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1969-02-26 第61回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十六日(水曜日)    午後一時十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         阿具根 登君     理 事                 鬼丸 勝之君                 川上 為治君                 小野  明君                 藤原 房雄君     委 員                 伊藤 五郎君                 石原幹市郎君                 剱木 亨弘君                 西田 信一君                 二木 謙吾君                 大矢  正君                 小林  武君                 小柳  勇君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君    政府委員        通商産業政務次        官        植木 光教君        通商産業省鉱山        石炭局長     中川理一郎君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君        運輸政務次官   村山 達雄君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (当面の石炭対策に関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 小野明

    小野明君 前回の委員会におきまして、明治、それから杵島麻生、また古河目ははっきりいたしておりますけれども、そういった山が閉山、その後におきましても、新聞には大きな活字で閉山打ち合わせに入ったということがもう堂々とあの以後書かれておるわけであります。そういったことから見まして、前の委員会では、この段階でまだ明らかにするわけにはまいらないと、こういう御答弁をいただいたのでありますが、事態はそれが許されるような事態ではない。今度の新石炭政策というのがやはりどうおおい隠しましても、早期撤退、それに伴うアフターケア、これにねらいがあります以上は、どう答弁をされようと、その辺の事態は明らかになっておると私は思います。同時に、第四次の答申ができます段階で、各炭鉱の将来の展望あるいは債務状況、資産の内容といったようなものがしさいにもう検討をされておるはずなんです。そうすれば、ここ五年間——五年間と言わないでも、ここ一、二年の間に閉山を余儀なくされるという山も検討済みである、もう当然スケジュールの中に上がってきておるはずであると私は思います。それを余儀なくされておるのが今度の新石炭政策だと思うのです。そういったことからいま通産省のところまで、まあ公式、非公式を問わず、そういった打ち合わせに入っておる山があれば、それをひとつこの段階で明らかにしてもらいたいと思います。
  4. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) ただいまお尋ねがございましたように、政策検討いたします段階で、所管省といたしまして把握しておる限りの資料に基づきまして、各社の先行きの想定を一応われわれなりに持つということは、小野委員おっしゃいましたように、私どももやっております。これは率直に申しまして、その中にはあるいは五年間たえ得ないかもしれない、新しい助成策でもたえ得ないというものもございますし、まして、いわんやもっと先のことを考えますと、いろいろ問題があることは確かでございます。ただ、前々から大臣が当委員会で御答弁いたしておりますように、今回の私ども施策では、審議会答申の気持ちのように、そこは助成策の中でやり得ると判断するかしないか、企業側に判断してもらおう、政府の立場でどれは見込みがある、どれが見込みがないというようなことを言うべきではないという考え方に基づきまして、施策考えてまいった次第でございますので、その意味で個別の企業あるいは山についての予測判断を申し上げるということを差し控えてきたわけでございます。ただ、いま私申しましたのは、五年間の間におけるいろんな情勢変化、その中における企業対応といったものと関連がございますから、ここはまさしく私ども予測どおりにいくかいかぬかも問題のあるところでございます。いま小野委員がおっしゃいました、当面に限って、当面非常に経営継続そのものがあぶないという状況のものがあるわけでございます。この点は一般論として冒頭申し上げましたことと切り離して、あるいは率直にお答えをいたさなければならないかと思うわけでございます。  そこで、明治鉱業につきましては、まだ正式な報告を得ておりませんので、どのような内容で話を進めておるかということは後日に譲らしていただきたいのでございますが、きょう現在、きょう、あすという予定で会社側から経営協議会開催申し入れ労働組合にいたしまして、先行き会社考え方、あるいは実情というものについての話し合いに移っているようでございます。これがどういう内容で、どこまでのことを言っているか、まだ正式な報告を見ておりませんので、中身は申し上げかねるのでございまするが、すでにきょう、あすということで経営協議会開催を始めたということからいたしまして、解散をせざるを得ない事情にあるという客観的な事実につきましては、私どもも事前にいろいろと善後策について相談にあずかっておりました関係から申しましても、その事態については率直に申し上げなければならないかと思います。なお、その他の会社について申しますならば、先ほどおっしゃいましたように古河目尾、その他中小炭鉱合理化事業団に対しまして、一般閉山交付金の適用について二月十五日以降に申し出のあった炭鉱が小さい山で五炭鉱程度ございます。いずれも非常に小さいものでございまして、先ほどの古河目尾と合計いたしましても、おそらく四十万トン前後のものであろうかと思います。そこで、これらのものを別といたしまして、明治鉱業につきましてはただいま申し上げた状況でございますが、その他について申しますならば、お尋ね杵島炭鉱でございますけれども、まだ当省に正式の申し出はございませんけれども、私ども承知しております限りでは、非常に困難な状況にございまして、同社としても真剣に対応策検討中である旨は、私どものすでに承知しているところでございます。なお、もう一つ麻生ということでお尋ねがございましたが、これは若干事情を異にしておりまして、まだ会社側ではひそかにいろんな検討をしているかとは思いますけれども、表立った動きはございません。当面の問題といたしまして、率直にお答え申しますならば、新しい政策で即時に善後策考えなければいけないというのは明治が明らかでございますし、杵島についてもおそらく内容的には同様な実態にあるというふうに私は考えております。
  5. 小野明

    小野明君 いずれは新政策ができますと、次から次に倒れてくる、閉山が出てくるということはもう明らかですし、それはまあいまの局長のお話の中でもわかるのであります。今度の石炭政策で結局早期撤退あとはまあ超大手ということばがあるかどうか知りませんが、それだけでまあこういう批判もある、九州は三井、三菱北海道は住友、北炭、この石炭産業の四社支配体制、四社の分割支配体制だけをねらっているのだ、これは私はある意味で当たっていると思うのです。その他はすべて閉山、あるいはこれらの資本に糾合をされていく、こういうことになってくるだろう。五年もたたずに、この徴候というのは一年ないし二年で私は出てくるのではないかと思うのです。であるとするならば、もうその他の山についてもいま局長が言われた程度の山で済むはずがないと思うのです。それでいま明らかにできないということであるならば、二十四日から北海道ストライキに入った私鉄なんですがね、夕張鉄道、それから雄別鉄道、それから釧路臨港鉄道美唄鉄道、まあ美唄鉄道のほうは一時間五十分の時限ストのようですが、これらに関連をいたします山の状態、これは一体どういう見通しになるのでありますか。
  6. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) ただいまおあげになりました鉄道関連しております鉱山につきまして、いま直ちに何らかの不安があるというふうには私ども考えておりません。
  7. 小野明

    小野明君 そうしますと、これは運輸省のほうにお尋ねをいたしたいと思うんですが、いまストライキに入っておりますこれらの私鉄といいますのは、それぞれ非常に石炭に対する依存率の高い鉄道ですね、山がつぶれれば直ちに影響を受ける鉄道である。ところが、石炭の場合はそれぞれ安定補給金あるいは離職者対策というものも考えておるところでございますけれども、これらの私鉄手当て、あるいは労働者に対する手当てというようなものは、運輸省としては一体どのようにお考えであるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  8. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) いま小野委員のおっしゃったとおり出炭専用のいわば鉄道がございまして、これがその関連する炭鉱閉山するかどうかということは非常な大きな問題なんでございますが、私たちの各方面での情報を集めたところでは、まずまずさしあたりはだいじょうぶじゃなかろうかというようなことを伺っておるわけでございます。  それとは別の問題といたしまして、制度として今度の石炭に関する一部改正法案措置に乗せてもらいたいということは、関係省のほうに申し出折衝中でございますが、なかなか難航をきわめているというのが実情でございます。鉱山に直結し、それからそれの閉山に伴って影響を受けるのは、もちろん鉄道もございますけれども、その他たくさんあるのでございまして、折衝しておりますが、なかなかいまのところ、だいじょうぶ対象になるというところまではいっておりません。
  9. 小野明

    小野明君 鉱山石炭局長お尋ねをしたいのでありますが、これらの鉄道関連をしております山というのは年々出炭量も減少をしておるのではないか、そうしたためにやはりこの私鉄におきましても合理化といいますか、人員の削減が行なわれておるのではないか。しかも今回ストライキというような非常の措置をとっておるということは、やっぱり私鉄に働く労働者が何らかの不安を感じておるからこそそういった行動に出ていると見ざるを得ないわけです。そういった意味で、先ほどの答弁でははなはだ私は不親切であると思うんです。はっきりしたひとつこれらの関連をしております山の見通しというものをここにひとつあげていただきたいと思います。
  10. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 先ほどおあげになりましたのは夕張鉄道に関しての北炭、それから雄別鉄道についての雄別炭鉱釧路臨港についての太平洋、あと三菱鉱業関係美唄でございますか——というようなところをおあげになったのでございますが、先ほどお答えいたしましたとおり、これらの鉱山会社の今後の見通しにつきましては、長い期間をとりますと、いろいろ状況変化によりまして、私いまここで断言できないものがあるかもしれませんけれども、当面予測しております限り、問題があるとは私ども考えないわけでございます。
  11. 小野明

    小野明君 そうしますと、運輸省のほうに再度お尋ねをいたしますが、これらは山の関連施設とも見れるわけですね。それほどの依拠率の高い鉄道であるわけです。いまおっしゃられるところを聞きますと、いろいろ関係方面折衝をされておるということですが、鉄道に対して、あるいは労働者に対してどういう措置をおとりになるお考えであるか、いま少し説明をいただきたいと思います。
  12. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) いま小野委員があげられました四つの問題につきましては、ただいま鉱山局長からお答えになったような事情でございまして、私たち心配はいまのところはいたしていないのでございますが、しかし出炭専用鉄道というのはほかにもあるわけでございまして、一、二少し心配になるものもありますし、そのときに十分なる労務費が払える状況にあるかどうかということが第一の問題なのでございます。私たち見ますと、かりにそういう鉄道関連炭鉱廃止になりましても、財政状況からいってまず払えるのじゃなかろうかと実は思っておるわけでございますけれども、しかし、万一ということもあり得るわけでございます、財政状況でございますから。そこで大事の上には大事をとって関係各省にお願いしている筋というのは、そういう鉄道炭鉱経営している会社別会社であっても、何らかの特別交付金に準ずるような、あるいはその中に含めて出せないものであろうかどうかと、これがまあ一点なんでございます。会社が違うわけでございますから、なかなかむずかしいのでございます。炭鉱に依存いたしております事業、それからその炭鉱閉山いたすことによって影響を受ける他の会社鉄道以外の会社考えますと相当数あると思うのでございますが、それとの関連もありますが、何ぶんにも鉄道については出炭専用でございますので、そういう方法を講じてもらえないかどうか。それから万一離職した場合の問題でございますが、炭鉱労務者が離職したと同じように特別の措置をはかってもらえないか、これはまた労働省関係でございますけれども、いままあ折衝しておるというところでございます。
  13. 小野明

