○鈴木強君 大体、この問題になっておりました米軍の基地、あるいは航空自衛隊の基地周辺、それから国際飛行場の周辺、それから新幹線周辺の皆さんの受信障害に対するいままでの政府、NHKの対策というのは、お聞きのとおりのようなものだと思うのですね。
そこで、きょうはひとつ政府とNHKのこれに対する
考え方に対する食い違いが出ているようですから、それをひとつ明らかに
最初にしてもらいたいと思うのです。
NHKも政府も、御
承知と思いますが、米駐留軍と自衛隊ジェット機の航空基地周辺におけるテレビの難視聴地域に対する受信料の減免、これは全国的に基地周辺については問題が起きておりますが、
昭和三十五年ごろから、そういう現象がジェット機の離着陸によって出てまいった。その中で東京に近い厚木基地ですね、ここでは厚木基地爆音防止期成同盟というのがつくられておりまして、今日まで、ただ単にテレビ難視聴地域の受信料の減免だけでなくて、広く一般の基地公害の問題について取り上げておるわけですが、特にテレビについては何回か熱心に陳情されておるわけです。この
委員会でももうすでに三回この問題については取り上げられておりまして、私もそのつど意見を申し上げ、政府の善処を
要望してまいりました。特に先般、
放送法の改正の際には、こういう基地周辺の方々の受信料減免について
一つの基準をつくってほしい、そういうことを明定してほしいという
要望すら出てまいったのでありますが、
放送法は御
承知のように流産をいたしまして廃案になったわけでありますから、そういうことはできませんでしたが、その後も強く政府当局やNHKに要請をしているようでございます。そこで、その要請陳情にこたえて、防衛
施設庁とそれからNHK側から、ごく最近に基地爆音防止期成同盟の真屋
委員長にあてて回答書が出ておるのですね。私はこの回答書を拝見しまして、まず順序として、反対期成同盟の皆さんのほうから出ております
要望書の
内容を簡単に申してみますと、長い間陳情、
要望を重ねて、三十九年四月一日、いま
お話のような免除基準の改正が行なわれ、二キロ、一キロの区域に限ってテレビは半額免除という
措置がとられた。ところが、この
措置について、実情を見ていろいろ検討してみますと、
実態にそぐわない点があると、不公平や不合理の点があるから、これをぜひ直してもらいたいという、こういう
考え方なんです。衆議院、参議院の
逓信委員会におきましても、附帯決議がついておることも御
承知のとおりだと思います。そこで同盟の方々が言っております改正の
内容は、免除基準の適用区域を現行のように画一的にしていただかないで、特に免除額については、爆音の平均が七十ホーンをこえる区域はぜひ全額免除にしてほしい、七十ホーンをこえるところは全額免除、これを、七十ホーンを基準として免除額というのを漸減していただきたい、そして半額あるいは三分の一額、あるいは四分の一額こういう方式をとってほしいというのがこの陳情の
内容でございます。私はまことに適切な
要望だと思います。この
要望に対して、防衛
施設庁のほうから本年の一月三十一日に回答が出ております。これは横浜防衛
施設局長の名で出ておるわけでありますが、この防衛
施設庁の回答を見ますとこうなっているわけです。「テレビ受信料の減免については、
昭和三十五年夏ごろからジェット機の騒音等でテレビ」――いまラジオは全免になりましたが、「テレビ・ラジオ等の受信が阻害されているので」云々と、そこでちょっと続いて読んでみます。「ラジオ等の受信が阻害されているので、受信料を減免されたい、との陳情が
関係方面になされた。政府としては、基地等周辺問題対策協議会を開催し、内閣審議室、郵政省、防衛庁及び防衛
施設庁の間で審議したが、郵政省の主張としては、NHKは正常の
電波を出しており、受信障害の生じている原因は、ジェット機にあるのであるから、むしろNHKは被害者の立場であり、NHKが受信料を減免する理由はないとの態度をとっていた。しかしながら、NHKの受信料減免基準には、NHKが公共
放送である特性に基づき、諸種の国家的立場からする減免が定められており、また基地問題として早急に
解決をせまられていたという実情もあって、
昭和三十九年度から特定の飛行場の周辺について受信料の減免が実施されることとなったものである。このような経緯に鑑み、テレビ受信障害について政府として受信料減免により
措置する
方針が決定したものであり」、ここのところなんです。「当庁にとっては、所管外の事項に属しているのが
実態である。」政府としてきめたことだ。「しかしながら、当庁としては」云々ということがありまして、特にここに「テレブ受信障害については、受信料の減免もさることながら、障害そのものを除去することが最も肝要であり、当庁としては、共同受信アンテナの
設置を考えているので、このような面における当庁の努力に対し、御理解願いたい。」こういう防衛
施設庁から回答が出ております。それで、ごく最近、NHKからまた期成同盟の真屋
委員長に回答が出されておりますが、これを拝見しますと、どうも防衛
施設庁の
考え方と相反するような回答になっておりますので、ちょっと要点だけ読み上げますから聞いておいてください。『
放送受信料の免除については、
放送法第三十二条第二項の規定で明らかなとおり、当協会自身の発意により郵政大臣の認可を受けた「
放送受信料免除基準」によってのみ行ないうるものでございます。
したがって、横浜防衛
施設局長から貴同盟あての一月三十一日付文書による「基地周辺における受信障害は
放送受信料の減免によって救済するとの
方針が政府として決定をみている」との見解は、当協会の関知しないところでございます。』協会としては知らぬ。防衛
施設庁は、さっきも申し上げたように、この問題については基地等周辺問題対策協議会を開催して、内閣審議室と郵政省と防衛
施設庁及び防衛庁が協議して、郵政省の主張があったが、政府の
方針として今度きめた。ところが、そんなことは全然関知しないと、こういう言い方ですね。「本来、基地の問題は、国において
措置すべきものと考えられ、今回防衛
施設周辺の
整備等に関する
法律施行令の一部が改正され、テレビ・ラジオの受信障害の
改善が図られることになったのもその証左と存じます。」、まああとに書いてございますが、こういうふうにこの問題に対する防衛
施設庁とNHK側の見解の対立があるわけです。
まず、防衛
施設庁にお尋ねしたいのですが、この回答の第三項の問題については、当時言うならば、四者会議においてここに書いているようなことが基地周辺の皆さんに対する減免の
措置として正式にきまったと、こういうふうに言われているのですが、そのとおり間違いないでしょうね。ひとつ公式の文書ですから、念のために私はお伺いするのですが、公文書をもってやっているのですから、これは間違いないと思いますが、念のために伺いたい。