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1969-04-15 第61回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十五日(火曜日)    午前十時三十七分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         八田 一朗君     理 事                 石原幹市郎君                 柴田  栄君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委 員                 源田  実君                 佐藤  隆君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 安田 隆明君                 山本茂一郎君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 山本伊三郎君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君     衆議院議員        修正案提出者  三ツ林弥太郎君    国務大臣        建 設 大 臣  坪川 信三君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君    政府委員        内閣法制局第二        部長       田中 康民君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        管理局長     茨木  広君        人事院事務総局        任用局長     岡田 勝二君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府人事局長  栗山 廉平君        行政管理政務次        官        熊谷 義雄君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        行政管理庁行政        監察局長     岡内  豊君        建設政務次官   渡辺 栄一君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        建設省住宅局住        宅総務課長    白川 英留君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○行政機関職員定員に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  行政機関職員定員に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。荒木行政管理庁長官
  3. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ただいま議題となりました行政機関職員定員に関する法律案提案理由及び概要を御説明申し上げます。  行政簡素化能率化を推進し、必要最小限度人員行政を遂行するためには、行政需要消長に伴う定員配置転換を、各省庁内はもとより、各省庁間を通じて強力に行なう必要がありますが、このためには、各省庁別定員を法定している現行法制を改め、弾力的、合理的な定員管理制度を実現することがぜひとも必要でありますので、この法律案を提出した次第であります。  法律案概要について御説明申し上げますと、まず、公務員数の抑制をはかるため、内閣機関並びに総理府及び各省を通ずる定員総数最高限度を法定いたしますとともに、これらの機関別定員政令で定めることとし、定員配置を合理的、弾力的に行なおうとするものであります。なお、大臣政務次官等及び自衛官定員は、現行どおり別途法律で明らかにすることとし、また、五現業の定員現行どおり政令で定めることとして、いずれも定員総数最高限度対象には含めないこととしております。  以上の制度改正に伴い、各省庁設置法等につき所要の改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 八田一朗

    委員長八田一朗君) なお、本法律案衆議院において修正議決されておりますので、その修正点についての説明を聴取いたします。衆議院議員三ツ林弥太郎君。
  5. 三ツ林弥太郎

    衆議院議員三ツ林弥太郎君) ただいま議題となっております行政機関職員定員に関する法律案に対する衆議院修正部分について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正内容といたしましては、政府原案では、本法施行期日公布の日となっていたのでございますが、これを公布の日から施行し、昭和四十四年四月一日から適用することに改めたのでございます。  御承知のように、この法案同一内容のものが第五十八国会に提出され、そのときは、昭和四十三年度予算に合わせて、昭和四十三年四月一日から施行することにしていたのであります。今回は、施行日公布の日とはいたしてあるのでございますが、提出日は、今国会冒頭昭和四十三年十二月二十七日でありまして、その意とするところは、昭和四十三年度じゅうにおいてこの法律の成立を願っていたという意味での「公布の日」であると判断し、また、過去におきましても、各省設置法に基づくものではありましたが、定員改正規定については、事情によってはその施行日について幾度も遡及適用修正がなされた事実もございますので、本年度におきましても、学年進行等による国立大学教官増員等を考慮いたし、このような修正をいたした次第でございます。
  6. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 暫時休憩いたします。    午前十時四十分休憩      ―――――・―――――    午前十一時三十七分開会
  7. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  行政機関職員定員に関する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、行政機関職員定員に関する法律案、初めてこういう法律できるんですが、大臣冒頭に聞いておきたいんですが、なぜこういう法律をつくらなくちゃならぬか。何かこれによりますと、まあ弾力的運営とか、能率化を推進するというのですが、いままでの各省ごと定員をきめるということは、それほど支障があったのですかどうか、その点冒頭にひとつ聞いておきたい。
  9. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 法律制度そのものに原因を求めて支障があったということは、理論的には申し上げにくい意味があろうかと思います。現実問題について申し上げさせていただきます。世間でも、官庁機構を通じて行政サービスが、ともすれば硬直的であり、いわゆるセクショナリズムというものがあって、その現実の前に国民から見れば、税金をなるべく少なく使って、言いかえれば、少ない定員で、行政サービスを低下させないで、むしろ向上させることはできないかという率直な要望があると推察いたすのであります。しかしながら、各省ごと設置法定員を定めるというやり方そのものは、すでに数年来やってきていることでありまして、冒頭に申し上げましたように、法律制度そのものに欠陥ありというふうなことは、理論的には申し上げにくいかと思いますが、現実は、いまの申し上げるセクショナリズムと通称されるところの抵抗がある。各省庁ごと法律案を立案し、御審議を願うということを通じまして、現実に戦後あらわれました実情は、御案内のとおり、行政需要消長に応じて定員減員して、それを他の忙しいところに振り向けるという必要があるといたしましても、減員ということは現実に不可能に近かったのであります。したがいまして、それを政令によって各省庁ごと定員を定めるということに制度改正することをお認め願うことによって、すなわち本法を御決定いただくことによって、セクショナリズムといわれるところの悪い面と申しますか、セクショナリズムも、見方によれば仕事熱心だという面もあるわけですから、そのこと自体を全面的に非難するわけにはまいらぬと思いますけれども、仕事熱心のあまりとでも申すべき、減員は絶対反対増員だけが各省設置法で御審議願う形で出てまいっておると思うのでございます。したがって、国民本位の立場に立ちまして、内外の諸条件が変動する中にあって、行政サービス国民のために有効適切に運営していくという意味合いに重点を置きまして、これを政令によって定めることにお許しをいただき、政府責任において、年度内においても必要とあらば、予算範囲内においてプラス・マイナスを有効に活用しながら行政需要に応じる、そういうことにいたしたいということがいわば実質的な、法律形式論と申しますか、制度論と少し逸脱するようなことですけれども、事実問題として、そうしていただくことがベターであろう、こういう考えに発するわけでございます。  なお、ついでながら、長くなっておそれ入りますが、お許しいただきますけれども、この法案が考えられましたのは、ずっと以前の行管長官の当時に考えられまして、今日に至っておるわけでございますけれども、その発想の根底は、御案内のごとく、臨時行政調査会設置法を御審議願いましたときに、行政改革はむろん必要であるけれども、配置転換定員関係は処理すべし、出血整理は相ならぬという趣旨衆参両院における超党派の附帯決議を御決定いただいておることに発します。そして臨時行政調査会は、二年間の慎重審議調査を経まして、内閣総理大臣答申を出していただきまして、法律趣旨に従い、これを尊重するという政治的な責任のもとに、数年がかりで検討しまして、御審議願う段階にきたわけですが、臨調答申そのものも、国会附帯決議の御趣旨を体しまして、ことごとく行政改革の諸問題を実施するにあたっては、定員に関する限りは配置転換でやれという趣旨で一貫いたしておることは、山本さんが万々御承知のことでございます。そうして同時に、配置転換行政改革がやりやすくなるような意味合い制度をつくるべきであるという一項目も、答申の中に指摘されているところでもございます。そういう経過を経まして、冒頭に申し上げました、法理論としては当然には申し上げかねることではありますけれども、現実対応考え方及び国会の御意思並びに臨調答申趣旨に立ちまして、本法案を提出し、御審議を願っておる、こういうことでお答えにかえさせていただきます。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま行政管理庁長官からるる質問をしないことまでお答えがありました。まあそれはけっこうでございます。セクショナリズム云云と言われましたが、私はそこまで言っていないんですがね。一体セクショナリズムをつくったのはだれなんですか。国民はそんなことを期待して定員をきめておるわけじゃないと思うんですね。私も経験ありますが、特に官庁セクショナリズムが相当強いことは事実であります。それは、定数とか定員、総定員をきめたからどうの、あるいはまた各省ごと定員をきめたからどうのという問題でないと思うんですね、セクショナリズムについては。これは私、いまの日本の官庁の一つの大きい欠陥だと思っております。したがって、セクショナリズムをこれによって、もし大臣がなくなるんだと言われるなら、この法律はやがで、どういう経過をたどるか知りませんが、通った後に大臣責任を持ってセクショナリズムはなくなるという自信を持って言われたかどうか。まあことばじりに食い下がるのは私いやでございますけれども、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  11. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 御指摘のとおり、この法律が通ればセクショナリズムというものがなくなるということを断言するほどの勇気はむろんございません。セクショナリズムの悪い面というのは、公務員の一人一人の心がまえが本来であろうともちろん思います。ですけれども、これまた少し脱線することをお許しいただきますならば、さっき、仕事熱心さという意味におけるセクショナリズムは必ずしも悪いと言えないという、そういう面も申し上げましたが、まあ権限争い的な形を官庁同士ではとることも万事御承知でございますが、これは、積極的には、その仕事はおれのほうの仕事であるべきだ、消極的には、そんな仕事はおれのところじゃやりたくないという二つの形をとって、仕事熱心のゆえに権限争議というものは戦前も戦後もずっと底流があると私は理解いたしますし、具体的問題もあり得ると思いますが、そういうことからいたしまして、大臣でも事務次官でも、あるいは政務次官でも、局長課長に至りまするまで、自分のところに配置された定員は一人も減らしたくない、予算の折衝を通じて一人でも増員予算を獲得できれば、それは有能であり、課長ならば課員からほめられる、局長課長課員からほめられる、事務次官も、今度の事務次官はさすがだと言われる。大臣もまた予算獲得率――予算が済みますと、各省庁とも事務当局はそろばんをはじきまして、この前の大臣は十何%であったが、今度の大臣はさらに二%上回った、今度の大臣はいいぞと評価するというくせがございます。それはいい意味でいけば、それだけ国民に対して有能な定員をふやしてもらって、行政サービスを向上することによって、主権者たる国民の御期待にこたえるということをむろん一面は意味しますけれども、しかし、いささかでも、一人でも減員するということに閣議で賛成をするならば、軟弱外交を責めたてられる、予算獲得率が少なければ責めたてられるということのために、大臣から各課員に至りまするまで、増員増員へと一路邁進する。過去の定員は、それに応ずる政策上の、行政上の必要性というものは国民的にはいろんな条件の変化に応じましてなくなっておる、もしくは非常に少ない人数でもやれるということがかりにありましても、減員というものは行なわれない傾向が強い。過去に獲得した定員はそのまま温存して、その上へその上へと積み重ねるということが、理屈を離れました現実の姿であると思います。  それを一般的に考えまして、はたして国民側から見て適当であるかどうか。不適当であるということは明らかな課題が、幾多いままでにもあったろうかと思います。それでもどうにもならないという現実に直面して、そうして行政改革が高く叫ばれ、先刻要らぬことまで申し上げましたが、そういう経過を経まして、臨調答申の線に沿って、国会意思を体しながら、こういうやり方こそが、いま申し上げたようなもろもろの理由もあわせお考えいただいて御理解願えるんじゃないだろうか、国民もそのことを期待されていることに近づくことになりはしないかと、かように思っておるわけであります。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 行政簡素化能率化を推進するということは私は賛成です。これはもう国民は期待しておりますが、しかし、総定員法をきめなければそれができないという問題では私はないという基本的な考え方を持っておるんですね。で私は、ちょっとそれるかもわかりませんが、これは根本的な問題から入らぬといけませんので聞いておきますが、政治行政ということをよく言いますが、国家行政組織法において定員法定主義、これは各省設置と同時に定員各省ごとにきめよという趣旨国家行政組織法に盛られておるんですね、最初は。それを変えようとしておるんですが、その場合、政治行政というのはどう違うか。これは法制局が来ておられますから――荒木さんは非常に多才博学の人ですから、あなたに答えてもらってもいいのでありますが、政治行政、どう違うのか、それをちょっと。
  13. 田中康民

    政府委員田中康民君) これは行政学の分野に属しますが、行政というのは全くの通常からいえば技術でございます。政治がその技術一体となっていろいろ目的を与え、行動させるというようなこと、それが政治行政関係であるというふうに私たちは理解いたしておるわけでございます。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう抽象的なやつじゃなくて、具体的に憲法に従ってそれをひとつ御説明願いたいんですがね。
  15. 田中康民

    政府委員田中康民君) 国家行政組織について申し上げますならば、すべて行政基本である事項につきましては現在法律がございまして、その中に定員一緒に書いてございます。そこで機構定員一緒にしたようなものがございますけれども、それは法律の問題でございまして、別に機構定員と同時にきめなければいけない、法律でもってきめなければいけないというようなふうには私たちは実は考えておらないのでございまして、行政運用、いわゆる私が先ほど申しました技術としての行政がうまくいくためにはいかにしたらいいかという、そちらのほうから申しまして、定員というものの配置を円滑に合理的に行なう方途を講ずるということが一番いいんではないか。その場合にも、しかし行政組織につきましてわ、これはやはり基本的な権限分配所掌事務分配でございますので、そういうものは法律で定める。しかしその中にあります定員につきましては、運用よろしきを得させるために、円滑に運用をさせるために政令等に委任したと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、ぼくはそれで納得しないんですがね。あなた、定員についてのみ政治行政はそうだというきめつけをされております。もう一ぺんそこで聞きますがね、封建主義政治形態であったときと、民主主義形態になったときにおける政治行政の観念は相当変わっているかどうか。もっと具体的には、旧憲法下における行政と、新憲法下における行政と、どういう区別を考えておられるかですね。
  17. 田中康民

    政府委員田中康民君) 当然新憲法民主主義原則といたしておりますので、その政治機構につきましても、民主的な方途によって組織決定をするということになっております。封建制と申しますか、その前のたとえば旧憲法におきましては、すべて天皇の大権というようなものによってきまっておりましたが、そういうことをやめまして、国会がおきめになります法律によって行政を行なうというのが原則だというふうに考えております。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 根本的なことを聞いておるので、本法案関係ないようですが、大いに関係あると思ってやっておりますが、そこで聞きますが、旧憲法では十条で、天皇が各官制をきめ、そうして俸給もきめ、そうして任免権も持っておったことは事実ですね。それがいまのあなたの話では、天皇権限から国民に移されましたわけですね。そうすれば、国民が要するに主権者であるから、国家行政組織法第十九条は、定員というものは政治に大きい関連があるということで実はきめられたと思っておるのです。したがって国民の代表が国会であることは、これはもう言うまでもない。その国会で総定員だけきめて、各省官制という――昔しは官制、いまは国家行政組織となっておりますが、その組織国会できめよう、ちょっとこの点は私には納得できない。先ほども言われた技術上の問題だからこれは行政権に委任したのだ、こういう説明でありますけれども、これはそれだけでは私納得できないんですね。定員というものは非常にいわゆる行政上の基本的な問題である、国家行政組織と同様に重要な問題であるということ、幾ら行政組織が完備しても、それを運用する人というものを度外視しては私はできないということが、国家行政組織法の当時の認識であった。それを今度変えられるということは、いま先ほど行政管理庁長官説明されたが、あなたも先ほどちょっと説明されましたが、それだけでは将来大きな問題を包蔵している。したがって、私は基本的に行政簡素化とか能率を推進するというそういう考え方については私は反対はしませんけれども、政治上、行政上、基本的な問題に私は触れているからだめだ。こういう点について大臣はどう感じられますか、ひとつ、どなたからでもいいですよ。
  19. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先ほどの法制局からの御答弁で、基本的な法理論的なことは一応お答え申したと思いますが、この法案に具体的に関連をして、私どもの理解を少し申し上げさせていただきます。  戦前帝国憲法との相違点に触れてもお話がございましたわけですが、むろん国権の最高機関として、国民にかわって国会行政組織基本をおきめいただく、当然のことだと思います。それが現行法では、各省庁ごと法律定員を定めるとなっておるものを、特別のものは除いておりますけれども、五十万何がしの人員対象とする限りにおいて、本法案守備範囲で申し上げるわけでありますけれども、それを政令に譲らしていただく。そうすれば、いままで、行政組織法上各省庁定員はそれぞれ法律で、設置法定員を定めるたてまえになっておるのが、国会という国民にかわって最高国家意思決定していただく線に触れる意味においては、法律という形での御審議機会が少なくなる、感じとしてはそういうことだと思います。それはまさにそうだとは存じますけれども、しかし、実質的な国会の最終的な国家意思決定機能は、総定員最高限度というものを法定していただく段階において、最終的な意思決定最高限度という意味においての御決定をいただく機会がある。さらに各省庁ごと定員、いままでそれぞれの設置法での御審議の形を政令に譲ることをお許しいただきますけれども、毎年各年度予算の御審議を願う、予算に各省庁別予算定員が盛り込まれたもので国会意思決定の総括的な機会はそこにある。で、この総定員法を御決定いただきました後も、その予算との関係におきましてはいささかも変わりがございません。  さらに具体的に申し上げれば、それぞれの年度予算審議のときの、予算定員として各省庁ごとに配分された内容は、総定員法政令によって年度内に取捨いたします、プラス、マイナスいたしましても、それはあくまでも予算範囲内のことであり、もしくは、御決定いただいた予算で可能な範囲内を逸脱することは許されないという関係にございますので、予算を通じて、各省庁ごと定員配置状況は、その予算の執行される年度を通じて、国会国民にかわって監督していただく。また年度途中におきましても、言うまでもないことでございますが、年度途中、政令によって各省庁ごと定員配置が変動があったと仮定しました場合、そのことの適否についても、法律という形じゃございませんけれども、国会行政調査機能等を通じまして、常に現状把握をしながら、もしそこに誤りがあるとするならば、国会権威に立っての御忠言なり御指導なりということが行なわれる。これは法律論そのものじゃございませんかもしれませんけれども、そういうことで、国会国民に対して持っておられる機能行政監督指導ということについては、実質的にはそう増減はないであろう。また、そういうふうにしていただくことが、冒頭の御質問お答え申し上げました、まあセクショナリズムなんか変なことを申し上げましたけれども、それらのことを念頭に置きつつ、国民に対する行政能率的なサービス向上の線につながる行政機構及び定員運用ということが期待できるであろう。そのことを、国会を通じて総合的に最高機関としての権威に立っての御判断を願う、そのことを頭に置きながら政令に譲らしていただく、そのことがベターである。かような考え、構想に立っておるわけでございます。
  20. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま大臣からるる説明されたのですがね、どうも納得するような答弁でないですね。予算定員について言われましたが、予算定員ついては逆の考えされておると思うのですよ。もちろん予算のあれは、これはもう国会で議決することは当然ですけれどもね。予算は、定員があって予算というものは出てくるのですね。予算によって定員を云為することは、これは実はやっておる省庁があるやに聞くけれども、それは間違いだ。したがってこれは私は反駁いたしません。  もう一つ基本的に聞いておきたいのですがね、憲法六十六条の「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」、内閣の連帯性、各大臣が連帯して責任国会に負う、この連帯の意義について、旧憲法と新憲法とは若干行政法上、政治学においても変わってきているやに聞くが、この点について法制局からひとつこの連帯責任についての考え方をまず聞いておきたい。
  21. 田中康民