    小野明君 だから、折衝内容を。
  14. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) いま申し上げたように炭鉱労務者と同じような離職者対策につきましては、一般離職者失業保険のほかに、特別会計から労働省ないし雇用促進事業団に対してもろもろの離職者対策の手当が出ておる、出し得ることになっておるわけでございますが、その対象になし得ないかということをお願いしておるのでございますが、なかなかいま難航をきわめておるというところでございます。
  15. 大矢正

    大矢正君 いまの小野委員の質問に対する答弁で私どもわからぬ点があるんですが、運輸省として、石炭関連をする私鉄に対しての基本的な考え方をまずやはり述べてもらわなければいかぬと思うんですよ。あなたはいまの段階ではそれほど心配事態じゃないと、こうおっしゃっておられますが、事実はそうじゃない。たとえば明治鉱業という会社北海道に二、三の山を持っておりますが、これの一つ昭和炭鉱がかり閉山というような事態になりますと、鉄道は何ら意味がなくなるのですよ。あなたがまだそれほど深刻な事態ではないと言うようなそんななまぬるい状態ではないわけです。さっき石炭局長が言うように、きょうあす労使の間においても協議会が持たれて、いまのままでいくと四月の一日から閉山という事態が出るわけですよ。そういたしますると、石炭だけで成り立っているその鉄道留萠鉄道が四月一日から必要がなくなる。そんなあなたが言われているようなゆうちょうな問題じゃないのですよ。ですから、産業的に見れば、石炭を掘り出すこと、そうしてそれを運搬すること、これはもう当然必要なことで一体にならなければならない問題でありますが、しかし、所管としてはあなたのほうの所管なんですから、そういうようにかりに炭鉱閉山になって自動的に鉄道廃止しなければならぬようになった場合における措置というのは、いまのうちに十分立てられなければならぬと思うのですよ。ですから何か抽象的な議論で逃げるのでなくて、いま現にそういう問題が起こりつつあるが、どうするというはっきりした態度を示してもらいたいと思う。それで、いまあなたはいろいろ問題がある問題があると言うけれども、じゃ問題があるのはどこなのか、通産省がだめだと言うのか、大蔵省がだめだと言うのか、あるいはほかにだめなところがあるのか。あなた、話しているが、なかなかむずかしい、進行しない、むずかしいとおっしゃるが、どこが一体障害になってむずかしいか、あなたが考えていることが進行しないのか。  そこで、この際ですから、つけ加えて申し上げておきますが、結局最悪状態で、炭鉱閉山になり、したがって輸送する品物がなくなる。したがって同時に鉄道廃止になるというこの最悪事態一つあります。それからもう一つの問題は、現在のところある程度石炭を輸送している、もちろんこれは石炭中心輸送機関である前提ですがね、やっておりますが、出炭が減少してくることに伴って輸送量が低下をする、人件費はこれは御存じのとおりやはり上げなければならない。そういう問題から経理的に徐々に立ち行かなくなりつつあります、はっきり申し上げて。こういう事態に対して一体どう措置をするのか。かってに、おれの鉄道はどうも採算合わないから、だからやめてしまうのだということになった場合、今度は炭鉱自体もつぶれなければならない、逆に言うと。そうでしょう。鉄道のほうが見切りをつけて、炭鉱はやっているのだけれども鉄道のほうがおれのほうはもうやめた、かりにこういう事態になったらこれはとんでもないことになるわけですよ。ですから、一つには、現実の問題としてもう路線が必要なくなってしまうような事態の問題と、いま一つ経営的なそういう状態をどう考えるかですね。まあ運輸省に金がないとすれば、じゃその金はどこから出すのかという問題にも発展すると思いますが、あなたのほう自身が何かはっきりしないような態度じゃ困るわけですよ。この際一つ明確に具体策を説明してもらいたいと思うし、それから障害がどこにあるのかということもはっきりしていただきたいと思います。
  16. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) いま先生のおっしゃった明治鉱業の山と関連してはおそらく北海道留萌鉄道ではないかと思うのですよ。私たちもさっき一つ気になることがあると申しましたのは、実はそこを考えておるわけでございまして、いまの経営状況からいって、鉄道廃止せざるを得ない場合も当然想定できるわけであります。そのときに労務費その他金融費、いろいろな債務があるわけでございますが、これが確実に払えるかどうかと、ここに重点があると思うのでございますが、留萌鉄道に関する限り、いまのところ収支の状態もバランスも非常にいいようでございまして、対象になる従事員の数は八十何名でございますから、その支払いによもや事を欠くことはまずなかろうと、こういうふうに判断いたしているのでございます。  それからその次の問題で、廃止までには至らないが、鉱山が縮小する結果運送量が減って、そのことは当然コストアップになってくると、やがてその結果立ち行かない場合もあるが、一体それは運輸省としてどう考えるかと、こういう話でございます。まあ非常にむずかしい限界でございまして、そういうときにはすぐ国家救済というようなことになるかどうか、ここはまあ非常にむずかしいわけでございまして、とりあえずはまあ両当事者の間で運賃なりそういったものをやはり適正なものをきめていくということになりましょうし、そしてまた、それでどうしてもいかないということになりますれば、またそのときの事情に応じまして必要な措置をとるべきかどうかということを判断しなければいけないと思うのでございます。  それからもう一つ、第三の問題で、どこにいま関係各省折衝して支障があるかという問題でございますが、第一に、今度の法律の形がそれを予定してないのでございます。第二に予算案の金額が、したがって積算基礎がそれを予定してないということだろうと思うのでございます。まあそういう意味で非常に関係各省のほうにわれわれのほうも、言ってみれば同じ原因から出ているのだから何とかならないかということを申しておるわけでございますけれども、困難だということは、考え方一つの問題でございましょうし、もう一つはとりあえずの問題といたしまして、いまの法案なり予算積算基礎がその中に入っていない、こういう二つの意味でなかなか難航をきわめておると、こういうことでございます。
  17. 大矢正

    大矢正君 まあきょうはこまかいことを取り上げて村山さんとここで議論する気はないのですがね。ただ私は、はっきりしていることは、炭鉱関連をする私鉄企業というものは、かりに路線廃止するような状態になってしまえば問題が出てまいりますのは、当然ですが、そういう状態に立ち至らなくとも、経営的にもこれはなかなかたいへんなものがあると思いますよ。あなたはまあ運賃を上げれば問題が解決するかのように言われますが、それは当然簡単にものを考えればそういうことが出てきますがね。しかし、その鉄道国鉄競合関係にあるような場合には、これはあなた私鉄だけ値上げをすれば、荷物は今度みんな国鉄に行きますからね、逆に値上げすることもできないという問題もあるのですよ。ですから一般論で割り切るのじゃなくして、個々のそういうケースに基づいて考えていってもらわなければいかぬと思うのです。たとえばさっきあなた言われておったが、夕張鉄道なんかの場合には、これは国鉄私鉄両方競合関係にあるのです。ですから、私鉄値上げすれば、それじゃ荷物は全部国鉄のほうに回して送ると、こういうことになるのです。値上げなんか結局できないのですよ。やったらたいへんなことになる。そういうことがある際に、国家助成を必要としないで、なおかつその私鉄企業というものが路線を守っていけるかということになると、非常に大きな問題が残ると思うのですよ。ですからそこまで行ってしまってからやるのじゃなくして、まああなたのほうで所管しておる限りにおいて、あなたのほうが積極的に特別会計その他の中で何らか措置する方法がないか、あるいはあなた自身予算の中で措置する方法がないか。もしそれができないとすれば、特別会計の中で、石炭一体のものなんだから考えるとかいうことを積極的にやってもらわなければ困るのですよ。いずれ法律石炭関係なんですから、こちらに参りましたら本格的な議論をしたいと思いますし、その段階でまたおいで願って、個々の問題についていろいろと検討をしたいと思いますから、きょうは一般論でやめますが、もっとやはり深刻に考えてもらわないと困る。あなたは大体うまくいっておるとこうおっしゃるが、私は現に北海道にある九つの私鉄の大部分を自分で歩いて見てきているわけですから、会社実態なり労働条件なり、そういうものを見ているわけですから、あなたよりは私は正確に把握していると思うのです。しかし、きょうそういうこまかいことを議論する気はありませんから、ひとつ十分お考えを願いたいと思う。  そこで、政務次官閉山問題にからんでお尋ねをいたしたいと思うのですが、最近新聞に、先ほど中川局長から答弁があった明治鉱業の問題、杵島問題、あるいは麻生問題等々、近く閉山が行なわれるのではないかというような見通しのもとに記事が書かれておりますが、これはいま政府の新石炭対策に基づいて編成をされた予算が衆議院の段階議論をされているところです。先般のこの委員会でも申し上げたとおり、法律それ自身はまだ一度も審議をされていないという実態ですよ。そこで行政が優先するという考え方がおありになるならば別でありますが、少なくともこの新石炭対策と銘打ったものの予算法律がいまだに議論もされていない段階から、通産省閉山前提として具体的な話し合いをしているような感じを一般に与えるということは非常に問題だと思うのですよ。そこで、この間も私地元北海道新聞を見ますると、もう毎日のように閉山問題が記事となって載ってくるわけです。そこで国会議員というのは一体何をしているんだ、法案予算国会で持っていながら、閉山問題についてはさっぱり具体的に議論もされないし、その方策を検討する気配も見えないじゃないかというようなことで、地元から私どもは非常に文句を言われているわけですよ。まあその分野は行政の範囲だから国会があまり口出しすべき問題ではないというようなことを私は言っていられない点も現にあると思うのですよ。ですから、いままで通産省とどこの会社か知らぬが話し合われた、そのことそれ自身が今日の段階で妥当なものであるかどうかということが一つと、それから、これからどういうふうになるのかわかりませんが、どんな話を具体的にされたのか、この点は中川局長でなければ御答弁ができないとおっしゃるなら、中川局長から御答弁いただいてもいいのですが、話をしたことはどうも事実だし、たとえば明治鉱業の場合、安川さんも記者会見で通産省と話し合ってきましたし、しております、こう言っているわけですから、話し合いはあったらしいが、具体的にはどんな話し合いをしているのか、中身を知りたいわけです。国会ではこれから新石炭対策をどういうふうにやるかという議論もしないうちに、行政だけがぼんぼん先に進んで、あたかもそれを前提にして、閉山した場合にはこうなる、ああなるというのはとんでもない話だと思うのですよ。どうですか。
  18. 植木光教

