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1969-04-15 第61回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十五日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任     久次米健太郎君     津島 文治君  四月七日     辞任         補欠選任      横川 正市君     久保  等君  四月十日     辞任         補欠選任      久保  等君     横川 正市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         丸茂 重貞君     理 事                 岩動 道行君                 戸田 菊雄君                 多田 省吾君                 田渕 哲也君     委 員                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 鬼丸 勝之君                 西田 信一君                 藤田 正明君                 矢野  登君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 野上  元君                 松井  誠君                 横川 正市君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   沢田 一精君        大蔵省国際金融        局長       村井 七郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送  付)     —————————————
  2. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月五日、久次米健太郎君が委員辞任され、その補欠として津島文治君が選任されました。     —————————————
  3. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案について、運輸委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  7. 松井誠

    松井誠君 私は、いま問題になっておりますSDRに関連をして、幾つかの疑問をただしたいと思うわけであります。  最初に、大臣ゆうべ外国からお帰りになったばかりだそうでありますが、新聞の伝えるところによりますと、シドニーアメリカケネディ財務長官SDRの問題について話し合ったということが伝えられていますが、その内容はどういうことですか。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えいたす前に一言ごあいさつをさしていただきたいのですが、シドニーアジア開発銀行第二回総会が無事に終わりまして、昨晩帰ってまいりました。この第二回総会皆さんのお許しを得まして私参ったんですが、まあ参ってよかったと、こういうふうに思います。つまり、域内国はほとんど全部の大蔵大臣が見えておりました。域外国でもケネディアメリカ財務長官も見えておりました。そういうことから、もし私が行かないということになったら、アジア諸国に対して非常に失望感を与えたと思うのでありますが、皆さんの御協力の結果出席さしていただきましたことをここで厚く御礼を申し上げさしていただきます。  このADBの会合におきましては、アジアの低開発諸国から、血の出るような叫びですね、つまり後進国を援助せよということであります。私は、それに対して、私の演説におきまして、公的資金もさることながら、先進国から開発途上国に対して民間資本が活発に出るような状態が望ましい。どうも、公的資金だと制約を受ける。民間資本が続々出て行く。民間資本を出す先進国側も、また、受け入れるところの発開途上国も、そういう心がまえを持つべきである。ことに、後進国においては、その受け入れ体制について整備をしなけりゃならぬ。非常な覚悟を持ち、また同時に計画性をもって受け入れということに留意すべきであるということを強調いたしました。それから先進国といたしましては、アジアの貧困の状態を見まするときに、アジア開発銀行銀行ベース融資では十分ではない。問題によりましては、ソフトローンつまり条件の緩和された融資ということを考えるべきであり、特に農業開発においてしかり。わが日本は、農業開発基金につきまして、昨年二千万ドル拠出をいたしたわけですが、ことしも二千万ドル拠出をいたしたい、こういうことを申し上げたのです。そういうことを申し上げますと、各国の代表が立ちまして、日本のその考え方、これは私どもが今度まさに望んだところであると。私は、そういう日本側の提案にもかかわらず、先進諸国が、特にアメリカカナダ等がそういう日本同様の拠出をしないということにはなはだ不満であるという意思を表明したんですが、各域内開発途上国は、みんな、日本の言い分というものが正しいんだ、それを要望するということになり、そういう点では多大の効果を与えたと、こういうふうに思います。  それで、会議外におきまして、いま松井さんからお尋ねのように、ケネディ財務長官と会談をいたしたわけでございます。当然、まず第一番に出た話が、SDRの話であります。私から、SDR法案はいま国会において審議中で、やがて御承認を得られることと思うという話をいたしたわけです。ケネディ長官は、国際通貨状態、いろいろヨーロッパ状態なんかの見方を述べておりましたが、やはり新しい決済手段の創造というものが急がれており、ぜひともこれを秋のIMF総会めどといたしまして発動をいたしたい——協定の成立は五月ごろには発効すると思いますが、発動、つまりこれが動き出すようにしたいものだというふうに力説をしておりました。私は、国会においてしばしば申し上げておったわけでありまするが、やはりこの制度の発動は早いがいい、一刻も早いがいいというふうに考えておりますので、ケネディ長官に対しまして、SDRほんとう早期発動する、いまあなたはIMFということをおっしゃいましたが、私もそのころまでにはぜひこれが発動をするような状態にあることが望ましい、こういうことを申し上げ、この点につきましては、日米全く意見の一致をみておる、こういうことでございます。
  9. 松井誠

    松井誠君 いまお話しのように、SDR発動が急がれる状態にある。それで、急がれる状態にあるというのは、どういう理由ですか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 戦後、戦前に比べまして、社会が非常に変わってきておる。それは、科学技術の変化、発展だ。その科学技術発展を受けまして、世界貿易交流が盛んになってきておるわけであります。これは戦前の比でない。また、それをささえる各国経済情勢もたいへんな勢いでそれぞれの国が伸びつつある。そうすると、どうしても国際経済交流をまかなうところの流動性と申しますか決済手段が増加される必要があるわけであります。その増加に対しまして、戦後、まず金がこれを戦前同様にまかなう主軸であったことはもちろんでありますが、同時に、これを補うのにドルポンド、こういう体制であったわけであります。ところが、ポンドが御承知のような情勢でありますので、この流動性を補う手段といたしましてのドル責任というものが非常に大きくなってきた。事実そういうわけでありまして、終戦直後はアメリカは実に——この前どこかの席で三百億ドルと申し上げたのでありますが、これは私の記憶違いで、正確に言うと二百五十億トルであります——二百五十億ドルの金を保有しておったわけであります。ドル国際通貨手段として使われるというと、ドル海外に流出するということになり、アメリカ国際収支赤字という状態にならなければならぬ。そういうようなことから、アメリカの金の保有量は漸減してまいりまして、今日では百億ドルを割ろうかというところまで来ておるわけであります。百億ドルを割るというようなことになると、ドルに対する国際的な信認というものも薄らいでくる傾向を持つのは、これは当然だろう。そうしますと、アメリカといたしますと、百億ドルという金の保有を割りたくないという考え方を持つ。これは、アメリカの国益ということもありましょうけれども、同時に、国際決済手段として使われておるドル信認を維持しなければならぬという国際的責任、こういうことを考えるだろうと思うのでありまするが、これ以上アメリカ国際収支赤字にし、そして金、ドル世界にばらまくと、こういう体制が続け得られなくなってきておるのであります。そういうことから、数年来、新しい通貨手段をどうするか、国際決済手段増ワクということを考えなければならぬというので検討が進められてきたのでありまするが、やっと各国間の意見統一ができまして、SDRでいこうと、こういうことになってきたわけであります。まあ一言で言いますると、世界経済、それに伴う世界通商、それの拡大に伴いまして新しい流動性を必要とする、これにこたえる方法としてSDRということが生まれてきた、そのように御理解願いたいと思います。
  11. 松井誠

    松井誠君 いまのお話二つの問題があったと思うんですね。一つは、SDRが必要だ、新しい準備資産が必要だという理由としては、まあ表面上私は半分は口実だと思うのですけれども流動性が足りない、増強が必要だと、こういういわば大義名分のほかに、もう一つ大臣自身が言われましたように、ドル信認を回復したい。そういう意味ではドル危機対策としての面も持っておる。この二つがこんがらがっていまの御答弁にもあったと思うんですよ。私はあとでまた詳しいことをお伺いをしますが、問題はやはりドル危機対策としての面のほうが当面SDR機能をする役割りとしては大きいのじゃないか。で、現に、これは新聞報道が正確かどうか知りませんけれどもケネディ財務長官がこういうように語ったといわれておりますね。SDR早期発動しなければならない差し迫った必要はないが、おくらせるのはよくない。ドルが弱いとは思わない、インフレを招くとは思わないが、このままでいけば将来憂うることになるかもしれないと。このように、SDR早期発動を期待するアメリカは、いわば言わず語らずのうちにドル危機対策としての面を考えておると思うんですね。まあこのことについてはあとでお伺いをしますけれども早期発動、九月のIMF総会の前に発動をしたい。しかも、新聞報道によりますと、大量に発動をしたい、そういうことに合意をされたそうでありますけれども、大量にというのは数字的には何がしか出ましたか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 数字の話は全然しなかったんですが、いままでだれとなく五年間百億ドル、年額二十億ドルというようなことが流れておった。そういう年二十億ドルというような発動のしかた、これではどうもSDRが大きな効果をあげるということにならないのじゃないか。 また、それでは各国国際流動性に対する補足として与える感じがいかにもみみっちいようなことになりはしないかという感触が持たれるわけであります。これは私どももそう思います。ここでぽかっとかなりのものが準備されたということになりますと、さあSDRというものは大きな働きをなしそうだ、こういうような感じになるだろうと思いますが、そういうことをケネディ長官もまた考えておるのじゃあるまいか、そんな感じで受け取ってきたのであります。
  13. 松井誠

    松井誠君 これが発動するためには、まず、協定に書かれてあるような国の批准が必要なわけであります。現在、世界批准状況はどうなんですか。
  14. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 十二日現在でございますが、これが最も近い数字でございますが、四十五カ国、総務会投票権数にいたしますと六二・三七%になっております。
  15. 松井誠

    松井誠君 フランス状況はどうですか。
  16. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) フランスは、当初と申しますか、二、三年前の態度から最近かなり変わった態度になってきておりますが、批准はまだいたしておりません。また、国会にもまだ提出をしてないようでございますが、実際のアクションはどういうふうにとるか、これは国内事情でございますので、私たちもしかとはわかりませんが、まだ批准をしていないという状況でございます。
  17. 松井誠

    松井誠君 大蔵省の見通しでは、そういう批准する国がとにかくこの協定の発効するに足りるまでなる、それだけではもちろんSDR発動するわけではありませんが、少なくとも協定が発効するそういう時期としては、大体いつごろを考えておられますか。
  18. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 先ほど大臣からもお話がございましたように、ケネディあたりは五月にはという感じで話をしておったようでございますし、私たちは、四月末あるいは五月というそこら辺が一つの大きな可能性ではないかというふうに考えております。
  19. 松井誠

    松井誠君 かりに法定数批准国ができてこの協定が発効するとしましても、それだけで簡単にSDR発動するわけではないわけですね。SDR発動する前提条件としてはいろいろなものがあるわけですが、それはこの協定の二十四条の一項ですか、それによって一応前提条件がきめられておるわけですが、それは具体的にはどういうことですか。
  20. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 成立いたしましたあと発動条件として一番大憲法的にあるいは根本的に言っておりますことは、このSDR発動によりましてIMFの目ざしますところの目的、つまり経常取引自由化ということが達成されるということ、あるいは世界的に国際的にインプレにもデフレにもならないということがございますが、そのほかに、さらに具体的な要件といたしまして、まず第一番に、全体の国際流動性というものが不足しておるかどうかということを共同的に判断する、共同的にと申しますのは、もちろん各国が集まって判断するということでございますが、それが第一点。第二点といたしましては、主要国国際収支改善に向かっておるという点でございますが、これが第二点。第三点といたしましては、主要国国際収支節度と申しますか、いわゆる国際収支調整過程と呼ばれておりますああいう国内措置国際収支の動向とにらみ合わせて適当にとられておるかどうか、つまり、一言で申しますと、各国経済節度というものがあるかどうかということ、これが第三点。この三つ条件各国が集まりまして判断して、そこで発動をきめるという段取りになっております。
  21. 松井誠

    松井誠君 その前提条件の中で、先ほどもちょっと出ました流動性不足かどうかという問題も確かに重要な問題として論議されると思うんです。現に、これは、一九六三年ですか、BISの年次報告は、国際流動性不足はない、そういうことを言っているわけでありますから、簡単にアメリカのしり馬に乗って流動性不足だというそういう結論が出ようとは私は考えられない。しかし、もっと問題なのは、キーカレンシー国であるアメリカ国際収支ほんとう均衡に向かうという、そういう具体的なめどというものが何としても前提条件としては必要なわけでしょう。二十四条の一項のいまお読みなりました(b)項ですか、これには「将来における調整過程機能改善可能性」というように表現はぼやけておりますけれども、とにかくしかし当初フランスは、聞くところによりますと、アメリカのそういう国際収支均衡の回復、そういうものがどんぴしゃりその条件にならなきゃいかぬ、こういう主張をして、結局政治的な妥協でこういう表現になったと、こういうふうに聞いているわけですが、それだけにやはりアメリカ国際収支の前途というものが大きな問題になる。だから、四月か五月にかりにこの協定が発効をしても、SDR発動条件というものが整うかどうかは私は疑問だと思います。  大臣にお伺いしたいのでありますけれどもアメリカ国際収支状況、去年は確かに十一年ぶりかなんかで黒字になりましたけれども、これについてはどのようにお考えになりますか。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカ国際収支は、ベトナム戦争の初期以前の状態では、五、六十億ドルもの輸出超過ですね、これによってまかなわれておった。その五、六十億ドルにも及ぶ黒字の、まあこれは非常に大ざっぱな見方ですが、半分くらいは海外駐兵費に充てられる、また残りの半分くらいは海外への経済協力に充てられるというようなことになってきたのですが、戦争が進むに従いまして、国内需要が大きくなる、戦争需要が大きくなるというようなことで貿易バランスが悪くなってくる、そこで累年赤字を続ける、こういうことになってきたわけでございますが、一九六八年昨年はこの赤字の解消を久しぶりに一億六千万ドルでありましたか黒字を出すような状態になってきておるのであります。しかし、黒字になったとは申しながら、輸出入のバランス、これが非常に悪化しております。ですから、決して健全な黒字状態というふうには私は見ておりません。  今後アメリカ国際収支がどうなるか、これはいま国内的に非常な努力がなされておるのであります。つまり、総需要抑制政策。御承知のような高金利政策をとりまして設備投資抑制を進める、それから財政方面においては歳出のカットダウンを大幅にとり行なうということ、また、税の方面におきまして一〇%課税をまた引き続いて継続していく、こういう税、財政支出金融、この三つのことを機軸といたしまして、それに通商政策を加えるというようなことで、総需要抑制政策をとっているわけであります。このあいだケネディ長官と会談いたしたときに、この方式でいけばアメリカ国際収支はかなり改善されるであろう、これらの施策の効果が一、二カ月の間にはもうぼつぼつあらわれてくるはずだと見ておると、こういうことを申しておりましたが、とにかく非常な無理をしておりますが、去年は黒字になった。ことしも、より以上の努力をするようでありますので、ベトナム戦争下でもありまするにかかわらずまた改善をされていくんではないか、こういうふうに見ておりますが、根本的にはベトナム戦争——これはもう二百八十億ドルといわれる巨額の戦費が支出されておる。まあ大ざっぱに言いまして一割ぐらいが外貨負担になるわけです。ベトナム戦争というものがアメリカ国際収支の非常に大きな負担になっておる。これがやまるというようなことになれば、アメリカ国際収支というものはかなり強固なものになる、ぴしゃっとしちゃう、私はこういうふうに考えております。
  23. 松井誠

