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1969-05-08 第61回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月八日(木曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         八田 一朗君     理 事                 石原幹市郎君                 柴田  栄君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委 員                 内田 芳郎君                 源田  実君                 佐藤  隆君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 安田 隆明君                 山本茂一郎君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君        国 務 大 臣  床次 徳二君    政府委員        内閣法制局第二        部長       田中 康民君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府人事局長  栗山 廉平君        行政管理政務次        官        熊谷 義雄君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        行政管理庁行政        監察局長     岡内  豊君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        行政管理庁行政        管理局審議官   石原 寿夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○行政機関職員定員に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  行政機関職員定員に関する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 村田秀三

    村田秀三君 人事院総裁にお伺いをいたしますが、先般も山本委員、それから山崎委員も、短い時間の中でございましたが、寒冷地給地域区分について具体的にお伺いしたいと思います。時間がございませんので率直に聞きますので、要を得た簡明な答弁を願います。  そこで寒冷地給地域区分、これに対して不合理があるということですね、年来いわれておる。私どももそう思います。またさらに毎年、これは春夏秋冬といいますか、陳情を受けて、まさに不合理であると感じておりますが、人事院といたしましては不合理である、不合理が存在するとお考えになるかどうか。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 地域区分の問題は、まことにおっしゃるとおり、たいへん各地の意外に関係が大きいもんでありますから、各地元において非常に御熱心であり、それだけにまた私どもも重大な関心を持って、その適正を期しておるわけであります。御承知のように、三十九年にだいぶ大幅な地域区分の訂正をやりましたけれども、なおその後いろいろと検討を重ねまして、さらに昨年、部分的な手直しをやったわけであります。いまのままで完全に合理的と思うかというお尋ねでございますけれども、私どもとしては、よそ行きのお答えとしては、これはもうりっぱなものでございます、完全に合理的でございますと申し上げなきゃならぬところでありますけれども、そこはやっぱり正直にものを申しませんと問題が残りますから、率直に申しますが、ちょっとやっぱり残っておるわけです。  それは昨年の手直しをやりますときに、できるだけ不合理をなくするという意味基準ども考え直しましたけれども、これひとつ沿革的な大きな根っこが残っておりまして、御承知の最初の寒冷地級地決定の際は、これは大蔵省の所管の時代級地決定が行なわれた。それが非常に大まかに各府県単位で、原則としては府県単位で大きく押えられた。したがって一つ府県の中では、甘いところ、辛いところ、いろいろあったわけですが、要するに府県単位で押えてきておったわけです。私ども関係いたしましてからは、御承知のように、大体市町村というようなことで押えてまいりましたけれども府県単位時代のものを全面的に抹殺してしまう、白紙に絵をかくようなぐあいにやれば、できればいいんでありますけれども、それがなかなか従来の沿革もあって、一挙にできがたいというところから、従来のそういった府県単位時代にきめられましたことはできるだけ尊重しながら、しかも級地間の不公正のないようにというようなことで、そういう制約のもとに作業をやっておりますために、そういう面から見ますと、率直に言って、たいへんりっぱなものだというふうには申し上げかねる。しかし、できるだけ合理的であるという御説明ができるように、昨年新しい基準まで設けましてやったわけです。昨年も議論になりましたけれども、とにかく沿革的によ過ぎるところというのがいつまでも残っている以上は、それとの比較関係でどうしても、あそこさえそうだということで議論は尽きないわけです。理論的にはよ過ぎるところを一挙に下げちまったらどうかというところまで理屈は走るわけです。しかしそうもにわかにいきませんものですから、いまのようなことで苦心を重ねて今日に至っておるということであります。  なお、それとはまた別問題で、積雪あるいは寒冷等々についてのデータというものも、これまた新しいものがだんだん出てまいります。むろんそういう新しいデータをも勘案しつつ、さらにわれわれとして、改めたほうがよろしいと思う部分については、なお今後も手直しをしようという努力は、これは捨てておりませんから、その点だけは御了承を願っておきたいと思います。
  5. 村田秀三

    村田秀三君 ずっといろいろ言われまして聞いておりますと、不合理は認めつつも、歴史的な経過の中でやむを得ないものがあるというような、それからあと基準の問題が出てきました。甘い、辛いという問題、これは基準の問題になりましょうが、しかし不合理は認められておるわけですね。それでそれをこれからも検討して改善の努力をする、こういうことであります。いま私が申し上げました三つの問題どの程度論議できるかは別といたしまして、それは後ほどにいたしまして、その現在考えておる不合理だと思う部分、それはどういうところであるのかどうかというのが一つ。  それから、その人事院が考えておる基準であるとか、あるいはそういう認識の持ち方というのは、私ども人事院認識の持ち方というのは違う場合ありますから、そういう意味では、私が言っておるのが必ずしも妥当であるとは言いがたい面もあると思うのです。そこでいま人事院が考えておる、不合理認識をした状態、そうしてそれをまたいつ是正するか、これをひとつお答えをいただきたいと思います。
  6. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) あえて正直なところを申し上げたわけでありますが、そのいわば不合理と思われるような点は、ひとえに沿革的な理由によるものである、過去の沿革からどうしてもそれを温存せざるを得なかったことからくる不合理であるというふうに、はっきり申し上げて私はいいと思います。したがいまして、その沿革的な面の征伐をするということは、これはたいへんなことでございまして、下げてしまえばそれでいいんじゃないかということに尽きますけれども、なかなか下げようもいろいろ考えなければなりませんし、にわかにやれないという問題がそこにからまっておりますために、なかなか一刀両断にはまいらない。それが私は率直に言って一番大きな理由だと思います。  その他つけ加えていえば、なおしかしそういうものを抜きにしましても、昨年も御決議もあったことでありますし、なおわれわれは謙虚に、全般的な級地別の適正ということにはこれは気を配ってまいりたいというつもりでおるわけです。
  7. 村田秀三

    村田秀三君 もう一つ答えが残っている。いつ直すのか。
  8. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) とにかく昨年手直しをさしていただいたわけでございます。とにかく昨年の勧告段階においては、そういう諸般の条件のもとにおいて、われわれとしては最善を期したつもりであるわけです。しかしなお検討を続けろという御要望がございましたから、それは謙虚に検討を続けておりますけれども、いつ直すというところまで、とにかく昨年は昨年として、私どもとしては、まず責任を負えるものとして御勧告を申し上げたわけであります。したがってその検討を、さらに反省して検討の結果がいつになるかということは、これは事の性質上、いまなお検討を続けておりますということ以外に申し上げかねるのであります。そう今年、来年というぐあいに早目にその時期がくるとは私は思っておりません。
  9. 村田秀三

    村田秀三君 この歴史的な沿革がそうさせるというのですが、私は福島県なんですね。福島県の中を見ますと、その同じ沿革がいろいろな意味にこれは考えられるわけですね。具体的にはどういうことなんですか。全国的な、たとえば私が資料を見ている範囲におきましては、なるほど関西のほうには、これは五級地にしてもよろしいと思われるような条件を具備しておるところがある。少なくともわれわれが考えるのは、基準という基準、はっきりしたものをお出しになれるものとすれば、お伺いしたいものだと思っておりますが、少なくとも人事院といろいろ折衝された方々が、あるいは一つ一つの各種の条件を全部抽出してみた。そうしてその抽出されたところの条件というものを比較するならば、これは概括的にはある程度基準というものが、ははあこの辺のところでひとつやっているなあということがわかるのです。その場合に東北地方関西であろうと、同じような条件が具備されておるところ、これが格段の級地格差があるということになると、だれもこれ了解しませんよ。こまかい話になりますけれども、したがってそういうものもひとつ沿革によるものだからというのか、あるいは同じ福島県にも小さな地域の中におけるところの沿革がそうさせるのか、その具体的なものが聞けないと、これは私どもも、沿革がそうでございますから現在はこうでございますということを、そのまま認めるわけにはいかない。
  10. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 具体的な問題になりましたので私からお答え申し上げたいと思いますが、寒冷地手当は、雪の関係と、それから寒冷度関係二つ寒冷積雪条件に基づきまして、それぞれどれだけ寒冷増高費が要るかという関係をいろいろ検討しました結果、一つ基準を設けけまして格づけをいたしてまいっておるわけでございます。そこでその基準によって照らして判断をいたしますと、いま総裁から申し上げましたように、大蔵省時代から人事院が引き継ぎましたのは、たとえば福島県で申しますと、全県三級地ということでございましたですけれも、気象条件から申しまして、いま申し上げました基準から照らしますと、たとえば浜通りのほうも三級地であり、会津地方も三級地であるということでは非常におかしいということで、人事院になりましてからその基準に照らしまして、会津地方におきましては、山手のほうは五級地盆地のところは四級地というふうに格上げをいたしたわけでございます。一方におきまして浜通りのほうといたしましては、一段階または二段階下げたところがございます。そういう関係で、気象条件に基づきまして格づけをしてまいったわけでございますけれども、なおやはり従前の格づけとの関係から申しまして、なかなか全部基準に沿ってがっちりやるというわけになかなかまいらないという面がございまして、今日まで至ってきているという面がございます。  去年の改正におきましては、その関係を、基準の若干の修正をいたしまして、全国的にそれを特に公平化という関係から見直したわけでございまして、それに基づきまして、上げるべきところは上げるということをやったわけでございます。ところが、その基準といたしまして、具体的に申しますと、寒冷地手当を支給する地域というものの限界点と申しますのは、一月の平均気温といたしまして一度、それから積雪の、最深積雪が四十センチという点をめどにいたしまして、そこが寒冷条件限界であるというふうに基準改正をいたしまして、従来の格づけとの調和をはかったわけでございますけれども、それによりましても、なおかつ、たとえば福島県の浜通り地方におきましては、平均気温二度ないし三度というところがございまして、そういうところをなお寒冷地ということをやっていくことにつきましては、問題がなお残っておるということがございます。しかしながら、やはり気温の問題でございまして、直ちに基準どおり格下げするということにつきましては、なかなかやはり問題がございますので、さらに調査をいたしまして、妥当な方法でそれを調整するということを今後検討いたしたいというところが現在の段階でございますし、かつ一方において気象資料関係につきまして、新しい資料が出れば、格づけの引き上げということもあり得るということを考えておるわけでございますが、先ほどお述べになりましたように、関西地方において、私どものほうの格づけ基準といたしましては五級地のようなところはございません。
  11. 村田秀三

    村田秀三君 いま基準の話が出ましたけれども、これは沿革はわかりました。福島県が全県三級だなんということは、これは全く子供みたいな話でありますから、これは直ってくるということはしごくあたりまえ……。  そこで、寒冷地給を支給する地域限界、これは一月の気温が一度、積雪が四十センチということでありますから、それは最低限であると、これは五級地に区分されているわけですから、一級地条件はこうで二級地条件はこうだということがなければならないわけですね、それはあるわけですか。  それから、こまかい話になりますが、これはこまかいことを言うと切りがありませんが、同じ四十センチでも、おれのほうの雪は目方が重いという言い方が現実にあるわけですね。むしろさらさら雪のほうが困る場合がなきにしもあらず、いろいろの条件ありますが、そういうこまかい話をしますと切りがありませんけれども、まあ気温は高いけれども雪が多いとか、雪は少ないけれども気温は低いとか、いろいろあるわけですね。そういう条件も当然加味されなければならないわけでありますから、この基準設定というのはむずかしいということはわかります。わかりますが、基準がなければならないわけでありますからその基準を、いま人事院が使っておる基準というものを、公表されておるかどうか。私も聞いたことがないわけでありますが、公表されておるとすれば、それでよろしゅうございますが、その内容をお知らせ願いたい。
  12. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 先ほど基準につきまして具体的に、たとえば寒冷につきましては平均気温が一度、最深積雪は四十センチということを申しましたのは、寒冷地手当を支給する一番低いところという限界でございます。それ以上の地域はいろいろございまして、それにつきましては、雪が非常に何メートルも降るというところもございます。そういうところにつきましては、それぞれ何といいますか、段階を追いまして、積雪の量を追いまして、級地を引き上げるという形で格づけ基準を定めております。  この間も御指摘になりましたように、たとえば何と申しますか、奥羽地方日本海側におきましては、平均気温そのものはそれほどでございません。大体冬でも摂氏マイナス一度程度海岸端で大体マイナス一度程度というように思いますが、それだけによりますと、大体一級地ないし二級地程度という感じでございますけれども、雪がございますので、四級地なしい五級地になっているということで、寒冷度による冷寒増高費増高ということと、それから積雪による寒冷増高費増高ということを、それぞれいわばプラスをいたしまして、何級地に格づけをするという基準をつくっておりまして、これは従来から公表をいたしております。今回のものももちろん公表をしておりますので、ごらんいただきたいと思います。
  13. 村田秀三

    村田秀三君 それは一定の基準公表されておるとすれば、何か資料ありましたらひとつお届けいただきたいと思います。  そこで、そういう資料に基づきながら、これは認定をなさっておる、手直しをすると、これまた不合理が出てくるということもあり得るわけですね。これは福島県に現実に起きているわけです。一つのことを申し上げますが、喜多方は三十九年に五級地になりましたね。そうすると若松——また若松周辺ということになりますが、北会津村、塩川、本郷、会津高田、これは会津中心ですね。まあ盆地は四級地という先ほど言い方をなされましたが、これはもう盆地中心です。喜多方盆地の中に入れてもいいんじゃないかと私は思いますが、また喜多方が五級地になったことを私はとやかく申し上げない、当然なるべくしてなったわけですから。そうしますと、これはいろいろ資料を見ますと、会津若松のほうが条件としては高いように見受けられるのですね、喜多方よりも。最低気温喜多方よりも若松は若干〇・一度ぐらいはちょっと高いようでありますが、ディグリーで。そういうものなんかはむしろ、喜多方よりも会津若松のほうが高い、現地からきておるところの資料によれば。首をひねっておる方もおるようですけれども、これは現地はうそはつくまいと思うのですね、これはおそらく市役所が中心になってつくっておるはずですから。ところが、喜多方が五級地に是正をされて、そして若松がならない。塩川なんかは喜多方と全く条件は同じですね。塩川喜多方若松と、こうくるわけです。これはいろいろむずかしく言うと切りがありませんが、たんぼ一つ境で四級地と五級地の差が出てくる。全く条件は同じです。むしろ若松のほうが高い。これはどういうわけですか。
  14. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) こまかい話でおそれ入りますが、私どもは気象庁の資料に基づきまして格づけをいたしているわけでございます。で、御指摘のように、喜多方若松とは、平均気温におきましては、一月の平均気温マイナスの一・二度ないし三度ということで、まず同等でございます。しかし積雪データによりますと、喜多方最深積雪が九十センチであるのに対しまして若松の場合には七十六センチ、塩川の場合には七十三センチということで、その間に若干の違いがございまして、積雪級地区分につきましては、七十センチ以上の場合と、それから八十センチ以上の場合、九十センチ以上の場合とでは、それぞれ級地を異にさせておりますので、そこに違いが出てきたということでございます。
  15. 村田秀三

    村田秀三君 どうも、資料が違うのかどうか、私がちょうだいしている資料とちょっと数字が違いますが、これはあとでよく調べてみます。調べてみますが、いずれにしろ、先ほど申されたように、盆地は四級地だと、この観念からすると、会津盆地を、何か四級地を残さなくちゃならないと、そういうことでやっておるとすれば、これは大きな間違いです。私どもが見た限りでは条件は同じですよ。そういう数字のことをここでやりとりしてもしかたありませんから、別途そちらのほうの資料と後日突合してみたいと思うのです。若松の問題はそれでおきます。  もう一つ私が非常に疑問に思うのは、同一市内に、行政区内級地の分割されておるところと、それからきわめて気象条件が違う地域がそこにあるにもかかわらず、地域区分が同一にされておる場合とあるわけですね。具体的に申し上げましょうか、福島の場合ですと、これは福島市には、土湯飯坂福島——福島ですね、もちろん町村合併によってこれはなされたわけです。これは、土湯飯坂、旧福島市内というのは非常に条件が違うわけですね。これはそちらで調べたものがあるかどうか知りませんが、私のほうで調べたものがありますから申し上げていいのですが、非常に違う。と思うと、同一市内で、新市町村が旧新市町村の際に格づけされたまま持ち込んできているものですから、同一市内級地の違うもの、たとえば若松市内では湊地区が五級地になっております。それから旧若松市内、これは四級地、この二つ状態が存在するわけです。これはどういうわけですか。
  16. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 寒冷地手当級地区分のきめ方でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、やはり従来の、たとえば福島県全県を同じにするというよりは、非常に広域というよりは、むしろきめをこまかくして市町村単位郡単位という考え方もございますけれども市町村単位でやっていくということを、人事院としては従来からやってまいっております。そこで従来の一万程度市町村がございましたときの昭和二十七年現在の市町村区分状態におきまして格づけをしてまいったわけでございますが、その後市町村合併が行なわれまして、三分の一程度市町村になったわけでございます。そこで新しい現在の市町村区分に、市町村区分の中ではすべて同じにしたほうがいいかどうかということが一つ問題点でございます。  いま福島の場合とか、それから若松の場合とかについて御指摘がございました。たとえば若松の場合につきましていいますと、若松の場合は、先ほども申しましたように積雪量は七十六センチでございますのに、湊村の場合には百二十三センチということで非常な格差がございます。もっと端的な話をして恐縮でございますけれども、たとえば浜通りのほうに浪江町というところがございます。そこは非常にあったかいところでございますけれども、そこにずっと山手の、海岸ばたの浪江町に対しまして対馬村というのが合併をした。対馬村というのは標高五百四十メートルもある阿武隈山地の高いところでございます。で非常な格差がございます。そういうところを市町村合併をしましたからといって同じにするということはいかにも問題がございます。で、私のほうとしましては、こういう市町村合併の場合におきましては、やはり級地が、それぞれの合併された市町村の中の気象条件が非常に似ているという場合には一緒にする。しかし非常な格差があって、かえって不均衡になるという場合にはむしろそのままにしておいたほうが、人事交流上いいのじゃないかという態度で考えております。したがって、はなはだしく、先ほどの何と申しますか、若松の場合、あるいは浪江の場合なんかは特に問題でございますけれども、そういうはなはだしく格差があるという場合には、そのままにしておくという態度でまいっておるわけでございます。
  17. 村田秀三

    村田秀三君 若松の場合は旧市内と湊の側、これはわかるのですね。福島の場合は、これは土湯がかつてやはり村であった。しかし、その際に格づけは現在の三級地にされたかもしれません。状況をとってみると、これは福島市内と著しく相違することはもう認めざるを得ないわけですね。いまのお話であるとするならば、これは同一市町村内であっても、最近の傾向としては、これは合併が進んでおるわけですから、相当に条件の差異が出てきておるという場合に、当然高く格づけされてもいい地域があるとするならば、それは是正されていいわけでしょう。そうですね。
  18. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 町村合併をした中におきますいわば同一市町村の中の級地区分のあり方といたしましては、ただいま申し上げましたように、はなはだしく格差があるという場合には格差を設けるということをやっておりますし、それほど差が比較的少ないという場合には同じにするという方向をとっているわけでございますが、福島の場合には、むしろ逆に言って福島のほうをほんとうに気象条件からいって下げるべきだと考えます。で、格づけ基準からいって、先ほど申しましたように、もう少し下げるべきところが、なかなか下げることをいままでやってきておりませんので、そこに格差が、御指摘問題点が生じてきたというふうに理解をすべきものと私どもは思っておるわけでございます。その辺が一つ問題点でございますが、なお一方におきまして、私どもとしましては、同じ市町村の中である地域につきまして、特別な地域について非常に格差があるという——たとえば日光の中で、日光の役場のほうは下のほうにございますけれども、中禅寺のほうの奥の上のほうは標高千メートル以上もございまして、非常に寒うございます。そういうところの役所につきましては、特に官署指定をして、一段階ないし二段階上げるということをやっておるわけでございます。そういうことで同じ市町村の中のバランスというものはとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  19. 村田秀三

    村田秀三君 福島の旧市内を下げなくちゃならないなどというような言い方をされると、これは問題だと思うのですがね。そういうことでいろいろな——まあわれわれしろうとから考えてみても、あるいは資料を見ても、若松の場合と福島の場合、これは相違して存在するということ、これはやはり明らかに不合理ですね。私はいま福島の場合を申し上げました資料ございますけれども、そちらの資料と違うとまた困りますから申し上げませんが、それじゃ山形の場合はどうですか。山形市内に蔵王があるのです。蔵王はなんというところは六級地にしてもいいのですよ。これはやはり四級地ですよね。そういうものが存在をするから不合理なんだという言い方をされるわけです。これは人事院の考え方としては、同一市町村の中に条件の異なる地域が存在するとすれば、差をつけてもよろしいという方針のようでありますが、これは人事交流面を考慮いたしましてもぜひ必要である、これはすみやかに是正されるように強く要望しておきます。  と同時に、先ほど来論議になりました——まあ私は同一市町村内の小さな問題をいま申しましたが、それでなくとも、この全寒対が苦労してつくったところの、条件をそろえた、これは何といいますかね。資料があるわけです。私これを見て言っておるわけですが、これを見ましても、人事院承知しておっても、なかなか金も要ることだし、一つ手をつけると相当大量になるので、なかなか手をつけにくいという状態もあるのかもしれませんが、とにかく整理しなければこれはどうしようもない状態ですよね。基準をひとつあとでいただいて、その基準に照らし合わせてひとつ突合してみたいと思いますが、またその基準について問題があれば、いずれ機会を見て論議してみたいと思いますけれども、しかしいずれにしろ、地域間に不合理が存在するし、小さな問題といたしましては、私がいま申し上げましたような問題、これは小さいけれども、その地域の中の公務員にとっては大問題ですよ。これは人事交流にも影響を与えるということでありますから、すみやかに是正をされるように要望をしておきたいと思います。  で、作業をなさっておられるということでありますが、少なくとも二年も三年もかかるということにはならないと思うのです。ことしは無理かもしれないけれども、来年あたりにはきっと何とかしてみたいとかいうような一つの日程を持っておらないと、これはなるまいと思いますので、この辺のめどをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  20. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) こかまい問題につきまして、ちょっと補足させていただきたいと思いますが、先ほど御指摘の山形市内の蔵王の山の上のほうにございます大学の寮等につきましては、山形市内と同じ格づけじゃございませんで、特に官署指定をしております。一段階上にいたしておる。  それから先ほどの資料について、私ども承知いたしておりますけれども、その資料は、それぞれの観測地点によって資料をとるということになるわけでございますけれども、私どもの格づけは、何と申しますか、やはり公務員のいるところということを主眼に格づけをいたさざるを得ない、まあいたすことにいたしておるわけでございます。したがって、格づけの基礎条件をとるためには、やはり原則として市町村における役場の所在地というところによって格づけをするということをやっておるわけであります。先ほどの資料につきましては、そういう観測地点でございますから、たとえば山の上とか、そういったようなところの山の観測地点について表示してございますけれども、その寒冷地手当地域区分としての資料をとるためには、やはり役場の所在地を原則として格づけをするということでやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  21. 村田秀三

    村田秀三君 私自身の予定した時間がございますので、そろそろやめたいと思いますが、もう一点お伺いしますが、各地方自治体が、人事院勧告の指定とは別に取り扱っておるところがあるわけですね。これは地方自治体でございますから、人事院の介入するところでないというふうには考えますが、これに対してどのようにお考えになっておりますか。
  22. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 地方自治体において地方公務員のためにおやりになっていることについて、われわれとしては、とやかく申し上げるべき立場にございません。いま局長がお答えしたように、公務員のいるところという表現をいたしましたけれども、さらに精密に申し上げるならば、国家公務員のいるところ、しかも一般職でわれわれのカバーしている公務員のいらっしゃるところという言い方が一番正確な言い方でありまして、そういう点からいいまして、地方には地方の特別な御事情があるわけでありますから、あるいは別になることもあろうというふうに考えます。
  23. 村田秀三

