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国務大臣(
福田赳夫君) それは別に何の相関関係もないんです。
ケネディ財務長官との会談におきまして、私は、
日本としては
IMFのクォータが非常に不自然な形になっておる。わが
日本にきわめて不利な形になっておる。これは一九六二年にいまのクォータができたというわけですが、五年、五年で改定するということにはなっておりますものの、その改定がなかなか諸外国の
意見が一致しないでむずかしいのです。しかし、むずかしいにもかかわらず、われわれは
IMFのクォータをふやすことを考えるべきである。六二年以来、わが国の
経済というものはたいへんな向上
発展をしておるわけであります。最近のデータによって
日本の地位をきめるべきである、こういうふうに考えておる。その
考え方を率直に
アメリカに申したわけです。そうすると、
ケネディ長官は、それに対して、それは当然のことです、こういうことばを使っております。当然のことです、もし
日本からの提案がありますれば、その提案のときには
アメリカはこれをサポートする、こういうことを申しておるのであります。これは別に
SDRと何らのかかわりはない。
SDRに対しましては、わが国は、これはもう
衆議院の
委員会の審査におきましてもるる申し上げたんですが、
日本が弱小国であればともかく、
世界で第三の
経済実力を持つ国になった。そうすると、
日本の国の進路というものをいままでのような
勢いで続けていくというためには、やはり
後進国というものを育てなきゃいかぬ、これが
一つの問題である。それから同時に、
後進国を含めた
世界全体の
経済交流というものが盛んにならなきゃいかぬ。それには、いま
世界経済発展の
一つの障害となっておる
流動性の
不足というこの問題の打開をする必要がある、こういうことなんです。
それからもう
一つの問題があるんです。それはわが国
国内の問題なんですが、戦後二十五年を回顧してみますと、大体、一、二年の不況、二、三年の好況、一、二年の不況、二、三年の好況、これを連続してきておる。なぜそういうふうになってきておるかというと、わが国の
国際収支の天井の低さがそうさしておる。さあ
輸出がどうも不振であるという際になりますと、
日本の
国際収支が悪化する。そうなりまするときに、どうしても
国際収支をささえるためには
国内の緊縮
政策をとらなきゃならぬ。それによって輸入を
抑制するということを考えざるを得なかったわけであります。そのために
金融引き締め
政策をとり、財政の縮小
政策をとる、こういうことになりますと、これが不況をもたらす。それが解決されると、また財政は拡大され、また民間投資が活発化されるような
金融政策がとられる、こういうことになるわけですが、もし
日本の外貨の天井というものさえ高ければ、そういう
政策を繰り返す必要はないんです。多少
輸出が少なくなりましたという際には、これは逆に今度は財政を活発化する。そのためにまた
設備投資も活発化させる。そのためには輸入がふえるだろう。輸入がふえて
輸出が不振になりましても、しかし
国際収支はびくともしない、こういうことでありますれば、景気循環というものを繰り返す必要はない、のぼり続きの成長というものを実現し得る、こういうことになるわけであります。今日、三十二億
ドルの外貨
保有になったと、こういう好ましい
状態でありまするけれ
ども、加うるにここで
SDRができたということになりますと、わが国の外貨収支の天井は非常にゆるやかになるわけであります。そういう
状態にありまする限りにおきましては、わが国の
国内の景気調整、これに非常に大きな
手段を装備するということになるわけであります。わが国自体の国益から見てぜひとも
SDRの成立を早くしておきたい、こういうふうに考えるのであります。