○
政府委員(
細見卓君) ただいま御
説明のございました内国税
関係三法案の改正案の
提案理由を補足して御
説明申し上げたいと思います。
最初に、
所得税から申し上げたいと思います。
今回の
所得税法の改正は、最近における
所得税
負担の
状況に顧みまして、中小
所得者に
重点を置いて
所得税の
負担を軽減するとともに、あわせて
所得税制の整備合理化を行なうことをその
内容としております。
第一は、
課税最低限の引き上げでございます。すなわち、夫婦と子供三人の給与
所得者の
課税最低限を前年度に引き続き十万円程度引き上げることを目途といたしまして、先ほど
提案理由で御
説明申し上げましたように、基礎控除等の諸控除の引き上げを行なうこととしております。今回の諸控除の引き上げは、昨年七月
税制調査会より提出されましたいわゆる長期答申において示されている具体的改正方向の二分の一を実現するものでありまして、この引き上げの結果、昭和四十四年度の
所得税の納税人員は、改正前でございますと約二千六百四十八万人と見込まれておりますが、改正後では約二千五百四十一万人となりまして、約百七万人の減少となるわけでございます。
第二は、給与
所得控除の適用範囲の拡大でございます。すなわち、現行法では、給与の収入
金額が百十万円をこえますと給与
所得控除は二十八万円で頭打ちとなるのでございますが、このような頭打ちとなっている給与
所得の納税者の数は年々増加いたしており、昭和四十三年分で推計いたしますと、給与
所得の納税者総数のうち、約二〇%に達しております。これが今回の改正によりまして、年収三百十万円までその適用範囲が拡大されます結果、給与
所得納税者の九九%以上は給与の収入の増加に応じて給与
所得控除も増加することになります。なお、この給与
所得控除の改善も、
税制調査会の長期答申の二分の一を実現するものであります。
第三は、
税率の緩和でございます。これは従来の
所得税の減税が
課税最低限の引き上げを中心に行なわれてまいりまして、
税率構造については基本的な見直しが行なわれていなかったため、最近の
所得水準の上昇に伴う
所得階層分布の大幅な変化に即応しなくなっているのを改善するものでございます。この
税率の改正は、
税制調査会の長期答申で示されている改正方向のおおむね三分の一以上を実現するものでありまして、具体的には、従来、
税率の刻み方が一律五%刻みであったものを、中堅以下の
所得階層については四%刻みに改めるとともに、
税率の適用階層区分を改善することにより、
所得税
負担の累進度合いをなだらかなものにいたしておるわけでございます。
第四は、障害者控除等の引き上げでございます。すなわち、障害者控除や寡婦控除等の特別な人的控除につきましても、現行の八万円の控除額を九万円に、また、いわゆる重度障害者については現行の十二万円の控除額を十三万円に引き上げますとともに、母子世帯等の
負担の軽減をはかるために、配偶者のいない世帯の一人目の扶養控除額につきましても、現行の十万円から十一万円に引き上げることとしております。
第五は、
所得税制の整備でございます。すなわち、ノーベル賞の賞金はすべて非
課税であるということを
法律の上で明記することといたしますとともに、いわゆる半額
課税が適用されない資産の短期譲渡
所得及び五分五乗の
課税方式が適用されない山林の譲渡による
所得の範囲を、従来、保有期間が三年以内のものの譲渡による
所得と定めておりましたが、今回、別途御提案申し上げております土地
税制の改正との関連から、五年以内のものの譲渡による
所得に改めることにいたしております。また、予定納税を要しない者の範囲を、予定納税基準額が二万円以下のものに引き上げますほか、小規模
企業共済掛け金を年末調整の段階で控除できるよう
措置することなどによりまして、納税者の手数の省略と徴税事務の
簡素化をはかることといたしております。
以上、簡単でございますが、
所得税法の一部を改正する
法律案の
提案理由を補足して
説明いたした次第でございます。
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次に、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして、
提案理由の補足
説明をいたします。
この
法律案は、当面の
経済、社会情勢に応ずる各般の要請にこたえて、住宅対策、原子力発電の推進、中小
企業の構造改善の促進等、所要の