    村田秀三君 これは質問じゃありませんが、結局各地方自治体がそのように格づけを変えて扱っておる、これはやはり人事院基準をそのまま採用しておそらくやっておると思うのですよ。あるいは多少の差異があったとしても、事実上同格に扱うべきである、こういうことで、おそらく地域指定を変更しておるかもしれません。そのくらいやはり合理性を持っておるということ、これはひとつ御承知願いたい。  同時にもう一つ申し上げますが、地域給じゃありませんが、それ以外の手当等について、もちろん国家公務員は人事院の所掌するところでありますから、人事院の方針と違ったものが国家公務員に適用されるなどということはあり得るはずありません。しかし公企体であるとか、あるいは地方自治体であるとか、少なくとも人事院基準一つ基準にしてすべて扱っておったものが、最近の傾向としては変えられつつあるのではないか、地域給ばかりじゃありません。私の知っておる限りでは、きわめて重要な問題が別に扱われつつあるということは、それだけ人事院の——少なくとも地方公務員であろうとあるいは会社であっても、ひとつ人事院の方向をそんたくしようじゃないかという気持ちで給与面の管理をしておったにもかかわらず、人事院が公平をくずすことによって、不合理性を深化させることによって、その待遇というものが全国的にくずれていくということは、これはやはり大きな問題であろうと私は思いますので、少なくとも大衆全体を納得させるような合理性のある措置というものをとられるように強く希望をいたしまして、地域関係の質問を終わりたいと思います。  行管長官にお伺いいたしますが、先般峯山さんもちょっと触れられたと思うのですが、四十二年の十二月、一省庁一局削減を閣議決定いたしまして、四十三年度中にそれぞれ措置されたようであります。措置されました結果、どのように機構、職が変更になったか、現状についてお答えをいただきたいと思います。
  24. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) いわゆる一省庁一局削減というのは、俗に行政改革の起爆薬であるというふうな表現で前長官もお答えしたように記憶しておりますが、これは毎度申し上げておりますように、行政改革をやるということは、口で言うのはやさしゅうございますが、実際は非常にむずかしいということで、起爆薬などといわれるような一省庁一局削減を、見方によれば画一的であり過ぎるという批判もあり得ようかと思われることをやったわけでありますが、これは同時に、続いて行政改革の実現をはかる意図を持っておったわけでございますが、当時考えられておったとおりには必ずしも進んでいないことをまことに遺憾に存ずる点もございます。ただ、これを契機といたしまして、その趣旨はある程度政府部内に理解されておりました結果、四十四年度予算を御決定をいただきましたが、これに関連する限りにおきましては、外局あるいは局、部などというものはほとんど新設しないで済んでおるという意味において、行政改革の趣旨にいささかでも前進をし得たんじゃなかろうかと存じておるわけであります。てまえみそを言わしていただけば、御審議中の総定員法を御決定いただくことによりまして、緩急軽重を勘案しつつ、かれこれ融通し合いながら、定員におきましても、またさらに機構との関連においても、行政改革の実をあげ得るよすがになろうかと存じておる次第であります。  以上お答え申し上げます。
  25. 村田秀三

    村田秀三君 これは長官の就任前のことであるということになりますが、総定員法が通ったならば効果が出てくるのではないかというような意味にも受け取れるわけですが、私がお伺いしておりますのは、どういう状態になったか私は知っておるわけですよ。知っておって申し上げるわけですが、長官、これは事務的なことですから、お答えできないとすれば、局長にお願いしてもいいわけなんですが、ひとつどこがどうなったかと、具体的にずっと読み上げられても時間がかかるので、どうしようかと思っているのですが、結果的に、要約すると、どういうことになったのですか。
  26. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
  27. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答えいたします。  一つ一つ読み上げますと時間がかかりますので、結果だけを申し上げますと、局においては十八局減になっております。部におきましては、局を減にいたしましたかわりに十二の部が新設されております。局部の関係だけで申しますとそういうことになっておりますが、そのほかに、たとえば総理府の青少年局を青少年対策本部にいたしましたり、あるいは行管の統計基準局を統計主幹にいたしましたり、そういう組織の縮小も入っております。
  28. 村田秀三

    村田秀三君 これは会議録に内容を載せたいくらいに思っておるのですよ。なるほど十八の局はなくなりましたが、しかし、よく見ますと、官房長が一名ふえて、局長の部五つ、官房長の部四、その他部一、結果的に十部ふえている。そうして総括整理職であるとか分掌職であるとか、きわめて責任の重い職が十七もふえておるということになっておる。違えば御指摘いただいてけっこうでありますけれども、十八の局はなるほどなくなったが、むしろ結果的には機構が繁雑になると同時に部がふえておる。あるいは総括整理職であるとか分掌職がふえておるという結果が出てきておるわけであります。だから、これを見ますと、閣議が意図したところのものと違うものができてしまった、こう私は見るわけですが、それは長官どうですか。
  29. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
  30. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 御指摘の総括整理職につきましては、これは法律職ではございませんで、政令職の官が増加をいたしている向きがございます。ただ、法律職の局の減少に対応いたします法律職といたしましては、これは増加をいたしておりません。むしろ十八の局全部がただいま申しましたように十二の部に格下げになっております。
  31. 村田秀三

    村田秀三君 まあいいでしょう。局が部になったのだから格下げになった、こう言われるわけですからね。私の認識では——実はこれをずっと系統的に調べました。まあ調べていただいたというのが正確かもしれません。これを見ますと、簡素化、能率化などということには絶対理解できないです、これは。一つ一つの問題でやりたいと思いますが、時間もありませんからこれには触れませんけれども、なるほど局はなくなったけれども、局を部という名称にしたと同じように思われるものもあるし、その局に存在しておったすべての部課はそのまま一段下げたかっこうにして整理をされておる。整理統合などというものではないのですね。これはいかにどう説明しようとも、私どもといたしましては、閣議で決定をされた趣旨というものが、この機構改革自体の中ではこれは発見できない、こう私は思うんです、実はですね。  もう一つ聞きますが、私の認識とそちらの認識が違うわけでありますから、どういう答弁が返ってくるかということは、私も想像できますけれども、これをやって、しからばこれはどういう効果があらわれたわけですか。具体的にあるならばひとつお聞きをしたいと思います。
  32. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一省庁一局削減そのものは、局が部に形を変えただけでないかという御指摘はあり得ると思います。これが起爆薬たるゆえんでもあると思いますが、それをきっかけといたしまして、先刻お答え申し上げましたように、四十四年度の予算に関します限りは、そのことがなかりせば局とか外局とか、部とかがおそらくは相当数認められざるを得ない勢いを醸成したと思われますけれども、起爆薬のおかげで、これはほとんど押えることができた。むろん押えるだけが能じゃありませんし、ほんとうに必要なところはふやさなければならぬことはあり得るとむろん思いますけれども、またぞろ総定員法に結びついて恐縮でございますが、配置転換によって、ふやさないで合理化していき、行政サービスを落とさないという目的を達する手段がございませんと、局を減らしつばなしということは、即出血定員整理になるわけでありますから、人員整理になるわけでありますから、それがやれないものだから、何かせめて局というものを部に格下げという形ではございますが、やること自体の将来に対する効果をねらったもの、かように一局削減のことは理解するわけでありまして、その理解に立って申し上げますれば、いま政府委員からも申し上げました。私からも繰り返し申し上げましたようなことが、効果としてはあらわれてきておると評価してもよろしいんではなかろうか、こう理解しております。
  33. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 数字的に若干補足させていただきます。  昭和三十八年から昭和四十二年度に至りますまでの五カ年におきましては、平均でございますが、機構の純増加といたしまして、年に平均、局が二局、部が一部、それから課が二十二、それから特殊法人が六、それだけこの五年間各年平均してふえております。四十三年度につきましては、ただいま申し上げましたように、局において十八の減、それからそれに伴いまして十二の部が新設されておりますが、そのほかに二部を減にしております。それから課につきましては、差し引き一課の減をいたしております。  また昭和四十四年度御審議いただきました予算並びに現在御審議いただいております設置法によります組織の改編によりますと、外局、局部は一切四十四年度につきましてはこれは認めておりません。また認めておらない案になっております。また課につきましても、これは現に四課が減になっておりますが、課に相当します官と申しますか、総括整理職の官が四つふえておりますので、これは差し引きいたしますとゼロという勘定になっております。  そういうことでございまして、過去五年間の平均と比べまして、かなり昭和四十四年度の機構、定員につきましては、これは簡素化の実があがっておるというように、簡素化と申しますよりは、増加を押えたという効果はあがっておる、こういうふうに考えております。
  34. 村田秀三

    村田秀三君 まあいいでしょう。これは認識の違いもありますから、それはその程度にとどめますが、まあいずれにしろ、私らの考えとしては、これは一局削減を決定したのでやらざるを得ないから、名称を変えながら結果的にはすべてのものを温存されておる、こう理解せざるを得ないわけですが、それはそれとして、いいでしょう。  次の問題に移りますが、この五%削減問題、これもまたすべてこれ発表していただきますと、時間がかかる問題でありますが、各省庁別の削減計画ですね、これをひとつお伺いしたいと思います。
  35. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的に政府委員から申し上げます。
  36. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 各省庁別の削減計画でございますが、これにつきましては、四十二年度末の該当対象といたしました定員につきまして、それを基礎にいたしまして計算いたしておりますが、職種によりまして、欠員を保留するのになじまない職種がございます。それは看護婦でございますとか、病院のお医者さんでございますとか、あるいは教員でございますとか、そういうものにつきましては、欠員の保留がなかなかむずかしい。それに比較しまして一般の職員につきましては、それほどのむずかしさではない。そういう職種によります種類の違いがございますので、これを各省庁と十分御相談をいたしまして、三つの分類に分けまして、第一は、これは一般の職種といたしまして、特に削減の場合に考慮を加えない。それから第三分類といたしまして、特に削減措置になじまない職種、ただいま申しましたような職種をあげまして、その中間的には、削減にはなじまないけれども、しかしながら第三分類ほどではないというような三つの職種に、各省庁と十分のお打ち合わせの上分類いたしまして、その分類に基づきまして、各省庁の基礎数にウエートをつけまして、それによりまして第二、第三分類は、第一分類よりはそれぞれ若干ずつ軽減の措置をとるという形をとりまして算定いたしましたものに基づきまして、各省庁の削減率を計算いたしております。
  37. 村田秀三

    村田秀三君 まあただいまお答えいただいたのは、この削減計画の何といいますか、方針とでもいう事項じゃないかと思うのですが、そうではなくて、結果的には結局四十二年度末、総理府の定員が何名であって、そうして四十三年度の削減数は実数は幾らである。四十三年度末は幾らであって、あと四十四年度、四十五年度、四十六年度はどれくらい減らしていく、結果的には幾らと、こういうことを実は知りたいと思ったわけですが、これはなぜ申し上げますかといいますと、私もこれは資料を持っております。この資料がまさか間違っているとは思いません。ひとつ合わせてみたいということと、まあ記録に残しておいていいんじゃないかということを思うので申し上げるわけですが、これをひとつお答えを願いたいと思います。
  38. 河合三良

    政府委員(河合三良君) それでは行政機関別に四十二年度末定員、それから先ほど基本的な事項だけ申しまして、昨日も御議論のございました点につきましての説明を入れておりませんでしたが、従来の欠員不補充の措置に基づきまして、四十二年の九月二十日現在の欠員数を、これを四十三年度予算で落としております。これを加えまして全体で五%になっておりますので、その数をただいまお読みいたします。これは四十三年八月三十日の閣議決定できまった数字でございます。全部読み上げるようにいたしますか。
  39. 村田秀三

    村田秀三君 これは読んでもらったほうがいいのですが、時間がなくなるので非常に困っているのですが、それをひとつあとで私いただいて、そしてこちらで申し上げることが数字的に食い違いがあればこの際質問することにして、先に進めたいと思います。
  40. 河合三良

    政府委員(河合三良君) それではそちらに、資料をお持ちでございましたらそれを見ていただいたほうが早いかと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは初めに申しますのは、四十二年度末定員でございまして、次に申しますのが四十三年度の削減数、それから次に申しますのが今後三年間の削減数ということでございます。  総理府本府が四千七名、四十三年度の削減数が三十五名、それから今後三年間で六十名、それから最後の合計を申しますと九十五名でございます。公正取引委員会三百三十六名、それから三名、十一名、十四名。  こういう方式でよろしゅうございましょうか。
  41. 村田秀三

    村田秀三君 けっこうです。
  42. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 国家公安委員会七千七百九十二名、四十九名、二百五十四名、三百三名。土地調整委員会十八名、ゼロ、一、一。首都圏整備委員会五十一、ゼロ、三、三。宮内庁千百九十一、十四、六十八、八十二。行政管理庁千六百六十七、六十四、八十五、百四十九。北海道開発庁一万一千八百四十八、百七十、七百四十九、九百十九。防衛庁三万四百六十九、千五百十五、八百九十四、二千四百九。経済企画庁五百九十四、ゼロ、二十六、二十六。科学技術庁二千三、二、九十四、九十六。法務省四万七千八百十九、二百八十九、千二百五十六、千五百四十五。外務省二千六百五十四、三十三、百二十四、百五十七。大蔵省六万七千五百六、五百二十九、千六百八十七、二千二百十六。文部省十万四千四百九十七、八百七十二、三千百三、三千九百七十五。厚生省六万五千六百九、百四十、千六百六十八、千八百八。農林省六万二千百三十九、千六百八十七、三千四百、五千八十七。通商産業省一万二千九百三十三、三十四、四百三十一、四百六十五。運輸省三万四千八百九十八、百十、千三百七十五、千四百八十五。郵政省三千三百二十五、六十五、百九十、二百五十五。労働省二万七千六百二十一、百八十五、千八百三十八、二千二十三。建設省三万五千七百十九、千六百七十、千四百五十、三千百二十。自治省五百二十四、二、二十六、二十八。合計五十二万五千二百二十、七千四百六十八、一万八千七百九十三、二万六千二百六十一。  以上でございます。
  43. 村田秀三

    村田秀三君 わかりました。そこであらためてお伺いするわけですが、大体これ合っております。合っていないとおかしいわけですが、合っているということでお伺いするわけです。  この削減計画というのは、先般来山崎委員とか山本委員からもずいぶん質疑がなされましたが、職があって人が存在する。仕事があるから人がおる。私らも単純にそう考えるわけですが、そういうような立場に立って考えますと、その削減される計画というのは、削減計画というのは、各省別に具体的に、第一次行政改革の内容もありますけれども、各省別におそらく何といいますか、具体的にどの部門をどのようにしたならば何名の定員が削減できる、こういうふうな具体的な計画があるものと思われる。またそれがあることが前提になっておるのではないかと実は思うわけでございますが、その点はいかがですか。
  44. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 本来ならば、おっしゃるような職の軽重緩急を考えて人を思い、考えに及び、そうして削減し得るかどうかということの一連の考え方に立つべきものであることはお説のとおりだと思います。現実問題としましては、さっきも触れましたけれども、総括的に仕事の緩急に応じて合理化し、簡素化していくことが、国民の要望にこたえるゆえであるという課題と取っ組みます場合、出血整理はもちろんやらないというやり方で当面やりましたのが、いま申し上げたような、各省庁の責任において考え、かつ相談をして最終決定をしたというやり方でございます。したがいまして、本来こんなふうな考え方でいくべきだというお立場からの御質問に対しては、ぴったりはまったやり方ではなかったという批判の余地はあり得ると思います。当面、将来の大目標を掲げて進むにつきましては、一省庁一局削減もさることながら、総定員法御決定の上に、将来に向かって運営すべき基本的な考え方としましては、それぞれ有無相通じて、なるべく簡素な合理的な組織、機構、定員というもので行政需要に対応していきたい。そういうことの前提として大体五%見当の——五十万といたしまして二万五千人くらいの留保定員があるならば、ふやすところはふやし、減らすところは減らすというやり方で、しかも出血整理をしない。配置転換を活用するということをやります場合の準備行動として、四十三年度をこの五%の内訳としましたり、今後の年次計画的な削減定員数を予定しておる。こういうことでございまして、少しくどくなりましたけれども、繰り返し申し上げるようですが、本来十分考えてやるべきものが現実的にはやり得ないままに、批判の余地もあろうかというやり方で、五%という数字を御披露しましたように決定をして、前進しつつある、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  45. 村田秀三

    村田秀三君 長官、この間から山崎質問であるとか山本質問を聞いておりますと、ただいまのような答弁をなさっておる。それほんとうですか。率直に聞きますが、長官はそう答えておるけれども、各省庁としてはまた別な考え方と対策を持って、先ほど突合いたしました数字をはじき出してきたのではないかと思うのです。各省庁が困っでおるのではないかと私はそんたくするわけですが、どうなんですか。その辺局長はどうですか。
  46. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答えいたします。  この三年間五%削減の削減計画につきましては、それぞれ各省庁と十分お打ち合わせの上、こういう数字を出しております。これは従来も自然離職率でございますとか、あるいはいままでの欠員不補充の実績でございますとか、そういうものから勘案いたしまして、この程度のものはできるのではないかということで、各省庁と御相談申し上げた上きめたものでございます。この減員につきましては、それぞれ省庁は今後三年間の削減数を原則として三分の一ずつを、各省庁四十四年度予算で減員計画として出してきていただいておりまして、定員関係の御質問もございましたが、定員につきましては、欠員不補充をして、それから省庁内の措置につきましては、行政事務の簡素化、合理化、能率化によりまして、それに見合うものを考えていただいて、この定員の削減を欠員不補充によって実現していくという考え方に立っております。各省庁その点についてはお打ち合わせの上きまったものでございます。
  47. 村田秀三

    村田秀三君 平たく私は申しますが、いま局長の答弁の中で、離職率がこの程度あるということが一つ、そしてそれを不補充でいける条件をつくるのだ、簡素化、合理化、こういうような言い方をしていますね。それだと思うのです、私が申し上げているのは。各省庁が、これはこのくらい削ってもよろしゅうございますと、欠員を不補充の状態にしておいても、仕事は一〇〇%やっていけますよというからには、その簡素化、合理化あるいは機械化であるとか、あるいは人事管理の面を改善して能率を高めるとか、そういうものがなければ、これは数字は出てこないわけでしょう、そうじゃありませんか。長官は先般来、五%をめどにしてやれといったところが、こういう数字が出てきた。平たく言えばそういう言い方でありますよ。何人削るから不補充にしておいてもよろしいという背景があるはずなんです。長官はそういうものは考えておらないようなことを先般来言っていますけれども、そうではないはずです。どうなんですか。その辺のところ、局長は簡素化、合理化というものが一つあるという、簡素化、合理化があるならば、その内容を私どもは知りたい、こういうことなんです。何も長官は隠そうとして言っているとは私は思いませんが、どうなんですか。
  48. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) いまの御指摘の点は、ちょっとことばが足りなかったかとも思いますが、行政管理庁の立場に立って一般的なことを申し上げたつもりでございます。政府委員からも申し上げましたように、この五%削減という目標を掲げて閣議決定しましたのは、やり方としては、各省庁のそれぞれの責任において、立場に立って、緩急軽重を考えて、可能な限り五%削減の年次計画的なことをきめてほしいということで出発いたしておりますから、各省庁それ自体としては、よその省庁はどうあろうとも、自分のところでその掲げられた目標を達成するとならば、こういうところが比較的ひまであると申しますか、留保定員の中に補充しないでとっておけるということを考えて、省庁の意見が出されたものを集計する立場で先刻御披露した数字になった。こういうことでございまして、各省庁ごとの定員の流用ということは、実際問題としてはできない条件下においてのことでございますから、省庁別に比較しますれば、ある程度合理的でないという御見解もあるいはある、そのお気持ちでのお尋ねと思って先刻来のお答えを申し上げたような次第でございます。その意味で客観的に合理的な根拠に立ってやったとは申し上げかねる意味もございましょう。要らぬことを申し添えましたけれども、要はそういうことでございます。
  49. 村田秀三

    村田秀三君 だから問わず語りに長官もおっしゃっておるんですよ。というのは、各省庁にひとつ五%なら五%の目標を与えた、与えたところが、これはどうしてもそこまでできない。だから三%でもって終わっているところもあるし、二・三七%程度で終わっているところもあるし、八%にもなっているところがある。結果的にならして五%、だから結局各省庁が考えている考えを私は知りたいと、こういうことです。それを長官は、そういうものはなかったような言い方をされて、批判を受けてもやむを得ないのだということを先ばしって言っておられるんですけれども、各省庁はあるはずですよと、私はこう言うんです。あるわけでしょう。これはどうなんですか。
  50. 河合三良

    政府委員(河合三良君) ただいまパーセンテージが違うというお話でございますが、これは各省庁困った結果変わったということはないと思っております。これは従来の凍結定員の積み上げの過不足の問題が一つございますのと、もう一つは、先ほど申しました非常に削減になじまない職種、看護婦でございますとか医者でございますとか、学校の先生でございますとか、そういうものにつきまして、特別な軽減措置を講じております関係上、そういう職種の多い省庁は削減率が低くなっております。また逆に、そういう職種が比較的少ない省庁は削減率が高くなっております。そういうことで計算いたしました結果でございまして、これは各省庁が困るから削減率を低くしてほしいということで差ができておるわけではございませんで、そういう基準を立てまして、それによりまして計算いたしました結果でございます。
  51. 村田秀三