    松井誠君 大臣は、衆議院でも、ベトナム戦争がなくなりさえすればアメリカ国際収支はぴんとするということを盛んに言っておられるんですが、その問題はまたあとにしまして、いま大臣も言われたように、貿易収支の、黒字が非常に減ってきた。これはしかしそう簡単に前のような黒字が続くという状態に返り得るのかどうか。いわばドル不足といわれたころには、ヨーロッパに対してアメリカは大いにドルの散布をした。そういういろんな結果、戦後の復興ができて、EEC諸国をはじめとしてヨーロッパ諸国の企業の競争力がついてきた。そういういわば不均等発展という現象の結果がアメリカ貿易収支黒字幅の大幅の減少、そういうものにつながっておるんだとすれば、貿易収支黒字が大幅に前のような状態に戻る、そういうことはそうあまり期待は持てないんじゃないですか。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカ貿易収支はなぜ赤字なのか、赤字というか悪化してきたか、こういうことを考えますと、これは輸出が衰えたわけじゃないんです。つまり、戦争もやっておる。また、戦争につれて国内経済が拡大する。そして、アメリカの産業の、またアメリカの軍事上の、さらにはアメリカ国民生活消費上の需要伸びておる。この伸びが大きいんです。したがいまして、輸出につきましてはきわめて健全な伸びをしておるにかかわらず、貿易収支が悪化する、こういう状態と私は見ておるのであります。したがって、金融政策財政政策、またさらにそれに加えてベトナム戦争終息過程ということを考えまするときに、アメリカ貿易収支は大きく改善されていくのではないか、かようにいま見ております。
  25. 松井誠

    松井誠君 その辺は少し見解が違うのでありますけれども、もう一つ資本収支が非常に改善をされたというのが昨年度の国際収支黒字になった一つの大きな原因のわけですが、この国際収支改善をされたという中には、いわゆる国際収支を粉飾するというか、粉飾決算ではありませんけれども粉飾赤字、そういうものが相当含まれておる、これはまあ一般的にいわれておるわけでありますが、このことはもちろんお認めになるわけですね。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いろんな努力をしておりますが資本収支が一番大きく改善されたということは、国際通貨不安、その国際通貨不安の中におきましてアメリカドルは何といったってキー通貨であり最も安定しておる、こういうようなことからアメリカヘの資本導入、流入ということが盛んであった、こういうふうに見ておるわけであります。ちょうどわが日本でもそうなんで、昨年昭和四十三年度中の日本に対する株式買い、主としてこれはヨーロッパ人でありますが、これなどが殺到するというような勢いでやってくる。なぜであるかということをいろいろと判断をしておるわけでありまするが、やっぱりドルと並んで日本の円が最も安定しておる、こういうようなことからだろうと思います。それは余談でありますが、とにかくアメリカドルに対する信頼、それが資本収支改善さしておる、こういうふうに見ております。
  27. 松井誠

    松井誠君 たとえば、西ドイツが中期債を大幅に買う、去年の国際収支には関係ないかもしれないけれども日本輸銀債を買う、こういうこともアメリカ資本収支が好転をしてきた原因。そういう意味で、アメリカとしては、SDR発動というものを前にして、とにかく国際収支均衡をはからなければならない。そういう意味でずいぶん無理をしていろんな粉飾赤字と称せられるものができた。これはまぎれもない事実だと思う。  そこで、ちょっと輸銀債のことでお尋ねをしたいんですが、けさの新聞か何かによりますと、日本はさらに輸銀債を買う、政府筋の言明によるとそういう意向だと伝えられておるんですが、その辺の真偽はどうなんですか。
  28. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) いまのところ、全然そういう話はございません。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ちょっと補足しますが、ケネディ財務長官とこのあいだ会ったその際に、アメリカ国際収支というような観点から、輸銀債だとか何だとかそういうような話でもあるいはあるのかというふうなことも予想しておったんです。ところが、そういうアメリカ国際収支への日本側協力ということについては一切話は出なかった。まあ新聞でちょっと何か別のソースからのということで日本輸銀債を買うんだというような話が出ておりましたが、その話は、いま局長から話がありましたように、全然私どものほうでは何らの考えは持っておりません。
  30. 松井誠

    松井誠君 もしケネディ長官との話にそういうものが出ましたら、どういうように返事するつもりだったんですか。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私ども国際収支、外貨保有というものが改善されておる、そういうようなことで、いろいろわが国の立場で外貨金融の運用というものを考えなければならぬわけなんでありますが、アメリカからそういうことを要請されましても、われわれはわれわれの立場においていろいろ考えていく、こういうことだったと思います。
  32. 松井誠

    松井誠君 われわれの立場において考えると。これは中期債の購入を要求されたころからの政府の答弁なんですけれども、ある学者なんかに言わせると、輸銀債を買ったというのはいわば日本の財政当局の公私混同がいよいよ発展したんだと。いままでは外貨準備を担保にして民間資金の導入をはかってきた。そういうことで、いわば官民の癒着があったわけであります。今度の場合、輸銀債を買って、それの償還というのは、日本の民間企業がアメリカの輸銀から借りておる負債の返還に見合う、つまりそういう日本の企業の返済を日本早期に肩がわりをするのだ、そういう意味で公私混同だという説をなしておるわけでありますが、もし民間企業の輸銀の借り入れというものが多くなればなるほど、いわばその見返りとして輸銀債の購入を要求される額がふえてくるというような、そういう危険はないのですか。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 別にそういう危険というか、可能性というものは私は感じておりません。輸銀債輸銀債で、わが国といたしましては、わで国の保有外貨をどういうふうに運用するか、どれが一番よいかという観点からのみ検討する問題であります。
  34. 松井誠

    松井誠君 保有外貨の構成のことについてはあとでまたお尋ねをしますけれども、先ほど話に出ましたベトナム戦争のための国際収支赤字がどれだけかは必ずしも的確にわからないでしょうけれども大臣がいま言われましたところでは、二百八十億ドルの一割の二十八億ドルくらい。これは、しかし、いわば北爆が開始されてベトナム戦争がエスカレートしてから後はベトナム戦争の持っている国際収支への圧力というものが大きくなってきたわけでありましょうが、それ以前から赤字は続いておるわけであります。ですから、ベトナム戦争が終わりさえすればそれで国際収支がしゃんとするのだという議論は、いまとなってはベトナム戦争国際収支への圧迫というものを強調し過ぎていやしないか。あるいはまた、さらに言えば、ベトナム戦争が終わったところで、今度はアメリカは、日本もそうですけれども、ポスト・ベトナムということで戦後の復興に金を出す、そういう意味経済的な落ちくぼみというものも救っていこう、そういう動きもあるわけでありますから、一にかかってベトナム戦争の帰趨にかかるというような、アメリカ国際収支の見通しの前途というものをそのように考えるわけにはいかないのじゃないですか。
  35. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 問題は、ベトナム戦争ばかりじゃないんです。先ほども申し上げましたように、アメリカ貿易収支を悪化さしておる原因は、一つ国内の消費が非常に旺盛であるということを指摘しましたが、アメリカでもその点には非常に気をつかっております。また、それに伴いまして、産業設備投資が非常な勢い伸びておる。そこで、設備投資も押えなければならぬ。また、国内の生活需要も押えなければならぬ。それによって総需要の減退という形で貿易収支改善をはかるということも考えておるようでありますが、最も大きな要因は、私は、ベトナム戦争だと、こういうふうに見ておる。それは私は松井さんと見解は違うかもしれませんけれどもアメリカ国際収支に最大の影響のある問題である、こういう見方をしております。
  36. 松井誠

    松井誠君 最大の影響があるだろうということは私も想像ができるのでありますけれどもベトナム戦争が終われば国際収支がしゃんとするという、そういう評価をしていいかどうかという問題です。ベトナム戦争だけでなしに、アメリカ国際収支赤字のいわば一番大きな原因というものは、政府の対外支出が非常に大きい。軍事援助、経済援助、そういう形で対外支出が非常に大きい。このことについて大臣はあまり触れませんけれども、かりに日本の安保条約にしたところで、NATOの条約にしたところで、そういういわば軍事的な援助、経済的な援助という形で出ておる対外支出、これがなくならない限りは、ベトナム戦争がなくなったからといって、そう黒字に転化するというわけにはいかないと思うのです。もう一つは、先ほどもちょっと言いましたけれどもベトナム戦争がそれだけ大きな比重を持っておればおるほど、それのいわばポスト・ベトナムということでアメリカはいまからもうすでに準備をしておる。それがどういう形になるかは別といたしまして、とにかく対外的な支出というものは減らない。そういう方策も一講じてくるのじゃないか。もっと言えば、あるいはベトナム戦争がなくなったら三十八度線で朝鮮半島で火を吹かないという保証もない。言ってみれば、アメリカのこういう帝国主義的な戦略そのものが改まらぬ限りは、慢性的な赤字というものの前途は暗いのじゃないか。そういう帝国主義的な戦略が変わるということは望ましいけれども、それはアメリカの帝国主義そのものがなくなるということを期待することであります。そういうことはきわめて困難だ。そういうことを考えると、アメリカ国際収支の慢性的な赤字ベトナム戦争一つでよくなる、あるいはそれをきっかけとしてしゃんとするというようには私は考えられないと思うんです。そういうことで、SDR早期発動というものを早々と日本アメリカに約束をした。これは、伝えられておるように、IMF日本の増資の比率を増してもらう、そういうものとのいわば取引と言っちゃ悪いけれども、相関関係みたいなものがあったのじゃないですか。
  37. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは別に何の相関関係もないんです。ケネディ財務長官との会談におきまして、私は、日本としてはIMFのクォータが非常に不自然な形になっておる。わが日本にきわめて不利な形になっておる。これは一九六二年にいまのクォータができたというわけですが、五年、五年で改定するということにはなっておりますものの、その改定がなかなか諸外国の意見が一致しないでむずかしいのです。しかし、むずかしいにもかかわらず、われわれはIMFのクォータをふやすことを考えるべきである。六二年以来、わが国の経済というものはたいへんな向上発展をしておるわけであります。最近のデータによって日本の地位をきめるべきである、こういうふうに考えておる。その考え方を率直にアメリカに申したわけです。そうすると、ケネディ長官は、それに対して、それは当然のことです、こういうことばを使っております。当然のことです、もし日本からの提案がありますれば、その提案のときにはアメリカはこれをサポートする、こういうことを申しておるのであります。これは別にSDRと何らのかかわりはない。  SDRに対しましては、わが国は、これはもう衆議院委員会の審査におきましてもるる申し上げたんですが、日本が弱小国であればともかく、世界で第三の経済実力を持つ国になった。そうすると、日本の国の進路というものをいままでのような勢いで続けていくというためには、やはり後進国というものを育てなきゃいかぬ、これが一つの問題である。それから同時に、後進国を含めた世界全体の経済交流というものが盛んにならなきゃいかぬ。それには、いま世界経済発展一つの障害となっておる流動性不足というこの問題の打開をする必要がある、こういうことなんです。  それからもう一つの問題があるんです。それはわが国国内の問題なんですが、戦後二十五年を回顧してみますと、大体、一、二年の不況、二、三年の好況、一、二年の不況、二、三年の好況、これを連続してきておる。なぜそういうふうになってきておるかというと、わが国の国際収支の天井の低さがそうさしておる。さあ輸出がどうも不振であるという際になりますと、日本国際収支が悪化する。そうなりまするときに、どうしても国際収支をささえるためには国内の緊縮政策をとらなきゃならぬ。それによって輸入を抑制するということを考えざるを得なかったわけであります。そのために金融引き締め政策をとり、財政の縮小政策をとる、こういうことになりますと、これが不況をもたらす。それが解決されると、また財政は拡大され、また民間投資が活発化されるような金融政策がとられる、こういうことになるわけですが、もし日本の外貨の天井というものさえ高ければ、そういう政策を繰り返す必要はないんです。多少輸出が少なくなりましたという際には、これは逆に今度は財政を活発化する。そのためにまた設備投資も活発化させる。そのためには輸入がふえるだろう。輸入がふえて輸出が不振になりましても、しかし国際収支はびくともしない、こういうことでありますれば、景気循環というものを繰り返す必要はない、のぼり続きの成長というものを実現し得る、こういうことになるわけであります。今日、三十二億ドルの外貨保有になったと、こういう好ましい状態でありまするけれども、加うるにここでSDRができたということになりますと、わが国の外貨収支の天井は非常にゆるやかになるわけであります。そういう状態にありまする限りにおきましては、わが国の国内の景気調整、これに非常に大きな手段を装備するということになるわけであります。わが国自体の国益から見てぜひともSDRの成立を早くしておきたい、こういうふうに考えるのであります。
  38. 松井誠

    松井誠君 SDR日本に及ぼす影響について、いま言ったように国際収支の天井が高くなる、そういういわば経済的なメリットというものはあるかもしらぬと思う。しかし、あとから述べる時間があると思いますけれども、私はそういう経済的な次元の問題としてよりも、むしろいわばIMF体制といわれておるドル支配の体制、それのいわば延命策、それの補助手段としてのSDRということを考えると、IMF体制というものは世界でどういう役割りを果たしてきたかということを考えて、えたとばベトナム戦争にしても私はそうだと思う。あなたが言われておるベトナム戦争にしても、アメリカは基軸通貨の国であって、いわば自国の通貨を相手国の支払い準備として持たせることができるというそういうところから、いわば無節度な国際収支赤字というものを続けることができた。ベトナム戦争というもののいわば通貨的なささえというものがそこにあったと思う。そういういわば根源であるIMF体制といわれるものにわれわれが積極的に手をかしていいのかどうかというむしろ政治的な次元の問題として考えなきゃならぬと私は考える。しかし、その点はあとで質問をいたしますけれども、いま、SDRの果たす役割りについて、日本経済についての必要性について大臣から御説明がありましたが、提案理由の補足説明でもそうでありますが、結局、SDRの必要というのは、流動性を増強することが必要なんだと、一つは金が不足をすると、一つはいわゆる流動性ジレンマということでドルの散布には限度がある、世界の貿易量は一方においてどんどん広がっていく、だから流動性を増強しなければならぬのだというのが大義名分なわけであります。そこで、補足説明に書いてあるわけですけれども、「金については、その産出が自然の条件によって左右されるほか、投機の対象となって退蔵されるおそれがあり、最近は、工業用の需要も漸増してきておりますので、今後、準備資産としての増加に多くを期待することはできない」と、そういうふうにいわば金不足論というものを既定の事実として金に見切りをつけるような形になっておるわけでありますけれども、しかし、金が現象的に、不足しているかどうか、実は問題であります。金の供給が押えられておるというのは、むしろ自然的な条件というよりもほかに原因があるのじゃないか。一オンス三十五ドルというそういう形で金の公定価格を押えておる、このことから来る金の不足の現象、そういうことがあるのではないですか。
  39. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金の価値を変更する、これは容易ならざることなんです。金価格の変更ということを言う人はいま非常に少ない。しかし、そういう議論はあります。ありますが、金、ドルの価値を変更するということになれば、これはもう各国ともみんなそれに追随して変更するということになって、意味をなさないことになるのみならず、その過程において無用の大きな混乱を来たすということになるので、金の価値を変更しようというようなほんとうに固まった動きというものが出てくるというふうに私は考えておりません。また、日本といたしましてもこれは非常に困る事態ではあるまいか、そういうふうにいま見ているので、何とかして金価値は維持する方向にわが日本努力すべきである、こういうふうに考えているのであります。それが金の産出を阻害しておるかというと、そうでもないのであります。金というのはこれは地下に埋蔵されておるわけでありまして、もし金がどこかで発見されるということになれば、いまの価格でどんどん掘られていくと思います。問題はそこじゃないんで、金の産出量というものも長い目で見るとふえておりますけれども、それだけでは戦後の伸び行く国際経済には追っつかない。金も大事な流動性ではありますけれども、これを補うところの手段が必要である。こういう戦前と全く変わった戦後の経済事情、その経済事情の必要性からSDRというものが創案された、こういうふうに御理解願うべきかと考えております。
  40. 松井誠

