる人は、まあ聞くところによりますと、大部分の方が高根沢に移ると、そういうぐあいに聞いておりますが、一部には地元に残らなければならない、まあ家族の都合とかいろいろあるのじゃないかと思うのですが、そこら辺のいきさつは大体どういうぐあいになっておりますでしょうか。
  94. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在三里塚の牧場のほうにおります要員は百四名でありますが、そのうち高根沢へ移ってよろしいというので、移るつもりでおります者が八十四名ですが、二十名の差がございます。二十名のうちで三名は、宮内庁の本庁のほう、東京のほうへかわっていく予定です。あとの十七名の人はやめてしまうわけでありますが、そのやめる人の行き先は、空港公団のほうに引き取ってもらう人、あるいは市役所に引き取ってもらう人、あるいはあの近くに民間の小さな牧場があります、そういうところへ移る人というのが大部分。なお、就職を希望しないという人もあります。これは二、三人であります。これは自分の家へ帰って農業をするというような人がおります。
  95. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先日の視察でも、宿舎は、二ヵ所に分かれて相当たくさんの宿舎をつくっておりましたけれども、今度の牧場に勤務する皆さんは、大体ほとんどがあの宿舎の中に入られるのか、またはあの宿舎以外のいわゆる民家のところから通うことができるのか、そこのところはどういうぐあいになっておりますでしょうか。
  96. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 希望者は全部あの宿舎に入られるようになっております。
  97. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、希望者は宿舎に全部入られるようになっておるということは、要するに入らないかぬということじゃないわけですね。要するに、たとえば地元から通うこともできると、そういうように解釈してよろしいでしょうね。  それから、いわゆるその家族の中には、学校に通っているお子さんもみないらっしゃると思うのですけれども、そういう方々はやっぱりあれ歩いたら相当時間がかかるのじゃないかと思うのですが、どのくらい時間がかかるのか、またそこら辺に対する対策はどういうぐあいになっているのか、これも一ぺん聞いておきたいと思います。
  98. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 家族の学校の関係、こまかく調べたものがございますが、大体を申し上げますと、三里塚にいる場合よりは小学校もちょっと遠いですが、しかし倍まで遠くはございません。中学校もちょっと遠いが、倍ほどではない。高等学校もちょっと遠いが、場合によると三里塚でも非常に遠くに行っている人があります、高等学校で。それぞれやや不便ではありますが、著しく不便ではないという状況でございまして、そういう点、家族の人も宿舎の関係はいまの三里塚よりもよくなりますし、まあやや不便だけれども、特別の不満を持っておられないような状況であります。
  99. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではもう一つだけ聞いておきたいことがあるのですが、先ほどちょっと質問の中にありましたのですが、最近でも、献上品というのですかね、そういうものがあるのかどうか、また認可される品物ですね、そんなものはどういうふうな基準で認可するのか、またどの程度のものであるのか、そこら辺のところちょっと一ぺんお聞きしておきます。
  100. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この献上品といいますのは、現在受けられますのはいろんな県の特産品などでございまして、主として、行幸をされます、そういう場合にその県でいろいろ御視察になる、その場合にその県の特産品をその機会に献上したいと言われるのを知事を経て受けているのがおもであります。なお、行幸のない場合でも、特に知事を経て特産品の献上を申し出られる方については、どちらかというと産業奨励というような意味でお受けになるのでありまして、それ以外、普通の、特に芸術品のようなものですとか、そういうようなものを献上したいという方がありますが、これはお断わりをしております。で、その全体の金額が、内廷、両陛下から皇太子殿下全部合わせまして年額約二百二十万をこさないようにいたしております。
  101. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう聞きたいことは全部聞きました。それでもう聞くことはないんですけれども、今度の設置法の中で、実は第一点と第二点とありまして、第二点のほうは全部終わったわけですけれども、第一点のほうで一つだけ聞いておきたいのですけれども、新しい宮殿ができまして、昨年の十一月ですか、一ぺん一般公開したことございますのですが、やはり新しい憲法下にあって、何といいましても宮殿をもっと私は一般に公開したらどうかと、こう思うのですけれども、まあ警備とかいろんな問題でむずかしい問題もずいぶんあると思います。また、いままでもこういう質問はされた方もあると思いますけれども、率直に申し上げまして、もう少し開放していただけないか、このように思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
  102. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 新しい宮殿の参観、これは外回りから見ていただくことにつきましては、現在も、午前千五百、午後千五百、一日三千人の範囲で係員が案内しておるわけでございますが、しかし宮殿の中ということにつきましては、これは行事との関係もありますし、いろいろじゅうたんその他が損傷するような点もございますので、そういう一般の参観はいまのところは考えておりません。ただ、宮殿内で行事のために両陛下にお会いをされるような、いわゆる賜謁というのが最近相当多うございまして、賜謁のために宮殿の中へ入られる、そういう場合に中でごらんいただける機会が以前から見れば数がふえていると思います。
  103. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 牧場の問題につきましても、宮殿の問題につきましても、ともに私たち国民にとりましては非常に関心の深い問題であります。したがいまして、先ほどから私は質問をしておりまして、いろいろやっぱり幾ら質問しても疑問は残るわけです。牛乳の問題につきましても、またお米の問題——言わなかったんですけれども、お米の問題もずいぶんといろいろあるらしいです。きょうは質問しなかったんですけれども、要するに日本国じゅうでこれより最高のはないというような米を食べておられるという話を聞きまして、それはそのとおりだろうと思うんですけれども、いろいろ問題が一ぱいあると思います。しかし、国民から遊離しては何にもならないと思いますし、どうかそういう点も配慮していただいて、まあ両方とも——私も新しい宮殿は見ておりませんけれども、実際問題見たい人もたくさんいると思いますし、その開放と、それから牧場のほうにつきましては、特に被害とか、公害とか、水害とか、そういう点には十分注意をされて建設されるよう望みまして、私の質問は終わります。
  104. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  105. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記を起こして。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 時間がはんぱになるかもしれませんから、直接宮内庁設置法そのものではないのですが、関係のある新東京国際空港公団法の一部改正案がいま運輸委員会にかかっているわけなんですが、この法案とこの三里塚の御料牧場並びに高根沢の新しくできる牧場、これとの関連性について若干お伺いしておきたいわけなんですが、これは航空局長見えているようですから、公団法の関係で、この三者の関係についてどういう関係になっているのか、そこのところを若干聞いておきたいのですがね。
  107. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 直接公団法の改正と、それから三里塚御料牧場との問題でございますので、私からお答えをいたしたいと思います。  公団法の一部改正は、現在の御料牧場の中にある国有地の部分、これを公団に政府から現物で出資していただくという現物出資の関係でございます。その現物出資していただく総面積でございますが、現在下総の御料牧場は四百三十九・五ヘクタールございまして、この中で私ども政府から現物出資をしていただくというものは空港の敷地内並びにそのすぐ隣接する騒音区域で、私どもとして将来付帯施設をつくることを考えておるのでございますが、それを合わせますと現物出資の部分が二百四十九ヘクタールでございます。それから、それ以外の部分につきましては、敷地内の農民の方々の代替地になる部分、これが約九十七・六ヘクタールございます。それから、国が将来公園をつくり、あるいはまた政府職員の宿舎をつくるというふうなことで、十七・八ヘクタールばかり国が保留する分がございまして、こういったものは、私どものほうへ現物出資をしていただくのではなくして代替地になる部分については、この空港敷地内にある県有地と交換していただくというふうに考えております。
  108. 北村暢

    ○北村暢君 いや、そういうことを聞いているのではなくて、だから公団の総裁でなくて、運輸省側に——運輸側はだれですかな。公団法の一部改正は現物出資をするための法案ですね、したがって、この現物出資を政府がするためには、それ以前に御料牧場が移転をしておらなければならないのかどうなのか。現在御料牧場は三里塚で従来の設置法に基づいて事業をやっているわけでしょう。移らなければ現物出資されないわけですね。しかも、高根沢の牧場、二十二億で新しく建設せんとするものと、現在の御料牧場の一部と、建物交換をするようになっているわけでしょう。その関係で、公団法が成立しなくても、設置法が成立すれば御料牧場は移転できる、こういうことになるのかどうなのか、ここら辺の関係がちょっと、三つの関係法案が出ておるものですから、そこら辺のところを解明してもらいたい。実は、したがって総務長官に来てもらいたかったのですけれども、そのどういうふうになるということではなくて、法律的にどういうふうになっておるのか、その三者関係を聞きたかったわけです。したがって、政府の責任者でどういう関係になるのか、そこら辺のところをわかるように説明してもらいたかったわけです。
  109. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この三里塚の御料牧場は、この宮内庁法の一部改正法律案が通りますれば、この高根沢のほうに移転ができるし、移転をする方針でございまして、その交換以外のあと地がどういうふうに処置されますか、これはまた別の問題だと思います。
  110. 北村暢

    ○北村暢君 ところが、公団は高根沢の牧場を建設しているわけでしょう。それと交換になると、こういうことがあるわけですから、公団側からすればどういうことになるのでしょうか。あと地をどうするかということについては、あとのことで、私のほうの関係ではございません、こういうことのようですが、あと地は、これは皇室財産ではなくなって大蔵省の普通財産になるのですかな。そして高根沢のほうは新たに皇室財産になる、こういうことがあるのでしょう。その点について、その権利関係の移転の時期はいつになるのですか。それと、公団の現物出資——出資を受けるわけですから、その時期との関係においてどういうふうな処理をされるのか。したがって、これは大蔵省の理財局長にも来てもらって、その辺の処理のしかた、経理のしかたを実は明らかにしてもらいたかったわけなんですが、その点は後ほど質問することにしますから。とにかく宮内庁設置法さえ通れば、ほかのことはどうであろう、こうであろうにかかわらず、三里塚の御料牧場は高根沢に移転することが法律的に可能であると、こういうことですか。
  111. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前も北村委員からいろいろ質問がありまして、成田の新国際空港ができても、米軍機がここに立ち寄らないとか、そういう保証というのはほんとうにあるのですか、どうなんですか。
  113. 川上親人

