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参考人(
前田義徳君) 御指摘のとおりでありまして、御
審議いただく予算は
長期構想、五カ年
構想の第二
年度分として考えたものでございます。ただ、
長期構想の中になかったものとしては、東京、大阪のUHF局の
建設がございます。
長期構想のあらましは、第一に、今
年度予算の御
審議の際に御賛同いただきました
料金制度の
改定ということが基礎になっております。簡単に申しますと、単設
ラジオ料金、これが五十円であったものを無料とし、白黒テレビの三百三十円であったものを三百十五円に値下げいたしまして、これからの
放送界の動向を察知しながら、特別にカラー
料金をちょうだいする。したがって、カラー
料金については四百六十五円という
考え方を御支持いただいたわけであります。この時点に立って、今後五カ年間NHKがなすべき仕事と将来の社会あるいは技術上の
発展、変化というものを考慮いたしましたときに、
一つの
問題点は、少なくともカラーの
契約総数は、まあ六百五十万を五年間にどのくらい上回る可能性があるかという問題と、それからさらに今後技術の革新が、聴視者のサービスのためにいかなることを要求されるかということを勘案いたしました。で、その時点に立って考えますと、
料金改定後の
収入は、
料金改定前の
収入に比べまして、年々多額の、その意味では縮小予算となるわけでございます。御
審議いただきます明
年度におきましても、これまでの
料金制度を採用したものと比べまして、少なくとも三十数億の財源の不足となっているわけでございます。この財源をカバーする問題は、ただいま申し述べましたように
カラー契約がどれだけ把握できるかという問題につながるわけでございます。こういう点で結論からまず申し上げますと、私
どもとしては、このような過程の中で今後五カ年間を予想するとき、
料金改定前の
収入とそれに相当する契約数の
増加というものを基礎的に計算いたしますと、少なくとも大体その時期の金額と新しい
制度による金額、カラーの契約の把握という点から考えて、大体五カ年
構想の四
年度目ぐらいに大体同じ数字になるであろうというのが私
どもの
考え方であります。したがいまして、第五カ
年度が前回からの方式に従った総
収入と比例してどれだけ伸びが出てくるかというのが最終的な目標でございます。
では一体、この五カ年間にわれわれは何をなすべきかという問題がございます。その点については、第一に私
どもが考えましたことは、何をおいても難視聴
地域を解消しなければならないということであります。それと新しい時世に適応して、いままでるる申し述べましたカラーの
普及、したがって、
カラー放送時間の順を追うての延長という問題がございます。私
どもが案を考えたときには、少なくとも第五年目には、一日十八時間の
カラー放送をしなければ、まあ受像機のコスト低減、あるいはNHK自体の経営から考えて、かなり危険な状態になるであろうという予想を立てました。しかし、結局最終的に皆さんの御
意見を伺いながら、私
どもが決定した
カラー放送時間の最終目標は、第五年目において一日十五時間ということに縮小いたしました。したがって、御
審議いただきます明
年度予算は、この
構想の第二年目になりまして、これが一日十一時間半という限度に予算を
編成したわけであります。このカラー時間の長短というものは、同時に聴視者との関係、あるいは受像機のコストダウンという点には非常に密接な関係を持っておりまして、したがって、この五カ年間、十八時間を十五時間に縮小したという意味で、私
どもとしては営業力を極度に発揮しなければいけないという
考え方を持ったわけであります。御
審議いただきます予算においても、その意味で営業の本質的な措置をかなり大幅に変えております。で、この結果が、今
年度の下半期以来かなりの成果をあげまして、そういう意味では、今
年度におきましても、百四十万件の予想に対して百六十万件をこすかもしれないという予想が成り立っております。そういう意味で、第二
年度の契約台数、カラーに関する限りかなり、その意味では二十万の
増加を起点として出発するという
考え方を持っております。
で、この期間においてさらに私
どもが考えましたことは、宇宙中継がきわめて茶飯事になるであろうということであります。したがいまして、従来どおり
放送を中心とする衛星の
研究にも、
研究費において最終目標を達成するために、
建設関係で九千万円、
事業運営費で二億五千万円という数字を組んでおります。これは五カ年
構想の第二年目として、われわれの
構想そのものをそのまま数字に直したものでございます。こういう時期に、いわゆるVからUへの転換という問題が起こってきております。それから私
どもとしては、この期間を通じてそういう形の上との、かかわりない場合においても、UHFの
放送電波の最終処理が行なわれるという予想を立てておりました。しかし、そのこと自体を毎
年度の予算には組んでおりません。先ほど申し上げたように、明
年度予算では国策の具体化に応じまして、とりあえず東京、大阪というところにUHFの実験局をつくるわけでありますが、
全国的な視野から見て、また、NHKが公共
放送として、当然
国民の実生活とも
関連して、私
どもとしてはやはりいわゆる既往のVHF下の大電力圏内における十三をこえる各府県にUHFの局を設置すべきであるという
考え方を、この五カ年
構想の中に内在さしております。しかし、これは国策の最終決定を待つ必要がありますので、その意味では年間予算の中には盛られておりません。そういう
構想を
総合いたしまして、その第二
年度目として御
審議いただく予算を
編成したわけでございます。