    松井誠君 金の価格を低く押えておることが金産出を少なくしておる原因じゃないということでありましたけれども、たとえば南アにしても、一オンス三十五ドルというそういう線があるために、それの採算に合わない低位の金鉱については廃鉱にしてしまう。もしそれが一オンス七十ドルなら七十ドルということになれば、まだまだ採算かとれるという金鉱は幾らでもある。それが稼働しないで廃鉱になっておるというのはそういう事情がある。これは、大臣、そのことまでも否定されるわけですか。
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま、南アの金は、三十五ドルというと、採算はとれておるのです。これを引き上げたから南アの金がよけい出るという状態じゃございません。
  42. 松井誠

    松井誠君 採算のとれる金山しか掘っていないからです。そうじゃなくて、低位の金山というものは廃鉱にしておって、採算のとれるところだけしか掘っていないんです。
  43. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) この点につきましては、国際決済銀行の年報にもございますが、旧鉱でも一オンス当たり三・七ドル平均で利潤をあげて——旧鉱と申しますのは全体の南アの半分くらいでございますが、それだけの利潤をあげております。いわんや、新鉱につきましては、新鉱は残りの半分でございますが、一オンス当たり十六・五ドルとかなりの利潤をあげているという数字がございます。
  44. 松井誠

    松井誠君 いまの説明は私の持っておる資料とは違うんですけれども、しかし、とにかく一オンス三十五ドルというそれが金の実勢には合わない。ほかの商品価格と比べてみて、この三十数年据え置かれておる一オンス三十五ドルというものは不自然です。大臣も、衆議院大蔵委員会か何かで、直さなければならぬけれどもいまはその時期じゃないというようなことを言われたことは、やはり金の価格が実勢と離れておる、そういうことはお認めになるわけですか。
  45. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あれは、金のいまの三十五ドルがきまりましたのが一九三四年かと思います。その後、各国の卸売り物価なんかがだいぶ上がってきておる、そういうような面から見ると、どうも金の価値は戦後のそういう諸物価の変化に対して不自然じゃないかというようなことの検討をしてみる必要があるかもしれません。しれませんが、とにかくいま局長から申し上げましたように、金のコストというものは三十五ドルで決して不自然な状態ではない、こういうような状態でありますので、まあ理論的にはいろいろ見方というものがありましょうが、当面の問題として変える必要はない。また、これを変えることになりますれば、かなり大きな混乱を起こすことになるのではないか。私どもは、この状態を堅持すべきである、政策的にはそうしなきゃならぬというふうに考えております。
  46. 松井誠

    松井誠君 だいぶきょうの御答弁はぼやけてきましたけれども、二月の二十六日の大蔵委員会大臣はこのように言っているんですね。金の価格ですけれども、それは、「ほんとうは直したほうがいいんでしょう。いいんでしょうが、直す機会を見失いつつ今日に至っておる」と。そういうように、実勢と離れておる、乖離をしておるというそのことは認めた上でのこれは発言でしょう。そういうことがあるかどうかを検討するというようなことじゃなかったはずです。
  47. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ実質ほかの卸売り価格との乖離ということは私はあると思うんです。あると思いますが、しかし、金自体の採算性というようなものから見まするときには、これで不自然な状態ではないと思うんです。政策的な議論としますと、実際の金の価値の問題とは別の問題でこれを変更するということになりますると、これはたいへんな問題になってくる、これは堅持すべきであると、こういうことなんです。
  48. 松井誠

    松井誠君 金価格の引き上げの可能性があるというような御答弁になると、これは日本としてもたいへんだということで、こだわる気持ちが私はわからぬでもありません。しかし、これは大蔵省の「調査月報」昭和四十二年なんですけれども、これで見ますと、一九三四年の例の一オンス三十五ドルにきまったそのときの金の価格が現在依然として不変だと。しかし、そのほかの国際商品、たとえば、肉牛は約五倍になっておる、豚は四倍になっておる、トウモロコシは二倍以上になっておる、小麦が二倍、鉄鋼が三倍以上、銅が五倍というように、とにかく国際商品が軒並みに二倍から三倍、あるいは五倍にもなっておるわけです。金の生産費を安くするための技術革新が特段のものがなかったとすれば、当然生産費も上がっておる。したがって、一オンス三十五ドルというのは実勢に合わないということは、重ねて検討するなんということじゃなしに、むしろいま周知の事実で、こういう金価格の不当な押し下げが、ゴールドラッシュ、あるいはアメリカの金兌換への圧力、そういうことになって通貨不安を醸成しておる、こういうことはむしろ常識じゃないですか。
  49. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金の価値の見方につきましては、衆議院でも申し上げたとおり、いろいろな見方があるだろうと思うのです。しかし、それはそれとして、国際金融政策の問題とすると、いま金の価値を動かすべきでない。ことに、いま、非常な国際通貨不安の時期です。この時期に金の価値が変わったということになると、いろいろな混乱、不安、動揺が出てくるわけですので、その点だけは私はいささかも疑いを持たない、もう堅持しなきゃならぬと、こういうふうに考えております。
  50. 松井誠

    松井誠君 この問題は、あとで時間があればまたあれしたいのでありますけれども、しかし、大臣も、この問題は、またベトナム戦争に持ってきて、ベトナム戦争が終わって国際収支均衡をすれば、そこでそういう通貨危機の状態がなくなった段階であらためて考えてもいいんだと、金価格の切り上げですね、そういうことを言っておられるのですけれども、しかし、一オンス三十五ドルという低い値段で押えられておること自体が、通貨不安、ドル危機というものを呼び起こしておるのだとすれば、一時的に国際的な均衡が回復をしたそれだけでこの通貨危機というものがなくなるわけではない。むしろ、金価格を切り上げるというそのことをやらない限りは、通貨不安はいつまでもつきまとう。大臣の言われるように、ベトナム戦争さえ終わればそれで通貨不安は解消する、こういうものではないんです。
  51. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま、全体的に国際通貨不足をしておるわけです。それを補う手段としてドルというものが大活躍をしておったわけでありますが、このドルの供給、そのドルの裏付けになる金のアメリカ保有量ということを考えますと、ここで限界に来ておる。そこで、新しい手段を国際的に発見しなきゃならぬ、開発しなきゃならぬ、こういう立場に置かれておるわけです。決して金の価値を上げたからそれで解決できるというものじゃない。新しい手段が必要なんです。金の価値を上げたからといったって、これはみんなどこの国でも全部金の価値が上がっちゃうわけです。これで流動性が増加したと、こういうことじゃない。そういうことなんで、国際金融政策論といたしますと、金の価値はなるべく長い期間安定さしておくというほうが国際通貨の安定のためによろしいと、これは結論的にゆるがざる私の見解であります。
  52. 松井誠

    松井誠君 たとえば、金がたくさん退蔵されるのも、全部が全部そうじゃないにしても、相当部分がやはり財産保全あるいは将来の金価格の切り上げを見越しての退蔵ということで、やはり金価格というものが金不足一つ原因をなしておると思う。  それで、ソ連が、一九六六年以降ですか、金の売りどめをした、販売を停止をした、これはどういう理由ですか。
  53. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) この情報はしかとはわかりませんが、想像をかりに許していただくならば、ソ連の対外貿易方針として、輸出入の均衡主義をますます強くとってきたということからいたしまして、必ずしも対外支払い手段というものを従来ほど多くを要しなくなってきたのではないかという理由一つ、それからもう一つは、六六年でございましたか、二、三年前に金をロンドンで売りましたときは、確かに国内は凶作でございまして、そのために海外ことにカナダあたりから小麦を多量に輸入する必要があるという緊急的な理由があったように承知いたしております。
  54. 松井誠

    松井誠君 これもやはり将来の金価格の引き上げをいわば見越しての売り惜しみ、そういう面もあるのではないですか。
  55. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) ソ連が金価格の引き上げを欲しておるか欲しておらないかということは、いままでにあまりはっきりは公表されておりませんが、一般的な感じといたしましては、ソ連はかなりやはり世界の中で金保有国あるいは産出国であるという観点からいたしまして、おそらく、どっちかというと、希望はしておるのじゃないかというふうに想像はいたしております。
  56. 松井誠

    松井誠君 ですから、やはり現在の金価格というのが金不足一つ原因をなしておる、そういうことにもなろうかと思うのです。私は実は佐渡なんですけれども、佐渡に相川金山というのがあるんです。この相川金山は、最近までは休んでおりましたけれども、最近また大規模な採掘を始めた。それは、金の買い上げ価格が上がったからというのではなくて、工業用の金の需要が非常に多くなった、そういうことで、もう一ぺんやろうかというふうになってきたわけです。  ここでちょっとお伺いしたいのですが、日本の産金事情というのは大体どんなふうになっておりますか。
  57. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 目下のところ、十二、ミトンというふうな年産額でございますが、微増——毎年々々わずかながらふえておるという、きわめてわずかでございますが、そういう状況でございます。
  58. 松井誠

    松井誠君 その産金の中で政府が買い上げる条件はどのくらいでありますか。
  59. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 政府は去年の一月までは五%を買い上げることにいたしておりましたが、一月以降それをやめまして、買い上げを一時中止いたしております。当分の間中止いたしております。
  60. 松井誠

    松井誠君 最初は何十%でしたか三〇%ぐらいの買い上げの率が、五%になり、とうとうゼロになった。これはやはり一オンス三十五ドルというそういうことではもう買えない。多量に買おうとすれば採算割れになって金山は休まなければならぬ、そういうことから来るのじゃないのですか。
  61. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 御承知のように、一グラム六百六十円で山元で売っておりますが、この価格自体は、国際価格に引き直しますと、おそらく一オンス五十数ドルということになろうかと思いますが、そういう価格で国内価格はあるわけでございますが、いまの状況からいたしまして、六百六十円というものは必ずしも金生産会社、鉱山にとりましてもマイナスではない。それほど大きな利潤をあげているものとも思われませんが、決してマイナスではないというふうに私たちは考えております。しかも、御承知のように、ほかの鉱石——銅鉱石とかそういったものから産出いたします金もございますので、総合的に会社の採算というものを考えてみますと、決して損はしていないということでございますが、ことに五%の買い上げを停止いたしましたのは、別にコストが苦しいからということだけではございませんで、むしろ、国際協調といいますか、先ほど来から議論がございましたように、国際通貨体制協力することが日本の結局はプラスであるというような観点等からとられた措置でございます。
  62. 松井誠

    松井誠君 最初は三〇%くらいだったものが五%に下がったというのも、いま言ったような価格で買い上げる比率が多くなれば多くなるほど、採金業者はそろばんに合わなくなる。だから、五%まで下がったんでしょう。いまのお話ですと、国際通貨協力のために金の買い入れをやめたと。これはどういうことなんですか。
  63. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 昨年来二重価格制度というものがとられたのは、先生十分御承知のことでございますが、これは日本がどういう態度でこの問題に取り組むかということでございますが、基本的に長い目で見まして、先ほど来からの話にございますように、金価格が動揺する、あるいはドル価値の不安を来たすというようなことは、わが国にとっても結局はマイナスが多いという観点から、いわゆる貨幣用金と産業用金の遮断ということを日本政府もとったわけでございまして、そういうことをすることによって貨幣用金の価値というものが安定するということ、これに大きく貢献するという考えからであるわけでございますが、おっしゃるように、国内の金の買い上げを従来の三〇%からだんだん減らしてきたということ、この推移自体は、確かに国内のいろいろな経済情勢とにらみ合わせまして五%まで来たわけでございますが、それをゼロにするかどうかということは、そういうコストを援助すること、金の生産者のコストを援助するということからではなく、また、その必要もなかったということを申し上げたわけでございます。
  64. 松井誠