    政府委員田中康民君) この現行憲法におきまして「連帯して」と申しますのは、いわゆる共同してそこに国会に対する連帯責任があるという意味で使っておるのでございますが、いまおっしゃいました旧憲法におきましては、連帯してという部分は実際は強くなくて、どちらかと言えば、各省大臣がそれぞれ責任を負っておるという形でございましたが、ただ内閣という行政機構をやはり旧憲法下でもつくっておりましたので、その範囲内において、一種の連帯関係が成り立っておったというふうに私は解しておるのでございます。
  22. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ法制局が言うのだから有権解釈だとは聞きますけれどもね。なるほど旧憲法と新憲法においては、内閣組織も変わっております、内閣法によって変わっておりますね。総理大臣は各大臣を任命しあるいは罷免することができるとなっておりますがね。しかし政治学的に見ると、各大臣がやはり、所管庁を持つ大臣であろうと何であろうと、やはり連帯して、大臣事項、個人、何々大臣というもの、そのものがやはり国会に対する責任があると私は見るのですね。そういうことにならぬですか。
  23. 田中康民

    政府委員田中康民君) この「連帯して」と申しますのは、およそ内閣行政権を行使する場合にすべての事項について連帯してという、全部についてまでというふうに解す必要はないのではないかというのが通説となっておりますので、その関係におきまして、基本的事項につきましては当然連帯をいたしますが、このそれぞれ主任の大臣にまかされた事項につきましては、その関係が主任大臣責任がいくということも当然考えられていると思います。
  24. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはあなた、どういう人柄か知りませんがね、国務大臣という職責というものは、自分の所管する事務だけに責任を持つということではない。もちろんそれは、自分に与えられた、厚生省なら厚生省、法務省なら法務省の所管の長官として事務を統括管理する責任はありますけれども、国務大臣としては、国政全般についてやっぱり責任を持つべきが当然でしょう。
  25. 田中康民

    政府委員田中康民君) 御説のとおりでございます。
  26. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、先ほどの答弁はどうなるんですか。
  27. 田中康民

    政府委員田中康民君) 基本的にと申しますか、原則として、そういうお説のとおりになると思いますが、ただ、ここに主任の大臣ということをいっております以上は、そういうまかされた事項についてその大臣がみずから決定権を持たないというふうには考えられないというふうに申したわけでございます。
  28. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと、いまのあとのほう、どういうことなんです。
  29. 田中康民

    政府委員田中康民君) 原則として、内閣は合議体の、国務大臣をもって構成するわけでございますので、当然連帯をして職権を行使いたします。しかし、それはあらゆる事項についての――たとえば、農林大臣が行なう場合にその責任内閣にございますけれども、そのいろいろ権限を行使する場合の農林大臣は、その自己の責任において権限を行使することができるというふうに申したわけでございます。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはあなた、どういう解釈をしているか知りませんが、各省の長官としての事務管理はそういうことになりますがね、大臣としては、各省どの省の問題であっても、やはり責任がある、こうなければ、内閣法自体から見ましても私は納得できないんですね。それじゃ結局、今度は、内閣総理大臣一人だけおったらいいんじゃないか、あとはもう各省の長官だけ――まあ次官のほうが大臣よりも有能だと言われておりますよ、こう言っちゃ失礼ですがね。それならもう大臣要らぬから、総理大臣だけしか要らぬからと言って、各省に長官を置いてやっていったらいいと思うんですね。あなたのことばをもっと率直に言えばそうなるですね。私、そうでないと思う。やっぱり政治――いわゆる大臣が扱っておるのは、国会から責任を負うてやっておる責任ある政治家としてその事務を管理しておるですね。それがいわゆるいまの、何といいますか、内閣制度だと私見ているのですね。したがって、やはり国務大臣という性格というものは、これは明らかになっておると思うのですね。たまたまそれが厚生省なり、あるいはまた行政管理庁なり、あるいはその他そういうところに配属されて、おまえはこの事務を責任を持って管理しなさい、そういうことだけでしょう。だから私はそういう意味からいったら、共同して責任を持つ。それと同時に、あなたがいま言われましたように、与えられたその所管の事務については当面この行政管理の責任がある。私は政治的な責任大臣が持つけれども、行政上の責任は所管の大臣が持つと、こう言われたのじゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。
  31. 田中康民

    政府委員田中康民君) 基本的にはいま先生のおっしゃったようなことでございますが、行政事務というものはそういうように分離しておりませんので、実際問題としての取り扱い上は私の申し上げたようなことになりますが、理論的に分析して申すならば、いま先生おっしゃったようなところと私は同一だと思います。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは冒頭に言いましたように、内閣行政権行使を国会に対して連帯して責任を負うということは、これは内閣という表現は、まあ憲法は別としまして、いわゆるおのおの独立した国務大臣をさしておるということに私は間違いないと思うのですね。したがってその新憲法内閣制度における国務大臣というのは、おのおのやはり国会に対して責任を持っておる。しかもそれが各省に配属というと、ことばが悪うございますけれども、総理大臣から厚生大臣なら厚生大臣、そのときの大臣というのは厚生省長官という意味だと私解釈しているのですが、おのおの責任を持っておやりなさい、こういうことになっていると思うのですがね。その解釈を統一していかぬと、これから私の質問がすれ違いになるので、私はしつつこくこれを言っているのですがね。その点どうなんでしょう。法制局としての権威ある有権解釈はどうなんですか。
  33. 田中康民

    政府委員田中康民君) 国務大臣として、内閣の一員として行政権を行使する場合、その場合におきましては、まさにおっしゃるような連帯責任を持ってそういう権限を行使する。そういうことは当然だと思います。ただ各国務大臣はまた行政大臣としてそれぞれ所掌事務を持っておりますので、そういう所掌事務範囲内においてはその権限を独自に行使している。しかしその責任内閣の一員としてでございますので、内閣が最終責任を持つというふうに考えております。
  34. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記始めて。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十二分開会
  36. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 建設省設置法改正で企画室を企画部に変えるという趣旨ですね。その趣旨としては、国土全体の有効利用をはかるためと、きわめて抽象的にいわれているんですが、一体国土全体の有効利用という考え方の具体的なのは、どういうことなんですか。
  38. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 今回改正をお願いしております、企画室をば企画部に昇格をお願いをいたしまして、そしてそれぞれの四つの地建の事業量その他を勘案いたしまして、これを昇格をお願いいたしまして、そして機能の円滑なる事業遂行を促進する意味において昇格をお願いいたしたような次第でございます。また詳しいことにつきましては官房長より答弁させます。
  39. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 私どもといたしましては、社会経済の非常に目ざましい発展に比べまして、社会資本の立ちおくれがたいへん目立っておると存じております。そういうような状態に対応いたしまして、わが国国土は全般的に狭いわけでございますから、こういった国土全体をできるだけ有機的に一体的に結ぶようにして、その均衡ある発展を遂げさせたいと、かように考えているわけでございます。このためには、道路網の整備とか、あるいは水の利用の広域化とか、そういった計画的な公共施設の整備を長期にわたって考える必要があろう。企画室あるいは企画部におきましては、そういった問題につきましての基礎的ないろいろな調査を進めてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 抽象的にはそういうことですが、実際、国土を有効的に利用するといいましても、いままで建設省からいろいろ法律案がたくさん出ておるんですが、現実にはいまの日本の土地制度では、なかなかそうはいかない状態にあると思うんですね。これは建設省も悩んでおると思うんですが、一体この土地というものに対する国の支配権というものは、きわめて抽象的な、また基本的な問題だが、どう考えておられるか。いまの土地政策については、学者にはいろいろの説もありますが、土地というものは国の形成というものの一つの大きな要素ですね、領土というのは。それだのに現状では、幾らあなたのほうで計画しても、実際、計画どおりにはいかない。そういう意味において建設大臣は、この土地についてどう考えられるか。
  41. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 山本委員御指摘になりました国土の均衡のある開発をいたす意味において、土地対策というものがいかに重要なものであるかということは、私も大臣に就任いたして以来、強く感じておるような次第でございます。いかに国土を有効に活用いたすかということによって、均衡ある国土の建設と開発がいたされるものであるということに相なっておることを考えますときに、ことに都市計画の推進あるいは住宅計画の推進等をはかり、あるいは土地利用によって道路建設等を行なう場合においての土地の重要性というものを考えましたときに、われわれといたしましては、土地問題こそ社会公共事業の推進の最も優先する重要な課題であろうと、こう考えておる次第であります。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはそういう答弁でいいんですがね。それはだれでもそう言うんですがね、大臣現実の問題として、いまの土地収用法その他を見ましても、なかなかそうはいかぬでしょう、現実の問題で。したがってどれほど国土開発に関する法律ができても、実際はそれは法律があるというだけで、現実に何も動いていない。これは地方行政のほうでも相当問題になったように聞いておりますがね。首都圏整備法にしても、あるいは近畿圏にしても、今度は中部圏をつくるようでありますけれども、法律はあるけれども、実際それは一つも事業計画がない、こういうことでは、ここで企画室を部に上げられても、結果は私はデスク・プランに終わっちまう。何にもできないような状態じゃないかと思うんですね。したがって、基本的な佐藤内閣として土地に対する政策というものを根本的に考えなくちゃならぬ段階にきておるんじゃないかと思うんですね。これはまあひとり建設大臣の所管ではないと思いますがね。したがって私は建設省設置法をどういらおうとも、ただ、こう言っちゃなんだけれども、若干人数をふやしてやるという程度で、現実には進捗しないという考え方で、室を部にしても、これはほんの国家行政組織を若干いらうというだけで、何も私は進捗しないという見方で、あまりこんな必要はないんじゃないかと思うんですがね。現実に室を部に変えることについては具体的にどういうふうになるんですか。何人ふえるんですか。
  43. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 企画室を企画部に名称を変更いたしますにつきましては、定員の増は見込んでおりません。ただ当委員会におきましても累次御答弁申し上げましたように、企画室と申しますと室形態でございますので、いわばスタッフ的機能でございます。課など設置いたしまして、おのおのの職務の分担をしていくという形にいたしますためには、覆り部という名称を付与したほうがより適当であり、それによって非常に広範複雑になった業務の処理が比較的スムーズにいくのではないか、かように考えている次第でございます。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 根本的な問題になりますが、いま過密過疎の問題もありますね。で、過疎地帯では実は土地も十分利用されてない、利用したい人は離村しちゃって荒廃しちゃっている、こういう現状ですね。私も見にいきましたが、一方都会周辺は全く何といいますか、ハチの巣のようなところに人が住んで、人間らしい住宅でない、この状態ですね。いま大臣が狭い国土でどうこうと言われますが、私は狭いということよりも、その利用について、これは政府責任であるかどうか知りませんが、ほんとうに認識しているかどうか、私は疑わしいと思うんですね。これについて、土地政策について、私は先ほどから何べんも聞いておりますが、根本的にいまの土地の私有制度が正しいかどうか。私の意見はあとで申し上げますが、一体いまのような状態でいけるのかどうか、自信があるかどうか、この点を私は大臣に聞いてみたいと思うんです。
  45. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 狭きこの国土に対するところの有効的な活用、利用という問題は、非常に重要な国土開発の基本をなす問題である点については、山本委員と私は同じ感を持つものでございます。したがいまして、これが単なる法律制度あるいは制定によって、直ちにそれが万能薬として効力を発生するものではなくして、やはり総合的なところの施策と総合的なる計画のもとにおいてこれを推進いたさなければならぬということも、御了承いただけるのではないか。たとえばこのたび御審議をわずらわすことに相なっておりますところのいわゆる地価の公示制度の問題にいたしましても、あるいは目下審議をお願いいたしております都市再開発法の制定につきましても、あるいは昨年制定をいただきまして、本年の五月より実施いたしますところの都市計画法の推進等にいたしましても、これらのものをやはり総合的に活用いたさなければ、もちろんその目的は達し得るものでもないと考えておりますととも、やはりいまの時点におきまして、政府といたしましては十分な配慮と、その実現に努力しなければならぬ問題は、やはり国、公有地の活用というこの問題が、私は大きな問題として、われわれはこれの具体的な活用の推進をはかってまいりたい、こういうような気持ちで、国、公有地の活用に対しましても、漸進的にひとつ鋭意その活用に努力をいたしてまいりたい、こう考えておる所存でございます。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国有地、あるいはその他の公有地についても問題は相当ありますが、私有地、これは現実に私の住みかを中心に話したほうが具体性があると思いますが、これほど土地重点――私は世田谷ですよ、土地が非常に重要な段階にきているのに、私の前には雑草がはえたままで実は残されている。ものもつくっておらない。鉄条網で囲んでおるということなんですよ。子供の遊び場に転換したらどうかと言って、所有者に言ったんですが、これはやがて買い手があるんだから、鉄条網を引いて子供も入れない。ネコや犬だけは入りますよ。これは鉄があったってかってに入るんですからね。こういう状態は大臣、都会の二十三区の中にたくさんあるんですね。そうして一方では土地がないといって、狭いところにアパートを建てて、環境の悪いところで生活をしておる。これがいまの実情ですよ。  大臣、二時から行かれますから、また帰られてから、続いていると思いますから、そのとき話しますが、ずっと日本の歴史だけ見ても、革命というのが起こったのは土地からですよ。土地の利用ですよ。六百六十何年ですか、大化の改新でも土地によって――それは革命というか改革というか別として、明治維新もそうでしょう。あの封建制、いわゆる膨大な殿様の持っておるあの封建制度における支配権を国民に移すということですよ。あの革命というものが起こった。いま気づかないけれども、土地がこのままであれば一つの騒動が起こらざるを得ないですよ。イデオロギーとか思想というものは腹減らない。現実に食物なり、住む住みかの土地というものが行き詰まってしまうと、政治的に行き詰まったときに、そこに一つの問題が起こってくるんですよ。こういうところに着想されているかどうかという、佐藤内閣の姿勢について私聞きたいですね。
  47. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) いま御指摘になりましたごとく、その国の歴史の変遷を見るときにおけるその土地との関連性、あるいは世界歴史のその興隆等の歴史をひもときます場合に、土地がいかにそうした面においての歴史に大きなものを持っておるかということは、もう御指摘のとおりだと思います。現在におけるところの日本の政治の面においても、土地対策ということが非常に重要であるということは、先ほど申し上げましたとおりでございます。外国などの例を調べてみましたり、いささか勉強などをいたしてみますと、フランスなど、大蔵当局に土地局というようなものを持って、土地対策に専念いたしておる。イギリスの政治機構を考えてみましても、そうした問題に真摯に対処しておるということなどを見ますと、私はほんとうにこの問題に対しては真剣に取り組まなければならぬと、こう考えておるような次第であります。  いつも、この間の予算委員会でも申し上げましたように、ロンドン大学の都市対策に対する権威者であるロブソン氏が二年前にやってきて、また、この間もこられましての印象等を聞き、あるいは読んだりいたしておりますと、やはり土地対策に強い関心と施策をしておられることを非常に共感を持って読み、あるいは聞いたりしておるのでございます。そうした立場に立っての現在の国内の大きな土地問題に対しましては、佐藤内閣におきましても、御承知のとおりに、昨年土地対策閣僚協議会を設定いたしまして、そして十一月にはそれぞれの結論を出しており、その結論の中において、各党が三十九年に御要望になり、決議されました地価安定の意味からのいわゆる地価公示制度というものに対して、法的措置を建設省が、政府がとりましたゆえんも御理解いただけるのではないかと。また、政府といたしましては、宅地並びに住宅審議会なるものを設けまして、土地対策、土地の高度利用というような問題点について、鋭意御審議、またその答申等を踏まえまして、それぞれ施策の万般な準備をいたして、また具現化もいたしておるような次第でございますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、土地問題を真剣に取り上げて、今後かかる不幸のないよう、二十一世紀に残す国土開発の準備、対策をいたしたいと、こう私は決意をいたしておる次第であります。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 坪川大臣の決意は非常に私も多とするところですが、実際問題としてできますか、どんな法律をつくっても……。
  49. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) まあそこに至難中の困難性の手伝うことは、御指摘の憂慮されるとおりだと思います。しかし、政府といたしましては、一瞬たりとも放置すべき問題ではございませんので、鋭意その解決に努力をいたしてまいりたい、こう考えております。  それから大変恐縮ですが、二時がまいりましたので、ちょっと衆議院の本会議に参りたいと思いますので……。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政務次官おられますか。それでは政務次官といえどもこれは大臣と同じ責任があると思いますから、真剣にひとつ頼みます。大臣政務次官は差別いたしませんから。そこで、大臣答弁しておったと思いますが、私も国会でそう古くございませんが、土地の問題では相当経験もし、いろいろ問題も提起してきたのですが、政府もそうですが、日本国民全体が土地の本質論といいますか、公共性というものに対する認識が私は少ないと見ておる。したがって、ひとつ家を見ましても、自分の家をつくると囲いをしちゃっている。外国に行かれても、おそらく囲いはしないで、芝を植えておりますけれども、外から若干見られるようになっている。ところが日本の場合は、自分の土地であれば、どんなにどう使っても、これは自分のかってである、他人の迷惑はどうでもいいんだ、こういう思想がありますね。したがって、これは住宅地だからきれいにしなければいけないとか何とかいうことなしに、ただ自分の生活のため、自分のためだけに利用でき得るのだという思想があるのですね。これは私は国民だけの責任じゃない。政府がそういう考え方指導されてない。この点についてひとつ政府としてはどう考えておるか。
  51. 渡辺栄一