    村田秀三君 どうもなかなかわかりにくいんですが、同じことを何べんも言うようですが、なじまない職種ということばが出てきました、先ほども申されました。だからなじまない職種は減らすわけにはいかぬでしょう。しかし、当然なじませるために、機械化をすればいいとか、たとえば計算事務であれば電子計算機を入れるとか、あるいは現業でもそうです。郵政の場合なんかは貯金保険にEDPSを入れて機械化をするという考えを持っておる。だから各省庁は機械化をする、そうして合理化をする、すべてが合理化ということにあるいはなるかもしれませんが、とにかく能率を高めるための人事管理をする。それから不必要な行政事務はカットする、そういうことにならなければ、そう減らすことはできないわけですよ。定員はあるけれども不補充だ、そういう言い方もされておるようですが、不補充であったにせよ、定数、定員に見合うだけの業務量はあるにもかかわらず不補充でやったとするなら、業務は実際上は余らなければならない、理屈の上からはそうでしょう。だから、いまおっしゃっているようなことをそのまま認めたとするならば、政府が五%削減を指令しなくても、本来なればいままでもやれたのだ、人を減らすこともできたのだという逆説もまた出てくる。とするなれば、これはやはり仕事はあるのだ、減る部分もあり、ふえる部分もある。どこの部分が減ってどこの部分がふえましたから、したがって人員は幾ら必要だ、これが出てくるわけでしょう。だからいわゆる不補充、不補充というけれども定員はそのまま置いて、不補充は二万六千名だ、こういうけれども、しかしその分の業務量というものはどうやってしからば処理をするのかという問題になるわけですから、それを機械化するのか、簡素化するのか、業務カットするのか、超勤をさせるのか、いろいろなければ、そういう条件が整わなければこの数字というものは出てこない。長官は何もない、何もないと言っておるけれども、各省は考えてやっているんじゃないか。これは二・三七%、総理府はそうですね。一番多いのは農林省の八・一八%です。人員の多寡ではなくて、これはパーセンテージですからね。それは先ほど言いましたように、なじまない職種が云々という小さな部分はあるかもしれないけれども、しかし全体的にいったらこんな数字は出てくるはずないですよ。だから各省が持っているんじゃないかと、その持っているものを出しなさいと、どうしてもないというのですか。
  52. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 先ほどちょっと御説明申し上げましたが、各省庁別にそれぞれ各省庁内部でどの部局からどれだけ人間を落とすかということの減員の要求が出てまいりますと、それにつきまして私どもは十分に審査いたしました結果、個々の省のパーセント削減の昨年度に当たる部分については、この省庁のこの部局からこれだけ落とし、業務量をそれだけ減して削減していただく、同時に業務量は別の面でふえているところがございますれば、そこに増員を回すということでございまして、どこから落とし、どこに増員があったかということは、これは四十四年度の予算書には載っているという形になっております。
  53. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) いまのお尋ねに私なりに補足して申し上げたほうがいいように思いますことを言わせていただきますが、御指摘のように、自然減耗はあと補充しないということは、実質的には定員が減ったのと同じことになる、仕事があるのに人が減れば、労務過重になりはせぬかという角度からの御質問の意味であろうかと思うのですが、それはむろん各省庁で自分の責任において仕事そのものを簡素化する努力をし、あるいは機械化するということをやり、あるいは報告事項を再検討して減らすということをやり、仕事量そのものを減らす努力もしながら、五%削減の政府の計画に順応していくという努力は各省庁ごとにはむろんやられておるはずでありまして、それが一々どういうことを何についてどうやったかということのいまお答えは、政府委員からも困難かとは思いますけれども、責任の立場に立って趣旨を理解しながら、労働過重にならぬようなやり方で、できるだけの協力をしてもらうというやり方で積算しましたのが先刻申し上げた数字になった。そういうことであろうかと思いますので、蛇足かもしれませんけれども、補足させていただきます。
  54. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 若干補足させていただきますと、ただいまの御質問に対するお答えの一部といたしまして、行革三カ年計画におきまして許認可事務の整理あるいは報告事務の整理、これは許認可事務につきましては一一%以上の整理をいたしておりますし、報告事務に関しましては二割以上の整理をいたしております。その他、人事会計事務の簡素化でございますとか、あるいは事務の民間委託でございますとか、そういうことによりまして、いわゆる一般の事務の簡素化をはかる。またこの三カ年計画の中に、これは各省庁別にどの許認可をやめるとか、どの許認可を簡素化するとか具体的に出ておりますが、これはただいま申しますと時間がかかりますので申し上げませんが、これは具体的に一万三千八百何十件の整理が具体的に出ております。  そのほかこの三カ年計画にあらわれませんものでも、たとえば月報を四半期報に変えますとか、あるいはタイプの性能のいいものを入れまして、いままでの二台分を一台で間に合わすとか、そういう実質上の形は三カ年計画というものにあらわれませんけれども、いろいろな事務の合理化、簡素化があると思います。そういうところまでにつきまして、私ども具体的にどういうことがあったかということは突きとめておりませんが、まあ一つのあらわれが三カ年計画において許認可その他の事務の合理化だというふうに御理解いただきたいと思います。
  55. 村田秀三

    村田秀三君 いまの局長のお話ですね、行政管理庁という庁がその任務を遂行するのにその程度でよろしいのだということになろうかどうか。これはまあ私も、いやそれでいいんだときめればそれでいいと思いますがね。しかし、私は先ほど来申し上げておるように、まあ先般も資料をいただきました、つまり許可認可事項がこう変更になりますとか。だからそういうものをこれから機械化するもの、能率を高めるもの、全部合わせて人が幾ら削減できる、こういうものでなければなるまいということ。そして長官が、先般来のお話はあるけれども、しかし各省ではそれが考えられておるということ、あるはずなんですよ。なければおかしいのだ、実際。いま局長が申したようにあるはずなんですね。だから、あればそれを出してくれというのです。その点はどうですか。行政管理庁としてそれを調べてみたいと思いませんか、  これは。事実こういう数字が妥当なものであるかどうかということですね。
  56. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) これはむずかしいお尋ねで、ちょっとお答えができないような気もしますが、さっき政府委員が申し上げましたような三カ年計画に盛り込んでおりますところの行政簡素化の諸課題という形では出てきますけれども、そのほかに三カ年計画などと麗々しく法律事項等の形で出てきませんでも、各省の省令ないしは政令等できめられたものが簡素化される、あるいはそういうものに及ばないでも、事務の運営のしかたそのものが、各省庁内部の訓令等のことで処理できることもあり得るはずでございまして、それらの表面に出てきませんことは、各省庁の長が責任をもって自分の部内の公務員の立場に立って、なるべく無理がいかない線はどこだろうと、またそれを実現させるためにはどうすればいいかを考えた結果が結論として私どものほうに連絡をされ、そのことを通じて調整しながら、最終的なそれぞれの省庁の年次計画の保留定員の割り当て的な数字になっておるということでございまして、各省庁ごとにしからばどんな考えを実行に移しつつあるので、どれだけ仕事量が減ったかということを申し上げることは、ちょっと実際問題として困難かと思いますが、各省庁が責任をもって部内の士気を落とさないでやっていけるはずでございますので、そのことは信頼して私どもとしては処置するほかにはないという課題につながろうかと思います。  これはことさらずらかろうということじゃ毛頭ございませんので、実際問題として当面はそういうことでもって各省庁の責任でやっておる、将来に向かいましては、お説のような合理的な、仕事そのものと定員との関係をなるべく合理化するように、結びつけるようにという努力が新たに加わらねばならない。いわんや各省庁相互間の配置転換あるいは具体的の配置転換のみならず、定員そのものの調整ということも含むわけでございますから、いよいよもって御指摘のような自信のある根拠に基づいて運営されねばならぬ、多くのものは将来に譲らしていただくほかにない。現実のものとしましては、各省庁が責任をもって出してきた数字を信頼して御報告申し上げておる、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  57. 村田秀三

    村田秀三君 それじゃ、こういうふうに理解してもいいですか。まあ各省庁は、そういう合理化計画は持っておる。これは、いま着手しておるものも、来年度計画するものも含めて持っておる。持っておるであろうけれども、行政管理庁としてはそれは把握しておらない。そして閣議決定の五%削減といいますか、いろいろ話を聞いてみますと、削減というよりも五%分を保留して、そして各省庁の行政事務の消長に応じて配分できるようにしたいので、五%の保留定員をお出しなさい、こう言ったところが、これだけのものが出てきたんだ、こう理解していいわけですか。
  58. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体そのとおり御理解いただいてよろしいと思います。持っているはずである、しかし持っていなかった部分があるとすれば、持たせるように私どもの側としては慫慂し、調整していかねばならぬ、こういう問題として残りますけれども、それが残らないところまで詰めていく、問題が将来には残っておるということも含めまして申し上げて、大体まあおっしゃるとおりだと心得ます。
  59. 村田秀三

    村田秀三君 それではこういうことがありますね。これはまあ行政庁の考え、方針とは別に、各省庁において合理化計画の進捗が計画どおりにいかなかった、計画にそごを来たしたという場合があるとすれば、これは単年度で、まあ四十四年度中に、計画の変更があり得たという言い方は、これはちょっとできないにしても、まあ来年度計画変更することがあり得ると、こういうことはあるのかないのか。
  60. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) ないことを欲しますが、理論的にはあると思います。あり得た場合には、調整さるべき課題として私どもは取り組まなきゃならぬ、こういうことだと思います。
  61. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、具体例としましては、国家公安委員会あるいは北海道開発庁、農林省、これは四十四年度においてもなお当初の計画とずれておりますね。ずれておるのです、これを見ますと。そうしますと、これはどういう事情によるかは、おそらくいままでの論議の経過からするならば、行政管理庁としては把握しておらないかもしれません。まあ私の気持ちからするならば、調整に応じたのですから、調整に応じたとすれば、当然その内容を承知していなければならないはずでありますけれども、これは今後三カ年ではなくて、四カ年、五カ年にまたがり得ることがあるということですね。
  62. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) これも理論的にはおっしゃるとおりに、あり得ると思います。御指摘の北海道開発庁ないし農林省におきまして、予定の補充差しとめ定員というものが生じなかった理由は、さっきも政府委員からも申し上げましたが、これはまた自然減耗と申しますか、任意退職者が従来一般的に申し上げる自然減耗率に及ばない、やめる人が少なかった。したがって出血整理をしない限りは留保定員みたいなものを生み出すことが物理的に不可能だったという理由が相当あるのじゃなかろうかと思いますが、それ以外に、現実問題として、おっしゃるとおりの事態が起こったときにどうするかということは、三年が四年にならざるを得ない省庁が出てくることもあり得るということだけは申し上げ得ると思います。なるべくないことを欲しますけれども、理論的にはあり得る、こう思います。
  63. 村田秀三

    村田秀三君 その内容を聞きたいわけですが、幾らやってみましても出てまいらないようでありますから、次に移りますが、私はこの計画表を見まして、削減率の高いところと低いところがあるわけですね。これには行政管理庁として一つの政策目標、つまり行政需要がこの辺は非常に伸びるであろうからこの辺はふやしなさい、そういう政策目標というものが働いておったのかどうかということをちょっとお聞きします。
  64. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃるようなことも行管庁としては当然考えねばならぬ課題だと心得ます。しかしながら、これは各省庁みずからが、なるべく簡素合理化していくという、行政府全体としての共通課題として意欲を持ってもらうことが第一に期待されるわけでございます。それから、各省庁から何らそういう積極的努力が出てこないであろう、それもないことを欲しますけれども、万一あった場合にどうするかという課題に対しましては、やはり監察を通じまして、行管みずからの考え方に立って、一つの意見が出てくることはあり得ると思います。そういうものを勧告することによって、双方協力しながら全般的な簡素合理化の線に近づいていくという運営、しかたが私どもにも要求されると心得ております。
  65. 村田秀三

    村田秀三君 この表を具体的に見ますと、どうも国家公安委員会、これが三・八八%、法務省が三・二三%、その他厚生省の二・七五%、運輸省の三・二八%というものもないわけではありませんね。どうも国家公安委員会、法務省、そういう点のみが削減率がきわめて低くなっている点はどういう事情によるのかと実は考えるわけでありますが、その点はどうですか。政策目標が加味されていないわけではないというお答えもありましたので、お伺いをするわけなんですけれども
  66. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) いま御指摘の省庁について、ほかに比べて率が低いというのは事実だと存じますが、それは行政需要があるから増員しなければなるまいということが働きまして、四十四年度予算でも増員を認めていただくという数が出ております、それはことさらいろいろと御批判がありますような意図を持って不合理なやりくりをやったなどということでなしに、それ自体が必要であるかどうかという課題と心得ますが、政府としましては、それは必要ありと考えて予算で御審議をいただいた結果でございます。御指摘の省庁以外にも、たとえばさっきお話しの北海道開発庁やら農林省にいたしましても、似たような事態があるわけですけれども、従来の五%削減以前の三十九年以来やっておりました補充差しとめ人員につきましては、これはもう無差別に一応の率を出してもらって、それを四十二年度に三カ年計画の内ワクとして入れておりますわけでありますが、その減と増との差し引きが予算の中に増員という形であらわれておるということでございまして、特に意図的に率を下るげということのためではございません。行政需要があるから必要であるということを認めた結果がそういうことになったということでございますことを、くどくなりましたがお答え申し上げます。
  67. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、一つ疑問を私持っているわけですが、今回の法案の中にまあ防衛庁設置法と関連するものがあるわけですね。防衛庁設置法第七条の職員の定数の中から防衛本庁に属する分はこれは総定員法の中に入れてしまって、そうして防衛庁設置法第一部改正の中には、これは総定員二十五万何がしとこうなっておりますが、そういう措置をとられたのはいかなる理由かということであります。
  68. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) はなはだ恐縮ですが、御質問の要旨を当初聞きそびれまして、また繰り返していただくのもおそれ入りますから、政府委員が拝聴しておったようですから、政府委員からお答えいたします。
  69. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 自衛官を除きました理由という御質問でございましょうか。
  70. 村田秀三

    村田秀三君 まあ従来までは防衛本庁も防衛施設庁も防衛庁設置法の中の定員として組み込まれておったわけですね。今度は防衛本庁分は総定員法の中に組み込んで、そうして防衛庁設置法の一部改正の中からはその分を削除されているように見受けられるわけですね。それはどうした理由に基づくものかと、こういうことです。
  71. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のとおりに相なっております。それをそうしましたのは、非現業がいろいろとあり、政令で定めることになっておるのとほぼ似たような考え方に立って、現業的なものであろう、それがすべての見方じゃございませんけれども、質的に見ればそう受け取め得べきじゃないかということで、自衛隊そのものは除きまして、防衛本庁、非現業の制服でないものを対象とし、それ以外の制服は対象にしないということにいたしたつもりであります。
  72. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、この防衛庁設置法、それから自衛隊法でもそうでありますが、任務、権限というものが明記されておりますね。防衛庁設置法からの定数から除外される総定員法の範疇の中に入る職員は、この防衛庁設置法並びに自衛隊法の任務、権限、それとの関係はどういうことになるわけでしょうか。
  73. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 総定員法の範囲内に含まれております非自衛官の分につきましては、従来どおりの職務、権限でございます。
  74. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、結局防衛庁設置法に示されておるところの職務、権限、これには非制服といえどもときによっては戦闘の任務につかざるを得ない事態も起こり得るであろう、そう私は考えるわけです。実は深くずっと調べてはみませんでしたが、そう私は理解せざるを得ない。そう理解してよろしいですか。
  75. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答えいたします。  御承知の点かと思いますが、自衛官につきましては、防衛庁設置法に「命を受け、自衛隊の隊務を行う。」となっておりまして、非自衛官につきましては、同じ法律六十条によりまして、「命を受け、事務に従事する。」ということになっておりますので、これは原則として一般の行政機関職員と同じような職務に従事しておるというふうに理解いたしております。
  76. 村田秀三

    村田秀三君 そうすると、これはまあ防衛二法のときにあらためてやってもよろしいのですが、防衛庁設置法の第五条には、「防衛庁の権限」、「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛し、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため行動する」、「公共の秩序を維持するため特別の必要がある場合において行動する」、こういうことになっておりまして、非制服であるといえども、これは自衛隊員であることは間違いなかろうかと思いますね。そうすると、これは命令があれば戦闘行為にも参加せざるを得ない、こういうことにならざるを得ないわけでありますよ。まあ一般の平和業務につくのだと、それが総定員法の中に入れた理由なんだと、そういう意味のことをおっしゃいましたが、この辺の解釈が、そういたしまするとこれは将来たいへんなことになる。明確にしておく必要があると思うのですが、再度お答えをいただきたい。
  77. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) それぞれの法律の根拠に立ってのお話でございまして、申しわけないのですが、私自身そのこと、御指摘の点を勉強しておりませんので、すぐお答えできませんので、政府委員からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
  78. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 非自衛官は実力行使には参加できないという解釈をとっております。
  79. 村田秀三

    村田秀三君 いいですか、あとで問題になりませんか。
  80. 河合三良

    政府委員(河合三良君) そういう解釈になっております。
  81. 村田秀三

    村田秀三君 ではそういうことで、いまはそのお答えをそのまま受けておきます。私はこれは問題あるだろうと思うのですがね。そこで私どもが考える問題点ということになりますと、これはもう防衛庁の職員は、これは銃をかまえて射撃をする、狙撃をするということがかりになくとも、これは後方事務であろうとも、戦闘行動に参加することになるわけですよ。これはそういう問題になりますから非常に微妙な問題があろうかと思いますが、総定員法で規制をして、防衛庁の職員も政令で増員加減自由にできるとするならば、今度の防衛二法の改正で、さも二十五万何がしと、これは自衛隊の定員は低くなったような印象を国民に与えはするものの、現在二十八万何がし、これが政令の発動いかんによっては、つまり補助定員の配備、総定員法の規制するところの最高限度の定数までの、自衛隊を一万名であれば一万名、二万名であれば二万名、まあ極端な例でありますけれども、配置することができる。そうすると、これは自衛隊の兵力、防衛力というものは法律で定められている以上の効果をもたらす結果になる、こう見られるわけです。先ほど局長が答弁をいたしましたように、これは全然無関係である、命令が出ても、朝八時半に出勤して五時に帰るという、そういう状態であるならば、これは別でありまするけれども、そんなことにはならぬですよ。これは常識的に考えて、よしんば防衛庁の職員が、いまあなたがおっしゃったような任務の範囲内でよろしいんだとするならば、そういう解釈も、またこれは防衛庁設置法の立場からするならば、問題になる解釈でなかろうかと私は思うんですよ。そんなことは絶対あり得ない。そこで私が申し上げましたような結果になるということを重大視せざるを得ないわけでありますが、この辺のところを長官、いかがですか。私はこれを聞いていて……。
  82. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほどの設置法その他の条文を御指摘されてのお尋ねでございますから、能力がありませんでしたから、政府委員にバトンタッチしましたが、いまの御懸念の点は私は絶対にない、またあらしめちゃならないことが、総定員法が、自衛隊の定員について法律でお定めいただくというままにしておる趣旨であり、非制服であるがゆえに、他の省庁と同じような事務に従事するというものなるがゆえに差別すべきでないというたてまえから、総定員法の対象にしておるという立法の趣旨でございますから、それを何か抜け裏くぐって、法律で兵隊を増員したいんだけれども、とてもじゃない、お許しが出そうにないから、政令定員でごまかして、実際は兵隊に使うなんていうことは、この総定員法の運営の面から実質的に絶対許されない課題だと思います。だから御心配は絶対にございませんと申し上げても、いささかも私は過言でないと思います。
  83. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 数字的に補足させていただきますと、ただいまの趣旨でございますので、非自衛官につきましては、従来から欠員補充あるいは三・五%の対象にも入れております。また昭和四十三年度といたしましては、千五百十五名の削減、百四十一名の増員がございましたが、差し引きいたしまして千三百七十四名の減、四十四年度分といたしましては二百九十八名の減、それに四十七名の増員がございまして、差し引き二百五十一名の減ということになっておりまして、四十三年度、四十四年度につきましても、現実の問題といたしまして、両年度とも差し引き減となっております。
  84. 村田秀三

    村田秀三君 それではこの問題は別途関係の省庁の方にも来ていただいて、山崎質問、北村質問残っておりますから、その中でもまたやっていただくこととしてやめます。  ただ、私どもの考えで指摘をするとするならば、先般来いろいろな方から質問ありまして、必要な業務をカットしているわけですね。航空自衛官を引き揚げてみたり、気象観測の回数を減らしてみたり、それぞれ名分はあるようでありますけれども、いずれにいたしましても、そのように必要な気象台の問題であれば、台風が来て大きな災害が発生する、それならば気象観測陣を強化しますという答弁、航空事故が発生をすれば、これは航空管制官が非常に疲れ切っているので、どうもまずいから、これは強化しますという答弁がそのつど返ってきている。強化の方法ではなくて、目に見えないところをカットして、そうして補充定員をとっている。いまの自衛隊、私どもの解釈からするならばそうなるし、自衛隊によしんば関係なくとも、つまり治安関係のいわゆる省庁あるいは大蔵省、これはよくずっと見ますと、徴税人員だけは強化されている。税金を取り立てるところの人員はふえていますね、相当。つまり行政サービスではなくて、国民を支配する、管理する面を非常に強化する姿というものが、単に四十三年度一年を見ただけでも看取することができる。そうすると結局、この総定員法の目的というのが、長官が答弁をしておる表面上の行政サービスを強化するという言い方とは逆に、もっと別な意図があると言わざるを得ない。これは答弁要りませんが、そう指摘をせざるを得ないと思います。  そこで最後にお尋ねをいたしますが、これは四十二年の十二月、閣議決定をされた方向に基づいて総定員法が出てきていると理解をするわけでありますか、これは昨年の五十八国会で廃案になった。廃案になったということは、これは非常に問題があるからひとつ待て、やっちゃならぬという国会の意思もあると私は思います。まあ時間がないからそのままになったということもないわけではもちろんありませんが、この総定員法に関してはそういう経過であることは明きらかです。そこで、この五%削減の具体的な計画は八月段階で出てきておると言われることは、行政府が国会の意向というものを無視して、そうして政府自体としては、再度総定員法を提案するかまえはあったかもしれませんけれども、どうも国会を軽視して行政が進められると理解せざるを得ないわけですが、その点はどうですか。
  85. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) いまお話しになりましたような意図が政府側にいささかもないことを申し上げさしていただきます。むろん廃案になりましたことそれ自体、政府側としましては残念ではございますけれども、また見方によってはお説のような説も立ち得るかとも思いますけれども、国会も衆参両院を通じまして、国民の立場からお考えいただいての行政機構なり定員なり、行政サービスを向上させつつなるべく簡素にし、合理化していくことが必要だということについては、与野党を問わずそういう御意向がずっと一貫して流れておると私どもは理解いたしておるのでありまして、その国会の一般的なお考えに即応する意味においても、即そのことは国民の与論でもあるとくっつけたいと思いますけれども、それに対応する手段として、どうしてもいろいろ考えましても、こういうことをお定めいただいて、その上に立って行政改革をやっていき、行政サービスを向上さしていく努力こそが国会の御意向にも私は沿うものと思うんでありまして、ほかに他意はいささかもございませんことを繰り返し申し上げさしていただきます。
  86. 村田秀三

    村田秀三君 これは関連いたしまして、最後の質問になろうかと思いますが、私が申し上げましても、いままでの長官の態度からすれば、どういう答えがはね返ってくるかは私も想像しておりますが、四十四年度の予算審議の状況を見てもわかりますように、ことしは総合予算主義のたてまえを貫くとはしておりながら、昨年度、四十三年度の予算審議の際のように、財政硬直化を打開するための総合予算主義ということはなかったと私は振り返って考えてみると思います。そうすると、この五%削減も一省一局削減も、四十二年の十二月に、財政制度審議会の答申によって、そして閣議が一省一局削減をきめ、そしてまた五%定員削減をきめたという経過からするならば、財政硬直化の打開を必要としないといいますか、さほど強く主張されておらない今日の状態の中で、あらためて検討し直してもいいのではないかと実は思うわけでありますが、その点はいかがですか。
  87. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私、てまえごとみたいなことを前置きに言わしていただきますならば、   〔委員長退席、理事石原幹市郎君着席〕 私は自由民主党で行政調査会長を数年やらされておりまして、一省庁一局削減という課題も、さらにまたこの総定員法の構想も、行政管理庁長官を命ぜられる以前から少なくとも党との関連においては事情を承知しておるつもりでございますが、その過程にさかのぼって考え合わせてみましても、総合予算主義、財政硬直化などという財政面の目的に応ずるための手段として、便宜的に発想されたものではございませんことは明言できると思います。むしろ財政硬直化などという話はあとから出たことでございまして、何らそういう意味での関連はないんで、繰り返しさっきから申し上げたことをふえんさしていただきますならば、あくまでも国民の税金で行政サービスをする以上は、なるべく税金を少なく使って、しかも行政サービスは国民の求めに応ずる努力をしなきゃならぬ。その課題に取り組みます場合のいわば前提条件みたいなふうな課題じゃなかろうか、こういうふうに私は私個人の意見でしかございませんけれども、感触でしかございませんが、そう思い続けておるわけでございまして、少なくとも財政硬直化のための手段としての便宜的な課題でないということだけは、私は断言できるかと思います。
  88. 村田秀三

    村田秀三君 終わりますが、関税局、きょう時間がなくて入れませんでしたが、おわびいたします。
  89. 石原幹市郎

    ○理事(石原幹市郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕   〔理事石原幹市郎君退席、委員長着席〕
  90. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記を起こして。
  91. 北村暢