措置を講ずるとともに、特に現下の土地問題の深刻さに顧み、その解決に資するため土地
税制の抜本的改正を行ない、土地供給の促進をはかり、土地の投機需要及び不急需要の抑制等に資することとしております。なお、当面の要請に応ずる原子力発電の推進等の新規
措置の財源は既存の特別
措置の
整理合理化による財源をもって充てることとし、交際費の損金不算入割合の引き上げを行なうとともに、あわせて、期限の到来する特別
措置について、その
措置の効果、合理性を厳格に判定し、実効性に乏しい中小
企業海外市場開拓準備金制度の廃止など、所要の
措置を講ずることとしております。
初めに、当面の
経済、社会情勢に応じて要請される住宅対策等についての
税制上の
措置につきまして御
説明申し上げます。
第一は、住宅問題の解決に資するための
措置を講ずることであります。まず、住宅貯蓄控除制度の対象となる住宅貯蓄契約の要件につきまして、住宅貯蓄に基づき融資される住宅
資金の返済期間を二十年から十年に短縮するほか、融
資金額の最低限の引き下げ、適用利率の範囲の拡充等を行なうこととし、この制度が広く利用されるよう配慮しております。
次に、新築貸し家住宅の割り増し償却制度について、その適用期限を二年間延長することといたしておりますが、さらに、最近の建築単価の
状況に即応するため、別途政令の改正でその適用要件である取得価額の限度の引き上げを予定いたしております。
そのほか、新築住宅の取得登記及び抵当権の設定登記の登録免許税の軽減
措置について、その適用期限を二年間延長するとともに、その適用範囲を拡大し、従業員が
企業から住宅を取得する場合等にも適用することとしております。
なお、住宅問題は、言うまでもなく土地問題が中心となるものでありますが、この土地問題の解決に資するための土地
税制の改正については、後に述べるように、別途、思い切った
措置を講ずることとしております。
第二に、
技術革新の先端をいき、かつ、原子力平和利用の中心となるべき原子力発電については、エネルギー対策として、諸外国においても国が国費をもってその開発に当たる等の積極的
措置を講じてきており、わが国でも近来その開発が具体化してまいりましたので、今回、その推進をはかるための
税制上の
措置を講ずることとしております。
まず、民間の電気事業者が建設する原子力発電所について、原子炉等の機械装置を取得するために支出した
金額の合計額の四分の一を限度として、原子力発電工事償却準備金をその工事期間中に設定することができることとしております。なお、この場合、原子炉等の国産化を促進するため、準備金の積み立て率につき国産分を輸入分より厚くするよう配慮しております。なお、その機械装置を事業の用に供したときも、原子力発電工事償却準備金と同様の額を限度とする特別償却の制度を設け、両者を連結することとしており、民間の原子力発電の開発の一そうの促進をはかることとしております。
次に、動力炉・核燃料開発事業団が行なう高速増殖炉及び新型転換炉の原型炉の建設のために電気事業者等が支出する出損金について、出指金とともに支出する出資額を限度として損金に算入できる制度を創設し、原子力による動力炉の研究開発の促進に資することとしております。
第三は、
資本の自由化等に対処する中小
企業の構造改善を促進するための
措置を講ずることであります。
その一は、中小
企業近代化促進法に基づき承認を受けた中小
企業構造改善計画を
実施する商工組合等の構成員である中小
企業者について、工場用建物、機械装置等につき、五年間二分の一の割り増し償却を認めるとともに、合併、現物出資の場合の清算
所得に対する
課税の
特例及びその合併、増資の登記等に関する登録免許税の
税率の軽減
措置を講ずることとし、中小
企業の構造改善の一そうの促進に資することとしております。
その二は、商工組合中央金庫がその業務に関して抵当権の設定登記等を受ける場合について、二年間登録免許税の
税率を千分の一に軽減することとし、中小
企業金融の円滑化に資することとしております。
その三は、事業協同組合が公害防止事業団から譲り受けた土地をその組合員が取得することとなる場合の所有権の移転登記について、登録免許税の
税率を千分の六に軽減することとしており、中小
企業の公害防止に資することとしております。このほか、協同組合の留保
所得控除制度及び中小
企業近代化促進法の承認を受けた合併または現物出資の
課税の
特例制度について、その適用期限を二年間延長ずることとしております。