    政府委員(渡辺栄一君) ただいま山本先生の御意見でありますが、建設省といたしましても、全く同じような考え方を持って進みたいと思っております。したがいまして、土地の問題につきましては、瀬戸山大臣のときにも、土地は商品といいましても特殊な性格を持っておるのだということで、土地の公共性ということにつきましては、特にわれわれも関心を持って進めておりますが、すでにお願いをいたしましたあるいは土地収用法、都市計画法、現在またお願いをしております都市再開発法案あるいは現在準備しております建築基準法等々におきましても、そういう問題につきまして、十分われわれといたしましては考慮してまいりたい。特に地価公示法案等も現在お願いしておりまするが、そういう意味におきましては、公共性というものに十分われわれの考え方を持ちまして、土地問題には取り組んでまいりたい、こういう姿勢でおります。御了承を願いたいと思います。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それ以上はいまの政府に期待することは、これは無理だと思うのですが、大体私は土地の私有制度について、これは抜本的な問題に触れますから、イデオロギーからくる問題でない、それは前提にしておきます。社会主義だからどう、資本主義だからどうということではない、土地というのは限界があるのですね。いま政務次官、商品でないと言われた、そのとおりだと思います。現在土地は商品化しているでしょう。土地の売買でも生活しているし、売買を目的としない土地の所有者も、いわゆる商品的な考え方でそれを運用している実態ですね。これは私はやがては行き詰まりくると思うのです。したがって、いろいろ法律を出されると弁明されても、それは根本的な解決にならない。したがって、土地に対する政府考え方を聞きますが、土地を使用する権利はあるけれども、所有する権利はない、これは私の考えもそうです、社会主義かどうかは別として。そういう考え方でどうですか。この答弁むずかしいのですが、できるだけの答弁でけっこうです。
  53. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先生御指摘のありましたように、また政務次官から御答弁申し上げましたように、土地は一般の商品と違いまして、増産することもできませんし、不足だからといって外国から輸入をするというわけにもまいらぬわけでございまして、しかもわれわれの生活がその上で築かれるわけでございますので、われわれの生存と、何と申しますか、密接不可離の、引き離すことのできないものでございます。そういった意味で特別な財であるというふうに考えるのが至当かと存じます。場合によりましては、これは商品ではないのだ、あるいは特殊な商品であるという考え方がおのずから出てまいるわけでございますが、ただ、ただいまのわれわれの持っております制度におきましては、土地に対する一応私の所有権は認めております。また、その上に付与される利用権というものもあわせて認めているわけでございますが、ただ認められたものにつきましてどのように考えていくか。先ほど先生御指摘の公共性と私権というものをどう調整していくか。これは憲法二十九条の問題にも関連を持つわけでございますが、しかし、その両方の調整につきましては、現在の時点におきましては、従来ややもすれば私権についてのみ非常に大きく片寄っておった考え方を、公共性を重視すると同時に、私権も十分その性格上守っていくという考え方で、その間の調整をはかっていくということが必要かと思うわけであります。所有権あるいは利用権という形態に分けまして考えることも、一つの考え方ではございますが、現行制度のもとにおきましては、ただいま申し上げたような公共性と私権の調整という考え方でものごとを進めてまいりたい。これまた先ほど政務次官あるいは大臣から申し上げましたように、公共用地の取得に関しましては、土地収用法なりあるいは特別措置法その他、それらの法律改正というふうなかっこうで公権と私権の調整をはかり、あるいは土地の利用に関しましては、都市計画法という法律によりまして、個々の事由について法律的な規制を加えていく。あるいは建築基準法によってさらにそれを具体化していくというような、いろいろな制度法案等によりまして問題の調整を進めていくという段階でございます。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私がこういう質問するのは、現実問題として、人の命よりも土地のほうが重要視されている実態ですね。たとえば、東京の周辺へいきますと、アパートや家を建てるときには、避難するようなところなんか考えない。建築基準法で示されていると思いますが、あれは不当建築物かどうか知りませんが、袋小路で、しかも一方的な道路で狭いところですよ。そういうことで考えると、人間の生命よりも土地のほうが重要だ、これがいまの実態ですね。それがいかないと言うんですよ。そういうことが許されていることが今日普通になってしまっているんですね。いま言われた財産権は憲法二十九条で保障されておりますが、土地というのは一体だれがつくったかということですね。改修、改良されておる。その努力に対する価値というものは、これは私は認めるんですね。いままで荒れ地のやつを耕作をして畑地なり水田にして物をつくるようにしたという、これは一つの価値創造ですね。根本的に言ったら、土地というものは持っているというだけで、だれも自分がつくった土地はないでしょう。それは海のほうに延ばしてつくったというのは、その海の底には土地があるんだから、改良しただけであって、何もつくった土地じゃない。そういうことを考えると、あまりにも土地に対する観念が、みな気づかないでしょう、ぼくら自身も気づいていない場合がある。  しかし、そういう点をぼくはいまのうちに――佐藤内閣にこういうことを期待するのは無理かもしれませんが、根本的に考えなければ、大きい問題が実際問題起こると思うんですよ。私は東京の震災も経験いたしましたが、そういうことを言うと年がわかっちゃいますけれども、もし東京に震災でも起こったら、実際問題としてどうするんですか。中心部は幸いに国会があるために、周辺に公園ができましたね。これが私有地だったら、一般の家やビルが建ちますよ。こういう状態がいまの状態ですね。それで法律つくって、これでいいんだという考え方は問題が、問題というのは、私はことばは非常にやさしく言っておるんですが、実際問題、大問題が起こりますよ。したがって、それに対して政府は、先ほど大臣が抽象的に言われましたけれども、私としては納得ができない。もっと根本的な考え方というものを打ち出すべきである。打ち出したからといって、いまの憲法の二十九条に違反しないで、憲法第九条で三軍を置かないといっても、何とか理屈つけて置いているんですから、土地に対して使用権を認めれば、私は所有権まで考える必要ない。昔だったらこんなことを言ったら警察へ引っぱられますけれども、私はそこまで考えなくては、根本的な国土開発はできない。これは私の年来の主張なんです。いま官房長が言われたが、そこまではいけないということはわかりますので、これ以上答弁できないことはわかります。わかりますが、基本的にそういう点を建設省は考えておかないといけないと、こう私はきめつけておる。できるだけの答弁をしていただきたい。
  55. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 土地問題の重要性、それに対する抜本的対策の要請ということは、山本先生のおっしゃるとおり非常に緊急を要する、しかも重大な問題と考えております。私どもといたしましても、いかにしたらそういった基本的な問題、課題の解決に近づけるか、アプローチできるかということに苦心いたしておるわけでございますが、先ほど来先生のおっしゃっておりますように、従来は自分の土地ならかってに使っても、どんなふうに使ってもいいのだという感覚が事実ございました。それに対しまして、先生これまた御承知のように、民法上の相隣関係というようなことで、隣の土地に迷惑をかけるようなことをしてはならないという当然の規定が民法上にあるわけでございますが、そのほかに建築基準法等におきまして、人に迷惑のかかるような土地利用の形態をチェックしております。先ほどお話がございましたように、袋地でどうにもならないようなところに家を建てる、火事でも起きたら逃げるところがないというようなところには、家を建ててはならないというふうになっております。また、相当大規模な建物になりますと、避難階段等、十分設備いたしまして、そうして万一のときにはそれを利用して危難を避けることができるという形態にしなければならぬというふうに、土地の使用につきましては建築基準法なり、あるいは都市計画法なりでチェックしながらやっておりますが、それでも御指摘のとおり、なお違反その他が絶えないわけでございます。  これらにつきましては、ただいま私どもで用意いたしまして、建築基準法の一部改正を考えておりますが、これらによりまして、ただいま御指摘のようなことがないように、しかも違反を是正しやすいようにという改正をただいま考えております。また、同時に、具体的問題として御提示いただきました関東大震災のようなものが起きたときにどうするのだ、いまのままではとてもどうにもならないのじゃないかという御指摘がございました。私もそのとおりかと考えております。ただ、そのような場合に対応してどう考えたらいいかということは、やはり町を改造していくということ以外にはなかろうと考えます。ただ、町を改造していく場合におきましても、先ほどのお話のように、私は自分の家はこれでけっこうなんだ、だから私の家はいささかもさわってもらっては困るというようなことでは改造できないわけでございます。相当の規模の地域につきまして改造をやらねば改造の意味がない。そういうような意味で、これまた当参議院でただいま御審議いただいておりますが、都市再開発法という法律案を提出いたしまして、いまの大部分の土地の居住者なり権利者がひとつ再開発しようじゃないかという御決心をいたしましたならば、ごく少数の方々の反対がありましても、全体の計画が妥当なものであれば都市の再改造、再開発を行なうというようなかっこうの法案を現在考えておるわけでございます。こういったものを利用いたしまして、災害時にも耐え得るような地区を設定していくというような方向で逐次進んでまいるよりほかにいたし方がないのではないか。  これらにつきまして、さらに抜本的にどう考えるか、土地の所有権をむしろやめてしまって、利用権だけを認めろというふうな御指摘もございましたが、これらにつきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろな問題がございます。私どもといたしましては、そういった問題よりも、むしろもっと基本的に考えまして、土地の公共性、公権と私権の調整を今後どういうふうに考えていくかという点につきまして、一段と検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 具体的に聞きますけれども、都市再開発法の内容も聞いておりますし、見ておりますが、それはそれとして、用途指定というようなことができないんですか、住宅なら住宅、用途指定というやつ、なかなかむずかしいという話は聞きますが。
  57. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 建築基準法におきまして、いろいろな用途地域の指定ができるようになっております。住居地域あるいは商業地域、工業地域、ただその地域、地区制度現行のあり方ではまだ不十分ではないか、住居地区にしましても、平屋建ての地区と、それから最近非常にふえてまいりましたアパート地区というものに分けたらどうか、あるいは商業地区におきましては、住居地区に接続いたします商業地区と、それから本来の業務地区というものとおのずから性格が違うんじゃないか、そういった地域、地区の区分を今回の基準法の改正においては考えたい。そうして、そういった地域、地区の指定を十分に行なうことによりまして、土地の利用計画をはっきりさせてまいりたい、かように考えている次第でございます。現行におきましても、先ほど申し上げましたように地域、地区制度はございますが、なおそれを一そう詳細なものにしてまいりたい。都市計画法が先年改正になりましたので、これらの都市計画の決定につきましても、地方公共団体の長がそういった地域、地区の指定ができるというような改正も終えられているような次第でございます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 建築基準法で一応の規定はありますが、住宅地区、準工業地帯、重工業地帯、その他いろいろありますが、それは現在あるやつに対してはなかなか実行しにくい。指定しても、それを移転するためには地方公共団体、相当補償しなければ移転できない。これからつくるやつについてはなかなか建てられないんですが、現在あるやつを移転する場合にはやはり補償しなければいかぬ問題がありますね。それで実際問題ではそこは住宅地区だと指定しても、なかなかそれは実現性がない。例を示せばたくさんある。そういう問題をどう処理するかということが問題ですね。これは地方公共団体にまかし切りですか。
  59. 志村清一

    政府委員(志村清一君) たとえば、住居専用地区に、何と申しますか、いかがわしい遊興飲食の建物が建つというような事態が起きるといたします。住居専用地区ではそういうものは建てられないたてまえになっておりますので、建築の確認申請がまいりますと、そういったものは拒否されるわけでございます。ただ先生御指摘のように、住居専用地区を指定した以前にそういうものができておったものを今後どうするかという問題になるわけでございますが、これらにつきましては、なるべくすみやかにそういったものを動かしていきたいという気持ちには変わりございませんので、大規模な改造等行ないたいというようなことは認めない、あるいは逐次外側に移ってもらうというような指導をするというような形で進めておるような次第でございます。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはわかっているんですが、なかなかそれがのかないんですね、そういうことで問題が起こっているんですが、その場合、のかないことはない、のくには非常に金がかかる、補償してもらいたいと言う。東京都でも大阪市でもなかなかそこまで手がつかないんです、実際問題。こういう問題についてどういう措置をとっていくかということですね。それが先ほど申しました土地に対する絶対的な権利があるということですね。これは一面から見るというと、相当考えなくてはならぬ、強権によって必要以上に発動されると、国民の大きな迷惑になるから、それは相当問題がありますよ、そのときに問題を論議すれば。しかし一般客観的に見て、これが非常に問題があるという場合には、政府の独断的な強権でなくして、何か地域における、そういう審査会といいますか、そういうものの判断によってやるというように、民主的に私はやれると思うんですね。東京でも相当問題になっていますけれども、なかなか建設省でも都でも聞かないということで非常に不満がある。こういう問題については政府は考えようとしないんですか。
  61. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 違反建築物をいかに是正していくかという問題かと存じますが、先ほど申し上げましたように、これから建つ分につきましては、建築確認の際にこれを拒否する。しかし拒否いたしましてもなお強行して建てるという事例もございます。これらにつきましては、現在においてもいろいろな手段があるわけでございますが、建築基準法の改正の試案の中におきまして、さらにこの監督が十分できるような体制を整えるというふうな改正案を盛り込んでいるわけでございます。  次に、もう地域、地区を設定いたしましたときにすでにあった建物をどうするかという問題になるわけでございますが、いわゆる既存の不適格な建物をどうするか、これはたいへんむずかしい問題でございます。これらに対しましても、先生御指摘のように、これを何とか考えてまいらねばならぬというふうに存じておりますが、実はこの問題に関しましては、いろいろな権利の保護の問題、先生御指摘のような私権の保護の問題等もからみますので、今後建築審議会あるいは住宅宅地審議会等におきまして十分検討いたした上でいろんな成案を考えてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それに関連して、いま高層マンションが都会地に多くできますね。建てるのは自分の土地だから幾ら高くてもいいし、自分の所有地だからどう建ててもいいのですが、それによって近所の低い住宅は、日照権で、全く住む価値がないようになっちゃうのですね。こういうものに対する規制の措置はないのですか。
  63. 白川英留

    説明員(白川英留君) 現在、建築基準法上、高度地区という制度がございまして、高度地区によりまして建物の各部の高さが規制されますから、たとえば東京、大阪など大都市におきましては、高度地区を活用いたしまして、北側の斜線制限を採用することによりまして、日照権をある程度確保いたしております。それから、今度建築基準法の一部改正の案を考えておりますが、これには新たに北斜線の制限、この制度を採用いたしますので、ある程度日照権の保護ができると、こういうふうに考えております。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは例を見せにあなたを連れていってもいいのですが、日照権で困っている人がたくさんある。もちろん今度の基準法では、何か北側に建てるものは建築の高さを制限して何間あけといいますが、あけたって高いものを建てられちゃったら全然だめですよ。あれは建てる場合には都のほうで監督しているんですか。実際問題で、建ててしまったらあんな大きなやつ動かすわけにいきませんからね。だから、建てるまでによほど実地調査といいますか、許可するときには考えなくちゃならぬと思うんですがね。一応法律から見ると日照権は確保されているようですが、実際はない。それは住宅地でないから私はそうなるかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  65. 白川英留

    説明員(白川英留君) 建物の審査につきましては、現在小さい建物につきましては区でやっております。それから大規模建築につきましては都でやっておりますが、そういった日照権の保護につきましては、やはり非常に土地の値段が高くなっておりますので、限界があろうかと思います。したがって、建てるほうも、それから反対側のほうも、お互いにある程度下がらないと、建てるほうだけ制限を課す、こういうことは非常にむずかしいのじゃないかと思います。したがって、大都市におきましては、場所によってはある程度日照権の問題が起こるのはやむを得ないのじゃないか。特に住居地域につきましては、住宅専用地域にいたしますと、今度の基準法の改正によりまして、高さが十メートルで押えられますので、ある程度日照権が保護されると、こういうふうに考えております。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは、法律がだんだん改正されて、ある程度日照権にしろ、あらゆる公害についての配慮はされてきておると思いますが、実際問題で、やっぱり土地の利用については全く私は無制限というか、放置されたような状態にある。これはよほど考えてやらぬといかないと思う。で、われわれも実際は法律を立法府としてやっておるのですから、こういうことはあり得ないというやつが現実にあるのですね。ここは法律の盲点というか、あるいは執行上の問題がある。したがって、そういうものを根本的に考えなければ、幾ら法律をつくったって、それはぼくは何もならぬという表現はしませんけれども、現実には非常にそういう問題が残っておるということを建設省も十分考えておかなければならぬ。そういうことで、土地の問題については一応その程度で終わりますが、もう一ぺん土地の問題で聞いておきます。  土地収用法はこの前の国会改正されましたね。それで、土地収用法による各施行団体、施行団体といいますか、あれの権限というか、能力といいますか、それがだいぶ強化されているようですが、あの土地収用法が改正されて、相当公共事業、または公供に準ずる事業についての施行がある程度前進しましたか。
  67. 川島博

    政府委員(川島博君) 土地収用法は一昨年の国会改正されまして、昨年の一月一日から施行になっております。改正の一番大きなねらいは、従来裁決時の価格で収用値段できめておりましたのを、事業認定時の価格で算定をする、こういうふうなところにねらいがありますが、あわせて収用の手続が、従来は三年か四年かかるものを、それをスピードアップする意味におきまして、事業認定から裁決申請の時期までを一年間というふうに期間を固定いたしまして、これによってスピードアップをはかるということでございます。新法が施行されて以来やっと一年を経過したところでございますが、この新法が施行になりましてから、特に件数がふえたということはございません。ただ全体として新法のねらいが、手続をスピードアップするというところにねらいがありますので、従来と比べて裁決までの期間ははるかに短くなっております。したがいまして、全体としては公共用地の取得がスムーズにまいっておるということがいえます。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、現在の施行団体の施行については、いまの土地収用法ではそれでいい、これ以上土地収用法については改正する必要はないという考え方ですか。
  69. 川島博

    政府委員(川島博君) 現在の状況では、特に不都合ないし改正を要するという点はないように考えております。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政務次官、どうですか。
  71. 渡辺栄一

    政府委員(渡辺栄一君) ただいま計画局長が御答弁申し上げました現在の時点におきましては、お願いをいたしております収用法を確実に実行していくということでやっていけるのではないかというふうに考えております。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは実際地方公共団体の施行者から聞くと、そうは聞いておらない。問題が相当あるということです。冒頭に申しましたように、なかなかそう簡単に、土地収用法といったってそう円滑に敏速にやれない場合が多いのですよ、実際問題として。道路計画、都市計画路線を引いても、一軒か二軒立ちのかないために、相当長距離の道路が使用ができないという状態がある。聞いてみると、やはりそういう問題残っておるようですが、建設省がそれで十分だといわれるならそれでいいのですが、私は問題があるということを聞いておったから、もう少し建設省もそういう下部の実情というものを十分調査をされていないのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  73. 川島博

