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説明員(宇佐美毅君) 宮内庁の
行政機構につきまして、普通の官庁と差があるであろうということでございまして、もとより
宮内庁法の定めるところによりますと、皇室に関する国家事務を扱うという
意味において、法律的な
意味におきましては国家事務を扱うということでございまして、単にそれだけのことばではそんなに差がないわけでございますけれ
ども、皇室、いわゆる象徴たる天皇の権能、権限というものが憲法に限定されて、政務に関係しないという
立場におられます関係上、政治的な要素というものはきわめて薄いということが一つの特色でなければ、非常に紛淆を生ずるのではないかと私は考えておるのでございます。それと同時に、国家事務を扱いますために宮内庁の職員は
公務員であることはもちろんでございますが、しかし、非常に何といいますか、御
家庭のいわば私的なこともだれかがお世話しなければならない、そういう面から、
公務員は全然私的なことに関係なしというわけにはまいりません。やはり私的なこともお助けするという一つの特色がございまして、こういう
意味から申しまして、その人事の面においても特別職というようなものが他の官庁と違った
意味において相当多数認められるという状況にあるかと思います。これはまあ御承知でございましょうが、外国の例を見ましても、イギリスのごときは、イギリスの宮内庁と申しますか、皇室の事務を取り扱う者は、大体、王室で採用された人で、国家
公務員というのは財政その他の関係の数名の人であるように聞いておるのであります。しかし、やはり最近、世の中の変遷に伴いまして、
恩給の支払いというような問題がやはり国でやらなければならぬということになりますとか、あるいは王宮の修理が、やはり国家営繕という
意味で国家の
予算に入るとか、漸次変更を来たしておるようであります。ですから、過去において、宮内庁の職員も普通の役所とも違う点もあるので、全部
公務員でない
立場という論も一度ございましたけれ
ども、なかなか実際問題としてはそれは不可能であるというように思うわけでございます。で、終戦のときに実は宮内庁全体としましては約六千人の人がいたわけでございます。もっとも終戦に伴いまして学習院であるとか、帝室博物館、あるいはただいま農林省にまいりました帝室林野というような大多数の職員、仕事
自体が離れましたので、それに伴って離れていった人
たちが三、四千人あろうかと思います。で、純粋のいまの仕事と同じ人数だけで、大体のところ二千五百人くらいだったと思いますが、それが戦後、占領中に六回か七回か占領軍の指示に基づく検討が行なわれまして非常に減ってまいりまして、二千五百人いましたのが、実際現在のところ千百六十人、半分以下になっております。たとえば侍従も当時から見ると半分以下になっております。そういうように非常に少なくなっておりますが、その後、戦後におきましても政府のいろいろな御方針によって人員の削減ということが行なわれ、宮内庁も大体その線に沿って、例外でなく、少しずつ苦しいうちから減ってまいっております。講和とともに国際関係がふえましたけれ
ども、そのために特にふえたということはございません。ただ、東宮御所も新しいお子さまがお生まれになった関係でふえた、あるいは御結婚によってふえたというような
程度でございます。いま総務長官も仰せになりましたとおり、最近さらに三ヵ年にわたって、五分の人員の減というものは厳重にやってまいっております。約三ヵ年で六十八人減らすことになっておるわけであります。ことしは、と申しますか、前
年度末から本年にかけまして、皇居の造営も済みましたので、廃止のことを今度の法案で御検討願っておりますが、そのために減員される。牧場関係におきましても、三里塚から今度は宇都宮に移るという前提におきまして、面積も減る、仕事も合理化するというふうな関係で、百三十人近いのが百一名というくらいに減員をするというようないま状況でございまして、宮内庁としてはなかなかたいへんなときに一ぺんにぶつかってまいったわけであります。いろいろくふういたしまして、その職員に不平なくこの問題が整理できるように、前から検討いたしまして、大体特別な不満もなく何とか処理ができそうでございます。そういうために、先ほ
どもお話のございました、古くから残っている仕事で当然いまの時代でやめるべきものをやめるとかいうようなことも行なってまいりましたし、病院なんかも、いろいろな科まで減らしてまいったわけでございまして、とにかく何とかおさめる努力をいたしておるわけでございます。しかも、仕事としてはいまの時代に合うようにだんだん合理化の
意味もまぜていきたいと思う次第でございます。
行政機構につきましては、これは政府では人員のことにつきまして、三ヵ年間の減員についての指示がございました。しかし、
行政機構のほうもかねてから
行政改革の問題に取り組んでおられまして、考えることがあったら何か一応出してはどうかということもございまして、きわめて短時間でございましたので、十分な
審議をいたさないで、ただ、事務的にこうしたらわれわれとしては能率がいい、都合がいいというようなことを二、三書いて出したのでございます。ただ、最も根本的な問題は、一体、宮内庁というものが、いまは総理
大臣の管理にありまして、したがって、総理府の外局として総務長官の監督という関係に立っているわけでございます。したがって、
予算、人事その他が総務長官を経て
内閣に上がっておるわけでございますが、かつての
行政審議会におきましても、これは大事な問題の一つとして、
内閣に直属するというような意見も出ておりました。そういう根本的な問題がいろいろ考えられると思うのでありますけれ
ども、そういうものが出てまいりませんと、実は本式な、どういうふうにしたらいいかというのがちょっとまだわれわれとしてもはっきりしたところが出ておらないわけです。
内閣というものをどうされるかということをよく伺ってから、われわれもそれに合わせて検討いたしたい、こういうふうに考えております。