    ○北村暢君 総理にお伺いしますが、総定員法の審議に関連いたしまして、これも能率と非常に関係のあります給与の問題について最初にお伺いいたしたいと思いますが、まず、ことしの春闘は私鉄の六千七百円が春闘相場を決定づけまして、続く公労協の調停段階における事実上の妥結で春闘の山を越した状況でございます。前年に比べて千五百円前後も上回ったというのは初めてでありまして、額でも賃上げ率でも従来の春闘相場の最高になっているわけであります。物価高のおりから、また合理化で労働強化をしいられている労働者の、繁栄の中の貧乏から脱出する真剣な戦いの成果でありますが、私は十分なものとは考えておりません。まず総理に、このような春闘の結果についての評価を一体どのように感じておられるのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  92. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ、それぞれの立場においてそれぞれの評価があろうかと思いますが、まあ今回のいわゆる春闘相場、わりに高いところにきまったのじゃないか、こういうのが新聞その他でも報じておったところじゃないかと思います。これは普通の、率直に見ましてそういう感じがないでもない。
  93. 北村暢

    ○北村暢君 私は、いま総理の答弁がございましたが、三公社五現業の八%プラス千円、加重平均で定昇を含めて六千六百八円の賃上げは、事実上の解決であって、そのまま仲裁裁定となることはもう確実であろうと思います。この原資は年間千二百七十四億三千万円といわれておりますが、大蔵当局はこれに対しまして、財政状態を危機に追い込むものであってたいへんな事態である、このために、場合によっては仲裁裁定に伴う予算措置を公労法第十六条第二項の規定に基づいて国会の議決に持ち込むことも考えておるというようなことが伝えられておるようでございます。御存じのように、十六条二項は、予算上、資金上できない場合には国会の議決を経ると、こういうことになっておるわけですが、私は、そういうふうに伝えられておるのでありますが、従来は何とかかんとか国会の議決を経ずに実施してきておるわけでございますが、政府は国会の議決に持ち込もうと考えておられるのか、あるいはまた従来のように、何とか予算上配慮して仲裁裁定どおり実施する、こういうことなのか、その方針についてお伺いをいたしたいと思います。
  94. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 北村君も、こういう場合にどういうように扱うか、すでに御存じのことで、ただいま意見を交えてのお尋ねでありますが、政府は今回、在来からやってきたのを変更する考えはただいまございません。在来やってきたような裁定が出たらそういうような考え方で取り組んでいく、これがただいまの取り組む姿勢であります。何と申しましても、ただいま仲裁裁定がはっきり出ておるわけではありませんから、出た上で数字の問題、予算の執行上の問題ですから、その面でとくとこの際検討する、そうして相談しなければならないものならば相談する。しかし何とかやりくりができることならば、来在やってきたような考え方、その方針を貫くつもりでございます。
  95. 北村暢

    ○北村暢君 大体在来の方針でやっていきたいという総理の気持ちはそのように理解をいたします。  次に、公務員給与の完全実施の問題についてお尋ねいたしますが、昨年も財政硬直化、総合予算主義という理由のもとに、不当にも七月実施に押えられたわけでありますが、国家公務員の歳出純計額に占める人件費の割合は、昭和三十五年から六年で二二%、三十七年が二一・二%、三十八年二一%、三十九年一八・八%、四十年一八・四%と、先般の当委員会における質疑においても低下しているということが明らかになっているわけです。したがって、公務員の給与の引き上げが財政硬直化の理由であったということは、私は論拠がないのではないかというふうに思います。そればかりでなしに、今度の政府のとってまいりました定員三カ年五%削減の強制措置によりまして、従来確実に膨張傾向をたどっておりました定員が、わずかでありますけれども、四十三年度、四十四年度続いて減少しているわけです。このようなことで定員は削減される、合理化は進行するということで、公務員労働者の労働の実態というものは労働強化という形が明らかに出てきていると思うんです。  それに対して給与の面については、今年度も公務員の給与予算は一歩前進したとはいいながら、五%アップの七月実施の四百四十三億を給与予算に計上している。これを上回るものは予備費九百億の中から出すんだということになっておるのでありますが、この処置は一歩前進だ、こういうふうに言われておりますが、予想せられる人事院勧告は相当高いものであろうと思います。これを完全実施するためには、予備費全部を使っても不足をするのではないかということは確実に見通される。そういう事態の中にあって、私はひとつ総理にお伺いしたいのは、予算措置を見ても、ことしも完全実施ができるような形になっておらない。国会はしばしば完全実施をやれということを決議をして、政府もその努力をするということが述べられておる。そういう事態に立って、今度のことしの人事院勧告完全実施について、一体総理はどういう責任を持ってこれを完全実施をしようとするのか、その方策についてお伺いをいたします。
  96. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう政府の基本方針は、人事院勧告は尊重する、また完全実施の方向で検討する、しばしばこれまでもお答えし、その方針を説明してまいりました。また、今回の予算編成にあたりましても、原資がないと困るからというので、五%の一応の予算を組み込んで編成しております。ただいま北村君の御指摘のように、この五%、同時にまた足らないものを予備費、またその他の点から予算のやりくり等ができるかできないか、全般をにらみ合わして取り組む、その姿勢には変わりはございません。したがいまして、今回の春闘相場がどういうところできまるか、これがいままでのような、過去の相場の形だと、われわれが考えたように、完全実施の方向へ踏み切ることも可能であったのではないかと思っております。  ところが、ただいまも北村君から御指摘のように、いままでにない春闘相場である。これが公務員の場合にどういうふうに影響してくるか、ここに一つの問題があるのであります。この点は、いままでもたびたび他の委員会におきましても、春闘相場がどこに落ちつくか、そこに完全実施の可能性、不可能というような問題が出てくるので、そういう意味で、政府の基本的な態度には変わりはないが、実はたいへん心配しているのは、高いところに給与がきまるということは、これまた同時に弊害も伴ないますから、ただいま物価が高いから給与が高くなるんだ、合理化が強化されるから賃金を上げることができるんだと、かようにも見られるのでありますが、しかし、やっぱり物価との関係は相互に因となり果となる、そういう相関関係にございますので、ここらをたいへん心配してきたのであります。しかしながら、もうすでに春闘相場がきまりつつある、そういう際でありますから、ことしの公務員給与はいかにすべきか、先ほども官公労の問題についてお答えいたしましたように、政府としては特に在来からの方針を変えて、特別な考え方で処理する気持ちはございません。しかし、われわれの誠意が具体化できるように、そういう方向がはたしてあるかどうか、さらに十分われわれも検討してみなければならない。ただいまの進行状況等から見まして、ややそういう点で不安、心配なきを得ないというのが実情でございます。  しかし政府といたしましては、たびたび申し上げておりますように完全実施、その方向で十分検討したい、かように思っております。ただ、何にいたしましても、事前に予算的な措置はとりましたけれども、それが意外に今回の相場が高いところにきまる、こういうことを考えると、われわれの見方がその点においてどうも間違っておったのじゃないかと思ってたいへん心配しているような次第であります。率直な意見を申し上げたわけであります。
  97. 北村暢

    ○北村暢君 財政当局は、すでに三公社五現業の財源について検討を始めているわけです。公務員についても早晩検討しなければならないのでありますが、ここで総理大臣の総括的な気持ちはわかりましたが、給与担当大臣の総務長官は、やはりしばしば国会の答弁の中で、完全実施について努力する旨が述べられ、昨年の国会においては完全実施をやるというたてまえに立って、七人委員会で協議をするんだということが言われておるわけで、そういう答弁もされておるわけです。したがって、答弁から察すれば、四十四年度から完全実施できるのではないかと、こういうふうなニュアンスに受け取れる答弁すらされておるわけです。そういう点について、私は、いま進行中の問題で結論が出せないという、それはそのように思いますけれども、方針としてやはりことし一年でやるのか、来年までかかるのか、そこら辺のところは、やはり給与担当大臣として国会で答弁したたてまえからいって、私はある程度の方針というものは明らかにしてしかるべきだと思うのです。これは給与担当大臣である総務長官にひとつ御答弁願います。
  98. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 人事院勧告の完全実施に対しましては、すでに国会におきましてもたびたび明らかにせられたことでございますが、政府といたしましても、これを完全実施する、十分尊重するという基本方針につきましては、従来と変わっておらないのであります。なお、完全実施できるためにいろいろと手段を講じまして、ことに今年度の予算編成におきましては、給与五%、なお予備費におきまして計上いたしました。そうして改善の歩を進めてまいったわけで、今日の事態におきましては、ただいま総理大臣からお答えがございましたが、すでに民間のベース並びに公労委の裁定というものが実現しようとしておる過程でありますから、その数字におきましては従来よりも高いのであります。本年におきましても、少なくとも従来あるいは以上の勧告があるかもしれぬということを私ども考えておるわけでございますが、しかし、はたしてそれでもって完全実施できるかどうかということにつきましては、まだ勧告も得ておりませんので、具体的な数字につきましては、勧告のありました時点におきまして検討いたしたいと思います。しかし、担当大臣といたしましての考え方についてお尋ねがございましたが、従来申し上げましたとおり、勧告を受けました時点におきまして、完全実施するべくその基本方針のもとに最善の努力をいたしたいと思います。
  99. 北村暢

    ○北村暢君 もうそういう抽象的な答弁は何回ももらっておるわけですからね。完全実施完全実施と言うけれども、問題は実施期日の問題ですね。昨年は七月実施になったわけです。あと六月、五月で——ことし五月実施の勧告が出れば、あと二カ月の問題ですよね。これを二カ月当然さかのぼって五月実施というのが完全実施でいいわけです。しかし、そこら辺のところは、そういうふうに言明できれば一番私はいいですよ。それでいけるのかいけないのか、額も相当高いものが出そうだしというようなところで、何らかの方針があってしかるべきだと思うのですがね。ただ完全実施に努力するだけでは、ちょっと従来のいきさつからいって答弁にならないと思うのですがね、どうでしょう。
  100. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 従来の経緯から申しまして、私どもは、やはり勧告を受けました時点におきまして積極的に完全実施の基本方針に従って努力をしてまいりたい、かように今日のところ申し上げるよりしかたがないと思います。気持ちといたしましては、十分に基本方針を尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  101. 北村暢

    ○北村暢君 名答弁は、努力をしますというので、同じ答弁を繰り返すのが名答弁になっておりますけれども、そういうのは、めいはめいでも違うめいの答弁です。そういうものでは了承しませんがね。これはまあ時間の関係がありますから、またの機会に総務長官に詰めることにいたします。  次に、行政改革の問題についてお伺いいたしますが、大体総定員法提案になっておりますが、元来が行政機構の改革が行なわれて、それに付随して定員というものが改正されるというのがたてまえである。ところが、行政機構改革三カ年計画を見ましても、第一次案では全く機構の改革らしいものはない。許認可の整理とか補助金とか、そういうできる程度のものしかやっておらない。第二次の改革案も、これももういまの段階では計画がなされて実施の段階でなければならない。ところが出されたものを見ますというと、補助金の整理であるとか、一部の改革で、根本的な改革は行なわれておらない、こういう実態であるわけです。これは荒木長官から言わせれば、各省のセクショナリズムが強くてなかなか思うようにいかないというようなことが言われているわけなんでありますが、すでにこの計画に基づいて各省から改革案というものが昨年の七月に出されて、これを政府として改革案をつくる段階にもうきておるわけですね。ところがそれが出てきておらないというのでありますが、これは漫然としてやっておったのでは、改革というものはできない。強力なやはり総理のリーダーシップによってでなければならないと思うのです。したがって、内閣自体が改革案というものを決定をして、そして実施をするという強力な措置をとらなければ、かって行政改革というものをやろうとしても、なかなかできなかったいうことなんであります。したがって、一体この行政改革に対する佐藤総理自身の熱意が、どの程度あるのかどうかというのが非常に疑問を持たれております。したがってこの際、行政改革に対する基本的な考え方というものを伺っておきたい。
  102. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、しばしば言われるように官僚出身、したがっていわゆる公務員の仕事のしぶり、いろいろ知らないでもない、自分のこれは経験からです。また北村君もそういう意味ではやはりそういう経験をお持ちの方だと、かように思います。そこで考えますのに、どうも最近ものごとが進んできて、そして新しい機械もできましたが、機械よりもものの考え方が変わらなければならない。何でもみな政府、これを公務員が処理しなければならないというものじゃないので、民間にうんとやっておる仕事を移してしかるべきじゃないか。この仕事の処理のしかたが変わるという、これがこれからの行政改革の場合に、われわれがどうしても国民のための行政だということを考えていかなきゃならない。その点に思いをいたして、国民の負担を少なくしなければならない。そういう意味で問題に取り組もうとしておるわけです。  荒木君が言われた各省がセクショナリズムを持つ、これは各省間の問題でなしに、これは国民との関係におきましても、自分たちがよりいい仕事を国民の皆さんにしてあげたい、おそらくそういう気持ちから、自分たちの受け持つ範囲をだんだん拡大しようとしておるのじゃないかと、かように思います。しかし、国民の皆さんから見ると、もうそんなに拡大せぬでもいい、われわれに自由にまかしてくれと、こういうような仕事の分野がずいぶんあると思うのであります。また、たとえばいろいろな届け出を要求しておる事業官庁が、国民の皆さんに届け出の義務を負わしておる。そういう届け出なり、そういう資料が、はたして有効に使われておるかどうか、そういうものもあるのです。こんなものは実はやめたらいいだろう、また官庁自身がみずから検査をするという問題があるが、これも規格さえきめておけば、民間にまかしていいんじゃないか、こういう問題もあると思うのです。  そこで行政機構の改革ということになると、いろいろ議論がございますが、とにかく機構を簡素化する、人を減らすというような場合も、どうも一朝一夕に問題を片づけるというわけにいかない、少し時間をかしてくださいというのが政府のいまの考え方で、いわゆる五%減を一応目標にして、それも三年間にやろうと、あまり急がない、そしてその間にじっくりと考えていく。そして、ことにただいまは積極的な出血整理もできない、そういう世の中でありますし、また配置転換をするにいたしましても、本人の考え方を無視して、そして一方的に配置転換を命ずることのできるような時代でもありません。そういう点は民主的にやらなければならない。そういうことを考えますと、事務の整理、仕事の整理、これがまず第一の問題だが、それに相当の時間がかかる。これは三年間というのを一応予定している。そしていわゆる出血整理、これをしないで、機構を簡素化し、また人員を減らす、そういう方向に努力したい、こういうことでございます。  政府の考え方は、これによりていわゆる労働を強化し、そして搾取するというようなつもりはございません。この合理化はとにかく進めていかなければならぬと思いますけれども、いわゆる合理化が労働の強化、こういうところをねらうのだというふうに思われると、さような考え方でないことを理解をしていただきたい。そしていまの仕事の整理にしても、順を追うていかなければならない。したがってある程度の時間をかしてほしい。そこでいまのところ一応三年という期限を切って、その方向で努力しておるところであります。  そしてまた非常にわかりいい話をいたしますと、一つの法律をつくる。その法律実施にあたってはこれこれの人が要ると、必ず定員増加を要求してくる。しかしその法律が廃止されたときに、直ちにもうあの法律は廃止したから、このときふやしたこれこれは減らしてしかるべきだ、こういう議論をいままであまり議論しておらなかったのですね。だからふやすほうは熱心だが、整理、減らすというようなことについてはどうも考え方が徹底しない、そういうような欠点があったと思います。ただいま申し上げるように、やはり私どもが行政を遂行していく、これは国民のためでありますから、国民の負担を過重ならしめるような、そういうことは避けなければならない。また能率自身も、国民の能率を上げるために行政があるのでありますから、それが逆な方向に行っているということがあれば、これまたわれわれが改めなければならぬ、そういう点がいま行政改革と取り組んでいる政府の姿勢であります。
  103. 北村暢

    ○北村暢君 御答弁ありましたが、私は、どうもあまり熱意があるというふうには受け取れない。いままでやってきたことの羅列のような意味にしか受け取れません。臨調答申に出ております内閣それ自体の機能の強化の問題について、総理府を内閣府にするという、そして総合的な行政はこの内閣府に集めろというような趣旨の改革案が、これはまあ内容言えませんけれども、出ているわけですね。それすら、いまの総理府というのは種々雑多なものが集まっておって、何としてもこれはこのままでは置けない。やはり改革しなけりゃならない問題差し迫ってあるわけです。それすらもあなたの足元自体ができてない。やる気がないということについて私は非常に不満であるし、遺憾なところです。したがってこれはもう答弁要りません。  もう時間がございませんので、最後に一点だけ。いま総定員法を審議しておりますが、定員というのは、行政組織と組織体の単位ごとに置くことができる職あるいはこの職を占める職員の数をいうものである、こういうような定義が「法令用語辞典」に出ているわけですが、この定義からしても、定員というものは行政組織と一体のものである、そしてその定員が行政組織の規模というものを明らかにし、そして定員の管理は、その質と量というものを管理していくというのが、この定員管理の考え方だと思うのです。この点について  ひとつ総理の理解というものを確かめておきたいと思います。
  104. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いまの定員と行政組織との一体の関係、これはまさしく議論をするまでもなく、そのとおりだと思います。そのとおりになっておらないところにいまの行政改革の必要が出ているのであります。でありますから、いまの前提になる原則、これはそのまま承認するとして、いかにすれば、いまの機構自身が国民のお役に立つように運営されるか、それを考えるというのが、いまわれわれに課せられた仕事でございます。あえて議論はいたしません。  ところで、いまお話がありました、先ほどの総務長官に対するお尋ねの話にさかのぼりまして私の感じを申しますと、お尋ねがありましたように、ことしの相場はどういうように考えるか、そこらに問題が一つあるのであります。私どもは何とかして完全実施をしたいという、その気持ちは率直にひとつ了承してもらいたいと思います。で、いままでは年度を限って答弁したことはないと思います。四十四年度に必ずやります、こういうような答えはしておらないと思っております。また、四十四年度に実施ができない、そういう場合にはどうするかというような点も、まだ明らかにされてはおらないと思います。ただ、いまのところは、どうもこういう機会に話されても、政府はよくもずうずうしく同じような答弁をしておる、こういうような質問者のお気持ちだろうと思います。しかし政府もできないことはありますのでできない、かように言える時期なら申しますけれども、何と申しましてもまだ裁定が、あるいはまた勧告が出た際ではございませんので、そういう際に基本的な姿勢、それをくずさないでどういうことで処理できるか、これはまじめにひとつ取り組んでみよう、これが私どもの考え方であります。  それから次に、総理府自体改正すべきものが臨調の答申に出ているじゃないか、それもやらないで一体何ということかと、こういうおしかりでありますが、これについてはいろいろの議論があると思います。私も必ずしもこの臨調の答申そのものが不適当とは申しませんけれども、新しい機構の考え方、これにはまだ私どももっと検討をしてみる必要があるし、もう少しなれないと新しい考え方に追いついていけないものがあります。私自身の問題ではない、この仕事を端的に担当する者自身が新しい考え方でそういう機構を運営し得るかどうか、そういう問題ございますので、これは御批判と同時に、また北村君の御意見は御意見として伺って、われわれのこれからの機構改革と取り組む、その際の資料にしたい、かように思っております。ただいま申し上げた点であるいは不十分かと思いますが、この行政改革は、何としても国民のためにやらなければならないことである、かように思っておりますので、この上とも努力するつもりでありますから、どうかよろしくお願いいたします。
  105. 山崎昇

    山崎昇君 ほとんど時間ありませんから、簡潔に三点質問しておきたいと思います。  質問に入る前に、私は少し遺憾の意を表しておきたいと思うのは、内閣法なり国家行政組織法からいくと、総定員あるいは機構の主任の大臣は内閣総理大臣なんですね。したがって、あなたがわずか一時間半くらい来て私どもに質問をさせるという、こういう点については、私は法制的にいってきわめて遺憾なんです。荒木さんにはたいへん失札ですけれども、これは行政組織法の第三条のただし書き大臣でありまして、主任の大臣ではないのです。こういう点なんかも私は合わせて考えますと、総理大臣の出席時間がきわめて短いということにまず遺憾の意を表しておきたい。  そこで、三点、総理大臣にお聞きをいたしたいと思うのですが、いまも北村委員から質問がありましたが、佐藤内閣の三大政策の一つは行政機構改革なんですね。ところが、この行政機構改革というのはきわめて困難な事業でありますが、何によってこれを行なうかといえば、政府みずからつくったいわば臨時行政調査会の答申がその骨子になるであろう、こう考えます。私はたいへん研究不足でありますけれども、この臨時行政調査会の答申というものは、いわばアメリカのフーバー委員会をまねしてつくられたとも言われる。あるいはイギリスでいえばホールデン委員会をまねしていろいろ調査されたとも私ども聞いておる。したがって、この臨時行政調査会の結論というものはきわめて私は格調の高いものであり、また、現実的にかなり傾聴に値する問題を含んでいるのではないか、こう考えている一人なんです。ところが、これが出されましてからすでに五年近くになるわけでありますが、これはほとんど顧みられておらない。これは去年の十月十一日に出されました毎日新聞の報道でありますから、すべて私はこれが正しいとは思いませんけれども、この臨時行政調査会の会長をやられました佐藤さんのいわくには、百点満点にして十五点しかつけられないという。五十点未満であれば学校の成績なら落第です。十五点だったら、これは無能力者です。あなたが三大政策の一つにあげながら、行政機構等については、これは何にも実歴というものがない。ここにあげられておる十六項目について一々採点されておるけれども、この内容を見てもそういうふうに考えるわけです。したがって、まず第一に、この臨時行政調査会の出された答申というものをあなたはどうされようというのか。あるいはさっきは時間をかせというお話でしたけれども、一体いつごろまでかしてどう具体化していくのか、この機会にひとつお聞きをしておきたい。
  106. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) この臨調の答申は佐藤君自身が採点すると十五点であると、それほど政府自身が行政改革に不熱心だというわけではない。それほどむずかしい問題なんです。でありますから、私が三大政策の一つに行政機構の問題を取り上げたが、これはできない、できておらない、そういうものがいままでもなかなか実施されない。これはまつ正面から取り組んでほんとうに力を入れないと実施はできないのじゃないか、かように思っているわけであります。たった一つの自分たちの担当する職分の範囲、許認可事項、届け出、そういうふうなものにいたしましても、簡単には片づかない。ここらにむずかしさがあるのであります。したがいまして、私はいままで何と批判を受けようとも、やっぱりこの問題と取り組み、これから成績をあげていくのが主体ではないかと思っているわけです。その一番の問題は、この前たいした効果がない、あまり成績があがってないと言われた一省一局削減ということもやってみました。しかし、問題はそんなところにあるのじゃない。現実に公務員の数はどうしたら減らせるか、どうしたら仕事が能率的になるか。さっきも申しましたように、国自身がやらないで、民間にやらしたほうが喜ぶようなものがあるのじゃないか、そういう点についての検討が進められなければならない。そこで、政府のやっていることはあるいは本末転倒かもしれない。一応定員を五%、これは三年間に減らす、そういう方向でひとつやってみようじゃないか、定員を減らすためには仕事の量をやっぱり減らしていく。不要になった仕事もありますし、新しい仕事を個々に考える際に、いままでの仕事を整理して、そうして余剰定員をそちらに振り向ける、こういうようなこともやらなければならぬのでありますから、そういう意味でいままでのところ成績はあがっていない。これからひとつ三年間に五%減らす、こういう目標を立ててただいま取り組んでおるわけであります。それにいたしましても、先ほども北村君にお答えしたように出血整理は困る、また当人の意思に反しての配置転換、これもしない、かように実は申しております。私はこのむずかしい仕事に取り組んでおる。それには各界また各党から十分ひとつ御叱正、御鞭撻をいただかなければならぬと思います。私が担当大臣でありながらあまり出てこない、こういう意味でまずいじゃないかと冒頭に叱責されたのでありますが、そこのところはひとつ御了承賜わりまして、有能な荒木君が、また総務長官が私にかわってお答えできる、かように思いますのでお許しのほどお願いしておきます。
  107. 山崎昇