    政府委員(川島博君) 土地収用法が改正をされましてから、昨年四十三年でございますが、ちょっと資料を見てみますると、事業認定件数が四百件程度になっております。これに対しまして、収用委員会で裁決をいたしました件数は百三十件程度になっております。御承知のように収用委員会が強権をもって土地を強制取得の決定を下すか下さぬかは、この事業を行ないます、たとえば電力会社なりあるいは道路管理者なりが、収用委員会に裁決の申請をして、この土地はどうしても任意交渉では買えませんから、強制取得をしたいのでお願いいたしますと、そういう申請がございませんと収用委員会は動き出せないわけでございます。したがいまして、県の収用委員会の能力不足でないかと、そういう御趣旨の御質問だと承わりましたが、そういう意味では決して不足ではない。現実に土地が買えないというのは、事業主体が何らかの意味において強制取得の手続に踏み出すことを渋っておる、そういうところに問題があるのでございまして、県の収用委員会の事務局なりあるいは収用委員会自体の能力に不十分な点があるから問題が解決しないということではないということを私は申し上げたいのでございます。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはここまで言っていいかどうか知りませんがね、ここが都市計画路線になるということをある有力なボスが知ると、自分は所有権とか、そういう土地を買うのじゃなくして、裏から回してそういうものを先に買ってしまって、そうしていわゆる収用するときにいろいろごね得といいますかね、それがあなた言われたように、その収用委員会に申請できないような有力者が入ってしまって、そうして問題を起こすという例も聞いておるのです、実際問題。そういうものは表に出てこないのです。政治的にいろいろ問題があるということです。普通の居住者であれば、それはなかなかそこまでがんばれませんが、相当の力の有力者といいますか、ボスといいますか、そういうものがからまっているという例はあるのですよ。したがって、そういうものに対してどうやるか、これはもう政治的な社会的な問題に発展するのですね。土地収用法の問題でなくして別の問題がからまってくるしね。そういう、ぼくは、問題があるから、冒頭にいろいろ話した点はそこにあるわけです。それが非常に都市再開発に障害を来たしているということの例は、相当あなたのほうも聞いておるだろうと思うのですが、あるのですね。こういう点はひとつ建設省も十分考えてもらいたいと思うのです。ここで私はそんな指摘をいたしません。それがかえってまたその地方において悪い影響を与えたらいけませんから言いませんが、そういう問題が相当ある。  それでもう一つ、道路のことで聞いておきますがね。問題はだいぶ転換してきたのですが、道路も土地のうちですがね、首都高速道はもうすでに御存じのように、相当できましたがね、もうすでに実は第一号線、第二号線ですか、首都の、もうちょっと車は高速じゃなしに低速のような状態になってきたのですね。これ一体どういう計画、これは建設省でない、別の外部団体だが、これは道路政策については建設省責任あるのですが、これはどういう見通しを持っておられるのですか。
  75. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 先生御承知のように、首都高速道路は当初、現在できております環状線と、それからそれがタコの足のように四方に伸びまして、大体環状六号線の辺までの計画だったのです。その後都市間の高速道路というようなものもどんどんできてまいりましたので、これらを延伸いたしまして、東京外周区におきまする環状線に至るまでは高速道路を延ばしていこう、こういう計画で、現在たとえば渋谷、新宿でとまっております路線の延長でございますとか、池袋まで、近くでき上がりますが、池袋までいく路線を新大宮バイパスまで延ばすということをやっております。やはり外に延ばすと中に入ってきて中が込むわけです。これに対する対策を計画面で検討いたしております。内部市街地におきまして、もう一つ高速道路のネットワークなり、あるいは路線なりをつくっていく計画を立てなければいかぬ。また同時に弾丸道路の計画があります。弾丸道路をできるだけ早く行なって、それによる内部構成の緩和ということも考えていかなければならぬというようなことで、いろいろな問題があります。計画の問題といたしまして、現在建設省と公団で、新しくどういう路線がほしくて、現在あります計画のどの路線をスピードアップしていくかということを検討中でございます。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は酷な言い方か知りませんが、いまの建設省では道路政策の能力ないと私は思っていますが、というのは、これは建設省を責めるのは無理だと思いますよ。都道府県等もありますし、県道もあるから、ただ高速道をつくる計画、これはもうつくってやる、それと国道とのつなぎ目、それから市道といいますか、区道といいますか、都道府県道のこれに対する有機的な設計ひとつもできていないのですね。だから高速道のときはある程度ばあっと走るけれども、おりちゃったら、それこそ混雑しちゃって、どこへ行ったらいいかわからない。ちょうど穴を掘られたあとのアリの姿のようです。右往左往している状態、上から見ると。だから私は道路政策というものは一貫したものじゃなかろうか、こういう考え方でやられておるのですか、道路政策は。
  77. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 道路政策というのは、全国的な道路政策は私の担当じゃございませんが、たとえば東京の区部の道路交通というものをどう処理するか、またそれと周辺部の関係もございますけれども、それにつきましては、やはり現在ございます放射線、環状線というような主要な幹線街路の整備、それから高速道路の整備というものもマッチしてやらなければいかぬということで、たしか三年ぐらい前に東京の街路網計画の大改正をやったわけです。その際に、基本的には高速道路が大体三ぐらいの割合で持つ、街路が七ぐらいの割合で持つということで、大体昭和五十五年から六十年ぐらいの目標でございますけれども、そういう時点におきます交通需要に対応できるような道路網という形で計画決定をいたしております。これは具体的な計画決定でございまして、路線の幅あるいは高速道路網の計画というようなものを含めておりますけれども、ただ長期的な計画でございますので、現在非常に急増いたしております自動車の利用には、現在間に合っておらないわけでありますけれども、一応都市計画といたしまして、そういうような長期構想に基づいてそれぞれの分担割合をきめて、計画はきめておるわけでございます。  先生おっしゃいますような、外から入ってまいります高速道路なり、国道なりと街路なりの連結という問題につきましては、私ども十分気をつけております。たとえば、外からいろいろな縦貫道その他入ってまいりますので、それに間に合うような都市内の高速道路も、それに接続するのだということで、いろいろ苦心をいたしておるわけでございますけれども、実際問題として、片一方ができても片一方ができないという状況が現にあることは、私どもも自覚いたしておるところでございます。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは建設省だけ責めるのは無理だと思います。で、一体自動車の増加テンポと申しますか、増加の極限と申しますか、大体建設省は道路網を設定する場合に、日本の保有の自動車は最高どれくらいまで見ておられますか。
  79. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 私たち道路整備の長期計画をいろいろ考えております。現在の自動車の保有台数は大体千二百万台くらいになっております。将来私どもの長期構想では、昭和六十年を目標に、それまでにいまの日本の全国的な自動車による交通需要と道路のバランスをとってまいりたいということで計画を立てております。その時点の車の台数の推定をいたしておりますが、これは私たち以外に企画庁及び自動車工業会その他でやっております。現在建設省が二、三年前に出しましたのは、国民所得の増、そういうものから推計したのでございます。昭和六十年で大体三千五百万台という数字を推定しております。これはいろいろほかのところの推定値もございまして、いまでは三千五百万台というのはちょっと少ないのではないかというような意見が非常に多いのでございます。私たちいま、三千五百万台による交通需要、これに対応する長期計画を立てておるような次第でございます。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三千五百万台とすると、人口三人に一台というような割合ですか。
  81. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) そのときの人口が大体一億二千万ぐらいを予想しておりますので、三人ちょっとというような数字になるかと思います。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、六十年代になると道路も大体それに沿うようになるような計画といいますか、そういうふうになっておるのですか。
  83. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは非常にマクロの計算でございまして、三千五百万台の車の交通需要、そういうものから道路、現在の幹線道路、これは県道以上を入れておりますが、そういうものの交通のキャパシティを見る、そういう点からどれくらいの道路が必要かという計算をいたしております。それによりますと、いまの国道の混雑が大体キャパシティと同じくらいになるというような計算をしております。ただこれはマクロの計算でございますので、私たち、いまの都市の道路につきましては、東京を一つ例にとりますと、東京に住んでおる人が全部車で通勤をするというようなことはとうてい考えられない。やはり都市の交通の問題は、そのほかの都市交通手段でございます鉄道、地下鉄、こういうものとあわせて都市の交通を処理していくという考えのもとに、大体昭和六十年ぐらいをめどに、大体そういう交通の需要と道路キャパシティを一致させるというマクロの計算をしておるわけであります。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう資本の、特に道路に対する資本投下は非常に膨大なものですね。その場合に、どれくらい国の予算を、道路計画として、単に国道だけでなく、都道府県道を合わせてどれだけの投資総額を見ておられますか。
  85. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは道路をつくるだけじゃなくて、やはり道路の維持管理の仕事もあると思いますが、そういうものを全部総計いたしまして、的確な数字をなかなかつかめないのでございますが、大体四十年度の価額で見ますと、約五十数兆くらいは金がかかるのではないかと想像しております。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは予算面からもなかなかそうは簡単にいかない。予算委員会でもちょっと聞いたのですが、そう深くは聞かなかったのです。五十数兆、これは貨幣価値の変動があり、物価も上がりますから、私は五十数兆ではなかなかいかないという一応の計算をしておるのですが、それだけのものを年間これを政府の投資だけでやるには相当問題がある。実際問題としては、あなたのほうが専門家ですから、数字をはじいておられると思いますけれどもね。六十年というとあと十五年ほどですね。それは毎年何兆億円からの金をつぎ込まなくてはならない数字になりますね。それは実際国家予算から見て可能性があるかどうか。計画はあなたの言われたことわかりますけれども、国の予算なり投資財源から見ると、私は相当問題があるのじゃないかと思うのですが、これは建設省はどういうふうに見ておられますか。
  87. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いま先生のおっしゃいますように、五十数兆というものは、これは物価の値上がりもありますから、それはそれ以上にふえるということになると思います。それを昭和六十年までに達成するということは、これは非常に容易ではないというふうに考えております。四十四年度について言いますと、四十四年度では国が直接負担いたしますもの及び補助いたしますもの、それから地方が単独でやりますもの、並びに財政投融資で行なっております有料道路、こういうものを全部ひっくるめまして、大体一兆千億か二千億程度ではないかというように考えております。それではなかなかいまの自動車の増加、現状の道路の整備が追いつけないというような状況でございまして、それにはやはり、端的に言いますと、国が出しますそういう道路関係の費用のための財源をどう調達するか、また地方が行ないます場合の地方自治体の財源をどう強化していくか、また有料道路が今後相当、こういうような財政の状況でございますと、必要になってこようかと思います。これの財源問題もあろうかと思います。またいま一部でいわれておりますように、民間資本で有料道路をつくれという声もございまして、現在いろいろ検討しておるわけでございます。あらゆるそういう財源の問題及び民間資本の問題を考えまして、昭和六十年までには何とかいまの道路のおくれを取り戻したいというように考えておる次第でございます。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 言われることは、そういう答弁しかできないのでしょうが、現実性はありますか。現実問題としては、ぼくは不可能だと思っておるのです、財源的に見ましてですね。これは計画は幾らでも立てられますよ。しかし実際問題としては不可能だろう。そういうことを考えますと、交通地獄と申しますか、はますます解消できない。しかも年々交通事故による死亡者はふえてくる。これらについて政府はどう考えているか、ここに  一つの手があるんですが、それはまたあとで私言いますけれども、どれほどどこで皆さん方が説明されても、合理性がない。これをどう解決するか、交通公害委員会も特別につくってやっておられますが、方々で聞いても、ただそういうことをいわれるだけであって、現実にどうするかというと、財政的に見て、財源的に見てもこれはだめなんだ。これを一体どうするか。それは年月がたてば、やがては計画は達成できるでしょう。あなたの言われる六十年までは別として、三十年たち、二十一世紀になれば、ある程度できるかもしれないけれども、それまではどう交通の整理をするか、この点については建設省だけの管轄ではないけれども、そういう構想があるんですか、それまでの交通に対する対策があるんですか。
  89. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 私たちいま道路の整備を急いでおります中では、大きく分けますと、やはり非常に交通の混雑しているところの道路の混雑緩和のための道路整備、またもう一つの柱は、やはり地方の地域開発のための道路整備、かなりこれは同じ道路整備でも性質が違ってくると思いますが、問題はやはり、混雑しておるところの道路をいかにして整備していくかの問題でございます。先ほど東京都内の問題もございました。都内の問題につきましては、私たち、これは逃げ口上になるかと思いますが、やはり道路の問題だけではなくて、都市交通全体の問題として考えていかなければいけないのじゃないかということがまずあろうかと思います。また道路につきましては、現在の都内の首都高速道及びその下の街路網の問題でございます。これについても決していま均衡がとれておるとは思っておりません。また、その街路を広げるようになりましても、これは非常に用地費の問題もございますし、物権移転の問題もございまして、簡単にいく問題ではございません。また、こういうものを一体どうするかということになりますと、私たちいまの都市交通及び東京周辺の交通については、まず大きな一つの幹線、幹線について相当力を入れてまいりたい。で、幹線のはけをよくするということがまず第一。さらにこれは非常に交通安全の問題からいいますと問題があろうかと思いますが、都周辺におきます県道、市町村道、こういうものがある程度整備されないと、なかなかその幹線だけをキャパシティをふやしても、それがはけ切れないということになりますので、やはり幹線の整備、これはどっちかといいますと、一般道路じゃなくて、自動車の専用道路になりますと、有料制を考えていかなければならぬと思います。ある方向について重要なものをまず重点的に取り上げる以外には、私たち方法がないように思っております。そういうような重点的な幹線の道路の整備と、あとは周辺の市町村に至るまでの末端の、血管でいいますと毛細管になろうかと思います。こういうものをあわせてやっていくこと以外にはないのじゃないかというような考えで進めてまいりたいと思っております。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃまあ道路に関連して労務者の問題をちょっと尋ねておきますが、いま労働力非常に不足を来たしているのですが、現在ほとんど幹線道路にしろ、建設省直轄の事業にしろ、あるいは地方団体の事業にしろ、ほとんど請負制度になっていますね、下請ですね。大きい土建屋がやっておるのですが、これに対する特に出かせぎ者に対する対策というものは、建設省はそれはタッチ、監督できる立場にあるのですか。
  91. 川島博

    政府委員(川島博君) 御承知のように、労務者の雇用につきましては、職業安定法によりまして取り締まっておるわけでございます。したがいまして、所管は労働省でございますが、建設業の雇用者は、ホワイトカラーまで入れますと、約三百五十万以上になっておるわけでございます。単一の業種としてはまあ農業に次ぐ大きな従業者をかかえておるわけでございます。したがいまして、雇用者の問題、労働者の問題につきましては、労働省の所管ではございますけれども、労働省にまかせっぱなしというわけではございませんで、労働省と協力いたしましていろいろ手を打っております。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 土建ブームとよくいわれるのですが、これは一つの愚問のようになりますが、土建業者ふくれていきますが、もうかる産業ですか。
  93. 川島博

    政府委員(川島博君) もちろんこれは商売でございますから、まあ損をするためにやる業者はございませんですが、最近の傾向を見ますると、だんだん利益率が低下をしております。これはいろいろ原因があろうと思いますが、一つにはやはり過当競争が原因であろうと思います。無理をして仕事をとるということがあろうと思います。また労務者が不足で、非常に高い賃金を出さないと人が雇えないというようなことから、非常にやはり苦しい思いをしておる。そのために、最近におきましては、一般的に他の産業に比べましても、利益率が低下をしておるのが実情のようでございます。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 愚問であったか知りませんが、建設業者、いわゆる土建業者ですか、もうその大企業中心に集約されてきますね。中小のああいう土建業者は、いま言われたのもそういう原因があると思うのですが、過当競争で弱小土建業者はほとんどもう倒れていくというような状態でもあるように聞くのですがね。それは数字的に建設省はそんなものは把握されておりますか。
  95. 川島博

    政府委員(川島博君) 建設業者は、現在建設業法によって、登録を受けないと仕事ができないのは御承知のとおりと思いますが、昭和二十五年にこの制度が発足いたしました当時は、登録業者は約三万三千ございました。今日業者数はすでに十四万をこえております。年々の状況を見ますると、新規の登録業者が約二万ほどございます。初めにおきまして倒産が約二千四百、そのほか蒸発を入れますと、年間約八千から一万の業者が消えていっております。したがいまして、二万で一万近く消えるわけでございますが、差し引き純増が一万数千、その大部分は零細な業者でございまして、十四万の登録業者中、いわゆる資本金五千万円以上の中小企業以外の企業は一%に満たない。したがって九九%以上が中小企業でございます。それがまた毎年一万ずつふえるわけでございますから、相当な競争になっておるわけでございます。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは商売人ですから、なかなか競争が激しいと思いますが、結局ふえていくことはもうかることですね。したがって土建業者、それは経験を聞いておるのですがね、相当労働省の基準局あたりでも監視しておると思うのですがね。また飯場でもきびしい飯場があるらしいのですね。聞いてみれば、表面の賃金は非常に高いのですが、飯場における何といいますか、費用というのが相当高くとられちゃう。出かせぎにきたけれども、非常に悲劇であるということで、私のほうに陳情がきたことがありますが、政務次官はどこの出身か知りませんが、そういう点については、これは労働省の管轄で、建設省はそういうことは関係ないのですね。
  97. 川島博

    政府委員(川島博君) 昔はよくタコ部屋などと称しまして、相当陰惨な飯場で重労働をしいられるという実例がございました。しかし現在におきましては、この人手不足の時代でございますから、そういう過酷な労働条件下の職場があるはずはございませんし、またそういう人の使い方をしておったんでは人が集まりませんから、それはいまや伝説になったと私どもは思っております。しかし、それは現場によりまして、非常にまあ待遇といいますか、福祉厚生施設が完備した現場もございますし、中には下請等の現場で、それほどでもない現場もあるわけでございます。また賃金につきましても、いろいろとお話がございましたけれども、私どもが承知いたしている範囲では、むしろ表面賃金は安くて、実質賃金は高いという実態のほうが私は真実ではなかろうか。それが証拠には、毎年屋外賃金労働者の調査を労働省が実施しておりますが、その結果は相当実質賃金より低く出ておるということは事実であります。これは私もある程度事実だろうと思いますが、それを見ましても、いわゆる帳面づらの賃金の値段と実際に労働者に支給される賃金、これは実際に支払う賃金のほうが帳面づらの賃金よりも高いのが実態じゃないか、そういうふうに私は思います。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはどういうことですか。帳面づらは低いけれども実際は高いというのは、どういうことなのですか。
  99. 川島博

    政府委員(川島博君) 現実に毎年八月に労働省が監督署を使いまして、五人以上の事業所を抽出いたしまして、回りまして、八月中に支払った各個人別の賃金の調査をいたすわけでございます。ただいま私ども公共事業の設計に積算する賃金の単価、これは八月に行なわれます屋賃調査の結果をそのまま利用いたしております。ところがその結果を利用いたしますと、非常に実勢より低いということで、非常に業界から非難を受けておるわけでございます。なぜ低いのかと申しますと、結局実際に支払われている賃金よりも台帳に記載された賃金のほうが相当低いという実態がわかったわけでございます。それで最近は、昨年からでございますけれども、賃金台帳には正規に支払った賃金をそのまま記載してほしい、それを下回る賃金を記載するのが従来の慣行であったけれども、これはやめてほしいということで、行政指導をいたしまして、昨年からだいぶ改善されたわけでございますが、少なくともその以前は、実態において両者に相当乖離があったことは、これは事実でございます。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その実勢の賃金は高くて帳面づらが安いというのは、なぜそういうテクニックをしなければいかぬのですか。
  101. 川島博

    政府委員(川島博君) それは私どもは実態をつまびらかにいたしませんが、おそらく税金その他の関係で業者が操作をすることになると思います。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたは要らぬことを言うから疑問が生じてくる。脱税のためにそんなことをしているということは、そんなことはあり得るとは思いません。そんなことは慎しむべきだと思います。業者が脱税するために実際よりも低いやつを帳面につけておるということは、私はあまり速記録に残さぬほうがいいと思います。それは建設省、関係ないでしょうけれども、国会ですからね。そういう問題があるということは、これは政府当局が言われるとなると問題があるから、私は非常にそういう点は同情的ですから、委員長、その点はひとつ計らったほうがいいと思います。そういうこと残しておくといかぬと思うのです。
  103. 川島博