    松井誠君 私がいままで金の問題をいろいろ申し上げましたのは、この提案理由で、何か金が自然的な条件のために不足をしておるというようにSDRの根拠づけをされておるようでありますので、そうじゃなく、むしろ社会的なあるいは経済的な原因が、金の不足かどうかわかりませんけれども、ともかく金生産の停滞をさしておるんだと、そういうことを実は言いたかったわけなんです。  いまちょっと国際協力の問題が出ました。それで、問題がちょっと元へ戻るというか、飛ぶのですけれども日本の外貨準備の中で金が非常に少ないというのはもう周知のことなんですが、いままでのことは別として、将来金をふやさなければならぬという時期に来ておるということを大臣衆議院で申しておりますけれども、それはそのとおりですか。
  65. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 将来の問題としてはそう考えます。しかし、いまこの時点は、国際通貨が非常に動揺しておる時期だものですから、日本が金の買い入れを始めたということになると、これはたいへんな影響を及ぼすことになります。いまはそういう考え方は持っておりません。しかし、長い将来においてどうなりますか。いまはこういうことですね。まあ二十億ドル外貨ということはしばらく続いたわけです。その中で三億三千万ドルくらいの金保有というものがあったわけですが、いま三十二億ドルになった。この三十二億ドル外貨のときに、従前の三億ドルベース——いまは三億六千万ドル持っておりますが、そんな三億ドルベースの金でいいか、こういうこと、これはそうは考えないんです。二十億ドル時代の三億ドルベース、その時期はわが日本が戦後立ち直りの過程です。ですから、卵を生まない、利息を生まない金という形で保有するよりは、利息を生む何らかの形の保有形態というものが少しでも多くなればなるほどわが日本発展に貢献したというので、私はそれでよかったというふうに考えたのですが、さあ三十二億の外貨ということになると、いささか考え方を変えなきゃならぬのじゃないかというふうに考えておるのです。しかし、与える影響を考えますと、具体的にいまそういう措置に出るかというと、それはそうすべきではない、それは将来の問題だと、こういう見解です。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。さっき松井さんから南アの産金についてお話がありましたが、この際ついでに伺っておきたいのですが、昨年、南アフリカ共和国が、手持ち外貨が枯渇しまして、それを調達するためにIMF各国の中央銀行に金購入の意思があるかどうかしきりに打診した。ところが、昨年三月ワシントン会議の際に、七カ国の中央銀行の間で、南アが貨幣用金の売却を申し出てきてもそれに応じないという申し合わせができた。それは事実かどうか。  それと、IMFの理事会でも、IMFが南アの金を購入する義務はないということをアメリカが非常に強硬に主張したといわれているわけです。そうして、アメリカは、南アがどうしても金を売却したければ、IMFや中央銀行に対してではなく、自由市場で売却すればいいではないかと開き直った、そういういきさつがある。アメリカがこういうような高圧的な態度をとったのは、南アの新産金が自由市場に大量に出回るようになれば、自由市場の金価格が下落して、一オンス三十五ドルの公定価格との間の開きが縮小するか、あるいは一オンス三十五ドルを割るようになるかもしれない、そうなれば、金騰貴はおのずから鎮静して、金やドルの既存の準備にかわってSDRを資産準備として用いざるを得ない条件が形成される、こういうふうにアメリカが考えたと。つまり、自由市場における金価格の下落を通じて金のデモニチゼーションの方向に持っていきたい、こういう意図があって南アを圧迫したんだ、こういわれておるのですが、それはいまの状況はどうなっているのですか。南アがIMFに金売却を申し出てくる場合、それはIMFで買うのかどうか、三十五ドルで。私は、IMFの規定からいっても、これを拒否する理由はないと思うんですよ。これはアメリカは非常に不当じゃないかと思うんです。そういう際に、日本も、はっきりと不当であると。そうして、南アの金をIMFに売らして、日本IMFから金を買ったらどうですか。そのほうが国策に合う。だから、やはり南アのIMFに対する金売却を支持すべきだと思うんですけれども、この間の事情はどうなんですか、南アの金の問題が出ましたからついでに伺っておきたいのですが。
  67. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) その間の事実を簡単に申し上げたいと思いますが、第一の点、つまり去年の三月来七カ国が南アフリカの金売却の申し出を断わったかどうかということでございますが、これは、私たち承知いたしておる限りでは、断わっておるようでございます。  それから第二の点でございますが、IMFが買うべきかどうかということは、実はこれは協定の解釈の問題とも関連するわけでございますが、御承知のように、協定で、同一の利益が得られるならばその金はIMFに売るべきであると。つまり、南アは、外貨不足であった場合、それによって得られる利益が同一であれば、つまり同じ価格で売れるならIMFで売りなさいという規定があるわけでございますが、そうだからといってIMFはそういう申し出がある場合に買わなければいけないかどうかということは、これは法律問題でかなり議論された結果は、IMFとしては買う義務は必ずしもないのではないかというのが大勢を占めておる意見でございまして、そういう状態のままいままで来ておるというふうに私たちは考えております。  ところで、アメリカあたりがそういう三十五ドルを下回るような自由市場価格というものを実現するために自由市場で売らせると。これは、私たちの想像いたしますところでは、おそらくアメリカとしてはそういう姿が好ましいと思っておるのだろうと思います。思いますが、それを自由市場で必ず売らせるかどうかという点につきましては、これはやはりよく全体を考えて、つまり南アの事情その他も考えてきめなければならないことでございまして、アメリカもどうしてもIMFで買わない、必ず自由市場で全額を売らなければいかぬということを徹頭徹尾最後まで言っておるというふうに私たちも理解しておりませんので、いずれそういった点につきましてそのうちに合意に達するというふうに私たちは考えておるわけでございます。  昨年ちょうど南アの外貨事情が悪かったと先生おっしゃいましたが、私たち承知いたしております限りでは昨年の南アの外貨事情はわりあいよくて、それでそういうやりとりが結局結論を見ないままにいまに推移しているというのが、つまり豊作とか外資導入とかという臨時的な要因を控えた昨年の南アの外貨事情が比較的よかったからそういうこともあったんではないかというふうに考えますが、普通の定型的なかっこうで申しますと、南アというのは、かなりの金を売却して外貨をまかなっていかないとやっていけない、普通十億ドルくらいは毎年売らなければいかぬ、そういう国際収支のパターンであるといわれておりますので、ことし以降どういう形になりますか、そこら辺の推移等から見まして、今後の金の問題というのはおのずと解決されるのではないかという感じがいたすわけでございます。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の聞いたところでは、南アはIMFにある程度金を売った。IMFが買った。日本も多少買ったんでしょう。そういうことと、今後、日本としては、いわゆる国益の点からいって、やはりアメリカはあまり強引だったと思うんですよ。いまの村井さんのお話のように、結局はIMFが南アの金を買うということになってくるのじゃないかと思うんですよ。実際、いま、自由金市場は、金の価格は、下がるどころか、上がっちゃっているでしょう。そういう状況ですから、結局は、IMFにルートをつけて金を供給して、日本もやはりそれをIMFから、日本だけではなく、ほかのところも買ったほうがいいのじゃないかと、こう思うのですが、日本態度をあわせてお聞きしたいんですよ。
  69. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 日本態度は、おっしゃるように、確かに国際通貨基金と申しますのはああいう各国の協調の場でございますし、金を集中配分するというのにまさにかっこうの機関であるという感じを私たちも持っておりまして、実は昨年のIMF総会でも日本代表からそういう趣旨の発言をいたしております。ただ、これは、実際問題といたしましてはIMF協定との関連もございまして、直ちにIMFがそういう金の集中配分をするということには必ずしもなっておらないものですから、そこで問題が多少あるわけでございますが、事実問題といたしまして、私たちも、いろいろな機会を通じまして、大した金額ではございませんが、IMFから売却を受けるということに非常に積極的に働きかけてもおりますし、現に多少ではございますがふえてもおるのが実情でございます。
  70. 松井誠

    松井誠君 先ほど、大臣が、いままでの金の保有が少なかったのは、ドルで持っておれば利子を生む、そういうことを言われたのですけれども、しかし、ドルで持っておったおかげでドルが減価をした。その減価の率と利子のプラスを計算すれば、そういう計算勘定だけでも、必ずしもドルを主として持っておったというのが国益に合ったとも考えられない。そろばん勘定でそうなるのじゃないですか、ドルの減価を認めるとすれば。
  71. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ドルの国際社会における価値が減価したというふうには考えておりません。これはやはりどこまでも一オンス三十五ドルドルとして国際決済のために使われている、こういうような状態であります。そういうことを考えますと、何らの利子を生まない金で保有するということは、いままでの状況とすると賢明ではなかった。まあ金の保有が少なかった、こういうことであるけれども、そのほうが発展途上のわが日本としては稗益するところがあった、こういうふうに思っております。
  72. 松井誠

    松井誠君 ドルの減価を認めないというのですけれども、現に、自由市場では、アメリカの期待を裏切って、一オンス四十ドルをずっと越しているわけですね。これも、私どもから言わせれば、もつと本来ならば上がるべきであるにかかわらず、いわばさっき言ったような形で金の生産が押えられておる、安いコストの金だけが出回る、そういうこともあって実勢よりもむしろ自由市場の価格そのものがまだ低いのじゃないか、そういうように考えるわけでありまするけれども、これは過去のことですからいまさら言ってもしょうがないのですが、しかし、大臣が言われるように、将来外貨準備額が三十億ドルこしたら金を持たなきゃだめだ、しかしそれは現在の通貨不安の状態のもとにおいてはうまくないというお話でしたけれども、むしろ通貨不安があればあるほど本来ならば金を持たなければならない、そういう関係にあるのじゃないですか。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 確かにそういう一面もあるんです。あるんですが、しかし、もっと大きな問題は、わが日本国際通貨体制を混乱させるというようなことになりますれば、わが日本の国益から見てもこれは重大な問題である。いま先進国は総がかりになって通貨不安の解消ということに努力協力しておるわけですから、先進国の一人としてわが日本世界の通貨の安定に協力をするということは当然の責任である、こういうふうに考えるのです。そういうようなことから、わが日本がこれで金の買い向かいに動いたというようなことがありますれば、これは重大なことだ、いまは忍ばなきゃならぬ、かように考えております。
  74. 松井誠

    松井誠君 金プールが廃止になって二重価格制がとられたときに、通貨当局は、自由市場から買わない、そういういわば約束があるんですね。それからこれはいつごろから事実上どうなっているのかわかりませんけれども、とにかくアメリカは通貨当局に対しては一オンス三十五ドルで応ずるということになっておるけれども、しかし、それは事実上停止をされておる。そういうことで、金をこれから買おう、買い得るという段階になって、そして金が最も必要だという時期になったときには、金を買う方法というものが事実上非常に狭まってきた。   〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕 しかし、それにしましても、やはり金の価格の切り上げというのは日本として大問題アメリカのいわばドル先行国といわれる日本としては大問題で、大問題だからそういうことには触れたくないという気持ちはわかりますけれども、しかし、金価格の切り上げというのは多くの人たちの予測に従えばいずれは避けられないとすれば、日本態度としては、そういった希望的な観測は別にして、やはり金の買い入れというものの手当てだけはする必要があるのじゃないか。そういうときに、現実には一体とこから——大臣は、将来やがて金を買わなきゃならぬということは認めたわけですけれども、どういうルートで買うということなんですか。
  75. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 将来、金に対する国際的な協力体制が変わってくれば、どういうふうな形で日本が金を取得するか、そのときの取りきめによるわけでありまして、いま予断はできないわけですが、この時点でもし買おうとすると、各国の中央銀行、特にアメリカの連銀とか、あるいはIMFとか、こういうことになるわけなんです。しかし、いまの取りきめが変わってきて、どういうふうにするかというようなことになりますれば、そのときの状況によって随時買い出動をするということになります。
  76. 松井誠

    松井誠君 そういうことで、いわばドルと一蓮托生の形に日本がますますなっておる。それを脱却しようとする努力はせずに、むしろ弱いドルに依存するという体制、それは少しもくずすまい、くずすことによって自分自身の足元がくずれるというそういう立場から、ドルからの自立という道をなかなか歩こうとしない。私は基本的にそういうことに不満なわけであります。  先ほどの提案理由の説明のところにもう一ぺん戻りますが、SDRの必要の問題として、金の問題と、もう一つ、例の流動性ジレンマということを持ち出して、ドル不足しておる、全体として国際的流動性不足だから増強しなきゃならぬというのがSDRの合理化の合理づける理由になっておるわけでありますけれども、先ほどもちょっと言いましたが、国際流動性不足をしているのか不足をしていないのか、そういう判断の基準は一体どこにあるのですか。
  77. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、世界経済が拡大しておる、それに対して流動性が連動して増加するという体制にないこと、これが流動性不足の問題の主軸だと思います。思いますが、同時に、各国とも、先ほど申し上げたように、その国の経済をなだらかに発展させるというためには、やはり国際収支の天井を高くしておく必要がある。そういうようなことを考えまするときに、また、人類の英知なんていう話がありますが、一つ考案された構想というものがこのSDRなんです。これが万能薬であるというふうには考えませんけれども、しかし、みんなが協力してやっていこうという方法が開発されたわけでありますから、これに乗って世界の繁栄というものは一段と強化されるであろう、こういうふうに見ておるので、非常におもしろいいい制度だ、こういう感じです。
  78. 松井誠

    松井誠君 流動性不足かどうかという問題は、見方によればむしろドルは過剰なんです。取引通貨としてのドル以外にたくさんのドルを持っておるそういう西欧諸国から見れば、ドルはむしろ過剰なんだ、そういう考え方が一方にある。  もう一つは、先ほどちょっと言いましたように、BISの年次報告かなんかに、現在流動性不足はない、そういう見解もある。流動性不足論はもっぱらSDR発動を願うアメリカのPR、アメリカ政策宣伝、それに乗っておるというように私は考えざるを得ないのでありますけれども、一体流動性不足かどうかという基準ですね。なるほど、総貿易量がふえてきておる。しかし、総準備がそれと同じ比率でふえなきゃならぬという理屈はもちろんないので、貿易総量と総準備との比率について、比率は書いてありませんでしたけれども、専門調査室か何かの資料には、一応貿易量と総準備との額が並べてありますが、私のちょっと見たところでは、この表にはありませんけれども、一九一三年、ずいぶん古いのですが、そのころは貿易量に対する流動性の比率というものが二〇何%しかない。最近は、年にもよりましょうけれども、一九六二年でしたか四〇何%になっておる。しかし、たった二〇%しか流動性の比率がなかったときの世界の貿易はむしろスムーズだったというような資料もあるわけであります。だから、貿易の総量と流動性との比率は一体どの辺が適正なのかという何か基準の判断、根拠がありますか。
  79. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) それは必ずしもきまった基準というものはもちろんないわけでありますが、おっしゃるように、貿易量が伸び、かりに過去十数年で八%といたしますと、金外貨その他外貨準備としての国際流動性の増加は二・四とか二・五とかという程度のパーセントの伸びでございますので、わが国でもたびたび感じましたように、国際収支の天井というものを感じるわけでございます。したがいまして、これをどの程度に伸ばしたらよいかということは、これは結局SDRの創出量とも関係するわけでございまして、これをこれから議論するわけでございますが、その議論いたします時点におきまして、主要国、ことに主軸通貨を提供しているアメリカとかイギリスとかというような国の国際収支状況あるいは推移というものをにらみ合わせまして創出量を決定するということになるかと思います。
  80. 松井誠

    松井誠君 むしろSDRが必要だという前提に流動性不足論があるわけでありますから、したがって、どれだけ不足かというめどがなしにSDRを根拠づけるということが私はおかしいと思うんですね。SDR発動してから、それでは一体適正量はどのくらいであろうかということをきめるのは、本末転倒といいますか、順序が逆であって、現在流動性不足しておるなら不足しておる、どのくらいの流動性不足しておる、あるいは多少長い将来にわたってどのくらい不足するであろう、そういうめどがあってはじめてSDRというものの合理づけができる。あなたの言うのは話が逆でありまして、まずSDR発動するという段階になって、それではどうしようということをきめる。具体的な数字としてはそうでしょうけれども、しかし大体のめどというものはあるわけじゃないですか。そういう意味で、流動性不足だと言われるけれども、一方では不足ではないという議論、これはヨーロッパを中心にしてあり、そうしてむしろドルが過剰なんだという議論もある。   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕 そういうことを考えると、流動性不足というものはそのままのむわけにはいかない。ですから、流動性不足だという具体的な根拠というものを聞きたいと思います。
  81. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 先ほど来から大臣もお答えになりましたように、これはまだ各国で議論されておるものではないわけでございますが、一つのきわめて試み的な意味での試算をしようということになりますと、先ほど来のたとえば国際流動性が毎年二・四%伸びておる、二・五%伸びておるというようなこと、それから目下そういう外貨準備つまり国際流動性の残高といたしますと、金も含めまして七百五十億ドルあるわけでございますから、かりに七百五十億ドルが二・五%ふえるということを計算いたしますと、大体二十億ドルになる、したがって、五年で百億ドルになるということ、これは単に一つの試算でございますけれども、そういったものはこれから議論いたしますときに当然頭の中にあっていい一つめどではないかというふうに私たちは思っております。
  82. 松井誠

    松井誠君 先ほど、大臣は、シドニーアメリカケネディ長官に会って、二十億ドルでは少ない、五年間に百億ドルでは少ない、私も実はそういう感じを持っておるということを言われた。そういうように、一体流動性はどのくらい必要なのかということについては、確たる基準というものはなんにもないわけです。大臣はいみじくも言われましたけれども、うんとSDRを大量に創出することによって通貨不安に対する心理的な効果をねらっておる、そういうことを言われたわけでありますが、そのこと自体があらわしているように、流動性不足というのは何かもうきまった原則があって、まずそれが不動の原則であるというように私たち考えない。いま、大臣は、あれですか、いまの試算としての年約二十億ドルというようなのを流動性増強の一応のめどとして考えているのですか。
  83. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだ、これは、日本流に言いますと事務的検討の段階です。これは、おそらく、IMF総会の前あたりになりますと、相当事務当局間で詰めた議論が行なわれる。その結果、また各国責任者の会談というようなことにもなるだろうと思います。そこで結論が出てくる、こういうことです。それで、百億ドルとか、あるいは二百億ドルとか、このあいだケネディ長官との間でそういう数字にわたっての話としては出ておりません。おりませんが、ケネディ長官は、当然SDRが出るということになりますれば、初めにわりあいに大きく出たほうが効果的ではあるまいかと、こういうような意見を述べておったわけであります。しかし、これは、いずれにしても、主要国が寄って相談をしてどうするかということがきまってくると思います。
  84. 松井誠

