運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-06-30 第61回国会 参議院 地方行政委員会、建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月三十日(月曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————   委員氏名    地方行政委員     委員長         内藤誉三郎君     理 事         熊谷太三郎君     理 事         吉武 恵市君     理 事         山本伊三郎君     理 事         原田  立君                 小林 国司君                 小林 武治君                 鈴木 省吾君                 鍋島 直紹君                 船田  譲君                 増田  盛君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 若林 正武君                 竹田 四郎君                 千葉千代世君                 松澤 兼人君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 山田  勇君    建設委員     委員長         大和 与一君     理 事         大森 久司君     理 事         奥村 悦造君     理 事         山内 一郎君     理 事         沢田 政治君                 上田  稔君                 小山邦太郎君                 高橋文五郎君                 塚田十一郎君                 中津井 真君                 林田悠紀夫君                 柳田桃太郎君                 米田 正文君                 田中  一君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 春日 正一君     —————————————   出席者は左のとおり。    地方行政委員会     委員長         内藤誉三郎君     理 事                 熊谷太三郎君                 吉武 恵市君                 山本伊三郎君                 原田  立君     委 員                 小林 国司君                 船田  譲君                 増田  盛君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 竹田 四郎君                 千葉千代世君                 松澤 兼人君                 和田 静夫君                 山田  勇君    建設委員会     理 事                 大森 久司君                 山内 一郎君                 沢田 政治君     委 員                 上田  稔君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 林田悠紀夫君                 柳田桃太郎君                 米田 正文君                 田中  一君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    国務大臣        運 輸 大 臣  原田  憲君        建 設 大 臣  坪川 信三君        自 治 大 臣  野田 武夫君    政府委員        近畿圏整備本部        次長       井上 義光君        中部圏開発整備        本部次長     小林 忠雄君        首都圏整備委員        会事務局長    鶴海良一郎君        経済企画庁総合        開発局長     宮崎  仁君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        建設政務次官   渡辺 栄一君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省住宅局長  大津留 温君        自治省行政局長  長野 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員         鈴木 武君        常任委員会専門        員         中島 博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○都道府県合併特例法案内閣提出)     —————————————   〔地方行政委員長内藤誉三郎委員長席に着く〕
  2. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会委員長の職をつとめます。  都道府県合併特例法案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 最初に伺いたいのは、もはや地方行政委員会相当質疑があったと思いますけれども、私ども建設行政を担当している委員会としては、まず最初に、この府県合併発想をひとつお話し願いたい。同時に、数年前に行なわれたところの地方制度調査会で、どのような原案答申を求めようとしたか。そうしてまた得られたところの答申というものの内容を書類でひとつ提出していただきたいと思うのです。私どもはまだもらっておりませんから、それをお願いしたい。それから審査を要求した原案ですね、これもお出し願いたいと思うのです。
  4. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) ちょっといまのは非常に事務的なものでございますから、局長からお答えさせます。
  5. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 地方制度調査会に対しましては、府県合併につきましての考え方の一般的な諮問をいたしておるわけでございますが、後ほど、資料を御要求でございますので、御提出をさせていただきたいと思います。  で、府県合併についての基本的な考え方につきましては、地方制度調査会昭和四十年の九月十日に答申をいたしております。それによりますと、府県と市町村との二重構造というようなものは前提としては堅持すべきであるということが基本に一つございまして、その次には、府県合併関係府県の自主的な合併をたてまえとすべきであるということでございます。ただ、国は自主的な合併に対して指導援助を与えるべきではあるけれども、画一的、統制的な指導を行なうことは避けるべきだという考え方でございます。それから合併を適当とする規模なり条件なりにつきましては、これは府県合併特例法案の一条あるいは二条あたりに規定をしておりますように、自然的、社会的、経済的に一体性のある区域または将来一体性のある区域として発展する可能性の強い区域である。第二番目には、土地の利用あるいは水資源開発施設利用等の公益的な行政処理を必要とする事務につきまして一体的に考慮することができる地域であって、効果的に機能を発揮する区域であるということ、つまりそういう意味行政面の上で一体的である。そういう可能性と見通しがある。それから、できるだけ府県間の格差是正に寄与することということがいわれております。  それからその次に、合併手続、方法につきましては、これがまあ今度の特例法案一つ内容にもなっておるわけでございますが、自主的合併であるがゆえに、関係府県発意に基づく合併手続として、関係府県議会の議決による申請に基づき総理大臣国会議決を経て処分する道を開くことを考慮すべきだ、こういうことを申しておるのであります。その他合併に関する障害となりますような事項につきまして、つまり国会議員の選挙区でありますとか、県会議員の任期や定数あるいは職員の身分保障交付税の算定、あるいは地方税の不均一課税義務教育費国庫負担災害復旧事業費国庫負担関係等につきまして、合併の阻害になる要因にそのままほうっておけばなるものについての特例措置を設けるべきであるというようなことを、第四番目の問題として答申をいたしておるのでございます。そのほかに合併をしない府県につきましての関係について多少付言しておりまして、格差是正のために、他の地域振興的な措置というものをとるなりあるいは関係府県共同処理という方式を推進すべきであるということを提案しております。なおこれらにつきましても、文書で出ておるのでございますから、さっそく資料提出さしていただきたいと思います。
  6. 田中一

    田中一君 さっそく文書をお出し願いたいと思います。  それから審議会委員氏名並びに現職、これらもお出し願いたいと思います。
  7. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 資料として提出さしていただきます。
  8. 田中一

    田中一君 地域社会は自然的に膨張するということはないわけであります。そうして、かりにその地域社会が人口の増加というまことに妙なただ人間の頭数がふえるということだけでそうした発展が求められないわけであります。結局人間社会における政治、これがそれらのものを地域的な格差がある発展を見るものなのであることは私が申し上げるまでもない。しかしその地域的な社会の異常な発展というものは、他の地域における、発展しようとする地域への間接的、直接的な影響によって発展されるものであって、決して人間粘土細工のようにたくさんつくられるものでもなければ、あらゆる教育あるいは技術の開発とかいうことばを使っておっても、結局しょせん人間社会地域がそれらの異常——私は異常とまで言ってもいいくらいに思うのですが、発展しているのが現状であって、そしてその中に、その地域住民だけの意思で、地域におけるあらゆる秩序が変革されるということが可能な、これはもうとうていそのものだけの意思によってきめるべきものでもなければ、きまるべきものでもない。いわゆる国家的な、民族的な国民意思というものがその地域におけるところの異常な発展まで容認することによって、これが民主的に一つ独立国家としての意思が決定されるものであって、ただ単にその地域における住民意思によってきめるべきものでないのはこれは明らかであります。民族意思民族意思というのは、わが平和憲法のもとに生存するところの全国民であるはずであります。したがってです、いまこれは局長の答弁では不十分なんです。これは大臣から伺いたいんです。地域社会の要請というものだけでは、一つの町村であろうともこれは認めるべきものではないということは言われるわけであります。国家的、民族的な意思、これを今回提案されているところの府県合併特例というこの意思とあわせて、どう大臣はお考えになっているか。自治大臣から御答弁願いたいと思います。
  9. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 地域社会発展国家全体、民族全体の構想のもとに立てていかなければならぬ。もとよりその地域社会発展はその地域だけのものによって考えるべきではないと、そういうことだと思います。私も大体田中さんの御意見を非常に理解できますし、また国家民族というものはやはり一つのその民族自体の持っている何と申しますか生活権と申しますか、それがやはりだんだん増大して民族発展し、繁栄にいくということでございますから、規格も同様な規格でやるべきだというようなふうに私田中さんの御意見を承っております。しかし、それはその規格というもの、構想と申しますか、それがやはりたとえば開発問題では、最近政府がきめました新全国総合開発、あるいはまた従来ありますところの首都圏中部圏近畿圏とかおのおの開発計画を持っております。そこで、それが総合的に国の指向する民族開発ということからまいりますと、いま地域住民だけでものをきめたり考えたりするということは必ずしも合理性がないということでございます。この府県合併が、おそらく府県住民の自発的な意思によって府県合併を行なうという法案になっておりますから、その点に対する御意見だと存じます。しかし、この総合的な開発をやります場合、おのおのその地域の持っている任務と申しますか、やはりおのおのこれはその地域によって相当違った面があると思っております。また大局的には、もちろん全国の総合的な開発計画とかあるいは総合的な生活圏の問題から入っていくのは当然でございますが、その地域地域にやはり負わされた、これがいまいういろいろなことにおいて地域格差というものがこういうところに出ておると思います。  そこで、これをやりますには、全国的な総合開発をやりますにつきましてもどうしても要請されるものは、いわゆる広域行政というものが要請されてきはしないか。その広域行政という意味は、いま田中さんの御指摘になりましたような意向をくんだものでございまして、これに決して反するものではございません。その広域行政運営にあたりまして、どうしてもその地域が、いま言われた行政区画というものが広域行政に沿わない場合、いろいろな産業経済社会開発にあたって、やはり府県の境界を越えて一体連帯性を持っている行政運営が必要だ、こういうのが各地にあらわれていることも事実でございます。そういう意味におきまして、国が指向して、国の計画に基づいて広域行政をやるのが正しいかといいますと、いま現在やはり地方広域行政運営として、ただいま私が申しました首都圏とか中部圏とかいうものを一応これは行政というか、開発計画一つのグループとして考えておる。それをまたさらにもう少し進んで一体性を強くするという意味において必要な府県は、やはりこれは合併して一つ協力体制をつくっていったほうがさらに地域住民生活の向上に資するということになってまいりました場合に、できればそういうふうに広域行政の実態をもっと具現化したほうが好ましい、こういうことでございます。  しかしこれは、やはり地方自治団体というものの考え方といたしまして、あくまでも国の考え方を先にするか、あるいは地方地域住民考え方を先にするか、ことばを変えてみますと、いわゆる地域住民意思意向というものを尊重するのか、あるいは国の一つ考え方地域住民意向というものを引っぱっていくかと、こういう考え方おのおの私は一応の御意見があちこちにあると思いますが、いままで私どものとっております態度といたしましては、あくまでも地方自治団体というものは、自主的にものを判断し、自主的にいろいろのことに対しての意思の表示をするというたてまえをとっております。  そこで、国が期待する広域行政というものの実現にあたりましても、一応少なくとも地方地域住民意思というものがあらわれてこなければ、国が先にその意思を専行するということはとらない態度でございますから、府県合併におきましても、この意味におきまして各府県の自主的な発意によって府県合併を行なったがいいのではないか、こういう考え方を今日とっている次第でございます。
  10. 田中一

    田中一君 私が申し上げているのは、地域住民の利益とか損とかということを考えるのは全国民的な立場で考えるべきであるということを言っているんです。むろんあなたの場合には、いまお話を伺っていると、自然発生的に一つ地方は大きな繁栄高度成長する、そのためにあれが不足だ、これが不足だ、だからその関連するある一定地域のものが一緒になったほうが便宜ではなかろうかという便宜主義なんです。なぜその地域社会が他の地域と異なった異常なる高度成長をしたかということの遠因は、これは政治にあると思うのです。ことごとく政治にあるのでありますから、その意思結集というものはどこまでも全国的な意思結集がなければその賛否はきめられないということは当然であります。  なるほど二重行政あるいは二重投資というような問題とか、また卑近な例を言えば、下水道をつくるにもその行政区域内に下水道終末処理場をつくるなんという愚はやめたがよろしい、これは府県合併じゃないのです。政治貧困を補うためにやるのが、公共事業に対する一定地域社会格差をなくすという平等な民主的な発想からくるところの仕事であって、それが直ちに広域行政府県合併というものに通ずるものでないのはあなた御承知のはずです。一つ地域高度成長というものの陰には全国民的な意思が決定をしてなければならぬことは申すまでもなく、政治のひずみがやはりそうした異常なる社会を出現したということになるのであります。  私はちょうど二十年間、国土総合開発の問題については今日までずっと続けてまあささやかながら勉強をしてきております。したがって、地域社会開発計画というものの集積が今回この春に政府が出したところの新全国総合開発五ヵ年計画というようなものであらわれていっておりますが、私は違うのです。私が考えている発想というものは、まず民族意思としてのこれは最高なる機関は国であります。したがって、国家が、国が全国的な視野の計画を立てる、これをわれわれの全領土に対してそれぞれの地域条件をも考えながら、考慮しながら——これは当然のことです。全国民がしあわせになるという方向を求めるというのがわれわれの考えておるところの全国総合開発計画なんです。政府のやっているのはそうじゃない、現在出ているものは。全部地域社会を、一定の国からくる補助金なり公共事業の例をとりましても、補助金なり何なりを勘案しながら、その地域社会だけの問題を考えるところに、いまのような地域的格差、異常なる高度成長、これはしいて申しますならば、われわれの発想によれば、高度成長というこのあり方に対して強い政治の力で押えるということも、大きな政治の要点なんです。異常な生産というものに見合って、消費経済がゆがめられる、ゆがんでくるという事実は、今日のわれわれの社会では随所に露呈しております。たとえば自動車にいたしましても、これはもう国民利用する自動車の車種なんていうものは、ある数で限定されていいわけなんです。ところが多くの、十社くらいありますか、自動車会社が、毎年毎年新車を出す、新しい形の新しい車を出す、競争して出す。ここに、なるほど自動車がどんどん売れる、だんだんコストダウンして手に入りやすくなる。だからその国家繁栄であるということにならないのであります。われわれは、少なくとも日本民族が共通のしあわせを目ざしながら、将来へのしあわせというものを求めるものであります。そのひずみが今日あらゆる面において、道路行政におきましても、河川行政におきましても、これは道路にいたしましても、河川にいたしましても、これはやはりしあわせの媒体です。かつまたこれはことごとく民族のものなんです。地域社会のものじゃございません。民族全体のものであります。したがって、異常な高度成長というものからくるところのわが国の将来というものを考えた場合には、それは即府県合併というものには通じないのです。もっと根本的な姿勢が求められなければならぬのです。私はきょうは、いまあなたのおっしゃっていることには全面的に反対します。まあその辺でしょう、二十何年間権力の座においてかって気ままな政治をやったという自民党の諸君では、その程度の発想しかないと思います。日本領土というものはだれのものでもないのです。民族全体のものです。そうしてこの国土媒体として、世界の貧困なる人たちにもしあわせを与えようというものでなくちゃならないわけです。私はいまお話発想、これはもうむろん考え方が違うのでありますからどうとも言えませんが、これから国土計画を中心にしてひとつ質問をいたします。  ただ、その前に伺っておきたいのは、先般名古屋及び大阪公聴会を開かれた、このときに、大体私どもが承知しておりますのは、中部では愛知、岐阜、三重の合併一つ考えられておるということと、それから近畿では大阪、和歌山、奈良、これが考えられておるということを聞きましたが、これはそのとおりでありますか。
  11. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 先ほどもちょっと申しましたが、今度の提案いたしました法案、御審議中でありますが、いわゆるあの法律にも書いてありますように、自主的な発意ということが一番かなめになっております。したがって、いま御指摘のありました近畿、東海の例でございますが、相当つまりそういうものの意見のあることは事実でございますが、政府自体から考えまして、これはいわゆる自主的な発意ということをたてまえにいたしておりますので、特別な、政府におきましては具体的な案はいま持っておりません。いわゆる自然発生的に出た発意によって、それをわれわれは受けて立つと、こういうたてまえでございますから、政府自体の案というものはいま持っておりません。
  12. 田中一

    田中一君 自然発生的なんということばは、知恵のある国のものじゃないのです。やっぱり何らかの意思がそこに追い込むのです。意思のない自然発生というものはございません。また今日のように科学が発達し、また人間知恵というものは、自然発生なんということばでもって、地方行政なりあるいは国なりの経営というものは考えられないのです。この自然発生ということばの意義をひとつ野田さん説明してください、自然発生という意味。でなければ、めんどうならば法制局でも呼んできて、法律的に自然発生という現象は何であるかということ、これをひとつ説明してほしいと思うのです。
  13. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 私の言った自然発生というのは、つまりその地域住民においておのおの任務がございます。そしてまた御存じのとおり、各地方の自然的、経済的、社会的な要因というものはおのおの相当異なったものでございます、地域によって。したがってその地域発展はどうすればいいか、こういうことになりますと、やはりそこに自然的に当然負わされた任務というものをまず行使する。それがただ画一的に、何県を合併すればどうだということだけでは、たとえば北海道と九州の地域と考えました場合には、おのおののいわゆるその地域自然現象、あるいは経済運営の面、また社会生活の問題、また同時に、われわれが相当重要視しなくちゃなりませんのは、やはりいま田中さんの言われました民族的意味ということと同時に、その地域の歴史と伝統というものがあります。これはやはり人間社会の無視できないものであります。そういうことで、この三つなり、四つでも二つでも、県が一緒になってやるほうが一番、自然的な現象においても、これが地域住民の将来の産業開発経済発展に資するのだと、こういうことがあらわれてくることがある。そこで、やはり発想というものは各地域によって、たとえばお話のありました道路の問題、港湾の問題、河川の問題、やはり一つの県においていろいろ港湾がある。次の隣りの県はこれをどこまで活用できるか。一緒になったらその港湾が十分活用できる。道路をひとつやる場合にも、特に水の問題は、まあここに、田中さんが一番御存じですが、水資源の問題、こういう問題もございますから、やはりそういう現象的な問題はおのおの考え合って、そうしてこれが一番この地域に適しているのだと、こういうことからして地域住民のしあわせはこうしたらいい、こういうところに起点を置いてあらわれてくる現象でございまして、しかしそれを遂行するには、やはりただ地域住民の力だけではできない。全体、国の力、全民族一つ意思によってやる、これは当然不可分のものでございますが、しかし広域行政というのが、今日の経済発展産業発展、やはり社会福祉の問題その他につきまして必要だという前提におきましては、当然この地域地域のいわゆる一つの何と申しますか、特異性も生かして、そこに発展の基本をつくっていかなくちゃならぬ、こういうことの意味を私は申し上げたのでございます。
  14. 田中一

    田中一君 今日の地方行政というものはどういう比率になって行なわれておるか。これは御承知のように、国の委任行為で行なう知事の役目と、地方住民意思を直接行なうところの知事としての役目があります。そうしてその割合はどうかというと、今日の段階ですらその比率は、国の意思を代行するという仕事をする率のほうが大きいわけです。いまですら国全体の意思によって行なうことの比重が高いのです。また、いま大臣は水の問題を言っておりましたが、今日の水の行政というものは、自然に流れる水を流域を変えて他の地域における住民のしあわせを考えるというのが、いまの水行政の根本です。自然ではないのです。人間知恵がそれを変えているのです。したがって、自分の区域にかれることのない大河があるからといって、その流域のものの、これ、独占すべきものでもないのです。ましてや地方行政そのものの任務は、単なる地方行政の長ではないのです。現在の政治のあり方としてそういう姿をとっているのです。それが即府県合併というものに続くものでないのです。したがって、民族意思というものを結集するならば、われわれががっちりと守られ、守ろうとしている憲法によらなければならないのは当然であります。もしも現在の地方行政のあり方ですら政府から押しつけられるものが大半である、今後一つ行政地域一つ地域におけるところの特殊な利益をはかるということ、かりに利益とするならばですよ。これは当然人民投票によらなければならぬことは明らかです。憲法九十五条にはっきり書いてあります。これに対しては自治大臣は反対いたしませんね。
  15. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 私よく田中さんの御意見わかりますが、現在の地方行政のあり方というものは、私ども自治省としては、いま特に考えておりますことは、いわゆる国の行政を代行するような仕事は御指摘のように非常に多いのです。これでは地方行政のほんとうの使命の達成というものはどうもその点において非常にそこなわれる点がある。たとえば、その意味はどういうことかと申しますと、やはり一番大きな問題は、事務の区分が非常に繁雑である。できるだけやはり地方自治体そのものをひとつ生かすためには、国の行政は、これはもちろん範囲がありまして、すべての国の行政をまかせるわけにもまいりませんが、できるだけ地方行政に委譲してもらいたい。そうして、地方行政の本来の仕事を能率的に、効果的に進めたいという考え方を持っております。  そこで、いまお話しになりましたように、田中さんは権威者ですが、私はたとえば実例を見て感じますが、水の問題をお話しになりまして、これは当然自分のところに流れている川だから、自分のほうだけで使うなんていう一そこにいわゆる広域行政の使命があらわれてきたんじゃないか。それから、この全体の地方の各地域発展というものは、もちろんお示しのとおりその地域だけの力でやりましてもこれはできません。どうしてもやはり国の力と言いますか、民族の力と言いますか、全体のやはり国の総合的な力が反映しなければできないことはもとよりでございます。そこで国としては、野方図に、この都道府県合併法、その地域だけの仕事をやる。おれのほうはかってにやるからでは、国はこれを協力することはでないことなのはあたりまえでございます。  そこで、いまいろいろ国としても総合的な開発計画という一つの大きな柱を立てて、その範疇において国全体の繁栄をひとつ持っていこうという、この国全体の計画はもちろんこれは当然でございます。また、その全体の計画に沿わない計画をやりましても、これは地方自治団体だけでできるものではございません。しかし、その国全体の仕事を、目標を達成するのは、当然これは、民族全体の繁栄地域発展、これを企図するのは国の全体の計画でございますから、これを、地域をやります場合に、やはり一地域、つまり限られたいろんな範囲、広範な範囲にわたる行政が必要になってまいりました場合に、できるだけその有機的な結合ができて、いわゆる開発計画が非常に促進されるように、能率的に進むようにやるには、やはり地域地域によってある結合体をつくったほうがいい。現にいま、先ほど申しました、つまりいろんな地域開発計画ができております。また現在でも、府県間におきましてやはり共同処理方式とか、その他の広域行政を行なっております。これはそういう必要に迫られて、当然そういう行政運営というものがあらわれてきております。そこでそれをやるには、共同処理方式もよろしいが、やはりどうしても一緒になってやったほうがさらに力が強くなる。そしてできるだけ協力して、お互いの力を合わせて開発を促進しようと、こういうことになりました場合には、これはその地域の、いわゆる地域地域の特殊性にかんがみて、何県かが一緒になって、もう共同処理なんていうよりも一体になってやろう、そのほうが能率的だ。こういうことになりました場合に、これは私は一緒になるということを妨げることではなくて、むしろそういうほうに進んでもらいたい、こう考えておりますから、決してこれが一地域が集まったから自分たちだけの地域開発はおれたちだけでやるのだといっても、現実においてこれはやはり国の総合的な開発計画に沿い、国の力をこれに加えなければできない状態でございますが、その運営の面において、能率的な、機動的な、効率的なやり方において何県か一緒になるということは、私はそのほうがもって行政運営を推進するためにいいことじゃないか、こう考えております。
  16. 田中一