第四に、
国際経済情勢がなお流動的であることにかんがみ、輸出振興のための
措置につき適用期限の延長等を行なうこととしております。
その一は、現行
措置の延長でございまして、輸出割り増し償却、海外市場開拓準備金、海外
投資損失準備金、
技術等海外取引の
所得控除の諸制度及び外航船舶の保存登記等の登録免許税の軽減
措置について、それぞれ適用期限を二年間延長することとしております。
その二は、政策目的の合理性、政策手段としての有効性の観点から
整理縮小する
措置でございまして、外貨を対価とする輸入運賃について、輸出割り増し償却及び
技術等、海外取引の
所得控除の対象となる海外運賃から除外するとともに、制度の利用が低調な中小
企業海外市場開拓準備金の制度については適用期限の延長はしないことといたしております。なお、これらの
整理合理化の
措置については、いずれも所要の経過
措置を講じて
負担の激変緩和をはかっております。
その三は、広義の輸出振興のための制度の新設、拡充でございまして、まず、外貨の節約及び国産品の海外市場開拓に資するため、わが国の外航船等に旅客用として積み込む酒類に対する酒税及び特定の物品に対する物品税の
免税措置を拡大し、船員用等についても適用できることとしております。このほか、前に述べました中小
企業海外市場開拓準備金制度の廃止とも関連しまして、中小
企業の海外市場開拓の充実に資するため、中小商社の海外市場開拓準備金の繰り入れ率を千分の一引き上げることとしております。
その四は、交際費
課税の強化でございます。最近における社用消費に対する社会の批判を考慮いたしまして、交際費
課税の
特例について、その適用期限を延長するとともに、法定の限度額をこえる額に対する損金不算入の割合を現行の五〇%から六〇%に引き上げることとし、これによって社用消費の一そうの抑制に資するとともに、今年度の新規特別
措置の財源に充てることとしております。
以上のほか、わが国の森林資源の開発、特に計画造林等に資するために、個人の植林費特別控除制度及び森林計画特別控除制度、
法人の造林費の特別償却制度及び計画造林準備金について、それぞれ適用期限を二年間延長するとともに、間伐のための伐採を森林計画特別控除制度及び計画造林準備金の対象に加えるほか、
法人の造林費の特別償却と計画造林準備金については、いずれか一方の選択適用とするなどの合理化を行ない、また、大都市周辺の開発に資するため、ガス事業者の特定導管について初年度四分の一の特別償却を認めることといたしております。さらに、心身障害児対策に資するため、地方公共団体の行なう心身障害者扶養共済制度に基づく年金受給権について、相続税及び贈与税を
課税しないこととし、また、石炭対策の一環として、石炭鉱業が交付を受ける再建交付金を前事業年度から繰り越された欠損
金額の範囲内で
法人税を
課税しないこととするものの対象に加えることとし、さらに、万国博覧会の
趣旨及び
国際的な慣例等にかんがみ、
日本万国博覧会の会場内で行なわれる催しもののうち、一定の条件に適合するものについては入場税を
課税しないこととしております。
なお、期限の到来するその他の
措置については、それぞれその政策目的の合理性、効果等を再検討し、効果が認められないものは廃止し、実情に応じ
簡素化ないし合理的な改定を加える等、所要の改正を行なった上、なお必要とされる
措置、たとえば特殊の外貨借り入れ金の
利子の
税率の軽減、農業生産
法人または協業のために現物出資した場合の納期限の
特例、鉱業用坑道の特別償却制度、
証券取引責任準備金制度及び商品取引責任準備金、増資登記にかかる登録免許税の軽減等は二年間、航空機の燃料用揮発油等に対する揮発油税等の
免税については三年間、それぞれその適用期限を延長することとし、また、黒糖に対する砂糖消費税の非
課税及び転化糖水に対する
税額算定の
特例を当分の間継続する等の
措置を講じております。
以上のほか、
税制簡素化の見地から、納税準備預金及び納税貯蓄組合預金について、納税外の目的で引き出しが行なわれた場合の
課税の対象となる
利子の
計算方法を簡略化する等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
次に、土地
税制の改正につきまして御
説明申し上げます。
第一は、個人の保有する土地、建物等の譲渡
所得につきまして分離
課税方式を導入したことでございます。従来、土地、建物等を譲渡したときに生ずる譲渡