    政府委員(川島博君) 不適当であれば取り消すことに異存ありません。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはそれにしまして、まだだいぶあるのです。皆さんの顔を見ていると気の毒に思いますが、もう少ししんぼうしていただきたい。  次に、水の問題ですね。土地、道路、水、まだもう一つあるのです。河野建設大臣のときに私質問したことを覚えているのですが、あの人はなかなか大胆な人ですが、各都市では水道の問題で、水源の問題、相当問題があるのですが、これはひとつ私の知識を得るために聞いておきたいのですが、年間日本の河川に流水される水の総トン数は、あの当時六千億トンとか聞いたのですが、いまどういうことになっておりますか。
  105. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 先生のおっしゃるとおり、大体六千億トンでございます。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そのうち実際農耕、工業用水、水道、飲料水、それらに利用されておる水の量は幾らですか。
  107. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) ちょっと内訳はあれでございますが、全体としましては、大体一〇%でございますので、六百億トンでございます。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、あとの九〇%がむだに流されておるということですね。非常にこの問題を私は、どう、解決するかということは、これは政府のほうの施策に待つほかないと思うのですが、五千四百億トンというのはむだに流されておるのですね。
  109. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) そういうことになります。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは何か利用する方法はないのですか。
  111. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) まあ御指摘のとおりでございまして、私どもはそのむだに放流されている水をできるだけ利用度を上げたいということで、まあ水資源開発と称して行なわれておるダムの建設あるいは河口せきの問題等は、これは有効に利用するための、いわば利用率を上げるためのものでございまして、特に首都圏だとか、あるいはまたその他の近畿圏、北九州、山陽等は非常に水が逼迫しておりますので、そういう地域につきましてはひとつできるだけ、ここ昭和六十年ごろまでに、できればひとつ五〇%以上まで上げたいということを計画いたしておりまして、ここ数年間かかってそういった調査を実施しております。またそれと同時に、各地にダムの建設を計画し、また着々実行いたしておるわけでございます。それで、できますれば全国平均二〇%以上に上げたい。特に水事情の逼迫している地点については、地域については五〇%以上ということを目途に計画を進めておる段階でございます。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 建設省の構想はいいのですが、各都道府県ごとに水争いとか水利権といいますか、そういう問題をたびたび聞くのですがね。たとえば岐阜・愛知ですか、三川の問題ですがね、それから四国の吉野川、あれは大体香川・徳島、話があったようでありますが、そういう問題はいまあまり問題がないですか。
  113. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 個別的に申し上げますと、四国につきましては幸いに長年の懸案の調整もつきまして、いま着々水資源の開発の工事を実施中でございます。木曽川につきましてもいろいろ問題がございましたけれども、全体的な基本計画はまとまりまして、これも閣議決定いたしております。その他の地域につきましても、一本一本の川を取り上げますと、やはり上流県と下流県、やっぱり水を使うほうと建設するほうとで、いろいろな歴史的な変遷がございまして、できるだけ一本一本片づけていくように努力いたしております。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あれはどうなりましたか、大阪と滋賀県の水争いといいますか、琵琶湖の問題は、その後どうなっておりますか。
  115. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 琵琶湖の問題につきましては、ここ数年来建設省を中心にして調査をいたしておりまして、やはり近畿一円の水の問題を解決するためには、どうしても琵琶湖の開発が必要であるということで、目下調査中でございまして、できるだけ早い機会に滋賀県――特に滋賀県の協力がなければなかなか琵琶湖の開発はできないわけでございますので、しかも一方、下流のほうは非常に水が逼迫しつつある状態でございますので、できるだけひとつ滋賀県の説得ということに最重点を置きまして、同時に滋賀県の周辺の関連地域というようなことも考えまして、滋賀県だけが犠牲にならないような方向で、ひとついろいろ考えてまいりたいということで、鋭意調整中でございます。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 なかなか水の争いというのは昔からこれは問題があると思うのですがね。これはやはり国全体として計画を立ててやらなければ解決しにくい問題じゃないかと思うのですがね、この水の問題。先ほど言われましたように、一〇%しか利用されていない、九〇%まではむだに放流されてしまっておる。やはり理解すれば、私はこれは解決する道はあると思うのですがね。東京の場合も、群馬県との間にいろいろ問題がありましたけれども、ようやく解決したように聞いておりますが、おのおのの主張があると思うのですが、河野建設大臣のときには相当思い切って――もうなくなられたけれども、滋賀まで来て当時の知事ともお話をしたと聞いていますからね。これは単に何も滋賀と大阪の問題だけじゃないんですがね。建設大臣としては権限はないんですか、水の使用に対して。
  117. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 建設大臣が一級河川につきましては河川の管理者でございます。そういう立場で権限があるわけでございます。ただ水資源を開発する場合には、幾つかの水系を指定しておりまして、その水系にかかわる水資源の開発の基本計画は経済企画庁長官といいますか、内閣総理大臣の担当で、企画庁が担当して、各省に協議して基本計画をまとめることになっておりますが、やはり多目的な洪水調節も含んだ全体的な総合計画については、主として建設大臣が、実際の仕事を実行する場合には建設大臣が主管という事業にほとんどなっておりますので、そういう立場で実際の水資源を開発する場合にも建設大臣の立場はあるわけでございます。それから全体的な立場としては河川管理者の立場から、河川の利用という面につきましては総括的な責任が建設大臣にあるわけでございまして、琵琶湖の問題につきましても、大臣も近く滋賀県においでになって、現地も視察したいということをおっしゃっておりますし、ひとつ積極的に開発を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 水の問題、最後になりますが、問題は水道の問題ですね。非常に都会地は水が不足しておるということ、東京も最近若干条件がよくなったようですが、これはまたやがて行き詰まってくるときがあると思うのですがね。こういう水資源について、いま言われたいろいろな計画なり、そういうことを言われたんですが、一応ここ十数年間の間に、そういう問題のないように一応の計画はできておるんですね。
  119. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 先ほど申し上げましたように、一応の全国的な水の需給のバランスというものは、概括的にできております。個々の問題につきましては、やはり立ち入り調査等、ダムサイトごとにいろいろ調査いたさなければなりませんわけでございまして、概括的にはできておりますが、それをさらに詳細に具体化するにあたっては、さらに現地ごとにひとつ調査をして、そういった精度を高めると同時に、具体化のいろんな設計なり段取りというものを計画してまいりたいというぐあいに考えております。しかし、全体的な概括的な見通しとしては、昭和六十年ごろを見通しまして、どのぐらいの水が各地にいって、それに対してどういうおよその手当てをすればカバーできるかというような見通しは立てております。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 見通しはできておるが、なかなか実施には問題があると思うのですがね。そこでいま言われたが、東京を中心にすれば、おのずから水源開発の限界がありますね。そういうことで一応長崎とか鹿児島、北海道は一つの都道府県でやりやすいし、また河川も相当大きな河川がありますから、いまのところそう問題聞いておりませんが、地域によると河川の水がほとんどない、そういう地域も相当ありますね。これについてはどういう対策を持っておられますか。
  121. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 先生の御指摘のように、非常に水のあり余っている地域と水の足らない地域と、河川あるいは水系ごとに非常にアンバラがございます。そこで、われわれとしては、できるだけ水系を相互に結ぶような方法を考えまして、いわゆる広域利水と私どもは称しているのですが、広い立場で面積的に考えまして、従来どちらかというと河川一本一本の開発は考えておったわけでございますが、河川を相互に彼此融通して、相互に広いエリアについての開発を考えておるわけでございます。いわば広域利水の立場で対処したいというぐあいに考えております。
  122. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうするには相当大じかけの工事といいますかが必要ですね、遠いところから水を運んでくるのですから。そういうことも考えられておるのですか。
  123. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) できるだけ隣接の水系をまず結ぶという、たとえば関東の場合、すでに実行いたしておりますのは、利根川と荒川を結びまして、それからもう御承知かと思いますが、多摩川の小河内ダム、結局この三本ぐらいが現実に横につながった形で、彼此融通しながら東京都の水の供給をはかっておるわけでございます。そういうようなことで、さらにまた神奈川県あるいは千葉県、それから茨城県、そういうようなところも、順次ひとつそういう方向に広げて持っていきたい。しかしやはり水の需要の地域に流れておる川を優先して開発度を高めるということでございますので、そういう順序でひとつ考えてまいりたいと思います。
  124. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま河川局長から言われましたが、そこに触れようと思ったんですが、工業地帯に対する水の利用というものは相当利用度が高くなっておるのですが、そういう計画も含めてやられておるわけですね。工業地帯に対する水の使用というものは年々上がっておりますね。そういう計画もあわせてやられておりますか。
  125. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 計画をする際には、工業用水もそうでございますし、それから水道用水も年々使用水量が上がっております。それもやはりにらみながら、全体の需要というものを考えて計画をいたしておるわけでございます。まあしかし、やはり将来の私どもの考え方としては、できるだけ一方において水の節約といいますか、水の使用量の節減ということをひとつ呼びかけたいわけでございますので、そういうものもあわせていろんな計画というものを組んでまいりたい。幾ら計画いたしましても、やはり異常な渇水の場合には不足気味でございますので、そういう場合においては、やはり東京都がやっております第一次節水、第二次節水という立場がございますので、ひとつそういう面でも私ども呼びかけて、何らかの水の合理的使用ということもあわせて考えてまいりたいというぐあいに考えております。
  126. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま節約と言われるが、意味はわかるのですが、水の節約というのは、どういうことですか。
  127. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 非常に渇水の事態になってまいりますと、雑用水を少し節約していただくとかという現実の問題と、それからいまあちこち水利権、水利権料という権利があるわけであります。それがかなり実態的に水が余っているというのか、水の使用の用途も変わっているところがございます。そういう辺もひとつ十分調査いたしまして、その辺の現存する水をできるだけ公平に配分できるような、できれば同じような安全度というものを考えながら、一方では非常にふんだんに使っている、一方では足りないということではまずいので、できるだけ水系全体として、総合的な水の使い方という考えに持っていくようにしたいと考えております。
  128. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 水は、家庭では栓をひねったら水が出ているわけじゃないんですね。あれはお金出しているんです。ですからそんなにむちゃに使うということはないのですが、工業用水、これは相当私は多量に使っていると思うのですがね。工業用水ができてから相当水不足だといわれておるのですがね。そういう点についてどう考えられておるのか、工業用水についての計画ですね。これは地下水であると地盤沈下という問題がありますね。だからどうしても工業用水については問題があるのですが、工業用水について特別な配慮は建設省はしておるんですか。
  129. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) まあ特別のそういった行政的な措置というものはございませんが、やはりさっき先生言われましたように、従来の地下水のくみ上げでカバーできたものが、地下水をくみ上げると公害問題が出てくるというので、逆に工業用水に振りかえざるを得ないという問題がございます。ただ、工業用水になりますと、水道用水と違いまして、水質の問題も条件が違いますので、できれば下水、排水の再生産というようなこと、あるいは海水の真水化というようなことで、そういった質の面もございますので、ある程度はこういった質の面でカバーできるという方法も考えてみたいということで、これはもちろん建設省だけの政策ではできませんので、通産省とも十分協議いたしまして、そういう方向に持っていきたいというように考えております。
  130. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 海水の問題がありましたが、いまの海水では冷却水でもちょっと問題があるらしいのですね、塩分が強いから。したがって、あとで尋ねようと思っていたのですが、海水の利用はアメリカでは実用化しているというように聞いている、私まだ視察しておりませんが。海水利用ができたら日本は水の不足はないと思うのです、四海海ですから。海水利用については建設省は何か計画、見通し、そういうようなものは持っておりませんか。
  131. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 海水の利用問題は、アメリカ等で原子力を利用したりしてやっており、まだ現段階におきましては、かなり単価が高い点でなかなかできませんが、しかし、日本におきましても、いわゆる海水の淡水化といいますか、河口湖、要するに川じりのほうに大きな池をつくり、あるいは一部河川を締め切るというようなことで、すでに部分的にはいわゆる淡水化に相当するような事業は行なわれているわけでございますけれども、何さま塩分の希釈の問題は金がかかるということで、いま直ちに実用化にはいかないと思いますが、まあ二十一世紀近くになってまいりますと、そういう技術も進歩すると思います。いま科学技術庁あたりが中心になって調査、資料の収集をやっておりますが、建設省としても重要な問題でございますので、ひとつ側面的に検討、調査を進めてまいりたいというように考えております。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だいぶ参考になることをいろいろ教えてもらったのですが、ひとつ海洋開発についてこの機会に聞いておきたい。いろいろと建設省に御迷惑をかけますが、もうしばらく聞いておきたい。アポロ十号か十二号がやがて月に行くらしいのですが、これは竹取り物語のかぐや姫の夢が、実現するのですが、浦島太郎の夢というものを一体どう考えておるか。海洋開発、これは相当重要な現実の問題になっておる。この間、国際的な会議をやられておるようですが、海洋には相当資源があるだろうと思いますが、日本には地下資源が非常に少ないので、海洋は相当あると思いますが、これについて建設省は何かそういう構想というか、考えを持っておられますか。
  133. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先生御指摘ございましたように、海洋開発は今後の非常に大きな課題だと考えますが、建設省といたしましては、ただいまのところ個々にいろいろな検討をプライベートにやっておるという段階でございまして、省としてはまだ直接そういう問題に手をつけておらない状況でございます。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 海洋開発について、その可能性についてはいま若干言われましたけれども、現実の問題として相当これは遠い将来でなくて具体化してくる見通しを持っておられるのですか。
  135. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま申し上げましたように、いわばプライベートな検討はいたしておりますが、公の立場で建設省としては海洋開発についての調査はいたしておりませんが、私見ではございますが、海洋開発という問題もそう遠い将来の問題ではあるまい、かように考えております。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 海洋開発という概念ですが、これは相当いろいろ問題があると思うのですよ。海底から油田を開発するということも一応の海洋開発だと、私はそう見ておるのですね。もうすでに秋田県では、海の中にそういう油田のパイプを立ててやっておるということを聞いておるのですが、原油の非常に少ない日本として、ほとんど原油は輸入しておるのですね。そういうことで、いま官房長は何か勘違いされて、冒頭私が浦島太郎というようなことを言ったのでそう言われたかしりませんけれども、広い海洋の資源をどうするかという問題を取り上げておるのです。これは緊急な問題だと思うのですが、どうなんですか。
  137. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先生御指摘のように、海底の石油の開発とか、あるいは石炭の採掘とか、個々具体化している問題は私も承知いたしておりますが、そういったものを含めまして、広い意味において海洋をどう開発していくかというのは非常に大きな問題だと私も考えております。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 海洋開発というのは、私は日本としても研究の非常な課題だと思っておるのですよ。もう沿岸漁業はほとんど閉塞したような状態ですね。大陸だなの問題にいたしましてもいろいろ問題があるのです。大体、漁業の面からいっても、いま申しましたように鉱物からいっても相当重要な問題がある。これは建設省の管轄じゃないですか。どこになるのですか、建設省でなければもう質問はやめますけれども。
  139. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 海洋開発につきまして、ただいまいろいろ検討いたしておられるのは科学技術庁と承知しております。
  140. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  141. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 速記をつけて。
  142. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣、どうも御苦労さまでした。いま海洋開発で聞いたのだが、あなたの管轄じゃないらしいので、これはちょっとおきます。またいずれ。  それじゃ、いろいろ声もかかるから、最後に万博でちょっと聞いておきます。実はこの前、通産大臣に万博を聞いたのですが、建設関係だけ残しておいたんです。建設関係関連事業でやっておられるが、相当膨大な費用が使われておるようですが、建設関係関連事業、いわゆる道路、下水、そういうものですね、これについては工事の進捗状態はだいじょうぶですか。
  143. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 万博に関連いたします建設省所管の事業の進捗状況は、四十四年の二月時点におきまして、四十三年度に行なうところの事業計画の大体九三%は進んでおるというようなことでございましたので、もうそれから一カ月有余たっておりましたのとともに、きのう私、高山ダムの竣工式がございましたので、それの竣工式に参りまして帰り、大阪地建局長その他関係の係官を呼びまして、督励がてらその状況等も聴取いたしたのでありますが、順調に進んでおりまして、四十四年度の御案内のごとき一千七百億ほどの予算措置によりまして、三月までには完全に工事は終わるという状況でございますことを御報告いたしたいと思います。
  144. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 直轄事業については、相当ピッチをあげられていますが、各地方公共団体の関連事業ですね、これは相当問題があるようですが、建設省としてもやることは有機的にやっておられるんですか。地方公共団体、大阪府、大阪市、京都あるいは神戸こういう団体の関係はどうなっていますか。
  145. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 昨日、大阪府の知事並びに大阪市長にもおいでを願いまして、関係の知事及び市長にもお会いいたしましてお聞きいたしましたが、大体順調に進んでおるということでございました。
  146. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 通産大臣に聞いた場合に、大体三千万程度の、これは延べですね、観覧者だ、収容人員だと言っておりましたが、五千万人になるかもわからぬというのがこの前の答弁でした、通産省のあれは係の人ですかね。私は三千万、これは延べですから、観覧者で祭日とか休日、そういう場合にはいまの道路計画その他では相当私は無理があるという、私は大阪ですからたびたび視察もしておりますし、計画も聞いております。知事からも聞いております。ちょっと無理な点があると私は見ておるんですが、一日最高のときにはどれくらいの収容人員があると見て計画されておりますか。
  147. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) これにつきましては、私の所管の何でございませんが、しかし国務大臣という立場からこの問題についても関心を持たなければならぬことは当然でございますが、ただ雰囲気といいますか、ムードといいますか、オリンピックの場合には期日が短期間で種目がそれぞれ決定いたしておりますから、前もって買う心理状況もそういうような点で、あの種目はぜひ見たいとか、あの日にはぜひ参りたいとかいうようなことで、先に前売り券が飛ぶように売れて行ったのは過去の事実でございますが、これに対しまして長期間にもわたっておりますので、いつ何どきでも買えるというような、ひとつの心理的な作用も手伝っておるから、その成績が現時点においてはあまり好ましい姿でないというようなことも聞いておりますが、きのう大阪市の市長さんたちの御意見によりますと、かなり前売り券でございますか、それに対するところの買う要望なり、あるいは空気が出てまいってきておるというような報告を聞いておるんでございますが、数字の点の大体のめどについては、私、的確にお返事いたしかねるので、また別な機会に御報告も調べましていたしたいと、こう思います。
  148. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 観覧者の数は、これは道路計画に私は基本的な問題があると思っているんですよ。いまのところは何といいますか、名神高速道、それから国鉄、バス――バスは道路できますがね。それから私鉄、地下鉄、問題はやはり自動車が問題だと思いますよ。名神を利用して来る人、それから中央道を利用して来る人なんかから見ると、モントリオールでも困ったらしいですよ。私も建設中に行きました。それが一番問題だといわれておるんですが、ただ日本の場合は相当早いときから計画されておりましたが、その点について自信があるかどうか、ぼくは相当混雑をして、事故を起こすかどうかは別として、その点については建設省はどう考えておりますか。
  149. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 非常にありがたい御意見、また御指摘、恐縮いたしております。私もその点を憂慮いたしまして、きのう地建の局長等に対しまして、これに対する考え方、あるいは予想、あるいはそれらに対する施策の具体的方法等もただしましたのでございますが、万全を期しがたい点も私はかなりあると思います。その点は心配いたしておりますが、ある程度自信を持ってこれに対応できるというような考え方も持っておりますが、場合によってはかなりふくそうする点も出てくるんじゃないかというような心配もなきにしもあらずということでございますが、地建の局長としてはかなり自信を持った答えをいたしてくれておりますが、十分これらについては配慮もなおしたいと、こう考えております。
  150. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはそのときにならぬと予想つきません、実際問題でね。あるいは予想外に観覧者が少なかったという場合があります。また多いという場合もありますしね。この点は私わかりませんが、その点十分注意してもらいたいと思いますが、ただ地方公共団体に対する関連事業の補助の問題ですね。これが特別の補助はないんだ、一般道路は道路としての補助だと言われるんですがね。相当それで地方住民の負担が重なっておる。これは大阪市だけに聞いたんですが、何百億というような数字を聞いたんですが、これは私まだはっきり自信ありません。そういうような関連事業を投入して地方公共団体はどうなるかというと、ほとんど起債らしいんですよ。起債でやっておる。そういうものについて政府が利子補給なりみんなしていると思うんですが、その点、この間あなたのところの係官に聞いたら、普通の補助率以外に出していないということですが、ぼくは菅野国務大臣から聞いた場合には、いや万全の措置をしているのだと、こういう話ですが、その点どうなんですか。
  151. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 万博の関連の工事につきましては、この工事に取りかかる前、計画の段階におきまして地元の地方公共団体とも十分な打ち合わせをいたしまして、どの程度を国でやるか、どの部分は地方公共団体が引き受けるかという相談をいたしました。その間における地元負担の問題についても話し合いをいたした結果、万博関連公共事業の大ワクをきめたわけでございます。確かに相当な地元についての負担になりますが、これらにつきましては、いわば先行投資的な公共施設の整備でございますので、地元といたしましても相当の負担をすることについては計画の当初から承知いたした段階でございまして、それらに基づきまして逐次工事の進捗が見られているという現状でございます。
  152. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先行投資――もちろん先行投資に違いないんですがね。ただ、大阪市の御堂筋からずっと入っていく高速道路が建設されていますね。万博のために実はあれだけのものをやっているんでしょう。それは市内にあれだけの大きい道路ができる、しかも高架でできるのですから非常に便利になる向きもありますけれども、あれは北のほうに対するだけの先行投資で、大阪市全般の先行投資にはならぬですよ。それはなるほどそれだけのものは残ることは残りますけれども、あれだけのばく大な費用をかけるとなればもっと私はやる方法もあると思うんですがね。だから、私はやることはいいと言うんですよ。もう少し補助率がいいということを聞いておったんだが、普通の他の道路と同じような補助率であるということが気に入らぬのですがね。これは建設省としては、われ関知せずということですか。
  153. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま御指摘いただきました道路につきましても、先生もおっしゃられておりますように、万博のためだけではなくて、大阪の今後の都市計画上の一番重要な一つの路線になろうかと思います。こういった問題を含めまして、これだけ一時に大きな金が要るんだから補助率のアップ等も考えたらどうかという御指摘かと存じますが、これらにつきましても、冒頭に申し上げましたように、この計画を立案する段階におきましても地元ともいろいろ話し合いをいたしました結果、通常の補助率で一時に先行的に投資をしようじゃないかということで合意を見たものでございますから、それで進めておる。それにつきまして、いろいろ地元でも多少の要請はございましょうが、ただいま、まあまあの段階で事業が進められている、かように承知いたしておる次第でございます。
  154. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあなたの言われることは実際は地元については調査されておりますが、あの道路一つ見ましても、大阪市の住民があれを実際は利用するということはほとんどないんですよ。それは万博は単に大阪のものじゃないから、これは私はいいんですよ、いいんだが、あれは大阪の開発のためと言われるけれども、大阪の住民があれができたために迷惑するということは相当あるんですよ。あの道路は高架で通ったんでしょう。周囲の商店街は大迷惑ですよ。立ちのくにも立ちのけないし、万博のためだから、おまえらしんぼうしろということですよ。市長もつるし上げを食っていますよ。だから、そういう犠牲者のあるということも考えなくちゃいかぬわけですよ。だから大阪市のためだと言いますが、それはあれを利用する人はいいかしれませんが、住民は非常に迷惑する。だからそういう点から見、しかも、それが大阪市の住民の税金でまた起債を返すんだ、こういうことでは反対が相当強いんですよ。社会党はいろいろ修正をして賛成はしましたけれども、いろいろ問題が実はあることは大臣御存じだと思います。ぼくらも大阪に帰ったらつるし上げを食うんですね。これはオリンピック、札幌の冬季オリンピックがありましょうが、これは関連した問題が実はあるんですね。世界に大阪の地名をとどろかすというようなことを喜ぶ人もありますよ。しかし、世界に大阪で万博をやったからといって、大阪市民の腹がふくれるわけではございませんし、もちろん地方から集まるんだから、商店がもうかるというんだけれども、もうかりませんよ。そんな、あそこへ来る人で大阪市内へ入ってものを買う人はわずかです。ホテル業者とかそういう人はもうかる。そういうことから見ると、大阪市の反対があって、中馬市長も非常に苦境に立った場合もあるんですが、これは恩に着せるわけでわないんですが、それらの反対をなだめてあれは賛成したんですね。だから、そういうこともあるから私はしつこく言うんですけれども、これで二回、私は予算委員会でも一ぺん言いましたね。だから、あのときの菅野氏の答弁はもっと有利な答弁だったんですが、どうもその点は私は納得しないんだが、今後できるだけその点については建設省も協力してもらいたいと思うんですね。
  155. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) いま山本委員御指摘になりましたあの問題、道路の問題につきましては、私も関心を持ちましたので、きのう知事と市長と同じ自動車に乗りまして現地へ参りまして、そして作業の状況等もまのあたりに見てまいりましたのでございます。その間における市長等の話、また問題点等も指摘も受け、また私もただしたのでございますが、いま官房長が申しましたような考えで、先行投資の立場でああした事業の推進をはかっておられ、その目標が御承知のとおりの万博の関連のある事業である。しかし、この投資計画は大阪の今後の都市計画の大きな面から見ました場合には、かなりの私は役割りを果たすものと期待もいたしておりますが、関係地域住民等の非常な犠牲に対する御努力やら、また御協力に、いろいろとお骨折りをいただきましたことに対しましても、深く私は感謝をいたしております。建設省といたしましては、きのう私もよく聞きましたので、それらの点を踏まえながら善処いたしたいと、こう考えております。
  156. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは万博だけではなくて総体的に――きょうはこれで終わりますが、これができて喜んでいるところは相当あるのです。まず、土地の所有者です。あれによって沿線は非常に土地が上がった。ものすごい土地の値上がりです。あなたの留守中だいぶやったから、もうやりませんが、ものすごく喜んでおります。その陰には賃借人とか商売人とか、これが非常に犠牲になっておるのです。この大きい矛盾というものは、日本の社会の一つの縮図だと思うのです。一方では何もせぬでもうかっておる。一方ではいままで先祖代々営々店を開いておった人はたたまなければならぬ。こういう実情なんです。これらはやはり為政者として、政治家として十分考える必要があると思います。私はきょう何時間か知りませんがやりましたが、結論はやはりそこにくると思うのです。これはあなたは非常に熱心な人だといううわさもあるから、ここまで真剣に言うのですけれども、そんな人でなければ私はあまりやりません。建設大臣という相当国土開発についての責任者ですから、そういう基本的なものを踏まえて今後政治を行なってもらいたい。大体わが党も建設省設置法は、これは賛成ですか――ぼくに言わせれば反対したいのだけれども、理事諸公がおられますから、おまかせしますけれども、こういう建設省のいままでのやり方から見ると、室を部にかえるというような小手先の細工のようなことをやることについては、私は本質上の問題は別として、建設省何しておるのか。そういう意味からでも私は反対したいのだが、ここではっきり言うとまたあとで困りますから、その点の意思表示は保留しますけれども、その点は建設大臣、将来とも建設行政について万全の策をもって国民のためにやってもらいたい。最後にそれを聞いて私の若干長い質問をこれで終わります。
  157. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 都市建設の推進、あるいは都市開発の事業の拡大、あるいは整備等を行なう場合、あるいは道路、あらゆる意味において建設省の重要な国土の開発、建設をやる場合におきまして、非常に私も就任以来痛感いたしておりますことは、やはりこれらの事業遂行に際しましての一般庶民大衆の小さい犠性というように見えますけれども、私は本質的にはまことに大きい犠性である、こう考えておる次第であります。その大きな犠性に対しまして、政府はやはり最大な配慮をいたさなければならぬ。ことに私は建設省が、人命に関連するほどまでの大事な社会問題に取り組むのには、私は建設省が非常に重要な倫理感を持たなければならぬと、指導に際して一番唱えておる気持もここにあるような次第でありますので、こまかいように、小さいように見えますけれども、私はこれらのとうとい協力と犠性に対しましては、最大のまたこまかい配慮をいたしながら、不幸な層の各位に対しまして、きめこまやかな配慮を行政の上にも、また施策の上にもいたしてまいりたいと、こういうふうな基本本針でおりますので、今後ともよろしく御理解願いますとともに、どうかこの法案に対しましてもひとつ御賛成のほどをお願い申し上げます。
  158. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣から決意のほどを述べられ、また、山本さんからほぼ全般にわたっての質問がありましたから、私からごく簡単に、機構に入る前に二、三政策でお聞きをしておきたいと思います。  それは、一口に言って建設省の仕事というのは、ものをつくっていくほうですから、住民から実は喜ばれるわけなんですが、ただ、私はそういう反面、どうしても避けられない災害ということがやはりあるわけですね。災害の起きるたびに大臣が先頭になってヘルメットをかぶって現場視察に行くわけなんですが、毎度毎度同じことを繰り返しておって、必ずしも予防になっていない。そういう点について私は実は不満を持っている。私は寒いところで育っておりますから、あたたかいほうのことはちょっとさておきまして、雪害対策について大臣の見解を一、二聞いておきたいと思います。  というのは、御承知のとおり、最近はどうも気象条件が変調なのかどうかわかりませんが、どうも雪が北海道よりも北陸に多く降ってみたり、いろんな災害をもたらすわけです。そこで、新潟地方が一番その中心になっているわけでありますが、ああいう豪雪に対して一体建設省はどういうふうにこれから指導され、あるいは対策を講ぜられるのか。ただ起きてから災害対策本部ができて飛んで行ってみたって私は間に合わないと思いますので、まずそういう点からお聞きをしておきたい。
  159. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 積雪寒冷地帯の特に豪雪問題ということは、山崎委員御指摘のとおり、私もいろいろの意味を持って非常な体験もいたしておるような次第であります。それを考えますときに、建設省は、豪雪対策に対し政府は、これらに対するもっと意欲的な対策を講じなければならないと、豪雪対策委員会が内閣にございますけれども、それの結論というものに対する施策が具体化されていないというようなことをかんがみますときに、私はこれに対しては建設省は積極的にひとつ対策を具体的に打ち出してまいりたいと、こう考えまして、四十四年度の建設省の重点施策の一つの方向として、私はこの豪雪問題についてもう秋の来る前に私は打ち立ててまいりたいと、こういうような基本方針を持っておる次第であります。いろいろの問題点、私は伏在していると思います。それには道路の問題もございましょうし、あるいは気象関係からくるところのいわゆる周知徹底、人心を安心させる問題もあり、あるいは燃料上の問題もあり、治安上の問題もある、また科学的な検討を必要とする大きな国家的な仕事に取り組まなければならないと、私は建設省の研究所長に対しましても、ひとつこの問題を科学的に十分検討してくれないかということを先日指示いたしましたのもこの点でございますので、この間、長岡の市長を私は呼びまして、長岡市があの融雪対策に非常な意欲と予算的な苦労の中にあって、あれだけの大事業をなされたことは私は範とすべきであるというような気持ちで、つい四、五日前でございますが、私の部屋で表彰状を差し上げて、そして激励もいたし、今後のまた対策をお願いいたしておるというようなことでございますので、私はこれは行政上の上からも科学的な上からも、あるいはその他治安の上からも、いろいろの角度から総合的にひとつ豪雪対策を建設省は前向きに向かってやってまいりたいと、こう考えておるので、全く同感でございます。
  160. 山崎昇