    田中一君 国が行なう事業についてはやはり国自身がやる。そして、先ほどどうも食い違いがあって困るのは、地域的な発展とか、高度成長というものは、自然でもなければ何でもないんです。人為的なものなんです。自然ではないんです。人為的なものなんです。それには一番大きなファクターを占めるのは経済意味ですね。しかし、このひずみというものはどのくらいに他の地域に悪い影響を及ぼしたかというのは、野田さん、あなたも御承知のとおりです。したがって、それらの広域行政というこの精神は、都道府県合併で解決されるんだというものではないということを言っているのです。そういうものではないと言っているのです。たとえ地方の三県でも四県でもの地域住民一緒になるんだと言っても、一緒になることによって貧困が起こるのだというのじゃ一緒にならない。繁栄としあわせが来るのだという前提で一緒になろうという意図をするのは当然なんです、地域住民意思を考えるならば。しかしそれだけではないというのです。われわれは全民族的な意思から是非を判断しなきゃならないのじゃないかというのです。あなたは日本地方行政を全部一応自分の主管下に置いているところの大臣です。したがって、これらの問題の発想最初から、当然憲法九十五条の国民投票によってこの法案を通すか通さないかという意思決定をしなきゃならないんじゃないかというのです。この法案を出すについては、はっきりと住民投票、すなわち国民投票——全国国民投票によるべきであると言っているのですが、これはあなたのいままでの御答弁の中でも、これは反対じゃないように考えております。地域住民意思が先行するか、全民族意思が先行するか。全民族意思が自由民主党の政権をつくったのであります。地域社会における投票では野党各派が勝っている場所もあるが、全民族的に見た場合には、自由民主党が勝利を占めて政権の座にすわっておるわけなんです。一地域の問題ではないんです。全国的な、民族的なこうした意思をきめるのは、やはり国民投票によるべきであると思うんですが、おそらくこれは野田さんも反対はなさらぬと思うのですが、その点、ひとつはっきりと答弁してください。もしもそれによらないというなら、よらないという理由をひとつ明らかにしていただきたいと思うんです。
  17. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 憲法上の国民投票の問題——この法案は一般法でございますということと、それから国のいわゆる指導によって、国の計画によって、何々の県は合併すべしとか、したほうがいいとかというような、つまりそういうひとつの国家の権力を用いて施行するということになりました場合には、当然私は田中さんと同感でありまして、全国民投票をすべきだ。しかしこの法案は、御承知のとおり、国の考え方をもって地域住民指導するのじゃなくて、地域住民意思によって、必要な場合はそうすることの道を開く、こういうたてまえになっている。いわゆる府県の自主的な考え方で、やりたければおやりなさい、その道だけ開いておきます、こういうことでございます。しかし、それでありましても、この法案の中に盛り込んでおりますとおり、これが問題になった場合に、地方議会にかけて、市町村合併のごときは過半数でいいんでございますが、これは特に意を用いましたのは、地方制度調査会答申には必ずしもその点は触れておりませんでありましたけれども、やはり重大な地域行政の変更でありますから、地方議会において過半数をとっても、三分の二の賛成がない場合は住民投票をすべきであると、こういう意味において地域住民意向等を尊重してやるべきだと、こういうたてまえをとっております。したがって、国がこのイニシアチブをとってやるのだということ、自発的という、そこに一つ考え方が違うこと、全体が、国がやる場合においては、こういう問題について国民投票をすべきだということ、田中さんの御意見は私も全く同感でございます。いま申し上げた事由でございますから、できるだけ地域住民意思が反映するように、いろいろなことを配慮してこの法案に盛っている次第でございます。
  18. 田中一

    田中一君 どうもズレがあって困るのですが、私は地域住民意思というものに先行して、全民族意思結集しなければならないと言っているのです。憲法九十五条に何と書いてありますか。したがって、この法案を出すには、全国民の投票、賛否によってお出しなさいというのです。地域住民の問題ではないということです。その地域は全民族、全地域結集された一つ結集体なんです。決して大阪府は、奈良県は、和歌山県は単独の存在ではないのです。かりにその地方から出る生産物がある。全国民がそれを消費財として使っているのです。海産物も全部それを全国民が必要としているのです。したがって、その地域意思のみではきまらないと言うのです。東京都というものは、一つの単独な存在としてあるのじゃないのです。東京都というものは、四十六都道府県、沖繩を含めた全部の民族一つの部分であります。単独で存在する領土一つもないのです。こういう点をわきまえられて、国民投票にするのだということに理解してよろしゅうございますか。地域住民投票じゃなくして、全国民意思結集した投票を行なってこの法律はきめるのだというように理解してよろしゅうございますか。
  19. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 田中さんの御趣旨、よくわかります。日本全体、すべてどの地域も国全体の総合的な一つの部分的な存在、これはもうそのとおりでありまして、地域住民はもちろん日本民族全体の一部であることも間違いない、そういうお考えは私ども当然と理解いたします。しかし現在は、御承知のとおり東京都とか大阪とかといういわゆる行政区画というものは、その民族の全体の問題、全国の問題に入って、おのおの地域行政を担当してやっておりますことは、これは事実でございます。そこで、行政区画をいまのかりに東京が埼玉県と一緒になるという場合に、決して民族意思に反してやるというのじゃなくて、やはり同じ行政区画を広げるということでございますから、現在のいわゆる行政区画と別に特別な区域ができるわけではないし、ただ地域の事情によって強力にこれを推し進めるためには、その行政区画一緒にするということで、いまの各都道府県地方公共団体の存在意義としては何らの変更を見るものではございません。しかしこの住民投票を、これはつまり基本的に国民投票の一環として考えていいかというお話だと思いますが、当然これは一つ地域住民というものは全民族につながるものでございます。しかしその行政区画をきめることでございますから、その関係地域住民意思を反映させようと。しかしこれは基本的にはもちろん民族全体の問題でございます。やはりその一連としては国民投票と同じような意義を持っていると、私はそれはわかりますけれども地域行政区画でございますから、その地域地域行政地域住民意思を反映する、こういうことでございますから、これを理論的に、連帯的に申しますと、私は田中さんの御意見はそうだと肯定するものでございます。
  20. 田中一

    田中一君 憲法九十五条の問題、あなた一番よく知っていらっしゃるから何も説明しませんが、少なくとも特定のある地域に利益が受けられるのだという考え方のもとにその地域住民は賛成すると思うのです。一緒になるために非常に不幸になるのだぞということになったのじゃおそらく賛成しないと思う。したがって地域住民の四分の三の結論というものは、これは当然必要であります。しかしながらその少数の地域人たちのことだけできまるべきものではない。呼び水的なこの法律案というものに対して、これを全国民に向かって国民投票の請求をしなさい、こういうことなんです。それはいたしますね。
  21. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いま御説明ありましたとおり、この法案すでに御審議を願っておるところでございまして、これがために直ちに国民投票を行なうという考えはいま持っておりません。しかし、いま申しました地域住民意思の反映と、三分の二をこさない場合には住民投票するということは、やはりその地域住民と申しますか、大きな意味におきまして国民意思というものに合致するんだと、こう考えております。何となれば、いま田中さんは地域だけで仕事やったってできないんじゃないか——もちろんそうです、私も全く同感であります。しかしその国の大きな総合的な計画、これを遂行するには、やはり地域地域が分担してやらなくちゃならぬことになってまいります。地域住民が、この全国的な、これは決して今度できた新しい全国総合開発のことを言っているのではありません、すべてのことにおいて、この全国的な視野から立った総合計画というものはどの分野にもある。その各分野にある総合計画を推進してまいりますのは、どうしても各地域関係、それからそれと密接な関係にある地域住民、これがつまり推進母体になる、大きく言えば日本全体の民族が推進母体である。こういうことになってまいります。そこで、私が申しましたこの合併の場合に、地方議会の三分の二の賛成を得ない場合、これは当然地域住民の投票を必要とするという意味であります。大きな意味における民族意思をあらわすということになってまいります。ただ、この法案に関連してことさら国民投票にするという考え方は持っておりませんが、私の申しますことは、同様な基本的な考え方でもって、この法案の中に盛り込んでいると、こう考えております。
  22. 田中一

    田中一君 そうすると、あなたはこの法律案を提案するにあたって、この賛否は、国会を通った場合には、その後に全国民投票に訴えるということはいたしません、地方的なおのおの地域人間が四分の三の住民投票をしてきまったらよろしいのだ、それを総理大臣がきめるのだ、こういうことを言っているんです。これは自治大臣としてあなた失格者です。地方自治というものはそういうものではないと思う。あなたは地方自治というものを守るのです。私はいままでにもずいぶんいろんな強権からくるところの、国からくるところのいろんな強権はいままでの自治省は排除して、むしろ抵抗してまいりました。ほんとうの地方自治法の精神というものを生かしている歴代の官僚であり、その上にすわっているところの大臣であったと私は尊敬しておったのです。しかしながら、今回のこの法律案は何度目の提案でありますか。私はこの背景にあるところの発想意思というものを十分知りたいんです。なぜそうしなきゃならないか。知事にも権限ございません。むろん議長にも権限ございません。その権限を持つのは——むろんあなた方は二十数年間権力の座にすわっている、自由民主党が持つところの政権にあるのだという間違いをしている。これは間違いであります。どこか法律的な盲点をつくって、どこまでも自分の意思ではない、意思ではないと言っている、意思ではないなら、こういう法律案をつくるのはおやめなさい。提案するのはおやめなさい。そうして各地域住民の大部分の要請というものができ、その場合に受けとめて、国が民族的な意思によって判断を国会にまかすべきなんです、法律をつくって提案して、それを施行して、ここにおまえたちの呼び水があるぞ、来い来いというんじゃないんです。いままでの地方自治の精神というものを踏みにじるものでありますしかしこれ以上あなたとこの問題について質疑をかわしても、執念持って提案されているんだからどうにもならぬと思いますが、この問題はいずれ自由民主党がはっきりした批判を受ける時代が参ります。われわれは民主的な国民意思によって国の運営をすべきであるという考え方を持っております。現在では、四十六の都道府県がそれぞれ民主的な選挙によって信頼された政治を行なっております。こうした法律をつくることによって、地方自治に対して相当大きな影響があることはあなた感じませんか。あなたは感じているはずです。大臣として力のない大臣だから、大勢に押されてこういうものに対して苦しい答弁をしなきゃならぬことを同情いたします。その意味において、この論議はいたしません。ただ、国土建設委員会の持っております専門の国土計画という面から、国土開発という面から、これから質疑をいたします。首都圏整備委員会の事務局長並びに中部圏近畿圏来ていますね、委員長
  23. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 来ています。
  24. 田中一

    田中一君 それで事務局長、これは大臣は兼任しているからこれは坪川さんに聞いても困るね。それじゃあ事務局長に聞きましょう。事務局長は、この法律案がかりに通った場合に、その前提としてこの法律案に対する意見をひとつ聞かしていただきたいと思うのですが、この法律案に対する意見、あなた方は事務的な人なんだから、たとえばこの法律案、といってはちょっとことばが間違うといかぬから、近畿圏にまず聞きましょう。奈良、和歌山、大阪一緒になった場合——場合ですよ、現在の整備計画というものがどのくらいな変革とどのような施策が必要であるかということです。前提で三人の事務局長に言っておきますが、すべての地域社会におけるところのその地域の生産の媒体としての価値というものは、人工的に、政治的にどうでも変革されるのだという前提をよくわきまえていただきたい。水がないからと水を送ることもできれば、水をとめることもできる。工場を撤去さすこともできる。いままで、終戦後そのような悪い政治がどんどん行なわれてまいりました。あなた方は官僚だからそれにくっついてきているのでしょうけれども、少なくとももう少し国土開発というこの至上命令、これからくるところの、いままでの問題を経験として持ちながら、今度のこの地域といままでのあなた方の持っているものとはどうマッチするか。プラス、マイナスでもかまいませんから、ひとつ説明していただきたい。
  25. 井上義光

    政府委員(井上義光君) お答えいたします。  近畿圏整備計画といたしましては、現在地理的には、既成市街地、あるいは大阪を中心とする五十キロ圏の近郊整備区域の建設計画、あるいは各周辺地域の整備建設計画というものを立案いたしておりますが、ただいまお話のございました具体的に阪奈和ということで特別にそういったことが進められているというふうには明確な意思としてまだ伺っておりませんが、もし阪奈和が合併した場合ということになりますと、現在におきましては、先ほど申し上げましたように自然的、経済的あるいは社会的な関連ということから、既成市街地あるいはその近郊あるいは都市開発区域等整備しておりますが、これらの中には府県にまたがります計画がたくさんございます。主要なる地方道とかあるいは大きな水系の砂防であるとかございますが、阪奈和について申し上げますと、木津川の水利用あるいは吉野川、紀ノ川の総合的な開発、あるいは金剛生駒、鈴鹿山脈の自然保存、観光資源の開発、あるいは大阪湾の阪南諸港湾の受け持ち分野の合理化、あるいは大阪湾、紀伊水道を一体とします臨海部の港湾計画なり工業地の造成といったような点から関連がございますが、これらのところはすべて地元公共団体が現在も十分に実施しておりますし、また地域計画と申しますのは、御承知のように土地利用の合理化であるとかあるいは基本的な社会資本の整備であるとかいうこともございまして、地元公共団体の意図が非常に大きな比重を占めているようでございます。したがいまして、もし地域的、地理的にあるいは経済的に密接な関係のある都道府県合併するというようになりますれば、それだけ広域的な見地からの地元の案なりあるいは国と地方の全体計画の調整ということは合理化が進むのではないかというふうに考えております。
  26. 小林忠雄

    政府委員小林忠雄君) 制度的に申しますと、中部圏開発整備計画といいますのは中部九県の区域開発するための国家計画でございまして、その中の公共団体であります府県合併するということとは、理論的には直接の関係はないわけでございます。ただ、発生的に中部圏計画というようなものが考えられましたもとは、やはり一府県の中だけで解決できないより広域的な行政の需要なり、あるいは開発計画が必要である。県の境域をこえた何らかの統一的な計画が必要であるということから中部圏計画が考えられたわけでございます。そういう意味からいえば、問題の根源は共通したところがあるわけでございます。で、いろいろ現在論議にのぼっております、たとえば東海三県の合併というようなことが行なわれた場合どうかということでございます。中部圏計画は、法制的に申しますと、国がいきなりつくるというたてまえになっておりませんで、一応関係府県の協議会といったような方式で関係県のつくりました案を中央へ持ってきまして、これをもとにしまして国家計画を立てる、こういうたてまえになっております。したがって、国家計画でございますから、都道府県合併とは直接理論的には関係ございませんけれども、もとの案になります府県協議会の案が、合併によりまして、従来別々の県の話し合いで話し合いがつかなかったようなものについても、あるいは国家計画としてきめるということが可能であるという事態も考え得ると思います。  それからもう一つは、やはり今回の府県合併は行財政面における府県行政能力の充実強化ということが一つの目標だろうかと思いますので、たとえば伊勢湾の総合開発でございますとか、木曽三川の開発というようなことにつきまして、行財政面で府県の能力が充実強化するということになりますれば、やはり中部圏計画の実施についてより効率的、能率的に推進ができるのじゃないかということも十分考えられるわけでございます。これはただわれわれが持っております圏域行政の面からだけ考えたものでございます。
  27. 田中一

    田中一君 経済企画庁の総合開発局長来ておりますね。
  28. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) はい。
  29. 田中一

    田中一君 これは四十年に答申があった問題をとらえているわけですけれども、これはこの春に出た新全国総合開発計画に何らかの意思が盛り込んであるかどうか伺っておきます。
  30. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) お答えを申し上げます。  今度の新しい全国総合開発計画におきまして、内容は御承知のとおりこれから後のわが国の経済社会発展の方向に即しまして、国土を抜本的に利用の再編成をやろうというような、かなり長期にわたる大きな計画でございますが、その具体的な施策として上がっておるいろいろのプロジェクトを推進していくという観点から見まして、広域的な行政ということがどうしても必要になってくる、こういう観点でございまして、したがいまして、計画の第三部におきまして広域行政の問題というものを取り上げておるわけでございます。もちろん、こういった性格の計画でございますので、問題点の指摘と若干の方向が書いてあるという程度のものでございます。具体的な内容はこれからそれぞれ各省のお仕事として検討していただく、もちろん、経済企画庁としても検討するわけでございますが、そういうことで具体的な問題をきめよう、こういうことでございます。特にいま問題になっております府県行政関係につきましては、一体的に、各府県の持っておる行政事務の中で、広域的に処理するのが適当なもの、あるいは国の行政の中でそういった広域行政にまかせていくことが適当であるもの、そういったものをあわせて、何らかの広域行政の主体というものを考えていく必要があるだろうという程度の提案をいたしております。ただいま問題になっております府県合併というような問題も当然そういうような方向に沿うものと考えておりますが、ただ私どもは、各地域の実情もいろいろございますので、広域行政の主体というものが必ずしも画一的になる必要はない、もちろんこれはばらばらでいろいろあっては困るわけでございましょうが、ただ、一つでなきゃならぬということはない、そこにいろいろ地域の実情に応じての違いがある、こういうことを提案いたしております。大体そういうことでございますが、具体的な検討は、目下関係各省と相談しながら進めておるわけであります。
  31. 田中一

    田中一君 総合開発の新しい構想ができたということは非常に賛成なんです。ただ、これが即府県合併に続くものではないことは御承知だと思うのです。だから、たとえば、先ほども言ったように水の問題、道路の問題、鉄道の問題、たくさんありますが、開発の問題については、この四十四年度の予算では、調整費幾らついたか。
  32. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 六十九億円でございます。
  33. 田中一

    田中一君 そこで、いままで経済企画庁が行なっている新五カ年計画に対する構想は、地方開発計画から盛り上げたものなのか、あるいはいままで旧国土総合開発計画から、いろんな形の統計的なあるいは地域的な発展過程というものを勘案しながら、目標としてつくられたものか、もう少しこの内容について詳しく説明してほしいと思います。従来は、全部地方計画の積み重ねが全国計画ということになっておったように私は承知しておるのです。今度の場合には、むろんそれがもとになるのは当然だと思うけれども、それが即新五カ年計画になったのか、あるいは別な将来への展望からくる正しい構想が随所に盛られておるかどうか、そしてそれが、その地方計画というものが府県単位のものであったかあるいはもう少し高度の地域社会というものを中心にしているか、聞いておきます。
  34. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) お答え申し上げます。今度の全国総合開発計画は、昭和四十年度を基準年度にいたしまして、昭和六十年度を目標とする二十カ年の計画でございます。したがいまして、この間においてわが国の経済社会地域の実情というのは非常に大きく変化をするということは当然御承知のとおりでございますが、そういったことを、昭和六十年における国民生活経済の構造、規模あるいはそれからくるところの土地の利用というようなものを一応想定をいたしまして、その想定に基づいて国土利用開発、保全のためにいかなる内容の政策をやるべきかということを計画課題として書いたわけでございます。そうしてまた、その計画課題に即しまして、具体的なプロジェクトとしてどういうものが行なわれなければならないか、たとえば交通、通信の関係であれば、高速道路の問題でありますとかあるいは航空の問題、産業関係であれば、農業の具体的なプロジェクトの問題、工業基地の問題、そういったようなものを大規模プロジェクトという形で書いたわけでございます。これを実施していくことによって、この計画でねらっている国土利用開発の方向に持っていける、またそういうふうに持っていこう、そういうことで、これはいわば全国を対象にした国土の基本計画ということになるわけでございます。ただ御指摘のように、各地方にこれはもちろんおろして実際は実施をせられるわけでございますから、各地域別の考え方がそれに即してどうなるかということは、これは計画第二部ということで示してございます。この第二部におきましては、全国を七つのブロックに分けまして、それぞれごとに開発の基本的構想、またその構想に基づいて実施すべき具体的なプロジェクトの考え方、これをかなり具体的に書いてございます。そういう形で第二部というものを設けましたが、この第二部のつくり方につきましても、もちろん国の計画としてこの全体をつくったわけでございますから、われわれ経済企画庁はじめ関係各省の関係の方々の御協力によって作業したわけでございますけれども、第二部につきましては、特に各ブロックごとの審議会あるいは関係府県というようなところから地元のほうの開発構想というものを出していただきまして、それをベースにして国の計画をつくっていく。したがって第二部は、地方考え方というものがかなり強く入っております。これを第一部との斉合性をとりながらきめた、こういう形になったわけでございます。
  35. 田中一