    政府委員(植木光教君) 大矢委員がおっしゃいましたとおりでございまして、私どもも全く同感でございます。明治鉱業から解散をせざるを得ない事情にあるという申し出があったことは事実であるということはこの間申し上げたとおりでございますけれども明治鉱業以外からは申し出はございません。先ほど局長が言いましたとおりであります。ただ、杵島炭鉱については非常に困難な経営状況にあるということはもう御承知のとおりでございます。しかし通産省に対して特別の申し出があったわけではございません。麻生につきましても同じような状況にあります。なお、明治鉱業から、それじゃどういうことを具体的に言ってきたのかということでありますが、大臣のところに来ましたときには、会社としては解散をせざるを得ない事情にあるので、十分労務者の問題、あるいは産炭地域の問題等について御協力をいただきたいというようなことを申してきたというように私はお伺いをしております。事務的な段階でいろいろな話し合いが行なわれておるようでありましたが、これは局長から答弁をさせていただきます。  結論として申しますと、おっしゃいますように、まだ予算法律案も審議する前の段階にある状況の中で、非常にはなばなしく閉山について世間一般に流布されますことは、まことに遺憾であるというように私どもも思っております。
  19. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) ただいま政務次官から答弁がございましたけれども、おっしゃるようにこれからの国会審議を控えている状況でございまして、私ども明治鉱業関係者といろいろ話をしておりますことは、前回この委員会でもお答えいたしましたように、今回国会に御審議をお願いしております私ども法律案並びに予算案、これを国会がお認めいただけたならばという前提に立っての細部の事柄について、会社側からいろいろ適用上の意見、質問というものを私どもが受け、私どももまだ法律の御審議を控えているわけでございますが、その上にさらに政省令段階で細部をきめなければならないというものもございますので、そういうものを定めますに際しまして、実態的に運営が可能になるような、実効のあがるようなものを詰めさせていただこうと、こういうことでございます。  それからもう一つお断わりをしておきますのは、明治鉱業が全社解散の意思を私どものほうに申し述べにきたということではございませんで、会社全体として考えますと、今後の経営継続には非常に問題がある。おそらくは全部残すということは不可能であろう。ただしかし、産炭地域の問題、あるいは従業員に対する問題等々から考えまして、もしも部分的に残し得ることが今度の施策の中でも容認されるならば、それがどういう形の場合に容認されるのか、その際の制度の適用はどのようなことになるのか、これは退職金の問題もございますし、鉱害処理の問題もございますし、いろいろ問題がございますので、それらをひっくるめまして、いわば特別交付金の適用のしかたというものにつきまして、細部の制度を考えました通産省考え方というものをいろいろ尋ねてきておる。それにつきましては、私どもおおよそこう考えているということだけで言えるものは申し上げますし、話を聞いた上で、まだきめてはおらないけれども、こういう方法でその個所は考えていかなければならぬというものにつきましては、なるべく実態をお聞きする、こういうことでございます。
  20. 大矢正

    大矢正君 中川さん、こういう問題は本来であれば法律、あるいは予算審議のときにやるべきことで、調査案件としてやる内容のものではないのだが、たまたま新聞その他で閉山がどうも急速に進むらしいという情勢がありますから、われわれもやむなくここに閉山問題だけを取り出して議論しているわけですが、しかしこの議論を詰めていくと、どうしても法案とか、予算、そういう内容政府の新石炭対策にぶつかってしまうわけですよ。したがって、別に法案審議をしているわけではないが、そこまで問題が発展することをひとつ御了承してもらいたいと思うのですよ。  そこで、いまあなたが言われたのですが、法律予算審議をしている段階で、なるほど通産省には明治鉱業だけしか言ってこないという政務次官答弁でありますから、それを信頼したとしても、そのことが新聞その他で書き立てられて、現に稼働中のほかの炭鉱に与える影響というものは非常に大きいのですよ。われわれも何かこう率直に言って、ばかにされているような感じがするのです。まだ議論をしないうちから金は一体幾らもらえるだろうなんということを前提にして、何月何日から閉山、山をつぶしますよと、そんなばかな話があるかと私は言いたい。したがって、私どもは感情的にたとえば新石炭対策で理解されるところがあったとしても賛成できないということにこれはなるのですよ。そうじゃないですか。しかも明治鉱業というのは私が申すまでもなく、長い間国が特別の手当てをしてきた炭鉱でしょう。ですから、おそらくきょうあすあたり労使協議会か何かしりませんが、開いて、会社側から、かりに四月一日以降閉山するというような提案がなされたとすれば、それはどう考えてみても、中川局長がそういう提案をしてもいいというような意思表示をされたからそうなるのではないかという感じがしてならないわけです。なぜかと言えば、いままで政府にやっかいになってきた、よその炭鉱以上にやっかいになってきた明治鉱業中川局長や、大臣や、政務次官などそういう人たちに何月何日から山を閉山したいのですがどうですか、ということを聞かないで、かってに——それは法律的には問題はないでしょうが、道義的に私はそういうことはできるものではない。とすれば、あなたがもうそろそろ閉山を出してもいいから出せよ、と逆にけしかけたのではないかというふしが出てくるわけです。どうですか。
  21. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) たいへんだだいまおっしゃいましたことは、お気持ちなり意味合いなり何なりは非常によくわかります。しかし、あえておことばを返すようなつもりで申し上げるのではございませんけれども、いま大矢委員がおっしゃいましたように、いままで非常に手数のかかってきたいろいろな特別な制度、再建資金というようなもので政府が可能な限りの手を打っていままで企業経営の継続をさせてきた会社であることは、大矢委員が一番よく御承知のところでございます。実は私どもの気持ちから申しますと、あらゆる意味で新対策を御審議いただいた上での処理にいたしたいということで考えてきたわけでございますが、もう一つさかのぼって考えますと、昨年の春以来石炭鉱審議会審議をしている段階、これもいま大矢委員がおっしゃるのと同じ気持ちから申しますと、せっかく審議会検討をしておる段階で、次の対策の目鼻もりかない段階で、会社が解散を決意するというようなことがあってはならぬという気持ちは、その時点では私も大矢先生と同じような気持ちで考えておったわけでございますが、昨年の春以来八カ月でございますか、かかって答申が出た。一月に閣議決定をいたしまして、本国会に御提案申し上げて、早くて三月末という目標で進めておる。この期間というものは考えますと、大体十一カ月、小一年かかっておるわけであります。その間せめて私どもとしましては、四十三年度はっぱい明治鉱業経営というものを続けさしたいという気持ちで、金融機関が、ほうっておきますと手を引く状況のところを、前々から当委員会でも御意見のありましたように、せめて新しい政策までの段階の金融措置というものを続けさせることによって、いままでしのいできたというのが実情でございます。これはいずれ新しい法律案と予算案を御説明するときに、その仕組みを申し上げなければならないことと思っておりますか、通常ならば仰ぎ得ない融資を私どもが銀行に踏み切らせる以上におきましては、その融資につきましては私どもが保証をいたさなければならぬということでございます。これらにつきましては、再建交付金の交付を受ける会社に対しましては、再建交付金の金額の中で優先的に償還をするという制度にいたしますとか、あるいは特別交付金による閉山をいたします場合に、二の経過金融分につきましては優先的にこの交付金で充足をさせる。結果といたしまして、四十三年度におきまして私どもが金融機関に頼みました金融分につきましては、銀行に損をさせない、損をさせないから出してくれ、こういうことでつないできた経営でございます。そこでいま置かれております状況は、これは明治鉱業側からの話もそうでございますし、私どもの判断もまことにそういうことであろうという判断でございますが、実は四月以降の明治鉱業の資金繰りというものにつきましては何らの見通しを持ち得ない、こういう状況でございます。そうなりますと、たとえば手形が不渡りになって解散に追い込まれるというようなことに相なりますと、先ほど申しましたように、一部のものを残すというようなことも不可能に相なりますし、せいせいとした閉山ということが望み得ないということになりますので、資金繰りについてのめどのある範囲内においてあらかじめ準備的に社会に与える影響、摩擦、打撃というものを最小限に食いとめ得るような措置を講ずるという趣旨で事前にいろいろ検討するということは、私は置かれました状況におきまして適当かつ妥当、あるいはやむを得ないことではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  22. 大矢正

    大矢正君 中川さん、発言のあげ足をとるわけではないが、どうもあなたの話を聞いておると、最終的には明治鉱業はこの際企業ぐるみやめたほうがいいということに同意を与えたというふうに聞こえるんですね、率直に言って。あなたの長々としゃべった中で大事なことは最後のほうだと思うのですが、最後にきたら、やはりこの際閉山するのはやむを得ないのだという一つ考え方を相手側に与えたような話に聞きとれるのですがね。あなたはほんとうは明治鉱業に対して、そうですね、あなたの会社はだめだからやめたほうがいいと言ったんじゃないですか。
  23. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 私はいま現在用意しております対策と、明治鉱業が置かれておる客観的な状況というものについて、明治鉱業が見ておる見方と大差のない見方をいたしておりますということでございます。それから先をどう考えるかということにつきましては、特別にいま大矢先生のおっしゃったようなことを申し上げたわけではございません。もし明治が全山閉山ではなくて一部のものを、もし政策がこれを許すならば、いまの政策の中で許されるならば考えたいという気持ちを持っておることについては、これは私は全山閉山という状態よりも一部でも残していただける方法があり、かつその方法についてわれわれも新しい法律予算の中で考え得るならば、これは全山閉山と比較しての立場で申し上げますと、その方法をとるべきであるということについては、私は十分明治鉱業の意見に賛成でございます。いま置かれております状況から見て、明治鉱業が全山閉山になるのか、そういった意味で部分的に残すことに相なるのか、これはどういう考え方でおるのか、私はいまのところは承知もいたしておりませんし、またそれらの意見に対して私どもで是非の判断を下した覚えもないわけであります。
  24. 大矢正