    ○山崎昇君 たいへん心強い答弁をもらっているわけですが、私はもう少し具体的に聞きたいと思うんですよ。というのは、私は北海道の出身でありますが、これから三年後には札幌のオリンピックがくるんですね。先日、札幌市の土木で、ことしの二月四日、五日に起きた豪雪についての総括がなされておるわけなんです。これをもらってしさいに調べてみますというと、平均の雪の倍降っているようであります、この二日間で。そういう雪が降ると国道がストップしてしまう。もう何にもできない。もしもこれが三年後のオリンピックの際に――これは二月に始まるわけでありますから、このときにああいう雪が来て、除雪もできなければ国道もとまってしまう、あるいは食糧の輸送も、あなたの言うとおり何もできないというようなことになれば、このオリンピックはできないことになるんですね、事実上。ですから、私は北海道のこの間の雪の問題と、毎年繰り返されておる新潟地方のこの豪雪の問題は、いまたいへん心強い話ではありますけれども、それじゃ建設省としてどういう具体的な内容をいま検討されておるのか、まあ結論が出てないかもしれません、あるいは省議できまってないかもしれませんが、大臣の抱負でもけっこうでありますが、たとえば食糧対策ならどうするのか、各家庭に対して食糧の貯蔵庫でもつくらせるというのか、あるいは鉄道だけならば必ずどんな雪が降ろうともこれは通すようにするというのか、あるいはあれだけ雪が降って、個人で屋根の雪をおろしてやるわけですが、雪を投げるところがない。そういうことについて一体どうされるのか。私はもう少し具体的に聞きたいと思うのだ。ただ市長を呼んで表彰したって、これは雪のほうは待ってくれません。ですから、せっかく大臣そこまで言われるわけですから、もう少し、治安上の問題でも何でもけっこうでありますが、具体的な方針について述べてもらいたい。
  161. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 具体的な一環といたしまして、私は昭和四十四年度予算措置に際しまして、いわゆる除雪機の地方自治体に対する補助をかなり数をふやしまして、そうして関係市町村にこの除雪機の配分を決定いたしました気持ちもここにあるような次第であります。具体的にこうした除雪機をふやすというような問題、あるいはまあさっきも申し上げましたように、ドイツ、アメリカなどにおけるところの電気によっての消雪などをやっておる工法上の対策も私は講じたいと、こう考えております。あるいは燃料、あるいは食糧等の保管に対する行政指導も私はやはりいたさなきゃなりませんが、いばって報告する気持ちではございませんけれども、ことしの降雪季におきまして、大事な日本の東北、北海道、あるいは北陸、山陰等の国道の交通が雪によってとまって、そうして異常な地方に乱れを来たしたというようなことは幸いにしてなかったことを喜んでおります。これは日ごろのやっぱり工事事務所なり、あるいは地建などがこれに対するところの訓練と配慮をいたしてくれた私は隠れた力も認めてやりたいと、こう思っておりますので、こういうような面、総合的に私は打ち出し、そうして先ほども申しましたように、雪の降るまでに一つの総合的な対策も具体化してまいりたい、いま申し上げました点などを含めながらやってまいりたいと、こう考えております。
  162. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま検討中というのですから、これ以上ここで大臣に中身を聞くのは少し酷かもしれません。ただ私もこの間の雪のあと行ってみたり、あるいは関係市町村の話を聞くというと、どうしても直さなきゃなりませんのは、単に機械力を入れてもこの機械が使われないのですね、あれだけ一ぺんに降られるというと。ですから北海道の開発事業を私ども見ておるというと、その半分はほぼ道路事業費ですね。そうして、道路事業費をまたこれ分析すると、舗装率がどうで、あるいは除雪の量がどうでということになるけれども、一朝こういう有事の際の対策というのは、何もしていないということは言いませんけれども、やはり私は皆無にひとしい状況にあるのじゃないか、この思うのです。そうして、もしもこういうときに火災なり、そういう災害があわせて起きた場合に一体どうなるか、私は最大の心配をする。あるいは札幌市内を歩いてみましても、駐車が道路にされておる。いわばそれによって道路の除雪があまりうまくできない、こういう問題はもちろんあります。ですからそういう点、もちろん建設省では何かやられるのだと思うのですが、いずれにしてもこういう豪雪地帯、あるいは気象条件の変化によっては思わざる災害の起きるところについては、ひとつ建設省で十分配慮を願いたい。また南のほうで言えば、必ず台風のシーズンといえばもう台風の通るところがある、こういうところについてもほとんど災害復旧だけであって予防措置というのはそんなにとられてない、こういう点、私ども不満を持っていますので、ぜひこれは大臣の善意によりたいと思いますが、今後とも考えてもらいたいと思うのです。  そこでもう一つ私は聞きたいと思うのですが、私もまあ二、三回外国へ行ってみて、ずいぶん寒いほうも歩いてみました。アメリカでも北のほうなり、カナダなり、あるいはソ連なり、ずいぶん寒いところを歩いてみた。ところが、どういうものか外国は日本よりまだ車が多いのですけれども、外国の道路というのは一冬たってもそんなにこわれていない。破損しない。ところが日本の道路というのは一冬たつとかなりこわれる。特に私は札幌の出身ですから、札幌を見ると、札幌は美しい町だなんて言われるが、一冬たったらもう歩かれないぐらいの道路になっちゃう。恥ずかしいですね。あれでオリンピックをやるのかと、私はほんとうに恥ずかしい気持ちを持っておるのですが、どうして日本の道路はこんなにぶっこわれやすいのか、これは技術が悪いのか、金の使い方がへたなのか、手を抜くのか、私はよくわかりませんけれども、なぜ日本の寒冷地帯の道路というのは一冬たったらこんなにこわれちゃうのか、私はふしぎでならないのですが、専門家にひとつ意見をこの際聞いておきたいと思う。
  163. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 冬季に車が通ることによりまして道路がこわれるというお話でございます。実は私も学校出ましていろいろ建設事業をやっておったわけでございます。学校出た当時、いま振り返ってみますと、あの当時、まだ土質というものに対する、土質工学といいますか、いまで言いますと、そういうものがまだあまり発達してなかった、要するに車の重量もいまより軽かったために、簡単に上をコンクリートで舗装するとか、アスファルトで舗装するとかいうようなことが行なわれまして、その後、いろいろそういうことで、舗装がこわれるということで、かなり、戦後でございますが、土質についての知識も非常に開発されてまいりました。そういうことから原因を探求いたしますと、北海道では特にそうでございますが、道路の下の路盤の凍上現象、凍み上がりの現象ということで、上にあります舗装が全部下の道路が凍上いたしまして、それでこわれるという原因がつかめてまいりました。そういうことで、現在、北海道でやっておりますのは、凍上を防ぐために路盤にかなり砂を入れまして、これも冬季の温度、土質、そういうものから入れます砂の厚さは変わってまいりますが、そういうことで、逐次、研究を続けながら実施をしてまいりました。そういうような過程の中で、やはり昔は非常にこわれた道路が多かったと思います。これからの新しい道路、バイパスをつくるなり、新しい道路を舗装するような場合は、北海道でも十分そういう土質を考えまして、かなり厚い砂の遮断層を置きまして実施しておりますので、以前のようにこわれることはないと思います。ただ、やはり車にチェーンをつけます場合に、これは北海道より内地のほうでよく見られますが、チェーンのためにアスファルト舗装がよくいたむということもございます。この辺は、アスファルト舗装の場合、そのチェーンによるいたみを少なくするためにはアスファルトをよけい入れるということも考えられます。アスファルトをよけい入れますと、夏の高温になりますと非常にそのためにまた悪い影響が出てまいります。そういう点で、非常にアスファルトの表面の摩擦力をふやすような工法、こういうことを研究しております。まだまだ私たちの舗装の技術の中で改善していくべき点も非常に多いかと思いますが、やはり天候、土質、冬季の道路が除雪されるという前提のもとにチェーンによる摩耗を防ぐというようなことも研究してまいりたいと思います。これからの舗装については、そうやったらすぐこわれるということはないと思います。ただ、いまの私たちがやっております舗装の中に、とりあえず、簡易舗装というようなものを内地で相当やっております。これは道路をまず改良して舗装するのがたてまえでございまするが、そういうことではなかなか舗装できないというので、とりあえず、簡易舗装をするようなことも考えておりまして、簡易舗装になりますと重車両に耐えないということもございます。こういうものは、やはりメインテナンスと合わせて車の通行に支障ないようにやっていきたいというように考えておる次第でございます。
  164. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまの詳細な説明であったわけですけれども、北海道でもいまはそんなにチェーン巻いて走っている車なんぞないのです。木材の積み出しのトラックぐらいはそれはやるかもしれません。あるいはまた奥地から運ぶ砂利トラくらいはチェーンは巻いておりますけれども、ほとんどといっていいくらい、もういまはスノータイヤですから、冬の間といえどもチェーンを巻いて走るなんというのはないのです。だから、いまのあなたの説明のチェーンによる摩耗なんということは、私はもう考える時代ではないと思っている。ただ、私は私なりに、しろうとなりに考えるのは、なるほど国道は舗装されるけれども、県道、市道、町村道になると必ずしもそれとぴったりしない。そこで、せっかくの国道がどろだらけになってしまう。いわばどろんこの中を走ってきた車がそのまま舗装の上を走っている。私は小さいころ農民ですから、土のあったかさなんというのは皆さんの想像以上のものなんです。いわば畑の雪を溶かすのに、穴を掘って土をまけばもう溶け方が半減するんですね。そういうふうに考えてみますというと、あのどろというのは案外この舗装というものに影響するのじゃないか。それから北海道の場合は朝晩の温度がかなり違いますから、そういうものもあって私はいたむ率もあるのだと思うけれども、それにしても北海道の都市という都市の道路というのは一冬でいたんでしまう、とりわけ美しい町といわれる札幌なんぞは、とても恥ずかしくてどうにもならぬくらい道路がいたむ。これは単にいまの局長答弁だけではどうしても私ども納得できないのですね。何かもっと私は根本的な欠陥があるのではないか、市のやり方がまずいのかもしれませんよ。そういう意味で道路というものについてもう少し私はやっぱり考えてもらいたいと思うし、もしも各自治体がまずいのならば指導もしてもらいたいと思うのです。いずれにしても、あと三年後に札幌の場合はオリンピックがありますから外国の方々が来るわけですね。そして札幌市内もかなり歩かれると思うのですが、その際にいまのような恥ずかしいかっこうしたくない、正直にいえば。それにまたさっきも言うように、ちょっと雪が降ったからといってほとんど困るようなかっこうでも、これは事実上できないと思いますから、その点もう一ぺん私のほうで指摘をしておきたいと思うので、これは善処を要望しておきたい、こう思うのです。  その次にお聞きをしたいのは、北海道防寒住宅建設等促進法という法律があるわけなんですが、これによって北海道の住宅は防寒住宅につくるわけです。ところが、これをずっと読んでみましても防寒の具体的な基準というのがどうもはっきりしない。そこで建設省にお聞きしたいのだが、どの程度のことがこれは防寒の基準になるのか、あるいは行政指導として行なわれておるのか、それをまずお聞きをしたいと思うのです。
  165. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 防寒住宅につきましては、防寒構造というものを考えているわけでございますが、それらにつきましては住宅局の総務課長が来ておりますので、総務課長から説明さしていただきたいと思います。
  166. 白川英留