    田中一君 昭和六十年への展望ということになると、一体人口はどういう推計のもとに考えているか、人口問題は。それから合理化とかあるいは開発とかいうことばがあるけれども、それはどの程度のものに考えているか。労働力の問題について一つだけ聞いておきます。
  36. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) ただいまの御指摘の、まず人口問題、あるいは労働力の問題というのは、それぞれ計画のフレームとして作業したところに書いてございますが、人口につきましては、昭和六十年の人口を一億二千万ないし一億二千三百万と想定いたしております。これは、この考え方も書いてございますが、要するに現在非常に出生率が下がっておりますけれども、これがこの計画の中でいろいろ考えられている施策によりまして若干上がってくるものという想定のもとに、一億二千万とか一億二千三百万という程度に考えております。三十九年の厚生省人口問題研究所の推定では、一億一千六百万でございますので、その程度子供がふえるという計画になっております。  労働力の点につきましては、御承知のように、現在労働力人口約四千八百万でございますが、これが昭和六十年では五千五百万にふえる、これは一億二千万と、現実にこの構想ができたときの数字でございますが、そういうふうに考えております。
  37. 田中一

    田中一君 私はまだ十分あるのですがね、どうも持ち時間があるそうですから、これでやめますが、これはどうか地方行政委員の諸君にお願いします。私は委員外発言で一ぺん皆さんの委員会に伺いまして十分意を尽くさせていただきたいと思います。これは非常に重大な問題でありまして、時間さえいただければ三日でも四日でも続けてまいりたい、かように考えますから、よろしくお願いいたします。これで終わります。
  38. 大森久司

    大森久司君 今回自治省においては、都道府県合併特例法を上程されました。参議院の地方行政委員の皆さん方におかれては、先般来、合併地域と目されている阪奈和を視察され、現状を把握されたことと存じます。大阪府においては、知事は熱意をもっておられますが、府会は府市合併を行なわずして阪奈和の合併はあり得ないと、府会において反対をいたしております。また奈良県においては、奈良県内の行政を行き届いたものにしたいというのが知事の考え方であって、反対を唱えております。また、大阪市は特別都市を要望しております。ただ和歌山県のみが賛成を表示しておられるのであります。自治省としては、阪奈和合併とはどういうものをいうのか。先ほど田中委員の質問によると、大臣は、その地区の自然的、経済的、社会的立場より自然発生を持つという自治省の消極的な答弁がありましたが、地方行政をつかさどる自治省の意図、そして指導がなければ広域行政というものはこれは進まないと思うのですが、大臣はどういうぐあいにお考えになっておりますか。
  39. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 広域行政の必要は認めております。その関係で従来市町村合併等もされておりますし、その後も広域行政の進め方において、共同処理とかその他いろいろな、また地域協議会とか、いろいろなものがあらわれていることは御承知のとおりでございます。そこで、いまお示しになりました阪奈和地区のことを具体的にお話ございましたが、私はこの際はっきり申し上げておきますが、この今度の法案を提案いたしましたのは、一阪奈和、あるいは愛知とか岐阜とかいうような限った一つの目標をわれわれは持っていないことは前段にも申し上げましたが、私自身といたしましても、そういう一つ計画を持ってこの府県合併法案の成立と、そういう指導をするという考えはいまでも持っておりません。これはたびたび申しますとおり、広域行政の必要性はすでにもうこれは世論としても認めております。また従来から地方制度調査会その他において、これは長い間意見がございまして、あるいは道州制とかその他の意見も出たことは御承知のとおりでございます。しかしこれらの発想は、大体国の力によって、府県合併あるいは道州制というような、そういう意図があったことも事実でございますが、私といたしましては、あくまでも国の意思によって、地域住民のいわゆる意思によらないで、またこの地域住民意思を尊重しないで、国の力によってこれらのことの運営を進めたいという考えは持っておりません。あくまでもやはり地域住民意思を尊重して、その反映した時点においてこの広域行政を進めたいと思っております。  そこでどういう指導をするかという御質問でございますが、私はやはりその意味におきまして、この法案が成立いたしました結果におきましても、一地域を目標としての指導は一切いたしません。したがって、いま繰り返して私申し述べておりますとおり、やはり地域開発上各都道府県がみずからのつまり実態を把握して、その地域住民意思を尊重して、そうして広域行政をもっと具現化していく場合に、府県合併なんかいたしました場合のほうがもっと能率的で活動的で効果的だ、そのほうが地域住民のためになるのだ、地域開発に役立つのだという認識を持ってその実態を把握して、自発的にこの問題を取り上げた場合に、この法案によってその場合における道を開く、開いておくのだ、こういう考え方でございましたから、いま申しましたとおり、ことさらに何々地区の合併を積極的に指導するという考えは現在のところ持っておりません。
  40. 大森久司

    大森久司君 ただいま自治大臣お話で、大体区域は定まっておらぬ、こういうぐあいに言われておりまするが、すでにそういうような地区に対する行動が展開されている、この事実はお認めになると私は思うのであります。今日の政治が中央集権である、そうしてその弊に陥っているということはみんなが認めておるわけであります。広域行政によって地方に力を持たせて分権するという必要の時代に私は入っていると、かように考えるわけであります。そういうようなことに対しましても、政府がいま少し積極的な行動をおとりになるという必要が私はあると考えております。そうして地域住民意思をむろん尊重してもらわなければならない。道路並びに鉄道、通信、電話、テレビ等の発展に伴いまして、時間が短縮されてくる、あるいはまた距離感がなくなりつつある現在、広域行政は前向きに考えるべきものであると、私たちはかように考えております。特に過密化都市においては、公害あるいは交通渋帯あるいは住宅難、水道問題等のために、いま大都市はドーナツ現象を起こしております。この人口移動は、空気がよい、あるいは土地が安い、あるいは大阪に近いという近郊整備区域に集中しつつあります。これらの政府近畿圏整備関係、または過密化対策と相まって行なわれようとする都道府県合併におきましても、従来のような大都市中心主義の行政が行なわれるようであったならば、私はこういうようなものは進まない、だから自治省は少なくともこの提案をなされる以上、あるいは建設省であるとか、運輸省であるとか、あるいはまた大蔵省であるとかその他の各省に十分な理解と協力を得られておるのかどうか、あるいはまた将来力強く推進しようという考え、地元の意思に沿って力強く推進しようとするお考えを自治大臣は持っておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  41. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いま御指摘になりました近畿地方の問題、これは、いまおあげになりました大阪付近の問題、それもあるが、大都市中心でないで、過疎地帯その他をどうだと、あらゆる面におきましてこれらのものの解決の一助としてやはり広域行政の必要は私も認めておりますし、そのためにいろんな施策を講じつつあります。ただ、お示しのとおり私は、あくまでも地方公共団体というものは中央集権を排除するというたてまえは、これは持たなくちゃいけない。ただ国の力ということは、これは地域社会開発するには当然これは活用すべきことで、また国もこれに力をいたすことは当然これはいずれにいたしましても何といいまずか、あたりまえのことでございます。ただ国が地方公共団体に対して、その地域住民意思にかかわらず、権力によって行動するということは私はあくまでも排除したい、やはり地方公共団体というものはその地域住民意思を尊重して、それによっていろんな計画も立てていく、したがって、先ほども中部圏その他の事務当局からお話がありましたとおり、やはり中部圏でも近畿圏でも、各関係府県意思というものを尊重するたてまえになっております。こういうことでございますから、この広域行政を進める中には、できるだけ強力にひとつ指導していったらいいんじゃないかという示唆がありますが、もちろんできるだけわれわれはそういう方向に進むよう、今後とも地方公共団体に向かってわれわれの意思というものを浸透さしたいと、こら考えております。しかし、この府県合併案にあたりまして、われわれはただ中央から見て、この県とこの県がまずやるべしだという、そこまでわれわれは立ち入ってやる考えはございません。これは繰り返して申します。やはり自主的な判断、自発的な発意によって、そしてつまり一つ広域行政の力を合わした協力によって、自分たちの地域開発、これは当然国との関連がございますから、もちろん国の力を借りていく。総合的に関連いたします国の意思を無視してやるということはこれはもう不可能でございますから、当然基本的には国の関発計画というものをからませて、そうしてそれを踏まえてあれやこれやの地域開発に当たるということでございますから、いま具体的にどの県とどの県がどうだということは、まあ強力に指導したほうがいいというお考えがあるかもしれませんが、いまのところそういう考え方に立っておりますから、特別に具体的な各地域合併案というものを自治省としては持っておりません。
  42. 大森久司

    大森久司君 ただいま自治大臣からいろいろお話がありました。現在行なわれておる政府の方針といいますか、政治のあり方が、大都市中心主義行政と申しますか、大都市偏重行政と申しますか、こういうような行政が行なわれておる。これは申すなれば権力的行動であるとも言われるものであります。この行政を変更せない限り、私はこの法案は実現がなかなかむずかしいと思います。私は時間が限られておりますので、私の意見をこれから申し上げて、二、三具体的な実例をあげて、この権力がいかに行なわれておるかという内容を申し上げたいと思います。  現在、大阪に最も近いところに、大阪から二、三十分のところに西大和団地というのがいま建設されております。これは奈良県の王寺あるいは河合上牧の地区であります。これは八十万坪であります。そうしてまた次いで広陵団地、香芝団地、いずれも八十万坪で日本住宅公団が建設しつつあります。橿原県営団地もそのくらいであります。いずれも三十分以内に大阪に達する地区にあります。あるいはまた奈良・京都府にまたがる平城団地は二百万坪であります。これも日本住宅公団がやられます。その他民営の建て売り団地が県内各所において行なわれ、奈良県の人口はいままで日本におきまして鳥取県の次が奈良県でありました。ところが最近人口増加に伴いまして、福井県、島根県、高知県、徳島県、山梨県を追い越しまして、目下日本において五、六番目の人口増加県となっております。増加人口はほとんどが大阪の移動人口でありまして、大阪の労働人口の拠点ともいうべきであります。あるいはまた大阪のベッドタウンともなりつつあるわけであります。ところが人口が増加した市町村全部が赤字を出しておる状態にあります。膨大な団地ができたところほどその赤字が大きく、団地ができましたなれば学校、道路、水道、じんかい焼却場等の先行投資が行なわれなければならない。この先行投資額が一戸当たり大体において四十万円かかっております。そうすると年七分として二万八千円の利息を支払わなければならない。しかるに税金は二万二、三千円しか入らない。ために一戸あたり五、六千円の欠損を出しておる。これが地方市町村の赤字の原因となっておりまして、過密化対策をやっておられる政府の被害地となっておると私は思うのであります。政府の大都市過密化対策にもかかわらず、近郊整備区域の市町村は団地のくることを拒絶する方向にあります。こういうようなものに対しまして、自治大臣はこの地区に対してどういうお考えを持っておられるのか。少なくとも起債を五ヵ年間据え置いて、そうして年賦償還するとか、あるいは新産、工特と同じような比率においてこれを補助し、あるいは起債を許すというようにお考えになるのかどうか。  第二は鉄道関係でありますが、大都市をめぐるローカル線がほとんど盛んに電化されつつあります。大阪−宝塚間、大阪片町から四條畷間等は単線をわざわざ複線にして、電化しつつあるわけであります。大阪湊町から奈良間は複線であり、そうして先ほど申しましたように、大きな団地が次から次へといま造成されつつあります。そうして何十万かの人口がふえる地域であり、そうしてまた年間千二百万の観光客を持つこの地域に対して、沿道の住民が強い要望をしておるのにもかかわらず電化されないということは、われわれはふに落ちない。  第三は、本年四月十四日に竣工されました高山ダムでありますが、このダムは、昭和二十八年風水害で淀川がはんらんし、大阪枚方方面に大水害があったのであります。それがために防災ダムとして計画された。それがために天下の名勝地である梅の名所月ヶ瀬が水没するということで、地元の月ヶ瀬を中心といたしまして強い反対があったわけであります。そうしてこれが難問題化したわけであります。大阪地方建設局におかれましても非常にこれを心配されまして、私も建設局から依頼を受けまして、私の県は被害地であります、水没地でありまするが、国家的見地から地元を説得し、そうして了解を得るようにいたしました。防災ダムであったわけでありますが、その後このダムを水道にも、あるいは工業用水にも利用できる多目的ダムにしたいということで、これが進められたのであります。そのことは有意義であり、また非常にけっこうなことであると思いまするが、このダムの水資源はほとんどが、五トンほどでありますが大阪に送られる。そうして被害地の奈良県には配分されない。しかもこの水は、一トン十億円の安い水であります。目下工事中の奈良市の水道は、その三倍とも言うべき一トン三十億円。奈良県営水道が計画されておりますが、これも一トン二十億円かかることになっております。大阪は災害防除だけで目的を達しておるのにもかかわらず、利水の面においても特別な利益を受けております。金持ちの大阪が安い水を買い、貧乏県であり、そうして後進県であると言われている奈良県が二倍も三倍もの水を買っておる。しかも、増加人口は大阪の移動人口でありまして、それが大部分であります。  私はこのような大都市中心行政が変更されない限り、県民はこの法案に対してついていかないと、私はこういうような考えを持っておる。少なくともこの法案を実行に移すためには、私はこの法案を、一方においてある県が犠牲を払って、一方の県が得をするというようなことでなく、社会資本の充実をはかるために、合併府県と目される府県に住宅供給公社の共同をはかるとか、あるいは合併府県に共同開発公社をつくらして、共同の目的と利益のために発展を考えて努力をするように仕向けるということが必要であると思います。ところが自治省はそういうようなことを考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  43. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いまお話のありました稠密都市の近郊地帯はまことにそのとおりでございまして、自治省としてもその対策に腐心いたしております。これはただ単に自治省だけの問題ではなくて、いまお話しになりました各省関係もございますが、しかし、自治省といたしましては、特に交付税につきましても特別の考慮を払って、その需要に対しての補正をやっております。それからその地域に対しては、地方債につきましても、設備のまあ整備計画あるいは償還計画の財源、こういうものを考慮いたしまして、起債の問題も積極的にはかっております。また今度の国会で決定を見ました土地開発の宅地開発税というものを、これも大体そういう近郊における住宅問題、したがって土地問題、こういうものからきますと、つまりそこに団地ができますれば、それに伴ういろんな施設が要る。こういう点につきましては、やはり土地造成者に向かって土地の開発税というものを負担さしてもいいのではないか、あるいはごく最近各地におきましてどんどん稠密地帯の近郊のそういう団地の形成その他を見まして、どうしてもこれは先行取得が必要だというので、開発基金というものを、土地の開発基金の制度も今回実行に移す。しかしこれらをやりましても、これがなかなかそれでもって解決するものではなくて、いま大森さんのおっしゃったような状態で、非常に大都市の近郊地帯というのはあらゆる面においてその対策に困っております。それにおいて、いまの大阪と奈良のお話もございましたが、自治省としてこの法案大阪、奈良の合併を慫慂するものであるという特別な意図は持ちませんが、当然府県合併をしまして、その地域によりましては、私はその問題の解決の端緒になるのではないか、どうせ一緒になりますれば、つまりその隣の、何と申しますか、非常に人口稠密の地域と、それに影響されて、このたびに飛ばっちりを食って非常に負担をしている、非常に不均衡で不公平だ。これらを是正するには、やはり共同で責任を持ってやったらいいというようなことも、府県合併ができますれば、必然的に共同の責任と共同の負担とか、すべて経済的な負担はそうですが、財政上の負担、あるいは社会政策の実施にあたりましても、共同の一連の事業としてやるわけでございますから、そういう点では便宜ではないか、そういうふうな広域行政的なものでやるわけでございます。また大森さんの、大都市中心の府県合併ということも過疎地帯のことを考える必要があるのではないかということを承りましたが、私も同感でございまして、こういう、ことに後進県と申しますか、そういう地域も力を合わせて一つの強力なものにつくり上げて、そして地域開発にあたり地域住民の福祉をはかる、こういうことにも役立っていくと考えております。いまお話の点は非常に私案は参考になりました。私の役所以外のこともたくさんあるようでございます。私としてはいずれにいたしましても応急対策としてそういう措置をとっております。
  44. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 大森議員の御質疑に対しましてお答えを申し上げるに先立ちまして、委員長のお許しをいただきまして、きのうの梅雨前線における被害状況を御報告申し上げたいと思うのでございます。  最も被害の顯著なる地域は、九州地域並びに中国の広島、四国の愛媛、東海の岐阜地点が被害状況のはなはだしいところでございます。  おもな被害状況を申し上げますならば、死者七名、行くえ不明三名。死者七名は、鹿児島県でございます。行くえ不明もやはり鹿児島県でございます。負傷者九名でございます。災害を受けられました死者の御冥福をつつしんでお祈り申し上げ、また負傷者各位の御全快を祈りながら御報告申し上げたいと思います。全壊家屋七棟、半壊が十六棟、床上浸水が六百七十三、床下浸水が三千百二十九、けさ現在でございます。  建設省といたしましては、それぞれの地建を通じましてその復旧対策に全力を注いでおりますことを御了解いただきたいと思うわけでございます。  ただいま大森議員が御指摘になりました問題点につきましては、建設省といたしましては、広域行政計画作成の上において非常に期待するものを持っておりますとともに、いわゆる効律的な、合理的なあらゆる事業推進の上においても、府県合併というものについてはある程度の期待を持っているという段階であることだけ申し上げて御了解いただきたいと思いますが、具体的に御指摘になりました高山ダム等に関連する問題点もごもっともな御意見だと承知いたしております。私も落成式に参りまして、あの月ヶ瀬地域のいわゆる埋没地域等の関連事業というものに対してつぶさに現地で視察してまいりましたのでございますが、やはり月ヶ瀬の名所旧跡というものの保存ということに配慮をいたしまして、別に古木を移しまして新たなる観光の場をつくりましたことは、大森議員など平素非常に御指示をいただきました立場でごそんたく申し上げましてそういうふうな処置を講じ、あるいは橋あるいは埋没部落の新たなる土地、住宅改造をいたしまして、新たなる住宅環境の整備をいたしましたり、あるいは街路あるいは下水あるいは橋梁等も十分配慮いたしまして、月ヶ瀬村一帯の新たなる観光地域としての造成をいたしました点は御理解もいただき、またこの陰に大森議員、関係地域の衆参両院の議員の各位の御指導を得たことをこの席を通じまして感謝申し上げておきたい。要は、私はこうした点をとらえながら、過疎問題に対する取り組みを建設省といたしましてはあらゆる立場から積極的に打ち出してまいりたい。決して大阪周辺の受益者側の負担あるいは過密問題を通じての都市計画のみを推進いたしまして、これら犠牲地域に対するしわ寄せをいたすというようなことは、過密過疎の上において、また均衡ある国土開発の上においては最もきびしく反省せなければならぬ問題点といたしまして、建設省は鋭意努力もいたし、今後も配慮いたしてまいりたいと、こう考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  45. 大森久司

    大森久司君 私はこの水の問題につきましてもいろいろ意見を持っております。あるいはまた地方行政につきましてもいろいろ申し上げたいのでありまするが、きょうは時間がきめられておりますのでこの程度でとめまするが、要は、中央集権主義を地方分権主義に持っていってもらうこと、あるいは大都市中心行政というものが幾多の面にあらわれておるという実例を私は申し上げましたが、これをつぶさに研究されまして、そうしてこういうような法案がスムーズに進むためには、やはり政府がそういうような問題を是正されない限り私はうまくいかない、かように思いますので、その点特に政府に、大臣におかれましては御注意賜わらんことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  46. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後二時開会
  47. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会建設委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、都道府県合併特例法案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  48. 松永忠二

    松永忠二君 自治大臣にお尋ねします。  第五十一国会で提案をされて、その後廃案とか継続審議、再度提案をされているものは全く同一なんです。また十年の時限立法というのも同じ内容のものですか。
  49. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 内容は同じものでございます。
  50. 松永忠二

