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森勝治君 その最後段の場合の問題に関連して、若干私は
質問したいのでありますが、私は、かねてからこういう考えを持っておる。
経営者として、
労働者がおのれの生活をささえるためにささやかな賃上げを要求すると、若干でも足が外に出たというので足をすくって減俸や首切りをやる。そういう
労働者いじめをやります。しかし、片や当然
経営者として法を順守しなければならぬ立場にありながらそれを怠り、これを放任している。ところが、その罰則等は至って
経営者に味方しているような
法律でありますから、ゆるいのであります。
労働者に対して苛斂誅求、
経営者に対しては全く緩慢のそしりを免れることができないような現行の姿であります。したがって、私は、しばしばそういう法を守ることのできないような
経営者については、当然
経営権の制限等があってしかるべきだというかねてから私は主張をいたしておるわけであります。先般の参議院の本会議におきましても、鉱山保安の問題等につきまして、
佐藤総理も、私がいま言ったのと相当立場は違うでありましょうけれども、
経営者の
経営の制限云云というらしき
ことばを若干漏らしたことがあるわけであります。これはしかし将来の議題といたしましても、私がいま
指摘いたしましたように、
監督官庁からやさしく
指導されて、だめだといって
注意を喚起されたものを
一つも守らずにほっておいた。ほっておいたから、そんなことをすると人が死んでしまうよと
注意されておったのをほっておいたからそのとおり死んでしまった。こうなれば、私はそのなくなられた方は、むしろ当該元請
会社が殺すべくして殺したのだと私は言ってもはばかりがなかろうと思うのであります。
経営者の責任は決して免れることはできません。伝え聞くところによりますと、このほくなられた方の遺族の
方々は遺族年金すらももらえない状態だそうであります。まことに気の毒の至りであります。
会社はどういう
措置をとったか、死人に口なしで適当なことをおやりだとおっしゃるかもしれませんが、かりそめにも
電電事業の一翼をになうこれらの
業界のこういう不心得の
会社については、私は精神的な反省を求めると同時に、具体的なやはり制限があってしかるべきだと思うのであります。何も問題を起こした
会社に直ちにそういう報復的な罰則を
適用せいというのではありません。私は、
通建業界というものがすこやかに発展をしてもらいたいからこそ、こういうきびしい発言をしているのでありますが、当然そういう問題については、今度の
会社を問わずかねてからしばしば言及して
注意を喚起している。
一体公社の
総裁、私がかねてから具体的に
会社をあげて
注意した
会社、二級
業者が、そういう悪いことをしている
会社がなぜ
一級業者になるんだ、おかしいじゃないか。あのとき何とあなた方は答えた。過去のことを持ち出して恐縮でありますが、
公社の姿勢みずからがよろしくないじゃないですか。いま
担当局長はそういうことを言った。最後にどうしてもきかなかったらこうやるといっても、三百人、四百人も使って、
労働基準法に抵触をすることをしばしばやって、そうしてその
会社は優秀であるから二級から一級に上げる、こんなばかなことがどこにあるか。こういうことは厳重に
電電公社総裁が反省をしてもらいたい。こういう
委員会では何かきれい
ごとで終わるでありましょう。やってはだめですよ、違反はさせませんよ、違反するようなのは制限を加えます、といっている。制限を加えるどころではない、昇格をさせている現実の姿なんであります。私は、こういうところに
公社の
皆さん方の……、なるほどささやかな
労働者の死でありましょう、これは小さい
できごとかもしれない。しかし、岡山大学においての警官の
殉職事件というものは国会の本会議の
質問になって大きな問題として扱われ、片や、電通
事業のために名もなき
労働者は新聞の片隅の一行すらもかざることなく野ずえの露と消えていったこの現実の姿、岡山大学で
殉職した警官も、電通
事業でなくなられた方もとうとい人の命だろうと私は思うのであります。したがって、その扱い方に軽重があってはならぬと思う。このなくなられた方にかわって私はあえて以上のような苦言を、公
社総裁以下の
皆さん方に呈したわけであります。
経営者が法を守ってくださるならば、この人は電通
事業の最先端で元気な姿で
電電の
事業の後継者となることができたわけであります。末端の
労働者でありますから公
社総裁から見るならば、これはささやかな
できごとでありましょう。しかし
総裁、電通
事業の中ではいま人材払底のおりからこうした電通
事業の最先端で働くささやかな
労働者の力こそ最も
電電がいま渇望しているときではないでしょうか。人夫が集まらない、穴を掘る者はいない、柱を立てるものはいない。
公社が
工事のおくれの促進方を急ぐと、いや人夫が集まらないのです、人材が払底ですからね、こういう会話が
公社の出先ではしばしばかわされていることを私は耳にいたします。
不慮の
災害あるいは
不慮の
交通事故というなら、これも私はできるだけそういう
事故を起こさないように願うものでありますが、ある面では突発的やむを得ないと思うのでありますが、かりそめにも
経営者が法を守らずしてとうとい
労働者の
人命をそこなうということは、もうこの
事件一つでやめてもらいたい。私どもは、こういう席上でこういうつらい苦しい
質問を続けることがないようにお約束を願いたい。
総裁として、
担当局長としてひとつこの点についてお約束をいただきたい。