所得については、他の
所得と合算して累進
税率を適用し、
所得税額を算出することとしておりましたが、改正案ではこれを他の
所得と分離し、原則として比例
税率で
課税を行なうこととし、切り売りや売り惜しみの防止に資することとしております。この分離
課税の対象となる資産は、個人の所有している土地、土地の上に存する権利、建物及び構築物であり、たなおろし資産である土地、家屋等は除外することとしております。
また、分離
課税を行なうにあたりましては、これらの土地、建物等の保有期間の長短によりまして、長期譲渡
所得と短期譲渡
所得に区分し、長期譲渡
所得については低い
税率を、短期譲渡
所得につきましては高い
税率を適用することとしております。すなわち、保有期間が五年をこえるものの譲渡
所得については、昭和四十五年、昭和四十六年中の譲渡は一〇%、昭和四十七年、昭和四十八年中は一五%、昭和四十九年、昭和五十年中は二〇%の
税率をそれぞれ適用することとしております。一方、保有期間が五年以下の土地、建物等及び昭和四十四年一月一日以後に取得した土地、建物等の譲渡
所得については、四〇%相当の
税額か、通常の
所得税法で
計算した場合の
税額の一一
〇%相当額かのいずれか高いほうの
税額を適用することとし、これらの短期譲渡
所得の
負担額が、現行
負担よりもかなり高くなるような仕組みとしております。なお、長期譲渡
所得の
計算にあたり、昭和二十七年以前から引き続き所有していた土地、建物等を譲渡した場合の取得費の
計算については、従来、昭和二十八年の相続税評価額によることとしておりましたが、納税者の便宜と
税額計算の
簡素化のため、一律に売却価額の五%を取得費とすることとしております。
第二は、譲渡
所得の特別控除制度でございます。
提案理由でも御
説明のありましたように、売却の態様に応じ、千二百万円、千万円、六百万円、三百万円、百万円という各種の特別控除を設けることとしておりますが、これらの特別控除額は、同一人については年間千二百万円を限度として控除することとし、また、居住用財産の譲渡についての千万円の特別控除は、乱用を防止する見地から、三年間に一度だけ適用することとしております。
なお、千二百万円、千万円、六百万円、三百万円の各種の特別控除は、それぞれ譲渡にあたっての特殊な事情を考慮して設けました
関係上、長期、短期ともに適用することとしておりますが、
一般の譲渡の場合の百万円の特別控除は、もっぱら長期譲渡
所得の
負担軽減という観点から設けたものでありますので、短期譲渡
所得の場合には適用しないこととしております。
以上申し上げました改正の結果、たとえば個人が長期保有資産を昭和四十五年中に任意譲渡し、千万円の収入があった場合を考えますと、現行法による
所得税額は累進
税率が適用されますので、かりに他の
所得が
課税最低限と一致する人を例にとりますと百四十三万円となりますが、改正後でございますと、千万円の収入からまず五%に当たる五十万円の取得費と百万円の特別控除を差し引きました八百五十万円に対し一〇%の
税率を乗じた八十五万円が
税額となり、また、同様に譲渡収入が五千万円の場合では現行の千二百十四万円の
税額が改正後では四百六十五万円というように、
計算が簡略化さつ、かつ、その
所得税
負担も大幅に軽減されることになるわけでございます。
第三は、買いかえ制度の合理化でございます。すなわち、居住用財産の買いかえ制度は、千万円の特別控除制度に改め、事業用資産の買いかえ制度は期限到来をもって廃止し、その後は土地政策等に合致する等、一定のものに限り
特例を設けることとしているのでございます。これを具体的に申しますと、一、首都圏等の既成市街地内にある商工業用の土地等を譲渡し、既成市街地の外にある商工業用の土地、建物等に買いかえる場合、二、市街化区域内にある農業用土地等を譲渡し、市街化区域以外の農業用土地、建物等に買いかえる場合、三、公害規制区域内にある公害発生施設の移転に伴い土地等を譲渡し、公害規制区域の外にある土地、建物等に買いかえる場合、四、計画工業団地、流通業務地区等の
企業誘致区域外にある土地等を譲渡し、これら誘致区域内の土地、建物等に買いかえる場合、五、新産業都市等の外にある土地等を譲渡し、新産業都市等内にある土地、建物等に買いかえる場合、六、長期間保有の土地、建設等を譲渡し、減価償却資産に買いかえる場合などが新しい買いかえ制度に該当することになるのでございます。
なお、事業用資産の買いかえの