    松永忠二君 四十一年以来継続、廃案を重ねてきた、そういうことは、国会意向が、都道府県合併特例法のようなものを早急に必要としないというような意向があらわれているというふうに私たちは思うんですが、この点については、自治大臣はどういう御判断をしていますか。
  51. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いまお話しのように、この法案が非常に緊急性を持っている法案であるかどうかということでございますが、これは考え方によるんでございまして、もうすでに御承知のように、今日の地方行政行政運営上、広域行政というものを重要に考えておる関係上、やはり広域行政の一環として府県合併というものはあり得ることだし、またその合併によっての効果もあり得ると考えていきますので、その場合の道を一応開いておく、そういう事態が起こった場合に、法律上具体化するための道を開いておくという考え方でございまして、広域行政そのものは、やはり一日一日必要性が増しているということに対応いたしまして、過去における廃案、継続審議ということも存じております。やはりこの時点におきましても、一応この法案を御審議願いたいと、こういうことで提案した次第でございます。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いたのはそういうことではなくて、自治省がお考えになっていることはそういうこととして、国会に再々提案をされても成立しないというようなことは、国会自身の判断としても、緊急性があり必要性がありということであれば、これは何らかの形になって成立してくると思うんですが、そういうことがないということを、どういうふうに判断しているかということをまず聞くわけです。あなた方のほうで必要だということを私は聞いているわけじゃない。それはあわせてひとつ後ほど御答弁いただくこととして、四十一年の提案が廃案になった、あるいは継続審議になっていたということ、そして、その後廃案になったというときに、地方の公共団体からこの法案を早くつくってもらいたい、成立をさしてもらいたいという運動が起こったという事実があるんですか、この点ひとつあわせてお聞かせを願います。
  53. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 率直にお答えいたしますが、過去の国会審議の経過は私ども存じております。したがって、先ほど申しました非常に緊急性のあるものと、断定できないことは存じております。しかし私どもの考えですが、一応政府としてはこの法案を成立さしておいたほうが、将来の広域行政運営にいいんだという考え方でございます。  さらにいまのちょうど関連してのお尋ねでございますが、各府県でこれをぜひやりたいという意見が出てきているということ、現在のところいろいろの意見がございます。府県によって、やはりこの案に対しての消極的な意見もあります。また一部には、やはりいいんだという意見もあります。いまことさらに非常に合併の機運が盛り上がって、そしてこれに緊急に対応するというのじゃございませんで、何と申しますか、意見が出ているという程度でございまして、一向行動とか運動にはあらわれておりません。
  54. 松永忠二

    松永忠二君 最後のお話で、この法律案をできるだけ早くつくってほしいというような地方公共団体の運動というものは別に起こってはいない。しかし自治省としては、一応つくっておきたいというような気持ちで提案をしたということでありますが、この法律案が成立をした場合には、十年間に自主的に合併を行なわれると予想をされるという地域はどんな地域ですか。そんな地域がありますか。
  55. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いまもお答えいたしましたとおり、現在、積極的な各府県地方公共団体の姿勢は見られません。これははっきり申し上げておきます。ただ、意見が出ておることは事実でございますが、そうかといってその意見が出ているところがいわゆる府県合併やるとは——意見が出なくてもこの法案が出ますと、やはりこの法案内容を検討して、これを必要性を認めて、あらためて合併に進まれるところもあるのじゃないかというので、いま具体的にどの県がどうなるとうお答えをする段階ではございませんで、この法案のいわゆる御審議を願って、この内容が相当詳細にわかって、さらにこの法律が成立いたしますと、いろんな動きが出てきはしないか、こう思っております。
  56. 松永忠二

    松永忠二君 私は時限立法というのはそういう性格のものではないと思うんですがね。十年というものが区切ってある以上、十年間に大体この法律に呼応して、こういう地域がこの法律を適用するし、していくという見通しがないで十年に区切るということもおかしい。この点はどういうふうなお考えですか。
  57. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) これを十年間の時限立法にいたしましたのは、すなわち、いまの社会経済の進み方が非常に急テンポでございまして、これに対応して地方公共団体がいろいろの広域行政に向かいつつあることもお認め願えると思っております。そこで、この期間の十年間でございますが、十年間の国のいわゆる社会経済の進み方、大体の方向づけといいますか、推移に照らしまして、十年間でそういう府県合併の機運が盛り上がって、そうしておのおのの協力によって行政水準を上げるという方向に向かうというのには、まあ十年間という期間内に大体の方向がきまってくるのじゃないか。もちろんこれは長期的に、ただ府県合併という形式上の問題でございまして、それでいまの府県が県制が古いから、ただ府県合併を一種の行政区域の変更とかいうことでございますと、これはたとえば何年間というのはおかしいのでございますが、この目標をやはり広域行政を推進して、強力な公共団体の行政運営を上げようという、こういう時点から考えますと、一応十年間くらいでそういう方向に持っていくのがいいのじゃないかと、こういうことで、ことさら十年間という期限に特別の目安を置いたわけではございません。一応私どもの判断によりまして十年間の時限立法にいたしたわけでございます。
  58. 松永忠二

    松永忠二君 その提案をされてからもう五年たつのですよ。十年の半分たっておる。その半分たっておる、その間でも、さっきお話しのように、この法律をつくってほしいという運動は具体的には起こっていない。しかも、いま大臣お話で、これこれの地域が大体呼応するであろうと、そういうこともわからない。ただ自主的にそういうこともあるだろう。それで一応の十年にめどを置いた、これでは、十年のめどを置いて、これが確実に実行できるという見通しはないと私は思う。もし十年のめどを置いてそういうものに応ずるというなら、何かやはり十年のめどを置いてそういう方向に持っていこうというようなお考えがなければ、十年というめどは置けないと思うのですね。非常に矛盾していると思うのですが、この点はどうなんですか。
  59. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いま申しましたとおり、十年間のめどでどのくらいの府県合併ができるかという、いわゆる測定はいたしておりません。ただまあ今日、これはひとり地方公共団体だけではございません。国といたしましても、非常に長期展望には二十年というきめ方もございますが、一応の経済開発産業開発計画は五年計画から十年計画と、こういうことになっておりまするから、どうしてもそのテンポに合わせるのには、そう二十年も三十年ものテンポに合わせるというようなことではなくて、やはり十年間くらいの全体の進め方に合わしていく、それには一応の十年間というめどをつけるほうがいいのじゃないかというのでございまして、いま御指摘にございましたように、十年間で幾つできるということは、まだ私どもにはそういう程度の判断はいたしておりません。
  60. 松永忠二

    松永忠二君 そうなってみると、特に阪奈和とか東海三県の公聴会等の様子を聞いてみましても、積極的にこれを待ち望んでいるというのではなくして、こういうものをつくるなら前提の条件があるのじゃないか、そういうものを整備したらどうか、あるいはそういう意味からいうと、少しやはり尚早ではないか、あるいはこういうものには反対だというようなことで、積極的に推進をするという空気は非常にないように私たち聞いておるわけですね。そうすると四十一年のときに出したその地域の実情と、お話しのように、五年の間にもうズレてしまっているのじゃないかと思うのですね。したがって当時の状況とは相当ズレがきているということについて、自治大臣自身そういうことを強くお感じになっておられると思うのですが、率直にこの点についての見解を大臣からお聞かせをいただきたい。そうでないというならそうでないという理由を、納得のできるようにひとつ聞かせていただきたい。
  61. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 御指摘のように、この法案ができましてもう数年たっておりまして、これはもう事実でございます。相当ズレがあるのじゃないかというおことば、これはもうそのとおり言われてもしかたがないと思います。ただ実際に国土全体の開発計画地方公共団体に関連すること、こういうものがもちろん法案をつくりましてから五年を過ぎていることから考えまして、また同じ五年、十年ということじゃないかという御指摘は、事実そうでございますから、これは何ともお答えのできないことですが、まあ、しかし一応いま申しますとおり、阪奈和その他をおあげになりましたが、阪奈和をやるとか、東海地区をやるとかいうことではございませんで、まあたとえば一部に広島・島根はどうだという意見も出ておるわけであります。そこでそのどれをつかまえてどうということではなくて、やはりこういう法案ができますと、そういう意見も相当賛成もあるし、反対もあると思っておりますが、相当活発な意見がかわされていくんじゃないか。そしてその地域住民の方々にも関心が深まっていくんじゃないか、こう考えますから、この法案が五年間過ぎてまた同じことだ、五年、十年ということじゃないかというおことばも、私ども、過去はそのとおりでございますから、私もそう感じておりますが、しかしこの法案の論議、この法案が成立いたしますれば、私はそういう意見のある方は相当活発に行なわれる。それからいままで問題ないところの府県にいたしましても、今後はどうしてもこの広域行政で進んでまいりますから、それに対応するには、やはり法律上もその道が開けておるというようなことで、何と申しますか、いろんな行政の進め方についての意見が出てくると私は思っております。  それらを勘案いたしまして、これが何年目でなければいかぬとか、何年たったらだめだということではございませんが、一応のめどを十年にしておいたのでございまして、いま御指摘の点につきまして、私が理論づけであれこれお答えするということは、これは事実でございますから、しかし、これが一応の十年のめどというのは、時間的にはそのあたりがいいじゃないかと、私はこういまでも考えております。
  62. 松永忠二

    松永忠二君 時間がありませんから簡潔にお答えください。そういうような法律が時限立法で成立した例があるのですか。そういうものがあったらひとつ大臣から教えてください。
  63. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) ほかに例があるかというお話でございますが、町村合併促進法は、これは三年間の時限法でございます。ほかにもそういう時限法というのは例がございます。ただ、この場合は促進ということではございませんで、民主的な自主的な合併の特例を開くという、その特例ということについても、一応これを恒久的なものとして考えるのか、一時的なものとして考えるのかという意味もございますが、そういうものを含めまして、一応十年間ということで考えるという意味では、ほかにはあまり例がないじゃないかと思います。
  64. 松永忠二

    松永忠二君 ほかには例のない珍らしい法律であるし、いまの自治大臣の御答弁の中からは、どうしてもこの法案を今国会に成立させなければならぬという緊急性は、私個人としても感ずることはできません。  そこで少し質問してまいりますが、首都圏近畿圏中部圏で整備計画あるいは整備開発計画、または建設計画を推進をしているわけでありますが、府県合併が行なわれなければ推進できないという——このさっきの御質問のように、抽象的なことではなしに、具体的にこれこれが合併ができなければ推進できません、こういうものがあるならば、それをひとつお聞かせください。
  65. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 松永委員指摘になりました、府県合併をしなければいま御指摘になりました三つの整備計画あるいは作成等ができ得ないということは、いまの時点においては私は感じておりません。
  66. 松永忠二

    松永忠二君 まあ非常に率直な御意見お話でありますが、そこでもう少し話を進めまして、東海三県が合併する、阪奈和が合併をして、そして行なう広域行政という事業のおもなものは、大体中部圏近畿圏のいま申しました整備計画なり、あるいは整備開発計画なり建設計画の中にあるというふうに私は考えるのですが、そこにはなくて、ほかにあるだろうというようなことであれば、具体的にこれこれはそうですということを、抽象的なことでなしに御返事を、まあ実情等を話してください。
  67. 井上義光

    政府委員(井上義光君) お答えいたします。  整備計画と都道府県合併とにつきましては、ただいま大臣からお答えがございましたように、直接の関係はないわけでございます。現在の計画は、それぞれ都道府県意見を聞きまして、関係行政機関が調査、協議して、総理大臣が定めるということになっておりますが、道路問題にいたしましても、水資源開発にいたしましても、阪奈和の各県に関係がございますが、その他の県にも関係がございますので、特にこの問題が確立しなければ計画ができない、あるいは実施ができないということはないのでございます。
  68. 小林忠雄

    政府委員小林忠雄君) 東海三県の広域行政の必要性が一番従来言われておりました一つは、木曽三川の水資源開発の問題と、もう一つは伊勢湾の広域港湾の建設の問題でございますが、このいずれにつきましても、現在中部圏法のワクの中で関係県の協議に基づきました案を国で決定をするということで、まあ一〇〇%とはまいりませんけれども、相当程度うまく進んでいると考えておりますが、もちろんこれが合併ができればよりベターであるとは考えます。
  69. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、その建設大臣であり、同時に両方の立場から、いま東海三県なり阪奈和の合併をして、こういう具体的なものをやらなければできぬということを、本部長自身として聞いてはいない、そういうものがない。また建設大臣として、このことについて、どうしても合併をして、阪奈和なり東海三県でやらなければ仕事ができないし、そういう強い要望がきておる、そういうものを具体的に持っておられるのですか、持っておられないのですか。この点をお聞きしたいのです。
  70. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 広域行政の作成の上において、あるいはまたよりよき効率的な、あるいは合理的なものを推進する意味において、役立つものを期待はいたしておりますけれども、いま現実の上において、これらの企画あるいは合理化あるいは効率化ということについて、切実な現実問題としては、私はいまのそれぞれの整備圏において作成でき、またこれに対する企画あるいは合理化、効率化を推進でき得るということで、こういうようなことで、私は期待はいたしておりますが、現実の上においては、何らまあ早急にという緊急性というものは感じていないということを率直に申し上げておきます。
  71. 松永忠二

    松永忠二君 そこで公聴会のときの話を私お聞きしましたが、桑原愛知県知事は、「中部圏開発整備法に基づいて、建設計画の策定等が着々と進行中である。また、三県の間にも、木曽三川協議会、伊勢湾開発協議会など、さまざまな形において広域行政の実があがりつつある。三県合併の実現を急ぐのあまり、中部圏整備に障害与えてはならない。」ということを言われておるわけですね。岐阜県の知事は、「県相互の合併は、現在進行中の中部圏開発計画の事業の成果を慎重に見届けてから論じたい。」と、こういうことを言っている。また阪奈和地方公聴会の中では、奈良県知事は、協議によって広域行政はスムーズに進んでいるということを言われておるわけですね。したがって、その府県合併が、広域行政推進の前提条件、必須条件であるということではないと思うのですが、この点について自治大臣の見解をひとつお聞かせいただきたい。
  72. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いまのお話は、一応まあ東海、中部圏近畿等を対象としてのお話でありますが、実は自治省といたしましては、しばしば申し上げますとおり、阪奈和地区とか、あるいは愛知県地域合併というのを目標といたしておるのではございませんので、一つ一つの各府県の持っておられる考え方というものは、これはもう当然自由でございます。またそのいろいろ意見があるのもごもっともだと思います。ただいまの、つまり、たとえばお話しのあった中部圏開発でもりっぱにいけるのだというところは、何もことさら府県合併をおやりにならないでもけっこうだ。しかし私どもは、ただ中部圏の問題、近畿圏の問題だけに片寄った考え方でもってこの問題を処理しようと思っておりません。全国的に特にこの府県合併は、後進県というとことばは何ですが、そういう県あたりは、私はやはり相当必要性が出てくるところもあるのじゃないか。個々には私はそれを調査いたしておりません。何か調査いたしますと、自治省が指導して強力にやらせるような誤解をされると困るのであります。この法案の示しますとおり、あくまでも自主的な発意でやっていただきたいと思います。  しかし、いま中部圏開発で、もうあのあたりは満足であるというのも、結局中部圏開発というのは、一つ広域行政としての取り扱いをしておるし、また現在におきましては、府県によりましては、共同処理その他の広域行政の進め方もやっております。しかし、そういうもっと一体性を持っているところが一緒になって強力にやるということは、よりベターであるということになりますれば、そういう意見も出てくる。私はこう考えておりますから、いまの中部圏近畿圏のことのみわれわれは念頭に置くのではございませんので、全国的にそういう一つの考え、動きが出てくる場合、やはりあらかじめその道を開いておくと、こういう考え方でございます。
  73. 松永忠二

    松永忠二君 私はいま中部圏首都圏近畿圏のことを言ったのでありますけれども、各開発計画によっても、地域がこう明確になっておるし、また日本全体、ほとんど全部開発促進法によって、みんなどこかに法律ができておるわけなんですね。だから私はそういうことを言ったのです。それじゃ逆に、あなたがそうおっしゃるなら、どこはこういう前提条件がなければこの地域発展はできませんという、逆な証拠を私に見せてください。そんならあなたのおっしゃることもわかる。そうでないとすれば、やはり府県合併広域行政の前提条件ではない、必須条件ではないということだけは明確だと思うのですね。よりベターだとかなんとかということはあるとしても、とにかく、いわゆる開発促進の各法律が全部、全地域にできているわけなんですね。だから、これらのことは、充実をしていくということによってこの相当な目的を達成ができる。また、それは、相当、日本国土全体からいっても重要な事業であるということで、無制限にある日本の国の金ではないのであるから、各自治団体も国も協力をして、まずその中核的な事業を、おっかぶせでなしに、両方で実現をしていくのが、私はいまの緊急課題だと思うのですね。そこで、あなたのおっしゃるように、いや、そんなことは中部圏近畿圏だけでございますなんてお話なら、それじゃ具体的に、ほかのところでこういうふうなことがありますと、こうやればこうですという具体的なものを示してもらいたいと思うのです。あったらひとつお示しをいただきたいし、そうでなければ、つまり理論としては、私の申したこととしてはやはりそういうことではないのかと思うのです。  関連してもう一つお聞きをいたしますが、そこでやはり公聴会等で出ているのは、こういうふうな都道府県合併法をつくる、認めるとしても、この前提の条件があるということを言っているわけですね。これはもう、これまた知事のことばを述べますと、桑原知事も、「都道府県に大幅な事務移譲が行なわれ、国、県、市町村、あるいは隣接団体が、その機能に従い、相互に協力し合う体制づくりがなされてこそ、合併を可能とする条件が醸成されると考える。」、これのほうが先ですと、こら言っている。あるいはまた、岐阜県知事もそういうふうなことを御発言をされているようであります。そうしてまた、いわゆる各府県の議長等は、合併したら一体何が積極的に出てくるのですかと、それで、ここにも出ているように、交付税とか道路譲与税とか、いろいろ、義務教育費、公共事業費、合併による不利をなくするということはあるけれども、積極的な面に移ると、補助金とか地方債とか——公共企業体などには配慮、協力というばく然たるものがあるわけでしょう。合併をすれば、要するに行政的な事務において権限が委譲されてくる、財源が付与されるとか、こういうようなことであれば、まだ魅力があるし合併の意欲もある。あなたのおっしゃるとおりに、私たちはこういうことを考えてやるというわけではなしに、呼び水ですと言うならば、そこに合併の意欲もわいてくるけれども、そんなものは何にもないじゃないか。それなら、これは合併の前提条件を整備をすることのほうが必要ですと、こういうことをやってからにしてくださいというような意見が強く出て、また、そういうことに触れないこの法律について、非常な不満を持っていることも事実なんです。この点について大臣はどういうふうなお考え方をお持ちでしょうか。
  74. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 実はこの法案はいわゆる特例案でございまして、促進法案じゃないというところから、この法案に非常にいろいろの意見が出ているように私は承知しております。いまお示しのありました、たとえば合併の前に一つの、いろいろな条件を具備した問題を処理すべきだ。その意見も決して間違った意見じゃなくて、そういう意見があるのも当然だ。しかし今度は逆に申しますと、この国と地方の公共団体の行政区分というものは、私はここでもう少しひとつはっきりしたい。できるだけ、率直に申しますれば、国の行政というものは、地方公共団体に委譲してもらいたい。今日の公共団体の事務というものは非常にふくそうして、国の仕事を半分以上やっておる状態でございます。これらはどうしても是正しなくちゃいかぬ。それから事業計画にいたしましても、やはり国の直轄でおやりになる、公団、公社でやる、こういうことも、これは必要なこともあります。またわれわれも認めますが、同時にまた相当強力な地方公共団体が出てまいりますと、これらの仕事も地方公共団体の責任でもってやれるような体制ができておればけっこう。これは全部じゃございませんけれども、相当そういう体制も確立して、そうしてやはり一応公共団体の行政の強化と申しますか、充実と申しますか、そういうふうに持っていきたい。そこでむしろそれはどっちかというと水かけ論になりますが、何もそれがいままでの知事なんかの要望が間違っておるとは全然思っておりません。そういうことをまずほしいのだと言われるのもわかりますが、そこにはやはり実態として国がまかせられるという体制づくりというのも必要じゃないか。それにはやはり一体性のある、府県一緒になって強力になってもらえば、財政力その他も、いろいろ国からの何もありますし、一応そういうことが漸次具現してきやしないかというので、私はいまの広域行政ではだめだというのじゃなくて、よりベターのものにやっていきはせぬか、こういう考え方を私ども持っております。
  75. 松永忠二

    松永忠二君 あまり具体的な御答弁はできないのですね。同じことをただおっしゃっておるのですね。  それで、企画庁の総合開発局長に聞きますが、新全国総合開発計画の中では、広域行政についてのことを、さっきお答えもありましたが、「都道府県区域を越える広域的な開発行政を円滑に進めるため、つぎに掲げる諸機能に関連して、主体性を持った広域行政体制の整備について検討する。」、「主体性を持った広域行政体制の整備」というのは一体何か、具体的にどういうことを言っておるのですか、また、目ざしておるのですか、そういう点をひとつお聞かせ願いたい。
  76. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) お答えを申し上げます。  先ほどもお答えいたしましたように、この計画第三部に書きました広域行政に関する問題で、ただいま御指摘の「主体性を持った広域行政体制」という文句が使ってございますが、これはここに明示してありますような広域行政の実務を自主的に主体性を持ってやっていく、そういうような組織が検討されなければならない、こういう趣旨でございます。つまり……。
  77. 松永忠二

