○岩間正男君 これは、その弁護人から各党にきておるんですが、われわれ共産党だけじゃございませんが、ここに青森
刑務所における受刑者に対する刑務官のリンチについての
調査依頼。それで、弁護士が被告人になっておるこのA、Bに様子を聞いた。はなはだしく公訴事実とは違う。つまり公務
執行妨害で受刑者のほうが暴力をしたので訴えられたということになって、
職員から訴えられたということになっているんだが、実際は
職員から受刑者が非常に激しい暴行を受けている、こういう事実を聴取した。しかし、このことを弁護人の立場では事実を調べるのに限度がある。したがって、こういう問題について、これは政党でも力をかして
調査してほしい。こういう要求で、われわれ共産党議員団にもきておりますが、各党にこのような依頼を出した、こういうことなんです。そういうことで私たち
内容を読んだわけです。そうしますと、どうもこれは、いまの告訴事件とあべこべになっているんじゃないかと感じられる事態がここにあるわけですね。こういう問題については、いま先ほどから基本的にただしました。この受刑者といえども、当然これは人権を尊重する。それから、これに対する
処遇の問題については、あくまでこれは
刑務所内のやり方を民主化する、こういうものは基本方針だとも
考えるわけです。ところが、これじゃ全く事実に反する。もしこういうことが事実とすれば、たいへんなこと、だというふうに私ども
考えるわけです。そういう実態が行なわれておるとすれば、とにかく大臣が先ほど
答弁されたような方針というものは、何らこれら
刑務所内では行なわれていないんだということを裏書きするようなことになるわけですよ。
たとえばこういうことなんですね。私たちびっくりしたんですが、「公務
執行妨害・傷害」なるものは元同
刑務所保安課長補佐高橋義博が被告人草部に対し訓戒に名を借りた暴行を行ったことに端を発し、これに内心怒りをもった被告人両名がふんまんやるかたなく数日後同
刑務所第一工場内に於ける作業中同保安課長補佐に対し殴りかかった事実が起訴されるに至った」、こういうことですね。したがって、原因というのは、この事前の
刑務所内の
職員がこの受刑者に対し暴行したことから始まっている。そうすると、本末転倒の公訴ということになっているわけですね。
大体
経過を私たち読んだのですが、「
昭和四四年二月一五日草部は同
刑務所内の配膳当番であったところ同じく当番の丸島に「おかずは何か見てくれ」と頼まれたのでそれに応じたまたま食料が運ばれて来る前方に運搬の邪魔をするような格好で立ったことから刑務官の注意を受けた。草部は同刑務官に対して右行為は故意になしたものではないと弁解したところ、そこに来あわせた前記保安課長補佐がみとがめ、草部を同所保安課取調室(六畳間位床コンクリート)に連行した。そして同人は草部に対し「お前のような奴は口でいってもわからないから暴力で判らせてやる」といって草部を同取調室床に正座させたうえ平手で草部の左ほほを七回乃至一〇回殴打した。
昭和四四年二月一七日本件公訴事実の行為を被告人両名がなした後、同
刑務所警備課員二〇名が無抵抗の被告人両名を作業所(第一工場)から保安課室に連行せんとする際同工場廊下に於いて両名に対し各々約一〇名の警備員(計二〇名)が両名の身体をコンクリート床に足でおさえつけ両名の頭部を半長靴でふみつけ床にすりつけ、さらに数人が半長靴をはいた足で両名の身体・頭部を蹴り上げた。そして同じく数人が警棒で同人の身体を所かまわずメッタ打ちにした。 同日右暴行の後前記警備課員が抵抗不能状態の草部を捕縄でしばり保安課取調室に連行する途中、刑務官Aは草部の前方に付きっきりでその間中、苦痛にもだえる草部の腹部を半長靴をはいたままの足で一〇数回に亘って次次に連続して蹴り上げた。同日右のような状態で保安課に連行された草部は六名ほどの刑務官によって同課取調室につれ込まれた。そしてそのうちの前記作業場
担当にあたる刑務官Bは草部に対し「よくも奄の顔をつぶしてくれたな」と申し向け草部の顔面を手拳をもって連続的に五、六回殴打し続けた。さらに次いで刑務官Aは草部に対し「衣服を脱げ」と命じ草部を全裸の状態にした。そして同人は「やきを入れてやる。お前も頭が安いかもしれない」、
安いというのは、すぐかっとなると書いてあります。「が、俺も頭は安いんだ」というやいなや両手で竹刀をにぎり横振りに草部の背・尻を連続的にかなりの勢いで一五回位強打した。同時に刑務官Cは「懲役の分際で
担当を殴るなんてふざけるな」と怒号し平手をもって草部の左右両ほゝを連続的に約二〇回位殴打し続けたものである。この間他の四人ほどの刑務官はいずれも同取調室の草部の四囲をかこんでいた。」、こういうのです。これはまあ弁護人が当人から取り調べた結果ですから、これがどの程度かということはここでこの
調査依頼だけではわかりません。しかし、これだけのものが、弁護人の
調査の前で私は虚偽のこういうようなことをでっち上げて話しているとは
考えられないし、それから、どうもこのいま読み上げたような点が非常に真実性があるように
考えられるわけです。したがって地検でいま
調査しておるということになりますと、これは監獄法とか何とか、こういうものに対して、これはどうなんでしょうか、こういう事態について、地検か刑事局来ているんですか——これはどうです。こういう事態を私たちの党として、政党として放任のできない問題だと思うんですよ。
この点はだから今度の改正法なんかとも
関連して、そうして
研修をやるんだといっても、一体
研修の実態というのはどうなのか。こういう実態がこのままに見のがされておって、そして
研修というようなことで、形だけはいかにも公にする面は……。それで、実際はどうなっているのか。こういう実態が残っているということは、これは事実だというふうに
考えられるわけです。そうすると重大問題じゃないですか。人権問題だとかなんとか言ったって話にならないと思うんですがね。もうほんとうに復讐行為はどんどん行なわれているわけだ。最初はなぐりつけた。そして
収容者もこれに対してかっとして反撃をしたんでしょう。それが訴えられた。そして今度そのあとでそれについて数々の復讐的な行為が行なわれているんですね。こういうことになると、人権を守るとかなんとかの話じゃなくて、もうほんとうに前近代的な天皇制監獄時代みたいなそういう残痕が残っている。それでいいのかどうかという問題になる。だから私は聞いている。で、この弁護人も、これは非常に重大視して
調査を依頼してきている。こういうことなんですね。どうですか、その点について。