    松井誠君 流動性というのは結局決済に使われるわけですから、非常に極端な場合を考えて各国国際収支均衡しておれば、流動性というものはほとんど必要ない。国際収支のブレが非常に大きくて、うんと赤字になったりうんと黒字になったりするというそういう国が多ければ、流動性というものは必要になってくる。そういう意味で、世界の貿易の状態、それで各国国際収支状況、そういうものによってむしろ流動性の適正量、必要量というものがきまってくるわけです。ですから、いま初めから流動性不足だという前提で議論をするのはむしろ本末転倒で、いまの通貨危機というものを一体どうしたらなくすことができるのか、アメリカ赤字というものをどうしたらなくすことができるのか、貿易の均衡というものはどうしたら回復することができるのかという、そこがまずほんとうは焦点にならなければならないのに、それがむしろぼやかされて流動性増強という問題に取っ組むとすれば、結局、西欧諸国が心配をしておるように、アメリカ赤字SDRでしりぬぐいをする、SDRで西欧通貨を引っ張り出してそれによってアメリカドル赤字のしりぬぐいをする。あるいは、アメリカが、金の拠出をふやさないでIMFの増資というものをしたいと思ったけれども、それができない。しかし、この方法によれば、いわば自分のところの金をなくさないで、しかも西欧の通貨を引っ張り出して赤字を埋めることができる。そういうように、アメリカのいわば赤字対策、そういう意味での通貨対策、そういう面としてのSDRの性格というものがほんとうの姿ではないかと思うのですが、いまいろいろと流動性不足の問題について聞きましたけれども、きわめて根拠ははっきりしないと思う。いま、貿易量がふえるに従って、あるいは多少流動性がふえるということは必要かもしれませんけれども、しかしもちろん並行的な関係にあるわけではないし、そういうことで、SDRが一体なぜ必要なのか、そういう新しい準備資産が一体なぜ必要なのか。これは、国際収支均衡ができれば、あるいはいままでのスワップなり一般借り入れ協定なりというようなもので、その信用の増大によってまかなえないものであろうか。そういうことを考えると、どうしても疑問にならざるを得ないのであります。  この流動性不足にからんで、提案理由で、流動性のジレンマというのが言われております。この流動性のジレンマというのも私はどうもすっと入ってこない。ちょっと聞きますというと、なるほどごもっとものように聞こえるんですけれども、しかし、アメリカ赤字を続けたからすぐそれで通貨不安が起こったわけではなくて、通貨不安というのは、アメリカの金準備をこえた対外的な流動性不足、そういうものの状況になったときにはじめてドル不安というものが出てきた。そこで、そのジレンマというものが問題にのぼってきたわけですけれども、しかし、赤字がそういう線にまでいかない間は、ドルを散布して、それによって世界ドルがふえても、それで通貨不安は起こらなかった。だから、ドルを散布すれば何か通貨不安が起きる、だからというジレンマ論は、そのままいただけないような気がするのですけれども、その点はどうですか。
  85. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 松井さんは私ども考え方を誤解されているというか、はっきり御了承願っておらぬかと思うのですが、SDRのほうはこれはもう五年前から始まっている議論なんです。どうも流動性不足している、しかも後進国を育てなきゃならぬ、どんどんと世界経済全体とすると進んでいくだろう、これはなんとかして新流動性を創出しなければならぬ、こういうことから発展をしてきておるのです。いまお話しの国際通貨不安、これはこの問題とはまた別に起こっているわけなんですね。あるいはポンドの問題、あるいはフランの問題、これはそういう先進国の問の国際収支の問題から起こってきておるわけであります。この問題の解決は、SDRとは別に考えられなければならぬ問題である。つまり、たまたまSDRという問題が、国際通貨不安の問題、当面する問題と一緒のときに出てきておる、こういうので、SDRができれば、これは当面する国際通貨不安の問題に裨益するところがあろうとは考えます。しかし、それはそれでそうであっても、SDRがいまの国際通貨不安を解決しようということで考えられた構想ではないんです。これはもう少し長い目の世界発展のための構想である。こういうのです。少しもだから恒久対策と当面の問題とはこんがらかっているというわけではないので、はっきりとこの点は発想されたいきさつから別問題である、こういう私どもは理解に立っておるわけです。
  86. 松井誠

    松井誠君 そこのところがちょっと大事な問題だと思うんですけれども、たとえば学者なんかが流動性ジレンマなんかを言い出したというんですが、そのころにはあるいは通貨危機というものは現実の問題としては出ていなかった。しかし、IMFなりアメリカ当局が真剣にそれを考えるようになったのは、まさに国際通貨危機と機を一にしておるのではないですか。一九五八年に西欧諸国の通貨の交換性が回復する、そのときからアメリカの金の流出が始まる。そのころから真剣にこの流動性増強の問題が考えられる。やはり通貨危機の問題と並行してこの問題が論じられている。これは歴史的な事実としてそうじゃないんですか。
  87. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、大蔵大臣としてIMF総会に二回出席しております。二回ともですが、議論の焦点は、後進国開発を一体どうするかという問題と、国際流動性の問題をどういうふうにやっていくかということです。もうすでにそのときかなりのところまで議論は煮詰められてきておった状態でございますが、いま、国際通貨不安というものは一体何だと、こう言えば、これはもうポンドの問題、またフランの問題であり、それから逆の立場においてのマルクの問題である、こういうようなところなんです。性格が違うんです。しかし、だからといってこの流動性が全然関係ないかというと、そうじゃない。これはでき得ますればこれらの問題の解決にも何がしかの影響はあるだろう、こういうふうに思いますが、おい立ちが違う、全く別のものをねらっておる、こういうことなんで、その辺ははっきりと御理解いただけるんじゃないか、さように考えております。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。ちょっとその点重要ですから、実は私もこの次に質問いたしますから、長い質問はいたしませんが、それは、なるほど、大蔵大臣が言うように、また松井さんも言われたように、経過を見ますと、エマージェンシーのときの準備として始まったんでしょう。アメリカ国際収支改善されるといわゆる流動性不足が生ずるということがたてまえだったんですよね、そうだったんですよ、最初。ところが、さっき大蔵大臣が説明されたように、アメリカの金保有が百億ドル割るような状況になってきたというわけでしょう。なるべくこれを割らないようにしたいというのが一つの目的で、いまゴールドトランシュを除くと百億ドルを割っているんじゃないかと思うんですよ。あるいはまた、七カ国はそれはアメリカの金を引き出さないことを約束しましたが、今度はアラビアとかああいうところが金兌換を要求したら、これは拒否できないと思うんですよ。そういうところのドル保有というものが最近相当多くなってきておるといわれておりますね。そこで、アメリカ保有金百億ドルを何とかして維持したいということがいわゆるSDR早期発動を求める一つ理由だということをさっき大蔵大臣は言われたんですよ。性格が変わってきちゃっていると思うんですよ、SDRの問題が最初考えられたときと。一九五八年に交換性が回復されてから、アメリカの金流失が、さっき松井さんが言われたように、あのころはやはり緊急ということがいわれて、エマージェンシーということがいわれて、そのときの構想と、最近アメリカが非常に発動を急いでいるSDRというものと、だいぶ性格が変わってきちゃっていると思うんですよ。そこが何かごっちゃにされて、別問題と言われたのですけれども、その歴史的経過からいえば、当初から違うことはそうでしょうけれども、別問題に見えるかもしれぬが、いま当面問題になっているのは、アメリカドルの金準備を維持するための一つの方策になっている、そう理解すべきじゃないかと思うのですがね。そうでないと、どうも私はおかしいと思うんです。その点はどうですか。
  89. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカのためだ、アメリカのためだ、アメリカの利益のためにアメリカが一生懸命やっている、こういうふうにおっしゃいますが、私は、それは、まあ語弊がありますが、非常に片寄った見方じゃないかと思うんです。アメリカは、私率直に言いますとそうじゃない。アメリカ自体からいえば、アメリカは金を百億ドル保有しておる。アメリカ自身が別にドル体制ではびくともする状態じゃない。しかし、アメリカドルというものがいま世界的な役割りをしておるのです。そのドルもなかなか供給しがたいような状態に目下なっておるという世界の立場を考えまするときに、何か考えなきゃならぬじゃないか、アメリカの立場にも限度がある、新しい手段が必要である、こういう世界経済的な立場からアメリカもその問題に非常に真剣である、こういうふうに考えておるのです。決して私はアメリカが自己を守り、自分の立場から発言をするという性格のものじゃない、そういうふうに考えておるのであります。これは、ヨーロッパで、ことにフランスあたりでは、この問題の考え方に異見があった。異見というのは違った考えですね、異見があったんです。あったんですが、私が承知している限りにおいては、だんだんとやはり同じような考え方に傾きつつある、こういうふうに聞いておるのであります。いま、世界は、後進国開発という大きな問題に当面いたしておるわけですが、そうなりまするときに、流動性不足だということは、世界後進国を含めての発展のために非常に阻害がある、何とかひとつこれを打開しようじゃないか、通貨面の障害を克服しようじゃないかという協力体制、これがこのSDRを生み出したものである。世界に影響力を持っておるアメリカがこの問題に熱心になることは当然である。当然であるけれども、しかし、それがアメリカの立場だけから来ておる問題じゃない、こういうふうに確信をいたしております。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、それはあまりにアメリカサイド的なものの見方だと思うんです。ぼくはアメリカだけを云々しているんじゃなくて、たとえは国際通貨——さっき大蔵大臣も言われましたが、アメリカでいま総需要抑制策を一生懸命とっているといいますが、それについては、やはり通貨不安の大きな原因としてベトナム戦争というものをあげていましたね。アメリカの基軸通貨国としてのいわゆるビヘービアの問題ということを言いますね、よく。やはりそこに問題があったわけなんですよ。アメリカを責めるのは当然なんですよ。アメリカがああいう乱費をすることによって、アメリカドル危機に大きな影響を与えたわけなんですよ。アメリカのビヘービアを問題にしないでいまこのSDRの問題を問題にしているというのは、全く意味がないと思う。今後アメリカなりイギリスなり基軸通貨国のビヘービアが非常に問題だと思うんです。それが今度かりにできても、発動の場合にその条件になりますね。ですから、さっきも大蔵大臣が最初言われていることと、それからアメリカだけの問題じゃないと言いますけれども、それはアメリカにこういう問題を起こした大きな責任があるんですよ。だから、アメリカがみずからの努力によってこの問題を処理する努力がどの程度か、誠意が。また、そうなったときの国際収支ほんとう改善されてくるときにドル不足の問題が起こるんですよ。今後の問題ですよね。さっき松井さんが言ったように、ドブレが言っているように過剰ですよ。過剰だからインフレになったのでしょう、世界的に。むしろ過剰が通貨不安の原因なんで、いま何も流動性不足じゃないんですよ。アメリカ国際収支赤字になって過剰になっているんですよ。このアメリカ国際収支改善されたときに問題になるんですよ。そうでしょう。そこのところが何だかごっちゃになって議論されているけれども、いま何だか不足のようにもされているが、一応そこをはっきりされないと、いま不足じゃない、そういう議論もあるからというのじゃなくて、実際不足じゃないんですからね。過剰ですよ、むしろ。だから、今後はアメリカ国際収支改善されたときにドル不足になるんですね。そのときにどうするかという問題が本格的な流動性の問題じゃないかと思うんですよ。その点はどうなんですか。
  91. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 流動性が過剰であるという説は、これは国際的にきわめて少数説であります。私は、フランスあたりがこの問題についての違った意見を出しておりますが、これは経済問題もさることながら、一つは政治的な問題が伏在しておったと、こういうふうに見ております。つまり、これは、ヨーロッパにおけるアメリカの地位というものに対するドゴール大統領の反発的な気持ち、そういうものが大きく作用しておると思うんです。しかし、そういう政治体制も、新しいニクソン政権の出現以来だいぶ変わってきておる、こういうように見ております。また、フランス国内事情、これも変わってきておる。金保有高もいま四十億ドルだと、こういうところまで来ておるわけです。そういうところから見まして、この問題に対するフランス考え方は、逐次弾力的な方向に動いておるのじゃあるまいか、また、そういう方向に動くんじゃないか、そういうふうに見守っています。とにかく、国際社会における圧倒的大多数の意見は、流動性不足である、こういうことであることをひとつとくと御承知を願いたいと思います。
  92. 松井誠

    松井誠君 いま木村さんからアメリカサイドという話が出ましたけれども、そのアメリカが、現在のドル危機というのはお前らのためにドルをまいてやったからなんだといって、赤字の合理化をする、いわば恩着せがましく言っておるわけですね。亡くなったケネディも、アメリカ国際収支赤字の解消を一夜にしてやろうと思えばデフレ政策をとればいいというようなことを言って、それをとらないのは世界のためにドルをまく義務が世界の憲兵や世界の警察としてのアメリカにあるんだと言わんばかりの言い方をしておったけれどもアメリカが一夜にしてデフレ政策をとっていけるというような体質に現在なっておるのかどうかですね。ちょっと前の新聞ですけれどもアメリカがABMの採用に踏み切った、これはそのころからいわれておったんですけれども、この背後にはABMの関係の企業の圧力もあったというようなことをいわれておったのですが、最近の新聞によると、アメリカのいわゆる産軍体制ですね、産業と軍事とのいわば結びつき、それの非常な強化をされて、それでマッカーシーという議員の分析でありますけれどもアメリカの労働者の二一%がそういう軍事関係の仕事に携わっておる。それで、軍隊やそういう労働者の数を入れると、実に七百五十万という数が国防産業に関係があるということになりますと、一夜にしてデフレをしてなどという自分で自分の首を締めて頓死をするんならあれですけれども、しかし、そうでない限りは、いまアメリカのやっておるようなせいぜいインフレ克服の努力ぐらいのものであって、アメリカ赤字を出しておるのはおまえらの責任だということで何かわれわれ自身までがありがたがっているということはおかしいと思うんです。
  93. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 別にありがたがっておると申し上げておりませんです。しかし、アメリカがいま現に果たしている役割り、これはドルがとにかく国際通貨として使用されておる。このドルが健在であるということは、世界の繁栄のためからいっても不可欠な要件となっておる、このことだけは否定できないのじゃないか、事実は事実、こういうふうに考えます。
  94. 松井誠

    松井誠君 最後にもう一点だけ申し上げて終わりにしたいと思うのですけれども国際収支の天井が高くなって貿易に依存する日本としては利益がある、こういうふうにさっき大臣が強調されたそのこと自体は私は否定しようとは思わない。しかし、問題は経済的な次元だけで——そういう意味では私は目先のと言ってもいいと思うのですけれども、そういう次元だけでこの問題は解決されないのじゃないか。私の感じからいえば、やはりこれは戦後のIMF体制といわれるドル支配の体制、自国の通貨が準備通貨になり得るという、それを利用して野放図に赤字をふやしていく、そうして赤字をふやす過程でアメリカがインフレになり、そのインフレも、先ほどの木村さんの話じゃありませんけれども、国際的にも輸出をして、そうしてアメリカドルの減価というものがいま通貨不安の大きな原因になっておる。先ほどもちょっと言いましたように、ベトナム戦争というものを通貨的にささえたのはIMF体制だ。そういうものを考えますと、ドルにかわるものとしてのSDRじゃなくて、いわばドルを補うものとしてドル支配の延命策としてのSDR、そういう意味SDRの本質を考えるとすれば、日本はよくエコノミック・アニマルといわれますが、もっぱら経済的な自国の利益だけでこういう問題を考えていいのかどうか、基本的な疑問がある。その疑問だけを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  95. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この機会に資料を要求しておきたいのですが、それは世銀、開発協会の融資活動、これに対する資料ですが、それを地域別、国別、あるいは業種別、それから融資額、こういったことで資料を要求したいと思います。
  96. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 午後一時三十分に再開することといたしまして、休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      —————・—————    午後一時五十八分開会
  97. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 野上元