    松永忠二君 組織とは、どういうことですか。
  78. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) その組織の実態をどういうものとして考えるかは、先ほど申しましたようにこれからの問題でございますけれども、たとえばそれが非常にルーズな形で一つの団体の連合のような組織もあるでしょう。それから共同で処理するような考え方もあると思いますが、理想的に考えれば、当然一つ地方公共団体的なものとして、財政権等も持ち、議会も持つというようなものを将来の姿としては考えるべきじゃないかというふうに私は考えますが、具体的にこれをどういうふうなものとして考えていいかどうかというようなことになりますと、地方行政の基本問題でありますから、自治省等の意見もいろいろ伺わなければなりませんし、地方制度調査会でいろいろ御検討願っておるわけでありますから、そういうことを通じまして、こういった問題がだんだんに固まっていくと、こういうふうに考えます。
  79. 松永忠二

    松永忠二君 自治大臣、これは国がきめた計画ですね。これはいまお話の出ておるように「主体性を持った広域行政体制」というのは、いろいろあるけれども、いいのは一つになっているのがいいのだという話をしておりますね。そうなってくると、さっきあなたが、いまのところこういうふうなかっこうでいきたいというような言い方をしておるのと符合すると、何か自主的に自主的にと言うけれども、何か頭に描いておるものがあるのじゃないかということを強く認識づけられる。だからこういう点について、再度自治大臣のほうから明確にひとつお答えをいただきたいことと、あわせて開発局長のほうに、一体、その下のところに「各種地域開発関係法令によって都道府県の権限とされているもののうち、広域行政体制において処理するのが適当なもの」、逆に「国の権限とされているもののうち、広域行政体制において処理するのが適当なもの」と、こういうことがあげてありますけれども、具体的にこれは何をさすのですか。これはひとつ大臣に先にお伺いしたい。
  80. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 松永さんに先ほど申し上げましたとおり、いまのところではと私言ったのは、誤解があるかもしれませんけれども、いまのところということは、いまはそう思っているけれども、先はこうだというのじゃありませんで、現実的には私どもの頭の中には、全く一応設定された一つの企画というものを持っておりません。そこでどれどれをどうするかというような指導をいたすことも考えておりません。そのことを明確に申し上げておきます。
  81. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) たとえば公共団体の持っておる権限のうちで、広域的に処理したほうが適当であると思われるようなものというのは、いろいろあると思いますけれども、具体的な例を申し上げますれば、たとえば国土総合開発法に基づく地方総合開発計画の策定の権限というものがございますが、こういったものは当然そういうふうに考えていいのじゃないかと思われます。また国の持っておる権限のうちで、広域行政という観点で、そういった広域行政主体ができますならば、移したほうが適当と思われるものは、これは御説明するまでもなくたくさんあると思います。各地方開発促進法に基づく計画策定の権限の問題、こういうようなものもございましょう。またそういった広域行政的な事業の実施の問題というようなことも当然考えられます。
  82. 松永忠二

    松永忠二君 その点については、そう簡単におっしゃるけれども、そういうことは政府内で統一した見解になっておるかどうかという問題もあると思います。そこでその点少しこまかくなりますので、またそういう点については具体的に触れるとして、地域開発をするために、広域行政をするために、いつも出てくるのは、水の問題とか土地の問題、道路港湾、こういうふうなものは府県の立場とか利害を離れて、広域的な単一性が必要だ。だから財源をプールするためにも広域のほうがいい。多くの自治体が一緒になったほうがいいのだという、こういう広域行政の進め方というものがある。つまり水や土地の問題、道路港湾の問題を推進するのには、財源もプールするし、それからまた自治体も一緒にした、広域にしたほうがいいのだという考え方を推進をしていく。  けさから話も少し出ているように、いわゆる中央集権的なものに広域行政が即結びついてしまうことになるおそれがある。そういう形で地方の自治体が一つの単位になった場合には、一体はたして県民が民主的にいろいろな問題に参加できるだろうかどうか、つまり上の立場からこういうふうなものをつくるのには、こういうことを解決するためには、ここのところは一つになったほうがいいし、またそこは一つの財源になったほうがいいのだというものの考え方で、上の計画でずっと出てきた場合には、どうしても地域住民意見を取り入れるということについて非常にむずかしい面も出てまいります。あるいは県内のこまかい行政について一々目をつけていくという、つまり広域行政をやるというよりは、むしろ県民に行き届いた政治をするために、財源を豊かにし、また地域的な格差もなくしていく、あるいは辺境的な部面も直していかにゃいかぬという、こういう観点に立って広域行政なりの問題を考えていくならば、だいぶ方向が違うわけであります。簡単に広域行政をさえすれば、いま言ったようなことが、財源的にもいいし、また単一的な自治体ならばスムーズにいくのだという、こういう考え方でいくと問題が多い。広域行政広域行政というけれども広域行政に欠陥があるということについては、具体的に大臣はどういうお考えを持っておられるか。広域行政けっこうだけれども広域行政というものの中にも、いわゆるこういう点を注意しないと欠陥が出てくる、こういう点があるということを大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。広域行政一本やり、広域行政をもっと効率的に能率的にやるというようなことが、全面的なうたい文句としても出てきているわけですね。こういう点について大臣のひとつ考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  83. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) いま松永さんのお触れになりました広域行政を推進するのに、自然に財政事情、またその他の面において中央集権的になるのじゃないか、私どもとしてはそれが一番警戒すべき問題だと思うので、先ほども申し上げましたとおり、今日、国の権力ということばは使いませんが、国の支配力といいますか、それから地方公共団体へのいろいろな干渉とか、いろいろなものがまだ全然絶無とはいっておりません。そこで、しかし一方、やはり地方公共団体は、国の協力がなければ開発ができないことも百も御承知のとおりでございます。その意味において、最近、いま御質問になりました中部圏近畿圏首都圏とか、一種の広域行政経済産業の推進をやっている。私は、いまの現在の地方公共団体の負わされているところの行政の負担の実情、国と地方との行政の区分の問題、こういうのを一歩一歩地方公共団体を中核として進めるように持っていくのが、地方公共団体の今後の発展の基礎じゃないかと思っております。  そこで、先ほどちょっと触れましたが、これはややもすれば、お話しのとおり、中部圏は財政計画はこれだけというので縛られて、ややもすればその中央集権的な行政の進め方があらわれるおそれがあります。それらは極力私どもは避ける。したがって今度逆に、相当強力な地方公共団体が各方面に出てまいりますと、いま国のやっておるところの直轄事業あるいは道路河川、住宅、港湾、それらについて、公社とか公団のやっていることも、やはりその地域が本位でございますから、その公共団体がある程度実際その仕事に当たる。そういたしますと、その公共団体はどうしてもこの地域住民意思というものを尊重してやりませんと、国の力によって、いままでも地域住民意思は相当尊重し、参酌してやっておりますが、さらにきめこまかく、私は、地方公共団体がそういう任務を負いますれば、地方公共団体としては、自分の地域住民意思というものをさらに十分に尊重していくようになるのじゃないか。そういう意味におきまして、今後の広域行政というものは、そういう姿勢を保ち、その姿勢に近づくために、私はやはりこのほかのいろいろの部面におきましても、実際広域行政運営をやっておりますので、一歩さらに実態的にそういうほうに進めていきたいという考え方を持っております。
  84. 松永忠二

    松永忠二君 まあ、自主性を重んずるということをやっていくことによって広域行政の欠陥を除去したいというのは、具体的にどこに欠陥があるのかお話しになりませんでしたが、時間もありませんのでもう少し先に進みまして、この法律の中に「広域にわたる行政のより合理的かつ効果的な処理と広域の地方公共団体としての都道府県の能力の充実強化とに資する」、そうして「自然的、社会的及び経済的に一体性のある区域又は将来一体性のある区域として発展する可能性のある区域」というのは、具体的にどういう区域を自治省は考えておられるのか。これは法律に出ていることなんですね。そういうものが実現することによってこの法律の目的を達成していこうというわけなんですから、「自然的、社会的及び経済的に一体性のある区域又は将来一体性のある区域として発展する可能性のある区域」というのは、一体どういう区域を具体的に指定できるのですか。これは行政局長のほうからひとつ、抽象的な話でなしに言ってください。
  85. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 今回の府県合併地方公共団体としての府県合併ということで考えておるわけでございますが、そういう意味で、合併をすることに意見の一致をしますような府県というものは、その相互間におきまして、つまり一体性というか、一体感といいますか、共通の利害というものによって緊密な関係を持つということが基本の共通の認識でなくてはならないということは当然だろうと思うのであります。そこで、そういう一体性のある区域と申しますのは、現にそういうふうな社会的、経済的にも、自然的にも一体となっているという現実の認識が共通の認識に立ち得るような区域、将来一体性のある区域として発展する可能性がある——まあ現実にはそこまでは行っていないけれども、いろいろ国土総合開発計画地方計画なり、そういうものの進行というものをあわせて考えますと……。
  86. 松永忠二

    松永忠二君 具体的な地域でどこにあるか。
  87. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 一体として発展し得るというふうなことを考え得べきである、こういうことを両方あわして言っておるわけでございます。したがいまして、具体的にはどこだということになりますと、これはまあいろいろな言い方ができるわけでありますが、大都市というような観点での関係での一体性の問題、あるいはそうではございませんで、農業地域とか商業地域というようなものがそれぞれ点在しますけれども、あるいは半島なり港湾なりというようなものを含めまして、そういう一体的な地域として考え得るような問題、まあこういうことで、大きく分けますと、大都市を中心にして考えられるというものも一つあると思いますが、一つは、河川とか、海岸とか、海とか、半島とかいうものを中心にしても幾つか考えられる、こういうようなことが言えるのじゃなかろうかと思います。
  88. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことが一体、法律の中にこういう区域ときちっといってある以上、これに該当されると考える区域はこうだという話がなければできぬと思うのですね。一体、その地方制度調査会の前の答申の中に、自然的、社会的、経済的、文化的諸条件を総合的に勘案して七ブロック、九ブロックに区分したといっているのもあるのですよ、具体的にこれと同じようなことをいってですね。それから総合開発計画の中に、圏域を一体として開発整備するために、いままで九つに分けていたのを七つの地区区分にしたというふうになっているわけです。七つの地区の区分がきめられている。総合開発計画の七地区区分というのは、私はここにいう自然的、社会的、経済的に一体性のある区域あるいはまた将来一体性のある区域として発展する可能性のある区域として選ばれているのではないかと思うのですが、この点について開発局長考え方を聞きたいわけです。まあ時間もありませんので、そういうふうなことを具体的に、こういうところがあるというわけではないし、ただ自然的に十年の間には好きなところは合併してくるでしょうというようなことを考えているということになると、これだけいわゆる重要な目的を達成しようと考えているのに、自然に出てきたものになってくる。別に、そういうところにある、こういうところにあると、そういうこともいわないで、ただ自然に出てくるところだという、こういう一体地方制度のあり方というものが、それでいいだろうかどうだろうかという問題ですね。  最後に、自治大臣にひとつお答えいただきたいのは、公聴会の中でも、地方制度調査会が将来における府県制度のあり方を審議中だ、その成果に期待したいということを言っておるわけです。事実、第十二次地方制度調査会の中間答申の中にも、「地方公共団体の共同処理方式による広域行政体制の推進」——府県制度、市町村制度の基本的あり方を抜本的に検討することは避くべからざる——次期調査会が引き続き検討されることを期待するということをいっておるわけです。事実、第十四次地方制度調査会では、大都市問題等を中心にしてこういう問題を検討しておるわけです。したがって、こういう結論が出てからでもおそくはない。しかも、これができれば、それに呼応する体制が地方にあるというわけでもない。継続審議になっても、廃案になっても、それをつくってくれという要望が地方に起こったという事実もないのに、単に道を開くのだという考え方で、それじゃ思いがけない広域なところに自主的なそういう運動が起こってきてしまって、地方府県制度が非常にばらばらな形になってくるということについても心配なしとしない、こういう考え方も私は地方制度としてはあるべき姿ではなかろうと思うのです。そこで、どう考えてみても、私たちはこの法律は緊急必要性を持つ法律ではない。また、いま地方制度調査会がその問題についていろいろと議を練っている際であるし、そういうものを待ってこの問題を推進することもおそくはない。そういう意味では時期尚早であるし、またそういう意味では、前の答申を受けて出して、国会ですでに相当な時間的な経過をとってそれが通過をしていないということは、そのときの考え方国会の中で審議をされた、それについて自治省がその調査会の意見を尊重して法律を出したということになれば、その調査会自身を無視したということに私はならないと思う。そういう意味で、出されたものが国会で議論をされて、それで長い間こうなっている状態の中で時間的なズレも出てきている現段階においては、むしろ次のいわゆる地方制度調査会の議を待っていけということのほうがすなおでもあるし、また国会意思を尊重するということにもなり、あらゆる意味で、この都道府県合併特例法というものは、やはりわれわれがどうしてもそう通していかなければならない筋合いのものではない。この辺でやはり国会意思を十分ひとつ尊重してもらっていかなきゃできぬということを強く要請をするわけです。  最後に、再度大臣のお考えなどをお聞きしたいわけです。その前に開発局長のほうから、この七ブロック、七地域というのは、やはりここにあげてある法律のようなねらいを一面持っている広域地域であるというふうに考えるのはどうだろうかということを御答弁いただいて、それから大臣、最後に聞かしてください。
  89. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) お答え申し上げます。御指摘のとおり、この計画策定の段階においていろいろの議論がありましたが、松永先生、委員としていろいろ御意見もいただいたわけでありますけれども、御承知のとおりでございますが、昭和六十年という目標年度、この六十年度までの経済社会の変化ということを想定して、現在は九つのブロックで進めているのを七つに計画として変えてみよう、こういうことで考えたわけでございまして、開発計画の問題、またさらにそれを実施していくための開発行政の問題として、経済的な面、社会的な面、あるいは自然的な面もございましょう。そういった面を考えて七つのブロックということを考えたわけでございます。しかし、これは御説明するまでもなく、開発計画あるいは開発行政という範囲での問題でございまして、ただいま問題になっております府県合併ということになれば、さらに広い分野の行政の問題になるわけでございますので、この七つのブロックということがすなわち府県合併というような場合における範囲として直接に関連を持ってくる、こういうことにはなっておらないと思います。私どもとしては、開発行政の分野を進めていくについては、こういう構想、この程度の範囲について考えていったらどうかということを御提案いたしまして、そしていろいろ経過のあった末、計画として決定になった、こういう次第でございます。
  90. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 御指摘のように、府県合併法案地方制度調査会答申を受けて作成した。かつて三十何年かに地方制度調査会から出ました案で、府県を廃止しまして、地方という中間団体と申しますか、そういうものを置くという案も出てまいりました。これは、御承知のとおりだと思います。その後、どうしてもいまの府県制は今日地方公共団体においては必要だ、市町村との二重構造になりますけれども、これは行政運営上必要だという前提で、地方制度調査会はそのたてまえでまいりまして、その結果として、やはり今日の広域行政にはできるだけ府県合併がいい、こういう答申であることは、御承知のとおりと思います。そこで、いま地方制度調査会でいろいろ地方制度についての検討を重ねていただいておりますが、しかし前提は府県を存置する、先に出した府県廃止と違って、これを基礎としていろんな検討をお願いしておる次第でございますから、府県合併と、いまの御検討を願っている内容は、どうすれば府県行政というものをもっと有効適切に持っていけるかということのいろいろ御検討を願っております。  それから第二には、各方面で、政府が案を持たなければばらばらでまとめのつかないような合併意見も出てくるのではないかというお話でございますが、そういう意見も出てくるかもしれませんが、各ブロックごとに考えて、そこの法案にも出してありますように、また地方制度調査会答申にもありますように、やはり自然的な、また経済的な、社会的な、あるいは文化的において一体性となるのがきわめて実態上いいんだというような府県合併は慫慂する、こういうことでございますから、やはりこの法案内容から見ましても、一応各ブロック——もう七つとか八つとかこれは別でございますが、その中間のいわゆる地方団体というのは、七つか八つかという構想もあったのでございますが、現在のところはそうでございません。そこで、やはり一体性のある地域というのが原則でございまして、それをそれぞれの基本的考え方でこの問題が進んでいくのではないか、そういうことを自治省としても十分注意しておく必要がある、こう考えております。
  91. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中から午後にわたってほかの委員の方から種々質問がありまして、重複する点はなるべく避けていきたいと思いますけれども、重複する点は大事なところであるから重複するのだと、このように御了承願いたいと思います。  この都道府県合併特例法案の午前中からの審議によりまして、自治大臣の回答の中に、一部に限った地域の利害を考えて計画していないと、こうおっしゃられているかと思いますと、地域開発をする地域住民意思を尊重して反映さしていく考えだと、このように二つの意味のことをおっしゃっております。どうもこの点、はっきり大臣の気持ちがどっちにあるのかわかりませんので、最初に伺っておきたいと思います。
  92. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) お答えいたしますが、一部の利益と申しましたのは、いわゆるいろいろ具体的な地域で、そうしてその地域のつまり住民意思というものと、ただ単に合併すれば何かの利益があるというだけの問題と、分けております。ただ合併すればこれだけの利益があるから合併したほうがいいということでは、私はほんとうの府県合併の基本的な考え方に沿わない、あくまでも地域住民の福祉増進、経済産業あるいは文化の開発と、これに資することが目的でございますから、私はやはり地域住民意思を尊重してやるのが本筋だと、こう考えております。
  93. 宮崎正義

    宮崎正義君 広域行政のことについては、いま松永委員が盛んに言っておられましたし、午前中の田中委員の質問でも地域住民意思ということについては非常に強調しておられました。これは当然そうあるべきだと思いますが、そうであるならば、この新全国総合開発計画府県合併との関連性の点につきまして、国土総合開発法の第二条第五項並びに第七条の二、三、四項から考えあわせてみましても、今回またさらにこの法案提出されてきたという都道府県合併特例法案提出の経緯という、その基本的な考え方住民意思を尊重してということであるならば、最初国土総合開発計画法というものを出したのも同じ意思だと思うんですけれども、この経緯とこれからの考え方、それらについて建設大臣並びに自治大臣に基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  94. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 政府といたしましては、過般発表いたしました総合開発計画の試案を踏んまえまして、日本の総合計画を六十年度をめどといたしましてその実施を進めてまいりたい、こういうふうな考えの一環としまして、これらの計画をより効率的、合理的に推進するという立場から、府県合併特例法案という法律案に対しましても御審議を願っておるような次第でございます。
  95. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 宮崎さんも御存じだと思いますが、この法案の根拠は、地方制度調査会答申に基づいて立案いたしたのでございます。したがって、その地方制度調査会答申の目的と申しますか、精神と申しますか、これがやはり広域行政という点から発想いたしておるのでございます。自治省といたしましても、広域行政によって地方公共団体の行政力を増強したいということを考えております。したがって、全国総合開発計画に、われわれ自治省といたしましては、やはりそういう観点で計画をされることについてはわれわれは同意する。われわれのそういう考え方と一致するような広域行政を考えられた上の全国総合開発計画と、こう了承いたしております。
  96. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、先ほども質問があったようでありますが、時限立法として十年を目途としている、こういう面から都道府県合併特例法案というものが出ておりますが、私の申し上げたいことは、この国土総合開発法の先ほど言いました二条第五項にあります、この面から取り上げてみましても、この立法内で当然これは処理できるんじゃないか、考えられていけるんじゃないか、こういうことをお伺いしたいと思います。また、時限立法として十年間を目途としておりますけれども、この条文の中にはただし書きがありますけれども、これを一つ水資源開発の事業に例をとってみて、計画実施から施行する、用地の買収からまたダムの建設、完成という大建設事業に要する歳月というものがどのぐらいかかっているかということは、今日までの多くの事例でわかっているわけでありますが、したがいまして、この法律案が出されるのには、何かの予定地域を想定されてからの考えで当然計画をされているんじゃないか、その予定地域については何も考えてないというふうなお話でありますけれども、これは私は納得できないわけであります。いま申し上げましたように、一つ開発事業をいたしますのにも相当の年月を要するわけであります。そういうことを総合的に考えていくのが国土総合開発であり、そのほうに含まれていかなければならないという点から、この時限立法というものを認めがたいのでありますが、この点についての答弁をお願いします。
  97. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 先ほどもほかの委員の方々にお答えいたしておりますが、十年間の時限立法、新しい全国総合開発は六十年を目途としております。少なくとも国の総合計画を実施に移しその成果を得るには、地方公共団体の任務は非常に重いと思っております。そこで、この十年間という目標をつくりましたのは、この全国総合開発計画を推進する役目ももちろんございます。同時にまたほかのいろんな施策もやはりこれを強力に推進するということでございまして、一応いまの社会経済の推移にかんがみまして、十年間という年月は相当のこれは時間的に大事なときでございまして、ここでもって日本の次の世代の人ができ上がると思っております。それに関連いたしまして、地方公共団体の任務は日に増し増大してまいります関係上、できれば一体性のある県は一緒になって協力するということで、一応十年間あたりをめどにする。もちろんこれは時限立法でございますから十年間で終わりますが、さらにまた必要な場合にはどう措置するかということは、また次の時期をとらえて考えるべきでございます。そういうことでございますから、十年間に限った以上、何かひとつ役所のほうで企画や計画があるだろうというお尋ねでございますが、これは私は当初からお答え申しておりますとおり、自主的にひとつお考えになることでありまして、国が押しつけてこういう県とこういう県は一緒になったほうがいいという指導は避けなきゃいかぬ。つまり、自主的ということは、その地域住民意思を尊重するということだと考えておりますから、私どもは一切企画したり計画したりして指導するということは、法案では自然的、経済的、社会的云々と出ておりますけれども政府のほうから企画をもって押しつけるというようなことは全く法案と矛盾することでございます。また、私ども地方公共団体のお世話をする立場といたしましても、それは絶対好まないという考え方でございますから、現在におきまして、もちろん将来におきましてもそうでございますが、特別政府が企画して、そうしてこれを地方団体に押しつけるという態度はとらないつもりでおります。
  98. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、新都市計画法においても、国家的・広域的に必要であるものは建設大臣または国の立場で行政し得ることになっておりますのは、これはその新都市計画法ができたときの法の精神でありますが、県知事の権限ですら地域の事情を当然熟知している市町村に行なわすべきであるとの意見が強かったわけであります。新都市計画法においてもそういう意見が非常に強かったのでありますが、都市計画というものは、地域住民が参加して自主的にこれを決定するという、いまで言います民主的なルールを担保とした権限制限も理由づけられてあると思うのでありますが、都市計画の理念は広域行政にはなじまないものと言えるのではないかと、こう思うわけなんですが、その精神と広域行政に対する民主的なルールを担保とした権限制限を持った考え方というものについて大臣はどうお考えになっておりますか、この点について建設大臣に伺います。
  99. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 去る四日に発足施行いたしております新都市計画法の運営に際しまして、府県知事に権限を与え、そして市町村においてそれぞれの執行をいたしておるのでございます。これに関連する広域行政との関連性につきましては、私のいまの広域行政の立場からいたしますと、都市計画推進にはそう大きい支障を来たすというようなことは考えていないような次第でございます。
  100. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは私はそうじゃないと思うのですが、行政区域を拡大するということは、その中における稠密地域の中心行政にこれはなっていきやすいのじゃないか、その他の地域とのそうなりますと非常に格差が出てくるのじゃないか、日本の全土が均一的な発展をしていくということがこれは狭められてくる危険性を当然伴ってくるのじゃないか、こういう面を考えましていま質問しているわけですが、どうもその点だけでは私は納得しかねるので、もう一度建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  101. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) ただいま発足いたしました直後でもございますので、これらの事業推進がどう進展してまいりますか、また広域行政の上においてどういうようなあらわれ方が出てまいるかというようなことを十分踏まえまして、これらに対する行政配慮、またこれに対す見解等も私はきめてまいりたいと、こう考えております。
  102. 宮崎正義