    山崎昇君 総理からいまお答えありましたが、あなたのやっておるのは一省一局削減であって、これはショック療法ですね。今度出された総定員法も説明を求めればショック療法だ、起爆剤であります。それじゃ基本的な治療法は何かといえば何もない。盛んに私ども指摘をするけれども、それは聞っぱなしで一つも実現をされてこない。ただ末梢的なことは、ただいまあなたの言われたようなことは二、三やられておる。これは行政改革なんというものではない。たとえば、地方自治体との行政事務の再配分についても、これは一つもやられておらない。あるいは昨年自治省でいろいろ調査をされましたけれども、自治体側からみた行政事務のあり方等についても、むしろ中央官庁はじゃまをしたというんですからね。そういうやり方をやっておいて行政改革、行政改革、こういう私はラッパだけ鳴らすことに不信感を持つわけです。これはやはり改めてもらわなければならぬと思うんです。先ほど北村さんから内閣法の設置の問題もありました。部分的に私もいろいろありますが、特に私がいま参考にしておるのは、予算編成のあり方等についても、昭和三十一年に、当時第三次鳩山内閣のときに、予算閣僚会議を置くべきだという法律案が出されて、これは審議未了になっておる。しかし、いまから十年くらい前には一応そういうことも考えられて法律化された経過もある。そういう点を考えますというと、この臨時行政調査会の答申の第一項目にある予算関係は内閣の責任で行なうべきではないか。一大蔵省で行なうのはおかしいのではないか、こういう指摘についても何もこれは審議されてない。したがって、これは一例だけを申し上げたわけですが、きわめて行政機構改革について不信感を持っておる、こういうことを申し上げておるのであって、重ねて私はひとつ総理大臣の決意なら決意を伺っておきたいと思うんです。特に行政管理庁の事務次官、あるいはかつて行政管理庁におられた方々が異口同音に言っておることは、これは内閣総理大臣のリーダーシップがなければできない。内閣の戦略項目ではないか、こうまで指摘をされておって、内閣に何らの基本的な方針がない。こういうことについてどうしても私は納得できませんので、これはもう一ぺんひとつ総理の決意を述べていただきたい、こう思います。
  108. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いま行政改革の一つの問題として、たとえば、中央官庁と地方自治体との間の権限配分の問題、あるいは予算局をつくる問題についてもお尋ねがありました。私はまず第一に、中央官庁と地方自治体との権限の問題も、もうすでに予算的にも、予算と申しますよりも財源的にも、また仕事の種類等につきましても検討が加えられておりますいわゆる地方事務官制度の問題、その場合に、私、関係省に申しておるんですが、とにかく問題は自治体あるいは中央政府、そういう見方でなしに、国民は一体どういうように期待されるか、国民の希望、期待、そこをひとつ見当をつけないと、やはり権限の整備にならないのではないか。いわゆる地方に分配した結果は、いままではそこに顔を出さなくてもよかったのが結局顔を出さなければならなくなった、こういうような結果になる。これは一つの問題じゃないか。だから、やはり機構の簡素化としても、これは中央官庁そのもの、あるいは地方自治体そのもの、その立場で判断するのではなくて、国民にどういうような影響を与えるか、国民が主体だ、それを間違わないようにして地方事務官の制度もひとつ考えてほしい、こういうことを実は申しておるのであります。  それから予算局の問題は、これは一つの考え方であります。もうすでに成功したところもありますが、しかし、日本のような場合に、税がやはり予算として使われる、そういう場合に税収、主税、そういう関係と支出、歳入と歳出とを結びつけて予算を考えるほうが適当ではないかというのがいままでの考え方であります。必ずしもこの勧告どおりにいかない面もございます。私自身もわずかではあるが、運輸省から出て、大蔵省の大臣もつとめたこともありますが、この予算局の問題等も真剣に考えてみました。しかし、やはり歳入歳出、それを同一官署でやっていくことのほうがやはり能率的じゃないか、こういうような結論であったと思います。その後いろいろの問題が起きておりますから、必ずしも過去の考え方にとらわれるわけじゃありませんけれども、いまの大蔵大臣にしてもそういうような見方でこの問題を考えておるんじゃないか、かように思っております。とにかくいろいろな問題がこれから起こってくると思いますが、政府が前もって一つの前提をこしらえて、そうしてこの問題と取り組むつもりはございません。新しい問題でありますから、そこは謙虚にそういう問題と取り組む、これが行政改革の基本的な方針でございます。
  109. 山崎昇

    山崎昇君 たいへん時間が制約されましたから端的にあと二つお伺いします。  二点目は、この総定員法を審議している過程からいろいろ政府の出された資料を見ますというと、国家公務員関係定員職員というのが十九万二千五百三十七名、きのう自治省で調査をいたしますと、地方公務員で十五万四百二十七名、合わせて三十四万二千九百六十四名という定員職員がおるわけです。これは今度の総定員法の五十万何がしかに比較して、国、地方合わせて約六割に匹敵する人員が定員職員として置かれている。そこで、私はこの定員職員というものを何とかしなければどうしようもない。しかし、これにはパートの人もおりますし、態様が一様でありませんけれども定員職員の人と同様の仕事をし、かつ恒久的な職についている者については当然定員化すべきだと思う。そこでこの資料を求めたところが、昭和三十七年当時、定員措置をした残りとして、いま定員外に置かれている者は二千三百十五名いるという。さらに総理府の調査によれば常勤的と思われる者が七千四百三十六名いる。自治省の調査によると、一年以上勤務している者が三万四千三百二十九名おるわけです。このほかに五現業の職員がおるわけです。こう考えてまいりますと、私は総定員法には反対ではあるけれども、こういう職員については定員化をして総定員というのはきめるべきではないのかと、こういう議論を実はきのうからしているわけです。そこで、きょう総理に、ここですぐに定員化せいといってもむずかしいと思いますけれども、少なくともこういう職員定員化については努力をしてもらいたい、すみやかにやってもらいたい、そういう約束ができるのかどうかが一点です。  時間がありませんから続けて申し上げます。  それから第二点目は、この定員職員の諸君というのは日給でありますから、休んだら日給がもらえないから直ちに生活の困窮を来たす。ところが、この間来、問題になっておりました全林野の場合に、白ろう病等考えますと、これは職業病と認定をされておるが、休みますと日給ですからもらえません。病気した上に生活ができなくなってくる。こういう点を考えると、せめて定員化できないならば、その期間は給与面で保障をすべきではないか、こう私は考えるのですけれども、この二点と、それから最後にもう一点お聞きをしたいのは、いま何べんも総理から配置転換、強制はやらないという、出血整理もやらないという、それを私は信じたいと思う。そこで配置転換をやる場合に、本人の同意を得たいと総理は言うわけですから、それについては私は賛成いたしますが、その際、あくまでも本人のやはり了解をとるように慎重に配慮してもらいたい。ただ一ぺんちょっと聞いて、しかしこれはおれの権力だからおまえはあっちへ行けというやり方では、形は聞いたようになりますが、実質はそうではない、こういうことになりますので、その点ぜひひとつ確認を願っておきたいし、それから職員団体というものがあるわけです。この職員団体等に役員として就任している者の異動の際には、その団体とこれは話し合いをしてもらいまして、そうしてその団体の運営に支障を来たさないようにしてもらいたい。この二点、総理大臣、確約をできるならばこの機会に確約を願いたいと思う。
  110. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) この定員外の常勤職員、これは実際問題として、そういうものがあれば御指摘になりましたようにたいへんな不都合をかもし出すのであります。しかがいまして、かつて三十七年に一度、その前に閣議で問題になった。私、大蔵大臣時分にもこの問題でたしか取り組んだと思っております。これは林野の問題、全林野並びに北海道等の季節労務者が常勤労務定員外というような扱い方を受けて、そうしてこれは事故が起きたり、故障をしたりするのでたいへん扱い方に困る、それはどうも扱い方が悪いんじゃないかというので、これを整理にかかった。先ほど言われますように、もう整理は大体済んでおるはずだ、しかし、いまもまた山崎君が言われるように、いつの間にか数がふえているというような懸念もございます。私も実は山崎君からの質問にこの問題が出ていて、まだそんなことがいまでも議論になっておるのかと驚いたくらいで、この非能率に実は憤慨した一人であります。したがいまして、まず、実態をひとつ明らかにしたい、こういう意味で厳重に調査を命じますから、その調査の結果によってどういうように処置するか、そこはしばらく時間をいただきたいと思います。この点は、これはもう荒木君も隣におりますし、また、各省でも、そういう定員外の常勤職員というものの雇用関係にしろ、そういう形でふえておるというのはたいへんな問題ですから、十分ひとつ精査するということに時間をかしてもらいたい。  それからまた先ほど来の総定員法ができた後の定員の扱い方について、出血整理また配置転換等について、出血整理はしないし、配置転換についてはもちろん本人の意向を聞くと、こういうことにしたいと思います。これは重ねて申し上げます。また、そういう場合に、職員団体、そこら辺にまた問題を起こしては何にもなりませんから、また職員団体だけを特別に扱うというものでもございませんが、ただいまの本人の意向をよく聞く、そういうことには特に職員団体の協力を得ないと、いまはなかなか運用がうまくいかないと思っておりますが、おそらくまあ特別の扱いはしないだろうと思いますが、事前には職員団体とは緊密な連携をとって、そしてこの定員合理化に必ず賛成するだろうというように考えますが、その点はなお御注意もございましたから、特に注意するようにしたいと思います。
  111. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 午後三時まで休憩いたします。    午後二時休憩      —————・—————    午後三時十九分開会
  112. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  行政機関職員定員に関する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  113. 山崎昇

    山崎昇君 だいぶ日もたってきましたから、たいへん政府側も私は疲れているだろうと思うんです。しかし、この法案の持つ性格から言って、私もまたいささか疲れておりますが、もう少し疑問点を整理をして明らかにしていきたいと思います。  そこで、きのう——おとといですか、行政管理局長から、地価公示法案の問題に関連をして、土地鑑定委員会の権限の中に公示権を入れたのは国家行政組織法十四条の違反ではないですかという私が質問したら、あれは告示であって公示ではなかった、あるいは公示であって告示ではない、だから十四条の違反ではないんだ、こういう意味の答弁がありました。そこで、私は当日、法例集を持っておりませんでしたので、その後検討してみました。ところが、これはかつて法制局長官をやられた林さんの解説でありますけれども、これを見るというと、「「公示」も「告示」も、公の機関が一定の事項を広く一般公衆の知りうるような状態に置くことであって、特に、両者の間に差があるようには認められない。」、こうあります。そして公職選挙法等の例を引いて、公示と言ってる面も、告示と言ってる面もこれは同じだという見解が示されている。そうすると、私は国家行政組織法の十四条に言う公示を必要とする場合には告示することができるという規定は、これは明らかにあの土地鑑定委員会の持つ公示権限に該当してくる。そうすれば、八条の付属機関であるあの土地鑑定委員会に告示権を与えるということになると違法のそしりが免れない、こうどうしても私は考えざるを得ない。そこで、あの問題を討議したときに、建設省から、これは本来第三条の機関にしたがったんだけれども、認められないからやむを得ず第八条機関にいたしました、こういう答弁がありました。だから、私は第三条の機関を設定をして行政行為をする権限を与えるべきなのに、それをやらずして、第八条の付属機関をつくって告示権を与えるということになれば、これは脱法行為にひとしいのではないか、こう考えるわけです。そういう意味で、私は行政管理局長にお尋ねいたしますが、一体、公示と告示と、いま読みました林さんの見解が間違いなのかどうか。もし公示と告示というものが違うならばどういうふうに違うのか。もう一回まず明確にしてもらいたいと思います。
  114. 田中康民

    政府委員(田中康民君) これは行政管理庁へのお尋ねなのにしゃしゃり出まして申しわけございませんが、私ども関係と心得ますのでお答え申し上げます。  公示と告示はどう違うかと申しますと、公に告げ知らせることにおきましては実体的に何ら変わりはございません。ただ、国家行政組織法におきまして告示をすることができるというその告示という意味は、形式的な意味における告示という形式にとれる、こういうことでございまして、いま土地鑑定委員会について仰せられましたが、土地鑑定委員会については、そこで特に告示という形式をとるまでの権限を与えたわけではない。ただ自分のところで、土地鑑定の基準によって地価を定めました場合には公に知らせることができる、あるいは義務的に公に知らさなければならないよと言ってるだけでございます。そういう違いでございます。
  115. 山崎昇

    山崎昇君 私の聞いてるのは、公示と告示のことばの意味が、この林さんのあらわされた本によると、何も違いがないというのだ、差がないというのだ。したがって、法律によっては公示ということばを使っているところもあれば、告示ということばを使っているところもありますと、これは公の機関が意思表示するしかたであって、ことばは違っておるけれども内容は同じですと、こういう解説になっているから、それが違うならば違うと指摘をしてください。もし違わないとするならば、公示ということばを使おうが、告示ということばを使おうが、第八条機関にこういう権限を与えることは十四条の違反になりゃせんかと、こういうことを聞いているんです。これは行政管理局長から、あれは公示でありまして告示ではございませんという答弁だったから、差があるならばあるように示してもらいたい。しかし、権限に差がないとするならば、これは告示と言おうが、公示と言おうが同じではないですか、こう私が指摘をしているわけです。ですから管理局長が答弁されましたから、差があるなら、あるいはまた林さんの解説が違うならば違うというふうに答弁してもらいたい。もしあなたが、もっと言うならばたくさんこういう例があがっております。全部読み上げてもけっこうですけれども、時間がありませんから私は省略いたしますけれども、私はどうもいまの行政管理庁のやっている八条機関というのは、きわめて脱法行為的な要素を持っておるから、したがって、私は土地鑑定委員会については疑問を持っている。そういう意味で私は指摘をしているんだけれども、ことばというものは正確につかまなければなりませんから、私どものようなしろうと解釈ではいけませんから、私はわざわざこの本を買ってきまして、そして調べたら何も差はない、専門家は。差があるならあるようにしてください。それから公示というものはどういうものであって、告示というものはどういうものであって、その行為いかんによって国民が受ける内容が違うならば違うという点も指摘をしてもらいたい。
  116. 田中康民

    政府委員(田中康民君) ただいま林前長官が述べられましたところは、公示と告示におきまして実体的には違わないというところは私もそのとおりだと思います。ことばが足りなかったと思いますが、告示というのは形式的な意味において使う場合がございます。たとえば、命令と申しますか、あるいは法律というのは、そういう名前でもって出るもの、われわれはただ法律であるから法律であるからということを申しますが、法律という形式をもって出ているものと、その中には命令という形式をもって出ているものとございますが、そういうように公示をする場合は、告示という形式においてやる場合には国家行政組織法の十四条によって外局までにしかその権限がないように考えるべきだろうと思います。このたびの土地鑑定委員会については、ここで特に告示をすることを書いておりませんので、土地鑑定委員会は告示という形式ではその公示を出すことはできない、このように考えるのでございます。
  117. 山崎昇

    山崎昇君 私は形式論で言っているのではないです。この説明書は公示も告示も同じというのです。法律効果として公の機関が意思表示する場合に何も差はないというのです。差がないのに、なぜあなたのような見解になりますか、だから土地鑑定委員会に公示権を与えるということは、通常の意味で言うと告示権を与えることになるから、これは脱法行為になるのではないだろうか、こういう私疑いを持っておる。あなたの見解はこれからいくとずいぶん違いますよ、公示と告示とは同じというのです。どう違いますか。
  118. 田中康民

    政府委員(田中康民君) そこで林前長官が申しておりますのは、効力としては同じであるというふうに言っているのではないかと思います。私もその本をまだ読んでおりませんので、あらためて読んでみますが、ただ形の上で公示をする場合に、告示という形式によるか、あるいはただ公示として一般の官報でありますならば公示欄に載せるか、いろいろ方法はごいざますが、そういうものが効力としては何ら変わりはございません。しかし、形式的に告示という、農林省告示第何号というそういう形式のものは土地鑑定委員会では出せない、こういうことでございます。
  119. 山崎昇

    山崎昇君 それではあなたにお聞きしますが、それでは国家行政組織法十四条に、公示を必要とする場合には告示することができると書いてあります。この公示を必要とする場合の告示とどう違いますか、何も違わないじゃないですか。
  120. 田中康民

    政府委員(田中康民君) 公示をする場合の方法はいろいろあると思います。たとえば役場の前に、こういう書類をそのまま出しておいて、みんなに縦覧できるというものも一種の公示です。その場合に、特に国家行政組織法では官報に載せて農林省第何号という農林省告示がやはりそういう形式をもって公示をすることができるということをいっておるのでございます。
  121. 山崎昇

    山崎昇君 重ねて私読みますが、公の機関が一般公衆に一定の事項を周知させるという場合は、形式としては公示よりもむしろ告示のほうが普通の用語であるけれども、公示という場合をとることもあるんだということも、これまた述べておられるのです。そうすると、あなたの言うようにそういうことにはなってこない、公示も告示も形式として同じだと、こういうことになるのです。そうすると、私は、なるほど土地鑑定委員会には告示ということばを使ってないが、公示をする権限を与えるということは、ことばをかえて言えば告示権限を与えることと同じことになりはせぬか、そうすると十四条の違反になりませんか、八条機関の性格から言って。こうなってくるわけです。どうしても私はあなたの言うことがわからない。
  122. 田中康民

    政府委員(田中康民君) これは、林前長官の非常に短いことばの中であらわしたところが、私は舌足らずであったのだろうと思います。私たちが法制局におきましてずっと知識として持っておりますところについて申し上げるならば、私がいままで申し上げましたようなことでございます。ところで、公示をもし告示であるというふうに言ったといたしましても、おっしゃいましたように法律違反になるわけじゃございません。国家行政組織法も法律であり、土地鑑定委員会の不動産の鑑定評価に関する法律も地価公示法も法律でございますので、特別法の関係で当然法律違反にはなりませんけれども、しかし、私はそこまであの公示を、告示ができるというふうには実は解していないのでございます。
  123. 山崎昇

    山崎昇君 あなたの、法制局の見解としてはまことにそれはおかしいですよ。じゃ、もう少し例を申し上げます。これはあなた舌足らずとおっしゃるけれども、林さんの言っていることを、それじゃ私は関係条文を読みます。「結局、根拠法律が両者を使い分けているからということになる。すなわち、総選挙の期日については、公職選挙法第三一条第四項に、「総選挙の期日は、少くとも二十日前に公示しなければならない。」とあり、国民審査の期日については、最高裁判所裁判官国民審査法第五条に、「中央選挙管理会は、審査の期日前二十日までに、審査の期日及び審査に付される裁判官の氏名を官報で告示しなければならない。」とある」、しかし、この告示も公示も同じことですという意味で法律をあげて説明されているのです。だから、土地鑑定委員会で公示ということばを使おうが、実体は告示と同じではないですか。そうなれば、国家行政組織法からいけば、第三条の行政機関だけが告示権を持つのに、第八条の付属機関が告示権を持つことは違反になりませんか、あるいは脱法行為の疑があるのじゃないですか、こういうことを私は指摘しているわけです。ですから、私はあとでもこれは八条機関の性格について触れたいと思いますが、いずれにしても、公示と言おうが告示と言おうが法令上は同じだという、これは間違いありませんね。そうなれば、土地鑑定委員会に公示権を与えることは、私は八条機関の性格からいって行き過ぎであり、もっと極端な表現を使えば、第三条の行政機関でなければやれない権限を八条機関に与えることは違法的ではないのか、こういうことを申し上げているのです。もう少し明確にしてもらいたい。
  124. 田中康民

    政府委員(田中康民君) 告示というものが公示の一つの形式としてなされるという意味におきましては、先ほど先生仰せられましたように、各種の法律で公示といい、あるいは告示という場合に、その公示という表現の形の手続を告示という形式にしておりますることは、これはそのとおりと思います。しかし、純粋にぎりぎりことばを詰めてまいりますと、公示しなければならないということばは、公に知らせるということだけでございまして、特に告示という形式によらなければならないというふうにまでは言えないのではなかろうか。ただ、国の機関が一般にあることを告げ知らせる場合には、これはすべての人に周知させなければいけませんので、その場合には、少なくとも官報に載せるなり何なり、ほんとうに国民が周知できるような体制に置かなければいけない。これは明らかなことでございますので、その場合におきましては、公示とありましても、すべてその公示の最も国民に周知が徹底するように告示という形式を用いることがベターである、ベストであるということは私もこれは認めなければいけないと思います。
  125. 山崎昇

    山崎昇君 公の機関が国民に対して知らせる場合に公示ということばを使おうが、告示ということばを使おうが、それは同じなんだということを言っているんですよ。私は形式論だけで言っているのじゃない。しかし、形式的に言っても同じだということを林さんが言うのだが、あなたこれは誤りだと言うなら、あなたの意見として、誤りとして聞いておきます。私はいずれまた別な人に聞いて、後日またあなたと論争してもいいし、こればっかりやっていたんじゃどうにもなりませんが、しかし、少なくとも元法制局長官の解説だから私は正しいと思っているのだ。これは誤りですか。それじゃ、誤りと言うなら誤りというふうに言ってください。
  126. 田中康民

    政府委員(田中康民君) 私は従来の法律なり命令が、そういうように混同して使っておったということがないとは申し上げません。そういうものを総合的に解釈すれば、林前長官の言うようなふうに言わざるを得ないかとも思います。しかしながら、今日の立法手続が非常に整備した時代におきましては、私が申しましたような基準でもってやっておる、こういうことでございます。
  127. 山崎昇

