○渡辺武君 私は、
日本共産党を代表して、
関税定率法等の一部を
改正する
法律案に反対するものであります。
この
法律案は、第一に、
アメリカが他の資本主義諸国に
輸出を
拡大することを目ざして提起した
ケネディラウンドを受け入れ、これに従って
輸入関税を
引き下げることをおもな内容の
一つにしております。したがって、
アメリカの
日本への経済的進出を促進するものであります。そもそも、
ケネディラウンドは、ベトナム侵略や国際競争力の低下をおもな原因とするドル危機に苦しむ
アメリカが、その主要な
輸出商品に対する他国の
輸入関税を
引き下げさせようとして提起したもので、この法案も、この
アメリカの要求にこたえて、
アメリカの主要
輸出品である大型乗用車、各種原料品、大豆、ラード、皮革などの
関税を
引き下げ、小麦、米、重要機械類、原子力研究用品、石油化学触媒品などに対する免税措置を延長しようとしています。
日本のように、サン
フランシスコ条約、日米安保条約などによって
アメリカに半ば占領され、経済的にも深く
アメリカに従属、依存している国が、このような措置をとることは、
日本経済の
アメリカへの従属、依存を一そう深めるものであります。
第二に、この法案による
関税率引き下げは、
日本の大企業に大きな利益を与え、農民や中小企業家に大きな打撃を与えるものであります。この法案によれば、銅、銑鉄、アルミニウムなど主として大企業の使う原材料や、重要機械類などの
関税を
引き下げ、免税措置を延長する反面、ハンドバック、カバンなどの皮革製品、家具、文房具など中小企業の多くが携わる分野の製品の
関税引き下げによって中小企業家に打撃を与え、また、鶏や食肉類、大豆、農産物加工食品などの
関税引き下げ、小麦、大麦、米などの主要農産物に対する免税措置の延長など、農民に大きな打撃を与えるものであります。
第三に、この法案は、アジア諸国に対する
日本の大企業の進出を一そう促進しようとするものであります。すなわち、この法案は、現在
日本の大企業が韓国その他の国々の人民を低賃金で搾取することを目的として行なっている加工再
輸入品の原材料相当
部分の
関税を軽減する制度を新設しようとしております。この加工
貿易方式は、
日本の労働者の低賃金の条件を強め、国内中小企業家に打撃を与えるものであります。さらにはまた、韓国
政府など
アメリカのかいらい政権に対してテコ入れしながら、大企業のアジア侵略を促進する重要な手段として行なわれるものであり、やがては
日本の権益を守ることを口実とした政治的、軍事的侵略に導くものであることは、かつてのいわゆる在華紡などが
日本の
中国侵略の足がかりになった例に照らしても明らかであります。
わが党は、以上の理由によってこの法案に反対するとともに、
アメリカに対する
日本の経済上の従属、依存と、アジア諸国への帝国主義的進出をやめ、すべての国々と自主、対等、平等の立場で
貿易を発展させるとともに、国内の農業や中小企業を保護することを中心として
関税政策を根本的に転換すべきことを主張するものであります。