    説明員(白川英留君) 防寒構造につきましては実は現在基準がございませんので、近く省令をつくりましてはっきり規定いたしたいと考えております。ただし、現行法では根拠規定がございませんので、聞くところによりますと、議員提案によりまして建設法を改正いたしまして根拠規定をつくり、それによって省令をつくる、こういう予定でございます。
  167. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうするとあれですか、建設省としては議員提案を待って措置をする、こういう態度になるわけですか、あなたのほうから。この北海道防寒住宅建設等促進法の二条に定義が載っているわけですが、この中にはないわけですね。したがって、いまあなたからも明確な基準がない、こうなんですが、もしも省令をつくるならば、この第二条の定義によってもある程度のことはつくれるのじゃないですか、そう私は思うのですが、どうですか。
  168. 白川英留

    説明員(白川英留君) 御指摘のように、法律的には実施省令という形で省令がつくれないこともございません。
  169. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、いまあなたは近く省令でやるというのだが、いまのような実施省令という意味も含んで近く建設省ではこの基準を明確にする、こういうふうに理解をしておいていいんですか。
  170. 白川英留

    説明員(白川英留君) 実はそこまでまだ結論が出ておりません。実施省令によって防寒基準をつくるというところまで結論が出ておりませんが、早急に検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
  171. 山崎昇

    ○山崎昇君 必ずあなた方の答弁というのは検討中だとか、早急にだとか言うんですが、私どもこれを見るというと、どうもそういう点が消極的だと思うんです。法律をつくっておいて、こう定義まで述べておいて、中身は何にもない、そして何かというといまのような答弁になる。その点、私はやはりこういった問題については基準を明確にしてもらいたいと思う。住宅五カ年計画を私ども見てみますと、どうも財政投融資でやっているもの、あるいはその他でやっているものを見ましても、全国平均に比べて北海道の実施率というのはきわめて低いわけです。半分くらいにしかなっていないと私ども聞いている。これはほんとうか、うそかわかりませんが、北海道の持ってきた資料を見ますと、財政投融資関係の住宅では全国で四八・七%くらい五カ年間で実施がいっているが、北海道では二二・六%しかいっていないと、こういう数字を持ってくるわけです。ですから、私どもこの北海道の要望書なんかの数字を見るというと、どうも北海道のこういう住宅建設というのはかなりおくれているんではないか、とりわけ公的資金でつくられる住宅なんかは、この法律によってすべてこれはもう防寒住宅として建設すべきではないかと思うんですが、そうでもない、そうしてその基準が不明確だ、これでは幾ら法律をつくっても魂が入ってこないわけです。そういう意味でいま聞いているわけですが、重ねて、この省令等の問題はそれじゃいつごろまでに出されるんですか、もう少し詳しく述べてください。
  172. 白川英留

    説明員(白川英留君) 実はまだ住宅局におきましていろいろ局内で協議中でございます。まだ結論が出ておりませんので、早急に結論を出しまして、省令をつくる方向に持っていきたいと、こういうふうに考えております。
  173. 山崎昇

    ○山崎昇君 それから重ねてお聞きしますが、財政投融資でありますとか、国庫補助でありますとか、いわば公的な資金でつくる住宅というのはすべてこれ防寒住宅とすべきではないかと、私どもはこう思うんですが、その点はどうですか。
  174. 白川英留

    説明員(白川英留君) 御指摘のように公的資金でつくる住宅につきましては防寒住宅にすることが適当だと思います。現行法では住宅金融公庫から融資される住宅につきましては、簡耐または耐火構造にするようになっております。その他の住宅につきましては実は金といいますか、建設資金の関係で「努めなければならない。」というふうに努力義務になっておる次第でございます。
  175. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで重ねてお聞きしますが、たとえば木造の住宅であっても最近は建築技術が進んでおりますし、それから建材なんかもずいぶん進んでいるわけです。そこで私どもは木造の住宅であってもやはりこれからは防寒住宅にすべきではないかと思うんです。それに対してはやっぱり建設省として公的な補助をするなり、あるいは金融機関からの資金導入なり、そういう方法がやっぱりなされるべきではないかと思うんです。ところがいまの法体系では木造住宅のそういうものについては若干むずかしいようになっておりますし、したがって、そういう方向をもし建設省で確認するならば、関係法律といいますか、規定といいますか、そういうものを整備するか、改正するか、そういうお考えがあるのかどうか聞いておきたい。
  176. 白川英留

    説明員(白川英留君) ただいま御指摘の防寒構造の点につきましては、現在、北海道の防寒研究所において研究された結果、木造でありましても十分防寒構造のものができるという結論が出たように聞いております。もし、それが正しいとすれば木造であっても住宅金融公庫の融資なり、公的な援助をやってもいいと考えておりますが、法律改正につきましては実はまだ局としては十分検討いたしておりませんので、確約はちょっとできない、こういうことでございます。
  177. 山崎昇

    ○山崎昇君 ここですぐあなたに確約せいといっても、それは無理だと思う。そこで手続が要ると思う。ただ、あなた方の考えとして、いま答弁されましたように木造の住宅であっても公庫等の融資の対象にするとか、あるいは建材、建築工法の発達等に伴って防寒住宅にさせるとか、そういう方向にあなた方が考えるとするならば、近くそれらについての法改正が必要なら法改正をやる、あるいは省令の改正が必要ならば省令の改正をやる。いわばそういう手続をあなた方が近くとるお考えがあるのかどうか、あるとすれば大体いつごろまでにそういう方向というものが見出せるのか、もしもここでお答えできるならば、その範囲お答え願っておきたいと思うんです。
  178. 白川英留

    説明員(白川英留君) 本件につきましては、まだ省内で十二分に検討いたしておりませんので、ちょっと御返事申し上げかねます。
  179. 山崎昇

    ○山崎昇君 では、大臣せっかく来ておられますが、いまのような点、ひとつ大臣としてはどうされますか。法改正を伴うものをここですぐ私は法改正やれと言っているんではない。しかし、いずれにしてもこういう内容が建設省として認められるなら、そしてこの北海道防寒住宅建設等促進法というのが、多少やっぱり不備な点があるわけですね、そういう点あなたのほうでわかっているわけでありますから、そういう改正手続等を考えられるなら考えたいとか、いますぐではありませんけれども、大体めどはいつごろには建設省内としては検討されるとか、そういう方向でも大臣から御答弁願えるならひとつしてもらいたい。
  180. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) この問題に対しまして、私はいま山崎委員が御指摘になりました、御意見をかわされているのを、いままでまことに不勉強でございますが、率直に申し上げますと、この問題、私は初めて取り組むといいますか、大事な問題として聞いておったような次第でございます。したがって、御指摘になりました数々の点についてはやはり検討を加え、またまじめにこれらに取り組む必要があるということは、私いまかわされている間において、私もそういうふうな気持ちをいま持っておりますので、いま直ちに私の決意のほどは申しかねますけれども、十分いまのお気持ちをそんたくいたしまして検討いたしてまいりたい、こう考えております。
  181. 山崎昇

    ○山崎昇君 さらにこの防寒住宅の場合、最近、都市合併でありますとか、町村合併でありますとか、ずいぶん地域が広まっていくわけでありますが、市街地に家を建てるのと違って、たとえばたんぼの中にぽつんと建ててみたり、いろいろあるわけですが、そういう場合に不燃住宅、いわば燃えにくい住宅ということで外装も私ども必要だと思うんですが、しかし、そういう場合にはむしろ内部の不燃化ということがかなり私は重要ではないかと思う一人だし、また寒冷地の住宅について研究されている方々の意見を聞くとそういう声がかなりあるようであります。そういう意味で、せっかくいま大臣からこういう問題、初めて聞くんでこれから検討したいと言うんですから、そういう点も含めて私は北海道の防寒住宅というものについて考えてもらいたい。これは将来北海道ばかりでなしに、寒冷地帯はほとんどこういう住宅にしなければならぬのではないかと思いますので、そういう点もあわせて、せっかくでありますからひとつ御検討願いたい、こう思います。  それでは次に、これはまた私よく内容わかりませんが、四月十二日の新聞を見るというと、高層ビル、地下街の防火等について何か厚生省と消防庁との間の協定が結ばれたというふうに報道されているわけです。もしもここでおわかりになるならば、どういう内容の協定が結ばれて、どういう点が消防庁と建設省で意見が合わないのか、ひとつお聞きをしたいと思う。
  182. 白川英留

    説明員(白川英留君) ただいま建設省では住宅金融公庫法の一部改正を立案中でございます。目下、法制局で検討中でございますが、その際に、各省と協議いたしました際に、消防庁、厚生省等から意見が出まして、特にいま御指摘の深層部、それから高い建物の上のほう、そういった深層部、それから高層部につきまして、何といっても防火上の遊離の問題が非常に問題でございますので、そういったところには防災対策を十分にやる必要がございます。そういった防災対策の基準につきまして、今後十分に連絡しながらやっていこうと、こういう趣旨の覚え書きをかわした次第でございます。
  183. 山崎昇

    ○山崎昇君 私もこれは新聞報道だけですからよくわかりませんが、十三日の朝日新聞によると、大律留というのですか、住宅局長と消防庁の山本次長との間に覚え書きが交換された。しかし、かなり意見の相違があるようですね。したがって、私が聞きたいのは、もう少しその覚え書きの内容でポイントとなる点があれば説明願いたいし、それから建設省と消防庁でどういう点が一番意見の対立があって、どういう点が一体どういうふうに調整されてそういう覚え書きになったのか。ただ、この新聞の報道だけで言うと、相当な意見の対立があったというふうに書かれているだけで、私どもわからぬわけです。私も高層ビルの火災なり、あるいは最近の東京駅の地下なんというのはたいへんな地下街になっているわけですから、あれで一ぺん何か火災でも起きたり、その他の災害が起きたら、これはもうたいへんだと思うのです。あるいは渋谷へ行ってみましても、何か空気抜きがずいぶんでっかいものがついておりますが、あれはこの間の実験等を見ても、たいへんな煙によって人命が失われるということになる。そういう意味でいうと、建設省のほうから見てもこういう問題というのはきわめて私は重要な問題だろうと思う。そういう意味で、消防庁と建設省のほうで一体どういう点が一番対立点になっておるのか、もう少しひとつわかれば説明願いたいと思います。
  184. 白川英留

    説明員(白川英留君) 一番問題になりました点は、劇場、映画館、そういった人の多数出入りするものを深層部なり建物の高層部につくらせない、禁止するという主張を消防庁のほうでやっておりますが、これを禁止するということは非常に大きな問題でございますので、今後十分に両省庁で協議しましょう、こういうことでございます。
  185. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あれですか、わざわざ覚え書きを交換をして、いまあなたの説明のように、劇場、映画館等々の深層部並びに高層部の建設については制限するかしないかお互いに研究しましょうと、そんなことで各省間の覚え書きというのはやるのですか。私はそんな簡単なものではないのではないかと思うのです。覚え書きを交換というぐらいならば、相当な激論があって、そして建設省は建設省の方針があるでしょう。消防庁は消防庁の方針があるでしょう。単に共同研究しましょうなんという程度のものじゃないのじゃないかと私は思うのですが、どうもあなたの説明を聞いていると、あまりにも簡単にあしらわれるようなかっこうですが、そうじゃないのじゃないのですか。これだけのことを報道されるということは、何かもう少し私は深いものがあるのじゃないか、こう思うのです。たとえば建設省側から見るというと、建築基準法その他の法律的な問題だって出てくるでしょう。それから消防庁からいわせれば防災関係法律関係だって出てくると思うのですね。ですから、そういう点について、私はかなり両者で意見の食い違いやあるいは討論が戦わされておるのじゃないかと思うのですが、どうですか。何かいまのようじゃ、あまりに簡単なことで、覚え書き交換ということにはならないのじゃないかと思うわけでありますがね。
  186. 白川英留

    説明員(白川英留君) 実は私、覚え書きの所管をいたしておりませんので、詳しいことはわかっておりませんが、やはり何といっても、ある用途を禁止するのは非常に大きな私権の制限になりますので、その点がやはり一番大きなポイントになったと、こういうふうに聞いております。
  187. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、たとえばこの新聞報道によるというと、デパートの一番上に映画館をつくったり、あるいは地下街に映画館をつくる、こういうことは、消防庁側から言わせれば、これはもうたいへんなことだ、やめてもらいたい、こういうことですね。あなたのほうから言うと、どうもやめろというのはぐあいが悪い。こういうことになるのでしょう。ですから、私はそこに重点を一体建設側に置くのか消防側に置くのかによって、これはまるっきり違ったものになってくると思うのですね。そうするというと、さっき山本さんからも少し質問が出ましたが、高層ビルそのものについて、これはかなり議論しなければならぬということになってくると思うのですが、それはまあここは建設委員会じゃありませんからさておきまして、いずれにしてもこれは重要な覚え書きであろうと思うのです。そういう意味で、いまあなたは所管外だと言われますから、これ以上追及をいたしませんが、できればこれはひとつ資料で出してもらいたいと思う。これは委員長に要望したいと思いますが、はかってみてくれませんか。
  188. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまの資料出せますか。
  189. 白川英留