    ○野上元君 SDRといま直接関係ありませんが、あとでまたSDR問題については聞きたいと思っておりますが、まあ土台となるようなものになるかもしれませんので聞いておきたいと思いますが、まず最初に、インドネシアの援助について、昨日来たいへん新聞で報じられておるわけですが、この点についてお聞きしたいんですが、蔵相がシドニーに行かれて、途中インドネシアに寄られてスハルトとお会いになって、援助の問題について当然お話しになったと思うが、どういう点についてお話しになったのか、この点……。
  99. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) スハルト大統領とは一時間ばかり話をしましたが、アジアの政治、経済、社会、これらの一般情勢の問題について話をいたしましたので、個々の具体的な問題、特にいまお尋ねのインドネシア借款問題には一言も触れませんでした。
  100. 野上元

    ○野上元君 これも新聞に報ずるところによりますと、さきに東南アジア開発閣僚会議で愛知外相がバンコクでインドネシアの外相と会われて、本年度における援助額について大綱が決定した、こういうふうに言われておるのですが、蔵相と事前に何か打ち合わせがあるのですか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さようなことは聞いておりませんが、おそらくなかったと思います。インドネシアの援助問題につきましては、私は四月八日に日本を出発してシドニーに向かったわけですが、その前日インドネシア側のウィジョヨという企画庁長官が来日いたしまして、この問題を話し合いたい、こういうので、外務大臣経済企画庁長官、農林大臣、通産大臣とともにこれと接触いたしたわけであります。これが初めてだと思います。この接触におきまして大体の考え方につきまして意見の交換をし、まあ結論とすると意見の一致をみたわけでございます。それで、十四日、きのうでありますが、きのうからオランダで債権国会議が行なわれまして、わが国から外務省から森審議官が代表として出席をいたしております。この森審議官に与える訓令ですね、これをわが国としてはきめたわけであります。その大体の内容もインンドネシアのウイジョヨ企画庁長官に伝えた。それによりますると、BE援助、これを去年の六千五百万ドルより一千万ドル減らしまして五千五百万ドルとする、それからプロジェクト援助一千万ドル、それからケネディラウンド、つまり食糧援助を中心とする援助、これを一千万ドル、合計七千五百万ドルということなんであります。去年は、これに相当する数字が八千万ドルであります。去年は、八千万ドルときめまして、そのほかに適当なプロジェクトが将来発見されればというのでまあ三千万ドルということを言われております。その三千万ドルを加えますと一億一千万ドル、こういうことに相なるわけでありまするが、国会の御承認というか予算として御審議願った額に相当するものは八千万ドルだったわけです。ことしは、それに相当する額が七千五百万ドルであります。ただ、去年、将来プロジェクトが出たら考えようかと言っておった三千万ドル、その中でことしプロジェクトが出そうな額が若干見られるのでありまして、適当なプロジェクトがありますればこれを資金化しようというのが、七千五百万ドルのほかに一千万ドル以内というふうに考えておるのであります。この点を出先代表はオランダの会議において申し上げておるはずであります。
  102. 野上元

    ○野上元君 新聞に報ずるところによると、総額五億ドルのうち、アメリカがある一部を持って、その残りを他の債権国が配分するということになると、日本の援助額というのは総額一億二千万ドルぐらいになるであるであろう。したがって、昨年も、支払いベースで八千万ドルですか、それからプロジェクト——約束ベースというのか、これで三千万ドル、合計一億一千万ドルの援助額を一応きめたということになると、ことしは、いま御説明のように、支払いベースで七千五百万ドル、あるいはプロジェクト一千万ドルということになると、合計八千五百万ドルということになって、だいぶ低いように思うんですが、その点はどうですか。
  103. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話しのような問題があるのです。つまり、債権国会議またIMFの専門家の判断では、五億ドルの外貨を必要とする、こういう結論が一応事務的に出ました。その中で、アメリカが一億四千万ドル食糧などの援助をする。それで、残りの三千六百万ドルを、アメリカ日本、その他の債権国で援助しようじゃないか。それで、その三分の一、一億二千万ドル日本に期待をする。事務ベースの大勢がそういう動き方をいたしておったわけであります。どうも一億二千万ドルという額を日本が値切るというようなことになりますると、五億ドル総体の計画が成り立たないという形勢もありますので、とにかく一億二千万ドルということが言えるような形で債権国会議に臨もうじゃないかということにいたしまして、そういう訓令をいたしておるわけなんです。そのうち、先ほど申し上げましたように、ことしの額は七千五百万ドルで、そのほかに将来適当なプロジェクト等がありますれば、一億二千万ドルと七千五百万ドルとの差額四千五百万ドルは、ひとつ考えようじゃないか。これは、何というか、そういう構想でありまして、ことしどうすると、こういう問題ではないのであります。
  104. 野上元

    ○野上元君 その大筋について、愛知・ウイジョヨ会談できまったというふうにわれわれ受け取っておるのですが、そういうところまではきめておらないのですか。あるいは、これをきめるのは、どの省がきめるのですか、大蔵省なんですか、外務省なんですか。
  105. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) バンコクにおける東南アジア開発閣僚会議では、そういう数字の話はインドネシアとの間に出なかった、こういうふうに私は承知しております。出たのは、先ほど申し上げましたように、話がインドネシアへ出発する前の日の七日です。六日の晩に向こうからウイジョヨという企画庁長官が来まして、そうして話が始まったわけですが、私どもがこれらの人にお目にかかったのは七日の夜です。これに先立ちまして、外務、大蔵、企画、農林、通産の五閣僚が集まりまして、そしてインドネシア側といかなる接触をすべきかという基本方針をきめた。その基本方針をきめたところに従いまして、外務、大蔵、企画、三大臣がウイジョヨ長官に会って話を煮詰めた、こういうことになっております。
  106. 野上元

    ○野上元君 それで、昨年の八千万ドルの援助額のうち、実際に昨年援助した額は五千七百万ドルである、こういうふうにいわれていますね。あとまだ二千三百万ドルは実際には残っておる、こういうことになっていますが、これはどういう理由でそういうふうになっておるわけですか。
  107. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのうち、六千五百万ドルというのがBE援助ですね。このBE援助は貿易商品の援助なものですから、割合に簡単に動く。これは大半こなしたわけです。その他のKR援助でありますとかあるいはプロジェクト援助は、これはプロジェクトができないとかそういう都合がありましてなかなか進まない。そこで、五千七百万ドルは、ほとんどがBE援助であります。おそらくことしの新しい援助がオランダのいまやっておる会議できまると思いますが、その実行もなかなかことし現金化するという部分はきまったような額にはいくまいと、こういうふうに考えております。
  108. 野上元

    ○野上元君 としますと、八千万ドルから五千七百万ドル引いた二千三百万ドルは現実には支払われなかったということになるわけですね。
  109. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうです。
  110. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、七千五百万ドルの本年度における構想の中にこの二千三百万ドルというのはすべり込んでくるんですか。
  111. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは別です。多少その二千三百万ドルのものがことしの支払いとなって出てくるものがあるだろうと思いますが、そうたくさんの額じゃあるまいと。それからことしのものがまた来年にずれるというものも出てくるわけであります。それで、三大臣でウイジョヨ長官に申し上げたんですが、ことしは七千五百万ドルですよと。それから一千万ドル——去年話題になったもの、これがプロジェクトができそうだという話であるが、もしできればそれもやりましょうよと。やりましょうが、それができるという前提をとっても合計八千五百万ドルですよと。ですから、最大の支払い額の限度額は八千五百万ドルですよということを申し上げたわけなんです。しかし、実際問題とすると、それがまたずれると、こういう傾向を持つだろうかと思います。
  112. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、その未払い分の二千三百万ドルというやつはどうなるんですか。
  113. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは約束でありまするので、ことし中また来年以降に残ったものは税金化されると、かように考えております。
  114. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、二千三百万ドルというのはことしの約束であったけれども、実際には未支払いであったということになると、これは一応消えてしまう、そして来年度は来年度で七千五百万ドルというのは新しいまた約束をすると、こういうことになるわけですか。
  115. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうじゃないんです。去年の八千万ドルですね、この約束は消えていないんです。それで、残ったものは、ことし消化が一部されると思いますけれども、なお来年度以降においても消化されると、約束として残っておると、こういう性格です。
  116. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、七千五百万ドルことし支払うという約束をするとすれば、この二千三百万ドルは当然つけ加わって、九千八百万ドルという額になって支払われる可能性もあるということですか。そこまでは払ってよろしいということになるんですか。
  117. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 最高限、天井はそういうふうになるんですが、その七千五百万ドルそのものがなかなかそう簡単には払えない、押せ押せで行きますから。つまり、予算のようなもので、前年度からの繰り越しもありますが、また来年度への繰り越しもあると、こういう形に相なるわけであります。
  118. 野上元

    ○野上元君 もう一つのほうをお聞きしたいんですが、いわゆる三千万ドルの約束もあるわけですね。その場合、この約束のほうはどうなるんですか。昨年全然これは使っておらなかったんですが、消えるんですか。
  119. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは約束というほどのことではないのでありますが、しかし、いいプロジェクトがありますれば、また予算で御承認を得れば出しましょうという、こういうような性質のものであります。それで、去年は、三千万ドルがまるまる残っておるわけなんです。しかし、話を聞いてみますると、一千万ドル程度のものはプロジェクトができそうだというようなことを言っておるんですが、さて現実的にどういうふうになるであろうか、まだこれはわかりません。わかりませんが、そのプロジェクトにつきまして日イ両国において話が合いますれば、ことし具体化すると、そういうふうに考えております。
  120. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、ある年度においての約束したものはずっといつまでも生きておるというふうに理解してよろしいですか。
  121. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 約束したものは生きておると、かように御理解願います。
  122. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、ことし七千五百万ドルであって、それがまた五千万ドルしか使われなくて、二千五百万ドルは残ったと、それから軽い約束の一千万ドルのほうも残ったということで、三千五百万ドルは残ったわけです。そうしますと、去年残ったやっと合算してまた次年度においてそれだけの天井をつくっていくと、天井は青天井でどこまでも上がっていくという計算になるんですか、そういうふうに理解していいですか。
  123. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 青天井ではございませんが、しかし、約束したその実行未済の額は残っていくと、かような性質のものでございます。
  124. 野上元

    ○野上元君 約束したというのは、その年度における約束じゃないんですか、それはいつまでコミットするんですか将来。
  125. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ちょうど予算みたいなもので、予算をことし四十四年度に御承認を得る、このようにいたしましても、使い切れないものは翌年度において繰り越し使用をします。そういう性質のものでございます。
  126. 野上元

    ○野上元君 しかし、それは逆に言えば、約束額が適当ではないということになるんじゃないですか、そういうふうに毎年毎年多額の未払い分が残っていくということは。
  127. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあまだ新興国家であり、なかなか物事がわが国のようなてきぱきした動き方をしておりません。したがいまして、計画ができてそのとおりぴしっぴしっといくかというと、そうでなしに、また、計画ができましても、わが国との間の調整というものがあり、これにかなりの時間がかかる、こういうようなことでどうしてもおくれがちになる、そういうことであります。
  128. 野上元

    ○野上元君 これにあまり時間をかけたくないと思っておりますが、このインドネシアの援助について特徴的なことは、債権国が集まって援助を考えているわけですね。ということは、対インドネシアにこれらの債権国は債権を持っているわけですね。あるいはこげつき債権もあるし。それを取り戻すための一つの呼び水ということをこの援助として考えておるのですか。
  129. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうような意味合いも多少はありますが、インドネシアに対する債権国は、特にインドネシアにいずれもが関心を持ってきた国であります。その関心を持ってきた国々が集まって、今後のインドネシア再建を助けようじゃないか、こういうことになってきて債権国会議が新規借款を扱うというふうになってきておるわけでありますが、お話しのように停滞している債権の確保をしようという意味もまた同時にある、こういう両面の性格を持っているわけであります。
  130. 野上元

    ○野上元君 これはミイラ取りがミイラになる心配はないのかどうか一応聞いておきたいと思うのですが、その前に、債権の総額ですね、債権国の対インドネシアの債権総額、それから日本の債権の総額というものを教えていただけませんか。
  131. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 私の記憶に間違いがございませんでしたらあれでございますが、自由諸国の合計はたしか約十二億ドル、それから共産圏が大体同じ程度か少し上回っておったか十三億ドル程度、合計二十五億ドル程度がインドネシアの債務、各国の債権というふうに記憶いたしております。
  132. 野上元

    ○野上元君 日本のやつは……。
  133. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 日本は二億ドル弱でございます。
  134. 野上元

    ○野上元君 わかりました。それで、日本がその債権を取り戻すためにどんどん援助を与えるという一つの方法ということはわかりますが、しかし、実際問題としてその債権が返らないでますますどろ沼に入っていく悪循環の可能性はないのかどうか、その点はどうですか。
  135. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) とにかく、インドネシアは、アジアの大国ですね。人口一億五百万もおる。資源については、未開発という程度におきましては世界でも最も重要な国になっておるわけであります。その国が不安定である、こういうことではアジアの安定に大きな妨げになる、ひいては世界の安定のためにも障害になる、こういうようなことで、世界、特にアジアの安定という見地から、債権国のみなら、ず、各国ともインドネシアの再建というものには関心を持っておるわけなんです。いま、スハルト政権が、ことしから五カ年計画をもって、資源の基礎的な開発をしよう、まず農業開発に力を入れ、食糧の自給度を高めていこうという考え方を打ち出しておるわけなんですが、とにかく非常な勢いで、新興国家にほんとうにふさわしい大奮闘をしておるわけなんです。私は、スミトロという経済閣僚のリーダーですが、この方に会いましたが、この方が私をインドネシアを訪問した日、日曜日に——おとといてすな、おととい案内してくれたんですが、着任以来初めての日曜日です、大蔵省へ行かないのはきょうが初めてなんです、こう言っておりましたが、そのくらい一生懸命やっておる。スハルト大統領もこの一、二年が勝負どころですと非常な自信を持ち、また、努力の決意を固めておりましたが、私どもは、そういうようなところから見て、アジアでは大国であるにかかわらず貧しいインドネシア、このインドネシアの前途には他の国に比べて比較にならないほどの困難があるとは考えますが、あの勢いだと必ず再建をやり抜くのじゃないか、こういうような感じを受けて帰りました。関係各国いずれもが何とかしてインドネシアを再建安定させなきゃならぬという非常な熱意で協力いたしますので、おそらく再建ができるのじゃないか、そういうふうに見ておるわけであります。
  136. 野上元

    ○野上元君 これは前からも論ぜられたところで、インドネシアの援助については国会でもしばしば議論されたところだと思うんです。また、国民的な立場から見ても、なぜインドネシアにだけそんなに多額な援助をやっていかなきゃならぬのか。しかも、約束はしても、実際にはそれだけ支払っておらないんじゃないかというような問題もあるし、ややもすれば不安な状態の心配があるので、その点を私は代弁して、対インドネシア援助計画についてはひとつ疑惑のないようにぜひ慎重にやっていただきたいということを要望して、この問題はこれで打ち切りたいと思います。  その次に、先般の参議院の予算委員会で、福田蔵相は、今後五年間くらいは実質一〇%ぐらいの経済成長は可能である、こういうふうに述べられております。それはいまでもそうお考えでしょうか。また、どういう根拠でこういうことを発言されたのですか。
  137. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 過去三年間の経済状況を見てみますると、実質で一二ないし一三%の成長発展をしておるわけなんです。この勢いは、国際情勢で重大なる変化がなければこれは続いていく傾向にある、こういうふうに見ておるのです。ところが、わが国のあるべき経済成長の姿とすると、この一二ないし一三%という高さは高きに過ぎる。これは、いろいろな不均衡の是正でありますとか、あるいは公害の対策でありますとか、そういうものが追いつかない傾向があるから、なるべく低目にする努力をしなきゃならぬ、そういうふうに考えております。しかし、それにいたしましても、数年前のような七、八%という成長、これも国際的には高い成長でありまするけれども、この程度に押え込むことはなかなか困難じゃあるまいか。そう押え切るわけにはいかない。そこで、まあその中間辺、大体一〇%、その辺の成長ということが、近い将来、つまり五年間ぐらいの間の目標というようなことに落ち着くことになるのじゃないか。もとより、今後の五カ年計画については、もう少し長期計画として精細に検討はいたしますけれども、政治家としての勘とすると、まあその辺をにらまなきゃならぬかなあ、こういうふうに考えておる、その点を羽生さんに率直に申し上げたのですが、いまでもその感触は変わらないのであります。
  138. 野上元

