○
委員以外の
議員(渡辺武君) 先ほどの
政府委員の
答弁で私でたらめを言っちゃいけないのだということを言いましたが、それを具体的に言いますと、先ほどの被
保険者本人の入院時の受診率ですね。入院の場合の受診率が四十二年、四十三年と傾向的にずっと下がっていくということは申し上げたとおりですけれ
ども、入院外の場合でも、被
保険者本人につきましては、たとえば四十二年度を申しますと、四十二年の三月ですが、これは前年同月に比べてふえております。それから四月は減っておりますが、その後九月までふえる傾向を見せて、その後は十月からずっと減る傾向をとっている。四十三年に入ってもそういう傾向を一貫して保持しているということです。家族の場合ですと、これは入院のときとほとんど同じ
ように、外来の場合でも四十二年、四十三年度は、これは傾向的に受診率が高まっているという傾向です。このギャップはどこから出てきているのか。家族のほうは受診率は高まっている、本人のほうは受診率が低下する傾向をとっている。特に四十二年のこの
特例法がきまって薬代あるいはまた受診時、入院時の費用が患者
負担になった、あるいはまた患者
負担がふえたという
ような事態が起こってからこういう傾向が非常に顕著にあらわれてきている。どうしてもこれはやはり病気になっても安心して医者にもかかれない。中小企業の労働者の場合でいえば、医者へ行って、たとえ百円であろうと二百円であろうと、その場で現金で取られなければならぬという
ような事態は、これは苦痛であることは明らかです。こういう深刻な事態が生み出されている。いま、
厚生大臣は、これは多少はそういうこともあるだろうという
ような
程度の御
答弁をしましたけれ
ども、たとえばここにある診療所で調査した実例があります。それを申し上げてみましょう。京都の九条診療所という診療所が診療中断患者を調査した
資料があります。この九条診療所というのは、一ヵ月の実際外来患者は約千百名ぐらいの小さな診療所ですけれ
ども、
特例法実施後、中断患者がばかにふえてきたということは、どういう
事情で診療中断をするだろうかということで診療中断の患者の中から九十四名の人を四ヵ月がかりでいろいろ調べた例です。家まで出かけていって訪問調査したわけです。人手があればもっとたくさん調べられるのだが、残念ながら人手がないので、これだけしか調査することができなかったということを私は聞いておりますけれ
ども、この微々たる調査からしましても、この診療中断患者の中で被
保険者本人が七十九名、九十四名のうちの七十九名、家族は十五名に過ぎません。つまり被
保険者のほうが圧倒的に多い。どういう病気にかかっているか、高血圧、肺結核、糖尿病、慢性肺炎、消化器糸、運動器系、その他の長期疾患が圧倒的に多いということです。中断の
理由として患者の答えたのは、自覚症状がない、これが三十名。診療所に不満、これが十三名。忙しい、これが十名。金が続かない、これが六名。その他となっております。ところが自覚症状がないとか、診療所に不満などというのは、患者の病状から見て、その後ほかの医療
機関へ行っていない事実から見て、経済的
理由をそういうふうに言いつくろっていることは明かだというふうに、調査した
委員の人
たちはそう言っております。これはまことに微々たる調査です。その点は明らかなんですけれ
ども、この微々たる調査が
一つの典型を示しているというふうに見なきゃならぬと思う。それは、先ほど私が申し上げた、
政府自身が二月の二十一日に
社会保険審議会に
提出した
資料ですね。この
特例法が実施されて以後です。本人の受診率が傾向的に低下するという
ような事実を、これを別の
資料で裏書きしてるというふうに見なきゃならぬと思う。とにかくこういうふうに、多少
影響があったかな
あという
ような
程度じゃない。病人が医者にかかれない
ような事態に置かれるということは、これはたいへんなことですよ。そういう深刻な
影響がある。この点を
政府に率直に認めてもらわなきゃならぬと思う。どうですか。