○村田秀三君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました
行政機関の
定員に関する
法律案に対し、反対の討論を行なうものであります。
まず反対の第一の理由は、本法案の示す性格と本質が、
佐藤内閣の政治姿勢そのものであり、明らかに行政の民主化を阻害し、
憲法の精神を無視したものであるからであります。
そもそも民主主義
制度にあっては、行政は国民のために存在しなければならないし、
政府は国民の望む行政をすみやかに実現する義務を有するのであります。そのため国家行政組織法が制定され、行政の機能と表裏の
関係にある
定員を法定し、今日に至ったのでありますが、それを今回の提案によって、
定員に関する
部分を、単に
公務員の総
定員を法定し、その
配置は政令にゆだねることとなるわけでありますが、一片の政令によって自在に
定員を移動せしめ得る道を講じようとすることは、国会の審議権を無視し、国民の行政に対する
意思の表明をはばむものであり、かつ内閣の恣意のまま行政が行なわれることは容認できないのであります。
反対の第二の理由は、本法案提出の背景であります。昭和四十二年十二月十五日、閣議は一省一局削減と五%
定員削減の方針を決定いたしましたが、この方針は審議を通じ明らかなごとく、また
政府自体も認めているように、まさに理論も根拠も薄弱であり、国民とその職にある
公務員の理解と納得を得ることができないからであります。申すまでもなく、本来、
定員算定の基礎は末端の単位における
仕事の質と量を前提に積み上げられねばなりません。その上に行政の規模に応じ職を置き、恒常的に必要な職に対して
定員を
配置することは行政の初歩的理論であり、今回の措置が理論的にもこの作業の手順が転倒していることを認めている
政府が、あえてこの法案の強行制定をはかろうとする態度に問題があります。思うに、五%
定員削減計画の
内容によって明らかなように、見せかけの行政改革を掲げ、国民を支配、
管理する体制を強化しようとの意図のあらわれであると理解せざるを得ないのでありまして、かかる本末転倒の行政執行を認めるわけにはまいらないのであります。
反対の第三の理由としては、この理不尽な五%削減計画が行政需要にマッチした適正
定員の
配置という
政府の宣伝文句とは別に、予想されたごとく弱い、しかも、国民の目からはあまり目立たない部門にしわ寄せされている実態がすでにあらわれております。気象観測の業務カット、航空管制官の
定数の引き上げなどこれでありますが、国民は必要な業務をカットしてまで行政改革を望んでいるのでは決してないのであります。
定員法定の今日ですらこの実情にあることを思えば、
政府の言う各省セクトの排除、
行政サービスの向上のためという
説明は空文にひとしく、
定員配置が政令
事項になった場合、このような問題がなお深化するであろうことが想定されるのであって、この面からも反対せざるを得ないのであります。
反対の第四の理由は、根拠のない五%削減計画が
職員及びその家族に対し不安動揺を与えている実情であります。いかに、職にあるものの出血整理はやらないと言い、また不当な
配転は行なわないと言っても、
公務員法第七十八条は現存し、かつ所々において
職員団体との間に問題を惹起せしめているかを考えた場合、すみやかに
職員の納得できる計画を出すべきであるという
立場に立って反対をせざるを得ないのであります。
以上総合して判断するに、行政改革は
総定員法の成立を待って行なうとの
政府の
答弁は何らの保障がないのみか、
総定員法の成立はただに行政権の拡大を
意味し、官僚のばっこを許し、専横政治への道を開くものであると断言せざるを得ないのでありまして、わが党は本
法律案に断固反対し、その撤回を求めるものであります。
反対討論を終わります。