    宮崎正義君 発足したばかりだからというのじゃなくて、発足する前においては、当然広域行政というものを考えて、踏まえた上でなければならない、こういうふうに思うのですが、考え方がちょっと違うのじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
  103. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) それは、宮崎委員の御指摘になった考え方につきましては、十分われわれといたしましてもそれを配慮いたすことは、私は当然だと思っています。
  104. 宮崎正義

    宮崎正義君 この都道府県合併特例法というのは、一部に言われていることは、財界あるいは政界、経済界等で、知事や住民なんか無視されて大体法案が提案されてきているというふうにも聞いているわけですが、このように住民を無視したり、あるいは知事の声なんかを無視して、地方自治団体の声を無視してやっているようなことを聞いたわけですが、この点はどうなんでしょう、自治大臣
  105. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) この際はっきりひとつお答えをいたしておきます。  私も世間の一部にそういううわさがあったり話があったりしていることを聞いております。私はまだ、自治大臣に就任しまして、その方面で財界人の陳情書は一応見ましたが、幸か不幸かあまり接触いたしておりませんので、真意はわかりません。要するに、この特例法案は、先ほども松永さんにお答えしましたと同様に、地方制度調査会答申に基、ついて作成した法案でございます。一部の経済人とか、一部の財界人の方とか、またその他の方の進言によってこの法案ができたとは思いません。したがって、法案も、これは御承知のとおり、一部の運動でこの合併ができるような法案でございませんで、これはあくまでも自主的な発想がなければならない。その地方議会の賛成が三分の二をこえないときは住民投票というところまでわれわれは心を配ってやっておりますので、一部の運動や発言でもって動かされてこの法案をつくったとか、またできたらそうするというようなことは絶対ないということを、はっきりこの際申し上げておきます。
  106. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま大臣のおっしゃることは、当然のことであります。そういううわさ−話が出てくるというところに、何かあるのじゃないかと思うわけです。火のないところに煙は立たないということわざもありますとおり、何かこう不明朗な点があるように思えてくる。それで、大臣考え方等を参考に伺ってはっきりしておきたいと思うので、申し上げたわけであります。  それで、現在の首都圏、あるいは近畿圏中部圏等の地域開発計画と都道府県合併等の広域行政との関連、先ほどもお話がありましたけれども、この点をもう一度私ははっきりさしておかなければいけないのじゃないか。また、考えてみますと、明治以来の府県制度が行政上の理想だとはこれは思えないのでありますが、戦前と戦後の行政区域は同じでもその内容においては雲泥の差があるようにも思えるわけであります。政府広域行政に適する理想的な府県区域といいますか、人口等の体制、それらはどの程度のものが一番いい体制であるのか。先ほど七大ブロックというような話もありましたけれども、どの程度が、どういうふうなものが一番適当であるのか、この二点について伺っておきたいと思います。
  107. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) どの程度、どの範囲が一番適当であるかということでございますが、いま申しましたとおり、これは自主的にお考え願って、その場合の手続を経て実現する方法をおやりになって、その結果を、道を開くというのでありますから、いま何べんも申しましたとおり、どの県とどの県というようなことを考えておりませんが、一応常識的に申しますと、大体今日のこの行政区画を見てみますと、一番広大な地域は北海道でございます。人口におきましては東京都と、こういうことになっております。北海道、東京都は一応の行政区画として運営いたしていることも、御存じのとおりでございます。これを越すようなことになりますればどうなりますか、まだ日本に出現いたしておりません。私はどうもあまりその実現性がどうかという研究をいたしておりませんので、なまじっかなお答えはしないほうがいいと思いますが、一応いまの現実はそういうことになっております。大体地域的に人口的にそれ以上のものは、これはいまの府県制の立場からしますと、なかなかむずかしいのじゃないかと、こう考えております。
  108. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは、先ほど松永委員もその問題等で言われておりますので、この程度にしておきますが、大森委員の回答にも、自主的、自発的判断によって、そうして国の力をかりて行なわせるような点は行なわしていくようにしていかなければならないのだというようなことで、具体的な合併府県ということは考えてないと大臣もおっしゃいますが、どうもすっきりしないのは、どの委員の方でも、この法律案が出る以上は何らかの根拠がなくちゃならないのじゃないかということが知りたいためであるのだと思う。私もそうなんです。したがって、全くそれがないとすれば、これはまた別の角度からお伺いをしなければならないのですが、どうなんでしょうか。
  109. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) しばしばお答えいたしておりますとおり、特別の計画を持っておりません。私のことばを信用していただけぬのは、非常に不徳のいたすところで、遺憾でございます。私は全くその点については御答弁をいたしておるとおりの考え方を持っております。
  110. 宮崎正義

    宮崎正義君 その提案理由がさっぱりわからないんですがね。わからないんですから、わかるまでやりとりしなければならないんでしょうけれども、時間がありませんので、残念ながらほかにいかなければならないのですが、合併推進論の大きな理由というものは、水資源、水問題が大きな重要な課題になってまいります。水資源のことについてお伺いをしたいのですが、ちょうど河川局長もおいでだし、自治大臣とともに考えあわせていただきたいと思います。現行の都道府県区域水資源に対してどのような障害を起こしているだろうか、こういう点について伺っておきたい。
  111. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 水資源開発ということは、国土開発の上において、また地域社会発展の上において、まことに重大な、また緊急な問題点と、私はこう考えておりますが、その水資源開発確保に関連いたしまして、府県合併との問題点でございますが、精神的といいますか、その地域社会をともにする——たとえば近畿圏という場合を考えてみましたときに、近畿一つなりというような一つの抽象的な観念的な同じ立場にいる地域住民の気持ちがあれば、私はそうした立場で、直ちに府県合併を仰ぎながらいたさなくても、水資源開発という大きな問題には私は取り組み得るのじゃないかというような気持ちもいたしております。また合併が必要であるということも私は考えておるような次第でございますので、そうした点においては、われわれといたしましては、やはり水資源開発をいたすという方向に、建設省といたしましては行政指導及び行政配慮を十分いたしてまいるということが一番優先する問題点であろう、こう考えております。
  112. 宮崎正義

    宮崎正義君 都市の人口増加に伴って用水の確保は当然やらなければなりませんが、経済企画庁のほうの方から伺っておきたいのですが、水資源開発促進法の面から考えあわせまして、どんなふうな意図をお持ちになっていますか。
  113. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) お答え申し上げます。  いま建設大臣からのお話もございましたように、水資源開発の問題は、今度の全国計画におきましても非常に重要な課題として掲げてあるわけでございまして、特に大都市圏においての水需給の逼迫というものは現在でも相当なものでございますが、今後ますます大きくなるということでございまして、そういう観点から、この問題については広域行政的な見地及び産業の配置あるいは人口の動向というような問題を含めまして取り組んでいく必要がある、こういうことで掲げてあるわけでございます。
  114. 宮崎正義

    宮崎正義君 引き続いて、首都圏及び中部圏近畿圏の将来の水の需要についての状況、供給計画、そういったようなものを説明を願いたいと思います。
  115. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) お答えを申し上げます。  首都圏及び近畿圏につきましては、これは水資源基本計画としては利根川水系及び淀川水系別につくることになっております。利根川水系、淀川水系につきましては、昭和四十五年度を目標年度とした計画によって現在ダムその他の建設が進められているわけでございますが、四十五年度目標でございますが、今後の問題について対処する必要があるということで、現在計画改定作業に入っております。  それから中部圏につきましては、木曽川水系についての水資源計画が策定されておりますが、これは昨年基本計画の決定を見ておりまして、これによって進めておるところでございます。  数量的な問題その他、必要ございますれば、資料として提出をいたしたいと思います。
  116. 宮崎正義

    宮崎正義君 近畿
  117. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 淀川水系につきましても、先ほど御説明を申しましたとおり、昭和四十五年度までの計画でございますので、現在計画改定作業中でございます。
  118. 宮崎正義

    宮崎正義君 大阪の水飢饉というものはたいへんな状態にきているのじゃないか。いまお話がありました淀川だけではおさまっていかないのじゃないかというようなことも聞いているわけですが、この点どうなんですか。
  119. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 当面、水資源開発促進法によりまして水系指定が行なわれておるものは淀川水系でございますので、私どもいま計画改定作業としては、淀川水系についての改定計画をどうするかという作業をいたしておりますが、もちろんそれから先の問題、特に全国計画で考えました昭和六十年度というようなことで考えますと、これ以外の水系についても開発を進めていかなければなるまいということでございまして、当然そういう相当広範囲の検討が必要になると思っております。
  120. 宮崎正義

    宮崎正義君 琵琶湖はどうなんですか、琵琶湖を含んだ計画を立てられませんか。
  121. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 琵琶湖は淀川水系でございます。
  122. 宮崎正義

    宮崎正義君 そのとおりです。  そこで建設大臣にお伺いしますが、琵琶湖を含んでいく淀川水系というものの開発について、大臣は、琵琶湖の総合的な開発に対する必要性というものは、淀川水系の琵琶湖を含んだ関係からいきましても重要な課題としているのは当然でありまするが、大臣のこの琵琶湖の利用計画といいますか、琵琶湖の開発計画といいますか、考え方、それらについて御説明願いたいと思います。
  123. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) ただいま企画庁の局長が申しましたとおり、現在の東京あるいは京阪神というような水需給の必要性、緊急性というものは、まことに緊迫化いたしておるような次第でございますので、この開発計画ということこそ非常に当面いたします重要な問題点として、私も就任以来努力しておるようなわけでございます。ことに御指摘になりました琵琶湖の総合開発を中心とした問題につきましては、一昨々年以来政府といたしましては取り組んでおるのでございますが、地元の滋賀県側との話し合いというものがなかなか前進し得なかったとともに、政府みずからがこれに取り組むところの具体的な姿勢がまだ整わなかったというような点を考えまして、私はこれに対して積極的に取り組みまして、過般二回にわたりまして閣議においても発言をいたし、各閣僚、省庁間の連絡協調を強く要請もいたし、佐藤総理からもこれに対する指示をいただくというようなことで、各省庁との話し合いを具体的に進めてまいりまして、そしてつい十日ほど前でございますが、建設省の首脳部を連れまして滋賀県に参りまして、御協力をお願いしたいという立場から出向きまして、滋賀県側の知事はじめ理事者並びに県会の各位あるいは与野党の国会議員各位とも一堂に会しまして、政府の、建設省の意図いたしております考え方を申し上げて、強く御協力をお願いいたしましたのでありますが、その問題点は、御承知のように、第一はやはり琵琶湖の治水計画がいかにあるべきかということ、二番目には琵琶湖周辺の総合開発計画と国がどう取り組んでいくかという問題点、第三番目はいわゆる下流地域の京都、大阪、神戸等の治水、水資源確保の需給の必要性という、三点に対しましてのそれぞれの解明を申し上げて、御協力をお願いいたしました次第でございますが、ことに琵琶湖周辺の治水並びにこれに関連する公共事業の推進といいますならば、やはりこれらの流域住民の福祉を考えましての、あるいは下水改良事業、あるいは街路その他一般の公共事業を推進いたしていきたいということでございます。地元側としてのこれらの具体的な施策を考えますときに、やはりかなり膨大な巨額な金を必要といたすようなわけでございますとともに、もう一つは、やはり漁業権あるいは養殖事業等に対するところの補償の問題点、これなどに対する政府考え方、方針というような、あらゆる総合的な、具体的な問題と取り組む必要がございますので、建設省といたしましては、七月の一日——明日になりますが、ここ近日中に河川局の中に琵琶湖総合開発連絡協議会というものの部屋を設けまして、そして省内の統一見解、また各省庁との連絡事務等、また地元側との連絡というような具体的な事務の推進、協議をいたすという立場で、積極的にそうした事務的体制も整えましたことも地元に対して表明申し上げ、協力をお願いしたわけでございますとともに、いわゆる水位の変動に伴う不安感、またこれらに対するところの建設省と地元側との態度等につきましても、私はありのままに率直に約二メートル前後という表現を使わしていただいておる次第でございますが、地元側は一・五メートルという立場をとっておられますが、こういうような具体的な問題につきましても、今後十分誠意をもって話し合いを進めてまいりたいと、こういうつもりで、先週の土曜日に出向きまして話し合いをいたした次第で、それが終わりまして、大阪の知事並びに市長、兵庫の知事並びに市長等にもお会いいたしまして、下流地域としての立場からこうした重要な問題点に対する協力方を要請し、全面的な協力の確約を得たというようなことで、ようやく緒につきつつあるという段階でございますけれども、遅々逡巡、一日もゆるがせにできない重要な問題でございますので、建設省は積極的にこれに取り組む覚悟であることを表明申し上げておきます。その場合に私が使ったことばは、近畿一つなりという気持ちでのお互いの府県関係機関の協力をお願いする、こういう立場からくる広域行政というものの必要性というものを私は認めることが当然である、こういうような気持ちでおることを率直に申し上げておきたいと思います。
  124. 宮崎正義

    宮崎正義君 この琵琶湖開発というものの陰には、うわさされております都道府県合併特例法の中に含まれているやに聞いておりますことはどうか。大臣はあくまでもそういう地域はきめてないとおっしゃるのですが、そうした場合には、かりに都道府県合併ということになれば、その水を供給しているほうの県もこれは当然合併される範囲内に入るのじゃないか、こう思うわけですが、自治大臣、どうでしょうか。
  125. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 私から、非常に重要な大事な問題点でございますから、建設省側としての考えていることを表明申し上げて、誤解のないようにしていただきたいと思いますが、この特例法案の中に、こうした問題点を考えながら近畿圏府県合併というものを考えてこうした作業を続けているなんということは、全然考えてもおりませんし、私は関知いたしておりません。精神的な面から近畿一つなりということを申し上げたので、ひとつ御理解をいただきたいと、こう思います。
  126. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) ただいま建設大臣からお答えいたしましたことで明瞭でございますが、今回の琵琶湖の水の開発について建設大臣からしばしば閣議で御報告がありました。非常に意欲的な姿勢をもって開発計画に当たっておられることは、やはり関係地域住民といたしましても、私はこれがきわめて公正に迅速にでき上がることを非常に希望し、地域住民も、私はそれに関連いたしまして、非常にいわゆる生活あるいは産業すべての点におきまして有効であるし、まあありがたいことだと思っております。ところが、いまたまたまお聞きいたしておりますと、その水の供給圏が、つまりこの府県合併特例法案にそういうことも想定しているのじゃないかというお尋ねでございますが、いま建設大臣からもお答えいたしましたとおり、この琵琶湖の開発府県合併とは特別打ち合わせをしてやった点は一ぺんもまだないし、私自身がこちらからも御相談しないし、建設省からも御相談を受けたことはございません。これはほんとうに建設省が、日本の今日の水の問題の解決、地域的に、先ほどお尋ねになりました、首都圏はどうだ、利根川をどうする、あるいは近畿圏はどうだとかというようなことで、地域地域にわたって重点的に開発計画しておることは、私どもはやはり地方公共団体をお世話する立場といたしましてたいへんありがたいと思っております。その意味におきまして、やはりそういう地方府県合併するときに水の供給圏をどうかという、これはもう重ねて申しますとおり、自主的なことでございますし、それが行なわれたか行なわれないかわかりませんが、行なわれた場合にどうだということは、いま何ら想定もいたしておりません。
  127. 宮崎正義

    宮崎正義君 この問題については話し合ってないというようなお話と私は承ったんですが、私はそれはそうであったらいけないと思うんです。少なくとも日本総合開発の立場の上からいっても、近畿一体という面から、建設大臣が言われるような面からいいましても、当然これはもう話し合って話し合って、こうしていくんだということでなければいけないんじゃないかと思うんです。どうもこの点おもしろくない。時間がありませんので、いまは私の意見だけを申し上げて、次にいきたいと思います。  現在の地方制度というのは、御存じのように、府県と市町村の二重構造になっております。この合併した府県の名称はどうなっていくのだろうか、あるいはまた、合併によって過疎地域等の後進県と富裕県、こういったような格差を一そう激しく見出せるのじゃないか、これも心配の一つです。それから、府県合併という広域行政地域格差、これはどうやって是正していくか。地域住民に対する最も身近なきめこまかい行政一定水準で行なおうとする、住民の自治行政というものに対する考え方からいくというと、どうしてもこれは逆行していく法律案だというふうに考えざるを得ない。したがって、この面について私どもは、五十一回国会から出されてさらに今回もまた提案をされているという、こういう問題点をうんとかかえている法律案を出された根拠というものは、先ほどから申し上げておりますように、その考えられたことがなければこの法案提出というふうにならない、こういう面から推しはかってみまして、一部の財界の人たちが口を出しているのじゃないだろうか、一部の政界の人たちが口を出しているのじゃないだろうかといううわさ等も当然含まれてきての考えがあるがゆえにこの法案が提案されているのじゃないか、こう私は心配しているわけです。あくまでもこの法案に対しては、国土総合開発計画の中に明らかにうたっているその条文の中から立法化していくという行き方が正しいのじゃないか、この点についてお伺いをしておいて私の質問を終わりたいと思います。
  128. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 先ほどの琵琶湖の水資源開発に関連して、私の答弁に対して誤解があると困るから申し上げます。  相談を受けたことがないということにつきましては、これは地域関係ですからもちろんいろいろの事務的相談その他あります。しかし、いまあなたの御質問は、あの琵琶湖開発府県合併一緒になって考えて相談したのじゃないかということでございますから、あの水資源開発府県合併と関連して相談したことはありませんというお答えをいたしたのでございますから、誤解のないようにお願いしたいと思っております。  それから、いまの後半の御質問でございますが、これは地方自治団体のつまり力をふやすということは、やはり広域行政に基づいてひとつ内容を充実し強化したいと。そのためには、そういう今日の事態がやはりどうしても国の行政というものに対して地方公共団体は重圧を感じております。また資源開発におきましても、やはり国が直轄、あるいは先ほど申しましたとおり、ほかの法人その他でもつていろいろの仕事をしていただいております。しかし、できますならば、やはり地域開発地方公共団体がしょっていくくらいの強力な地方行政を推進したいと念願いたしております。一挙にはそういきますまいけれども、それがやはり広域行政というものが、いま近畿圏お話がありましたが、やはり近畿圏一体、これはけっこうだと。何も府県合併の必要はないという断定がつきました以上は、それはことさら私は府県合併なさらないでけっこうでございますが、やはり各ブロックを見ますと、必ずしも一体でなく、全地域の推進に当たる場合に、いろいろ御意見があっちこっちある。たとえばいまの琵琶湖の問題でございます。これは普通あの近畿地帯の水資源としては、前からいわれておりましたけれども、なかなかその意見がまとまらないので、建設大臣が幾度も行って、供給県に対していろいろ御相談をなさったということ、なかなかそういうところに困難さがございます。したがって、私どもはこの広域行政というものは、国の、何と申しますか、いろいろのやられる仕事に対して、できるだけ地方公共団体が加わってやるような姿勢をとりたいというのでございまして、それがとりもなおさず地域住民意思を反映しておることになりやせぬか、これは地方公共団体としての進むべき道じゃないかという考え方を持っております。したがって、今度の法案はいろいろの御批判もあります。私もそれは率直に認めて、いろいろの御批判は決して否定するものではございません。いろいろの御注意も得ております。しかし、いまお話しありました、経済人がどうだ、また一部の人がどうだということは、私はほんとうに私の政治的信念から、そういうもので動かされるようなことで地方行政を担当するなんということはおこがましいことである。もし事実がございましたら、私のほうからこういうことがありますということを申し上げますが、私に関する限りはございません。みなは私は否定しません。いろいろな意見があることも知っております。うわさは聞いておりますが、どういうことか、私は冒頭から関係しておりますが、私に全然働きかけはございません。これだけははっきりしておきます。そうして、この法案はやはり地方制度調査会答申に基づいてやっておるわけでございますから、そういう点をひとつあわせて御理解を得たいと思いましたからお答えいたしておきます。
  129. 高山恒雄