    ○野上元君 私は、過去の福田さんの言動をとやかく言うわけじゃありません。ただ、かつて昭和三十六年に所得倍増計画が発表されて、いわゆる高度経済成長政策がスタートを切ったわけですが、そのときに、福田蔵相は、いわゆる安定成長論者だったわけですね。そのときには、七・二%ですよ、逆算すると。七・二%の成長で大体十年で倍増だ、こういうふうな計算だった。それでもなおかつ高い、必ずひずみが出てくるということを再三言われておった。当時のことを考えてみると、実に隔世の感がある、私流に言いますと。七・二%でも高過ぎる、高度経済成長はだめだというのを、一〇%というと、超高度経済成長政策ですが、それに踏み切られたというなにはどうなんですか。過去の勘が誤っておったのか、あるいは、日本経済の規模が変わったから、何といいますか、デフレートの反対をやれば七・二%が一〇%になるというふうな計算から来ているのですか、単なるエコノミック・アニマルとしての勘なんですか、その点はどうですか。
  139. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは昭和三十四年に参議院の選挙があったわけです。この参議院の選挙のとき、私は自由民主党の幹事長をしておった。大蔵大臣は佐藤総理なんです。そのときに、佐藤総理は全国を遊説しており、私は本部でがんばっておる。しかし、この選挙を済んだあとで一体経済政策をどういうふうにやっていくかということについて、構想を明らかにする、そういう段階に迫られておったわけです。そのとき、所得倍増ということを私が言い出した。その高さは大体七・二だ。それは池田さんが言われたのじゃないんです。七・二というのは私が言った。七・二、十カ年で倍増ということを打ち出したわけでありまするが、その後今度は池田さんにかわられまして、七・二では低過ぎる、こういうことを言われまして、これを大幅に上げる計画を立てられたわけなんです。それから理論構成が私と少し違うのです。そういうような点から、そういう考え方にはどうも問題があるぞということを申し上げたわけでございますが、その後の経済の動きというものを見ておりますと、とにかく日本経済のエネルギーは非常に強い。これをその当時七%、そういうところに押し込むことはとうてい不可能であろう、こういうふうに思いますので、今日では、一二、三%はとても高過ぎるが、もう少し押えるにしても七、八%まではなかなか困難ではないか、そういうふうに申し上げたわけです。
  140. 野上元

    ○野上元君 池田さんの理論構成とあなたの理論構成と違うから反対したんだと言われるけれども、ことばじりをとらえるわけじゃないけれども、当時あなたが言われ出したとしても、七・二%の高度成長政策をやろうと。しかし、池田さんは、当時の実勢から見て七・二%じゃ低過ぎるというんだから、当時実質一二、三%いっていましたね、それで両三年は九%でいこうというふうなことを言われたのですね。その九%がきまって実は高度成長政策はスタートしたわけです。それに対してあなたが非難されたわけです。ということになると、ちょうどいまのあなたのやり方と同じなんだな、あなたのやり方を見ていますと。いま一二%だから、一二%はちょっと高過ぎる、したがって、一〇%ぐらいがいいだろうというのは、当時の池田理論と同じようなんですな。それで、あなたの言われるように、そんなことをやっておったらひずみが出て、国際収支バランスを失するということを言われておったのですが、ある程度物価という問題についてひずみが出てきたですね。あるいは、所得の格差、二重構造というようなものが出てきたということになると、あなたもまたその池田の轍を踏んでいるんじゃないかというふうな気がしますが、勘だけで大丈夫ですか、一〇%。
  141. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、そのとき言っておりましたのは、物価と国際収支、これが安定する、こういう程度の高さのものでなければならぬということなんです。成長の高さにとらわれておったわけじゃない。物価と国際収支、まず基本的にはですね。それからもう一つは、国内消費を奨励する、つまり消費美徳論、こういうことが言われましたが、そういう考え方はいかぬという考え方、そういうことで、まあ何と申しますか、ことばが熟さないかもしれませんけれども日本はいま建設途上なんだ、臥薪嘗胆だ、こういう気持ちでの成長政策、これこそが必要なんだと、こういうふうに申し上げたわけです。  それで、物価と国際収支の問題をとらえてみますると、当時、三十六年から七年、八年と六%台の物価騰貴になったわけです。それまではずっと安定しておった。それから国際収支の面も、非常な赤字々々で、それを借金でまかなったわけです。おそらく外貨保有高はそう減りませんでしたが、借金が相当累積をいたしたわけであります。今日というかこの三、四年間をとってみますと、物価は四十一年、四十二年と続いて四%ちょっとこえるというところに来ている。それから四十三年、去年はどうだということになると、いろいろのことが言われましたが、ぎりぎり四%台に落ちつく、こういうことになってきているわけであります。国際収支はどうだというと、とにかく三十二億ドルの外貨を保有するに至っておる。わが日本経済の抵抗力というものがそれだけふえた。そのふえたということを前提にして考える場合には、その成長の高さは、池田さんが言われた九・二%、これよりは多少上がることになるけれども、一〇%多少ぶつ込んで今年は九・八%ということを言っておりますが、その辺をねらってそう大きな狂いはないのじゃないか。つまり、わが国の経済をめぐる環境、条件というものが変化をしてきている、その変化に対する順応の態勢をとるべきである。こういうふうに考えております。
  142. 野上元

    ○野上元君 何といいますか、一〇%が、あなたが参議院で答弁をされてから非常に問題になっているわけですね。問題というよりも、一つの波紋を投げているわけですね。特に経済界あたりは、いわゆる高度経済成長政策が再び続けられるということになれば、いわゆる設備投資も刺激されるであろうということになれば、だんだんまた供給力が先行する経済になって、結局は国際収支が悪化するということになりはせんじゃろうかという心配をしておるのですが、そういう試算というものを当然裏打ちしなきゃなりませんね。五ケ年なら五カ年間、大蔵省は、一〇%経済成長の場合には、こういう国際収支である、こういう物価上昇である、るあいは資金の供給需要の関係はこういう状態である、消費の総量はどのくらいであるというような試算をしなければならぬと思いますが、それはできておるのですか。
  143. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは経済企画庁でまた長期計画のやり直しをやることになりますが、企画庁のほうで中心になって政府案をまとめます。しかし、大蔵省大蔵省でその政府案を作成するにあたって有力なる意見も申し述べなきゃならぬわけです。その申し述べるための資料ですね、これは整いつつあるわけであります。いろいろの前提によって結論はいろいろ変わりますけれども、十分にいろいろな条件の組み合わせを考えて、その組み合わせの場合にはこういうふうになっていくだろうという検討はいたしておる最中であります。
  144. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、この一〇%というものは、あなたの勘で言われたことであって、試算の結果うまくいかなければ変わるという可能性もあるわけですね。
  145. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私の政治家としての勘どころなんですがね。ですから、これが正確に検討して一体どうなりますか、また、政策意図をきめてどうすべきであるか、この辺によっては多少変化があろうかと思いますが、私はまあそう大きな変化はないのじゃないかという感じはしますがね。
  146. 野上元

    ○野上元君 一〇%に大蔵省としては合わさなければならぬのじゃないですか、大蔵大臣の発言を裏打ちするためにも。
  147. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そんなことはありません。私は国益を中心にいたしておりますから。
  148. 野上元

    ○野上元君 そこで、アメリカが、御承知のように、一九七〇年度の予算編成にあたっては、超均衡予算というようなものを打ち出しますね。これはSDRにつながる問題ですが、国際収支改善のためにいろいろの手を打っておりますね。公定歩合の引き上げであるとか、あるいは金準備率の引き上げであるとか、あるいはその他の輸入規制の問題であるとか、今度の緊縮財政であるとか、いろいろな手を打っておりますが、それは日本のあなたの経済成長政策に影響はありませんか。
  149. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ普通の状態でありますと、景気は循環をする傾向を持つわけですね。アメリカといえどもその傾向をまぬがれるわけにはいかぬだろうと思います。ジョンソン政権になってなかなか長い成長が続きましたが、その成長の間にもゆるやかながら循環というものが見られるわけであります。  そこで、これからアメリカの景気は一体どうなるか。ケネディ財務長官は、不況にはしたくない——リセッションということはを使っておりましたが、リセッションにはしたくない、しかしスローダウンをしなきゃならぬということを言っておりました。アメリカの評論家、経済財政通が見るところによると、ジョンソン政権のころは四・五ないし五・〇の成長をねらい、また、そういう推移を経てきた。おそらく、ニクソン政権になると、これが三・五%前後の成長というくらいに落ちるんじゃないか、こんなことを言う人、そういう見方が多うございますが、まさにケネディ財務長官のリセッションにはしない、しかしスローダウンをさせるという発言ですね、それと一致するような気持ちがします。問題は、そういう際にわが国にどういう影響があるか、つまり対輸米出にどういう影響があるかという問題であろうと思います。対米輸出は、四十三年度はたいへんな膨張をいたしたわけでありまするが、それがどういうふうに今後なっていきますかということがわが国の経済に対する最大の関心事である。わが国の経済が受ける影響はその点にあるわけなんですが、多少その伸びが減ったという程度でありますれば、日本経済の維持には一向差しつかえない。いままですと、外貨の天井が低いものですから、輸出が減ったというと、すぐ輸入の抑制をしなきゃならぬ、つまり引き締め政策をとらなきゃならぬ立場に置かれたわけでありまするが、いまや三十二億の外貨を保有し、しかもその外貨は数年前に比べると見違えるように内容が改善をされておるのです。でありまするので、かりに対米輸出が多少減ったといって、直ちにわが国が国内的に引き締め政策をとる必要はない、そういう形で成長を伸ばしていくことが可能である、こういうふうに考えます。むしろ、私は、今後五カ年ぐらいの間を考えると、一二、三%というような高い成長をどういうふうにしたら押え得るかということのほうがむずかしいんじゃあるまいか、そんな感じがいたしておるのであります。もし逆に成長が非常に鈍化して五、六%だなんていうことになりますれば、これは金融政策あるいは財政政策を通じて総需要の喚起をする、そして景気の動きに停滞という時期をなからしめたい。また、それが今日の外貨の事情から見ますれば可能である、こういうふうな見方をしております。
  150. 野上元

    ○野上元君 経済成長がかりに一二%で五年間続くとすれば、実際には国際収支状況はどういうふうになりますか、あなたの勘で言えば。
  151. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは世界情勢に非常に大きく左右されるのだと思います。去年は、一二%の成長をした。しかし、輸出はたいへんな伸びを示したわけです。しかも、一年間で十六億ドルという国際収支黒字を実現したわけであります。ですから、世界情勢つまり輸出環境さえよければ、一二%の成長でありましても、決してそのこと自体でびくともする必要はない。ただ、一二%という成長だと、物価対策は非常にむずかしくなります。また、公害対策だ、何だ、社会資本と民間資本とのアンバランスをどうするかというような、非常にむずかしい問題が出てくる。そういうことを考えまするときに、この一二%という成長、これは何とかして押えられるものなら押えたい、こういう気持ちでございます。
  152. 野上元

    ○野上元君 私はあなたの勘を否定するわけじゃないのですが、大蔵省が今度発表された史上最高の国際収支の四十三年度の黒字という発表がありましたね。これも、中身を読んでみると、経済自体では喜ばしいことでしょう。しかし、大蔵省のいわゆる勘から言うと、必ずしも喜ばしくないわけですね、読んでみると。大蔵省は、大体当初三億五千万ドル赤字になる予想であった。それが実際には十六億三千万ドル黒字になった。合計二十億からの誤差を生じている。こういうあなたのほうの勘なんですね。その勘だけに頼って一〇%の経済成長率でやっていくと、これはとんでもないことになるのじゃないかというような気もするわけですが、その辺をもう少し正確にあなたのほうは計算ができないものだろうか。これではあまりにひど過ぎるですよ。当初は三億五千万ドル赤字なんですから、予想は。そういう計算を立てた。ところが、実際には十六億三千万ドル黒字になった。日本経済はたいしたものだなんて言っているけれども、裏を返してみれば大蔵省は一体何を計算していたということになると思うんです。大蔵大臣の勘なんというのはたいしたことないじゃないか、こんなものを頼りにしていたら日本経済はどこへ行くかわからぬというようなことになる可能性がある。この辺はどうなんでしょうか、もう少し正確な数字は出ないですか。
  153. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 去年は世界じゅうが狂ったんです。おととしの暮ごろ、六八年の景気は一体どうなるだろうという観測がいろいろ行なわれたのですが、世界の専門家はもうほとんど一致して停滞の年だ、こういう見方でした。わが国におきましても、経済専門家はみな停滞の年だというらく印を押したんです。大蔵省においてもそういう見方をしたわけでございますが、通貨不安にもかかわらず、通商が非常に伸びた。通貨不安が、破局に到達しないで、なしくずしに持ちこたえられつつある、こういう現状でしょうか。これは、ほんとうに率直に言って、わが日本ばかりではない、世界じゅうの人が狂ったわけです。今年昭和四十四年の動きにつきましても、OECDなんか当初非常に悲観的な見方でありました。六八年は一〇%も貿易が伸びたというが、大体半分ぐらいになりそうだという見方をしておりましたが、最近また、最近までの動きを見ておって、そこまで落ち込むまい、多少の落ち込みはあるかもしれぬが六、七%程度の伸びを示すだろうというようなことを言っておりますが、とにかく世界情勢という大きな要因があるものですから、なかなか見通しといいましても、当たったためしがないというくらいむずかしいのであります。しかし、私は、世界情勢のいかん、これは大きな激動があれば格別ですけれども、多少の変動がありましても日本は成長政策をそう高いところを狙いさえしなければ続けていけると、こう思うのです。つまり、輸出が多少の不振になりましても、輸入は続け得る力を持っておる。そのうちには循環してこの不況時が過ぎてしまう。その不況時をつなぐことができるだけの力を持ってきたと、こういう見方を持っておる。したがって、この五カ年間ぐらいのところを展望をすると、かなりいい成長発展をするであろう、こういうふうに考えております。
  154. 野上元