    大矢正君 あのね、中川さん、どうもおかしいと思うが、政務次官、この間の委員会で私こういう質問をしたはずなんです。政府の新石炭対策というものは片方が予算で片方が法律だ、この二つがからみ合ったときに政府考えておる新石炭対策が発足をし、施行されるのだ、こういう解釈で間違いないかと言ったら、あなたは間違いないと言った。そうすると、いま現に局長答弁をされていることは新石炭対策に基づく措置なんですよ。そうすると、私ども法律議論予算議論もしてない段階でそういうことをされることがたえられないと言うのですよ。私どもは、ばかにされているのか、あるいは他に魂胆があってやられるのかわからないが、これはあなた通産省のお役人さんと違うわけだから、もっと国会全体ないしは国会というものとあなた方の行政というものとをからみ合わせて考えてみた場合に、私どもの言うことが間違いないのか、無理なのか。いままでめんどうを見てきて育ててきた明治鉱業でしょう。もう少しすれば予算も、あるいは場合によっては法律も決着がつくかもしれない、それは何カ月後になるかしらぬが、これだって一年も二年も先だという話はないわけでしょう。そういうことをこの際やったり言ったりなぜできなかったのか、できないのかということが問題なんですよ。お答えしてもらいたい。
  25. 植木光教

    政府委員(植木光教君) おっしゃるとおりでございまして、まだこれから予算にしても法律案にしても御審議をいただくという段階であります。また、この二つがそろいませんと新石炭対策というものは実施できないという状況なんでありますから、したがって、この段階での具体的な、どの山がどうなるというようなことについて論議されるということはまあたえられないとおっしゃるのは、私も全く同感でございます。ただ明治鉱業の場合、たいへんむずかしい事態に逢着をしているということは御存じのとおりであります。それの中で明治鉱業としては、いま一生懸命努力をしているわけなんで、その努力の過程の中でいろいろ通産省に対して指導などを仰ぎに来る、あるいは協力を依頼しに来るということも、これは会社自体としては当然あるべき姿であるということも御理解いただけると思います。その範囲内におきまして論議されているというふうに御理解をいただきたいと思います。通産省といたしましては、もっぱら一日も早く予算案並びに法律案が同時に成立をいたしますように御協力をお願いをしたいと思います。
  26. 大矢正

    大矢正君 中川局長ね、企業ぐるみ閉山というのはどんなことなんですか。たとえばその会社ごとなくしてしまうということなのかね。そうじゃなくて、この山全部をやめてしまう、しかし会社は残るという状態なのか。この予算の中であらわれてきている企業ぐるみ閉山のところに対する特別交付金というのは、具体的にどういうものなのか。これはいまの閉山問題と非常に密接な関連があるから、この際聞いておかなければならないと思うのです。うわさによると、明治鉱業は解散すると大体幾らぐらいもらえる、そうすると金融機関に幾ら返して、労務者の未払い賃金に幾ら払って、退職金に幾ら払うという計算までちゃんとでき上がっているという話もあるくらいだから、これはさっきから言っているとおりにけしからぬ話であるし、絶対に容認のできないことではあるが、明治鉱業会社ごと閉山に踏み切る具体的な根拠になっていると思われるその企業ぐるみ閉山特別交付金というものは、どういう条件のもとに、どの程度の基準によってこの金を出そうとしているのかですね。
  27. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) これは後ほど法律案を御審議いただきます場合に当然問題になってくる事柄でございますから、その際詳細について御審議を賜わりたいわけでございますが、審議会並びに審議会答申を受けまして私ども法案考えました際の基礎になる考え方といたしまして、かなり大きな会社であって、その会社自身として非常に大きな債務をかかえておる、この債務は大別して考えますと、一つ労働者に対する債務であり、一つ一般債権者、資材納入業者その他に負っておる債務、金融機関に負っておる債務、もう一つは鉱害債務である。この債務の大きさというものを考えますと、当該会社の持っております資産というものをはるかに超過するという事態がございます。で、これはもし先行きに非常に見込みがございますならば、ある時点において資産と負債を対比いたしまして負債が大きいといたしましても、将来の収益によってそれをバランスさせるように持っていけるという見きわめがございますならば別でございますけれども、そうでもないというものにつきまして、新しい政策以前の一般的な制度といたしましては、トン当たり二千四百円程度閉山交付金しか法制的、体系的には用意されておらない、そういうことでございます。そこで、もしこれらの会社会社として解散するという事態考えますと、それぞれに対しましてトン当たり二千四百円程度閉山交付金を交付したと考えました場合に、どのような一体弁済率になるかということを考えてみますと、殷鑑遠からず、たとえば大日本炭砿のようなケースもございますし、大辻炭鉱のようなケースもございますし、労働者に対して退職金の半分をようやく見てやれるかやれぬかという事態であるとか、あるいは資材納入業者等に対しまして負っております債務に対しまして一割程度の充当ができるかできぬかという事態が昨今ございましたので、さようなことでは、当該会社に対してと申しますよりも、その会社に依存をいたしておりますいろいろな取引の相手、なかんずくその従業員に対して耐えられない影響を与えることに相なりますので、これらのものにつきましては、一律的な閉山交付金ということでなくて、当該会社を清算した上におきまして残った超過債務というものに対しまして、それぞれの一定率を充足してやれるような閉山交付金制度を考えるべきではなかろうか。こういうことから発しまして、たとえば退職金等労働債務につきましてはおおよそ七五%を目標にする、その他債務につきましてはおおよそ五〇%というものを目途にする、それだけのものを債務にリンクして交付してやるならば、やむを得ざる会社の解散という事態があっても、そこから生ずる関連者への打撃、影響というものは従来則による閉山制度よりはよほど有利に相なるであろう、こういうことで考えましたのが特別交付金の制度でございます。このことを合理化法の一部改正の中に盛り込んでおるわけでございます。そういう特別なものでございますので、これにつきましては、臨時的なものといたしまして期間も設定いたしますし、かつまた、この際新しい施策の発足にあたって大きな混乱を起こさないという意味合いにおきまして、ある時点までこの制度の適用につきまして若干のものを残すことについても特別の配慮をいたしたいと、こういう措置をいま準備いたしておる状況でございます。なお、細部につきましては、政省令の段階等におきまして最終的に決定をいたすつもりでございますが、これは法案審議段階におきまして御説明をいたしたいと考えておる次第でございます。
  28. 大矢正

    大矢正君 何回も言うようだけれども、本来であれば法律が回ってきた段階議論すべきことなんですよ。きょうここでやりたいという気持ちがあって私がやっているわけじゃないんですよ。ところが、われわれが審議も始めないうちから、どんどん山をつぶすようなことをかってにきめて、そして、企業ぐるみ閉山だから金をよけい出さなければならぬとか、そういう議論を進められるから、われわれも黙っていられないわけですよ。まあ法律のときに具体的に議論してもらうといういまの中川局長のお話だけれども、しかし現に明治鉱業との間に、会社を全部つぶした場合にはどの程度の金がくるのだというような話をしているわけでしょう。そうじゃないんですか。全然そういうものはないんですか。もしあったとすれば、この場でもって具体的に、どの程度でもってやるのだというふうなことは出てくるはずじゃないですか。
  29. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) いまの法律を実施に移します場合の試算というものにつきましては、会社側から質問もございますし、私どもも可能な限りの試算につきましてはこれを教えております。
  30. 大矢正

    大矢正君 いやがらせで質問するわけじゃないんだけれども、意地の悪いことを言うようかしらぬが、私がこういうことを言うことによって明治鉱業があるいは損をすることになるかもしらぬけれども、さっきから言っているとおりに、大体国会というものが無視をされているんだから。国会できまらない新石炭対策がもう実行段階にまでいくというのですから、とんでもない話なんです。だから私はあえてこう言っているわけです。たとえば明治鉱業の問題については新聞等では、九州の二山はこれは第二会社か新会社かしらぬが、残す、あとはつぶすんだというようなことが新聞等に書かれているわけですね。そう大した間違いでないだろうと私思うんですよ、会社考えていることは。たとえそれが第二会社であるか新会社であるかにしても、企業ぐるみ石炭から撤退するわけじゃないわけでしょう。その際になぜ特別の交付金を出さなければならぬのだという問題が出てくるのですよ。そういうことを私が言えば、それは損することはわかっていても、意地悪いようだけれどもそこを言わなければいかぬし……。
  31. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) まあこれは大矢委員のおっしゃることは私も非常によくわかるつもりでございます。確かに通常の状態であれば、先ばしった行動に明治鉱業といえども好んで入るつもりはないのだろうと思います。先ほど申しましたように、私ども精一ぱいの努力といたしまして、今年度の経過金融というものについての配慮をいたしました。しかもそのことは、四十四年度の予算に直ちに響く事柄でございまして、もしその手当てなかりせば、他の石炭企業安定補給金なり何なりで与えられる性質の金であったかもしれませんという前提に立ちますと、全体の石炭鉱業の中から出しておる、こう申しますか、あるいは全体の石炭対策特別会計の財源の中で、いま大矢委員おっしゃいましたように、答申審議中に少なくとも大手の会社が脱落するというような不穏当、不適切な事柄のないようにということで配慮した結果がさようなことでございます。その期間が先ほど申しましたように、かなりかかっておりますので、率直なところ、かりに四月一日以降どこまでのことは絶対責任を持ってやるからと言うこともまた政府の立場といたしましては、御審議を控えております状況におきましては、私ども約束をし得ないことでございます。そこで、仮定の問題といたしまして、いま用意しております施策を実行に移すことに相なった場合にどういう計算に相なるだろうかということを内々会社が知りたがり、私どもがそれに対して教えておる、こういうことでございまして、これは不幸にしてああいう新聞記事なり何なりということで、大矢先生もおっしゃいますように、まことに時期から見て不適当な事柄でございます。私どもも、いやそんな事実は一切ございませんと言って言い終えるものでございますならば、むしろこういうことにはいたしたくないという気持ちは、政務次官がおっしゃいましたように、私ども持っておるわけでございますけれども、与えられた困難な状況の中で、より悪い状態というものを念頭に置きますと、やはり予防策といたしまして、ある程度の腹づもりをあらかじめしておいていただかないということでは、かえって結果は悪くなるのじゃないかというようなことが、私どものむしろよりおそれるところでございまして、通常の産業と違いまして、大矢委員も御知承のように長年あの手この手を使いまして、これら再建会社につきましては手だてを講じてまいりましたので、今回さらに特別交付金というような手だてを講じましたからには、これ以上なかなか私どもとしてもやり得ますことに限界がございますので、この制度がどういうものとして構想され、どのようなものとして数値を設定しておるかということについては、私はやはり教えてあげるのが適当ではなかろうかと思ってさよう措置をしておるものでございます。あくまで、どの山をどうするということにつきましては、会社側が正式に意思決定をいたしますまで、それまでにはおそらく労働組合の諸君とも会社側は腹を打ち割った話、会社実態をさらけ出した上での話をいたすはずだと思います。それまでは、私どもはどれを残してどれをどうせいということは毛頭申すべきではないという立場だけは堅持しておるつもりでございます。
  32. 大矢正