    高山恒雄君 自治大臣にお聞きいたします。いろいろいままで質問が出ておりますし、できるだけダブることを私も避けたいと考えております。与えられた時間もわずか二十分でございますので、御質問申し上げたいと思います。  関係府県住民から積極的に合併に対する機運が盛り上がってない。現にむしろ関係府県住民は反対の意向を表明しておる地域が多いんですね。それに都道府県合併の特例法を提案された政府の意図というのは調査会の結論で出しておる、こうおっしゃっておりますけれども、さらにまた、合併をするのについては都道府県を自主的に非常に尊重をされると、その声がないのに、これを何回か繰り返し出しておられるということは先ほど松永委員も御質問がございましたけれども、もう一回大臣のひとつ見解をお聞きしておきたいと思います。
  130. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 高山さんにお答えいたしますが、先ほど松永さんの御質問は、緊急性はどうだと。私は率直に申して、緊急性ということは今日の時点で認められません。これは私はありのまま申し上げておきます。それでまた地域の中には反対もあると、これは私はおそらくこの反対とか賛成とかいうのは、ただいまもお答えいたしました、一部の県を想定して、その府県の方々が、いかにもこの合併案が通っていけば、すぐにでもその地域合併に進むんじゃないかというような誤解があるんじゃないかと思っております。私はやはり今日地方行政のあり方を見てみますと、どうしてもいろいろな形において広域行政の必要性は出ております。これは決して府県合併ができたからこれが解決するというまでのというわけにはいきませんけれども、現在におきましては、やはり、共同処理方式とか、あるいは協議会をつくってみたり、あるいは今度のグループ別についてはいろんな御論議のありました近畿圏とか首都圏とか中部圏とか、これも一種のいわゆる広域行政のあり方でございます。したがって、いま高山さんが御指摘になりました一部の反対とか賛成というのは、法案が成立すれば、何かしら、あしたからでも自治省が指導いたしてやるのじゃないかという懸念を持っておられるのじゃないかと思いますが、これはもう全く根拠のないことでございますので、私はっきり言明いたしておきます。これはもう非常に自主的な発想、考えをもって解決されることでございまして、実際、どの府県に対しましても自治省としてはこれに関しまして指導助言するという考え方は持っておりません。
  131. 高山恒雄

    高山恒雄君 経済中心とする近畿中部圏のそうした一部の意見もあったのではないかという先ほど質問が出ておりましたが、それを大臣は否定されておりますから、私もそのことに触れないでおこうと思いますが、一体合併をするというこの理由の中では、大臣も先ほどの答弁の中で、経済的な、つまり地域社会開発のためにやるんだ、しかも格差是正もそれに含めてやることが正しいのだ、こう言っておられるわけです。大阪、愛知がその中心に今日なっておるようですから、かりにそこを中心にして、その周辺の格差というものが是正されるのだと、こう大臣はおっしゃっておると私は思うのです。けれども私は、日本全体の格差をどうするかということが優先しなければならないと思うのです。   〔委員長退席、地方行政委員会理事熊谷太三郎君着席〕  これは過疎地帯をどうするかという問題は政府もお考えになっております。さらにまた、地域でもその点については重要な問題として、地方自治体のほうからも陳情を何回となく政府も受けている。そういう総合開発をやろう、しかも審議会の中では七つのブロックに限定してはどうかという意見も出ておるわけですね。それの計画がいまやられておるのにもかかわらず、先にこの問題の合併をするという前提に立った法案を出すということは、いま直ちに合併をするということは私も考えておりません、大臣のおっしゃるとおり。けれども、促進剤になることは間違いないでしょう。その促進剤のためにやらむとされるその方向が、日本全体の地域開発の点から考えて私は大きな隘路になるのじゃないか。それを自民党の大森さんでしたか御質問があったように、たとえば奈良県、和歌山は困っておるというのは当然のことです。大阪府は喜ぶでしょう。それは言うまでもなくアメリカのニューヨークがそのとおりなんです。いわゆる昼の人口は全く拡大しておるけれども、夜間になれば人口はいないんです。それが和歌山と大阪と奈良との合併によってそうなりつつあるんです。それで、大阪合併したいと言うのは私は当然だと思います。大阪府知事もそう賛成しておられるようじゃありませんけれども、これらの問題はやはり根本的に考える必要が私はあると思うのです。しからば一体、この後進県、早く言うならは過疎地帯——鳥取、島根、これをどうするのかです。あるいは中部については長野、岐阜の山村、一体これはどうするのか。合併ということは、そういうことまで考えなければ、大臣が主張されるような地域格差是正するなんということに私はならないと思うのですよ。その点どうお考えになるか。
  132. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 私は高山さんの御意見は十分尊重するわけでありますが、私の考え方といたしましては、いままで出ている——私自分でも驚いているのですけれども大阪、名古屋にわたって合併論議が先に出まして、また、一部報道があったことは事実です。これは否定いたしません。これはまあ私になってからはあまり出てこないということでございますから、何も過去のことは否定いたしません。ただそこで、特に大阪とか名古屋の過密都市を中心として、ほかの県は一種の吸収合併みたいな形になるという考え方もありますが、これは法案においては対等の府県合併をいたしております。これは別といたしまして、私は、この府県合併の必要を感じられるところは、繁栄している府県よりも、むしろ後進、こういうところはひとつ強力な決断でやられたらどうかということを私は考えております。その点はいろんな場合においても——国会ではございませんが——ほかで申し上げたのですが、私は、そこのそういうところに、いま一番苦しんでいる典型的な経済格差是正の問題、それから高山さんのおっしゃった過密、過疎の問題——過疎の問題というのはたいへんな問題でございまして、すでに衆議院でも法案が出たようでございますが、私どももかねてこれは心がけておりますが、私は、むしろそういうところにこういうきざしが出てくるのがほんとうじゃないか、こう考えております。
  133. 高山恒雄

    高山恒雄君 企画庁にちょっとお聞きしたいのですが、企画庁は、かりに大阪を中心とする、それを対象とした法案になっておりますが、そういう対象からお聞きしたいのですが、隘路になると考えませんか、どうでしょうか。私は大きな隘路になるという観点に立って御質問申し上げておるのです。大阪にしても、中部——いわゆる愛知を中心とする三県の合併にしても、将来の過疎地帯の開発に大きく隘路になる。一体地域開発というのは何を目標にしてやるのか、大臣。第二次産業の生産部門というものを移動させるというような大きな考え方なのか、観光投資を中心とするのか、いろいろ具体的になると思うのです。一体地域開発をやると言われますが、地域開発の柱になるものは何か。そこで私は、もっと六つか七つのブロックに分けてやるべきだという答申が出ておりますから、その答申から考えてみれば、たとえば九州を対象にとりますならば、大体、東京、関東地域と同じように、あの九州だけで千二百万人の人口がおるわけです。千二百六十万ですか、それだけの人口がおるわけです。ほんとうに大都市として考えてみたっていいのですね。その前にまず都市を中心として、そうして地域格差是正しようという考え方がいけるのかいけないのか、その点はどうお考えになりますか。これをやはり隘路とお思いになるか、いや、それはもう問題はございません、こう答弁されるのか、一応見解をお聞きしたい。
  134. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 私どもの立場で今度の計画を考えまして、どういうふうになっておるかということを先ほども実はお答えを申し上げましたが、結局、これからあとの相当長期にわたっての構想として考えるならば、七つのブロックというくらいで考えていくことが、計画としても、また実現していくための施策をするにおいても、適当であろう、こういう考え方でございます。しかし、これは昭和六十年度という相当先のことを考えての計画でございますし、また開発行政という面についての問題でございますから、府県合併というような行政の範囲としてはもっと広い点でお考えになる。また、そのスケジュールも、十年の時限法ということから見ましても、もう少し早い時期に問題になるということから見まして、当然その間にこの考え方の相違があってもいいのじゃないかと、こういうふうに考えております。ただ、この府県合併そのものが、私どもが提案いたしました開発行政という見地から見まして、これはやはり一歩の前進でありまするし、方向としては合っておる、こういうふうに考えております。過疎問題あるいは格差是正という面からどうかという御議論もございましたが、もちろん、全国的に問題になっております過疎問題というようなことに対しまして、私どもは、今度の計画におきまして、国土全体の使い方の問題ということでこれは対処していくことが基本である。また、そういう地域における住民の方々のいろいろな問題点に対しては、むしろ広域生活圏、広域市町村圏といわれますような圏域を基礎単位としていろいろの施策を展開していくのがいいだろう、こういうことを提案いたしておるわけでございますけれども、今度の合併特例法によりまして、そういった圏域内において格差是正をはかっていく、あるいはこういう措置を通じてはかっていくという考え方には、これは具体的にどういう地域でどうやるかということによって相当の相違が出ると思いますけれども、何といいましても、それによってかなりその地域経済的な発展がはかられる。また、したがって、財政力の充実も出るということであるとするならば、当然その効果があるものと、こういうふうに期待をいたしておる次第でございます。
  135. 高山恒雄

    高山恒雄君 いま企画庁の局長は、まあ六十年だとおっしゃいますけれども、六十年たって、いまから十数年の間待っておるわけにはいかないと思うのですね。六十年には実現するような方向に進むのだろうと思う。そうでしょう、これは。したがって、六十年という先を考えるべきじゃない。きょうからの日のことを考えるべきだと私は思うのです。たとえて例を申し上げますと、中部圏のまず愛知、三重、岐阜の合併を進めるとします。一体岐阜県、長野県の県境の過疎地帯はどうなるのか。合併すれば水資源は豊富にこれは取れるでしょう。長良、木曽川、揖斐川、もう水の問題は問題ないでしょう。そうしますと、一体何が残るかということですよ。水資源が豊富にあって地域開発が十分できれば、過密化の上に過密化をして、そうして地域住民開発ができる。それは岐阜県と三重県とが背負うことになりましょう。名古屋を中心とする産業はますます開発するでしょう。ところが、岐阜県の山間地、長野県の山間地というのはどういうふうに開発できるかというと、できないと思うのです。やはり水資源のあるところでないと産業発展はないのです。ここに私にも陳情が来ておりますが、東海、北陸四県の知事からも、市長からも陳情がきております。これは建設省にも関係があるんですけれども、建設省、いま調査をされておるようです。一宮から関を通じて、美濃を通じて、そうして福井県の大野に出て、そうして石川を通って高岡、富山市に抜けると、こういう試案が来ているんです。こういうものをやれば岐阜県の武儀郡、中津川から長野県はもうすぐです。どんどん開発するじゃありませんか。合併よりもまずこういう県の要望を先にやるということが私は先決ではないか。合併すれば産業が安定します。水資源も十分豊富にあるし、そうしてますますその地域産業として開発するでしょう。その開発したのが東京都じゃありませんか。その東京都が人的にも水的にも過密化の公害のためにいま苦しんでおるじゃありませんか。その二の舞いをやろうとするのがこの合併なんです。どうして六十年を中心とする総合開発の中でもっと検討をしなかったのかということ、私は少なくとも政府としてはそういう案を一つ考えるべきだと思うのです。ところが、水資源の問題については、琵琶湖を中心としての先ほどの建設大臣の非常な抱負のある考え方ですね、総理もそれを主張して今日やっておられるということですから、その問題については聞きません、私は。それが可能であるならば、何のために都道府県合併をやるかということは、むしろ皆さん、もっと先でもいいじゃありませんか。必要があるならグループ別の考え方もございましょうし、水資源が完全に確保できると、現在の既存の産業はそれを育成強化することができるんだと、これからの産業道路開発によって、先ほど私が申しましたように、僻地をどうするか、いわゆる過疎地帯をどうするかという問題を、それよりもまず先に解決をつけて将来に備えるべきだと私は考える。この点については政府としても、東海府県なり、あるいは市長あたりからも要請が出ております、建設大臣もこういうものを先にやるべきじゃないか。建設大臣のこの問題についての見解も聞きたい。合併については、私が申しますように、政府としては誤っておるんではないか、それに対するひとつ自治大臣の見解をお聞きしたい。
  136. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 国の国土開発国土建設の最終目標は、均衡のある国土開発国土建設を最終の目標に置いているわけでございます。したがいまして、いわゆる行政水準、あるいは財政水準、あるいは生活水準、すべてを均衡化された姿に持っていくということが過密過疎に対して取り組む大方針であるような次第でございます。したがいまして、私はその方針のもとにおいて道路行政河川行政その他都市行政というものを推進していく覚悟であり、当然の道だと考えております。したがいまして、府県合併の問題につきましては、私は冒頭から申しましているがごとく、いわゆる能率的な、効率的な役割りを期待いたしておるということを申し上げた気持ちも御理解いただけるんじゃないかと、こう思っている次第でございます。
  137. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) ただいまの例をあげてのお話、私、傾聴いたしました。それは当然、何と申しますか、地域開発において過疎地帯、後進県、稠密都市を中心とする過密地帯、おのおの重要でございますが、特に後進県といいますか、そういう過疎地帯の問題というものは、これは政府全体として考えておりますが、自治省としても非常に頭を悩ましております。自治省だけの力ではとうてい過疎地帯の対策の万全を期すことはなか・なかむずかしいので、政府全体がこれはがんばらなければならぬ。これは当然であります。そこで、いまお話しのありました、例をお引きになりましたが、中部圏において、愛知県中心の岐阜その他もお話しになりました。私は、先ほどから申しましたとおり、府県合併なんというものは特例案でございまして促進案ではありませんで、そういう地域開発の前に、府県合併しなければ地域開発が万全じゃないということではございません。また、府県合併そのものが地域開発にじゃまになるというような考え方は私はありませんで、これはその地域の方、また地域の責任者がみんなひとつお考え願って、そうしたほうがプラスであるというときにこれは実現していくようにしておるのでございまして、先ほど申しますとおり、実質的なひとつ発想でもってお考え願いたい。したがって、いまのお話しのとおり、地域開発府県合併がじゃまになるというような、したがって、その府県合併を促進するという——私はじゃまにならない、広域行政としてはこれは決してじゃまにならぬと思っております。また、それにかえってお手伝いする力が強くなってきはしないか。これはその地域の実情を見ませんと一がいに断言はできません。ただ、いま申しましたとおり、そのいろんな開発はあとでいい、まず府県合併しようという姿勢はとっておりません。あくまでもこれは現実に照らして、実情に応じて、どうすれば地域開発のためにプラスになるか、どうすれば地域住民の方が少しでもしあわせになるかということを基本として考えておりまするから、いまの御懸念は私どもとしても十分注意してやりたいと、こう考えております。
  138. 高山恒雄

    高山恒雄君 私はなぜ違うかということを、たとえば大阪の例もう一つとりましょう。水資源大阪で解決つくとするならば、一体大阪が希望するものは何かと申しますと、少なくとも和歌山、奈良の現在でも困っておる地域住民の人口をあちらにふやしていこうと、そして財政的には一本になろう、このこと以外にないじゃありませんか。何がありますか。生産地域であって船出しがいい、東海道沿線の輸送がいい、それ以外に何がありますか。そうじゃなくて、そういうところをさらに合併をして拡大するならば、和歌山県になぜ産業があまり開発できないかということは、御承知のように災害の多い地域です。道路開発ができておりません。奈良県も熊野を中心とする開発は十分じゃございません。大阪に近い地域が住宅がふえたといって、大森さんの御質問にもあったとおりです。そうしますと、ますます大阪は過密化するのではありませんか。過密化して公害で悩んでいる現在にさらに拍車をかけるような公害地域をつくるということになるんじゃありませんか。私はそういうことよりも、第二次産業の、中心とする産業の永久的な産業があります、日本には。そういう産業を鳥取あるいは兵庫の山間部、島根、こういう地域の交通の便等を開発すれば移動させるべきじゃないかという考え方を私は持つのです。ところが、便利になってくれば移動はしません、産業は。私が経営者になったってそういうことはやりませんよ。いま皆さん九州、東北六県あるいは四国、人一人連れてくるのに十二万円要るのですよ。そういう現状が長く日本に続いて日本産業が国際競争にたえられると思っていますか。私はたいへんだと思っているのです。だから、日本地域開発のために産業の分散をして地域開発をやるべきだ。それに大きな隘路になる。それを考えないような今日の合併問題等については、私は大臣ちょっと軽率だと思うのです。この点どうお考えになりますか。私の言うのが間違っておりますか、いや、合併が優先だと思っておられますか。もしそれが優先すると思っていらっしゃるならば、私はその意見は非常に大きな間違いだと思うのですが、見解をお聞かせ願います。
  139. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、府県合併ができなければ地域開発ができないということは考えておりません。だから、優先ということを考えておりません。また、いま大阪とか和歌山のお話、これは実は一々お答えするのはどうか、こちらがいかにも大阪、阪奈和の問題になっておるところを促進しようと思っているようにどうも誤解される。私はあまり研究もしておりせん、実を言うと。   〔委員長代理熊谷太三郎君退席、委員長着席〕  だけど、そう例示されますから申しますけれども、その場合にたとえば奈良が犠牲になるとか、また奈良の山間部がどうとか和歌山がどう、これではとうてい合併にならない、これは自主的ですから、ほとんどそのやり方は。説明するまでもなく何もこちらから進んでやることじゃありません。私はそういうことがあると思う。私は別に大阪指摘して申しません。そういうところへ出てくると思います。これはわれわれとしても十分考える。私が先ほどちょっと触れましたが、これも別に考えておりませんけれども、この府県合併はやはりどうしてもいまお話しのとおり地域格差とか文化の低いところは引き上げようとか、いろんなことを総合的に政府としても考える。そのためにはむしろ過疎地帯なんというものがひとつ結合しておやりになったらどうかという気持ちは、これは私個人でございますから、何も自治省の考え方じゃございませんが、私は大体高山さんのお話よくわかりますし、府県合併を優先したほうが地域開発にはいいとは別に……ただその実情においてはプラスになる面が出てくるところもあるし、またその必要ないところもある、こういう考えでございます。
  140. 高山恒雄

    高山恒雄君 最後、時間がありませんから、いま時間が参ったということですから、私、大臣に最後にお聞きして所見を伺いたいのですが、最近の社会でほんとうに経済的な発展に対応して広域行政を推進しながらやっていかなくちゃいかぬ。このことはわれわれも理解できるのですよ。けれども、単に二、三の府県合併をしたからと、こういうことで促進というような便法にならないと私は思うのです。それよりも都道府県全体の問題にもっと真剣に取り組んだ試案、先ほど私が推進剤と申しましたのは、何も現在にとどまらないで後進県もまたやるのだろうと、こういうふうに考えるものですから、私もそう御質問申し上げたのだが、そういう面に対するこの七つのブロック別に計画も立てておることですが、こういう意味から考えますと、積極的なこれに取り組む姿勢ですね、これは合併じゃなくて地域開発の取り組み方、これを政府としては広域行政としてやっていくべきじゃないか。ところが、逆にその機能が弱っていくようなことになっておるのではないかと、私はこう思うのです。その点は、国が増加の傾向にある地方出先機関の整理ですね、これらも大幅に都道府県にもっと権限を委譲して財政的の裏づけをちゃんとしてやるということにならなければだめではないかと、私はこう考えるのです。こういう点をひとつ自治大臣のほうでももっと御検討願って、そうしてこの法案が正しいか正しくないか、どの先生方が御質問なさってもほとんどやっぱり疑問があるわけですね。この点をもっと地域行政こそ強化して、広域開発機関のそのあり方ですね、これの改善をはかられるべきじゃないかと、私はこう思うのです。  以上で質問終わります。
  141. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) ただいまの御意見まことに私は傾聴いたしまして、そうあるべきだと思っております。今後の地方行政の進め方においても、やはり今日の国と地方とのあり方というものは相当是正しなければならない。いわゆる財政的に見ても行政的に見ても、やはり地方行政というものはもう少し充実した、確立した強力なものにならなければいかぬという考えをもって行政を進めたいと思っております。
  142. 高山恒雄