    説明員(川上親人君) ただいまの御質問でございますが、ほかの委員会、また当委員会におきましても御質問があったのではなかったかと思います。たびたびディスカッションされてきた問題でございましたが、私どものいままでの基本的な考え方といたしまして、新東京国際空港ができました場合に、これを戦闘用の目的あるいは軍事基地として提供するというようなことは、これは拒絶いたしますということを従来たびたび申し上げております。拒絶すると申し上げましても、それは地位協定第二条に基づきます、地位協定二十五条に定める日米合同委員会を通じましてそういう提案がありましても、施設、区域の提供は一切しないというたてまえにおいて拒絶できるという見解を明らかにしているわけでございます。  先生の御質問はそこではなくて、むしろ地位協定第五条において入る権利があるのではないか、それを断わることができないのではないかという御質問かと私は了解したわけでございます。その点になりますと、確かにいままでも各委員会を通じて、法律的にあるいは法理論的にこれは拒絶できるかということについて、拒絶はできません、地位協定第五条の権利というものは確かにございます、という御答弁を申し上げているわけでございます。ただ、だからといって、新東京国際空港が米軍機に使われるということが望ましいかということにつきまして、われわれは、それはきわめて望ましくないのだという立場を申し上げているわけでございます。新東京国際空港が純民間空港として整備されていきますこの特別な経緯にかんがみまして、従来何回か申し上げたかと思いますけれども、現在羽田におきましてMACチャーター機が使用回数が多くなりまして民間航空の支障になるような場合におきましては、外交ルートを通じましてたびたび米軍側に配慮を求めまして、それの結果、米軍側でも配慮いたしてくれまして、そのつど使用機数は少なくなってきている。この前この委員会でも私申し上げたわけでございますが、前後三回を通じたその実績におきまして、話し合いというか、外交ルートを通じての要望をいたしますと、十分こちらの意向をくんで協力してくれる。こういう実績に基づきまして、新東京国際空港におきましても、われわれのその決意を述べることによりまして、成田空港を、MACチャーター機のいわゆるテクニカル・ランディングという場合につきましても、ごく例外的な場合にだけ使ってもらうような、そういう結果というものは十分期待できるものである、かように考えている次第でございます。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 つまり望ましいということだけなんですね。そこのところを混同されているのですね。これはずいぶん私たち富里の空港問題が起こった時代から関係してきたのですがね、この問題はやはりいまの安保体制下の中においては、背景としては必ずある問題ですから、だから基地に直接するとかなんとかという問題はいまのところないとしても、しかし安保条約に基づくこれは地位協定のたてまえからすれば、第五条の発動があればどうしてもこれは提供しなくてはならない。そうすると、いまも認められたように、拒否はできないのだ。ただ、拒否はできないのだけれども、まあ向こうのそういう要求の範囲内でこれを少なくしてもらうのだ、望ましくないのだから少なくしてもらうのだ、こういうたてまえですね。ところがどうですか。実際これは現地なんかに行ってみて、やはりだんだん事態が明らかになるに従って、現地の農民なんかは、結局これは米軍機が入ってくるのだ、輸送にも使われるのだ、チャーター機という形もとるだろう。しかし実際の場合には、これは米軍機もちゃんと入るということもこれは起こるかもしれない、こういうことになりますというと、いかにも米軍には使わせないのだということが宣伝にはなっておるけれども、しかしそれは根拠がないのでしょう、いまの安保体制下においては。地位協定のたてまえというものを認める限りはこれは根拠がないのでしょう。望ましいなどというのは、これは希望的観測なんです。そうして戦局が非常に激化してくる、しかもSSTのような大型の、四千メートルはこれはどうしても必要だと、滑走路が四千メートルなければならぬということになると、どこに着けます。この前から話し合って、ほかのところに着けるのだというけれども、そういう事態が起こってくれば、これは日本の米軍の基地自体もこれをまかなうのはいまのところない。そうなれば、結局はあそこを選ぶよりかなくなってくる。だからそういう要請から、どうしてもこれはここのところに着陸さしてほしいと、こう言った場合に、こばめますか。
  115. 川上親人

    説明員(川上親人君) 先ほども申し上げたところでございますが、羽田につきまして、現実の事実といたしまして、外交ルートをもって折衝いたしましたときに、こちらの立場というものは十分考慮してくれているわけでございます。そういう事実の認識に立ちまして、成田空港の成立までの経緯、またはこの空港を純民間空港として育てていきたいという、このいわば国民的な願望といいますか、そういうものを述べています場合、必ずこれにこたえてくれるという私は確信を持っておるわけでございます。そういう前提におきまして、事実上これが人道的にやむを得ない場合、そういうふうなごく限られたテクニカル・ランデイングというようなものについてのみ使用されるということはございましても、一般的に任意に使用されるということはないというふうに、またそういう結果というものは必ず話し合いの過程において期待できるということを先ほど申し上げたわけでございます。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、そうあなたおっしゃいますがね。それなら、これは具体的に証拠を示してくださいよ。つまり何月何日に米軍に交渉して、いままで入っていた米軍機が何機減ったか。ちゃんと足跡があるのだから、そういう一般論でやったって話になりませんよ。われわれの見るところではそうなってない。それは一時的にちょっと減ったりしますけれどもね。いま言ったような大げさな話にはこれはなっていないのですよ。そうでしょう。どうです。やってごらんなさい。ここにあるのだから、あなたたちにもらった資料あるのですから、何月何日にこういう要請をやったら、それからこう減る、またふくれるでしょう、戦局が変わるのだから、ベトナムの。そして米軍はそれをやってもそれほど差しつかえないといったときはいれたかっこうをするのだ、しかし必要があるというと、これは強引に入れてくるでしょうが。これは板付で経験済みです。板付の例を見ていればわかるのです。あそこのところは、これはずいぶん米軍が使わないということでやっておったのですが、戦局が激しくなるというと、あれは強引にやったでしょう。ああいうことがやられるわけだ。だから私たち、そういう説明だけでまかり通ろうとしても、これは国会論議ですからね、この場は。だから証拠で、ちゃんとあるわけですから、何月何日にいままで要請してこうなりました、これを示してください。
  117. 川上親人

    説明員(川上親人君) 実は羽田におきますところのMAC機の運航にかかる米側の申し入れというのは前後三回ございます。第一回は四十二年の三月十八日でございまして、まあそれまで四十二年の一月が、実は着陸回数で申し上げますと百九十九回、二月が二百回、こういうふうな状況であったわけでございます。だんだん増加する傾向にございましたので、米側に自粛を要請いたしました。なるべく横田を使うように、やむを得ず羽田を使う場合には、十一時から十八時までの比較的羽田空港のすいている時間帯を使うようにという要求をいたしました。これに対しまして、四十二年の四月十五日、米側の協力を約束してもらったわけでございます。その結果、それまで二百四十一機というような状況でありましたものが、五月に百四十三機、六月に百四十機というふうにまた逓減をいたしました。ただその後さらに、先生先ほど御指摘のように、一時的に利用回数がふえるというふうな事態もございました。四十三年の三月十一日に第二回目の申し入れをいたしております。このときは、四十三年の二月に二百二十八回、三月が二百八回、四月が二百十二回というふうに、二百回をこえるというふうな状況にいたりましたので、自粛方の要請をいたしました。同月三月二十五日に協力の返事があったわけでございます。この結果は、いま申し上げましたような回数に対しまして、五月に百八十二、六月に百七十二、七月百七十一というふうに、逐次実は逓減いたしておるわけでございます。さらに第三回目の申し入れば、今年の二月十一日に申し入れたものでございますが、これは羽田空港におきまして、スポット建設工事を実施するためにAランクローズをする、こういうような問題がございました。現在羽田におきまして私どもが非常に苦労しておりますのが、このスポット不足の問題でございます。このスポット建設の増設工事のために、現在ありますスポットそのものも一部使用中止をしなければならないものも出てまいります。そういう関係もございまして、当分羽田を極力使わないように要求をいたしましたわけでございます。この結果、この前も申し上げたんでございますけれども、百九回、三月が百二十二回というふうに、逐次前年同月に比較いたしましても非常に回数は少なくなっている、こういうふうな事実がございます。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常に少なくなっているというお話ですが、先ほどのたとえばこれは四十二年、いまの説明ですが、どうも納得できないんですが、四十二年に交渉したとき二百三十四機、それが百機少なくなって百四十二機、六月百四十機、七月百六十九、八月百七十四と言っているが、九月になって二百九、十月は百二十九、十一月百八十一、十二月二百七機、こういうふうにまたもとに戻るんだね。そうしてさらに第二回の四十三年三月、それから、これはもう二百十二が百八十二、百七十二、百七十一、百五十七、そして百十二、九十五、百六、百五、こういうふうに減っていくけれども、これは戦況が変わってきているでしょう、ジョンソン提案があったりパリ会談があったりして。だから、米軍の都合のいいときは応ずるけれども、これはさきの四十二年の例でわかるように、ちょっとこれは二〇%とか三〇%とか減らしたりしますね。いつかまたもとに戻ってしまう。こういうことでしょう。私はこういう形というものを正確に見ないと、いまの議論というのは非常に説明用になっていると思うんですよ。だから、実際これは先にいって核戦略体制が強化される、それからこれは本土だって沖縄並みに使われないという保証もなさそうです、先の見通しとしてね。そういう時代になれば大型機が必要だ。これはおそらく大型機になる。そういうふうになるというと、結局成田の空港ということになり、われわれの希望にもかかわらず米軍のために使われることが非常に多くなってくる。だから私は羽田のあれを見ればいいのです。羽田での願望、願いというのは、そういう形で一体この問題は解決されておりますか。そういうことは望ましいなどということで折衝してみたって、そういうことで、はたしてこの問題解決できるか、あなたたちの出しているこれは「政府の窓」——「時の動き」を見ますと、せっかく民間航空発展のために計画した成田の新空港に米軍の輸送機がはんらんしたり、ましてこれが基地になるなどということは絶対にありませんと、こういうように書いてある。これは基地になるかどうかということは先の問題として、相当これで米軍側に使われるということが起こってくる。そういう可能性は十分あるのじゃないか、こう思っておりますけれども、これは法的に、条約の上から見てもそう言い切れない。結局おおむねそういう態度でこれを実現するということにすぎないので、そこのところは私たちは非常に、安保条約そのものがまさにわれわれのそういう権利というものを踏みにじるということを示してきている。
  119. 川上親人