    山崎昇君 これはこれ以上やってもしかたがありませんが、あなたが、それはそうでしょうけれども、今日はと言っても、これはあなた、出たのはいつだと思いますか。十年も二十年も昔のことじゃないのですよ。最近書かれている本なんですよ、これは。それじゃ林さんは、最近、あなたの言うように、ずっと以前に書かれたものをまた出しているというふうにあなた受け取るならそれでけっこうですが、私は少なくともこれを買ってからまだ三日しかたたない。それでもあなたが誤りだと言うなら誤りでけっこうだと思う。昭和四十三年の十月に出されているのだ、これは。これは法令の解釈論でありますから平行線をたどるかもしれませんが、これは行政管理庁に私は注意しておきたいと思う。少なくとも八条機関は、分析をしたら、いろいろ、大体五つ六つの種類に分かれます、これは。しかし、いずれもこれは行政機関ではないのですね。しかし、行政機関ではないけれども行政機関のような役割りをさせているものもあるし、そうでないものもある。これは私は去年から指摘している事項ですけれども、改まっていないわけです。これはあとで時間がありましたらもう少し私は中身を分析してお聞きをしたいと思いますが、別の問題に移りたいと思う。  そこで、総務長官がおいでになりましたから総務長官にお聞きをしておきたいと思うのですが、この法案がもう出てから何べんか私は行政管理庁の長官からセクショナリズム、セクショナリズムということを言われた。きょうまた総理から、このセクショナリズムという話が出ました。そこで私は、人事行政を扱う総務長官として、あなたのセクショナリズムについての見解をお聞きをしたい。なぜこういうものができて、それからどういうふうにしたらこれがなくなると思われるのか。いますぐ具体案がないとすれば、あなたの抱負でも経綸でもけっこうでありますが、ひとつお聞きをしておきたい。
  128. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 私の考え方としてお聞きをいただきたいと思いまするが、今日の官庁というものは分かれておりますので、やはり、自分の所属するところの官庁の立場に立てこもりがちであるというのが一つの通弊であります。これを私はある程度セクショナリズムと考えておるのじゃないか。しかし、国家公務員というものは国民全体の奉仕者としてあるべきものでありまして、単なる自分の省の立場というものにとらわれずに、大局から見て仕事はなすべきものではないかと考えておるのであります。私、総理府におりますると、各省の連絡調整という事務をいたしております関係上、ぜひ公務員全体が国民の全体の奉仕者という立場に徹してまいったならば、もっともっと仕事の連絡調整もうまくいくのじゃないか、かように考えることもないではないということを申し上げておきたいと思います。したがって、今日そういう意味におきましては、全体の奉仕者という立場の認識を深めたいと思いますが、さしあたり実行いたしておりますることは、公務員の採用にあたりまして、従来たしか各省で別々に採用してそのまま任用しておったと思うのですが、昨年ぐらいからですか、新しく職員を採用いたします際におきましては、これを一堂に会しまして公務員としてのオリエンテーション、講習会を研修会と称して行なっておりまして、広く国家行政全般に対して必要な知識を与えるようにいたしまして、これまた私はセクショナリズムを打破することの一つの大きな一助になるのではないかと考えております。なお、今日総定員法等が定められます場合におきまして、各公務員のいわゆる配置転換等の場合におきましても、常に各人事管理におきましては、個人の配置転換に対する要望等を聴取しておるのでありまして、したがって、人事異動をいたします際におきましては、かねてから調査してありまするところの本人の要望というものを積極的に生かして人事管理に当たるというようなことも考えておるのであります。私は徐々ではございまするが、公務員全体が常に国家公務員としての自覚、すなわち国民全体の奉仕者としての自覚に徹するようにありたいと、かように考えておるものであります。
  129. 山崎昇

    山崎昇君 私は、このセクショナリズムというのは、これは言うほど、これをなくするということは簡単だとは私自身も思いません。かなり私はむずかしいものがあろうと思います。そして、この問題は、行政機構の問題とも関連をしますし、それから事務のやり方にも関連しますし、人事の管理問題とも関連をしてくる問題であって、私もかなりこれについては見解を持つ一人だと思うんです。しかし、いま総務長官からお話がありましたように、去年ぐらいから総理府で一括して何か採用されているようにお話を聞いたんですが、そのとおり行なわれておるのかどうか。たとえば、人事院で採用試験を行なって、総理府に名簿提出があって、そして総理府で採用して各省に配置をしておるのかどうか。そうでなければ総理府がやっているということにはならないんだが、その辺のことからお聞きをしておきたい。
  130. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 人事院でもって試験をいたしまして、これに合格いたしました者を各省が採用するわけでありますが、各省で採用決定いたしました者を人事院におきまして集めまして、そして合同の合宿訓練をやる——人事院と共同主催でありますが、ことしは先日代々木でもっていたしたのでありまするが、たしか二度目だと聞いております。寝食をともにいたしまして、公務員としての最初の心得として必要な事柄を、短期間ではございまするが、研修を受け、そうして、四泊五日だそうですが、かなりこの点におきまして公務員としての共通な考え方を受け入れて、そしてそれぞれの省に帰りまして仕事をすることができるのではないか。私はこれが絶対とは存じませんが、しかし、今後において役立つものと考えております。
  131. 山崎昇

    山崎昇君 いまの総務長官のお話ですと、やはり各省で採用して、ただ研修制度としては従来よりも一歩進んでいるような感はありますけれども、四泊五日でそれだけの研修でこのセクショナリズムの一掃ということには私はなってこないのではないか。それならむしろ一歩進めて、総理府で一括採用して、総理府で各省に対して配置をする、総理府であるいは計画的に配置がえ等が行なわれる、そういうことにでもならなければ、ずっと入ったときから何十年も各省に勤務をして、最初の三日や四日研修制度で話をしたから、それでセクショナリズムがなくなるなんていうほどなまやさしいものではないのではないか、こう考える。ある学者の意見を私ども聞いてみれば、総理府に人事局ができたということにはそういうことを期待をしたというんですね。ところが、総理府の人事局ではほとんどそれらしいことは何もない。依然として従来の人事管理しかやられていないではないか、こういう批判もされているわけなんですが、どうですか。
  132. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) おことばのごとく、総理府に人事局を置きます際におきましては、相当広範な仕事も検討した時代があったかと思います。しかし、人事院との関係、また、その他の関係から申しまして、当時予想したよりも少ないと申しまするか、現在のような形でもっておるわけであります。この点は過去の経過としてそういうことがあったように承知はしております。で、今日採用におきまする際における行き方でありますが、各省でもって採用いたします者は、それぞれ欠員のある場所等によりまして専門的な立場が必要とされております。それで各省におきましてそれぞれその欠員にふさわしいところのものに応ずる人物を採用するという立場に立って各省で採用している。もちろん、これは人事院試験におきまして合格した者の中からとっておるわけでありまして、最も適材を適所に入れるという立場で各省で採用しておるものと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、それでもって国家公務員として全体的な意識がなくては困る。この点におきましては、ただいま申し上げました、万全とは存じませんが、しかし従来に比しまして一歩前進することと考えまして合同の研修会をもちまして、そうして国家公務員としての共通の認識の上に立って、今後それぞれの部署において専門の仕事に従事してもらうという考え方であります。基本的な精神におきましては、これはもう全体の奉仕者としての考え方を体しまして十分ひとつ徹底さしてまいりたい。今後ともいろいろの処置がありましたならば、そういう方法を積極的に採用してまいりたいと思う次第であります。
  133. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、いまのところは各省で採用された人を人事院を通じて、四泊五日か何か知りませんが、研修をする程度であって、それ以上のものではないというところですね。今後はそうすると盛んにこの問題になりますセクショナリズムというものはやっぱりなくしていく、こういうことになると、総理府として考え得られることはどの程度のことまでいまお考えになっておるのか、それを聞いてこの問題のピリオドを打っておきたいと思います。
  134. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) なお、採用いたしました後の全体としての立場に立ってセクショナリズムを打破するということにつきましては、部分的には、やはりいわゆる各省間におけるところの人事交流の問題として、むしろある程度まで定期的にと申しますか、きまりました一定の数を各省において入れかえをやっておるわけでありまして、総理府におきましても各省からとる、そうして若干、年数勤務いたしましたならば、またもとの省に帰るというふうにいたしておるわけでありまするが、こういう各省でそれぞれやっておりますところの人事交流というものは、これはおのずからの視野を広くいたしまして、セクショナリズムを打破することに大きく役立つものと考えております。
  135. 山崎昇

    山崎昇君 それでは次にお聞きをしたいのは、この前の委員会で相次いで起きた公務員の汚職事件について綱記粛正の通達が出された。で、その内容に、四月三十日までに各省からそれぞれ計画案をもらって、それに基づいて総理府としてはふたたびこういうことのないようにしていきたいんだという答弁がございました。そこでどういう案が、これは各省から全部聞くわけにまいりませんが、何か特徴的な回答があれば一、二示してもらいまして、それに対して総理府ではどういう形のものをつくり上げようとするのか。さらに、あの際も問題になりましたように、相手業者に対する規制の仕方とか、それから直接監督者の立場にあった高級公務員の責任の取り方、そういうものについて一体総理府はどうされようとするのか、見解を聞いておきたいと思います。
  136. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 過般、総理府から出しましたところの官庁綱記粛正に関する通牒でございますが、これに対しまして四月末を期限といたしまして照会いたしたわけでありまするが、今日までのところ、二十七省庁中、回答のありましたのが十七省庁でありまして、現在その結果を整理中でございます。内容が相当多岐にわたっておりますので、各省とも相当研究した結果を報告しているのではないか。まあ今日までの報告の出し方と、内容を見ておりますると、かなりまじめに研究しておるように考えておりますが、いずれできるだけすみやかにこの点は整理をいたしまして、そうしてただいま御質問のありました事柄等に分けまして対策を生み出してまいりたいと思っております。
  137. 山崎昇

    山崎昇君 ただいま整理中だということですから、いずれ整理ができて総理府のほうから提示された段階で私どももまた見解を述べたいと思うんですが、しかし、少なくともあの一連の事件を考えてみて、生活に困ってやった事件ではない。そしていずれもかなり権限を持っている管理職といわれる職員が犯しているわけです。そして、それの上司についてはあまり明確な処分をしたということを聞いてないんですが、上級職員のそれならば処分というものをどういうふうにされたのか聞いておきたいんです。
  138. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) なお過去におけるところの収賄容疑事件等につきましての問題かと思うのでございます。いわゆる職務に関して不正利益を受けた者に対する調査につきましては、一応集計いたしましたものが全部まとまっておりません。大蔵省を除いたところの二十七省庁から報告がきておりまするが、集計だけ申し上げますと、昭和四十二年におきまして七十件、百十二人に及んでおります。それから監督者は五十一件、百二十人、四十三年には七十六件、百九十五人というのが本人の問題でありまして、監督者に対しましては四十八件、百二十五人が処分を受けた形になっております。なお、大蔵省がまいりましたならば、さらにその分を加えて御報告申し上げたいと思います。なお、その内容につきまして御要望がありますならば、多少まとまったものだけについて御報告申し上げます。
  139. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) ただいま総務長官から過去二年間における収賄容疑事件の件数、人数、それからそれに対する監督者の責任をとった件数、人数というものの総括の御報告がございました。内容の詳しいことにつきましては、いま目下集計といいますか、わからぬような、はっきりしない点もございますので、この点なお重ねて照会などしまして、集計しやすいようにいま作業中でございます。  それから大蔵省につきましては、ただいま長官から申し上げましたように、国税庁という膨大な組織がございますものですから、一両日中に提出願えるようになっている次第でございます。各省ごとの件数どういたしましょうか。——それでは後ほどまたまとめました際にお答え申し上げます。
  140. 山崎昇

    山崎昇君 そればっかりやっているというと時間ありませんから、後ほどまた必要があれば、私のほうから個別にお聞きをしたい。  それから最後に総務長官にもう一つ聞いておきたいのは、さっきも佐藤総理に人事院勧告の問題について質問したわけなんですが、すでにおわかりのように春闘もやや終わり、それから私どもと一番密接である公労協の問題もほぼ仲裁裁定に移行するとはいえ、内容的にはもうきまったも同様ではないかと、こう考えるんですね。そうすると、いま総理府で組まれておる人件費の予算では当然いまの春闘の経過からいって私は足りないのではないだろうか。これは人事院勧告がまだ出ていませんから推定でものを言う以外に方法はない、しかし、少なくともいま総理府予算ではないでしょうけれども、人件費を予算に組んでおる四百四十三億という水増し予算では間に合わないことは、もう必至であろう、こう考えますね。そこで、八月の十五、六日ごろには勧告が出るわけなんですが、そのときになって総合予算主義である、あるいは予算がないからというかっこうでまた人事院勧告というものが値切られ、勧告どおり実施されないということになると私はゆゆしき問題だと思う。そこで、本来なら大蔵省に聞くべきことかもしれませんが、担当大臣でありますから、どういうふうな勧告が出ようとも財政的にできるとか、できぬという議論にならないのだ、こうここで私どもは確答してほしいと思う。その点はどうですか。
  141. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) この点はたびたび申し上げておりまして、まことに申しわけないわけでありまするが、方針といたしましては完全実施のために万全の努力をするという基本方針で臨んでおるわけでありまして、やはりこの態度をもちまして人事院勧告に当たりたいと思っておりますが、予想といたしましては、お話のごとく、今日民間もすでに出ましたし、公労委も裁定に移行中でありますが、数字から申しますと従来の傾向よりも若干上回っている。予算といたしましては給与費で予備費に余裕は見ておりまして相当改善したつもりではありまするが、はたしてこれでもって完全実施ができるかどうかということに対しましては非常な懸念を持っているわけです。しかし、これは勧告のありました時期におきまして万全の努力をいたしたい。これは単に担当の私の立場、総務長官の立場ばかりでなしに、政府全体といたしまして、予算その他との立場もありますので万全を期して努力いたしたいと思います。
  142. 村田秀三

    村田秀三君 関連でお伺いしますが、先ほどの総理の答弁また総務長官の答弁と合わせて考えますと、ことしは例年になく五%額を予備費にとつてある。その範囲の勧告であれば完全実施もできそうな言い方、ことしは相当に、われわれからみれば少ない額でありますが、政府側からみると相当高いものと春闘相場を評価しているようでありますが、大体それが一つ基準になって人事院勧告が出されるであろうということは、これは従来の例に徴して言えることであろう。そうすると、改善する、尊重するということが、総合予算主義を政府が主張し始まった当時から、もう人事院勧告を拘束するのではないか、財政によって人事院勧告を拘束するのではないかということを強くこれは執拗に政府に詰問をしておった問題なんです。それと関連をいたしますと、尊重する態度は捨てておらぬけれども、財政が伴わないからこれはできないんだというような言い方に聞える。そういうことであっては、従来からの論議というものはまさに水泡、その場限りの答弁であったということになるわけでありますから、この辺のところは、とにかくいかような勧告が出されようとも尊重するという態度は変わらないんだということが一つ前提にならなければならぬということですね。それをきちっとお答えをいただきたいということが一つ。それからもう一つ、実は三月の当院の予算委員会において、原労相が大上段に振りかぶった答弁をいたしたのを私聞いております。ひとつ御心配召さるな、ことしは六月実施をいたします、来年は五月にいたします、必ずやりますから私におまかせくださいというような答弁をなさっているわけですね。この答弁を予算委員会はそのまま聞いておるわけでありますから、了承しておる。こういうことに経過的に言えば言えるわけです。したがって、この労相の答弁というものがいま総理府長官の言い方からするならば、どこかに飛んでしまうという懸念があるわけでございます。そういう意味で、とにかく財政がどうあろうと、人事院勧告がどうあろうと、少なくともことしは五月に実施したいのだけれども、腹づもりとしては六月なんだということを労相が言ったそのことと関連をさせるところの答弁が出てこない限りは、これは了承できないわけです。予算委員会の議事録を取り寄せてもらってもいいですよ。これは明確です。
  143. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 第一の問題でありますが、人事院勧告を尊重するという方針、これは政府といたしまして数年来一貫しておるものでございます。なお、人事院勧告でありますが、総裁がおられませんが、人事院勧告というものは、政府の立場と全く独立した人事院独自の立場に立って適正なる勧告をいたすものであります。その勧告を受けまして、政府はただいま申し上げましたような基本的な姿勢に立って勧告を受けて、そうしてその際におきまして実現に努力いたす、これが政府としての基本的な態度でございます。  それから第二点でございますが、この点につきましては、第一に申し上げましたように、完全実施するということが基本的なたてまえでありまして、勧告を受けました際におきましてあらゆる努力をいたすわけであります。しかし、毎年毎年万全を期して努力するといってもできないではないか。ことしやるといってできなかったらどうするかということにも、あるいはそういう意味のお尋ねかとも思うのでありまするが、政府といたしましては本年の勧告を受けまして、万全の努力をするということは当然であります。しかし、どうしてもことしにおきましてできなかったような場合におきましては、昭和四十五年にはひとつ完全実施を努力するように実現を期そうじゃないかという考え方はお互いにきめておったわけであります。なお技術的に申しますると、六月実施におきましては期末手当もありますし、一つ段階であります。財源的に申しますると、一つの大きな山がある。これをどうして処置するかということにつきましては、大いに苦心をいたしておるところであります。
  144. 山崎昇

    山崎昇君 給与問題は本題でありませんから、もっともっとお聞きしたいこともあるし、私はすでに発表された四十四年度予算の二、三分析をしてみて、いまの推定でいけば、大体この予算はどれくらい足りないのかというような検討も実はしてありますが、これは別な機会にひとつお聞きをしてみたいと思うので、一応この問題については打ち切っておきたいと思うのです。  そこで、いよいよ本題である総定員法に関連して管理庁長官にお伺いをしたいと思います。この法律案を見ますと、この法律案の第一条でいっておる行政機関と、それから行政組織法でいっている行政機関と、どうも違うような気がします。もし違うんなら、どこが違って、なぜ違えるようにしたのか、御説明をいただきたい、こう思うのです。
  145. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
  146. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答えいたします。  国家行政組織法上の行政機関は、これは府、省、委員会及び庁、こういうことになっておりまして、行政機関定員に関する法律におきましての行政機関は上記の機関のほかに、内閣の機関として内閣官房、内閣法制局及び国防会議事務局を含んでおりまして、その範囲が同一ではございません。
  147. 山崎昇

    山崎昇君 いま説明ありましたように、内閣の権限の及ぶ範囲の行政機関といういま御説明だったと思うのですね。そこで、私は具体的にお聞きをしたいのですが、今度のこの総定員法で内閣までも含めるということについて私は多少疑義を持っているわけです。これは政策の問題でしょうから、私は誤りだとか、そうでないとかいうことは言いません。しかし、私は行政権の最高機関というのは内閣であるから、内閣というのはいわば管理をしているその他の行政機関の上級機関に当たるのではないか、そうすれば、そういうものも引っくるめて総定員法で縛り上げるということに多少の疑義を持っているわけです。その点についての一つの見解と、それから内閣の関連する機関だということであるならば、多少独立的な権限は持っておりますが、人事院もこれまた内閣の補佐機関になってくると思うのです。そうすれば、内閣を入れて人事院を入れないということになると、私は少し片手落ちのような気もいたします。そこでお尋ねしたいのは、なぜ内閣が入らなければならないのか。そうして内閣を入れておいて、なぜ人事院や会計検査院というようなものは別にするのか、その辺のことをお聞きをしておきたいと思います。
  148. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答えいたします。  内閣の機関につきましては、ただいまお話ございましたような点も確かにございますが、やはり行政府の職員の一部でございまして、これは内閣の統括のもとにございます総理府及び各省の職員を一括して定員管理を行なうほうが、定員管理の合理化の目的に沿うのではないかということで、これはお話のように政策論でございますが、形式的にはお話のような考え方もあると思いますけれども、そのほうが定員管理の合理化にふさわしいのではないかということで内閣官房、法制局等を入れております。人事院につきましては、内閣の所轄のもとということになっております。 これは内閣の所轄のもとではございますが、かなりと申しますか、相当に独立性が高こうございますし、また人事院につきましては、その予算につきましてもいわゆる二重予算と申しますか、大蔵省の査定が食い違った場合には、これは人事院の本来の予算も添えて提出するといういわゆる二重予算という提案権も持っておりますような点からみまして、独立性が非常に強いというふうに判断いたしまして、総定員法の範囲から除いたわけでございます。
  149. 山崎昇

    山崎昇君 いま御説明のあった人事院の確かに独立性の強いことは私もこれは認めておるわけです。しかし、この総定員法の行政権のある内閣の息のかかったものをある程度入れるというなら、私は政令でどういう扱いしようとも、やはり人事院等も含めて、最高限度というのですから、定員というのはきめるべきではないか。そうしていま実態を調べてみれば、人事院定員というのは人事院規則でやっておるんですね。それならば最高限度の中に入れて、行政権を行使する内閣全体の定員の最高限度というものをきめて、政令でやはり人事院に対してもきちっとした定員措置というのをとるべきではないか。そうでなければ、どうも行政権の最終機関である内閣全体の定員管理ということにはなってこないのではないか、こう私は思うんです。しかし、これはいま申し上げましたような政策の問題でありますから、私はそんなにこれに深く入ろうとは思いませんけれども、どうしてもいまの政府の考え方に多少私は危惧を持ちますので、もう少しあなたのほうの内部で議論された点があるならば、あるいはそういう点が議論された上で、さらにいまのような政策にしたという点があるならばもう少し聞いておきたいと思います。
  150. 河合三良

    政府委員(河合三良君) ただいま申し上げました趣旨でございまして、御趣旨の点につきましても十分検討はいたしておりましたが、やはりそういう独立性、特に人事院の置かれております立場、内閣一般の行政部局との関係でございますとか、特に会計検査院についても同様に感じますが、そういうことから分けて扱っております。御趣旨の点については私も確かにそういうお考えも理解のできる一つの考えというふうには思いますけれども、現在の扱いといたしましては、このほうが適当ではないかというふうに思います。ちなみに五%削減につきましても、これは人事院につきましては各省庁の削減に準じて削減をしていったというふうに考えております。
  151. 山崎昇

    山崎昇君 これは私のほうも政策論ですから決定的なことを言うわけにはまいりませんが、しかし、行政権の最高機関でありますから、でき得るならば、私は内閣に属する機関はやはりまとめるならまとめるべきではないか、総定員法に反対する立場は立場であっても、まとめるという意味からいうならば、やはり機関を全部まとめるべきではないか。そういう点だけ、私どもこれは意見として申し上げる以外にないと思うのです。そういう意味指摘をしておきたいと思うのです。  その次にお聞きをしておきたいのは、実は私もずいぶん調べてみているわけでありますが、いまの内閣官房と総理府の関係についてやはりどうしてもわからぬ点が一ぱいあるわけです。それは人事配置一つ見ましても、内閣官房に参事官というのがずいぶんおるわけでありますけれども、そのうちの一部はこれは総理府の審議室に勤務になってみたり、あるいは総理府の機関の課長であってみたりなっているわけです。そういう意味で、私は臨時行政調査会が内閣府というような構想を出したのだと思うのですが、この総理府と内閣官房との関係について少し説明してほしいと思います。
  152. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 相当具体的にお答え申さねばならぬと思いますので、説明員からお答えさせていただきます。
  153. 石原寿夫

    説明員石原寿夫君) ただいま山崎先生御指摘のように、内閣の審議室と総理府の審議室、この人員の関係は兼任者が相当おりまして、一つの問題をつかまえまして、総務長官の名でものを考えます場合は総理府参事官がこの名称を使ってやることになっております。それから内閣官房長官の仕事としてやります場合には、同一の者が内閣の審議官という名称を用いてやるという場面があるわけでございます。ただ根本的にやはり違いますのは、内閣官房は内閣法の示します非常に重要な政策上の統一保持をやります総合調整というのが主任務かと存じます。総理府の場合は、どちらかといいますと、それよりか少し下りまして、行政実施上の連絡、調整的な任務を主とするという理解でおるわけでございます。
  154. 山崎昇

    山崎昇君 何かわかったようなわからぬような気持ちでおるのですが、私どもしろうとですから、もう少し具体的にお聞きをしたいと思います。たとえば内閣参事官のうち総理府官房の総務課長、人事課長、会計課長を兼任しているのですね。それからまた片や、内閣の審議官というのがおって、これは総理府の官房審議室長あるいは審議室に勤務をしておるわけです。そうすると、私どもは内閣官房とか総理府の機構というのは、ほかの省とかなり趣を異にしているわけですね。そして総理府設置法を見ても内閣の設置法を見ても、どうも、片や何か閣議の仕事を扱うようにもなっておるし、それから総理府はそれも一部やるけれども、いまお話のあったような連絡、調整もやるということになる。そして、なるほど御説明のように、内閣参事官という立場からは官房長官の指揮、命令を受ける、総理府の総務課長、人事課長、会計課長という形になってくると、これは総理府総務長官の指揮系統を受けている。同一人間がいわば二つの命令を受けるのですね。そしてこのポストからいって、私は総務課長、人事課長などというのはかなりなこれはポストになってくるであろう。さらに総理府の官房審議室などといえば、これはたいへん重要な仕事をやっているようにも考えるわけです。そうすると、私はどうしても官房と総理府というものは、何か見ようによって密接不可分でもあるし、分けようによっては分けられるような気もしますけれども、どうも人事配置上、あるいはこういう官の設定のしかたからいうと、分けられるような気もしてくる。そういう意味で、臨時行政調査会の出しておる内閣府構想というものは、やはり相当考慮する必要があるのではないかという気がしますが、もう少しこれをひとつわかりやすく説明してもらえませんか。
  155. 石原寿夫

