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政府委員(佐々木学君) ただいま御指摘のとおり、最近の科学
技術の急速な進歩によりまして、科学
技術情報が飛躍的に増加しつつあるわけでございます。最も典型的な情報源でありますところの文献を逐次とってみますというと、現在世界で科学雑誌、
技術雑誌等の定期的に刊行されておりますのが大体五万種類、
特許が大体七十万件
程度、そのほか単位論文、レポート、学会発表資料、これが大体十万種類といわれておるのであります。したがいまして、こうした論文に含んでおりますところの情報件数は大体年間三百万件くらいであろうというふうにいわれておるわけでございます。こうした膨大な科学
技術情報を今後いかにして収集し、そして必要な向きに提供するかということが今後の大きな問題になってくると思うのであります。科学
技術庁といたしましては、現在こうした科学
技術文献の収集、提供、管理は、特殊法人でありますところの日本科学
技術情報センターを中心にして行なわせておるわけでございます。
簡単にこの活動状況を申し上げてまいりますというと、日本科学
技術情報センターにおきましては、四十三年度におきまして、大体理工系を中心にいたしまして、六千八百種類の定期刊行物を収集いたしております。今後、四十四年度はさらに七千四百種類
程度のものを集めたいと思っておるのでありますけれども、こうした文献を集めただけでは十分な提供業務というものは行なえないわけであります。研究者はそうした文献を一〇〇%読んで、そして必要なものを選び出すというにはあまりにも時間と手数がかかりますので、これをアブフストラクトをつくりまして
——大体
一つの論文につきまして二百字前後に内容をまとめたアブストラクトをつくりまして、そして各専門ごとに、たとえば化学とか電気とか、大体九種類の部門に分けて、これを抄録しようとしておるわけでございます。昭和四十三年度におきましては、大体四十が件のこうした抄録をつくったのでありますけれども、四十四年度におきましては大体五十万件
程度の抄録をつくる。これを九部門に分けて配付いたしますと、研究者にはその専門の分類に従いましてこの簡単なアブストラクトを読んでいただいて、そのうちでこれはと思うものがあればオリジナルな文献に返って、そのオリジナルな文献の複写をして差し上げる、そして研究していただくということを考えておるわけでございます。それでも、なおかつ今後文献が激増いたしますと、そのアブストラクトさえ読む時間もなくなってくるわじゃないか、こういうことも長い将来には考えられるわけであります。そこで、現在世界各国でも考えられ、研究されておるのでありますけれども、クリアリング・ハウスという機能を
一つ考えております。これは研究者に、どういうことはどこへ行って聞けばすぐわかる、あるいはこういう研究はどの先生がやっているんだといったような案内的な機能といいますか、そういうような機能を持たせた機関を設立する必要があるということで、一部この情報センターにもそういう機能を持たせた活動をさせておるわけでございます。さらに現在は、この文献を抄録いたしますときにキーワードをつけまして、このアブストラクトさえ読まないで、ただ研究者のほうからこういう内容を持った研究論文がないかという
質問が将来はこようかと思うのであります。そういう場合には、その注文によりましてその
技術内容を分類し、さらにキーワードを組み合わせまして、そして蓄積してある電子計算機の中からその
要求する文献を全部引き出していくという、いわゆる情報検索といいますか、この
技術を現在研究中でございます。これが実際に行なわれるためには、ある
程度の文献がインプットされておりませんと、これは役に立ちませんので、すぐにはこういう情報検索のサービスができるという
段階にはいっておりませんけれども、現在アメリカの国立医学図書館で発行いたしておりますいわゆるメドラスという磁気テープを借りてまいりまして、これによってこういう情報検索の
技術を現在研究していると同時に、一方においてはそういう情報検索の事態に備えまして、現在抄録を電子計算機に覚えさす場合にキーワードをつけながら覚えさしていく、そうして将来たいへんな情報の洪水化という事態に、研究者に必要な文献をできるだけ早く、しかもできるだけ安い
段階で供給していきたい。そういう構想を現在持ち、かつ
実施中でございます。