    説明員(白川英留君) 追って提出いたします。
  190. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで政策面については、聞きたいことはありますけれども、建設委員会でもありませんから省略をしたいと思うのですが、機構について二、三お聞きをしておきたいと思うのです。  今月の三日に石原委員から質問がありまして、いま四つほどの地建に部を置くことになるわけでありますが、残された地建はどうするのだという質問をしたら、何か四十五年度以降にはやりたいのだというお話ですね。こういう答弁であったわけです。そうすると、一年間に、残されたところはどんなに事務量が膨大になるのかという私は疑問を持っておるわけですが、一体この地建、八つだか幾つかあるわけでありますが、どうして半分だけやって半分だけやらないのか。それから時間の節約上、見ますというと、一つもこれは人員がふえないのですね。人員がふえなくて、今度は部長ができて課長が二つできるということで、結局は上層部だけできて、実際の実務屋は減ってくると思うのです。いわば管理だけはふえてくるということになるけれども、その他はふえないということ、こういう点についてひとつ疑問がありますので、まずお聞きをしておきたい。
  191. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 八地建ございますが、そのうちの四地建にさしあたり昭和四十四年度におきまして企画室を企画部に名称変更いたしたい、かように考えておるわけでございます。私どもといたしましては、八地建全部一緒に企画室から企画部へということも考えたわけでございますが、八つの地建を比較いたしますと、関東、近畿、中部、九州、この四つの地建は他の地建に比べまして、事業量等々から見まして、格段の高位を占めておるわけでございます。そういうような意味におきまして、当面、四つの地建において企画室を企画部に名称を変更いたしまして、その他の地建につきましては、四十五年度から部を設置するというようなことにいたしたいと、かように考えたわけでございます。そこで、室と部の違いでございますが、これは累次、当委員会で御議論がございましたが、室と申しますと、室長のもとに係がございまして、その係、係が直接室長に結びつくというふうなかっこうをとるのが通例でございます。いわばまあスタッフ的な機構、こう申し上げてもそう間違いはなかろう。そうなりますと、事業量の増大に伴いまして、室長が一人で全部の係をカバーするということは非常にむずかしくなります。たとえば関東地方建設局のごときは係が九つもあるという状況でございます。そこで、いわば下部機構を整備するということで、企画室の仕事の中身を分析いたしまして、課を二つぐらい設置いたしまして、そこで課長が統括をする、それらをさらに部長が統括をいたして、事務の遂行上円滑ならしめると、かような手段をとってまいりたい、かように考えたわけでございます。
  192. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、スタッフ的機構である企画室ならばめんどうだけれども、行政機構的な課にすれば何か能率があがるというふうにも聞こえるわけなんですがね。どうも私はそこらわからない。それならばあなたにお聞きしますが、残された四つの地建の場合に、なぜ、じゃスタッフとして残されるのか、なぜこれを行政機構的に直さぬのか。たとえば、部までいかなくても、企画室なら企画課とその他の課――事業課か知りませんが、そういうことだって可能だと思うんですね。だから、私は必ずしもスタッフ的な機構だからどうも行き詰まって、行政機構的な機構にするからそれがうまくいくんだという論はどうしても納得できないわけです。そして、いま聞けば、残された四つはほんとは一緒にやりたいんだけれども、どうもぐあいが悪いから残して四十五年度からやるんだと、こういうお話ですね。この辺にも私はどうも納得ができない。それから定員は何にもふえない。ただ、ここに道路整備特別会計と治水特別会計から二名振りかえることになってるんですが、これもどういう意味か私わかりません。なぜ特別会計から行政機構になれば定員が振りかわるのか、なぜスタッフならば定員というのは振りかわらぬのか、その辺も私はわからないので説明願いたい。
  193. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 各地建の企画室を考えてみますと、それぞれ人員並びに係の数が相当違うわけでございます。とりあえず企画部に名称変更いたしたいと考えております関東、中部、近畿、九州は、他の地建に比較いたしまして員数の点においても若干多い、それから仕事内容もいろいろ分割されており、そのような意味におきまして他の残りの四地建に比べまして、企画室長が一人で係の全体を統括していくという室のタイプに四地建は当面適さなくなってきた。やはり組織を二課に分掌いたしまして、それぞれの課長が統括をいたし、これをさらに部長が取りまとめていく、企画室長一人で取りまとめられる分を課長が二人、またその上で部長が一人というふうなかっこうで取りまとめていくことのほうがより望ましい、事務の円滑に資する、こう考えたわけでございます。他の四地建は、予定いたしました四地建に比べまして、人数的にも若干少のうございますので、それらにつきましては当面、四十四年度において直ちに部制をとらなければ事務遂行上重大な支障を生ずるというふうには考えられませんので、四十五年度以降、部の設置に切りかえてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  194. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃあなたにお聞きしますがね、これはここの調査室でつくってもらった資料ですが、これを見ると、今度据え置かれる東北なんぞというのはかなりな人数ですね、四千五百六十六人と、むしろ近畿より約百人ぐらい多い。あなたの説明ではそれは矛盾だらけじゃないですか、人数でいくならば。なぜ、それじゃ規模が大きくてそして東北六県を見るような東北がこういうかっこうになっておって、そして規模が小さくてそれほど管轄区域が大きくないところを部にしなければならぬということは理屈に合わない。だから私はどうしてもあなたの言う説明ではこれは納得できないのですよ、これは。そうでしょう。もしもあなたの言うように、人員が大きくて機構が大きくて複雑だというならば、あなた九州と東北なんかまっ先にこれをやらなければならぬじゃないですか。その辺はどういうふうにあなた説明するのですか。
  195. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 私の説明が不十分でございましたので誤解を招いたことをおわびいたしますが、員数が少ないと申し上げたのは、企画室の員数でございまして、地方建設局全体の員数を申し上げたのではございません。あらためて申し上げますが、地方建設局の企画室の人員につきましては、関東、中部、近畿、九州、この四地建は多うございます。その他の地建よりも多い。その他の地建では若干これより減じております。それらの状況から、先ほど申し上げたようなことで、とりあえず四地建について部に名称を変更し、他の四地建は逐次部に変更させていただく、こういうふうに考えている次第でございます。
  196. 山崎昇

    ○山崎昇君 あのね、あまりにもあなたの答弁というのは、――なるほどこれには企画室の人員出ていませんよ。しかし、私は全体の地方建設局が規模が大きいということは、それだけやっぱり仕事の量も多いことであり、内容もあることだと思う。それでなければこれ削りなさい。ですからあなたの答弁ではどうしても納得できない。むしろこの表でいくならば、全体的に規模が大きいならば、私は東北なんか入らなければならない。ですから、やるならばどうしてもスタッフ的な機構でできない――事務量がふえて、そして事務複雑化になって行政機構的に直さなければできないということならば、全部一ぺんにすべきじゃないですか。それがつじつまの合わないようなところどころ持ってきて、こういう法案をつくるということはこれはだめだ。あなたこれは何としても変えなければ。どうですか、大臣、これ。
  197. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) いろいろの細部にわたって御指摘になりました点、よく了解いたします。理解もいたします。ただ、私といたしまして考えておることを申し上げて御了解をいただきたいと思いますことは、私の建設行政基本は、何といってもわが国の国土を均衡のとれた開発建設をいたしたいというのが基本方針でございます。したがって、この基本方針に従って私たち行政を推進してまいりたいということでありますので、東北地区あるいは北陸地方が、これらに対するところのウエートが低いからというようなことはみじんにも思っておりませんので、一度にやりたい気持ちも、私たちもいろいろと考慮いたしたのでございますが、諸般の客観的情勢も検討いたしまして、本年は四地建地区の昇格をお願いいたし、そして順次またあらためてひとつお願いをしたいと、こういうような気持ちでおる率直な気持ちをひとつ御理解願いたいと、こう思います。
  198. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣の率直な気持ちはいいのですよ。しかし、あなたがやっていることがそういうことにならないからぼくら指摘しているのです。数字で指摘している。やはりその前にやるならば、たとえば用地部でも北陸と四国はまだないですね。しかし、これは用地の事業がそんなにないかといったら、いま用地の取得というのは一番たいへんな仕事です、どこの建設局に行きましても。もしもそれならば、なぜ北陸と四国に用地部をつくって一定の行政水準を保って、その上にさらに規模が大きくて仕事がふえて、こういう機構をつくらなければならぬというなら、また私はいいと思う。それを幾らあなたが抗弁しようとも、百人も総体で人間が多くて、東北六県を支配しておる東北地方の建設局をこのままにしておいて、そして企画室の人数がどうなっているかわかりませんが、いまのような官房長の答弁でこの四つだけ企画部にするということはどうしても私は承服できない。あらためて出し直してもらうか、昭和四十五年度にやるというなら一ぺんにやってもらうか、そうしなければ行政機構論としては成り立たない。どうですか、これは。
  199. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先ほどは企画室の人員で申し上げたわけでございますが、建設省の所管の土木事業費を見ましても、関東、近畿、中部、九州と、この四地建が多いのでございます。また、建設投資額全体を考えましても、この四地建が格段と多いわけでございまして、企画室自体につきましても、企画室の担当しております調査費を比較いたしましても、この四地建が他の地建に比較いたしまして金額的にも多い。こういったところをからみ合わせまして、先ほど来申し上げましたように、とりあえず四地方建設局について部に変更さしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  200. 山崎昇

    ○山崎昇君 幾ら抗弁しようともそれは理屈であって、これは納得できないですよ。やっぱり私は役所というものは、一つは総体的な規模なり、総体の事業量なり、総体の人員で判断しなければいかぬと思うのです。部分部分だけでやるということじゃならないと思う。それも必要でしょう。しかし、やはり行政機構論でありますから、総体的な論でいくと、私は東北をはずして近畿につけるなんということは納得できないです。だから、そういう意味で、先ほどのあなたの答弁を聞くと、四十五年度には全部やりたい。それなら四十五年度に一括全部やりなさい、これは撤回して。さらに、私は何も部をつくることばかり奨励するわけではありませんが、用地部だけ一つ見ても、北陸と四国はない。営繕部も北陸と四国はない。北陸と四国は行政機構論でいけば全く無視されたようなものですね。ですから、そういう点も私は考え、特に北陸なんか、豪雪とか、ほかにない問題をかかえておる、こういうことを考慮しないでやるというのは納得できないのです。ぼくらのひがみかもしれませんが、寒いところに住んでいるから。いずれにしても私はこれは納得できないから、もう一回、建設省で検討してもらいたい、そういうことをどうしても申し上げておきたい。  それからさらに、これは私は総定員法のとき管理庁に聞かなければならぬと思いますが、最大の行政機構の矛盾点というのは、本省の課や室は、これは政令事項あるいは省令事項になっておるんですよ。ところが、地方建設局のこういう課の設置は法律事項になっている。私は行政機構論からいくと本省の課のほうが上位にあると見るんですがね。ところが、上位にある行政組織のきめ方は省令なり政令に譲っておいて、地方の行政機構の課や室は法律事項になっている。こういうことは、行政機構のいまの国家行政組織法のあり方についても私は意見を持っているのですが、きょう管理庁を呼んでいませんから、その点は建設省を責めてみてもどうにもならないと思うんだが、これだって最大の矛盾だと私は思うのです。ですから、そういう意味で、どうもこのあなたのいま提案されている地方建設局の企画室を部にするというやり方はどうしても納得できない。だから、どうですか、大臣来ておられるんだが、これを撤回してもう一ぺん検討し直しなさいよ、正直に。
  201. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) いろいろと御指摘になりました点について、私、全面的に否定したり、あるいはおことばを返すような気持ちは毛頭持っておりませんが、先ほど申し上げましたごとく均衡のある国土開発の推進を、いわゆるそれに即応した行政体制で臨みたいという気持ちで、本年度は四つだけお願いした次第でございます。そうして来年度はぜひともその四つに即応した姿でお願いをいたしたいという気持ちでおりますので、たいへん御不満ではありましょうが、御審議をお願いして、撤回さしていただく気持ちはないことをひとつお許し願いたいと思います。
  202. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣、あなた均衡あると言うけれども、不均衡なんだ。不均衡なんですよ、これは。あなた不均衡でいいというのですか。それじゃ、あなた均衡ある行政にならぬじゃないですか。
  203. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) それでありますから、均衡のある国土建設をいたす意味において、即応した行政機構の編成をいたしたいと、こういう気持ちでおる次第であります。
  204. 山崎昇

    ○山崎昇君 私どもからいうと、均衡ある行政に即応してないのだよ、これは。先ほど来聞くと、来年度からまた四つやるというのでしょう。ですから、私はやっぱりこういうやり方というのは、これはお互いに地建の方々に聞こえても行政能率に影響すると思うのです、この行政機構論というのは。ですから単に私は数字だけから言うのじゃありません。やっぱり役人の世界ですから、自分のところは何か置いてきぼりを食った。自分のところは規模が大きいのに置いてきぼりを食って、自分より小さいと思っているところにこういう機構が設定されていくということになると、どうも公務員の感情からいってもあまりいいことではない。しかし、私は公にあまり論ずべきことではありませんけれども、いいことではないと思う。そういう意味で、どうしても私はにわかに賛成することができないのです。さらに何んべんも言いますけれども、用地部にしても、営繕部にしても、どれだけの人員があるか、私どもその衝に当たっておりませんからわかりませんが、いずれにしても北陸あるいは四国――四国はぐんと人数が少ないようです。しかし、北陸の場合には、これは近畿と比べて百名しか違わないのですね、人員だけからいいますと。それで、これは用地部もなければ、営繕部もない、そうでしょう。だから、私はどうも大臣せっかくの答弁ですけれども、これは納得できないのだよ。どうですか。きょうこの法案をあげることにならないとは思うけれども、もう一ぺんひとつ考え直す必要があるのじゃないかと思うのです。
  205. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 非常に建設的な事業推進に対する励ましの意味で、私は非常に理解のある励ましの御質問としてうれしく思っております。したがいまして、われわれのとりましたこれの措置はひとつ御理解いただきたいのは、行政機構あるいは行政簡素化とあらゆる問題が出ている。こういうような客観的な情勢も踏まえまして、非常にこう事務当局が遠慮した気持ちで一気に拡大強化をいたさなかったこの良心さも、ひとつ事務当局を認めてやっていただきたいと思うのでございます。
  206. 山崎昇

    ○山崎昇君 奥ゆかしさも、ときによりまして行政事務の能率化にならない場合があるから私は言っておる。そうしてさらに先ほどちょっとお聞きしましたが、どうしてこの企画室が部になると特別会計から二名の振りかえになるのですか。これはどういう意味ですか。
  207. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先ほど申し上げましたように、地方建設局の定員自身といたしましては増員をいたしておりません。ただ、先生御指摘のように、道路並びに治水の特会から特会定員としてございました部分を振りかえまして、本局の企画関係仕事に二名ほど追加をさしていただきたいというふうに措置をいたしております。
  208. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、特別会計の定員は企画室自体は、これはどこに配置をされておる定員ですか。
  209. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 事務所でございます。
  210. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、出先である事務所の定員を削り取って、それじゃ今度は企画部に持ってきて――そうすると、課長定員にするのですか、どういうことになるんですか。
  211. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 普通の係員でございます。
  212. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、第一線の事務所はそれだけ減るわけですね。そうして企画部をつくって、実際は私は係員の増員にしても、課長が二人ふえるわけですからね。ですから結論的に言えば、課長定員を特別会計から一般会計に振りかえて、事務所から削って持ってきたということになりますね。これは結果的にはそうなると思うのです。どういうふうにあなたが説明しようとも、それ以外にこれ説明のしょうがないと思うのです。それは少し私はやり方としてはひどいのじゃないですか。企画室を企画部にして、課を二つつくって、課長をふやすために事務所の定員を削って、そして企画部に持ってきて、結論的に言うと課長を発令するわけでしょう。これは少し、私は単なる特別会計から一般会計に振りかえというだけで理解することは困難ですね。これはその点どうですか。
  213. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 特会から振りかえます二名の定員は、級別定数から見ましても課長といったようなものではございません。一般の職員でございます。企画部が設置されるに伴いまして、課長が二名各地建でふえることは事実でございますが、それと特会から振りかえられる二名とは直接関係がないわけでございます。ただ企画部の仕事も充実してまいりたいという意味で、地方建設局の総定員の中で彼此融通をいたしてまいりたいということでございます。
  214. 山崎昇

    ○山崎昇君 いや、あなたどう言おうと、結論はあれでしょう、企画部の定員が二名ふえるわけでしょう、事務所から引き揚げるんですから。それが一般職員を採用しようが、課長定員に使おうが、それはあなた方の自由だと思うのですよ。思うのですが、私から言えば、課長定員がないから事務所の定員を削ってきて、そして課長を発令する、そうでなきゃ課長発令できないじゃないですか、いまのままでいけば。いまのままで課長挙令すれば、企画室の今度どなたかが減らなきゃたらぬですね。ですから極端なことを言えば、第一線で働いている事務屋を減らして管理職をふやすということにしかならないじゃないですか、そういうことでしょう。
  215. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 各地方建設局に置きます新しい企画部の課長は、従来の企画室におりました係長をやっておりました専門家のうちから選ぶわけでございまして、事務所から参りました人の中から選ぶというふうなことではございません。
  216. 山崎昇

    ○山崎昇君 これはどうしてもいまの問題で関連して私は納得できませんが、時間もだいぶきていますから、次にもう一つ、この問題は直接は関連しませんが、建設省でこれからやろうとしている機構についてひとつ聞いておきたいと思うのです。それは地価公示法案がいま提案されていますね。この中を見ますと、土地鑑定委員会というのが今度できるようですね。この土地鑑定委員会というのはどういう機関ですか、これは。
  217. 川島博

    政府委員(川島博君) 土地鑑定委員会は、地価公示法案の第四章に規定しておりますが、機関の性格は、建設省の付属機関でございまして、外局ではございません。この土地鑑定委員会は、国家行政組織法第八条に基づく機関でございますが、この独立して地価調査並びに地価の公示を行なう付属機関といたしております。
  218. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃあなたにお聞きしますがね。行政組織法の第八条の付属機関というのは、行政行為ができないのですよ。これはあくまでも内部機関であって、それが八条の性格になっているわけです、いまのあなたの言うように。またこの地価公示法案の二条の一項によると、地価は土地鑑定委員会が「正常な価格を判定し、これを公示する」となっている。りっぱな行政行為を行なうことになる。そうすると、むしろこれは第三条の行政機関として設定しなければ、公示をして一般住民を縛るわけですから、できないのじゃないですか、どうですか。八条機関なんという逃げ道をつくっておきながら、本来は行政機関のようなことをやらせるのじゃないですか。どうですか、その点は。
  219. 川島博

    政府委員(川島博君) 国家行政組織法第八条に基づきます機関には、いろいろなものがございますが、第八条の、先ほど私は建設省の付属機関と申しましたが、同じ付属機関の中でも、組織法によりますと、試験所とか、あるいは研究所、あるいは文教施設または医療施設といった試験研究機関、こういう一つのもの、さらに第二番目には、審議会または協議会といった諮問的または調査的なもの等、外局である委員会以外のものもできることになっております。さらに、これ以外にその他の付属機関、第三の分があるわけでございまして、その他の付属機関は当然行政機関であるわけでございます。したがって、第八条の付属機関でありましても、行政機関としてある程度の行政行為を行なうことは法律上許されております。
  220. 山崎昇

    ○山崎昇君 それは行政管理庁とかなり私のほうで論争をやって、この第八条というのはこれはどうも不備でございます、こういうことになっているのですよ。だから本来、行政行為をやらせるなら三条の機関にしなければおかしいですよ。八条の機関というのは、そういうあなたの言うことじゃないのです。これはもう行政管理庁が私に対して答弁しているのだよ。だから、私はほんとうにきょう行政管理庁に来てもらって、なぜこんな八条機関としてやるのか、付属機関としてやるのか、そうして実際は行政機関といまあなたが言う、そのとおりなんですね。ですから私は八条の付属機関と言いながら実際には行政機関をつくる。いわば脱法行為です、一種の。こういう行政機関佐藤内閣の場合はたくさんつくっているわけです。そしていまの国家行政組織法というのは混乱をしているわけです。ですから、どうして私はこのあなたの言う八条のその他の機関と、こういうのだが、納得はできないのです。やるならなぜ三条の行政機関としないのか、この辺はきょう管理庁を呼んでいませんから、いずれ別の機会に管理庁の見解も問いますけれども、私はこれは納得できない。特にあなた地価について公示をするわけですからね、そういう権限を持たせるわけですから、ですからそれは何としても付属機関としてやるなんというのは脱法行為であって、これは許されませんが、きょうはこの問題は直接の機構問題じゃありませんから、関連をしてお聞きをしたわけですが、いずれにしても、いま建設省でやられようとしているこの法案にしろ、私はどうしても納得できない。そして半分はスタッフで残してそのまま、半分はスタッフじゃだめだから行政機構にする、それも行政規模から言えば、行政規模の大きいほうは据え置かれる、あるいは用地部、営繕部にしろ、特定の建設局だけはいつまでも据え置かれる、こういうやり方行政機構論としては邪道だと思うのです。ですから、どうしても地方建設局の問題にしても私はもう一ぺん建設省で検討してもらいたい。やるなら昭和四十五年度に全部一ぺんにやってもらいたい。そうでなければ企画室のままで一年間やったって、そんなに事務は渋滞するわけでもないのです。そう思うので、この案には賛成できないのですが、もう一ぺんひとつ大臣の見解を聞いておきたい。
  221. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 再度にわたる御質問でございますが、私どもといたしましてはそれぞれの地建の事業量の推進をやる意味において、さしあたり四つの地建において昇格をお願いいたしたい、こう申しているのはこの方針どおりでございます。したがって、残りの四地建に対して、なぜいたさなかったかというそのお気持ち、さっきも申しましたような励ましも十分私は心に了といたし、また感謝もいたしておりますが、やはり事務当局といたしまして、まあざっくばらんに申し上げましたならば、ささやかな善意もあるということだけはひとつ御理解を願いたい。こう思うのでございます。
  222. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時五十九分散会      ―――――・―――――