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国務大臣(大平正芳君) 最近、われわれの預かる行政の分野で大きな変化がいろいろ起こってきていると思います。それで通産行政としてもいままでのやり方を根本的にもう一ぺん見直さなければならぬ段階にきておるんじゃなかろうかという感じを痛切に感じておるのです。それは何かと申しますと、一つは、申すまでもなく技術の開発の問題でございまして、繊維にいたしましてもあるいは化学にいたしましても、鉄鋼にいたしましても、いまそういう縦割りの行政をやっておりますけれども、これを通じまして、やはり機械技術の問題の壁にぶつかっておると思うのでございます。言いかえれば、これは結局共通の技術の開発というところにたどっていけば問題がぶつかるように考えられます。
第二の問題は、
石炭に
関連を持つわけでございますが、資源の
確保という問題であろうかと思います。いまから膨大な資源が経済の成長に伴いまして要るわけでございまするけれども、その手当ての見当は全然ついていないというのが偽らないただいまの
状況でございます。粘結炭にいたしましても、石油にいたしましても、ウラン鉱にいたしましても、あるいはメタルにいたしましても、海外にそれぞれ拠点をさがしまして、ぼつぼつ探鉱を始めておりますが、そのうちで実際に稼働に入っているのはわずかでございまして、まさにこれからだというのでございます。ところが、それに対して膨大な資金が要るわけでございます。大きな危険を負担せねばならぬ。いまのどの業態をとってみましても、そういう大きな要請にこたえて、自分の力で資源の将来の需要の展望をとらえて、それに対する対応の姿勢をとり得る
企業なんというのは日本中にございません。したがって、結局これは大きく国が心配しなければならぬ問題、資金的にも技術的にも、そして危険の分散の意味におきましても、いろいろやらなければならない問題があるんじゃなかろうかというように考えます。その他新しい問題がいろいろ出てきておりますが、たとえばそういうような新しい問題に直面しておる中で、第二の資源問題、資源問題というものは一ぺん根本からわれわれが対処し直さなければならぬ非常に緊切な課題ではないかと、そう考えております。
それから一方、資源の問題にからみまして非常にむずかしい公害問題が出来してきておるわけでございまして、この資源をどのように
確保してどのように処理してまいるかという場合に、どういう資源をどの
程度どういう価格で受けて需要者に供給させるか、これは供給、需要面全体を通じて考えなければならない
政策的な大きな問題でございますが、そういったことをわれわれも——従来の方々が非常に場当たり的であったわけではなくて、事柄がそんなに、まあ緊急度が薄かったわけでございまするが、もうそういうタイミングをいたずらに空費していくことができない非常に緊急度を加えてきているように思いまするので、そういう資源
政策の一環として
石炭の
政策をとらえるということ、これはどなたもお考えになられておることと思うのでございますが、それをもっとクリアな形でやって、それで
石炭産業なるものに場を与えなければならない。そうしないと、
体制の問題にいたしましてもほんとうに定着していかぬのじゃないかというように思うわけでございまして、大まかな考え方でございますけれども、それを早急に始めまして、来年の八月ごろを一応の目安にして
体制問題についての見当をつけてみようじゃないかという各党と
政府の間でいま一応の了解ができておりますけれども、そういったことを取り運んでいくのと並行いたしまして、この作業を進めまして、人間のやることでございますから、完ぺきなものとはなかなか申し上げられませんけれども、一応
政策のベースにとり得るだけのものは用意しなければ相済まぬのじゃないか。そう考えておりまして、その
検討を待ちまして、いま仰せの
石炭産業の展望、それから
金融機関はもとよりでございますけれども、経済社会全体が、労使も含め、
関連産業もみな含めましての信頼の基盤をそこにつくっていかなければならぬのじゃないか、そういう感じを持っておるわけでございまして、いま直ちにどうだと断案的に申し上げるだけの余裕はございませんが、大まかな考え方、方向といたしましては、そういう方向を一応想定いたしまして、これから事務的な段取りをひとつ詰めていこうと考えておるところでございます。