    大矢正君 新聞等で報じられるところによると、九州ではどういう名目になるのかしらぬが、二山は残すのだ、明治鉱業の場合、北海道の二山はこれは全部つぶすのだというようなことになっておるわけですよ。しかし、企業ぐるみだということで全部一たん買い上げてもらって金はもらう、それで山は従来どおり——会社の名前が変わるか、別会社であるかは別として、それがそのまま残って石炭を掘れるというと、そんないいことはない、みんなやってもらいたい、明治鉱業だけに限らず。しかし、そういう発言を私がすることは決してプラスになる発言じゃないと思うけれども、きょうの本題は、閉山をばらばらとかってに提案をするというやり方が気に食わぬから言っておるわけです。  そこで政務次官、私心配することは、いまの段階では明治鉱業だけが通産省に言ってきたということになっておるようだけれども、これは遠からず明治鉱業の動きを見ていて、これはうまくいきそうだと思ったら、じゃ、おれのところもおれのところもといって大手の中ではすぐ続いて出てくるし、中小も出てきますよ。法案が論議されない段階で次から次にそういう閉山が出てくるような状態では、全部閉山が出てこなかったら議論できないことになりますよ。新石炭対策をやるのに、まだその議論が始まらないのにどんどん閉山が出てくるならば、それじゃ閉山が出てくるやつを全部出してから、それからあと石炭対策議論したらいいのじゃないですか。これは国民注視の中の議論ですからね、自分だけが満足すればいいことじゃないですよ。四千億の金を使うことに対していろいろな批判が出ておるわけです。だから私が心配をするのは、いまは明治鉱業だけだというようなことで簡単に逃げておられるが、月が変わったら、ほかの山もどんどん出てくるかもしれませんよ。そうしたら何のために議論していたのかわからぬですよ。新石炭対策というのは山をつぶす対策ということになってしまう心配がある。そういう心配があることについて政務次官どう思われますか。
  33. 植木光教

    政府委員(植木光教君) 新石炭対策というものは、御承知のとおり何も閉山を目的としたものでは絶対にございません。石炭再建のための新しい方策であります。したがって、いまお話のような事態が起こったらどうするか、全く私どもとしても同じ意見であります。明治鉱業につきましては、先ほど申しましたように会社自体が非常に重大な事態に立ち至っている、その中でいろいろ努力をしているわけであります。その努力の過程において、通産省に対して、どういうふうにすれば従業員あるいは産炭地域、あるいは金融機関、あるいは債権者、いろいろ関連するものが多いわけでありますから、それをどういうふうにそういう問題に対処していくかということを事務的に相談に来ている、それを事務的に相談にのっているというふうに私どもは理解しているのであります。したがって、新石炭対策というものが御審議によって成立をしましたあと、これが目的とする石炭再建策というものに鋭意努力をしていくという日が一日も早くくるようにということを私どもの願いとしているわけであります。
  34. 小林武

    ○小林武君 一つだけお尋ねしますが、いままでの質疑を聞いておって、石炭局長お尋ねしますが、大体あなたのお話だというと、新石炭政策というものは結果的に——これに対して賛成反対は別にして、当初の考えというものは大体結果的にくずれる。極端なことをいえば、法律予算も新石炭政策を実現するためのあれですから、それが当初とは何の意味もないことになりはしないかということになりますが、どうですか。これはぼくが考えれば、この石炭政策というものが法律予算的にかなったところの一つの形をつくろうとすれば、閉山であるとかいろいろな問題については一時やはりストップの状況が出てこなければならない。その中で新しい対策にどう対処するかというやり方をやらなければ、これは政策じゃないと私は思う。その間にどうなったらこうなるという、これは企業の側にしろ、他の場合にしろ、労働者の場合でもそうなんです。労働者の場合は山を守るという気持ちがあるから、案外その点では山に対して愛着を持っていまがんばっておる。企業一体この先どうなるかという利害の関係にだけ立っておると思う。どうやったらもうかるかという、もうかるかというか損をしないでできるかということだと思う。そうすると、石炭局長の相談に応じたということ、それから政務次官の話もいまのことをいえば、結局あなたは新しい法律予算一つの目当てにした石炭政策とは別個の企業の立場に立った一つの対策に手を貸していることになるわけです。そうでしょう。そうなったら結局どうなんですか、当初の構想というものは全くなくなるのじゃないですか。
  35. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 御意見を的確に私理解をいたしたかどうかちょっとわかりませんが、施策というものは、やはり大きな施策を講じようと思いますと、たとえば石炭産業の場合には、審議会で一ぺん議論をしていただく、その結果政府も一ぺん考えてみて、その上で国会の御審議をお願いするというようなところで区切りがあるわけでございます。片方企業というものは一日も休みなく経営を続けておるわけでございますから、おっしゃいますように新しい施策を適用いたします前に一時進行をストップするという気持ちは、お気持ちとしてはわかりますけれども、実際問題としてはこれは不可能なことでございます。特にまあ私どももその責めがあるのでございますけれども、先ほど申しましたように、実質的に一年くらいもかかっておった。いわば私どもの気持ちといたしましては、四十三年度はなるべく先生方のお気持ちに沿って、新しい事態によって会社の解散、閉山等が進行する、実勢のままでいけば私はもっと進行したと思うのでございますが、これを小林委員のおっしゃるようなストップをさせるような気持ちでささえてきたことが、先ほど御説明いたしました無理な経過金融でございますとか、いろいろなことをやってきたわけでございます。全体としての経済の流れ、企業経営というものから見ますと、やはり人為的にどこかで時間がとまれというようなことはなかなかできないわけでございまして、ちょうど御審議を願って、御審議が終わりましたときから生々と動き出すのと、会社の無理と申しますかそういった進行の限度精一ぱいになってきたところとが非常に近づいてまいりましたために、いま先生方から御意見を賜わっておるわけでございまして、私はもうその趣旨では、冒頭大矢委員にお答えしましたように、お気持ちは非常によくわかりますということなんでございます。ただ、いかんせん事態の進行というものを考えますと、なかなかそうもいきませんし、片方、また新聞等も私どもの思うようにコントロールできる筋合いでもございませんので、どこかからにおいが出てくるというものはなかなかとめがたいということでございますので、お気持ちに沿いまして、なるべくこの期間に、新しい事態の発生だというふうによそから見られるような事柄を食いとめるということにつきまして、私どもも最善の努力をいたしたいと思っております。
  36. 小林武

    ○小林武君 あんまり的確につかんでいない、ぼくの言うことをよくわからないらしいんですけれども、少なくとも審議会というものはあれでしょう、動いているとあなたおっしゃるんだけれども、働きつつある一つ企業というものをそれを実態を見ながら出す結論でしょう。それをそのままにとにかく放置していくならば、石炭産業の将来というのはどうなるんだろうという予測の上に立って審議会一つの新しい政策を出していく、それは間違いないでしょう。これはストップと言ったって、そのストップというのは考え違いしてもらっちゃ困る。とまっていたら一体労働力の需給関係はどうなるか、資金関係から一体企業はどうなるか、そういう観点に立って審議会というものは一つの結論を出すのですよ。それは動きつつあるものの中に一つの方向性をやっぱりとらえていくものなんですよ。そうでしょう。したがって、そのことが少なくともいいか悪いかわからぬけれども、しかしそこに一つの結論らしいものを出した。あなたのほうでそれについて一つ予算法律をあれするだけの立場をとったとすれば、その結論というものに合うようにやはりものを仕組まなければならぬでしょう。その場合、当初いろいろな考え方が出てきた、石炭審議会のやり方いかんによっては、なだれ的な一つ状況が、閉山状況が起こるのではないかというような不安を労働者にも与えたし、これは地方自治体にも与えたことは御存じのとおりでしょう。これに一つの力なり方向を与えるということ、これが石炭審議会の結論じゃありませんか。そのときに、その持っている政策の力や何かを減殺するような、ある意味においては無意味にするような行動というものが政策を担当する者、行政を担当する者の中から出るのはおかしいじゃないですか。しかも、その結論が出ないうちにそういうことをやるというのはどういうことですか。ぼくはそれがわからないというのですよ。ただ、あなたいま新聞をコントロールする力がないとか何とか言うが、これは単なる言いわけだと思いますよ。しかし、企業からいろんなそれらの不安な状況で働きかけがあると思いますけれども、ぼくはあなたの気持ちはよくわかる。あなたの気持ちはよくわかるけれども、それにたえることがすなわちこの場合政治じゃないですか。行政じゃないですか。ぼくはそう判断するのですよ。この予算が全部通って法律が通るころには、全部とにかくいままでの石炭政策というものはかたわの存在になって出てきたということなら、これこそ四千億の金の使い方について、いままでたいへん議論されたように、むだ金ぶち込んだということになりませんか。そういう石炭の当事者に対しても、それから国民に対しても、ただで金を使うわけではないのですから、私がそういうことを言うのは間違いかどうか。政務次官、あなたぼくの言うことがわからぬというのなら、何べんでも言うから、何べんでも聞くからひとつ教えてください。
  37. 植木光教