    説明員石原寿夫君) わかりやすくと申しましても、いま山崎先生御指摘の実態でございまして、考え方としましてはいろいろあろうかと思います。臨時行政調査会の立場をとりまする場合は、現在の行政の実態から見て総合調整機能を強化するというたてまえから、内閣の本来的な使命を強化するということによって総合調整の力を強化するという立場に立つ限りは、やはり内閣府というような構想も成り立つかと思います。これは一つの考え方かと思っております。ただ、現在の行政の実務の実態から見まして、一応形式的には分かれてはおりますけれども、実質上、密接不可分な関係において現在のような形で業務を遂行するということも一つの考えかと思います。どちらがいいかということは私答え得ませんが、両方の考え方がやはり成り立つと思います。
  156. 山崎昇

    山崎昇君 この問題はもっと根本的にいえば、共管競合の問題に入らざるを得ないと思うわけです。しかし、これはいまもう四時半までですから、やっている時間がありませんが、一例としていま申し上げるのであって、今後とも私はこの共管競合という問題について意見を申し上げてみたいし、また説明も聞きたいと思っておるのですが、いずれ後日にこれは譲らしてもらいたい、こう思います。  そこで取り急いで、あと十五分しかありませんから、二、三点お聞きしておきたいと思うのですが、さっき指摘しました八条機関なんですが、私の分類にもし間違いがなければ、大体性格的にはこの八条機関と称されるものは五つ、六つになるのではないか。一つは諮問的な機関、二つ目は試験研究機関、三つ目は検査検定機関、四つ目は文教施設関係、それから五つ目は医療施設、その他、大体こういう形になると思うのです。私は最近の行政の傾向として、この八条機関というのがふえる傾向にあるのではないか。特に私はこの中で、行政の機関が設置をする試験研究機関というのはどういう性格で置くべきものなのか。あるいは一般の行政と行政機関が設置する研究機関というのは、どういう関連でそれを考えたらいいのか。あるいはふえつつあるこういう試験研究機関というものを、どういう方法で管理をしたならば繁雑にならずに試験研究というものがやっていけるのだうろか。こういう点について絶えず疑問を持っておるわけです。  そこで、できれば管理局長からでけっこうでありますけれども、この八条機関というものの性格について少し教えてもらいたいと思うのです。そうして、私が今日まで見た限りでは、これは行政行為は一応できない機関になっておる、部内の機関になっておる。ところが、実際にはかなり行政行為を行なわせておる機関も相当存在をする。そういう意味で、私は去年からこの八条機関の性格をめぐって指摘をしておるわけですが、その後、行政管理長でどういうふうにこの点について検討されて、今後、いま申し上げましたように、この八条機関というものをどういうふうにされていくのか。これを分解をすれば、三条の行政機関になっていくものもあるでしょうし、営造物的なものになっていくものもあるでしょうし、そういう意味も含めて、八条機関についてその後の経過等を含めながらひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  157. 河合三良

    政府委員(河合三良君) お答えいたします。  御指摘のとおり、八条機関には非常に種々雑多なものが入っておりまして、ただいまお話しのとおりに六つないし七つの、しかも七つ目のその他となりますと、これはまたその中にいろいろなものが入っているという状況でございます。そこにいろいろな問題がありますこともお話しのとおりというふうに思っております。いろいろ現在検討をいたしておりまして、一昨日も私からも、長官からも申し上げましたように、こういう点につきまして専門に検討する部内の組織も設けまして勉強を始めておりますが、いかんせん非常に関係する分野も広く、なかなか現状把握という以上に、こういうふうにすべきだということまでまだはっきりした結論にはもちろん到達いたしておりません。それで、ただいまお話の中の、特に問題になります点の一つとして、八条機関の中で、行政行為を行なうものが出てくるんではないか、出てきているのではないかというお話でございまして、それは確かにございますし、またこれは従来からも私どもは八条機関は行政行為を行なえないということとは必ずしも考えていなかったわけでございます。行政行為が行なえますかどうか、そういう権限が行使できますかどうかは、実体法の定めるところによるというふうな考え方をいたしておりまして、ただ実体法に定めます権限を行ないます際に、その行ないます事務の内容でございますとか、規模でございますとか、そのための事務組織から考えまして、三条機関として置くべきものであるか、あるいは八条機関として置くべきものであるかという判断をいたしまして、ここにこれを八条機関、三条機関に仕分けてきております。そういう意味で、あるいは三条機関的な性格も持つではないかとお考えなら、八条機関もこれは確かにあると思います。そういう点、また全般のこれは政策論でございますが、組織の拡大を防止するという意味から申しまして、やはり三条機関となりますと、これは国の行政機関ということで、府、省委員会、庁という中に入りますし、そういう意味でできるだけ簡素能率的な組織で仕事を行なってもらうという意味から申しますと、組織の拡大を防止するという意味からも、八条機関がふえてきているということは、これは事実問題でございますが、あるいは率直に申しまして言えるかと思っております。もう一つ、これをどういうふうにいたしますかということにつきましては、実はこれは組織法の、ある意味では全般と申しますか、かなり中心の問題かと思っております。と申しますのは、国の行政機関でございます府、省、委員会、庁の中に第七条機関、第八条機関、第九条機関、三つの種類が置かれているわけでございますが、第七条機関は内部部局でございまして、この点はもちろん十分御承知と思いますが、第九条機関は地方支分部局、残りの機関がすべて八条機関ということになっておりまして、そういう結果からただいま申し上げましたようないろいろなものが入るということになっております。そういう意味で私どももいま一生懸命勉強いたしておりますが、できるだけ早い時期に、そういうものについて今後どういうふうに持っていくかということの勉強をいたしまして、結論を出していきたいというふうに思っております。
  158. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、いまは検討すると言われるわけですから、これは去年の委員会でもあなたのほうは検討中と言われた。だから、私が質問するたびに検討中でありまして全然進んでないんですね。これはまことに私は遺憾だと思うのですよ。そして私どもが各省設置法で、各省からいろいろ法案が出てまいりますから、一々聞きますと、ほんとうは三条機関でやりたいのだけれども、行政管理庁が認めぬからやむを得ず八条機関にいたしました。しかし、内容は三条機関でございますなんという答弁を各省からされますと、私どもそうですかというわけにいかなくなってくる。だから、私は行政機関をあなた方はつくりたいのだけれども、どうもうまくいかぬから八条機関ということで逃げてやっている。これを称して私ども脱法行為と言っているわけですけれども、必ずしもそれは法律違反という意味ではございません。そういう意味で私はこの八条機関の整理というものは最も急を要する問題ではないかというふうに考える。さらにお聞きをしておきたいのは、調べて見ますというと、たとえば外務、大蔵、労働、自治なんという各省には参与とかあるいは顧問とか、こういうものをまだ訓令その他で置いているのですね。これは一体それじゃ国家行政組織法上にこういうものがあるのかと言えば、何もないのですね、こういうものは。そして閣議では麗々しく何か懇談会等の行政協議会のようなものはつくっちゃいかぬとか、できるだけ整理せいとか、いろんなことの運営通達を出されているけれども現実にはこういうものが存在している。そうしてだんだん調べてみるというと、これはどうも国家行政組織法の二十条か十七条に関連をするような規則になっている、こういうものを行政管理庁は認めているのですか。こういう職については、ほんとうは官と職の問題についてはもっと詳しくやりたいのですが、とりあえず、この参与とか顧問とか、こういうものがずいぶん置かれておりますが、これは一体どういうものなのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  159. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員から答弁させていただきます。
  160. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 御指摘の参与、顧問等につきましては、そのうちのあるものにつきましては、それぞれの行政機関の設置法に規定してあるものもございます。それからそうでなしに省令あるいは訓令に定めているものもございまして、これは現在のところ行政管理庁の審査の対象にはなっておりませんもので、各省庁においての判断で置かれているものでございまして、いずれも非常勤の職員でございます。
  161. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、各省は国家行政組織法にも何にも規定がないから、こういう職は訓令その他組織規定でかってに置いてもいいということになるわけですね。そうして、たとえば労働省の顧問なんというものを見ると、それは組織規程二条の二にあるわけですが、「労働省の所掌事務のうち重要な施策に参画する。」というのですね、法的には何の地位もない人だけれども、訓令でこういうものが置かれて、労働省の施策の最高会議にこういうものがくちばしを入れることになっている、こういうもの、あなた方はそれじゃ置いてもいいということになっているのかどうか、私はいささか納得がいかない。そして同じ顧問、参与でも外務省、大蔵省の場合は設置法で置いている、こういう点はどういうふうに私ども理解したらいいのか、あまりにも私はいまの政府の、この官もそうでありますし、職もそうでありますが、適当かってに置かせる、そうして内容を見ればきわめて重要な仕事をさしている。法的根拠は全然ない、こういうことについて行政管理庁はどうされようというのか、お聞きをしたいと思います。
  162. 河合三良

    政府委員(河合三良君) 御指摘の点、私どももまことにごもっともと思う点もございますが、まあたとえば、まことに個人的な知識、経験を活用するという意味で、非常勤でそういう方の経験を生かしていくということは、いろいろとそういう場合はあり得ると思います。ただ現在の、ただいま御指摘のように法形式、任命形式、あるいはその地位につきまして、省庁によりまして非常にでこぼこがあるという点につきましては、私どもも反省いたすべきだと思います。そういう点につきましても十分検討いたしたいと思います。
  163. 山崎昇

    山崎昇君 これはまたいずれもう少し詳しくやりたいと思いますが、四時半に総理大臣が来られるそうでありますから、もう一問で私の質問はやめたいと思うのですが、そこで、最後にお聞きしたいのは、外局の問題についてお聞きをしておきたい。これは大臣がその長官になっているもの、あるいは委員長になっているものもありますが、そうでないものを洗ってみれば、法務省には公安調査庁、大蔵省には国税庁、厚生省には社会保険庁、農林省には林野庁、食糧庁、水産庁、通産には特許庁、中小企業庁、運輸には海上保安庁、気象庁、自治省には消防庁等々があるわけですね。ところが、このいずれももちろん省が違うわけでありますから性格も違いますが、この仕事を実施するにあたってみずからの出先機関を持ってやっているところと、地方公共団体を通じてやっているところと、内局があって、内局の指示に基づいてやっているところと、そうでないところと、さまざまになっている。そこで、私はこれはさっき総理にも申し上げましたけれども、地方自治体との行政事務の再配分とも関連してくるし、地方に置く支局とも関連をしてくる問題でありますが、この外局だけ調べてみてもかなり問題点を含んでいるように私は思うわけであります。そこで行政管理庁としては、この外局についてどういう検討をされているのか、あるいは今後とも委員会とか、庁とかという名称になっておりますが、一体これはどういう検討の方法をとっていくのか、この機会にひとつ聞いておきたいと思う。
  164. 河合三良

    政府委員(河合三良君) ただいま御指摘の点につきまして、現在、国家行政組織法に規定いたしております外局でございます庁と委員会、これにつきましてその名称をいま変える、あるいは別途の措置を講ずるということを直接考えているわけではございません。しかしながら、御指摘にございましたように、それぞれの外局が、ものによりましては、また相当部分のものがいろいろ歴史的な経緯、生々発展の経緯もあると思います。そういう点もございますので、実際の行政の実施に際しましてはいろいろの違いが出てくる点、あるいはあるかと思います。そういう点につきましても、私どもできるだけ統一的な指導をいたしていくように今後も検討していきたいと思います。
  165. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  166. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記を起こして。
  167. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、総定員法に触れる前に、総理の行政改革に対する基本的姿勢につきましてお伺いをしたいと思いますが、まあこの問題は午前中も質疑がありまして総理から答弁があったのですが、とにかくいま少し日をかしてくれと、こういうような答弁でありましたけれども、実際この行政改革の問題は、いま国民の側から見ますというと非常にこれは煩瑣で、早いところ解決してもらいたいと、こういう問題が非常に多いのですね。この各省にまたがっている共同管理の問題にしても、あるいは許認可制の整備の問題あるいは社会保険の手続の一元化、けさから何回かありますけれども、しかし、こういう問題がなかなか解決をしない、もう臨調の答申を得ましてから五、六年になるわけですけれども。しかし、この最大の原因は何といっても内閣の総合調整機能が弱体であると、こう思うわけですが、この総合調整機能というものがいまのこの予算編成の段階ではなかなかやりがたい。まあ御存じのとおり、予算編成は、大蔵原案、大蔵省が最初やるわけでありますが、いろんな問題がありましてなかなかできない。そういうことで、内閣の強化といいますか、内閣の補佐官と予算閣僚会議制度についてこの答申があったわけですが、これにつきまして総理はどのように考えていらっしゃるのか、はたして前向きでこれをおやりになるつもりなのか、その辺のところを、もう少しけさほどの答弁よりか前進した答弁を私はお聞きしたい。
  168. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 内閣補佐官の問題は二回ばかり御審議をいただいたわけであります。いずれも、そのときの状態では成立を見なかった。これはまあ経験済みの問題であります。これは皆さん方に責任があるというわけじゃありません。政府自身がやっぱり新しい制度について理解が十分できてない、そういうことがいい結論を出せなかったんだろうと、私はかように理解しております。また、私自身のことを言ってはたいへん私情になるようですけれども、総理大臣自身としても、何か総理大臣の補佐機関が、補佐官が要るように私は考えております。なかなかそう思ってもただいま提案できないような状態、あるいはこういう事柄は思い切って指導すればいいんだと簡単に片づけられるかもわからぬが、そうでもない、やっぱりもっと必要なものがある。新しい増員という場合には、その辺のいずれを先にするかということを考えないとものごとがおさまらない。内閣補佐官をつくる、強化する必要があるのじゃないか、もっともとがありはしないかというような議論も出てまいると思いますので、これはやっぱり慎重にならざるを得ない、かように思います。  次の予算局の問題、これはもうけさほども申し上げたのですが、これはどうも歳入歳出別々の方法にする、どうもまだ政府部内ではそれになれない、こういうものがあります。そういうような点が結局はただいま御指摘になりました総合調整機能、そういうのが不足しているのじゃないか、かような批判を受けるゆえんかと思います。しかし、予算に関する問題は、今日、経済見通し、あるいは成長見通しと申しますか、まあ経済企画庁自身の一つ働きがある。そのものを受けて予算編成にかかる。まあそこらある程度の総合調整はできるように思っております。経済見通しそのものが、各省が閣議を無視して一つだけが突っ走るわけじゃありません。その辺では各閣僚との間にもそごがないように一応はできている、かように私思っております。しかし、最も大事なことは総合調整、これに踏み出さなければならない。そして、ただいま申すように、予算や内閣補佐は別として、各省間の共管の事案、それなどが積極的に解決されなければならない。すでに御承知のように、観光行政の一元化等についてすでに踏み出しておる。ただいま行管で、ただいまのような共管事項の整理をやる、こういうような方向でございますから、全然手がついていないというわけじゃございません。しかし、御指摘になりましたように、それがいかにも手ぬるい、もっとばたばたと早くできないか、かようにお考えになるのはごもっともだと思います。総体そのものの仕上げはおそくとも、とにかく一つでも動き、毎日動いて、そうして片づく方向に進んでいくなら、おそらく国民もがまんされるだろうと思いますけれども、何にもしないようじゃちょっと困ります。まあ総定員法が一つ通る、これが一つのきっかけになる、かように私は考えますので、まずどれがいいのか、やっぱり定員からかかるのがいいのじゃないか、そういう意味で皆さまの御審議をいただいている。同時に、こういうことが済めば、今度は各局機構そのものの適正化、そういう方向に努力をしなければならない。まあいろいろ問題があるわけです。取り組み方を一体何から始めたらいいか。もう私は総定員法に取り組むことが一つの行政改革を推進するゆえんだと、かように実は考えておるのであります。ただ、総定員法にぶつかりますと、これも何べんも申すことでありますが、出血整理をやるのではないか、あるいはまた本人の意思に反して勤務場所をかってにきめるのじゃないか等々の心配があります。私のいままでの戦後の経験から申せば、出血整理ということは一番問題だと思います。ことに行政官庁はそう大した問題はまずやらぬからないだろうと思っておりますが、三公社五現業、こういうような現業部門ではたいへん実は問題になってくる。——たいへん長くお話ししてまことに恐縮ですが、以上でございます。
  169. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 時間がないから。要するに、何を先にやるかということで、今回は総定員法を出したと、こういうことでありますけれども、私はやはりこの行政改革の問題、これは各省のセクショナリズムに関連しておりまして、これは予算編成の段階において各省は各省で自分かってな——自分かってというわけじゃないけれども、責任遂行という面から言うて強硬に自分の意見をやる。そういうことで、それがなかなかまとまらない。まとまらないから、やはり依然として共同管理、競合の問題等も解決しない、こういう経過になっていると思うのですね。予算編成の段階を見ましても、八、九、十と、大体この辺のところで各省から予算の要求が出る。それを年末に大蔵省がまとめて、ごっそり主計官が大なたをふるって大蔵原案をつくる。大蔵原案をつくったら今度は折衝段階に入って、それで政府案ができる。こうなっているのです。この段階が私は問題があると思うのです。ですから、やはり頭のほうからこの予算編成の機関というものをもう少し強力にしたらどうだ。いまの国務大臣というのは、国務大臣ではありますけれども、これは行政部の各省のまあ長官です。悪く言えば、利益代表みたいなものです。そういうものがまとまって閣議をやっても、結局それは何というか、閣僚の集合体みたいなもので、ほんとうに高度の立場から国の国策を遂行するというような非常にりっぱな政策は出てこないような現状なんですね。それが結局はまあ予算のぶんとり合戦になって、そうして財政がどんどん膨張していく、それから財政硬直化が起こってくる。こういうようなことになっているのですがね。総定員法は別として、特に私はこの内閣補佐官の問題と予算閣僚会議というものについて聞いておるわけです。その辺のところを全然これはもうやる気がないのか、手をつけていないのか、やるけれどももう少し、けさみたいに時間をかしてくれとおっしゃるの万、その辺のところの答弁をお伺いしたい。
  170. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いまもたいへんよけいなことを言ったのですが、この二つは先ほど申し上げたのです。この二つについては、これはやっぱり前向きで考えたい。すでに補佐官の問題では審議を受けた。けれども、過去においては成案が国会の審議を通過しなかった、こういう苦い経験があるのであります。けれども、いま捨てたつもりはございません。またこの次の問題、予算閣議あるいは予算局、こういう問題については、私は先ほど来申しますように必ずしも賛成しない。事前の協力、これは十分できるように、そのほうに力を入れるべきだと思います。またいま予算の分取りだということを言われました。また定員の問題にしても、各省にまたがる前に自分が所管しておる一省の中で各局間の人員の融通すらできないのがいまの状態であります。これは自分のところでまずこの問題を解決して、省内で各局の間で人員の融通をする。さらに大にしては内閣、各省間にわたる、こういうふうにして適正な配備をはかる、ただいまそれと取り組んでいるわけでございます。
  171. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あまり時間がないので、次はそれじゃ総定員法の本法について聞いてみたいと思うのです。今度は五%の削減で、これは各省通じてやる、こういうふうになっておりますけれども、非常に各省におきましてアンバランスが——建設省、農林省、北海道開発庁、こういうところは非常に多い。少ないところもありますが、それがどういうわけでそういうふうになっているのか、これが第一点。  その次は、これは要するに、向こう三年間、実質的には四十二、四十四、四十五、四十六ですから四年間になるわけですけれども、おたくの趣旨を肯定して三年間としましても、この三年間の時限立法になるのか、三年間を経過したらどうなるのか。当然経済の開発に従っていろんな国民に対するサービス部門もふえてくるでしょうし、そうしますと、やはりこれは最高をきめておきましても将来はふやしていかなきゃならないような私は感じがするわけでありますが、この辺のところはどうなっておるのか、そのときはあらためてまた最高の限度数をふやす法案を出すのか、その辺のところをひとつ。
  172. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私がお答え申し上げたほうがよかろうかと思いますが、御指摘のように、いつかもお答えしたことでありますが、日本の経済が発展し、国力が増進していく、国民生活も向上していくというコースをたどる限りにおいては、行政需要というものは一般的に、通俗に考えますればふえていくのであります。それに正比例するかどうかは別問題としましても、公務員もふやさなければ少なくとも新規需要には応じ得ないということはあり得る。そこで最高限度をきめておきましても、ある時期には最高限度の定員の数をもっと上げるという案件として御審議願う機会も当然予想できるものと思います。しかしながら、できればそれを行政需要が減退したところから定員そのものを配置がえいたしまして、人間も場合によりましては配置転換に応じてもらって新しい需要に応ずる。一方においては減る、一方においてふえるというかっこうでプラス・マイナスしますれば、現状維持でどうやら新規の需要にも応じていけるということが期待されるのじゃなかろうか。その期待を念頭において運用していきたいというのが基本的な総定員法の運用の方針でございます。繰り返し申し上げますが、最高限度がさらに上回るように御決定いただかなければならぬことは絶対ないとは申し上げられません。あり得ると思います。また、最高限度の今度おきめいただいたのと実情とを比べてみれば、この幅がこんなに広がってくることもなしとしない。そういうところに最高限度そのものがおよそ必要以上に間隔があき過ぎますと、これを押し下げる、最高限度の数を減らすということもあり得ると思います。その両面が考えられますけれども、いずれにしましても出血整理をしないで、配置転換によりまして行政需要の緩急に応じていくということを的確に合理的に運用していきたい、こういう考えでございます。
  173. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは最高をふやす場合もあるが、場合によっては行政改革の段階におきましては減らす場合もある。こういうふうに理解していいんですね。  それではこの問題と若干重複になりますけれども、最も本法案で心配になっておる点でありますし、重ねて私は総理の答弁をお伺いしたいのですが、問題は何回も答弁がありましたこの法案の施行に対しましては出血整理はしない。それから本人の意に反する不当配置転換はしない、こうおっしゃったわけでありますが、この法律のたてまえからいいますと、定員は政令事項できまる。そして一方におきましては国家公務員法の第七十八条には、「職員が、左の各号の一に該当する場合においては、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。」、こうなっておるわけですね。なお、「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」が掲げられている。こういうふうに見ると、政府は出血整理をしない、こういう答弁でありましても、この政令事項によって首切りの心配がある。この辺のところは公務員諸君の最も心配の点でもあるわけでありますから、これをひとつ納得のいく答弁を総理からお願いしたいと思います。
  174. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 総理がお答え申し上げます前に前置きを言わせていただきます。これまた繰り返しのようになるかと思いますが、お許しをいただきます。  先ほど申し上げましたように、運営をいたしますゆえんのものは、いわば国家公務員法七十八条、特に第四号が、いわば制度としてはありましても、それに依存する必要がないように運営して行政改革をやり、行政サービスを低下させないように努力していこうというための総定員法でございまして、現実問題として七十八条四号が要らなくなると同時に、政治論といたしましても、総定員法そのものが考え出されました経過から御説明申し上げたわけでございますけれども、出血整理をしないために、そうして配置転換で原則として運営するために何かいい方法はないかということ、同時に、それは行政需要に応じなきゃならぬという使命も持つ制度づけ、定員に関します制度づけは何だろうと模索しながら、臨調の答申に何らかそういう制度をつくるべきであるという答申に応ずる意味において御審議を願う段階にきたわけでございますから、同時に、さらに何度も申し上げましたけれども、臨時行政調査会を設置します法律を御審議願ったときの附帯決議の趣旨は厳然としてこの総定員法にくっついて回っておる。臨調の答申そのものも尊重しなきゃならぬと設置法で国会から御要求に相なっておる。その答申にもいま申したような趣旨のことがうたわれておることを受けての法律でございますから、たまたま荒木という男が行管長官を命ぜられておるから感想として言うなんということじゃなしに、法律そのものの立法趣旨が、国家公務員法七十八条四号は事実上無用にいたしますよ、そういう運営をしなければならぬぞと御要望に相なっておるものとして運営さるべきである、これはもう当然の帰結だろうと思います。繰り返し申し上げますが、出血整理なんてあり得ない、いわんや個人の意思に反して配置転換さしてみたところで、働く気分にならないものであろうし、そういうおろかなことが運用上あってはならないもの、こういうふうに存じておる次第でございます。
  175. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま荒木君から詳しくお答えをいたしました。私もまた北村君、山崎君に午前中この委員会の最初にお答えしたわけでございますが、別な考え方を持っているわけではございません。いま申したような出血整理、さらに本人の意向に反して無理な人員配置はしないということを重ねて申し上げます。
  176. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあそういうことでありますけれども、やはり実際人事になりますと、局長あたりに呼ばれまして何時間も説得されると、こういうようなケースもあるわけでございますから、ただいまの答弁のように全面的に信頼できるかどうか、これははなはだ疑問でありますが、かつて池田総理は、私はうそは申しませんと、あの人はああおっしゃったのですが、佐藤内閣も、しかしいままでの経過からみてちょいちょいとやっぱりうそも出ているように感じます。現にこの前、運輸委員会で質疑は打ち切らないと言いながら打ち切ったのだから、だから、いまの答弁は若干の差っ引きをして私は受け取らざるを得ない。そういう意味で再度そのうそは申しませんというような意味の答弁をしていただきたい。これで私は終わりにしたいと思います。
  177. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いまのお話で問題になるのは、上長が不忠実に施策を遂行していく、こういう場合によく聞くことですが、どうも肩をたたかれたらやめろという合図だ、肩をたたかれないようにそばへ寄らないようにというような話がありました。いま局長から説得をされるというようなこともあるのではないかというようなお話もございました。しかし、これはやっぱり納得づくで話を進めていかなければならぬ場合もあるだろうと思います。ただ、やめるのは本人のほうから出てこない限りやめることはない、ここまでは申し上げられません。そうまでは公務員自身も考えていないのじゃないかと思います。やっぱり長いことお世話になった、そうして自分たちの担当している仕事が非常に楽になった、他に適当なところへ世話してくれるなら出ていってもいいんじゃないか、こういう人もあると思います。しかし、みずから進んで、私はもうそういう何か補充要員だと、もう自由にしてください、こういうことはなかなかそこまで申し出る人は少ないんじゃないかと思います。だから、まあ実際上の運用で、私は先ほど来申すようなことは、現実の問題が意に反してやられる、それがどの辺からがいわゆる意に反したことになるのか、そこらに一つの問題があるだろうと思います。けれども、私ここでお答えする以上、そういう点をも含めて、よく御本人の納得のもとにおいて人事異動は考えるべきだ、こういうことを申し上げておきます。ただいまでも整理の要員ではありませんけれども、転職あるいは勤務地をかえられるという場合には、やっぱり事前にどこそこへ行ってくれというように了承をとっております。この者がもっとはなはだしい場合、身分に関する場合ですから、もちろんその点ではよく話し合いをしなければならぬと思っております。また、ことに職員組合の諸君だって、そういうものを見過ごしにしないだろうと思う。組合の諸君は身分に関する事柄が一番の問題ですから、そういう意味では話し合いは十分つくだろう。私はそのように、どちらかというと皆さんほど心配しないで、この問題はスムーズに解決できるんじゃないか、こういうふうに思っております。
  178. 片山武夫

