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政府委員(
橋本徳男君) 第一点の夕張問題でございます。確かにおっしゃいますようにこの夕張におきましては、昨年の九月におきましても非常に大きな
落盤事故を起こしまして、八名をなくしているといったような
事故がございます。で、私この
事故が起きまして、そういう過失におけるとうとい
経験がいかに今回の場合に生かされており、かつまた生かされていないかといったようなことをいろいろ
検討した次第でございます。それをして見ますれば、それは技術的には必ずしも同じ地層であるわけではございませんので、こまかく技術的に突っ込んでまいりますれば、それはそれなりのいろいろ
対策をやっておるということは言えるだろうと思うのでございますが、ただ一点やはり
先生もおっしゃいましたように、やはりそこに保安としてさらに
配慮を払うべき点というものは私は十分存在する。たとえば今回の場合におきましても、前回におけるいろんな教訓を確かにとってはおりましても、おっしゃいますように、
鉄柱一つをとりましても、さらに強力なる
体制をとられなかった。これは技術的にいろいろ問題はあるとしましても、しかしその周辺にはすでに
断層というものを控えている、その
断層があった場合の評価をどうしてやったかということになりますれば、おっしゃいますように、保安全体の
対策としてやはり
配慮が欠けている点があったのであろうということはわれわれもそういう
感じもしておりますし、またそういった面につきましての
監督上の問題もわれわれとしても痛感しておる次第でございまして、そういう面におきましては、先ほどのような形において、むしろ過去の
経験、技術的な知識というものに、異常な
条件の悪化あるいはしさいな
条件の
変化をいかに織り込むべきかという、そこがうまく的確に行なわれますれば、この保安についても
相当な効果が期待されるという
感じを持っておりまして、そういったものの
考え方を即刻にまとめて、それを
行政面に反映さしていき、かつまた企業の保安面にも反映さしていきたいというふうに
感じております。
それから第二点の、確かにこういった
災害について刑事的
責任というものは、もちろんわれわれは保安答申の線に沿いまして、できるだけ他山の石ともなり、かつまた社会的な謝罪という
意味においても刑事的な
責任をいろいろ求めてございますが、確かに第一線におりまする
係員、こういった人たちがほんとうにどこまでその
会社のいろんな計画が浸透し、かつまた
係員自体から上部へのいわゆるいろんな
問題点の疎通のはかられているかということにつきましても、おっしゃいますとおり、これはおそらく現状においては十分ではなかろうという
感じがしております。したがいまして、こういった点につきましては、実は保安協議会におきましても先般こういう問題を取り上げまして、そしてこれについていかなる
対策を立てるべきかというふうなことをいろいろ
検討したわけでございますが、なかなか画一的な
対策というものは困難であるということから、九州、
北海道、そういった若干の
炭鉱について
調査団を組んで、それを具体的にどういう形においての指示が行なわれ、それがどういう
教育を通じて下に浸透し、どういうふうな形においてそれが具体的に細部に反映されておるかといったようなことをサンプル的に若干の
鉱山についてそれをやって、そこから出てくるいろんな
問題点というものを抽出し、それを解決する
方法として大きく、いわゆる保安意識の高揚と
教育の浸透という形において取り上げていこうというふうな
考え方を実は保安協議会で出しまして、できるだけ早い時期にそういった
対策を講じて、要するに一線に働く人たちの
教育はもちろん、全体といたしましてのいわゆる保安の意識といいますか、保安意識の高揚につとめていきたいというふうなことを考えております。
それからもう
一つ、私蛇足ではございますが、最近のこういったいろんな
事故の中に
一つ感ぜられるのは、これは特に
炭鉱その他につきまして十分今後考えてもらいたいと思っておる問題でございますが、坑内において非常に近代的なものの
考え方と前近代的なものの
考え方、どうも二つが混在しておる。したがいまして、いわゆる科学的にそれを的確につかんで
作業すべきにもかかわらず、それがややもすれば、いわゆる前近代的な
考え方の上に立った
考え方が自然にその
炭鉱内に浸透しておる点もございまして、十分科学的な掘り下げが行なわれてないという点がありゃしないか。こういったようなものも、もうすでに
条件は変わり、過去においていろいろ自分の力を過信してやっておる
作業形態というものは、もうこういった
条件の悪い
炭鉱内においては通用しないんではないか。ここにはやはり科学的な
方法によってのみ解決していかなければならない。そういった点が従業員の中にも、あるいは技術者の中にも、大なり小なりまだ
炭鉱においては混在しておる。こういった意識を払拭いたしまして、できるだけ科学的な
方法によりそれを解決していきたい。したがいまして、
先生も先ほどおっしゃいましたように、確かに教本におきましては、
ガスの
誘導ハッパの際におきまして五百メートルを離すとか、あるいは場合によれば千メートルといったような
考え方を打ち出されております。それがどちらかといいますれば、その過去の技術、
経験だけから
判断して、十分にそういうより高度の予防
措置がとられてなかったというふうなためにああいう
事故になったわけでございますので、今回はそういった点から、できるだけ科学的にその
実態の把握と、その予防
対策として客観的、科学的な
方法によって解決していきたいというふうな
考慮から、先ほどのように
先生方の組織をつくって、そういう問題を解決していきたいというふうに考えておる次第でございまして、
先生の言われました、いわゆるこういった
事故についての
経営者としての
社会的責任体制をさらに
政府といたしましては十分にそれを追及すると同時に、やはり
政府みずからも私は今回のこの打ち続く
災害につきましては反省し、
監督のあり方というものについても再
検討を十分やっていきたいというように考えておる次第でございます。