    政府委員(植木光教君) 小林委員のおっしゃることはよくわかります。
  38. 小林武

    ○小林武君 今度はわかったか……。
  39. 植木光教

    政府委員(植木光教君) はい、わかります。今度の新政策が出てまいりますまでに、いろいろ学識経験者の意見を聞きましたり、通産省通産省としての意見を述べてきました。またこの政策がどういうふうに落ち着くかということについて企業側も従業員も、あるいは産炭地域も注目してきたわけでございます。したがって、これはそういう企業だけの問題ではありませんで、そこに働く者、また産炭地に重大な影響を与えるからこそ、審議会も、また政府としましても努力をし、また多大の金をかけるという方向に進んでいるわけなんでございます。その法律が成立をします前に、あたかもこの新政策閉山のためにつくられたかのごとき誤解を与えるようなことがあるということは、これはまことに遺憾千万だと思う。したがって、ただいま御注意をいただきましたこと、また御意見につきましても同感でございます。この点については十分今後も注意をしてまいりたいと思います。
  40. 小林武

    ○小林武君 一言だけ。まあこれは後ほど議論されることですから、先ほど来申されているとおり特別長々と申し上げません。私が言うのは誤解とか何とかという問題じゃないと思うのですよ。誤解なんというのは、見たところそうだけれども、中身はそうじゃなかったというのが、それが誤解なんです。これは中身も何もどこをめくってみてもみなそうだということなんですよ。そうでしょう。それでは私はだめなのではないかということです。これはだからそうなれば、われわれがこの問題を取り扱っていく上において、非常な事態が、予測せざる事態が起こったという場合には、それじゃどういう方法によってこれをわれわれが当初考えた方向に一体とどめるかどうかというようなことも、これは私はこの石炭特別委員会に寄せられた一つの使命だと思うのですよ。誤解だなんてことばじりをとらえるわけじゃないのですけれども、誤解だとか何とかいうことじゃないが、これを一番的確につかんでいるのは、私は産炭地の皆さんだと思う。これは、党派が違うとか何とかいうことは抜きになっていますよ。これはもう与党といわず野党といわず、この問題はたいへんだなあと北海道なら北海道の議員のところで言いますよ。だから私は、この問題はとにかくやはりほんとうに実態を的確につかんで、そうして対処するとか議論するとかということ、ただあげ足をとるとかいうことだけじゃなく、とらえなければならぬということから申し上げているわけです。いずれまた申し上げますけれども、きょうはこれで私は終わります。
  41. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま答申閉山関係が論議されておりますから、私も質問に入る前にそれで一つお尋ねしますが、いま政務次官は、今度の答申の目的は閉山が目的じゃないと、山をつぶすのが目的じゃないのだと、こうおっしゃいましたが、しかし、どうも私たちもふに落ちぬ点があるのですね。この四十三年度産炭量は政府の発表で四千六百五十五万トンという数字が出ているわけですね。ところが、あの答申によりますと、四十八年には三千五百万トンにするという数字がすでにもう示されているわけですね。そうしますると、四十八年度までの五年間に千百五十五万トンは減らさなければならぬという、こういう前提のもとに立ってあの答申がなされ、予算が私は組まれていると思うのですよ。そうすると、五年間に千百五十五万トン減らすとなれば、少なくとも一年間に二百三十万トン余りの石炭を減らさなければならぬ。そういうことにならないと、私はあの答申が根本からくずれてしまうと思うのですよ。それであの三千五百万トンというのはどういう意図をもって出された数字なのか、そこをちょっと説明していただきたい。
  42. 植木光教