    説明員(川上親人君) 実は先ほど申し上げたことのほかにもう一つありまして、この四月十八日でございましたか、別の委員会だったと存じますが、政府委員としてそういう答弁を申し上げているわけでございますが、成田ができまして二つの空港ができました場合に、MACチャーター機の扱いに対する一つの基本的な考え方と申しますか、羽田もそれから新東京国際空港も、いずれも協定五条の規定による着陸あるいは出入でございましても、これは両方同じように制限的に今後要請をするというか、そういうふうな取り扱いをしてまいりたい。しかしどうしても着陸しなければならないという実態が生じた場合には、その問題は成田に持ち込まないで羽田で問題を解決するようにいたしたい。といいますのは、羽田におきましては給油施設が非常に十分ございます。大型機が参りましても給油能力がございます。燃料補給というか、テクニカル・ランディングということでございましたら羽田で十分受け入れられるし、またそのほうが便利であるのじゃないか。実際問題として民航の成田ができましたあとの羽田の姿といいますのは、国内ライナーを中心にいたしました国内線の一応空港になるわけでございますけれども、そこに受け入れていくという考え方をとりたい。そういうことをひとつ含みといたしまして、したがって、成田においてはできるだけ入らないようにしていくのだ、同じく米軍機あるいはチャーター機が羽田なり成田に入るということは共通して民航の支障にならないように押えていくとは言いながら、そこに微妙なニュアンスの差があるということを実は申し上げているわけであります。そういうことを前提といたしまして、私は先ほどのように、元来は米側に提供してございます施設または区域を使用して行なわれるべきが原則でございます。例外として羽田あるいは新東京国際空港が使われると、こういう形であろうかと思うのでございます。その場合にも、どちらかといえば羽田で問題を処理いたしまして、新東京国際空港はあくまでその純粋性を保たれることにいたしたい、そういうような方向で今後強く要望をしていきたいと、その要望はたぶん私は実現可能性というものが非常に強いのではないか、かように申し上げたわけでございます。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 要望は要望として、しかし要望はそのまま通らないこともたくさんあるのです。これが米軍というものですよ。そういうことは枚挙にいとまがないのですからね。そして、いまのままの態勢で当分はそのようなことでいくでしょうけれども、大型機になってきたらどうなります。羽田にと言ったって、羽田に着陸できないでしょう。給油の施設があるとかないとかいったって、羽田自身がそういうようなことに置かれてくれば、民航として、機能というものはやはり非常に軍事的な色彩を持ってくる。いまの段階だって、年間にどうですか、ピークのときには二十万以上の軍隊が送られておったのでしょう、どうです、ベトナムに、羽田を通じて。そういうなにがあるのですよ。計算するとそういうことになりますよ。だから、そういう事態で、やはりどうしてもこの点について、単にお願いとかそういうことではもう解決つかない問題が出てくるのです。そして、成田は先にいって純粋性を保ちたいなどと言っているけれども、いろいろな条件の中で、はたして一体そういうことが可能なのか。そんなのは単なるこっちの希望的観測にすぎないのであって、事態が非常に変わってくる。それから輸送機の性能も変わってくる。こういう時代になってくると、そういうところは結局は成田を使わざるを得ないということが出てくる。そういう中で、安全でございます、安全でございますといって宣伝したって、それは単にこっちの希望的観測ということだけで、たよれないということです。それをはっきり保障する根拠があるか。というのは、国民のやはりそれは権利や生命を守る問題と関係してくるのですね。そういうものですからね。それから、民航をつくっていままで宣伝してきて、これが平和的利用だと、それから、世界の航空情勢に即応するために当然これは日本でなさなければならない——そこだけ大宣伝してきたのだが、それを得たりかしこしとして、実際背後からこのような軍事利用の影が忍び込んできている。そういう根拠はある。根拠はあなたも認めたように、地位協定がある限りこれはどうしたって認めざるを得ない。弱いのだ、こっちは。まるでおもやを取られていることになる。だからこの点は、実は羽田だけで対決をした対決のしかたを見れば、成田がほぼ見当つくと言うのですよ。羽田のとき、やはりこれは地位協定の第五条があるから、どうしてもこっちは強く要請ができない。交渉もできない。そういうことで、一応向こうは聞いたような形をとっているけれども、必要があるときはいつでももとに戻ると、こういうことなんですね。そうなると、いざという場合にはどうするかと言うのです。そういう非常事態が起こった場合にどうするかということが出てくるわけです。軍事利用するとかしないとか言ったって、もうされるにきまっている。そういう編入です。そういうものを裏づけるようなものはたくさんあるわけですよ。これらの作戦のそれ一つ見たって——これは重要作戦などと言っておりますけれども、それは一つの構想だ。全部編入されてしまう。民間の要員だって全部編入されてしまう。軍の命令です。そういう体制になるのです。どうですか。
  121. 川上親人

    説明員(川上親人君) ただいま先生がおっしゃられましたような、常時計画的、継続的に新東京国際空港である成田が使われるということになりますと、私はこれは日米合同委員会の当然の問題になる性質のものかと思います。先ほど来申し上げましたように、基地または戦闘目的に使われるということについては、一切拒否するという立場でございますので、そういう関係については、十分これは拒否し得るというふうに理解いたしております。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点について、外務省の見解お聞きしておきます。どうなんですか。そんなことできますか。
  123. 松原進

    説明員(松原進君) 地位協定におきまして、米軍機が日本の飛行場を使い得る場合は大まかに申し上げまして二つあると思います。  第一は、地位協定第二条第一項(a)の規定または地位協定第二条第四項(b)の規定によりまして、施設、区域として提供し、あるいは米軍が共同使用という形で使われる場合でございます。その他に、先生御指摘の第五条に基づく日本の空港への出入としてあろうかと思います。  ただ、その二つがございますということは、先ほど監理部長が申しておりましたように、本来の軍事目的なり戦闘目的のために使うというための飛行場ということは、ただいま第一に申し上げました点、つまり施設、区域として提供しあるいは共同使用せしめるという形によって米軍がこれを使用するのが当然でございまして、第五条の規定によりまして日本の飛行場を使うときに、戦闘目的固有のためにこれを使用するということは想定されておらないわけでございます。そういう意味におきまして、先ほどから監理部長申し上げておりますように、第二条の関係の規定によります米軍の使用ということは絶対にさせない。第五条に基づいて、その場合におきましても、ただいま申し上げましたような制約のもとに米側としては使うわけでございますから、その範囲内で使うということについては、合同委員会を通じまして日米間で十分協議をし、いやしくも民間飛行場としての機能に支障を来たすというようなことはさせない。それは日米間の合同委員会を通じての協議によりまして、十分合意が可能であると考えております。
  124. 岩間正男

    ○岩間正男君 いままでどのくらい持ちましたか。何回持っています、日米合同委員会。この問題について分科会持たれましたか。先ほど交渉と言ったが、この交渉はどういう種類の交渉ですか。これは運輸省とそれから米軍ですか、先ほど三回交渉を持たれたというのは、これはどういう種類のものですか。
  125. 松原進

    説明員(松原進君) 先ほど羽田空港の使用の規制につきまして運輸省当局から御説明がありましたのは、合同委員会を通じての米側との協議でございます。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは分科会ですか。
  127. 松原進

    説明員(松原進君) 直接合同委員会の本会議で出しております。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 合同委員会でやってるんですか、三回も。そういうことですか。
  129. 松原進

    説明員(松原進君) そうです。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことですか。そこでこれはどういうなにをとっていますか。ちゃんといまあなたが答弁されたことを、何か一札かなんかとっているのですか、合同委員会の決定として。どうなっているのです。口頭ですか。
  131. 松原進

    説明員(松原進君) 場合によって文書をもって申し入れをいたしております。いずれにいたしましても、米側の協力あるいは善処の約束というのは、合同委員会の場において確認されております。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 合同委員会の何か合意書みたいなもの、それは何かつくって、文書にしてあるのですか。お互いに確認した、そういうものはあるのですか。いまのやつは。
  133. 松原進

    説明員(松原進君) その形式つきましては、先生御承知のように、合同委員会の合意内容につきましては、そのまま外部には原則として公表しないというたてまえになっておりますので、形式つきましては、ここで一方的に申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  134. 岩間正男

    ○岩間正男君 いやそれはあなたたちいつでも使う手だ。これはいつでも秘密だ、向こうと交渉しなければ発表できませんとかなんとか言ってね。それで合意して、ちゃんとお互いが確認し合って文書化されてあるのですか、ないのですか。それを聞いておるのです。
  135. 松原進

    説明員(松原進君) ただいま申し上げましたようなことは、合同委員会の場において確認をされております。
  136. 岩間正男

    ○岩間正男君 あるわけですね。これは資料として出せないのですか。向こうの了解を得たらできるのでしょう。
  137. 松原進

    説明員(松原進君) 出すことは、先ほど申し上げましたように米側との約束もございますので、資料として提出することはできないかと存じます。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 できないことはないと思います、向こうが了解すれば。なぜかといえば、米軍に対していま国民のこういう、いやこれじゃ困るというなにが出ておるのです。これは羽田に行ってみれば、やっぱり相当羽田の機能というものは、米軍によって不十分にされておるところがありますよ。それから労働者の数ふやしておるというのでしょう。——労働強化も起こる。時間的にとんでもない時に行くから、管制が非常に複雑になってくる。こういうチャーター機は優先でしょう。これはどうなんですか。優先なんです。あれ見ていると、米軍のなにが入ってくるときにはほかの飛行機は飛べないようにされておる。そういうふうになると、管制の上からいっても非常に制限を受けるわけでしょう。したがって、これはいろいろ国民の生活を圧迫しているわけですよ。だからそれに対していろいろ要望がある。それに対して米軍がこたえたというのなら、当然それを、いい答えをしたというのならそれを発表したほうがいいわけです。ところが、いつでもあなたたちは暗幕の中に入れてしまう。いつでもそれは秘密でございます。外交上の秘密でございますから、米軍との了解なしに出すことはできませんといって逃げてしまうのですけれどもね。
  139. 松原進

    説明員(松原進君) 先ほどから御説明いたしておりますように、米側との話し合いの内容につきましては、運輸省当局からすでに詳細御説明があったとおりでございます。したがって、内容そのものについて隠しておるということは全くないのでございます。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 私があげましたように、一時は、こちらから申し入れをしたら少しは減ったことがあるけれども、またもとに戻っている、そういう事態ですから、それが守られて、ずっと減っている、使わないことになったと、こういうことだったら、私たちこんなくどいことを聞くわけはないのですけれども、実際はそうじゃなくて、絶えず変わるのです。それからそういう戦局の動きによって変わってくる。それからさっき言ったように、飛行機の性能によっても変わってくる。そういう不安定の上に立たされているのです。そうして成田の新空港ができたとしても、依然として同じような基礎の上に立たされておる。だから、成田は純血を保ちたいとか何とか言ったって、それはできないようなそういう基礎の上に立っているのだというこの事態だけを明らかにしておかないと、国民は信用しているのだが、ある日一夜明けたところが、そこにどうしてもたくさんの米軍機がちゃんと着陸をしておる。そして本格的に使わない保証がないのです。そういう保証がありますか。その保証をはっきり確立しておかなければ、私たちはこの問題、ずいぶんこれは富里時代からずっと問題にしてきて、実際は軍事的利用がないないということを宣伝してきたけれども、条約的に見たってそういうことです。それから羽田のいままでの実態を調べてみればそういうことなんです。羽田にあることが成田にないのだと、そういう保証も今度はっきりあるのだったら、それを示してもらいたい。そうすれば私たちは、成田空港を民港として、いわゆる先ほど話のあった純粋性ということ、米軍が入れば純粋でなくなるということを裏づけされたようなことを言われたわけなんだけれども、それを保つためにどうしてもこれを聞く必要があると思う。どうもこの論議、ずいぶんやられているのだけれども、私たち聞いていて非常にやっぱり不十分になっちゃう。何もないのでしょう、そういう保証は。あるなら示してもらいたい。そこのところを明確にしておかなければ、これはわれわれ、国民に対して責任は果たせない。結局、私は外務大臣にやっぱり出てもらわなければならぬ。今後これは折衝するのかどうか。
  141. 松原進

