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政府委員(山田精一君)
昭和四十三年度における
公正取引委員会の
業務の概略につきまして、お
手元に
資料をお届けいたしましたが、そのうち主要な点につきまして御
説明いたします。
まず、
経済体制の変化に即応して、独占禁止
政策を有効適切に
推進し、そのあり方について広く各界と意見を交換するとともに、その一そうの
理解を求めるため、独占禁止懇話会を設置し、昨年、その第一回を
開催いたしました。
次に、私的独占禁止法の施行に関する
業務といたしましては、まず、国際契約等の届け出は千五百二十四件にのぼりましたが、
企業合理化をはかるための
技術導入契約が大部分を占めております。
会社の合併、営業譲り受け等の届け出は、それぞれ千十件、三百五十一件となっており、その内訳は中小規模の会社が、
近代化、
合理化をはかるために合併を行なうものが大部分を占めておりますが、
国際競争力の
強化等のための大
企業の合併も
増加傾向を示しております。
公正取引委員会といたしましては、大
企業の合併につきましては、特に私的独占禁止法第十五条の規定を厳正にかつ慎重に運用してまいる
所存であります。
再販売価格維持契約
制度につきましては、
物価対策の見地からその
規制の
強化をはかることとし、現行指定商品の契約実施状況及び法的要件の適否について引き続き再検討を加えておりましたが、
昭和四十三年には化粧品及び医薬品について告示の
改正を行ない、その分類を現行日本標準商品分類に改めるとともに、特殊な用途に使用される品目及びこの
制度が有効に利用されていない品目を削除いたしました。
公正取引委員会といたしましては、今後も引き続き指定商品の再検討を続けるとともに、個々の契約の
内容についても、それが正当な行為の範囲を逸脱したり、また一般
消費者の利益を不当に害することのないよう厳重に監視を続けていく
所存であります。
なお、
昭和四十三年における再販売価格維持契約の成立届けは九件、累計百二十四件となっており、また新たに契約を実施した製造業者の数は五社で、十二月末現在九十三社が契約を実施しております。
私的独占禁止法に基づく共同行為につきましては、
昭和四十三年には、
企業合理化のための共同行為として、麻糸など三品目について、いずれも実施期間の延長を認可いたしました。
不公正な取引方法に関する
業務といたしましては、不当な歩積み・両建て預金につきまして、その実態を把握するため
昭和四十三年五月末及び十一月末の二回にわたり、貸し出し先の
中小企業者を
対象にアンケート
調査を実施いたしましたが、最近におきましては、拘束預金率は一〇%前後と減少してきておりますものの、まだ十分満足すべき状態ではなく、
公正取引委員会といたしましては、
調査の結果を慎重に検討いたしまするとともに、大蔵省の
行政指導の成果をも勘案いたしました上、適切な
措置をとってまいりたいと
考えております。
私的独占禁止法違反被疑事件につきましては、
昭和四十三年中に二百二十七件につきまして審査を行ない、そのうち法的
措置をとりましたものは、勧告三十二件、審決二十七件となっておりまして、過大な景品つき販売、消費物資の価格協定などがそのおもなものでございます。また、一昨年から引き続き、テレビジョンや牛乳の価格協定、家庭電器製品の再販売価格維持事件など八件について審判を行なっております。
下請代金支払遅延等防止法の施行に関する
業務といたしましては、
昭和四十三年中に、下請代金の支払い状況を中心に四千四百九十七の親
事業所に対しまして
調査を行ない、そのうち十一件につきまして、法第七条の規定に基づく勧告を行ない、四百三十四件につきましては
行政指導による事態の
改善措置をとりました。
また、手形期限の短縮を
促進いたしますため、主要
業種ごとに標準的な手形期限を設け、関係団体の
協力を得て、機会あるごとにその周知徹底をはかっております。
不当景品類及び不当表示防止法の施行に関する
業務といたしましては、第三条の規定に基づき、精麦業における景品類の提供に関する制限を告示いたし、さらに、第六条の規定に基づき、過大な景品類の提供を行ないました販売業者十名、不当な表示を行ないました観光みやげ品製造業者、宅地建物取引業者、家庭電器製品販売業者、寝具販売業者等六十四名につきまして排除命令を行ないました。そのほか飲用牛乳等六
業種について公正競争規約を認定いたしました。
また、同法の運用に資するため、
消費者モニターを選定し、景品つき販売、不当表示等に関する意見を求め、これを
公正取引委員会の行なう
消費者行政に反映させるようにいたしました。
このほか、
昭和四十三年における
経済実態の
調査といたしましては、
企業間信用の
調査のほか、管理価格の
調査、
流通支配に関する
調査及び主要
産業二百十一
業種における生産集中度
調査を行ないました。
最後に、
昭和四十四年度の
公正取引委員会の
予算案でございますが、本
国会にお願いいたしております
公正取引委員会の
予算は、
総額四億七千二十五万六千円でございまして、
昭和四十三年度と比較いたしまして五千五百二十八万五千円の増額と相なっており、事務局定員八名の増員、私的独占禁止法施行経費、下請代金支払遅延等防止法施行経費、不当景品類及び不当表示防止法施行経費の増額がそのおもなものと相なっております。
今後、
公正取引委員会の
業務は従来にも増して繁忙の度を加えるとともに、その重要性を増すものと
考えておる次第でございますが、本
委員会の
委員方はじめ皆さま方の御
支援を得まして重責を果たしてまいりたいと存じております。何とぞよろしく御
指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。