特例の適用を受けました場合には、この制度自体が
課税上の特典となりますので、さきに申し上げた特別控除の適用は認めないこととしております。
第四は、収用等があった場合の
課税上の
特例についても合理化をはかっていることでございます。すなわち、収用等に伴い資産を譲渡した場合には、従来、個人についてはいわゆる四分の一の
課税の
特例、
法人については二分の一の
課税の
特例がありましたが、新しい土地
税制全体との均衡等を考慮しまして、これを廃止することとしているのでございます。したがって、収用等があった場合の譲渡
所得については、千二百万円の特別控除か、収用等を受けた場合の買いかえの
特例適用かのいずれかによることになり、特別控除後の残額または買いかえ
差額に対しまして長期、短期の一般の
税率がそれぞれ適用されることになるのでございます。
以上御
説明いたしました今回の土地
税制の改正は、原則として昭和四十五年から適用されることになりますが、例外的に、個人の譲渡
所得につきましては、納税者の選択によりまして、昭和四十四年分からも適用することとしております。なお、この場合の選択は個々の資産ごとではなく、年中のすべての譲渡について旧制度をとるか新制度をとるかの選択となっております。
以上、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案の
提案理由を補足して
説明いたした次第でございます。
—————————————
次に、長くなりましたが、
通行税法について申し上げます。
今回の
通行税法の改正は、先ほど
提案理由の御
説明で申し上げましたとおり、別途御審議を願っております国有鉄道運賃法の一部を改正する
法律案において、
日本国有鉄道の普通旅客運賃の額の改定及び旅客運賃の等級の廃止が予定されておりますので、これに関連して所要の調整を加えようとするものであります。
第一は、現在の通行税は、汽車及び電車の一等の乗客、汽船の特等の乗客及び航空機の乗客について
課税していることと関連しての調整であります。この場合、その等級は、現在、
日本国有鉄道につきましては国有鉄道運賃法において等級の定めがございまして、
通行税法上の等級もそれに従うこととしておりますが、他の一般の汽車、電車につきましては旅客運賃の格差の設けられていないものは二等とし、格差の設けられているものはその旅客運賃の格差に応じて二等、一等、特等としております。今回の国有鉄道運賃法の改正により、
日本国有鉄道について旅客運賃の等級が廃止され、運賃の格差がなくなりますので、
通行税法上も、
日本国有鉄道の旅客運賃につきまして、他の一般の汽車、電車と同様、二等の運賃として取り扱うよう改正を行なうこととしております。
第二の調整は、現在、汽車及び電車の一等旅客について通行税を
課税しておりますのは、その利用の実態が、一般の旅客と比較して、より高い水準にあり、それに担税力があるものと認めていることとの関連でございます。すなわち、
日本国有鉄道においては、今回の国有鉄道運賃法の改正により等級が廃止されるため、一等及び二等の呼称はなくなりますが、従来の一等車両は名称を変えて引き続き特別車両として存続し、これを利用する乗客は旅客運賃のほか特別車両料金を支払うこととなっており、現在の一等乗客の利用の実態は、今回の改正によって変わるものではございませんので、従来と同様、この特別車両料金についてのみ一〇%の
税率で通行税を
課税することとしております。
第三は、現在の二等寝台は、大衆の長距離旅行者が利用している現状にかんがみ、これに
課税関係が生じない配慮で、昭和四十一年の旅客運賃の改定の際に、当時の二等寝台料金の最高額千円の一等寝台の税抜き最低料金千四百円とを考慮して
免税点を千四百円未満と定めていることと関連しての調整であります。今回の国有鉄道運賃法の改正に伴い、現在の二等寝台料金に該当するものの最高額が千六百円に引き上げられることとなっておりますので、現行のままでは現在の二等寝台を利用する乗客のうち、一部のものだけが
課税される結果となりますが、現在の二等寝台については従来どおり
課税しないことが相当と考えられますので、寝台料金の
免税点を千六百円に引き上げることとしております。
以上のほか、特別車両料金の新設に伴い、所要の規定について用語の整備を行なっております。
以上、簡単でございますが、
通行税法の一部を改正する
法律案につきまして
提案理由を補足して御
説明申し上げた次第でございます。