    説明員(松原進君) 先ほど来申し上げておりますとおり、五条の規定によりまして、米軍がわが国の飛行場を使いますというのには一定の制約と申しますか、前提がございます。したがいまして、それを破るような事態ということは当初から想定をされていないわけでございます。いずれにいたしましても、地位協定の第二十五条に規定がございますように、地位協定の実施に関して協議を要することについては、すべての事項について合同委員会で協議をする、こういうことになっておりますので、五条の規定の実施に関連しまして、ただいまの合同委員会の権限に基づきまして十分米側と調整をし、円満な解決をはかることが可能であると、こういうふうに考えております。
  142. 岩間正男

    ○岩間正男君 残念ながらそういうことまで期待することはできないのですね。われわれは日本外交の力関係を知っているし、いままでの実績をたくさん知っているから、うかうかとそれをそうでございますかとは言えない。努力することはこれは当然だし、そういうことは言えますが、ほんとうにそれでもってわれわれは安心なんかできる問題じゃないんです。だから、はっきり政府はそういう立場で絶対使わせない、そうしてそのために万全の努力をして、これをはっきり向こうに合同委員会を通じて認めさせる、こういうことを外務大臣出てきて言明すれば……。とにかくそうでない限りは、とても国会での法案を通すための説明だけじゃ安心できないです。一夜にして変わる可能性があるからですよ、いま日本の置かれておる情勢の中で。そういうことはここで論議しません。これは防衛二法案が出てくれば、いやおうなしに触れざるを得ない問題になってくる。そうでしょう。そういう事態というのが想定されるから私は心配しておる。だから、ほんとうに民港としてのいわゆる純粋性を保つということを保証するだけ、そういう一体政治的な配慮がなされておるかというと、それはとてもそういうことにならない。ことにまあこれは事前協議の問題とは違うけれども、性質は似ているのだな、国益というようなことで。もう米軍から申し入れられれば、国益だって了承する可能性が十分ある。いまの日本外交のこれは特質ですよ。そういう点から、この問題について、これはまあ外務大臣に来てもらって質問しなきゃならぬと思います。  その次にお聞きしたいのですが、これは自衛隊機の発着については触れてないが、自衛隊の使用はどういうことになるんですか。
  143. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 自衛隊機の教育訓練のために成田新空港を使うということは、原則として考えておりません。
  144. 岩間正男

    ○岩間正男君 原則としてというのを説明してください。
  145. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 非常に例外としまして考え得る事態としましては、一つはエマージェンシーの場合、つまり飛行機の特性で、緊急事態にあいましたときに、その空港以外に着陸できないという場合が理論上考え得る、めったにないと思いますけれども、理論上そういうことがあり得るということが一つと、それから、これもまたまれな例でございますけれども、自衛隊機が国外に行きまして帰ってくるというふうなことが、たとえば羽田につきまして去年一年間に一回ございましたが、将来成田空港が国際空港になって、検疫等はそちらで行なわれる、入国手続はそちらで行なわれるということがありました場合には、自衛隊機もそちらで入国手続をするということが、まれな場合としてあり得るということで、それ以外のことはちょっと考えられませんが、原則としてそれ以外の使用は考えられない、こういうことでございます。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 羽田はいま使われていますか、使われておりませんか、自衛隊機。
  147. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 使っております。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 どのくらいです。
  149. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 年間約三百回程度でございます。
  150. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどういうことになりますか。
  151. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 三百回昨年使っておりますけれども、その内訳は、国内的な運航が大部分でございまして、付近の工場において自衛隊の航空機の部品等が製造されますので、その輸送のためと、それから内外のいろんなお客さん等の輸送の場合、羽田に着かれた人を羽田から国内の他の空港に運ぶというようなことが大部分でございます。国際的に使うというふうなのは、先ほどちょっと申し上げましたが、昨年度一回だけでございます。
  152. 岩間正男

    ○岩間正男君 自衛隊が新空港を原則として使用しないとしているのですが、それは何か根拠があるのですか。
  153. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 実質的な根拠でございまして、つまり自衛隊は自衛隊の飛行場を持っております。あの付近で言いますと、たとえば木更津とか下総とか百里とか、自分自身の飛行場を持っておりますので、自衛隊の教育訓練は自衛隊の飛行場で行なうという実質的な根拠でございます。そこでできないようなこと、つまり先ほどまれな例として申し上げました、国外に行きまして入国手続が必要な場合、これは現在羽田で行なわれております。去年一回ございます。それが将来あるいは成田空港で行なわざるを得ないということがまれな例として考えられる、こういうことでございます。   〔委員長退席、理事石原幹市郎君着席〕
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは防衛出動の場合を自衛隊法ではうたっていますね。その場合はどうなりますか。
  155. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 防衛出動が下令されるという事態はどういう事態になるか、なかなか想像しにくいわけでございますが、原則的にやはり自衛隊の飛行場で発着するということになろうかと思いますけれども日本全土が実際に空襲を受けるというようなことをかりに想定いたしますと、自衛隊以外の飛行場も侵略防止のために使い得る、理論上はそういうこともあり得る、理論上だけの問題でございます。こういうことになろうかと思います。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 理論上といっても、これは百三条一項並びに二項でちゃんと規定しているじゃないですか。防衛庁長官はみずから政令で定める施設を管理し、使用することができ、また輸送を業とする者に対して長官が指定した業務に従事させることができることになる、こうなっているんじゃないですか。そうすれば、当然防衛の立場からという、そういう名目でこれはそういう措置をとることができるんでしょう。そうしたら、成田の場合もその中にはっきり入るわけでしょう。どうなんです。絶対これはやらぬと言うんですか、これも明確にしておいてもらいたい。
  157. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほども申し上げましたが、防衛出動が下令されるような、日本全土がかりに空襲を受けておるような事態の場合には、自衛隊の飛行場はもちろんでございますけれども、自衛隊の飛行場以外の飛行場も使用せざるを得ない。理論上そういうことで、その根拠が百三条にもある、こういうことで、それを否定したわけではございません。理論上あり得るということを先ほど申し上げたわけでございます。
  158. 岩間正男

    ○岩間正男君 理論上あり得るというのは、そういう事態の起こり得ることを想定してこれはやっているわけで、理論上ということばは、平時においてはそう言えるだろうけれども、戦時にはそういうことになるということをはっきり意味している。そこで、自衛隊機がどんな場合でも成田の新空港などは使わないということは言えないと思うんですね。これは自衛隊法との関連ではっきりしたわけです。これははっきり必要があれば使うんだ、ことに防衛出動、そういう事態の中ではそれを使うんだ。  それからあすこで空港に従事している労務者ですね、それからあすこの従業員ですね、こういう人は全部やっぱり編入できるんでしょう、軍の輸送に協力させることできるんでしょう。   〔理事石原幹市郎君退席、委員長着席〕
  159. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 百二条の問題でございますが、輸送を業とする者に対して必要な業務に従事してもらうというようなことは、百三条はこういう場合があり得ることを予想しておるわけでございます。もちろん防衛出動の場合だけでございます、平時のことは別としまして。
  160. 岩間正男

    ○岩間正男君 百三条に関連して聞いておるんですから、異常の事態になるわけですが、そういう場合において、もう命令でもってあすこの輸送に従事している者、ということは、あすこの職員から従業員、就業者から労働者全部含めるわけでしょう。これはあれに入るわけですね、そういう人たちは軍の輸送に協力する。つまり、軍の輸送体制の中に編入されるということになってくるわけですね。だからそういう事態があり得るんだということをはっきり想定しておく必要がある。どうでしょう。そういうふうに考えてきますと、やはり成田の空港というものが純粋を保っていく、あくまでもいつまでも永久に平和だなんということで、そういう平和利用だけに徹するんだというようなことはできない情勢なんだ、そういう事態を明らかにする必要があるんじゃないですか、いまの安保体制の中では。ここのところは明確にしておく必要がある。  それからもう一つついでに聞いておきますが、チャーター機はどうですか。非常に乗り入れをふやすようになっているんじゃないですか。いまワシントンで開かれている日米航空協定の改定交渉の席上、アメリカはチャーター機、不定期便の対日乗り入れをふやすよう要求しているが、この中には軍のチャーター機等も当然含まれていると思うが、一体この要求に対してはどういうような態度をとるのですか。
  161. 川上親人

    説明員(川上親人君) ただいま先生御指摘の日米航空交渉、いまアメリカにおいて続行中でございます。予想されます問題の一つとして、いまのサプリメンタル・サービスといっておりますけれども、いわば先ほど言いましたチャーター輸送ということでございますが、この便数をふやしてほしいということを、あるいは反対要求として、何らかの代償要求の形で出してくるのではあるまいかということは、一応代表団を送る前に私ども部内で話をしたことがございます。まあそういう点は新聞にすでに出ておって御承知のとおりでございます。そこにおけるチャーター機といいますのは、たとえばライオンズクラブが大挙して日本に来るという場合に、ライオンズクラブの一団体といたしまして飛行機をチャーターして来る、あるいはゼネラルエレクトリックというようなものが、一社の、下部機構でございますいろいろな下請関係であるとかそういう関係の者を招待して、一機仕立てて来る、いわゆる定期のエアラインに一人一人のお客さんが乗ってくるのでなくて、百人あるいは百数十人という一つのグループの関係の者がまとまりましてチャーターして入ってくる場合のことを、私どもは日米交渉においては予想いたしております。米軍の輸送部隊のチャーターによる問題というのは、民間航空ベースにおいては全然考慮してないわけでございます。そういう意味でのチャーター輸送便の扱い方をどうするかということは、いま私はあるいは議題として一つ出てくるのではないだろうかというふうに考えております。おのずから事柄の性質が違うというふうに認識いたしております。
  162. 岩間正男

    ○岩間正男君 こっちだけで認識というようなことじゃまずいんで、これは念を押しましたか、そういう点について。
  163. 川上親人

    説明員(川上親人君) 私どもそういう点につきまして、サプリメンタルということばの意味、これが航空輸送という立場から見ました場合に、米軍の輸送関係というのが当然考慮に入ってくるはずのものでございませんで、当然その中には含まないというふうに理解いたしております。
  164. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはやっぱり確認を——くどいようですがね、念を押して確認をしておく必要がありますよね、これは。チャーター機というものの正体がなかなか明らかになっていない。それで、いままでの軍のチャーター、MACチャーターの場合も、いろいろな形で入ってきておりますから。
  165. 川上親人