    政府委員(植木光教君) お説でございますけれども答申の中にはそのような数字はございません。これは一度答申をお読みいただきたいと思います。四十三年度は四千六百五十五万トン、これは確かにそうでございます。ただ、これからの出炭の推移を内輪でいろいろ見積もって、この委員会で大臣が答弁をいたしましたように、年平均四千万トン程度ということはここで申し上げました。大体そういうものを見込んでいるというようなことであります。
  43. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一ぺん質問しておきますが、そうすると、今後のやり方で閉山が出ない、その今日の現状がずっと続いていくと、こういうことになったら、いまのあの答申の中にはじかれている四千二百億円とか一千億というあの金は、一体どういうふうに処置をすることになるのですか。
  44. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 須藤委員にお答えいたしますが、答申におきましては数量的な表現はいたしておりません。今回の審議会答申の気持ちは、まず政府の与え得る助成というものを向こう五カ年間にわたってかくかくのものであるということを明らかにした上で、経営——これは労働者も含めましてでございますが、企業の判断でその助成策の中で判断をしていただく、こういうたてまえになっているわけでございます。ただ、事務当局の私どもといたしましては、これは特定されております一定の財源の中でいろいろ政策考えますけれども、その助成策を適用いたしました場合に、おおよそどれくらいの出炭が見込まれるかということについての予測はやはり持っておらなければならない、こういう感じでございまして、これらは需給その他との関連もございますので、必ずそうなる、そうするというものでもございませんけれども、いまの助成費の中で各企業が働いてくれるならば、おおよそこのくらいになろうかという数字は一応の試算として持っているわけでございます。それは先ほど須藤委員がおっしゃいましたように、四十八年度時点におきまして三千六百五十万トン程度のものと、政務次官が先ほどお答えいたしましたように四千六百万トンと三千六百五十万トンとが五年間で平均をいたしますと、年間大体四千万トン程度と、こういう感じに相なるわけでございます。これはあくまで一つの試算でございまして、いまの助成費の中でもっと働いてもっと炭を出すという気持ちで皆さんが一生懸命にやってくださいまして、結果が三千八百万トンになりましてもあるいは四千万トンになりましても、これは政府として、もっと低目に試算をしたのだからそんなに生産をしてもらっては困るという立場では毛頭ございません。それは出せるものなら出していただきたいと、ただ、特定財源でものを考えておりますので、ある出炭量をキープするためにもつと助成費をふやせと、こう言われましても、大体五年間の収入財源というものを見通して、細部の手直しはあるといたしましても、助成策の大幅は五年間適用するものとして考えていきたいという気持ちでございますので、その中で判断をしてもらいたい、こういうことでございます。おっしゃいますように結果として、もしわれわれの想定よりも多い出炭量に相なりました場合に、トン当たり安定補給金というのも出しておりますから、当然にこの安定補給金の額はふくらむわけでございます。そこでいまお尋ねになったと思いますけれども、これは私どもとしてはかまわないという感じでございます。と申しますのは、それだけの出炭が出てくるということは、逆に片方いまの予算の中では閉山費用も含んでおりますので、そういったあと始末の金が少なくて済むことになります。大体全部をひっくるめて申しますと、まあ予測がそう大きな幅でぶれるということもございませんと思いますので、かりに四千六百万トンことし出しておりますものが、五千万トンになるというようなことは私ども考えておりませんけれども、かりにそうなったといたしますと、おそらくそれが合理的に出るということは、一つ閉山がないということでございますので、予算の中で用意しておりました閉山費用を安定補給金の費用に切りかえればいいだけのことでございますから、全体としての調節は、それは予算は毎年度お願いしておるわけでございますから、そのときの調節で幾らでもやり得るだろう。ただ五年間助成費と閉山に対する補助金というものにつきましての大まかな体系だけは四十四年度の発足にあたって、企業側が判断できるように明確にこれを示したいと、こういう気持ちでございます。
  45. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私がさっき言ったのは、植村構想のときのあの考え方から質問をしているわけですが、いま政府の持っている考えは最初の植村構想には立ってないと、こういうことははっきり言えるわけですね。そうしてだんだんと石炭は、四十八年度には三千五百万トンくらいになりはしないか、三千六百万トンくらいになりはしないかという構想を持ちながら、それがそういうふうにいかなくて四十八年度に五千万トン、六千万トンになることもあり得るという覚悟でおると。しかし政府考えの中には、むしろ減っていくことを希望しているのか、ふえていくことを希望しているのか、そこはどちらなんですか。
  46. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) これは私どもは気持ちといたしましては、ふえていくことを希望いたしております。これは当然のことでございますが、置かれております情勢は、むしろふえることはなかなか期待し得ない。むしろ減りぐあいというものをある程度なだらかに持っていくために、石炭経営を続けていくという企業に対して相当の応援をしないとキープできないという前提に立ちまして、トン当たり安定補給金でも五百円、三百円という、いままでにない補助金をつけ加えたわけでございます。  それからもう一つ企業側の判断によりますけれども、この期間にある程度のやむを得ない閉山というものも起こり得るという前提に立っております。これはもう答申をお読みいただくとわかると思いますが、起こり得るという前提に立ちますと、この閉山によるショックというものもなるべく小さくするように、閉山にあたっての国の対策というものを従来よりも手厚くしようではないか、こういういわば両建てのかまえに相なっておるわけであります。そういうことでございますので、私どもといたしましては、いまの閉山対策に要する費用と、維持継続に対する助成費用というものとのにらみ合いにおきまして、もし観念としてふえたらどうかという御心配がありましても、ふえて一向差しつかえはございません。むしろ望ましいことでございますという立場をとっておるわけであります。
  47. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまふえることが望ましいということを伺がって、私もそれに対しては同意を表したいと思うんです。従来何だか減る方向に政府政策がいっているように感じられたから、私たちは非常に考えざるを得ないという立場にあったんですが、いまではふやす方向、そういうふうになりますと、それじゃ政府として今日石炭をだんだんふやしていくことを考えているなら、ふやしていく政策というものがなきゃならぬと思うのですが、具体的にこの石炭を四十八年度に五千万トン、六千万トンにふやすためにはどういう施策考えていらっしゃるのか、そこを聞いておきたいと思うのです。
  48. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) ただいまお答え申し上げましたことは、結果としてふえた場合にどうかということに対してお答えを申し上げたわけですが、いま置かれております石炭鉱業の実態から見ますと、年々コストは増高いたしてまいります。御案内のように販売価格というものはまあ長い期間をとりますと、幾らか変わるかと思いますけれども、現状はそう大きな単価の値上がりというものも見込めないという状況でございますので、ほっておけばだんだん減るだけ。答申をお読み願うと、冒頭に書いてございますように、むしろ現行政策のままでいけば、石炭鉱業全体が壊滅するという危険性があるという前提に立ちまして、少なくともそういう壊滅的な崩壊にならないように石炭鉱業全体としての再建を考えなければいかぬ、こういうことで審議会答申が出ておるわけでございます。そのために従来にない再建交付金の交付でございますとか、安定補給金の増額だとかというようなことを考えまして、予測されるコスト増高に対しての国の助成というものを厚くすることによって、可能な限り石炭産業というものを再建したい、こういうことでございます。特別にいまの四千六百万トンを五千万トンないしは六千万トンにするための施策というようなことで考えたわけではございません。
  49. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ五千万トン、六千万トンが出ればそれもけっこうだと言いながら、やはりそれに対する積極的な意欲、積極的な施策というものは持っていらっしゃらない。自然にふえればそれもけっこうでしょうというようなそういう態度では、私ははなはだおぼつかないと思うのです。世間では今度の対策を見たって、おそらく二年か三年しか持つまいというような意見が方々に出ているのを見ましても、政府の対策そのものに積極性というものが見られないというところに私は問題があると思うのですね。  これは私たちの党の考え方をまず先に申しますと、やはりこの石炭産業というものをほんとうに守って発展さしていくというためには、生産だけの面を考えていてもむずかしいと思うのです。あらゆるエネルギー産業全般の中で石炭の問題を解決していかなければならない、こう思うのです。それでは全エネルギー産業の問題をひとつ考えていくということになれば、今日のこういう組織では私はとうていできないと思うのですよ。それはやっぱり石炭産業並びに石油それから電気、あらゆる面を国有化という線で考えていかないと私は困難だと、抜本的な解決策というものは生まれてこないと思うのです。それは社会党さんのほうでも国有化試案とかいろいろな問題が出されているようでありますけれども、今日の段階で国有化という問題がすぐ実現できるかというと、それはちょっといろいろ問題があると思うのですね。そうすると、やはり国有化のためにはあらゆる前提があると思うのです。そういう政治情勢の中で初めて国有化が成功するのだ、できるのだという前提の上に立っているわけです。それはやっぱり私たちはいつも言っているように、社会党さんや民主戦線の連合で一つの新しい民主連合の政府をつくる中でそれができる、こういうふうに私は考えていますが、それはしかし、あるときには時間的にもいろいろ問題があるわけですね。だから、それでは石炭産業を発展させていく道がないのかというと、私はあると思う。今日の情勢の中で、このままで佐藤内閣のもとでもやろうと思えばできる条件はあると思うのです。石炭産業をもっと発展さしていく条件は、それは一つの緊急的な問題としてそれじゃどうしたらいいかといえば、私は今日まあ火力発電の中で石炭の占めているパーセントはどれだけあるかということなんですね。どれだけあるのですか、火力発電の中で石炭が占めている。パーセントは。
  50. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 昭和四十二年度における火力発電所の燃料消費の内訳を見ますと、石炭が四〇%、重油が六〇%、大体さような数字になっております。
  51. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、今日四〇%発電の中で石炭が占めておると、この四〇%を今後ずっと維持していくというならば、火力発電における石炭の使用量というものはどんどん上がっていかなきゃならぬと、こういうふうに私は考えるのですがね。もちろん発電量がどんどん大きくなっていきますから、重油の使用量も上がっていくかもわからぬ。しかし石炭の使用量も四〇%というものをあくまでも維持していくならば、やはり私は上がっていくのが当然だと思うのですね。私のほうで試算をしてみましたよ。一九六七年四〇%、これで政府の資料によりましても発電に要する石炭の量が二千四百三十万トンになるのですよね。この四〇%を今後五年間続けて一九七二年まではじけば三千九百六十四万トンになるのですよ、火力発電用の石炭の量が。それから十年後の一九七七年になれば五千四百二十四万トンになるのですよ。これは私きのうそろばんをはじいてみたのです。だからせめて今日の火力発電における石炭の使用量の率を今日並みにずっと五年、十年となぜ続けていくことができないか。そうしたら発電に要する石炭だけでも十年後には五千四百二十四万トンという数が出てくるわけです。これこそ私は十年後五千万トン、六千万トンという数をはじく具体的な方法だと思う。これはほんの一策にすぎませんけれども、もっともっとあるのです方法は。ガスのほうでもガスの使用量もふえてくるでしょう。そうしたら今日使っているガスに対する石炭の使用量ももっとふえてきますよ。それからだんだんと日本人の生活が文化的に進んでいくとするならば、あの団地などの集団暖房というものもだいぶ考えられると思うのですよ。これに石炭を使うというふうに、あらゆる面に石炭を使うようにどんどん積極的に皆さん方がふやして、そして石炭産業を発展さしていく、守っていくと、こういう積極的な姿勢があるならば、決して私は石炭産業というものは悲観したものじゃないと思うのです。だんだん発展していく可能性のある産業だと思うのです。こういうふうにいこうという考えにならないのですか。政府はどうなんですか。これに対して。
  52. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) エネルギー政策の基本は安定的でありかつ低廉であるという二つの原則が、エネルギーというものがあらゆる生産活動あるいは国民生活につながっておりますだけに望まれる要請でございまして、エネルギー・コストが高いということはそれだけ国の成長力に障害を生ずる事柄でございますので、エネルギー源というものはできるだけ低廉なものでなければならないというのが基本、これは各国通じましての基本でございます。残念ながらわが国におきましては石炭の価格と申しますものは、重油と比較いたしましてきわめて割り高でございます。そういうことでございますので、自由選択にゆだねておきますと、石炭というものはもっと早くその使用量が少なくなったのでございますが、石炭対策特別会計予算をごらんいただきますとわかりますように、増加引き取り交付金という制度によりまして、電力側が石炭を引き取りやすいように、あるいはまた鉄鋼側が石炭を引き取りやすいように価格差補給をいたしまして、この競争性というものをある程度確保いたしておるわけでございます。したがって、いまおっしゃるようなことに相なりますと、それだけ国の側から石炭産業の電力用の引き取りに対しまして必要とする助成額を大きくいたさなければいかぬわけでございます。いま石炭政策が置かれております問題点は、限られた一定の財源の中でどのように石炭産業というものをより再建方向に確立していくかということでございまして、これをもし財源とかかわりなく無制限に考えろということでございますならば、重油との価格差を無制限に特別会計から交付いたしていきますならば、おっしゃるような割合の現状における火力の石炭の四〇%というものを確保することも可能かと思いますが、それはできないのでございまして、ただ私どもが五カ年間の予想を立てました場合でもこういう助成仕組みになっていない一般産業用の石炭の引き取りというものは大幅に減退していくであろう。これはいままでの経緯から見ましても非常に大きな縮小をたどっておるわけでございます。この辺のところにはあまり大きな期待は持てない。そこで電力用の石炭というものについてはある程度の量を従来政策需要というようなことばでとられておりましたように、国の援助によりまして先ほど申しました四十八年度における三千六百万トンの試算という条件に当てはめますならば、電力用炭も二千四百万トン程度というような試算にいたしておるわけでございます。これらはエネルギー全体との関連におきまして、原子力発電も今後出てまいりますことでもございますし、やはり経済性に従ってある程度考えていかなければならない。ただ経済性だけで全体を考えますと、石炭の将来というものはきわめて悲観的なものに相なりますが、政策的な補強によりましてこれを実現いたしてきておるのがいままでの経緯でございます。
  53. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうしますと、さっきあなたが言った今後石炭が五千万トンでも六千万トンでも出ることは好ましいことだ、希望しているのだ、こう言ったのと矛盾してきはしませんか。今後五千万トン、六千万トン出たときに、それじゃどういうような手当てをするつもりなんですか。やっぱりあなたたたち政府政策石炭を減らしていこうという気持ちが腹の中にあるのじゃないですか。ふやしていこうということは口先だけで、実際の施策としては減らしていこうという気持ちを持っている。金がかかって困るから減らしていこうという考え方じゃないですか。さっきぼくに答えたのといまのとでは非常な矛盾がありますよ。私たちはその点を突いているのですよ。
  54. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、特定財源の中で考えておりますので、無制限に国費を投入するというわけにはまいらないのでございまして、かつまた石炭鉱業の現状及び先行き見込みというようなことで増産ができるのであれば、それはけっこうでございますということを申し上げただけでございまして、実態からいたしますと、そんなに大きな増産ができるというふうには私たち考えておらないことは先ほどの御答弁でも申し上げたのでございます。それは物量的な御判断と経済的な御判断とをひとつ区別していただきまして、物量的にはそれは出るものはございますけれども、そうじゃなくて一定の財源の中で可能な限りのことを政府の立場で考えていく、この助成策の中でもしこれくらいのものが出るということであれば、これは幾ら出てもけっこうでございますということを私は申し上げたつもりでございます。
  55. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大体あなたの腹の中はわかりましたが、結局するところは、やっぱしそろばんにこだわって、よけい石炭が出たら補助金がたくさん要ってとてもやれぬから、政府のそろばんの範囲で石炭をだんだん減らしていこう、こういう腹づもりがあるからそんな矛盾した答弁が私は出てくるんだろうと思うんですがね。それじゃ石炭を特にたいている私は電力会社だけを取り上げて言っておりますが、電力会社にもっと石炭を高く買わしたらどうですか。それはできないんですか。
  56. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 政府の立場で電力会社に対しまして、もっと高く石炭を引き取れということを強制するわけにはまいりません。
  57. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこで先ほど言ったように、やはりこれは石炭、電気、いろいろなエネルギー産業全体のものとして、それを国営のもとにおいて問題の解決をつけないと根本的な解決はできないということにまあなってきておるわけなんですが、今日の状態で何で電気会社石炭を高く買わすことができないんですか。電力会社はうんともうけているじゃないですか。電力会社だけ何であんなにもうけさせなければならぬのですか。私はこの間調べましたら、六七年度東電の申告所得は二百五十八億ですよ。関電が二百三十七億、東京ガスが百十七億、大阪ガスが百十七億、こういうふうに電力会社もガス会社ももうけているわけですね。こんな大きなもうけをしている会社に何で石炭をもう少し高い値を出して買え、そうしなければ石炭産業はつぶれてしまうじゃないかというふうになぜ政府行政措置でやっていけないのですか。
  58. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 私は公益事業所管いたしておりませんで、ただいまの数字その他につきましては、そのとおりであるかどうかは御回答はできないわけでございますが、これは結局、電気料金等の関連でございますので、また電気事業が現在ただいまある蓄積をいたしておるといたしましても、先行きどのような投資をしなければいかぬかというようなこととのからみで判断されることでございますので、いずれ所管局長をお呼びいただきまして、御質疑を賜わればよろしかろうと存じます。
  59. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは少し問題が大きいし、政治問題になりますので、局長だけの答弁ではむずかしかろうと思いますから、大臣が出てきたときにあらためてやることにしましょう。  それで、最近赤平で災害が起こりましたね。私たち見ておりますと、どうも答申が出ると災害が非常にふえるような感じがするのです。というのは、第一回の答申が三十七年に出たのでしょう。そうすると、三十八年に三池のあの大爆発が起ったんですね。それから第二回の答申が三十九年に出ると、四十年の二月に伊王島の大爆発、四月に北炭、六月には山野の爆発。第三回は四十一年に答申が出ると、四十二年の春に奔別の災害、三井の砂川の災害、四十三年には美唄、大平、それから大夕張というような災害が続く。今回第四回の答申が出ると赤平の災害が起こってくる。こういうふうに、答申が出るとその前後に非常に災害が起こるわけです。これはなぜでしょうか。(「迷信だよ」と呼ぶ者あり)迷信じゃないよ。私はここにはやはり答申が出て、非常に答申を目標にした炭鉱の採炭のやり方に無理が起こってくるのじゃないかと思うのです。一つ例を申しますならば、炭鉱労働者は昨年一月が八万八千五十九人でしょう。十二月になると八万三千六百人になっている。ところが、一人当たりの月間出炭量を調べますと、昨年一月は四十三・八トンなんです。十一月になると、これがまた上がって四十九・七トンになっている。以来大体平均五十トンという水準をずっと守ってきているのです。労働者の数はだんだん減ってくるにもかかわらず採炭の一人当たりの数量が多くなっていく。特にことしの一月の採炭量なんというのは昨年よりもむしろ上がってきている。こういうふうに見受けられるわけです。そうすると、このためには必ず労働強化という問題が私はくっついてきていると思うのです。労働強化がくっついてくる。そこに災害の起こる原因がある。そうして閉山を目標にして、閉山閉山交付金を有利に獲得するために、炭掘れ掘れで掘らす。そうして保安設備なんかには、閉山の前だからこんなものに金をかけてもむだだというので、そういう面をおろそかにして採炭量だけ増加させようというので、労働者にそういう無理をさせる。ここに私は保安上の大きな欠陥が起こって災害の起こる原因があると、こういうふうに私は判断をするのですが、どうですか。
  60. 橋本徳男