    ○片山武夫君 総理に質問を二つ、三つしてみたいと思います。今度の総定員法の提案理由の中に、行政の簡素化あるいは能率化、そして配置転換を容易にするために、現在の各省庁別定員を総定員法に改めたい、こういう趣旨の提案の理由、今日までいろいろ荒木長官中心に質問をかわされておりましたけれども、結局その理由としては、各省庁の設置法、この各省庁のセクト主義の悪い面、これが一つの大きな障害となって今日まで考えておった能率化、簡素化あるいは配置転換が容易に行なわれにくいのだ、こういう理由を申し述べられておるわけなんであります。しかし、この理由は私はちょっと総定員法を出す理由としては根拠が薄い、かように感じておるわけなんです。元来、政府は簡素化なり能率化、これは国民の要望にこたえて努力する、これはもう責務があるわけなんでして、当然やらなければならない事柄であったと思うのであります。また、同時にやっておられたと思うのでありますが、これがなかなか現在の設置法があるために行なえない。これは一つの大きな理由には私はなりがたいと思うのですが、そのことが一つと、いま一つこのセクショナリズムを解消する。これはいい面悪い面は確かに長官も言われておったように、私どもそういうふうに理解したいわけなんですけれども、結局そのセクショナリズムを除外するには、これは政府が各省庁間のいわゆる意思の疎通ですか、あるいは協調、こういう体制をつくり、さらにその上で総理の指導性を発揮することによって、このセクショナリズムは解消できるのだと私は理解しておる。この総定員法によってこれが解消できるのだとは思われないわけですけれども、その点についての総理のひとつ見解をぜひお伺いしたい。長官の見解はもうお聞きしましたから、総理の見解をお聞きしたい。
  179. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) これは理屈ではもうみなわかっている。しかし、理屈でわかっているものがなかなか理屈どおりにならない。こういうところに問題があるのです。先ほども中尾さんにお答えしたように、一省の中でも各局間の人間の交流、人事の交流はなかなかできない。課長、部長、局長、その辺のところは人事異動が辞令一本でできますが、なかなか係の者になりますと、どうも局をかわりたくない、こういうことも出てくる。しかしこれを、実際にそれを円滑にやるために、今度、ときに各省の間でも甲の省から乙の省へ移る、それもしかも係員でやろう、そのもとになるのが総定員法で、総定員法に各大臣が賛成したんです。でありますから、もう道は開けているんで、この法律をひとつ通していただけば、各省大臣ももうすでにこれに賛成したんですから、今度は実際の配置、行管の大臣の言うこともよく聞いてくれるだろうと、私かように考えております。この法律を出すこと自身がなかなか問題があったはずです。けれども、それはなかったんですから、その辺、各省の協調ができると、かように御了承願いたいと思います。
  180. 片山武夫

    ○片山武夫君 総理はうまいことを御答弁しておるんでありますが、結局これは行政庁長官の指導性の問題、あるいは総理の指導性の問題にひとつ大きな原因があるんだろうし、予算委員会でもちょっと触れましたように、あまり大臣がかわり過ぎるところに一つの大きな原因がありはしないか、こう思うんですが、これはまあ見解の相違だから深く追及はしません。ただ、問題として国家公務員の身分上の問題が一つあるかと思います。これは旧憲法あるいは新憲法になってからも、この国家公務員についてのいわゆる取り扱いが、法律定員として扱われたり、あるいはまた政令定員として扱われたり、たびたび変遷があったやに聞いております。で、各省設置法による法律定員として今日まできたわけなんですが、これが変遷するにはするだけのいろいろな理由があった、根拠があったと私は思います。ただ、ここで国家公務員の立場に立って考えた場合に、なぜこのようにして法律定員あるいは政令といういろいろな形で変えていかねばならないのかという一つの大きな疑問が私は残るんだけれども、今日まで国家公務員は法律定員としてその身分あるいは身分が確立、保障されていたわけなんで、今回この総定員法によって、今度は政令定員ということで今日までの法律による国家公務員としてのこれは自覚、誇り、そういうよりどころが何かちょっと変わってくるのではないか、こういう心理的に非常に悪い私は影響を与える、これを一番心配しておるわけなんでありまして、したがって、私はこういうことによってそのよりどころなり、自覚なり、誇りなりというものが失われて、職務遂行にあたっては悪い影響を及ぼすというようなことがあっては私はこれはたいへんだと思うんです。そういう意味で、その保障と対策をどのように考えておられるか、これはまあ国家公務員の立場に立って、ひとつその保障の方法、対策、これをもしお考えがあったらお聞きをしておきたい、かように考えております。
  181. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 片山君に申し上げますが、いま各省間に、あすこの役所におるのが自慢で、自分のところの役所が肩身が狭い、こういうようなことを思っておる人はいないだろうと思います。それぞれの公務員には全部誇りを持って、そして国民に奉仕している、働いているというのが実情だろうと思います。まあ昔のことですが、ある省はどうもやや肩身が狭いような思いをしている、予算をつけるところが一番偉いようだったり、やはり大蔵省は望ましい、どうもその他卑屈になる、こんなこともあったと思います。しかし、いまはそんなことはない。そうして今度は、この総定員法が通れば、甲の省から乙の省へという集団的に異動ができる、そういう道が開かれるわけであります。いま一番人がとれないで困っているところは、登記所あたりはその一つの例だと思います。あるいはまた統計調査事務所というようなもの、あるいは林野庁というようなもの、しかし、なかなかそういうところは人事異動ができない、どうしてもそこらに無理がきている。そういうことが、他へ移転すればりっぱな仕事ができて誇りが持てるというような場合もあるんですね。だから、そういうような欠員を生じたときに新規のものを採用しなきゃならないということ、過剰の役所から、あるいは過剰な局、部から人が出て欠員を埋めていく、こういうことも考えるべきじゃないか、これは総定員法のねらいなんです。それには私は根本的にそれぞれの仕事についてお互いが誇りを持ち、そしてその誇りには、どこへ行っても公務員として奉仕するのだ、その考え方でおればいまのような問題は無難に解決できるのじゃないか、かように私は思います。そうなってほしいのですね。それから、いままでたびたび申しておるところですが、機構自身が改正される、簡略になる、それには仕事の量が変わる、許認可事項、これはいまくらい多いことはない、あるいは届け出の事項、こんなものも仕事が変わればそれだけ人は持ってこれるのですから、ただ機械化したとか、新しい能率があがるよう制な度を導入したというばかりじゃなくて、基本的にもうこの仕事はなくなったのだ、こういう場合もあるわけです。その辺にむだがないように、そして国民の皆さまにも喜ばれるように、そして公務員自身が不平を持ったらそれこそ能率があがらない最もいい手本ですから、不平を持たないように、それには先ほど来言われるように、本人の意思を尊重しなければならない、これは私ども行政管理庁の長が考うべき筋じゃなかろうか、かように思っております。
  182. 片山武夫

    ○片山武夫君 最後に一つお伺いしますが、先ほどの定員職員の問題が問題になっております。総理はそれはいないはずだと、かようにまで言われている、その定員職員が相当数いる、特に私は問題にしたいのは、この定員職員の中で準公務員、いわゆる公務員と同じ仕事をしている定員外の職員、これは七千名ということをちょっと言われたようですけれども、何名になりますか、この点はまた再検討したいと思いますが、これをどうして採用できないのかという質問に対して、いろいろ理由があげられておりましたが、まず公務員としての資格がない、試験を通っていない、資格がなくても公務員と同等のこれは仕事をしているのが現在の状態だと思うのです。そこから考えるならば、これはひとつ政治的な配慮で、この総定員法が通ると同時にこの人たちの処遇を改めるべきだと思うのです。これはなぜ私はこういうことを申し上げるかというと、政府でそういうことをやっているから民間でもやはりこういうことをまねする、いわゆる労働基準法があってもその裏道を抜けていく、政府機関としてはこういうことがあるのだということで、そういう裏をくぐったやはり採用のしかたをしているというところが、いわゆる臨時の取り扱い、これは悪い。私はいまの日本のいわゆる労使の関係で非常に悪い面だと思うのですが、これはぜひとも政治的な立場で、公務員と同じ仕事をしている者はこれは定員の中に入れるべきだと、これはぜひ私は総定員法を実施するに当たって考えてもらいたいと思うのですが、私はこれは、そういうものがいいか悪いかという論議はいろいろあろうと思います。これは公務員あるいは定員というものがきまっている以上、やっぱり仕事の増減に応じた人手というものは必要なんだから、そういう意味でのいわゆる緩和剤といってはこれは非常にぐあいが悪いかもしれませんけれども、そういう意味での臨時的な人の採用ということはでき得ると思うのだけれども、しかし、恒常的にやっている人たちをそのまま五年も十年も十五年も置いておくということは、これは悪い弊害を一般社会に及ぼす、そういう意味で、ぜひともこの公務員と同じ仕事に携わっている定員外の職員の処遇については、これは総理、ひとつ責任をもってここで何とか片づけるといっていただきたいと思うのです。
  183. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 私、三十七年に一応打ち切るというか、整理できた、かように聞いております。また、そういうことで御返事をしたのであります。岩間君から、総理は何も知らない、あまり雲の上に上がり過ぎたとしかられたのでありますが、私はまあそういうことじゃございません。とにかくこの問題は、事実それが十数万あるいは三十万にもなるとたいへんな問題だと思います。実情をまず正確に把握して、その上で皆さんの御意見を拝聴したい、そうして対策を立てるということにしたいと思います。この点につきましては、重ねて申し上げます。御了承を得たいと思うのであります。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないので、二、三点当面の問題をお聞きします。くどいようですが、荒木行政管理庁長官は七十八条四号は事実上運用上無用にする、こういうようなことを言われたのですが、これはもう一度総理の口を通じて、このような分限免職条項は発動しない、こういうことを明確にしてほしいと思います。
  185. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) これは共産党にだけ別のお答えはいたしません。いままでのお答えのとおりで御了承いただきたい。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、この分限条項の問題ですが、これは第一次の、今度の五%削減にだけでやらないという意味なんですか。それともそのあとに予想される第二次削減の問題でございますね、これは当然大量の本格的な削減が始まるのじゃないかと思います。これは昭和四十三年二月二日の閣議決定、「今後における行政改革の推進について」、これによると行政改革に盛り込むべき計画として試験研究、検査検定機関の整理再編成、あるいは地方支分局の整理再編成及び簡素化等が予定されている、これは御存じだと思います。また、昭和四十三年八月三十日の閣議では、電子計算機利用の今後の方策、こういうことが決定されている。これによりますと、コンピューターを利用して一〇%程度の人員削減が可能だ、こういうふうにこれは木村前行管長宮は言明している。さらに政府の総合農政あるいは労働行政の抜本的な改悪あるいは行政の民間移譲、公社化、こういうものを考えますというと、当然これは第二次行政改革では大量の人員削減というものは避けがたいということになる。先ほど起爆剤だとか、あるいはショック療法だと言ったんだが、これは突破口をつくるということでしょう、今度の五%は。そのあとで本格的なものがくるということは、このことば自身がちゃんと語っているわけです。そうしてこういう中で、これは前長官も、将来第二次削減計画を検討する際には、人員整理についても慎重に考慮しなければならないというようなことで、人員整理のことをにおわせているわけです。こういう中で、総理はこのような事態に照らしても、分限免職条項の発動によって、今後首切りや退職勧奨は絶対に強要しないのだ、こういうことを本委員会でこれは言明してほしい。言明できるかどうか。これは先のことだが、一連の関連のある課題、これは非常に重要な課題でありますから、お答えを願いたい。
  187. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) だれが総理になりましても、これからの時代では出血整理、あるいは本人の意思に反して強行する、さようなことはまずやる人はいないと思います。特別な団体がやれば別ですが、私は保守党の立場から、だれが総理になっても同じじゃないか、かように思っています。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは自民党佐藤内閣、自民党内閣の意思としてはっきりそういうふうに確認していいですか。あなたが何年これから続かれるかわかりませんが、もうその次の第二次行政改革がこれはどうなるかわからぬ。そのときおれは言ったのだが、あれはおれのときの話であって、あとは知らぬのだ、これじゃまずいのですから、この点は内閣の意思としてはっきり確認しておいてようございますか。いいですか。
  189. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりと考えます。わが党はそんなことはいたしません。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 確認しておきたいと思います。非常に重大な問題で、佐藤総理ともあろう人が確認した。この内閣の決定された継続された意思として委員会を通じて確認されました。  次に、配転問題についてお聞きします。たとえば、建設省国土地理院では組合の青年婦人部長が突然仙台への配転を命ぜられました。本人が組合や家庭の事情をあげてこれに反対したにもかかわらず、当局は配転にあたって、一々そんなことを聞いていられない。そういう冷たい態度に終始して、この四月、一方的に配置転換を行ないました。こういう例はこれは単に国土地理院だけの問題じゃないんです。たとえば全建労、全税関、全運輸、全司法、こういうようなところで多くの事例があります。現に人事院に持ち込まれた不利益審査請求をみると、いままで相当の件数、四十数件に及んでいるんですね、これが何よりの証拠ですよ。こういうことは事実です。そこで、私は総理にお聞きしたいんですが、総定員法によって強制的な配置転換はしないということをたびたび繰り返された。しかし、このような現実にいま起きている本人の意思に反した配置転換を現状においてこれをやめさせるかどうか。これをここでやめさすことができるかどうか。それをしない限り、さきにいって強制的な配置転換はしませんというようなことでは、これはほんとうに公務員労働者は信用できないだろうと思うんです。現実そういうことが起こっておることについては、これをさせないとここで言明してほしいと思いますが、いかがですか。
  191. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 岩間さんの御心配になるようなことがないというために総定員法が意味があると存じております。御承知かもしれませんけれども、同じことを繰り返しても御迷惑でございますからやめますが、その御利益があることだけは断言できると思います。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理いかがですか。
  193. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのとおりでございます。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、そういうことはないというんですね。ないといっても、これは事実を明らかにして微に入り細をうがってやることは時間の関係上できません。したがって、これは後日、数時間をもらってそこでやることにします。予定がきめられておりますのでこれはやめたいと思います。
  195. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いま岩間君のお話が出ましたが、あと何時間もとってやるということはたいへんだろうと思います。よく私のほうも実情調べます。そうしてそれに対して善処するということを申し上げます。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、これは善処を確約してもらいたい、もう例をたくさんあげますから。そういう不当労働行為みたいなことが実際行なわれておる。それでいまの総理の言をわれわれははっきり実行してもらう。総定員法が上がらないうちにやってもらうとなおいいんですが。  その次に、政府自民党は職員の配転の必要が生じた場合は職員の意見、要望を聞くなど、あらかじめ事前協議を行なう、こういうことがこの前、民社党に自民党国会対策委員長のほうから伝えられた、こういうことを新聞ではっきり言っておるわけですね。これについてお聞きするんですが、これは本人の同意がなければ配置転換の発令はしない、こういうことなんです、一つは。第二には、事前協議で拒否することが本人にはできるのかどうか。事前協議をやるというなら、それではっきり拒否する、拒否が言える、そう解釈していいのか。第三には、配転を行なう場合には必ず職員組合、労働組合と事前協議をする、こういうことなのかどうか。この三点についてお伺いしたいと思います。これは端的にお聞かせ願いたい。
  197. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 私は権利義務のやかましい今日ですから、いま岩間君のような質問が当然かと思います。しかし、やはり公務員としての気持ちから申せば、全然意向を無視して、突然、おまえは東京から今度はいなかへいくんだ、こういうようなことが出てくるはずはないと思います。また、いままでは農林省にいたが、今度は建設省にかわれ、そういうことも私はないだろうと思います。これはやっぱりどの程度の事前の打ち合わせをするか、こういうことは組合との話し合いの約束事になっているんじゃないかと思います。私どもが運輸省にいた時分にも、組合の諸君からそういう点について申し入れがあり、ずいぶん私は皆さんの意見もよく聞いたつもりです。したがって、あまり逆行した特別なまれなケースについてのお尋ねはなさらないほうがいいのではないかと思います。私はそういうことは通常に行なわれる状態にあり、うまく運営できると思っております。労使双方が、そういま言われるような儀式ばった考え方で物事をきめると、こういうことでは非能率きわまる。そういうことはまずない、そういう世の中じゃない、かように思っております。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 ところが、総理、そういっておりますが、不利益審査請求というのはなぜやるんです、なぜ人事院にやるんですか。こういうような不当なことがあって、そうしてこれが申請されて、それについていままでこれは審査されて、しかもこれは官庁側の間違いで取り消されたということがあるんです。だから、ない、ないと言われるけれども事実あるんです。事実私はそれをあげている。具体的にたくさんあげることはできますよ。口ではそう言っているわけですが、知らぬは政府ばかりなりということがある。下のほうはどうかというと、下のほうはそうは言われながら、実際は肩をたたき、あるいは意地悪をする、そうでなければ職場で口を聞かない、何ぼでもやる手はある。私は知っている、その実態を。そういう形でやっている。これもあなた雲の上になってはまずいんですから、ほんとうにこれは下情に通じていかなければだめです。ここだけうまいこと言って、きれいごとになっても、実態はどうかというと、いまの官僚制度というものはたいへんなものを持っているんです。私はその実態を知っているから、これについて追及している。そのいまのような点で私は三点お聞きしましたが、本人の同意がなければ配置転換の発令をしない、これはようございますね。——これは確認します。その次は、事前協議で拒否することができる。本人の意思でもってこれはだめだ、ひどい、私は子供があって、そうしてずいぶん主人と遠く離れて、そういうような中で病人がいるのに配置転換を強制するということはごめんだ、人権無視だ、こういう拒否は認める、こういう点もようございますね。——これも第二点確認いたします。そうして先ほどの話では、できるだけ組合と話をするというんですから、これもようございますね。——それじゃこの三点を確認しておきます。  最後に、この政府の定員管理に関する基本姿勢について簡単にお伺いします。国家公務員定員削減の実態を見ますと、たとえば気象庁における定員削減、あるいは農林省にあっては食管制度のなしくずし改悪と結びついた食糧管理事務所の減員、また労働省にあっては労働保護政策の切り捨てと結びついた職安や労働保護官署の減員など、政府の国民生活破壊の政策と結びついて国民の生活と権利にかかわる行政部門の職員に集中して定員削減が行なわれております。国立大学の教官は若干の増員が行なわれているが、これとても教官一人当たりの学生数は昭和三十九年の六・五人から四十三年では八・三人と相対的には減員になっている。それから看護婦の問題ですが、看護婦は国立病院の看護婦がこれは幾分ふやされております。二百六十一名ふやされた。人事院の判定では一人夜勤はやめ、一カ月八日に制限する、こういうことでした。で、厚生省は二千百人を三年でやるというので七百人要求したが実際は二百六十一人。だから人事院の判定などというものは全然行なわれていない、こういう現状です。ところが、これとは全く逆に、自衛官とか警察官などの公安職員、それから裁判官、検察官などの軍事、弾圧部門、さらに徴税機構、指定職などの高級官僚などは飛躍的に拡大強化されています。現実に起きているこのような定員削減の実態は、政府の定員規制が一体だれのためか、何の目的なのか、何のための定員削減なのか、この点をほんとうに私は佐藤自民党内閣の政策と関連して明らかにしなくてはならぬ、この点について総理の見解を伺って私の質問を終わります。
  199. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) だいぶ岩間君、言いたいことをおっしゃいましたが、私は総定員法の御審議をいただいておるのは、その趣旨はすでに御説明しておることだと思いますが、その趣旨を御理解いただくといまのようなお尋ねは削えるんじゃないかと考えます。どうかひとつよろしくお願いします。
  200. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれで散会いたします。    午後五時三十四分散会