    説明員(川上親人君) 先ほど少しあるいはことばが足りなかったかと思います。現在アメリカからチャーター機が参っております便数は約五十便ということになっております。その五十便に関連する問題としてわれわれはこの問題を認識いたしておりますので、その中には米軍輸送部隊によるチャーター機というのは一切含んでおらない、まあそういう理解の上に、先ほど御答弁申し上げましたようにもっぱら民間の立場におけるチャーター輸送ということになるというふうに申し上げたわけでございます。
  166. 岩間正男

    ○岩間正男君 理解の上にって、こっちだけの理解じゃまずいんですからね。これはやっぱりはっきり確認しておかぬと、こういういままでの例なんかありますから、私はそういうことをされる必要があるんじゃないかと言ってるわけですけどね。くどいようですが、これはされたほうがいいわけでしょう。だから、ここのところは明確にしといてもらいたい。  それから、さっきの問題に戻りますが、自衛隊法の「政令で定める施設」の中に、——これは政令はまだできていないんでしょう。
  167. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) まだできておりません。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 できていないのですね。これからつくるわけですね。この中で、それははっきり除外するのですか、成田新空港は。
  169. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 政令の中身についてはまだ具体的な検討に入っておりませんので、その点についてはいまのところ何とも申し上げかねるわけです。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 だからわからないのですね。原則として使わないと言っているのだが、さて政令をつくるときにはっきりそういうことはしないのだとここで言い切れない——言い切れないということはやっぱりね、私たちは、まあ先の戦略構想というのはどういうふうになるのか、日米共同作戦体制の中で、新たに日本、いわゆる本土並み、本土並みと言われているが、本土の基地というのは沖縄並みに転化される可能性は十分ある。本土並みということはどんなにでたらめかが明らかにされなければならない。現に横田なんか拡張されている。そんなものと関連して当然でしょう、当然やっぱり大型機の離着陸ということは非常に重要になってくるでしょう、戦略上。そうでしょう。防衛局長はとくとおわかりだと思う。そういう体制になっても、この政令をいまだつくられていないが、この政令の中でそういうことを除外するとここで言い切れないわけでしょう。そうするとどういうことになる。非常にこれは私はやっぱり成田の空港というものは自衛隊との関係においても明快にはなっていない。そうでしょう。——これはお答えないようですけれども、この点はもうそういうふうに確認していいと思います。  それから次にお聞きしますが、これは資料ですね、羽田空港と大阪空港における昨年及び今年に入ってからの、月別に出してほしいのですが、米軍機と、MACチャーター機と、それから自衛隊機と、それから第三国軍軍用機ですね、この着陸回数というのは出していただけるのですか、昨年と今年です。
  171. 川上親人

    説明員(川上親人君) いま御要求のございました点につきましては、後ほど資料として当委員会に提出いたしたいと存じます。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ以上ですね、私たちはこういういまの日本の置かれている情勢の中で、成田国際空港はあくまで民間だけに徹するのだ、純粋を保つのだ、こういうことを言われておりましたが、その背後をめぐるいろいろな、そう主張したってそれは実現し切れない、そういう問題があるわけで、その点をどうしても明確にしなければならぬ、そういう点から質問したわけですが、どうも明快単純な答弁をこれは受けることはできない。願望であり、それから原則であり、——願望や原則ということばで問題はこれはごまかされる問題ではないわけですから、だから一たん有事の際にはどんどんこれは使われる、そういうような中身があるわけです。この点忘れることはできない。 それから次にお聞きしたいのですが、今度の空港の建設に伴って農地の買い上げ、こういう問題が起こっておるのですが、その諸問題についていま以下数点にわたって、どうなっているかをお聞きします。代替地をやるということになっているのですが、これは代替地の価格というものはもう決定しておるのでしょうか。
  173. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 代替地の個別的な価格は決定いたしておりませんが、千葉県と空港公団との間の了解事項といたしましては、畑反当たり九十万円ということが基準になっております。
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 畑反当たり九十万円ですね。それから宅地は。
  175. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 敷地内の土地を公団が買い上げました際に、宅地、畑地、水田、山林原野と、四つの地目について価格を分けたわけでございますが、代替地につきましては、宅地を幾らにするか、また非常に成田に近接した場所とそれから非常に離れた場所との地域的な格差をどうするかという問題が実は残っておるわけでございまして、畑の基準価格一応反当たり九十万ということにはなっておりますが、宅地を具体的に幾らでお渡しするかという点についてはまだ決定をいたしておりません。
  176. 岩間正男