    高山恒雄君 終わります。
  143. 春日正一

    春日正一君 ずっといま質問聞いていまして、どうもこの合併特例法というものをどうしても通さなければならぬ、やらなければならぬという必然性がちっとも感じられないのですね。大臣の話を聞いていますと、促進するつもりもないと、そうかといって、いまどうしてもこの法律つくってやらなきゃ困るという地域もないと。じゃあ何でこういうものを出してこなきゃならぬのか聞いておって疑問に思うんです。たまたま大臣になって、前から出ている法律、これを説明しなきゃならぬから何とか弁護しているんだという印象しか受けないんですね。そうならいっそおやめになったらどうかと思うんですが、どうですか。
  144. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 春日さんの御忠告ですけれども、やめる意思はございません。これはしばしばお答えいたしておりますとおり、いわゆる広域行政を進めておる立場で、その場合にやはり府県合併というものは広域行政の一環として考える、それが自主的に踏み切られる場合にやはり政府としてはその道をあけておくことがいいんだと、こういう考え方でこの法案を提案した次第でございます。
  145. 春日正一

    春日正一君 実は私もそう思っているんですよ。そんな、大臣の言うようなものじゃなくて、何か目的があって出しているに違いないと私はそう思うんです。そこをみんな聞いているんだが、言わない。  そこで問題は、合併をいままで都道府県でやってきたものを、今日合併しなきゃならぬその道をあけてやらなきゃならぬということは、まあ戦後特に三十年代以後からの産業発展というような中で、その産業発展に応じたやはり体制づくりが必要だということでこの合併という問題が出てきたわけでしょう。そうすると、十年間の時限立法だという、十年間でどのくらい合併できるかわからぬという、十年たったその先どうするつもりですか。
  146. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) この府県合併は、しばしば言っておりますとおり、いわゆる広域行政の推進の一翼ということで、ただその地域産業だけじゃなくて、地域住民のいわゆる社会、文化を結合していったら強力になるという考え方でございまして、いま春日さんは何かやっぱり裏のほうに何か考えているだろうと、これは皆さん言われますが、実は私弱っているんです。言ったって承知されないし、まあ私はわりに端的にものを言う男ですが、従来その動きが一部にあったことは知っております。しかし、最近はほとんど影が薄くなってきているんじゃないかと思います。これはお調べになったらわかります。一向表向きの行動に出ておりません。私そのような意見書は受けましたが、その後特に接触もいたしておりません。だから、どんなにこれは私が言っても信用されないからしかたがない。いままでのこの法案にからみついたまあ因縁と申しますか、やむを得ないことだから、かれこれ、これ以上申しません。  そこで十年後どうするか。私は十年間のテンポというものは、相当これは日本——世界全体もそうですが、これは各方面の総合計画やらあるいはいろんな計画で十年間というのは非常に貴重な、また非常に大事なときで、十年間で別に勝負がきまるわけではございませんが、今度新しくできた総合計画は六十年を目標にいたしておりますが、おそらく、これも十年間で目鼻がつかぬようなことではその計画はなかなか実現というのはむずかしい。そこで一応十年ということにいたしておりますが、その時点でまた必要だと、現実に非常に必要性があれば、また新たな法案を出すとか、あるいは継続するとか、これは延長するとかということは御審議をお願いすることにもなるかもしれませんが、一応十年間の区画をいたしましたのは、その間のいろんな総合開発計画なり何なりと照らし合わせまして、一応私どもは、今度は市町村の広域行政に新たなる手も打っております。そういうことで一貫いたしまして十年というめどをつけてまいったのでございます。
  147. 春日正一

    春日正一君 それで大体筋道がわかってきましたけれども、確かに最近は府県合併というようななまぬるいことではなくて、たとえば去年の四月に日本商工会議所常議員会、これは広域行政に関する意見というものを発表して、第二の廃藩置県とも言える道州制の実現に向かって前進すべきだというような意見を出しております。関西の財界の三団体も同じように道州制推進協議会というようなものをつくって、明治百年と万国博を控え一挙に道州制を実現しようというようなことを言っている。だから、府県合併を言いだしたのも、やはりそういう産業界といいますか、財界筋あるいは府県の当局者というか、そういうところから主として出てきておって、下のほうから大衆的に合併が盛り上がってきたというようなものじゃないのです。しかし、いまそんなことを言っておっちゃ間に合わぬ、一挙に道州制に行けということが出てきたから、だから、この府県合併ということに対しては意見が弱まってきたと、私はそこを心配している。大体自民党の政治を見ていますと、財界の意見というのは大体通り、財界はいま道州制をやれということをすでに言いだしてきておる。そうすると、この特例法案というものは道州制への一つの橋渡しになっていくものじゃないのか。そういう点で、私どもこれは非常に重要な問題を含んでいると思います。思っているのですけれども、先ほど松永君もお聞きしてはっきりした答弁なかったのですけれども、この全国総合開発計画、企画庁総合開発局、これの中で、「都道府県区域を越える広域的開発行政を円滑に進めるため、つぎに掲げる諸機能に関連して、主体性を持った広域行政体制の整備について検討する。」というふうに言って、都道府県の持っておる権限あるいは国の権限というものを委譲した広域行政の機関を設ける必要があるということを言っているのですね。この点松永君もさっきお聞きしました。そうすると、都道府県の権限と国の権限を持ったそういう広域行政の機関というものは一体どういう性格を持つものなのか。地方自治体になるのか、それとも国家機関の出先になるのかどっちなのか。大事な問題ですから、はっきりお聞かせ願いたいと思います。
  148. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 道州制のお話が出ましたけれども、実はこれは、三十二年ですか地方制度調査会から府県廃止の案が一応出ました。これは中間団体として地方というのは、まあそれは名前は道州か、地方と同じことでしょう。しかし、その後地方制度調査会は、この法案のような府県合併がよろしいと正式に答申を出したのであります。したがって、今日いろいろ意見がございましょうが、私は人の意見が、だれがどう言おうと、そんなことは自由であります。やはり政府自体の考えでいったらいいと、これは政府の責任者の一人でございますから。そこで、現在におきましては、道州制なんか毛頭考えておりません。そして府県合併、しかも、その府県合併を自主的にやると、いま春日さん冒頭におっしゃるとおり、十年間あとになったらどうするかということで、これは促進じゃございませんから、きわめて時間的な計算もできませんし、どれをやるということ——促進でございますと、私どもやはり設計いたしますが、しかし特例法でございますから、道を開くだけのことでございますから、いま考えておりません。したがって、道州制なんて三十年、五十年後は知りませんけれども、まあ、ここ十年間で府県合併の特例をつくっていくということでございますから、まあ将来どうなるか、これは私は予見はできませんが、現在のところ、また数年間の見通しといたしまして、道州制というようなことに政府が立ち向かうということはないと私は信じております。  それから、権限問題でございますが、これは従来の地方団体の持っている権限、これは私は新しい総合開発計画のほうでどういう運用をなさいますか、最近閣議決定したものでございますから、実際の運営面を承知しておりませんが、私は、先ほど府県合併の効果的な一面として、できるならばひとつ地方公共団体、いまよりよけいな実力を持って、そしていままで持っておった国のいろいろな行政面ももうひとつこのあたりでもって国から委譲してもらう、大体少し、国の圧力といいますか、それから国の仕事をかわってやり過ぎていると、こういうのをほんとに是正しなければ真のわれわれの企図するところの地方公共団体というものの使命は達成できないという考え方を持っております。しかし、これは一挙にできないでしょう。できないのでございますけれども、漸次これは改廃していくと。したがって、権限を、御心配になるように、いま持っている地方自治体の権限をこれ以上軽くするなんということは、これは毛頭考えていないということでございます。逆でございまして、私は、これを強化したいという考えで推進していきたいと、こう思っております。
  149. 春日正一

    春日正一君 私の質問しているのはそういうことじゃないんですよ。つまり、これは政府でおきめになったでしょう、閣議で、新総合開発計画というのは。だから、政府の基本方針です。それで大臣も建設大臣もこれは国務大臣としてやはり審議されたんだから、中身をよく御存じのはずだと思うんですよ。そこで府県の持っている権限を委譲するというんだから、府県以上のものでしょう。国のものを委譲するというんだから国以下のものでしょう。そうすると、府県と国の間にできるそういう機関ですね。これはどういう性格づけになるのか。国の出先機関とすれば、これは道州制の一つの実体をなすものになるんじゃないか。そういうことです。地方自治体とするなら、いま県と市町村、二重になっているのが、三重の自治体になるという複雑な関係になってくる。そこをどういうふうにお考えになったか。きめる以上、そういうところまで考えておきめになったと思うのです。国務大臣だから、審議決定したんだから、それぐらいの大筋ぐらいは知っていなければならない。こまかい権限の何と何を委譲するということまでは……。
  150. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) 事務的に御説明いたさせます。
  151. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 総合開発計画の広域ブロック単位だと思いますが、ブロック単位の広域行政体制というものについては、いまお話がございましたようなことが総合開発計画の中に確かにふえんされております。ただ、これは事務的な話になって恐縮でございますけれども、その実際の姿といいますか、これはいわゆる巨大な開発事業というものを広域的な範囲で推進していきますためにどうしても開発実施主体というものが何か要るんではないか、こういう発想から出ておると私ども聞いております。その発想はその発想といたしまして、その性格の具体的なものにつきましては、なお今後検討するという検討事項として了解されておるところでありまして、いま直ちにその内容がどうだというところまでそれはふえんされるものではないというふうに私どもは理解しております。
  152. 春日正一

    春日正一君 それ以上聞いてもしようがないと思いますからあれですけれども、少なくとも総合開発計画の中にそういうものをつくろうという、そういう計画が出されている。そうしてそれは府県でもなければ、国でもないというそういうものが考えられている。政府の閣議決定として出されておるということになり、しかも、財界から道州制をやれという強い意見が出ておるということになれば、どうしてもそこへ行く。いま、まあ考えてないと言っても、論理の必然からもそう行きますよ。経済発展の結果、府県合併が必要になったというなら、この新全国総合開発計画発展の結果道州制が必要になるという論理は当然出てきますよ。だから、国民は非常に心配している。そこで時間がありませんから、私はもう一つの点だけ聞かしていただきますが、先ほど来、府県合併はどこでやるか、大阪、奈良、和歌山というような話もちょっと出たし、東海三県という話も出た。そうして何でそれをやらなければならぬかといえば、結局、水の問題でしょう。木曽川三川の水をどう使うかというようなことが先ほど説明されたり、それから、ベッドタウンの問題、結局水と土地、これを産業発展のためにどう使うかという産業中心的なものの考え方からそれが出ているということになれば、いままでの全国総合開発計画の結果、すでに建設大臣もお認めになっているように、非常なアンバランスが出てきて、そうして過疎というような現象も出ておる。過密というような現象も出ておるし、公害とか交通の混乱とかいろいろな矛盾が出てきておる。しかも、それは全国でそう出ているというのじゃなくて、一つ府県の中でもやはりそれが出ておるのです。あの計画に基づいて新産都市の開発をやった。何をやった。そこに県の予算をうんとつぎ込んでしまうのですから、農山村とか住宅環境とか、そういう問題についての予算が十分出ないで、そこでアンバランスが出て、県の中でも出てきておる。大都市の中でも出てきておるというような形になっておる。だから、先ほど建設大臣言われたように、バランスのとれた国づくりといいますか、経済発展ということを考えるなら、少なくとも過去にやってこられたこの実績、そこから生み出された矛盾というものを反省して、その矛盾をなくしていくというような方向で解決していかなければならぬ道理だと思うのです。ところが、この府県合併という構想で出てきておるのは、先ほど来の説明のあるとおり、水の問題だ、工業用地なりベッドタウンの問題だということになれば、結局、合併されたこの府県に財政が集中され、しかも、合併されたところで、総合計画に基づいてやるということになると、その重点には確かによけいに金が行くかもしれないけれども、その地域全体から見ればアンバランスは増大するということにこれはならざるを得ない。そういう意味でも、この府県合併というものは決していままでの矛盾を解消するということにはならない。だから、先ほど自治大臣は島根とか鳥取とか過疎地域こそ合併すべきだと言われたわけですけれども、私は、府県合併なんということを考えるよりも、やはりそういうお考えならむしろ過疎地帯振興特例法でもお出しになったほうが国会の承認は得られるのじゃないか。むしろ、そういうものを埋めていかなければならぬ。そういう意味で言えば、たとえば東京都のような、ほんとうに発展の経過からいっても、現状からいっても一体ですよ。東京都というものは一つになっておる。分けようのないような状態のもとでさえ、東京都というものは非常に人口が多くなって広がったために、現在、大臣御存じだと思いますけれども、東京都二十三区の区議会、これはもう自民党から共産党までひっくるめて、超党派でもって自治権を確立しよう。そのために区長公選さして自治体として認めてくれ、それから事務事業を移管してくれ、そのための財源の裏づけをしてくれという三つの要求を出して、超党派で運動しておるし、大臣のところへもいろいろ話があったと思うのです。東京都みたいな、ほんとうに一体になっているところ、距離的に非常に近いところでさえこの人口集中の中では東京都議会ということだけで、都庁ということだけでやっていくのでは目がもう荒くなり過ぎて、とてもこまかいそういうところまで配慮が行かぬから、区というものがもっと十分仕事のできるようにしてくれという要望が出ておる。これは府県合併とは逆な要求でしょう。もっと下に権限を委譲してくれということですから、そうだとすれば、先ほど来各委員がいろいろ質問しましたけれども合併することによって、一つの面では、先ほど言ったように、予算が集中され、重点的に投資されていくというようなことの中で、一方ではひずみがその区域内でも広げられていくというような現象が出ていく。同時に、合併されることによって、非常に自治体としてもその合併された府県住民との間が遠くなってしまう。阪奈和が合併されて大阪に府庁が置かれたとしたら、紀州の先のほうからそこまで行かなければならぬ。そこまで目が届かぬということになってしまうでしょう。そういう意味では一合併する必然性は何もないし、その点では、先ほど来の御答弁でも、水の問題を解決するのに合併しなきゃ解決されないという道理はないんだということは政府のほうでも言っておられるというんなら、何で地方自治に逆行するようなことをおやりになる必要があるのか。むしろ、いま必要なことはそうでなくて、こういう政府の政策で出てきたいろいろなひずみというものを直していくために、地方自治体に対して公害をもっと規制する権限を与えるとか、交通難その他を解決するような権限を与えるとか、そういう自治体としてやり得ること、一番また適切であることに対する権限を与え、財源を与えて地方自治を拡充していくと、そういう方向で解決していくというのがいまの現状に一番合ったことだし、それが必要なんじゃないか。自治大臣としてですね、地方自治というと住民の利益に基づいて町づくりをやり県づくりをやっていくという立場に立てば、自治大臣の立場に立てば、やはり一番住民に密着したところに予算もよけいやるし権限も与えて、そして国全体の大きな方針の中で問題は調整していけるということを当然考えるべきじゃないかというふうに私は思う。だから、その点について、建設大臣自治大臣のお考えをお聞きして、私、質問を終わりたいと思いますから、ひとつ御親切にお答え願いたいと思います。
  153. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 先ほどから春日委員の御指摘になりました点、私も深く傾聴いたしております。先ほども私が申し上げましたごとく、府県合併という大事な問題に優先すべき問題は、私はやはり国土の均衡のとれた建設開発にあると。しかも、最近の私は過密問題を一つ考えてみましても、東京都におけるところの人口の適正な配置、快適な生活環境の形成というものを検討いたしますときに、ここ周辺の都心部においてすら、永田町小学校あるいは泰明小学校その他の学校の就学生徒数がぐっと減っていってしまっておる。いかに都心が空洞化しつつあるか。大阪の近況をこの間も市長から報告を聞きますと、御案内のごとく、大阪の都市人口がだんだん兵庫あるいは和歌山、奈良へと分散いたしまして、昼間人口と夜間人口との差というものは非常な差を生じてきておる。やはり大阪の都市の空洞化が目立ってまいってきておる。こういうような都市の現象一つだけ見ましても、そうした悲劇といいますか、格差が夜間と昼間だけでも行なわれているというこのきびしい無秩序な都市化現象の過密状態あるいは過疎化の問題にいたしましても、もう消防の維持管理すら十分できないというような山村が出てきてしまっておるというようなことを考えますと、私は、何といっても、いわゆる生産と生活の場を魅力のあるものに形成するということが私は都市いや国土開発の基本的な姿勢、建設行政の優先する仕事であると、こういうようなことを考えておるような次第でありますので、私は、さきに申しましたごとく、生活水準、財政水準、行政水準、生産水準、こうした水準を均等化する、均衡化するということが一番大事な問題である。これにはやはり何が基礎に立つかというと、やはり私は、道路河川、土地問題、住宅問題、これらをやはり政治の上に強く打ち出してまいらなけりゃならぬ。とともに、私は、もう一つは、さっき春日委員も御指摘になりましたように、関連する問題として、私は、政府は、私のなわ張りではございませんけれども国務大臣の立場から考えなけりゃならぬのは、国家機関のやっぱり統一的な行政機構というものをやる。十分考えなけりゃならぬ。御承知のとおり、農政局、郵政局、国税局あるいは通産局あるいは農地局、数多くの国家機関の地方におけるところの行政の大きな役割りを持っておる機関が、一方は金沢にあるかと思うと一方は大阪にある、一方は名古屋にあるというようなことで、全くそれが入り乱れて、地方地域住民に対する不幸と行政の非常な能率増進を低下いたしておるというようなことを考えてみますと、私は府県合併というものは、単なる私は能率、効率の増進をねらっておるという、現時点において私はそれを期待するのみであって、いま優先すべき問題は、こういう問題に私は政治が、政府が取り組み、これを推進するという方針であるということを私は踏まえて建設行政を打ち出しておることを御理解いただきたいと思うわけであります。
  154. 野田武夫

    国務大臣野田武夫君) ただいま春日さんから数々御指摘ございました。大体お話しの点は私も同感する点が相当多いのであります。何といっても、いまの過密都市の対策、過疎地域の対策と、これは政府全体も非常に頭を悩ましておりますが、直接地域住民関係がある自治省といたしましては、これに対して積極的な姿勢をもってこれに当たりたい。いろいろな財源その他の問題についても十分考えておりますが、まだなかなか容易ではございません。都市のたとえば交通問題、公害問題、お話しのとおりであります。先般来から交通問題も私は閣議で主張して交通関係の閣僚会議を開いてもらいたいというので、都市交通の何かの対策を立てたいと、これはきょうはいろいろなことを時間がありませんので申しませんが、考え方を持っております。また過疎地域に対しましては、私どもはいろいろ案を持っておりますが、さらにまあ国会の皆さん方もいろいろ御心配になっておりまして、御相談を受けております。一緒になって直ちに解決に乗り出したいという考え方を持っております。したがって、いまお話しになりましたこれらの問題の解決は容易ではないと、これらの問題の解決に当たれという御意見は、私はごもっともだと、私もそうすべきだと思います。さらにいま、ただ一つ春日さんが、私どものまあ姿勢といいますか、考え方について御忠告がありましたが、私も春日さんと同じように、いまのこの地方行政の権限といいますか、それから仕事というもの、非常にこれは複雑多岐であって、権限が複雑で、権限も国家がもう少し委譲しなきゃいかぬという考え方を持っております。行政改革、これも私はしばしば閣議で進言いたしておりますが、もう少し徹底的な行政改革を必要とする。たとえば国と地方事務分担の問題、これはもっと露骨に言いますと、やっぱりいろいろ各省の関係がありましてなかなかまとまらない。それは各省の関係があってまとまるかまとまらないか知らぬけれども地方公共団体としては迷惑至極だ。ここで事務の簡素化も配分の問題も少しでも前進したいということで、常にこの問題は政府全体に御考慮を願っておりまして、私はその意味において、府県合併がどうかというお話でございますが、やはり過疎地帯の解決にいたしましても、また地域住民教育問題、文化問題、産業問題にいたしましても、やはりできればいまのこの国の進め方、また地方公共団体の実態から考えまして、広域行政というものが必要だと、こう考えております。これは私どもはそういう基本的な考え方でやっております。そこで、やはり府県合併もその一翼として、その実情に照らして、たとえば大阪を中心とすべしとか、東京を中心とすべしという考え方でなくて、実情に照らして、地域住民の方々がこれはそのほうがいいとお考えになればそうさせていただきたいと、そういうような道を開くということでございまして、決してそういう過疎対策や過密対策を逃げて、府県合併さえやればそんなものができ上がるなどということは全然考えておりません。やはりいまお示しのとおり、大事な問題を地方自治団体においてはもう一ぱいかかえ込んでおります。これに対してはできるだけのひとつ解決をはかりたい、こう考えておりますから、この点は十分御理解をいただきたい、こう思っております。
  155. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 御異議ないと認めます。本連合審査会は終了することと決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時散会