    ○野上元君 確かに経済は生きているのですから、これを完全に把握するということは非常にむずかしい問題だということは私もよくわかります。わかりますが、たまたまこれは計算が輸出の超過によって狂ったんですね。だからこれでよかったわけです。しかし、これが逆に輸入の超過のほうで狂ったならば、たいへんなことになるでしょう。その点を私は心配しているわけですよ。ですから、ないとは言えないでしょう。輸入のほうで超過をする可能性がないとは言えないでしょう。今日のような自由貿易制度になってくると、そんなに輸入を規制するというわけにはいかないということになれば、結局、世界経済の動向によってむしろ今度ははなはだしく入超、予想外の入超というようなことになってきて、三十何億ドルといばっていても、一夜でなくなってしまうというようなことにもなりかねないので、私はもう少し正確な計算というものの上に立って財政金融政策というものができないものかどうかという点をまあ心配したので聞いたわけです。  と同時に、もう一つ心配になるのは、三月のころは、いわゆるかげり現象というものを非常に心配したんですね、各界が。日本経済にかげりが出てきたと。とにかく、在庫指数あるいは在庫率指数というようなものについてどうもおかしいというような経済かげり現象というものを非常に心配していたが、一カ月あけると、もう今日では、かげり現象解消、こういうふうに新聞に出ているんですね。これは大蔵省、日銀が一致して発表しているのですが、たった何十日かの間にそんなに日本経済というものは心配から楽観に変わるのですか。いまの計算と関係ないですか。これは政治的な発表ですか。
  155. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大蔵省では、かげり現象とは言っていないんです。三月ごろでもそうは言っていないです。かげり現象というのはどういうことかというと、言われるところのかげり現象は、過去三年間高度成長が続いたわけです。その推進力は設備投資であった。設備が三年もたつともう稼働する。それが供給力が需要をオーバーするような状態、つまりデフレギャップになっておるのじゃないか、なりつつあるのじゃないか、こういう議論なんです。まあそれは通産省あたりの筋から出ているのです。つまり、日本銀行がポジション指導、いわば金融引き締め政策をしておる。そうすると、産業界からの苦情が出るわけです。金融が潤沢にいかない、こういうことでありますから、まあ当然だろうと思います。そこで、通産省を中心としてかげり現象だというようなことが言われたようでございます。通産大臣に、あなたそういうふうに言っているのかといって聞いてみると、私はそうは言っていない、注意深くやっておるのでいま政策変更をする必要はないと、こういうふうに当時はっきり言っておりましたが、大蔵省がかげり現象になってそれがもう一カ月たったら消えたと、こういうようなことではないんです。  ただ、野上さんが指摘されるように、去年はとにかく二十億ドルの誤差があったわけですから、つまり二十億ドルの幅で危険性があるということも考えておかなきゃならぬ。そういうようなことで、私どもとしては、いま、財政金融の運営にあたっては、非常に慎重な態度をとっておるのです。ポジション指導もまだゆるめるというような考え方はいたしておりません。それから財政につきましても、もう新年度が始まったわけです。もし客観情勢が怪しければ、これは繰り延べの措置だとか繰り上げ措置だとかとらなければならぬ、あるいはとることがあるわけなんでありますが、一切もう常のごとくやっておる、そうして世界経済の動きに変調があるという際には機動的、弾力的にそういうかまえをとるというので、世界情勢の動き、それに伴う国内経済の動きというものをほんとうに注意深く注目をしておる、こういう姿勢で経済政策と取り組んでおるのであります。
  156. 野上元

    ○野上元君 大蔵省に林審議官という人がおられますが、この人の話によると、いわゆる景気、不景気の循環というものはもういまや日本経済には当てはまらなくなってきた、財政金融政策が適正であれば、長期安定均衡型の経済日本経済の体質は変わりつつある、こういうふうに言っておられますが、大蔵大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  157. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういう傾向にあると思うのです。つまり、三年間の好調が続いた。三年間の間に、かなり産業設備が拡大をされておるわけです。そうすると、供給力も多くなってきているわけです。それに対して需要が伴わぬというようなこと、それに対する一番の大きな要因をなすものは輸出なんでありますが、この輸出がふるわぬというようなことになる。そうすると、これはどうしてもデフレギャップというような事態を生じて不況になる。そういうようなことでございますが、しかし、いま国際情勢で非常に大きな変化がなくて、そうして輸出がしたがって激減をするというような事態がなければ、多少の輸出の減退がありましても、輸入はこれを常のごとく維持することができるであろう。輸入が維持できますれば、それをもとといたしまして従来のような設備投資もできます。また、輸出不振によって失われた需要、これを公債政策の運営等によりまして財政面から需要の補給をすることができる。そういうようなことで、日本国内の景気の流れというものは、これをそう変えないでやっていけるのじゃないか、そういうふうに思っているわけなんであります。林審議官がどういうことをどういう席で言ったか知りませんけれども、大体そういうことで言っておるのだとすれば、私も同感であります。
  158. 野上元

    ○野上元君 それで、景気の循環を避けて長期に安定均衡していくための何といいますかスタビライザーの役目を果たすものは、具体的には何ですか。
  159. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 景気が循環をするわが日本状態におきましては、一に国際収支なんです。景気が非常にいい、そうして設備投資が行なわれる、輸出も行なわれるということでございまするものですから、そのための輸入が自然に多くなる。そこで、国際収支赤字になる。ただ単に赤字になったんならいいのですが、二十億ドルという外貨保有でございますものですから、これがちょっと大幅に赤字になりますると、わが国の貿易の運転資金にもこと欠くような状態になり、IMFに泣き込む、アメリカに借款を申し入れる、こういうことはしばしばあったのでありますが、そのときはそれでつなぎましたが、これが大幅に出て来ますと、日本経済というものはほんとうに壁に突き当たってしまう。そうならしちやならぬというので、引き締め政策をとって、そうして国内需要が減って輸出が盛んになるように、また、輸入が抑制されるようにという政策をとるわけでありますが、いま国際収支の天井というものは一年前とまるきり違うような状態でありますので、そういう長期成長をささえる基本的姿勢というものは非常によくなっているのです。今後これをどういうふうにささえていくか、こういうことになりますると、この国際収支のいいという基盤に立ちまして、まあ果樹園の果実は財政と金融であります。もし、国際収支が、輸入が多い、輸出がふるわぬ、こういうような情勢でありますれば金融においては引き締め政策、また、財政においては支出の抑制、こういうことをやる。しかし逆に国内情勢がどうも活発でないという際には、国際収支の天井も高うございますから、輸出がかりに多少の不振でありましても、輸入を続けて、そして成長を維持することができやしないか、そういうふうに考えておるわけであります。
  160. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、日本経済が安定しておる、そして均衡がとれておるということは、そのバロメーターは、とにかく国際収支を見ておれば大体わかる。したがって、国際収支の適正化を実現するための財政金融政策というものが結びついて安定均衡につながっていく、こういうふうに考えて大体よろしいのですか。
  161. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 非常に大事なポイントはそこにあると思います。ほかにもいろいろあると思いますが、大事なことはそこです。次に大事なことは物価の問題であります。
  162. 野上元

    ○野上元君 そこで、私は、国際収支状況と外貨準備の問題について非常に疑問に思うのは、いわゆる天井が高ければそれだけ安定しておるということは言えますわね、一応。外貨準備が高ければ高いほど経済としては強いというふうに考えられますね、輸入が少しくらいふえても天井を少し低くしていけば大体均衡がとれるということですから。ところが、その外貨準備というものがどんな意義を持っているのか。フランスの危機を見て私は非常に不思議に思ったのですが、フランスは御承知のように七十億ドルぐらい持っておったのじゃないですか、あの危機が爆発したときに。そしてアメリカに対抗するぐらいの勢いフランスが強気になったとたんにああいう大きな危機に見舞われたということになると、いわゆる外貨準備というものと安定というものとの因果関係がないような気がするのだが、フランスの危機の場合はそれでは一体どういう原因があったのですか。
  163. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あれは私の見方からすると、ゼネストです。ゼネストが決定的にフランの経済を悪くした。まあいろいろな見方がありますが、フランスは実にあの短期間のゼネストによって五十億ドルの生産を失った、こういうふうにいわれております。これが外貨準備に回り回ってはね返ってくるのは当然ですね。それからそこへもってきてゼネストを収拾する——そんな五十億ドルも生産が失われるゼネストを続かしちゃいかぬ、これは当然ですからドゴール大統領もゼネストを早く収拾しなきゃならぬ。その収拾政策として、労働組合との間に一三%ないし一五%の賃上げということを約束したわけです。これじゃ消費者物価にも影響しよう、フランの前途にも影響しようという空気が出てきた。そこで、フランに見切りをつけて、これが国外へ逃亡する。特にマルクに殺到したわけです。ですから、生産の喪失とそれからフランの前途に対する危惧、これがフランスの外貨を喪失さした。六十八、九億ドルあったのですか、それがいま四十億ドルに減っておる、こういうことになっておるわけです。とにかく、そういう異常なことがありますれば、幾ら外貨を保有いたしましても足るということはないのでございますが、そういう異常なことがなければ、わが日本において三十二億ドルの外貨を持っておる。これはかっての日本から格段の強味を増していた、こういうふうに見ておるのです。
  164. 野上元

    ○野上元君 そのフランスが七十億ドルぐらいの外貨を持っておったときに、金の保有高というのはどれくらいだったんですか。
  165. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昨年の一月に六十九億ドルの外貨で、そしてそのうち金が五十二億ドルであります。ついででございますが、昨年の暮れになりますと、四十二億ドルの外貨でありまして、金のほうは三十八億ドルであります。
  166. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、六十九億ドルの外貨を持っておって、金の準備は五十二億ドルに相当するものを持っておった。こういうわけですか。いまは、それが、外貨が四十二億ドルに減り、金の準備は三十八億ドルに減った、こういうわけですか。
  167. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうです。
  168. 野上元

    ○野上元君 この状態を見ると、日本なんかに比べては非常に強い状態ですね。日本は、御承知のとおり、外貨は三十二億ドルもあるけれども、金の保有はわずか一割くらいです。ということになると、これは相当高い金の保有率ですね。にもかかわらず、フランがマルクに逃げていくということはどういうことでしょうかね。マルクは御承知のとおり兌換券ですね。フランは兌換券ではない。しかし、これだけ裏打ちがあれば、相当フランも強いと見ていいと思うのですが、この強い状態がマルクに逃げなければならん。日本の円はこのフランに比べれば非常に弱い状態にあるけれども、その点の心配はないですか。
  169. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはおそらく金(かね)を持っている人がフランの切り下げがあるのではないかと当時見たんじゃないかと思います。急激な経済弱体化でございますから、あるいはそこまで発展するんじゃないか、そういう見方がなされたのではないか。現に、ヨーロッパの首脳の間の会談でも、フランの切り下げ、マルクの切り上げなんというのが論議された事実がありますが、要するに。フランの価値に対する信頼。当時それが非常に不安がられておった、こういうことかと思いますわが。日本は、金の保有は少ないのです。しかしながら、いま経済の実態がきわめて安定しかつ強力であるというので、信頼は非常に高いのです。ですから、フランの一部はわが日本にも来ているわけです。証券買いなんというものにかなりのものが入っておる、こういう状態です。通貨というものは要するに経済状態を反映して信頼が問われるわけでありますから、経済が強いか弱いか、これがそもそもの問題だと、かように見ております。
  170. 野上元

    ○野上元君 私は一応の一般理論としてはわかるのですが、六十九億ドルの外貨を持っておるということは経済そのものが強いということにもなるんじゃないでしょうか。その六十九億ドル持っておるフランが切り下げが心配されるというような状態というのは、異常な状態じゃないでしょうか。そういうことはあり得るですか。
  171. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはまさに異常な状態だったんです。五月革命とまで言われたああいう事態ですから、これはほんとうに異常といえば異常な状態だったわけです。そこで、フランス経済が先行き一体どうなっていくのかということについて、フランス国民はもとより、世界の投資家が非常な心配をした、これは事実だろうと思います。
  172. 野上元

    ○野上元君 日本の金の保有の問題については、また後に次のときに聞きたいと思いますが、先ほど松井さんの質問にも答えられたようですからあとに回すことにいたして、もう一つ、スイスのバーゼルで主要先進国の中央銀行の代表が集まって、国際通貨の問題について討議していますね。何日でしたか、四月十三日ですか。そのときに、BISの理事会が開かれた。そのときの議題は、高金利の悪循環によって引き起こされた国際金融情勢の緊迫化をめぐって討議が行なわれたわけでございますが、アメリカといわゆるEECとの間に非常に意見の対立があったわけです。この点についてどういうふうにお感じになっておりますか。
  173. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) まだ正式の報告を受けておりません。しかも、BISの会議は秘密会議でございますが、大体総合いたしまして申し上げますと、多少の推測も加えるわけでございますが、いわゆる高金利がアメリカに特に最近顕著になってまいりまして、しかもそれがユーロダラーの吸収というかっこうでヨーロッパドル資金が続々とアメリカに還流しておるという事態がございますので、ヨーロッパ諸国ことにEECの国では、これでは金利のエスカレーションになる、かてて加えてヨーロッパ金融情勢が非常に緊迫してくるということが当然議論の一つになり得るわけでございます。しかしながら、よくよく考えてみますと、ただそういうユーロダラーの吸収をやめるとかあるいは高金利をやめるとかいう主張をすることは、長い目で見ますと、これはアメリカ国際収支アメリカ需要抑制をするという先ほど来の方針にもとるわけでございまして、逆に申しますと、アメリカが非常な決意をもってインフレ抑制国際収支改善ということをやっておるわけでございますから、非常に高い見地からはそういったものに協力することがやはり全世界の利益ではないかというように会議の空気がおそらく傾きつつある。おそらくそういうような結論で、金利戦争の休戦であるとかアメリカのユーロの引き揚げをやめるとかいうことは、実際問題としてはそういうアメリカの決意をどういうふうに評価していくかという問題の前にはこの際は静観をしたほうがいいんじゃないかということではないかと、これは私たちの多少の推測もまじえての感じでございます。
  174. 野上元

    ○野上元君 もち時間がないそうですから、あとは次回に譲りたいと思っておりますが、アメリカがやっておる公定歩合の引き上げあるいはユーロダラーの取り入れというようなものは、EECから見ると国際的な金融節度を逸脱しておる、こういうふうに表現をしておるのですね。そういうことになると、アメリカ国際収支改善しなければならぬということと考えてみて非常に矛盾したものがこの中に出てくるわけですね。そういう点については、国際金融的な対立ばかりではなくして、何か政治的な対立がアメリカとEECとの間にあるのではないかというように考えられるのですが、その点はどうですか。
  175. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 率直に申しまして、そうではございません。そうではなくて、EECがアメリカ金融政策を批判いたしますときに実は一国の需要抑制をやるときに金融だけでやるということなりますと、各国に影響するところが多い。したがって、英語を使って恐縮でございますが、ミックスド・ポリシーと申しますか、財政と金融と一体になってやっていくという必要があるのではないかという点が問題の焦点であろうと思います。したがって、昨年来六十億ドル財政支出削減をやったり、今度また新政権がかなりの削減をする、たとえば財政支出権限を五十億ドル切るとか、あるいは黒字を五十八億ドル出すとかいうような財政措置がございますとそれはそれでやはり金融と平仄の合ったやり方になる。これでもってはじめて需要抑制が可能であるということになってくるのが論理の当然かと思いますが、そういった点からまいりますと、そういう財政の緊縮措置を伴った場合の金融措置、つまり量的規制並びに金利の引き上げ、公定歩合の引き上げ等は、これはやはりアメリカの決意ということを非常に率直に受け取る場合はこれは容認されていいのではないかという感じがEECでもおそらく持っておるのではないか、また、持ちつつあるのではないかというふうに私たちは考えております。
  176. 野上元

    ○野上元君 お約束の時間ですから、きょうはこれでやめます。
  177. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会      —————・—————