    ○岩間正男君 買い上げ値段はどうですか。
  177. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 買い上げ値段は、敷地の中では宅地二百万、水田百五十三万、畑百四十万、山林原野百十五万でございます。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 代替地が、いまのお話では反当たりが九十万円だと、こういうようなことで、かりに百四十万円で売って九十万円で買えば、五十万の差額があるように見えるわけですが、造成しなければ使えない代替地が多いわけです。これを、代替地を造成する費用というのはだれが負担するのですか。これは公団ですか、農民ですか、どうなんですか。
  179. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 代替地を県に実は用意していただいたわけでございますが、代替地の取得価格は、富里村が反当たり七十万円、成田市内が反当たり八十万円で県に買い上げをしていただいたわけでございます。で、それに造成費をプラスしたものが本来なら売り渡し価格になるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、宅地、それからまた地域別の格差というふうなものの全体的な総合的な価格が幾らになるかという問題でございます。したがいまして、必ずしもそれによって赤字が出るのか出ないのかという点については、いまだ確定はいたしておりません。  それから、先ほどちょっと先生がお触れになりましたが、造成できない代替地があるのじゃないかというお話でございましたが、これは私ども、県のほうと個別的に、具体的に調査をいたしまして、十分に畑あるいはまた宅地として造成し得るところを買っていただいておるわけでございまして、現に民有地として買い上げた代替地につきましては、必要とするところはほとんど全部代替地の造成を終わっておるという状況でございます。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 造成費用をだれが負担するかということは明確な御答弁なかったようですね。
  181. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先ほど申しましたように、本来私ども——県当局にしても同様でございますが、代替地を敷地内の農民の方に売り渡す場合には、取得した価格に造成費をプラスしたものをもって売り渡し価格にすべきものでございます。だからしたがいまして、畑について言いますと、反当たり九十万円というものが基準になるわけでございますので、かりに富里村で七十万円で取得した代替地におきまして、造成費を加味したものが八十五万円になるのか、九十万円になるのか、九十二万円になるかという問題があるわけでございます。しかしながら、先ほど私が申し上げましたように、これはあくまでも九十万は基準価格でございまして、宅地を幾らに評価して売り渡すか、宅地は敷地の中では二百万で買っておるわけでございます。それからまた、地域格差、要するに非常に便利なところに代替地をいただいた方々に対する値段と、それから非常に不便なところで農業中心に代替地に入られた方々との間の値段を均一にするか、あるいはまた区別を設けるべきかという問題が、実はまだ片づいておらないわけでございます。したがいまして、その全体を総合して代替地の値段というものが出てくる。ただ、原則として代替地につきましては、取得価格に対して造成費を加えたものが売り渡し価格になる、こういうことでございます。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると何ですね、造成費は、これはどっち負担かということは明確にならぬわけですね。これは公団負担のようにも見えるし、そうなれば売り渡し価格が高くなるわけでしょう。安くすれば、これは造成費は農民負担ということになるのでしょうか。その方針ははっきりきまっておりますか、どうですか。
  183. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 結局農民の方に売り渡しする値段というものがまだ最終的にきまっておりませんので、全体として取得費とプラス造成費というものが個々の区域について幾らになるかということは、まだ最終的にはきまっておらないのでございますが、本来空港公団は、農地を持てないために、農民の方々に対しては代替地の取得を県に実はお願いをいたしたわけでございまして、造成も県の開発公社を通じて行なっているわけでございます。したがいまして、県が代替地を取得し、造成して、移られる方々に売り渡す、こういう形になるわけでございます。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 県と公団の関係になると思いますが、とにかく何ですね、代替地が農民に渡るという形になって、いかにもその価格は安いようだが、さて移ってみて、その造成をということになって、その負担が農民の肩にかかるというようなことでは非常にまずいわけですね。その点はもっと明確にやはりされる必要がある。県はちゃんと責任をもって代替できる、その使用にたえる、そういうようなものをちゃんと売り渡す。しかもそれは買い上げ値段よりも安い価格でということでしょう。そういうことにならないと、先にいって、そこのところが明確にならぬというと、農民の立場から言えば非常に不安だ。こういう方針は明確にされていないわけですか。
  185. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 造成費は、これは個々の農民の方々が造成をおやりになるわけではなくして、県が、県の事業として開発公社を通じて造成を行なっているわけでございます。したがいまして、従来畑に使っておってそのまま使えるところは別といたしまして、これは宅地造成のみでございますが、割り当てられた土地につきましては、畑におけるところは十分開墾し、畑地かんがいもやり、また宅地用の水道も引く、電燈も引くというふうなことにして、完全にお住みになれる状態で農民の方々に引き渡す、こういうことになるわけでございます。おそらく一般的に申しまして、そういうふうな関係で従来の用地取得に要した費用に造成費を加算したものが結局農民の方々に対する売り渡し価格になるわけでございますが、それは先生がおっしゃっているように、敷地の中で私どもがお買いした値段よりは低くなるであろうということは、間違いなく申し上げられると思います。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 この代替地ですが、最初の約束はどうなんですか。買い上げた土地の面積よりも多いというふうに聞いているのですが、 これはどれくらいですか。大体どれくらいになっていますか。
  187. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 代替地につきましては、民有地で買い上げましたものが三百ヘクタール、それから国有残地、旧下総の御料牧場の残地でございますが、これが約百ヘクタール、県が県営の畜産施設並びに県有林等を代替地に充てましたが、これが約百ヘクタール、全体で五百ヘクタールを用意いたしたわけでございます。その中で敷地の中の全体の民有地は六百七十ヘクタールでございまして、農民の方々の御希望は、専業農家でいく方もあり、また兼業農家でいく方もある。それから完全に転業してしまうという方もおるわけでございまして、したがって、六百七十ヘクタールの敷地内面積に対しまして五百ヘクタールの代替地を用意するということは、相当十分ではないかと、かように考えておる次第でございます。現在も、現に割り当てを終わりましたが、百六十五ヘクタールはまだ未配分で実は残っているわけでございます。それで、従来どおり専業農家でいくという方がかりに敷地の中で三町歩を持っておられた方に対しては当然三町歩を渡すということで交渉をいたしたわけでございます。しかし実際は、敷地の中の方々ができるだけやはり成田に近いところに住みたいということで、特に先ほど来本委員会で御審議をいただいております下総の御料牧場の残地のほうに希望が集中いたしました。この希望をかなえるためには、どうしてもやはり従来どおりの面積はなかなか一人当たりに割り当てられないということで、これは地主の団体の方々と御協議をした上で、三町以上提供した者に対しては七反歩、あるいはまた二町以上提供した者に対しては五反歩というふうな一つの基準をつくりまして、その希望を全部いれて代替地の配分をしたというふうなことでございます。したがって、専業農家でいくということで、富里、県有林等にお移りになった方々は、御希望どおりの面積を取得されて現在農業を開始いたしておる、こういう状況でございます。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、要求がいれられないで、それで最初の約束と違っている、そういう人もあるわけですね。これは御料牧場のあと、そういうところを要求しているというような理由もあるのかもしれませんけれども、たとえば三町歩を売り渡したのに実際は七反歩しか入らない。で、最初の約束は、売り渡した面積の大体一倍半ぐらいのものを代替地として提供するという約束じゃなかったのですか。
  189. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 公団自体としては、この代替地造成を県にお願いしておる関係上、県が現地の実情に非常にお詳しいし、また、あの周辺の公共団体、あるいはまた農業関係の団体の方々とも非常に接触が緊密でございますので、県が交渉をいたしたわけでございますが、大体、県としては、おそらく敷地の中で売り渡した畑相当の面積は希望があればお渡ししよう、こういうことであったわけであります。ところが、そういうことで相当広範な代替地を用意したわけでございますが、ある一カ所に非常に希望が集中するということで、一体これはどうしたらいいだろうというので、地主の方々と御相談の上で、こういう分け方が一番公平ではないかということで、いま申し上げたような配分になったわけでございまして、それらの方々が七反歩では非常に不満だから、自分はやはり三町歩で農業をやっていくのだからということであれば、先ほど申し上げましたように、現にまだ百六十五ヘクタールの代替地が残っておるわけでございますから、それの未配分の畑に対しまして要求をされるということも可能ではないか、かように考えております。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 実際はどうなんです。造成のしかたが非常に荒々しくて乱雑だ。そして、そういうところにはどうも移りたくない。こういうために、いまの百六十五ヘクタールですか、これが残っている。そういう事実はないですか。どうも私たちいろいろ聞いているのですがね、どういうことでしょう。
  191. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) そういう事実は全くないわけでございまして、もしそういうふうなお方があるとすれば、ぜひひとつ県のほうなり、また公団のほうへお申し出を願いたいと思います。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 平らでない土地を単にブルドーザーでならしただけで、一メートルも掘ってみると、その中から草や木の根が出てくる。こういう事態を私たちは聞いておるわけです。そういうところだというと、これはいままでの陸地のようなわけにいかぬですから、そういうところには移りにくい。そういうことで、やはりいいところに集中するというようなことが起こるのじゃないですか、どうなんでしょう。その点もう少し、これはもっと造成のしかたを丁寧にして、耕地としてもりっぱに使えるというような、そういう必要はないのですか。
  193. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 具体的な例をあげて申しわけないのですけれども、富里、県有林は現在敷地内の方が十数戸移転をして、現在すでに秋作から作付をいたしておるわけでございます。非常に土地がいいということで喜んでおられるということを私どもとしては伺っておるわけでございます。ただ、おっしゃるように、造成いたしたところで、やはり石ころが非常に多いとか何とかという不平がないわけではございません。たとえば、県の畜産試験場のあと、これはもう成田の五十一号線に近い非常に便利な場所でございますけれども、こういうところは若干造成したあとで掘り返すと石が多いというふうな話があるようでございますが、こういったものにつきましては、私どもはそういったふうな不満を除去する意味でさらに工事の手直しをやる、こういうつもりでおります。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお聞きしますが、この代替地の宅地転用手続というのはもう済んでおるのですか。
  195. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) まだ済んでおりません。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、そういうことからちょっといろいろ紛争みたいなことが起こっておることも聞いておるのですがね。宅地転用されないままに家を建てられて、そのために日照権の争いも起きているようなところがあると聞いておるのです。これはどうなんですか。いつごろになるのですか、宅地転用は。
  197. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) いま先生がおっしゃるような事実は私どもは全然聞いておりません。というのは、御承知のように、敷地内に大きな条件派の団体が二つございまして、私どもと県はその条件派の団体を対象にして交渉を進めてまいったのでございまして、それぞれの代替地に対する配分は全部個別的にそれらの団体が行なったわけでございます。現に家を建ててお住みになっておられるのは、富里、県有林と富里の葉山地区でございますが、これはすでに割り当てを受けたところで、個別的に抽せん等によりまして個人個人の移っていく場所を決定いたしまして、そこの宅地部分に家を建てておられるのでございまして、事実問題としてそういうふうな意味の紛争はございません。  それから宅地転用がいつになるかという問題でございますが、先ほど先生の御質問にもございましたように、代替地のことがはっきりいたしまして、県との間に売り渡しできるということになれば、当然宅地転用の手続もとれる、こういうことでございます。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう事実を私たちはもう聞いておるのですが、これはまたあとで具体的な事実を申し上げます。  それから公団が買収した農地で、たとえばまだそのままになっていて、それでそのあとの管理が十分にできないために雑草がもうおい茂って種がまけないとか、それからそういうことで付近の農民が火事が起こったらたいへんだと、それを非常に心配しているとか、そういう事実が起こっているようなことを聞いておるのです。あるいはまた古井戸が放置されたままになっていて非常に危険だとか、そういうことが問題になっていますが、こういうことについての管理はどうなっているのですか。
  199. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 御指摘のような面が新聞等でもいわれておったわけでございますが、現在すでに一部の方々が、先ほど申し上げました富里、県有林、富里の葉山地区等にすでに移転を終わって、敷地の中が空地になった個所がだいぶ出てきているわけであります。そういうところについて御指摘のような問題があるわけでございまして、私どもとしては、現在まだ耕作しておられる方々に対する迷惑は何としても避けなければならないということで、先般も内部でいろいろ協議しまして、雑草その他の除去というようなこととか、あるいは古井戸等がもし危険であるような場合には、それを埋めるというようなこともぜひやりたい。また財産を取得いたしました公団といたしましては、その財産を管理するために現在特別な一つの方法を検討いたしておりまして、おそらく本日から敷地内における財産管理についても適当な対策を実施いたしておる状況でございますので、御指摘のような点があった点はまことに私どもとしては申しわけないと思いますが、私どもも公団として取得した用地を財産として管理するという仕事と、それからそれが他の耕作をしておられる方々に迷惑にならないようにというこの二点だけはぜひ心がけていきたいと、かように考えております。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは事業認定はおりているのですか、まだですか。
  201. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) まだ申請いたしておりません。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいつごろやることになるのですか。
  203. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 事業認定の申請は、私どもとしてはもらすでに事務的な準備は整ったのでございますが、いつごろ建設省に対して事業認定の申請を出すかという点に対して、現在、千葉県知事と交渉中でございます。で、向こうの御意向がよろしいということでなければ、私どもとしても、一方的に出すということは適当ではないというふうに考えております。それからなお、敷地内の用地取得は現在まで全部任意買収でございまして、現実に中で耕作をしておられる農民の方々に対しては今後ともやはり任意買収という線を貫いていきたいと、かように考えております。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に空港の排水計画についてお聞きしたいのですが、それは、根本名川というのですか、これの拡幅計画をやることになっているのですが、これはどうなっているのです。
  205. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 工務担当の高橋理事がまいっておりますので、高橋君から答弁させていただきます。
  206. 高橋淳二

    参考人(高橋淳二君) お答えいたします。  根本名川の改修計画につきましては、地元の千葉県当局におきまして目下詳細に検討中でございます。なお、事業の実施につきましては、すでに用地の買収その他について段取りを進めておるところでございまして、詳しくは千葉県あるいはそれを監督いたしております建設省御当局のほうにひとつお願いしたいと思います。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどうなんですか。予定地の買収、土地の買収がこれは問題になっておると思うのですが、これは単価はどうなんですか、どんな予定ですか。
  208. 高橋淳二

    参考人(高橋淳二君) ただいま御説明申し上げましたように、単価の交渉、その他用地買収に伴います諸般の、耕地整理の問題等につきましても、すべて県御当局において実施中でございます。
  209. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題は、河川はんらんに対する農民の要求、こういうものも事実あるので、そういうことで、上流は七十メートルですか、下流は百二十メートルの川幅を広げる。で、これは空港の排水をどういう形でかつくることになると思うのですが、これは成田市内を流れる川で、結局は市内の土地を買わなければならぬ。そうすると、そういう土地、非常に単価がこれは安い、そういうことが起こるのじゃないかということを市内の人が心配していることを聞いておるのですがね、これはどうなんでしょう。大体、何ですか、いままでの用地買い上げと同じような単価をこれは考えているのでしょうか。
  210. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 実は、河川改修あるいはまた下水道というようないわゆる空港関連の建設事業は、建設省とそれから県という線で行なわれておるわけでございまして、いま先生の御質問にあるような、単価の問題、あるいはまた流域の範囲の問題というような面については、むしろ建設省の方を呼んでいただくと非常によくおわかりになると思います。
  211. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、これは成田では相当地価が高くなっているわけですね。そういうところを買収して拡幅をやるとすれば、相当なこれは値段にならなければならないのだけれども、これは百四十万などということになったら十分の一ぐらいだ。大体、成田あたりでは五万円ぐらいしているのでしょう、坪。そういうことを聞いていますがね。これは公団のほう御存じないですか、全然公団は関知しないですか。
  212. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 根本名川の改修に伴う土地買収の問題については、すでにもう相当前から、県の北総開発局が中心となって地元の方々と話し合いをしているようでございますが、私どもがいままで伺っている範囲では、これは区域にもよると思いますけれども、そう非常にべらぼうな値段がついておるというふうには伺っておりません。しかしながら、おっしゃるように、あの付近が空港を中心として全体として開発されるというムードにある関係上、地価が相当上がっておる。したがって、今後、公共事業をやる上においていろいろ困難な問題があるという点は全くそのとおりであろうと思います。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあこの問題は建設省に伺うとしまして、しかし、公団のほうもこれは関係のないことじゃありませんので、関心を持ってもらいたい。  その次には、高谷川にはこれは排水しないというふうにいままで約束されているのですか。しかし、一方ではここには汚水が流れるというようなこともいわれておるのですが、実際はどういうふうになっておるのですか。
  214. 高橋淳二