    政府委員(橋本徳男君) こういった石炭の再建の問題、石炭合理化の問題、それと災害との関係、確かにおっしゃるようなものの考え方はあるのじゃないかと思うのでございます。ただ過去の災害と、それからいろいろ答申あとになっているか先になっているか問題はございますが、必ずしもその間にいわゆる科学的な相関関係のないこともまた事実なんでございます。答申の前後をどの程度の期間にとるか、これは問題はあるといたしましても、答申の問題とそれから災害との関係にはっきりとした相関関係は特にございません。しかし答申の出るというときは御承知のように非常に経営が悪化して、そのために何とかてこ入れをしなければならないという時期でございます。したがいまして、必然的にそういった要因からくる災害発生の確かに要因は含んでおります。これは否定し得ない事実だろうと思っております。またその時期に大きな事故を起こしていることも事実でございます。またおっしゃいましたように、新しい対策が出発をするというふうなことになった場合に、ここに考えられることは、当然これは再建でございますので、一人当たりの労働者の生産量というものを当然上げていかなければ再建は非常に困難だろうと思うのでございます。したがって、そういう面からする災害要因が従来以上に付加されるということも、これも一つ考えられる問題であろうと思うのでございます。そういった点をいろいろ過去のとうとい経験からいたしまして、今回の場合には、こういった石炭の再建と、それから同時に保安という形で二つの車の両輪だというふうな考え方で、かつまた答申自体の中にも、従来にかつてない程度にこの保安の問題を取り上げているわけでございます。そういった形においてそういう要因は確かにございますので、答申の線に沿いまして、保安としましても具体的には大きな線といたしまして、石炭鉱業の経営全体の安定をはかること、それから経営者の保安に取り組む態度を確立すること、これが大きな柱になり、あと具体的に技術対策の問題、教育の問題、こういったような問題を取り上げていろいろ対策をやっておるわけでございまして、十分先生のおっしゃいました要因につきましては、われわれも終始そういった要因の配慮を続けていくというふうなことで、できるだけ事故を絶滅するような方向で持っていきたいというふうに考えております。
  61. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあこの問題、今度はいろいろな問題たくさんありますからね、ですから大臣も出席して、ちゃんと政府の陣容の整ったところでずっと質問をやることにいたしましょう。きょうはこれでおきます。
  62. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 保安局長にお聞きするのですが、事故があったときには事故の現況というか、報告があるわけです。大体そのときには原因不明ということで原因がその当時はあからさまでない。これはまあいろんな事情でやむを得ないと思うのでありますが、あとになってその原因がわかったときには、その原因を明らかにし、それに対する対策というものを委員会等できちっと報告すべきであると、このように思うのでありますが、いかがでありますか。
  63. 橋本徳男

    政府委員(橋本徳男君) ただいまおっしゃいましたことは、今後こういった問題、事故が起きまして、それにつきまして原因を究明し、それについてとった措置、これは明らかにしてまいりたいと、こう思っております。  ついでにと言っては恐縮ではございますが、先般の赤平炭鉱の災害につきまして、その後取り開きをいたしまして原因をさぐりましたところ、やはりガス突出の部分についてのボーリングのしかた自体についての問題がありはしないかということで、いま科学的にその問題を究明しております。したがいまして、これが結論が出次第、こちらのほうにも御報告させていただくというようにしたいと思います。
  64. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 運輸関係の方お帰りになってしまったんですが、先ほど石炭局長やなんかのお話ございましたが、現在閉山ということでいろいろ新聞をにぎわしております明治鉱業のことなんかも長時間にわたっていろいろ審議がございました。私過日北海道雄別炭鉱へ行って、雄別鉱業所へ行ってまいりましたが、当地では経営上の問題だろうと思うのでありますが、町じゅうが閉山なんということでたいへんな騒ぎだったのでありますが、通産省のほうにもおそらく陳情または相談に来たんじゃないかと私は思うのでありますが、いずれにいたしましても、鉱山でもっている町でありますので、もしこの炭鉱閉山になるということになりますと、町全体がもう疲弊してしまう、そういうことで町のいま新年度の予算を編成するにあたりましてもたいへんな困難を来たしておる、こういうことで緊急の町議会なんか開かれておりまして、たいへんな様子を見てまいりました。先ほど二、三のところで問題があるんだというお話でございましたが、決してそういうことではなくして、先ほど来各委員からいろいろお話ありましたように、非常にこの閉山問題は深刻な問題である、こういうことを現に見てまいったわけであります。特に先ほど私鉄の問題がございましたが、御存じのように現在ストに入っておりますこの私鉄関係につきましても、まあ非常に深刻な問題をかかえておりまして、万が一山がつぶれるならば、われわれも共倒れだということで、ほんとうにこの町全体が頭をかかえているような現況でございました。先ほどもたくさんお話があったのでございますが、この私鉄関係のことにつきまして、従業員の退職金のことや、まあ万が一緊急事態に立ち至ったときのことはまああまり考えなくてもいいような先ほど局長答弁だったのでありますが、しかしながら現実は非常に深刻な問題であります。この問題につきましては、ほんとうに真剣に当局として考えていただきたい、前向きの姿勢で急速にこの問題については取り組んでいただきたい、このように思うのであります。関係の方がおられませんので、政務次官に、このことにつきましては先ほども答弁があったのでありますが、もう一度はっきりと所見をお聞かせ願いたいと思います。
  65. 植木光教

    政府委員(植木光教君) ただいまお話ございました雄別鉄道につきましては、いま特別な問題があるとは聞いておりません。  なお、私鉄全体の問題につきましては、先ほど運輸省から答弁がございましたが、御承知のとおり石炭鉱山の関連事業というのは非常に多いわけでございまして、私鉄もその一つでございますけれども、まあ今度の対策では、御承知のように閉山交付金を増額改定をするということにしておりますので、こういう閉山によって影響を受けた関連事業者に対しては、債務の弁済率を引き上げるというようなことも考慮をいたしているわけでございます。いまのところ石炭対策としてその範囲内で考える限りでは、いまのような対策が限度一ぱいなのでございますけれども、先ほど運輸省から答弁がありましたように、私どもとしてもこの問題について真剣に取り組んでいく考え方でございます。
  66. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、これに伴ってまあ万が一のことがございますと、ここへ当然労務者の問題が出てくるわけでございますが、当地の人たちも非常に心配しておりましたことは、何といってもこの四十歳以上といいますか、若年労働者の方々についてはよろしいのでありますが、年配の方々については非常な不安な面持ちで、まあこの先どうなるのか、こういうことで、いまだはっきりした会社態度ではないのでありますが、もう浮き足立っている。そこに新聞に出る、ほかの会社の問題が出るというようなことで、非常な不安におののいているのであります。まあきょうは労働省関係の方もいらっしゃいませんので、これは所管は違うと思いますが、労働問題について、特に老年の労働者の方々に対しては真剣な配慮がなければならない、このように痛感してきたわけであります。この点についても御所見いただきたいと思います。
  67. 植木光教

    政府委員(植木光教君) 石炭鉱山をかかえております地方自治体をはじめといたしまして関係の方々からは、閉山に立ち至った場合を非常に心配せられましていろいろな御意見がございます。陳情等もございますし、九州もそうでございますし、北海道の知事も今明日中に大臣にお会いになるというようなことも聞いております。産炭地域の振興の問題及び労務者対策、従業員対策等につきましては、労働省と十分に連絡をとりまして、遺漏のないように努力をしていく所存でございます。
  68. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記ちょっととめてください。   〔速記中止〕
  69. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起こして。  本日の調査はこの程度にとどめ、これをもって散会いたします。    午後三時三十二分散会      —————・—————