    参考人(高橋淳二君) その問題につきましても、基本的には県のほうでこれは立案いたされまして建設省に上申して、その結果、高谷川には流さない、工事につきましてはということで、根本名川一本にしぼって計画をしておる段階でございます。  それから、汚水につきましては、もちろんのことこれは印旛沼下水道に周辺の都市開発の汚水と同時に統一処理をする基本方針ができておりまして、目下その方針で県と打ち合わせ中でございます。
  215. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、高谷川には汚水は流れないと、こういうふうに確認してようございますね。
  216. 高橋淳二

    参考人(高橋淳二君) はあ。
  217. 岩間正男

    ○岩間正男君 その次に、成田用水をつくる計画があると聞いておるのですが、これは農民の、何ですか、かんがい用なんですか、これはオカボだと思いますが。それとも空港に利用するためなのか。どっちなんですか。
  218. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先生の御質問は上水道の関係だろうと思いますが、県の現在の上水道計画は、利根川の水を、木下というところですが、そこで取水いたしまして、北部ニュータウンを経由して空港関連の都市である成田ニュータウンを経由して空港に入るというふうな上水道計画を現在立てておるわけでございます。で、そういうものが畑地かんがい用になるかどうかというような点については、これは取水する量その他取水との関連もございますので、これは県当局の方針によるものと考えております。
  219. 岩間正男

    ○岩間正男君 この費用分担なんかの問題は、これは公団としてはタッチされておらぬのですか。
  220. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 上水道の費用分担につきましては、県のほうの要望がございまして、上水道の負担金を公団に出してほしいというふうなお話がございまして、私どもも大体県の御意向を受けまして、現在、監督官庁である運輸省、大蔵省に折衝いたしておる。私どもとしては、気持ちとしてはぜひ県の要望どおり一部費用を負担させていただきたいという気持ちでおるわけでございます。
  221. 岩間正男

    ○岩間正男君 この負担については、これは衆議院でいま審議しているこの新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案、この中に出ているのじゃないですか、負担の区分が。衆議院のいま地方行政での。
  222. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) これは上水道につきましては公団自体の負担は規定しておりませんで、いわゆる県費で負担するというたてまえになっております。しかしながら、県としては、全額を県が負担することは、空港のための用水の供給にもなるので、公団に負担してほしいという要求を別途お出しになっておられるわけでございます。
  223. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは国と公団で四十五億、県が十五億、地元が二十四億、合計八十五億と聞いているのですが、こういう交渉が何かあるのですか、ないのですか。
  224. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 上水道の事業につきましては、先ほど申し上げましたようなことで国及び県の負担というものはきまっておるようでございますが、その県の負担する分について公団に一部負担してほしいということでございまして、ただいま先生のおっしゃるような金額は実は承知いたしておらないわけでございます。
  225. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから、現在空港建設が進められているのですが、これに伴う資材輸送で、道路がダンプなどによって非常に交通がひんぱんになってきている。そういうことで事故防止対策が非常に必要だと思うんです。これはどう考えておられますか。
  226. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) おっしゃるように、非常に空港資材の輸送につきましては、特に採石等の骨材輸送がトラックで行なわれるわけでございまして、私どもとしては、そういう点を一番注意しておるわけでございまして、空港用資材輸送につきましての特別の連絡協議を県並びに県の警察本部とやっておるわけでございまして、詳細な要望が県並びに県警本部から出されております。私どもはでき得る限りその線に沿って資材輸送等について安全対策を講じていきたい、かように考えておるわけでございまして、現在、私どもとして一番関心を持っておる問題でございます。
  227. 岩間正男

    ○岩間正男君 何人か死亡事故があるんですか。
  228. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私どもの承知しておる限りでは、空港用資材輸送関係では、現在、成田の地先で資材置場をつくっておる関係でございまして、全然まだそれによって交通事故を起こした、あるいはいわんや死傷者が出たという話は全く伺っておりません。
  229. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在五十台ですか、トラック動いているのは。
  230. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 実はまだ採石等の輸送は始めておりませんので、資材置場をつくるためにたんぼを埋め立てるという、付近の山砂を現在輸送しておるという段階でございまして、トラックの台数も多いときには十数台、少ないときには十台前後というふうな程度ではないかと、かように考えております。
  231. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、本格的にやれば何倍かにふえるわけですね。それで非常にやっぱり交通事故が起こりやすい問題で、私たちは七人ぐらいの死亡事故があるというふうに聞いているんですが、この点は非常に建設上気をつけなければならないと思うんです。それから、騒音防止対策についてはこれはどうなんですか。
  232. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 騒音防止対策につきましては、騒音防止法が当空港につきましてもまず適用になりまして、この騒音防止法の内容でございますけれども、これは、滑走路の前方進入表面の投影面にいたしまして、八百メートルまでの土地を希望の方からは買い上げていく。それから千三百メートルまでの間は、民家があります場合に立ちのき補償その他をいたすわけでございまして、それからまた、民家が立ちのいたことに関連して、用地がこれで要らなくなるというような用地につきましても、この範囲におきまして買い取り補償をすることになっております。またそれから、防音工事を施さなきゃならぬ学校、病院、幼稚園等につきましては、防音工事を施される部分につきまして全額国庫補助をすることになっております。ただ、それだけでは、この飛行場は大きな飛行場でございますのでなお足りないだろうということで、滑走路の進入表面からの方向に向かってでありますが、滑走路の末端から二キロメートル、それから滑走路の中心線から横へおのおの六百メートルづつ、その範囲につきましては用地の買い取り請求があります場合は、これを買い取りに応ずるということになっておるわけでございます。それからまた滑走路の前方五・五キロと、それからただいま申しました滑走路の中心点から横へ一・二キロの範囲にわたりましては、ただいま申しました二キロ六百の範囲は買い取り請求がきくわけでございますが、農耕をやめて買い取ってほしいというところについては買い取り請求が行なわれるわけでございますが、それ以外の、ただいま申しました範囲については、畑地かんがいを行ないまして、それをもって騒音対策の一助にするというふうな考え方でいたしております。
  233. 岩間正男

    ○岩間正男君 畑地かんがいというと何ですか、オカボでもつくるんですか、それから野菜類ですか、現在ではどういうものが多いんですか、生業としては。
  234. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 現在の生業は御承知のように牧草台地は水が少ないのでございまして、主として主産物というのは私どもの存じ上げている限りではスイカ、落花生、サトイモという生産が中心のようでございます。ただ空港の南にある柴山町は従来から非常に農業改善事業に力を入れておりまして、相当な高級蔬菜類を現在各マーケットに出しておるようでございます。いま畑地かんがいをやると申しましたのは、オカボをやるという意味ではなくして、でき得る限りやはり高級蔬菜というようなものを中心に農業を近代化していったらどうかというのが県の構想のようでございます。
  235. 岩間正男

    ○岩間正男君 養豚、養蚕、養鶏というようなものは相当周辺には多いわけでしょう。騒音の被害がこういうところには非常に多い、そうして生業転換を畑地かんがいなんかによってだいぶ転換させる、そういう計画を持っているのですか。
  236. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 現在酪農関係と申しますか、先ほど宮内庁次長さんからも御答弁がございましたけれども、あすこには御料牧場のほかに幾つかの軽種馬の牧場がございまして、こういった方々はやはり騒音についての御関心が非常に深い関係上、すでに適地を求めて牧場を移転させるという計画でおられます。しかしながら、一般のいわゆる種鶏あるいは種豚の問題というふうな、豚、鶏の畜産関係については現在のところ特に困るというふうなお話、あるいはまた転業するというふうなお話は実はお伺いしていないわけでございます。
  237. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後にお聞きしますが、この空港の敷地内に三里塚カントリークラブ、ゴルフ場があるわけです。私たちもあすこは何回か通りましたが、あのわきを通ったのですが、これは買収されたことと思いますが、この単価はこれはどうなっておりますか。
  238. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 現在まだ実は買収契約を締結する段階にまで立ち至っておらないわけでございます。私どもの提示いたしました値段と、先方の申し入れ価格というものの間に相当な開きがございまして、目下、事務的に両方で詰め合っておるということでございまして、三里塚カントリークラブの買収はまだ済んでおらない状態でございます。
  239. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは農民から買い上げた畑地なんかよりはるかに高いと聞いておるのですが、そういうことですか。
  240. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) ゴルフ場につきましては、実は空港の東のほうになります二千五百メーター滑走路の上端でございますが、成田パブリックコースというのがございまして、これが敷地にスリーホールばかりかかるわけでございますが、この部分はすでに買い取りをいたしております。その値段は、敷地につきましては反当たり百二十万ということで話が妥結いたしまして、したがって、私どもが農民の方々とお話し合いできまった百四十万という値段よりは若干低いということで、決して高く買うということは考えておりません。
  241. 岩間正男

    ○岩間正男君 私たち、これはやっぱり農民に非常に影響があると思うわけです。そういうものが全体で二十億円というふうに聞いている。このうち土地が十二億円で、芝生、従業員、それから営業補償なんか加えると八億円、合計二十億円、こういうことになると、反当たり二百万円ということになるのですね。これはすでに土地の買収に応じた、売り上げに応じた農民から見れば非常に感情的には問題があると思いますね。ゴルフ場が高い、農民の生活権を守る農地は安い、こういうことですが、この辺を解決するにはどうするのですか。
  242. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私どもは農家の地主の方方とのしばしばの交渉は、これはあくまでも交渉として、先方の言い分を聞き、最終的に決定をいただいたわけでございますけれども、ゴルフ場等の施設につきましては、そういう交渉によって価格を出すということではなくして、私ども相当金をかけまして、不動産鑑定、あるいはまた公認会計士による経営の検査、あるいはまた専門的なゴルフコンサルタントによる評価といったような客観的なデータを集めまして、一つのゴルフ場全体としての値段を形成していきたい、こういうふうに考えておりまして、現在その線で事務的にゴルフコースの方と交渉いたしておる状況でございまして、先生の御懸念のような、農民の方々よりは高く買うというふうなことは、私どもとしては全然考えておりません。
  243. 北村暢

    ○北村暢君 時間も時間ですから、きょうはごく簡単に終わります。  そこで一つだけお伺いしておきますが、国有財産法の十三条の二項によりますというと、相当規模の皇室用財産を取得する場合においては国会の承認を経なければならないことになっておりますが、今回の場合の三里塚の御料牧場を、これはどういう、公共財産か普通財産かわかりませんが、その処理のしかたと、それから新たに高根沢の御料牧場を取得するわけでありますが、その間の法律的な解決に基づく取り扱い手続というのはどのようにやられておるのか。これは宮内庁並びに大蔵省からその間の事情を説明していただきたい。
  244. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 最初にお尋ねの国有財産法第十三条第二項の規定との関連でありまするが、この高根沢のほうに新たに設けられる牧場を取得することにつきまして、これは特定国有財産整備特別会計法に基づきまして、これは特別会計に計上されております。この特別会計の議決はすでにやられておりまするが、そういう場合につきまして、この国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律というのの附則の第四項で、そういう場合は国有財産法第十三条第二項の規定は適用しない——附則第八項に、そういう場合は国有財産法第十三条第二項の規定は適用しないというのがございまするので、したがって、十三条第二項の特別の国会の承認は要らないというふうに承知いたしております。
  245. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) いま宮内庁のほうからお答えでございますが、ちょっと正確を欠くところがございますので、ふえんさしていただきたいと思いますが、御案内のとおり、ただいま北村先生からお話がありましたとおり、国有財産法の十三条に皇室財産とする目的で寄付とか交換によりまして財産を取得しようとする場合には国会の議決を経なければならぬ、これはただし書きがございまして、金額の少ないようなものにつきましてはその必要がないとなっております。そのとおりでございますが、われわれの取り扱いといたしましては、交換と申しましても、すべてその歳出、歳入を通してございます予算制度の問題がございますから、そうして本件につきましては御案内のとおり四十三年度の予算にものりましたし、かつ債務負担行為が四十三年度の予算におきまして二十二億とられておるわけでございます。そういうかっこうにおきまして、特に国有財産法のこの条項に基づく議決というふうにはいたしておりませんけれども、従来とも予算のほうで国会の議決を経ておりますので、十三条違反にはならないというふうに取り扱っておる次第でございます。  なお、今回はただいま宮内庁のほうからお話がございましたように、今度の国会で成立をさしていただいたのでございますが、われわれ特特法と申しておりますが、国有地の高度利用の法律ができまして、特別会計が従来ありましたものが発展的に解消して、改善された形におきまして設けられましたこの特別会計に今度の事業計画が入るわけでございます。そうしてこの御料牧場は一たん特別会計へ受け入れまして、そうして宮内庁に移しかえられる。その場合には十三条を正確に読みますと、やはり国会の議決を経なければならぬように聞こえるのでございますが、いま御説明がありましたように、附則の八項で十三条の適用は除外するというふうに規定した第でございまして、御了承いただきたいと思います。
  246. 北村暢

    ○北村暢君 いまの国有財産特殊整理資金特別会計法の特別措置法の一部改正、これは今度の国会に提案されて附則で国有財産法十三条の適用除外をした、その法律は今度の国会でもう成立しておるのですか。
  247. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) 年度内に成立させていただきました。施行されております。
  248. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、法律的な手続的には一応誤りではない、こういうことになるわけですが、特に附則で改正をしているが法律的には誤りじゃない。  そこでもう一つ、いま説明あった前段の点について、四十三年度の予算並びに国庫債務負担行為等において予算審議の際に出されておって、かりに附則の改正が行なわれていない場合であっても、予算において国会の承認を得ているから、国有財産法十三条二項の規定があるけれども、特別に国会の承認を得る手続をとらなくても予算において承認を得ていれば有効である、こういうちょっと説明があったようですがね。従来ともそういうことでやっておられるんですか。今回の場合は先ほど言った特別会計法の附則で改正をしているからいいと、こういうんですが、この会計法の附則で適用除外をする措置をとらない場合であっても、予算で国会の承認を得ているから、あらためて承認の手続はとらなくてもよろしい、こういうふうな解釈だというふうに受け取れたのですが、そういうふうにやっておられるのですか。
  249. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) さようでございます。前段で申し上げましたように、国有財産法十三条に基づく国会の議決を経る件というふうな案件にはなっておりませんけれども、予算の各項で、これは一番大事なものでございますから、国会の議決を経ておるならば、この十三条の議決を経たことになるのだという解釈をいたしております。 後段で申し上げましたのは、実は昨年、予算の歳出歳入につきまして国庫債務負担行為が通った、今度、国有地の高度利用という目的で特別会計法の改正を、さっき申しました改正をいたしました。で、その際に、この事業を特別会計でやるために、つまりこの財産を特別会計へ受け入れて事業をやりまして、そうしてでき上がったら宮内庁一般会計に移すということにしたわけでございます。そこで、正確に申しますと、じゃ、特別会計から一般会計に移すときにも議決を経なければいかぬじゃないかという疑いが起こるといけませんので、さっきははしょりましたけれども、改正特別会計法の施行前に予算をもって国会の承認、議決を経たものについては、特別会計から一般会計へ移すときは適用除外というふうに正確を期したわけでございます。説明が不十分でございましたから、あらためて。
  250. 北村暢

    ○北村暢君 この点は、きょうはこの論議はちょっと私納得しませんが、これは法制局等に解釈等聞かなければわかりませんから、きょうのところはこれちょっと保留しておきますがね。どうもあなたの説明を聞いているというと、予算の議決を経ているから特別会計へ受け入れて事業をやって皇室用財産に引き継ぐということで、これはまあ予算の際にも議決を経ているからだ、こういうのですが、それもちょっとやはり疑義があるわけです。実際に予算というものがほんとうにこまかく——性格からいえば、そういうこまかいところまで注意して予算の審議がなされるのはあたりまえでしょうけれども、実際に国会がそういうところまで理解をしてやったかどうかというところに大きな疑問がありますがね。そういうこまかいところまで注意して予算の審議が行なわれておるか。総括的にはおっしゃるとおりです、手続的には。しかし、国有財産法の十三条二項の規定は、軽微なものは国会の承認を得なくてもよろしいけれども、軽微でないものは国会の承認を得るのだ、この考え方。きょうの御料牧場の件についても、やはりなぜ御料牧場というものは必要なんだろうか、必要性についていろいろ説明がなされたけれども、峯山委員も、山崎委員もどうもしっくり理解をしたというところまでいかないのですね。非常に従来の形式を重んじて、なぜ馬を生産しなければならないかという論議がだいぶありましたしね。なぜ年に三回しか使わない貴賓館をわざわざつくって、外国使節を招待しなければならないか。そういう面について非常に疑問ありますよね。したがって、そういうものが、これは国会の議決を経なければならないというように規定していることは、こういう趣旨からいって、私は財産法十三条にわざわざこれが規定をしているのだと思うのです。だから予算で承認を得たから、財産法でいう承認はやらなくても合法的なんだ、合法的かもしれないけれども、国有財産法の十三条に基づいて承認を得ても、これは間違いではないわけですね、法律的には。そうでしょう、間違いでないわけでしょう。したがって、これは、今回の場合は特別会計法の附則でやっておりますから、当委員会にはかかりませんけれども、大蔵委員会で審議されたということになっていますからね。だから、これはそこまで気づいて大蔵委員会で審議したかどうか、これはわかりません。いま確かめてみなければわかりませんけれども、附則でやったと。附則というのは大体これは見逃がしがちですわ、ごく簡単に法案の附則というと。附則があるというので、どうも附則に逃げたような感じを私は強くする。そういう点から法律的には、これは手続的には誤りでない、附則でやれば。しかし、親切の点からいえば、国有財産法十三条の規定に基づいて承認を得てやったほうがよほどりっぱで趣旨もはっきりする、こう思うのですがね。したがって、今後の運用の問題としては、この手続の技術的な問題はまさしく合法であるかもしれないけれども、国有財産法第十三条の精神を生かすということになれば、私はやはり法律的な手続をとるべきである。今後においても私はこういう問題ないとは言えないので、そういう親切なやり方が望ましいと思いますが、御意見をお伺いしたい。
  251. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) たいへん御示唆をいただきまして恐縮をいたしております。確かに二重に、こちらはこちらの承認案件、向こうは、予算はこれは別途のものだとしてやれば一番親切であろうと思うんですが、予算書を見ますと、だいぶ大きな字で書いております。読み上げますと、皇室費という事項のところに、御料牧場施設取得というので国庫債務負担行為が、「国は、昭和四十二年度一般会計国庫債務負担行為御料牧場施設取得に基づく下総御料牧場の施設の一部を処分しこれに代わる施設を取得するための契約を同年度において結ぶことができなかった場合においては、当該国庫債務負担行為の全額を限り、」云々というだいぶ親切に書いてございますので、国会も重要な案件がいろいろ重なっておりまして、二重に御審議いただくこともいかがかということも考えまして、一番大事な予算のほうでこういうふうに御審議をいただきましたものは、ほかではもうダブっては御審議をいただくことはかえって失礼ではなかろうかというふうに考えていままでまいっておりますが、今後はまあいろいろ勉強はさしていただきますが……。
  252. 北村暢

    ○北村暢君 その論議はいただけないですよ。私どもは大体、宮内庁設置法が通らなかったら、通らなかったらですよ、反対して通らなかったらこれは取得できないでしょう。予算の執行はできないでしょう。したがって、この法案が通らなければ三里塚の牧場は厳然として三里塚に置かなければならないという結果になりますわね、設置法で。したがって、三里塚にその牧場をつくること自体について、これは衆議院ではずいぶんうるさく論議しておるんですよ。法案ができてから牧場をつくったらいいじゃないか、もうできちゃって、八月に家畜は移しますと言っているんですよね。それじゃ、もう国会の審議がどうあろうと、こうあろうと移してしまうと、こういうことなんですね。そういうやり方は、予算が優先し法律というものがあとについていくという、こういうものの考え方は、私はちょっと大蔵官僚の独善的な行為じゃないかということが、あらゆる面にこれが出てきている。これは法律が優先するのか予算が優先するのかという問題とも関連してくる問題であって、あなたの説は、大蔵官僚はいつでもそういうことを言うけれども、私はそれは納得しないです。したがって、この問題は大いに論争のあるところなんです。大いに論争のあるところなんです。が、まあきょうは時間もきたようですからこれで終わります。
  253. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) ただ、いまのお話、よくわかりました。ただ、ちょっと誤解をされておると思われますところがございますので、その点だけ話させていただきたいと思います。  私どものほうのあれは、ただいま申しました昨年度の債務負担行為に基づきまして予算化をいたしております。したがいまして、ただいまこちらで御審議をいただいております宮内庁設置法が通りません場合には、下総三里塚牧場でございますか、としては、ただいま私どもが取得いたしました高根沢の牧場を使うことはできませんのでございますが、ただいま申しましたように、根拠の規定は予算で昨年つきましたので、それに基づきまして先ほど申しました特別会計で取得をさせていただきまして、そしてほんとうは設置法が通りましてから、すっきりしてやるのが一番いいのでございますけれども、牧場を持つ権限は国が得ましたものですから、特別会計で宮内庁に使用承認をして、下総牧場としてではございませんけれども、牧場の用はとりあえずさせていただいて、設置法の通過を待たしていただくというふうに法律的に考えておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  254. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  255. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記を起こして。  本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会      —————・—————